(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100762
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】光学デバイス、具体的には特に自動焦点調節、画像安定化、および超解像を含むカメラ
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20230711BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20230711BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20230711BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20230711BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230711BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20230711BHJP
H04N 23/57 20230101ALI20230711BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
G02B7/04 Z
G02B7/28 Z
G02B26/08 H
H04N23/50
H04N23/55
H04N23/57
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023072644
(22)【出願日】2023-04-26
(62)【分割の表示】P 2018545481の分割
【原出願日】2017-03-02
(31)【優先権主張番号】16158246.5
(32)【優先日】2016-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16178616.5
(32)【優先日】2016-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17150731.2
(32)【優先日】2017-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518044871
【氏名又は名称】ネクストレンズ スウィッツァーランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】アシュヴァンデン マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ガイスナー マルクス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡単な様式でデバイスの焦点距離を調整すること、光ビーム方向の調節を可能にする光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイスで、透明で弾性膨張可能な膜と、膜に対向する光学素子、壁部材である光学素子および膜はある容積を有する容器が形成されるように接続される壁部材、容積内に存在する流体、膜の曲率調節可能エリアを規定するように膜と接するレンズ成形部であり、エリアは光学素子に対向するレンズ成形部、開口部を包囲する周状レンズ鏡筒で、レンズ鏡筒により保持される少なくとも1つの剛性レンズが開口部内に配置され、周状レンズ鏡筒、容積の内側に存在する流体の圧力およびそれによってエリアの曲率を調節するために、光学素子をレンズ成形部に対して軸方向に移動させ、軸方向はレンズ成形部が沿って延びる平面に垂直の向きに移動させ、またはレンズ成形部を光学素子に対して軸方向に移動させる光学デバイス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス(1)であって、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 前記膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように前記膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、前記エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 開口部(50c)を包囲する周状レンズ鏡筒(50)であって、前記レンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が前記開口部(50c)内に配置される、周状レンズ鏡筒(50)と、
- アクチュエータ手段(40)であって、前記容積(V)内に存在する前記流体(F)の圧力およびそれによって前記エリア(10c)の曲率を調節するように、
〇 前記光学素子(20)を前記レンズ成形部(11)に対して軸方向(A)に移動させ、前記軸方向(A)は、前記レンズ成形部(11)が沿って延びる平面に垂直の向きであること、または
〇 前記レンズ成形部(11)を前記光学素子(20)に対して軸方向(A)に移動させ、前記軸方向(A)は、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる平面に垂直の向きであること、を行うように設計された、アクチュエータ手段(40)と、
を備える、光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記光学デバイス(1)は、
- 前記光学素子(20)を、特に光学的画像安定化を提供するために、特に前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記レンズ成形部(11)が沿って延びる前記平面に対して傾動させること、
- 前記レンズ成形部(11)を、特に光学的画像安定化を提供するために、特に前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面に対して傾動させること、
- 特に光学的画像安定化を提供するために、前記容器(2)を前記レンズ鏡筒(50)に対して、前記レンズ成形部(11)が沿って延びる前記平面と平行に移動させること、
- 特に光学的画像安定化を提供するために、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)および/または前記容器(2)に対して、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面と平行に移動させること、
- 特に光学的画像安定化を提供するために、前記レンズ鏡筒(50)を前記容器(2)と共に、特に前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)と平行に移動させ、前記レンズ鏡筒(50)が、前記イメージセンサ(52)の前に配置されること、
- 特に光学的画像安定化を提供するために、前記レンズ鏡筒(50)を前記容器(2)と共に、特に前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)に対して傾動させ、前記レンズ鏡筒(50)が、前記イメージセンサ(52)の前に配置されること、
の少なくとも1つを行うように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記容積(V)を通過する光を偏向させるために特に前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記光学素子(20)を前記平面に対して傾動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記容積(V)を通過する光を偏向させるために特に前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記レンズ成形部(11)を、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面に対して傾動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータ手段(40)は、特に前記容積(V)を通過する光を偏向させるために、前記容器(2)を前記レンズ鏡筒(50)に対して前記平面と平行に移動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータ手段(40)は、特に前記容積(V)を通過する光を偏向させるために、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)および/または前記容器(2)に対して、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面と平行に移動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記レンズ成形部(11)は、前記周状レンズ鏡筒(50)に接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記レンズ成形部(11)を前記軸方向(A)に移動させるために前記レンズ鏡筒(50)を前記軸方向(A)に移動させるように設計されていることを特徴とする、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記レンズ成形部(11)は、前記膜(10)にプラズマ接合されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記レンズ成形部(11)は、前記レンズ鏡筒(50)と一体形成され、前記レンズ鏡筒(50)の正面側(50b)の一部をなすか、または前記レンズ鏡筒(50)の正面側(50b)から突出し、特に前記レンズ成形部(11)は、前記膜(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記レンズ成形部(11)は、前記レンズ鏡筒(50)の正面側(50b)に接続されている周状部材(11)、特に周状材料層(11)により形成され、特に前記周状部材(11)は、前記膜(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記レンズ成形部(11)は、金型インサートであり、前記金型インサートは、前記レンズ鏡筒の前記正面側の陥凹部に組み込まれることを特徴とする、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記レンズ成形部(11)は、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)に接続するように、前記レンズ鏡筒(50)に接着剤(116)で接着されていることを特徴とする、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記レンズ鏡筒(50)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)から突出する突出部(110)を含み、前記突出部(110)は、前記レンズ成形部(11)がぴったりと適合するように前記突出部(110)と係合するとき、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)に対して心出しするように構成されていることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記レンズ成形部(11)は、前記突出部(110)を囲撓するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項16】
前記突出部(110)は、前記レンズ成形部(11)を囲撓するように構成されていることを特徴とする、請求項14に記載の光学デバイス。
【請求項17】
前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)は、空気が前記レンズ鏡筒(50)の外側から前記膜(10)に隣接し前記レンズ成形部(11)により包囲される領域(R)内へと前記陥凹部(111)を通過することができるように、前記突出部(110)の不連続部を形成する少なくとも1つの陥凹部(111)を含むことを特徴とする、請求項14~16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項18】
前記レンズ鏡筒(50)は、空気が前記レンズ鏡筒(50)の外側から前記膜(10)に隣接し前記レンズ成形部(11)により包囲される領域(R)内へと前記少なくとも1つの溝(112)を通過することができるように、前記突出部(110)の下に、特に前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)の下に延びる少なくとも1つの溝(112)を含むことを特徴とする、請求項14~16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項19】
前記レンズ鏡筒(50)は、空気が前記レンズ鏡筒(50)の外側から前記膜(10)に隣接し前記レンズ成形部(11)により包囲される領域(R)内へと前記少なくとも1つの溝(113)を通過することができるように、少なくとも1つの溝(113)を含み、特に前記少なくとも1つの溝(113)は、前記レンズ鏡筒(50)の横外側(50a)から前記レンズ鏡筒(50)内へと前記レンズ鏡筒(50)の径方向に延びる第1の部位(113a)と、前記第1の部位(113a)と流体連通する第2の部位(113b)とを含み、前記第2の部位(113b)は、前記レンズ鏡筒(50)の光軸と平行に延び、前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)に至ることを特徴とする、請求項14~16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項20】
前記レンズ鏡筒(50)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)に前記接着剤(116)を受容するための少なくとも1つの接着剤ポケット(115)を含み、前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)は、前記レンズ成形部(11)の下に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の、または請求項13に言及するときの請求項14~19のいずれか一項に記載の、光学デバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)は、前記突出部(110)よりも前記レンズ鏡筒(50)の前記径方向にさらに外向きに延びることを特徴とする、請求項15および20に記載の光学デバイス。
【請求項22】
前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)は、前記突出部(110)よりも前記レンズ鏡筒(50)の前記径方向にさらに内向きに延びることを特徴とする、請求項16および20に記載の光学デバイス。
【請求項23】
前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)は、少なくとも1つの接着剤ポケット(115)が前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)に前記接着剤(116)を加えるために前記横外側(50a)からアクセス可能であるように、前記突出部(110)の下に延び、特に前記レンズ鏡筒(50)の横外側(50a)に至ることを特徴とする、請求項16、20、または22のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)は、細長湾曲形状を含むことを特徴とする、請求項20に記載の光学デバイス。
【請求項25】
前記レンズ鏡筒(50)は、少なくとも1つの貫通孔(117)を含み、前記貫通孔(117)は、前記接着剤(116)を前記貫通孔(117)を介して前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)に加えることができるように、前記レンズ鏡筒(50)の前記光軸に沿って延び、前記少なくとも1つの接着剤ポケット(115)に至ることを特徴とする、請求項20、22、または24のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項26】
前記接着剤(116)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)と前記レンズ成形部(11)との間で前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)上に配置された両面接着テープ(118)であることを特徴とする、請求項13に記載の、または請求項13に言及するときの請求項14~19のいずれか一項に記載の、光学デバイス。
【請求項27】
前記容器(2)は、前記レンズ鏡筒(50)の外側に、前記レンズ鏡筒(50)の前に配置されることを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項28】
前記容器(2)は、前記膜(10)を介して前記レンズ成形部(11)上に支持されていることを特徴とする、請求項1~27のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項29】
前記容器(2)は、少なくとも部分的に、特に完全に、前記レンズ鏡筒(50)の前記開口部(50c)内に配置されることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項30】
前記光学素子(20)は、前記レンズ鏡筒(50)の一番上の剛性レンズを形成することを特徴とする、請求項29に記載の光学デバイス。
【請求項31】
前記光学デバイス(1)は、前記レンズ鏡筒(50)を包囲するハウジング(60)を備えることを特徴とする、請求項1~30のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項32】
前記ハウジング(60)は、ぴったりと適合するように前記レンズ鏡筒(50)を受容するように構成された陥凹部(66)を含み、特に前記陥凹部(66)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記ハウジング(60)内への装着の際に前記レンズ鏡筒(50)を案内するようにさらに構成されていることを特徴とする、請求項31に記載の光学デバイス。
【請求項33】
前記壁部材(300)は、前記壁部材(300)が静止位置の外に移動されるとき復元力が前記壁部材(300)に対して加えられるように前記壁部材(300)が前記ハウジング(60)に弾性連結されるように、少なくとも1つのばね部材(302)を介して前記ハウジング(60)に接続されていることを特徴とする、請求項31または32に記載の光学デバイス。
【請求項34】
前記陥凹部(66)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)への距離を調節するように前記レンズ鏡筒(50)の雄ねじ(50f)と係合するように構成された雌ねじ(66f)を含むことを特徴とする、請求項32または33に記載の光学デバイス。
【請求項35】
前記陥凹部(66)は、前記レンズ鏡筒(50)を前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)に対して位置決めするための停止部を形成する周状ステップ(66a)を含むことを特徴とする、請求項32または34に記載の光学デバイス。
【請求項36】
前記レンズ成形部(11)は、レンズ成形部キャリヤ(310)に接続され、前記レンズ成形部キャリヤ(310)は、前記レンズ成形部(11)に接続される脚部(311)を含み、それぞれの前記脚部(311)は、前記レンズ鏡筒(50)内に形成された関連付けられたスロット(53)を通って前記レンズ成形部(11)から外向きに延びることを特徴とする、請求項1~9、27、29~35のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項37】
前記それぞれの脚部(311)は、前記アクチュエータ手段(40)の磁石(42)、またはコイル、または他の部品を保持するための関連付けられた保持部材(312)に接続され、それぞれの前記保持部材(312)は、前記レンズ鏡筒(50)の外側に配置されることを特徴とする、請求項36に記載の光学デバイス。
【請求項38】
前記それぞれの脚部(311)は、前記スロット(53)を通って延びる第1の部位(311a)と、前記第1の部位(311a)に接続され、前記第1の部位(311a)に対してある角度で延びる第2の部位(311b)とを含み、前記第2の部位(311b)は、前記レンズ鏡筒(50)の外側に前記レンズ鏡筒(50)の横外側(50a)に沿って、かつ前記レンズ鏡筒(50)の前記光軸に沿ってまたは平行して、延びることを特徴とする、請求項36または37に記載の光学デバイス。
【請求項39】
前記レンズ成形部キャリヤ(310)は、ばね部材(314)を含み、それぞれの前記ばね部材(314)は、前記レンズ成形部キャリヤ(310)の関連付けられた脚部(311)に接続され、前記ばね部材(314)は、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)に対して心出しするように構成されていることを特徴とする、請求項36~38のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項40】
それぞれの前記スロット(53)は、前記レンズ鏡筒(50)の底部(50d)内に形成され、前記底部(50d)は、前記容器(2)から離れる方向を向き、特に前記それぞれのスロット(53)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記光軸に沿って延びることを特徴とする、請求項36~39のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項41】
前記容器(2)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記底部(50d)から前記開口部(50c)内に挿入され、前記レンズ鏡筒(50)の内側の周状表面領域(54)により心出しされ、前記容器(2)は、ぴったりと適合するように前記表面領域(54)と係合することを特徴とする、請求項40に記載の光学デバイス。
【請求項42】
前記レンズ成形部キャリヤ(310)は、前記レンズ成形部(11)と共に前記レンズ鏡筒(50)の前記底部(50d)から前記開口部(50c)内に挿入され、各ばね部材(314)は、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)に対して心出しするように、端部(314a)が前記レンズ鏡筒(50)の内側の関連付けられた表面エリア(55)上にある状態で配置されることを特徴とする、請求項39に記載の、および請求項40または41に記載の光学デバイス。
【請求項43】
前記それぞれのスロット(53)は、前記レンズ鏡筒(50)の正面側(50b)に形成され、前記正面側(50b)は、前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)から離れる方向を向き、特に前記それぞれのスロット(53)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記光軸に沿って延びることを特徴とする、請求項36~39のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項44】
前記容器(2)は、前記容器(2)および前記レンズ成形部(11)が前記レンズ鏡筒(50)に対して心出しされ前記それぞれの脚部(311)がそれに関連付けられたスロット(53)内に配置されるように、前記正面側(50b)から前記レンズ鏡筒(50)内に挿入されるサブ組立体を形成するように、前記レンズ成形部(11)および前記レンズ成形部キャリヤ(310)と共に別々のレンズ鏡筒頂部部品(58)内に挿入されることを特徴とする、請求項43に記載の光学デバイス。
【請求項45】
前記レンズ成形部キャリヤ(310)は、前記レンズ成形部(11)と共に前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)から前記レンズ鏡筒(50)の前記開口部(50c)内に挿入され、各ばね部材(314)は、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒(50)または前記隣り合うプラスチックレンズに対して心出しするように、端部(314a)が前記レンズ鏡筒(50)または隣り合うプラスチックレンズの内側の関連付けられた表面エリア(56)上にある状態で配置されることを特徴とする、請求項43に記載の光学デバイス。
【請求項46】
前記容器(2)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)から前記開口部(50c)内に挿入され、前記レンズ鏡筒(50)の内側の周状表面領域(57)により心出しされ、前記容器(2)は、ぴったりと適合するように前記表面領域(57)と係合することを特徴とする、請求項43または45に記載の光学デバイス。
【請求項47】
前記アクチュエータ手段(40)は、1つまたは複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)と、少なくとも1つの磁石(42)とを含み、各コイル(41)は、前記少なくとも1つの磁石(42)に対向し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるときそれぞれのコイル(41)および前記少なくとも1つの磁石(42)が前記それぞれのコイル(41)内の前記電流の方向に応じて互いに対して移動するように、前記少なくとも1つの磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項48】
前記アクチュエータ手段(40)は、1つまたは複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)と、対応する数の磁石(42)とを含み、各磁石(42)は、前記コイル(41)のきっかり1つに関連付けられ、各コイル(41)は、それに関連付けられた磁石(42)に対向し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるときそれぞれのコイル(41)およびそれに関連付けられた磁石(42)が前記それぞれのコイル(41)内の前記電流の方向に応じて互いに対して移動するように、それに関連付けられた磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項49】
前記アクチュエータ手段(40)は、1つまたは複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)を含み、各コイル(41)は、関連付けられた磁石(42)を包囲し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるときそれぞれのコイル(41)および前記関連付けられた磁石(42)が前記それぞれのコイル(41)内の前記電流の方向に応じて互いに吸引または互いに反発するように、前記関連付けられた磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項50】
前記それぞれのコイル(41)は、前記平面または前記光学素子(20)に垂直に走るコイル軸(A’’)に巻回された導体(410)を含むことを特徴とする、請求項47~49のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項51】
前記少なくとも1つの磁石(42)または前記複数の磁石(42)は、前記ハウジング上に配置されること、および前記コイル(41)は、前記壁部材(300)に接続されていることを特徴とする、請求項31に記載の、および請求項47~50のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項52】
前記少なくとも1つの磁石(42)または前記複数の磁石(42)は、前記壁部材(300)に接続されること、および前記コイル(41)は、前記ハウジング(60)上に配置されることを特徴とする、請求項31に記載の、および請求項47~50のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項53】
前記壁部材(300)は、前記少なくとも1つのばね部材(302)を一体化部分として含む回路基板として形成され、前記コイル(41)は、前記回路基板(300)内に一体化されていることを特徴とする、請求項33に記載の、および請求項47~50のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項54】
前記ハウジング(60)は、前記少なくとも1つのばね部材(302)が接続されるフレーム部材(303)を支持するためのスペーサ要素(61)を含み、前記スペーサ要素(61)は、温度による前記流体(F)の膨張に因る温度誘発性の前記容積(V)の増大を補償するために、温度の上昇に伴って前記軸方向(A)に膨張するように構成されていることを特徴とする、請求項33に記載の、または請求項33に言及するときの請求項47~49のいずれか一項に記載の、光学デバイス。
【請求項55】
各磁石(42)は、関連付けられた保持部材(312)に接続され、前記複数の導電性コイル(41)は、前記ハウジング(60)上に配置され、特に前記複数の導電性コイル(41)は、前記ハウジング(60)上に配置された、特に回路基板(44)の形をした、コイル支持体(44)上に配置され、特に前記コイル支持体(44)は、前記ハウジング(60)の前記陥凹部(66)と位置合わせされた貫通孔(44a)を含むことを特徴とする、請求項37および請求項48に記載の光学デバイス。
【請求項56】
各コイル(41)は、空芯コイル(41)、平面コイル(41aa)、またはPCBコイル(41aa)の1つである、またはこれらの1つを含むことを特徴とする、請求項47~55のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項57】
前記コイル支持体(44)は、前記コイル支持体(44)がシート(440)の積層体を含むように、互いに折り重ねられた複数の前記シート(440)を含み、各シートは、前記シート(440)の積層体が前記複数の導電性コイル(41)を形成するように、複数の平面コイル(41aa)を含むことを特徴とする、請求項55に記載の光学デバイス。
【請求項58】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記ハウジング(60)上に配置された1つまたは複数の電気永久磁石(41c)、特に2つ、3つ、または4つの電気永久磁石(41c)と、前記容器(2)に接続された対応する数の軟磁性部材(42)とを含み、各軟磁性部材(42)は、前記電気永久磁石(41c)のきっかり1つに関連付けられ、各軟磁性部材(42)は、それぞれの軟磁性部材(42)とそれに関連付けられた電気永久磁石(41c)との間に間隙(G)が形成されるように、それに関連付けられた電気永久磁石(41c)に隣接して配置され、前記光学素子(20)を前記軸方向(A)に移動させるためおよび/または前記光学素子(20)を傾動させるために、前記それぞれの電気永久磁石(41c)は、前記吸引を引き起こす前記それぞれの電気永久磁石(41c)の外部磁界を生成する対応する電圧パルスが前記それぞれの電気永久磁石(41c)に印加されるとき、それに関連付けられた軟磁性部材(42)を吸引するように構成されていることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項59】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記ハウジング(60)上に配置された1つまたは複数の電気永久磁石(41c)、特に2つ、3つ、または4つの電気永久磁石(41c)と、前記壁部材(300)により形成された単一の軟磁性部材とを含み、各電気永久磁石(41c)は、前記壁部材(300)とそれぞれの電気永久磁石(41c)との間に間隙(G)が形成されるように、前記軸方向(A)で前記壁部材(300)に対向し、前記光学素子(20)を前記軸方向(A)に移動させるためおよび/または前記光学素子(20)を傾動させるために、前記それぞれの電気永久磁石(41c)は、前記吸引を引き起こす前記それぞれの電気永久磁石(41c)の外部磁界を生成する対応する電圧パルスが前記それぞれの電気永久磁石(41c)に印加されるとき、前記壁部材(300)を吸引するように構成されていることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項60】
前記それぞれの電気永久磁石(41c)は、第1の保磁力を有する第1の磁石(420)および前記第1の保磁力より小さい第2の保磁力を有する第2の磁石(421)を含み、導電性導体は、前記第2の磁石(421)の磁化を切り替えるように電圧パルスが前記コイル(41)に印加されるとき前記吸引を引き起こす前記それぞれの電気永久磁石(41c)の外部磁界が生成されるように、前記第2の磁石(421)を封入するコイル(41)を形成するように前記第2の磁石(421)に巻回されていることを特徴とする、請求項58または59に記載の光学デバイス。
【請求項61】
前記2つの磁石(420、421)の磁化は、前記レンズ成形部(11)が沿って延びる前記平面と平行の向きであることを特徴とする、請求項60に記載の光学デバイス。
【請求項62】
前記それぞれの軟磁性部材(42)は、前記軸方向(A)に垂直に前記関連付けられた電気永久磁石(41c)に対してオフセットして配置され、特に前記それぞれの電気永久磁石(41c)は、前記関連付けられた軟磁性部材(42)よりも前記レンズ鏡筒(50)の前記径方向にさらに外向きに延びることを特徴とする、請求項58に記載の、または請求項58に言及するときの請求項60~61のいずれか一項に記載の、光学デバイス。
【請求項63】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記ハウジング(60)上に配置された1つまたは複数の電磁石(41d)、特に2つ、3つ、または4つの電磁石(41d)と、前記容器(2)または前記レンズ成形部(11)に接続された対応する数の軟磁性部材または磁石(42)とを含み、各軟磁性部材または磁石(42)は、前記電磁石(41d)のきっかり1つに関連付けられ、各軟磁性部材または磁石(42)は、それに関連付けられた電磁石(41d)に隣接して配置され、前記光学素子(20)を前記軸方向(A)に移動させるためおよび/または前記光学素子(20)を傾動させるために、それぞれの電磁石(41d)は、前記吸引または反発を引き起こす前記それぞれの電磁石(41d)の外部磁界を生成する対応する電流が前記それぞれの電磁石(41d)に印加されるとき、それに関連付けられた軟磁性部材または磁石(42)を吸引または反発するように構成されていることを特徴とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項64】
前記それぞれの電磁石(41d)は、磁心(424)を含み、導電性導体が、前記磁心(424)を封入するコイル(41)を形成するように、電流が前記コイル(41)に印加されるとき前記吸引または反発を引き起こす前記それぞれの電磁石(41d)の外部磁界が生成されるように、巻軸を中心として前記磁心(424)に巻回されていることを特徴とする、請求項63に記載の光学デバイス。
【請求項65】
それぞれの巻軸は、前記レンズ成形部が沿って延びる前記平面(11)と平行の向きであることを特徴とする、請求項64に記載の光学デバイス。
【請求項66】
それぞれの前記軟磁性部材または磁石(42)は、前記軸方向(A)に垂直に前記関連付けられた電磁石(41d)に対してオフセットして配置され、特に前記それぞれの電磁石(41d)は、前記関連付けられた軟磁性部材または磁石(42)よりも前記レンズ鏡筒(50)の前記径方向にさらに外向きに延びることを特徴とする、請求項63~65のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項67】
それぞれの巻軸は、前記レンズ成形部が沿って延びる前記平面(11)に垂直であることを特徴とする、請求項64に記載の光学デバイス。
【請求項68】
それぞれの軟磁性部材または磁石(42)は、前記軸方向(A)でそれに関連付けられた電磁石(41d)に対向することを特徴とする、請求項63、64、または67のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項69】
前記光学デバイス(1)は、イメージセンサ(52)を備え、カメラを形成し、前記カメラは、特に携帯電話内に配置されるように構成され、前記光学素子(20)もしくは前記レンズ成形部(11)は、自動焦点調節、特にスーパーマクロ自動焦点調節を提供するために前記軸方向(A)に移動されるように構成され、かつ/または前記光学素子(20)もしくは前記レンズ成形部(11)は、光学的画像安定化および/もしくは超解像撮像を提供するために前記容積(V)をプリズムへと形成するように傾動されるように構成され、かつ/または前記容器(2)は、光学的画像安定化および/もしくは超解像を提供するために前記レンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動されるように構成され、かつ/または前記レンズ鏡筒(50)は、画像安定化および/もしくは超解像を提供するために前記容器(2)と共に前記イメージセンサ(52)と平行に移動されるように構成されていることを特徴とする、請求項1~68のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項70】
前記壁部材(300)は、前記光学素子(20)に一体接続されていることを特徴とする、請求項1~69のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項71】
前記光学素子(20)は、剛性レンズ(20)、特に集光レンズを形成することを特徴とする、請求項1~70のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項72】
前記剛性レンズ(20)は、平凸レンズ(20)であることを特徴とする、請求項71に記載の光学デバイス。
【請求項73】
前記光学素子(20)は、前記膜(10)から離れる方向を向く凸表面エリア(20b)を含むことを特徴とする、請求項71または72に記載の光学デバイス。
【請求項74】
前記膜の前面(10a)は、前記流体(F)から離れる方向を向き、前記膜の前面(10a)は、前記レンズ鏡筒(50)および/または前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)に対向することを特徴とする、請求項1~73のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項75】
前記膜(10a)の前面(10a)は、前記流体(F)から離れる方向を向き、前記レンズ鏡筒(50)および/または前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)から離れる方向を向くことを特徴とする、請求項1~74のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項76】
前記容器(2)の前記容積(V)は、前記容器(2)の径方向において前記容積(V)の周縁部に向かって漸減することを特徴とする、請求項1~75のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項77】
前記膜(10)を保護するために、特に前記レンズ成形部(11)を介して前記膜(10)に対して加えられる力に因る前記膜(10)の破損を防止するために、前記光学デバイス(1)は、前記光学デバイス(1)の機械的衝撃を感知するためのセンサを備え、前記光学デバイス(1)は、特に前記センサが前記光学デバイス(1)の機械的衝撃を感知したとき対応する電流をそれぞれのコイル(41)に印加することにより、前記アクチュエータ手段(40、41、42)を適所に保持するように構成されていることを特徴とする、請求項1~76のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項78】
前記光学デバイス(1)は、前記容器(2)を通って前記レンズ鏡筒(50)の前記少なくとも1つの剛性レンズ(51)を通って移動する光を受けるためのイメージセンサ(52)と、前記イメージセンサ(52)により生成された画像を記録するためのメモリとを備え、前記光学デバイス(1)は、前記曲率調節可能エリア(10c)の前記曲率の対応する調節により一連の集束ステップを行い、それぞれの前記集束ステップの各焦点距離の画像を記録するように構成され、前記光学デバイス(1)は、個々の記録された画像を得られる画像へと組み合わせるように構成されていることを特徴とする、請求項1~77のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項79】
- 前記光学デバイス(1)のハウジング(60)内に調節可能焦点レンズを配置するステップであって、前記調節可能焦点レンズは、透明で弾性膨張可能な膜(10)、前記膜(10)に対向する光学素子(20)、および壁部材(300)を含み、前記光学素子(10)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続され、流体(F)が、前記容器(2)内に配置される、ステップと、
- 前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように前記膜(10)に取り付けられるべきレンズ成形部(11)を含むレンズ鏡筒(50)を提供するステップと、
- 前記レンズ鏡筒(50)を、前記レンズ成形部(11)が前方にある状態で、前記レンズ成形部(11)が前記膜(10)に接触するまで前記ハウジング(60)内を前記膜(10)に向かって移動させ、その後前記エリア(10c)の前記曲率およびそれによって前記焦点調節可能レンズの焦点距離が所望の値に設定されるまで前記レンズ鏡筒(50)を前記ハウジング(60)内で移動させるステップと、
- 前記レンズ鏡筒(50)を前記ハウジング(60)に固着するステップと
を含む、特に請求項1~78のいずれか一項に記載の光学デバイスを製造するための方法。
【請求項80】
- 前記光学デバイス(1)のハウジング(60)をイメージセンサ(52)に接続するステップと、
- レンズ鏡筒(50)を前記ハウジング(60)の陥凹部内に配置し、無限遠物体距離について鮮鋭な焦点を達成するように前記レンズ鏡筒(50)と前記イメージセンサ(52)との間の距離を調節するステップであって、前記レンズ鏡筒(50)は、前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するためのレンズ成形部(11)を含む、ステップと、
- 導電性コイル(41)を、特に前記コイル(41)を含むコイル支持体(44)、特に回路基板を前記ハウジング(60)上に配置することにより、前記ハウジング(60)上に配置するステップと、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)を有する容器(2)、前記膜(10)に対向する光学素子(20)、および壁部材(300)を含む調節可能焦点レンズ(2)を提供するステップであって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する前記容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続され、流体(F)が、前記容器(2)内に配置される、ステップと、
- 各磁石(42)が前記コイル(41)の1つに関連付けられるように、磁石(42)を含む容器キャリヤ(300c)上に前記容器(2)を配置するステップと、
- 前記レンズ成形部(11)が前記エリア(10c)を規定するように前記膜(10)に接触するように、前記容器キャリヤ(300c)および前記容器(2)を前記レンズ鏡筒(50)上に配置するステップと
を含む、特に請求項1~78のいずれか一項に記載の光学デバイスを製造するための方法。
【請求項81】
- 前記光学デバイス(1)のハウジング(60)をイメージセンサ(52)に接続するステップと、
- レンズ鏡筒(50)を前記ハウジング(60)の陥凹部内に配置し、無限遠物体距離について鮮鋭な焦点を達成するように前記レンズ鏡筒(50)と前記イメージセンサ(52)との間の距離を調節するステップと、
- 導電性コイル(41)を、特に前記コイル(41)を含むコイル支持体(44)、特に回路基板を前記ハウジング(60)上に配置することにより、前記ハウジング(60)上に配置するステップと、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)を有する容器(2)、前記膜(10)に対向する光学素子(20)、および壁部材(300)を含む調節可能焦点レンズ(2)を提供するステップであって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する前記容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続され、流体(F)が、前記容器(2)内に配置され、レンズ成形部が、前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように前記膜(10)に接続されている、ステップと、
- 各磁石(42)が前記コイル(41)の1つに関連付けられるように、磁石(42)を含む容器キャリヤ(300c)上に前記容器(2)を配置するステップと、
- 前記レンズ成形部(11)が前記鏡筒(50)に接触するように、前記容器キャリヤ(300c)および前記容器(2)を前記レンズ鏡筒(50)上に配置するステップと
を含む、特に請求項1~78のいずれか一項に記載の光学デバイスを製造するための方法。
【請求項82】
- 前記光学デバイス(1)のハウジング(60)をイメージセンサ(52)に接続するステップと、
- レンズ鏡筒(50)を前記ハウジング(60)の陥凹部内に配置し、無限遠物体距離について鮮鋭な焦点を達成するように前記レンズ鏡筒(50)と前記イメージセンサ(52)との間の距離を調節するステップと、
- 導電性コイル(41)を、特に前記コイル(41)を含むコイル支持体(44)、特に回路基板を前記ハウジング(60)上に配置することにより、前記ハウジング(60)上に配置するステップと、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)を有する容器(2)、前記膜(10)に対向する光学素子(20)、レンズ成形部(11)、および壁部材(300)を含む調節可能焦点レンズ(2)を提供するステップであって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する前記容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続され、流体(F)が、前記容器(2)内に配置される、ステップと、
- 各磁石(42)が前記コイル(41)の1つに関連付けられるように、磁石(42)を含む容器キャリヤ(300c)上に前記レンズ成形部(11)を配置するステップと、
- 前記容器(2)を、前記容器(11)が前記鏡筒(50)に固定されるように前記レンズ鏡筒(50)上に配置するステップと
を含む、特に請求項1~78のいずれか一項に記載の光学デバイスを製造するための方法。
【請求項83】
光学デバイス(1)であって、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 前記膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように前記膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、前記エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 開口部(50c)を包囲する周状レンズ鏡筒(50)であって、前記レンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が前記開口部(50c)内に配置される、周状レンズ鏡筒(50)と、
- 前記容積(V)の内側に存在する前記流体(F)の圧力およびそれによって前記エリア(10c)の曲率を調節するために前記レンズ成形部(11)を前記光学素子(20)に対して軸方向(A)に移動させるように設計されたアクチュエータ手段(40)であって、前記軸方向(A)は、前記レンズ鏡筒(50)の前記少なくとも1つの剛性レンズ(51)が沿って延びる平面に垂直の向きである、アクチュエータ手段(40)と
を備え、
- 前記光学素子(20)は、前記レンズ鏡筒(50)に強固に接続され、
- 前記光学デバイス(1)は、前記レンズ成形部(11)を前記平面に対して傾動させること、前記レンズ成形部(11)を前記レンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動させること、前記レンズ鏡筒(50)を前記容器(2)と共に移動させること、の少なくとも1つを行うように設計されている、光学デバイス(1)。
【請求項84】
前記光学素子(20)は、透明で弾性膨張可能な膜(20)を形成することを特徴とする、請求項1~78または83のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項85】
特に請求項1~78または83~84のいずれか一項に記載の光学デバイス(1)の光学的画像安定化機能を較正するための方法であって、前記光学デバイス(1)は、イメージセンサ(52)を備え、カメラを形成し、前記方法は、
- 前記光学デバイス(1)の画像プレビューモード中の前記光学デバイス(1)の移動を測定するステップであって、前記移動は、前記光学デバイス(1)により前記イメージセンサ(52)上に投影される画像のシフトをもたらす、ステップと、
- 前記光学デバイス(1)のアクチュエータ手段(40、400)に信号を印加するステップであって、前記信号は、光学的画像安定化を提供するために、前記イメージセンサ(52)上の前記画像の前記シフトを少なくとも部分的に補償するように前記アクチュエータ手段(40、400)に促す、ステップと、
- 前記イメージセンサ(52)により生成される前記画像の鮮鋭度を自動的に決定するステップと、
- 前記アクチュエータ手段(40、400)に印加される前記信号の振幅を比例定数により増加または減少させるステップと、
- 前記信号のうち、最高の鮮鋭度を有する画像が得られる1つの信号を決定するステップと、
- 前記比例定数を較正データとして前記光学デバイス(1)内に記憶するステップと
を含む、方法。
【請求項86】
特に請求項1~84のいずれか一項に記載の光学デバイス(1)の自動焦点調節機能を較正するための方法であって、前記光学デバイス(1)は、カメラとして形成され、前記方法は、
- 前記光学デバイス(1)と物体との間の距離を前記光学デバイス(1)の距離センサを使用して測定するステップと、
- 対応する電流信号を前記光学デバイス(1)のアクチュエータ手段(40)に印加することにより前記光学デバイス(1)の異なる焦点距離にわたって進むステップと、
- 各焦点距離における画像の画像鮮鋭度を分析するステップと、
- 前記画像が最高の鮮鋭度を有していた電流信号を、前記光学デバイス(1)と前記物体との間の前記測定された距離と共に記憶するステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の光学デバイスに関する。さらに、本発明は、このような光学デバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の種類の光学デバイスは、通常、透明で弾性膨張可能な膜と、膜に向かい合うまたは対向する光学素子と、壁部材であって、光学素子および膜は、ある容積を有する容器が形成されるように壁部材に接続され、少なくとも膜、光学素子、および前記壁部材が前記容積を規定する、壁部材と、前記容積内に存在する流体と、膜の外側に取り付けられたレンズ成形部材であって、外側は前記容積から離れる方向を向く、レンズ成形部材と、を備える。
【発明の概要】
【0003】
上記に基づき、本発明の根底にある問題は、光学デバイスの容易な較正を同時に可能にしながら、簡単な様式でデバイスの焦点距離を調整することおよび光ビーム方向の調節(例えば、画像安定化、ビームの向け直し、または超解像の目的のために)を可能にする光学デバイスを提供することである。
【0004】
この問題は、請求項1の特徴を有する光学デバイスにより解決される。
【0005】
光学デバイスの好ましい実施形態は、対応する従属請求項に述べられており、以下で説明される。
【0006】
請求項1によれば、本発明に記載の光学デバイスは、透明で弾性膨張可能な膜、膜に対向する光学素子、壁部材であって、光学素子および膜がある容積(容器の内部空間)を有する容器が形成されるように壁部材に接続される、壁部材と、前記容積内に存在する流体と、膜の曲率調節可能エリアを規定するように(特に膜の前記エリアの曲率を調節するように)膜と接するレンズ成形部であって、エリアは前記光学素子に対向する、レンズ成形部と、レンズ鏡筒の開口部を包囲する周状レンズ鏡筒であって、レンズ鏡筒により保持される少なくとも1つの剛性レンズが開口部内に配置される(特に、レンズ鏡筒は複数の積層された剛性レンズを保持する)、周状レンズ鏡筒と、特に光学デバイスの自動焦点調節(AF:autofocus)を提供するために、容器内に存在する流体の圧力およびそれによって前記エリアの曲率(ならびにそれによって容器および容器内に存在する流体により形成される流体レンズ/焦点調節可能レンズの焦点距離)をやはり調節するように、光学素子をレンズ成形部に対して軸方向に移動させるように設計されたアクチュエータ手段であって、前記軸方向はレンズ成形部が沿って延びる(架空の)平面(例えば、レンズ成形部が架け渡される平面、下記を参照されたい)に垂直の向きである、アクチュエータ手段と、を備える。あるいは、アクチュエータ手段は、特に光学デバイスの自動焦点調節を提供するために、容積の内側に存在する流体の圧力およびそれによって前記エリアの曲率(ならびにそれによって容器および容器内に存在する流体により形成される流体レンズ/焦点調節可能レンズの焦点距離)を調節するように、レンズ成形部を光学素子/容器に対して軸方向に移動させるように設計され、軸方向は、剛性レンズが沿って延びる(架空の)平面に垂直の向きである。
【0007】
具体的には、アクチュエータ手段は、上記の移動を生成するように適応された任意の好適なアクチュエータであってよい。このようなアクチュエータの具体的な実施形態を、本明細書に詳細に記載する。
【0008】
その上、一般に、本発明の特定の実施形態によれば、光学デバイスは、
- 特に光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)を提供するために、特に容積をプリズムへと形成するように、光学素子をレンズ成形部が沿って延びる前記平面に対して傾動させること、
- 特にOISを提供するために、特に容積をプリズムへと形成するように、レンズ成形部を剛性レンズが沿って延びる前記平面に対して傾動させること、
- 特にOISを提供するために、容器をレンズ鏡筒に対して、レンズ成形部が沿って延びる前記平面と平行に移動させること、
- 特にOISを提供するために、レンズ成形部をレンズ鏡筒および/または前記容器に対して、剛性レンズが沿って延びる前記平面と平行に移動させること、
- (特にOISを提供するために)レンズ鏡筒を前記容器と共に、特に光学デバイスのイメージセンサと平行に移動させ、レンズ鏡筒が、イメージセンサの前に配置されること、
- (特にOISを提供するために)レンズ鏡筒を容器と共に、特に光学デバイスのイメージセンサに対して傾動させ、レンズ鏡筒が、イメージセンサの前に配置されること
の少なくとも1つを行うように設計されてもよい。
【0009】
本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部は、前記レンズ鏡筒に接続され(特に、レンズ鏡筒の前記少なくとも1つの剛性レンズは、光学素子を通過するまたは光学素子により反射される光が前記エリアとレンズ鏡筒の前記少なくとも1つの剛性レンズとを通過するように、前記エリアおよび前記光学素子に対向する)、光学デバイスは、特に容積をプリズム(または楔形もしくは類似の物体)へと形成するように光学素子を前記平面に対して傾動させる、容器をレンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動させる、またはレンズ鏡筒を容器と共に(特に光学デバイスのイメージセンサと平行に)移動させる、の少なくとも1つを行うように設計されている。
【0010】
膜は、前記エリアの曲率を調節するために弾性変形することができるという事実に因り、前記容器および容器内に存在する流体は、焦点調節可能(または調整可能)レンズを形成する。
【0011】
さらに、本発明による光学デバイスのある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、特に容積を、容積を通過する光を偏向させるためのプリズムへと形成するように、光学素子をレンズ成形部が沿って延びる前記平面に対して傾動させるように設計されている。
【0012】
さらに、本発明による光学デバイスのある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、特に容器の容積を、容積を通過する光を偏向させるためのプリズムへと形成するように、レンズ成形部を剛性レンズが沿って延びる前記平面に対して傾動させるように設計されている。ここで、特に、レンズ成形部は、レンズ鏡筒に固定されず、レンズ鏡筒に対して移動させることができ、特に容器は、今やレンズ鏡筒に固定されている。
【0013】
さらに、本発明による光学デバイスのある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、容器を、容積を通過する光を偏向させるために、レンズ鏡筒に対して前記剛性平面が沿って延びる前記平面と平行に移動させるように設計されている。またここで、レンズ成形部は、レンズ鏡筒に固定されている。
【0014】
さらに、ある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、特に容積を通過する光を偏向させるために、レンズ成形部を、レンズ鏡筒および/または前記容器に対して剛性レンズが沿って延びる前記平面と平行に移動させるように設計されている。特に、この実施形態では、レンズ成形部は、レンズ鏡筒に対して移動し、レンズ鏡筒に固定されていない。
【0015】
その上、ある実施形態によれば、レンズ成形部は、周状レンズ鏡筒に接続されている。
【0016】
その上、ある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、(レンズ鏡筒に固定されている)レンズ成形部を軸方向に移動させるために、レンズ鏡筒を前記軸方向に移動させるように設計されている。
【0017】
特に、ある実施形態によれば、レンズ成形部は、膜にプラズマ接合されている。
【0018】
さらに、特に、前記レンズ鏡筒を光学デバイスのイメージセンサと平行に移動させるように設計されたさらなるアクチュエータ手段/アクチュエータが設けられてもよく、イメージセンサはレンズ鏡筒に対向し、前記イメージセンサは容器から離れる方向を向くレンズ鏡筒の側に配置される(以下も参照されたい)。
【0019】
特に、レンズ成形部が膜に接触するという事実は、レンズ成形部が膜に直接的に、または(例えば、接着剤などにより形成された)別の材料層を介して間接的に接触することを意味し得る。レンズ成形部はさらに、レンズ成形部を膜に直接的に、または接着層などの別の材料層を介して接合することにより、膜に取り付けることができる。
【0020】
したがって、特に、本発明は、例えば自動焦点調節機能を提供するために、前記膜、壁部材、流体、および光学素子を含む焦点調節可能レンズの焦点距離を調節することを同時に可能にしながら、光学的画像安定化、ビームの向け直し、および/または超解像を提供するために光学素子を含む単一の構成要素、例えばガラスプレート、またはレンズ成形部を含む構成要素を軸方向にシフトおよび傾動させることを可能にする。
【0021】
その上、有利なことには、光学デバイスは、レンズ成形部がレンズ鏡筒上に配置されるという事実に因り、光学デバイスの原則として簡単な調節/較正を可能にする。レンズ鏡筒を例えば光学デバイスのイメージセンサまたは投影平面に対して移動させ、次いでレンズ鏡筒を前記イメージセンサ/投影平面に対して固定することにより(すなわち光学デバイスの製造の際に)、光学デバイスは、簡単かつ効率的な様式で較正することができる。
【0022】
ある実施形態では、光学素子は、透明な(例えば平坦な)プレート(例えばガラスプレート)または剛性レンズであり、光学デバイスは、カメラまたはこのようなカメラの一部であり、カメラは、本発明のため、特に焦点調整可能レンズの焦点距離を自動的に調節して画像安定化および/または超解像を遂行することができる。ある代替的な実施形態では、光学素子は、鏡であってもよく、光学デバイスは、光ビームを自動的に偏向および集束させることができる光学走査デバイスまたはこのようなデバイスの一部である。
【0023】
さらに、レンズ成形部のレンズ鏡筒内への一体化または組み込みは、公差に影響されない設計を可能にする。すなわち、光学素子(例えば平坦なガラスプレート)は、光学品質を低減することなしにx-y方向に移動させることができ、これは、変調伝達関数が光学素子(例えば平坦なガラスプレート)の光軸に対する横シフトにより影響されないことを意味する。言い換えれば、位置合わせがクリティカルな全ての光学構成要素がレンズ鏡筒を基準とし、大きな公差チェーンが回避される。
【0024】
さらに、ある実施形態では、アクチュエータ手段は、光学素子/レンズ成形部を軸方向に移動させるようにかつそれを同時に傾動させるように設計されている。このために、アクチュエータ手段は、光学素子を軸方向に移動させるようにかつ光学素子を傾動させるように壁部材/光学素子に作用するように、またはレンズ成形部を軸方向に移動させるようにかつレンズ成形部を傾動させるようにレンズ成形部に作用するように、特に設計されている(以下も参照されたい)。
【0025】
言い換えれば、本発明は、ただ1つの要素(光学素子/壁部材またはレンズ成形部)を移動させることにより調整可能レンズを変形させ、調整可能プリズムを一体化することにより自動焦点調節および画像安定化を行う新しい手法を記載する。その上、同じ構造を使用して、画像シフトを使用した超解像撮像を行うことができる。とりわけ携帯電話内の現在のカメラの光学解像度は、イメージセンサ上の利用可能なピクセル数が限られている。光学ズームの実装は、困難、高価であり、大きな容積を必要とする。特に、画像をサブピクセルだけシフトさせ、画像の後処理を行うことにより、画像の解像度を4倍もしくは9倍またはさらに一層向上させることができ、2×もしくは3×またはさらに高いズーム倍率が得られる。
【0026】
特に、流体は、膜に対して加えられる圧力(または力)を(例えばレンズ成形部を介して)調節することにより膜の曲率を調節することができるように、容積内に存在する。特に、流体は、容積を完全に満たしている。
【0027】
さらに、特に、例えばレンズ成形部が平面に架け渡される、または平面に沿って延びるという考えは、レンズ成形部が、架空の平面に架け渡され、もしくは架空の平面を規定し、またはこのような架空の(延長)平面に沿って延びることを意味する。特に架空の平面であるこの平面は、前記平面に垂直に走る軸方向などの方向を定義するために使用されてもよい。特に、また、前記軸方向はレンズ成形部に垂直に走ると述べてもよい。レンズ成形部が周状構造である実施形態では、前記構造またはその表面は、前記平面内に延びる(かつこのようにして前記平面を規定し、または前記平面に架け渡される)。
【0028】
特に、光学素子またはレンズ成形部を軸方向に沿って移動させるとき、レンズ成形部は、それに応じて膜を押す、または膜を引っ張る。
【0029】
特に、レンズ成形部が調節可能な曲率を有する膜のエリアを規定するという考えは、レンズ成形部が、膜に取り付けられることにより、または膜に接触することにより、膜の弾性膨張可能な(例えば円形の)エリアを規定し、特に前記エリアがレンズ成形部の(例えば周状)内縁部まで延びることを意味し得る。光はレンズのこのエリアを通過し、このエリアの曲率により影響されるので、このエリアは、光学活性エリアとして表示されてもよい。
【0030】
光学素子/壁部材の固定されたレンズ成形部に向かっての移動に因りまたはレンズ成形部の容器に向かっての動きに因りレンズ成形部が膜を押すとき、流体の圧力は、容器内の流体の本質的に一定の容積のために上昇し、膜を膨張させ、膜の前記エリアの前記曲率を上昇させる。同様に、レンズ成形部が膜をそれほど押し出さず、またはそれどころか膜を引っ張るとき、流体の圧力は、下降し、膜を収縮させ、膜の前記エリアの前記曲率を下降させる。それにより、上昇する曲率は、膜の前記エリアがより顕著な凸隆起になり得ること、または膜の前記エリアが凹状態もしくは平坦な状態から凸状態に変化することを意味する。同様に、曲率の下降は、膜の前記エリアが、顕著な凸状態からそれほど顕著ではない凸状態もしくはそれどころか平坦な状態もしくは凹状態に変化すること、または平坦な状態もしくは凹状態からさらに一層の凹状態に変化することを意味する。
【0031】
さらに、傾動させるとき、アクチュエータ手段は、好ましくは、壁部材/光学素子を傾動させる際に膜の曲率が一定に保たれるように、流体内の圧力が一定に保たれるように制御されるように設計されている。
【0032】
膜は、ガラス、ポリマー、エラストマー、プラスチック、または他の任意の透明で伸縮自在もしくは可撓性の材料の少なくとも1つで作製することができる。例えば、膜は、PDMSとも呼ばれるポリ(ジメチルシロキサン)などのシリコーンベースのポリマー、またはPETなどのポリエステル材料、または二軸配向ポリエチレンテレフタレート(例えば「マイラ」)から作製されてもよい。
【0033】
さらに、膜は、コーティングを含むことができる。さらに、膜は、構造化することもでき、例えば構造化された表面を含み、または膜にわたって可変の厚さもしくは剛さを有する。
【0034】
さらに、前記流体は、好ましくは、液体金属、ゲル、液体、気体、もしくは変形することができる任意の透明で吸収性もしくは反射性の材料であるか、またはそれを含む。例えば、流体は、シリコーンオイル(例えば、ビス-フェニルプロピルジメチコン)であってもよい。これに加えて、流体は、ペルフッ素化ポリエーテル(PFPE:perfluorinated polyether)不活性流体などのフッ素化ポリマーを含んでもよい。
【0035】
その上、光学素子および/またはレンズ鏡筒内の少なくとも1つの剛性レンズは、好ましくは膜と比較して剛性である。好ましくは、光学素子は、ガラス、プラスチック、ポリマー、もしくは金属から形成され、またはそれを含む。光学素子は、屈折性、回折性、および/もしくは反射性構造を有する(例えばガラス製の)平坦窓、レンズ、鏡、超小形構造の要素を含むことができ、またはそれとして形成することができる。
【0036】
さらに、本発明のある実施形態では、光学素子は、コーティング(例えば反射防止)を含んでもよい。
【0037】
さらに、本発明のある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、好ましくは軸方向移動および傾動移動を制御変数として定義することができるように、光学素子またはレンズ成形部を軸方向に移動させるようにかつそれを同時に傾動させるように設計されている。さらに、特に、アクチュエータ手段は、光学素子を軸方向に移動させるようにかつ光学素子を傾動させるように壁部材に作用するように、または光学素子を軸方向に移動させるようにかつ光学素子を傾動させるようにレンズ成形部もしくはレンズ成形部に接続された部材に作用するように、設計されている。
【0038】
好ましくは、ある実施形態では、光学デバイスは、レンズ鏡筒の光学デバイス内への装着の際にレンズ鏡筒の膜に対する移動を案内するための案内手段を備える。この案内手段は、レンズ鏡筒の光学デバイスまたはハウジング内への装着(例えば、押し込みまたはねじ締め)の際にレンズ鏡筒が膜に向かって案内されるように、レンズ鏡筒を受容するための陥凹部を形成し得る光学デバイスのハウジングにより形成されてもよい。
【0039】
その上、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部は、レンズ鏡筒と一体形成され、レンズ鏡筒の正面側または正面側の少なくとも一部を形成し(例えば、前記正面側から突出し)、特に前記正面側または前記レンズ成形部は、膜に取り付けられている。
【0040】
その上、本発明のある代替的な実施形態によれば、レンズ成形部は、膜に対向するレンズ鏡筒の正面側に接続される周状部材または材料層により(例えばシリコーンまたは金属から)形成される。
【0041】
その上、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部は、例えば膜およびレンズ成形器の酸素プラズマ活性化を使用してからこれら2つの要素を接触させ、結果としてこれらの間の接合が得られることにより、膜にプラズマ接合される。
【0042】
さらに、本発明のある実施形態によれば、膜は、容器の前記壁部材にプラズマ接合される。
【0043】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部または前記周状部材は、レンズ鏡筒の射出成形の際にレンズ鏡筒に接続される金型インサートであり、この部材/レンズ成形部は、レンズ鏡筒の正面側の陥凹部内に組み込まれる。
【0044】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部(例えば周状部材)は、レンズ成形部をレンズ鏡筒に接続するように、レンズ鏡筒に接着剤で接着されている。
【0045】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ鏡筒は、レンズ鏡筒の正面側から突出する突出部を含み、この突出部は、レンズ成形部がぴったりと適合するように突出部と係合するとき、(レンズ鏡筒に接続/接着されるべき)レンズ成形部をレンズ鏡筒に対して心出しするように構成されている。
【0046】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部は、レンズ成形部が突出部と係合するとき、突出部を囲撓するように構成されている。
【0047】
さらに、本発明のある代替的な実施形態によれば、突出部は、レンズ成形部が突出部と係合するとき、レンズ成形部を囲撓するように構成されている。
【0048】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ鏡筒の正面側は、空気がレンズ鏡筒の外側から前記膜に隣接し、レンズ成形部により包囲される領域(すなわち、膜とレンズ鏡筒の一番上の剛性レンズとの間の領域)内へと前記陥凹部(およびレンズ成形部の下方)を通過することができるように、突出部の不連続部を形成する少なくとも1つの陥凹部を含む。これは、前記領域の容積の変化に対応する膜の前記曲率調節可能エリアの曲率が変化するとき、前記領域の通気を可能にする。
【0049】
さらに、本発明のある実施形態によれば、空気がレンズ鏡筒の外側から前記膜に隣接し、レンズ成形部により包囲される領域(すなわち、膜とレンズ鏡筒の一番上の剛性レンズとの間の領域)内へと前記少なくとも1つの溝を通過することができるように、前記領域の通気が再び可能になるように、レンズ鏡筒は、前記突出部の下に、特にレンズ鏡筒の前記正面側の下に延びる少なくとも1つの溝を含む、上記を参照されたい。特に、ここで、突出部は、不連続部を含まないが、環状突出部を形成する。
【0050】
さらに、本発明のある実施形態によれば、空気がレンズ鏡筒の外側から前記膜に隣接し、レンズ成形部により包囲される領域(すなわち、膜とレンズ鏡筒の一番上の剛性レンズとの間の領域)内へと前記少なくとも1つの溝を通過することができるように、前記領域の通気が可能になるように、レンズ鏡筒は、少なくとも1つの溝を含み、上記を参照されたい、前記少なくとも1つの溝は、レンズ鏡筒の横外側からレンズ鏡筒内へとレンズ鏡筒の径方向に(すなわち、レンズ鏡筒の光軸に垂直に)延びる第1の部位と、第1の部位と流体連通する第2の部位とを含み、第2の部位は、レンズ鏡筒の光軸と平行に延び、レンズ鏡筒の正面側に至る。
【0051】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部をレンズ鏡筒の正面側に接続するための接着剤を加えるために、レンズ鏡筒は、レンズ鏡筒の正面側に前記接着剤を受容するための少なくとも1つまたはいくつかの接着剤ポケットを含み、少なくとも1つの接着剤ポケットは、レンズ成形部の下に配置される。
【0052】
さらに、本発明のある実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤ポケットは、突出部よりもレンズ鏡筒の径方向にさらに外向きに延び、すなわち、レンズ成形部は、前記心出し突出部を囲撓するように構成されている。特に、このようにして、少なくとも1つの接着剤ポケットは、少なくとも1つの接着剤ポケットに接着剤を加えるためにレンズ鏡筒の横外側からアクセス可能になる。
【0053】
さらに、ある代替的な実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤ポケットは、突出部よりもレンズ鏡筒の径方向にさらに内向きに延びる。ここで、レンズ成形部は、レンズ鏡筒の前記心出し突出部により囲撓されるように構成されている。
【0054】
さらに、本発明のある実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤ポケットが少なくとも1つの接着剤ポケットに前記接着剤を加えるために前記外側からアクセス可能になるように、少なくとも1つの接着剤ポケットは、突出部の下に延び、特にレンズ鏡筒の横外側に至る。
【0055】
さらに、本発明のある実施形態によれば、少なくとも1つの接着剤ポケットは、細長湾曲形状を含み、特に突出部に沿って突出部の内側に沿って、すなわち突出部よりもレンズ鏡筒/突出部の径方向にさらに内向きに、延びる。
【0056】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ鏡筒は、少なくとも1つの貫通孔(例えば、レンズ鏡筒の周状壁内に形成された)を含み、この貫通孔は、前記貫通孔を介して少なくとも1つの接着剤ポケットに接着剤を加えることができるように、レンズ鏡筒の光軸に沿って延び、少なくとも1つの接着剤ポケットに至る(すなわち、接着剤ポケットと流体連通する)。
【0057】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部をレンズ鏡筒の正面側に接続するために使用される前記接着剤は、レンズ鏡筒の正面側とレンズ成形部との間でレンズ鏡筒の正面側に配置された両面接着テープであり、特にテープは、レンズ成形部を心出しするための突出部により包囲され、突出部は、テープよりもレンズ鏡筒の径方向にさらに外向きに延びる。
【0058】
さらに、本発明のある実施形態によれば、容器は、レンズ鏡筒の外側にレンズ鏡筒の前に、特にレンズ鏡筒の正面側の前に、配置される。特に、この実施形態では、容器、すなわち流体レンズは、従来のレンズ鏡筒と共に使用することができるアドオン組立体として設けることができ、レンズ成形部は、レンズ鏡筒の正面側に設けられる。
【0059】
さらに、本発明のある実施形態によれば、容器(すなわち、光学素子、壁部材、および膜、ならびに容器により封入される流体)は、膜を介してレンズ成形部上に懸架(または支持)されている。容器(レンズコアとも表示される)をレンズ成形部上の膜で懸架/支持することにより、容器/流体レンズの全体は、流体の温度膨張の場合は上に移動し、温度変化の光学的効果を強力に低減する。
【0060】
さらに、本発明のある代替的な実施形態によれば、容器がレンズ鏡筒内に組み込まれるように、容器は、少なくとも部分的に、特に完全に、レンズ鏡筒の前記開口部内に配置される。
【0061】
さらに、本発明のある実施形態によれば、容器の光学素子形態は、レンズ鏡筒の一番上の剛性レンズを形成する(一番上の剛性レンズは、前記少なくとも1つの剛性レンズとすることができる)。特に、光学デバイスは、レンズ鏡筒の開口部内に配置されたいくつかの剛性レンズを含んでもよく、剛性レンズは、互いに重ね合せて配置され、すなわちレンズ鏡筒内に収容される他の全ての剛性レンズは、一番上の剛性レンズと光学デバイスのイメージセンサとの間に配置される。
【0062】
その上、本発明のある実施形態によれば、光学デバイスは、レンズ鏡筒を包囲するハウジングを備える。ハウジングは、開口部を有する頂部側を含んでもよく、光は、例えばCMOS、CCD、アバランシェダイオードアレイ、または網膜などのイメージセンサに当たるために、開口部を通ってハウジングに入り、焦点調節可能レンズと少なくとも1つの剛性レンズを有するレンズ鏡筒とを通過することができる。
【0063】
特に、ある実施形態では、ハウジングは、容器の移動を限定するための停止部を形成する。特に、容器のイメージセンサに向かっての移動は、アクチュエータ手段/アクチュエータのコイルにより(コイルがハウジング上に配置され、磁石が容器/壁部材に接続されているとき、下記を参照されたい)または磁石により(コイルが容器/壁部材に接続され、磁石がハウジング上に配置されるとき、下記を参照されたい)、限定することができる。
【0064】
特に、全ての実施形態では、ハウジングは、光学デバイスを電磁放射から遮蔽するように構成されたシールドを含むことができる。特にデュアルカメラ構成では、カメラを互いから遮蔽することができる。特に、シールドは、アクチュエータ手段を外部の影響から遮蔽する働きをする。特に、ある実施形態では、シールドは、容器の移動を限定するための前記停止部を形成してもよい。
【0065】
さらに、本発明のある実施形態によれば、ハウジングは、ぴったりと適合するようにレンズ鏡筒を受容するように構成された陥凹部を含み、特に前記陥凹部は、レンズ鏡筒のハウジング内への装着の際にレンズ鏡筒を案内するようにさらに構成されている(上記も参照されたい)。
【0066】
さらに、本発明のある実施形態によれば、前記陥凹部は、レンズ鏡筒の雄ねじと係合するように構成された雌ねじを含み、雄ねじは、光学デバイスのイメージセンサへのレンズ鏡筒の距離を調節するように、レンズ鏡筒の横外側上に形成されている。
【0067】
さらに、本発明のある実施形態によれば、陥凹部は、レンズ鏡筒を光学デバイスのイメージセンサに対して位置決めするための停止部を形成する周状ステップを含み、特にレンズ鏡筒は、陥凹部により形成される停止部に当接するための、その横外側上の表面領域を含む。
【0068】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部は、レンズ成形部を支えるためのレンズ成形部キャリヤに接続され、レンズ成形部キャリヤは、レンズ成形部に接続される脚部を含み、脚部は、特にレンズ成形部に一体接続され、それぞれの脚部は、特にレンズ鏡筒内に形成された関連付けられたスロットを通ってレンズ成形部から外向きに延び、特にそれぞれの脚部は、レンズ成形部を軸方向に移動させるようにかつ/またはレンズ成形部を傾動させるように、アクチュエータ手段/アクチュエータと相互作用する(上記も参照されたい)。
【0069】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの脚部は、アクチュエータ手段の磁石を保持するための関連付けられた保持部材に接続されている。特に、それぞれの脚部は、それに関連付けられた保持部材に一体接続されている。さらに、特に、それぞれの保持部材は、レンズ鏡筒の外側に配置され、特に各2つの隣り合う保持部材は、接続部材により接続されている。特に、それぞれの接続部材は、それぞれの隣り合う保持部材を互いに一体接続し、特にそれぞれの接続部材はまた、レンズ鏡筒の外側にレンズ鏡筒の横外側に沿って延びる。
【0070】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部キャリヤは、ばね部材を含み、それぞれのばね部材は、レンズ成形部キャリヤの関連付けられた脚部に(例えば一体)接続され、ばね部材は、レンズ成形部をレンズ鏡筒に対して心出し/位置決めするように構成されている。
【0071】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれのスロットは、レンズ鏡筒の底部に形成され、底部は、容器から離れる方向を向き、特にそれぞれのスロットは、レンズ鏡筒の光軸に沿って延びる。
【0072】
さらに、本発明のある実施形態によれば、容器は、レンズ鏡筒の底部から開口部に挿入され、レンズ鏡筒の内側の周状表面領域により心出しされ、容器は、ぴったりと適合するように前記表面領域と係合する。
【0073】
さらに、本発明のある実施形態によれば、レンズ成形部キャリヤは、特にレンズ成形部が前記膜に接触するように、レンズ成形部と共にレンズ鏡筒の底部から開口部内に挿入され、各ばね部材は、レンズ成形部をレンズ鏡筒/容器に対して心出しするように、端部がレンズ鏡筒の内側の関連付けられた表面エリア上にある状態で配置される。
【0074】
さらに、本発明のある代替的な実施形態によれば、それぞれのスロットは、レンズ鏡筒の底部にではなく、レンズ鏡筒の正面側に形成され、正面側は、光学デバイスのイメージセンサ/レンズ鏡筒の底部から離れる方向を向き、特にそれぞれのスロットは、レンズ鏡筒の光軸に沿って延びる。
【0075】
さらに、本発明のある実施形態によれば、容器は、サブ組立体を形成するように、レンズ成形部およびレンズ成形部キャリヤと共に別々のレンズ鏡筒頂部部品内に挿入され、次いでサブ組立体は、容器およびレンズ成形部がレンズ鏡筒に対して心出しされ、レンズ成形部キャリヤのそれぞれの脚部がそれに関連付けられたスロット内に配置されるように、正面側からレンズ鏡筒内に挿入される。ここで、特に、容器は、ぴったりと適合するようにレンズ鏡筒頂部部品の内側の関連付けられた周状表面領域と係合し、特に各ばね部材は、端部がレンズ鏡筒頂部部品の関連付けられた表面エリア上にある状態で配置され、レンズ鏡筒頂部部品は、容器およびレンズ成形部がレンズ鏡筒に対して心出しされるように、ぴったりと適合するようにレンズ鏡筒の正面側のレンズ鏡筒の内側と共にさらなる周状表面領域と係合する。
【0076】
さらに、本発明のある代替的な実施形態によれば、レンズ成形部キャリヤは、レンズ成形部と共にレンズ鏡筒の正面側からレンズ鏡筒の開口部内に挿入され、各ばね部材は、レンズ成形部をレンズ鏡筒/容器に対して心出しするように、端部がレンズ鏡筒の内側の関連付けられた表面エリア上にある状態で配置され、前記脚部は、レンズ鏡筒の正面側に形成されたスロット内に配置される。
【0077】
さらに、本発明のある実施形態によれば、容器は、レンズ鏡筒の正面側から開口部内に挿入され、レンズ鏡筒の内側の周状表面領域により心出しされ、容器は、ぴったりと適合するように前記表面領域と係合する。
【0078】
その上、本発明のある実施形態によれば、特に光学素子/容器がレンズ鏡筒に固定されたレンズ成形部に対して移動されるとき、容器の壁部材は、壁部材が静止位置の外に移動されるとき復元力が壁部材に対して加えられるように壁部材がハウジングに弾性連結されるように、少なくとも1つのばね部材(特に4つのばね部材)を介してハウジングに接続されている。
【0079】
その上、本発明のある実施形態によれば、壁部材は、壁部材を包囲するフレーム部材にばね部材を介して接続された周状部材である。特に、ある実施形態では、壁部材は、ばね部材に一体接続され、ばね部材は、フレーム部材に一体接続されている。壁部材、ばね部材、およびフレーム部材は、金属から、特に磁性鋼から形成されてもよい。
【0080】
さらに、本発明のある好ましい実施形態によれば、壁部材は、(例えばプレートの中央に)連続的な陥凹部を有するプレートにより形成され、陥凹部は、壁部材の第1の側から壁部材の第2の側に延び、第2の側は、第1の側から離れる方向に向き、好ましくは光学素子は、前記陥凹部を覆うように第1の側に接続され、好ましくは前記膜は、前記陥凹部を他方側から覆うように壁部材の第2の側に接続されている。このようにして、前記閉鎖された容器が、焦点調節可能レンズの流体を受容するために形成される。
【0081】
その上、本発明のある実施形態によれば、壁部材は、上述したように中央陥凹部を含んでもよく、4つのばね部材を介して包囲するフレーム部材に接続されている、平坦な(例えばプレート状の)環状部材であり、ばね部材は、壁部材に一体接続され、フレーム部材に一体接続され、フレーム部材は、ハウジングに接続されている。特に、ある実施形態では、ばね部材は、蛇行する進路を含む。さらに、ばね部材は、(例えば矩形)フレーム部材のコーナー領域に接続されてもよい。
【0082】
その上、本発明のある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、1つの導電性コイルまたは複数の導電性コイル、特に3つまたは4つのコイルと、少なくとも1つの磁石とを含み、各コイルは、軸方向で少なくとも1つの磁石に対向し、各コイルは、電流がコイルに印加されるとき、それぞれのコイル内の電流の方向に応じて、それぞれのコイルが少なくとも1つの磁石に対して移動され、特にそれぞれのコイルが少なくとも1つの磁石に向かって、もしくは少なくとも1つの磁石から離れる方向に、のいずれかに移動される(または少なくとも1つの磁石がそれぞれのコイルに向かって、もしくはそれぞれのコイルから離れる方向に、のいずれかに移動される)ように、少なくとも1つの磁石と相互作用するように構成されている。少なくとも1つの磁石は、環状形状を含んでもよい。さらに、少なくとも1つの磁石は、鋼などの軟磁性金属から作製され得る磁束リターン構造内に配置されてもよい。
【0083】
あるいは、本発明のある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、1つの導電性コイルまたは複数の導電性コイル、特に3つまたは4つのコイルと、対応する数の磁石(例えば3つまたは4つの磁石)とを含み、各磁石は、コイルの1つに関連付けられ、各コイルは、軸方向でそれに関連付けられた磁石に対向し、各コイルは、電流がコイルに印加されるとき、それぞれのコイル内の電流の方向に応じて、それぞれのコイルがそれに関連付けられた磁石に向かって、もしくはそれに関連付けられた磁石から離れる方向に、のいずれかに移動される(または関連付けられた磁石がそれぞれのコイルに向かって、もしくはそれぞれのコイルから離れる方向に、のいずれかに移動される)ように、それに関連付けられた磁石と相互作用するように構成されている。さらに、前記磁石は各々、軟磁性金属から作製され得る磁束リターン構造内に配置されてもよい。
【0084】
その上、本発明のある実施形態によれば、それぞれのコイルは、レンズ成形部が沿って延びる前記平面に垂直に走る(例えば、コイルがハウジング上に配置され、磁石が壁部材上に配置されるとき)または前記光学素子に垂直に走る(例えば、コイルが壁部材上に配置され、磁石がハウジング上に配置されるとき)コイル軸に巻回された導体を含み、それぞれのコイルは、電流がそれぞれのコイルに印加されるとき、それぞれのコイル内の電流の方向に応じて、関連付けられた磁石(または少なくとも1つの磁石)およびそれぞれのコイルを互いに吸引または互いに反発させるローレンツ力が生成されるように、それに関連付けられた磁石(または少なくとも1つの磁石)に対向する。
【0085】
その上、本発明のある実施形態によれば、磁石(または少なくとも1つの磁石)は、軸方向に(例えば磁石がハウジング上に配置されるとき)、または前記光学素子に垂直に走る方向に(例えば磁石が壁部材上に配置されるとき)、磁化される。
【0086】
さらに、本発明のある好ましい実施形態によれば、アクチュエータ手段は、複数のコイル(例えば3つまたは4つのコイル)を含んでもよく、各コイルは、好ましくは関連付けられた磁石を包囲し、磁石は、好ましくは壁部材と平行(例えば、磁石が壁部材に接続されているとき)または軸方向に垂直(磁石がハウジング上に配置されるとき)に走る方向に磁化され、磁化は、光学デバイスの中心軸に向かい得る。さらに、それぞれのコイル軸は、軸方向と平行に(例えば、コイルがハウジング上に配置されるとき)または壁部材に垂直に(例えば、コイルが壁部材に接続されているとき)延びてもよい。
【0087】
さらに、ある実施形態によれば、磁石(または少なくとも1つの磁石)は壁部材に、例えば膜も取り付けられる壁部材の第2の側または下側に接続される一方、コイルはハウジング上に、例えば壁部材に対向する側に配置される。ここで、コイルは、ハウジングの前記側に一体化または組み込まれてもよい。ここで、磁石が壁部材に接続されているとき、磁石(または少なくとも1つの磁石)は、コイルに対して移動し、特にそれぞれのコイルに向かってまたはそれから離れる方向に移動し、それぞれのコイルは、特にハウジング上の固定位置を含む。磁石は、そのとき上に壁部材が載置される容器キャリヤ(例えば、コイルに対向する容器キャリヤの下側)に接続することもできる。容器を支える容器キャリヤは、そのとき、前記少なくとも1つまたはいくつか(例えば4つ)のばね部材を介してフレーム部材に(特に一体)接続される。ばね部材は、フレーム部材のコーナー領域に接続してもよい。
【0088】
さらに、ある代替的な実施形態によれば、磁石(または少なくとも1つの磁石)は、ハウジング上に(例えば壁部材に対向する前記側に)配置される一方、コイルは、壁部材上に配置され、コイルは、特に壁部材内に一体化されている。ここで、コイルが壁部材に接続されているとき、それぞれのコイルは、関連付けられた磁石に対して移動し、特に関連付けられた磁石(または少なくとも1つの磁石)に向かってまたはそれから離れる方向に移動する一方、前記関連付けられた磁石(または前記少なくとも1つの磁石)は、ハウジング上の固定位置を含む。
【0089】
あるいは、アクチュエータ手段はまた、複数の頂部電極(特に3つまたは4つの電極)を含む静電アクチュエータ手段として形成されてもよく、各頂部電極は、軸方向で頂部電極に対向する底部電極に関連付けられている。それぞれの頂部電極と底部電極との間に電圧を印加することにより、光学素子を軸方向に移動および/または傾動させることもできる。ここで、頂部電極は壁部材上に配置されてもよい一方、底部電極はハウジング上に配置されてもよい。
【0090】
さらに、本発明のある実施形態では、壁部材は、(例えば4つの)ばね部材を一体化部分として含む回路基板(特にプリント回路基板)として形成され、コイルは、回路基板内に(特に互いに重ね合せて配置されたいくつかの層内に)一体化されている。さらに、特に、前記回路基板は、回路基板への電気接点を作製するためにハウジングから外に延びる。
【0091】
さらに、ある実施形態によれば、ハウジングは、特に回路基板、特にプリント回路基板の形で基材上に配置される。
【0092】
さらに、ある実施形態では、イメージセンサは、レンズ鏡筒が前記イメージセンサの上方に配置され、前記軸方向がイメージセンサの複数の光センサにより形成されるセンサ表面に垂直に走るように、前記基板上に配置される。特に、イメージセンサは、半導体電荷結合素子(CCD:charge-coupled device)、金属酸化物半導体(CMOS:metal-oxide-semiconductor)、もしくはN型金属酸化物半導体(NMOS:N-type metal-oxide-semiconductor)センサ、または他の任意の感光性センサであってよい。
【0093】
さらに、イメージセンサに対向する光学素子は、好ましくは透明な光学素子である。ここで、光学デバイスは、特にカメラ(例えば、携帯電話用の)を形成する。
【0094】
さらに、ある実施形態では、光学デバイスのハウジングは、少なくとも1つのばね要素を支持するためのスペーサ要素を含み、特にスペーサは、壁部材から外向きに延びるばね部材が接続される前記フレーム部材を支持し、スペーサ要素は、フレーム部材およびしたがって壁部材をレンズ成形部から離れる方向に移動させ、それにより流体の熱膨張に因る膜の凸性増大を低減することにより、容器容積内に存在する前記流体の容積の温度誘発性の増大を補償するように温度の上昇に伴って軸方向に膨張するように構成されている。
【0095】
その上、本発明のある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、1つの導電性コイルまたは複数の導電性コイル、特に3つまたは4つのコイルと、対応する数の磁石を含み、各磁石は、コイルのきっかり1つに関連付けられ、各コイルは、それに関連付けられた磁石に対向し、各コイルは、電流がコイルに印加されるときそれぞれのコイルおよびそれに関連付けられた磁石がそれぞれのコイル内の電流の方向に応じて互いに対して移動するように、それに関連付けられた磁石と相互作用するように構成されている。
【0096】
特に、ある実施形態によれば、各磁石は、関連付けられた保持部材に接続され、特に前記複数の導電性コイルは、ハウジング上に配置/ハウジングに固定されている。したがって、ここで、磁石は、特に光学デバイスのハウジングに固定されているコイルに対して移動する。さらに、ある実施形態によれば、前記複数の導電性コイルは、ハウジング上に配置/ハウジングに固定されている回路基板上に配置される。さらに、特に、回路基板は、レンズ鏡筒を受容するためのハウジングの前記陥凹部と位置合わせされた(例えば中央)貫通孔を含む。
【0097】
さらに、一般に、アクチュエータ手段/アクチュエータの各コイルは、空芯コイル、平面コイル、またはPCBコイル(すなわち、プリント回路基板(PCB:printed circuit board)内に一体化されたコイル)の1つである、またはその1つを含み、平面コイルは、巻軸を中心とする単一平面内に巻回された導電性導体を含み、巻軸は、前記単一平面に垂直に走る。
【0098】
その上、ある実施形態によれば、回路基板(特にプリント回路基板)は、回路基板が前記シートの積層体を含むように、互いに折り重ねられた複数の(例えば可撓性)シートを含み、各シートは、前記シートの積層体が前記複数の導電性コイルを形成するように、複数の平面コイルを含む。
【0099】
さらに、ある実施形態によれば、アクチュエータ手段/アクチュエータは、ハウジング上に配置された1つまたは複数の電気永久磁石、特に2つ、3つ、または4つの電気永久磁石と、容器に(特に壁部材に)接続された対応する数の軟磁性部材とを含み、各軟磁性部材は、電気永久磁石のきっかり1つに関連付けられ、各軟磁性部材は、それぞれの軟磁性部材とそれに関連付けられた電気永久磁石との間に間隙が形成されるように、それに関連付けられた電気永久磁石に隣接して配置され、光学素子(または容器)を前記軸方向に移動させるためおよび/または光学素子(または前記容器)を傾動させるために、それぞれの電気永久磁石は、吸引を引き起こすそれぞれの電気永久磁石の外部磁界の磁界強度を調節する対応する電圧パルスがそれぞれの電気永久磁石に印加されるとき、それに関連付けられた軟磁性部材を(例えば、それぞれの間隙を最小化する磁気抵抗力により)吸引するように構成されている。
【0100】
さらに、本発明のある実施形態によれば、アクチュエータ手段/アクチュエータは、ハウジング上に配置された1つまたは複数の電気永久磁石、特に2つ、3つ、または4つの電気永久磁石と、壁部材により形成された単一の軟磁性部材とを含み、各電気永久磁石は、壁部材とそれぞれの電気永久磁石との間に間隙が形成されるように、軸方向で壁部材に対向し、光学素子(または容器)を前記軸方向に移動させるためおよび/または光学素子(または前記容器)を傾動させるために、それぞれの電気永久磁石は、前記吸引を引き起こすそれぞれの電気永久磁石の外部磁界を生成する対応する電圧パルスがそれぞれの電気永久磁石に印加されるとき、前記壁部材を(例えば、それぞれの間隙を最小化する磁気抵抗力により)吸引するように構成されている。
【0101】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの電気永久磁石は、第1の保磁力を有する第1の磁石および第1の保磁力より小さい第2の保磁力を有する第2の磁石を含み、導電性導体は、第2の磁石の磁化を切り替えるように電圧パルスがコイルに印加されるとき前記吸引(例えば、上記のそれぞれの磁気抵抗力)を引き起こすそれぞれの電気永久磁石の外部磁界/磁束が生成されるように、第2の磁石(特に第1の磁石も)を封入するコイルを形成するように第2の磁石に巻回されている。さらに、特に、それぞれの電気永久磁石の2つの磁石は、磁束を案内するように2つの極片間に配置され、極片は、関連付けられた軟磁性部材との間でそれぞれの間隙を形成する。
【0102】
さらに、本発明のある実施形態によれば、磁石の磁化は、レンズ成形部が沿って延びる前記平面と平行(または前記軸方向に垂直)の向きである。
【0103】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの軟磁性部材は、関連付けられた電気永久磁石に対して軸方向に垂直にオフセットして配置され、特にそれぞれの電気永久磁石は、関連付けられた軟磁性部材よりもレンズ鏡筒の径方向にさらに外向きに延びる。
【0104】
さらに、本発明のある実施形態によれば、アクチュエータ手段は、ハウジング上に配置された1つまたは複数の電磁石、特に2つ、3つ、または4つの電磁石と、容器に(特に壁部材に)接続された対応する数の軟磁性部材または磁石とを含み、各軟磁性部材または磁石は、電磁石のきっかり1つに関連付けられ、各軟磁性部材または磁石は、それに関連付けられた電磁石に隣接して配置され、光学素子(または容器)を前記軸方向に移動させるためおよび/または光学素子(または前記容器)を傾動させるために、それぞれの電磁石は、前記吸引または反発を引き起こすそれぞれの電磁石の外部磁界を生成する対応する電流がそれぞれの電磁石に印加されるとき、それに関連付けられた軟磁性部材を(例えば、磁力により)吸引または反発するように構成されている。
【0105】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの電磁石は、磁心を含み、導電性導体が、磁心を封入するコイルを形成するように、電流がコイルに印加されるとき前記吸引を引き起こすそれぞれの電磁石の外部磁界/磁束が生成されるように、巻軸を中心として磁心に巻回されている。
【0106】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの巻軸は、レンズ成形部が沿って延びる前記平面と平行(または前記軸方向に垂直)の向きである。
【0107】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの軟磁性部材は、関連付けられた電磁石に対して軸方向に垂直にオフセットして配置され、特にそれぞれの電磁石は、関連付けられた軟磁性部材よりもレンズ鏡筒の径方向にさらに外向きに延びる。
【0108】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの巻軸は、レンズ成形部が沿って延びる前記平面に垂直に(すなわち軸方向と平行に)走っている。
【0109】
さらに、本発明のある実施形態によれば、それぞれの軟磁性部材または磁石は、軸方向でそれに関連付けられた電磁石に対向する。
【0110】
さらに、本発明のある好ましい実施形態によれば、光学デバイスは、光学素子のもしくは壁部材などの光学素子に接続された構成要素の空間位置、または例えばレンズ成形部の位置などの基準位置に対しての(容器/光学素子が可動および/もしくは傾動可能な構成要素であるとき)もしくは容器/レンズ鏡筒の位置などの基準位置に対しての(レンズ成形部が可動および/もしくは傾動可能な構成要素であるとき)レンズ成形部のもしくはレンズ成形部キャリヤの位置を検出するための位置センサ手段を備える。光学素子/レンズ成形部の空間位置を所定の状態に調節することにより、光学デバイスの光学特性を定義することができる。これには、焦点調節可能レンズ(変形可能な膜、光学素子、壁部材、流体、およびレンズ成形部を含む)の屈折力、ならびに可変プリズムの角度が含まれる。
【0111】
その上、本発明のある実施形態によれば、光学デバイスは、制御ユニットを備える。
【0112】
さらに、ある実施形態では、制御ユニットは、特に光学デバイス(例えばカメラ)の自動焦点調節機能を提供するために、焦点調節可能レンズの焦点距離を自動的に調節するように、アクチュエータ手段/アクチュエータを制御するように構成されている(例えば、例えば光学素子の、測定された位置または温度が光学素子の所望の位置に到達するように)。
【0113】
さらに、ある実施形態では、特に光学素子が鏡であり、光学デバイスが光学走査デバイス(またはその一部)であるとき、制御ユニットは、光学素子の傾動を自動的に調節するために、特に焦点調節可能レンズを通過する光ビームを自動的に偏向させるために(例えば走査目的のために)、アクチュエータ手段/アクチュエータを制御するように構成されている(例えば、光学素子の測定された位置が光学素子の所望の位置に到達するように)。
【0114】
さらに、本発明のある好ましい実施形態によれば、光学デバイスは、打ち消されるべき光学デバイスの(例えば意図しない急速な)移動を感知するための移動センサ手段をさらに含む。移動センサ手段は、ヨー移動および/またはピッチ移動、すなわち2つの直交軸を中心とする回転を検出するように設計されてもよく、2つの直交軸は各々、光軸/軸方向に直交する。
【0115】
ここで、好ましくは、制御ユニットは、移動センサ手段により感知された打ち消されるべき移動に応じて、前記感知された移動を打ち消す方式で光学デバイスを通過する入射光ビームの方向を変更するために、光学素子がアクチュエータ手段/アクチュエータにより前記平面に対して傾動されるように、アクチュエータ手段/アクチュエータを制御するように設計されている。
【0116】
その上、本発明のある実施形態によれば、前記イメージセンサは、RGBピクセルを含むRGBイメージセンサであり、各RGBピクセルは、4つのピクセル、すなわち緑色フィルタ(すなわち緑色光に対して透明なフィルタ)を含む2つのピクセル、青色フィルタを含むピクセル、および赤色フィルタを含むピクセルを有するベイヤーパターンからなり、4つのピクセルは、合わせて正方形を形成する各4つの隣接する隣り合うフィルタ(すなわち、1つのRGBピクセルを形成するように正方格子上に配置される)が前記正方形内に斜めに配置される2つの緑色フィルタならびに同様に前記正方形内に斜めに配置される青色フィルタおよび赤色フィルタを含むように、正方配列内に配置される。特に、RGBピクセルを形成する個々のピクセルは、各々が第1の方向xに延びる平行する行および各々が第1の方向xと直交して走る第2の方向yに延びる平行する列内に配置される。50%の緑色フィルタ、25%の赤色フィルタ、および25%の青色フィルタを含むフィルタパターンを有するこのようなフィルタ配列は、ベイヤーフィルタとも表示され、対応するイメージセンサは、ベイヤーセンサとも表示され、ベイヤーセンサは、例えば米国特許第3,971,065号に詳細に記載されている。
【0117】
その上、本発明のある実施形態によれば、特にイメージセンサがRGBイメージセンサであるとき、制御ユニットは、光学デバイスにより(例えば、調節可能焦点レンズおよびレンズ鏡筒内に配置された少なくとも1つのレンズにより)イメージセンサ上に投影される画像が、壁部材およびそれによって光学素子を傾動させることによりまたはレンズ成形部(レンズ成形部は、調節可能焦点レンズを通過する光の対応する偏向を生み出すようにそれぞれの方向で容積を前記プリズムへと形成する)を傾動させることにより、初期位置から第1の方向に単に1ピクセルだけ、初期位置から第2の方向に単に1ピクセルだけ、および初期位置から第1の方向に1ピクセルだけかつ第2の方向に1ピクセルだけ連続的にシフトされるように、アクチュエータ手段/アクチュエータを制御するように構成され、特にイメージセンサ上に投影されるこれら4つの画像の各々は、イメージセンサにより記録され、4つの記録された画像は、次いで解像度が4倍に向上された単一の超解像画像を形成するように光学デバイスにより重畳される。
【0118】
別の実施形態によれば、制御ユニットは、光学デバイスにより(例えば、調節可能焦点レンズおよびレンズ鏡筒内に配置された少なくとも1つのレンズにより)イメージセンサ上に投影された画像がRGBピクセルのある端数部分または複数の端数部分だけ(例えば、端数部分はRGBピクセルの3分の2であってもよい)移動されるように、アクチュエータ手段/アクチュエータを制御するように構成され、光学デバイスは、初期投影画像および各シフトされた画像をイメージセンサにより記録し、高解像画像を形成するようにこれらの記録された画像を重畳させるように構成されている。例えば、RGBピクセルの3分の2のシフトを使用して、9つの画像を重畳させてもよく、9倍の解像度の向上がもたらされる。
【0119】
その上、ある実施形態によれば、制御ユニットは、光学デバイスの被写界深度(DOF:depth-of-field)が拡大されるようにアクチュエータ手段/アクチュエータを制御するように構成され、特に光学デバイスは、単一の露光中、すなわちイメージセンサによる画像の生成中、DOFを拡大するために光学デバイスが焦点を合わせる距離を調節するように構成され、または特に光学デバイスは、それぞれがイメージセンサにより異なる焦点距離で記録されているいくつかの画像を組み合わせ、いわゆるデプスフロムフォーカス(depth from focus)方法を使用して3D画像を作成するように構成されている。
【0120】
さらに、ある実施形態では、本発明による光学デバイスの焦点調節可能レンズは、小さな移動(例えば0.05mm)で大きな焦点距離の変化を引き起こすことができる可動な壁部材を使用することにより、ほとんど変形なしに(例えば、2mmのレンズ直径を仮定すると0.1mmの中心厚の変化)非常に接近して(例えば20mm)焦点を合わせることができるので、光学デバイスは、スーパーマクロ性能を備える。
【0121】
さらに、本発明による光学デバイスのある好ましい実施形態によれば、後者は、得られるカメラがスーパーマクロ自動焦点調節、光学的画像安定化、および/または超解像撮像機能を提供し、特に携帯電話のカメラ内で使用され、またはこのようなカメラを形成するように、イメージセンサと組み合わせて使用される。
【0122】
特に、光学素子は、自動焦点調節、特にスーパーマクロ自動焦点調節を提供するために軸方向に移動されるように構成することができる。これに加えて、またはこれに代えて、光学素子は、光学的画像安定化および/または超解像撮像を提供するために、容積をプリズム(または本質的に同じ効果を提供する他のなんらかの形状)へと形成するように傾動されるように構成されてもよい。さらに、これに加えて、またはこれに代えて、容器は、光学的画像安定化を提供するためにレンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動されるように構成されてもよい。さらに、これに加えて、またはこれに代えて、前記レンズ鏡筒は、画像安定化を提供するために前記イメージセンサと平行に移動されるように構成されてもよい。
【0123】
その上、一般に、壁部材は、光学素子に一体接続することができる。例えば、光学素子は、前記容器を形成するように膜により覆われる陥凹部を含んでもよい。
【0124】
さらに、本発明による光学デバイスのある実施形態によれば、前記光学素子は、剛性レンズ、特に集光レンズを形成する。
【0125】
その上、本発明による光学デバイスのある実施形態によれば、光学素子により形成される前記剛性レンズは、平凸レンズである。
【0126】
特に前記平凸レンズの場合、前記光学素子は、前記膜から離れる方向を向く凸表面エリアを含み、特に膜に対向する平坦な表面を含む。
【0127】
その上、膜は、一般に、前面を含み、前面は、容器の容積内に存在する流体から離れる方向に向く。特に、本明細書に記載の全ての実施形態において、膜の前面は、レンズ鏡筒および/または光学デバイスのイメージセンサに対向することができる。
【0128】
あるいは、膜の前面はまた、レンズ鏡筒から、かつ/または光学デバイスのイメージセンサから離れる方向に向くことができる。
【0129】
その上、更に別の実施形態によれば(これは、本明細書に記載の全ての容器に適用することができる)、容器の容積は、光学流体の量を低減するためおよび温度変化に因る光学性能の変化を低減するために、容器の径方向において容積/容器の周縁部に向かって漸減する。特に、このために、容器は、(例えば、平坦な周縁部の代わりに)円錐形状の周縁部を有してもよい。
【0130】
さらに、本発明のある実施形態によれば、膜を保護するために、特にレンズ成形部を介して膜に加えられる力/影響に因る膜の破損を防止するために、光学デバイスは、光学デバイスの機械的衝撃を感知するためのセンサを備え、光学デバイスは、特に前記センサが光学デバイスの機械的衝撃を感知したとき対応する電流をそれぞれのコイルに印加することにより、アクチュエータ手段を適所に保持するように構成されている。
【0131】
例えば、この安全特徴は、光学デバイスまたは光学デバイスを含む携帯電話が電源オフされているとき待機状態にあってもよい。
【0132】
センサは、スマートフォン/携帯電話または中に光学デバイスが一体化された他のなんらかのデバイスの構成要素を形成するなんらかのセンサ(例えばGセンサ)とすることができる。有利なことには、光学デバイスが自由落下しているとき、光学デバイスまたは本発明による光学デバイス(例えばカメラ)を含むデバイス(例えばスマートフォン)が地面にぶつかるまたは衝撃を受ける前に、前記センサの信号を使用してアクチュエータ/アクチュエータ手段に安定化電流を印加することができる。
【0133】
その上、本発明のある実施形態によれば、光学デバイスは、容器を通ってレンズ鏡筒の少なくとも1つの剛性レンズを通って移動する光を受けるためのイメージセンサと、イメージセンサの補助により生成された画像を記録するためのメモリとを備え、光学デバイスは、曲率調節可能エリアの曲率の対応する調節により一連の集束ステップを行い、それぞれの集束ステップの各焦点距離の画像を記録するように構成され、光学デバイスは、個々の記録された画像を得られる画像へと組み合わせるように構成されている。
【0134】
特に、記録された画像の前記組み合わせは、記録された画像の鮮鋭な領域(例えば前景、中間、背景)を組み合わせてその全ての領域で特に鮮鋭である単一の画像を形成する、いわゆる焦点合成とすることができる。
【0135】
その上、本発明のさらに別の態様によれば、光学デバイスを製造(または較正)するための方法が提案され、この方法は、
- 光学デバイスのハウジング内に調節可能焦点レンズを配置するステップであって、調節可能焦点レンズは、透明で弾性膨張可能な膜、膜に対向する光学素子、および壁部材を含み、光学素子および膜は、ある容積を有する容器が形成されるように壁部材に接続され、流体が容器内に配置される、ステップと、
- 膜の曲率調節可能エリアを規定するように膜に取り付けられるべきレンズ成形部を含むレンズ鏡筒を提供するステップと、
- 前記エリアの曲率およびそれによって焦点調節可能レンズの焦点距離が所望の値に調節されるように、レンズ鏡筒を、レンズ成形部が前方にある状態で、レンズ成形部が膜に作用する(例えば膜を押すまたは膜を引っ張る)までハウジング内へと膜に向かって移動させるステップと、
- 例えばレンズ鏡筒をハウジングに接着することにより、レンズ鏡筒をハウジングに固着するステップと
を含む。
【0136】
あるいは、レンズ成形部は、当初、容器に接続されている。そのとき、プロセスは、代わりに以下のように行われる。
- 光学デバイスのハウジング内に調節可能焦点レンズを配置するステップであって、調節可能焦点レンズは、透明で弾性膨張可能な膜、膜に対向する光学素子、および壁部材を含み、光学素子および膜は、ある容積を有する容器が形成されるように壁部材に接続され、流体が容器内に配置され、レンズ成形部は、膜の曲率調節可能エリアが規定されるように膜に接続される、ステップと、
- レンズ鏡筒を提供するステップと、
- レンズ鏡筒を、レンズ成形部がレンズ鏡筒に接触するようにハウジング内へとレンズ成形部に向かって移動させるステップであって、前記エリアの曲率およびそれによって焦点調節可能レンズの焦点距離が所望の値に調節される、ステップと、
- 例えばレンズ鏡筒をハウジングに接着することにより、レンズ鏡筒をハウジングに固着するステップ。
【0137】
さらに、レンズ成形部は、焦点距離の前記調節の前に、特にプラズマ接合により膜に接合される。
【0138】
その上、本発明による方法のある実施形態によれば、前記容器は、壁部材を提供するステップ(特にその中央陥凹部は、壁部材をエッチングすることにより、または壁部材をレーザ切断することにより、または壁部材を打ち抜くことにより生成される)と、予め伸張された膜を壁部材に接合(例えばプラズマ接合)するステップと、流体を受容するための窪みを形成するために過小圧力(例えば真空)を使用して膜を偏向させるステップと、流体を容器内に封入するために光学素子を壁部材に接合するステップと、膜が上に配置されるように容器を配置するステップと、過小圧力(例えば真空)を使用して空気を膜を通じて容器の容積の外へと脱気するステップと、により形成される。
【0139】
その上、ある実施形態では、いくつかの容器が同時に並行して製造される(バッチ処理)。
【0140】
その上、本発明による方法のある実施形態によれば、複数の接続された容器が形成され、個々の容器は、容器を分離するステップにより得られ、前記複数の容器は、透明で弾性膨張可能な膜を、複数の一体接続された壁部材を含む中間層に接続するステップと、前記流体を容器内に提供するステップと、容器を閉鎖するために光学素子を中間層に接続するステップとにより形成され、中間層により形成される接続された壁部材は、流体で満たされた個々の容器を提供するために分離される。
【0141】
本発明のさらに別の態様によれば、
- レンズ鏡筒をイメージセンサ上に装着し、レンズ鏡筒をハウジング内に配置するステップと、
- 容器(または壁部材)を少なくとも1つのばね部材に接続するステップと、
- 容器がレンズ成形部上に載置されるように容器をレンズ鏡筒上に配置するステップであって、レンズ成形部は膜に接触する、ステップと、
- 少なくとも1つのばね部材をハウジングに接続する、特に接着するステップと
を含む、本発明による光学デバイスを組み立てるためのさらなる方法が開示される。
【0142】
その上、
- 光学デバイスのハウジングをイメージセンサに接続するステップと、
- レンズ鏡筒を前記ハウジングの陥凹部内に配置し、無限遠物体距離について鮮鋭な焦点を達成するようにレンズ鏡筒とイメージセンサとの間の距離を調節するステップと、
- 導電性コイルを、特に前記コイルを含む回路基板をハウジング上に配置することにより、ハウジング上に配置するステップと、
- 透明で弾性膨張可能な膜を有する容器、膜に対向する光学素子、および壁部材を含む調節可能焦点レンズを提供するステップであって、光学素子および膜は、ある容積を有する前記容器が形成されるように壁部材に接続され、流体が容器内に配置される、ステップと、
- 各磁石がコイルの1つに関連付けられるように、磁石を含む容器キャリヤ上に前記容器を配置するステップと、
- レンズ成形部が膜の曲率調節可能エリアを規定するように膜に接触するように、容器キャリヤおよび容器をレンズ鏡筒上に配置するステップであって、特に容器キャリヤおよび容器をレンズ鏡筒上に配置する際にレンズ成形部は容器またはレンズ鏡筒に接続される、ステップと、
- 任意追加的にカバーガラスをカバーフレームに装着するステップと、
- 任意追加的にカバーフレームをハウジングに装着するステップと
を含む、本発明による光学デバイスを製造するための別の方法が開示される。
【0143】
その上、本発明のさらに別の態様によれば、特に上記の光学デバイスの変形例に対応するさらなる光学デバイスが開示され、さらなる光学デバイスは、
- 透明で弾性膨張可能な膜と、
- 膜に対向する光学素子と、
- 壁部材であって、光学素子および膜は、ある容積を有する容器が形成されるように壁部材に接続される、壁部材と、
- 前記容積内に存在する流体と、
- 膜の曲率調節可能エリアを規定するように膜と接するレンズ成形部であって、エリアが前記光学素子に対向する、レンズ成形部と、
- 開口部を包囲する周状レンズ鏡筒(50)であって、レンズ鏡筒により保持される少なくとも1つの剛性レンズが中に配置される、周状レンズ鏡筒と、
- 容積の内側に存在する流体の圧力およびそれによって前記エリアの曲率を調節するためにレンズ成形部を光学素子(またはレンズ鏡筒)に対して軸方向に移動させるように設計されたアクチュエータ手段であって、前記軸方向は、レンズ鏡筒の少なくとも1つの剛性レンズ(またはレンズ鏡筒の開口)が沿って延びる平面に垂直の向きである、アクチュエータ手段と
を備え、
- 光学素子は、レンズ鏡筒に(特にレンズ鏡筒の周状面側に)強固にされ、
- 光学デバイスは、特に容積を通過する光を偏向させるためにレンズ成形部を前記平面に対して傾動させる、特に容積を通過する光を偏向させるためにレンズ成形部をレンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動させる、レンズ鏡筒を容器と共に移動させる、の少なくとも1つを行うように設計されている(例えば光学デバイスのイメージセンサと平行に、特にイメージセンサ上の画像をシフトさせるように、例えばOISを提供するために)。
【0144】
特に、光学素子は、剛性レンズ(特に集光レンズ)を形成する。
【0145】
その上、ある実施形態によれば、前記剛性レンズは、平凸レンズである。
【0146】
さらに、前記光学素子は、レンズ鏡筒に対向する凸表面エリア、および膜に対向する平坦な表面を含んでもよい。
【0147】
特に、ある実施形態によれば、光学素子の代わりにレンズ成形部が移動されるとき、光学素子は、レンズ鏡筒とレンズ成形部との間に配置される(すなわち、レンズ成形部は、レンズ鏡筒から離れる方向に向く容器の側に配置される。したがって、ここで、膜は、光学デバイスに入る光が光学素子に当たる第1の面を形成し、次いで光学デバイスの容器の内側の液体を通った後に光が当たる後続の面を形成する。
【0148】
さらに、特に、アクチュエータ手段はまた、特に容積を通過する光を偏向させるために、レンズ成形部を前記平面に対して傾動させるように構成されてもよい。その上、アクチュエータ手段(またはさらなるアクチュエータ手段)はまた、特に容積を通過する光を偏向させるために、レンズ成形部をレンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動させるように構成されてもよい。その上、光学デバイスは、レンズ鏡筒を容器と共に移動させるためのさらなるアクチュエータ手段を備えてもよい(例えば光学デバイスのイメージセンサと平行に、特にイメージセンサ上の画像をシフトさせるように、例えばOISを提供するために)。
【0149】
またここで、ある実施形態では、光学デバイスは、イメージセンサを備え、カメラを形成し、カメラは、特に携帯電話内に配置されるように構成され、下記の少なくとも1つまたは下記の組み合わせが当てはまる。
- レンズ成形部は、自動焦点調節、特にスーパーマクロ自動焦点調節を提供するために軸方向に移動されるように構成されている。
- レンズ成形部は、光学的画像安定化および/または超解像撮像を提供するために傾動されるように構成されている。
- レンズ成形部は、光学的画像安定化を提供するために、レンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動されるように構成されている(光が所定の様式で偏向されるように容積を変形するために)。
- レンズ鏡筒は、光学的画像安定化を提供するために、容器と共に前記イメージセンサと平行に移動されるように構成されている。
【0150】
その上、本発明の全ての態様および実施形態では、前記容器が両側に膜を含むように、前記光学素子も透明で弾性膨張可能な膜を形成することも可能である。
【0151】
さらに、本発明のさらに別の態様は、特に本明細書に記載の光学デバイスの光学的画像安定化機能を較正するための方法に関し、光学デバイスは、イメージセンサを備え、カメラを形成し、方法は、
- 光学デバイスの画像プレビューモード中(例えば、カメラが、カメラにより記録されるべき、または記録され得る画像を表示するとき)の光学デバイスの移動を測定するステップであって、移動は、光学デバイスによりイメージセンサ上に投影される画像のシフトをもたらす、ステップと、
- 光学デバイスのアクチュエータ手段に信号を印加するステップであって、信号は、光学的画像安定化を提供するために、アクチュエータ手段に、イメージセンサ上の前記画像の前記シフトを少なくとも部分的に補償するように促す、ステップと、
- イメージセンサにより生成される(前記信号に関連付けられた)画像の鮮鋭度を自動的に決定するステップと、
- 前記アクチュエータ手段に印加される信号の振幅を比例定数により増加または減少させるステップと、
- 前記信号のうち、最高の鮮鋭度を有する画像が得られる1つの信号を決定するステップと、
- 比例定数を較正データとして光学デバイス内に(例えば、光学デバイスの半導体メモリ内に)記憶するステップと
を含む。
【0152】
その上、本発明のさらに別の態様は、特に本明細書に記載の光学デバイスの自動焦点調節機能を較正するための方法に関し、光学デバイスは、カメラとして形成され、画像を生成するためのイメージセンサを備え、方法は、
- 光学デバイスと物体との間の距離を光学デバイスの距離センサを使用して測定するステップと、
- 対応する電流信号を光学デバイスのアクチュエータ手段に印加することにより光学デバイスの異なる焦点距離にわたって進むステップと、
- カメラのイメージセンサにより各焦点距離で生成された画像の画像鮮鋭度を分析するステップと、
- 生成された画像が最高の鮮鋭度を有していた電流信号を、光学デバイスと物体との間の測定された距離と共に記憶するステップ(特に、前記電流信号および測定された距離は、光学デバイスの半導体メモリ内に記憶される)と
を含む。
【0153】
特に、本発明による光学デバイスは、以下の用途、照明器具、ライトショー、プリンタ、医療機器、ファイバ結合、頭部着用眼鏡、レーザ加工、生体測定、計量、電子拡大鏡、ロボットカム、ファイバ結合、動き追跡、眼内レンズ、携帯電話、頭部装着カメラ、軍事、デジタルスチルカメラ、ウェブカム、顕微鏡、望遠鏡、内視鏡、双眼鏡、研究、産業用途、監視カメラ、自動車、プロジェクタ、眼用レンズ、視覚システム、距離計、バーコード読み取り機、仮想現実ディスプレイ、拡張現実ディスプレイ、自動車カメラ、デジタル時計、タブレット、TVカメラ、で応用することができる。
【0154】
本発明の光学デバイスは、非常に接近して焦点を合わせるとき指紋を読み取るために、または3次元の物体を測定するために使用することができる。その上、本発明による光学デバイスは、虹彩検出のために使用することができる。その上、光学デバイスは、L.E.S.S.により提供されるものなどの例えばナノアクティブファイバ製のリング照明と組み合わせることができる。特に、リング照明は、撮像エリアの均一な照光を可能にするために、光学デバイス(例えばカメラ)が中心にある状態で、特に焦点調節可能レンズ/容器が中心にある状態で、円形(リング)に配置された多数の光源(例えばLED)を含むことができる。これは、光学デバイス/カメラの一方側のみに位置するので非常に接近した物体に対して非常に不均一な照光を提供するスマートフォンの現行のフラッシュライトLEDのみを使用することとは対照的である。
【0155】
本発明および本発明の実施形態のさらなる特徴および利点を、以下において図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【
図1】膜と平行の向きである(
図1)、または調整可能レンズの容積を通過する光ビームを偏向させるように膜に対して傾動された(
図2および3)透明な光学素子を有する、本発明による光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図2】膜と平行の向きである(
図1)、または調整可能レンズの容積を通過する光ビームを偏向させるように膜に対して傾動された(
図2および3)透明な光学素子を有する、本発明による光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図3】膜と平行の向きである(
図1)、または調整可能レンズの容積を通過する光ビームを偏向させるように膜に対して傾動された(
図2および3)透明な光学素子を有する、本発明による光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図4】これに加えて、膜の曲率が、光ビームを集束するように膜に作用するレンズ成形部により調節され、レンズ成形部が、レンズ鏡筒に接続されている、
図1~3に示される光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図5】これに加えて、膜の曲率が、光ビームを集束するように膜に作用するレンズ成形部により調節され、レンズ成形部が、レンズ鏡筒に接続されている、
図1~3に示される光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図6】これに加えて、膜の曲率が、光ビームを集束するように膜に作用するレンズ成形部により調節され、レンズ成形部が、レンズ鏡筒に接続されている、
図1~3に示される光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図7】膜と平行の向きである(
図1)、または調整可能レンズの容積を通過する光ビームを偏向させるように膜に対して傾動された(
図2および3)鏡の形の光学素子を有する、本発明によるさらなる光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図8】膜と平行の向きである(
図1)、または調整可能レンズの容積を通過する光ビームを偏向させるように膜に対して傾動された(
図2および3)鏡の形の光学素子を有する、本発明によるさらなる光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図9】膜と平行の向きである(
図1)、または調整可能レンズの容積を通過する光ビームを偏向させるように膜に対して傾動された(
図2および3)鏡の形の光学素子を有する、本発明によるさらなる光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図10】これに加えて、膜の曲率が、光ビームを集束するように膜に作用するレンズ成形部により調節され、レンズ成形部が、レンズ鏡筒に接続されている、
図7~9に示される光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図11】これに加えて、膜の曲率が、光ビームを集束するように膜に作用するレンズ成形部により調節され、レンズ成形部が、レンズ鏡筒に接続されている、
図7~9に示される光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図12】これに加えて、膜の曲率が、光ビームを集束するように膜に作用するレンズ成形部により調節され、レンズ成形部が、レンズ鏡筒に接続されている、
図7~9に示される光学デバイスの概略断面図を示す。
【
図13】焦点調節可能レンズの焦点距離を調節するため、かつ/または容器の容積を光ビームを偏向させるためのプリズムへと形成するように光学素子を傾動させるために使用され得る電磁アクチュエータ手段の原理を示す。
【
図14】2つのコイルおよび磁石を使用した、ならびに3つのコイルおよび対応する数の関連付けられた磁石を使用した、電磁駆動を示す。
【
図16】デバイスのハウジング上に配置された円形磁石および焦点調節可能レンズの容器の壁部材内に一体化された4つのコイルを有するアクチュエータ手段を使用する、本発明による光学デバイスのある実施形態の斜視断面図を示す。
【
図18】
図16に示される実施形態のさらなる詳細の斜視断面図を示す。
【
図19】現在4つのコイルがデバイスのハウジング上に配置される一方、今や関連付けられた磁石およびそれらの磁束リターン構造が容器の壁部材上に配置される、
図16に示される実施形態の変形例の斜視断面図を示す。
【
図20】
図19に示される実施形態の詳細の斜視断面図を示す。
【
図21】
図19に示される実施形態のさらなる詳細の斜視断面図を示す。
【
図22】ここでは磁石の磁束リターン構造が壁部材により形成されている、
図19に示される実施形態の変形例の斜視断面図を示す。
【
図23】
図22に示される実施形態の変形例の斜視断面図を示す。
【
図24】レンズ成形部がレンズ鏡筒と一体で一体形成されている、本発明による光学デバイスのレンズ鏡筒を示す。
【
図25】ここではレンズ成形部が、レンズ鏡筒の本体の正面側に接続される別々の要素である、代替的なレンズ成形部/レンズ鏡筒を示す。
【
図26】焦点調節可能レンズの焦点距離を最初に調節するために、本発明による光学デバイスのハウジング内にレンズ鏡筒を配置するプロセスのある実施形態を示す。
【
図27】デバイスの焦点調節可能レンズを形成するために、本発明による光学デバイスの容器を形成し、容器を流体で満たすプロセスのある実施形態を概略的に示す。
【
図29】本発明による光学デバイスのスーパーマクロ撮像の能力を明示する。
【
図30】調整可能なプリズムを生成するために光学素子の傾動を使用する画像安定化の原理を示す。
【
図31】画像をピクセル毎にシフトさせるために光学素子の傾動を使用して実装することができる、ベイヤーパターンを使用した超解像の基本原理を示す。
【
図32】光学素子を傾動させることによる光学的画像変換を通じて9×の超解像を実現する原理を示す。
【
図33】磁石が、光学素子と平行な平面において磁化され、磁石は、関連付けられたコイルにより包囲されている、あるさらなる実施形態を示す。
【
図34】本発明による光学デバイスのあるさらなる実施形態の分解図を示す。
【
図35A】特に
図34の実施形態の、自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図35B】特に
図34の実施形態の、自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図35C】特に
図34の実施形態の、自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図36A】一体化された剛性レンズを含む光学素子を有する、本発明による光学デバイスのさらなる実施形態の自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図36B】一体化された剛性レンズを含む光学素子を有する、本発明による光学デバイスのさらなる実施形態の自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図36C】一体化された剛性レンズを含む光学素子を有する、本発明による光学デバイスのさらなる実施形態の自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図37A】ここではレンズ成形部は剛性レンズから離れる方向に向く膜の表面に対して作用する、本発明によるさらに別の光学デバイスの自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図37B】ここではレンズ成形部は剛性レンズから離れる方向に向く膜の表面に対して作用する、本発明によるさらに別の光学デバイスの自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図37C】ここではレンズ成形部は剛性レンズから離れる方向に向く膜の表面に対して作用する、本発明によるさらに別の光学デバイスの自動焦点調節および光学的画像安定化機能を示す。
【
図38A】光学デバイスが互いに対向する2つの膜を含むように光学素子も膜により形成され、レンズ成形部は、光学デバイスの焦点距離を調整するようにこれらの膜の1つに対して作用する、実施形態を示す。
【
図38B】光学デバイスが互いに対向する2つの膜を含むように光学素子も膜により形成され、レンズ成形部は、光学デバイスの焦点距離を調整するようにこれらの膜の1つに対して作用する、実施形態を示す。
【
図39A】本発明による光学デバイスの光学素子またはレンズ成形部を軸方向に移動および/または傾動させるための、アクチュエータ手段の磁石(単数または複数)およびコイルの異なる可能な配置を示す。
【
図39B】本発明による光学デバイスの光学素子またはレンズ成形部を軸方向に移動および/または傾動させるための、アクチュエータ手段の磁石(単数または複数)およびコイルの異なる可能な配置を示す。
【
図39C】本発明による光学デバイスの光学素子またはレンズ成形部を軸方向に移動および/または傾動させるための、アクチュエータ手段の磁石(単数または複数)およびコイルの異なる可能な配置を示す。
【
図39D】本発明による光学デバイスの光学素子またはレンズ成形部を軸方向に移動および/または傾動させるための、アクチュエータ手段の磁石(単数または複数)およびコイルの異なる可能な配置を示す。
【
図40】容器/焦点調節可能レンズの膜の前面が、光学デバイスのレンズ鏡筒/イメージセンサに対向する、本発明による光学デバイスのある実施形態を示す。
【
図41】容器/焦点調節可能レンズの膜の前面が、光学デバイスのレンズ鏡筒/イメージセンサから離れる方向に向く、
図40に示される実施形態の変形例を示す。
【
図42】容器/焦点調節可能レンズが、レンズ鏡筒内に組み込まれ、レンズ鏡筒の第1のレンズを形成する、ある実施形態を示す。
【
図43】ここでは容器/焦点調節可能レンズの膜の前面が、光学デバイスのイメージセンサから離れる方向に向く、
図42に示される実施形態の変形例を示す。
【
図44】容器/焦点調節可能レンズが、レンズ鏡筒の前にアドオンとして配設されている(B)、または容器/焦点調節可能レンズが、レンズ鏡筒の一番上の剛性レンズを形成するようにレンズ鏡筒内に組み込まれている(C)本発明の2つの実施形態と比較して、剛性レンズのみを有する標準的なレンズ鏡筒(A)を示す。
【
図45】焦点調節可能レンズの焦点を調節するために、容器が、固定されたレンズ成形部に対して軸方向に移動される、自動焦点調節の実現を示す。
【
図46】焦点調節可能レンズの焦点を調節するために、レンズ成形部が、固定された容器に対して軸方向に移動される、自動焦点調節の実現を示す。
【
図47】焦点調節可能レンズの焦点を調節するために、レンズ成形部が装着されたレンズ鏡筒が、固定された容器に対して軸方向に移動される、自動焦点調節の実現を示す。
【
図48】イメージセンサに向かって移動する光を偏向させるために、容器が、固定されたレンズ成形部に対して傾動される、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)の実現を示す。
【
図49】イメージセンサに向かって移動する光を偏向させるために、レンズ成形部が、固定された容器に対して傾動される、OISの実現を示す。
【
図50】イメージセンサ上の光をシフトさせるために、容器が、レンズ成形部に対してイメージセンサと平行に移動される、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)の実現を示す。
【
図51】イメージセンサ上の光をシフトさせるために、レンズ成形部が、容器に対してイメージセンサと平行に移動される、OISの実現を示す。
【
図52】イメージセンサ上の光をシフトさせるために、容器が、レンズ鏡筒と共にイメージセンサと平行に移動される、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)の実現を示す。
【
図53】イメージセンサ上の光をシフトさせるために、容器が、レンズ鏡筒と共に傾動/回転される、OISの実現を示す。
【
図54】ハウジングおよび/またはコイルが、その膜を介して、レンズ鏡筒に接続されたレンズ成形部上に懸架された容器の移動を局限する停止部をどのように提供し得るかを示す。
【
図55】容器が、ぴったりと適合するようにツール内に挿入される容器心出し面を含む、心出しツールを使用した容器のレンズ鏡筒に対する心出しを示す。
【
図56】容器が、単にその膜を介して、レンズ鏡筒に接続されたレンズ成形部上に懸架されるときの、膜の曲率に対する温度効果の低減を明示する。
【
図57】容器が、単にその膜を介して、レンズ鏡筒に接続されたレンズ成形部上に懸架されるときの、膜の曲率に対する温度効果の低減を明示する。
【
図58】容器が、単にその膜を介して、レンズ鏡筒に接続されたレンズ成形部上に懸架されるときの、膜の曲率に対する温度効果の低減を明示する。
【
図59】本発明による光学デバイスの容器および容器の膜に接触する円形のレンズ成形部の斜視図を示す。
【
図60】レンズ成形部をレンズ鏡筒に対して心出しするための異なる可能な選択肢を示す。
【
図61】レンズ成形部をレンズ鏡筒に対して心出しするための異なる可能な選択肢を示す。
【
図62】排出される空気体積の通気を可能にするための空気交換溝またはトンネルを実装するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図63】排出される空気体積の通気を可能にするための空気交換溝またはトンネルを実装するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図64】排出される空気体積の通気を可能にするための空気交換溝またはトンネルを実装するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図65】排出される空気体積の通気を可能にするための空気交換溝またはトンネルを実装するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図66】レンズ成形部をレンズ鏡筒に接続するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図67】レンズ成形部をレンズ鏡筒に接続するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図68】レンズ成形部をレンズ鏡筒に接続するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図69】レンズ成形部をレンズ鏡筒に接続するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図70】レンズ成形部をレンズ鏡筒に接続するための異なる可能な選択肢を示す。
【
図74】容器が、レンズ鏡筒内に組み込まれ、レンズ鏡筒の一番上の剛性レンズも形成する、
図44(C)に示される種類の本発明による光学デバイスのある実施形態を示す。
【
図75】レンズ鏡筒が、レンズ鏡筒をイメージセンサに対して位置決めするための雄ねじを含む、
図74に示される種類の光学デバイスを示す。
【
図76】ハウジングが、レンズ鏡筒をイメージセンサに対して位置決めするための停止部を含む、
図74に示される種類の光学デバイスを示す。
【
図77】温度効果を低減するための容器の漸減する容積を示す。
【
図78】レンズ成形部を支えるレンズ成形部キャリヤであって、キャリヤはレンズ鏡筒のスロット内に挿入される、レンズ成形部キャリヤ、のある実施形態を示す。
【
図79】レンズ成形部を支えるレンズ成形部キャリヤであって、キャリヤはレンズ鏡筒のスロット内に挿入される、レンズ成形部キャリヤ、のある実施形態を示す。
【
図80】光学デバイスの構成要素を心出しおよび組み立てる異なる方式を示す。
【
図81】光学デバイスの構成要素を心出しおよび組み立てる異なる方式を示す。
【
図82】光学デバイスの構成要素を心出しおよび組み立てる異なる方式を示す。
【
図83】容器またはレンズ成形部を移動させるために使用することができる、アクチュエータのコイルの異なる実施形態を示す。
【
図84】容器またはレンズ成形部を移動させるために使用することができる、アクチュエータのコイルの異なる実施形態を示す。
【
図85】ジンバル軸受およびジンバルリングを使用して、自動焦点調節(AF:autofocus)および光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)のために別々のアクチュエータ(例えばボイスコイルモータ)をどのように使用することができるかを示す。
【
図86】容器が電気永久磁石を使用して移動される、光学デバイスのある実施形態を示す。
【
図88】容器が電磁石を使用して移動される、光学デバイスのある実施形態を示す。
【
図90】4つ、3つ、またはそれどころか1つの磁石-コイル対を使用して容器/焦点調節可能レンズを駆動することができることを示す。
【
図91】4つ、3つ、またはそれどころか1つの磁石-コイル対を使用して容器/焦点調節可能レンズを駆動することができることを示す。
【
図92】4つ、3つ、またはそれどころか1つの磁石-コイル対を使用して容器/焦点調節可能レンズを駆動することができることを示す。
【
図93】による光学デバイスの分解図および光学デバイスの個々の構成要素の装着プロセスを示す。
【
図94】ここで、容器/焦点調節可能レンズは、特にレンズ鏡筒の前に(例えば、鏡筒の正面側から)配設することができるアドオンであり、容器は、レンズ鏡筒の正面側からレンズ鏡筒内に少なくとも部分的に挿入することができる、
図74に示される駆動原理を使用したある実施形態を示す。
【
図96】レンズ鏡筒から突出する脚部が、
図95に示される態様に従って形成された、本発明による光学デバイスのある実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0157】
図1~12は、光学素子20を有する本発明による光学デバイス1を示す。
図1~6では、光学素子20は透明であり、光学デバイスは(例えば携帯電話の)カメラとすることができ、カメラは、光学素子20を含む1つの可動な構成要素を使用することにより自動焦点調節、画像安定化、および超解像を含んでもよい。一方、
図7~12では、光学素子20は鏡であり、光学デバイス1は例えば光学走査デバイス1であり、光学走査デバイス1は、この場合も光学素子20を含む1つの可動な構成要素を使用することにより、自動焦点調節および走査目的のために同時に光ビームを方向付ける機能を含んでもよい。
【0158】
図1~12に示されるように、光学デバイス1は、透明で弾性膨張可能な膜10、膜(10)に対向する光学素子20、平坦な壁部材300を備え、流体F(例えば液体、上記も参照されたい)により満たされた容積Vを封入する容器2が形成されるように、光学素子20は壁部材300の第1の側(上側)300aに接続され、膜10は壁部材300の第2の側(下側)300bに接続される。デバイス1は、膜10の曲率調節可能エリア10cが設けられるように膜10に取り付けられたレンズ成形部11であって、エリア10cは前記光学素子20に対向する、レンズ成形部11と、容積Vの内側に存在する流体Fの圧力およびそれによって前記エリア10cの曲率を調節するために光学素子20をレンズ成形部11に対して軸方向Aに移動させるように設計されたアクチュエータ手段40とをさらに備え、前記軸方向Aは、レンズ成形部11が沿って延び、好ましくは円形の構成を含む平面に垂直の向きであり、前記アクチュエータ手段40は、容積Vを通過する光を偏向させるために、特に容積Vをプリズムまたは楔形状へと形成するように光学素子20を前記平面に対して傾動させるように設計されている。本発明によれば、レンズ成形部11は、簡単のため
図1~12に示されていないが例えば
図24および25に詳細に示されている周状レンズ鏡筒50に接続される。それによれば、レンズ鏡筒50は、レンズ鏡筒50により保持される少なくとも1つの剛性レンズ51または複数の積層された剛性レンズ51が中に配置される例えば細長開口部50cを包囲する。
【0159】
光学素子20、流体Fが中に存在する前記容積V、壁部材300、および膜10は、本明細書で焦点調節可能レンズとも表示される焦点調整可能レンズのレンズ本体を形成する。曲率、特にこのレンズの焦点を調節するために、光学デバイス1は、膜10の外側(前面とも表示される)10aに特にプラズマ接合により取り付けられるレンズ成形部11を利用し、外側10aは、前記容積Vから離れる方向に向く。それにより、レンズ成形部11は、膜10の前記光学活性かつ弾性膨張可能な(例えば円形の)エリア10cを規定し、エリア10cは、レンズ成形部11の(例えば周状)内縁部まで延びる。好ましくは、レンズ成形部11は、球面調整可能レンズを生成するための環状(例えば円形の)構造を含むが、他の任意の好適な幾何学的形状も有してもよい。
【0160】
図1~3に概略的に示されるように、光学デバイス1は、光学素子20をレンズ成形部11が架け渡される平面に対して傾動させるように設計されたアクチュエータ手段40を含む(すなわち、レンズ成形部材11は、前記架空の平面を規定する、または前記架空の平面にもしくはそれに沿って延びる)。これは、容積Vを通る光Lが
図2および3に表示されるように偏向されるように、光学素子20の下の容積Vにプリズムまたは楔形の形状を与えることを可能にする。これは、画像安定化および走査のために用いることができる。
【0161】
光学デバイス1がカメラ内でまたはカメラとして使用されるとき、イメージセンサ52(例えば
図16、19、22、および23を参照)の表面上の像点は、光学デバイス1の意図しない急速な移動に因りシフトされ得る。これは、物点に関連付けられた方向A’に移動する入射光ビームLと、反対方向のイメージセンサ52の表面との間の交差点をシフトさせることにより打ち消すことができる。このために、光学デバイス1は、打ち消されるべき光学デバイス1の前記意図しない急速な移動を感知するための移動センサ手段64を備えてもよく、光学デバイス1は、移動センサ手段64に接続された制御ユニット65をさらに備えてもよく、制御ユニット65は、移動センサ手段64により感知される打ち消されるべき移動に応じてアクチュエータ手段40を制御するように設計されており、その結果、光学素子20は、前記感知された移動を打ち消す方式で入射光ビームLの進路を物点に関連付けられた方向A’に変更するためにアクチュエータ手段40により、レンズ成形部材11が架け渡される前記平面(すなわちレンズ成形部材が沿って延びる平面)に対して傾動され、すなわち光学デバイス1の急速かつ意図しない移動に因るイメージセンサ52の表面(または画像平面)上の像点のシフトは、物点に関連付けられた前記入射光ビームA’とイメージセンサ(画像平面)との交差点の反対方向へのシフトにより補償される。
【0162】
図4~6に示されるように、本発明による光学デバイス1はさらに、レンズ成形部11で膜10を押すことにより(または膜10を引っ張ることにより)、同時に膜10の前記エリア10cを変形することができる。これは、容器2の容積Vの内側に存在する流体Fの圧力およびそれによって膜10の前記エリア10cの曲率を調節するように、光学素子20をレンズ成形部11に対して軸方向A(レンズ成形部11が架け渡される/それにより規定される平面に垂直の向きである)に移動させるようにさらに設計されている、同じアクチュエータ手段40により達成することができる(上記も参照されたい)。これは、特に、2つの異なる凸曲率もしくは2つの異なる凹曲率の間で、またはそれどころか凸曲率と凹曲率との間で曲率を変更することを可能にする。したがって、焦点調整可能レンズの焦点は、非常に効果的に改変することができる。好ましくは、アクチュエータ手段40は、光学素子20を軸方向に移動させるように、および光学素子20を詳細に後述する固定されたレンズ成形部材11に対して傾動させるように壁部材300に作用するように設計されている。
【0163】
図7~9はまた、
図1~6とは対照的に、光学デバイス1が今や容器焦点調整可能レンズの容積Vに対向する反射表面を有する鏡の形の光学素子20を備える、本発明による光学デバイス1の傾動移動を示す。ここで、光学素子20の傾動は、例えば2D画像平面の走査を可能にする。
【0164】
図10~12に示されるように、これは、3D走査も可能になるように、
図4~6に関して前述したように焦点調整可能レンズの焦点を調節するために膜10の前記エリア10cを変形させること、と組み合わせることもできる。
【0165】
図13は、本発明による光学デバイス1の可能な電磁駆動の概略断面図を示す。このために、光学デバイス1は、例えば3つまたは4つの磁石42と、コイル支持体またはフレーム44により支持される対応する数のコイル41とを含むアクチュエータ手段40を備え、各磁石42は、きっかり1つのコイル41に関連付けられ、軸方向Aできっかり1つのコイル41に対向する。ここで、
図13の右手側に詳細に示されるように、それぞれの磁石42は、関連付けられたコイル41の上方に軸方向に配置され、関連付けられたコイル41は、磁石の下方に、電流Iが第1の方向にかつ磁石42の磁界Bに垂直に流れる部位411を含む一方、隣り合う第2の部位412では、電流は、反対方向にかつ磁石42の磁界Bに垂直に流れる。磁石42は、前記電流が印加されるとき生成されるローレンツ力FLが軸方向Aに沿った向きになり、磁石42およびコイル41をコイル41内の電流の方向に応じて互いに吸引または互いに反発させるために、磁界Bが壁部材300と平行に(または軸方向Aに垂直に)延びるように、2つのコイル部位411および412に対して心出しされる。
【0166】
3つまたは4つのコイル41および磁石42が使用されるという事実に因り、膜のエリア10cの曲率は、光学素子20の軸方向移動が達成されるように(自動焦点調節)全てのコイルを動作させることにより自動的に調節することができ、光学素子20の傾動は、単一またはいくつかのコイル41を駆動することにより達成することができ、容積Vをプリズムへと形成し容器2を通る光を偏向させることを可能にする壁部材300の傾動およびしたがって光学素子20の傾動をもたらす。
【0167】
さらに、
図14は、自動焦点調節機能、すなわち光学素子20/壁部材300の軸方向Aにおける軸方向移動が内側コイル41aおよび外側コイル41bを使用することにより生成することができることを例示し、電流Iは、
図13の右手側の断面詳細に示されるように壁部材300に取り付けられた環状磁石42を環状磁石42に対して配置された固定されたコイル41a、41bに向かって移動させることができるように、
図14の左下部に示されるように反対方向に流れる。
【0168】
下方右手側は、3つの磁石42が壁部材300に取り付けられ、3つの磁石42が軸方向Aでそれぞれの磁石42に対向する関連付けられたコイル41と相互作用することができる、
図13に関して上記ですでに扱った構成を示す。磁石は、光学素子を軸方向Aに移動させることができるが、
図14の上方右手側に示されるように好適なローレンツ力を生成することにより傾動させることもできるように、120°の距離で互いに対して配置される。さらに後述するように、3つの磁石42と関連付けられたコイル41との代わりに、4つの磁石とコイルとを使用することもできる。
【0169】
さらに、電磁駆動の代わりに、光学素子20は、静電アクチュエータ手段または圧電アクチュエータ手段により軸方向に移動させてもよく、または傾動させてもよい。
【0170】
あるいは、アクチュエータ手段40は、壁部材300上に配置された複数の頂部電極(特に3つまたは4つの電極)Eを含む
図15に示される静電アクチュエータ手段として形成されてもよく、各頂部電極Eは、軸方向Aで対応する頂部電極Eに対向する底部電極E’に関連付けられてもよい。それぞれの頂部電極Eとそれぞれの底部電極E’との間に電圧を印加することにより、光学素子20は、軸方向に移動および/または傾動させることができる。ここで、頂部電極Eは、壁部材300/光学素子20と共に可動になるように壁部材300上に配置されてもよい一方、底部電極E’は、デバイス1のハウジングに対して固定された位置を含むようにハウジング60(
図15に図示せず)上に配置されてもよい。複雑さを低減するために、頂部電極または底部電極を1つの電極に統合し、反対電極のみを複数の部位に分割することも可能である。
【0171】
図16は、
図17および18と併せて、カメラが軸方向Aに垂直に延びる透明で弾性膨張可能な膜10と、軸方向Aで膜10に対向する透明な光学素子20(例えば円形ガラスプレート)と、中央陥凹部301を包囲する平坦な環状壁部材300とを含み、前記陥凹部301が閉鎖され、容積Vを有する容器2が形成され、前記容積Vを満たす流体Fが容器2内に配置されるように光学素子20が壁部材300の第1の側(上側)300aに接続され、膜10が壁部材300の第2の側(下側)300bに接続された、カメラの形の本発明による光学デバイス1のある実施形態を示す。デバイス1は、
図24および25に詳細に示されるようにレンズ鏡筒50に接続されるレンズ成形部11をさらに備える。
【0172】
それによれば、レンズ鏡筒50は、管形状を含み、少なくとも1つの剛性レンズ51または剛性レンズ51の積層体が中に配置される鏡筒50の開口部50cを包囲する。鏡筒50は、外横側(横外側とも表示される)50aをさらに含み、外横側50aは、
図24によればレンズ鏡筒50の環状正面側11により形成される鏡筒50の外径がレンズ成形部11に向かって減少するように、周状ステップを含んでもよい。あるいは、レンズ成形部11は、膜10に対向するレンズ鏡筒50の正面側50bに取り付けられる環状材料層11により形成されてもよい。
【0173】
図16に示されるように、レンズ成形部11は、例えば
図4~6に関して上述したように光学素子20をアクチュエータ手段40により軸方向に移動させることにより調節することができる曲率を含む膜10のエリア10cが形成されるように、特にプラズマ接合により膜10に接合される。さらに、
図1~3に関して上述したように、光学素子20は、後述する超解像または画像安定化の目的のために光ビームを偏向させるために傾動されてもよい。
【0174】
光学素子20を軸方向Aに移動させるためおよび/または光学素子20をレンズ成形部11が沿って延びる平面に対して傾動させるために、
図16~18による光学デバイス1は、U字形状断面を含む周状磁束リターン構造43内に組み込まれている周状磁石42(
図18を参照)を含むアクチュエータ手段40を備え、すなわち、リターン構造43は、デバイス1のハウジング60上に載置される底部部分43bと、軸方向Aに沿って底部部分43bから突出する2つの横部分43a、43cとを含み、横部分43a、43cは、磁石42の内側および外側を覆う。磁石42は、前記横部分43a、43c間に配置され、前記横部分43a、43cと同じ高さの正面側をさらに含む。さらに、
図16によれば、アクチュエータ手段40は、
図17に示されるように前記壁部材300内に一体化された4つのコイル41を含み、磁石42の前記正面側は、軸方向Aで前記4つのコイル41に対向する。
【0175】
コイル41の各々は、前記光学素子20に垂直に走るコイル軸A’’を中心として巻回された導体を含む一方、磁石42は、軸方向Aに磁化され、矢印Mにより表示される。これは、コイル41および磁石42により生成されるローレンツ力FLが本質的に軸方向に沿って延び、したがって光学素子20を軸方向に移動させるためまたは光学素子20を傾動させるために効率的な様式で使用されることを担保する。このために、磁石42は、コイル41に関して、各コイル41の2つの向かい合う部位(
図13の部位411、412を参照)の上方の磁界Bが主として軸方向Aに垂直かつコイル41の前記向かい合う部位内の電流Iに垂直(
図13に明示されるように)の向きになるように、さらに構成されている。
【0176】
さらに、
図17によれば、壁部材300は、壁部材300がばね部材302および矩形フレーム部材303を介してハウジング60上に支持されるように、4つのばね部材302を介してハウジング60上に載置されるフレーム部材303に一体接続されている。ハウジング60自体は、基材600(例えばプリント回路基板)上に載置される。ばね部材302は、蛇行する形状を有してもよく、壁部材300をフレーム部材303の4つのコーナー領域に接続してもよい。したがって、容器2全体は、ハウジングに可動に連結され、光学素子20が静止位置の外に移動されるとき、ばね部材302および膜10に因り復元力が光学素子20に対して作用する。
【0177】
さて、光学素子20を傾動または軸方向に移動させることができるために、電流は、上述したようにコイル41内の電流の方向上で光学素子20が軸方向Aでレンズ成形部11から離れる方向に移動されるまたはレンズ成形部11に向かって移動されるように、全てのコイル41に同時に印加される。電流を別にコイル41に印加することにより、光学素子20は、容積Vがプリズムへと形成されるように、さらに傾斜することもできる。したがって、容器2およびレンズ鏡筒50内のレンズ51を通る光ビームは、ハウジング60の内側でデバイス1の基材600上のレンズ鏡筒50の下方に配置されたイメージセンサ52上に集束させることができるが、画像安定化および/または超解像を可能にするためにイメージセンサ52上に投影される画像を少量だけシフトさせることができるように偏向させることもできる。電流をコイル41に供給することができるために、コイル41は、ハウジング60から外に延び前記ハウジング60の外側で基材600上に設けられたコネクタに接続された可撓性導体304を介して、接続されている。
【0178】
特に、壁部材300、ばね部材302、およびフレーム部材303は、特にいくつかの積層された導体層の形で、コイル41も中に一体化されているプリント回路基板300、302、303の一体化部分を形成してもよい。可撓性導体304は、次いで、容器2を形成するこのプリント回路基板を光学素子20および膜10と共に基材600上のコネクタ306に接続する。さらに、ハウジングは、デバイス1を電磁界から保護するおよび周囲をデバイス1により生成される電磁界から保護するための外側シールド601を含んでもよい。
【0179】
図16に表示されるように、光学デバイス1は、制御ユニット65、位置センサ手段63、および移動センサ手段64、ならびに温度センサ68を備えてもよい。以下に記載のデバイス1の全ての実施形態は、これらの構成要素も備えてもよく、
図16~18の実施形態に関してこれより説明するように制御されてもよい。
【0180】
特に、位置センサ手段63は、光学素子20または光学素子20に接続された構成要素の基準位置に対する位置(または変位)を測定するように構成されている。特に、位置センサ手段63は、ばね部材302の変形を測定する歪みセンサ、磁石42と壁部材300との間の距離の変化を測定する静電容量センサ、磁気抵抗センサ、または駆動コイル41もしくは壁部材300内に組み込まれた別々のコイルを使用する誘導性フィードバックセンサ(例えばTexas InstrumentsのLDC1614EVM)とすることができる。さらに、位置センサ手段は、特に後述するように磁石(単数または複数)42が壁部材300上に配置され、コイル41がハウジング上に載置される場合、ホールセンサとすることもできる。
【0181】
好ましくは、制御ユニット65は、光学素子20の測定された位置が温度センサ68により測定される特定の温度で所望の位置に到達するようにコイル41に印加される電流を制御することによりアクチュエータ手段40を制御するように構成されている。このような態様で、焦点調節可能レンズの焦点距離は、所望の値に自動的に調節することができる(例えば、膜10のエリア10cの曲率を調節するように光学素子を軸方向に移動させることにより)。
【0182】
その上、移動センサ手段64、例えばジャイロセンサを使用して、打ち消されることになる光学デバイス1全体の不要な移動を検出することができる。ここで、制御ユニット65は、移動センサ手段64により感知された打ち消されるべき移動に応じて、光学素子20が前記感知された移動を打ち消す方式で入射光ビームLの方向を光学デバイス1を通過する方向A’に変更するためにアクチュエータ手段40により傾動されるように、アクチュエータ手段40を制御するように設計されている。
【0183】
図19は、
図20および21と併せて、コイル41が今や、4つのコイル41の各々が関連付けられた磁石42に対向するようにハウジング60上に載置される周状コイルフレーム44内に一体化され、これらの4つの磁石42が今や、膜10も取り付けられる壁部材300の下側300bに配置された、
図16の実施形態の変形例を示す。ここで、
図16とは対照的に、コイル41は今やハウジング60上に固定された位置を有する一方、磁石42は光学素子20と共に移動することができる。ここで、磁石42は光学素子20に垂直に走る方向Mに磁化される一方、前記コイル軸A’’は軸方向Aと平行に走る。この場合も、各磁石42は、各磁石42が
図13の右手側に示される態様でそれに関連付けられたコイル41に軸方向Aで対向するように、それに関連付けられたコイル41に対して位置決めされる(すなわち、それぞれの磁石42は、軸方向Aでそれぞれの磁石の下方に配置される関連付けられたコイル41に対して心出しされる)。さらに、
図21に示されるように、各磁石は、それぞれの磁石42が壁部材300に接続され得る頂部部分43bと、頂部部分43bから軸方向Aに沿って突出する2つの横部分43a、43cとを有する磁束リターン構造43内に組み込まれてもよく、それぞれのリターン構造43は、やはり上述したように関連付けられた磁石に対して配置される。さらに、前のとおりに、壁部材300は、4つの(例えば蛇行する)ばね部材302を介してフレーム部材303に一体接続することができる。
【0184】
その上、ハウジング60は、上にフレーム部材303が支持され得る周状スペーサ要素61を含んでもよく、スペーサ要素61は、(温度による流体Fの容積の増大に因る)温度誘発性の容器2の前記容積Vの増大を補償するために、光学デバイス1の温度の上昇に伴って軸方向Aに膨張するように構成されている。このようなスペーサ要素はまた、本明細書に記載の他の実施形態で使用してもよい。
【0185】
さらに、
図22によれば、別々のリターン構造43は、省略することもできる。ここで、壁部材300は、リターン構造も形成し、したがって軟磁性材料から形成される。
【0186】
図23は、ここでコイルフレーム44が省略され、コイル41がハウジング60内に直接一体化された、さらなる変形例を示す。
【0187】
さらに、
図33は、ここでアクチュエータ手段40が複数のコイル(例えば3つまたは4つのコイル)41を含み、各コイル41が、好ましくは膜10も取り付けられる壁部材300の下側300bに接続される関連付けられた磁石42を包囲し、好ましくは壁部材300と平行に走る方向Mに磁化され、磁化Mが光学デバイス1の中心軸に向かい得る、本発明による光学デバイス1のさらに別の実施形態を示す。さらに、それぞれのコイル41は、ハウジング60(図示せず)上に配置され、そのコイル軸A’’は、光学デバイスの軸方向Aと平行に延びる。またこの構成では、上記で説明したように、本質的に軸方向に沿って延び、本明細書に記載のように容積Vをプリズムへと形成するために光学素子20の軸方向への効率的な移動および/または光学素子20を傾動することを可能にする、ローレンツ力FLを生成することができる。またここで、自動焦点調節、光学的画像安定化、および/または超解像を提供するように光学素子の移動を制御するために、上記のセンサ手段63、64、および68、ならびに制御ユニット65を使用してもよい。
【0188】
図26は、焦点調整可能レンズの膜10の前記エリア10cの曲率の初期調節または較正のための本発明による手順を示す。このために、レンズ鏡筒50は、その円形のレンズ成形部11が膜10に接触し、このようにして膜10の前記中央エリア10cを規定するまで、ハウジング60(
図26の上方左手)内へ移動/螺着される。第2のステップでは、好ましくは膜10がレンズ成形部11に接続された後、レンズ鏡筒50は、焦点調節可能レンズの初期焦点距離が所望の値に設定されるまで、移動される。レンズ鏡筒50の膜10に向かっての移動の際にレンズ鏡筒50を案内するために、ハウジング60は、膜10に軸方向Aで対向する陥凹部66を含み、陥凹部66は、軸方向Aに垂直な横移動を防止するために、例えばぴったりと適合するようにレンズ鏡筒50を受容するように構成されている。
【0189】
レンズ成形部は、焦点調整可能レンズの焦点距離が正しくなるまで、エリア10cの曲率を調節するように膜10の下側10bに例えば押し当てられる(
図26の左手下側)。
【0190】
ひとたび適所に来ると、レンズ鏡筒50は、
図26の右手側に示されるように適所に接着される。このために、鏡筒50の外側と陥凹部66の内側との間の2つの向かい合う空隙67は、接着剤Gで満たされ、接着剤Gは、ひとたび接着剤が硬化すると、レンズ鏡筒50の位置をハウジング60に対して固定する。この手順は、容積Vを流体Fで満たす間または中央陥凹部301の製造中に製造公差を補償するために特に有用である。
【0191】
さらに、
図27は、本発明による光学デバイス1の容器2を製造し、焦点調整可能レンズを製造するために容器2を前記流体Fで満たすための方式を示す。ここで、前記容器は、壁部材300を設けることにより提供され、特にその中央陥凹部301は、壁部材300をエッチング(ステップ1)またはレーザ切断もしくは打ち抜き、予め伸張された膜10を壁部材300にプラズマ接合し(ステップ2)、過小圧力(例えば真空)を使用して膜10をたわまさせて、流体Fを受容する(ステップ4)ための窪みDを形成し(ステップ3)、光学素子20を壁部材300に接合し(ステップ5)、膜10が上に配置されるように容器2を配置し(ステップ6)、過小圧力(例えば真空)を使用して空気を膜10を通じて容器2の容積Vの外へと脱気する(ステップ7)、ことにより生成される。
【0192】
図28は、複数の容器2の並列処理を示す。ここで、複数の接続された容器2が形成され、個々の容器2は、透明で弾性膨張可能な膜10を、複数の一体接続された壁部材300を含む中間層305に接続するステップと、前記流体Fを容器2内に提供するステップと、容器2を閉鎖するために光学素子10を中間層305に接続するステップとにより得られ、中間層305により形成される接続された壁部材300は、流体で満たされた個々の容器2を提供するために分離される。
【0193】
さらに、
図29は、
図29に表示される膜10の前記エリア10cを含む焦点調節可能レンズが、単純に光学素子20を軸方向Aに移動させることにより、調整可能レンズの曲率の最小限の変化だけで、光を無限遠から20mm未満(すなわち顕微鏡撮像)までの焦点距離に高速に集束させることができるという事実に因り、本発明による光学デバイス1がスーパーマクロ性能を含むことを明示する。
【0194】
その上、
図30は、視野(FOV:field of view)が1.0°だけ回転され、イメージセンサ52上のシフトされた画像が得られる状況を示す。これは、本明細書に記載のように光学素子20を傾動させることにより自動的に補償され、これは、
図30の右手側に示されている。
【0195】
その上、
図31は、透明な光学素子20の傾動が、超解像画像を達成するために本発明の実施形態でどのように使用されるかを示す。
【0196】
ここで、イメージセンサ52上のRGBピクセル520の半分だけ画像を移動させるために必要とされるだけ光学素子20を傾動させることは、超解像画像を作成することを可能にし、光学素子/カメラ1の解像度は、4倍に向上することができる。調整可能プリズム(容積V)に因り、本発明は、数ミリ秒範囲の非常に高速な移動およびしたがって高フレームレートの超解像画像を可能にする。
【0197】
詳細には、
図31に示されるように、イメージセンサ52がRGBイメージセンサ52であるとき、各RGBピクセル520(黒実線の正方形により表示される)は、4つのピクセル521、522、523、524、すなわち緑色フィルタ(すなわち緑色光に対して透明なフィルタ)を含む2つのピクセル521、522、および青色フィルタを含むピクセル523、ならびに赤色フィルタを含むピクセル524からなり、4つのピクセルは、合わせて正方形を形成する各4つの隣り合う色フィルタが前記正方形内に斜めに配置される2つの緑色フィルタ521および522ならびに同様に前記正方形内に斜めに配置される青色フィルタ523および赤色フィルタ524を含むように、正方配列内に配置される(例えば、RGBピクセル520を表す黒の正方形を参照されたい)。特に、RGBピクセル520を形成する個々のピクセル521、522、523、524は、第1の方向xに延びる(平行)行530および第1の方向xに直交して走る第2の方向yに延びる(平行)列531内に配置される。50%の緑色フィルタ、25%の赤色フィルタ、および25%の青色フィルタを含むフィルタパターンを有するこのようなフィルタ配列は、ベイヤーフィルタとも呼ばれる。
【0198】
このようなRGBイメージセンサ52の場合、本明細書に記載の制御ユニット65は、好ましくは、壁部材300およびそれによって光学素子20を、容積Vを調節可能レンズを通過する光を偏向させ、イメージセンサ上に投影された画像の所望の変位を引き起こすプリズムへと形成する対応する方向に傾動させることにより、光学デバイス1により(例えば、調節可能焦点レンズおよびレンズ鏡筒50内に配置された少なくとも1つのレンズ51により)イメージセンサ52上に投影された画像が初期位置(x:オフ、y:オフ)から第1の方向x(x:オン、y:オフ)に単に1ピクセルだけ、第2の方向y(x:オフ、y:オン)に単に1ピクセルだけ、および第1の方向xに1ピクセルだけかつ第2の方向yに1ピクセルだけ(x:オン、y:オン)移動されるようにアクチュエータ手段40を制御するように構成されている。特に、上述したように互いに対してシフトされた4つの投影画像の各々は、イメージセンサ52により記録され、4つの記録された画像は、次いで、解像度が4倍に向上された単一の超解像画像を形成するように重畳される。
【0199】
図32に示される別の実施形態によれば、制御ユニット65は、光学デバイス1により(例えば調節可能レンズおよびレンズ鏡筒内に配置された少なくとも1つのレンズにより)イメージセンサ52上に投影された画像が、光学素子20をそれに応じて傾動させることによりRGBピクセル520のある端数部分または複数の端数部分だけ移動されるようにアクチュエータ手段40を制御するように構成することができ、初期投影画像のほかに各シフトされた投影画像が、イメージセンサ52により記録され、これらの記録された画像は、次いで、高解像画像を形成するように光学デバイスにより重畳される。
図32では、前記端数部分は、RGBピクセル520の3分の1であり、画像IMは、
図32に示されるように連続的に8回シフトされ、光学デバイス1により重畳されるべき9つの画像IMを生み出す。
【0200】
その上、
図34は、本発明による光学デバイス1のあるさらなる実施形態を示す。ここで、コイル41は、4つのコイル41が各々関連付けられた磁石42を包囲するようにハウジング60上に載る周状コイルフレーム44上に配置され、これらの4つの磁石42は今や、上に光学デバイス1の容器2が載置される容器キャリヤ300cの下側に配置され、容器2は、中に透明な流体Fが配置される容器2の前記容積Vが形成されるように、容器キャリヤ300c上に載置され平坦な光学素子20および膜10が接続される周状壁部材300を含む。
【0201】
容器キャリヤ300cは、4つのばね部材302を介して外側フレーム部材303に(好ましくは一体)接続され、外側フレーム部材303は、ハウジング60上に載置される。容器2は、詳細に上述したように、したがってハウジング60上に弾性支持され、ハウジング60上に固定された磁石42およびコイル41により移動させることができる。特に、磁石42は光学素子20に垂直に走る方向Mに磁化される一方、前記コイル軸A’’は軸方向Aと平行に走る。
【0202】
その上、ハウジング60は、上にフレーム部材303が支持され得る周状スペーサ要素(上記も参照されたい)を含んでもよく、スペーサ要素は、(温度による流体Fの容積の増大に因る)温度誘発性の容器2の前記容積Vの増大を補償するために、光学デバイス1の温度の上昇に伴って軸方向Aに膨張するように構成されている。このようなスペーサ要素はまた、本明細書に記載の他の実施形態で使用してもよい。
【0203】
さらに、容器2の、特に流体Fの温度は、コイル支持体44上に一体化された温度センサ63で測定することができる。さらに、磁石42の、したがって容器2の位置は、同じくコイル支持体44上に一体化されたホールセンサ68で測定することができる。測定された位置は、焦点調節可能レンズ2の焦点距離を調節し、画像安定化および/または超解像を提供するように(例えば本明細書に記載のように)光学素子20(容器2)を軸方向に移動および/または傾動させるために、アクチュエータ手段40(すなわちコイル41)を制御するために制御ユニットにより使用することができる。この場合も、コイル41およびセンサ63、68、ならびに他の構成要素への電気接点は、コイル支持体44に接続されるまたはコイル支持体44を形成する可撓性導体304を介して作製されてもよい。
【0204】
図34の光学デバイス1の光学素子20を軸方向に移動させることにより焦点パワーを調節することは、
図35A(無限遠)および
図35B(マクロ)に示されている。ここで、
図35Cの上部に示されるように、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)は、本明細書に記載のように光学素子20を傾動させることにより提供することができる。これは、イメージセンサ52上に投影された画像を、光学デバイス1の乱れ/移動により引き起こされる画像のシフトと反対の方向に移動させることを可能にする。
【0205】
あるいは、またはこれに加えて、レンズ鏡筒50は、OISを提供するために、
図35Cの下部に表示されるように、容器2と共にイメージセンサ52と平行に移動させてもよい。
【0206】
図34に記載の実施形態は、デバイス1がスマートフォンなどの携帯用途で使用されることになる場合に非常に重要な、軸方向Aに相対的に小さい高さの光学デバイス1の設計を可能にする。
【0207】
この高さは、光学素子20を剛性レンズへと、特にレンズ鏡筒50から離れる方向に向く凸表面エリア20bとレンズ鏡筒50に対向する平坦な表面20aとを含む平凸レンズなどの集光レンズへと形成することにより、
図36A~36Cに表示されるようにさらに低減することができる。このようにして、剛性レンズ20は、レンズ鏡筒50の第1のレンズの機能を担うことができる。
【0208】
またここで、自動焦点調節(AF:autofocus)は、本明細書に記載のように光学素子20を軸方向に(軸Aに沿って)移動させ、このようにして膜10のエリア10cを変形させることにより、達成することができる(
図36A「無限遠」および
図36B「マクロ」を参照。一方、OISは、光学素子20を傾動させること(
図36Cの上部)、
図36Cの中間部に示されるように光学素子20/容器を鏡筒50に固定されたレンズ成形部11に対してイメージセンサ52)と平行に移動させること、またはレンズ鏡筒50全体を容器2と共にイメージセンサ52と平行に移動させること(
図36Cの下部)、の少なくとも1つにより達成され得る。
【0209】
その上、
図37A~37Cに示されるように、レンズ成形部11は、膜10のエリア10cを変形させるために、かつ/または光を偏向させるように(例えば光学的画像安定化または超解像の目的のためにイメージセンサ52上の画像を移動させるように)容積Vを変形させるために、本明細書に記載のように磁石42およびコイル41により移動させることもできる。今や、光学素子20は、レンズ鏡筒50に固定され、膜20とレンズ鏡筒50との間に配置される。ここで、膜20は、容器2の容積Vを通ってイメージセンサ52に向かって移動する光が当たる焦点調節可能レンズ2の第1の面を形成する。またここで、
図37Cの上部に示されるように、レンズ成形部11は、傾斜させることができ、またはイメージセンサ52に当たる光がセンサ52上でシフトされるように容積Vを変形するために、
図37Cの中間部に示されるように、イメージセンサ52と平行に(膜20に対して)移動させることができる。さらに、レンズ鏡筒50全体も、このようなシフトを提供するように(例えばOISまたは超解像のために)容器2と共にイメージセンサ52と平行に移動させることができる。
【0210】
図35C、36C、37Cに示される実施形態では、鏡筒50/容器2の、または容器2、もしくはレンズ成形部11の(イメージセンサ52に対する)平行移動は、さらなる好適なアクチュエータ手段400により達成することができる。
【0211】
さらに、
図38A~38Bに示されるように、上記実施形態の剛性レンズ/光学素子20は、剛性レンズまたは光学素子20の代わりに、透明で弾性変形可能な膜20とすることもできる。したがって、容器2の両側は、今や弾性変形することができる。これは、レンズの必要な変形を低減することを可能にし、これは、球面収差を含む光学収差を比較的低く保ちながら消費電力を低減する。
【0212】
本明細書に記載のいずれの実施形態についても、磁石とコイルの位置は、切り替えることができる。その上、示されているアクチュエータレイアウトは単に例示であり、所望の移動が得られる異なるコイル磁石レイアウトが可能である。アクチュエータ手段40のコイル41の、それらに関連付けられた磁石42に対する可能な位置に関して、
図39A~39Dは、本発明による光学デバイス1の上記実施形態でも使用され得る異なる構成を示す。
【0213】
図39Aによれば、それぞれの磁石42は、それに関連付けられたコイル41に心出しされて対向し、磁化Mおよびコイル41の導体が巻回されるコイル軸(または巻軸)A’’は、互いに対して平行に走る(当然ながら、光学素子20またはレンズ成形部11の傾動移動に因り、磁化Mおよびコイル軸A’’は、前記平行構成からわずかに逸脱してもよい)。
【0214】
さらに、
図39Bによれば、磁石42または磁石42の正面側に接続される磁束リターン構造43は、実際は、関連付けられたコイル41により形成される中央開口部内に部分的に突出してもよい。
【0215】
さらに、
図39Cによれば、それぞれの磁石42は、
図39Aに示されるようにそれに関連付けられたコイル31に対向してもよいが、逆平行に磁化された隣接する部分42a、42bを含んでもよく、この場合も前記(逆平行)磁化Mは、前記コイル軸A’’と平行に走る。
【0216】
さらに、それぞれの磁石42は、それぞれのコイル31の内側に配置されてもよく、
図39Dに示されるようにコイル軸A’’に垂直に走る磁化Mを含んでもよい。
【0217】
その上、
図40は、容器2/焦点調節可能レンズ2の膜10の前面10aが光学デバイス1のレンズ鏡筒50/イメージセンサ52に対向する、本発明による光学デバイスのある実施形態を示す。
【0218】
特に、光学デバイス1は、透明で弾性膨張可能な膜10、膜10に対向する光学素子20、および壁部材300を備え、光学素子20および膜10は、容積Vを有する容器2が形成されるように壁部材300に接続されている。前のとおりに、容器の容積Vは、流体Fで満たされ、レンズ成形部11は、膜10の曲率調節可能エリア10cを規定するように膜10と接し、エリア10cは、前記光学素子20に対向する。エリア10cの曲率およびそれによってレンズ2の焦点距離は、特にレンズ成形部を容器2に対して移動させることにより、本明細書に記載のように変更することができる。
【0219】
すでに述べたように、膜10/エリア10cは、流体Fから離れる方向に向くが、イメージセンサ52またはイメージセンサ52の前に配置された剛性レンズ51に対向する、外側または前面10aを含む。剛性レンズ51は、レンズ鏡筒50(図示せず)内に配置することができる。
【0220】
あるいは、
図41に示されるように、前面10aはまた、剛性レンズから、またはイメージセンサから離れる方向に向いてもよい。したがって、レンズ成形部はまた、剛性レンズ51から、またはイメージセンサから離れる方向に向く容器2の側に配置される。
【0221】
図42にさらに示されるように、光学素子20は、平坦で透明な部材である必要はなく、イメージセンサ52から離れる方向に隆起する剛性レンズ、ここでは平凸レンズ2を形成することもできる。ここで、膜10の前面10aは、イメージセンサ52に対向する。このような構成は、容器2/焦点調節可能レンズ2をレンズ鏡筒内に、特にレンズ鏡筒50の一番上の剛性レンズ(図示せず)内に一体化するために使用することができる。
【0222】
あるいは、
図43に示すように、光学素子20により形成される剛性レンズは、残りの剛性レンズ51に向かって、またはイメージセンサ52に向かって隆起することもできる。ここで、
図41と同様に、膜の前面10aは、剛性レンズ51から、またはイメージセンサ52から離れる方向に向く。
【0223】
図44(A)は、容器2/焦点調節可能レンズ2がレンズ鏡筒50の前に追加(アドオン)として配設される(
図44(B)を参照)、または容器2/焦点調節可能レンズ2がレンズ鏡筒50の一番上の剛性レンズを形成するようにレンズ鏡筒50内に組み込まれる(
図44(C)を参照)、以下で詳細に説明する本発明の2つの実施形態と比較して、剛性レンズ51のみを有する標準的なレンズ鏡筒50を示す。
【0224】
図45は、
図40に示されるように設計される容器2が、焦点調節可能レンズ2の焦点を調節するエリア10cが上述したように相応して湾曲/変形されるように、固定されたレンズ成形部11に対して軸方向Aに移動される、自動焦点調節の実現を示す。
【0225】
図46は、レンズ成形部11が、焦点調節可能レンズ2の焦点を調節するために固定された容器2に対して軸方向Aに移動される、アドオン容器2/焦点調節可能レンズ2を含む構成における自動焦点調節の実現を示す。
【0226】
図47は、レンズ成形部11が、固定された容器2に対して軸方向Aに移動される、自動焦点調節の実現を示す。このために、レンズ成形部11は、レンズ鏡筒50の正面側50bに接続され、レンズ鏡筒50全体は、焦点調節可能レンズ2の焦点を調節するために軸方向Aに移動される。
【0227】
図48は、ここでは
図40と併せて上記で説明したように設計された容器2が、レンズ鏡筒50の正面側50bに接続された固定されたレンズ成形部11に対して傾動された、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)の実現を示す。これは、イメージセンサ52に向かって移動する光Lを偏向させることを可能にする。
【0228】
あるいは、
図49に示されるように、レンズ成形部11は、OISを提供するためにイメージセンサ52に向かって移動する光を偏向させるように、固定された容器2に対して傾動されてもよい。
【0229】
さらに別の実施形態によれば(
図50を参照)、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)は、イメージセンサ52上の光をシフトさせるために、剛性(例えば平凸)レンズの形の光学素子20を含む容器2をレンズ成形部11に対してイメージセンサ51と平行に移動させることにより、達成されてもよい。
【0230】
さらに、あるいは、レンズ成形部11は、イメージセンサ52上の光をシフトするために、容器(剛性(例えば平凸)レンズの形の光学素子20を含み得る)に対してイメージセンサ52と平行に移動させてもよい(
図51を参照)。ここで、膜10の前面10aは、イメージセンサ52から離れる方向に向き、レンズ成形部11は、イメージセンサ2から離れる方向に向く容器2の側で膜に接触する。
【0231】
さらに、
図52は、容器2が、イメージセンサ52上の光をシフトさせるために、レンズ鏡筒50と共にイメージセンサ52と平行に移動される、光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)の実現を示す。
【0232】
あるいは、
図53に示すように、容器2は、レンズ鏡筒50と共に、OISを提供するために、イメージセンサ52上の光をシフトするように傾動/回転することができる。
【0233】
その上、
図54は、光学デバイス1のハウジング60および/またはアクチュエータコイル41が、その膜10を介してレンズ成形部11上に懸架される容器2の移動を区切る停止部をどのように提供し得るかを示し、レンズ成形部11は、レンズ鏡筒50の正面側50bに接続され、正面側50bは、容器2に対向する。またここで、容器2は、周状壁部材300を含み、光学素子20および膜10は、流体Fで満たされた容積Vを封入する容器2が形成されるように、壁部材300に接続されている(上記も参照されたい)。
【0234】
図54に表示されるように、磁石42は、壁部材300に接続され、各磁石42は、ハウジング60に接続されているコイル41に対向する。コイル41および磁石42は、その膜10を介してレンズ成形部11上に支持される容器2を、曲率調節可能エリア10cが規定されるように軸方向に移動および/または傾動させるアクチュエータ40の一部を形成する。このエリア10cの曲率は、対応する容器2のレンズ成形部11に対する軸方向移動により調節することができる(上記も参照されたい)。
【0235】
容器2はレンズ成形部11上に懸架されるので、容器の移動を限定するための、ハウジング60により、およびコイル41により規定される停止部を使用することができる。特に、容器2は、その壁部材300を介してハウジング60に、またはその磁石42を介してコイル41に接触することができ、これは、容器2の移動を停止する。
【0236】
図55は、心出しツール500を使用した容器2のレンズ鏡筒50に対する心出しを示し、容器2は、容器2がツール500内に挿入されるとき、ぴったりと適合するようにツール500に接触する容器心出し面2aを含む。さらに、レンズ鏡筒50も、膜に接続されたレンズ成形部11がレンズ鏡筒50の正面側50bに心出しされて接触することができるように、他方側からツール500内に挿入することができる。
【0237】
このツール500またはその心出し特徴は、レンズ鏡筒50の一体化部とすることもでき、そのときには光学デバイスの組立て後に取り外されない。
【0238】
有利なことには、膜10が切断される面10dの代わりに別々の心出し面2aを使用することは、膜10の切断の際に面2aが損傷されることがないので、より高い精度で容器2を心出しすることを可能にする。
【0239】
さらに、
図56~58は、容器2が、単にその膜10を介して、レンズ鏡筒50に接続されたレンズ成形部11上に懸架されるときの、膜のエリア10cの曲率に対する温度効果の低減を明示する。これは、
図57に示されており、
図58に示されるように容器2が適所に固定され(例えば、その箇所が、例えばホールセンサにより、位置制御されるため)、温度上昇ΔTに因る流体Fの熱膨張がエリア10cのより強い隆起をもたらす状況とは対照的に、容器2は、流体Fが温度上昇ΔTに因り膨張し、エリア10cの曲率の相対的に小さな増大をもたらすとき、上に移動することができる(例えば、その箇所が力制御されるため)。
【0240】
さらに、
図59は、本発明による光学デバイス1の容器2、および容器2の膜10に接触して曲率調節可能エリア10cを規定する円形のレンズ成形部11の斜視図を示す。
【0241】
図60~61に示されるこのようなレンズ成形部11は、レンズ鏡筒に対して異なる方式で接続/心出しすることができる。
【0242】
図60によれば、レンズ鏡筒50は、レンズ鏡筒50の正面側50bから容器2に向かって突出する(例えば円形の)突出部110を含んでもよく、容器2は、上述したように、前記容器2を形成するためにそれぞれ壁部材300、光学素子20、および壁部材300に接続された膜10を含むことができ、容器2は、流体Fで満たされる容積Vを封入する(上記も参照されたい)。突出部110は、レンズ成形部11がぴったりと適合するように突出部110と係合するとき、レンズ鏡筒50に接続されるべき別々のレンズ成形部11をレンズ鏡筒50に対して心出しするように構成されている。
【0243】
図60に示されるように、ある実施形態によれば、レンズ成形部11は、レンズ成形部11が突出部110と係合するとき、突出部110を囲撓するように構成されている。
【0244】
あるいは、
図61に示されるように、突出部110はまた、レンズ成形部11が突出部110と係合するとき、レンズ成形部11を囲撓するように構成されている。
【0245】
さらに、
図62~65は、排出される空気体積の通気を可能にするための空気交換溝またはトンネルを実装するための異なる可能な選択肢を示す。
【0246】
ここで、ある実施形態では、
図62に示されるように、空気がレンズ鏡筒50の外側から前記膜10に隣接しレンズ成形部11により包囲される領域R内へと前記陥凹部111を通ってかつレンズ成形部11の下方を通過することができ、それにより膜10の前記曲率調節可能エリア10cの曲率が変化するとき(これは前記領域Rの容積の変化に対応する)前記領域Rの通気が可能になるように、レンズ鏡筒50の正面側50bは、突出部110の不連続部を形成する少なくとも1つの陥凹部111(例えば3つの陥凹部111)を含む。
【0247】
あるいは、
図63に示されるように、レンズ鏡筒50は、空気がレンズ鏡筒50の外側から前記膜10に隣接しレンズ成形部11により包囲される前記領域R内へと前記少なくとも1つの溝112を通過することができるように、それによりこの場合も前記領域Rの通気が可能になるように、前記円形の突出部110の下に、特にレンズ鏡筒50の前記正面側50bの下に延びる少なくとも1つの溝112(例えば3つの溝112)を含んでもよい。特に、ここで、突出部110は、不連続部を含まない。
【0248】
その上、
図64によれば、空気がレンズ鏡筒50の外側から前記膜10に隣接しレンズ成形部11により包囲される前記領域R内へと前記少なくとも1つの溝113を通過することができるように、それにより前記領域Rの通気が可能になるように、レンズ鏡筒50は、少なくとも1つの溝113を含んでもよい、上記を参照されたい。ここで、前記少なくとも1つの溝は、レンズ鏡筒壁にわたって、すなわちレンズ鏡筒の正面側50bの下方に完全に、延びる。
【0249】
特に、
図65に示されるように、前記少なくとも1つの溝113はまた、ここでもこの領域Rの通気が可能になるように、レンズ鏡筒50の横外側50aからレンズ鏡筒50内へとレンズ鏡筒50の径方向に(すなわちレンズ鏡筒50の光軸に垂直に)延びる第1の部位113aと、第1の部位113aと流体連通し、レンズ鏡筒(50)の光軸と平行に延び、レンズ鏡筒50の正面側50bに至り、前記領域Rに入る第2の部位113bとを含んでもよい。
【0250】
その上、
図66~70は、心出しされたレンズ成形部11を接着剤116、118によりレンズ鏡筒50に接続するための異なる可能な選択肢を示す。
【0251】
図66によれば、レンズ鏡筒50は、レンズ鏡筒50の正面側50bに前記接着剤116を受容するための少なくとも1つの接着剤ポケット115を含み、少なくとも1つの接着剤ポケット115は、レンズ成形部11の下に配置される。
【0252】
その上、少なくとも1つの接着剤ポケット115は、突出部110よりもレンズ鏡筒50の径方向にさらに外向きに延びる。特に、このようにして、少なくとも1つの接着剤ポケット115は、実線矢印により表示されるように、レンズ鏡筒50の横外側50aから少なくとも1つの接着剤ポケット115に接着剤116を加えるためにアクセス可能である。
【0253】
あるいは、
図67に示されるように、少なくとも1つの接着剤ポケット115は、突出部110よりもレンズ鏡筒50の径方向にさらに内向きに延びる。ここで、少なくとも1つの接着剤ポケット115は、実線矢印により表示されるように、少なくとも1つの接着剤ポケット115が前記接着剤116を少なくとも1つの接着剤ポケット115に加えるために前記横外側50aからアクセス可能になるように、突出部110の下に延び、特にレンズ鏡筒50の横外側50aに至ることができる。
【0254】
その上、
図68に示されるように、少なくとも1つの接着剤ポケット115は、細長湾曲形状を含んでもよく、特に突出部110に沿って突出部110の内側に沿って、すなわち突出部110よりもレンズ鏡筒50/突出部110の径方向にさらに内向きに、延びてもよい。
【0255】
さらに、
図69に示すように、レンズ鏡筒50は、少なくとも1つの貫通孔117(例えば、レンズ鏡筒50の周状壁内に形成される)を含んでもよく、貫通孔117は、実線矢印により表示されるように、接着剤116を前記貫通孔117を介して少なくとも1つの接着剤ポケット115に加えることができるように、レンズ鏡筒50の光軸に沿って延び、少なくとも1つの接着剤ポケット115に至る(例えば、接着剤ポケット115と流体連通する)。
【0256】
あるいは、
図70に示されるように、液体接着剤116の代わりに両面接着テープ118を使用してレンズ成形部11をレンズ鏡筒50の正面側50bに接続することもできる。ここで、テープ118は、レンズ鏡筒50の正面側50bとレンズ成形部11との間のレンズ鏡筒50の正面側50b上に配置することができ、特にテープ118は、テープ118よりもレンズ鏡筒50の径方向にさらに外向きに延びる(例えば円形の)突出部110により包囲することができる。
【0257】
その上、
図71~73は、レンズ成形部11の異なる実施形態を示す。
【0258】
図71によれば、レンズ成形部11は、レンズ鏡筒50の正面側50bに接着される(上記を参照されたい)別々の部品11とすることができる。あるいは、レンズ成形部11は、鏡筒50の射出成形の際にレンズ鏡筒に成型される金型インサート11とすることができ、インサート11は、そのときレンズ鏡筒50の正面側50bの陥凹部50e内に組み込まれる。
【0259】
その上、レンズ成形部11は、
図73に示されるように、レンズ鏡筒50に一体接続することもできる。
【0260】
図74は、容器2が、レンズ鏡筒50内に組み込まれ、レンズ鏡筒50の一番上の剛性レンズも形成する、
図44(C)に示される種類の本発明による光学デバイス1のある実施形態を示す。
【0261】
特に、光学デバイス1は、中に複数のレンズ51が配置される中央開口部50cを有するレンズ鏡筒50を含む。レンズ鏡筒は、鏡筒50が光学デバイス1のイメージセンサ52の前に配置されるようにハウジング60の開口部66内に受容され、イメージセンサ52は、ハウジング60内に配置される。鏡筒50の一番上のレンズは、容器2により形成され、容器2は、容器2が中に前記流体Fが配置される容積Vを封入するように膜10が接続される、一体的な横壁部材300を形成する平凸レンズの形の光学素子20(または強度の非球面を含む表面形状の他の任意の組み合わせ)を含む。透明な容器2は、光Lがイメージセンサ52に当たる前に容器2および前記レンズ51を通ることができるように、残りのレンズ51の前に、かつイメージセンサ52の前に配置される。
【0262】
容器2およびその中の流体Fにより形成される焦点調節可能レンズ2の焦点パワーを調節するために、レンズ成形部11は、本明細書に記載のように膜10に接触し、膜の曲率調節可能エリア10cを規定し、レンズ成形部11は、リング形状を含み、以下に詳細に記載されるレンズ成形部キャリヤ310に接続される。キャリヤ310は、レンズ成形部に接続される脚部311を含み、レンズ成形部は、鏡筒内に形成されたスロット53を通じて鏡筒50から外に延び(以下を参照されたい)、脚部311は、鏡筒50の外側に配置され、それぞれ関連付けられたコイル41と相互作用する磁石42に接続する。これらのコイル41は、ハウジング60上に配置され、それぞれのコイル41内の電流の方向に応じて、関連付けられた磁石42を吸引/反発することができる。特に、各磁石42は、例えば
図31と併せて詳細に説明するように、それに関連付けられたコイル41に心出しされて対向してもよい。
【0263】
図75によれば、レンズ鏡筒50は、ハウジング60の前記陥凹部66の雌ねじ66fと係合する雄ねじ50fを含むことができ、これは、レンズ鏡筒のイメージセンサ52に対する正確な位置決めを可能にする。
【0264】
図75でさらに表示するように、ハウジング60は、イメージセンサ52を支える基材600上に載置されてもよい。その上、光学デバイス1の構成要素への電気接点は、基材600/ハウジング60に接続する可撓性導体304を介して作製することができる。その上、ハウジングまたは鏡筒50は、容器2と位置合わせされた中央開口部を含むシールド601により覆うことができる。シールド601は、光学デバイス1を電磁放射などの外乱から保護する働きをする。
【0265】
さらに、
図76に示されるように、ハウジング60はさらに、レンズ鏡筒50をイメージセンサ52に対して位置決めするための停止部を、陥凹部60の周状ステップ66aの形で提供してもよい。ここで、鏡筒50の周状表面領域50gは、イメージセンサ52に対するレンズ鏡筒50の正確な位置/距離を規定するように前記停止部66aに当接することができる。
【0266】
その上、
図77に示されるように、容器2の容積Vは、容器2内の光学流体Fの量を低減するように、かつこのようにして温度変化に因る光学性能の変化を低減するように、容積V/容器2の周縁部に向かって容器2の径方向に漸減する。特に、このために、容器は、(例えば、
図77で点線により表示される平坦な周縁部の代わりに)円錐形状の周縁部を有してもよい。特に、壁部材300および光学素子20は、互いに結合される別々の要素である代わりに、一体で形成することができ、すなわち互いに一体接続することができる。
【0267】
特に、上記ですでに言及したレンズ成形部キャリヤ310は、
図78~79に示されるように形成することができる。それによれば、レンズ成形部11は、レンズ成形部11を支えるためのレンズ成形部キャリヤ310に接続され、レンズ成形部キャリヤ310は、レンズ成形部11に接続される脚部311を含み、脚部311は、レンズ成形部11に特に一体接続され、それぞれレンズ鏡筒50内に形成された関連付けられたスロット53を通じてレンズ成形部11から外向きに(例えば放射状に)延びる。
【0268】
レンズ成形部11を軸方向Aに移動させるために、かつ/またはレンズ成形部11を傾動させるために(上記も参照されたい)、それぞれの脚部311は、アクチュエータ手段/アクチュエータ40の磁石42を保持するための関連付けられた保持部材312に接続され、それぞれの保持部材312は、レンズ鏡筒50の外側に配置される。
図78および79に表示されるように、磁石42は特に、ハウジング60上、特にコイル支持体44上に配置されるコイル41に対向する保持部材312の側に接続する。磁石42は、例えば詳細に上述したように、各磁石42がそれに関連付けられたコイル41に対向するように配置される。
【0269】
さらに、各2つの隣り合う保持部材312は、接続部材313により接続することができ、特にそれぞれの接続部材313は、それぞれの隣り合う保持部材312を互いに一体接続する。それぞれの接続部材313はまた、レンズ鏡筒50の外側にレンズ鏡筒50の横外側50aに沿って延び、前記接続部材313は、保持部材312と共に環状構造を形成する。
【0270】
その上、復元力を提供するために、かつレンズ成形部キャリヤ310/レンズ成形部11をレンズ鏡筒50に対して心出しするために、キャリヤ310は、ばね部材314を含み、それぞれのばね部材314は、レンズ成形部キャリヤ310の関連付けられた脚部311に(例えば一体)接続される。特に、ばね部材314は、本明細書に記載のようにレンズ成形部キャリヤ310がアクチュエータ40、41、42により移動されるとき、レンズ成形部キャリヤ310に対して復元力を提供する。
【0271】
その上、
図80~82は、光学デバイスの構成要素、特にレンズ成形部キャリヤ/レンズ成形部11および容器2をレンズ鏡筒に対して心出しするおよび組み立てる異なる方式を示す。
【0272】
図80に示されるように、それぞれのスロット53はまた、レンズ鏡筒50の底部50dに形成することができ、底部50dは、容器2から離れる方向に向き、特にそれぞれのスロット53は、レンズ鏡筒50の光軸に沿って延びる。
【0273】
ここで、特に、容器2は、レンズ鏡筒50の底部50dから開口部50c内に挿入され、レンズ鏡筒50の内側の周状表面領域54により心出しされ、容器2は、ぴったりと適合するように前記表面領域54と係合する。
【0274】
また、レンズ成形部キャリヤ310は、特にレンズ成形部11が前記膜10に接触するように、容器2の後でレンズ成形部11と共にレンズ鏡筒50の底部50dから開口部50c内に挿入され、各ばね部材314は、レンズ成形部11をレンズ鏡筒50/容器2に対して心出しするように、端部314aがレンズ鏡筒50の内側の関連付けられた表面エリア55上にある状態で配置され、それぞれの脚部311は、それに関連付けられたスロット53内に配置される。
【0275】
あるいは、
図81に示すように(
図78および79も参照)、鏡筒50のそれぞれのスロット53は、レンズ鏡筒50の正面側50bに形成することができ、正面側50bは、光学デバイス1のイメージセンサ52から離れる方向に向き、特にそれぞれのスロット53はまた、レンズ鏡筒50の光軸に沿って延びる。
【0276】
ここで、容器2は、容器2およびレンズ成形部11がレンズ鏡筒50に対して心出しされそれぞれの脚部311がそれに関連付けられたスロット53内に配置されるように、正面側50bからレンズ鏡筒50内に挿入されるサブ組立体を形成するように、レンズ成形部11およびレンズ成形部キャリヤ310と共に別々のレンズ鏡筒頂部部品58内に挿入される。
【0277】
さらに、特に、容器2は、ぴったりと適合するようにレンズ鏡筒頂部部品58の内側の関連付けられた周状表面領域58aと係合し、また各ばね部材314は特に、端部314aがレンズ鏡筒頂部部品58の関連付けられた表面エリア58b上にある状態で配置される。次いで、レンズ鏡筒頂部部品58は、容器2およびレンズ成形部11がレンズ鏡筒50に対して心出しされるように、レンズ鏡筒50の周状内側領域50hがレンズ鏡筒50の正面側50bに隣接する状態で、ぴったりと適合するようにさらなる周状表面領域58cと係合する。
【0278】
あるいは、
図82に示されるように、レンズ成形部キャリヤ310は、レンズ成形部11と共にレンズ鏡筒50の正面側50bからレンズ鏡筒50の開口部50c内に挿入することができ、脚部311は、鏡筒50の正面側50bに形成されるスロット53内に配置され、各ばね部材314は、レンズ成形部11をレンズ鏡筒50/容器2に対して心出しするように、端部314aがレンズ鏡筒50の内側の関連付けられた表面エリア56上にある状態で配置される。
【0279】
次いで、容器2は、レンズ成形部キャリヤ310の上部のレンズ鏡筒(50)の正面側50bから開口部50c内に挿入され、レンズ鏡筒50の内側の周状表面領域57により心出しされ、容器2は、ぴったりと適合するように前記表面領域57と係合する。
【0280】
さらに、
図74に示される実施形態の代替物として、
図94は、レンズ容器2が、
図74と併せて記載されるように駆動することができるが、組み込み容器/レンズ2ではなくアドオンレンズ2であることを示す。ここで、容器2は、特に、平坦な光学素子20を有する。特に、ここでも、壁部材300は、光学素子20に一体接続することができる(上記
図77も参照されたい)。
【0281】
特に、ここでも、光学デバイス1は、中に複数のレンズ51が配置される中央開口部50cを有するレンズ鏡筒50を含む。レンズ鏡筒51は、鏡筒50が光学デバイス1のイメージセンサ52の前に配置されるように、ハウジング60の開口部66内に受容され、イメージセンサ52は、ハウジング60内に配置される。鏡筒50の一番上のレンズは、ここで鏡筒50の前に配設されるまたは鏡筒の開口部50c内に部分的に挿入される容器2によってではなく、剛性レンズ51によって形成される。容器2は、容器2が中に前記流体Fが配置される容積Vを封入するように、膜10が接続される横壁部材300に(例えば一体)接続される平坦な光学素子20を含む。透明な容器2は、光Lがイメージセンサ52に当たる前に容器2および前記レンズ51を通ることができるように、剛性レンズ51の前に、かつイメージセンサ52の前に配置される。
【0282】
容器2およびその中の流体Fにより形成される焦点調節可能レンズ2の焦点パワーを調節するために、レンズ成形部11は、本明細書に記載のように膜10に接触し、膜10の曲率調節可能エリア10cを規定する。特に、レンズ成形部11は、リング形状を含み、本明細書に記載のように設計することができるレンズ成形部キャリヤ310に接続される。特に、キャリヤ310は、レンズ成形部11に接続される脚部311を含み、脚部311は、鏡筒内に形成されたスロット53を通って鏡筒50から外に延び(上記も参照されたい)、脚部311は、鏡筒50の外側に配置され、各々関連付けられたコイル41と相互作用する磁石42に接続する。これらのコイル41は、ハウジング60上に配置され、それぞれのコイル41内の電流の方向に応じて、関連付けられた磁石42を吸引/反発することができる。特に、各磁石42は、例えば
図31と併せて詳細に説明するように、それに関連付けられたコイル41に心出しされて対向してもよい。
【0283】
その上、
図83~84によれば、空芯コイル41(
図83を参照)および平面コイル41aaは、例えば関連付けられた磁石42と相互作用するアクチュエータ40のコイル41を形成するために使用することができる。
【0284】
特に、
図84に示されるように、コイル支持体44は、コイル支持体44が前記シート440の積層体を含むように、互いに折り重ねられた複数の(例えば可撓性)シート440を含んでもよく、各シートは、前記シート440の積層体が前記複数の導電性コイル41を形成するように、複数の平面コイル41aaを含む。
【0285】
図85は、ジンバル軸受およびジンバルリングを使用して、自動焦点調節(AF:autofocus)および光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)のために別々のアクチュエータ(例えばボイスコイルモータ)をどのように使用することができるかを示す。
【0286】
図83および84によれば(
図90~91も参照)、4つのコイルおよび磁石対は(または3つのコイルおよび磁石対も)、例えばレンズ成形部11または光学素子20/容器2を軸方向に移動させるための(例えばAFを提供するために)、かつOISを提供するように(例えば、同時に/重畳された)レンズ成形部11または光学素子20/容器2を傾動させるための、アクチュエータ手段/アクチュエータ40として使用することができる。軸方向移動のみが遂行されることになる場合、単一のコイル磁石対を使用することができる(例えば
図92)。
【0287】
しかしながら、アクチュエータ40a、40b、40cはまた、
図85に表示されるように、自動焦点調節(AF:autofocus)および光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)のために使用されてもよい。ここで、一般に、OISは、アクチュエータ40aがレンズ成形部11を第1の方向に傾動させるという事実に因り、レンズ成形部11を2つの方向に傾動させることができるアクチュエータ40aおよび40bを使用して達成され、アクチュエータ40bは、ジンバルリング701をレンズ成形部11と共に独立した(例えば垂直な)第2の方向に傾動させる。外側ジンバルリングは、AFを提供するようにリング701およびレンズ成形部11と共に軸方向に移動させることができる。この概念は、全ての実施形態に適用することができる。
【0288】
その上、
図86~89は、容器2の軸方向移動のための異なるアクチュエータを示し、容器2は、流体Fで満たされた容積Vが形成されるように、この場合も光学素子20と横壁部材300に接続された膜10とを含む。ここで、容器2/焦点調節可能レンズ2の焦点パワーを調節するために、容器をレンズ成形部11に対して移動させるように、膜10の前面10aは、イメージセンサ52に対向し、レンズ成形部11は、(例えばレンズ鏡筒50に)固定されている。
【0289】
図86によれば、アクチュエータ手段40は、ハウジング60上に配置された複数の電気永久磁石41c、ここでは特に2つの電気永久磁石41cと、容器(2)、特に壁部材300に接続された対応する数の軟磁性部材42とを含み、各軟磁性部材42は、電気永久磁石41cのきっかり1つに関連付けられている。さらに、各軟磁性部材42は、それぞれの軟磁性部材42とそれに関連付けられた電気永久磁石41cとの間に間隙Gが形成されるように、それに関連付けられた電気永久磁石41cに隣接して配置され、容器2を前記軸方向Aに移動させるために、それぞれの電気永久磁石41cは、前記吸引を引き起こすそれぞれの電気永久磁石41cの外部磁界を生成する対応する電圧パルスがそれぞれの電気永久磁石41cに印加されるとき、その関連付けられた軟磁性部材42を吸引するように構成されている(例えば、それぞれの間隙Gを最小化する磁気抵抗力により)。
【0290】
詳細には、それぞれの電気永久磁石41cは、第1の保磁力を有する第1の磁石420と、第1の保磁力より小さい第2の保磁力を有する第2の磁石421とを含み、導電性導体は、第2の磁石421の磁化を切り替えるように電圧パルスがコイル41に印加されるとき上記の前記吸引/それぞれの磁気抵抗力を引き起こすそれぞれの電気永久磁石41cの外部磁界/磁束が生成されるように、第2の磁石421を少なくとも封入するコイル41を形成するように第2の磁石421に巻回されている。
【0291】
特に、それぞれの電気永久磁石41cの2つの磁石420、421は、関連付けられた軟磁性部材42との間でそれぞれの間隙Gを形成する2つの極片422、423の間に配置され、磁束を案内する。
【0292】
その上、特に、2つの磁石420、421の磁化は、レンズ成形部11が沿って延びる前記平面と平行の向きである。
【0293】
図86にさらに示されるように、それぞれの軟磁性部材42は特に、関連付けられた電気永久磁石41cに対して軸方向Aに垂直にオフセットして配置され、特にそれぞれの電気永久磁石41cは、関連付けられた軟磁性部材42よりもレンズ鏡筒50の径方向にさらに外向きに延びる。
【0294】
その上、
図87は、アクチュエータ手段/アクチュエータ40が、ハウジング60上に配置された複数の電気永久磁石41c、ここでは特に2つの電気永久磁石41cと、環状壁部材300により形成される単一の軟磁性部材とを含み、各電気永久磁石41cが、壁部材300とそれぞれの電気永久磁石41cとの間に間隙Gが形成されるように、今や軸方向Aで壁部材300に対向する、ある代替的な実施形態を示す。容器2を前記軸方向Aに移動させるために、それぞれの電気永久磁石41cは、前記吸引を引き起こすそれぞれの電気永久磁石41cの外部磁界を生成する対応する電圧パルスがそれぞれの電気永久磁石41cに印加されるとき、前記壁部材300を吸引するように構成されている(例えばそれぞれの間隙Gを最小化する磁気抵抗力により)。
【0295】
図88は、ここではアクチュエータ手段40が、ハウジング60上に配置された複数の電磁石41d、特に2つの電磁石41dと、容器2、特に壁部材300に接続された対応する数の軟磁性部材または磁石42とを含み、各軟磁性部材または磁石42が、電磁石41dのきっかり1つに関連付けられ、各軟磁性部材または磁石42が、その関連付けられた電磁石41dに隣接して配置され、容器2を前記軸方向Aに移動させるために、それぞれの電磁石41dが、前記吸引を引き起こすそれぞれの電磁石41dの外部磁界を生成する対応する電流がそれぞれの電磁石(41d)に印加されるとき、それに関連付けられた軟磁性部材または磁石42を吸引するように構成されている(例えば磁力により)、あるさらなる実施形態を示す。
【0296】
さらに、
図88に示されるように、それぞれの電磁石41dは、磁心424を含んでもよく、導電性導体は、電流がコイル41に印加されるとき前記吸引を引き起こすそれぞれの電磁石41dの外部磁界/磁束が生成されるように、磁心424を封入するコイル41を形成するように巻軸を中心として磁心424に巻回される。
図88に表示するように、それぞれの巻軸は、レンズ成形部11が沿って延びる前記平面と平行の向きであり、それぞれの軟磁性部材または磁石42は、関連付けられた電磁石41dに対して軸方向Aに垂直にオフセットして配置され、特にそれぞれの電磁石41dは、関連付けられた軟磁性部材または磁石42よりもレンズ鏡筒50の径方向にさらに外向きに延びる。
【0297】
さらに、
図89は、
図88とは対照的に、それぞれの巻軸が、レンズ成形部11が沿って延びる前記平面に垂直であり、それぞれの軟磁性部材または磁石42が、軸方向Aでそれに関連付けられた電磁石41dに心出しされて対向する、ある代替的な実施形態を示す。
【0298】
アクチュエータ手段/アクチュエータ40、すなわち磁石コイル対、電気永久磁石と軟磁性部材、または電磁石と対応する磁石/軟磁性部材/領域は、上述したように制御ユニットを使用して制御することができ、制御ユニットは、特に自動焦点調節(AF:autofocus)および/または光学的画像安定化(OIS:optical image stabilization)を提供するために、光学素子20/容器2またはレンズ成形部11の所定の軸方向移動または傾動移動を生成するように、コイル41に印加される電流および/または電圧を制御する。
【0299】
さらに、
図93は、光学デバイス1の可能な装着プロセスを説明するための光学デバイス1の分解図を示す。特に、
図93に示される光学デバイス1を組み立てるために、以下のステップが行われ得る。
- 光学デバイス1のハウジング60をイメージセンサ52に接続するステップ(イメージセンサは、基材上またはなんらかのフレーム600上に設けられてもよい)、
- レンズ鏡筒50(レンズ鏡筒50は、任意追加的にレンズ成形部11のための心出し突出部110を鏡筒50の正面側50b上に含む)を前記ハウジング60の陥凹部内に配置し、無限遠物体距離について鮮鋭な焦点を達成するようにレンズ鏡筒50とイメージセンサ52との間の距離を調節するステップと、
- 特に前記コイル41を含むコイル支持体44、特に回路基板をハウジング60上に配置することにより、導電性コイル41をハウジング60上に配置するステップ(コイル支持体は、陥凹部66と位置が合った開口部を含むことができる)と、
- 透明で弾性膨張可能な膜10を有する容器2、膜10に対向する光学素子20、および壁部材300を含む調節可能焦点レンズ2を提供するステップであって、光学素子20および膜10は、ある容積Vを有する前記容器2が形成されるように壁部材300に接続され、流体Fが容器2内に配置され、レンズ成形部11が、(特に曲率調節可能エリア10cが規定されるように、例えば上記も参照されたい)膜10に接続されている、ステップと、
- 各磁石42がコイル41の1つに関連付けられるように、磁石42を含む容器キャリヤ300c上に前記容器2を配置するステップと、
- レンズ成形部(11)がレンズ鏡筒50の正面側50bに配置される(かつ特にレンズ成形部11をレンズ鏡筒50に対して心出しするように突出部110と係合する)ように、容器キャリヤ(300c)および容器(2)をレンズ鏡筒(50)上に配置するステップと、
- 任意追加的にカバーガラス(602)をカバーフレーム(603)に装着するステップと、
- 任意追加的にカバーフレーム(603)をハウジング(60)に装着するステップ。
【0300】
あるいは、レンズ成形部11は、当初、レンズ鏡筒50(
図93の点線)の一部であり、レンズ鏡筒50にすでに接続されている。そのとき、方法は、以下のように行われる。
- 光学デバイス1のハウジング60をイメージセンサ52に接続するステップ(イメージセンサ52は、基材またはなんらかのフレーム600上に設けられてもよい)と、
- レンズ鏡筒50を前記ハウジング60の陥凹部内に配置し、無限遠物体距離について鮮鋭な焦点を達成するようにレンズ鏡筒50とイメージセンサ52との間の距離を調節するステップであって、レンズ鏡筒50は、膜10の曲率調節可能エリア10cを規定するためのレンズ成形部11を含む、ステップと、
- 特に前記コイル41を含むコイル支持体44、特に回路基板をハウジング60上に配置することにより、導電性コイル41をハウジング60上に配置するステップ(コイル支持体は、陥凹部66と位置が合った開口部を含むことができる)と、
- 透明で弾性膨張可能な膜10を有する容器2、膜10に対向する光学素子20、および壁部材300を含む調節可能焦点レンズ2を提供するステップであって、光学素子20および膜10は、ある容積Vを有する前記容器2が形成されるように壁部材300に接続され、流体Fが、容器2内に配置される、ステップと、
- 各磁石42がコイル41の1つに関連付けられるように、磁石42を含む容器キャリヤ300c上に前記容器2を配置するステップと、
- レンズ成形部11が膜10に接触し膜の曲率調節可能エリア10cを規定するように、容器キャリヤ300cおよび容器2をレンズ鏡筒50上に配置するステップと、
- 特にカバーガラス(602)をカバーフレーム(603)に装着するステップと、
- 特にカバーフレーム(603)をハウジング(60)に装着するステップ。
【0301】
最後に、
図95および96は、
図94に示される実施形態の変形例を示し、ここでは
図94と対照的に、脚部311は、レンズ鏡筒50の外に直線的に延び、脚部311は、レンズ鏡筒50内のそれぞれのスロット53を通って延びる第1の部位311aと、第1の部位311aに接続され、第1の部位311aに対して角度(例として80°~100°、特に90°)をなして延びる第2の部位311bとを含み、第2の部位311bは、レンズ鏡筒50の外側にレンズ鏡筒50の横外側50aに沿って、かつレンズ鏡筒50の光軸(または軸方向A)に沿ってまたは平行して、延びる。
【0302】
これは、レンズ鏡筒の上方部位が今や、デバイス1が装着されることになる携帯電話などのさらなるデバイスの筐体/カバーガラスの陥凹部内へ突出することができるように、容器2が配置されるレンズ鏡筒50の上方部位内のデバイス1の直径を低減することを可能にする。対照的に、
図94による設計を使用すると、磁石42および脚部311に必要とされる設置スペースに因りここではレンズ鏡筒50の上方領域は
図95および96の場合ほど細くないので、このような陥凹部はより大きい直径を有さなければならない。
【0303】
さらに、
図95および96は、レンズ成形部11に接続されたばね部材314も示し、ばね部材314は、端部314a(
図79も参照)と共にレンズ鏡筒50上に載置されてもよい。
【0304】
その上、以下において、本発明のさらなる態様を開示し、「項目1」および「項目15」と呼ぶ。これらの項目はまた、本発明の独立請求項として表現されてもよい(例えば、「項目」を「請求項」で置き換えることにより)。さらに、これらの態様の実施形態も以下において開示され、項目としても表示される。実施形態に対応するこれらの項目は、それぞれの独立請求項の従属請求項として表現することができる(例えば、「項目」を「請求項」で置き換えることにより)。かっこ内で述べる数字は、本出願の図面を指す。
【0305】
項目1:
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、光学素子(20)および膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 容積(V)の内側に存在する流体(F)の圧力およびそれによって前記エリア(10c)の曲率を調節するために、光学素子(20)をレンズ成形部(11)に対して軸方向(A)に移動させるように設計されたアクチュエータ手段(40)であって、前記軸方向(A)は、レンズ成形部(11)が沿って延びる平面に垂直の向きであり、前記アクチュエータ手段(40)は、容積(V)を通過する光を偏向させるために特に容積(V)をプリズムへと形成するように、光学素子(20)を前記平面に対して傾動させるように設計されている、アクチュエータ手段(40)と
を備える光学デバイス(1)であって、
レンズ成形部(11)は、開口部(50c)を包囲する周状レンズ鏡筒(50)であって、レンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が開口部(50c)内に配置される、周状レンズ鏡筒(50)、に接続されていることを特徴とする、光学デバイス(1)。
【0306】
項目2:レンズ成形部(11)は、レンズ鏡筒(50)と一体形成され、レンズ鏡筒(50)の正面側を形成し、正面側(11)は、特に膜(10)に接続されていることを特徴とする、項目1に記載の光学デバイス。
【0307】
項目3:レンズ成形部(11)は、レンズ鏡筒(50)の正面側(50b)に接続されている周状材料層(11)により形成され、特に材料層(11)は、膜(10)に接続されていることを特徴とする、項目1に記載の光学デバイス。
【0308】
項目4:レンズ成形部(11)は、膜(10)にプラズマ接合されていることを特徴とする、項目1~3のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0309】
項目5:光学デバイス(1)は、レンズ鏡筒(50)を包囲するハウジング(60)を備えることを特徴とする、項目1~4のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0310】
項目6:ハウジング(60)は、ぴったりと適合するようにレンズ鏡筒(50)を受容するように構成された陥凹部(66)を含み、前記陥凹部(66)は、レンズ鏡筒(50)のハウジング(60)内への装着の際にレンズ鏡筒(50)を案内するようにさらに構成されていることを特徴とする、項目5に記載の光学デバイス。
【0311】
項目7:壁部材(300)は、壁部材(300)が静止位置の外に移動されるとき復元力が壁部材(300)に対して加えられるように壁部材(300)がハウジング(60)に弾性連結されるように、少なくとも1つのばね部材(302)を介してハウジング(60)に接続されていることを特徴とする、項目5または6に記載の光学デバイス。
【0312】
項目8:アクチュエータ手段(40)は、複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)と、少なくとも1つの磁石(42)または対応する数の磁石(42)とを含み、各磁石(42)は、コイル(41)のきっかり1つと関連付けられ、各コイル(41)は、少なくとも1つの磁石(42)もしくはそれに関連付けられた磁石(42)に軸方向(A)で対向し、または各コイル(41)は、少なくとも1つの磁石(42)を包囲し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるとき、それぞれのコイル(41)内の電流の方向に応じてそれぞれのコイル(41)が軸方向(A)に少なくとも1つの磁石(42)に向かって、もしくはそれに関連付けられた磁石(42)に向かって、または少なくとも1つの磁石(42)から離れる方向に、もしくはそれに関連付けられた磁石(42)から離れる方向に、のいずれかに移動されるように、少なくとも1つの磁石(42)またはそれに関連付けられた磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、項目1~7のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0313】
項目9:それぞれのコイル(41)は、前記平面または前記光学素子(20)に垂直に走るコイル軸(A’’)に巻回された導体(410)を含むことを特徴とする、項目8に記載の光学デバイス。
【0314】
項目10:少なくとも1つの磁石(42)または複数の前記磁石(42)は、ハウジング上に配置されること、およびコイル(41)は、壁部材(300)上に配置されることを特徴とする、項目5および項目8~9のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0315】
項目11:少なくとも1つの磁石(42)または複数の前記磁石(42)は、壁部材(300)に接続されること、およびコイル(41)は、ハウジング(60)上に配置されることを特徴とする、項目5に記載の、および項目8~9のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0316】
項目12:壁部材(300)は、ばね部材(302)を一体化部分として含む回路基板として形成され、コイル(41)は、回路基板(300)内に一体化されていることを特徴とする、項目8~10のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0317】
項目13:ハウジング(60)は、少なくとも1つのばね部材(302)が接続されるフレーム部材(303)を支持するためのスペーサ要素(61)を含み、スペーサ要素(61)は、温度による流体(F)の膨張に因る温度誘発性の前記容積(V)の増大を補償するために、温度の上昇に伴って軸方向(A)に膨張するように構成されていることを特徴とする、項目7~12のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0318】
項目14:光学デバイス(1)は、イメージセンサ(52)を備え、カメラを形成し、カメラは、特に携帯電話内に配置されるように構成され、光学素子(20)は、自動焦点調節、特にスーパーマクロ自動焦点調節を提供するために軸方向(A)に移動されるように構成され、かつ/または光学素子(20)は、光学的画像安定化および/もしくは超解像撮像を提供するために容積(V)をプリズムへと形成するように傾動されるように構成されていることを特徴とする、項目1~13のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0319】
項目15:
- 光学デバイス(1)のハウジング(60)内に調節可能焦点レンズを配置するステップであって、調節可能焦点レンズは、透明で弾性膨張可能な膜(10)、膜(10)に対向する光学素子(20)、および壁部材(300)を含み、光学素子(10)および膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように壁部材(300)に接続され、流体(F)が容器(2)内に配置される、ステップと、
- 膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように膜(10)に取り付けられるべきレンズ成形部(11)を含むレンズ鏡筒(50)を提供するステップと、
- レンズ鏡筒(50)を、レンズ成形部(11)が前方にある状態で、レンズ成形部(11)が膜(10)に接触するまでハウジング(60)内を膜(10)に向かって移動させ、その後前記エリア(10c)の曲率およびそれによって焦点調節可能レンズの焦点距離が所望の値に設定されるまでレンズ鏡筒(50)をハウジング(60)内で移動させるステップと、
- レンズ鏡筒(50)をハウジング(60)に固着するステップと
を含む、特に項目1~14のいずれか一つに記載の光学デバイスを製造するための方法。
【0320】
その上、以下において、本発明のさらなる態様を開示し、「目的1」、「目的22」、「目的23」、「目的25」、および「目的26」と呼ぶ。これらの目的はまた、本発明の独立請求項として表現されてもよい(例えば、「目的」を「請求項」で置き換えることにより)。さらに、これらの態様の実施形態も以下において開示され、目的としても表示される。実施形態に対応するこれらの目的は、それぞれの独立請求項の従属請求項として表現することができる(例えば、「目的」を「請求項」で置き換えることにより)。かっこ内で述べる数字は、本出願の図面を指す。
【0321】
目的1:
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、光学素子(20)および膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 開口部(50c)を包囲する周状レンズ鏡筒(50)であって、レンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が開口部(50c)内に配置される、周状レンズ鏡筒(50)と、
- 容積(V)の内側に存在する流体(F)の圧力およびそれによって前記エリア(10c)の曲率を調節するために、光学素子(20)をレンズ成形部(11)に対して軸方向(A)に移動させるように設計されたアクチュエータ手段(40)であって、前記軸方向(A)は、レンズ成形部(11)が沿って延びる平面に垂直の向きである、アクチュエータ手段(40)と
を備える光学デバイス(1)であって、
レンズ成形部(11)は、周状レンズ鏡筒(50)に接続され、光学デバイス(1)は、特に容積(V)をプリズムへと形成するように光学素子(20)を前記平面に対して傾動させる、容器(2)をレンズ鏡筒(50)に対して前記平面と平行に移動させる、レンズ鏡筒(50)を前記容器(2)と共に移動させる、の少なくとも1つを行うように設計されることを特徴とする、光学デバイス(1)。
【0322】
目的2:アクチュエータ手段(40)は、容積(V)を通過する光を偏向させるために特に容積(V)をプリズムへと形成するように、光学素子(20)を前記平面に対して傾動させるように設計されていることを特徴とする、目的1に記載の光学デバイス。
【0323】
目的3:アクチュエータ手段(40)は、特に容積(V)を通過する光を偏向させるために、容器(2)をレンズ鏡筒(50)に対して前記平面と平行に移動させるように設計されていることを特徴とする、目的1または2に記載の光学デバイス。
【0324】
目的4:レンズ成形部(11)は、レンズ鏡筒(50)と一体形成され、レンズ鏡筒(50)の正面側を形成し、正面側(11)は、特に膜(10)に接続されていることを特徴とする、目的1~3のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0325】
目的5:レンズ成形部(11)は、レンズ鏡筒(50)の正面側(50b)に接続されている周状材料層(11)により形成され、特に材料層(11)は、膜(10)に接続されていることを特徴とする、目的1~3のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0326】
目的6:レンズ成形部(11)は、膜(10)にプラズマ接合されていることを特徴とする、目的1~5のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0327】
目的7:光学デバイス(1)は、レンズ鏡筒(50)を包囲するハウジング(60)を備えることを特徴とする、目的1~6のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0328】
目的8:ハウジング(60)は、ぴったりと適合するようにレンズ鏡筒(50)を受容するように構成された陥凹部(66)を含み、前記陥凹部(66)は、レンズ鏡筒(50)のハウジング(60)内への装着の際にレンズ鏡筒(50)を案内するようにさらに構成されていることを特徴とする、目的7に記載の光学デバイス。
【0329】
目的9:壁部材(300)は、壁部材(300)が静止位置の外に移動されるとき復元力が壁部材(300)に対して加えられるように壁部材(300)がハウジング(60)に弾性連結されるように、少なくとも1つのばね部材(302)を介してハウジング(60)に接続されていることを特徴とする、目的7または8に記載の光学デバイス。
【0330】
目的10:アクチュエータ手段(40)は、複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)と、少なくとも1つの磁石(42)とを含み、各コイル(41)は、少なくとも1つの磁石(42)に対向し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるときそれぞれのコイル(41)および少なくとも1つの磁石(42)がそれぞれのコイル(41)内の電流の方向に応じて互いに対して移動するように、少なくとも1つの磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、目的1~9のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0331】
目的11:アクチュエータ手段(40)は、複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)と、対応する数の磁石(42)とを含み、各磁石(42)は、コイル(41)のきっかり1つに関連付けられ、各コイル(41)は、それに関連付けられた磁石(42)に対向し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるときそれぞれのコイル(41)およびそれに関連付けられた磁石(42)がそれぞれのコイル(41)内の電流の方向に応じて互いに対して移動するように、それに関連付けられた磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、目的1~9のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0332】
目的12:アクチュエータ手段(40)は、複数の導電性コイル(41)、特に3つまたは4つのコイル(41)を含み、各コイル(41)は、関連付けられた磁石(42)を包囲し、各コイル(41)は、電流がコイル(41)に印加されるときそれぞれのコイル(41)および関連付けられた磁石(42)がそれぞれのコイル(41)内の電流の方向に応じて互いに吸引または互いに反発するように、関連付けられた磁石(42)と相互作用するように構成されていることを特徴とする、目的1~9のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0333】
目的13:それぞれのコイル(41)は、前記平面または前記光学素子(20)に垂直に走るコイル軸(A’’)に巻回された導体(410)を含むことを特徴とする、目的10~12のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0334】
目的14:少なくとも1つの磁石(42)または前記複数の磁石(42)は、ハウジング上に配置されること、およびコイル(41)は、壁部材(300)に接続されていることを特徴とする、目的7に記載の、および目的10~12のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0335】
目的15:少なくとも1つの磁石(42)または前記複数の磁石(42)は、壁部材(300)に接続されること、およびコイル(41)は、ハウジング(60)上に配置されることを特徴とする、目的7および目的10~12のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0336】
目的16:壁部材(300)は、少なくとも1つのばね部材(302)を一体化部分として含む回路基板として形成され、コイル(41)は、回路基板(300)内に一体化されていることを特徴とする、目的9および目的10~12のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0337】
目的17:ハウジング(60)は、少なくとも1つのばね部材(302)が接続されるフレーム部材(303)を支持するためのスペーサ要素(61)を含み、スペーサ要素(61)は、温度による流体(F)の膨張に因る温度誘発性の前記容積(V)の増大を補償するために、温度の上昇に伴って軸方向(A)に膨張するように構成されていることを特徴とする、目的9に記載の、または目的9に言及するときの目的10~16のいずれか一つに記載の、光学デバイス。
【0338】
目的18:光学デバイス(1)は、イメージセンサ(52)を備え、カメラを形成し、カメラは、特に携帯電話内に配置されるように構成され、光学素子(20)は、自動焦点調節、特にスーパーマクロ自動焦点調節を提供するために軸方向(A)に移動されるように構成され、かつ/または光学素子(20)は、光学的画像安定化および/もしくは超解像撮像を提供するために容積(V)をプリズムへと形成するように傾動されるように構成され、かつ/または容器(2)は、光学的画像安定化および/もしくは超解像を提供するためにレンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動されるように構成され、かつ/または前記レンズ鏡筒(50)は、画像安定化および/もしくは超解像を提供するために容器(2)と共に前記イメージセンサ(52)と平行に移動されるように構成されていることを特徴とする、目的1~17のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0339】
目的19:前記光学素子(20)は、剛性レンズ(20)、特に集光レンズを形成することを特徴とする、目的1~18のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0340】
目的20:剛性レンズ(20)は、平凸レンズ(20)であることを特徴とする、目的19に記載の光学デバイス。
【0341】
目的21:前記光学素子(20)は、前記膜(10)から離れる方向を向く凸表面エリア(20b)を含むことを特徴とする、目的19または20に記載の光学デバイス。
【0342】
目的22:
- 光学デバイス(1)のハウジング(60)内に調節可能焦点レンズを配置するステップであって、調節可能焦点レンズは、透明で弾性膨張可能な膜(10)、膜(10)に対向する光学素子(20)、および壁部材(300)を含み、光学素子(10)および膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように壁部材(300)に接続され、流体(F)が容器(2)内に配置される、ステップと、
- 膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように膜(10)に取り付けられるべきレンズ成形部(11)を含むレンズ鏡筒(50)を提供するステップと、
- レンズ鏡筒(50)を、レンズ成形部(11)が前方にある状態で、レンズ成形部(11)が膜(10)に接触するまでハウジング(60)内を膜(10)に向かって移動させ、その後前記エリア(10c)の曲率およびそれによって焦点調節可能レンズの焦点距離が所望の値に設定されるまでレンズ鏡筒(50)をハウジング(60)内で移動させるステップと、
- レンズ鏡筒(50)をハウジング(60)に固着するステップと
を含む、特に目的1~21のいずれか一つに記載の光学デバイスを製造するための方法。
【0343】
目的23:光学デバイス(1)であって、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、光学素子(20)および膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 開口部(50c)を包囲する周状レンズ鏡筒(50)であって、レンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が開口部(50c)内に配置される、周状レンズ鏡筒(50)と、
- 容積(V)の内側に存在する流体(F)の圧力およびそれによって前記エリア(10c)の曲率を調節するためにレンズ成形部(11)を光学素子(20)に対して軸方向(A)に移動させるように設計されたアクチュエータ手段(40)であって、前記軸方向(A)は、レンズ鏡筒(50)の少なくとも1つの剛性レンズ(51)が沿って延びる平面に垂直の向きである、アクチュエータ手段(40)と
を備え、
- 光学素子(20)は、レンズ鏡筒(50)に強固に接続され、
- 光学デバイス(1)は、レンズ成形部(11)を前記平面に対して傾動させる、レンズ成形部(11)をレンズ鏡筒に対して前記平面と平行に移動させる、レンズ鏡筒(50)を容器(2)と共に移動させる、の少なくとも1つを行うように設計されている、光学デバイス(1)。
【0344】
目的24:前記光学素子(20)は、透明で弾性膨張可能な膜(20)を形成することを特徴とする、目的1~21および目的23のいずれか一つに記載の光学デバイス。
【0345】
目的25:特に目的1~21、23、24のいずれか一つに記載の光学デバイス(1)の光学的画像安定化機能を較正するための方法であって、光学デバイス(1)は、イメージセンサ(52)を備え、カメラを形成し、方法は、
- 光学デバイス(1)の画像プレビューモード中の光学デバイス(1)の移動を測定するステップであって、移動は、光学デバイス(1)によりイメージセンサ(52)上に投影される画像のシフトをもたらす、ステップと、
- 光学デバイス(1)のアクチュエータ手段(40、400)に信号を印加するステップであって、信号は、光学的画像安定化を提供するために、イメージセンサ(52)上の前記画像の前記シフトを少なくとも部分的に補償するようにアクチュエータ手段(40、400)に促す、ステップと、
- イメージセンサ(52)により生成される画像の鮮鋭度を自動的に決定するステップと、
- 前記アクチュエータ手段(40、400)に印加される信号の振幅を比例定数により増加または減少させるステップと、
- 前記信号のうち、最高の鮮鋭度を有する画像が得られる1つの信号を決定するステップと、
- 比例定数を較正データとして光学デバイス(1)内に記憶するステップと
を含む、方法。
【0346】
目的26:特に目的1~21、23、24のいずれか一つに記載の光学デバイス(1)の自動焦点調節機能を較正するための方法であって、光学デバイス(1)は、カメラとして形成され、方法は、
- 光学デバイス(1)と物体との間の距離を光学デバイス(1)の距離センサを使用して測定するステップと、
- 対応する電流信号を光学デバイス(1)のアクチュエータ手段(40)に印加することにより光学デバイス(1)の異なる焦点距離にわたって進むステップと、
- 各焦点距離における画像の画像鮮鋭度を分析するステップと、
- 画像が最高の鮮鋭度を有していた電流信号を、光学デバイス(1)と物体との間の測定された距離と共に記憶するステップと
を含む、方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス(1)であって、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 前記膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように前記膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、前記エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 開口部(50c)を包囲する周状のレンズ鏡筒(50)であって、前記周状のレンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が前記開口部(50c)内に配置される、周状のレンズ鏡筒(50)と、
- 前記容積(V)内に存在する前記流体(F)の圧力およびそれによって前記エリア(10c)の曲率を調節するように、前記レンズ成形部(11)を、所定の位置に保持される前記光学素子(20)に向かって、または離れる方向に軸方向(A)に移動させるように設計されたアクチュエータ手段(40)であって、前記軸方向(A)は、前記少なくとも1つの剛性レンズ(51)が沿って延びる平面に垂直の向きである、アクチュエータ手段(40)と、
を備え、
前記アクチュエータ手段(40)は、磁石(42)と、対応する数のコイル(41)とを含み、
前記磁石(42)のそれぞれは、正確に前記コイル(41)の1つに関連付けられ、前記磁石(42)のそれぞれは、軸方向Aで関連する前記コイル(41)に対向し、
前記コイル(41)は、それぞれ、前記磁石(42)の下方に第1の部位(411)を含み、前記第1の部位(411)では、それぞれ、電流(I)が第1の方向に、かつ磁石(42)の磁界(B)に垂直に流れ、隣り合う第2の部位(412)では、それぞれ、電流(I)は、前記第1の方向に反対で、かつ磁石(42)の磁界(B)に垂直な方向に流れ、
前記磁石(42)は、それぞれ、前記電流(I)が印加されるとき、生成されるローレンツ力(FL)が軸方向(A)に沿った向きになり、磁石(42)およびコイル(41)をコイル(41)内の前記電流(I)の方向に応じて互いに吸引または互いに反発させるために、磁界(B)が軸方向(A)に垂直に延びるように、第1の部位(411)および前記第2の部位(412)に対して心出しされる、光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記光学デバイス(1)は、
- 前記光学素子(20)を、光学的画像安定化を提供するために、前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記レンズ成形部(11)が沿って延びる前記平面に対して傾動させること、
- 前記レンズ成形部(11)を、光学的画像安定化を提供するために、前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面に対して傾動させること、
- 光学的画像安定化を提供するために、前記容器(2)を前記周状のレンズ鏡筒(50)に対して、前記レンズ成形部(11)が沿って延びる前記平面と平行に移動させること、
- 光学的画像安定化を提供するために、前記レンズ成形部(11)を前記周状のレンズ鏡筒(50)および/または前記容器(2)に対して、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面と平行に移動させること、
- 光学的画像安定化を提供するために、前記周状のレンズ鏡筒(50)を前記容器(2)と共に、前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)と平行に移動させ、前記周状のレンズ鏡筒(50)が、前記イメージセンサ(52)の前に配置されること、
- 光学的画像安定化を提供するために、前記周状のレンズ鏡筒(50)を前記容器(2)と共に、前記光学デバイス(1)のイメージセンサ(52)に対して傾動させ、前記周状のレンズ鏡筒(50)が、前記イメージセンサ(52)の前に配置されること、
の少なくとも1つを行うように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記容積(V)を通過する光を偏向させるために、前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記光学素子(20)を前記平面に対して傾動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記容積(V)を通過する光を偏向させるために、前記容積(V)をプリズムへと形成するように、前記レンズ成形部(11)を、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面に対して傾動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記容積(V)を通過する光を偏向させるために、前記容器(2)を前記周状のレンズ鏡筒(50)に対して前記平面と平行に移動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記容積(V)を通過する光を偏向させるために、前記レンズ成形部(11)を前記周状のレンズ鏡筒(50)および/または前記容器(2)に対して、前記剛性レンズ(51)が沿って延びる前記平面と平行に移動させるように設計されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記レンズ成形部(11)は、前記周状レンズ鏡筒(50)に接続されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記アクチュエータ手段(40)は、前記レンズ成形部(11)を前記軸方向(A)に移動させるために前記周状のレンズ鏡筒(50)を前記軸方向(A)に移動させるように設計されていることを特徴とする、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記レンズ成形部(11)は、前記膜(10)にプラズマ接合されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記レンズ成形部(11)は、前記周状のレンズ鏡筒(50)と一体形成され、前記周状のレンズ鏡筒(50)の正面側(50b)の一部をなすか、または前記周状のレンズ鏡筒(50)の正面側(50b)から突出し、前記レンズ成形部(11)は、前記膜(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記レンズ成形部(11)は、前記周状のレンズ鏡筒(50)の正面側(50b)に接続されている周状部材(11)、周状材料層(11)により形成され、前記周状部材(11)は、前記膜(10)に接続されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記レンズ成形部(11)は、金型インサートであり、前記金型インサートは、前記周状のレンズ鏡筒の前記正面側の陥凹部に組み込まれることを特徴とする、請求項11に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記周状のレンズ鏡筒(50)は、前記周状のレンズ鏡筒(50)の前記正面側(50b)から突出する突出部(110)を含み、前記突出部(110)は、前記レンズ成形部(11)がぴったりと適合するように前記突出部(110)と係合するとき、前記レンズ成形部(11)を前記周状のレンズ鏡筒(50)に対して心出しするように構成されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記レンズ成形部(11)は、前記突出部(110)を囲撓するように構成されていることを特徴とする、請求項13に記載の光学デバイス。
【請求項15】
光学デバイス(1)であって、
- 透明で弾性膨張可能な膜(10)と、
- 前記膜(10)に対向する光学素子(20)と、
- 壁部材(300)であって、前記光学素子(20)および前記膜(10)は、ある容積(V)を有する容器(2)が形成されるように前記壁部材(300)に接続される、壁部材(300)と、
- 前記容積(V)内に存在する流体(F)と、
- 前記膜(10)の曲率調節可能エリア(10c)を規定するように前記膜(10)と接するレンズ成形部(11)であって、前記エリア(10c)が前記光学素子(20)に対向する、レンズ成形部(11)と、
- 開口部(50c)を包囲する周状のレンズ鏡筒(50)であって、前記周状のレンズ鏡筒(50)により保持される少なくとも1つの剛性レンズ(51)が前記開口部(50c)内に配置される、周状のレンズ鏡筒(50)と、
- 前記レンズ成形部(11)を、所定の位置に保持される前記光学素子(20)に向かって、または離れる方向に軸方向(A)に移動させるように設計された、アクチュエータ手段(40)であって、前記軸方向(A)は、前記少なくとも1つの剛性レンズ(51)が沿って延びる平面に垂直の向きである、アクチュエータ手段(40)と、
を備え、
レンズ成形部キャリヤ(310)に接続される前記レンズ成形部(11)であって、前記レンズ成形部キャリヤ(310)は、前記レンズ成形部(11)に接続される脚部(311)を含み、
それぞれの前記脚部(311)は、前記周状のレンズ鏡筒(50)内に形成された関連付けられたスロット(53)を通って、前記レンズ成形部(11)から外向きに延び、それぞれの前記脚部(311)は、レンズ成形部(11)を軸方向(A)に移動させるようにおよび/またはレンズ成形部(11)を傾動させるように、アクチュエータ手段(40)と相互作用する、光学デバイス(1)。
【外国語明細書】