(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100743
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】肺投与によって心臓の状態を処置するための単位用量、エアロゾル、キットおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20230711BHJP
A61P 9/06 20060101ALI20230711BHJP
A61K 31/4458 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A61K45/00
A61P9/06
A61K31/4458
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023071974
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2019562284の分割
【原出願日】2018-05-10
(31)【優先権主張番号】62/504,292
(32)【優先日】2017-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511227266
【氏名又は名称】インカーダ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】シューラー,カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ナラシマン,ランガカリ
(72)【発明者】
【氏名】ベラーディネリ,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】マドゥハバペッディ,プラシャンティ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】肺投与によって特定の心臓の状態を処置するための組成物、単位用量、エアロゾルおよびキットならびにその方法を提供する。
【解決手段】心房性不整脈を処置する方法であって、有効量のクラスI、クラスII、クラスIIIおよびクラスIV抗不整脈薬からなる群から選択される少なくとも1種類の抗不整脈医薬を、それを必要とする対象に、吸入によって肺気道を通じて肺静脈に投与する方法である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願に実質的に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
[0001] 本出願は、2017年5月10日に出願された米国仮出願第62/504,292号の利益を主張し、その出願は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0002】
[0002] 1.発明の分野
[0003] 本発明は、肺投与によって特定の心臓の状態を処置するための組成物、単位用量、エアロゾルおよびキットならびにその方法に関する。
【0003】
[0004]
【背景技術】
【0004】
[0005] 心不整脈(律動異常とも呼ばれる)は、心臓において異常な電気的活動が存在する状態の、大きく、多様な集合のいずれにも関わる用語である。心拍は、速すぎたり遅すぎたりする可能性があり、規則的であったり不規則であったりする可能性がある。
【0005】
[0006] 心房性不整脈療法は、高程度の満たされていない臨床的必要性を有する分野である。今日使用されている多くの薬物は、1980年代初期および1990年代から市販されており、有効性の欠如またはしばしば心臓に関連する副作用プロフィールのいずれかのため、そのほとんどが不適切であり、それゆえ、患者の広範なモニタリングが必要とされる。
【0006】
[0007] 迅速かつ安全な心臓除細動(不整脈の消散)のために必要とされるのは、以下の療法である:
[0008] (a)心臓除細動前の心拍数の加速のリスクをほとんど~全く有さず;
[0009] (b)心房-心室(AV)伝導を、心拍数制御および心臓除細動が同時に存在するように遅らせ;
[0010] (c)QRS間隔を正常値の上限範囲(約120ミリ秒)を超えて延長する作用を最小限しか有さず~全く有さず、そのトルサード・ド・ポワントのリスクは低いべきであり;かつ
[0011] (d)陰性変力作用を最小限しか有さず~全く有さず;患者が洞調律に戻った際に重度の徐脈のリスクがなく軽度の陰性変時作用しか有しないべきである。
【0007】
[0012] 現在承認されている薬物製品は、いずれもこれらの特徴を示さない。吸収、代謝および希釈を埋め合わせるために必要とされる高い経口および静脈内注射(IV)用量は、結果として長期間にわたる高い血中濃度をもたらし、それは、不整脈誘発、QT延長およびトルサード・デ・ポワントのような危険な有害な心臓事象を引き起こし得る。(非特許文献1;および非特許文献2)。併存する病気も、一部の患者における理想的な薬物
の使用を制限する(例えば静脈内アデノシンを用いる症例)。(非特許文献3)。ベラパミルおよびジルチアゼム注射剤のような薬物は、患者の綿密なモニタリングを必要とする第2の療法ラインである。(非特許文献4;および非特許文献5)。
【0008】
[0013] 発作性心房細動(PAF)は、心房細動(AF)集団全体の亜集団であり、AF集団全体の25~30%であると推定されている。米国では、約250万人の患者が、AFに罹患している。PAF患者の集団は、世界中で900,000~150万人と推定されている。
【0009】
[0014] 発作性上室性頻拍(PSVT)は、米国において約500,000~600,000人の患者を冒している不整脈の一種である。
[0015] アブレーション技術、例えばRFアブレーションは、しばしば不整脈を処置するために使用される。しかし、アブレーションは費用がかかり、典型的には手順あたり約25,000~36,000ドルの範囲のコストがかかる。高価であるにもかかわらず、アブレーションは、不整脈を完全に矯正することはできない。しばしば、満足のいく療法的結果を達成するために複数回のアブレーション手順が必要とされる。
【0010】
[0016] 経口医薬品、例えば丸剤は、作用の開始のために高い用量および長時間を必要とする傾向がある。心臓用医薬品に関する経口用量は、一般に1mgを優に超える傾向がある。高い用量は、これらの患者が典型的には複数の医薬品を服用するため、副作用および薬物-薬物相互作用の可能性を増大させる。経口心血管用医薬品に関する開始時間は、約60分である傾向がある。経口抗不整脈薬物療法は、主に予防のために開発されており、一方で処置は、静脈注射によって与えられている。
【0011】
[0017] 静脈内注射は、通常は医薬品を投与するための病院環境を必要とし、典型的には救急処置室(ER)への訪問を伴う。これらの間接費は、患者が彼らの医薬を自己投与することができる療法と比較して、この療法が高価になる結果をもたらす。静脈内注射は、希釈および代謝を埋め合わせるために心臓において実際に必要とされる用量よりも高い用量を必要とする。IVにより注入された薬物は、心臓の右側を通過し、次いで肺を通過した後、心臓の左側に到達する。
図1を参照。薬物は、薬物が腎臓を通って、または他の代謝経路(例えば肝臓)を通って排泄されるまで、高濃度で血流中に留まり、全ての器官および組織をこの薬物により高濃度で浸す。結果として、IV薬物は、望ましくない副作用を引き起こし得る。IV経路を介して投与された薬物は、心臓循環に到達する前に、静脈血液量および肺において著しく希釈される。
【0012】
[0018] 薬物を心臓に直接注射することは、通常は緊急時の救命手段として心臓病専門医によって選ばれる最後の手段である。このようにして心臓中に直接注射される薬物の用量は、通常はそれらのIVおよび/または経口用量未満である。
【0013】
[0019] ある場合には、患者の命を救うために計画外の手術が必要である。当然、計画外の手術は費用がかかり、患者にとって危険である。
[0020] 心不整脈は、胸部周囲の緊張、動悸、疲労感、息切れおよび時には胸痛のような、身体障害性症状と関係している。
【0014】
[0021] 上記の観点から、不整脈は、頻繁に結果として救急処置室(ER)訪問をもたらし、ここで、静脈注射薬物が投与され、時には病院における長期滞在を必要とし、ある場合には計画外の観血的処置にもつながる。(非特許文献6;および非特許文献7)。
【0015】
[0022] しかし、心臓の状態を処置するための改善された組成物および方法に関する必要性が、依然として存在する。従って、これらの組成物を作製する方法に関する必要性も、依然として存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】FELDMAN et al., “Analysis of Coronary Response to Various Doses of Intracoronary Nitroglycerin,” Circulation, 66:321-327 (1982)
【非特許文献2】BARBATO et al., “Adrenergic Receptors in Human Atherosclerotic Coronary Arteries,” Circulation, 111:288-294 (2005)
【非特許文献3】GAGLIONE et al., “Is There Coronary Vasoconstriction after Intracoronary Beta-adrenergic Blockade in Patients with Coronary Artery Disease,” J Am Coll Cardiol, 10:299-310 (1987)
【非特許文献4】NOGUCHI et al., “Effects of Intracoronary Propranolol on Coronary Blood Flow and Regional Myocardial Function in Dogs,” Eur J Pharmacol., 144(2):201-10 (1987)
【非特許文献5】ZALEWSKI et al., “Myocardial Protection during Transient Coronary Artery Occlusion in Man: Beneficial Effects of Regional Beta-adrenergic Blockade,” Circulation, 73:734-73 (1986)
【非特許文献6】Pipeline Insights: Antiarrhythmics, Datamonitor (06/2006)
【非特許文献7】TWISS et al., “Efficacy of Calcium Channel Blockers as Maintenance Therapy for Asthma,” British J of Clinical Pharmacology (November 2001)
【発明の概要】
【0017】
[0023] 従って、本発明は、特定の心臓の状態を処置するための組成物、単位用量、エアロゾル、キットおよび方法を提供する。本発明の他の特徴および利点は、以下の本発明の記載において述べられ、一部は、本記載から明らかであると考えられ、または本発明の実施により学習され得る。本発明は、明記されたその記載および特許請求の範囲において特に指摘されている組成物および方法によって実現され、達成されるであろう。
【0018】
[0024] 本発明の第1態様は、心房性不整脈を処置する方法に向けられている。その方法は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に、少なくとも1種類の抗不整脈医薬が最初に肺静脈を通って左心房に入るように投与することを含む。
【0019】
[0025] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈、例えば頻脈を処置する方法に向けられている。その方法は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)により投与することを含み、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、心臓の冠循環において、投与(例えば投与の開始または投与の終了)から10秒~30分の範囲の時点でピークに達する。ある場合には、冠循環は、冠動脈または冠静脈洞を含む冠静脈であり得る。
【0020】
[0026] さらに別の側面において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および処置する方法に向けられている。その方法は、息切れ、心臓の動悸および正常な心拍数を超えることの少なくとも1つを検出することによって心房性不整脈を自己診断することを含む。その方法は、自己診断の2時間、1時間、30分または15分以内に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入(例えば経口吸入)によって自己投与することも含む。
【0021】
[0027] 別の側面において、本発明は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む心房性不整脈を処置する方法に向けられており、ここで、電気生理学的作用が、心電図検査を介して、投与から10秒~30分の範囲の時点において観察される。
【0022】
[0028] さらに別の側面において、本発明は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む心房性不整脈を処置する方法に向けられており、ここで、不整脈検出アルゴリズムを実施するモニターからの心臓スコアは、投与から10秒~30分の範囲の時点において、患者における不整脈状態から正常洞調律への移行を示す。
【0023】
[0029] さらに別の側面において、本発明は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む心房性
不整脈を処置する方法に向けられており、ここで、患者のshort form-36生活の質スコアは、投与から10秒~30分の範囲の時点において向上する。
【0024】
[0030] 別の側面において、本発明は、単位用量容器および単位用量容器内の組成物を含む単位用量に向けられている。組成物は、冠循環中での最小有効量を達成するための腕において静脈内投与される同じ少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量以下の量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0025】
[0031] さらに別の側面において、本発明は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を含むエアロゾルに向けられている。粒子は、冠循環中での最小有効量を達成するための腕において静脈内投与される同じ少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量以下の量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0026】
[0032] 本発明のさらに別の側面は、キットに向けられている。キットは、少なくとも1種類の抗不整脈医薬およびエアロゾル化デバイスを収容している容器を含む。
[0033] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈を処置する方法であって、少なくとも1種類の抗不整脈医薬が最初に肺静脈を通って心臓に入って左心房に至るように有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に投与することを含む方法に向けられている。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与から10秒~30分の範囲の時点において心臓の冠循環においてピークに達する。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与から2分~8分の範囲の時点においてピークに達する。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与後2.5分の時点で0.1mg/L~60mg/Lの範囲である。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与後30分の時点で0.1mg/L未満である。ある場合には、有効量は、心臓を1回だけ通過するための有効量である。ある場合には、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の10%~60%が、冠循環に到達する。ある場合には、患者に入る投与される抗不整脈医薬の量は、0.1mg~200mgの範囲である。ある場合には、吸入(例えば経口吸入)を介して投与される少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称量は、冠循環中での同じ量を達成するための腕において静脈内投与される同じ抗不整脈医薬の量以下である。ある場合には、投与は、1~6回の吸入を含む。
【0027】
[0034] ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIVおよびクラスVの抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、キニジン、プロカインアミドおよびジソピラミドから選択される少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈医薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈医薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジンおよびメキシレチンから選択される少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、フレカイニド、プロパフェノンおよびモリシジンから選択される少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、プロプラノロール、アセブトロール、ゾルタロール(soltalol)、エスモロール、チモロール、メトプロロールおよびアテノロールから選択される少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈医薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、
アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、メタンスルホンアミド、ベルナカラントおよびドフェチリドから選択される少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミルおよびジルチアゼムから選択される少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。
【0028】
[0035] ある場合には、心房性不整脈は、頻脈を含む。ある場合には、心房性不整脈は、上室性頻脈を含む。ある場合には、心房性不整脈は、発作性上室性頻脈を含む。ある場合には、心房性不整脈は、心房細動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、発作性心房細動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、持続的かつ永続的な心房細動における急性エピソードを含む。ある場合には、心房性不整脈は、心房粗動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、発作性心房粗動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、孤立性心房細動を含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む液体を投与することを含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む粉末を投与することを含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む凝縮エアロゾルを投与することを含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む組成物を投与することを含み、ここで、組成物は、凝縮エアロゾルではない。
【0029】
[0036] ある場合には、肺投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む溶液を噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、振動型メッシュ式噴霧器で噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、ジェット噴霧器で噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、吸気活性化(breach-activated)噴霧器を用いて噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する液滴を形成することを含む。ある場合には、肺投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む乾燥粉末を投与することを含む。ある場合には、乾燥粉末は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を含む。ある場合には、乾燥粉末は、能動的乾燥粉末吸入器を介して投与される。ある場合には、乾燥粉末は、受動的乾燥粉末吸入器を介して投与される。ある場合には、肺投与は、定量吸入器を介して少なくとも1種類の抗不整脈医薬を投与することを含む。ある場合には、定量吸入器は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を形成する。ある場合には、定量吸入器は、ヒドロフルオロアルカンおよびクロロフルオロカーボンから選択されるキャリヤー中に配合された少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含有する。ある場合には、処置は、心房性不整脈の検出後の急性処置を含む。ある場合には、患者は、投与を開始してから10分以内に正常な洞調律を有する。
【0030】
[0037] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈を処置する方法であって、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈性医薬品をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む方法に向けられており、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈性医薬の量は、投与から10秒~30分の範囲の時点で心臓の冠循環においてピークに達する。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与から2分~8分の範囲の時点でピークに達する。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与後2.5分の時点で0.1mg/L~60mg/Lの範囲である。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与後30分の時点で0.1mg/L未満である。ある場合には、有効量は、心臓を1回だけ通過するための有効量である。ある場合には、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の10%~60%が、冠循環に到達する。ある場合には、患者に入る投与される抗不整脈医薬の量は、0.1mg~200mgの範囲である。ある場合に
は、吸入(例えば経口吸入)を介して投与される少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称量は、冠循環中での同じ量を達成するための腕において静脈内投与される同じ抗不整脈医薬の量以下である。ある場合には、投与は、1~6回の吸入を含む。
【0031】
[0038] ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIVおよびクラスVの抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、キニジン、プロカインアミドおよびジソピラミドから選択される少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジンおよびメキシレチンから選択される少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、フレカイニド、プロパフェノンおよびモリシジンから選択される少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、プロプラノロール、アセブトロール、ゾルタロール(soltalol)、エスモロール、チモロール、メトプロロールおよびアテノロールから選択される少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、メタンスルホンアミド、ベルナカラントおよびドフェチリドから選択される少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イスラジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミルおよびジルチアゼムから選択される少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。
【0032】
[0039] ある場合には、心房性不整脈は、頻脈を含む。ある場合には、心房性不整脈は、上室性頻脈を含む。ある場合には、心房性不整脈は、発作性上室性頻脈を含む。ある場合には、心房性不整脈は、心房細動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、発作性心房細動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、持続的かつ永続的な心房細動における急性エピソードを含む。ある場合には、心房性不整脈は、心房粗動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、発作性心房粗動を含む。ある場合には、心房性不整脈は、孤立性心房細動を含む。
【0033】
[0040] ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む液体を投与することを含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む粉末を投与することを含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む凝縮エアロゾルを投与することを含む。ある場合には、投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む組成物を投与することを含み、ここで、組成物は、凝縮エアロゾルではない。ある場合には、肺投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む溶液を噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、振動メッシュ式噴霧器で噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、ジェット噴霧器で噴霧することを含む。ある場合には、噴霧は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する液滴を形成することを含む。ある場合には、肺投与は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む乾燥粉末を投与することを含む。ある場合に
は、乾燥粉末は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を含む。ある場合には、乾燥粉末は、能動的燥粉末吸入器を介して投与される。ある場合には、乾燥粉末は、受動的乾燥粉末吸入器を介して投与される。ある場合には、肺投与は、定量吸入器を介して少なくとも1種類の抗不整脈医薬を投与することを含む。ある場合には、定量吸入器は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を形成する。ある場合には、定量吸入器は、ヒドロフルオロアルカンおよびクロロフルオロカーボンから選択されるキャリヤー中に配合された少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含有する。
【0034】
[0041] ある場合には、処置は、心房性不整脈の検出後の急性処置を含む。ある場合には、患者は、投与を開始してから30分以内に正常な洞調律を有する。ある場合には、患者は、投与を開始してから10分以内に正常な洞調律を有する。
【0035】
[0042] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および処置する方法であって、息切れ、心臓の動悸および正常な心拍数を超えることの少なくとも1つを検出することによって心房性不整脈を自己診断し;自己診断の2時間以内に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入(例えば経口吸入)によって自己投与することを含む方法に向けられている。ある場合には、自己投与は、自己診断の1時間以内に行われる。ある場合には、自己投与は、自己診断の30分以内に行われる。ある場合には、自己投与は、自己診断の15分以内に行われる。ある場合には、自己投与は、患者がもはや息切れ、心臓の動悸および正常な心拍数を超えることの少なくとも1つを検出しなくなるまで継続する。
【0036】
[0043] 別の側面において、本発明は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む心房性不整脈を処置する方法に向けられており、ここで、電気生理学的作用が、心電図検査を介して、投与から10秒~30分の範囲の時点で観察される。ある場合には、電気生理学的作用は、不整脈から正常洞調律への移行を含む。ある場合には、電気生理学的作用は、P波の不在からP波の存在への移行を含む。
【0037】
[0044] 別の側面において、本発明は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む心房性不整脈を処置する方法に向けられており、ここで、不整脈検出アルゴリズムを実施するモニターからの心臓スコアは、投与から10秒~30分の範囲の時点で患者における不整脈状態から正常洞調律への移行を示す。ある場合には、モニターは、ホルターモニター、遠隔測定およびモバイルECGを含む。
【0038】
[0045] 別の側面において、本発明は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む心房性不整脈を処置する方法に向けられており、ここで、患者のshort form-36生活の質スコアは、投与から10秒~30分の範囲の時点において向上する。
【0039】
[0046] 別の側面において、本発明は、単位用量容器;単位用量容器内の組成物を含む単位用量に向けられており、その組成物は、冠循環中での最小有効量を達成するための腕において静脈内投与される同じ少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量以下の量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬;および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。ある場合には、組成物は、溶液を含む。ある場合には、組成物は、等張性から生理学的等張性までの範囲の張性を有する溶液を含む。ある場合には、組成物は、水溶液を含む。ある場合には、組成物は、非水性溶液を含む。ある場合には、組成物は、さらにpH緩衝剤を含む。ある場合には、組成物は、さらにシトレート、ホスフェート、フタレートおよびラクテートから選択されるpH緩衝剤を含む。ある場合には、組成物は、本質的に少なくとも1種類の抗不整
脈医薬および水からなる。ある場合には、組成物は、本質的に少なくとも1種類の抗不整脈医薬、水およびpH緩衝剤からなる。ある場合には、組成物は、3.5~8.0の範囲のpHを有する。
【0040】
[0047] ある場合には、薬学的に許容可能な賦形剤は、ヒドロフルオロアルカンを含む。ある場合には、薬学的に許容可能な賦形剤は、クロロフルオロアルカンを含む。ある場合には、組成物は、実質的に保存剤を含まない。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIVおよびクラスVの抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、キニジン、プロカインアミドおよびジソピラミドならびにその薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジンおよびメキシレチンならびにその薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、フレカイニド、プロパフェノンおよびモリシジンならびにその薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、プロプラノロール、アセブトロール、ゾルタロール(soltalol)、エスモロール、チモロール、メトプロロールおよびアテノロールならびにそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、メタンスルホンアミド、ベルナカラントおよびドフェチリドならびにそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ベプリジル、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、アムロジピン、イサジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミルおよびジルチアゼムならびにそれらの薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ジゴキシンおよびアデノシンならびにその薬学的に許容可能な塩から選択される少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。ある場合には、容器は、0.1mg~200mgの少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む。ある場合には、単位用量は、実質的に無味である。
【0041】
[0048] 別の側面において、本発明は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を含むエアロゾルに向けられており、ここで、粒子は、冠循環中での最小有効量を達成するための腕において静脈内投与される同じ少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量以下の量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬;および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0042】
[0049] ある場合には、粒子は、噴霧溶液を含む。ある場合には、粒子は、噴霧水溶液を含む。ある場合には、粒子は、さらにpH緩衝剤を含む。ある場合には、粒子は、さらにシトレート、ホスフェート、フタレートおよびラクテートから選択されるpH緩衝剤を含む。ある場合には、粒子は、本質的に少なくとも1種類の抗不整脈医薬および水からなる。ある場合には、粒子は、本質的に少なくとも1種類の抗不整脈医薬、水およびpH緩
衝液からなる。ある場合には、粒子は、3.5~8.0の範囲のpHを有する。ある場合には、粒子は、実質的に保存剤を含まない。
【0043】
[0050] ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、クラスIa、クラスIb、クラスIc、クラスII、クラスIII、クラスIVおよびクラスVの抗不整脈薬から選択される少なくとも1つのメンバーを含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、キニジン、プロカインアミドおよびジソピラミドから選択される少なくとも1種類のクラスIa抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジンおよびメキシレチンから選択される少なくとも1種類のクラスIb抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、フレカイニド、プロパフェノンおよびモリシジンから選択される少なくとも1種類のクラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、プロプラノロール、アセブトロール、ゾルタロール(soltalol)、エスモロール、チモロール、メトプロロールおよびアテノロールから選択される少なくとも1種類のクラスII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、メタンスルホンアミド、ベルナカラントおよびドフェチリドから選択される少なくとも1種類のクラスIII抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ベプリジル、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、アムロジピン、イサジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミルおよびジルチアゼムから選択される少なくとも1種類のクラスIV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、ジゴキシンおよびアデノシンから選択される少なくとも1種類のクラスV抗不整脈薬を含む。ある場合には、エアロゾルは、実質的に無味である。
【0044】
[0051] 別の側面において、本発明は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を収容する容器;およびエアロゾル化デバイスを含むキットに向けられている。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、噴霧器を含む。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、振動メッシュ噴霧器を含む。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、ジェット噴霧器を含む。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、乾燥粉末吸入器を含む。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、能動的乾燥粉末吸入器を含む。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、受動的乾燥粉末吸入器を含む。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、定量吸入器を含む。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、最低1回心臓を通過して電気生理学的作用を生じるのに十分である。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、全血液量によって希釈された際に治療量以下である。
【0045】
[0052] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈を処置する方法であって、クラスI、クラスII、クラスIIIおよびクラスIV抗不整脈薬からなる群から選択される有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を、それを必要とする患者に、1以上の肺静脈に、肺気道を通じて、エアロゾル化デバイスの使用により投与することを含む方法に向けられており、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、複数回の吸入にわたって投与される0.1mg~200mgの総量であり、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈医薬のレベルは、肺投与から30秒~20分の間の時点で心臓の冠循環においてピーク
に達し、かつここで、患者の洞調律は、投与を開始してから30分以内に正常まで回復する。
【0046】
[0053] ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後2.5分の時点で0.1mg/L~60mg/Lの範囲であり、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後30分の時点で0.1mg/L未満であり、またはここで、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の10%~60%が、冠循環に到達する。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後2.5分の時点で0.1mg/L~20mg/Lであり、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後30分の時点で0.1mg/L未満であり、またはここで、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の5%~60%が、冠循環に到達する。ある場合には、その方法は、6回までの吸入における少なくとも1種類の抗不整脈医薬の肺投与を含む。ある場合には、心房性不整脈は、頻脈を含む。ある場合には、頻脈は、上室性頻脈、発作性上室性頻脈、心房細動、発作性心房細動、持続性および永続性心房細動における急性エピソード、心房粗動、発作性心房粗動または孤立性心房細動を含む。ある場合には、その方法は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む液体、乾燥粉末、または噴霧液滴を投与することを含み、ここで、粉末または噴霧される液滴は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する。
【0047】
[0054] ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI抗不整脈薬である。ある場合には、クラスI抗不整脈は、クラスIa、IbまたはIc抗不整脈薬である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスII抗不整脈薬である。ある場合には、クラスII抗不整脈薬は、エスモロールHClである。ある場合には、エスモロールHClの投与量は、0.5~0.75mg/kg体重である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIV抗不整脈薬である。ある場合には、クラスIV抗不整脈薬は、ジルチアゼムである。ある場合には、ジルチアゼムの投与量は、0.25mg/kg体重である。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬のレベルは、1分~10分の時点で心臓の冠循環においてピークに達する。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、液体医薬配合物中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を投与するように設計された噴霧器であり、エアロゾル化は、室温で起こる。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、患者によって自己投与される。
【0048】
[0055] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈を処置する方法であって、有効量のクラスI、クラスII、クラスIIIおよびクラスIV抗不整脈医薬からなる群から選択される少なくとも1種類の抗不整脈医薬を、それを必要とする患者に、1以上の肺静脈に、肺気道を通じて、エアロゾル化デバイスの使用により投与することを含む方法に向けられており、ここで、患者は、心房性不整脈の正常洞調律への変換のために、有効吸入用量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を自己投与および自己用量設定し、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈医薬のレベルは、肺投与から30秒~20分の時点で心臓の冠循環においてピークに達し、かつここで、患者の洞調律は、投与を開始してから30分以内に正常まで回復する。
【0049】
[0056] ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後2.5分の時点で0.1mg/L~60mg/Lの範囲であり、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後30分の時点で0.1mg/L未満であり、またはここで、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の10%~60%が、冠循環に到達する。
【0050】
[0057] ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後2.5分の時点で0.1mg/L~20mg/Lであり、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、肺投与後30分の時点で0.1mg/L未満であ
り、またはここで、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の5%~60%が、冠循環に到達する。ある場合には、その方法は、6回までの吸入による少なくとも1種類の抗不整脈医薬の肺投与を含む。
【0051】
[0058] ある場合には、心房性不整脈は、頻脈を含む。ある場合には、頻脈は、上室性頻脈、発作性上室性頻脈、心房細動、発作性心房細動、持続性および永続性心房細動における急性エピソード、心房粗動、発作性心房粗動または孤立性心房細動を含む。ある場合には、その方法は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む液体、乾燥粉末または噴霧液滴を投与することを含み、ここで、乾燥粉末または噴霧液滴は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する。
【0052】
[0059] ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI抗不整脈薬である。ある場合には、クラスI抗不整脈薬は、クラスIa、Ib、またはIc抗不整脈薬である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスII抗不整脈薬である。ある場合には、クラスII抗不整脈薬は、エスモロールHClである。ある場合には、エスモロールHClの有効吸入用量は、0.5~0.75mg/kg体重である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIV抗不整脈薬である。ある場合には、クラスIV抗不整脈薬は、ジルチアゼムである。ある場合には、ジルチアゼムの有効吸入用量は、0.25mg/kg体重である。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬のレベルは、1分~10分の時点で心臓の冠循環においてピークに達する。ある場合には、エアロゾル化デバイスは、液体医薬配合物中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を投与するように構成された噴霧器であり、ここで、エアロゾル化は、室温で起こる。
【0053】
[0060] 別の側面において、本発明は、心房性不整脈を処置する方法であって、有効量のクラスI、クラスII、クラスIIIおよびクラスIV抗不整脈薬からなる群から選択される少なくとも1種類の抗不整脈医薬を、それを必要とする対象に、1以上の肺静脈に、肺気道を通じて、吸入(例えば経口吸入)によって投与することを含む方法に向けられており、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、総量0.1mg~200mgであり、以下を有する:i)約0.1分~約30分のTmax;ii)約10ng/mL~約5000ng/mLのCmax;iii)約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLのAUCLast;iv)約0.1分~約15分の分布t1/2;v)約1時間~約25時間の消失t1/2;vi)約0.01ミリ秒~約100ミリ秒のΔQRS;またはそれらのあらゆる組み合わせ。
【0054】
[0061] ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、複数回の吸入にわたって投与される。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、6回までの吸入で投与される。ある場合には、対象の洞調律は、投与を開始してから30分以内に正常まで回復する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬のレベルは、投与から30秒~20分の時点で心臓の冠循環においてピークに達する。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、投与後2.5分の時点で0.1mg/L~60mg/Lの範囲である。ある場合には、心臓の冠循環中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度は、投与後30分の時点で0.1mg/L未満である。ある場合には、投与された少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の5%~60%が、冠循環に到達する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約0.1分~約30分のTmaxを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約1分~約5分のTmaxを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約0.1分~約3分のTmaxを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約0.2分~約5分のTmaxを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約50ng/mL~約500ng/mLのCmaxを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約100ng/mL~
約250ng/mLのCmaxを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLのAUCLastを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約200ng/mL~約2000hr*ng/mLのAUCLastを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約500ng/mL~約800hr*ng/mLのAUCLastを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約400ng/mL~約600hr*ng/mLのAUCLastを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約0.1分~約15分の分布t1/2を有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約3分~約4分の分布t1/2を有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約3分~約5分の分布t1/2を有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約1時間~約25時間の消失t1/2を有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約8.5時間~約10.5時間の消失t1/2を有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約0.01ミリ秒~約100ミリ秒のΔQRSを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約1ミリ秒~約10ミリ秒のΔQRSを有する。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、約5ミリ秒~約20ミリ秒のΔQRSを有する。ある場合には、吸入によって肺気道を通じて送達される少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量の静脈内送達によって提供される比率と比較して、Cmaxに対する最大ΔQRSのより高い比率を有する。ある場合には、吸入によって肺気道を通じて送達される少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量によって提供されるCmaxに対する最大ΔQRSの比率は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量の静脈内送達によって提供される比率よりも少なくとも2倍大きい。ある場合には、心房性不整脈は、頻脈を含む。ある場合には、頻脈は、上室性頻脈、発作性上室性頻脈、心房細動、発作性心房細動、持続性および永続性心房細動における急性エピソード、心房粗動、発作性心房粗動、または孤立性心房細動を含む。ある場合には、その方法は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む液体、乾燥粉末、押出液滴、または噴霧液滴を投与することを含み、ここで、その粉末または噴霧液滴は、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI抗不整脈薬である。ある場合には、クラスI抗不整脈薬は、クラスIa、Ib、またはIc抗不整脈薬である。ある場合には、クラスIc抗不整脈薬は、フレカイニドである。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスII抗不整脈医薬である。ある場合には、クラスII抗不整脈薬は、エスモロールHClである。ある場合には、エスモロールHClの投与量は、0.5~0.75mg/kg体重である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIV抗不整脈薬である。ある場合には、クラスIV抗不整脈薬は、ジルチアゼムである。ある場合には、ジルチアゼムの投与量は、0.25mg/kg体重である。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、噴霧器内でエアロゾル化される。ある場合には、噴霧器は、吸気作動式(breath-activated)噴霧器である。ある場合には、噴霧器は、吸気感応式(breath-actuated)噴霧器である。ある場合には、噴霧器は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の液体医薬配合物を投与するように設計されている。ある場合には、エアロゾル化は、室温で起こる。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬は、対象によって自己投与される。ある場合には、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量のTmax、Cmax、AUCLast、分布t1/2、消失t1/2または最大ΔQRSは、ヒトPK/PD試験において測定される。ある場合には、ヒトPK/PD試験は、単回用量PK/PD試験である。ある場合には、ヒトPK/PD試験は、複数回用量(例えば漸増用量)のPK/PD試験である。
【0055】
[0062] 別の側面において、医薬的有効量の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入により投与することを含む心臓の状態を処置する方法が、本明細書において開示され、ここで、吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxは、約0.1分~約30分であ
り;吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxは、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;または吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastは、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、またはAUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。ある場合には、その方法は、20mg~100mgのフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする患者への吸入を介して投与することを含む。ある場合には、その方法は、0.25mg/kg体重~1.5mg/kg体重のフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩をそれを必要とする患者に吸入を介して投与することを含む。ある場合には、抗不整脈医薬は、2回以上の吸入にわたって送達される。ある場合には、2回以上の吸入の間の時間は、約0.1~10分である。
【0056】
[0063] 別の側面において、医薬的有効量の抗不整脈医薬を含む噴霧用薬物製品が、本明細書において開示され、ここで、吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxは、約0.1分~約30分であり;吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxは、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;または吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastは、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、またはAUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIII、またはクラスIVの抗不整脈薬である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。ある場合には、噴霧用薬物製品は、20mg~100mgのフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0057】
[0064] 別の側面において、医薬的有効量の抗不整脈医薬品を含む心臓の状態の処置のための配合物を製造する方法が、本明細書において開示され、ここで、それを必要とする患者による配合物の噴霧および吸入後の抗不整脈医薬品の医薬的有効量のTmaxは、約0.1分~約30分であり;それを必要とする患者による配合物の噴霧および吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxは、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;またはそれを必要とする患者による配合物の噴霧および吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastは、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、またはAUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、AUCLastは、約200hr*ng/
mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV抗不整脈薬である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。ある場合には、抗不整脈医薬は、2回以上の吸入にわたって送達される。ある場合には、2回以上の吸入の間の時間は、約0.1~10分間である。
【0058】
[0065] 別の側面において、心臓の状態の処置における使用のための医薬的有効量の抗不整脈医薬を含む噴霧用薬物製品が、本明細書において開示され、ここで、吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxは、約0.1分~約30分であり;吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxは、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;または吸入後の抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastは、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、またはAUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLである。ある場合には、Tmaxは、約0.1分~約5分であり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、Cmaxは、約50ng/mL~約500ng/mLであり、AUCLastは、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある場合には、抗不整脈医薬は、クラスIc抗不整脈薬を含む。ある場合には、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。ある場合には、噴霧用薬物製品は、20mg~100mgのフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む。
【0059】
参照による援用
[0066] 本明細書において言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許または特許出願が参照により援用されると具体的かつ個々に示されたかのように、参照により本明細書に援用される。
【0060】
[0067] 本発明は、以下の本発明の記載において、特筆された複数の非限定的な図面を参照してさらに記載され、ここで:
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】[0068]
図1は、どのように先行技術の静脈注射薬物が冠動脈、従って冠循環に到達する前に心臓および肺を通過するかを示す。
【
図2A】[0069]
図2Aは、吸入された本発明の薬物がどのように肺から左心房、左心室へと直接通過し、次いで冠動脈中に入るかを示す。
【
図2B】[0070]
図2Bは、吸入された本発明の薬物がどのように肺静脈を通過して左心房に至るかを示す。
【
図3】[0071]
図3は、高いLog-P値を有する分子および高い脂溶性を有する分子が肺を通る際により速い吸収を示す可能性が高いことを示す。
【
図4】[0072]
図4は、静脈内送達および肺送達を比較するための6区画PK-PDモデルを示す。
【
図5】[0073]
図5は、ベラパミルの静脈内送達および肺送達を比較するシミュレーションの結果を示す。
【
図6】[0074]
図6は、リドカインの静脈内送達および肺送達を比較するシミュレーションの結果を示す。
【
図7】[0075]
図7は、代表的な試験概要を示す:フレカイニド(FLE、n=2)、ジルチアゼム(DIL、n=2)およびドフェチリド(DOF、n=2)の誘発された心房細動に対する作用。NSR:正常洞調律。
【
図8】[0076]
図8は、代表的な試験概要を示す:気管内(IT)エスモロールHCL(ESM、n<=2)またはアデノシン(ADN、n<=2)の誘発された上室性頻脈(SVT)に対する用量応答。NSR:正常洞調律。IV:静脈内。
【
図9】[0077]
図9は、ビヒクルまたは試験物品のいずれかの投与前のAfib中のイヌを示すECGトレースを示す。
【
図10】[0078]
図10は、ビヒクル(水、3ml)の肺投与後にイヌがAfib中であり続けることを示すECGトレースを示す。
【
図11】[0079]
図11は、イヌが4mg/kg体重の酢酸フレカイニドを気管内点滴注入によって投与された場合のAfibの正常洞調律への転換を示すECGトレースを示す。
【
図12】[0080]
図12は、投与が2mg/kg体重の酢酸フレカイニドで行われてすぐのAfib転換を示すECGトレースを示す。
【
図13】[0081]
図13は、0.25mg/kg体重でのジルチアゼムHClの投与後のAfib転換を示すECGトレースを示す。
【
図14】[0082]
図14は、上室性頻脈モデルからの結果を示しており、ここで、肺ジルチアゼム0.25mg/kgの肺投与後の時間においてPR間隔および平均動脈血圧(MAP)が変化している。
【
図15】[0083]
図15は、上室性頻脈モデルからの結果を示しており、ここで、肺ジルチアゼム0.25mg/kgの静脈内投与後の時間においてPR間隔および平均動脈血圧(MAP)が変化している。
【
図16】[0084]
図16は、肺を介して(IT)投与された0.5mg/kg体重のエスモロールHClの時間経過にわたるPR間隔への作用を示す上室性頻脈モデルからの結果を示す。
【
図17】[0085]
図17は、肺を介して投与されたエスモロール0.5mg/kgによって誘発されたAVブロックの期間を示す上室性頻脈モデルからの結果を示す。
【
図18】[0086]
図18は、肺を介して投与されたエスモロール0.5mg/kgによって誘発されたAVブロックの期間を示す上室性頻脈モデルからの結果を示す。
【
図19】[0087]
図19は、肺を介して(IT)投与された0.5mg/kg体重のエスモロールHClの時間経過にわたるPR間隔への作用を示す上室性頻脈モデルからの結果を示す。
【
図20】[0088]
図20は、肺を介して投与されたエスモロール0.75mg/kgによって誘発されたAVブロックの期間を示す上室性頻脈モデルからの結果を示す。
【
図21】[0089]
図21は、第1相臨床試験に関する設計を示す。
【
図22】[0090]
図22は、コホート1の対象における20mg eTLD(推定総肺用量)の酢酸フレカイニド溶液およびプラセボの経口吸入後のベースライン(投与前)と比較した心拍数における変化(ΔHR)の時間経過を示す。値は、平均±平均の標準誤差(SEM)である。
【
図23】[0091]
図23は、コホート2の対象における40mgのeTLDの酢酸フレカイニドおよびプラセボ溶液の吸入後の、投与前の値と比較した心拍数における変化(ΔHR)を示す。
【
図24】[0092]
図24は、酢酸フレカイニド溶液の経口吸入(IH)(30mg eTLD)および酢酸フレカイニド溶液のIVによる投与(2mg/kg)後のコホート5における対象の心拍数(bpm)を示す。値は、平均±標準偏差(SD)である。
【
図25A】[0093]
図25Aは、20mg eTLDの酢酸フレカイニドおよびプラセボ溶液の吸入後において、コホート1の対象から得た収縮期血圧(BP)における変化を示す。
【
図25B】[0094]
図25Bは、20mg eTLDの酢酸フレカイニドおよびプラセボ溶液の吸入後において、コホート1の対象から得た拡張期BPにおける変化を示す。
【
図26A】[0095]
図26Aは、40mg eTLDの酢酸フレカイニドおよびプラセボ溶液の吸入後において、コホート2の対象から得た収縮期BPにおける変化を示す。
【
図26B】[0096]
図26Bは、40mg eTLDの酢酸フレカイニドおよびプラセボ溶液の吸入後において、コホート2の対象から得た拡張期BPにおける変化を示す。
【
図27A】[0097]
図27Aは、吸入(IH)フレカイニド(30mg eTLD)およびIVフレカイニド(2mg/kg)の単回用量投与後において、コホート5の対象から得た収縮期BPにおける変化を示す。値は、平均±SDである。
【
図27B】[0098]
図27Bは、吸入(IH)フレカイニド(30mg eTLD)およびIVフレカイニド(2mg/kg)の単回用量投与後において、コホート5の対象から得た拡張期BPにおける変化を示す。値は、平均±SDである。
【
図28】[0099]
図28は、20mg eTLD、30mg eTLDおよび40mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液の吸入後の平均静脈血漿中濃度-時間曲線を示す。
【
図29A】[0100]
図29Aは、IV(2mg/kg)による酢酸フレカイニド溶液の投与後の平均静脈血漿中濃度-時間曲線を示す。データの点は、平均±SDを表す。
【
図29B】[0101]
図29Bは、吸入(IH;30mg eTLD)またはIV(2mg/kg)による酢酸フレカイニド溶液の投与後の平均静脈血漿中濃度-時間曲線を示す。データの点は、平均±SDを表す。
【
図30】[0102]
図30は、20mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液および酢酸緩衝液(プラセボ)の経口吸入後においてベースライン(投与前)と比較したPR間隔持続時間における変化(ΔPR)の時間経過を示す。値は、平均±SEM;n=6(フレカイニド)、n=2(プラセボ)である。
【
図31】[0103]
図31は、20mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液およびプラセボの経口吸入後においてベースライン(投与前)と比較したQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)の時間経過を示す。値は、平均±SEM;n=6(フレカイニド)、n=2(プラセボ)である。
【
図32】[0104]
図32は、40mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液およびプラセボの経口吸入後においてベースライン(投与前)と比較したQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)の時間経過を示す。値は、平均±SEM;n=10(フレカイニド)、n=4(プラセボ)である。
【
図33A】[0105]
図33Aは、40mg eTLDのフレカイニドの吸入の完了前(投与前)および後(投与後)の様々な時点で記録されたP-、QRS-およびT-波複合体を描写する、リードV5からの選択されたデジタル化心電図(ECG)トレーシングを示す。各パネルには、ミリ秒でのQRS間隔持続時間(QRSd、ms)およびマイクロボルトでのR波振幅(QRSa、μV)の値が示されている。
【
図33B】[0106]
図33Bは、それぞれの時点においてECGから測定され、
図13A中の同じ対象から得られたQRS間隔持続時間における変化の時間経過を要約した棒グラフを示す。
*p<0.05。
【
図33C】[0107]
図33Cは、それぞれの時点においてECGから測定され、
図13A中の同じ対象から得られたR波振幅における変化の時間経過を要約した棒グラフを示す。
*p<0.05。
【
図34】[0108]
図34は、A)IVによる酢酸フレカイニド溶液の投与(2mg/kg;
*10分間の注入、脳室内伝導遅延は5~10分間持続した)およびB)30mgのeTLDの酢酸フレカイニド溶液の経口吸入(
**4分の吸入)後において、コホート5(IV吸入クロスオーバー)の対象について、ベースライン(投与前)と比較したQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)を示す。
【
図35】[0109]
図35は、20mgのeTLDの酢酸フレカイニド溶液およびプラセボの経口吸入後においてベースライン(投与前)と比較したQTcF間隔持続時間における変化(ΔQTcF)の時間経過を示す。値は、平均±SEM;n=6(フレカイニド)、n=2(プラセボ)である。
【
図36】[0110]
図36は、IVによりフレカイニド(2mg/kg)を投与された対象から記録されたECGトレーシングを示す。電位図上の小さな矢印は、T波を示す。
【
図37】[0111]
図37は、最近発症したAFを有する患者における心房細動(AF)の心臓除細動の時点でIVまたは経口投与されたフレカイニドの静脈血漿中濃度(左パネル)、健康なボランティアによる40mgのeTLDの酢酸フレカイニド溶液の経口吸入後のフレカイニドの静脈血漿中濃度(中央パネル)および0.75mg/kgのフレカイニドの気管内(IT)点滴注入後のイヌにおけるAFのNSRへの転換の時点におけるフレカイニドの静脈血漿中濃度(右パネル)を示す。LV=左心室;
*心臓除細動の時点におけるイヌにおける動物試験から外挿された血漿中濃度の平均±SD(×1.96倍)。
【
図38】[0112]
図38は、最近発症したAFを有する患者におけるAFの心臓除細動の時点におけるフレカイニドまたはベルナカラントの投与と関係する、および健康なボランティアによる30mgのeTLDの酢酸フレカイニド溶液の経口吸入後における、比較ΔQRS間隔延長(ミリ秒)を示す。
【
図39】[0113]
図39~67は、ブタにおいて得られたデータに関する。
図39は、2分間にわたる2.0mg/kgの静脈内投与後の異なる時点におけるフレカイニド静脈および左室腔(LV)血漿中レベルを示す。
【
図40】[0114]
図40は、0.75mg/kgの気管内点滴注入後の異なる時点におけるフレカイニド静脈およびLV血漿中レベルを示す。
【
図41】[0115]
図41は、1.5mg/kgの気管内点滴注入後の異なる時点におけるフレカイニド静脈およびLV血漿中レベルを示す。
【
図42】[0116]
図42は、異なる時点における心拍数(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するフレカイニド(2.0mg/kg)の静脈内投与の作用を示す。
【
図43】[0117]
図43は、異なる時点における平均動脈血圧(MAP;一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するフレカイニド(2.0mg/kg)の静脈内投与の作用を示す。
【
図44】[0118]
図44は、異なる時点におけるPR間隔持続時間(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するフレカイニド(2.0mg/kg)の静脈内投与の作用を示す。
【
図45】[0119]
図45は、異なる時点におけるQRS間隔持続時間(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するフレカイニド(2.0mg/kg)の静脈内投与の作用を示す。
【
図46】[0120]
図46は、異なる時点におけるQTc間隔持続時間(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するフレカイニド(2.0mg/kg)の静脈内投与の作用を示す。
【
図47】[0121]
図47は、異なる時点におけるJTc間隔持続時間(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するフレカイニド(2.0mg/kg)の静脈内投与の作用を示す。
【
図48】[0122]
図48は、異なる時点における心拍数(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図49】[0123]
図49は、異なる時点におけるMAP(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図50】[0124]
図50は、異なる時点におけるPR間隔(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図51】[0125]
図51は、異なる時点におけるQRS間隔持続時間(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図52】[0126]
図52は、異なる時点におけるQTc間隔(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図53】[0127]
図53は、異なる時点におけるJTc間隔(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図54】[0128]
図54は、異なる時点における心拍数(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図55】[0129]
図55は、異なる時点におけるMAP(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図56】[0130]
図56は、異なる時点におけるPR間隔(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図57】[0131]
図57は、異なる時点におけるQRS間隔持続時間(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図58】[0132]
図58は、異なる時点におけるQTc間隔(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図59】[0133]
図59は、異なる時点におけるJTc間隔(一次縦軸)およびLV血漿中レベル(二次縦軸)に対するより高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を示す。
【
図60】[0134]
図60は、ITフレカイニドによる試験転換に対する心房細動(AF)の導入のプロトコルおよび代表的な例を示す。
【
図61】[0135]
図61は、AF持続時間(n=3)に対するフレカイニド(1.5mg/kg)の気管内点滴注入の作用を評価する実験からのデータの要約を示す。
【
図62A】[0136]
図62Aは、フレカイニドの静脈血漿中レベルに対する、IV投与されたフレカイニドのゆっくりした注入対急速な注入の作用を示す。
【
図62B】[0137]
図62Bは、QRS間隔持続時間に対する、IV投与されたフレカイニドのゆっくりした注入対急速な注入の作用を示す。
【
図62C】[0138]
図62Cは、ゆっくりと注入されたIV投与されたフレカイニド対急速に注入されたIV投与されたフレカイニドの静脈血漿中レベルおよびQRS拡大の間の相関を示す。
【
図63】[0139]
図63は、麻酔したヨークシャーブタにおけるカテーテル留置を示す。
【
図64】[0140]
図64は、AF持続時間がITフレカイニド用量と相関していたことを示す。
【
図65】[0141]
図65は、ITフレカイニド(1.5mg/kg)後5分の時点におけるAF転換(下のパネル)を薬物なし後10分までの無転換(上のパネル)と比較して示す代表的な電位図を示す。
【
図66A】[0142]
図66Aは、フレカイニドの血漿中濃度がITフレカイニド(0.75mg/kgおよび1.5mg/kg)後10分以内にAFのNSRへの転換に必要とされるレベルに達したことを示す。
【
図66B】[0143]
図66Bは、フレカイニド(0.75mg/kgおよび1.5mg/kg)のIT点滴注入後のAFのNSRへの転換の時点におけるフレカイニドの血漿中濃度を示す。
【
図67】[0144]
図67は、ITフレカイニド(0.75mg/kgおよび1.5mg/kg)によるAFの優位周波数における低減を示す。
【
図68A】[0145]
図68A~71は、イヌで得られたデータに関する。
図68Aは、投薬前のAFを示す代表的なECGを示す。
【
図68B】[0146]
図68Bは、ビヒクルのIT点滴注入後のAFの持続性を示す代表的なECGを示す。
【
図68D】[0148]
図68Dは、ITフレカイニド(0.75mg/kg)後のAFのNSRへの転換を示す代表的なECGを示す。
【
図69】[0149]
図69は、フレカイニドのIVまたはITによる投与後のAFからNSRへの転換の際の血圧、心拍数およびLV dP/dT
max(LV圧の最大上昇率)における変化の概要を示す。
【
図70】[0150]
図70は、フレカイニドの送達経路(ITおよびIV)に基づく、左室腔(LV)、肺動脈(PA)および大腿静脈(VEN)におけるフレカイニドの血漿中濃度の変動を示す。IV注入後、PA中のフレカイニドの濃度は、LV中の濃度よりも一時的に高かった(2.1~3.5倍)
*ことを特筆する。フレカイニドのIT点滴注入後、その濃度は、PA中よりもLV腔中で一時的に高かった(1.4~3.2倍)
*(
*フレカイニドの投与後1~3分)。
【
図71】[0151]
図71は、IVまたはIT投与後の肺動脈(PA)および左室腔(LV)におけるフレカイニドの血漿中濃度の比の時間経過を示す。
【
図72】[0152]
図72~87Bは、ヒト対象において得られたデータに関する。
図72は、異なる時点における心拍数(HR)に対する姿勢変更およびフレカイニドまたはプラセボ(n=3)の吸入の作用を示す。
【
図73】[0153]
図73は、異なる時点における6人の対象における収縮期血圧および心拍数に対する静脈内送達された(IV)フレカイニドの作用を示す。
【
図74】[0154]
図74は、異なる時点における6人の対象における収縮期血圧および心拍数に対する吸入されたフレカイニドの作用を示す。
【
図75A】[0155]
図75Aは、6人の対象におけるフレカイニド静脈内送達後の収縮期および拡張期血圧を示す。
【
図75B】[0156]
図75Bは、6人の対象におけるフレカイニド吸入(IH)投与後の収縮期および拡張期血圧を示す。
【
図76】[0157]
図76Aおよび76Bは、それぞれ20、40および60mg eTLDフレカイニドの経口吸入後のプロトコル適合集団および事後集団の静脈血漿中濃度-時間曲線を示す。
【
図77】[0158]
図77Aおよび77Bは、それぞれ、フレカイニドの静脈内注入および吸入後の静脈血漿中濃度-時間曲線を示す。
【
図78】[0159]
図78は、フレカイニドIV注入(30mg eTLD用量に標準化)および経口吸入後の静脈血漿中濃度-時間曲線を示す。
【
図79】[0160]
図79は、フレカイニドまたはプラセボによるQRS間隔持続時間における変化の時間経過を示す。
【
図80A】[0161]
図80Aおよび80Bは、それぞれIV注入および経口吸入によるフレカイニド後のQRS間隔持続時間における変化の時間経過を示す。
【
図80B】
図80Aおよび80Bは、それぞれIV注入および経口吸入によるフレカイニド後のQRS間隔持続時間における変化の時間経過を示す。
【
図81】[0162]
図81は、フレカイニドまたはプラセボによるPR間隔持続時間における変化の時間経過を示す。
【
図82】[0163]
図82Aおよび82Bは、それぞれフレカイニドIV注入および経口吸入後のPR間隔における変化の時間経過を示す。
【
図83】[0164]
図83は、フレカイニド(C
max)のピーク静脈血漿中濃度および最大QRS延長の大きさの間の関連を示す。
【
図84】[0165]
図84Aおよび84Bは、それぞれ、フレカイニドIV注入および経口吸入によるフレカイニドの血漿中濃度およびQRS持続時間における変化の時間経過を示す。
【
図85】[0166]
図85は、それぞれ、フレカイニドIV注入および経口吸入後のフレカイニドの血漿中濃度およびQRS持続時間の間の非定常状態関係を示す。
【
図86】[0167]
図86は、ほぼ等しいΔQRS値を有する対象におけるフレカイニドIV注入および経口吸入後のフレカイニドの血漿中濃度およびQRS持続時間の間の非定常状態関係を示す。
【
図87A】[0168]
図87Aは、パートB試験における6人の対象の期間1および2における心拍数、収縮期血圧(BP)および拡張期BPのベースライン(投与前)値を示す。
【
図87B】[0169]
図87Bは、パートB試験における6人の対象の期間1および2におけるQRS複合体およびPR間隔のベースライン(投与前)値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
[0170] 別途示されない限り、本発明は、特定の配合構成要素、薬物送達システム、製造技術、投与工程等に限定されず、従って変動し得ることは、理解されるべきである。この点において、別途記載されない限り、化合物または構成要素への言及は、化合物または構成要素自体ならびに他の化合物または構成要素との組み合わせでの化合物または構成要素、例えば化合物の混合物を含む。
【0063】
[0171] さらなる論考の前に、以下の用語の定義が、本発明の理解を助けるであろう。
[0172] 本明細書で用いられる際、単数形“a”、“an”および“the”は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。従って、例えば“抗不整脈医薬”への言及は、単独の有効薬剤だけでなく、2種類以上の異なった有効薬剤の組合せまたは混合物も含む。
【0064】
[0173] 本明細書における“一態様”、“1つのバージョン”、または“一側面”への言及は、そうではないことが文脈から明確でない限り、1以上のそのような態様、バージョンまたは側面を含むものとする。
【0065】
[0174] 本明細書で用いられる際、用語“溶媒和物”は、薬学的に許容可能な溶媒和物を含むことが意図されているが、それに限定されない。
[0175] 本明細書で用いられる際、用語“薬学的に許容可能な溶媒和物”は、抗不整脈医薬の生物学的活性および/または特性の1以上を保持し、生物学的にも他の点でも望ましくない点がない溶媒和物を意味することが意図されている。薬学的に許容可能な溶媒和物の例は、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、エタノールアミンまたはそれらの組み合わせとの組み合わせでの抗不整脈医薬を含むが、それらに限定されない。
【0066】
[0176] 本明細で用いられる際、用語“塩”は、薬学的に許容可能な塩類を含むことが意図されているが、それに限定されない。
[0177] 本明細で用いられる際、用語“薬学的に許容可能な塩”は、遊離の酸および塩基の生物学的活性および特性の1以上を保持し、生物学的にも他の点でも望ましくない点がない塩類を意味することが意図されている。薬学的に許容可能な塩類の説明的な例は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオール酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩
、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩(phenyipropionates)、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩およびマンデル酸塩を含むが、それらに限定されない。
【0067】
[0178] 抗不整脈医薬が塩基である場合、所望の塩は、遊離塩基の無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等による、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(pyranosidyl acid)、例えばグルクロン酸およびガラクツロン酸、アルファ-ヒドロキシ酸、例えばクエン酸および酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸およびケイ皮酸、スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸およびエタンスルホン酸等による処理を含む当該技術で既知のあらゆる適切な方法によって調製されることができる。
【0068】
[0179] 抗不整脈医薬が酸である場合、所望の塩は、遊離酸の無機または有機塩基、例えばアミン(第一級、第二級または第三級)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属水酸化物等による処理を含む当該技術で既知のあらゆる適切な方法によって調製されることができる。適切な塩類の説明的な例は、アミノ酸、例えばグリシンおよびアルギニン、アンモニア、第一級、第二級および第三級アミンならびに環状アミン、例えばピペリジン、モルホリンおよびピペラジン由来の有機塩類、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウム由来の無機塩類を含む。
【0069】
[0180] 参照数値に関する用語“約”は、その値からプラスまたはマイナス10%の範囲の値を含むことができる。例えば、量“約10”は、9~11の量を含み、9、10および11の参照数を含む。参照数値に関する用語“約”は、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の範囲の値も含み得る。
【0070】
[0181] 本明細書で用いられる際、“心房性不整脈”は、少なくとも1つの心房を冒し、徐脈を含まない不整脈を意味することができる。例えば、心房性不整脈は少なくとも1つの心房において発生し、それを冒し得る。
【0071】
[0182] 本明細書で用いられる際、“頻脈”は、心拍が速すぎる、例えば正常より速い不整脈を意味することができる。例えば、頻脈は、毎分100拍を超える、例えば毎分110拍を超える、120拍を超える、または130拍を超える安静時心拍数を伴い得る。
【0072】
[0183] 本明細書で用いられる際、“心臓リズム不整脈”という語句は、心拍が不規則である不整脈を意味することができる。
[0184] 本明細で用いられる際、“心臓の冠循環中の血液中の少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量”は、カニューレを使用することにより心臓の冠循環のあらゆる血管領域(例えば動脈、冠静脈洞を含む静脈)から試料を取り出すことによって測定され得る。次いで、試料中の抗不整脈医薬の量は、LC-MS/MSのような分析装置を利用する生物分析技法のような既知の手段によって決定され得る。従って、心臓中の血液中の抗不整脈医薬の量は、あらゆる特定の時間に関して測定され得る。
【0073】
[0185] 本明細書で用いられる際、用語“処置すること”および“処置”は、症状の重症度および/もしくは頻度における低減、症状および/もしくは基礎となる原因の排除、症状および/もしくは基礎となる原因の発生の可能性における低減、ならびに/または損
傷の治療を指すことができる。従って、本明細書で提供される有効薬剤で患者を“処置すること”は、感受性(susceptible)個体における特定の病気、疾患または障害の予防ならびに臨床的に症候性の個体の処置を含む。
【0074】
[0186] 本明細書で用いられる際、“公称量”は、投与される単位用量容器(単数または複数)内に収容される量を指すことができる。
[0187] 本明細で用いられる際、“有効量”は、療法上有効量および予防的有効量の両方をカバーする量を指すことができる。
【0075】
[0188] 本明細で用いられる際、有効物質の“療法上有効量”は、所望の療法的結果を達成するために有効である量を指す。所与の有効薬剤の療法上有効量は、典型的には処置される障害または疾患のタイプおよび重症度ならびに患者の年齢、性別および体重のような要因に関して変動するであろう。ある場合には、“吸入”(例えば“経口吸入”)は、1つの単位用量容器中に収容される療法上有効量の医薬の吸入送達を指すことができ、それは、ある場合には、1回以上の呼吸、例えば1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、またはより多くの呼吸を必要とすることができる。例えば、有効量が90mgであり、それぞれの単位用量容器が30mgを収容する場合、有効量の送達は、3回の吸入を必要とし得る。
【0076】
[0189] 別途明記されない限り、用語“療法上有効量”は、“予防的有効量”、例えば感受性個体における特定の病気、疾患または障害の発症または再発を予防するのに有効である有効薬剤の量を含み得る。
【0077】
[0190] 本明細で用いられる際、語句“最小有効量”は、有効量を達成するのに必要な医薬の最小限の量を意味することができる。
[0191] 本明細で用いられる際、“質量中央径”または“MMD”は、典型的には例えばある範囲の粒径からなる多分散粒子集団における複数の粒子の直径の中央値を指すことができる。本明細書で報告されるMMD値は、文脈が別途示さない限り、レーザー回折(Sympatec Helos、クラウスタール-ツェラーフェルト、ドイツ)によって決定される。例えば、粉末に関して、試料は、Sympatec RODOS乾燥粉末分散ユニットのフィーダー漏斗に直接添加される。これは、手作業で、またはVIBRI振動フィーダー要素の末端から機械的に撹拌することによって達成されることができる。試料は、加圧空気(2~3バール)の適用により一次粒子へと分散させられ、真空下降(vacuum depression)(吸引)は、所与の分散圧力に関して最大化される。分散した粒子は、分散した粒子の軌道と直角に交差する632.8nmのレーザービームで調べられる。粒子の集団から散乱されたレーザ光は、逆フーリエレンズアセンブリを用いて光電子増倍管検出器素子の同心アレイ上に画像化される。散乱光は、5msのタイムスライスで取得される。粒径分布は、専売のアルゴリズムを使用して散乱光の空間/強度分布から逆算される。
【0078】
[0192] 本明細書で用いられる際、“幾何学的直径”は、文脈が別途示さない限り、顕微鏡法によって決定される単独粒子の直径を指すことができる。
[0193] 本明細で用いられる際、“空気動力学的質量中央径”または“MMAD”は、典型的には多分散集団における複数の粒子(単数または複数)の空気力学的な大きさの中央値を指すことができる。“空気力学的直径”は、一般に空気中で粉末として同じ沈降速度を有する単位密度球体の直径であることができ、従ってエアロゾル化粉末または他の分散粒子もしくは粒子配合物をその沈降挙動の点で特徴付けるための有用な方法である。空気力学的直径は、粒子または粒子の形状、密度および粒子または粒子の物理的な大きさを包含する。本明細書で用いられる際、MMADは、文脈が別途示さない限り、カスケード衝突によって決定されるエアロゾル化粒子の空気力学的粒子または粒径分布の中央値を指
す。
【0079】
[0194] 本明細書で用いられる際、用語“放出用量”または“ED”は、単位用量容器またはリザーバーからの作動または分散事象後のエアロゾル化デバイスからの粒子の送達の指標を指すことができる。EDは、公称用量(例えば発射前に適切な吸入器デバイス中に入れられる単位用量当たりの粉末または液体の質量)に対する吸入器デバイスによって送達される用量の比として定義される。EDは、実験的に決定された量であり、患者の投薬を模倣するインビトロシステムを使用して決定され得る。例えば、乾燥粉末に関するED値を決定するために、乾燥粉末の公称用量が米国特許第4,069,819号および第4,995,385号(それは、参照により本明細書にそのまま援用される)において記載されているTurbospin(登録商標)DPIデバイス(PH&T、イタリア)中に入れられる。Turbospin(登録商標)DPIが起動し、粉末を分散させる。次いで、結果として生じたエアロゾル雲状物が、作動後2.5秒間真空(30L/分)によってデバイスから引き出され、その時点で、それはデバイスのマウスピースに取り付けられたタールを塗られた(tared)ガラス繊維フィルター(Gelman、直径47mm)上に捕捉される。フィルターに到達する粉末の量は、送達される用量を構成する。例えば、5mgの乾燥粉末を収容するカプセルに関して、タールを塗られたフィルター上での4mgの粉末の捕捉は、80%(=4mg(送達用量)/5mg(公称用量))のEDを示すであろう。
【0080】
[0195] 本明細書で用いられる際、“受動的乾燥粉末吸入器”は、リザーバー中または単位用量形態でデバイス内に収容される医薬組成物を分散およびエアロゾル化するために患者の吸気努力に頼る吸入デバイスを指すことができ、薬物組成物を分散およびエアロゾル化するために加圧ガスおよび振動または回転要素のようなエネルギーを提供するための手段を含む吸入器デバイスを含まない。
【0081】
[0196] 本明細で用いられる際、“能動的乾燥粉末吸入器”は、リザーバー中または単位用量形態でデバイス内に収容される医薬組成物を分散およびエアロゾル化することを患者の吸気努力のみに頼らない吸入デバイスを指すことができ、薬物組成物を分散およびエアロゾル化するためのエネルギーを提供するための手段、例えば加圧ガスおよび振動または回転要素を含む吸入器デバイスを含む。
【0082】
[0197] “薬学的に許容可能な”構成要素により、生物学的にも他の点でも望ましくない点がない構成要素が意味され、例えば、その構成要素は、重大な望ましくない生物学的作用を一切引き起こすことなく、それが含有される配合物の他の構成要素のいずれかと有害な様式で相互作用することも一切なく、本明細書で記載されるように、本発明の医薬配合物中に組み込まれて患者に投与されることができる。“薬学的に許容可能な”という用語が賦形剤を指すために使用される場合、一般に、その構成要素が毒物学的試験および製造試験の必要な基準を満たしていること、または米国食品医薬品局によって用意された不活性成分ガイドに含まれていることが、暗に意味されている。
【0083】
[0198] 本明細書で用いられる際、“P波”は、心房(右および左)の電気的脱分極によって生成される波を表すことができ、通常、持続時間が0.08~0.1秒(80~100ms)である。
【0084】
[0199] 本明細で用いられる際、“short form-36生活の質”は、Short Form 36(SF-36)患者の健康調査(2005年8月更新)を意味し得る。SF-36は、それらのセクションにおける質問の合計である8つの換算点(scaled scores)からなる。各尺度は、各質問が等しい重みを有するという仮定に基づいて、0~100の尺度に直接変換される。8つのセクションは、(1)活力;(2
)身体機能;(3)身体痛;(4)一般的健康状態の認識;(5)身体的役割機能;(6)感情的役割機能;(7)社会的役割機能;および(8)精神的健康である。また、それは、AF症状(sympotoms)に関するいずれかの生活の質質問表を参照することもできる。
【0085】
[0200] 本明細で用いられる際、“保存剤”は、クレゾール類およびベンゾエート類を意味し得る。従って、“実質的に保存剤を含まない”は、組成物が実質的な量のクレゾール類および/またはベンゾエート類を一切含まないことを意味し得る。例えば“実質的に保存剤を含まない”組成物は、1重量%未満、例えば0.5重量%未満、0.4重量%未満、0.3重量%未満、0.2重量%未満または0.1重量%未満の保存剤を含むことができる。当然、“保存剤を含まない”は、保存剤が存在しないことを意味し得る。
【0086】
[0201] 本明細で用いられる際、“実質的に無味”は、最初の摂取の際に実質的にほとんど~全く味を有しない組成物を意味し得る。
[0202] 概要として、本発明は、心房性不整脈を処置する方法に関する。本方法は、少なくとも1種類の抗不整脈医薬が最初に肺静脈を通って心臓に入り左心房に至るように、それを必要とする患者に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を投与することを含むことができる。
【0087】
[0203] 一側面において、心房性不整脈を処置する方法は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、ここで、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与から10秒~30分の範囲の時点で心臓の冠循環においてピークに達する。
【0088】
[0204] さらに別の側面において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および処置する方法に向けられている。その方法は、息切れ、心臓の動悸および正常な心拍数を超えることの少なくとも1つを検出することにより心房性不整脈を自己診断することを含む。その方法は、自己診断の2時間、1時間、30分または15分以内に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入によって自己投与することも含む。ある場合には、その方法は、自己診断の15分以内に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入によって自己投与することを含む。
【0089】
[0205] 別の側面において、心房性不整脈を処置する方法は、それを必要とする患者に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入によって投与することを含み、ここで、電気生理学的作用が、心電図検査により投与から10秒~30分の範囲の時点で観察される。
【0090】
[0206] さらに別の側面において、心房性不整脈を処置する方法は、有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬をそれを必要とする患者に吸入によって投与することを含み、ここで、不整脈検出アルゴリズムを実施するモニターからの心臓スコアは、投与から10秒~30分の範囲の時点において患者における不整脈状態から正常洞調律への移行を示す。
【0091】
[0207] さらに別の側面において、心房性不整脈を処置する方法は、それを必要とする患者に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入によって投与することを含み、ここで、患者のshort form-36生活の質スコアは、投与から10秒~30分の範囲の時点で向上する。
【0092】
[0208] 別の側面において、単位用量は、単位用量容器および単位用量容器内の組成物を含む。組成物は、冠循環中での最小有効量を達成するための腕において静脈内投与される同じ少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量以下の量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬
および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0093】
[0209] さらに別の側面において、エアロゾルは、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する粒子を含む。粒子は、冠循環中での最小有効量を達成するための腕において静脈内投与される同じ少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量以下の量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬および薬学的に許容可能な賦形剤を含む。
【0094】
[0210] さらに別の側面において、キットは、少なくとも1種類の抗不整脈医薬およびエアロゾル化デバイスを収容している容器を含む。
[0211] 特定の態様において、本発明は、発作性心室性頻脈(PSVT)および発作性心房細動(PAF)のような心房性不整脈を有する患者において迅速な心臓除細動を提供するための“薬理救済療法”を含む。薬理救済療法は、通常は吸入による医薬品の自己投与に関して意図されている。
【0095】
[0212] 吸入は、
図2Aおよび2Bにおいて示されているように、心臓内注射に次いで2番目に短い、薬物が心臓に到達するための経路である。吸入によって送達される薬物は、一般に一過性の高薬物濃度の“拍動性薬物動態”を示し、続いて療法的レベル未満に希釈される。
【0096】
[0213] 従って、ある態様において、本発明は、経口医薬品と比較して迅速な作用開始を有する迅速作用性吸入製品を含む。その製品は、少なくとも静脈内医薬品と同程度の速さであることが予想される。ある態様において、少なくとも1種類の抗不整脈医薬の量は、投与から10秒~30分、例えば30秒~20分、1分~10分、2分~8分、または2.5分~5分の範囲の時点で心臓の冠循環においてピークに達する。特定の態様において、電気生理学的作用が、心電図検査によって、投与から10秒~30分、例えば30秒~20分、1分~10分、2分~8分、または2.5分~5分の範囲の時点で観察される。ある態様において、不整脈検出アルゴリズムを有するデバイスからの心臓スコアは、投与から10秒~30分、例えば30秒~20分、1分~10分、2分~8分、または2.5分~5分の範囲の時点で患者における不整脈状態から正常洞調律への移行を示す。ある態様において、患者のshort form-36生活の質スコアは、投与から10秒~30分、例えば30秒~20分、1分~10分、2分~8分、または2.5分~5分の範囲の時点で向上する。特定の態様において、患者は、投与を開始して30分以内、例えば10分以内に正常な洞調律を有する。
【0097】
[0214] ある側面において、本発明は、安全かつ有効である低い用量を含む。他の側面は、典型的には低い成熟前(premature)代謝および低い薬物-薬物相互作用を含む。
【0098】
[0215] 本発明は、心臓への非観血的薬物送達を含む。肺は、薬物に関する最小限の希釈を伴なう心臓内注射の次に短い心臓への経路である。肺を介して送達される薬物は、経口経路を介して送達される薬物と比較して速い作用の開始(onset action)を有する。Pipeline Insights: Antiarrhythmics, Datamonitor (06/2006)。心臓への肺
薬物送達は、少なくとも携帯型静脈内注射と均等である。吸入された薬物(例えばベラパミル、ジルチアゼム、リドカイン、イブチリド、プロカインアミドおよびプロパフェノン)は、一過性の高薬物濃度の“拍動性薬物動態”を示し、続いて処置レベル未満に希釈されることが予想される。
【0099】
[0216] 既存の心血管系薬物は、高い脂質溶解度を有する小分子である傾向がある。これらの脂溶性分子(例えばジルチアゼム、ベラパミル、イブチリド、プロパフェノン)は、高い肺生物学的利用能および速い肺吸収速度を有することが予想される。これは、それ
らが肺静脈を通って心臓に到達することを確実にする。
【0100】
[0217] 薬物の拍動性の薬物動態学的挙動は、薬物が心臓において有効濃度に達して数秒以内に希釈され、血液の体積中で処置レベル未満まで希釈されることを示す。この特徴は、定常状態で通常見られる有意な毒物学的応答を生じる薬物-薬物相互作用を最小限にするであろう。
【0101】
[0218] 従って、特定の態様において、本発明は、発作性心房性不整脈のようなエピソード性不整脈の処置を可能にする、短期間内に心臓における拍数およびリズムの変化に影響を及ぼす、心臓における一過性の高薬物濃度を達成することに関する。
【0102】
[0219] 本発明の結果は、驚くべきことであり、予想外である。この点に関して、抗不整脈医薬は、肺を迅速に通過する。例えば、ベラパミルおよびジルチアゼムは、塩の形態である場合、イオン化し、その結果、塩基は、肺を迅速に通過するであろう。ある側面において、本発明の方法は、作用の迅速な開始、高い薬物生物学的利用能および肺を通る迅速な吸収を利用する。ほとんどの心血管系薬物は、高い脂溶性を有する小分子であり、従って高い肺生物学的利用能および速い吸収速度を有することが予想される。
図3は、予想される高い肺生物学的利用能と共に、典型的な心血管分子のlog-p値および脂質溶解度を示す。
【0103】
[0220] 本発明の結果が驚くべき予期せぬものである別の理由は、抗不整脈医薬が心臓を通過する速度を含む。当業者は速度が速すぎると予想するかもしれないが、モデリングは、薬物の心臓の通過が速すぎることはないであろうことを示している。従って、療法的作用は、迅速な通過にもかかわらず、そして療法的レベルでの1回のみの通過にもかかわらず、達成される。
【0104】
[0221] 上記を考慮して、本発明の1以上の態様において、組成物は、抗不整脈医薬を含む。抗不整脈医薬の例は、クラスIa(ナトリウムチャネル遮断薬、中程度の会合/解
離)、クラスIb(ナトリウムチャネル遮断薬、速い会合/解離)、クラスIc(ナトリウムチャネル遮断薬、遅い会合/解離)、クラスII(β遮断薬)、クラスIII(カリウ
ムチャネル遮断薬)、クラスIV(カルシウムチャネル遮断薬)およびクラスV(未知の
機序)抗不整脈薬を含むが、それらに限定されない。
【0105】
[0222] クラスIa抗不整脈薬は、キニジン、プロカインアミドおよびジソピラミド、ならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。クラスIb抗不整脈薬は、リドカイン、トカイニド、フェニトイン、モリシジンおよびメキシレチンならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。クラスIc抗不整脈薬は、フレカイニド、プロパフェノンおよびモリシジンならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。クラスII抗不整脈薬は、プロプラノロール、アセブトロール、ゾルタロール(soltalol)、エスモロール、チモロール、メトプロロールおよびアテノロールならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。クラスIII抗不整脈薬は、アミオダロン、ソタロール、ブレチリウム、イブチリド、E-4031(メタンスルホンアミド)、ベルナカラントおよびドフェチリドならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。クラスIV抗不整脈薬は、ベプリジル、ニトレンジピン、アムロジピン、イサジピン、ニフェジピン、ニカルジピン、ベラパミルおよびジルチアゼムならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。クラスV抗不整脈薬は、ジゴキシンおよびアデノシンならびにそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むが、それらに限定されない。
【0106】
[0223] 本発明は、溶媒和物、塩類、溶媒和塩類、エステル類、アミド類、ヒドラジド類、N-アルキル類および/またはN-アミノアシル類のような上記抗不整脈医薬の誘導体を含む。抗不整脈医薬の誘導体は、薬学的に許容可能な誘導体であり得る。エステル誘導体の例は、メチルエステル類、コリンエステル類およびジメチルアミノプロピルエステル類を含むが、それらに限定されない。アミド誘導体の例は、第一級、第二級および第三級アミド類を含むが、それらに限定されない。ヒドラジド誘導体の例は、N-メチルピペラジンヒドラジド類を含むが、それに限定されない。N-アルキル誘導体の例は、抗不整脈医薬メチルエステル類のN’,N’,N’-トリメチルおよびN’,N’-ジメチルアミノプロピルスクシンイミジル誘導体を含むが、それらに限定されない。N-アミノアシル誘導体の例は、N-オルニチル-、N-ジアミノプロピオニル-、N-リジル-、N-ヘキサメチルリジル-およびN-ピペリジン-プロピオニル-(N-piperdine-propionyl-)またはN’,N’-メチル-1-ピペラジン-プロピオニル-抗不整脈医薬メチルエステル類を含むが、それらに限定されない。
【0107】
[0224] 抗不整脈医薬は、単一の立体異性体、ラセミ体および/またはエナンチオマーの混合物および/またはジアステレオマーとして存在し得る。全てのそのような単一の立体異性体、ラセミ体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内であることが意図されている。化合物のこれらの様々な形態は、当該技術で既知の方法によって単離/調製され得る。
【0108】
[0225] 本発明の抗不整脈医薬は、50%を超える、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%の所望の異性体(例えば80%のエナンチオマーまたはジアステレオマー過剰率)を含有するラセミ混合物(例えば異性体の混合物)中で調製され得る。特に好ましい態様によれば、本発明の化合物は、少なくとも95%(90%鏡像体過剰率またはジアステレオマー過剰率)、さらにもっと好ましくは少なくとも97.5%(95%鏡像体過剰率またはジアステレオマー過剰率)、最も好ましくは少なくとも99%(98%鏡像体過剰率またはジアステレオマー過剰率)の所望の異性体を含有する形態で調製される。本明細書において単一の立体異性体として同定されている化合物は、50%を超える単一の異性体を含有する形態で使用される化合物を記載することが意味されている。既知の技法を使用することにより、これらの化合物は、そのような化合物の合成調製において使用される溶媒からの精製および/または単離の方法をわずかに変化させることによって、そのような形態のいずれかで単離され得る。
【0109】
[0226] 本発明の1以上の態様に従う医薬組成物は、1種類以上の抗不整脈医薬および場合により1種類以上の他の有効成分および場合により1種類以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含むことができる。例えば、医薬組成物は、抗不整脈医薬のニート(neat)粒子(例えば抗不整脈医薬品のみを含有する粒子)を含むことができ、抗不整脈医薬のニート粒子を他の粒子と一緒に含むことができ、かつ/または抗不整脈医薬ならびに1種類以上の有効成分および/もしくは1種類以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む粒子を含むことができる。
【0110】
[0227] 従って、本発明の1以上の態様に従う医薬組成物は、所望であれば、抗不整脈医薬および1種類以上の追加の有効薬剤の組合せを含有することができる。追加の有効薬剤の例は、肺を通じて送達され得る薬剤を含むが、それに限定されない。
【0111】
[0228] 追加の有効薬剤は、例えば睡眠薬および鎮静薬、精神賦活薬、精神安定薬、呼吸器用薬物(respiratory drug)、抗痙攣薬、筋弛緩薬、抗パーキンソン病薬(ドーパミンアンタゴニスト)、鎮痛薬、抗炎症薬、抗不安薬(不安緩解薬)、食欲抑制薬、抗片頭痛薬、筋収縮薬(muscle contractants)、追加の抗感染症薬(抗ウイルス薬、抗真菌薬、ワクチン)、抗関節炎薬、抗マラリア薬、制吐薬
、抗てんかん薬(anepileptics)、サイトカイン類、成長因子、抗癌剤、抗血栓剤、血圧降下薬、心臓血管薬、抗不整脈薬、抗酸化薬、抗喘息剤、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経刺激薬、利尿薬、脂質調整剤、抗アンドロゲン剤、駆虫薬、抗凝固薬、新生物(neoplastics)、抗新生物薬、血糖降下薬、栄養剤および栄養補助剤、増殖抑制剤、抗腸炎薬、ワクチン、抗体、診断剤ならびに造影剤を含むことができる。追加の有効薬剤は、吸入によって投与された場合、局所的または全身的に作用し得る。
【0112】
[0229] 追加の有効薬剤は、小分子、ペプチド類、ポリペプチド類、タンパク質、多糖類、ステロイド類、生理学的作用を引き出すことができるタンパク質、ヌクレオチド類、オリゴヌクレオチド類、ポリヌクレオチド類、脂肪類、電解質等を含むがそれらに限定されないいくつかの構造クラスの1つに入ることができる。
【0113】
[0230] 本発明における使用に適した追加の有効薬剤の例は、カルシトニン、アンホテリシンB、エリスロポエチン(EPO)、第VIII因子、第IX因子、セレダーゼ(ceredase)、セレザイム、シクロスポリン、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)、トロンボポエチン(TPO)、アルファ-1プロテイナーゼ阻害剤、エルカトニン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GMCSF)、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(HGH)、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターフェロンアルファ、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターロイキン-1受容体、インターロイキン-2、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-6、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、第IX因子、インスリン、プロインスリン、インスリン類似体(例えば米国特許第5,922,675号において記載されているようなモノアシル化インスリン、それは、本明細書に参照によりそのまま援用される)、アミリン、C-ペプチド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似体、バソプレシン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、インスリン様成長因子(IGF)、インスリントロピン(insulintropin)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、神経成長因子(NGF)、組織成長因子、ケラチノサイト成長因子(KGF)、グリア成長因子(GGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、内皮成長因子、副甲状腺ホルモン(PTH)、グルカゴン様ペプチドチモシンアルファ1、IIb/IIa阻害剤、アルファ-1アンチトリプシン、ホスホジエステラーゼ(PDE)化合物、VLA-4阻害剤、ビスホスホネート類、呼吸器合胞体ウイルス抗体、嚢胞性線維症膜貫通調節因子(CFFR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)、殺細菌性/透過性増強タンパク質(BPI)、抗CMV抗体、13-シスレチノイン酸、オレアンドマイシン、トロレアンドマイシン、ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン、ダベルシン、アジスロマイシン、フルリスロマイシン、ジリスロマイシン、ジョサマイシン、スピロマイシン、ミデカマイシン、ロイコマイシン、ミオカマイシン、ロキタマイシン、アンダジスロマイシンおよびスウィンホリドA(swinolide A);フルオロキノロン類、例えばシプロフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、アラトロフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、エノキサシン、グレパフロキサシン、ガチフロキサシン、ロメフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、ペフロキサシン、アミフロキサシン、フレロキサシン、トスフロキサシン、プルリフロキサシン、イルロキサシン(irloxacin)、パズフロキサシン、クリナフロキサシンおよびシタフロキサシン、テイコプラニン、ラモプラニン、ミデプラニン、コリスチン、ダプトマイシン、グラミシジン、コリスティメタート、ポリミキシン類、例えばポリミキシンB、カプレオマイシン、バシトラシン、ペネム類;ペニシリナーゼ感受性薬剤、例えばペニシリンG、ペニシリンV、ペニシリナーゼ耐性薬剤、例えばメチシリン、オキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フロキサシリン、ナフシリンを含むペニシリン類;グラム陰性微生物有効薬剤、例えばアンピシリン、アモキシシリンおよびヘタシリン、シリンならびにガランピシリン(galampicillin);抗緑膿菌性ペニ
シリン類、例えばカルベニシリン、チカルシリン、アズロシリン、メズロシリンおよびピペラシリン;セファロスポリン類、例えばセフポドキシム、セフプロジル、セフチブテン(ceftbuten)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セファロチン、セファピリン、セファレキシン、セフラジン(cephradrine)、セフォキシチン、セファマンドール、セファゾリン、セファロリジン、セファクロル、セファドロキシル、セファログリシン、セフロキシム、セフォラニド、セフォタキシム、セファトリジン、セファセトリル、セフェピム、セフィキシム、セフォニシド、セフォペラゾン、セフォテタン、セフィンタゾール、セフタジジム、ロラカルベフおよびモキサラクタム、モノバクタム類、例えばアズトレオナム;ならびにカルバペネム類、例えばイミペネム、メロペネム、ペンタミジンイセチオン酸塩(isethiouate)、リドカイン、メタプロテレノール硫酸塩、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロンアセトアミド、ブデソニドアセトニド、フルチカゾン、臭化イプラトロピウム、フルニソリド、クロモリンナトリウム、エルゴタミン酒石酸塩ならびに適用可能な場合には上記の類似体、アゴニスト、アンタゴニスト、阻害剤および薬学的に許容可能な塩形態の1以上を含むが、それらに限定されない。ペプチドおよびタンパク質に関して、本発明は、合成、天然、グリコシル化、非グリコシル化、ペグ化形態ならびにそれらの生物学的に活性なフラグメント、誘導体および類似体を包含することが意図されている。
【0114】
[0231] 本発明における使用のための追加の有効薬剤は、さらに裸の(bare)核酸分子、ベクター、関連するウイルス粒子、プラスミドDNAもしくはRNA、または細胞のトランスフェクションもしくは形質転換に適したタイプの他の核酸構築物(例えばアンチセンスを含む遺伝子療法に適したもの)としての核酸を含み得る。さらに、有効薬剤は、ワクチンとしての使用に適した弱毒化生ウイルスまたは死菌ウイルスを含むことができる。他の有用な薬物は、Physician's Desk Reference(最新版)内に列挙されている薬物
を含み、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0115】
[0232] 有効薬剤の組み合わせが使用される場合、薬剤は、単一種の医薬組成物中に組み合わせとして提供されるか、または異なる種類の複数の医薬組成物中に個別に提供され得る。
【0116】
[0233] 医薬組成物中の抗不整脈医薬の量は、変動することができる。抗不整脈医薬(単数または複数)の量は、典型的には医薬組成物の総量の少なくとも約5重量%、例えば少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%または少なくとも約80重量%である。抗不整脈医薬(単数または複数)の量は、一般に約0.1重量%~100重量%、例えば約5重量%~約95重量%、約10重量%~約90重量%、約30重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%または約50重量%~約60重量%で変動する。
【0117】
[0234] 上記で特筆されたように、医薬組成物は、1種類以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含み得る。薬学的に許容可能な賦形剤の例は、脂質、金属イオン、界面活性剤、アミノ酸、炭水化物、緩衝剤、塩類、ポリマー等およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。
【0118】
[0235] 脂質の例は、リン脂質、糖脂質、ガングリオシドGM1、スフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、カルジオリピン;脂質を有するポリマー鎖、例えばポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドン;脂質を有するスルホン化単糖類、二糖類および多糖類;脂肪酸、例えばパルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸;コレステロール、コレステロールエステル類およびコレステロールヘミコハク酸塩を含むが、それらに限定されない。
【0119】
[0236] 1以上の態様において、リン脂質は、飽和リン脂質、例えば1種類以上のホスファチジルコリン類を含む。典型的なアシル鎖長は、16:0および18:0(例えばパルミトイルおよびステアロイル)である。リン脂質含有量は、有効薬剤活性、送達様式および他の要因によって決定され得る。
【0120】
[0237] 天然源および合成源両方からのリン脂質は、様々な量で使用され得る。リン脂質が存在する場合、その量は、典型的には有効薬剤(単数または複数)をリン脂質の少なくとも単一の分子層で被覆するために十分である。一般に、リン脂質含有量は、約5重量%~約99.9重量%、例えば約20重量%~約80重量%の範囲である。
【0121】
[0238] 一般に、適合性リン脂質は、約40℃を超える、例えば約60℃を超える、または約80℃を超えるゲルから液晶への相転移を有するリン脂質を含むことができる。組み込まれたリン脂質は、比較的長鎖(例えばC16~C22)の飽和脂質であることができる。本発明において有用な典型的なリン脂質は、以下のものを含むが、それらに限定されない:ホスホグリセリド類、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラキドイルホスファチジルコリン、ジベヘノイルホスファチジルコリン、ジホスファチジルグリセロール類、短鎖ホスファチジルコリン類、水素化ホスファチジルコリン、E-100-3(Lipoid KG、ドイツルートウィヒスハーフェンから入手可能)、長鎖飽和ホスファチジルエタノールアミン類、長鎖飽和ホスファチジルセリン類、長鎖飽和ホスファチジルグリセロール類、長鎖飽和ホスファチジルイノシトール類、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトールおよびスフィンゴミエリン。
【0122】
[0239] 金属イオンの例は、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等を含む二価陽イオンを含むが、それらに限定されない。例えば、リン脂質が使用される場合、医薬組成物は、国際公開第01/85136号および国際公開第01/85137号において開示されているように、多価陽イオンを含むこともでき、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。多価陽イオンは、医薬組成物がその貯蔵温度(Tm)よりも少なくとも約20℃、例えば少なくとも約40℃高いTmを示すように、リン脂質の融解温度(Tm)を上昇させるのに有効な量で存在することができる。多価陽イオン対リン脂質のモル比は、少なくとも約0.05:1、例えば約0.05:1~約2.0:1または約0.25:1~約1.0:1であることができる。多価陽イオン:リン脂質のモル比率の例は、約0.50:1である。多価陽イオンがカルシウムである場合、それは、塩化カルシウムの形態であることができる。カルシウムのような金属イオンは、しばしばリン脂質と共に含まれるが、必須ではない。
【0123】
[0240] 上記で特筆されたように、医薬組成物は、1種類以上の界面活性剤を含み得る。例えば、1種類以上の界面活性剤は、液相中にあり1以上が組成物の固体粒子または粒子と会合していることができる。“と会合している”により、医薬組成物が界面活性剤を組み込み、吸着し、吸収し、それでコーティングされ、またはそれにより形成され得ることが意味されている。界面活性剤は、フッ素化および非フッ素化化合物、例えば飽和および不飽和脂質、非イオン性界面活性剤(nonionic detergents)、非イオン性ブロックコポリマー、イオン性界面活性剤およびそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。前述の界面活性剤に加えて、適切なフッ素化界面活性剤は本明細書における教示と適合性であり、所望の製剤を提供するために使用され得ることは、強調されるべきである。
【0124】
[0241] 非イオン性界面活性剤の例は、ソルビタントリオレエート(Span(商標)85)、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウ
レート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートおよびポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートを含むソルビタンエステル類、オレイルポリオキシエチレン(2)エーテル、ステアリルポリオキシエチレン(2)エーテル、ラウリルポリオキシエチレン(4)エーテル、グリセロールエステル類およびスクロースエステル類を含むが、それらに限定されない。他の適切な非イオン性界面活性剤は、McCutcheon’s Emulsifiers and Detergents(McPublishing Co.,ニュージャージー州グレンロック)を用いて容易に同定されることができ、それは、参照により本明細書にそのま援用される。
【0125】
[0242] ブロックコポリマーの例は、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマー(ポロキサマー188(Pluronic(商標)F-68)、ポロキサマー407(Pluronic(商標)F-127)およびポロキサマー338を含む)を含むが、それらに限定されない。
【0126】
[0243] イオン性界面活性剤の例は、スルホコハク酸ナトリウムおよび脂肪酸石鹸を含むが、それらに限定されない。
[0244] アミノ酸の例は、疎水性アミノ酸を含むが、それに限定されない。薬学的に許容可能な賦形剤としてのアミノ酸の使用は、国際公開第95/31479号、国際公開第96/32096号および国際公開第96/32149号において開示されているように、当該技術で既知であり、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0127】
[0245] 炭水化物の例は、単糖類、二糖類および多糖類を含むが、それらに限定されない。例えば、単糖類、例えばデキストロース(無水および一水和物)、ガラクトース、マンニトール、D-マンノース、ソルビトール、ソルボース等;二糖類、例えばラクトース、マルトース、スクロース、トレハロース等;三糖類、例えばラフィノース等;および他の炭水化物、例えばデンプン等(ヒドロキシエチルデンプン)、シクロデキストリン類およびマルトデキストリン類。
【0128】
[0246] 緩衝剤の例は、トリスまたはクエン酸塩を含むが、それらに限定されない。
[0247] 酸の例は、カルボン酸を含むが、それに限定されない。
[0248] 塩類の例は、塩化ナトリウム、カルボン酸の塩類(例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、塩酸トロメタミン等)、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を含むが、それらに限定されない。
【0129】
[0249] 有機固体の例は、カンファー等を含むが、それに限定されない。
[0250] 本発明の1以上の態様の医薬組成物は、生体適合性物質、例えば生分解性ポリマー、コポリマー、またはそれらのブレンドもしくは他の組み合わせも含むことができる。この点において、有用なポリマーは、ポリラクチド類、ポリラクチド-グリコリド類、シクロデキストリン類、ポリアクリレート類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール類、ポリ無水物、ポリラクタム類、ポリビニルピロリドン類、多糖類(デキストラン類、デンプン類、キチン、キトサン等)、ヒアルロン酸、タンパク質(アルブミン、コラーゲン、ゼラチン等)を含む。当業者は、適切なポリマーを選択することにより組成物の送達効率および/または分散物の安定性が抗不整脈医薬(単数または複数)の有効性を最適化するように調整され得ることを理解しているであろう。
【0130】
[0251] 溶液に関して、組成物は、1種類以上の浸透圧調整剤、例えば塩化ナトリウムを含むことができる。例えば、塩化ナトリウムが、溶液の重量オスモル濃度を調整するために溶液に添加されることができる。1以上の態様において、水性組成物は、本質的に抗不整脈医薬、浸透圧調整剤および水からなる。
【0131】
[0252] 溶液は、緩衝剤またはpH調整剤、典型的には有機酸または塩基から調製される塩も含み得る。代表的な緩衝剤は、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸もしくはフタル酸の有機酸塩類、トリス、トロメタミン塩酸塩またはリン酸緩衝剤を含む。従って、緩衝剤は、クエン酸塩類、リン酸塩類、フタル酸塩類および乳酸塩類を含む。
【0132】
[0253] 上記の薬学的に許容可能な賦形剤に加えて、粒子の剛性、生産収率、放出される用量および沈着、貯蔵寿命ならびに患者の受容性を向上させるために、他の薬学的に許容可能な賦形剤を医薬組成物に添加することが望ましい可能性がある。そのような任意の薬学的に許容可能な賦形剤は、着色剤、矯味剤、緩衝剤、吸湿剤、抗酸化剤および化学的安定剤を含むが、それらに限定されない。さらに、様々な薬学的に許容可能な賦形剤が、粒子組成物(例えばラテックス粒子)に構造および形態を提供するために用いられることができる。この点に関して、硬化構成要素は選択的溶媒抽出のような製造後の技法を用いて除去されることができることは、理解されるであろう。
【0133】
[0254] 本発明の1以上の態様の医薬組成物は、味を欠いていることができる。この点に関して、矯味剤が、場合により組成物内に含まれるが、組成物は、しばしば矯味剤を含まず、矯味剤を用いない場合でさえも味を欠いている。
【0134】
[0255] 医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤の混合物も含み得る。例えば、炭水化物およびアミノ酸の混合物は、本発明の範囲内である。
[0256] 本発明の1以上の態様の組成物は、溶液、乾燥粉末、再構成された粉末、懸濁液または非水性の相、例えば噴射剤(例えばクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロアルカン)を含む分散物のような様々な形態をとることができる。
【0135】
[0257] 本発明の溶液は、典型的には透明である。この点に関して、本発明の抗不整脈医薬の多くは、水溶性である。
[0258] ある態様において、溶液の等張性は、等張性から生理学的等張性の範囲である。生理学的等張性は、生理学的流体の等張性である。
【0136】
[0259] 組成物は、典型的には3.5~8.0、例えば4.0~7.5、または4.5~7.0、または5.0~6.5の範囲のpHを有する。
[0260] 乾燥粉末に関して、含水量は、典型的には約15重量%未満、例えば約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、約1重量%未満または約0.5重量%未満である。そのような粉末は、国際公開第95/24183号、国際公開第96/32149号、国際公開第99/16419号、国際公開第99/16420号および国際公開第99/16422号において記載されており、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0137】
[0261] あるバージョンにおいて、医薬組成物は、リン脂質マトリックス中に組み込まれた抗不整脈医薬を含む。医薬組成物は、参照により本明細書にそのまま援用される前述の国際公開第99/16419号、国際公開第99/16420号、国際公開第99/16422号、国際公開第01/85136号および国際公開第01/85137号において記載されているように、有効薬剤を組み込み中空および/または多孔質微細構造である粒子の形態であるリン脂質マトリックスを含むことができる。中空および/または多孔質微細構造は、中空および/または多孔質微細構造の密度、大きさおよび空気力学的な質が使用者の吸入の間に肺深部中への輸送を促進するため、抗不整脈医薬の肺への送達において有用である。さらに、リン脂質ベースの中空および/または多孔質微細構造は、粒子間の引力を低減させ、エアロゾル化の間に医薬組成物が脱凝集するのをより容易にして、医
薬組成物の流動特性を向上させ、処理をより容易にする。
【0138】
[0262] あるバージョンにおいて、医薬組成物は、約1.0g/cm3未満、約0.5g/cm3未満、約0.3g/cm3未満、約0.2g/cm3未満または約0.1g/cm3未満の嵩密度を有する空洞および/または多孔質微細構造で構成される。低嵩密度粒子(単数または複数)を提供することによって、単位用量容器中に充填されることができる最小粉末質量が低減され、それは、キャリヤー粒子の必要性を排除する。すなわち、本発明の1以上の態様の粉末の比較的低い密度は、比較的低い用量の医薬化合物の再現可能な投与を提供する。さらに、キャリヤー粒子の排除は、大きなキャリヤー粒子、例えばラクトース粒子はそれらの大きさのために咽喉および上気道に衝突すると考えられるため、咽喉沈着およびあらゆる“のどに詰まらせる(gag)”作用または咳を潜在的に低減するであろう。
【0139】
[0263] ある側面において、本発明は、高凹凸度(rugosity)粒子を含む。例えば、粒子は、2より大きい、例えば3より大きい、または4より大きい凹凸度を有することができ、凹凸度は、2~15、例えば3~10の範囲であることができる。
【0140】
[0264] あるバージョンにおいて、医薬組成物は、乾燥粉末形態であり、医薬組成物の単位用量をエアロゾル化するためにエアロゾル化装置中またはその近くに挿入されることができる単位用量容器内に収容される。このバージョンは、乾燥粉末形態がその単位用量容器中に長期間安定して保管され得るという点で有用である。一部の例において、本発明の1以上の態様の医薬組成物は、少なくとも2年間安定であり得る。一部のバージョンにおいて、冷凍は、安定性を得るために必要とされない。他のバージョンにおいて、例えば2~8℃の低温が、安定な貯蔵を延長するために用いられることができる。多くのバージョンにおいて、貯蔵安定性は、外部電源によるエアロゾル化を可能にする。
【0141】
[0265] 本明細書で開示される医薬組成物は、空隙、細孔、欠損、へこみ、空間、間隙空間(interstitial spaces)、開口部、穿孔または穴を示し、定め、または含む構造マトリックスを含むことができることは、理解されるであろう。穿孔された微細構造の絶対的な形状(形態とは対照的に)は、一般には重要ではなく、所望の特徴を提供するあらゆる全体的な構成が本発明の範囲内であることが、意図されている。従って、ある態様は、おおよそ球形の形状を含む。しかし、潰れた、変形した、または破砕した粒子も、適合性である。
【0142】
[0266] あるバージョンにおいて、抗不整脈医薬は、別々の粒子を形成するマトリックス中に組み込まれ、医薬組成物は、複数の別々の粒子を含む。別々の粒子は、それらが有効に投与されるように、かつ/またはそれらが必要な場合に利用可能であるように、大きさを決められることができる。例えば、エアロゾル化可能な医薬組成物に関して、粒子は、粒子がエアロゾル化され、使用者の吸入の間に使用者の気道に送達されることを可能にする大きさである。
【0143】
[0267] マトリックス材料は、疎水性または部分的に疎水性の材料を含むことができる。例えば、マトリックス材料は、脂質、例えばリン脂質および/または疎水性アミノ酸、例えばロイシンもしくはトリロイシンを含み得る。リン脂質マトリックスの例は、国際公開第99/16419号、国際公開第99/16420号、国際公開第99/16422号、国際公開第01/85136号および国際公開第01/85137号において、ならびに米国特許第5,874,064号;第5,855,913号;第5,985,309号;第6,503,480号;および第7,473,433号において、ならびに米国特許出願公開第20040156792号において記載されており、その全てが、参照により本明細書にそのまま援用される。疎水性アミノ酸マトリックスの例は、米国特許第6,
372,258号;第6,358,530号;および第7,473,433号において記載されており、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0144】
[0268] リン脂質がマトリックス材料として利用される場合、医薬組成物は、国際公開第01/85136号および国際公開第01/85137号において開示されているように多価陽イオンを含むこともでき、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0145】
[0269] 別の態様によれば、抗不整脈医薬(単数または複数)を含有する組成物の放出速度論が、制御される。1以上の態様によれば、本発明の組成物は、抗不整脈医薬(単数または複数)の即時放出を提供する。あるいは、本発明の他の態様の組成物は、抗不整脈医薬の望ましい放出速度を提供するために、マトリックス材料中に組み込まれた有効薬剤および組み込まれていない有効薬剤の不均質な混合物として提供されることができる。この態様によれば、本発明の1以上の態様のエマルジョンベースの製造プロセスを使用して配合された抗不整脈医薬は、気道に投与された際の即時放出適用における有用性を有する。迅速な放出は、(a)低密度多孔質粉末の高い比表面積;(b)その中に組み込まれた薬物結晶の小さい大きさ、および;(c)粒子の低い表面エネルギーによって促進される。
【0146】
[0270] あるいは、有効薬剤(単数または複数)の延長放出が達成されるように粒子マトリックスを設計することが、望ましい可能性がある。これは、有効薬剤(単数または複数)が肺から急速に除去される場合、または持続放出が所望される場合に特に望ましい可能性がある。例えば、リン脂質分子の相挙動の性質は、それらの化学構造の性質および/または噴霧乾燥供給原料の調製法ならびに利用される乾燥条件および他の組成物構成要素によって影響される。小型単層小胞(SUV)または多層小胞(MLV)内で可溶化された有効薬剤(単数または複数)の噴霧乾燥の場合、有効薬剤(単数または複数)は、複数の二重層内に封入され、延長された時間にわたって放出される。
【0147】
[0271] 対照的に、本明細書における教示に従うエマルジョン液滴および分散または溶解された有効薬剤(単数または複数)で構成される供給原料の噴霧乾燥は、より少ない長期秩序を有するリン脂質マトリックスをもたらし、それによって迅速な放出を促進する。いかなる特定の理論にも束縛されないが、それは、部分的には、有効薬剤(単数または複数)がリン脂質中に決して正式に封入されないという事実およびリン脂質が最初に(リポソームの場合のように二重層ではなく)単層としてエマルジョン液滴の表面上に存在するという事実によるものであると信じられている。本発明の1以上の態様のエマルジョンベースの製造プロセスによって調製される噴霧乾燥粒子は、しばしば高度な不規則性を有する。また、噴霧乾燥された粒子は、典型的には低い表面エネルギーを有し、ここで、噴霧乾燥されたDSPC粒子に関して、20mN/mもの低い値が観察されている(インバースガスクロマトグラフィーによって決定された)。噴霧乾燥されたリン脂質粒子を用いて行われた小角X線散乱(SAXS)研究は、脂質に関する高度な無秩序性も示しており、散乱ピークは不鮮明であり(smeared out)、長さスケールは、一部の例において、少数の最近傍の粒子(nearest neighbors)を超えるのみである。
【0148】
[0272] 高いゲル-液晶相転移温度を有するマトリックスはそれ自体では有効薬剤(単数または複数)の持続放出を達成するのに十分ではないことは、特筆されるべきである。二重層構造に関する十分な秩序を有することも、持続放出を達成するために重要である。迅速な放出を促進するために、高多孔性(高表面積)であり薬物物質およびリン脂質の間の相互作用が最小限であるエマルジョン系が、用いられることができる。医薬組成物形成プロセスは、二重層構造を壊すための他の組成物構成要素(例えば小さいポリマー、例えばPluronic F-68;炭水化物、塩類、ヒドロトロープ)の添加を含むことが
できることも、意図されている。
【0149】
[0273] 持続放出を達成するために、二重層形態でのリン脂質の組み込みが、特に有効薬剤がその中に封入される場合に用いられることができる。この場合、リン脂質のTmを増加させることは、二価対イオンまたはコレステロールの組み込みを介して利益を提供し得る。同様に、イオン対(負に荷電した有効物質+ステアリルアミン、正に荷電した有効物質+ホスファチジルグリセロール)の形成によりリン脂質および薬物物質の間の相互作用を増大させることは、溶解速度を低下させる傾向があるであろう。有効物質が両親媒性である場合、界面活性剤/界面活性剤相互作用も、活発な溶解を遅らせ得る。
【0150】
[0274] 長鎖飽和ホスファチジルコリン類への二価対イオン(例えばカルシウムまたはマグネシウムイオン)の添加は、結果として双性イオン性頭部基の負に荷電したホスフェート部分および正に荷電した金属イオンの間の相互作用を生じさせる。これは、結果として水和水の置換ならびにリン脂質の脂質頭部基およびアシル鎖の充填の凝縮をもたらす。さらに、これは、結果としてリン脂質のTmにおける増加をもたらす。頭部基の水和における減少は、水と接触した際の噴霧乾燥されたリン脂質粒子の拡展特性への重大な作用を有し得る。完全に水和したホスファチジルコリン分子は、水相を通る分子拡散により、分散した結晶に非常にゆっくりと拡散するであろう。そのプロセスは、水中でのリン脂質の溶解度が非常に低い(DPPCに関して約10-10mol/L)ため、極めて遅い。この現象を克服するための先行技術の試みは、リン脂質の存在下での結晶のホモジナイズを含む。この場合、ホモジナイズされた結晶の高度な剪断および曲率半径は、結晶上のリン脂質のコーティングを促進する。対照的に、本発明の1以上の態様による“乾燥”リン脂質粉末は、水性相と接触した際に急速に広がり、それによって高エネルギーを適用する必要なく分散した結晶をコーティングすることができる。
【0151】
[0275] 例えば、再構成すると、空気/水界面における噴霧乾燥されたDSPC/Ca混合物の表面張力は、測定がなされ得る限り速く平衡値(約20mN/m)まで低下する。対照的に、DSPCのリポソームは、数時間の期間にわたって表面張力(約50mN/m)を非常にわずかしか低下させず、この低減は、リン脂質中の遊離脂肪酸のような加水分解産物の存在によるものであるようである。単一尾部の脂肪酸は、疎水性親化合物が拡散し得るよりもはるかに迅速に空気/水界面に拡散することができる。従って、ホスファチジルコリン類へのカルシウムイオンの添加は、結晶性薬物の迅速な封入を、より迅速に、かつより低い適用エネルギーで促進することができる。
【0152】
[0276] 別のバージョンにおいて、医薬組成物は、ナノ結晶を水中ペルフルオロカーボンエマルジョンと共噴霧乾燥させることによって達成される低密度粒子を含む。ナノ結晶は、沈殿によって形成されることができ、例えば約45μm~約80μmの大きさの範囲であることができる。ペルフルオロカーボン類の例は、ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタンを含むが、それらに限定されない。
【0153】
[0277] 本明細書における教示によれば、粒子は、“乾燥”状態で提供されることができる。すなわち、1以上の態様において、粒子は、粉末が周囲温度または低温での貯蔵の間に化学的および物理的に安定なままであり、分散性のままであることを可能にする含水量を有するであろう。この点に関して、一次粒径、含有量、純度および空気力学的粒径分布にはほとんどまたは全く変化がない。
【0154】
[0278] 従って、粒子の含水量は、典型的には約10重量%未満、例えば約6重量%未満、約3重量%未満または約1重量%未満である。含水量は、少なくとも部分的に、組成によって規定され、用いられるプロセス条件、例えば入口温度、供給濃度、ポンプ速度お
よび発泡剤のタイプ、濃度および後乾燥によって制御される。結合した水の減少は、リン脂質ベースの粉末の分散性および流動性における有意な向上をもたらし、リン脂質中に分散された有効薬剤を含む粉末状肺界面活性剤(lung surfactants)または粒子組成物の非常に効率的な送達の可能性をもたらす。向上した分散性は、これらの粉末を有効に送達するために単純な受動的DPIデバイスが使用されることを可能にする。
【0155】
[0279] 医薬組成物のさらに別のバージョンは、接触点での滞留時間を延長するか、または粘膜を通る浸透を増強する荷電種を含み得るか、または部分的もしくは完全にそれでコートされることができる粒子組成物を含む。例えば、陰イオン性電荷は、粘膜付着に有利であることが知られており、一方で陽イオン性電荷は、形成された粒子を遺伝物質のような負に荷電した生物活性剤と会合させるために使用され得る。電荷は、ポリアクリル酸、ポリリジン、ポリ乳酸およびキトサンのようなポリ陰イオン性またはポリ陽イオン性物質の会合または組み込みによって付与されることができる。
【0156】
[0280] あるバージョンにおいて、医薬組成物は、約20μm未満、例えば約10μm未満、約7μm未満または約5μm未満の質量中央径を有する粒子を含む。粒子は、約1μm~約6μm、例えば約1.5μm~約5μmまたは約2μm~約4μmの範囲の空気動力学的質量中央径を有することができる。粒子が大きすぎると、粒子のより大きな割合が肺に到達しない可能性がある。粒子が小さすぎると、粒子のより大きな割合が吐き出される(exhaled)可能性がある。
【0157】
[0281] 医薬組成物の単位用量は、容器に入れられることができる。容器の例は、シリンジ、カプセル、ブローフィルシール、ブリスター、バイアル、アンプルまたは金属、ポリマー(例えばプラスチック、エラストマー)、ガラス等で作られた容器閉鎖システムを含むが、それらに限定されない。例えば、バイアルは、クロロブチルゴムシリコン化ストッパーおよび着色されたプラスチックカバーを有する剥ぎ取り型アルミニウムキャップを有する無色のI型ホウケイ酸ガラスISO 6R 10mLバイアルであることができる。
【0158】
[0282] 容器は、エアロゾル化デバイス中に挿入されることができる。容器は、医薬組成物を含有し、使用可能な状態で医薬組成物を提供するのに適した形状、サイズおよび材料のものであることができる。例えば、カプセルまたはブリスターは、医薬組成物と有害に反応しない材料を含む壁を含むことができる。さらに、壁は、カプセルが開かれて医薬組成物がエアロゾル化されることができることを可能にする材料を含むことができる。あるバージョンにおいて、壁は、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレングリコール配合HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース、寒天、アルミニウム箔等の1以上を含む。あるバージョンにおいて、カプセルは、例えば参照により本明細書にそのまま援用される米国特許第4,247,066号において記載されているように、望遠鏡のように(telescopically)隣接する区画を含むことができる。カプセルのサイズは、医薬組成物の用量を十分に収容するように選択されることができる。サイズは、一般に、サイズ5~サイズ000の範囲であり、外径は、約4.91mm~9.97mmの範囲であり、高さは、約11.10mm~約26.14mmの範囲であり、容積は、それぞれ約0.13mL~約1.37mLの範囲である。適切なカプセルは、例えばShionogi Qualicaps Co.(日本、奈良)およびCapsugel(サウスカロライナ州グリーンウッド)から商業的に入手可能である。充填後、参照により本明細書にそのまま援用される米国特許第4,846,876号および第6,357,490号において、ならびに国際公開第00/07572号において記載されているように、上部が底部の上に置かれてカプセルの形状を形成し、カプセル内に粉末を収容することができる。上部が底部の上に置かれた後、カプセルは、場合によりバンドを付けられる(banded)ことができる。
【0159】
[0283] 溶液に関して、単位用量中の組成物の量は、典型的には約0.5ml~約15ml、例えば約2ml~約15ml、約3ml~約10ml、約4ml~約8mlまたは約5ml~約6mlの範囲である。
【0160】
[0284] 本発明の組成物は、当業者に既知であり利用可能である様々な方法および技法のいずれかによって作製されることができる。
[0285] 例えば、抗不整脈医薬の溶液は、以下の手順を使用して作製され得る。典型的には、製造装置は、使用前に滅菌される。最終体積の一部(例えば70%)の溶媒、例えば注射用水が、適切な容器中に入れられることができる。次いで、抗不整脈医薬が、添加されることができる。抗不整脈医薬は、溶解されるまで混合されることができる。追加の溶媒が添加されて、最終バッチ体積を構成することができる。バッチは、例えば0.2μmフィルターを通じて濾過されて滅菌された受容容器中に入れられることができる。充填構成要素は、バッチをバイアル、例えば10mlバイアル中に充填する際に使用する前に滅菌されることができる。
【0161】
[0286] 一例として、上記の滅菌は、以下を含むことができる。5リットルの1型ガラス瓶および蓋が、オートクレーブバッグに入れられ、オートクレーブを用いて高温、例えば121℃で15分間滅菌されることができる。同様に、バイアルは、適切なラック中に置かれ、オートクレーブバッグ中に挿入され、高温、例えば121℃で15分間、オートクレーブを用いて滅菌されることができる。同様に、ストッパーも、オートクレーブバッグ中に入れられ、オートクレーブを用いて高温、例えば121℃で15分間滅菌されることができる。滅菌前に、滅菌フィルターは、管類、例えば2mmの長さの7mm×13mmシリコン管類に取り付けられることができる。充填ラインは、オートクレーブバッグ中に入れられ、高温、例えば121℃で15分間、オートクレーブを用いて滅菌されることによって準備されることができる。
【0162】
[0287] 上記の濾過は、層流作業領域中への濾過を含み得る。受容ボトルおよびフィルターは、層流作業領域に設置されることができる。
[0288] 上記の充填も、層流保護下で実施されることができる。充填ラインは、包装を解かれ、受容ボトル内に配置されることができる。滅菌されたバイアルおよびストッパーは、層流保護下で包装を解かれることができる。各バイアルは、例えば5gの目標充填量まで充填されて栓をされることができる。フリップオフカラーが、各バイアルに適用されることができる。密封されたバイアルは、バイアル漏れ、適正なオーバーシール(overseals)および亀裂に関して点検されることができる。
【0163】
[0289] ある場合には、抗不整脈医薬は、溶液中にあることができる。特定の例において、溶液は、水溶液である。他の例において、抗不整脈医薬は、約1mg/mL~約60mg/mL、例えば1mg/mL~5mg/mL、1mg/mL~10mg/mL、1mg/mL~15mg/mL、1mg/mL~20mg/mL、1mg/mL~25mg/mL、1mg/mL~30mg/mL、1mg/mL~35mg/mL、1mg/mL~40mg/mL、1mg/mL~45mg/mL、1mg/mL~50mg/mL、1mg/mL~55mg/mL、5mg/mL~10mg/mL、5mg/mL~15mg/mL、5mg/mL~20mg/mL、5mg/mL~25mg/mL、5mg/mL~30mg/mL、5mg/mL~35mg/mL、5mg/mL~40mg/mL、5mg/mL~45mg/mL、5mg/mL~50mg/mL、5mg/mL~55mg/mL、5mg/mL~60mg/mL;10mg/mL~15mg/mL、10mg/mL~20mg/mL、10mg/mL~25mg/mL、10mg/mL~30mg/mL、10mg/mL~35mg/mL、10mg/mL~40mg/mL、10mg/mL~45mg/mL、10mg/mL~50mg/mL、10mg/mL~55mg/m
L、10mg/mL~60mg/mL、15mg/mL~20mg/mL、15mg/mL~25mg/mL、15mg/mL~30mg/mL、15mg/mL~35mg/mL、15mg/mL~40mg/mL、15mg/mL~45mg/mL、15mg/mL~50mg/mL、15mg/mL~55mg/mL、15mg/mL~60mg/mL、20mg/mL~25mg/mL、20mg/mL~30mg/mL、20mg/mL~35mg/mL、20mg/mL~40mg/mL、20mg/mL~45mg/mL、20mg/mL~50mg/mL、20mg/mL~55mg/mL、20mg/mL~60mg/mL、25mg/mL~30mg/mL、25mg/mL~35mg/mL、25mg/mL~40mg/mL、25mg/mL~45mg/mL、25mg/mL~50mg/mL、25mg/mL~55mg/mL、25mg/mL~60mg/mL、30mg/mL~35mg/mL、30mg/mL~40mg/mL、30mg/mL~45mg/mL、30mg/mL~50mg/mL、30mg/mL~55mg/mL、30mg/mL~60mg/mL、35mg/mL~40mg/mL、35mg/mL~45mg/mL、35mg/mL~50mg/mL、35mg/mL~55mg/mL、35mg/mL~60mg/mL、40mg/mL~45mg/mL、40mg/mL~50mg/mL、40mg/mL~55mg/mL、40mg/mL~60mg/mL、45mg/mL~50mg/mL、45mg/mL~55mg/mL、45mg/mL~60mg/mL、50mg/mL~55mg/mL、50mg/mL~60mg/mLまたは55mg/mL~60mg/mLの濃度で存在することができる。さらに他の態様において、抗不整脈医薬は、約30mg/mL、31mg/mL、32mg/mL、33mg/mL、34mg/mL、35mg/mL、36mg/mL、37mg/mL、38mg/mL、39mg/mL、40mg/mL、41mg/mL、42mg/mL、43mg/mL、44mg/mL、45mg/mL、46mg/mL、47mg/mL、48mg/mL、49mg/mL、50mg/mL、51mg/mL、52mg/mL、53mg/mL、54mg/mLまたは55mg/mLで存在することができる。
【0164】
[0290] 別の例として、抗不整脈薬は、抗不整脈医薬を凍結乾燥して貯蔵用の粉末を形成することによって調製されることができる。次いで、粉末は、使用前に再構成される。この技法は、抗不整脈医薬が溶液中で不安定である場合に使用されることができる。
【0165】
[0291] ある場合には、凍結乾燥粉末は、抗不整脈医薬が約1mg/mL~約60mg/mL、例えば1mg/mL~5mg/mL、1mg/mL~10mg/mL、1mg/mL~15mg/mL、1mg/mL~20mg/mL、1mg/mL~25mg/mL、1mg/mL~30mg/mL、1mg/mL~35mg/mL、1mg/mL~40mg/mL、1mg/mL~45mg/mL、1mg/mL~50mg/mL、1mg/mL~55mg/mL、5mg/mL~10mg/mL、5mg/mL~15mg/mL、5mg/mL~20mg/mL、5mg/mL~25mg/mL、5mg/mL~30mg/mL、5mg/mL~35mg/mL、5mg/mL~40mg/mL、5mg/mL~45mg/mL、5mg/mL~50mg/mL、5mg/mL~55mg/mL、5mg/mL~60mg/mL;10mg/mL~15mg/mL、10mg/mL~20mg/mL、10mg/mL~25mg/mL、10mg/mL~30mg/mL、10mg/mL~35mg/mL、10mg/mL~40mg/mL、10mg/mL~45mg/mL、10mg/mL~50mg/mL、10mg/mL~55mg/mL、10mg/mL~60mg/mL、15mg/mL~20mg/mL、15mg/mL~25mg/mL、15mg/mL~30mg/mL、15mg/mL~35mg/mL、15mg/mL~40mg/mL、15mg/mL~45mg/mL、15mg/mL~50mg/mL、15mg/mL~55mg/mL、15mg/mL~60mg/mL、20mg/mL~25mg/mL、20mg/mL~30mg/mL、20mg/mL~35mg/mL、20mg/mL~40mg/mL、20mg/mL~45mg/mL、20mg/mL~50mg/mL、20mg/mL~55mg/mL、20mg/mL~
60mg/mL、25mg/mL~30mg/mL、25mg/mL~35mg/mL、25mg/mL~40mg/mL、25mg/mL~45mg/mL、25mg/mL~50mg/mL、25mg/mL~55mg/mL、25mg/mL~60mg/mL、30mg/mL~35mg/mL、30mg/mL~40mg/mL、30mg/mL~45mg/mL、30mg/mL~50mg/mL、30mg/mL~55mg/mL、30mg/mL~60mg/mL、35mg/mL~40mg/mL、35mg/mL~45mg/mL、35mg/mL~50mg/mL、35mg/mL~55mg/mL、35mg/mL~60mg/mL、40mg/mL~45mg/mL、40mg/mL~50mg/mL、40mg/mL~55mg/mL、40mg/mL~60mg/mL、45mg/mL~50mg/mL、45mg/mL~55mg/mL、45mg/mL~60mg/mL、50mg/mL~55mg/mL、50mg/mL~60mg/mLまたは55mg/mL~60mg/mLの濃度で存在するように、適切な溶媒中で再構成されることができる。さらに他の態様において、凍結乾燥粉末の再構成後、抗不整脈医薬は、約30mg/mL、31mg/mL、32mg/mL、33mg/mL、34mg/mL、35mg/mL、36mg/mL、37mg/mL、38mg/mL、39mg/mL、40mg/mL、41mg/mL、42mg/mL、43mg/mL、44mg/mL、45mg/mL、46mg/mL、47mg/mL、48mg/mL、49mg/mL、50mg/mL、51mg/mL、52mg/mL、53mg/mL、54mg/mLまたは55mg/mLで存在する。
【0166】
[0292] 凍結乾燥されるべき溶液のための溶媒は、水を含むことができる。溶液は、賦形剤を含まないことができる。例えば、溶液は、凍結保護剤を含まないことができる。
[0293] 1以上の態様において、薬物物質の適切な量(例えば最終溶液1リットルあたり120g)は、例えば窒素発泡下で注射用水の理論上の総量の約75%中で溶解されることができる。溶解時間が、記録されることができ、外観が、評価されることができる。
【0167】
[0294] 次いで、WFIでの最終体積への希釈が、実施されることができる。最終体積が、チェックされることができる。密度、pH、内毒素、生物汚染度および紫外線による含有量が、滅菌濾過の前および後の両方で測定されることができる。
【0168】
[0295] 溶液は、凍結乾燥の前に濾過されることができる。例えば、充填前に二重の0.22μm濾過が、実施されることができる。フィルターは、濾過の前および後に、完全性および泡立ち点に関して試験されることができる。
【0169】
[0296] 予め洗浄し、オートクレーブされたバイアルは、自動充填ラインを使用して、バイアル当たり5mlの目標まで無菌的に充填され、次いで部分的に栓をされることができる。プロセスにおいて、充填体積に関するチェックは、15分毎に充填重量をチェックすることによって行われることができる。
【0170】
[0297] 凍結乾燥は、一般に溶解の約72時間以内、例えば約8時間以内、または約4時間以内に実施される。
[0298] 1以上の態様において、凍結乾燥は、溶液を凍結させて凍結溶液を形成することを含む。凍結溶液は、典型的には約-40℃~約-50℃の範囲の初期温度、例えば約-45℃で保持される。初期温度期間の間、凍結溶液の周囲の圧力は、典型的には大気圧である。初期温度期間は、典型的には約1時間~約4時間、例えば約1.5時間~約3時間の範囲、または約2時間である。
【0171】
[0299] 凍結乾燥は、さらに凍結溶液の温度を第1の予め決定された温度まで上昇させることを含むことができ、それは、約10℃~約20℃の範囲、例えば約15℃であることができる。初期温度から第1の予め決定された温度までの加熱勾配(ramp)に関す
る時間は、一般に約6時間~約10時間、例えば約7時間~約9時間の範囲である。
【0172】
[0300] 第1の予め決定された温度の期間の間、溶液の周囲の圧力は、典型的には約100μbar~約250μbar、例えば約150μbar~約225μbarの範囲である。溶液は、約20時間~約30時間の範囲の期間、例えば約24時間、第1の予め決定された温度で保持されることができる。
【0173】
[0301] 凍結乾燥は、さらに溶液の温度を第2の予め決定された温度まで上昇させることを含むことができ、それは、約25℃~約35℃の範囲、例えば約30℃であることができる。第2の予め決定された温度の期間の間、凍結溶液の周囲の圧力は、典型的には約100μbar~約250μbar、例えば約150μbar~約225μbarの範囲である。溶液は、約10時間~約20時間の範囲の期間、第2の予め決定された温度で保持されることができる。
【0174】
[0302] 上記を考慮して、凍結乾燥サイクルは、例えば65分間で20℃から-45℃への凍結勾配、続いて例えば-45℃で2時間の凍結浸漬を含むことができる。一次乾燥は、加熱勾配(例えば8時間で-45℃から15℃へ)、続いて温度保持(例えば200μbarの圧力で15℃において24時間)を用いて成し遂げられることができる。二次乾燥は、加熱勾配(例えば15分間で15℃から30℃へ)、続いて200μbarの圧力で30℃において15時間の温度保持を用いて成し遂げられることができる。凍結乾燥サイクルの終了時に、真空は、無菌窒素で破られることができ、バイアルは、自動的に栓をされることができる。
【0175】
[0303] 凍結乾燥粉末の含水量は、典型的には約7重量%未満、例えば約5重量%未満、約4重量%未満、約3重量%未満、約2重量%未満または約1重量%未満である。
[0304] 粉末は、25℃および1.0気圧において水で、手作業の撹拌により、約60秒未満、例えば約30秒未満、約15秒未満、または約10秒未満で再構成されることができる。
【0176】
[0305] 粉末は、典型的には再構成を促進する大きな比表面積を有する。比表面積は、典型的には約5m2/g~約20m2/g、例えば約8m2/g~15m2/g、または約10m2/g~12m2/gの範囲である。
【0177】
[0306] 水で再構成すると、抗不整脈医薬溶液は、典型的には約2.5~約7、例えば約3~約6の範囲のpHを有する。
[0307] 乾燥粉末に関して、組成物は、噴霧乾燥、凍結乾燥、粉砕(例えば湿式粉砕、乾式粉砕)等によって形成されることができる。
【0178】
[0308] 噴霧乾燥において、噴霧乾燥されるべき調製物または供給原料は、選択された噴霧乾燥装置を使用して霧化されることができるあらゆる溶液、粗い懸濁液、スラリー、コロイド分散物、またはペーストであることができる。不溶性薬剤の場合、供給原料は、上記のような懸濁液を含むことができる。あるいは、希釈溶液および/または1種類以上の溶媒が、供給原料中で利用されることができる。1以上の態様において、供給原料は、コロイド系、例えばエマルジョン、逆エマルジョン、マイクロエマルジョン、多重エマルジョン、粒子分散物またはスラリーを含むであろう。
【0179】
[0309] あるバージョンにおいて、抗不整脈性医薬品およびマトリックス材料は、水性供給原料に添加されて、供給原料溶液、懸濁液またはエマルジョンを形成する。次いで、供給原料は、噴霧乾燥されてマトリックス材料および抗不整脈医薬を含む乾燥粒子を生成する。適切な噴霧乾燥プロセスは、例えば国際公開第99/16419号および米国特許
第6,077,543号;第6,051,256号;第6,001,336号;第5,985,248号;および第5,976,574号において開示されているように、当該技術で既知であり、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0180】
[0310] どのような構成要素が選択されても、粒子製造における第1工程は、典型的には供給原料調製を含む。リン脂質ベースの粒子が抗不整脈医薬のためのキャリヤーとして作用することが意図されている場合、選択された有効薬剤(単数または複数)は、液体、例えば水中に導入されて濃縮懸濁液を生成することができる。抗不整脈医薬および任意の有効薬剤の濃度は、典型的には最終粉末に必要とされる薬剤の量および使用される送達デバイスの性能(例えば定量吸入器(MDI)または乾燥粉末吸入器(DPI)に関する微粒子用量)に依存する。
【0181】
[0311] あらゆる追加の有効薬剤(単数または複数)が、単一の供給原料調製物中に組み込まれて噴霧乾燥され、複数の有効薬剤を含む単一の医薬組成物種を提供することができる。逆に、個々の有効薬剤は、別々のストックに添加されて別々に噴霧乾燥され、異なる組成物を有する複数の医薬組成物種を提供することができるであろう。これらの個々の種は、あらゆる所望の割合で懸濁媒体または乾燥粉末分布区画に添加され、下記のようなエアロゾル送達システム中に配置されることができるであろう。
【0182】
[0312] 多価陽イオンは、抗不整脈医薬懸濁液と組み合わせられる、リン脂質エマルジョンと組み合わせられる、または別々の容器中で形成された水中油型エマルジョンと組み合わせられることができる。抗不整脈医薬は、エマルジョン中に直接分散させられることもできる。
【0183】
[0313] 例えば、多価陽イオンおよびリン脂質は、適切な高せん断機械式ミキサー(例えばUltra-TurraxモデルT-25ミキサー)を用いて熱い蒸留水(例えば70℃)中で8000rpmで2~5分間ホモジナイズされることができる。典型的には、5~25gのフルオロカーボンが、分散した界面活性剤溶液に混合しながら滴加される。結果として得られた水中多価陽イオン含有ペルフルオロカーボンエマルジョンは、次いで粒径を低減するために高圧ホモジナイザーを用いて処理される。典型的には、エマルジョンは、12,000~18,000PSIで5回の別々のパス(passes)に関して処理され、約50℃~約80℃で保たれる。
【0184】
[0314] 多価陽イオンが水中油型エマルジョンと組み合わせられる場合、噴霧乾燥医薬組成物の分散安定性および分散性は、参照により本明細書にそのまま援用される国際公開第99/16419号において記載されているように、発泡剤を使用することによって改善されることができる。このプロセスは、場合により組み込まれた界面活性剤によって安定化されたエマルジョンを形成し、それは、典型的には水性連続相中に分散された水不混和性発泡剤のサブミクロン液滴を含む。発泡剤は、フッ素化化合物(例えばペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクチルブロミド、ペルフルオロオクチルエタン、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロブチルエタン)であることができ、それは、噴霧乾燥プロセスの間に気化し、一般に中空の多孔質の空気力学的に軽い粒子を後に残す。他の適切な液体発泡剤は、非フッ素化油、クロロホルム、Freon(登録商標)フルオロカーボン、酢酸エチル、アルコール類、炭化水素、窒素および二酸化炭素ガスを含む。発泡剤は、リン脂質により乳化されることができる。
【0185】
[0315] 医薬組成物は、上記のように発泡剤を使用して形成され得るが、一部の例において、追加の発泡剤は必要とされず、抗不整脈医薬および/または薬学的に許容可能な賦形剤および界面活性剤(単数または複数)の水性分散液は直接噴霧乾燥されることは、理解されるであろう。そのような場合、医薬組成物は、それをそのような技法における使用
に特に適したものにする特定の物理化学的特性(例えば高い結晶化度、高い融解温度、表面活性等)を有することができる。
【0186】
[0316] 必要に応じて、ポロキサマー188またはスパン80のような共界面活性剤が、この付属溶液中に分散させられることができる。さらに、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば糖類およびデンプン類も、添加されることができる。
【0187】
[0317] 次いで、供給原料(単数または複数)が、噴霧乾燥機に供給されることができる。典型的には、供給原料は、溶媒を蒸発させ、乾燥した生成物をコレクターに運ぶ、暖かい濾過された空気の流れの中に噴霧される。次いで、使用済みの空気は、溶媒と共に排気される。Buchi Ltd.またはNiro Corp.によって製造される商業的な噴霧乾燥機は、医薬組成物を製造するための使用のために改変され得る。本発明の1以上の態様の乾燥粉末を作製するのに適した噴霧乾燥法およびシステムの例が、米国特許第6,077,543号;第6,051,256号;第6,001,336号;第5,985,248号;および第5,976,574号において開示されており、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0188】
[0318] 入口および出口温度、供給速度、霧化圧力、乾燥空気の流速およびノズル形状のような噴霧乾燥機の操作条件は、必要とされる粒径および結果として得られる乾燥粒子の生産収率をもたらすために調節されることができる。適切な装置および処理条件の選択は、本明細書における教示を考慮した当業者の範囲内であり、過度の実験操作なしで達成され得る。典型的な設定は、以下の通りである:約60℃~約170℃の空気入口温度;約40℃~約120℃の空気出口温度;約3mL/分~約15mL/分の供給速度;約300L/分の吸引空気流速;および約25/分~約50L/分の霧化空気流速。当然、設定は、使用される装置のタイプに応じて変動するであろう。いずれにしても、これらおよび類似の方法の使用は、肺中へのエアロゾル沈着に適した直径を有する空気力学的に軽い粒子の形成を可能にする。
【0189】
[0319] 中空および/または多孔質微細構造は、参照により本明細書に援用される国際公開第99/16419号において開示されているように、噴霧乾燥によって形成されることができる。噴霧乾燥プロセスは、大きな内部空隙を定める比較的薄い多孔質壁を有する粒子を含む医薬組成物の形成をもたらすことができる。噴霧乾燥プロセスはまた、形成された粒子が処理の間または脱凝集の間に破裂する可能性がより低いという点で、しばしば他のプロセスよりも有利である。
【0190】
[0320] 本発明の1以上の態様において有用な医薬組成物は、あるいは凍結乾燥によって形成されることができる。凍結乾燥は、組成物から水を、それが凍結された後に昇華させる凍結-乾燥プロセスである。凍結乾燥プロセスは、水溶液中で比較的不安定である生物製剤および医薬が高温に曝されることなく乾燥させられ、次いで安定性の問題がより少ない乾燥状態で保管されることができるため、頻繁に用いられる。本発明の1以上の態様に関して、そのような技法は、生理学的活性を損なうことなく、医薬組成物中のペプチド、タンパク質、遺伝物質ならびに他の天然および合成高分子の組み込みと特に適合性である。微細な泡様構造を含有する凍結乾燥されたケーキは、所望の大きさの粒子を提供するために、当該技術で既知の技法を使用して微粒子化されることができる。
【0191】
[0321] 本発明の1以上の態様の組成物は、吸入によって投与され得る。
[0322] さらに、吸入される組成物の用量は、吸入される組成物の心臓への効率的な標的化のため、典型的には他の経路によって投与される類似の作用を得るために必要とされる用量よりもはるかに少ない。
【0192】
[0323] 本発明の1以上の態様において、抗不整脈医薬を含む医薬組成物は、それを必要とする患者の肺に投与される。例えば、患者は、不整脈を有すると診断されている可能性がある。不整脈の例は、頻脈、上室性頻脈(SVT)、発作性上室性頻脈(PSVT)、心房細動(AF)、発作性心房細動(PAF)、持続性心房細動、永続性心房細動、心房粗動、発作性心房粗動および孤立性心房細動を含むが、それらに限定されない。
【0193】
[0324] 従って、本発明の1以上の態様の医薬組成物は、広範囲の患者を処置する、および/または広範囲の患者に予防を提供するために用いられることができる。本明細書で記載されている処置および/または予防を受けるための適切な患者は、それを必要とするあらゆる哺乳類患者であり、好ましくはそのような哺乳類は、ヒトである。患者の例は、小児患者、成人患者および老人患者を含むが、それらに限定されない。ある態様において、組成物は、症状の迅速な消散および正常な洞調律の回復のための処置としてのみ意図され、予防としては受け取られず、例えば、患者が良好である場合、薬物の必要性はなく、これは、散発的または間欠的な投薬ならびに必要とされる場合のみの症状の無効化および洞調律の回復への集中のため、療法の利益-リスク比および全体的な安全性を増大させることができる。
【0194】
[0325] 抗不整脈医薬の必要な投薬量および投薬頻度は、組成物および組成物内の抗不整脈医薬の濃度に依存する。ある場合には、用量は、その通常の静脈内用量の約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または95%未満である。ある場合には、用量は、静脈内用量の約5%~約10%、約10%~約20%、約20%~約30%、約30%~約40%、約50%~約60%、約60%~約70%、約70%~約80%、約80%~約90%または約90%~約95%である。肺用量は、心臓内用量と同様である。吸入は、静脈内または経口投与と比較して体内での薬物の希釈を回避する。
【0195】
[0326] ある場合には、静脈内投与される有効用量は、対象の体重に基づいて計算されることができる。例えば、ある場合には、体重70kgの対象に静脈内投与される有効用量は、2mg/kg(すなわち140mg)である。
【0196】
[0327] 吸入は、代謝、例えば肝臓代謝も回避する。例えば、カルシウムチャネル遮断薬、例えばジルチアゼムは、経口的に摂取された際、著しい肝代謝を受ける。吸入は、親ジルチアゼム化合物のボーラスとしての心臓への迅速な送達を可能にする。驚くべきことに、本発明に従う吸入経路を介したジルチアゼムの吸入による投与は、心房細動を正常洞調律に転換させ、心拍数を低減した。従って、ジルチアゼムの吸入による投与は、心房細動および上室性頻脈(SVT)の両方を処置するために有用であり得る。対照的に、ジルチアゼムのIVによる投与は、典型的にはSVTを正常洞調律に転換させるためおよび心房細動において(正常洞調律に転換させるためではなく)心拍数を低減するためにのみ使用される。
【0197】
[0328] 吸入は、赤血球代謝も回避する。例えば、低減した希釈および吸入に関係する短い経路は、エスモロールの赤血球代謝を低減する。
[0329] 吸入は、血圧の低下および失神も回避することができる。例えば、エスモロールのようなベータ遮断薬のIV投与は、平均動脈血圧(MAP)を低下させ得る。吸入は、MAPを低下させることなくエスモロールの迅速な送達を可能にする。結果として、ベータ遮断薬の吸入は、同じベータ遮断薬のIV投与からもたらされるMAPよりも10mmHg~20mmHg大きいMAPをもたらし得る。
【0198】
[0330] 吸入心臓療法では、薬物は、ボーラスとして肺から心臓に向けられる。従って、心臓は高い濃度を示す(sees)。薬物は、それが心臓を通過するにつれて急速に希
釈されるが、曝露時間は、所望の薬理学的作用に十分である。一度薬物が心臓を通過すると、全身循環(例えば末梢静脈血)中の薬物の濃度は、療法的濃度未満であり、効果がないと考えられる。療法的ウィンドウは、安全な有効な療法を提供する身体的システムにおける薬物の投与量またはその濃度の範囲である。最小限の量を下回る量は、いずれも治療量未満であり、従ってその濃度では効果がない。希釈を考慮すると、望ましくない副作用は、最小限になる。
【0199】
[0331] あるバージョンにおいて、抗不整脈薬は、毎日投与され得る。このバージョンでは、抗不整脈医薬の一日の投与量は、約0.1mg~約600mg、例えば約0.5mg~約500mg、約1mg~約400mg、約2mg~約300mgおよび約3mg~約200mgの範囲である。不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、少なくとも約0.1mg、例えば少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、200、250、300、350、400、450または500mgであることができる。不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、約0.01~500mg、例えば0.1~500、0.1~450、0.1~400、0.1~350、0.1~300、0.1~250、0.1~200、0.1~150、0.1~130、0.1~110、0.1~90、0.1~70、0.1~50、0.1~30、0.1~10、0.1~5、0.1~1.0、0.1~0.5、1~500、1~450、1~400、1~350、1~300、1~250、1~200、1~150、1~130、1~110、1~90、1~70、1~50、1~30、1~10、1~5、5~500、5~450、5~400、5~350、5~300、5~250、5~200、5~150、5~130、5~110、5~90、5~70、5~50、5~30、5~10、10~500、10~450、10~400、10~350、10~300、10~250、10~200、10~150、10~130、10~110、10~90、10~70、10~50、10~30、30~500、30~450、30~400、30~350、30~300、30~250、30~200、30~150、30~130、30~110、30~90、30~70、30~50、50~500、50~450、50~400、50~350、50~300、50~250、50~200、50~150、50~130、50~110、50~90、50~70、70~500、70~450、70~400、70~350、70~300、70~250、70~200、70~150、70~130、70~110、70~90、90~500、90~450、90~400、90~350、90~300、90~250、90~200、90~150、90~130、90~110、110~500、110~450、110~400、110~350、110~300、110~250、110~200、110~150、110~130、130~500、130~450、130~400、130~350、130~300、130~250、130~200、130~150、150~500、150~450、150~400、150~350、150~300、150~250、150~200、200~500、200~450、200~400、200~350、200~300、200~250、250~500、250~450、250~400、250~350、250~300、300~500、300~450、300~400、300~350、350~500、350~450、350~400、400~500、400~450または450~500mgの範囲であることができる。例えば、不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、約0.1~約5mgの範囲であることができる。
【0200】
[0332] 用量は、1回の吸入の間に投与されることができ、または数回の吸入の間に投与されることができる。抗不整脈医薬濃度の変動は、医薬組成物をより頻繁に投与するこ
とによって低減することができ、または医薬組成物をより低頻度で投与することによって増加させることができる。従って、本発明の1以上の態様の医薬組成物は、毎日約4回~1ヶ月に約1回、例えば毎日約1回~2週ごとに約1回、2日ごとに約1回~週に約1回、および毎週約1回投与されることができる。医薬組成物は、必要に応じて患者に投与されることもできる。
【0201】
[0333] 不整脈を患う患者を処置するために、投与される抗不整脈医薬の用量当たりの量は、不整脈を処置するのに有効な量であることができる。不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、一般に予防のために使用される量よりも多いと考えられ、典型的には約0.001mg/kg~6mg/kg、例えば約0.002mg/kg~約5mg/kgまたは約0.005mg/kg~約4mg/kgの範囲であろう。ある典型的な処置計画において、本発明の1以上の態様に従う配合物は、毎日約1~約4回、例えば毎日約2~約3回投与されることができる。一般に、患者に送達される抗不整脈医薬の用量は、処置されている病気、患者の年齢および体重等に応じて、毎日約0.1mg~約600mg、例えば約0.2mg~500mgの範囲であろう。
【0202】
[0334] ある場合には、不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、少なくとも約0.001mg/kg、例えば少なくとも約0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.01mg/kg、0.02mg/kg、0.04mg/kg、0.06mg/kg、0.08mg/kg、0.1mg/kg、0.2mg/kg、0.3mg/kg、0.4mg/kg、0.5mg/kg、0.6mg/kg、0.7mg/kg、0.8mg/kg、0.9mg/kg、1mg/kg、1.5mg/kg、2mg/kg、2.5mg/kg、3mg/kg、3.5mg/kg、4mg/kg、4.5mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kg、8mg/kg、9mg/kg、10mg/kg、15mg/kgまたは20mg/kgであることができる。不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、約0.001mg/kg~20mg/kg、例えば約0.001mg/kg~約0.01mg/kg、約0.01mg/kg~約0.05mg/kg、約0.05mg/kg~約0.1mg/kg、約0.1mg/kg~約0.2mg/kg、約0.5mg/kg~約0.1mg/kg~約1mg/kg、約0.1mg/kg~約2mg/kg、約0.1mg/kg~約3mg/kg、約0.3mg/kg~約1mg/kg、約0.3mg/kg~約2mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、約0.5mg/kg~約1mg/kg、約0.5mg/kg~約2mg/kg、約0.5mg/kg~約3mg/kg、約0.5mg/kg~約6mg/kg、約0.7mg/kg~約1mg/kg、約0.7mg/kg~約2mg/kg、約0.7mg/kg~約4mg/kg、約0.7mg/kg~約6mg/kg、約1mg/kg~約2mg/kg、約1mg/kg~約4mg/kg、約1mg/kg~約6mg/kg、約1mg/kg~約8mg/kg、約1mg/kg~約10mg/kg、約1mg/kg~約15mg/kg、約1mg/kg~約20mg/kg、約2mg/kg~約3mg/kg、約2mg/kg~約4mg/kg、約2mg/kg~約6mg/kg、約2mg/kg~約8mg/kg、約2mg/kg~約10mg/kg、約2mg/kg~約15mg/kg、約2mg/kg~約20mg/kg、約3mg/kg~約4mg/kg、約3mg/kg~約5mg/kg、約3mg/kg~約6mg/kg、約3mg/kg~約8mg/kg、約3mg/kg~約10mg/kg、約3mg/kg~約15mg/kg、約3mg/kg~約20mg/kg、約4mg/kg~約5mg/kg、約4mg/kg~約6mg/kg、約4mg/kg~約8mg/kg、約4mg/kg~約10mg/kg、約4mg/kg~約15mg/kg、約4mg/kg~約20mg/kg、約6mg/kg~約8mg/kg、約6mg/kg~約10mg/kg、約6mg/kg~約15mg/kg、約6mg/kg~約20mg/kg、約8mg/kg~約10mg/kg、約8mg/kg~約15mg/kg、約8mg/kg~約20mg/kg、約10mg/kg~約15mg/kg、約10mg/kg~約2
0mg/kgまたは約15mg/kg~約20mg/kgの範囲であることができる。
【0203】
[0335] 例えば、本発明は、最初の吸入の後に心臓除細動が起こらない場合、フォローアップ吸入を含み得る。典型的には、最初の吸入から30分以内に心臓除細動が起こらない場合、フォローアップ投与量は、最初の投与量より高いかまたは同じである。
【0204】
[0336] 投与は、患者がどのように感じるかによってガイドされることができる。さらに、または代わりに、投与は、携帯型/移動型ECGデバイスを使用することによってガイドされることができる。例えば、投薬は、ホルターモニターを使用することによってガイドされることができる。
【0205】
[0337] 別のバージョンにおいて、医薬組成物は、不整脈を発現しそうな患者に予防的に投与される。例えば、不整脈の病歴を有する患者は、不整脈を発現する可能性を低減するために、抗不整脈医薬を含む医薬組成物で予防的に処置されることができる。
【0206】
[0338] 医薬組成物は、不整脈を予防するのに有効なあらゆる計画で患者に投与されることができる。実例として挙げられる予防計画は、本明細書に記載される抗不整脈医薬を1週間あたり1~21回投与することを含む。
【0207】
[0339] 理論に束縛されることを望むわけではないが、本発明の1以上の態様に従う抗不整脈医薬を提供することによって、抗不整脈医薬の全身曝露が、初期希釈を回避することにより低減されることができる。上記で特筆されたように、抗不整脈医薬は、それが心臓を通過する際および通過後に希釈を経る。従って、抗不整脈医薬の吸入による投与は、静脈内送達よりも安全であると信じられる。
【0208】
[0340] 別の側面において、投与の方法は、エアロゾル化された医薬品の投与のためのエアロゾル発生器デバイスおよび/またはシステム、例えば米国特許出願公開第20050235987号、第20050211253号、第20050211245号、第20040035413号および第20040011358号において開示されているデバイスおよび/またはシステムにより自由呼吸患者に投与することを含み、その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0209】
[0341] あるバージョンにおいて、医薬組成物は、乾燥粉末の形成で患者の肺に送達され得る。従って、医薬組成物は、深部肺に、または別の標的部位に有効に送達され得る乾燥粉末を含む。この医薬組成物は、肺の肺胞中への浸透を可能にするように選択された大きさを有する粒子を含む乾燥粉末の形態である。あるバージョンにおいて、医薬組成物は、ミクロンまたはサブミクロンサイズの穴を通じて液体を押し出し、その後レイリー崩壊(Rayleigh break-up)で微細な液滴になることにより、送達されることができる。
【0210】
[0342] ある例において、単位用量、例えば0.1mgまたは100mgまたはより多くの用量の抗不整脈性医薬を1回の吸入で肺に送達することが望ましい。上記のリン脂質中空および/または多孔質乾燥粉末粒子は、約5mg以上の用量、しばしば約10mgより大きい用量、時には約15mgより大きい用量、時には約20mgより大きい用量、時には約25mgより大きい用量、時には約30mgより大きい用量が1回の吸入で、そして好都合な様式で送達されることを可能にする。あるいは、投与量は、2回以上の吸入、例えば1~6回、1~5回または1~4回の吸入にわたって送達されることができる。例えば、10mgの投与量は、それぞれ5mgの2つの単位用量を提供することによって送達されることができ、その2つの単位用量は、別々に吸入されることができる。特定の態様において、抗不整脈医薬の全用量は、0.1mg~200mg、例えば0.5mg~1
50mgまたは1mg~100mgの範囲である。
【0211】
[0343] ある場合には、投与量は、2回以上の吸入、例えば少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100回の吸入にわたって送達されることができる。投与量は、1~100回の吸入、例えば1~3、1~4、1~5、1~6、1~10、1~20、1~50、1~80、1~100、2~5、2~6、2~10、2~20、2~50、2~100、5~10、5~20、5~50、5~100、10~20、10~50、10~100、20~50、20~100または50~100回の吸入にわたって送達されることもできる。例えば、10mgの投与量は、それぞれ5mgの2回の単位用量を提供することにより送達されることができ、その2回の単位用量は、別々に吸入されることができる。特定の態様において、抗不整脈医薬の全用量は、約0.01~500mg、例えば約0.1~500、0.1~450、0.1~400、0.1~350、0.1~300、0.1~250、0.1~200、0.1~150、0.1~130、0.1~110、0.1~90、0.1~70、0.1~50、0.1~30、0.1~10、0.1~5、0.1~1.0、0.1~0.5、1~500、1~450、1~400、1~350、1~300、1~250、1~200、1~150、1~130、1~110、1~90、1~70、1~50、1~30、1~10、1~5、5~500、5~450、5~400、5~350、5~300、5~250、5~200、5~150、5~130、5~110、5~90、5~70、5~50、5~30、5~10、10~500、10~450、10~400、10~350、10~300、10~250、10~200、10~150、10~130、10~110、10~90、10~70、10~50、10~30、30~500、30~450、30~400、30~350、30~300、30~250、30~200、30~150、30~130、30~110、30~90、30~70、30~50、50~500、50~450、50~400、50~350、50~300、50~250、50~200、50~150、50~130、50~110、50~90、50~70、70~500、70~450、70~400、70~350、70~300、70~250、70~200、70~150、70~130、70~110、70~90、90~500、90~450、90~400、90~350、90~300、90~250、90~200、90~150、90~130、90~110、110~500、110~450、110~400、110~350、110~300、110~250、110~200、110~150、110~130、130~500、130~450、130~400、130~350、130~300、130~250、130~200、130~150、150~500、150~450、150~400、150~350、150~300、150~250、150~200、200~500、200~450、200~400、200~350、200~300、200~250、250~500、250~450、250~400、250~350、250~300、300~500、300~450、300~400、300~350、350~500、350~450、350~400、400~500、400~450または450~500mgの範囲である。例えば、不整脈の処置のための抗不整脈医薬の量は、約0.1~約5mgの範囲であることができる。一部の例において、抗不整脈剤は、作用をもたらすために必要に応じて投与量を用量設定して投与されることができる。
【0212】
[0344] 投与のための時間は、典型的には短い。噴霧器に関して、投与時間は、通常は1分間~20分間、例えば2分間~15分間または3分間~10分間の範囲である。単一のカプセルのための乾燥粉末に関して、総投与時間は、通常は約1分間未満である。従って、投与のための時間は、約5分間未満、例えば約4分間未満、約3分間未満、約2分間未満または約1分間未満であることができる。
【0213】
[0345] 特定の態様において、本発明は、後で心房性不整脈の処置が行われる、医療提供者による診断の方法に向けられている。特定の態様において、本発明は、心房性不整脈を自己診断および処置する方法に向けられている。その方法は、息切れ、心臓の動悸および正常な心拍数を超えることの少なくとも1つを検出することによって心房性不整脈を診断または自己診断することを含む。その方法は、自己診断の2時間以内、例えば1時間、30分以内、または15分以内に有効量の少なくとも1種類の抗不整脈医薬を吸入によって自己投与することも含む。
【0214】
[0346] 特定の態様において、患者は、自分で用量設定することができる。例えば、患者は、例えば噴霧器を使用することによって、身体障害性症状が消失するまで自己投与することができる。ある場合には、自己投与は、患者がもはや心臓の動悸を感じなくなるまで、または患者が携帯型/移動型ECGデバイス(時計のように患者により着用されることができるもの;または他の方法で患者に身につけられて運ばれることができるもの、例えばスマートフォンもしくは時計に接続された皮膚上パッチもしくは埋め込み式デバイス)を使用して正常洞調律の回復を検出するまで継続する。
【0215】
[0347] 作用の開始のための時間も、典型的には短い。例えば、患者は、投与を開始して20分以内、例えば投与を開始して15分以内、10分以内または5分以内に、正常な洞調律を有し得る。作用の迅速な開始は、患者がより長く不整脈を有しているほど典型的には患者を正常な洞調律に転換するのにかかる時間がより長くなるため、有利である。
【0216】
[0348] ある態様において、本発明の方法は、患者が他の療法、例えばアブレーションおよび/または電気的心臓除細動を回避することを可能にする。他の態様において、本発明の方法は、他の療法と組み合わせて、例えば電気的心臓除細動および/またはアブレーション療法の前または後で使用される。
【0217】
[0349] 分散物または粉末医薬組成物は、エアロゾル化デバイスを用いて投与されることができる。エアロゾル化デバイスは、噴霧器、定量吸入器、液体用量点滴注入デバイスまたは乾燥粉末吸入器であることができる。エアロゾル化デバイスは、ミクロンまたはサブミクロンサイズの穴を通した医薬製剤の押し出しとその後の微細な液滴へのレイリー崩壊を含むことができる。医薬組成物は、国際公開第99/16420号に記載されている噴霧器により、国際公開第99/16422号に記載されている定量吸入器により、国際公開第99/16421号に記載されている液体用量点滴注入装置により、ならびに米国特許出願公開第20020017295号および第20040105820号、国際公開第99/16419号、国際公開第02/83220号ならびに米国特許第6,546,929号において記載されている乾燥粉末吸入器により送達されることができ、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。従って、吸入器は、粒子または粒子および噴射剤を収容するキャニスタを含むことができ、ここで、吸入器は、キャニスタの内部と連通する計量弁を含む。噴射剤は、ヒドロフルオロアルカンであることができる。
【0218】
[0350] 本発明の配合物は、それを必要とする患者の肺気道に投与されることができるエアロゾル化薬剤を提供するために、PCT国際公開第99/16420号(その開示は、参照により本明細書にそのまま援用される)において開示されているような噴霧器を用いて投与されることができる。噴霧器は、当該技術で既知であり、過度の実験操作を用いずに、特許請求される配合物の投与のために容易に利用されることができるであろう。吸気作動式または吸気感応式噴霧器、ならびに開発された、または開発されるであろう他のタイプの向上を含む噴霧器も、本発明の配合物と適合性であり、その範囲内であることが意図されている。
【0219】
[0351] ある場合には、噴霧器は、吸気作動式または吸気感応式噴霧器である。ある場
合には、噴霧器は、手持ち式吸入器デバイス(例えばAeroEclipse(登録商標)II吸気感応式噴霧器(BAN))である。ある場合には、噴霧器は、圧縮空気源を有
する。ある場合には、噴霧器は、液体医薬品をエアロゾルに変換する。ある場合には、噴霧器は、ミクロンまたはサブミクロンサイズの穴を通じて医薬製剤を押し出すことによって液体医薬品をエアロゾルに変換する。ある場合には、噴霧器は、液体医薬品をエアロゾルに、それが肺中へと吸入され得るように変換する。ある場合には、噴霧器は、小容量噴霧器である。ある場合には、噴霧器は、小容量ジェット噴霧器である。ある場合には、エアロゾル化された医薬品は、デバイスを通じて吸入された場合にのみ生成される。ある場合には、医薬品は、呼吸の間、または処置における休止(breaks)の間にカップに収容される。ある場合には、医薬品は、吸入される準備ができるまでカップに収容される。
【0220】
[0352] 噴霧器は、液体をエアロゾル化し、そして患者の肺系、例えば肺への送達を可能にするために、液体医薬配合物にエネルギーを付与する。噴霧器は、液体送達システム、例えば液体医薬配合物を収容するリザーバーを有する容器を含む。液体医薬配合物は、一般に溶液状態であるかまたは液体媒体内に懸濁されているかのどちらかである有効薬剤を含む。
【0221】
[0353] 一般にジェット噴霧器と呼ばれる1つのタイプの噴霧器では、圧縮ガスが、開口部を通って容器内に送入される。圧縮ガスは、ノズルを通じて液体を強制的に送り出し、送り出された液体は、流れているガスと混ざってエアロゾル液滴を形成する。次いで、液滴の雲状物が、患者の気道に投与される。
【0222】
[0354] 一般に振動メッシュ噴霧器と呼ばれる別のタイプの噴霧器では、機械的エネルギーのようなエネルギーがメッシュを振動させる。メッシュのこの振動は、液体医薬配合物をエアロゾル化して、患者の肺に投与されるエアロゾル雲状物を作り出す。別のタイプの噴霧器では、噴霧は、ミクロンまたはサブミクロンサイズの穴を通した押し出しとそれに続く微細な液滴へのレイリー崩壊を含む。
【0223】
[0355] あるいは、またはさらに、医薬配合物は、液体形態であることができ、参照により本明細書にそのまま援用される国際公開第2004/071368号ならびに両方とも参照により本明細書にそのまま援用される米国特許出願公開第2004/0011358号および第2004/0035413号において記載されている噴霧器を用いてエアロゾル化されることができる。噴霧器の他の例は、アイルランドゴールウェイのAerogen Ltd.から入手可能なAeroneb(登録商標)GoまたはAeroneb(登録商標)Pro噴霧器;バージニア州ミッドロージアンのPARI Respiratory Equipment,Inc.から入手可能なPARI eFlowおよび他のPARI噴霧器;ニュージャージー州イーストブランズウィックのLumiscope Company,Inc.から入手可能なLumiscope(登録商標)Nebulizer 6600または6610;ならびに日本、京都のOmron Healthcare,Inc.から入手可能なOmron NE-U22を含むが、それらに限定されない。他の噴霧器の例は、Medspray(オランダ、エンスヘデー)によって製造されたデバイスを含む。
【0224】
[0356] 振動メッシュタイプの噴霧器、例えば圧縮ガスを使用せずに液滴を形成する振動メッシュタイプの噴霧器、例えばAeroneb(登録商標)Proは、投薬効率および一貫性において予想外の向上を提供することが、見出されている。圧縮空気を導入するのではなく、振動する穿孔されたかまたは穿孔されていない膜を使用することにより微細な液滴を生成することによって、エアロゾル化された医薬配合物は、流動特性に実質的に影響を及ぼすことなく導入されることができる。加えて、このタイプの噴霧器を使用する
場合、生成された液滴は、低速度で導入され、それにより液滴が望ましくない領域に運ばれる(driven)可能性を減少させる。押出/レイリージェット崩壊型の噴霧器を使用する場合、生成された液滴は、やはり低速度で導入され、それにより液滴が望ましくない領域に運ばれる可能性を減少させることが、見出されている。
【0225】
[0357] ある場合には、噴霧器は、振動メッシュ型であることができる。ある場合には、噴霧器は、加圧ジェット型であることができる。ある場合には、噴霧器は、押出/レイリー崩壊型であることができる。ある場合には、噴霧器は、軽量(最大60g、最大100g、最大200g、最大250g)であり、ほとんど無音である。ある場合には、噴霧器は、1メートルで35A加重デシベル(dBA)未満の音響レベルを有する。ある場合には、噴霧器は、6mLの医薬品カップ容量を有する。ある場合には、噴霧器は、0.3mL未満の残留体積を有する。ある場合には、噴霧器は、0.4mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、0.5mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、0.6mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、0.7mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、0.8mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、0.9mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、1.0mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、1.1mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、1.2mL/分の平均流速を生成する。ある場合には、噴霧器は、3.0μm MMADの平均粒径を生成する。ある場合には、噴霧器は、3.0μm MMAD~4.0μm MMADの平均粒径を生成する。ある場合には、噴霧器は、3.0μm MMADの平均粒径を生成する。ある場合には、噴霧器は、3.0μm MMAD~5.0μm MMADの平均粒径を生成する。ある場合には、噴霧器は、3.0μm MMADの平均粒径を生成する。ある場合には、噴霧器は、3.0μm MMAD~6.0μm MMADの平均粒径を生成する。
【0226】
[0358] さらに別のタイプの噴霧器では、超音波が生成され、医薬配合物を直接振動させ、エアロゾル化する。
[0359] 上記で特筆されたように、本発明は、乾燥粉末吸入器を含むこともできる。乾燥粉末エアロゾル化装置の特定のバージョンが、米国特許第4,069,819号および第4,995,385号において記載されており、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。カプセルが吸入方向に直交するようにカプセルを受け入れるような大きさおよび形状であるチャンバーを有する別の有用なデバイスが、米国特許第3,991,761号において記載されており、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。やはり米国特許第3,991,761号において記載されているように、穿刺機構がカプセルの両端を穿刺することができる。別のバージョンにおいて、例えば米国特許第4,338,931号および第5,619,985号において記載されているように、チャンバーは、カプセル中を空気が通過するような形でカプセルを受け入れることができ、それらは、参照により本明細書にそのまま援用される。別のバージョンにおいて、医薬組成物のエアロゾル化は、例えば米国特許第5,458,135号;第5,785,049号;および第6,257,233号において記載されているように、入口を通る加圧ガスの流れによって成し遂げられることができ、または国際公開第00/72904号および米国特許第4,114,615号において記載されているように、噴射剤によって成し遂げられることができ、それらは、参照により本明細書に援用される。これらのタイプの乾燥粉末吸入器は、一般に能動的乾燥粉末吸入器と呼ばれる。
【0227】
[0360] 他の乾燥粉末吸入器は、Boehringer Ingelheim(例えばRespimat吸入器)、Hovione(例えばFlowCaps吸入器)、Plastiape(例えばOsmohaler吸入器)およびMicroDoseから入手可能な吸入器を含む。本発明は、Alexza(カリフォルニア州マウンテンビュー)から入手可能な凝縮エアロゾルデバイスを利用することもできる。さらに別の有用な吸入器が
、国際公開第2008/051621号において開示されており、それは、参照により本明細書にそのまま援用される。
【0228】
[0361] 本明細書で開示される医薬配合物は、エアロゾル化、例えば定量吸入器を用いたエアロゾル化によって患者の肺に投与されることもできる。そのような配合物の使用は、参照により本明細書にそのまま援用される国際公開第99/16422号において開示されているように、優れた用量再現性および向上した肺沈着を提供する。MDIは、当該技術で既知であり、過度の実験操作なしで特許請求される分散物の投与に容易に利用されることができるであろう。吸気作動式または吸気感応式MDIおよび加圧MDI(pMDI)ならびに開発された、または開発されるであろう他のタイプの向上を含むMDIも、本発明の配合物と適合性であり、従って本発明の範囲内であることが意図されている。
【0229】
[0362] DPI、MDIおよび噴霧器と共に、本発明の1以上の態様の配合物は、例えば参照により本明細書にそのまま援用される国際公開第99/16421号において開示されているような液体用量点滴注入またはLDI技法と合わせて用いられることができることは、理解されるであろう。液体用量点滴注入は、肺への配合物の直接投与を含む。LDIに関して、配合物は、好ましくは部分的液体換気または完全液体換気と合わせて使用される。さらに、本発明の1以上の態様は、投与前、投与の間または投与後に療法上有益な量の生理学的に許容可能なガス(例えば一酸化窒素または酸素)を医薬マイクロ分散液中に導入することをさらに含むことができる。
【0230】
[0363] 本発明の1以上の態様の医薬組成物は、典型的には向上した放出用量効率を有する。従って、高用量の医薬組成物が、様々なエアロゾル化デバイスおよび技法を使用して送達され得る。
【0231】
[0364] 本発明の粒子の放出用量(ED)は、約30%より大きい、例えば約40%より大きい、約50%より大きい、約60%より大きい、または約70%より大きいことができる。
【0232】
[0365] 1以上の態様が、キットに向けられている。例えば、キットは、エアロゾル化デバイスおよびエアロゾル化可能な抗不整脈医薬、例えば液体または乾燥粉末を収容している容器、例えば単位用量容器を含むことができる。
【0233】
[0366] キットは、さらにエアロゾル化デバイスおよび容器を収容する包装、例えばバッグを含むことができる。
[0367] 上記を考慮して、本発明は、急性不整脈および/または慢性不整脈の急性エピソードを処置する方法を含む。特定の態様において、処置は、心房性不整脈の検出後の急性処置を含む。
【0234】
[0368] この処置の方法は、結果としてIVの作用を模倣する拍動性の薬物動態プロフィールおよび一過性の薬力学的作用をもたらす。この方法は、安全かつ有効である高い薬物濃度を心臓に送達し、一方で身体の残りの部分への分配は、結果として薬物が療法レベル未満まで希釈されることをもたらす。この方法は、心臓内注射の次に最短の心臓への送達経路である。これは、“ポケット内丸薬”アプローチのような自己投与の便利さを提供するが、IVの有効性および迅速な作用の開始を提供する。全身作用のための肺を通した医薬品の送達は、新しくはないが、薬剤が心臓を速く通過するため、心臓には有効ではないであろうと考えられていた。この研究における動物およびヒトのPK/PDデータは、薬物暴露が他の投与経路と比較してはるかに低い用量で療法的作用に十分であることを示している。この方法は、血漿全体における薬物(dug)濃度が経口/IVによって達成されるものよりもはるかに低いことを確実にし、従って薬物-薬物相互作用および副作用
を最小限にする。
【0235】
[0369] ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のTmaxは、約0.1分~約30分、例えば0.1~0.5、0.1~1、0.1~1.5、0.1~2、0.1~2.5、0.1~3、0.1~3.5、0.1~4、0.1~4.5、0.1~5、0.1~6、0.1~8、0.1~10、0.1~15、0.1~20、0.1~25、0.1~30、0.2~0.5、0.2~1、0.2~1.5、0.2~2、0.2~2.5、0.2~3、0.2~3.5、0.2~4、0.2~4.5、0.2~5、0.2~6、0.2~8、0.2~10、0.2~15、0.2~20、0.2~25、0.2~30、0.3~0.5、0.3~1、0.3~1.5、0.3~2、0.3~2.5、0.3~3、0.3~3.5、0.3~4、0.3~4.5、0.3~5、0.3~6、0.3~8、0.3~10、0.3~15、0.3~20、0.3~25、0.3~30、0.5~1、0.5~1.5、0.5~2、0.5~2.5、0.5~3、0.5~3.5、0.5~4、0.5~4.5、0.5~5、0.5~6、0.5~8、0.5~10、0.5~15、0.5~20、0.5~25、0.5~30、1~1.5、1~2、1~2.5、1~3、1~3.5、1~4、1~4.5、1~5、1~6、1~8、1~10、1~15、1~20、1~25、1~30、1.5~2、1.5~2.5、1.5~3、1.5~3.5、1.5~4、1.5~4.5、1.5~5、1.5~6、1.5~8、1.5~10、1.5~15、1.5~20、1.5~25、1.5~30、2~2.5、2~3、2~3.5、2~4、2~4.5、2~5、2~6、2~8、2~10、2~15、2~20、2~25、2~30、2.5~3、2.5~3.5、2.5~4、2.5~4.5、2.5~5、2.5~6、2.5~8、2.5~10、2.5~15、2.5~20、2.5~25、2.5~30、3~3.5、3~4、3~4.5、3~5、3~6、3~8、3~10、3~15、3~20、3~25、3~30、3.5~4、3.5~4.5、3.5~5、3.5~6、3.5~8、3.5~10、3.5~15、3.5~20、3.5~25、3.5~30、4~4.5、4~5、4~6、4~8、4~10、4~15、4~20、4~25、4~30、4.5~5、4.5~6、4.5~8、4.5~10、4.5~15、4.5~20、4.5~25、4.5~30、5~6、5~8、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5.5~6、5.5~8、5.5~10、5.5~15、5.5~20、5.5~25、5.5~30、6~8、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、10~15、10~20、10~25、10~30、15~20、15~25、15~30、20~25、20~30または25~30分であることができる。本開示において与えられている範囲は、2つの正確な数値の間の範囲であることができ、ある場合には、本開示における範囲は、2つのおおよその数値の間の範囲を指すこともできる。例えば、“1~10”は、ある場合には“1から10まで”を指すことができ、一方で他の場合には、“1~10”は、“約1から約10まで”を指すことができる。ある場合には、吸入により投与される抗不整脈医薬のTmaxは、0.01~5、0.02~5、0.03~5、0.04~5、0.05~5、0.06~5、0.07~5、0.08~5、0.09~5、0.12~5、0.14~5、0.15~5、0.16~5、0.18~5、0.2~5、0.24~5、0.26~5、0.28~5、0.3~5、0.35~5、0.4~5、0.5~5、0.6~5、0.7~5、0.8~5、0.9~5または1~5分であることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のTmaxは、約0.1~約3分であることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のTmaxは、約0.1~約5分であることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬(例えばフレカイニド)のTmaxは、約0.2~約5分であることができる。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0236】
[0370] ある場合には、Tmaxは、抗不整脈医薬の最高血漿中濃度が観察される時間の長さとして計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、最高血漿中濃度に達した際の抗不整脈医薬の投与後の時間の長さとして計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、最高血漿中濃度に達した際の抗不整脈医薬の投与の開始後の時間の長さとして計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、最高血漿中濃度に達した際の抗不整脈医薬の投与の完了後の時間の長さとして計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、左室腔で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、肺動脈中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、静脈(例えば大腿静脈)中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、Tmaxは、ヒトPK/PD試験において測定されることができる。本明細書で用いられる“ヒトPK/PD試験”という用語は、ヒト対象が本明細書で提供される抗不整脈剤の一回量の投与を受け、薬物動態(PK)または薬力学(PD)パラメーターが抗不整脈剤の投与後にヒト対象から測定されるあらゆる設定を指すことができる。ある場合には、本明細書で提供されるヒトPK/PD試験は、診療所または病院設定で実施される臨床試験を指すことができる。ある場合には、ヒトPK/PD試験は、単一施設または多施設試験であることができる。ヒトPK/PD試験は、健康なヒト対象またはヒト心血管患者に対して実施されることができる。ある場合には、心血管疾患を有する患者は、本明細書において記載されたような不整脈を経験する。ある場合には、ヒトPK/PD試験は、単回投与試験であることができ、他の場合には、ヒトPK/PD試験は、複数回投与(例えば漸増用量)試験であることができる。
【0237】
[0371] ある場合には、吸入によって投与される抗不整脈医薬のCmaxは、約10ng/mL~約5000ng/mL、例えば約10~30、10~50、10~70、10~80、10~90、10~100、10~110、10~120、10~130、10~140、10~150、10~160、10~170、10~180、10~190、10~200、10~250、10~300、10~350、10~400、10~450、10~500、10~550、10~600、10~650、10~700、10~800、10~900、10~1000、10~1500、10~2000、10~3000、10~4000、10~5000、20~30、20~50、20~70、20~80、20~90、20~100、20~110、20~120、20~130、20~140、20~150、20~160、20~170、20~180、20~190、20~200、20~250、20~300、20~350、20~400、20~450、20~500、20~550、20~600、20~650、20~700、20~800、20~900、20~1000、20~1500、20~2000、20~3000、20~4000、20~5000、30~50、30~70、30~80、30~90、30~100、30~110、30~120、30~130、30~140、30~150、30~160、30~170、30~180、30~190、30~200、30~250、30~300、30~350、30~400、30~450、30~500、30~550、30~600、30~650、30~700、30~800、30~900、30~1000、30~1500、30~2000、30~3000、30~4000、30~5000、50~70、50~80、50~90、50~100、50~110、50~120、50~130、50~140、50~150、50~160、50~170、50~180、50~190、50~200、50~250、50~300、50~350、50~400、50~450、50~500、50~550、50~600、50~650、50~700、50~800、50~900、50~1000、50~1500、50~2000、50~3000、50~4000、50~5000、70~80、70~90、70~100、70~110、70~120、70~130、70~140、70~150、70~160、70~170、70~180、70~190、
70~200、70~250、70~300、70~350、70~400、70~450、70~500、70~550、70~600、70~650、70~700、70~800、70~900、70~1000、70~1500、70~2000、70~3000、70~4000、70~5000、80~90、80~100、80~110、80~120、80~130、80~140、80~150、80~160、80~170、80~180、80~190、80~200、80~250、80~300、80~350、80~400、80~450、80~500、80~550、80~600、80~650、80~700、80~800、80~900、80~1000、80~1500、80~2000、80~3000、80~4000、80~5000、90~100、90~110、90~120、90~130、90~140、90~150、90~160、90~170、90~180、90~190、90~200、90~250、90~300、90~350、90~400、90~450、90~500、90~550、90~600、90~650、90~700、90~800、90~900、90~1000、90~1500、90~2000、90~3000、90~4000、90~5000、100~110、100~120、100~130、100~140、100~150、100~160、100~170、100~180、100~190、100~200、100~250、100~300、100~350、100~400、100~450、100~500、100~550、100~600、100~650、100~700、100~800、100~900、100~1000、100~1500、100~2000、100~3000、100~4000、100~5000、110~120、110~130、110~140、110~150、110~160、110~170、110~180、110~190、110~200、110~250、110~300、110~350、110~400、110~450、110~500、110~550、110~600、110~650、110~700、110~800、110~900、110~1000、110~1500、110~2000、110~3000、110~4000、110~5000、120~130、120~140、120~150、120~160、120~170、120~180、120~190、120~200、120~250、120~300、120~350、120~400、120~450、120~500、120~550、120~600、120~650、120~700、120~800、120~900、120~1000、120~1500、120~2000、120~3000、120~4000、120~5000、130~140、130~150、130~160、130~170、130~180、130~190、130~200、130~250、130~300、130~350、130~400、130~450、130~500、130~550、130~600、130~650、130~700、130~800、130~900、130~1000、130~1500、130~2000、130~3000、130~4000、130~5000、140~150、140~160、140~170、140~180、140~190、140~200、140~250、140~300、140~350、140~400、140~450、140~500、140~550、140~600、140~650、140~700、140~800、140~900、140~1000、140~1500、140~2000、140~3000、140~4000、140~5000、150~160、150~170、150~180、150~190、150~200、150~250、150~300、150~350、150~400、150~450、150~500、150~550、150~600、150~650、150~700、150~800、150~900、150~1000、150~1500、150~2000、150~3000、150~4000、150~5000、160~170、160~180、160~190、160~200、160~250、160~300、160~350、160~400、160~450、160~500、160~550、160~600、160~650、160~700、160~800、160~900、160~1000、160~1500、160~2000、160~3000、160~4000、160~
5000、170~180、170~190、170~200、170~250、170~300、170~350、170~400、170~450、170~500、170~550、170~600、170~650、170~700、170~800、170~900、170~1000、170~1500、170~2000、170~3000、170~4000、170~5000、180~190、180~200、180~250、180~300、180~350、180~400、180~450、180~500、180~550、180~600、180~650、180~700、180~800、180~900、180~1000、180~1500、180~2000、180~3000、180~4000、180~5000、190~200、190~250、190~300、190~350、190~400、190~450、190~500、190~550、190~600、190~650、190~700、190~800、190~900、190~1000、190~1500、190~2000、190~3000、190~4000、190~5000、200~250、200~300、200~350、200~400、200~450、200~500、200~550、200~600、200~650、200~700、200~800、200~900、200~1000、200~1500、200~2000、200~3000、200~4000、200~5000、250~300、250~350、250~400、250~450、250~500、250~550、250~600、250~650、250~700、250~800、250~900、250~1000、250~1500、250~2000、250~3000、250~4000、250~5000、300~350、300~400、300~450、300~500、300~550、300~600、300~650、300~700、300~800、300~900、300~1000、300~1500、300~2000、300~3000、300~4000、300~5000、350~400、350~450、350~500、350~550、350~600、350~650、350~700、350~800、350~900、350~1000、350~1500、350~2000、350~3000、350~4000、350~5000、400~450、400~500、400~550、400~600、400~650、400~700、400~800、400~900、400~1000、400~1500、400~2000、400~3000、400~4000、400~5000、450~500、450~550、450~600、450~650、450~700、450~800、450~900、450~1000、450~1500、450~2000、450~3000、450~4000、450~5000、500~550、500~600、500~650、500~700、500~800、500~900、500~1000、500~1500、500~2000、500~3000、500~4000、500~5000、550~600、550~650、550~700、550~800、550~900、550~1000、550~1500、550~2000、550~3000、550~4000、550~5000、600~650、600~700、600~800、600~900、600~1000、600~1500、600~2000、600~3000、600~4000、600~5000、650~700、650~800、650~900、650~1000、650~1500、650~2000、650~3000、650~4000、650~5000、700~800、700~900、700~1000、700~1500、700~2000、700~3000、700~4000、700~5000、800~900、800~1000、800~1500、800~2000、800~3000、800~4000、800~5000、900~1000、900~1500、900~2000、900~3000、900~4000、900~5000、1000~1500、1000~2000、1000~3000、1000~4000、1000~5000、1500~2000、1500~3000、1500~4000、1500~5000、2000~3000、2000~4000、2000~5000、3000~4000、3000~5000または4000~5000ng/mLであることができる。ある場合に
は、吸入により投与される抗不整脈医薬のCmaxは、約20ng/mL~約500ng/mL、例えば20~500、30~500、40~500、50~500、60~500、70~500、80~500、90~500、100~500、150~500、200~500または250~500ng/mLであることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のCmaxは、約50~約500ng/mLであることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のCmaxは、約100~約250ng/mLであることができる。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0238】
[0372] ある場合には、Cmaxは、観察された抗不整脈医薬の最高血漿中濃度として計算されることができる。ある場合には、Cmaxは、薬物が投与された後に抗不整脈医薬が達成するピーク血漿中濃度として計算されることができる。ある場合には、Cmaxは、左室腔で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、Cmaxは、肺動脈中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、Cmaxは、静脈(例えば大腿静脈)中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、Cmaxは、ヒトPK/PD試験において測定されることができる。
【0239】
[0373] ある場合には、吸入によって投与される抗不整脈医薬のAUCLastは、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mL、例えば100~200、100~300、100~400、100~420、100~440、100~460、100~480、100~500、100~520、100~540、100~560、100~580、100~600、100~620、100~640、100~660、100~680、100~700、100~800、100~900、100~1000、100~1500、100~2000、100~3000、100~3500、100~4000、100~4500、100~5000、100~5500、100~6000、100~6500、100~7000、100~8000、100~9000、100~10000、200~300、200~400、200~420、200~440、200~460、200~480、200~500、200~520、200~540、200~560、200~580、200~600、200~620、200~640、200~660、200~680、200~700、200~800、200~900、200~1000、200~1500、200~2000、200~3000、200~3500、200~4000、200~4500、200~5000、200~5500、200~6000、200~6500、200~7000、200~8000、200~9000、200~10000、300~400、300~420、300~440、300~460、300~480、300~500、300~520、300~540、300~560、300~580、300~600、300~620、300~640、300~660、300~680、300~700、300~800、300~900、300~1000、300~1500、300~2000、300~3000、300~3500、300~4000、300~4500、300~5000、300~5500、300~6000、300~6500、300~7000、300~8000、300~9000、300~10000、400~420、400~440、400~460、400~480、400~500、400~520、400~540、400~560、400~580、400~600、400~620、400~640、400~660、400~680、400~700、400~800、400~900、400~1000、400~1500、400~2000、400~3000、400~3500、400~4000、400~4500、400~5000、400~5500、400~6000、400~6500、400~7000、400~8000、400~9000、400~
10000、420~440、420~460、420~480、420~500、420~520、420~540、420~560、420~580、420~600、420~620、420~640、420~660、420~680、420~700、420~800、420~900、420~1000、420~1500、420~2000、420~3000、420~3500、420~4000、420~4500、420~5000、420~5500、420~6000、420~6500、420~7000、420~8000、420~9000、420~10000、440~460、440~480、440~500、440~520、440~540、440~560、440~580、440~600、440~620、440~640、440~660、440~680、440~700、440~800、440~900、440~1000、440~1500、440~2000、440~3000、440~3500、440~4000、440~4500、440~5000、440~5500、440~6000、440~6500、440~7000、440~8000、440~9000、440~10000、460~480、460~500、460~520、460~540、460~560、460~580、460~600、460~620、460~640、460~660、460~680、460~700、460~800、460~900、460~1000、460~1500、460~2000、460~3000、460~3500、460~4000、460~4500、460~5000、460~5500、460~6000、460~6500、460~7000、460~8000、460~9000、460~10000、480~500、480~520、480~540、480~560、480~580、480~600、480~620、480~640、480~660、480~680、480~700、480~800、480~900、480~1000、480~1500、480~2000、480~3000、480~3500、480~4000、480~4500、480~5000、480~5500、480~6000、480~6500、480~7000、480~8000、480~9000、480~10000、500~520、500~540、500~560、500~580、500~600、500~620、500~640、500~660、500~680、500~700、500~800、500~900、500~1000、500~1500、500~2000、500~3000、500~3500、500~4000、500~4500、500~5000、500~5500、500~6000、500~6500、500~7000、500~8000、500~9000、500~10000、520~540、520~560、520~580、520~600、520~620、520~640、520~660、520~680、520~700、520~800、520~900、520~1000、520~1500、520~2000、520~3000、520~3500、520~4000、520~4500、520~5000、520~5500、520~6000、520~6500、520~7000、520~8000、520~9000、520~10000、540~560、540~580、540~600、540~620、540~640、540~660、540~680、540~700、540~800、540~900、540~1000、540~1500、540~2000、540~3000、540~3500、540~4000、540~4500、540~5000、540~5500、540~6000、540~6500、540~7000、540~8000、540~9000、540~10000、560~580、560~600、560~620、560~640、560~660、560~680、560~700、560~800、560~900、560~1000、560~1500、560~2000、560~3000、560~3500、560~4000、560~4500、560~5000、560~5500、560~6000、560~6500、560~7000、560~8000、560~9000、560~10000、580~600、580~620、580~640、580~660、580~680、580~700、580~800、580~900、580~1000、580~1500、580~2000、580~3000、580~35
00、580~4000、580~4500、580~5000、580~5500、580~6000、580~6500、580~7000、580~8000、580~9000、580~10000、600~620、600~640、600~660、600~680、600~700、600~800、600~900、600~1000、600~1500、600~2000、600~3000、600~3500、600~4000、600~4500、600~5000、600~5500、600~6000、600~6500、600~7000、600~8000、600~9000、600~10000、620~640、620~660、620~680、620~700、620~800、620~900、620~1000、620~1500、620~2000、620~3000、620~3500、620~4000、620~4500、620~5000、620~5500、620~6000、620~6500、620~7000、620~8000、620~9000、620~10000、640~660、640~680、640~700、640~800、640~900、640~1000、640~1500、640~2000、640~3000、640~3500、640~4000、640~4500、640~5000、640~5500、640~6000、640~6500、640~7000、640~8000、640~9000、640~10000、660~680、660~700、660~800、660~900、660~1000、660~1500、660~2000、660~3000、660~3500、660~4000、660~4500、660~5000、660~5500、660~6000、660~6500、660~7000、660~8000、660~9000、660~10000、680~700、680~800、680~900、680~1000、680~1500、680~2000、680~3000、680~3500、680~4000、680~4500、680~5000、680~5500、680~6000、680~6500、680~7000、680~8000、680~9000、680~10000、700~800、700~900、700~1000、700~1500、700~2000、700~3000、700~3500、700~4000、700~4500、700~5000、700~5500、700~6000、700~6500、700~7000、700~8000、700~9000、700~10000、800~900、800~1000、800~1500、800~2000、800~3000、800~3500、800~4000、800~4500、800~5000、800~5500、800~6000、800~6500、800~7000、800~8000、800~9000、800~10000、900~1000、900~1500、900~2000、900~3000、900~3500、900~4000、900~4500、900~5000、900~5500、900~6000、900~6500、900~7000、900~8000、900~9000、900~10000、1000~1500、1000~2000、1000~3000、1000~3500、1000~4000、1000~4500、1000~5000、1000~5500、1000~6000、1000~6500、1000~7000、1000~8000、1000~9000、1000~10000、1500~2000、1500~3000、1500~3500、1500~4000、1500~4500、1500~5000、1500~5500、1500~6000、1500~6500、1500~7000、1500~8000、1500~9000、1500~10000、2000~3000、2000~3500、2000~4000、2000~4500、2000~5000、2000~5500、2000~6000、2000~6500、2000~7000、2000~8000、2000~9000、2000~10000、2500~3000、2500~3500、2500~4000、2500~4500、2500~5000、2500~5500、2500~6000、2500~6500、2500~7000、2500~8000、2500~9000、2500~10000、3000~3500、3000~4000、3000~4500、3000~5000、3000~5500、3000~6000、3000~6500、3000~7000、
3000~8000、3000~9000、3000~10000、3500~4000、3500~4500、3500~5000、3500~5500、3500~6000、3500~6500、3500~7000、3500~8000、3500~9000、3500~10000、4000~4500、4000~5000、4000~5500、4000~6000、4000~6500、4000~7000、4000~8000、4000~9000、4000~10000、4500~5000、4500~5500、4500~6000、4500~6500、4500~7000、4500~8000、4500~9000、4500~10000、5000~5500、5000~6000、5000~6500、5000~7000、5000~8000、5000~9000、5000~10000、5500~6000、5500~6500、5500~7000、5500~8000、5500~9000、5500~10000、6000~6500、6000~7000、6000~8000、6000~9000、6000~10000、6500~7000、6500~8000、6500~9000、6500~10000、7000~8000、7000~9000、7000~10000、8000~9000、8000~10000または9000~10000hr*ng/mLであることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のAUCLastは、約200~約2000hr*ng/mLであることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のAUCLastは、約500~約800hr*ng/mLであることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬のAUCLastは、約400~約600hr*ng/mLであることができる。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0240】
[0374] ある場合には、AUCLastは、最後の測定可能な濃度に至るまでの濃度-時間曲線の下の面積として計算されることができる。ある場合には、AUCLastは、時間経過にわたる総薬物曝露として計算されることができる。ある場合には、AUCLastは、左室腔で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、AUCLastは、肺動脈中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、AUCLastは、静脈(例えば大腿静脈)中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、AUCLastは、ヒトPK/PD試験において測定されることができる。
【0241】
[0375] ある場合には、吸入によって投与される抗不整脈医薬の分布t1/2は、約0.1分~約15分、例えば約0.1~0.5、0.1~1、0.1~1.5、0.1~2、0.1~2.5、0.1~2.6、0.1~2.7、0.1~2.8、0.1~2.9、0.1~3、0.1~3.1、0.1~3.2、0.1~3.3、0.1~3.4、0.1~3.5、0.1~3.6、0.1~3.7、0.1~3.8、0.1~3.9、0.1~4、0.1~4.1、0.1~4.2、0.1~4.3、0.1~4.4、0.1~4.5、0.1~5、0.1~5.5、0.1~6、0.1~7、0.1~8、0.1~9、0.1~10、0.1~11、0.1~12、0.1~13、0.1~14、0.1~15、0.5~1、0.5~1.5、0.5~2、0.5~2.5、0.5~2.6、0.5~2.7、0.5~2.8、0.5~2.9、0.5~3、0.5~3.1、0.5~3.2、0.5~3.3、0.5~3.4、0.5~3.5、0.5~3.6、0.5~3.7、0.5~3.8、0.5~3.9、0.5~4、0.5~4.1、0.5~4.2、0.5~4.3、0.5~4.4、0.5~4.5、0.5~5、0.5~5.5、0.5~6、0.5~7、0.5~8、0.5~9、0.5~10、0.5~11、0.5~12、0.5~13、0.5~14、0.5~15、1~1.5、1~2、1~2.5、1~2.6、1~2.7、1~2.8、1~2.9、1~3、1~3.1、1
~3.2、1~3.3、1~3.4、1~3.5、1~3.6、1~3.7、1~3.8、1~3.9、1~4、1~4.1、1~4.2、1~4.3、1~4.4、1~4.5、1~5、1~5.5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、1~13、1~14、1~15、1.5~2、1.5~2.5、1.5~2.6、1.5~2.7、1.5~2.8、1.5~2.9、1.5~3、1.5~3.1、1.5~3.2、1.5~3.3、1.5~3.4、1.5~3.5、1.5~3.6、1.5~3.7、1.5~3.8、1.5~3.9、1.5~4、1.5~4.1、1.5~4.2、1.5~4.3、1.5~4.4、1.5~4.5、1.5~5、1.5~5.5、1.5~6、1.5~7、1.5~8、1.5~9、1.5~10、1.5~11、1.5~12、1.5~13、1.5~14、1.5~15、2~2.5、2~2.6、2~2.7、2~2.8、2~2.9、2~3、2~3.1、2~3.2、2~3.3、2~3.4、2~3.5、2~3.6、2~3.7、2~3.8、2~3.9、2~4、2~4.1、2~4.2、2~4.3、2~4.4、2~4.5、2~5、2~5.5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、2~11、2~12、2~13、2~14、2~15、2.5~2.6、2.5~2.7、2.5~2.8、2.5~2.9、2.5~3、2.5~3.1、2.5~3.2、2.5~3.3、2.5~3.4、2.5~3.5、2.5~3.6、2.5~3.7、2.5~3.8、2.5~3.9、2.5~4、2.5~4.1、2.5~4.2、2.5~4.3、2.5~4.4、2.5~4.5、2.5~5、2.5~5.5、2.5~6、2.5~7、2.5~8、2.5~9、2.5~10、2.5~11、2.5~12、2.5~13、2.5~14、2.5~15、2.6~2.7、2.6~2.8、2.6~2.9、2.6~3、2.6~3.1、2.6~3.2、2.6~3.3、2.6~3.4、2.6~3.5、2.6~3.6、2.6~3.7、2.6~3.8、2.6~3.9、2.6~4、2.6~4.1、2.6~4.2、2.6~4.3、2.6~4.4、2.6~4.5、2.6~5、2.6~5.5、2.6~6、2.6~7、2.6~8、2.6~9、2.6~10、2.6~11、2.6~12、2.6~13、2.6~14、2.6~15、2.7~2.8、2.7~2.9、2.7~3、2.7~3.1、2.7~3.2、2.7~3.3、2.7~3.4、2.7~3.5、2.7~3.6、2.7~3.7、2.7~3.8、2.7~3.9、2.7~4、2.7~4.1、2.7~4.2、2.7~4.3、2.7~4.4、2.7~4.5、2.7~5、2.7~5.5、2.7~6、2.7~7、2.7~8、2.7~9、2.7~10、2.7~11、2.7~12、2.7~13、2.7~14、2.7~15、2.8~2.9、2.8~3、2.8~3.1、2.8~3.2、2.8~3.3、2.8~3.4、2.8~3.5、2.8~3.6、2.8~3.7、2.8~3.8、2.8~3.9、2.8~4、2.8~4.1、2.8~4.2、2.8~4.3、2.8~4.4、2.8~4.5、2.8~5、2.8~5.5、2.8~6、2.8~7、2.8~8、2.8~9、2.8~10、2.8~11、2.8~12、2.8~13、2.8~14、2.8~15、2.9~3、2.9~3.1、2.9~3.2、2.9~3.3、2.9~3.4、2.9~3.5、2.9~3.6、2.9~3.7、2.9~3.8、2.9~3.9、2.9~4、2.9~4.1、2.9~4.2、2.9~4.3、2.9~4.4、2.9~4.5、2.9~5、2.9~5.5、2.9~6、2.9~7、2.9~8、2.9~9、2.9~10、2.9~11、2.9~12、2.9~13、2.9~14、2.9~15、3~3.1、3~3.2、3~3.3、3~3.4、3~3.5、3~3.6、3~3.7、3~3.8、3~3.9、3~4、3~4.1、3~4.2、3~4.3、3~4.4、3~4.5、3~5、3~5.5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、3~11、3~12、3~13、3~14、3~15、3.1~3.2、3.1~3.3、3.1~3.4、3.1~3.5、3.1~3.6、3.1~3.7、3.1~3.8、3.1~3.9、3.1~4、3.1~4.1、3.1~4.2、3.1~4.3、3.1~4.4、3.1~4.5、3.1~5、3.1~5.5、3.1~6、3.1~7、3.1~8、3.1~9、3.1~10、3.1~11、3.1~12、3.1~13、3.1~14、3.1~15、3
.2~3.3、3.2~3.4、3.2~3.5、3.2~3.6、3.2~3.7、3.2~3.8、3.2~3.9、3.2~4、3.2~4.1、3.2~4.2、3.2~4.3、3.2~4.4、3.2~4.5、3.2~5、3.2~5.5、3.2~6、3.2~7、3.2~8、3.2~9、3.2~10、3.2~11、3.2~12、3.2~13、3.2~14、3.2~15、3.3~3.4、3.3~3.5、3.3~3.6、3.3~3.7、3.3~3.8、3.3~3.9、3.3~4、3.3~4.1、3.3~4.2、3.3~4.3、3.3~4.4、3.3~4.5、3.3~5、3.3~5.5、3.3~6、3.3~7、3.3~8、3.3~9、3.3~10、3.3~11、3.3~12、3.3~13、3.3~14、3.3~15、3.4~3.5、3.4~3.6、3.4~3.7、3.4~3.8、3.4~3.9、3.4~4、3.4~4.1、3.4~4.2、3.4~4.3、3.4~4.4、3.4~4.5、3.4~5、3.4~5.5、3.4~6、3.4~7、3.4~8、3.4~9、3.4~10、3.4~11、3.4~12、3.4~13、3.4~14、3.4~15、3.5~3.6、3.5~3.7、3.5~3.8、3.5~3.9、3.5~4、3.5~4.1、3.5~4.2、3.5~4.3、3.5~4.4、3.5~4.5、3.5~5、3.5~5.5、3.5~6、3.5~7、3.5~8、3.5~9、3.5~10、3.5~11、3.5~12、3.5~13、3.5~14、3.5~15、3.6~3.7、3.6~3.8、3.6~3.9、3.6~4、3.6~4.1、3.6~4.2、3.6~4.3、3.6~4.4、3.6~4.5、3.6~5、3.6~5.5、3.6~6、3.6~7、3.6~8、3.6~9、3.6~10、3.6~11、3.6~12、3.6~13、3.6~14、3.6~15、3.7~3.8、3.8~3.9、3.8~4、3.8~4.1、3.8~4.2、3.8~4.3、3.8~4.4、3.8~4.5、3.8~5、3.8~5.5、3.8~6、3.8~7、3.8~8、3.8~9、3.8~10、3.8~11、3.8~12、3.8~13、3.8~14、3.8~15、3.9~4、3.9~4.1、3.9~4.2、3.9~4.3、3.9~4.4、3.9~4.5、3.9~5、3.9~5.5、3.9~6、3.9~7、3.9~8、3.9~9、3.9~10、3.9~11、3.9~12、3.9~13、3.9~14、3.9~15、4~4.1、4~4.2、4~4.3、4~4.4、4~4.5、4~5、4~5.5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、4~11、4~12、4~13、4~14、4~15、4.1~4.2、4.1~4.3、4.1~4.4、4.1~4.5、4.1~5、4.1~5.5、4.1~6、4.1~7、4.1~8、4.1~9、4.1~10、4.1~11、4.1~12、4.1~13、4.1~14、4.1~15、4.2~4.3、4.2~4.4、4.2~4.5、4.2~5、4.2~5.5、4.2~6、4.2~7、4.2~8、4.2~9、4.2~10、4.2~11、4.2~12、4.2~13、4.2~14、4.2~15、4.3~4.4、4.3~4.5、4.3~5、4.3~5.5、4.3~6、4.3~7、4.3~8、4.3~9、4.3~10、4.3~11、4.3~12、4.3~13、4.3~14、4.3~15、4.4~4.5、4.4~5、4.4~5.5、4.4~6、4.4~7、4.4~8、4.4~9、4.4~10、4.4~11、4.4~12、4.4~13、4.4~14、4.4~15、4.5~5、4.5~5.5、4.5~6、4.5~7、4.5~8、4.5~9、4.5~10、4.5~11、4.5~12、4.5~13、4.5~14、4.5~15、5~5.5、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~11、5~12、5~13、5~14、5~15、5.5~6、5.5~7、5.5~8、5.5~9、5.5~10、5.5~11、5.5~12、5.5~13、5.5~14、5.5~15、6~7、6~8、6~9、6~10、6~11、6~12、6~13、6~14、6~15、7~8、7~9、7~10、7~11、7~12、7~13、7~14、7~15、8~9、8~10、8~11、8~12、8~13、8~14、8~15、9~10、9~11、9~12、9~13、9~14、9~15、10~11、10~12、10~13、10~14、10~15、11~12、11~13、11~14、11~15、12~13、12~14、12~15、13~
14、13~15または14~15であることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬の分布t1/2は、約3~約5分であることができる。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0242】
[0376] ある場合には、分布t1/2は、体全体にわたる組織への分布によって、抗不整脈医薬の血漿中レベルが平衡状態にあったときのレベルの半分まで低下した時点として計算されることができる。ある場合には、分布t1/2は、抗不整脈医薬がその薬理学的活性の半分を失うのにかかる時間として計算されることができる。ある場合には、分布t1/2は、左室腔で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、分布t1/2は、肺動脈において測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、分布t1/2は、静脈(例えば大腿静脈)中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、分布t1/2は、ヒトPK/PD研究において測定されることができる。
【0243】
[0377] ある場合には、吸入によって投与される抗不整脈医薬の消失t1/2は、約1時間~約25時間、例えば約1~3、1~5、1~7、1~7.5、1~8、1~8.5、1~8.7、1~8.9、1~9.1、1~9.3、1~9.5、1~9.7、1~9.9、1~10.1、1~10.3、1~10.5、1~10.7、1~10.9、1~11.1、1~11.3、1~11.5、1~11.7、1~11.9、1~12.1、1~12.5、1~13、1~13.5、1~14、1~15、1~16、1~17、1~18、1~19、1~20、1~25、3~5、3~7、3~7.5、3~8、3~8.5、3~8.7、3~8.9、3~9.1、3~9.3、3~9.5、3~9.7、3~9.9、3~10.1、3~10.3、3~10.5、3~10.7、3~10.9、3~11.1、3~11.3、3~11.5、3~11.7、3~11.9、3~12.1、3~12.5、3~13、3~13.5、3~14、3~15、3~16、3~17、3~18、3~19、3~20、3~25、5~7、5~7.5、5~8、5~8.5、5~8.7、5~8.9、5~9.1、5~9.3、5~9.5、5~9.7、5~9.9、5~10.1、5~10.3、5~10.5、5~10.7、5~10.9、5~11.1、5~11.3、5~11.5、5~11.7、5~11.9、5~12.1、5~12.5、5~13、5~13.5、5~14、5~15、5~16、5~17、5~18、5~19、5~20、5~25、7~7.5、7~8、7~8.5、7~8.7、7~8.9、7~9.1、7~9.3、7~9.5、7~9.7、7~9.9、7~10.1、7~10.3、7~10.5、7~10.7、7~10.9、7~11.1、7~11.3、7~11.5、7~11.7、7~11.9、7~12.1、7~12.5、7~13、7~13.5、7~14、7~15、7~16、7~17、7~18、7~19、7~20、7~25、7.5~8、7.5~8.5、7.5~8.7、7.5~8.9、7.5~9.1、7.5~9.3、7.5~9.5、7.5~9.7、7.5~9.9、7.5~10.1、7.5~10.3、7.5~10.5、7.5~10.7、7.5~10.9、7.5~11.1、7.5~11.3、7.5~11.5、7.5~11.7、7.5~11.9、7.5~12.1、7.5~12.5、7.5~13、7.5~13.5、7.5~14、7.5~15、7.5~16、7.5~17、7.5~18、7.5~19、7.5~20、7.5~25、8~8.5、8~8.7、8~8.9、8~9.1、8~9.3、8~9.5、8~9.7、8~9.9、8~10.1、8~10.3、8~10.5、8~10.7、8~10.9、8~11.1、8~11.3、8~11.5、8~11.7、8~11.9、8~12.1、8~12.5、8~13、8~13.5、8~14、8~15、8~16、8~17、8~18、8~19、8~20、8~25、8.5~8.7、8.5~8.9、8.5~9.1、8.5~9.3、8
.5~9.5、8.5~9.7、8.5~9.9、8.5~10.1、8.5~10.3、8.5~10.5、8.5~10.7、8.5~10.9、8.5~11.1、8.5~11.3、8.5~11.5、8.5~11.7、8.5~11.9、8.5~12.1、8.5~12.5、8.5~13、8.5~13.5、8.5~14、8.5~15、8.5~16、8.5~17、8.5~18、8.5~19、8.5~20、8.5~25、8.7~8.9、8.7~9.1、8.7~9.3、8.7~9.5、8.7~9.7、8.7~9.9、8.7~10.1、8.7~10.3、8.7~10.5、8.7~10.7、8.7~10.9、8.7~11.1、8.7~11.3、8.7~11.5、8.7~11.7、8.7~11.9、8.7~12.1、8.7~12.5、8.7~13、8.7~13.5、8.7~14、8.7~15、8.7~16、8.7~17、8.7~18、8.7~19、8.7~20、8.7~25、8.9~9.1、8.9~9.3、8.9~9.5、8.9~9.7、8.9~9.9、8.9~10.1、8.9~10.3、8.9~10.5、8.9~10.7、8.9~10.9、8.9~11.1、8.9~11.3、8.9~11.5、8.9~11.7、8.9~11.9、8.9~12.1、8.9~12.5、8.9~13、8.9~13.5、8.9~14、8.9~15、8.9~16、8.9~17、8.9~18、8.9~19、8.9~20、8.9~25、9.1~9.3、9.1~9.5、9.1~9.7、9.1~9.9、9.1~10.1、9.1~10.3、9.1~10.5、9.1~10.7、9.1~10.9、9.1~11.1、9.1~11.3、9.1~11.5、9.1~11.7、9.1~11.9、9.1~12.1、9.1~12.5、9.1~13、9.1~13.5、9.1~14、9.1~15、9.1~16、9.1~17、9.1~18、9.1~19、9.1~20、9.1~25、9.3~9.5、9.3~9.7、9.3~9.9、9.3~10.1、9.3~10.3、9.3~10.5、9.3~10.7、9.3~10.9、9.3~11.1、9.3~11.3、9.3~11.5、9.3~11.7、9.3~11.9、9.3~12.1、9.3~12.5、9.3~13、9.3~13.5、9.3~14、9.3~15、9.3~16、9.3~17、9.3~18、9.3~19、9.3~20、9.3~25、9.5~9.7、9.5~9.9、9.5~10.1、9.5~10.3、9.5~10.5、9.5~10.7、9.5~10.9、9.5~11.1、9.5~11.3、9.5~11.5、9.5~11.7、9.5~11.9、9.5~12.1、9.5~12.5、9.5~13、9.5~13.5、9.5~14、9.5~15、9.5~16、9.5~17、9.5~18、9.5~19、9.5~20、9.5~25、9.7~9.9、9.7~10.1、9.7~10.3、9.7~10.5、9.7~10.7、9.7~10.9、9.7~11.1、9.7~11.3、9.7~11.5、9.7~11.7、9.7~11.9、9.7~12.1、9.7~12.5、9.7~13、9.7~13.5、9.7~14、9.7~15、9.7~16、9.7~17、9.7~18、9.7~19、9.7~20、9.7~25、9.9~10.1、9.9~10.3、9.9~10.5、9.9~10.7、9.9~10.9、9.9~11.1、9.9~11.3、9.9~11.5、9.9~11.7、9.9~11.9、9.9~12.1、9.9~12.5、9.9~13、9.9~13.5、9.9~14、9.9~15、9.9~16、9.9~17、9.9~18、9.9~19、9.9~20、9.9~25、10.1~10.3、10.1~10.5、10.1~10.7、10.1~10.9、10.1~11.1、10.1~11.3、10.1~11.5、10.1~11.7、10.1~11.9、10.1~12.1、10.1~12.5、10.1~13、10.1~13.5、10.1~14、10.1~15、10.1~16、10.1~17、10.1~18、10.1~19、10.1~20、10.1~25、10.3~10.5、10.3~10.7、10.3~10.9、10.3~11.1、10.3~11.3、10.3~11.5、10.3~11.7、10.3~11.9、10.3~12.1、10.3~12.5、10.3~13、10.3~13.5、10.3~14、10.3~15、10.3~16、10.3~17、10.3~18、10.3~19、10.3~20、10.
3~25、10.5~10.7、10.5~10.9、10.5~11.1、10.5~11.3、10.5~11.5、10.5~11.7、10.5~11.9、10.5~12.1、10.5~12.5、10.5~13、10.5~13.5、10.5~14、10.5~15、10.5~16、10.5~17、10.5~18、10.5~19、10.5~20、10.5~25、10.7~10.9、10.7~11.1、10.7~11.3、10.7~11.5、10.7~11.7、10.7~11.9、10.7~12.1、10.7~12.5、10.7~13、10.7~13.5、10.7~14、10.7~15、10.7~16、10.7~17、10.7~18、10.7~19、10.7~20、10.7~25、10.9~11.1、10.9~11.3、10.9~11.5、10.9~11.7、10.9~11.9、10.9~12.1、10.9~12.5、10.9~13、10.9~13.5、10.9~14、10.9~15、10.9~16、10.9~17、10.9~18、10.9~19、10.9~20、10.9~25、11.1~11.3、11.1~11.5、11.1~11.7、11.1~11.9、11.1~12.1、11.1~12.5、11.1~13、11.1~13.5、11.1~14、11.1~15、11.1~16、11.1~17、11.1~18、11.1~19、11.1~20、11.1~25、11.3~11.5、11.3~11.7、11.3~11.9、11.3~12.1、11.3~12.5、11.3~13、11.3~13.5、11.3~14、11.3~15、11.3~16、11.3~17、11.3~18、11.3~19、11.3~20、11.3~25、11.5~11.7、11.5~11.9、11.5~12.1、11.5~12.5、11.5~13、11.5~13.5、11.5~14、11.5~15、11.5~16、11.5~17、11.5~18、11.5~19、11.5~20、11.5~25、11.7~11.9、11.7~12.1、11.7~12.5、11.7~13、11.7~13.5、11.7~14、11.7~15、11.7~16、11.7~17、11.7~18、11.7~19、11.7~20、11.7~25、11.9~12.1、11.9~12.5、11.9~13、11.9~13.5、11.9~14、11.9~15、11.9~16、11.9~17、11.9~18、11.9~19、11.9~20、11.9~25、12.1~12.5、12.1~13、12.1~13.5、12.1~14、12.1~15、12.1~16、12.1~17、12.1~18、12.1~19、12.1~20、12.1~25、12.5~13、12.5~13.5、12.5~14、12.5~15、12.5~16、12.5~17、12.5~18、12.5~19、12.5~20、12.5~25、13~13.5、13~14、13~15、13~16、13~17、13~18、13~19、13~20、13~25、13.5~14、13.5~15、13.5~16、13.5~17、13.5~18、13.5~19、13.5~20、13.5~25、14~15、14~16、14~17、14~18、14~19、14~20、14~25、15~16、15~17、15~18、15~19、15~20、15~25、16~17、16~18、16~19、16~20、16~25、17~18、17~19、17~20、17~25、18~19、18~20、18~25、19~20、19~25または20~25時間であることができる。ある場合には、吸入を介して投与される抗不整脈医薬の消失t1/2は、約8.5~約10.5時間であることができる。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIII、またはクラスIVの抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0244】
[0378] ある場合には、消失t1/2は、代謝および消失によって、抗不整脈医薬の血漿中レベルが平衡状態にあったときのレベルの半分まで低下した時点として計算されることができる。ある場合には、消失t1/2は、左室腔で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、消失t1/2は、肺動脈中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、消失t1/2
は、静脈(例えば大腿静脈)中で測定された抗不整脈医薬の血漿中濃度から計算されることができる。ある場合には、消失t1/2は、ヒトPK/PD試験において測定されることができる。
【0245】
[0379] ある場合には、抗不整脈医薬が吸入によって投与された後のQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)の最大値は、約0.01ミリ秒~約100ミリ秒、例えば約0.01~0.1、0.01~0.5、0.01~1、0.01~1.5、0.01~2、0.01~2.5、0.01~3、0.01~3.5、0.01~4、0.01~4.5、0.01~5、0.01~5.5、0.01~6、0.01~8、0.01~10、0.01~15、0.01~20、0.01~25、0.01~30、0.01~40、0.01~50、0.01~60、0.01~70、0.01~80、0.01~90、0.01~100、0.1~0.5、0.1~1、0.1~1.5、0.1~2、0.1~2.5、0.1~3、0.1~3.5、0.1~4、0.1~4.5、0.1~5、0.1~5.5、0.1~6、0.1~8、0.1~10、0.1~15、0.1~20、0.1~25、0.1~30、0.1~40、0.1~50、0.1~60、0.1~70、0.1~80、0.1~90、0.1~100、0.5~1、0.5~1.5、0.5~2、0.5~2.5、0.5~3、0.5~3.5、0.5~4、0.5~4.5、0.5~5、0.5~5.5、0.5~6、0.5~8、0.5~10、0.5~15、0.5~20、0.5~25、0.5~30、0.5~40、0.5~50、0.5~60、0.5~70、0.5~80、0.5~90、0.5~100、1~1.5、1~2、1~2.5、1~3、1~3.5、1~4、1~4.5、1~5、1~5.5、1~6、1~8、1~10、1~15、1~20、1~25、1~30、1~40、1~50、1~60、1~70、1~80、1~90、1~100、1.5~2、1.5~2.5、1.5~3、1.5~3.5、1.5~4、1.5~4.5、1.5~5、1.5~5.5、1.5~6、1.5~8、1.5~10、1.5~15、1.5~20、1.5~25、1.5~30、1.5~40、1.5~50、1.5~60、1.5~70、1.5~80、1.5~90、1.5~100、2~2.5、2~3、2~3.5、2~4、2~4.5、2~5、2~5.5、2~6、2~8、2~10、2~15、2~20、2~25、2~30、2~40、2~50、2~60、2~70、2~80、2~90、2~100、2.5~3、2.5~3.5、2.5~4、2.5~4.5、2.5~5、2.5~5.5、2.5~6、2.5~8、2.5~10、2.5~15、2.5~20、2.5~25、2.5~30、2.5~40、2.5~50、2.5~60、2.5~70、2.5~80、2.5~90、2.5~100、3~3.5、3~4、3~4.5、3~5、3~5.5、3~6、3~8、3~10、3~15、3~20、3~25、3~30、3~40、3~50、3~60、3~70、3~80、3~90、3~100、3.5~4、3.5~4.5、3.5~5、3.5~5.5、3.5~6、3.5~8、3.5~10、3.5~15、3.5~3.20、3.5~3.25、3.5~3.30、3.5~40、3.5~50、3.5~60、3.5~70、3.5~80、3.5~90、3.5~100、4~4.5、4~5、4~5.5、4~6、4~8、4~10、4~15、4~20、4~25、4~30、4~40、4~50、4~60、4~70、4~80、4~90、4~100、4.5~5、4.5~5.5、4.5~6、4.5~8、4.5~10、4.5~15、4.5~20、4.5~25、4.5~30、4.5~4.50、4.5~50、4.5~60、4.5~70、4.5~80、4.5~90、4.5~100、5~5.5、5~6、5~8、5~10、5~15、5~20、5~25、5~30、5~40、5~50、5~60、5~70、5~80、5~90、5~100、5.5~6、5.5~8、5.5~10、5.5~15、5.5~20、5.5~25、5.5~30、5.5~40、5.5~50、5.5~60、5.5~70、5.5~80、5.5~90、5.5~100、6~8、6~10、6~15、6~20、6~25、6~30、6~40、6~50、6~60、6~70、6~80、6~90、6~100、8~10、8~15、8~20、8~25、8~30、8~40、8~50、8
~60、8~70、8~80、8~90、8~100、10~15、10~20、10~25、10~30、10~40、10~50、10~60、10~70、10~80、10~90、10~100、15~20、15~25、15~30、15~40、15~50、15~60、15~70、15~80、15~90、15~100、20~25、20~30、20~40、20~50、20~60、20~70、20~80、20~90、20~100、25~30、25~40、25~50、25~60、25~70、25~80、25~90、25~100、30~40、30~50、30~60、30~70、30~80、30~90、30~100、40~50、40~60、40~70、40~80、40~90、40~100、50~60、50~70、50~80、50~90、50~100、60~70、60~80、60~90、60~100、70~80、70~90、70~100、80~90、80~100または90~100ミリ秒であることができる。ある場合には、抗不整脈医薬が吸入を介して投与された後のQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)の最大値は、約1~約10ミリ秒であることができる。ある場合には、抗不整脈医薬が吸入を介して投与された後のQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)の最大値は、約5~約20ミリ秒であることができる。ある場合には、ΔQRSは、ヒトPK/PD試験において測定されることができる。本開示では、用語“ΔQRS”は、抗不整脈剤の投与後の時間に関して言及されない場合、例えば本明細書で提供されるような抗不整脈剤の投与後のQRSにおける最大変化を意味する用語“最大ΔQRS”と互換的に使用されることができる。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIVの抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0246】
[0380] ある場合には、投与前と比較したΔQRSを決定するために、吸入による抗不整脈医薬投与後にQRS間隔が測定される時点は、約0.1分~約450分、例えば約0.1~1、0.1~3、0.1~5、0.1~10、0.1~15、0.1~30、0.1~45、0.1~60、0.1~90、0.1~120、0.1~150、0.1~180、0.1~210、0.1~240、0.1~270、0.1~300、0.1~330、0.1~360、0.1~390、0.1~410、0.1~450、1~3、1~5、1~10、1~15、1~30、1~45、1~60、1~90、1~120、1~150、1~180、1~210、1~240、1~270、1~300、1~330、1~360、1~390、1~410、1~450、3~5、3~10、3~15、3~30、3~45、3~60、3~90、3~120、3~150、3~180、3~210、3~240、3~270、3~300、3~330、3~360、3~390、3~410、3~450、5~10、5~15、5~30、5~45、5~60、5~90、5~120、5~150、5~180、5~210、5~240、5~270、5~300、5~330、5~360、5~390、5~410、5~450、10~15、10~30、10~45、10~60、10~90、10~120、10~150、10~180、10~210、10~240、10~270、10~300、10~330、10~360、10~390、10~410、10~450、15~30、15~45、15~60、15~90、15~120、15~150、15~180、15~210、15~240、15~270、15~300、15~330、15~360、15~390、15~410、15~450、30~45、30~60、30~90、30~120、30~150、30~180、30~210、30~240、30~270、30~300、30~330、30~360、30~390、30~410、30~450、45~60、45~90、45~120、45~150、45~180、45~210、45~240、45~270、45~300、45~330、45~360、45~390、45~410、45~450、60~90、60~120、60~150、60~180、60~210、60~240、60~270、60~300、60~330、60~360、60~390、60~410、60~450、90~120、90~150、90~
180、90~210、90~240、90~270、90~300、90~330、90~360、90~390、90~410、90~450、120~150、120~180、120~210、120~240、120~270、120~300、120~330、120~360、120~390、120~410、120~450、150~180、150~210、150~240、150~270、150~300、150~330、150~360、150~390、150~410、150~450、180~210、180~240、180~270、180~300、180~330、180~360、180~390、180~410、180~450、210~240、210~270、210~300、210~330、210~360、210~390、210~410、210~450、240~270、240~300、240~330、240~360、240~390、240~410、240~450、270~300、270~330、270~360、270~390、270~410、270~450、300~330、300~360、300~390、300~410、300~450、330~360、330~390、330~410、330~450、360~390、360~410、360~450、390~410、390~450または410~450分であることができる。
【0247】
[0381] 医薬品の抗不整脈活性は、QRS間隔持続時間と相関している可能性がある。ある例において、吸入を介して投与される抗不整脈医薬は、静脈内送達(例えば静脈内注入)によって投与される抗不整脈医薬と比較してより高い抗不整脈活性を有し得る。ある場合には、そのようなより高い抗不整脈活性は、Cmaxに対する最大ΔQRSのより高い比率に反映される。例えば、Cmax(例えば抗不整脈医薬のピーク血漿中濃度)が同じ場合、本明細書において提供される抗不整脈剤の吸入送達は、同じ薬剤の静脈内送達と比較して、より高い最大ΔQRSを有し得る。ある場合には、比較は、2つの異なる投与経路による対応する用量の間では行われることができず、例えば、薬剤の第1用量の吸入は、第1Cmax(Cmax1)および第1最大ΔQRS(ΔQRSmax1)を有する
ことができ、薬剤の第2用量の静脈内投与は、第2Cmax(Cmax2)および第2最大ΔQRS(ΔQRSmax2)を有することができる。ある場合には、Cmax1およ
びCmax2は、類似している可能性がある。他の場合には、Cmax1とCmax2は、類似していない可能性がある。本開示のある例において、ΔQRSmax1対Cmax1の比率は、ΔQRSmax2対Cmax2よりも高い、すなわち、ΔQRSmax1/Cmax1>ΔQRSmax2/Cmax2である可能性がある。ある場合には、ΔQRSmax1/Cmax1は、ΔQRSmax2/Cmax2よりも少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.6倍、少なくとも2.7倍、少なくとも2.8倍、少なくとも2.9倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.1倍、少なくとも3.2倍、少なくとも3.3倍、少なくとも3.4倍、少なくとも3.5倍、少なくとも3.6倍、少なくとも3.7倍、少なくとも3.8倍、少なくとも3.9倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.2倍、少なくとも4.4倍、少なくとも4.6倍、少なくとも4.8倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも12倍、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍または少なくとも50倍大きい。ある場合には、ΔQRSmax1/Cmax1は、ΔQRSmax2/Cmax2よりも少なくとも2倍大きい。1以上の態様において、抗不整脈医薬は、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV抗不整脈薬である。ある態様において、抗不整脈医薬は、クラスIcの抗不整脈薬である。他の態様において、抗不整脈医薬は、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩である。
【0248】
[0382] 本発明は、以下の実施例によりさらに説明されるであろう。これらの実施例は、限定的ではなく、本発明の範囲を限定しない。別途記載されない限り、実施例中で示される全ての百分率、部等は、重量による。
【実施例0249】
実施例1
ベラパミルおよびリドカインを含む予言的(Prophetic)分析モデル
[0383] 公開された薬物動態モデルおよび薬力学モデル(
図4)は、冠動脈血中の薬物濃度および所望の冠動脈作用の間の関係を示す。IV薬物情報は、公開された文献から使用された。HARRISON et al., “Effect of Single Doses of Inhaled Lignocaine on FEV1 and Bronchial Reactivity in Asthma,” Respir Med., 12:1359-635 (December 1992)。吸入薬物情報は、肺小分子吸収の既知の特性に基づいてシミュレートされた。
【0250】
[0384]
図5は、IV経路および吸入経路を介して投与された薬物の異なる時間濃度プロフィールを示す。ベラパミルは、それが心拍数制御特性および律動制御特性の両方を有し、しばしば急性不整脈エピソード(例えばPSVT、発作性上室性頻脈)を救うために使用されるので、一例の心臓薬物として選択された。
【0251】
[0385]
図6は、IV経路および吸入経路を介して投与された薬物の異なる時間濃度プロフィールも示す。リドカインが、心臓薬物の一例として選択された。リドカインを用いたこのPK/PDモデリングは、同じ高い実行可能性を示す。
【0252】
実施例2
誘発された心房細動および上室性頻脈(SVT)を伴うイヌの心室反応に対する抗不整脈化合物の気管内(IT)投与の作用
[0386] 目的:
[0387] 心房細動および上室性頻脈を誘発された麻酔されたイヌの電気生理学的応答に対する、肺経路を介して与えられた場合の一般的な抗不整脈薬物の作用/有効性を評価すること。
【0253】
[0388] 使用された動物モデル
[0389] 心房細動モデル:
[0390] 麻酔/手術準備:
[0391] 静脈カテーテルが、麻酔薬の投与のために末梢血管(すなわち頭部)に配置された。麻酔導入のために、すべての動物は、硫酸モルヒネ(約2mg/kg)およびアルファクロラロースのボーラス(約100mg/kg)を、静脈カテーテルを通じて静脈内に与えられた。麻酔は、試験の完了まで、アルファクロラロース(35~75mg/kg/時間IV)で維持された(2時間未満)。誘導後、動物は、気管内挿管され、機械的に人工呼吸を施された(1回呼吸量200~300mLで約12呼吸/分)。その後、頸静脈における切開が、ペーシングリードの右心房中への導入を可能にした。ECGリードIIを形成する経胸郭電極が、配置された。試験/ビヒクル物品送達のために、4Fカテーテルが、気管を通じて導入され、小気道中に押し込まれ、そして静脈カテーテルが、末梢血管(すなわち頭部)中に配置された。
【0254】
[0392] 実験:
[0393] 器械装着および血行力学的安定化(少なくとも15分間)後、研究期間の間全身動脈圧を上昇させ、かつ迷走神経(副交感神経)遠心性活動を増大させるために、フェニレフリンが、連続的に注入された(2ug/kg/分IV)。この副交感神経作用薬の投与が開始されたおおよそ5分後、以下の実験が、実施された:
[0394] 最初に、右心房が、15分間ペーシングされ(20V、40Hz、4msパル
ス)、ペーシング中止後、心房細動が、結果として起こった。ペーシングが停止され、心房細動が観察されたおおよそ3分後に、動物は、ビヒクル(約3mL)を気管内(IT)に与えられ;投与および(観察された場合には)洞調律への復帰の間の期間ならびに/または心拍数が、記録された。観察は、10分間に至るまで行われた。
【0255】
[0395] 続いて、心房細動が、上記のように、15分間のペーシングサイクル(単数または複数)を介して再確立された。一度ペーシングが中止され、心房細動が3分間観察され/安定であったら、動物は、ビヒクルまたは試験物品の1つを投与され、それはボーラス(約3mL)として気管内カテーテルを通じて小気道中に直接送達された。ビヒクルは、水のみであった。試験物質としてのフレカイニドの場合、濃度は、15mgのフレカイニド/3mlの水であった。投与後、投与の停止および観察された場合は洞調律への復帰の間の期間ならびに/または心拍数が、記録され;観察は、10分間に至るまで行われた。全体として、3つの群/試験物品が、試験され、2匹までの動物が、各群に割りあてられた(n=2/群):1つの群は、酢酸フレカイニド(2~4mg/kg、FLE)を与えられ、一方でその他の群は、ジルチアゼム(0.25~0.50mg/kg、DIL)またはドフェチリド(20~60ug/kg、DOF)を与えられ;動物1匹につき1つの試験物品のみが投与された。実験プロトコル(単数または複数)が、
図7において要約されている。
【0256】
[0396] 上室性頻脈モデル:
[0397] 麻酔/手術準備:
[0398] 静脈カテーテルが、麻酔薬(単数または複数)の投与のために末梢血管(すなわち頭部)内に配置された。麻酔導入のために、全ての動物は、ジアゼパム(約0.5mg/kg)およびケタミン(約10mg/kg)の組み合わせを、この静脈カテーテルを通じて静脈内に与えられた。麻酔は試験が完了するまで、ペントバルビタール(5~15mg/kg/hr)の静脈内注入によって維持された。導入後、動物は、気管内挿管され、機械的に人工呼吸を施された(1回呼吸量200~300mLで約12呼吸/分)。
【0257】
[0399] その後、頸静脈の切開が、ペーシングリードの右心房中への導入を可能にした。同様に、動脈圧モニタリングのために、ソリッドステート微圧計カテーテル(Millar Instruments)が、動脈(例えば大腿動脈、頸動脈)上の切開部を介して大動脈根中に挿入された。ECGリードIIを形成する経胸郭電極が、配置された。ビヒクル/試験物品送達のために、4Fカテーテルが、気管を通じて導入され、小気道中に押し込まれ、そして静脈カテーテルが、末梢血管(すなわち頭部)内に配置された。
【0258】
[0400] 実験:
[0401] 器械装着/血行力学的安定化(少なくとも15分間)後、右心房ペーシング(5~10V、40Hz、2msパルス)が、上室性頻脈(SVT)を誘発するために確立され;ペーシングおよびSVTは、実験の期間全体を通じて維持された。SVTの開始のおおよそ5分後、かつECG/動脈圧を連続的にモニターしている間に、動物は、試験物品の3つの漸増用量(一度に1つ)を投与され;それぞれの用量は、ボーラス(約3mL)として、気管内カテーテル(IT)を通じて小気道中に直接送達された。投与後、心拍数(HR)および動脈圧応答が、15分間モニターされた。
【0259】
[0402] その後(ひとたび3通りのIT用量に対する反応が記録されたら)、血行力学的回復が、おおよそ30分間可能にされ、最高試験物品用量に対する心電図/血行力学的反応が、再評価されたが;比較の目的で、この用量は、静脈内(IV)送達された。
【0260】
[0403] 全体として、2つの群/試験物質が、試験され、2匹までの動物が、それぞれの群(n=2/群)に割りあてられ:一方の群は、エスモロールHCL(0.5~1.0
mg/kg、ESM)が与えられる一方で、他方の群は、アデノシン(0.25~1.0mg/kg、ADN)を与えられ;動物1匹当たり1つの試験物質のみが、投与された。実験プロトコル(単数または複数)が、
図8において要約されている。
【0261】
[0404] 観察:
[0405] 心房細動:
[0406] 試験された3つの試験物品(フレカイニド、ジルチアゼムおよびドフェチリド)の中で、フレカイニドおよびジルチアゼムの両方は、心房細動を正常洞調律に急速に転換したが、ドフェチリドは、心拍数をごくわずかに遅くした。
【0262】
[0407] ビヒクル:
[0408]
図9は、ビヒクルまたは試験物品のどちらかの投与前の心房細動中のイヌの代表的な例を示す。
図10は、不整脈への影響を有しないビヒクルの例を示す。試験物質と同じ体積で投与されたビヒクルは、不整脈への作用を有しなかった。
【0263】
[0409] フレカイニド:
[0410] 2~4mg/kg体重の肺用量において、フレカイニドは、誘発された心房細動を正常洞調律に転換した。薬物の大用量は、結果としてより遅い心拍数ももたらした。平均動脈圧における低下は、認められなかった~最小限であった。いずれのイヌも、不整脈誘発のような既知の有害事象を一切示さなかった。
図11および12参照。
【0264】
[0411] ジルチアゼム:
[0412] 0.25mg/kg体重の肺用量で、ジルチアゼムは、誘発された心房細動を正常洞調律に転換し、PQ間隔も延長した。心拍数も低下したが、ごくわずかであった。しかし、平均動脈血圧(MAP)における顕著な低下が、存在した。
図13参照。
【0265】
[0413] ドフェチリド:
[0414] 10~40mcg/kg体重の漸増する肺用量において、ドフェチリドは、心拍数におけるわずかな低減を引き起こした。
【0266】
[0415] 上室性頻脈(SVT):
[0416] ジルチアゼム:
[0417] 肺経路およびIV経路を介して送達されたジルチアゼムは、すべての側面において比較可能であった。平均動脈圧(MAP)は、両方の場合において有意に低下し、これは、薬物の用量に直接帰せられた。ジルチアゼムは、PR間隔も延長し、これは、IV経路または肺経路のどちらかによって送達される薬物がSVTを正常洞調律に転換する可能性を有することを示す。電気生理学的変化のタイミングは、IVおよび肺の間で比較可能であった。
図14および
図15参照。
【0267】
[0418] エスモロール:
[0419] エスモロールの用量の上昇は、より低い用量において第2度のAV遮断をもたらし、ECGトレースにおけるPR間隔も延長することが、示された。
図16~20参照。
【0268】
[0420] しかし、1.0mg/kgでのより高い用量のエスモロールは、同じ電気生理学的作用をもたらさなかった。肺を介して送達されたエスモロールがその用量のいずれにおいてもMAPの低下を引き起こさなかったことは、注目に値する。
【0269】
[0421] アデノシン:
[0422] 肺を介して投与されたアデノシンは、心臓へのいかなる作用も有しなかった。
アデノシンは、異なる種において異なるように代謝されることが知られており、その作用がアデノシンの超急速な代謝によるものであるか、またはそのモデルが十分に感受性ではないのかは、明らかではない。
【0270】
[0423] 要約
[0424] 気管内点滴注入により与えられた場合のジルチアゼム、フレカイニドは、明らかな心血管作用を示し、エスモロールおよびドフェチリドも認めてよさそうな作用を示した。これらの薬物は、化学的および薬理学的薬剤の4つの異なるクラスを構成する。アデノシンでは明確な反応は観察されなかったが、それでも他の動物モデルでの評価には価値があると考えられている。反応は、IV経路の反応ならびにジルチアゼム、フレカイニドおよびエスモロールに対する全ての試験物品の既知の生理学的作用を定性的に(qualtitatively)模倣した。この動物モデルでは、気管経路からの吸収を妨げるアデノシンの何らかの物理的または物理化学的特性が、存在し得る。さらに、ただ一つの小気道内への投与は、拡散のための表面が何オーダーも大きいであろう吸入による投与と同じ曝露をもたらすとは予想されないであろう。
【0271】
[0425] これらの試験は、心血管機能に対する多様な化学物質の生理学的作用を確認する。気管内投与経路は、3つの可能性のある利点を有する。(1)それは、投与の点から標的器官(心臓)への最短経路である。(2)希釈がより少なく、従って標的器官へのより高い濃度が予想されるであろう。(3)投与部位および標的器官の間に代謝のための器官(例えば肝臓)が存在しないため、代謝における低減(すなわち初回通過作用)が、存在するであろう。
【0272】
実施例3
エアロゾルとして投与された場合の抗不整脈医薬の溶解度および味の予備的評価
[0426] 目的:
[0427] 酢酸フレカイニドおよび塩酸ジルチアゼムの水中での溶解度を評価することならびに液体エアロゾルとしての投与に関するこれらの2つの薬物の味および後味の許容性を評価すること。
【0273】
実験および観察
配合前研究
[0428] ジルチアゼムの溶解度は、室温で>90mg/mLであった。ジルチアゼムの水中における3.5mg/mL溶液のpHは、6.7であった。50mg/mLでは、水溶液中のジルチアゼムは、等張に対して約80%であった。
【0274】
[0429] フレカイニドの溶解度は、室温で約30mg/mLであった。フレカイニドの水中における2.6mg/mL溶液のpHは、5.0であった。30mg/mLでは、水溶液中のフレカイニドは、等張に対して約50%であった。
【0275】
[0430] 味の評価のために、以下の溶液強度が、調製された:(1)ジルチアゼム塩酸塩--蒸留水中の50mg/ml溶液;および(2)酢酸フレカイニド--蒸留水中の30mg/ml溶液。溶液は、透明であり、目に見える粒子状物質を有しなかった。
【0276】
[0431] 吸入デバイス:
[0432] Aeroneb(登録商標)GOデバイスは、それが家庭内および家庭外で呼吸療法を必要とする患者向けに特別に開発された使いやすいデバイスであるため、使用された。そのデバイスは、全ての年齢の患者(幼児から成人まで)によって使用されることができ、吸入を意図した溶液をエアロゾル化する。Aeroneb(登録商標)Goは、AC壁コントローラー(AC wall controller)またはバッテリーパッ
クのどちらかで動作し、石鹸および水で洗浄されることができる。
【0277】
[0433] 吸入手順:
[0434] 志願者:
[0435] 対象の数:2人の健康な男性志願者
[0436] 志願者-1:年齢--48
[0437] 志願者-2:年齢--63
[0438] 噴霧器試験:
[0439] 水が、噴霧器のカップ中に注がれ、噴霧器がオンにされた。噴霧器がオンにされた際に発生したエアロゾルの目に見える雲状物が、定性的エアロゾル標準として処理された。
【0278】
[0440] 酢酸フレカイニド:
[0441] 約1mlの30mg/ml溶液が、噴霧器のカップ中に注がれた。噴霧器が、オンにされ、結果として生じたエアロゾルは、水単独で形成されたエアロゾルと類似していたが、それほど濃くはなかった。
【0279】
[0442] 次いで、噴霧器が、口の中に配置され、スイッチが入れられた。深い肺吸入が、噴霧器を通して実施された。約40μl(約1.2mgの酢酸フレカイニド)の試験溶液が、吸入された。吸入された用量は、錠剤として投与される通常の100mgよりもはるかに少なかったため、本質的に治療量未満であった。酢酸フレカイニドは、欧州において15mlアンプル中の10mg/mlの強度としてIV注射剤としても入手可能である。
【0280】
[0443] ジルチアゼム塩酸塩:
[0444] 約1mlの50mg/ml溶液が、噴霧器のカップ中に注がれた。噴霧器が、オンにされ、結果として生じたエアロゾルは、水単独で形成されたエアロゾルと類似していたが、それほど濃くはなかった。
【0281】
[0445] 次いで、噴霧器が、口の中に配置され、スイッチが入れられた。深い肺吸入が、噴霧器を通して実施された。約40μl(約2mgのジルチアゼム塩酸塩)の試験溶液が、吸入された。吸入された用量は、それが米国で5mlバイアル中の5mg/mlとして市販されているIV注射剤よりもはるかに少なかったため、本質的に治療量未満であった。
【0282】
結論および観察結果
[0446] 1.試験溶液の目に見えるエアロゾルの特徴は、互いに類似していたが、水ほど濃くはなかった。
【0283】
[0447] 2.酢酸フレカイニド:両方の志願者からの味のフィードバックは、非常に類似していた。
[0448] a.味:舌の裏で軽度の苦味が感じられた。
【0284】
[0449] b.後味:吸入操作の5分後に、後味は全くなかった~ほとんどなかった。
[0450] 3.ジルチアゼム塩酸塩:フレカイニド残留物を全て洗い流すために、水が吸入された。両方の志願者からの味のフィードバックは、非常に類似していた。
【0285】
[0451] a.味覚:舌の裏で軽度の苦味が感じられた。
[0452] b.後味:吸入操作の5分後に、後味は全くなかった~ほとんどなかった。
[0453] 4.他の観察結果:
[0454] a.口、咽喉または肺において、灼熱感は感じられなかった。
[0455] b.目に見える有害事象は、観察されなかった。両方の志願者は、投薬後60分間休息した。
【0286】
実施例4
薬物の安全性、耐容性、薬物動態及び薬力学を評価するための酢酸フレカイニド吸入溶液の単回漸増用量試験
[0456] 第1相試験が、正常な健康な志願者において、経口吸入フレカイニドの安全性、耐容性、薬物動態(PK)および薬力学(PD)を評価するためならびに吸入酢酸フレカイニド溶液のPK/PD関係を静脈内(IV)酢酸フレカイニドと比較するために実施された。第1相臨床試験(FLE-001)は、オーストラリア、アデレイドのCMAXで実施された単一施設試験であり、パートAおよびパートBの2つのパート(副試験)で構成されていた。健康な志願者におけるプラセボと比較した吸入酢酸フレカイニドの単回漸増用量(SAD)の1)薬物動態(PK)、2)薬力学(PD)ならびに3)安全性および耐容性が、評価された。
【0287】
[0457] 試験設計:
[0458] これは、2つのパートであるAおよびBを含む単一施設試験であった。試験設計の概略図が、
図21において示されている。
【0288】
[0459] パートAは、手持ち式吸入器デバイス(AeroEclipse(登録商標)II Breath Actuated Nebulizer(BAN))を用いて健康な成人男女に投与される酢酸フレカイニド吸入溶液のSAD(20mg、40mgまたは60mgの推定総肺用量[eTLD])または一致するプラセボ吸入溶液からなる二重盲検、ランダム化、プラセボ対照設計であった。対象は、酢酸フレカイニド吸入溶液またはプラセボ吸入溶液のどちらかの単回吸入を与えられるように二重盲検様式でランダム化された。対象である合計34人の健康な成人志願者の3つのコホートが、パートA試験のために集められた。
【0289】
[0460] パートBは、6人の評価可能な健康な成人志願者のコホートにおける非盲検非ランダム化クロスオーバーであった。試験のこのパートは、各対象が合計2用量のフレカイニドを与えられる2つの期間(それぞれの期間において1用量)で構成されていた。期間1において、3人の対象が、酢酸フレカイニド溶液を30mg eTLDの用量レベルにおいて吸入により与えられ、3人の対象が、2mg/kg(または150mg、いずれか少ない方)の単回用量を10分間のフレカイニドの静脈内(IV)注入(Tambocor(商標)注射剤;オーストラリアで認可され、臨床診療で使用されている)により与えられた。期間2において、期間1にフレカイニド吸入溶液を与えられた対象は、今度はIVフレカイニドの単回用量(2mg/kgまたは150mgのいずれか少ない方、10分間の注入による)を与えられ、一方で期間1にIVフレカイニドを与えられた対象は、今度はフレカイニド吸入溶液(30mg eTLD)を与えられた。
図87Aおよび87Bにおいて、試験された6人の対象における期間1および期間2に関するHR、収縮期BPおよび拡張期BPのベースライン(投与前)値(
図87A)ならびにPRおよびQRS間隔持続時間(
図87B)が、示されている(IV注入または経口吸入のどちらかによるフレカイニドの投与前)。投与前の期間1および期間2に関するベースライン値がほぼ同一であるという発見は、クロスオーバー設計試験からの予想と一致している。2つの期間の間に、対象のバイタルサインおよびECG間隔における処置のキャリーオーバー作用または他の変化は存在しなかったという解釈。
【0290】
[0461] 時系列的には、コホート1、2および5を含む実験は、この臨床試験の初期段階で開始し、一方でコホート3中の対象を含む実験は、後で開始した。結果として、下記
で示されるデータ分析の一部は、コホート1、2および/または5からのデータに基づいており、コホート3からのデータは含まれない。
【0291】
[0462] 試験集団:
[0463] コホート1および2では、22人の志願者対象全員が、1人のアジア人を除いて、健康な白人男性であった。
【0292】
[0464] コホート3では、12人の志願者対象全員が、白人男性であった。
[0465] コホート5では、7人の志願者対象が、登録され、そのうち6人が、試験を完了した。全ての対象は、男性であった。研究を完了した6人の志願者対象のうち、5人が、白人であり、1人は、アジア人であった。
【0293】
[0466] 用量:
[0467] コホート1の対象(n=8)は、プラセボ(n=2)または20mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液(n=6)を吸入した。コホート2の対象(n=14)は、プラセボ(n=4)または40mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液(n=10)を吸入した。コホート3の対象(n=12)は、プラセボ(n=3)または60mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液(n=9)を吸入した。コホート5の対象は、最初に30mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液を吸入し、その後、IV注入により2mg/kgのフレカイニドを与えられた(n=3)か、またはコホート5の対象は、最初に2mg/kgのフレカイニドをIV注入により与えられ、続いて30mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液を吸入した(n=3)。
【0294】
[0468] この試験では、フレカイニドの吸入送達に関して、推定総肺用量(eTLD)が、吸入デバイスにおけるフレカイニドの喪失および対象の口および咽喉におけるフレカイニドの喪失を説明するために計算された。eTLDは、それにより、対象の肺に実際に到達した用量を示すために用いられた。設計により、全ての噴霧器において、噴霧器中に留まる薬物溶液の残留体積または質量が存在する可能性があり、対象の咽喉および口によって捕捉されるある割合のエアロゾルが存在する可能性もある。例えば、この研究では、エアロゾルの30%が対象の咽喉および口において失われると推定された。従って、eTLDは、以下の通りであろう:
eTLD=(100-30)%*噴霧器を出たエアロゾル化された薬物の量=70%*(噴霧器に入れられた薬物の量-噴霧器中に留まっている薬物の量)
[0469] 対象の咽喉および口によって捕捉されるエアロゾルの百分率は、エアロゾル粒径、例えばおおよそ5ミクロンを超えるエアロゾルの割合に依存し得る。咽喉を通過して肺に到達する量は、“微粒子画分(Fine Particle Fraction)(FPF)”と呼ばれ得る。
【0295】
噴霧器中に留まる薬物の量は、噴霧器の設計およびそれがどのように操作されるかに依存し得る。例えば、一部のジェット噴霧器に関して、これは、約0.5~2mlの溶液であり得る。一部の振動メッシュ噴霧器に関して、それは、0.05~0.3mLであり得る。乾燥粉末吸入器に関して、それは、用量の10%~50%等であり得る。
【0296】
[0470] 安全性:
[0471] 心血管系の安全性を評価するため、心拍数ならびに収縮期血圧および拡張期血圧が、投与前、プラセボまたはフレカイニドの経口吸入またはIV注入直後、およびプラセボまたはフレカイニドの経口吸入またはIV注入後360分に至るまで測定された。
【0297】
[0472] 肺の安全性が、肺活量測定試験を実施し、投与前および吸入完了後の様々な時点で末梢酸素飽和度(SpO2%)を測定することによって評価された。肺活量測定試験
は、努力肺活量(FVC)、1秒間の努力呼気量(FEV1)、ピーク呼気流量(PEF)ならびに25%および75%区間における努力呼気流量(FEF25-75)を含むすべての肺機能パラメータを評価した。聴診および呼吸速度も、投与前および吸入後の様々な時点で測定された。胸部x線検査が、フレカイニド吸入前後の対象に対して実施された。
【0298】
[0473] 有害事象がモニターされ、記録された。
[0474] PK:
[0475] フレカイニドの静脈血漿中濃度が、フレカイニドの経口吸入またはIV注入(10分)後に測定された。
【0299】
[0476] 以下のPKパラメーターが、計算された:観察されたフレカイニドの最高静脈血漿中濃度(Cmax)、Cmaxが観察された時点(Tmax)、最後の測定可能な濃度までの濃度-時間曲線の下の面積(AUCLast)、体全体にわたる組織への分布によって、フレカイニド血漿中レベルが平衡状態にあったときのレベルの半分まで低下した時点(分布t1/2)、ならびに代謝および消失によって、フレカイニド血漿中レベルが平衡状態にあったときのレベルの半分まで低下した時点(消失t1/2)。
【0300】
[0477] PD:
[0478] 集中的(Intensive)心電図(ECG)モニタリングが、吸入またはIV投与されたフレカイニドの薬力学的活性(例えばQRS間隔)を評価するために、試験の間全ての対象において実施された。ECG記録は、以下のものを含んでいた:1)患者の安全性の観察のための連続的リアルタイムECG遠隔測定(投与の12時間前に開始し、投与後12時間継続)、2)手順および薬物投与の安全性を確かめるための医療スタッフによる即時のレビューのための12リードECGが、投与する前(投与前)および投与した後(投与後)の、事前に指定された時点(または必要に応じてあらゆる時点)において記録され、そして3)連続的12リードECG(cECG、iCardiac Holterモニタリング)が、24時間(投与の1時間前に開始し、投与の24時間後まで)記録された。
【0301】
[0479] 結果:
[0480] 安全性評価:
[0481] フレカイニドまたはプラセボの投与と関係する心拍数(HR)、動脈全身血圧(BP)および肺機能検査パラメータにおける変化が、評価された。加えて、半横臥から座位(体を起こして座った状態;seated upright)への、その逆への、および吸入の間の姿勢変化のHRおよびBPへの作用が、評価された(コホート5)。
【0302】
[0482] 吸入フレカイニドおよびプラセボを投与された対象において、HRならびに収縮期および拡張期血圧の両方における一過性の増加/上昇(1~3分)が、観察された。これらの変化は、(半横臥から着座への)姿勢変化に対する交感神経反射(圧受容器の負荷解除)応答に起因する可能性があり、経口吸入手順、例えば吸入の吸気相の終了時における約2秒間の息止めに類似した比較的長く深い呼吸に起因するようである。
【0303】
[0483] 心拍数測定:
[0484]HRにおける増加の大きさは、変動性であり、用量依存的ではなかった(例えば、30、40および60mg eTLD群におけるよりも20mg eTLD群においてより大きな増加)。拍動/分(bpm)でのベースラインHRは、コホート1の健康な対象の集団に関する予想された範囲内であった。即座に、20mg eTLDの酢酸フレカイニドの吸入の終了時に、HRにおけるベースラインからの最初の増加があり、ベースライン心拍数からの平均変化(ΔHR)は、1分および3分の時点で約12bpmであり、
続いてその後の時点でより小さな増加があった。吸入の終了の15分および30分後、平均ΔHRは、約4bpmであった(
図22)。
【0304】
[0485] コホート2の対象において、40mg eTLDのフレカイニドの吸入の完了後、1~3分の時点でそれぞれ12~8bpmのHRにおける初期の一過性の増加があった。その後、HRは、投与前に向かって急速に低下し;10分の時点で、投与後ΔHRは、+5bpmであった(
図23)。
【0305】
[0486] フレカイニド(60mgのeTLD)またはプラセボ吸入溶液のどちらかを与えられたコホート3の対象におけるHRの変化の時間経過が、
図72において示されている。60mg eTLD(
図72)に関して、心拍数(HR)における変化は、プラセボ
群において観察された変化と比較可能であった。
【0306】
[0487]HRにおける増加が、吸入フレカイニド(30mg eTLD)およびIVフレカイニド(2mg/kg)の単回用量投与後のコホート5の対象において観察された(
図24)。
【0307】
[0488] プラセボ溶液の吸入後、HRにおける変化はなかった。
[0489] 収縮期および拡張期血圧測定:
[0490] 酢酸フレカイニドまたはプラセボ溶液のどちらかの吸入の間に、コホート1の対象の収縮期および拡張期血圧(BP)の両方が、吸入の完了後の最初の15分間(プラセボ)~30分間(フレカイニド)の間に上昇した。その後、それらは、投与前圧力に向かって低下した(
図25AおよびB)。
【0308】
[0491] フレカイニド(40mg eTLD)またはプラセボのどちらかの吸入の間、コホート2の対象における収縮期圧および拡張期圧の両方が、最初の1~3分の間に一時的に上昇し、吸入の完了後10~15分以内に投与前の値に向かって低下した(
図26AおよびB)。
【0309】
[0492] コホート3の対象(60mgの最高eTLDを吸入した対象)において、フレカイニドの最大(ピーク)濃度(Cmax)が達成された時点またはその付近(Tmax)における収縮期BPおよび拡張期BPにおける上昇は、それぞれ5および4mmHgであり;一方でプラセボ溶液を吸入した対象に関して、上昇は、それぞれ3mmHgおよび2mmHgであった。
【0310】
[0493] 平均値の重複する標準偏差を考慮して、吸入フレカイニドまたはプラセボのどちらかを与えられた対象に関する血圧(収縮期および拡張期)における変化の大きさは、試験されたすべての用量に関して類似していた。
【0311】
[0494] 収縮期および拡張期BPにおける上昇が、吸入フレカイニドの単回用量投与後のコホート5の対象において観察された(30mg eTLD;
図27AおよびB)。収縮期および拡張期BPにおける低下が、IVフレカイニド投与後に観察された(2mg/kg;
図27AおよびB)。
【0312】
[0495] IVフレカイニドまたは吸入フレカイニド後のHRおよび血圧における変化に関するさらなる分析が、
図73において示されている。フレカイニドのIV注入の投与によるHRの最大増加は、注入の終了時に7bpmであった(
図73)。フレカイニドのIV注入の間および後のHRにおける増加は、注入の終了時に9mmHgの収縮期圧における一過性の低下を伴い(
図73)、そして投与の3分後に18mmHgもの収縮期圧における一過性の低下を伴った(
図75A)。拡張期圧は、注入の終了時に約2mmHg低下
し(示されていない)、投与後3分の時点で7mmHgも低下した(
図75B)。吸入フレカイニドの投与によるHRにおける最大増加は、吸入の終了時に5bpmであった(
図74)。フレカイニドの経口吸入の間、吸入の完了後1分の時点でのHR(吸入の期間は約4.5分)は、2bpm増加した(
図74)。示されていないが、吸入中への中間点(1.5分)において、対象間で非常に変動していたHRは、68±12bpmから77±17bpmに増加した(6人の対象のうち中4人に関して、データは入手できなかった)。収縮期圧(
図74および75A)および拡張期圧(
図75B)における変化は、-3~+1mmHgの範囲で、比較的小さかった。吸入による投与に関して、HRおよびBPにおける変化(増加/上昇または低下)は、部分的に、姿勢および/または吸入手順における変化に起因し得る(
図72、75Aおよび75B)。IV注入に関して、BPにおける一過性の低下は、フレカイニドの負の向イオン性作用に起因する可能性があり、一方でHRにおける増加は、BPにおける低下により誘発される圧受容器反射によるものである。
図75Aおよび75Bは、フレカイニドのIV注入または経口吸入の投与後の収縮期血圧(
図75A)および拡張期血圧(
図75B)における変化を要約しており、それは、IV注入を介して与えられたフレカイニドの約5倍高い用量(~150mg)と比較して、30mgのeTLDで吸入されたフレカイニドの負の血行力学的作用の欠如を示す。
【0313】
[0496] 肺活量測定:
[0497] コホート1、2、3および5中の全ての対象に関して、全ての標準的な肺活量測定値(例えばFEV1、PEF、FVCおよびFEF25-75)および末梢O2飽和値は、フレカイニドまたはプラセボの前後で正常であった。同様に、呼吸速度における変化は、最小であったか、または全くなかった。コホート間またはランダム化処置割り当て間で差はなかった。
【0314】
[0498] コホート1の対象において実施された肺活量測定試験の結果が、下の表1において要約されている。
【0315】
【0316】
[0499] コホート2の対象において実施された肺活量測定試験の結果が、下の表2において要約されている。
【0317】
【0318】
[0500] すべての肺機能パラメーター(例えばFVC、FEV1、PEFおよびFEF25-75)に関する投与前および投与後は、試験された集団に関する正常な範囲内であり、互いに異なっていなかった。それぞれのコホート内のコホート(1対2)または群(プラセボ対フレカイニド)のどちらの間にも差はなかった(表1および表2)。
【0319】
[0501] 末梢酸素飽和度測定:コホート1の対象において測定された末梢酸素飽和レベルが、表3において要約されている。
[0502] コホート2の対象において測定された末梢酸素飽和レベルが、表4において要約されている。
【0320】
[0503] SpO2に関する投与前および投与後の値は、正常範囲(97~98%)内であり、互いに異なっていなかった。群(プラセボ対フレカイニド)およびコホート(1対2)の間で、SpO2%における差は、最小限であったか、または全くなかった。
【0321】
[0504] 聴診は、フレカイニド(20mg eTLD、30mg eTLD、40mg
eTLD)およびプラセボ溶液の吸入前後の全対象において正常であった。
[0505] フレカイニド(20mg eTLD、30mg eTLD、40mg eTLD)およびプラセボ溶液の吸入前後で呼吸速度における変化は測定されなかった。
【0322】
[0506] 胸部x線は、正常であり、フレカイニド(20mg eTLD、30mg eTLD、40mg eTLD)およびプラセボ溶液の吸入前後の対象において変化を示さなかった。
【0323】
【0324】
【0325】
[0507] 有害事象:
[0508] 試験のパートAでは、試験される34人の対象のうちで25人が、フレカイニド溶液を経口吸入により与えられ、9人の対象が、プラセボ溶液を与えられた。34人の
対象のうちの28人(82%)において、合計66件の処置下で発現した有害事象(TEAE)が存在した。全ての有害事象は、軽度であり、処置を必要としなかった。
【0326】
[0509] コホート1および2に関する研究では、有害事象の大部分は、15~90分間持続した。フレカイニドは、十分に耐容され、吸入を中断した対象はいなかった。以下の表5は、コホート1および2の対象により報告された最も一般的な有害事象を要約している。
【0327】
【0328】
[0510] 試験薬に関連するAEの要約およびそれらの強度の評価が、表6において要約されている。試験された全34人の対象から、24人(71%)が、合計47件の試験薬に関連すると考えられるTEAEを有していた。2人(6%)の対象のみが、合計3件の中等度または重度のTEAEを有しており;1人の対象(3%)は、試験薬に関連すると考えられる2件のTEAEを有していた。重篤な有害事象は報告されず、酢酸フレカイニドまたはプラセボ溶液の吸入を中断しなければならない対象はいなかった。
【0329】
【0330】
[0511] TEAEの大部分は、それぞれ1または2人の対象において発生しており;全コホートにわたるフレカイニドまたはプラセボ吸入溶液のどちらかを与えられている2人以上の対象で発生しているTEAEが、表7において要約されている。
【0331】
[0512] フレカイニドを与えられている対象においてより高い頻度で発生したAEは、口咽頭不快感、息切れ(呼吸困難)、咳および口渇であった。しかし、フレカイニドを与えられた対象により報告されたAEの発生率は、用量依存的ではないようであった。これらのAEは、軽度と考えられ、処置を必要としなかった。2件の中等度の有害事象(AE)が、コホート#2(40mg eTLD)からの1人の対象により報告された;フラフラした感覚および口咽頭不快感。
【0332】
[0513] フレカイニド投与群を合わせた中の合計43件のTEAEのうちで、38件(19/25人の対象における、76%)および1人の対象における5件の事象(4%)は、それぞれおそらく試験薬関連である、および試験薬関連である可能性があると考えられた。総フレカイニド群で最も高頻度の事象は、以下の通りであった(事象、対象および百分率):口咽頭不快感:10/25人の対象(40%)において10件の事象;呼吸困難(息切れ):4/25人の対象(16%)において4件の事象;眩暈:3/25人の対象(12%)において3件の事象;咳:3/25人の対象(12%)において3件の事象;口渇:3/25人の対象(12%)において3件の事象;頭痛:2/25人の対象(8%)において3件の事象;味覚異常:2/25人の対象(8%)において2件の事象。
【0333】
【0334】
[0514] プールされたプラセボ群では、試験薬に関連する可能性がある、またはおそらく試験薬に関連すると思われる4/9人の対象(44%)における4事象が存在し;それらは、以下の通りであった:口咽頭不快感、気道刺激、腹部不快感および口渇。試験デバイスに関連するTEAEは、報告されなかった。
【0335】
[0515] 研究のパートBでは、6人の対象全員がフレカイニドの吸入(IH)および10分間のIV注入の間にそれぞれ合計12および49件のTEAEを有し、すなわち、IHによるTEAEがIVによるTEAEよりも4倍少なかった(表8)。全対象が、少なくとも1件の試験薬に関連するTEAEを有していた。吸入後に対象により報告された全てのTEAEは強度が軽度であったが、IV注入後、2人の対象におけるこれらのうちの4件(29%)は、中等度または重度と考えられた(表8)。おそらく試験薬に関連する1件の重度の強度のAEおよび2件の中等度の強度のAEが、同じ6人の対象により、彼らがフレカイニドのIV注入を受けた際に報告された。重篤なAEが、1人の対象において発生し、ここで、IV注入は、低血圧(収縮期BP<65mmHg)のために中断されなければならず、重度の意識朦朧(眩暈)が、報告された。IHまたはIVフレカイニド投与のいずれかに関してのSAEの報告はなかった(表8)。
【0336】
【0337】
[0516] TEAEの大部分は、それぞれ1人または2人の対象において発生し;経口吸入(IH)またはIV注入によるフレカイニドのどちらかを与えられた2人以上の対象において発生したTEAEが、表9において要約されている。全ての対象は、各投与条件(IHおよびIV)において少なくとも1つのTEAEを経験した;しかし、既に指摘されたように、IH投与に関係するTEAEは、IVと比較して4倍少なかった:それぞれ6人の対象において12件の事象(対象あたり平均2件の事象)対7人の対象において49件の事象(対象あたり平均7件の事象)。
【0338】
[0517] フレカイニドのIV注入と関係する最も高頻度なTEAEは、以下のものであった:眩暈(6/7人の対象(86%)において6件の事象)および頭痛(5/7人の対象(71%)において6件の事象)。また、口の感覚異常が、IV注入と合わせた場合にのみ3人の対象(43%)において起こった。それぞれ2人および1人の対象における末梢冷感および胸部不快感、ならびにそれぞれ2人の対象において2件の事象(投与部位冷感、カテーテル部位痛、胸部不快感および疲労)も、IV注入と関係していた。
【0339】
【0340】
[0518] フレカイニドのIH投与では、咽頭不快感が最も高頻度なTEAEであり、4/6人の対象(67%)の4件において発生した。1人より多くの対象において発生したIH投与と関係する唯一の他のTEAEは、2/6人の対象(33%)の2件における胸部不快感であった。しかし、3件のそのような事象が、フレカイニドのIV注入と合わせた場合の1人の対象においても発生した。
【0341】
[0519] IHおよびIV注入両方と関係したTEAEのうちで、それぞれ合計12人からの9件のそのような事象および合計49人からの35件のそのような事象が、試験薬に関連すると考えられた。フレカイニドのIV注入と関係する試験薬関連事象のタイプは、以下の通りであった:眩暈(6人の対象において6件の事象)および頭痛(5人の対象において5件の事象)および口の知覚異常(3人の対象において3件の事象)。IVフレカイニド投与と関係する他の試験薬関連事象は、以下のものであった:それぞれ1人の対象において2回発生した末梢冷感、動悸および胸部不快感ならびに2人の対象において2回発生した適用部位冷感。
【0342】
[0520] フレカイニドのIH投与と関係する4件のおそらく試験薬と関連する事象があり;4人の対象における口咽頭部不快感、IH投与経路に関する残りの5件の試験薬関連事象は、全てそれぞれ1人の対象において1回発生した。それらは、咳、発音障害、呼吸
困難、口の感覚低下および胸部不快感であった。試験デバイスに関連すると考えられたTEAEはなかった。
【0343】
[0521] PKの結果:
[0522] 最初の分析は、酢酸フレカイニド溶液(20mg eTLD、30mg eTLDまたは40mg eTLD)の経口吸入が結果としてほぼ用量比例性を示す薬物の静脈血漿中濃度をもたらすことを実証した(
図28)。
【0344】
[0523]
図76Aおよび76Bは、プロトコル適合(
図76A)および事後(
図76B)データセットから生成された20、40および60mg eTLDの経口吸入用量のeTLDに関する平均血漿中フレカイニド濃度対時間のプロットを示す。対象の大部分(25人の対象のうちの21人、84%)において、酢酸フレカイニド溶液の経口吸入(IH)の完了後、薬物の静脈血漿中濃度が吸入の完了後1~3分以内に急速に上昇し、すぐに低下した。それぞれ40および60mg eTLDコホート中の2人の対象において、T
max値(例えば最大血漿中濃度の発現までの時間)は、吸入の終了後15分より大きく(例えば20分~4時間の範囲)、さらに、C
max(例えば最大血漿中濃度)値は、他の21人の対象よりも3倍低かった(下記参照)。主な分析(例えばプロトコル適合)からのこれらの4人の対象からの全てのデータの除外は、全ての薬物動態パラメーター値の範囲および分布への最小限の作用を有していた。しかし、それぞれのコホートの残りの対象の平均C
max値よりも、40mg eTLDコホートからの2人の対象のC
max(70.9および43.5ng/mL)は、3.0倍低く、60mg eTLDコホート由来の2人の対象に関するC
max(82.3および51.3ng/mL)は、3.4倍低かった。これらの対象からのC
maxデータを含めることは、C
max値の範囲を著しく増大させ、従って、これらの対象からのPDデータも、その後の分析から除外された。これらの4人の対象を除外するデータセットは、事後データセット(
図76B)と呼ばれる。以後の本文において記載されるデータ、表および図に示されるデータは、事後集団からのものであり、それは、上記で言及された4人の対象からのデータを含まない。
【0345】
[0524] 表10は、約10~15分間持続する速い分布相(3.5~4.2分の推定t
1/2α)および9~12時間の消失t
1/2βで経口吸入により投与されたフレカイニドの薬物動態(PK)パラメーターの推定値を要約している。分布相および消失半減期は、フレカイニドの用量とは無関係であった。C
maxおよびAUC
Lastは、用量依存的であった。経口吸入によってまたはIV注入によって投与されたフレカイニド(eTLD20、40または60mg eTLD)の静脈血漿中濃度-時間曲線が類似していることは、注目に値する(
図84Aおよび84B参照)。経口吸入およびIV注入(
図84Aおよび84Bに示されている)を介して送達されたフレカイニド間の濃度-時間プロフィール曲線における大きな類似性は、これらの2つの投与経路による比較可能な薬物動態を示す。この発見は、2mg/kg(または最大150mg)のフレカイニドのIV投与経路が最近発症した症候性AFのNSRへの転換において安全かつ高度に有効であることが確立されているため、妥当である。
【0346】
[0525] パートBの試験は、IVフレカイニドおよび吸入フレカイニドの間のPKプロフィールの比較を提供した。コホート5の対象において、吸入されたフレカイニド(30mg eTLD)の静脈血漿中濃度-時間曲線は、IV注入によって投与されたフレカイニドに関する曲線と類似していた(2mg/kg;
図29AおよびB)。IV注入(10分間かけて2mg/kg;149±17mgの総用量)または吸入(30mgのeTLD)によって送達されたフレカイニドに関する末梢静脈血漿中濃度-時間曲線も、
図77Aおよび77Bにおいて異なる時間スケールで再プロットされている。静脈内投与および吸入後のフレカイニドのピーク血漿中濃度(C
max)は、それぞれ749±308および120±70ng/mLであった。静脈内注入に関するC
maxまでの時間(T
max)
は、10分間の注入の終了後1~60分であり、吸入後1分以下であった(表11)。6人の対象における30mg eTLDのフレカイニドの吸入を完了するまでの平均時間は、4.5分であった。薬物動態パラメーター(C
max、分布(t
1/2α)および消失(t
1/2β)半減期)の要約が、表11において示されている。分布相および消失半減期は、静脈内注入および吸入に関してほぼ同一であった:静脈内に関してそれぞれ4.7±01.4分および10.0±1.8時間、吸入に関してそれぞれ4.3±1.5分および10.1±2.0時間。さらに、この第1相試験における静脈内投与後の分布半減期および消失半減期は、静脈内フレカイニドに関する文献において公開された分布半減期および消失半減期に類似していた。
【0347】
【0348】
[0526] IV注入および経口吸入を介して与えられたフレカイニドのPKプロフィールを直接比較するために、IV用量に関する平均+/-SD血漿中フレカイニド濃度対時間を、30mg eTLD経口吸入用量と一致させるために30mgに標準化した。
図29Bおよび
図78は、それぞれIV注入の標準化血漿フレカイニド濃度および吸入の血漿中フレカイニド濃度の間の異なる時間スケールでの比較を示している。結果として得られた濃度-時間プロフィール曲線は、ほぼ同一であり、これらの2つの投与経路による比較可能な薬物動態を示している。
【0349】
【0350】
[0527] PDの結果:
[0528] QRS間隔持続時間
[0529] コホート1の対象において、フレカイニド吸入の終了後1~3分の間に、平均ΔQRS(ベースラインからの平均変化、投与前QRS間隔持続時間)の小さい増加があ
った。
図31は、20mg eTLDのフレカイニドの吸入後の6人の対象およびプラセボの吸入後の2人の対象におけるQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)の時間経過を示す。
【0351】
[0530] コホート2(40mg eTLDフレカイニド)の対象において、投与後1~3分の間にQRS持続時間における一過性の増加があり;対象の大部分において、QRS間隔持続時間における増加(ΔQRS)の最大値は、投与1分後の時点で観察された。吸入フレカイニドに曝露されたコホート2の10人の対象に関するQRS間隔持続時間における変化が、
図32において示されている。
【0352】
[0531] 吸入フレカイニド(40mg eTLD)酢酸塩溶液に曝露されたコホート2中の個々の対象(R222)からの代表的なECGトレーシングが、
図33Aにおいて示されている。ECGトレーシングは、QRS持続時間(QRSd)が投与後1分の時点で10ミリ秒増加したが、R波の振幅(QRSa)は投与後3分の時点で400μV減少したことを示している。棒グラフは、各時点に関するECGのいくつかのトレーシングから記録された対象R222のQRS間隔持続時間(
図33B)およびR波振幅(
図33C)における平均変化を要約している。QRS間隔の複合(complexes)の持続時間における最大増加(約9ミリ秒)および振幅における減少(約480μV)は、一過性であり、統計的に有意であった(p<0.05)。
【0353】
[0532] コホート1、2および3におけるQRS間隔持続時間の変化の時間経過が、全
て吸入(酢酸フレカイニドまたはプラセボ溶液のどちらかの吸入)の完了後にプロットされた(
図79;事後集団に関するデータのみ)。吸入投与後1分の時点におけるQRS延長の大きさは、20mg eTLDのeTLDに関して最小(3.0ミリ秒)であり、40mg用量に関して中間的(8.2ミリ秒)であり、60mg eTLDに関して16ミリ秒の最大値に達した。3通りの用量の投与後に達成された最大QRS拡大の大きさは、20mg eTLDおよび40mg eTLDの間で2.9倍、20mg eTLDおよび60mg eTLDとの間で4.5倍であった。一度最大QRS間隔延長が達成されると(一般に1~3分)、QRS間隔持続時間は、時間の関数として減少し;吸入の完了後30分の時点で、QRS間隔持続時間は、投与前レベル付近に戻った。吸入投与後2、4、6、8および24時間の時点で、QRS間隔持続時間は、3つのコホートの全対象に関して、投与前(ベースライン)値(80~90ミリ秒の範囲)付近で未変化のままであった。プラセボを与えられた対象は、いずれの時点においてもQRS間隔における最小限の変化を有していた。
【0354】
[0533] パートB試験において、12リードECGから測定されたQRS間隔持続時間における変化の時間経過が、6人の対象において、フレカイニドIV注入(2mg/kg、10分間にわたる投与)および吸入(30mg eTLD、平均時間4分間)の前、間および後に得られた。コホート5中の対象は、フレカイニド(2mg/kg)のIV注入後のQRS間隔の顕著な延長を示し、30mg eTLDの酢酸フレカイニド溶液の吸入後1~3分の間にQRS間隔持続時間における一過性の増加を示した(
図34)。コホート5からのQRS間隔持続時間データも、
図80Aおよび80Bにおいて示されている。IV注入後のQRS間隔持続時間における最大増加の平均(±SEM)は、34.2±2.4ミリ秒であり、吸入後のQRS間隔持続時間における最大増加の平均(±SEM)は、12.4±2.6ミリ秒であった。QRS間隔持続時間の広がりは、両方の場合に一過性であったが、静脈内後(>60分)は吸入後(15~30分)に比べてはるかに長く持続した。IV注入後2時間の時点で、QRS間隔持続時間は、なおベースライン(78±2ミリ秒の投与前値)より12.5ミリ秒長く、次いで投与後4、6および8時間の時点で着実に短くなった。退院前の24時間において、QRS間隔持続時間は、なお薬物前のベースライン値より約7ミリ秒長かった。6人の対象中3人において、フレカイニドのIV注入は、非特異的な心室内伝導遅延を引き起こし、これは、QRS間隔持続時間の過度の延長を示している。対照的に、フレカイニド(30mgのeTLD)を経口吸入により与えられた場合、いずれの同一の対象においてもこれらの変化は観察されなかった。30mgのeTLDの吸入後2~24時間で、QRS間隔持続時間は、78±2ミリ秒の投与前ベースライン値から<2ミリ秒異なっていた。
【0355】
[0534] PR間隔:
[0535] フレカイニドは用量依存的様式でPR間隔を延長することが知られているため、PR間隔測定値も、得られた。
【0356】
[0536] コホート1の対象において、PR間隔(心房脱分極の開始および心室脱分極の開始から経過した時間)は、早い時点で短縮され、平均ΔPRは、投与後1分および3分の時点で-6ミリ秒および-4.5ミリ秒であり、値は、投与後10分から4時間まで-3.0ミリ秒より小さかった(
図30)。
【0357】
[0537] 60mg eTLDのフレカイニドまたはプラセボ溶液を吸入しているコホート3の対象に関するデータが、
図81において示されている。フレカイニドの投与後早い時点(1~5分)でPR間隔持続時間における約5ミリ秒の延長があり、10分および15分の時点で12ミリ秒に至るまでの延長があった。対照的に、プラセボ溶液の吸入後、最初の5分間の間にPR間隔持続時間における約5ミリ秒の短縮があり、その後、それは、投与前値に向かって戻った。20mgまたは40mg eTLDのフレカイニドを吸入
した対象において、PR間隔持続時間の最小限の変化が見られたか、または変化は見られなかった。3つのコホート全ての対象からの吸入投与後2、4、6、8および24時間の時点でのPR間隔持続時間は、ベースライン(投与前)値とほぼ同じであり、すなわち140~150ミリ秒の範囲であった。プラセボ溶液を吸入した全ての対象(コホートの組み合わせ)において、PR間隔は、短縮した。前、間および後(投与後5~10分まで)に観察されたPR間隔における比較的小さい変化または無変化は、姿勢変化の交絡作用および吸入手順自体に起因し得る。プロトコルは、フレカイニドまたはプラセボ溶液の吸入の間、着座姿勢を要求した。半横臥位(吸入前)から着座位(吸入の間)への姿勢変化は、PR間隔の短縮につながる交感神経反射を誘発する。着座姿勢による交感神経反射に駆動されるPR間隔短縮は、
図81のプラセボ曲線において明らかである。従って、直立姿勢と関係するPR間隔短縮は、フレカイニドを与えられている対象におけるPR間隔の予想される延長のほとんどをおそらく否定した。
【0358】
[0538] 着座位前、着座位間および着座位後に間隔測定結果が得られた第1相試験のパートBの結果は、対象の半横臥姿勢から座位姿勢への対象の姿勢における変化の間にフレカイニドの吸入後のPR間隔が短縮された後に再び長くなることを明確に示している。
図82Aおよび82Bは、IV注入の前、間および後の6人の対象における12リードECGから測定されたPR間隔持続時間における変化を示す。フレカイニドの投与の45分前、PR間隔持続時間は、類似しており、IV注入により164±1ミリ秒および吸入により165±2.0ミリ秒であった。フレカイニドのIV注入の終了時に(
図82A)、PR間隔は、187±6まで延長し、IV注入後60分の時点で延長したままであった。IV注入後2時間の時点で、PR間隔は、なお薬物前のベースライン値である161±3ミリ秒よりも約12ミリ秒長く、その後ベースラインに向かって戻り;8時間および24時間の時点で、PR間隔は、薬物前のベースラインに完全に戻った。吸入によるPR間隔持続時間におけるECG変化は、姿勢変化の作用のため、より複雑であった。
図82Bにおいて示されているように、対象が半横臥位から座位に姿勢を変えた際、PR間隔持続時間は、-45分の時点で測定された投与前値から13ミリ秒短縮された。その後、吸入の開始から終了まで、PR間隔持続時間は、吸入完了後5分の時点で12ミリ秒延長され、次いで投与前値に向かって減少した。姿勢変化(半横臥から着座へ)後のPR間隔持続時間の短縮は、交感神経緊張における増大に起因すると言え、観察された心拍数(
図72)および収縮期血圧における増加/上昇と一致した。経口IHフレカイニド後2時間およびさらに後(4、6、8および24時間)の時点でのPR間隔は、(160ミリ秒)であり、薬物前ベースライン値の158.5ミリ秒よりもおおよそ2ミリ秒長かった。要約すると、フレカイニドのIV注入および経口吸入は、それぞれ25ミリ秒および12ミリ秒の最大PR間隔延長と関係していた。
【0359】
[0539] Fridericia HR補正QT(QTcF)間隔:
[0540] QTcF間隔は、20mg eTLDのフレカイニドの吸入後、コホート1の対象においてほとんど変化せず、吸入後の時点にわたる小さい平均変化があり、それは、最初の6時間の間に+4.0ミリ秒~-2.7ミリ秒で変化した(
図35)。
【0360】
[0541] コホート2および5の対象において、吸入後のΔQTcFの時点は、40mg
eTLDおよび30mg eTLD吸入フレカイニドに関してそれぞれ±4ミリ秒変動した。
【0361】
[0542] T波形態:
[0543] 酢酸フレカイニド溶液(20mg eTLD、30mg eTLDおよび40mg eTLD)の吸入後、T波形態における変化は、観察されなかった。
【0362】
[0544] フレカイニドのIV注入後、T波形態の異常であるT波ノッチングが、観察さ
れている(2mg/kg;
図36)。
[0545] PK-PD関係:
[0546] フレカイニドの抗不整脈有効性は、QRS間隔の拡大と強く相関し得る。
図83は、コホート1、2および3における事後集団に関するQRS間隔持続時間の延長へのフレカイニドの吸入の作用の用量-濃度応答関係を示す。以下に示されるPK-PD関係は、非定常状態、フレカイニドのピーク血漿中レベルおよび吸入後のQRS間隔持続時間における最大変化に基づいている。最大QRS間隔延長は、20、40および60mg eTLDのeTLDでそれぞれ3.5±1.0、10±1.5、16±1.4であった。
【0363】
[0547] 本試験のパートB(FLE-001)では、フレカイニドが、同じ対象においてIV注入によるか(10分間かけて)または経口吸入によるか(約4.5分間)のどちらかで単回用量で投与された。従って、IVまたは経口吸入のどちらかによって与えられたフレカイニドの定常状態血漿中レベルは、達成されなかった。従って、下記のPK-PD関係は、特定の時点で測定された非定常状態の急速に変化するフレカイニドの血漿中レベル([Flec]
血漿)およびQRS間隔持続時間における変化(ΔQRS)に基づいている。非定常状態条件から予想され、
図84Aおよび84Bにおいて示されているように、([Flec]
血漿)およびΔQRSの間に時間的解離が観察される。フレカイニド
の血漿中濃度の急激な上昇および低下(分布相)の両方の間、QRS間隔持続時間における変化は、フレカイニドの末梢静脈濃度の変化より遅れる。濃度および応答(QRS)の間のヒステリシスは、IVおよび吸入の両方の投与の経路に適用される。
【0364】
[0548] Conardら(1984)によるフレカイニドの初期のPK研究の結果によれば、フレカイニドの末梢静脈血漿中レベルは、“変化していないフレカイニドの心臓組織濃度を反映する”。従って、結果として、フレカイニドにより引き起こされるQRS間隔持続時間の延長は、フレカイニドの心室心筋(主に左)濃度を反映する可能性がある。
【0365】
[0549]
図84Aおよび84Bにおいて示されている発見に基づいて、両方の変数の時間が一致する値を使用する代わりに、フレカイニドのピーク血漿中レベル(C
max)および最大ΔQRSの間の関連性を決定することが求められた。この分析の結果が、
図85において示されている。
【0366】
[0550] 経口吸入を介して送達されたフレカイニドのより低い用量(30mgのeTLD)は、IV注入を介して送達されたより高い用量(~150mg)と比較した場合に、フレカイニドのより低い(6.2倍)最大血漿中レベルをもたらした。同様に、QRS間隔持続時間における変化に反映されるフレカイニドの薬力学的活性は、それ故にIV注入よりも吸入後により小さかった(2.7倍)。従って、吸入によって与えられたフレカイニドの2.3倍(6.2/2.7)低い血漿中濃度は、10分間のIV注入後に達成される大きさのQRS間隔持続時間の長期化を引き起こし得るようである。この解釈に従えば、
図86において示されているように、IV注入または経口吸入のどちらかの後のほぼ等しいΔQRS(12.0~16ミリ秒)を有する対象からのデータの直接比較は、それぞ
れ222±23および85±40.3ng/mLの血漿中濃度をもたらした。従って、吸入後に達成されたフレカイニドの2.6倍低い血漿中レベルは、結果として14ミリ秒のΔQRSをもたらし、これは、フレカイニドのIV注入への5分の時点で達成されたものと類似したQRS間隔の広がりであり;これは、1mg/kg、すなわち投与された用量の半分と同等である(
図84Aおよび84B)。
【0367】
[0551] 要約:
[0552] この第1相試験の結果は、30~60mg eTLDの範囲のフレカイニドの吸入用量が安全であり、十分に耐容性があり、吸入完了後1~3分以内にフレカイニドの予想される電気生理学的作用、例えばQRS間隔の延長を引き出すのに十分な量で全身循
環中にフレカイニドを送達することを示した。試験のパートBでは、経口吸入により与えられた30mgのeTLDのフレカイニドのPK、PD、安全性および耐容性ならびに2mg/kgのフレカイニド(約150mg)の10分間のIV注入用量のPK、PD、安全性および耐容性の間で、直接比較がなされた。2mg/kgの承認された用量でIVにより与えられたフレカイニドは最近発症した心房細動の急性薬理学的心臓除細動に関する確立された薬剤であるため、吸入フレカイニドは、IVフレカイニドと比較された。吸入フレカイニドのAFを心臓除細動する潜在的有効性に関連するのは、IVフレカイニドによる心房細動から洞調律への転換の時点で静脈血漿中フレカイニド濃度は114~742ng/mLの範囲であり、QRS間隔持続時間における増加は12~30ミリ秒の範囲であるという観察結果である(Crijns H et al, 1988; Suttorp MJ et al, 1990; Donovan KD et al, 1995)。30mg以上のeTLDでの吸入フレカイニドは、静脈血漿中フレカイニド濃度をもたらし、心房細動をIVフレカイニドによって洞調律に転換することが報告された範囲の下限においてではあるが、上記でIVに関して報告された範囲と同じ範囲内のQRS間隔延長を引き起こすことが見出された。従って、文献で報告されたフレカイニドの薬物動態および薬力学に基づけば、30mg以上のeTLDでの吸入フレカイニドは、最近発症した心房細動を投与の数分以内に洞調律に転換するのに有効である可能性がある。承認されたIVフレカイニド用量と比較して、吸入フレカイニドのより低い用量は、より良好に耐容され、かつより安全である可能性が高い。
【0368】
実施例5
麻酔されたブタにおける静脈内投与と比較した酢酸フレカイニドの気管内点滴注入の薬物動態および薬力学的作用
[0553] 気管内(IT)点滴注入に対するPKおよびPD応答が、以前に臨床的に関連することが示されている完全なブタモデル(Kumar et al 2009)においてフレカイニドのIV送達と比較された。
【0369】
[0554] 実験設計:
[0555] 研究は、体重36±1.0kg(平均±SEM)のオスのヨークシャーブタ(
n=9)で実施された。ブタは、テラゾール(4.7mg/kg、筋肉内)で予備麻酔され、続いてアルファ-クロラロース(80mg/kg、IVボーラス、続いて24mg/kg/時間の連続IV注入)を用いてさらに麻酔された。動物は、挿管され、12呼吸/分の一定速度および400ml/ストロークの一回呼吸量で人工呼吸を施された。
【0370】
[0556] 全てのカテーテルは、蛍光透視のガイドの下で配置された。Orbiter電極カテーテルが、局所心房電位図を記録するために右心房に配置された。心室電位図は、左心室(LV)に配置された十極電極カテーテルを用いて得られた。動脈血圧が、大腿動脈シースから連続的にモニターされた。同時採血による血液試料が、LV中に配置されたピッグテールカテーテルからおよび頸静脈中のカテーテルから引き出された。電位図が、心房および心室部位からPrucka CardioLabワークステーション(GE Medical Systems、ミルウォーキー、ウィスコンシン州)を用いてモニターされた。酢酸フレカイニド溶液のIT点滴注入のために、気管内チューブより1cm長い5Fr血管形成用カテーテルが、気管内チューブを介して気管中に導入され、その先端は、蛍光透視下で気管竜骨レベルで配置された。
【0371】
[0557] IV注入実験では、フレカイニド(2mg/kg、2分間にわたるIVボーラス)が、右大腿静脈中に挿入された7Frシースを介して注入された。RR、PR、QTcおよびJTc間隔ならびにQRS持続時間が、6つの連続拍動で測定され、各時点の数秒前に記録された。
【0372】
[0558] IT点滴注入実験では、フレカイニド(2mLの0.75mg/kgまたは1
.5mg/kg濃度、IT)は、気管内チューブ中に配置された血管形成カテーテルを介して2~3秒間の単回の“プッシュ”で投与された。例えば、36kgの豚に関して、27mg/2mL(0.75mg/kg)または54mg/2mL(1.5mg/kg)の用量のフレカイニド溶液が、使用されることができる。QT間隔は、バゼットの公式(QTc=QT/√RR)を用いて補正され、この報告においてQTc間隔として示される。
【0373】
[0559] 1回の実験で1より多くの用量が試験された場合、30~60分のウォッシュアウト期間が、新しい用量を試験する前にフレカイニドの残留レベルを最小限に保つために許容された。
【0374】
[0560] フレカイニドのIT点滴注入のAFの持続時間に対する作用に関する実験のために、アセチルコリン(ACh)(15mg/mlの濃度で1mL)の心膜内投与、続いて1分間のバーストペーシングを使用して、不整脈が誘発された。フレカイニド(1.5mg/kg、IT)が、AF誘発が成功した2分後に与えられた。
【0375】
[0561] 血液試料が、IVまたはITフレカイニドの開始後0、2、5、10、15および30分の時点で、静脈循環からLVピッグテールカテーテルを通じてナトリウムヘパリンチューブ中に収集された。試料は、遠心分離され、Climax Laboratories,Inc.により開発された生物分析アッセイ法を用いる薬物レベル決定が実施されるまで-80oCで凍結された。
【0376】
[0562] データは、平均±SEMとして報告されている。統計分析が、SASシステム(9.4)を用いて実施され、事後Dunnett検定を用いてANOVAを適用した。統計的有意性は、p<0.05と仮定された。
【0377】
[0563] 結果:
[0564] PK応答:
[0565] IV注入:
[0566] フレカイニドのIV注入(2分間にわたって2mg/kg)後、LVおよび静脈血漿中レベルの両方が、2分の時点でピークに達し(LV:5127±849.4ng/mL、p<0.05;静脈:4151±1030.0ng/mL、p<0.05)、実験全体を通して次第に低下し、30分の時点でより低いレベルに達した(LV:497±189.5ng/mL;静脈:519±195.6ng/mL)(
図39)。
【0378】
[0567] 0.75mg/kgのIT点滴注入:
[0568] 低用量のフレカイニド(0.75mg/kg)のIT点滴注入後、LVおよび静脈血漿中レベルの両方が、2分でピークに達し(LV:1916±122.2ng/mL、p<0.05;静脈:1688±176.7ng/mL、p<0.05)、5、10および15分の時点でベースラインと比較して有意に上昇したままであった後、実験全体を通して次第に低下し、30分の時点でより低いレベルに達した(LV:299±28.6ng/mL;静脈:341±54.6ng/mL)(
図40)。
【0379】
[0569] 1.5mg/kgのIT点滴注入:
[0570] 高用量のフレカイニド(1.5mg/kg)のIT点滴注入後、LVおよび静脈血漿中レベルの両方が、2分でピークに達し(LV:3308±247.5ng/mL、p<0.05;静脈:2808±216.5ng/mL、p<0.05)、5、10および15分の時点でベースラインと比較して有意に上昇したままであった。静脈血漿は、30分の時点でベースラインと比較して有意に上昇したままであったが(静脈:676±79.7ng/mL、p<0.05)、左室腔血漿は、そうではなかった(LV:637±69.5ng/mL)(
図41)。
【0380】
[0571] PD応答:
[0572] IV注入:
[0573] 心拍数:
[0574] フレカイニドのIV注入(2mg/kg、2分間かけてのIVボーラス)前、心拍数は、103±1.9bpmであった。IVフレカイニド注入後、ANOVAは、心拍数が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.9936)(
図42)。
【0381】
[0575] 動脈血圧:
[0576] フレカイニドのIV注入(2mg/kg、2分間かけてのIVボーラス)前、平均動脈血圧は、105±6.7mmHgであった。IVフレカイニド注入後、ANOVA分析は、平均動脈圧が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.8852)(
図43)。
【0382】
[0577] PR間隔:
[0578] フレカイニドのIV注入(2mg/kg、2分間かけてのIVボーラス)前、PR間隔は、127±7.8msであった。IVフレカイニド投与後、ANOVAは、PR間隔が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.5161;
図44)。
【0383】
[0579] QRS持続時間:
[0580] フレカイニドのIV注入(2分間かけての2mg/kgボーラス)前、QRS持続時間は、58±1.9msであった。IVフレカイニド投与後、QRS持続時間は、2分および5分の時点でそれぞれ77±6.2msおよび76±4.8msまで有意に増加し(p<0.05)、それは薬物のピーク血漿中レベルと同時発生した。その後、QRS持続時間は、30分の時点でベースラインレベル(59±3.0ms)に向かって次第に低下した(
図45)。
【0384】
[0581] QTc間隔:
[0582] フレカイニドのIV注入(2分間かけての2mg/kgボーラス)前、QTc間隔は、442±7.9msであった。IVフレカイニド投与後、ANOVAは、QTc間隔が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.35;
図46)。
【0385】
[0583] JTc間隔:
[0584] フレカイニドのIV注入(2分間かけての2mg/kgボーラス)前、JTc間隔の持続時間は、367±7.4msであった。IVフレカイニド投与後、ANOVAは、JTc間隔が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.9686;
図47)。
【0386】
[0585] 0.75mg/kgのIT点滴注入:
[0586] 心拍数:
[0587] より低い用量のフレカイニド(0.75mg/kg)のIT点滴注入の前、心拍数は、111±6.4bpmであった。IT注入後、ANOVAは、心拍数が30分にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.9970;
図48)。
【0387】
[0588] 動脈血圧:
[0589] 低用量のフレカイニド(2mLの0.75mg/kg)のIT点滴注入の前、平均動脈血圧は、111±3.6mmHgであった。IVフレカイニド注入後、ANOV
A分析は、平均動脈圧が30分にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.9112;
図49)。
【0388】
[0590] PR間隔:
[0591] より低い用量のフレカイニド(2mLの0.75mg/kg)のIT点滴注入の前、PR間隔は、130±5.3msであった。ITフレカイニド点滴注入後、ANOVAは、PR間隔が30分にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.9351;
図50)。
【0389】
[0592] QRS持続時間:
[0593] より低い用量のフレカイニド(2mLの0.75mg/kg)のIT点滴注入の前、QRS持続時間は、58±1.8msであった。点滴注入後、QRS持続時間は、2分および5分の時点でそれぞれ64±1.6msおよび65±1.7msまで有意に増加し(p<0.05)、それは薬物のピーク血漿中レベルと同時発生した。その後、QRS持続時間は、30分の時点でベースラインレベル(58±0.9ms)に向かって次第に減少した(
図51)。
【0390】
[0594] QTc間隔:
[0595] より低い用量のフレカイニド(2mLの0.75mg/kg)のIT点滴注入の前、QTc間隔は、435±12.9msであった。点滴注入後、ANOVAは、QTcが30分間にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.5505;
図52)。
【0391】
[0596] JTc間隔:
[0597] より低い用量のフレカイニド(2mLの0.75mg/kg)のIT点滴注入の前、JTc間隔は、354±12.0msであった。ITフレカイニド投与後、ANOVAは、JTc間隔が30分間にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.7605;
図53)。
【0392】
[0598] 1.5mg/kgのIT点滴注入:
[0599] 心拍数:
[0600] より高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)のIT点滴注入前、心拍数は、118±13.2bpmであった。IT注入後、ANOVAは、心拍数が30分間にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.9999;
図54)。
【0393】
[0601] 動脈血圧:
[0602] より高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)のIT点滴注入前、平均動脈血圧は、108±9.4mmHgであった。IT注入後、ANOVA分析は、平均動脈圧が30分間にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.9894;
図55)。
【0394】
[0603] PR間隔:
[0604] より高い用量のフレカイニド(2mLの1.5mg/kg)のIT点滴注入前、PR間隔は、127±2.3msであった。点滴注入後、ANOVAは、PR間隔が30分間にわたって有意に変化しないことを明らかにした(p=0.0819;
図56)。
【0395】
[0605] QRS持続時間:
[0606] より高い用量のフレカイニド(2mLの1.5mg/kg)の気管内点滴注入前、QRS持続時間は、57±0.4msであった。より高い用量のフレカイニド(1.5mg/kg)のIT点滴注入後、QRS持続時間は、2分(ピーク血漿中レベル)、5
分、10分および15分の時点でそれぞれ68±1.9ms、69±2.2ms、67±1.7msおよび64±1.3msに有意に増加し(p<0.05)、それは薬物のピーク血漿中レベルにおける増加と同時発生した。その後、QRS持続時間は、30分の時点でのベースラインレベル(60±0.9ms)に向かって次第に減少した(
図57)。
【0396】
[0607] QTc間隔:
[0608] より高い用量のフレカイニド(2mLの1.5mg/kg)のIT点滴注入の前、QTc間隔は、436±7.1msであった。点滴注入後、ANOVAは、QTc間隔が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.1510;
図58)。
【0397】
[0609] JTc間隔:
[0610] より高い用量のフレカイニド(2mLの1.5mg/kg)のIT点滴注入の前、JTc間隔は、364±11.5msであった。点滴注入後、ANOVAは、JTc間隔が30分間にわたって有意に変化していないことを明らかにした(p=0.9968;
図59)。
【0398】
[0611] 心房細動の持続時間:
[0612] ACh(1mlの100mM)の心膜内投与後1分の時点で、対照コホートに
おいてAFを開始するためにバーストペーシングが実施された(
図60)。
【0399】
[0613] フレカイニドの非存在下では、AFは、11±0.6分間持続した後、洞調律へと自然に転換した。データが、以下の表12において示されている。
[0614]
【0400】
【0401】
[0615] 実験コホートでは、AChおよびバーストペーシングに誘発されたAFの後、2分間のAFの安定した期間が可能にされた(
図60)。次いで、より高い用量のフレカイニド(2mLの1.5mg/kg)のIT点滴注入が、実施された。AFは、3±0.2分の時点で洞調律に転換された(AF持続時間における未処置状態から73%の低減)(p<0.009;表12;
図61)。重要なことに、一度洞調律がフレカイニドによって回復させられたら、30分間の観察ウインドウ内でAFの再発は起こらなかった。
【0402】
[0616] ブタモデルを用いた別の試験では、IV投与されたフレカイニドの送達速度(すなわち、ゆっくりした注入対急速注入)のPKおよびPDへの作用が、評価された。静脈血漿中濃度(
図62A)およびQRS間隔持続時間(
図62B)は、IVフレカイニド
の急速注入(2分)と比較して、ゆっくりした注入(10分)に反応して変動した。
【0403】
[0617]
図62Cにおいて示されているように、フレカイニドの静脈血漿中レベルは、QRS持続時間と正に相関していた。
[0618] 概要:
[0619] 抗不整脈剤フレカイニドのIT点滴注入は、フレカイニドのIV注入に類似した薬物動態プロフィールを生成した。
【0404】
[0620] 加えて、フレカイニドのIT点滴点滴注入は、その薬理学的活性と一致する様式で心電図パラメータを変化させ、最近発症したAFの洞調律への転換の助けになった。
実施例6
完全ブタモデルにおける酢酸フレカイニドの気管内送達による心房細動の正常洞調律への加速された心臓除細動
[0621] 本試験は、AFを再現性よく誘発する大型動物モデルにおいて心房細動(AF)を正常洞調律に転換する気管内(IT)フレカイニドの有効性を試験した。
【0405】
[0622] 実験設計:
[0623] 閉胸麻酔されたヨークシャーブタにおいて、心膜内(IPC)アセチルコリン(ACh)(1mLの102.5mM溶液)、続いてバーストペーシングが、AFを再現
性よく誘発した(n=6)。カテーテルの配置が、
図63において示されている。
【0406】
[0624] 全6匹の動物において、AF誘発後2分の時点で、ITフレカイニド(1.5または0.75mg/kg)または薬物なしが、ランダムに投与された。30分の回復後、代替的介入が、試験された。正常洞調律への転換に関する時間が、比較された。
【0407】
[0625] 結果:
[0626] 用いられた両方のITフレカイニド用量は、AFの正常洞調律への転換を加速した。
図64において示されているように、AF持続時間は、フレカイニド用量と相関していた。フレカイニドのIT点滴注入(1.5mg/kg;n=5)は、薬物なしの後の12.3±1.9分と比較して3.4±0.3分(平均±SEM)でAFの正常洞調律への転換を加速し(p=0.008)、AF持続時間を72%短縮した。フレカイニドのより低いIT用量(0.75mg/kg;n=3)は、AFを8.1±1.0分で正常洞調律に転換し、薬物なし(16.2±0.9;p=0.003)に対してAF持続時間を5
0%低減した。
【0408】
[0627]
図65は、ITフレカイニド(1.5mg/kg)後5分の時点でのAF転換を薬物なしの10分後までの無転換と比較して示す代表的な電位図を示す。
[0628]
図66Aは、フレカイニドの血漿中濃度がITフレカイニド(0.75mg/kgおよび1.5mg/kg)後10分以内に転換に必要とされるレベルに達したことを図説している。
【0409】
[0629]
図66Bは、フレカイニド(0.75mg/kgおよび1.5mg/kg)のIT点滴注入後のAFのNSRへの転換の時点におけるフレカイニドの血漿中濃度を示す。
【0410】
[0630]
図67は、ITフレカイニドがAFの優位周波数を低減したことを示す。
[0631] 概要:
[0632] ITフレカイニド点滴注入(1.5mg/kgまたは0.75mg/kg)は、AFを正常洞調律に迅速に転換するのに100%有効であり、MAPおよび心拍数をベースライン値に回復させた。
【0411】
[0633] この有効性に関する基礎は、おそらく肺を通る薬物の迅速な吸収および肺静脈を介する左心房への初回通過ボーラスとしての送達である。
[0634] 本発見がヒト対象において確証されることができれば、吸入を介して送達されるフレカイニドは、新規発症発作性AFの療法のための可能性のある選択肢を提供し得る。
【0412】
実施例7
麻酔されたイヌにおけるフレカイニドの肺送達による最近発症した心房細動の迅速な心臓除細動
[0635] この研究は、IT点滴注入によるフレカイニドの肺送達が安定なAFのイヌモデルにおいて投与の数秒/数分以内にAFを正常な洞調律に転換し得るという仮説を試験した。
【0413】
[0636] 実験設計:
[0637] この研究は、誘発されたAFを有する麻酔された健康なビーグル犬の成犬において実施された。増大した負荷を介して、そして副交感神経遠心性活動における圧受容体を介した増大を通して心房不応期の不均一性を増大させるためのフェニレフリン(2~10mg/kg)および右心房バーストペーシング(40~50Hzを約15分間)の組み合わせを用いて、急性AFが誘発された。この方法を用いて誘発されたAFは、一般に30分より長い時間の間安定であった。
【0414】
[0638] AFの誘発後、動物は、まずIT点滴注入を介してビヒクル(0.9% NaCl、体積を合わせた)を与えられた。その後、2mg/mlのボーラスでのフレカイニドが、0.25~0.75mg/kgの単回または累積用量でITを介して与えられた(20秒未満)。比較のため、2匹のイヌが、0.25~0.75mg/kgの単回または累積用量で静脈内ボーラス注射(20秒未満)によりフレカイニドを与えられた。
【0415】
[0639] 心律動が、AFの前、AFの間ならびに投薬後10分までおよび/またはNSRへの転換までモニターされた。
[0640] フレカイニドの血漿中濃度は、転換の時点でLVおよび大腿静脈において測定された。一部のイヌでは、フレカイニドの血漿中レベルは、肺動脈(PA)においても測定された。
【0416】
[0641] 結果:
[0642] ビヒクルで処置されたイヌでは、AFのNSRへの転換は観察されなかった(0/6)。
【0417】
[0643] 以下の表13において示されているように、IT送達フレカイニドは、6/6匹のイヌにおいて、0.79±0.04mg/kgの平均用量において63±18秒でAFをNSRに転換した。AFのNSRへの転換の時点で、フレカイニドの血漿中レベルは、全身静脈循環中よりもLV中で約2倍高かった。2/2匹のイヌにおいて、フレカイニドのIVボーラスは、29秒でAFをNSRに転換した。
【0418】
[0644]
【0419】
【0420】
[0645]
図68A~Dは、ITフレカイニドによるAFのNSRへの転換を示すがビヒクルによる転換を示さない代表的なECGを示す。
[0646]
図69は、IVまたはITによるフレカイニドの投与後のAFのNSRへの転換時の血圧(BP)、心拍数(VR)およびLV dP/dtmax(LV圧の最大上昇率)における変化を要約している。IVで与えられたフレカイニドは、IT投与によるものと比較して、AFのNSRへの転換時に、BP、VRおよびLV dP/dtmaxにおいてより大きな作用を引き起こした。
【0421】
[0647] 肺動脈(PA)および左室腔(LV)におけるフレカイニドの血漿中濃度は、フレカイニドの送達経路(ITおよびIV)に依存した(
図70)。IV注入後、PA中のフレカイニド濃度は、LV腔中の濃度よりも一時的に高かった(2.1~3.5倍)。逆に、フレカイニドのIT点滴注入後、その濃度は、PA中よりもLV腔中で一時的に高かった(1.4~3.2倍)。
【0422】
[0648] ITに関するLVおよびPAの間(およびその逆のPAおよびLVの間)のフレカイニドの血漿中濃度の比率は、IV送達に関する比率とは逆であった(
図71)。
[0649] 要約:
[0650] フレカイニドの肺送達後に達成されたフレカイニドのLV(左心房)レベルは
、AFを迅速に停止させるのに十分であった。
【0423】
[0651] ITを介して送達された場合のフレカイニドの血漿中濃度は、PA中よりもLV中で一時的により高かった(~2.5倍)。逆に、IV注入後、フレカイニド血漿中濃度は、LV中よりPA中で一時的により高かった(~3.5倍)。フレカイニドの(IVまたはIT)投与後約4~10分の時点で、LVおよびPA濃度はほぼ等しかった。
【0424】
[0652] 経口吸入を用いた左心房へのフレカイニドの直接送達は、IVまたは経口送達の代替案のいずれよりも有効であり、より速く、かつより安全であることが証明され得る。
【0425】
[0653] 前述の態様および利点は、単に典型的なものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本発明の記載は、説明的であることが意図されており、特許請求の範囲を限定することは意図されていない。多くの代替案、改変およびバリエーシ
ョンが、当業者には明らかであろう。
【0426】
[0654] ここで、本発明を完全に記載してきたが、本発明の方法は、本発明またはそのあらゆる態様の範囲から逸脱することなく、広範かつ同等の範囲の条件、配合物および他のパラメーターで実施されることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0427】
[0655] 本明細書で引用された全ての特許および刊行物は、参照により本明細書にそのまま完全に援用される。あらゆる刊行物の引用は、出願日前のその開示に関するものであり、そのような出版物が先行技法であることまたは本発明が先行発明によってそのような刊行物に先行する権利を有しないことの自認として解釈されるべきではない。
本明細書は以下の発明の態様を包含する。
[1] 心房性不整脈を処置する方法であって、有効量のクラスI、クラスII、クラスIIIおよびクラスIV抗不整脈薬からなる群から選択される少なくとも1種類の抗不整脈医薬を、それを必要とする対象に、吸入によって肺気道を通じて肺静脈に投与することを含み、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、総量0.1mg~200mgであり、以下:
i)約0.1~約30分のTmax;
ii)約10ng/mL~約5000ng/mLのCmax;
iii)約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLのAUCLast;
iv)約0.1~約15分の分布t1/2;
v)約1時間~約25時間の消失t1/2;
vi)約0.01ミリ秒~約100ミリ秒の最大ΔQRS;
またはそれらの組み合わせを有する方法。
[2] [1]に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬が、複数回の吸入にわたって投与される方法。
[3] [2]に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬が、6回までの吸入で投与される方法。
[4] [1]~[3]のいずれか1項に記載の方法であって、該対象の洞調律が、該投与の30分以内に正常まで回復される方法。
[5] [1]~[4]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬のレベルが、該投与から30秒~20分の間の時点において心臓の冠状静脈洞内でピークに達する方法。
[6] [1]~[5]のいずれか1項に記載の方法であって、心臓の冠状静脈洞内の該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度が、投与後2.5分の時点で0.1mg/L~60mg/Lの範囲である方法。
[7] [1]~[6]のいずれか1項に記載の方法であって、心臓の冠状静脈洞内の該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の濃度が、投与後30分の時点で0.1mg/L未満である方法。
[8] [1]~[7]のいずれか1項に記載の方法であって、投与された該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の公称用量の5%~60%が、冠状静脈洞に到達する方法。
[9] [1]~[8]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約0.1~約30分のTmaxを有する方法。
[10] [1]~[8]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約0.1~約3分のTmaxを有する方法。
[11] [1]~[8]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約0.2~約5分のTmaxを有する方法。
[12] [1]~[11]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約50~約500ng/mLのCmaxを有する方法。
[13] [1]~[11]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約100~約250ng/mLのCmaxを有する方法。
[14] [1]~[13]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約200~約2000hr*ng/mLのAUCLastを有する方法。
[15] [1]~[13]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約500~約800hr*ng/mLのAUCLastを有する方法。
[16] [1]~[13]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約400~約600hr*ng/mLのAUCLastを有する方法。
[17] [1]~[16]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約3~約5分の分布t1/2を有する方法。
[18] [1]~[17]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約8.5~約10.5時間の排出t1/2を有する方法。
[19] [1]~[18]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約1~約10ミリ秒の最大ΔQRSを有する方法。
[20] [1]~[18]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、約5~約20ミリ秒の最大ΔQRSを有する方法。
[21] [1]~[20]のいずれか1項に記載の方法であって、吸入によって肺気道を通じて送達される該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量が、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量の静脈内送達によって提供される最大ΔQRS対Cmaxの比率と比較してより高い最大ΔQRS対Cmaxの比率を有する方法。
[22] [21]に記載の方法であって、吸入によって肺気道を通じて送達される該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量によって提供される最大ΔQRS対Cmaxの比率が、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量の静脈内送達によって提供される最大ΔQRS対Cmaxの比率よりも少なくとも2倍大きい方法。
[23] [1]~[22]のいずれか1項に記載の方法であって、該心房性不整脈が頻脈を含む方法。
[24] [23]に記載の方法であって、該頻脈が、上室性頻脈、発作性上室性頻脈、心房細動、発作性心房細動、持続性および永続性心房細動における急性エピソード、心房粗動、発作性心房粗動または孤立性心房細動を含む方法。
[25] [1]~[24]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬を含む液体、乾燥粉末、押し出された液滴または噴霧された液滴を投与することを含み、該粉末または噴霧された液滴が、10μm未満の空気動力学的質量中央径を有する方法。
[26] [1]~[25]のいずれか1項に記載の方法であって、抗不整脈医薬が、クラスI抗不整脈薬である方法。
[27] [26]に記載の方法であって、該クラスI抗不整脈医薬が、クラスIa、IbまたはIc抗不整脈薬である方法。
[28] [27]に記載の方法であって、該クラスIc抗不整脈薬が、フレカイニドである方法。
[29] [1]~[25]のいずれか1項に記載の方法であって、抗不整脈医薬が、クラスII抗不整脈薬である方法。
[30] [29]に記載の方法であって、該クラスII抗不整脈薬が、エスモロールHClである方法。
[31] [30]に記載の方法であって、該エスモロールHClの投与量が、0.5~0.75mg/kg体重である方法。
[32] [1]~[25]のいずれか1項に記載の方法であって、抗不整脈医薬が、クラスIV抗不整脈薬である方法。
[33] [32]に記載の方法であって、該クラスIV抗不整脈医薬が、ジルチアゼムである方法。
[34] [33]に記載の方法であって、該ジルチアゼムの投与量が、0.25mg/kg体重である方法。
[35] [1]~[34]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬が、噴霧器中でエアロゾル化される方法。
[36] [35]に記載の方法であって、該噴霧器が、吸気作動式または吸気感応式噴霧器である方法。
[37] [35]または[36]に記載の方法であって、該噴霧器が、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の液体医薬配合物を投与するように設計されている方法。
[38] [35]~[37]のいずれか1項に記載の方法であって、該エアロゾル化が室温で起こる方法。
[39] [38]に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬が、該対象によって自己投与される方法。
[40] [1]~[39]のいずれか1項に記載の方法であって、該少なくとも1種類の抗不整脈医薬の有効量のTmax、Cmax、AUCLast、分布t1/2、消失t1/2または最大ΔQRSが、ヒトPK/PD試験において測定される方法。
[41] 心臓の状態を処置する方法であって、医薬的有効量の抗不整脈医薬を吸入を介してそれを必要とする患者に投与することを含み、吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxが、約0.1分~約30分であり;吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxが、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;または吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastが、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである方法。
[42] [41]に記載の方法であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、または該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである方法。
[43] [42]に記載の方法であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLである方法。
[44] [42]に記載の方法であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり
、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである方法。
[45] [42]に記載の方法であって、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである方法。
[46] [41]~[45]のいずれか1項に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV抗不整脈薬である方法。
[47] [46]に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、クラスIc抗不整脈薬を含む方法。
[48] [47]に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む方法。
[49] [41]~[45]のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が、20mg~100mgのフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩をそれを必要とする患者に吸入によって投与することを含む方法。
[50] [41]~[45]のいずれか1項に記載の方法であって、該方法が、0.25mg/kg体重~1.5mg/kg体重のフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩をそれを必要とする患者に吸入によって投与することを含む方法。
[51] [41]~[50]のいずれか1項に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、2回以上の吸入にわたって送達される方法。
[52] [51]に記載の方法であって、該2回以上の吸入の間の時間が約0.1~10分である方法。
[53] 医薬的有効量の抗不整脈医薬を含む噴霧薬物製品であって、吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxが約0.1分~約30分であり;吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxが約10ng/mL~約5000ng/mLであり;または吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastが約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[54] [53]に記載の噴霧薬物製品であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、または該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[55] [54]に記載の噴霧薬物製品であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLである噴霧薬物製品。
[56] [54]に記載の噴霧薬物製品であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[57] [54]に記載の噴霧薬物製品であって、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[58] [53]~[57]のいずれか1項に記載の噴霧薬物製品であって、該抗不整脈医薬が、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV抗不整脈薬である噴霧薬物製品。
[59] [58]に記載の噴霧薬物製品であって、該抗不整脈医薬が、クラスIc抗不整脈薬を含む噴霧薬物製品。
[60] [59]に記載の噴霧薬物製品であって、該抗不整脈医薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む噴霧薬物製品。
[61] [53]~[60]のいずれか1項に記載の噴霧薬物製品であって、20mg~100mgのフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む噴霧薬物製品。
[62] 医薬的有効量の抗不整脈医薬を含む心臓の状態の処置のための配合物を製造する方法であって、それを必要とする患者による該配合物の噴霧及び吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxが、約0.1分~約30分であり;それを必要とする患者
による該配合物の噴霧及び吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxが、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;またはそれを必要とする患者による該配合物の噴霧及び吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastが、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである方法。
[63] [62]に記載の方法であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、または該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである方法。
[64] [63]に記載の方法であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLである方法。
[65] [63]に記載の方法であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである方法。
[66] [63]に記載の方法であって、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである方法。
[67] [62]~[66]のいずれか1項に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV抗不整脈薬である方法。
[68] [67]に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、クラスIc抗不整脈薬を含む方法。
[69] [68]に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む方法。
[70] [62]~[69]のいずれか1項に記載の方法であって、該抗不整脈医薬が、2回以上の吸入にわたって送達される方法。
[71] [70]に記載の方法であって、該2回以上の吸入の間の時間が、約0.1~10分である方法。
[72] 心臓の状態の処置における使用のための医薬的有効量の抗不整脈医薬を含む噴霧薬物製品であって、吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のTmaxが、約0.1分~約30分であり;吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のCmaxが、約10ng/mL~約5000ng/mLであり;または吸入後の該抗不整脈医薬の医薬的有効量のAUCLastが、約100hr*ng/mL~約10000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[73] [72]に記載の噴霧薬物製品であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、または該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[74] [73]に記載の噴霧薬物製品であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLである噴霧薬物製品。
[75] [73]に記載の噴霧薬物製品であって、該Tmaxが、約0.1分~約5分であり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[76] [73]に記載の噴霧薬物製品であって、該Cmaxが、約50ng/mL~約500ng/mLであり、該AUCLastが、約200hr*ng/mL~約2000hr*ng/mLである噴霧薬物製品。
[77] [72]~[76]のいずれか1項に記載の噴霧薬物製品であって、該抗不整脈医薬が、クラスI、クラスII、クラスIIIまたはクラスIV抗不整脈薬である噴霧薬物製品。
[78] [77]に記載の噴霧薬物製品であって、該抗不整脈医薬が、クラスIc抗不整脈薬を含む噴霧薬物製品。
[79] [78]に記載の噴霧薬物製品であって、該抗不整脈医薬が、フレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む噴霧薬物製品。
[80] [72]~[79]のいずれか1項に記載の噴霧薬物製品であって、20mg~100mgのフレカイニドまたはその薬学的に許容可能な塩を含む噴霧薬物製品。