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特開2023-100789ソレノイドの駆動制御装置およびこれを備えた安全スイッチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100789
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】ソレノイドの駆動制御装置およびこれを備えた安全スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/18 20060101AFI20230711BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20230711BHJP
   H01H 27/06 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
H01F7/18 K
H01F7/18 S
H01F7/16 M
H01H27/06 H
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074539
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2019090182の分割
【原出願日】2019-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000309
【氏名又は名称】IDEC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 拓次
(72)【発明者】
【氏名】本田 貴志
(57)【要約】
【課題】 省エネを実現し、温度上昇による熱的リスクを低減する。
【解決手段】 可動鉄心23Aを吸引するソレノイド本体22Aを有し、可動鉄心23Aがソレノイド本体22Aに吸引された吸引位置とソレノイド本体22Aに吸引されていない非吸引位置とを採り得るように、ソレノイド本体22Aが可動鉄心23Aを移動可能に支持するソレノイドの駆動制御装置100を構成する。可動鉄心23Aの状態を検出するフォトインタラプタ28と、可動鉄心23Aが非吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド本体22Aに駆動電流Imaxを供給し、可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド本体22Aに対して駆動電流Imaxより小さい保持電流Ihを供給するように、フォトインタラプタ28による検出結果に応じてソレノイド本体22Aへの供給電流を制御する電流制御部51とを設ける。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を吸引するためのソレノイド本体を有し、前記可動部が前記ソレノイド本体に吸引された吸引位置と前記ソレノイド本体に吸引されていない非吸引位置とを採り得るように、前記ソレノイド本体が前記可動部を移動可能に支持するソレノイドの駆動制御装置であって、
前記可動部の状態を検出する検出部と、
前記可動部が前記非吸引位置またはその近傍位置にある状態では、前記ソレノイド本体に第1の電流を供給し、前記可動部が前記吸引位置またはその近傍位置にある状態では、前記ソレノイド本体に対して前記第1の電流よりも小さい第2の電流を供給するように、前記検出部による検出結果に応じて前記ソレノイド本体に供給する電流を制御する電流制御部と、
を備えたソレノイドの駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記可動部には、前記可動部からの作用を受けて移動する移動体が設けられており、前記移動体には、外部の機器を制御するための接点に作用する作用部と、前記検出部により検出される被検出部とが設けられている、
ことを特徴とするソレノイドの駆動制御装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記検出部は、前記可動部が前記非吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するためのものであり、前記検出部の故障時には、前記電流制御部により前記ソレノイド本体に第1の電流が供給されるようになっている、
ことを特徴とするソレノイドの駆動制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載のソレノイドの駆動制御装置を備えた安全スイッチであって、
前記安全スイッチが、
接点を有するスイッチ本体と、
前記スイッチ本体に対して抜き差しされるアクチュエータと、
前記アクチュエータの挿入により回転可能なカムとを備え、
前記ソレノイドの前記可動部が前記カムの回転をロックまたはアンロックするように作用している、
ことを特徴とする安全スイッチ。
【請求項5】
請求項4において、
前記可動部が当該可動部からの作用を受けて移動する移動体を有し、前記移動体が前記スイッチ本体の前記接点に作用する作用部と、前記検出部により検出される被検出部とを有している、
ことを特徴とする安全スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省エネを実現し、温度上昇による熱的リスクを低減するためのソレノイドの駆動制御装置およびこれを備えた安全スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ソレノイドは、電磁コイルを有するソレノイド本体と、ソレノイド本体にスライド自在に支持される可動部とを備えている。電磁コイルへの通電時には、電磁コイルから可動部を通る磁場が発生し、その磁力によって可動部がソレノイド本体に吸引されるようになっている。
【0003】
ここで、磁力は距離の2乗に反比例するので、ソレノイドにおいて、可動部を吸引する際には大きな電流(駆動電流)を必要とするが、可動部の吸引後は可動部が磁場の中に入っていることも相俟って同等の電流を必要とせず、小さな電流(保持電流)で済む。
【0004】
ところが、従来のソレノイドにおいては、吸引後に可動部を保持する際にも吸引時と同等の電流を流し続けており、そのため、消費電力が増加したり、ソレノイドが発熱して周囲の機器に悪影響を及ぼしたり、また、人が接近する場所に取り付けられている場合には、ソレノイドの外側カバーの発熱により人体に危害が及ぶ恐れもある。さらに、電磁コイルの焼損等が発生するリスクもある。
【0005】
そこで、特開2000-173822号公報に記載されたソレノイドの通電制御方法では、コイルへの通電スイッチがオンしたとき、コイルにフル電流を供給するとともに、通電開始から所定時間経過後は、電流制限回路によりコイルへの通電電流を小さな値に保持するようにしている(同公報の段落[0046]~[0048]参照)。当該公報によれば、このような構成により、ソレノイドの省電力化が図られ、発熱量を少なくでき、コイルの焼損は発生しないと記載されている。
【0006】
その一方、ソレノイドを用いた機器として、安全スイッチが知られている。安全スイッチは、工作機械などが配置された危険区域の出入り口に設けられ、扉の開閉状態に応じてオン/オフするスイッチであって、扉側に取り付けられたアクチュエータと、壁側に取り付けられ、アクチュエータが抜き差しされるスイッチ本体とを備えている。スイッチ本体は、アクチュエータの挿入により回転可能なカムと、一端がカムに当接可能に設けられかつ他端が接点を切り替え可能に設けられた、軸方向に移動可能な操作ロッドと、操作ロッドの周囲に配設されたソレノイドとを備えている。可動扉の開閉時には、可動扉とともに移動するアクチュエータがスイッチ本体に対して抜き差しされることにより、スイッチ本体の内部のカムが回転し、その回転位置に応じて操作ロッドが軸方向に移動し、それに伴い、接点のオン/オフが切り替えられて、工作機械にオン/オフ信号が送信されるようになっている。安全スイッチのソレノイドは、可動扉の開閉時に操作ロッドを吸引して移動させることでカムのロック/アンロックを切り替えるために設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような安全スイッチにおけるソレノイドの通電制御は、従来、操作ロッドの吸引後に操作ロッドの吸引状態を保持する際にも操作ロッドの吸引時と同等の電流を流し続けており、そのため、上述した消費電力の増加の問題やコイルの発熱に起因した熱的リスクの問題が同様に存在していた。そこで、上記公報に記載されたような手法を採り入れることにより、ソレノイドへの電流供給後に一定時間が経過した後は、電流供給時の大きな電流(駆動電流)から小さな電流(保持電流)に切り替えるようにすることも考えられる。
【0008】
しかしながら、安全スイッチの場合には、上記一定時間が経過するまでに操作ロッドの吸引動作が完了していないと、安全スイッチのロック不良やアンロック不良が発生する恐れがある。したがって、安全スイッチのような機器を操作するソレノイドについては、通電制御を時間で行うのは不適応であるといえる。
【0009】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、省エネを実現でき、温度上昇による熱的リスクを低減できるソレノイドの駆動制御装置を提供することにある。また、本発明の課題は、安全スイッチにおけるロックおよびアンロックを確実に行うことができるソレノイドの駆動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、可動部を吸引するためのソレノイド本体を有し、可動部がソレノイド本体に吸引された吸引位置とソレノイド本体に吸引されていない非吸引位置とを採り得るように、ソレノイド本体が可動部を移動可能に支持するソレノイドの駆動制御装置である。当該装置は、可動部の状態を検出する検出部と、可動部が非吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド本体に第1の電流を供給し、可動部が吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド本体に対して第1の電流よりも小さい第2の電流を供給するように、検出部による検出結果に応じてソレノイド本体に供給する電流を制御する電流制御部とを備えている。
【0011】
本発明によれば、可動部は、ソレノイド本体に吸引されると吸引位置に移動し、ソレノイド本体に吸引されていないと非吸引位置に移動する。このとき、可動部の状態は検出部により検出される。そして、電流制御部は、検出部による検出結果に応じてソレノイド本体に供給する電流を制御することにより、可動部が非吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド本体に第1の電流を供給し、可動部が吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド本体に対して第1の電流よりも小さい第2の電流を供給する。
【0012】
これにより、可動部が吸引位置またはその近傍位置にあるとき、ソレノイド本体に供給する電流を低減してソレノイドの消費電流を低減でき、これにより、省電力化による省エネを実現できるとともに、温度上昇を低減でき、コイルの焼損等の熱的リスクを低減できる。
【0013】
本発明において、可動部には、可動部からの作用を受けて移動する移動体が設けられており、移動体には、外部の機器を制御するための接点に作用する作用部と、検出部により検出される被検出部とが設けられている。
【0014】
本発明において、検出部は、可動部が非吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するためのものであり、検出部の故障時には、電流制御部によりソレノイド本体に第1の電流が供給されるようになっている。
【0015】
本発明は上記駆動制御装置を備えた安全スイッチであって、接点を有するスイッチ本体と、スイッチ本体に対して抜き差しされるアクチュエータと、アクチュエータの挿入により回転可能なカムとを備え、ソレノイドの可動部がカムの回転をロックまたはアンロックするように作用している。
【0016】
本発明においては、可動部が当該可動部からの作用を受けて移動する移動体を有し、移動体がスイッチ本体の接点に作用する作用部と、検出部により検出される被検出部とを有している。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、可動部が吸引位置またはその近傍位置にあるとき、ソレノイド本体に供給する電流を低減してソレノイドの消費電流を低減でき、これにより、省電力化による省エネを実現できるとともに、温度上昇を低減でき、コイルの焼損等の熱的リスクを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施例によるソレノイドの駆動制御装置が適用された安全スイッチのスイッチ本体の分解組立図である。
図2】前記安全スイッチ(図1)の一例としてスプリングロックタイプの安全スイッチのスイッチ本体の縦断面図である。
図3】前記スイッチ本体(図1)の接点切替ブロック(移動体)を上から見た斜視図である。
図4】前記接点切替ブロック(図3)を下から見た斜視図である。
図5】前記接点切替ブロック(図3)の平面図である。
図6】前記接点切替ブロック(図3)の正面図である。
図7】前記駆動制御装置(図1)の概略ブロック構成図である。
図8】前記安全スイッチ(図2)のアクチュエータ離脱時の動作を時系列的に示す図である。
図9】前記安全スイッチ(図2)のアクチュエータ離脱時の動作を時系列的に示す図である。
図10】前記安全スイッチ(図2)のアクチュエータ離脱時の動作を時系列的に示す図である。
図11】前記駆動制御装置(図7)により制御されるソレノイド電流の変化を示すグラフである。
図12】前記安全スイッチ(図1)の他の例としてのソレノイドロックタイプの安全スイッチにおいて、アクチュエータ挿入時の動作を時系列的に示す図である。
図13】前記安全スイッチ(図12)においてアクチュエータ挿入時の動作を時系列的に示す図である。
図14】前記安全スイッチ(図12)においてアクチュエータ挿入時の動作を時系列的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図11は、本発明の一実施例によるソレノイド駆動制御装置を説明するための図である。ここでは、ソレノイド駆動制御装置がスプリングロックタイプの安全スイッチに適用された場合を例にとる。なお、図2図8ないし図10においては、断面個所をグレーで着色して示している。また、説明の便宜上、以下の説明文において「上方」、「上側」、「上」とは、図2図8ないし図10の上方を指し、「下方」、「下側」、「下」とは、各図中の下方を指しており、安全スイッチの取付けの仕方如何では、上方が必ずしも鉛直上方を指すとは限らず、同様に、下方が必ずしも鉛直下方を指すとは限らない。
【0020】
図1は安全スイッチを構成するスイッチ本体の分解組立図、図2はスイッチ本体の縦断面をアクチュエータとともに示す図である。図1および図2に示すように、安全スイッチ1は、スイッチ本体2と、アクチュエータ3とを備えている。スイッチ本体2は、本体ケース20と、その開口部20aから本体ケース20内に収容される本体部21と、本体ケース20の上部に取り付けられ、アクチュエータ3が抜き差しされる複数のアクチュエータ挿入口4aを有するヘッド部4と、本体ケース20の下部に取り付けられるボトムカバー5とを有している。スイッチ本体2は、たとえば壁や固定扉(図示せず)に取り付けられ、アクチュエータ3は、たとえば可動扉(図示せず)に取り付けられる。
【0021】
図1および図2に示すように、本体部21は、ソレノイド22と、操作ロッド23と、外部の機器を制御するための複数の接点を有し、操作ロッド23の移動により接点が切り替えられる接点ブロック24とを有している。ソレノイド22は、図2に示すように、外部電源から電流が供給される電磁コイルからなるソレノイド本体22Aと、ソレノイド本体22Aにより吸引可能に設けられ、ソレノイド本体22に吸引された吸引位置とソレノイド本体22Aに吸引されていない非吸引位置とを採り得るように、軸方向に移動可能な可動鉄心(可動部)23Aと、ソレノイド本体22Aの下部に固定された固定鉄心22Bとを有している。操作ロッド23は、可動鉄心23Aの内側に配置され、可動鉄心23Aを上下に挿通するとともに、可動鉄心23Aからの作用を受ける。ソレノイド本体22Aは可動鉄心23Aの外周に配置されている。固定鉄心22Bは、操作ロッド23を軸方向移動自在に支持する貫通孔を中央に有し、上端に傾斜面22Baを有している。
【0022】
可動鉄心23Aの下端には、固定鉄心22Bの上端の傾斜面22Baに当接し得る傾斜面23Aaが形成されている。可動鉄心23Aの下方への移動時には、可動鉄心23Aの下端の傾斜面23Aaが固定鉄心22Bの上端の傾斜面22Baに当接することで、可動鉄心23Aの下方移動の際の停止端が設定されており、そのため、固定鉄心22Bは可動鉄心23Aの下方移動の際のストッパとしても機能している。また、操作ロッド23の中央部の外周面には、スナップリング(軸止め輪)23Cが取り付けられており、可動鉄心23Aの下部の内周面には、操作ロッド23の移動時にスナップリング23Cの移動を許容する凹部23Abが形成されている。操作ロッド23の上方への移動時には、スナップリング23Cが可動鉄心23Aの凹部23Abの上端に当接することで、操作ロッド23の可動鉄心23Aに対する上方への相対移動の際の停止端が設定されている。なお、可動鉄心23Aおよび操作ロッド23は、スナップリング23Cを介して、一方の軸方向の動きに連動して他方も軸方向に移動するようになっている。
【0023】
接点ブロック24は、図1に示すように、切替え可能な複数の接点24aを有している(同図では一部のみ図示)。また、接点ブロック24は、図2に示すように、操作ロッド23の下端に係止され、操作ロッド23とともに移動するように設けられるとともに、各接点24aを切り替えるための接点切替ブロック(移動体)25を有している。接点切替ブロック25は、側方に張り出すリブ(被検出部)25Aを有している(図1参照)。接点切替ブロック25の側方には、図1および図2に示すように、リブ25Aと対向する側板26が配置されている。側板26には、ソレノイド22の端子台27と、接点切替ブロック25のリブ25Aを検出するためのフォトインタラプタ(検出部)28とが設けられている。フォトインタラプタ28は、図2においては、リブ25Aの上方に配置されている。
【0024】
接点切替ブロック25は、図3ないし図6に示すように、中央に配置された筒状部25Cと、筒状部25Cの上部に設けられ、操作ロッド23の下端が係止し得る係止凹部25Cbと、筒状部25Cの両側方に張り出すとともに、筒状部25Cと一体に設けられた一対の接点切替部25B、25Dとを有している。各接点切替部25B、25Dの下部には、接点ブロック24の各接点24aに作用する傾斜面(作用部)25B、25B、25D、25Dがそれぞれ形成されている。また、一方の接点切替部25Bには、上述したリブ25Aが設けられている。リブ25Aは薄板状の部材である。
【0025】
リブ25Aを検出するフォトインタラプタ28は、図5中の一点鎖線に示すように、平面視コ字状の透過型フォトセンサであって、発光素子を内蔵する発光部28Aと、発光部28Aとの間に所定の間隔を隔てて対向配置され、受光素子を内蔵する受光部28Bとを有している。そして、発光部28Aの発光素子から出射された光Lを受光部28Bの受光素子が受光するように構成されており、発光部28Aおよび受光部28B間の光Lを検出物体としてのリブ25Aが遮ることにより、リブ25Aを検出するようになっている。なお、図示していないが、フォトインタラプタ28の出力は、たとえば電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)等のスイッチング素子に入力されるようになっている。
【0026】
本実施例では、リブ25Aは接点切替ブロック25に一体に設けられており、接点切替ブロック25は操作ロッド23の下端に係止されていて操作ロッド23と一体に移動するので、リブ25Aの検出イコール操作ロッド23の検出になっている。また、上述したように、操作ロッド23は、スナップリング23Cを介して可動鉄心23Aの軸方向の動きに連動して軸方向に移動するようになっているので、操作ロッド23を検出することは可動鉄心23Aの状態を検出していることになる。また、接点切替ブロック25は、可動鉄心23Aからの作用を受けて移動するようになっているともいえる。発光部28Aの発光素子としてはたとえばLED(発光ダイオード)が用いられ、受光部28Bの受光素子としてはたとえばフォトトランジスタが用いられている。遮光物がない状態では、フォトトランジスタに電流が流れ、遮光物がある状態では、フォトトランジスタに全くまたはほとんど電流が流れないので、受光部28B側での電流変化によって、リブ25Aしたがって操作ロッド23の位置(すなわち、可動鉄心23Aの位置)を検出するように構成されている。
【0027】
接点切替ブロック25の筒状部25Cの下端に形成された穴25Ca(図4)には、図2に示すように、接点切替ブロック25の下方に配置されるとともに、接点ブロック24を保持しつつソレノイド22の下部に取り付けられたホルダ29のテーパー状の軸部29Aが挿入されている。軸部29Aの周囲には、圧縮コイルばね29Sが配設されている。圧縮コイルばね29Sの上端は、筒状部25Cの穴25Caの底壁面に圧接し、下端はホルダ29の上面に圧接している。この構成により、圧縮コイルばね29Sの弾性反発力が接点切替ブロック25を介して操作ロッド23に上向きに作用している。
【0028】
スイッチ本体2のヘッド部4の内部には、図2に示すように、カム40が設けられており、カム40は中央の軸41に回転自在に支持されている。カム40には複数の切欠き40cが形成されており、ヘッド部4のアクチュエータ挿入口4aからヘッド部4の内部に挿入されたアクチュエータ3の先端部が、カム40の切欠き40cに係合してカム40を回転させるようになっている。可動鉄心23Aは、後述するように、操作ロッド23を介してカム40の回転をロックまたはアンロックするように作用している。図2に示す状態では、カム40の下部に形成された凹部40bに操作ロッド23の先端23aが弾性的に当接している。
【0029】
図7は、ソレノイド22の駆動制御装置を示している。駆動制御装置100は、フォトインタラプタ28と、フォトインタラプタ28の検出結果に応じてソレノイド22への供給電流を制御する電流制御部51とを有しており、フォトインタラプタ28および電流制御部51には外部電源50が接続されるようになっている。電流制御部51は、フォトインタラプタ28からの出力に基づき、ソレノイド22に対する供給電流の2段階制御を行うとともに定電流制御を行うアナログIC(図示せず)を有している。
【0030】
次に、上述した駆動制御装置100によるソレノイド22の駆動制御について、図8ないし図11を用いて説明する。
図8は、可動扉が閉塞した状態に対応している。このとき、可動扉に取り付けられたアクチュエータ3が安全スイッチ1のスイッチ本体2のヘッド部4の内部に挿入されて、カム40を図示反時計回りに回転させている。また、ソレノイド22のソレノイド本体22Aには外部電源50(図7)から電流が供給されておらず(ソレノイドOFFの状態)、そのため、操作ロッド23および可動鉄心23Aは、圧縮コイルばね29Sの弾性反発力の作用で上方に移動して非吸引位置に配置されており、これにより、操作ロッド23の先端部23aがカム40の切欠き40c内に係合して、カム40が回転方向にロックされたロック状態になっている。
【0031】
このロック状態においては、アクチュエータ3をヘッド部4から抜こうとしても、カム40の図示時計回りの回転が切欠き40cと操作ロッド23との干渉により規制されている。さらに、接点切替ブロック25の各傾斜面25B、25B、25D、25D図3)が接点ブロック24の各接点24a(図1)に作用して各接点24aを切り替えることにより、扉内部の機械に対してオン信号が出力されており、機械が稼動可能な状態になっている。また、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置に位置しているとき、図8中、丸で囲んだ一部拡大図に示すように、接点切替ブロック25のリブ25Aがフォトインタラプタ28の受光部28Bを遮蔽していて、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出している。このとき、フォトインタラプタ28の受光部28Bには電流が全くまたはほとんど流れない。
【0032】
この状態から、外部電源50より電流制御部51(図7)を介してソレノイド22に電流が供給されると、ソレノイド22がONとなる。このとき、電流制御部51は、フォトインタラプタ28の検出結果に応じたソレノイド電流をソレノイド本体22Aに供給する。このソレノイド電流は、図11に示すように、Imax(駆動電流)であって、ソレノイド22はフルパワーモードで駆動される。
【0033】
すると、図9に示すように、可動鉄心23Aがソレノイド本体22Aに吸引されて圧縮コイルばね29Sの弾性反発力に抗して下方に移動することにより、操作ロッド23がスナップリング23Cを介して可動鉄心23Aからの作用を受け下方に移動する。そして、可動鉄心23Aの下端の傾斜面23Aaが固定鉄心22Bの上端の傾斜面22Baに当接すると、可動鉄心23Aおよび操作ロッド23の下方への移動が停止する。このときの停止位置が操作ロッド23および可動鉄心23Aの吸引位置である。この吸引位置においては、操作ロッド23の先端23aがカム40の切欠き40cの底面から下方に離れた位置に移動しており、そのため、カム40のロック状態が解除されてカム40はアンロック状態にある。また、このとき、図9中、丸で囲んだ一部拡大図に示すように、接点切替ブロック25のリブ25Aがフォトインタラプタ28の受光部28Bの下方に移動していて、フォトインタラプタ28はリブ25Aを検出しておらず、受光部28Bは発光部28A(図5)からの光を受光している。このとき、フォトインタラプタ28の受光部28Bに電流が流れる。
【0034】
電流制御部51は、フォトインタラプタ28の検出結果に基づいて、図11に示すように、ソレノイド本体22Aに供給するソレノイド電流をImaxからIh(<Imax)(保持電流)に低減させる。これにより、ソレノイド22は省エネモードで駆動される。なお、本実施例では、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置(図8)から吸引位置(図9)に移動するまでの間の中間位置において、より詳細には、吸引位置の近傍位置において、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出しないように設定されている、すなわち、フォトインタラプタ28の受光部28Bに電流が流れるように設定されているが、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの非検出の設定は、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置に到達した時点で(すなわち、吸引位置の近傍位置を含めないようにして)行うようにしてもよい。
【0035】
次に、図10は、図9に示す状態からアクチュエータ3が安全スイッチ1のスイッチ本体2のヘッド部4から抜かれた状態を示しており、可動扉の開放状態に対応している。アクチュエータ3がヘッド部4から抜かれる際には、アクチュエータ3がカム40を図示時計回りに回転させており、これにより、回転するカム40によって操作ロッド23が下方に押し込まれるとともに、操作ロッド23の先端23aがカム40下部の凹部40bに弾性的に当接する。操作ロッド23がカム40により下方に押し込まれる際には、操作ロッド23は圧縮コイルばね29Sの弾性反発力に抗して下方に移動する。
【0036】
図10においては、操作ロッド23の下方への移動により、接点切替ブロック25のリブ25Aも下方に移動して、フォトインタラプタ28の受光部28Bによる受光が継続しており、よって、ソレノイド22の駆動状態は省エネモードが継続している。
【0037】
このように本実施例によれば、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの検出(つまり操作ロッド23(したがって可動鉄心23A)の検出)結果に応じて、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置にある状態では、ソレノイド22に大きなソレノイド電流(駆動電流)Imaxが供給され、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド22に対して小さなソレノイド電流(保持電流)Ih(<Imax)が供給されるよう、電流制御部51がソレノイド22に供給する電流を制御する。
【0038】
これにより、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にあるとき、ソレノイド22に供給する電流を低減してソレノイド22の消費電流を低減でき、その結果、省電力化による省エネを実現できるとともに、温度上昇を低減でき、コイルの焼損等の熱的リスクを低減できる。
【0039】
なお、本実施例では、図9に示すカムアンロック状態から図8に示すカムロック状態に移行する際には、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置(図9)から非吸引位置(図8)に移動するまでの間の中間位置において、より詳細には、非吸引位置の近傍位置において、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出するように設定されている、すなわち、フォトインタラプタ28の受光部28Bに電流が全くまたはほとんど流れないように設定されているが、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの検出の設定は、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置に到達した時点で(すなわち、非吸引位置の近傍位置を含めないようにして)行うようにしてもよい。
【0040】
ここで、本実施例とは異なり、フォトインタラプタ28が、正常動作時において、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するように設定(すなわち、吸引位置またはその近傍位置にある状態でフォトインタラプタ28がリブ25Aを検出するように設定)されていた場合を考える。この場合、フォトインタラプタ28が故障(たとえば劣化等により発光部28Aの発光素子から光が出射されなくなったなど)したときは、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置またはその近傍位置にあったとしても、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にあると誤検出される。したがって、ソレノイド22に駆動電流を供給しなければならない状態(操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置およびその近傍にある状態)であっても、ソレノイド22に駆動電流は供給されず駆動電流よりも小さい保持電流が供給される。その結果、可動鉄心23Aが正常に吸引されず、操作ロッド23も正常に動作しないので、ロック不良やアンロック不良が発生する。
【0041】
これに対して、本実施例のように、フォトインタラプタ28が、正常動作時において、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するように設定しておけば、フォトインタラプタ28が故障した際には、操作ロッド23および可動鉄心23Aの実際の位置に係らず、操作ロッド23および可動鉄心23Aは非吸引位置またはその近傍位置にある(すなわち、ソレノイドに駆動電流を供給しなければならない状態である)と誤検出される。誤検出ではあるが、常に「ソレノイドに駆動電流を供給しなければならない状態」と誤検出されるので、操作ロッドおよび可動鉄心23Aの状態に係らず、ソレノイド22には常に駆動電流が供給される。これにより、常に、可動鉄心23Aを吸引し操作ロッド23を正常動作させるという基本機能を確保することができ、ロック不良やアンロック不良が発生しなくなる。
【0042】
次に、図12ないし図14は、本実施例によるソレノイド駆動制御装置がソレノイドロックタイプの安全スイッチに適用された例を示している。各図において、図8ないし図10と同一符号は同一または相当部分を示しており、同様に、断面個所をグレーで着色して示している。また、以下の説明文においても、説明の便宜上、「上方」、「上側」、「上」とは、図12ないし図14の上方を指し、「下方」、「下側」、「下」とは、各図中の下方を指している。
【0043】
図12ないし図14に示すように、このソレノイドロックタイプの安全スイッチは、上述したスプリングロックタイプの安全スイッチと異なり、固定鉄心22Bがソレノイド22の上部に配置され、その下方に可動鉄心23Aが配置されており、固定鉄心22Bと可動鉄心23Aとの間において操作ロッド23の外周には、コイルばね23Sが配設されている。ソレノイド22による吸引方向は、スプリングロックタイプとは逆方向の上向きである。また、スナップリング23Cは、操作ロッド23の下部の外周面に取り付けられている。
【0044】
図12は、アクチュエータ3が安全スイッチ1のスイッチ本体2のヘッド部4に挿入される前の状態を示しており、可動扉の開放状態に対応している。このとき、カム40によって操作ロッド23が下方に押し込まれるとともに、操作ロッド23の先端23aがカム40下部の凹部40bに弾性的に当接している。操作ロッド23がカム40により下方に押し込まれる際には、操作ロッド23が圧縮コイルばね29Sの弾性反発力に抗して下方に移動している。この状態においては、カム40はアンロック状態にあって、可動鉄心23Aはソレノイド本体22Aによって吸引されておらず、操作ロッド23および可動鉄心23Aは非吸引位置にある。
【0045】
このとき、図12中、丸で囲んだ一部拡大図に示すように、リブ25Aがフォトインタラプタ28の受光部28Bを遮蔽していて、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出しており、フォトインタラプタ28の受光部28Bには電流が全くまたはほとんど流れない。
【0046】
図13は、アクチュエータ3がヘッド部4に挿入されてカム40を反時計回りに回転させた状態を示している。このとき、圧縮コイルばね29Sの弾性反発力の作用により操作ロッド23が上方に移動して、操作ロッド23の先端23aがカム40の切欠き40c内に位置しており、先端23aと切欠き40cの底面との間に間隙が形成されている。また、操作ロッド23の下部のスナップリング23Cが可動鉄心23Aの下端に下方から圧接している。
【0047】
このとき、カム40はアンロック状態にあって、可動鉄心23Aはソレノイド本体22Aによって吸引されておらず、操作ロッド23および可動鉄心23Aは非吸引位置にある。また、このとき、図13中、丸で囲んだ一部拡大図に示すように、リブ25Aは依然としてフォトインタラプタ28の受光部28Bを遮蔽していて、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出しており、フォトインタラプタ28の受光部28Bには電流が全くまたはほとんど流れない。
【0048】
この状態から、外部電源50より電流制御部51(図7)を介してソレノイド22に電流が供給されると、ソレノイド22がONとなる。このとき、電流制御部51は、フォトインタラプタ28の検出結果に応じたソレノイド電流をソレノイド本体22Aに供給する。このソレノイド電流は、図11に示すように、Imax(駆動電流)であって、ソレノイド22はフルパワーモードで駆動される。
【0049】
すると、図14に示すように、可動鉄心23Aがソレノイド本体22Aにより吸引されてコイルばね23Sの弾性反発力に抗して上方に移動することにより、操作ロッド23が可動鉄心23Aとともに上方に移動する。そして、可動鉄心23Aの上端の傾斜面23Aaが固定鉄心22Bの下端の傾斜面22Baに当接すると、可動鉄心23Aおよび操作ロッド23の上方への移動が停止する。このときの停止位置が操作ロッド23および可動鉄心23Aの吸引位置である。この吸引位置においては、操作ロッド23の先端23aがカム40の切欠き40cの底面に当接または接近した位置に配置されており、そのため、カム40はロック状態にある。また、このとき、図14中、丸で囲んだ一部拡大図に示すように、接点切替ブロック25のリブ25Aがフォトインタラプタ28の受光部28Bの上方に移動していて、フォトインタラプタ28はリブ25Aを検出しておらず、受光部28Bは発光部28A(図5)からの光を受光している。このとき、フォトインタラプタ28の受光部28Bに電流が流れる。
【0050】
電流制御部51は、フォトインタラプタ28の検出結果に基づいて、図11に示すように、ソレノイド本体22Aに供給するソレノイド電流をImax(駆動電流)からIh(<Imax)(保持電流)に低減させる。これにより、ソレノイド22は省エネモードで駆動される。なお、本実施例では、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置(図13)から吸引位置(図14)に移動するまでの間の中間位置において、より詳細には、吸引位置の近傍位置において、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出しないように設定されている、すなわち、フォトインタラプタ28の受光部28Bに電流が流れるように設定されているが、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの非検出の設定は、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置に到達した時点で(すなわち、吸引位置の近傍位置を含めないようにして)行うようにしてもよい。
【0051】
このように本実施例によれば、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの検出(つまり操作ロッド23(したがって可動鉄心23A)の検出)結果に応じて、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置にある状態では、ソレノイド22に大きなソレノイド電流(駆動電流)Imaxが供給され、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド22に対して小さなソレノイド電流(保持電流)Ih(<Imax)が供給されるよう、電流制御部51がソレノイド22に供給する電流を制御する。
【0052】
これにより、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にあるとき、ソレノイド22に供給する電流を低減してソレノイド22の消費電流を低減でき、その結果、省電力化による省エネを実現できるとともに、温度上昇を低減でき、コイルの焼損等の熱的リスクを低減できる。
【0053】
なお、この例においても、図14に示すカムロック状態から図13に示すカムアンロック状態に移行する際には、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置(図14)から非吸引位置(図13)に移動するまでの間の中間位置において、より詳細には、非吸引位置の近傍位置において、フォトインタラプタ28がリブ25Aを検出するように設定されている、すなわち、フォトインタラプタ28の受光部28Bに電流が全くまたはほとんど流れないように設定されているが、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの検出の設定は、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置に到達した時点で(すなわち、非吸引位置の近傍位置を含めないようにして)行うようにしてもよい。
【0054】
ここで、本実施例とは異なり、フォトインタラプタ28が、正常動作時において、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するように設定(すなわち、吸引位置またはその近傍位置にある状態でフォトインタラプタ28がリブ25Aを検出するように設定)されていた場合を考える。この場合、フォトインタラプタ28が故障(たとえば劣化等により発光部28Aの発光素子から光が出射されなくなったなど)したときは、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置またはその近傍位置にあったとしても、操作ロッド23および可動鉄心23Aは吸引位置またはその近傍位置にあると誤検出される。したがって、ソレノイド22に駆動電流を供給しなければならない状態(操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置およびその近傍にある状態)であっても、ソレノイド22に駆動電流は供給されず駆動電流よりも小さい保持電流が供給される。その結果、可動鉄心23Aが正常に吸引されず、操作ロッド23も正常に動作しないので、ロック不良やアンロック不良が発生する。
【0055】
これに対して、本実施例のように、フォトインタラプタ28が、正常動作時において、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するように設定しておけば、フォトインタラプタ28が故障した際には、操作ロッド23および可動鉄心23Aの実際の位置に係らず、操作ロッド23および可動鉄心23Aは非吸引位置またはその近傍位置にある(すなわち、ソレノイドに駆動電流を供給しなければならない状態である)と誤検出される。誤検出ではあるが、常に「ソレノイドに駆動電流を供給しなければならない状態」と誤検出されるので、操作ロッドおよび可動鉄心23Aの状態に係らず、ソレノイド22には常に駆動電流が供給される。これにより、常に、可動鉄心23Aを吸引し操作ロッド23を正常動作させるという基本機能を確保することができ、ロック不良やアンロック不良が発生しなくなる。
【0056】
〔第1の変形例〕
前記実施例では、接点切替ブロック25が、接点ブロック24の接点24aの切替えと、操作ロッド23の位置検出の双方の機能を有していることにより、両機能の連動を容易に行えるようにするとともに、部品点数を削減して製造コストを低減するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。操作ロッド23に被検出部を直接取り付け、この被検出部をフォトインタラプタ28が検出するようにしてもよい。
【0057】
〔第2の変形例〕
前記実施例では、接点切替ブロック25のリブ25Aを検出する検出部としてフォトインタラプタ28を用いた例を示したが、フォトインタラプタ28の代わりに、リードスイッチやマイクロスイッチ、磁気スイッチ等を用いるようにしてもよい。
【0058】
〔第3の変形例〕
前記実施例では、ソレノイド22への供給電流をアナログICによる2段階制御および定電流制御-で制御するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。たとえば、パルス制御を行うようにしてもよい。すなわち、ソレノイド22にパルス電圧を印加するとともに、パルス幅のデューティ・サイクルを変化させることにより、ソレノイド22への供給電流を制御するようにしてもよい。あるいは、ドロッパ回路により入力電圧を降圧させることによって、ソレノイド22への供給電流を制御するようにしてもよい。
【0059】
〔第4の変形例〕
前記実施例では、可動鉄心23Aに加えて操作ロッド23を設けた例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明においては、操作ロッド23を省略するとともに可動鉄心23Aを軸方向に延長することにより、可動鉄心23Aが操作ロッドとしても機能するようにしてもよい。この場合、可動鉄心23Aの状態は、フォトインタラプタ28により直接検出することが可能である。
【0060】
〔第5の変形例〕
前記実施例では、フォトインタラプタ28が、操作ロッド23を介して可動鉄心23Aが非吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明におけるフォトインタラプタ28は、操作ロッド23を介して可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にあることを検出するようにしてもよい。
【0061】
〔第6の変形例〕
前記実施例では、操作ロッド23がカム40をロックするロック部材の機能をも有している例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。本発明においては、カム40をロックするロック部材が操作ロッド23とは別個に設けられていてもよい。
【0062】
〔第7の変形例〕
前記実施例において、スプリングロックタイプの安全スイッチに適用されるソレノイドは、いわゆる「プルタイプ」に相当し、ソレノイドロックタイプの安全スイッチに適用されるソレノイドは、いわゆる「プッシュタイプ」に相当しているが、本発明による駆動制御装置が適用されるソレノイドは、吸引位置において永久磁石による吸引力を利用して可動鉄心を保持するいわゆる「自己保持タイプ」のものにも同様に適用可能である。この場合、ソレノイドの保持電流はゼロ(つまりIh=0)である。
【0063】
〔第8の変形例〕
前記実施例においては、操作ロッド23の位置を検出することにより可動鉄心23Aの状態(すなわち、吸引位置か非吸引位置か等の状態)を間接的に検出する例を示したが、位置検出のために用いる部材としては、操作ロッド23に限定されない。可動鉄心23Aにリンクした部材であれば、任意の可動部材を採用し得る。
【0064】
〔第9の変形例〕
前記実施例においては、可動鉄心23Aが軸方向に往復動する(つまり直線移動する)ソレノイドを例にとって説明したが、本発明は、可動鉄心が支点の回りを傾動(または回動)するタイプや軸心回りを回転するタイプ等のソレノイドにも同様に適用できる。このように、本発明による駆動制御装置は、銅線に電流を流して磁界を発生させることにより可動鉄心を吸引する電気部品全般に適用可能である。
【0065】
〔その他の変形例〕
上述した実施例および変形例はあらゆる点で本発明の単なる例示としてのみみなされるべきものであって、限定的なものではない。本発明が関連する分野の当業者は、本明細書中に明示の記載はなくても、上述の教示内容を考慮するとき、本発明の精神および本質的な特徴部分から外れることなく、本発明の原理を採用する種々の変形例やその他の実施例を構築し得る。
【0066】
〔他の適用例〕
本発明は、上述した安全スイッチに限らず、ソレノイドを用いた種々の機器や装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、省エネを実現するとともに、温度上昇による熱的リスクを低減するためのソレノイドの駆動制御装置に有用である。
【符号の説明】
【0068】
1: 安全スイッチ
2: スイッチ本体
3: アクチュエータ
40: カム

22: ソレノイド
22A: ソレノイド本体
23A: 可動鉄心(可動部)

25: 接点切替ブロック(移動体)
25A: リブ(被検出部)
25B、25B、25D、25D: 傾斜面(作用部)
28: フォトインタラプタ(検出部)
51: 電流制御部

100: 駆動制御装置

Imax: 駆動電流(第1の電流)
Ih: 保持電流(第2の電流)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2000-173822号公報(段落[0046]~[0048]参照)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を吸引するためのソレノイド本体を有し、前記可動部が前記ソレノイド本体に吸引された吸引位置と前記ソレノイド本体に吸引されていない非吸引位置とを採り得るように、前記ソレノイド本体が前記可動部を移動可能に支持するソレノイドの駆動制御装置であって、
前記ソレノイド本体に対して第1の電流またはこれより小さい第2の電流を供給するよう電流制御を行う電流制御部と、
前記ソレノイド本体への前記第1の電流の供給時に前記可動部の移動を検出する検出部とを備え、
前記電流制御部は、前記検出部による前記可動部の移動検出に基づき、前記ソレノイド本体への供給電流を前記第1の電流から前記第2の電流に切り替えている、
ことを特徴とするソレノイドの駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のソレノイドの駆動制御装置を備えた安全スイッチ。
【請求項3】
請求項において、
前記可動部からの作用を受けて移動する移動体をさらに備え、
前記移動体が、外部の機器を制御するための複数の接点に作用する作用部と、前記作用部とは別に設けられ、前記検出部により検出される被検出部とを有している、
ことを特徴とする安全スイッチ
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、可動部を吸引するためのソレノイド本体を有し、可動部がソレノイド本体に吸引された吸引位置とソレノイド本体に吸引されていない非吸引位置とを採り得るように、ソレノイド本体が可動部を移動可能に支持するソレノイドの駆動制御装置である。当該装置は、ソレノイド本体に対して第1の電流またはこれより小さい第2の電流を供給するよう電流制御を行う電流制御部と、ソレノイド本体への第1の電流の供給時に可動部の移動を検出する検出部とを備えている。電流制御部は、検出部による可動部の移動検出に基づき、ソレノイド本体への供給電流を第1の電流から第2の電流に切り替えている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明によれば、可動部は、ソレノイド本体に吸引されると吸引位置に移動し、ソレノイド本体に吸引されていないと非吸引位置に移動する。このとき、ソレノイド本体への第1の電流の供給時において可動部の移動は検出部により検出される。そして、電流制御部は、検出部による可動部の移動検出に基づき、ソレノイド本体への給電流を第1の電流からこれより小さい第2の電流に切り替える。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
これにより、可動部が吸引位置にあるとき、ソレノイド本体に供給する電流を低減してソレノイドの消費電流を低減でき、これにより、省電力化による省エネを実現できるとともに、温度上昇を低減でき、コイルの焼損等の熱的リスクを低減できる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
本発明は上記駆動制御装置を備えた安全スイッチである
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明に係る安全スイッチは、可動部からの作用を受けて移動する移動体をさらに備えている。移動体は、外部の機器を制御するための複数の接点に作用する作用部と、作用部とは別に設けられ、検出部により検出される被検出部とを有している。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
以上のように本発明によれば、可動部が吸引位置にあるとき、ソレノイド本体に供給する電流を低減してソレノイドの消費電流を低減でき、これにより、省電力化による省エネを実現できるとともに、温度上昇を低減でき、コイルの焼損等の熱的リスクを低減できる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
このように本実施例によれば、フォトインタラプタ28によるリブ25Aの検出(つまり操作ロッド23(したがって可動鉄心23A)の検出)結果に応じて、操作ロッド23および可動鉄心23Aが非吸引位置にある状態では、ソレノイド22に大きなソレノイド電流(駆動電流)Imaxが供給され、操作ロッド23および可動鉄心23Aが吸引位置またはその近傍位置にある状態では、ソレノイド22に対して小さなソレノイド電流(保持電流)Ih(<Imax)が供給されるよう、電流制御部51がソレノイド22に供給する電流を制御する。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
〔第3の変形例〕
前記実施例では、ソレノイド22への供給電流をアナログICによる2段階制御および定電流制御で制御するようにした例を示したが、本発明の適用はこれに限定されない。たとえば、パルス制御を行うようにしてもよい。すなわち、ソレノイド22にパルス電圧を印加するとともに、パルス幅のデューティ・サイクルを変化させることにより、ソレノイド22への供給電流を制御するようにしてもよい。あるいは、ドロッパ回路により入力電圧を降圧させることによって、ソレノイド22への供給電流を制御するようにしてもよい。