(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100775
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】売上情報分析方法および売上情報分析用プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20230711BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20230711BHJP
G06Q 10/0637 20230101ALI20230711BHJP
【FI】
G06Q30/02
G07G1/12 341A
G06Q10/0637
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073883
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2018241877の分割
【原出願日】2018-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】502265736
【氏名又は名称】有限会社オーケイトータルサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100149320
【弁理士】
【氏名又は名称】井川 浩文
(72)【発明者】
【氏名】大西 国光
(57)【要約】
【課題】 金銭登録機器が有する機能を利用しつつ、当該金銭登録機器から入手可能な情報に基づいて、営業状態を分析し得る方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも記憶装置を有するキャッシュレジスタまたはPOSシステムその他の金銭登録機器から記憶装置に記憶されている情報を入力するための入力手段と、入力手段によって入力される入力情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶される入力情報に基づいて必要なデータ算出のための処理を行う処理手段と、この処理手段によって処理されたデータを出力する出力手段とを備える売上情報分析装置である。入力情報は、金銭登録機器を使用した際に入力された金額情報と、入力時刻に関する時間情報と、金額情報に関連付けられる商品またはサービスに関する関連情報とを含む。処理手段は、金額情報から前記関連情報に基づく売上情報を、予め設定される期間ごとに演算処理する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッシュレジスタの記憶装置に記憶されている金額情報、該金額情報の入力時刻に関する時間情報、ならびに、個別の商品名またはサービス名、商品またはサービスの種類、任意の商品群またはサービス群、商品またはサービスの場所的区分および支払条件にかかる関連情報に基づいて必要なデータ算出のための処理を行うものである売上情報の分析方法であって、
前記金銭情報、前記時間情報および関連情報を読み出すステップと、前記関連情報を読み出すステップと、前記読み出された情報を入力時間ごとに再記憶するステップと、出力形式を読み出すステップと、前記出力形式に応じて前記再記憶された情報を演算処理するステップと、前記演算処理の結果を出力するステップを含む分析方法において、
売上金額、売上個数または入力データ数その他の任意な条件による指標について閾値として入力された情報から繁忙期および閑散期を判定する判定ステップを含み、
前記判定ステップは、
前記閾値を読み出すステップと、
前記指標とする条件が前記閾値以上を示す期間を繁忙期、該閾値未満を示す期間を閑散期として判定するステップと
を含むことを特徴とする売上情報分析方法。
【請求項2】
前記判定ステップは、繁忙期および閑散期のほかに通常期を判定するものであり、前記閾値は2個の指標が個別に設定されるものであり、
前記判定ステップは、
前記第1の閾値を読み出すステップと、
前記指標とする条件が前記第1の閾値を超える期間を繁忙期と判定するステップと、
前記第2の閾値を読み出すステップと、
前記第2の閾値以下を示す期間を閑散期として判定するステップと、
前記第1の閾値以下で第2の閾値を超える期間を通常期と判定するステップと
を含むことを特徴とする売上情報分析方法。
【請求項3】
さらに、前記関連情報に含まれる個別の情報を選定する選定信号と、処理すべき期間を限定する限定信号とを含む指令信号に基づき、限定された期間ごとに前記個別の情報を区分しつつ、前記金額情報に含まれる売上金額を累計する処理ステップを含むものであり、
前記処理ステップは、
前記指令信号を読み出すステップと、
前記指令信号中における前記選定信号の有無を判断するステップと、
前記指令信号中における前記限定信号の有無を判断するステップと、
前記指令信号中に存在する前記選定信号および前記限定信号に基づき、かつ前記選定信号または前記限定信号のいずれかが存在しない条件についてはデフォルト設定された条件を使用して、限定された期間内における個別の情報を選定するステップと
を含むことを特徴とする売上情報分析方法。
【請求項4】
さらに、前記金銭登録機器から取得できない売上関連情報として、前記金銭登録機器が設置されている店舗に関する店舗情報、該店舗ごとの固定費情報、該店舗における人件費情報、該店舗で取り扱う個別商品またはサービスごとの原価または仕入に関する情報、および該店舗ごとの休業日情報の中から選択される情報を入力するステップを含み、
前記処理ステップは、前記指令信号に基づき、前記店舗を単位として限定期間ごとに、粗利益、純利益および利益率を算出するステップを含むものである
請求項3に記載の売上情報分析方法。
【請求項5】
さらに、前記時間情報を基礎として、週単位、月単位、四半期単位、半期単位および年単位における粗利益、純利益および利益率を算出するステップを含み、
前記デフォルト設定された条件は、予め設定された商品またはサービスの売上数量を基準に設定されるものである請求項3に記載の売上情報分析方法。
【請求項6】
請求項1~5に記載の売上情報分析方法における前記判定ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする売上情報分析用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレジスタ等の金銭登録機器に内蔵される記憶装置に記憶される情報を利用しつつ売上情報を分析するための方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、企業経営に関する会計情報としては、貸借対照表、損益計算書およびキャッシュフロー計算書などがあり、これらは簿記会計に基づいて作成されるものであるが、これらの会計情報のみでは、簿記会計の知識がなければ経営状態を容易に判断しづらいものであった。そのため、経営分析を容易に行うことができる会計情報管理システムが開発されている(特許文献1参照)。
【0003】
ところが、会計業務を取り扱う専門社員を社内に配置できる大手企業は、上記会計情報管理システムを利用することも可能であるが、中小または零細企業では、経営者自身が会計業務を担うこともあり、また、飲食店や小売店などでは、会計業務そのものが負担となり、頻繁に会計業務を行うことができなかった。また、複数の店舗を営業する場合には、店舗ごとの営業状態に加えて、企業全体の営業状態を把握するため、店舗ごとの会計業務に加えて企業全体の会計業務を行わなければならず、さらに一層の負担となっていた。
【0004】
そこで、飲食店や小売店において設置される電子レジスタやPOS(Point of Sale)システムに入力されるデータをホスコンピュータに送信し、当該ホストコンピュータにおいて、店舗ごとの営業状態を管理するとともに、企業全体の営業状態を管理することを目的とし、各種の処理装置が開発されるに至っている(特許文献2および3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-250914号公報
【特許文献2】特開2015-153386号公報
【特許文献3】特許第6042506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前掲の特許文献2に開示される技術は、商圏分析のためのシステムであり、例えば、ある地域において、どのような商品やサービスが売られるのかということを分析するものであって、店舗情報に紐付けされた売上情報を分析することにより、出店計画や販売促進などの検討に役立てる情報を得ようというものであった。
【0007】
また、前掲の特許文献3に開示される技術は、飲食店舗における飲食メニューごとの売上を管理・分析するものであり、飲食メニューごとの利益率を設定することにより、店舗全体の利益の算出や、利益に対する寄与度の高低を飲食メニューごとに分析し、収益性向上の参考にし得る情報を得ようとするものであった。
【0008】
上記両技術は、大量の情報を処理することを目的とし、多種多様の情報から平均的な商品またはサービスを選定しようとするものであり、現状の営業(例えば1店舗の売上状態)を個別に分析するものではなかった。
【0009】
ところが、中小または零細企業による飲食店または小売店では、概括的な商品またはサービスの売れ行き状況よりも、現在の営業方法が全体としての利益に貢献しているのか、または貢献度の極めて低い商品またはサービスが存在していないか、さらには繁忙期と閑散期の実体状況はどうなのか、という素朴な情報解析が必要な場合が多かった。しかしながら、上述の特許文献に開示される技術では、これらの情報解析が不可能または不十分であり、所望の情報を得ることができていないのが実情であった。
【0010】
本発明は、上記諸点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金銭登録機器が有する機能を利用しつつ、当該金銭登録機器から入手可能な情報に基づいて、営業状態を分析し得る装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、売上情報分析装置に係る本発明は、少なくとも記憶装置を有するキャッシュレジスタまたはPOSシステムその他の金銭登録機器から該記憶装置に記憶されている情報を入力するための入力手段と、入力手段によって入力される入力情報を記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶される入力情報に基づいて必要なデータ算出のための処理を行う処理手段と、この処理手段によって処理されたデータを出力する出力手段とを備える売上情報分析装置であって、前記入力情報は、前記金銭登録機器を使用した際に入力された金額情報と、該金額情報の入力時刻に関する時間情報と、前記金額情報に関連付けられる商品またはサービスに関する関連情報とを含み、前記処理手段は、前記金額情報から前記関連情報に基づく利益および利益率に関する売上情報を、予め設定される期間ごとに演算処理するものであることを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、金銭登録機器に内蔵される時間情報によって整理可能な特定の期間に対し、金額情報および関連情報から演算処理させることにより、利益および利益率その他の売上情報を得ることができる。例えば、2018年9月期の総売上金額や純利益などの数字を得ることができる。この特定の期間は、月単位でなく週単位とすることも可能であり、予め週単位を設定することにより、特定の月の数週間分を週単位で演算させてもよい。このときの関連情報には、個々の商品またはサービスと関連させることにより、黒字商品等と、赤字商品等とを区別して算出させることも可能となる。
【0013】
上記構成の発明にあっては、前記関連情報が、前記金額情報の基礎となる個別の商品名またはサービス名、商品またはサービスの種類、任意の商品群またはサービス群、商品またはサービスの場所的区分および支払条件にかかる情報を含むものであり、前記処理手段が、前記個別の商品名またはサービス名、商品またはサービスの種類、任意の商品群またはサービス群、商品またはサービスの場所的区分および支払条件に基づいて前記金額情報を演算処理するものとしてよい。
【0014】
このような構成の場合には、関連情報として、商品等の名称や種類ごとの売上金額を演算させることができ、赤字商品等や黒字商品等を商品等ごとに出力させることができる。また、商品等について任意のグループ(群)を設定することにより、それらのグループごとにおける採算情報を得ることも可能となる。これらは、前述のような特定の期間ごとに限定して出力させるが可能となる。なお、関連情報は、金銭登録機器において設定される範囲のものに限定されるが、通常は、商品等に付与される品番等によって、これらの全てまたは一部を関連情報として金銭登録機器の操作時に入力させ、記憶装置に記憶させることができるものである。
【0015】
上記構成の発明にあっては、さらに、前記処理手段に対して所定の演算を実行させるための指令信号を入力する操作手段を備える構成とし、前記操作手段から入力される指令信号は、前記関連情報に含まれる個別の情報を選定する選定信号と、処理すべき期間を限定する限定信号とを含み、前記処理手段は、前記操作手段によって入力される指令信号に基づき、限定された期間ごとに個別情報を区分しつつ、前記金額情報に含まれる売上金額を累計する処理を行うものとする構成でもよい。
【0016】
このような構成の場合には、操作手段から処理手段に対して指令信号を与えることができ、その指令信号が、関連情報中の特定の個別情報を選定する場合、その特定の情報を中心とする売上金額を得ることができる。例えば、個別情報が、商品群またはサービス群である場合には、個々のグループにおける所定期間ごとの売上状況を算出することができ、時系列の売上推移を把握することも可能となる。また、場所的区分を特定情報とする場合には、その場所的区分が店舗別である場合には、店舗ごとの売上推移を出力させることができ、場所的区分が特定の一店舗における商品陳列場所である場合には、陳列場所ごとの売上推移を出力させることも可能となる。
【0017】
前記構成の発明にあっては、さらに、前記金銭登録機器から取得できない売上関連情報を入力する入力手段を備える構成とし、前記売上関連情報は、前記金銭登録機器が設置されている店舗に関する店舗情報、該店舗ごとの固定費情報、該店舗における人件費情報、該店舗で取り扱う個別商品またはサービスごとの原価または仕入に関する情報、および該店舗ごとの休業日情報を含み、前記処理手段は、前記操作手段から入力される指令信号に基づき、前記店舗を単位として限定期間ごとに、粗利益、純利益および利益率を算出する構成としてもよい。
【0018】
このような構成の場合には、金銭登録機器の記憶装置に記憶される情報を基点として、様々な関連情報を入力することができる。例えば、一般的な金銭登録機器は、時間情報、金額情報、品番等および操作者名などであり、個別商品の原価や人件費等は入力し得ないものである。そこで、商品等に対する原価を品番情報に紐付けして入力することにより、当該商品の売り上げに対する粗利益を算出することが可能となり、また、人件費や固定費などの情報を入力することにより、純利益を算出することも可能となる。
【0019】
なお、上記構成の場合には、前記処理手段が、前記時間情報を基礎として、週単位、月単位、四半期単位、半期単位および年単位における粗利益、純利益および利益率を算出するとともに、予め設定された商品またはサービスの売上数量を基準に繁忙期および閑散期を算出するものと構成してよい。
【0020】
上記構成の場合には、予め設定されている商品または役務の売り上げた数を基準(閾値)として、その閾値を超える売上数量の場合には繁忙期と判定させ、閾値以下の場合を閑散期と判定することができる。この閾値は、上限値と下限値との二種類を設定してもよく、上限値を超える状態を繁忙期とし、下限値未満の場合を閑散期と判定すれば、下限値から上限値の範囲内が通常期と判定されることとなる。上記の繁忙期や閑散期などの判定により、担当従業員数の配置の状態を増減させることができ、結果的には効率のよい商品販売等ができるとともに、過剰な職員配置を是正させるための目安となり得る。
【0021】
売上情報分析用プログラムに係る本発明は、コンピュータを、処理手段として機能させる売上情報分析用のコンピュータプログラムであって、金銭登録機器から入力される各種情報を記憶し、記憶された情報のうち、店舗ごとの入力日時の情報、金額に関する情報、および売上商品またはサービスに関する情報と、予め入力されている原価に関する情報に基づき、利益率および利益を算出し、利用者が設定した項目に応じて、時間ごと、日ごと、週ごと、月ごと、四半期ごと、半期ごとまたは年ごとの店舗全体または商品もしくはサービスごとの利益率および利益額を出力するものであることを特徴とするものである。
【0022】
上記構成によれば、コンピュータによって、金銭登録機器の記憶装置に記憶される情報に基づく売上情報を分析させることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
売上情報分析装置に係る本発明によれば、金銭登録機器が有する機能を利用しつつ、当該金銭登録機器から入手可能な情報に基づいて、営業状態を分析することができる。プログラムに係る本発明によれば、上記の営業状態の分析をコンピュータによって処理させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】売上情報分析装置に係る発明の実施形態を示す説明図である。
【
図2】売上情報分析装置の実施形態による処理フローを示す説明図である。
【
図3】売上情報分析装置の実施形態による処理フローを示す説明図である。
【
図4】売上情報分析装置の実施形態による処理フローを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、売上情報分析装置に係る本発明の実施形態を示すものである。この図に示されているように、本実施形態の売上情報分析装置1は、入力インターフェース(入力手段)11を備えており、外部における記憶装置に記憶される情報を入力可能としている。入力方法は、インターネット回線を介して伝送する場合のほか、メディアを使用して直接入力させる場合があり得る。
【0026】
また、売上情報分析装置1は、記憶部(記憶手段)12と処理部(処理手段)13を備えており、記憶部12は、前記入力インターフェース11を介して入力される情報を記憶することができるとともに、処理部13によって処理される情報を再度記憶することができるものである。
【0027】
売上情報分析装置1には、出力モジュール(出力部)14が設けられ、処理部13で処理された処理情報を適宜な状態で外部出力装置(モニタ等)15に出力し、当該モニタ15に表示された処理結果を確認することができる。
【0028】
さらに、売上情報分析装置1には、入力モジュール16が設けられることにより、各種の情報および命令を処理部13に対して入力することができるものとなっている。入力には、汎用される入力機器(キーボード等)17が使用される。
【0029】
入力機器(キーボード等)17から入力される情報は、第1に初期設定用の情報があり、第2に演算形式を変更するための指令信号がある。初期設定用の情報には、商品またはサービス(以下、商品等ということがある)の品番(または品名もしくはサービス名)に紐付けする方法により各種の情報があり得る。例えば、商品等ごと名称、商品等の種類、商品等のグループ(商品群またはサービス群)、販売等の場所や支払条件などがある。支払条件とは、通常は現金であるが、ポイント還元や商品券などによる支払いの方法の種別等を意味する。また、個々の商品等について、その仕入金額(原価等)、運送費その他の原価計算に含まれる費用などを初期設定することができる。さらには、全体の利益を把握するために、固定費や人件費などを初期設定することができる。
【0030】
また、入力機器(キーボード等)17からは、出力形式に影響を与える選定信号や限定信号などの各種の指令信号を入力することができる。選定信号とは、出力させる情報のうち、商品等の関連情報を中心とした情報を演算し、出力させるように指令するための信号であり、限定信号とは、出力させる範囲を期間に着目する場合、当該期間における演算処理を指令するための信号である。これらの信号は、デフォルト設定される出力形式に対する変更指示として、処理部13に対して指示するものである。このような指示には、繁忙期や閑散期を判断するための閾値を設定する際にも使用される。これも出力形式を変更するための指令であり、売上金額または販売等の総数などを閾値とすることができる。
【0031】
ここで、金銭登録機器から入力される情報には、概ね下記のような事項が含まれる。
【表1】
【0032】
上記の表中において、重要なものは日時、品番および金額であり、時間情報である日時は特に重要な意味を有する。すなわち、日時(時間情報)には、金銭登録機器を使用して入力された特定日の特定時刻が記録されており、当該時刻にどの商品等をいくらの金額で売り上げたかを特定することができるからである。例えば、当該1日の販売等された商品等の総数および総売上金額は、上記入力情報を集計すれば容易であるが、1日のうち時間ごとの変化を分析するためには時刻が重要となる。また、同様に、週単位または月単位さらには年単位で分析する場合には、日時の情報に含まれる日、月、年などの各情報が重要となるからである。
【0033】
そして、品番に関する情報を取得することは、当該売上金額に対する利益や利益率を算出するうえで重要となる。商品等の種類によって利益率が異なるため、売上金額に比較して多くの利益を生じさせ、逆に殆ど利益を生じさせない場合があるからである。
【0034】
なお、上記における入力インターフェース(入力部)11、記憶部(記憶手段)12、処理部(処理手段)13、出力モジュール(出力部)14、モニタ(出力装置)15、キーボード(操作手段)16および入力モジュール17については、汎用されるコンピュータおよびその周辺機器を使用することができる。操作手段(または入力手段)としてはマウスポインタを併用してもよく、これらの操作・入力手段16による操作または入力には、モニタ15に表示される各種の操作画面または入力画面を参照しつつ行うことができる。
【0035】
ここで、本実施形態による売上情報分析装置1による各種情報の処理手順について説明する。ここでは、予め必要な初期情報が入力されていることを前提とする。すなわち、品番ごとの仕入値や商品等のグループ分けなどの情報は登録済みである。また、金銭登録機器からの情報も入力済みである。
【0036】
図2に、一般的な処理フローを示している。この図に示されるように、売上情報分析装置による処理が開始されると、まず、記憶部からの情報が読み出される(S101)。ここで読み出される情報は、前掲の表1に示すような時間ごとの売上情報である。続けて、品番ごとに設定された関連情報が読み出される(S102)。ここで読み出される情報は、初期設定時に入力した情報であり、商品等の原価やグループなどである。
【0037】
ここで、読み出された各種情報を入力時間ごとに、品番に対する個別情報を付加した状態で再度記憶部に記憶させる(S103)。この再登録により、所定の出力形式に沿った情報に加工(演算)することができることとなる。例えば、特定の日における売上金額と利益の額を出力する場合には、当該特定の日の時間情報を有する情報について、売上金額を累計し、また原価を累計すれば、利益の合計金額を算出し得る。そして、そのような出力形式を読み出し(S104)、当該出力形式に併せた状態で演算したうえで、(S105)、その演算結果を出力するのである(S106)。
【0038】
上記における出力形式は、デフォルト設定により、特定期間(例えば、直近1ヶ月)における売上総額、仕入れ金額の合計額、固定費および人件費の合計金額、さらに利益の合計金額などを出力するのである。特定期間が1ヶ月未満(例えば週単位)の場合において、固定費や人件費などの月極費用は日割り計算した上で週ごとに乗算することにより算出させることができる。
【0039】
上記のような処理フローによる出力の場合、該当する1ヶ月を週または日ごとの推移を出力させることができる。また、該当する1日分における時間ごとに推移も出力可能である。出力に際しては、金額を数値として、それらを羅列するものでもよいが、グラフ化して出力することも可能である。売上等の推移を視覚的に表示させる場合はグラフ化した出力がわかりやすく、具体的な利益の金額を把握する場合には、数値の羅列が好ましいからである。
【0040】
このように各種の形式で売上金額等を出力させることにより、営業状態を客観的に分析することが可能となる。特に、年単位での出力により、年間を通じて黒字か赤字かの判断が可能なうえ、月単位または週単位で、黒字の期間も赤字の期間も知り得ることとなる。また、黒字の状態であっても利益が膨大な期間と僅少の期間とを把握し得ることとなるから、人員配置の指針ともなり、利益向上のための要素を得ることができるのである。
【0041】
次に、演算処理に対する指令信号が与えられた場合について説明する。
図3は、指令信号が入力された場合の処理フローを示すものである。この場合の処理において、まずは、記憶部からの読み出し(S201)から出力形式の読み出し(S204)までは、前述の一般的な処理の場合と同様である。
【0042】
指令信号が付与されている場合には、出力形式を読み出した際に、当該出力形式が変更されていることにより、その指令信号の有無が判断される(S205)。指令信号がなければ、通常のデフォルト形式による出力形式で演算処理され、その形式で出力されることとなる(S206,S207)。なお、現実的には出力形式がデフォルトから変更されている否かを確認し、その変更箇所を読み出すことによって判断させることが容易である。ここでは、指令信号の有無と内容について記述することとする。
【0043】
指令信号がある場合には、まず指令信号の全てを読み出す(S211)。読み出された指令信号から選定信号が存在するかを判断する(S212)。指令信号には、選定信号と限定信号があるため、それを区別するためである。いずれか一方が優先されるものではないため、限定信号から読み出してもよいが、ここでは選定信号を優先させている。
【0044】
選定信号がない場合には、さらに限定信号の有無を判断する(S213)。このとき、限定信号が存在しない場合には、他の指令信号の存在も考慮されるが、ここでは、格別な指令信号が存在しなかったものとみなして、デフォルト形式の演算・出力を行うものとする(S206,S207)。なお、他種類の指令信号を付加した場合は、ここで他の指令信号を判断させてもよい。
【0045】
限定信号が存在する場合には、再度限定信号のみを読み出し(S214)、特定期間を設定したうえで(S215)、これを反映した所定の出力形式によって演算する(S216)。その演算結果は出力部によって出力される(S217)。この場合の出力情報は、年単位や、週単位などの限定された期間における売上情報となり、モニタ上で確認することができる。
【0046】
また、選定信号が存在する場合も限定信号の有無を判断する(S223)。選定信号に加えて限定信号が存在する場合があるからである。限定信号が存在する場合には、再度、選定信号および限定信号を読み出し(S223)、これらの信号に応じ、選定された関連情報中の個別情報に対する特定期間が設定される(S225)。そして、これらの設定を反映した出力形式で演算され(S216)、その結果が出力される(S217)。
【0047】
さらに、選定信号が存在するものの限定信号が存在しない場合には、再度選定信号のみが読み出され(S234)、デフォルト設定されている期間における関連情報中の個別情報が設定される(S235)。この設定を反映した出力形式に基づいて演算され(S216)、出力されることとなる(S217)。
【0048】
上記のように、出力形式を変更するような指令信号が与えられる場合には、特定期間における演算処理のほか、特定の個別情報ごとの演算処理を行うことにより、売上に関する膨大な情報の中から所望の情報に係る変化・推移などを確認することができるものである。
【0049】
次に、繁忙期等の判断に係る基準値を予めデフォルト設定した場合の本実施形態による処理手順について説明する。
図4は、デフォルト設定において、予め繁忙期を示す指標もしくは閑散期を示す指標またはこれらの双方を定められている場合の処理フローを示すものである。なお、各指標とは、売上金額、売上個数または入力データ数などの任意な条件を設けることができる。そして、これらの指標を閾値として入力することにより、繁忙期等に係る処理を可能とするものである。
【0050】
この場合の処理手順は、まず、記憶部からの読み出し(S301)から出力形式の読み出し(S304)までは、前述の一般的な処理の場合と同様である。これらの手順の終了後に、前記閾値(指標)の設定があるか否かが判断される(S305)。閾値の設定がない場合は、通常のデフォルト形式により演算され(S306)、出力されることとなる(S307)。
【0051】
これに対し、閾値(指標)が設定されている場合には、設定される閾値の数が2個であるか否かを判断する(S311)。設定される閾値が2個の場合は、繁忙期と閑散期とを区別するための指標が個別に設定されていることを意味し、それ以外(すなわち単一)の場合は、繁忙状態か閑散状態かの二区分に分類するための指標が設定されていることを意味するからである。
【0052】
そこで、閾値の数が2個である場合には、まず第1の閾値を読み出す(S312)。ここでは、第1の閾値を繁忙期となるべき指標として定めている。そのため、第1の閾値を読み出すことにより、特定期間(デフォルト期間または指令信号に基づく任意期間)のうち、閾値を超えた期間(特定の時間または継続時間)をもって繁忙期と判定することができる(S313)。さらに連続して、第2の閾値を読み出す(S314)。この第2の閾値は閑散期との境界を示す指標であることから、この第2の閾値以下となる期間(特定の時間または継続時間)をもって閑散期と判定することができる(S315)。また、同時に、いずれにも属さないいわゆる通常期をも判定することができるものである(S315)。そして、これらの判定が終了すると、これらの判定結果を出力形式に反映させつつ演算結果(S306)とともに出力(S307)させるのである。
【0053】
他方、閾値の数が上記以外(すなわち単一)の場合には、当該閾値を読み出し(S322)、その閾値以上および閾値未満を示す期間(特定の時間または継続時間)をもって繁忙期および閑散期を判定する(S325)。そして、この場合においても、これらの判定結果を出力形式に反映させつつ演算結果(S306)とともに出力(S307)させるのである。
【0054】
上記における繁忙期や閑散期の出力は、特別な出力形式を要するものではなく、前記の出力形式によって出力される際、該当する期間について色分けする形式でモニタに表示させればよいものである。このとき、閑散期における人員配置に注目する場合には、前記指令信号において選定信号として勤務職員を表示させることにより、適当な人員配置か否かを判断する材料となり得る。また、これを複数年に跨がって集計することにより、時期的な繁忙シーズンまたは閑散シーズンを把握することも可能となる。さらには、繁忙期における利益(金額または率)と、閑散期における利益(金額または率)とを比較することにより、当該繁忙状態または閑散状態であることと、利益の増減との関係を把握することも可能となる。
【0055】
そして、これらの情報を利用者が自ら把握することにより、経営改善の必要性のみならず、その具体的手段を見出す手助けとなり得るものである。
【0056】
本発明の実施形態は上記のとおりであるが、上記実施形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明が上記実施形態に限定される趣旨ではない。従って、上記実施形態の各要素については、適宜変更することが可能である。例えば、指令信号、特に選定信号には、上記に例示したのも以外を選定してもよく、デフォルト設定については、予め詳細な情報を入力しておいてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 売上情報分析装置
11 入力インターフェース(入力部)
12 記憶部(記憶手段)
13 処理部(処理手段)
14 出力モジュール(出力部)
15 モニタ(出力装置)
16 キーボード(操作手段)
17 入力モジュール