(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100772
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】電気的コネクタアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20230711BHJP
H01R 13/533 20060101ALI20230711BHJP
H01R 13/46 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01R13/52 A
H01R13/533 Z
H01R13/46 301M
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073622
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2021540777の分割
【原出願日】2019-09-19
(31)【優先権主張番号】16/139,809
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518148098
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(71)【出願人】
【識別番号】521122555
【氏名又は名称】エスピーアイ オートモーティブ エヌ.エー.インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ノゲス,アリツ
(72)【発明者】
【氏名】カーン,エム.サルマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォンコヴァ,ロマーナ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】密封効果を改良し且つ電解腐食のおそれを低減してそれにより電気コネクタの耐久性及び寿命を改良するコネクタを提供する。
【解決手段】雌部材及び雄部材を有する電気的コネクタアセンブリを提供する。雌部材は、円環形状に形成され第1内部空間を規定する周縁壁と、複数の外側壁とを備える。複数の外側壁はそれぞれ、半円環形状に形成され、第1内部空間の外側に位置する複数の第2内部空間を規定する。特に、周縁壁は、複数の外側壁に対応する複数のスロットを有し、複数のスロットは、第1内部空間を複数の第2内部空間と連通させている。雄部材は、対応する第2内部空間及びスロットにより受けられるような寸法の複数の隔壁を備え、これにより、隔壁は、第1内部空間を、雄部材の電気的プロング毎に、対応するチャンバに分離する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的雌コネクタであって、
複数の隔壁を備えて形成される電気的雄コネクタ用の上部開放端を有し、
ポスト軸に沿って並んだ複数の電気的ポストを備え、
下部板と、
周縁外壁であって、
前記下部板から交差するように第1方向に延在しており、
前記下部板と共に前記電気的雌コネクタの内部空洞を画定するように構成されており、
前記第1方向に沿って形成されている複数のスロットであって、該周縁外壁を複数の部分壁に分割するように構成されている複数のスロットを有する周縁外壁と、
複数の突出側壁であって、
該複数の突出側壁はそれぞれ、前記周縁外壁から外方へ突出しており、
分割された前記複数の部分壁のうち少なくとも2つの部分壁を互いに連続的に接続するようにそれぞれ構成されており、これにより、前記周縁外壁及び前記複数の突出側壁が、前記電気的雌コネクタの連続的な外側壁を形成する突出側壁と、
複数の内向き突起であって、
該複数の内向き突起はそれぞれ、対応する前記突出側壁から内方へ突出しており、
前記複数のスロットのうちの対応する前記スロットを、第1副スロットと第2副スロットとに分割するようにそれぞれ構成されている複数の内向き突起と
を備え、
少なくとも2つの内向き突起は、向かい合っており、
前記電気的雄コネクタの前記各隔壁の対応する部分を受けるように構成された間隙(G)を形成するように構成されており、
向かい合う前記少なくとも2つの内向き突起の長さは、互いに異なるように設定されており、その結果、前記間隙(G)は、前記内部空洞内の対応する電気ポストの位置とずれており、かつ、前記ポスト軸から横方向に間隔をあけて配置されており、
前記突出側壁及び前記内向き突起は、複数の電気的ポストの間に配置されており、
前記複数の突出側壁はそれぞれ、前記電気的雄コネクタの隔壁の対応する部分を受けるように構成されているチャンバを形成するように構成されており、
前記各スロット及び前記各チャンバは、前記電気的雄コネクタの前記隔壁の前記対応する部分の断面形状に適合する断面形状を成し、
前記電気的雄コネクタの前記隔壁が、前記電気的雌コネクタの前記チャンバ内に前記各スロットに沿って挿入されると、前記電気的雌コネクタの前記内部空洞は、電気的ポスト毎に、複数の絶縁チャンバに分割される
ことを特徴とする電気的雌コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載の電気的雌コネクタであって、
前記複数の内向き突起は、対応する前記突出側壁から内方へX方向に突出しており、
前記間隙(G)として、第一間隙と第二間隙が設けられており、
前記第一間隙の前記X方向における位置は、前記第二間隙の前記X方向における位置と異なることを特徴とする電気的雌コネクタ。
【請求項3】
請求項1に記載の電気的雌コネクタであって、
前記チャンバは、対応する前記スロットを介して、前記内部空洞に開放されている
ことを特徴とする電気的雌.コネクタ。
【請求項4】
請求項1に記載の電気的雌コネクタであって、
前記各スロット及び前記各チャンバは、前記電気的雄コネクタの対応する前記隔壁の断面形状に適合する断面形状を成す
ことを特徴とする電気的雌コネクタ。
【請求項5】
請求項1に記載の電気的雌コネクタであって、
前記複数の内向き突起のうち少なくとも2つの内向き突起は、向かい合うように配置され、
これにより、前記少なくとも2つの内向き突起と、前記少なくとも2つの内向き突起を取り囲む前記第1副スロット及び前記第2副スロットとが、前記電気的雄コネクタの対応する前記隔壁のH字型断面に適合する開口形状を成し、前記複数の絶縁チャンバが形成される
ことを特徴とする電気的雌コネクタ。
【請求項6】
電気的コネクタアセンブリであって、
雌部材であって、該雌部材は、
円環形状に形成され第1内部空間を規定する周縁壁と、
下部板であって、該下部板の上面に配置された複数の電気的ポストを有する下部板と、
前記周縁壁の外側に位置する複数の外側壁であって、
該複数の外側壁はそれぞれ、半円環形状に形成され、前記第1内部空間の外側に位置する複数の第2内部空間を規定する複数の外側壁と
を備え、
前記周縁壁は、前記複数の外側壁に対応する複数のスロットを有し、
前記複数のスロットは、前記第1内部空間を前記複数の第2内部空間と連通させている
雌部材と、
雄部材であって、
該雄部材は、対応する第2内部空間及びスロットにより受けられるような寸法の複数の隔壁を備え、
これにより、前記隔壁は、前記第1内部空間を、前記雄部材の電気的プロング用に、
複数のチャンバに分離する
雄部材と
を備え、
複数の溝が、前記下部板の前記上面に形成されており、
前記複数の隔壁の各下方端部分は、前記複数の溝にそれぞれ嵌合する
ことを特徴とする電気的コネクタアセンブリ。
【請求項7】
請求項6に記載の電気的コネクタアセンブリであって、
前記複数の電気的ポストのうちのいくつかの電気的ポストはそれぞれ、
前記複数のチャンバのうちのいくつかのチャンバ内に収容され、且つ、
前記雄部材の前記電気的プロングと連結するように構成される
ことを特徴とする電気的コネクタアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の電気的コネクタアセンブリであって、
前記電気的コネクタアセンブリは、複数の内向き突起をさらに備え、
前記複数の内向き突起はそれぞれ、前記複数の外側壁のうちの対応する外側壁から内方へ突出し、
前記複数の内向き突起は、前記複数のスロットを、第1副スロット及び第2副スロットにそれぞれ分割するように構成され、
前記複数の内向き突起のうち少なくとも2つの内向き突起は、向かい合うように配置され、
これにより、前記少なくとも2つの内向き突起と、前記少なくとも2つの内向き突起を取り囲む前記第1副スロット及び前記第2副スロットとが、前記複数の隔壁のうちの対応する隔壁のH字型断面に適合する開口形状を成し、前記複数のチャンバが絶縁される
ことを特徴とする電気的コネクタアセンブリ。
【請求項9】
電気的雌コネクタであって、
円環形状に形成されて第1内部空間を規定する周縁壁と、
前記周縁壁の外側に位置する複数の外側壁であって、
該複数の外側壁はそれぞれ、半円環形状に形成され、前記第1内部空間の外側に位置する複数の第2内部空間を規定する複数の外側壁と、
前記複数の外側壁の各外側壁に対応する内向き突起と
を備え、
前記周縁壁は、前記複数の外側壁に対応する複数のスロットを有し、
前記複数のスロットは、前記第1内部空間を前記複数の第2内部空間と連通させており、
前記内向き突起はそれぞれ、前記外側壁から内方へ突出しており、
前記内向き突起はそれぞれ、前記第2内部空間及び前記スロットをそれぞれ分割するように構成されており、これにより、電気的雄コネクタの隔壁のH字型断面に適合する開口形状が形成される
ことを特徴とする電気的雌コネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載の電気的雌コネクタであって、
前記電気的雌コネクタの少なくとも2つの内向き突起は、向かい合っており、
前記電気的雄コネクタの前記各隔壁の対応する部分を受けるように構成された間隙(G)を形成するように構成されている
ことを特徴とする電気的雌コネクタ。
【請求項11】
請求項10に記載の電気的雌コネクタであって、
前記向かい合う隔壁の内向き突起の長さは、互いに異なるように設定されている
ことを特徴とする電気的雌コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
このPCT国際出願は、合衆国法典第35編119条に基づき、2018年9月24日付けで出願した合衆国特許出願第16/139,809号の優先権の利益を主張するものであり、ここに参照によりその内容の全体を本明細書に援用する。
【0002】
本開示は車両用の電気的コネクタアセンブリに関する。この電気組立体は雄コネクタと雌コネクタとを備えてもよい。
【背景技術】
【0003】
本項での記載は、本開示に関する背景情報を提供するものにすぎず、先行技術を構成するものではない。
【0004】
車両の動作や制御を行うために、車両には、エンジン、トランスミッション、燃料タンク、ホイール等の様々な電気的装置及び機械的装置が装備されている。このような装置の間で電力又は信号を伝送するために、電気的ケーブル及びコネクタが使用されている。それらの装置及び電気部品(コネクタ、ケーブル)は、設けられた場所によって異なる環境に晒されており、このため特定の場所及び条件での使用に適するように特別に設計される。
【0005】
例えば、車両用燃料を貯蔵する燃料タンクは燃料ポンプを備え、この燃料ポンプにより、燃料タンクから燃料路を介して燃料を車両のエンジンに放出し、送出された燃料は、エンジンのシリンダ内に注入されて燃焼し、エンジンを動かす動力を発生させる。燃料ポンプは、バッテリ又は発電機から電力ケーブルを介して送られる電力により動作する。電力ケーブルは、燃料ポンプと、燃料タンク内部の燃料レベルを測定する燃料レベルセンサ等の他のセンサとに接続される。燃料タンクが燃料で満たされると、燃料タンクの内部に配設される電気ケーブル及びコネクタは、燃料に直接接触する。
【0006】
電気ケーブルが各電気コネクタを介して燃料ポンプと各センサとに電気的に接続されているので、電気ケーブルと、コネクタと、燃料ポンプ及び各センサ用の各電気的端子との間を接続するには、ポンプ及び各センサのケーブル用及びポンプ及び各センサの電気端子用の各コネクタ内に燃料が浸入するのを抑制又は防止するある種の密封が必要である。
【0007】
各コネクタ内に燃料が浸透すると、ポンプ又は各センサの各電気的端子が燃料と接触し、ポンプ及び各センサの各電気端子に化学腐食や電解腐食が生じる。特に、アルコール混合燃料又はエタノール固定燃料等の高導電性燃料は、通常のガソリンに比べて導電性が劇的に増加するので、電気端子の電解腐食は、より一層問題になる。
【0008】
一般に、極性が正反対である2つの端子が同じ空間内で燃料に晒されると電解腐食が生じる。例えば、電気コネクタの同じ空間(チャンバ等)内に正端子と負端子とが共存する場合、燃料がチャンバ内に浸入した際には燃料を介して電流経路が形成される。この結果、両端子において電気化学的腐食(電解腐食)が生じ、電気的コネクタ内に収容される各端子間の電気的な連続性が、最終的にはこの腐食により損なわれる。アルコール混和燃料又はエタノール型燃料では電解腐食が悪化する。電気コネクタの同一チャンバ内に共存する両端子(即ち正端子及び負端子)間の距離がより短かければこのような電解腐食の生成がより容易になるため、これらの端子を離間して端子間の距離をより長くすることが望ましいということを、本発明者らは発見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
密封効果を改良し且つ電解腐食のおそれを低減してそれにより電気コネクタの耐久性及び寿命を改良するために、本開示は、端子毎に個別のチャンバを備えるコンパクトなコネクタアセンブリを提供する。
【0010】
一形態において、本開示は、電気的雌コネクタであって、複数の隔壁を備えて形成される電気的雄コネクタ用の上部開放端を有する電気的雌コネクタを提供する。電気的雌コネクタは、下部板と、周縁外壁と、複数の突出側壁とを備える。周縁外壁は、下部板から交差するように第1方向(Z方向)に延在しており、下部板と共に電気的雌コネクタの内部空洞を画定するように構成されている。周縁外壁は、第1方向に沿って形成される複数のスロットを有し、この複数のスロットは、周縁外壁を複数の部分壁に分割するように構成されている。複数の突出側壁はそれぞれ、周縁外壁から外方へ突出しており、分割された複数の部分壁のうち少なくとも2つの部分壁を互いに連続的に接続するようにそれぞれ構成されており、周縁外壁及び複数の突出側壁が、電気的雌コネクタの連続的な外側壁を形成する。
【0011】
特に、複数の突出側壁はそれぞれ、電気的雄コネクタの隔壁の対応する部分を受けるチャンバを形成しており、各スロット及び各チャンバは、電気的雄コネクタの隔壁の対応する部分の断面形状(cross sectional profile)に適合する断面形状を成す。この配置により、電気的雄コネクタの隔壁が、電気的雌コネクタの対応するチャンバ内に各スロットに沿ってそれぞれ挿入されると、電気的雌コネクタの内部空洞は、電気的ポスト毎に、複数の絶縁チャンバに分割される。
【0012】
別の形態においては、チャンバは、対応するスロットを介して、内部空洞に開放されており、各スロット及び各チャンバは、共同して、電気的雄コネクタの対応する隔壁の断面形状に適合する断面形状を成す。
【0013】
電気的雌コネクタは、複数の内向き突起をさらに備えてもよく、これらの内向き突起はそれぞれ、対応する突出側壁から内方へ突出しており、複数のスロットのうち対応するスロットを、第1副スロットと第2副スロットとにそれぞれ分割する。そして、電気的雌コネクタの少なくとも2つの内向き突起は向かい合っており、電気的雄コネクタの各隔壁の対応部分を受ける間隙「G」を形成する。ある形態においては、向かい合う隔壁の内向き突起の長さは、互いに異なるように設定されている。
【0014】
本開示の別の態様においては、複数の突出側壁と、第1及び第2副スロットとが対になるように形成されている。各対は、内向き突起と第1及び第2副スロットとを有し、この内向き突起と第1及び第2副スロットとは、この対の他方の内向き突起と第1及び第2副スロットとに向かい合う。これにより、各対は、電気的雄コネクタの対応する隔壁のH字型断面に適合する開口形状を成し、複数の絶縁チャンバが形成される。
【0015】
本開示の別の形態においては、電気的コネクタアセンブリが提供され、このコネクタアセンブリは、雄部材と連結される雌部材を備える。雌部材は、円環形状に形成され第1内部空間を規定する周縁壁と、周縁壁の外側に位置する複数の外側壁とを備えてもよい。この複数の外側壁はそれぞれ、半円環形状に形成され、第1内部空間の外側に位置する複数の第2内部空間を規定する。特に、周縁壁は、複数の外側壁に対応する複数のスロットを有してもよく、複数のスロットは、第1内部空間を複数の第2内部空間と連通させている。
【0016】
雄部材は、対応する第2内部空間及びスロットにより受けられるような寸法の複数の隔壁を備えてもよい。これにより、隔壁は、第1内部空間を、雄部材の電気的プロング毎に、対応するチャンバに分離する。
【0017】
さらに別の形態においては、雌部材の下部板上に複数の電気的ポストを配置してもよい。電気的ポストはそれぞれ、対応するチャンバ内に収容され、雄部材の対応する電気的プロングと連結するように構成される。
【0018】
さらに、本明細書において提供する記載から、適用可能な領域が明らかになる。この記載及び具体的な例は、説明のためのみを意図しており、本開示の範囲を限定することを意図するものではないということは理解されるべきである。
【0019】
次に、本開示をよく理解できるようにするために、添付の図面を参照して、例として与えられるその様々な形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3D】電気的雌コネクタの、
図3AのB‐B線に沿った断面図である。
【
図4D】電気的雄コネクタの、
図4AのA‐A線に沿った断面図である。
【
図6】電気的雌コネクタと電気的雄コネクタが共に組立てられている状態における電気的雌コネクタの部分「C」の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載する図面は、図解の目的のみのものであり、本開示の範囲を限定することが意図されるものでは決してない。
【0022】
以下の記載は、実際に単に例示的なものであり、本開示、応用例又は使用を限定することが意図されるものではない。図面を通して、対応する参照符号が、類似の又は対応する部分及び特徴を示すことが理解されるべきである。
【0023】
図1は、本開示の一形態としての電気的コネクタアセンブリ10を示す。電気的コネクタアセンブリ10は、電気的雌コネクタ100と、電気的雄コネクタ200とを備える。電気的雄コネクタ200が電気的雌コネクタ100内に水密な態様で嵌合することにより、燃料等の液体が電気的コネクタアセンブリの内部に浸入することを抑制して、電気的コネクタアセンブリの内部に収容される電気的端子間の電解腐食のおそれを低減する。ある形態においては、電気的コネクタアセンブリ10は、車両の燃料タンクの内部に配設されており、このため、燃料タンク内に貯蔵されている燃料に晒される。
【0024】
本開示の一形態における電気的雌コネクタ100及び雄コネクタ200の構造を、
図2~
図5を用いて詳細に記載する。
図2は、電気的雌コネクタ100の斜視図である。
図3Aは、電気的雌コネクタ100の上面図である。
図3Bは、電気的雌コネクタ100の正面図である。
図3Cは、電気的雌コネクタ100の側面図である。
図3Dは、本開示の形態の一つにおける電気的雌コネクタの、
図3AのB‐B線に沿った断面図である。
【0025】
図2及び
図3A~
図3Dを参照すると、電気的雌コネクタ100は、電気的雄コネクタ200が挿入される上部開放端を有している。さらに、電気的雌コネクタ100は、下部板120と、この下部板から交差するように第1方向(Z方向)へ延在し且つ電気的雌コネクタの内部空洞110を下部板と共に画定する周縁外壁130とを備える。特に、周縁外壁130は、複数のスロット180(182、184)を有し、このスロット180は、第1方向に沿って形成されており周縁外壁130を複数の部分壁134に分割する。分割された部分壁134は各突出側壁140により互いに連続的に接続される。突出側壁140はそれぞれ、周縁外壁130から外方へ突出し、分割された部分壁134の少なくとも2つを互いに連続的に接続する。これにより、周縁外壁130及び複数の突出側壁140は、電気的雌コネクタ100の連続的な外側壁を形成する。
図2及び
図3Aに示すように、左端の部分壁及び右端の部分壁134は、この右端の部分壁と左端の部分壁との間に配置される他の部分壁と比べると、異なる形状を有する。ある形態においては、左端の部分壁及び右端の部分壁134は半円環形状であり、中間に位置する他の部分壁は平坦な形状である。
【0026】
図4A~
図4D及び
図5は電気的雄コネクタ200の詳細な構造を示す。
図4Aは、本開示の形態の一つにおける電気的雄コネクタ200の正面図であり、
図4Bは電気的雄コネクタの底面図であり、
図4Cは電気的雄コネクタの側面図であり、
図4Dは、
図4AのA‐A線に沿った電気的雄コネクタの断面図である。
図5は、本開示の形態の一つにおける電気的雄コネクタの斜視図である。
【0027】
図2、
図3A、
図4A~
図4Cを参照すると、複数の突出側壁はそれぞれ、チャンバ150(152、154)を形成しており、ここで電気的雄コネクタ200の隔壁210の対応する部分を受ける。また、電気的雌コネクタ100のそれぞれのスロット180及びそれぞれのチャンバ150は、電気的雄コネクタ200の隔壁210の対応する部分の断面形状に適合する断面形状を成す。この構成により、電気的雄コネクタの隔壁210が、各スロットに沿って、電気的雌コネクタの対応するチャンバ内にそれぞれ挿入されると、電気的雌コネクタの内部空洞110は、電気的ポスト160毎に、且つ、電気的雄コネクタの対応する電気的プロング220毎に、複数の絶縁チャンバ111、112、113、114に分割される。この電気的プロングは、絶縁チャンバのうちの1つのチャンバ内で、電気的ポストと連結される。
【0028】
図2及び
図3Dに示すように、雌コネクタ100の下部板120上に複数の電気的ポスト160が配置されている。電気的ポスト160はそれぞれ、対応するチャンバ111、112、113、114内に収容され、電気的雄コネクタ200の対応する電気的プロング220と連結される。
【0029】
ある形態において、電気的雌コネクタ100のチャンバ150(152、154)は、対応するスロット180(182、184)を介して、内部空洞110に開放されている。また、電気的雄コネクタの各隔壁210が電気的雌コネクタの各チャンバ150(152、154)及び各スロット180(182、184)に挿入されると、電気的雄コネクタ200の各隔壁210の下方端部分が、下部板120の上面に形成された溝122にそれぞれ嵌合する。これにより、電気的雌コネクタ100の内部空洞110が複数の絶縁チャンバ111、112、113、114に分割され、絶縁チャンバ内では、それぞれの電気的ポスト160と電気的プロング220とが、機械的に且つ電気的に互いに接続される。
【0030】
例えば、絶縁チャンバ111において、負の電気的ポスト160が負の電気的プロング220に連結されるのに対して、別の絶縁チャンバ112内では、正の電気的ポスト160が正の電気的プロングに連結される。絶縁チャンバ111及び112は、電気的雄コネクタ200の挿入された隔壁210によって分離され、且つ、電気的雌コネクタ100の隔壁(即ち内向き突起)190、192によっても分離される。このことを以下で詳細に記載する。
【0031】
ある形態において、電気的雌コネクタ100は、複数の内向き突起190、192を備え、この内向き突起はそれぞれ、突出側壁140それぞれから内方へ突出し、複数のスロットのうちの対応するスロット180を、
図2及び
図3Aに示すような第1副スロット182及び第2副スロット184にそれぞれ分割する。別の形態においては、電気的雌コネクタ100の少なくとも2つの内向き突起190、192が向かい合っており、電気的雄コネクタ200の各隔壁210の対応する部分211を受ける間隙「G」を形成する。別の形態においては、望ましい場合は、電気的雌コネクタ100の向かい合う2つの内向き突起190、192が、間隙が全くない1つの壁に一体化され、単一の隔壁を形成する。
【0032】
別の形態においては、内向き突起190、192の長さは、互いに異なるように設定されている。例えば、
図2及び
図3Aに示すように、X方向における内向き突起190の長さ「L1」は、他方の内向き突起192の長さ「L2」よりも長く、このように間隙「G」が形成されている。別の方法として、長い内向き突起190及び短い内向き突起192を、電気的雌コネクタ100の外側壁に沿ってY方向に配置することができる。この配置により、電気的雌コネクタの内部に燃料が浸入した際に電気的コネクタアセンブリ又は雌コネクタの内部で燃料が循環するのを妨げるさらなる障壁が提供される。
【0033】
図3Dは、
図3AのB‐B線に沿った電気的雌コネクタの断面図であり、電気的雄コネクタ200の電気的プロング220を受ける深さと隔壁210を受ける深さが異なることを示す。詳細には、電気的プロング220を受ける雌コネクタ100の絶縁チャンバ111、112、113、114の深さ「D1」は、雄コネクタ200の隔壁210を受ける雌コネクタ100の各部分の深さよりも小さく、これにより、雄コネクタの隔壁210は下部板120によりしっかりと確実に嵌合する。さらに、この深さの差が、絶縁チャンバ111、112、113、114の間において雌コネクタ内に浸入する燃料の流れを遮断する別の障壁を作り出し、これにより、正反対の極性が同一空間内で同じ燃料に晒される際に生じる電解腐食のおそれは著しく低減される。
【0034】
図4A~
図4D及び
図5を参照すると、電気的雄コネクタ200の隔壁210の部分211は、互いに平行な隣接する2つの隔壁210を接続するウェブの形態を有しており、共同して「H字」形状の断面を成している。このように、電気的雌コネクタ100は、電気的雄コネクタ200の隔壁210のH字型断面に適合する開口形状を有し、これにより互いに堅固に係合する。
【0035】
長い内向き突起190及び短い内向き突起192は、上述のように、別の方法として、電気的雌コネクタ100の外側壁に沿って配置できるので、電気的雌コネクタ100の2つの内向き突起190、192の間に形成される間隙「G」の位置は適宜変動する。各隔壁210の部分211の位置はそれぞれ、雌コネクタの対応する間隙「G」の位置に応じて配置され、適切に係合される。
【0036】
図2及び
図3Aを参照すると、複数の突出側壁140と、第1副スロット182及び第2副スロット184とは対になるように形成されている。例えば、第1の対は、内向き突起190と第1副スロット182及び第2副スロット184とを有し、第1の対と向かい合う第2の対は、他方の内向き突起192と第1副スロット182及び第2副スロット184とを有する。これにより、互いに向き合う第1の対及び第2の対は、電気的雄コネクタ200の対応する隔壁210のH字型断面に適合する開口形状を成し、複数の絶縁チャンバ111、112、113、114が形成される。Y方向に沿って配置されている、電気的雄コネクタ200の複数の隔壁210は、チャンバ150(152、154)と同数になるように設定されており、これにより、電気的雌コネクタの内部空洞110は所望の独立/絶縁チャンバ111、112、113、114に分割される。
【0037】
図4A~
図4D及び
図5に示すように、電気的雄コネクタ200は、電気的雌コネクタ100内に格納される端子部280と、電気ケーブル260、261が埋め込まれた本体部270とを備える。本体部270及び電気ケーブル260、261は、成形により一体に形成されていてもよい。ケーブル260、261はそれぞれ、ポリオキシメチレン(POM)製などの中間フランジ267により結束されていてもよい。本体部270と端子部280との間には上部板263が配設されており、この上部板は、電気的雌コネクタ100の上部開口に適合する形状を有する。これにより、電気的雄コネクタ200の端子部280が雌コネクタ内に格納されると、上部開口が完全に被覆される。雄コネクタ200の隔壁210及び電気的プロング220が、電気ケーブル260、261とは反対方向へ(つまり雌コネクタに向かって下方方向へ)上部板から突き出しており、雌コネクタ100の対応する各スロット内及び雌コネクタ100の電気的ポスト160内に嵌合する。電気的雄コネクタ200の端子部280が雌コネクタ100内に挿入されると、雌コネクタの外側壁の上面144は、上部板263の下面に当接して共同して密封する。
【0038】
電気的雄コネクタ200は、電気的雌コネクタ100の突出部146にロック可能な外部ロック手段240をさらに有し、電気的雄コネクタと電気的雌コネクタとの間の締結がより良好となる。
図4A、
図4C、
図4Dに示すように、電気的雄コネクタの外部ロック手段は、上部板263の側面周縁部のうちの1つから延在するクランプ240であり、これは、突出側壁140の外側壁と平行に下方に延在する。このクランプは、その中心部に切り欠きを有し、締結を補助し且つ雌コネクタと雄コネクタとの間の連結を可能にする。これに対して、電気的雌コネクタの突出部146は、突出側壁140の外面に成形された突起の形態をなし、クランプ240の切り欠きに適合する形状及び寸法を有し、クランプ240の切り欠きと不動に係合し合う。
【0039】
図3A及び
図4A~
図4Bに関連して上で記載したように、電気的雌コネクタ100は、電気的雄コネクタ200の隔壁210のH字型断面に適合する開口形状を提供する。この構造により、絶縁チャンバ113内では、負の電気的ポスト160を負の電気的プロング220に連結することができ、また、別の絶縁チャンバ112内では、正の電気的ポスト160を正の電気的プロングに連結することができる。絶縁チャンバ112と絶縁チャンバ113とは、電気的雄コネクタ200の挿入された隔壁210により分離され、さらに、電気的雌コネクタ100の隔壁(即ち内向き突起)190、192によっても分離される。以下に記載するように、電気的雄コネクタと雌コネクタとの間のこの連結構造では、正の電気的プロング/ポストと負の電気的プロング/ポストとの間に、より良好な嵌合及び長い沿面距離を提供することにより、密封性が向上し、電解腐食の発生を遅らせる又は抑制する。
【0040】
図6は、電気的雌コネクタ100が電気的雄コネクタ200と共に組立てられているときの電気的雌コネクタ100の部分「C」の拡大図であり、絶縁チャンバ112又は113内に浸入した燃料により発生し得る流れを示す。雄コネクタ200の隔壁210の「H」字形状が雌コネクタ100の「H」字型の開口内に嵌合するので、隔壁210、突出側壁140、及び内向き突起190、192間の隙間を通して燃料が絶縁チャンバ112内に入り込んだ場合は、燃料が「H」字型の隔壁210の周りを流れることにより、燃料のみが次の絶縁チャンバ113に到達することがある。
図6に、矢印「F1」及び「F2」を用いて、燃料の発生し得る流れを示す。この図解は、電気的雌コネクタと雄コネクタとの間の特定の嵌合構造により、正の電気的プロング/ポストと負の電気的プロング/ポストとの間に、コネクタがコンパクトな寸法でありながらも沿面距離が長くなることを示す。結果として、本開示の電気的コネクタアセンブリは、密封機能を改良するだけでなく、正の及び負の電気的プロング220の電解腐食により引き起こされるコネクタアセンブリの故障の可能性を著しく限定する。
【0041】
本開示の例示的な形態は説明目的で記載したが、本開示の範囲及び要旨から逸脱することなく様々な変更、追加及び置き換えが可能であることは、当業者であれば分かるであろう。