(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100795
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】灯具システムおよび移動体用提示システム
(51)【国際特許分類】
B64D 47/06 20060101AFI20230711BHJP
B60Q 1/24 20060101ALI20230711BHJP
B64U 10/13 20230101ALI20230711BHJP
B64C 37/00 20060101ALI20230711BHJP
B64D 47/02 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B64D47/06
B60Q1/24 A
B64U10/13
B64C37/00
B64D47/02
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023074919
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2020560057の分割
【原出願日】2019-12-06
(31)【優先権主張番号】P 2018233725
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2018241516
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019000742
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019005427
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019018064
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】元辻 彩香
(72)【発明者】
【氏名】村上 一臣
(72)【発明者】
【氏名】内田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 裕之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 拓男
(72)【発明者】
【氏名】村松 隆雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 穂菜美
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 壮宜
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、着陸時の安全に寄与する灯具システムを提供する。
【解決手段】移動体用灯具100は、飛行可能に構成された移動体用の移動体用灯具である。移動体用灯具100は、スポットランプ120と、飛行中に、自移動体の周囲に存在する照射対象物を検出する検出部160と、照射対象物に光が照射されるようにスポットランプ120を制御する灯具制御部150と、備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上を走行可能かつ空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、
左右方向の照射角度が可変な第1灯具ユニットと、
前記移動体が空を飛行しているときは、前記移動体が地上を走行しているときよりも左右方向に大きい照射角度で光を照射するよう前記第1灯具ユニットを制御する制御部と、
を備えることを特徴とする灯具システム。
【請求項2】
地上を走行可能かつ空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、
第1灯具ユニットと、
前記第1灯具ユニットよりも左右方向の照射角度が小さい第2灯具ユニットと、
前記移動体が空を飛行しているときは前記第1灯具ユニットを点灯させ、前記移動体が地上を走行しているときは前記第2灯具ユニットを点灯させる制御部と、
を備えることを特徴とする灯具システム。
【請求項3】
前記制御部は、所定の高度以上で前記移動体が飛行しているときは、当該高度未満で前記移動体が飛行しているときよりも前記第1灯具ユニットの輝度を高めることを特徴とする請求項1または2に記載の灯具システム。
【請求項4】
前記第1灯具ユニットは、上下方向の照射角度が可変であり、
前記制御部は、前記移動体が上昇または下降しているときは、前記移動体が実質的に一定の高度を飛行しているときよりも、前記第1灯具ユニットの上下方向の照射角度を大きくすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の灯具システム。
【請求項5】
飛行可能に構成された移動体に搭載される移動体用提示システムであって、
前記移動体の外部から視認可能で、前記移動体の飛行状況に関する情報を提示する提示部を備えることを特徴とする移動体用提示システム。
【請求項6】
前記情報は、前記移動体の進行方向を示す情報であることを特徴とする請求項5に記載の移動体用提示システム
【請求項7】
前記提示部は、ディスプレイであり、
前記提示部には、前記情報が図形により提示されることを特徴とする請求項6に記載の移動体用提示システム。
【請求項8】
前記移動体は、自身を飛行させるためのロータと、ロータカバーと、を備え、
前記提示部は、前記ロータカバーに設けられることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の移動体用提示システム。
【請求項9】
飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、
ランプと、
前記ランプを制御し、前記移動体が着陸する際に、着陸予定エリアに物体が検出される場合は第1の態様の光を着陸予定エリアに照射させ、着陸予定エリアに物体が検出されない場合は第2の態様の光を着陸予定エリアに照射させる制御部と、
を備えることを特徴とする灯具システム。
【請求項10】
前記制御部は、着陸予定エリアへの照射開始から所定時間は、着陸予定エリアに物体が検出されたか否かによらず、前記第1の態様の光あるいは第3の態様の光を照射させることを特徴とする請求項9に記載の灯具システム。
【請求項11】
前記第1の態様の光は、第1の色の光であり、
前記第2の態様の光は、第2の色の光であることを特徴とする請求項9または10に記載の灯具システム。
【請求項12】
前記第1の態様の光は、着陸予定エリアに第1の形状のパターンを形成し、
前記第2の態様の光は、着陸予定エリアに第2の形状のパターンを形成することを特徴とする請求項9または10に記載の灯具システム。
【請求項13】
前記第1の態様の光は、点灯光および点滅光の一方であり、
前記第2の態様の光は、点灯光および点滅光の他方であることを特徴とする請求項9または10に記載の灯具システム。
【請求項14】
飛行可能に構成された移動体に搭載される移動体に搭載される灯具システムであって、
ランプと、
前記ランプを制御し、前記移動体が着陸する際に、着陸予定エリアに所定のパターンを描画させる制御部と、
を備えることを特徴とする灯具システム。
【請求項15】
飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、
ランプと、
前記移動体が着陸する際に、前記ランプに着陸予定エリアを照射させる制御部と、
を備え、
前記制御部は、着陸予定エリアまでの距離に応じて、照射される光の態様を変化させることを特徴とする灯具システム。
【請求項16】
前記態様は、色、点灯・点滅状態またはパターン形状であることを特徴とする請求項15に記載の灯具システム。
【請求項17】
前記制御部は、着陸予定エリアまでの距離にかかわらず、着陸予定エリアとして、実質的に一定の大きさの範囲を照射させることを特徴とする請求項15または16に記載の灯具システム。
【請求項18】
前記制御部は、着陸予定エリアに、図形を配列した模様を描画させることを特徴とする請求項15から17のいずれかに記載の灯具システム。
【請求項19】
飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、
ランプと、
前記ランプを制御し、前記移動体が着陸する際に着陸予定エリアに、図形を配列した模様を描画させる制御部と、
を備えることを特徴とする灯具システム。
【請求項20】
前記模様は、縞模様または格子模様であることを特徴とする請求項18または19に記載の灯具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体用灯具、灯具システムおよび移動体用提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2020年代の実用化を目指して、地上を走行可能かつ空を飛行可能な移動体の開発が進められている。このような移動体の普及は、交通渋滞の緩和や物流サービスの効率化に寄与することが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-210199号公報
【特許文献2】特開2001-266603
【特許文献3】特開2014-058195号公報
【特許文献4】特開2000-280995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
(1) 特許文献1に記載される従来の技術では、ライトの照射範囲に鳥が入ってこなければ鳥を追い払うことができず、飛行中の安全を高める上で、改良の余地がある。
【0005】
また、移動体が空を飛行する場合、地上とは異なり空には道路がないため、飛行中の移動体同士の衝突の危険性が高まることも予想される。
【0006】
いずれにせよ、飛行中の安全を高める必要性がある。
【0007】
本発明の第1側面はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、飛行可能に構成された移動体の飛行中の安全を高める技術を提供することにある。
【0008】
(2)空には道路がないため、どこを飛行していても、自移動体の進路に他の移動体が進入してくるおそれがある。これは移動体に乗っている人を不安にする。
【0009】
本発明の第2側面はこうした状況においてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、移動体に乗っている人の飛行中の不安を軽減できる灯具システムの提供にある。
【0010】
(3)本発明の第3側面はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、空を飛行可能に構成された移動体に搭載される移動体用提示システムであって、交通安全に寄与する移動体用提示システムを提供することにある。
【0011】
(4)移動体は、専用の離着陸エリア以外、例えば空き地や路肩などにも着陸することが想定される。しかしながら、移動体がむやみに着陸すると、地上にいる人や、地上に停止しているまたは地上を走行している他の移動体に危険である。
【0012】
本発明の第4側面はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、着陸時の安全に寄与する灯具システムを提供することにある。
【0013】
(5)移動体は、専用の離着陸エリア以外、例えば空き地や路肩などにも着陸することが想定される。
【0014】
本発明の第5側面はこうした状況に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、着陸時の安全に寄与する灯具システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明の第1側面のある態様の移動体用灯具は、飛行可能に構成された移動体に装着される移動体用灯具であって、灯具ユニットと、飛行中に、自移動体の周囲に存在する照射対象物を検出する検出部と、照射対象物に光が照射されるように灯具ユニットを制御する制御部と、を備える。
【0016】
(2)本発明の第2側面のある態様の灯具システムは、地上を走行可能かつ空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、左右方向の照射角度が可変な第1灯具ユニットと、移動体が空を飛行しているときは、移動体が地上を走行しているときよりも左右方向に大きい照射角度で光を照射するよう第1灯具ユニットを制御する制御部と、を備える。
【0017】
本発明の第2側面の別の態様もまた、灯具システムである。この灯具システムは、地上を走行可能かつ空を飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、第1灯具ユニットと、第1灯具ユニットよりも左右方向の照射角度が小さい第2灯具ユニットと、移動体が空を飛行しているときは第1灯具ユニットを点灯させ、移動体が地上を走行しているときは第2灯具ユニットを点灯させる制御部と、を備える。
【0018】
(3)本発明の第3側面のある態様の移動体用提示システムは、飛行可能に構成された移動体に搭載される移動体用提示システムであって、移動体の外部から視認可能で、移動体の飛行状況に関する情報を提示する提示部を備える。
【0019】
(4)本発明の第4側面のある態様の灯具システムは、飛行可能に構成された移動体に搭載される移動体に搭載される灯具システムであって、ランプと、ランプを制御し、移動体が着陸する際に、着陸予定エリアに物体が検出される場合は第1の態様の光を着陸予定エリアに照射させ、着陸予定エリアに物体が検出されない場合は第2の態様の光を着陸予定エリアに照射させる制御部と、を備える。
【0020】
本発明の第4側面の別の態様もまた、灯具システムである。この灯具システムは、飛行可能に構成された移動体に搭載される移動体に搭載される灯具システムであって、ランプと、ランプを制御し、移動体が着陸する際に、着陸予定エリアに所定のパターンを描画させる制御部と、を備える。
【0021】
(5)本発明の第5側面のある態様の灯具システムは、飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、ランプと、移動体が着陸する際に、ランプに着陸予定エリアを照射させる制御部と、を備える。制御部は、着陸予定エリアまでの距離に応じて、照射される光の態様を変化させる。
【0022】
本発明の第5側面の別の態様もまた、灯具システムである。この灯具システムは、飛行可能に構成された移動体に搭載される灯具システムであって、ランプと、ランプを制御し、移動体が着陸する際に着陸予定エリアに、図形を配列した模様を描画させる制御部と、を備える。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、上述の少なくともひとつの課題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態に係る移動体用灯具の正面図である。
【
図2】
図1の移動体用灯具を備える灯具システムのブロック図である。
【
図3】飛行シーンにおける灯具システムの動作を説明する図である。
【
図4】
図3(a)、(b))は、別の飛行シーンにおける灯具システムの動作を説明する図である。
【
図5】変形例に係る移動体用灯具の鉛直断面図である。
【
図6】実施の形態2-1に係る移動体用灯具を備える灯具システムのブロック図である。
【
図8】
図8(a)、(b)は、灯具システムの動作を説明する図である。
【
図9】
図9(a)、(b)は、灯具システムの動作を説明する図である。
【
図10】
図6の第1灯具ユニットの配光パターンを示す図である。
【
図11】実施の形態2-2に係る移動体用灯具を備える灯具システムのブロック図である。
【
図12】実施の形態2-3に係る交通情報管理システムのブロック図である。
【
図13】実施形態3に係る移動体用提示システムが搭載される移動体の斜視図である。
【
図16】移動体用提示システムのブロック図である。
【
図17】
図17(a)~(e)は、移動体用提示システムの動作を説明する図である。
【
図18】変形例に係る移動体用提示システムの動作を説明する図である。
【
図19】変形例に係る移動体を示す左側面図である。
【
図22】実施の形態4に係る灯具システムのブロック図である。
【
図23】
図23(a)、(b)は、着陸ランプが照射する光が地面に形成するパターンの一例を示す図である。
【
図24】
図24(a)、(b)は、着陸ランプが照射する光が地面に形成するパターンの別の例を示す図である。
【
図25】
図25(a)、(b)は、着陸ランプが照射する光が地面に形成するパターンのさらに別の例を示す図である。
【
図28】実施の形態5に係る灯具システムのブロック図である。
【
図29】
図29(a)、(b)は、着陸ランプが照射する光が着陸予定エリアAに描画する基準模様の一例を示す図である。
【
図30】
図30(a)~(d)は、移動体の着陸ランプが光を照射する様子を示す図である。
【
図31】
図31(a)~(c)は、灯具システムの動作を時系列で説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
I 本発明の第1側面
以下、本発明の第1側面を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。また、本明細書において、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る移動体用灯具100の正面図である。移動体用灯具100は、空を飛行可能に構成され、好ましくはさらに地上を走行可能に構成された、人を輸送するための移動体に装着される。本実施の形態では、移動体用灯具100が装着される移動体は、空を飛行可能、かつ、地上を走行可能に構成されているものとする。移動体用灯具100は、スポットランプ120、ロービームユニット130、ハイビームユニット140およびそれらを収容するランプボディ102、カバー104を備える。各ランプユニットの配置やデザインは、移動体の種類毎に異なるものであり、特に限定されない。
【0028】
ロービームユニット130は、移動体が地上、特に市街地を走行するときに用いられる灯具ユニットであり、ロービーム配光を照射するよう構成される。ハイビームユニット140は、移動体が地上を走行するとき及び空を飛行するときに用いられる灯具ユニットである。ハイビームユニット140は、移動体が地上を走行するときには、ハイビーム配光を照射する。
【0029】
スポットランプ120は、物体をスポット照射するランプである。スポットランプ120の構成は特に限定されず、たとえば、LED(発光ダイオード)やLD(レーザダイオード)などの半導体光源と、半導体光源を駆動して点灯させる点灯回路と、を含みうる。スポットランプ120は、スイブル機構122を含み、照射方向を変更可能である。
【0030】
スイブル機構122は、アクチュエータおよびその駆動回路などを含む。スイブル機構122は、灯具制御部150からの指令に基づいて、スポットランプ120の光軸を左右方向および上下方向に回転させる。本実施の形態では、スイブル機構122は、スポットランプ120の光軸を、左右方向および上下方向のそれぞれに、180度回転可能に構成されている。
【0031】
スポットランプ120による照射エリアは、ロービームユニット130による照射エリアの一部およびハイビームユニット140による照射エリアの一部とオーバーラップする。
【0032】
図2は、実施の形態に係る移動体用灯具100を備える灯具システム300のブロック図である。灯具システム300は、移動体用灯具100および移動体制御部200を備える。移動体用灯具100は、灯具制御部150および検出部160をさらに備える。灯具制御部150および検出部160は、ランプボディ102およびカバー104に収容されてもよいし、少なくとも一方は移動体側に設けられてもよい。
【0033】
移動体用灯具100は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワークを介して、移動体制御部200と接続される。移動体制御部200から灯具システム300には、ランプのオン、オフの点灯指令や飛行状況を示す情報(飛行情報)などが送信される。
【0034】
検出部160は、本実施の形態では、カメラと、画像処理部と、を含む。画像処理部は、カメラが撮影した画像を処理することにより、スポットランプ120によりスポット照射すべき物体(以下、照射対象物という)を検出する。
【0035】
例えば、検出部160は、グレアを与えるべきでない所定の物標(特定物標という)を除外した物体を、照射対象物として検出してもよい。特定物標としては、ビルなどの建物が例示されるが、その限りではない。
【0036】
また例えば、検出部160は、空を飛行している物体を、照射対象物として検出してもよい。こうした物体としては、鳥、ドローン、他の移動体が例示されるが、その限りではない。この場合、ビルなどの建物が照射対象物から除外されることになり、建物内の人にグレアを与えるのを抑止できる。
【0037】
灯具制御部150は、検出部160が照射対象物を検出すると、スポットランプ120を制御して、当該照射対象物にスポット光を照射する。より詳しくは、灯具制御部150は、照射対象物にスポット光が照射されるように、スイブル機構122を駆動してスポットランプ120の光軸が照射対象物を通るようにスポットランプ120の照射方向を照射対象物に向ける。そして灯具制御部150は、スポットランプ120にスポット光を照射させる。
【0038】
また灯具制御部150は、飛行情報に進行方向が変化する旨の情報が含まれる場合、スポットランプ120を制御して、変化する進行方向に追従するように進行方向にスポット光を照射する。より詳しくは、灯具制御部150は、移動体の進行方向に追従するように、スイブル機構122を駆動してスポットランプ120の照射方向を進行方向に向ける、すなわちスポットランプ120の光軸を進行方向に向ける。例えば、灯具制御部150は、移動体が離着陸するときや高度を変更するとき、スイブル機構122を駆動して、スポットランプ120が進行方向を照射するように、上下方向におけるスポットランプ120の照射方向を変更させる。
【0039】
また灯具制御部150は、移動体制御部からの指令に応じて、ロービームユニット130およびハイビームユニット140による照射を制御する。
【0040】
以上が灯具システム300の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図3は、飛行シーンにおける灯具システム300の動作を説明する図である。
図3の飛行シーンでは自移動体の斜め上前方に照射対象物が存在する。また、移動体はハイビームHBを照射して走行している。
【0041】
破線はスポットランプ120の照射可能なエリアを示す。灯具制御部150は、このエリアで照射対象物が検出されると、照射対象物にスポットランプ120からのスポット光SBを照射させる。これにより、自移動体の周囲の局所的な一部分が点灯するため、自移動体の運転者の注意を引くことになり、自移動体の運転手に照射対象物を気づかせることができる。また、照射対象物が鳥や他の移動体の場合、当該照射対象物に自移動体の存在を気づかせることができ、回避行動を促すことができる。
【0042】
灯具制御部150は、スポット光SBを点滅させてもよい。点滅することで、自移動体の運転者の注意をより引くことができ、自移動体の運転手に照射対象物をより確実に気づかせることができる。この場合、灯具制御部150は、物体との距離に応じて点滅の周期を変化させてもよく、例えば距離が近いほど点滅の周期を短くし、遠いほど点滅の周期を長くしてもよい。
【0043】
灯具制御部150は、照射対象物の照度が一定に近づくように、スポットランプ120によるスポット光SBの強度を調整してもよい。すなわち、物体までの距離が近いほど、スポット光の強度を低下させ、遠いほどスポット光SBの強度を増大させてもよい。これにより、物体が他の移動体である場合に、より遠方の他の移動体に自移動体の存在を気づかせることができ、また他の移動体との距離が近いときに与えるグレアを低減できる。
【0044】
図4(a)、(b)は、別の飛行シーンにおける灯具システム300の動作を説明する図である。
図4(a)の走行シーンでは、前進飛行している移動体が高度を上げようとしている、すなわち移動体が斜め上前方に進行方向を変化させようとしている。
図4(b)の走行シーンでは、前進飛行している移動体が高度を下げようとしている、すなわち移動体が斜め下前方に進行方向を変化させようとしている。また、いずれの走行シーンでも、移動体はハイビームHBを照射して走行している。
【0045】
灯具制御部150は、
図4(a)の走行シーンでは、スポットランプ120を制御して、進行方向である斜め上前方にスポット光SBを照射させ、
図4(b)の走行シーンでは、スポットランプ120を制御して、進行方向である斜め下前方にスポット光SBを照射させる。これにより、自移動体が進行しようとしている方向を他の移動体に知らしめることができ、進行予定の進路への他の移動体の進入を抑止できる。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態によれば、物体の存在を自移動体の運転手に気づかせることができ、また、自移動体の存在や自移動体の進行方向を周囲に気づかせることができる。その結果、衝突等が回避され、飛行中の安全性が向上する。なお、本実施の形態は、視認性が低下する夜間に特に有効である。
【0047】
続いて、実施の形態1に関連する変形例を説明する。
【0048】
(変形例1)
実施の形態では、検出部160がカメラを含み、撮影した画像に基づいて照射対象物を検出したが、照射対象物の検出方法は特に限定されず、例えば検出部160がステレオカメラ、ToFカメラ、LiDAR、または赤外線センサを含み、その検出結果に基づいて照射対象物を検出してもよい。
【0049】
(変形例2)
実施の形態では特に言及しなかったが、灯具制御部150は、ハイビームユニット140よりも最大光度が高い光を照射するようにスポットランプ120を制御してもよい。これにより、ハイビームHBの照射中にハイビームHBにオーバーラップするようにスポット光SBが照射された場合でも、自移動体の運転手はスポット光SBひいては照射対象物に気づくことができる。
【0050】
(変形例3)
灯具システム300は、複数のスポットランプ120を備えてもよい。例えば、灯具システム300は2つのスポットランプ120を備え、2つのスポットランプ120は左右の移動体用灯具に1つずつ内蔵されてもよい。この場合において、左右のスポットランプ120のビームを重ね合わせてもよい。あるいは、左右のスポットランプ120の照射エリアを異ならせてもよい。例えば、右側のスポットランプ120によって移動体の右側の領域を照射し、他方のスポットランプ120によって移動体の左側の領域を照射してもよい。
【0051】
(変形例4)
複数の照射対象物を検出した場合、灯具制御部150は、複数の照射対象物に順次スポット光LBを照射してもよい。この場合、灯具制御部150は、自移動体に近い順にスポット光LBを照射させてもよい。灯具システム300が複数のスポットランプ120を備える場合は、複数のスポットランプ120のそれぞれが、複数の照射対象物のそれぞれにスポット光LBを照射してもよい。
【0052】
(変形例5)
実施の形態では、移動体の進行方向を変化させる場合、スイブル機構122を駆動することにより、変化する進行方向に追従するように進行方向を照射する場合について説明したが、これには限定されない。灯具システム300は、照射方向が異なる方向を向いた複数のスポットランプ120を備え、進行方向の変化に応じて点灯させるスポットランプ120を変化させてもよい。
【0053】
図5は、変形例に係る移動体用灯具100の鉛直断面図である。移動体用灯具100は、3つのスポットランプ120a、120b、120cを備える。3つのスポットランプ120a、120b、120cはそれぞれ、照射方向が上方、灯具正面、下方を向くように配置されている。本変形例では、高度を上げるときには上方を向いたスポットランプ120aを点灯させ、高度を下げるときには下方を向いたスポットランプ120cを点灯させる。なお、照射方向が右方向、左方向を向いたスポットランプ120をさらに備えてもよい。この場合、自移動体が進行しようとしている方向を他の移動体に知らしめることができ、進行予定の進路への他の移動体の進入を抑止できる。なお、
図5の例では、3つのスポットランプ120a、120b、120cが同じ筐体に収容されているが、それぞれ別々の筐体に収容されてもよい。
【0054】
(変形例6)
実施の形態では特に言及しなかったが、検出部160は、ハイビームユニット140の照射範囲外に存在する物体のみを、照射対象物としてもよい。ハイビームユニット140の照射範囲内に存在する物体にはハイビームHBが照射されるため、自移動体の運転者は当該物体に気づくことでき、また当該物体に自移動体の存在を気づかせることもできるためである。
【0055】
(変形例7)
灯具システム300は、スポットランプ120の代わりに、またはスポットランプ120に加えて、超音波照射装置を備えてもよい。この場合、超音波照射装置は、スポットランプ120と同様に、照射方向を変更可能に、例えば照射方向を左右方向および上下方向のそれぞれに180度回転可能に構成されてもよい。検出部160が鳥を検出した場合、灯具制御部150は、超音波照射装置を制御して照射方向を鳥に向け、超音波を鳥に向けて照射させる。
【0056】
(変形例8)
実施の形態では、検出部160が空を飛行している物体を照射対象物として検出した場合、灯具制御部150がスポットランプ120を制御して、照射対象物にスポット光を照射する場合について説明した。変形例として、移動体用灯具100が不図示の音波発生装置を備えてもよい。検出部160が照射対象物を検出した場合、灯具制御部150は、音波発生装置を制御して、照射対象物に音波を照射してもよい。照射対象物が鳥の場合、鳥を威嚇することができ、鳥が移動体から遠ざかることが期待される。照射対象物が他の移動体の場合、当該照射対象物に自移動体の存在を気づかせることができ、回避行動を促すことができる。好ましくは、音波発生装置は、指向性のある音波を照射可能に構成される。この場合、音波発生装置をスイブル機構により照射対象物に向け、指向性のある音波を照射対象物に照射する。この場合、近隣の人への騒音を低減できる。
【0057】
II 本発明の第2側面
以下、本発明の第2側面を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。
【0058】
(実施の形態2-1)
図6は、実施の形態2-1に係る灯具システム(あるいは移動体用灯具)2100のブロック図である。灯具システム2100は、人間を輸送するための移動体2010であって、地上を走行可能かつ空を飛行可能に構成された移動体2010に搭載される。
【0059】
移動体制御部2012は、移動体2010を統合的に制御する。移動体制御部2012から灯具システム2100には、後述する各灯具ユニットのオン、オフの点灯指令S1や、移動体2010の走行状況および飛行状況を示す情報(走行情報)S2などが送信される。走行情報S2は、移動体2010が地上を走行しているかそれとも空を飛行しているかを示す情報、移動体2010が上昇または下降しているかそれとも実質的に一定の高度を飛行しているかを示す情報、移動体2010が空を飛行している場合においてその高度を示す情報を含む。
【0060】
灯具システム2100は、検知部2102と、第1灯具ユニット2104と、第2灯具ユニット2106と、第3灯具ユニット2108と、灯具制御部2110と、を備える。これらはすべて同じ筐体に内蔵されていてもよいし、いくつかの部材は、筐体の外部、言い換えれば移動体2010側に設けられてもよい。
【0061】
第1灯具ユニット2104は、移動体2010が地上を走行するとき及び空を飛行するときに用いられる灯具ユニットである。第1灯具ユニット2104は、移動体2010が地上を走行するときには、ハイビーム配光を照射する。第1灯具ユニット2104は、詳しくは後述するが、左右方向および上下方向の照射角度が可変に構成される。
【0062】
第2灯具ユニット2106は、移動体2010が地上を走行するときに用いられる灯具ユニットであり、ロービーム配光を照射する。
【0063】
第3灯具ユニット2108は、移動体2010が空を飛行するとき、特に移動体2010が上昇するときに用いられる灯具ユニットであり、上空に向けて光を照射するよう構成される。
【0064】
灯具制御部2110は、移動体制御部2012からの点灯指令S1や走行情報S2に基づいて、第1灯具ユニット2104、第2灯具ユニット2106および第3灯具ユニット2108による光の照射を制御する。
【0065】
灯具制御部2110は、移動体制御部2012からの点灯指令S1が第1灯具ユニット2104の点灯を指示する場合において、移動体2010が空を飛行していることを走行情報S2が示すときは、左右方向の照射角度が第1左右照射角度の光を照射するよう第1灯具ユニット2104を制御し、移動体2010が地上を走行していることを走行情報S2が示すときは、左右方向の照射角度が第2左右照射角度(<第1左右照射角度)の光を照射するよう第1灯具ユニット2104を制御する。例えば、第1左右照射角度は120°であり、第2左右照射角度は80°である。
【0066】
また灯具制御部2110は、移動体制御部2012からの点灯指令S1が第1灯具ユニット2104の点灯を指示する場合において、移動体2010が実質的に一定の高度を飛行していることを走行情報S2が示すときは、上下方向の照射角度が第1上下照射角度の光を照射するよう第1灯具ユニット2104を制御し、移動体2010が上昇または下降していることを走行情報S2が示すときは、上下方向の照射角度が第2上下照射角度(>第1上下照射角度)の光を照射するよう第1灯具ユニット2104を制御する。つまり、移動体2010が空を飛行しているときは、左右に広く光が照射される。
【0067】
また灯具制御部2110は、移動体制御部2012からの点灯指令S1が第1灯具ユニット2104の点灯を指示する場合において、移動体2010が所定の第1高度未満を飛行していることを走行情報S2が示すときは、第1輝度で照射するよう第1灯具ユニット2104を制御し、移動体2010が第1高度以上を飛行していることを走行情報S2が示すときは、第2輝度(>第1輝度)で照射するよう第1灯具ユニット2104を制御する。つまり、移動体2010が高い所を飛行しているときは、より明るく照射される。第1高度は、第1灯具ユニット2104から照射された光が建物に照射されない高度であってもよい。
【0068】
また灯具制御部2110は、移動体2010が上昇していることを走行情報S2が示すときは、上空に向けて光を照射するよう第3灯具ユニット2108を制御する。
【0069】
検知部2102は、他の移動体2010の第3灯具ユニット2108が照射する光を検知可能に構成される。すなわち、検知部2102は、他の移動体2010が上昇するときに当該他の移動体2010の第3灯具ユニット2108が自移動体2010の下方から上空に向けて照射した光を検知する。検知部2102は、検知結果を移動体制御部2012に送信する。なお検知部2102は、検知結果を、灯具制御部2110を介して移動体制御部2012に送信してもよい。移動体制御部2012は、検知結果に基づき他の移動体2010が上昇してくることすなわち近づいてくることを検知する。
【0070】
図7は、第1灯具ユニット2104の斜視図である。第1灯具ユニット2104の構成は特に限定されないが、この例では光源2112と、投影レンズ2114と、を備える。
【0071】
光源2112は、複数の、この例では4行6列に配列された24個の発光ユニット2116を含む。上からi番目(1≦i≦4)で左からj番目(1≦j≦6)の発光ユニットを発光ユニット2116[i,j]と表記する。複数の発光ユニット2116は、LED(発光ダイオード)やLD(半導体レーザ)などの半導体光源を含む。ひとつの発光ユニット2116は、輝度および点消灯の制御の最小単位を構成している。ひとつの発光ユニット2116は、ひとつのLEDチップ(LDチップ)であってもよいし、直列および/または並列に接続された複数のLEDチップ(LDチップ)を含んでもよい。
【0072】
光源2112から出射した光は、投影レンズ2114に直接入射する。投影レンズ2114に入射した光は、投影レンズ2114で集光されて略平行な光として前方に照射される。
【0073】
本実施の形態の第1灯具ユニット2104では、点灯させる発光ユニット2116を変更することで、左右方向および上下方向の照射角度を変更する。例えば、発光ユニット2116[2,2]、116[2,3]、116[2,4]、116[2,5]、116[3,2]、116[3,3]、116[3,4]、116[3,5]を点灯させることで第1左右照射角度を実現し、発光ユニット2116[2,1]、116[2,2]、116[2,3]、116[2,4]、116[2,5]、116[2,6]、116[3,1]、116[3,2]、116[3,3]、116[3,4]、116[3,5]、116[3,6]を点灯させることで第2左右照射角度を実現する。
【0074】
以上が灯具システム2100の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図8(a)は移動体2010が空を飛行しているときの灯具システム2100の動作を示し、
図8(b)は移動体2010が地上を走行しているときの灯具システム2100の動作を示す。
図8(a)、(b)ではいずれも、第1灯具ユニット2104を点灯させている。
【0075】
第1灯具ユニット2104からの光の左右方向の照射角度は、空を飛行しているときは第1左右照射角度α1であり、地上を走行しているときは第2左右照射角度α2(<α1)である。なお灯具制御部2110は、第1灯具ユニット2104が照射する光の左右方向の照射角度を、移動体2010が所定の第2高度以上で飛行しているときには第1左右照射角度α1とし、移動体2010が第2高度未満を飛行しているときは第2左右照射角度α2(<α1)としてもよい。つまり、移動体2010が飛行しているときであっても、あまりにも低空を飛行しているときは、地上を走行しているときと同じ照射角度としてもよい。なお第2高度は、第1灯具ユニット2104が照射する光が建物に照射されない高度であってもよい。
【0076】
図9(a)は移動体2010が実質的に一定の高度を走行しているときの灯具システム2100の動作を示し、
図9(b)は移動体2010が上昇しているときの灯具システム2100の動作を示し、
図9(c)は移動体2010が下降しているときの灯具システム2100の動作を示す。
図9(a)~(c)ではいずれも、第1灯具ユニット2104を点灯させている。
【0077】
図10は、
図9(a)~(c)の各シーンでの第1灯具ユニット2104の配光パターンを示す図である。第1配光パターンPTN
1は
図9(a)のシーンで配光パターンを示し、第2配光パターンPTN
2は
図9(b)および
図9(c)のシーンでの配光パターンを示す。
【0078】
第1灯具ユニット2104が照射する光の上下方向の照射角度は、移動体2010が実質的に一定の高度を走行しているときは第1上下照射角度β1であり、移動体2010が上昇または下降しているときは第2上下照射角度β2(>β1)である。また、図示はしないが、第1灯具ユニット2104が照射する光の左右方向の照射角度は、いずれの場合も第1左右照射角度α1で一定である。
【0079】
この例では、上昇または下降しているときは、実質的に一定の高度を走行しているときよりも、上方向にも下方向にも照射角度が大きくなっているが、上昇しているときには上方向にだけ照射角度を大きくし、下降しているときには下方向にだけ照射角度を大きくしてもよい。
【0080】
なお
図10では、説明の簡素化のために配光パターンを矩形で示したが、配光パターンは矩形とは限らない。例えば、第1配光パターンPTN
1は長軸が左右方向に延びる楕円形状の配光パターンで、第2配光パターンPTN
2は第1配光パターンPTN
1の長軸半径と実質的に同一の長さ半径の円形状の配光パターンであってもよい。この場合、第1灯具ユニット2104照射する光の上下方向の照射角度は、配光パターンの左右方向における中央での照射角度であってもよい。
【0081】
また、
図9(b)のシーンでは、すなわち移動体2010が上昇するときには、第3灯具ユニット2108は上空に向けて光を照射する。この光を他の移動体2010が検知することで、当該他の移動体2010は自移動体2010が上昇しているすなわち近づいてきていることを検知でき、いち早く回避行動をとることができる。
【0082】
第3灯具ユニット2108は、街中にあふれる光とは波長が異なる特定の波長の光を含む光、例えば赤外線光を照射するよう構成されてもよい。第3灯具ユニット2108が照射する光は、単波長の光であってもよい。そして、検知部2102は、当該特定の波長の光のみを検出可能に構成されてもよい。これにより、各移動体2010は上昇してくる他の移動体2010を精度良く検知できる。
【0083】
また第3灯具ユニット2108は、予め定められた照射パターン、例えば予め定められた間隔で予め定められた1回当たりの照射時間で光を点滅照射してもよい。移動体制御部2012は、検知部2102の検知結果が示す照射パターンが予め定められた照射パターンと一致する場合に、上昇してくる他の移動体2010の上昇を検知してもよい。これにより、各移動体2010は上昇してくる他の移動体2010を精度良く検知できる。
【0084】
変形例として、第3灯具ユニット2108はさらに下方に向けて光を照射可能に構成され、灯具制御部2110は移動体2010が下降していることを走行情報S2が示すときに下方に向けて光を照射するよう第3灯具ユニット2108を制御してもよい。そして、検知部2102は、他の移動体2010が下降するときに当該他の移動体2010の第3灯具ユニット2108が自移動体2010の上空から下方に向けて照射した光を検知してもよい。この場合、移動体制御部2012は、検知結果に基づき他の移動体2010が下降してくることすなわち近づいてくることを検知できる。
【0085】
つづいて、本実施の形態が奏する効果について述べる。
空には道路がないため、どこを走行していても、自移動体2010の進路に他の移動体2010が進入してくるおそれがある。これは、特に視界の悪い夜間に、移動体2010に乗っている人を不安にする。これに対し本実施の形態では、移動体2010が空を飛行しているときは、移動体2010が地上を走行しているときよりも第1灯具ユニット2104が照射する光の左右方向の照射角度が大きくされる。つまり、移動体2010が空を飛行しているときは、左右に広く光が照射される。これにより、視界の悪い夜間であっても、自移動体2010の進路から比較的離れた位置にいる他の移動体2010を早期に視認でき、当該他の移動体2010との接触を回避する回避行動に備えることが可能となり、不安が低減される。
【0086】
また、本実施の形態では、或る高度以上で移動体2010が飛行しているときは、当該高度未満で移動体2010が飛行しているときよりも第1灯具ユニット2104の輝度が高められる。これにより、移動体2010に乗っている人はより遠くまで視認でき、安心感を得られる。
【0087】
また、本実施の形態では、移動体2010が上昇または下降しているときは、移動体2010が実質的に一定の高度を飛行しているときよりも第1灯具ユニット2104の上下方向の照射角度が大きくされる。これにより、移動体2010に乗っている人は上昇または下降する方向を視認できるため、安心感を得られる。
【0088】
(実施の形態2-2)
図11は、実施の形態2-2に係る灯具システム(あるいは移動体用灯具)200のブロック図である。以下では実施の形態2-1との相違点を説明する。
【0089】
灯具システム2200は、検知部2102と、第1灯具ユニット2204と、第2灯具ユニット2206と、第3灯具ユニット2108と、灯具制御部2210と、を備える。これらはすべて同じ筐体に内蔵されていてもよいし、いくつかの部材は、筐体の外部、言い換えれば移動体2010側に設けられてもよい。
【0090】
第1灯具ユニット2204は、移動体2010が空を飛行するときに用いられる灯具ユニットである。第2灯具ユニット2206は、移動体2010が地上を走行するときに用いられる灯具ユニットである。第1灯具ユニット2204および第2灯具ユニット2206の構成は特に限定されず、たとえば、LDやLEDなどの半導体光源を含みうる。また、第1灯具ユニット2204は、左右方向の照射角度が第1左右照射角度の光を照射するよう構成され、第2灯具ユニット2206は、左右方向の照射角度が第2左右照射角度(<第1左右照射角度)の光を照射するよう構成される。また第1灯具ユニット2204は、例えば光学系やシェードを含み、上下方向の照射角度が可変に構成される。
【0091】
灯具制御部2210は、移動体2010が空を飛行しているときは、第1灯具ユニット2204を点灯させ、移動体2010が地上を走行しているときは、第2灯具ユニット2206を点灯させる。
【0092】
また、灯具制御部2210は、実施の形態2-1と同様に、移動体2010が実質的に一定の高度を飛行しているときは、上下方向の照射角度が第1上下照射角度の光を照射するよう第1灯具ユニット2204を制御し、移動体2010が上昇または下降しているときは、上下方向の照射角度が第2上下照射角度の光を照射するよう第1灯具ユニット2204を制御する。
【0093】
また、灯具制御部2210は、実施の形態2-1と同様に、移動体2010が所定の第1高度未満を飛行しているときは、第1輝度で照射するよう第1灯具ユニット2204を制御し、移動体2010が第1高度以上を飛行しているときは、第2輝度で照射するよう第1灯具ユニット2204を制御する。
【0094】
本実施の形態によれば、実施の形態2-1と同様の作用効果を奏することができる。
【0095】
なお、変形例として、灯具システム2200は、移動体2010が空を飛行するときに用いられる第4灯具ユニットをさらに備えてもよい。そして、第1灯具ユニット2204は、左右方向の照射角度が第1左右照射角度、上下方向の照射角度が第1上下照射角度の光を照射するよう構成され、第4灯具ユニットは、左右方向の照射角度が第1左右照射角度、上下方向の照射角度が第2上下照射角度の光を照射するよう構成されてもよい。灯具制御部2210は、移動体2010が実質的に一定の高度を飛行しているときは、第1灯具ユニット2204を点灯させ、移動体2010が上昇または下降しているときは、第4灯具ユニットを点灯させてもよい。
【0096】
(実施の形態2-3)
交通情報を把握する手段として、道路交通情報通信システム(VICS(登録商標):Vehicle Information Communication System)が知られている。VICSでは、道路の複数地点に設置された、車両の通過状況を検出するセンサからの情報に基づいて、各地点における交通状況を把握する。したがってVICSでは、センサが配置された道路の交通状況しか把握できない。空の交通状況ももちろん把握できない。そこで本実施の形態では、センサの設置が不要で、地上の交通状況も空の交通状況も把握できる技術を提案する。
【0097】
図12は、実施の形態2-3に係る交通情報管理システム2300のブロック図である。交通情報管理システム2300は、複数の移動体2010と、少なくとも1つの受信装置2310と、交通情報管理装置2320と、を備える。複数の移動体2010にはそれぞれ、灯具システム2100が搭載されている。本実施の形態では、複数の移動体2010のうちの少なくとも一部は、空を飛行不可能であってもよい。
【0098】
移動体制御部2012は、エンジンが始動すると、第3灯具ユニット2108の点灯指示する点灯指令S1を灯具制御部2110に送信する。灯具制御部2110は、この点灯指令S1を受信すると、第3灯具ユニット2108に上空に向けて光(例えば赤外線光)を照射させる。なお灯具制御部2110は、エンジンが停止するまで第3灯具ユニット2108に上空に向けて光を照射させる。
【0099】
灯具制御部2110は特に、移動体2010が空を飛行しているときと地上を走行しているときで異なる態様の光を照射するよう第3灯具ユニット2108を制御する。
【0100】
例えば灯具制御部2110は、移動体2010が空を飛行しているときと地上を走行しているときで異なる照射パターンで光を照射するよう第3灯具ユニット2108を制御してもよい。異なる照射パターンとしては例えば、異なる間隔で第3灯具ユニット2108を点滅照射させてもよい。
【0101】
また例えば、第3灯具ユニット2108が複数の波長の光を選択的に照射可能に構成されている場合、灯具制御部2110は、移動体2010が空を飛行しているときと地上を走行しているときで異なる波長の光を照射するよう第3灯具ユニット2108を制御してもよい。
【0102】
受信装置2310は、上空に配置され、移動体2010の灯具システム2100の第3灯具ユニット2108が照射する光を検知可能に構成される。受信装置2310は例えば、人工衛星やドローンであってもよい。受信装置2310は、検知結果を交通情報管理装置2320に送信する。
【0103】
交通情報管理装置2320は、検知結果に基づく交通情報、例えば渋滞情報を、各移動体2010に提供する。交通情報管理装置2320は特に、移動体2010が空を飛行しているときに照射する光と地上を走行しているときに照射する光の態様の違いから、空を飛行している移動体2010の交通情報と、地上を飛行している移動体2010の交通情報とを区別してもよい。
【0104】
続いて、実施の形態2-1,2-2,2-3に関連する変形例を説明する。
【0105】
(変形例1)
実施の形態2-1では、第1灯具ユニット2104の光源2112が複数の発光ユニット2116を含み、点灯させる発光ユニット2116を変更することで第1灯具ユニット2104の左右方向の照射角度や上下方向の照射角度を制御する場合について説明したが、これには限定されない。例えば、第1灯具ユニット2104は、少なくとも1つの光学系を含み、当該少なくとも1つの光学系により、左右方向および上下方向の照射角度が変更されてもよい。
【0106】
(変形例2)
移動体2010の飛行時に第1灯具ユニット2104が照射する光の輝度を、飛行速度に基づいて変化させてもよい。この場合、移動体2010は、飛行速度を検出可能な速度計をさらに備える。移動体制御部2012は、速度計の検出結果を灯具制御部に送信する。灯具制御部は例えば、移動体2010が空を飛行している場合において、移動体2010の速度が所定の第1速度未満の場合は第1輝度で照射するよう第1灯具ユニット2104を制御し、移動体2010の速度が大1速度以上の場合は第2輝度(>第1輝度)で照射するよう第1灯具ユニット2104を制御してもよい。本変形例によれば、高速で飛行しているときは明るく照明されるため、遠くの視認性が向上し、移動体2010に乗っている人の不安が低減される。
【0107】
III 本発明の第3側面
以下、本発明の第3側面を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。
【0108】
(実施の形態3)
図13~15は、実施の形態3に係る移動体用提示システム搭載がされる、人を輸送するための移動体3010の斜視図、平面図、側面図である。移動体3010は、空を飛行可能に構成される。移動体3010は特に、本実施の形態では、垂直上昇飛行、垂直下降飛行、空中停止飛行(ホバリング)も可能に構成される。また移動体3010は、好ましくはさらに地上を走行可能に構成される。
【0109】
本実施の形態の移動体3010は、人が乗る機体3012と、第1ロータユニット3014a、第2ロータユニット3014b、第3ロータユニット3014cおよび第4ロータユニット3014dと、を備える。なお、ロータユニットの数は特に限定されない。
【0110】
第1ロータユニット3014a、第2ロータユニット3014b、第3ロータユニット3014c、第4ロータユニット3014dはそれぞれ、機体3012上方の前方右側、前方左側、後方右側、後方左側に設けられる。第1ロータユニット3014aと第2ロータユニット3014b、第3ロータユニット3014cと第4ロータユニット3014dは、それぞれ左右方向で対向する。第1ロータユニット3014aと第3ロータユニット3014c、第2ロータユニット3014bと第4ロータユニット3014dは、それぞれ前後方向で対向する。
【0111】
各ロータユニットは、移動体3010を飛行させるためのロータ3016と、ロータ3016を保護するためのロータカバー3018と、を備える。ロータ3016は、回転軸が実質的に鉛直方向と一致するよう機体3012に対して取り付けられる。ロータカバー3018は、略円筒状であり、2つの端面が実質的に鉛直方向を向いた状態でロータ3016を環囲する。
【0112】
ロータカバー3018の外周には、後述する移動体提示システムの提示部3102が設けられる。提示部3102は、本実施の形態ではディスプレイであり、移動体3010の外部から視認可能に、特にその表示部が移動体3010の外部から視認可能に設けられる。つまり提示部3102は、ロータカバー3018の外周であって、他のロータユニットのロータカバー3018に隠れない位置に設けられる。言い換えると、提示部3102は、ロータカバー3018の外周のうち、他のロータユニットのロータカバー3018と対面しない面に設けられる。
【0113】
この例では、第1ロータユニット3014aのロータカバー3018の前面および右側面、第2ロータユニット3014bのロータカバー3018の前面および左側面、第3ロータユニット3014cのロータカバー3018の背面および右側面、第4ロータユニット3014dのロータカバー3018の背面および左側面に、それぞれ提示部3102が設けられている。
【0114】
図16は、実施の形態3に係る移動体用提示システム3100のブロック図である。移動体用提示システム3100は、提示部3102と、提示制御部3104と、を備える。提示制御部3104は、移動体3010の内部に収容される。
【0115】
提示制御部3104は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワークを介して、移動体制御部3200と接続される。移動体制御部3200から提示制御部3104には、飛行状況に関する情報(飛行情報)Sが送信される。飛行情報Sは、所定の周期で送信されてもよい。飛行情報Sには、移動体3010の飛行中の進行方向(前方向、後ろ方向、上方向、下方向)を示す情報、移動体3010が着陸待ちで空中停止飛行中あることを示す情報、移動体3010に緊急事態が発生していることを示す情報が含まれる。なお、緊急事態には例えば、着陸を要する故障が移動体3010に発生した状態が含まれる。
【0116】
提示制御部3104は、提示部3102による飛行情報の提示(表示)を制御する。提示制御部3104は、文字、図形、記号、色彩のいずれかもしくは任意の組み合わせによって、移動体制御部3200から送信された飛行情報を提示部3102に提示(表示)する。
【0117】
以上が移動体用提示システム3100の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図17(a)~(e)は、移動体用提示システム3100の動作を説明する図である。
図17(a)~(e)は、飛行中の移動体3010の左側面図である。
図17(a)では、移動体3010は前方に向かって平行飛行(すなわち前方向に進行)している。
図17(b)では、移動体3010は上昇飛行(すなわち上方向に進行)している。
図17(c)では、移動体3010は下降飛行(すなわち下方向に進行)している。
図17(d)では、移動体3010は着陸待ちのために空中停止飛行している。
図17(e)では、飛行中の移動体3010に緊急事態が発生している。
【0118】
これらの例では、提示制御部3104は、飛行情報を図形により提示している。具体的には提示制御部3104は、平行飛行中は横向きの矢印を提示し、上昇飛行中は上向きの矢印を提示し、下降飛行中は下向きの矢印を提示し、着陸待ち時は砂時計マークを提示し、緊急時はエラーマークを提示している。各飛行情報の図形はこれらに限定されない。なお、提示制御部3104は、飛行情報ごとに図形の色を異ならせてもよく、例えば平行飛行中の横向き矢印は緑色、上昇飛行中の上向き矢印は赤色、下降飛行中の下向き矢印は青色、着陸待ち時の砂時計マークは白色、緊急時のエラーマークは黄色で提示してもよい。
【0119】
変形例として、提示制御部3104は、飛行情報としての文字を、図形とともに提示してもよい。具体的には例えば、提示制御部3104は、「前進」、「後進」、「上昇」、「下降」、「着陸待ち」、「緊急」などの文字を、図形とともに提示してもよい。もちろん、提示制御部3104は、図形に代えて、これらの文字を提示してもよい。
【0120】
別の変形例として、提示制御部3104は、図形に代えて、飛行情報を色彩で提示してもよい。具体的には例えば、提示制御部3104は、提示部3102の表示部の一部の範囲または全範囲を、平行飛行中は緑色、上昇飛行中は赤色、下降飛行中は青色、着陸待ち時は白色、緊急時は黄色に光らせてもよい。
【0121】
続いて、以上説明した本実施の形態が奏する効果について述べる。本実施の形態によれば、移動体3010の外部から視認可能な提示部3102に移動体3010の飛行情報が提示される。これにより、移動体3010の飛行情報を、地上にいる人や他の移動体に乗っている人が把握でき、移動体3010との接触を回避する回避行動に備えることができる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、提示部3102には、飛行情報として移動体3010の進行方向に関する情報が提示される。ここで、移動体3010が地上を走行する場合、移動体3010は道路に沿って走行するため、道路形状から移動体3010の進行方向を正確に把握できる。移動体3010が空を飛行する場合、空には道路がないため、地上を走行する場合のようにして移動体3010の進行方向を把握することはできない。これに対し、本実施の形態によれば、上述のように進行方向に関する情報が提示部3102に提示されるため、飛行中の移動体3010の進行方向を正確に把握できる。
【0123】
また、本実施の形態によれば、提示部3102には飛行情報が図形で提示される。これにより、地上にいる人や他の移動体に乗っている人は、移動体3010の飛行情報を瞬時に把握できる。
【0124】
続いて、実施の形態3に関連する変形例を説明する。
【0125】
(変形例1)
実施の形態3では、1つのロータカバーが1つのロータを環囲する場合について説明したが、これには限定されず、1つのロータカバーが複数のロータを環囲してもよい。例えば移動体3010は、4つのロータと、4つのロータを環囲する1つのロータカバーとを備えてもよい。この場合、当該1つのロータカバーの前面、背面、右側面および左側面にそれぞれ提示部3102が設けられてもよい。
【0126】
(変形例2)
実施の形態3および上述の変形例では、提示制御部3104が、飛行情報として、移動体3010の進行方向を示す情報、移動体3010が着陸待ちで空中停止飛行中であることを示す情報、移動体3010に緊急事態が発生していることを示す情報を提示する場合について説明したが、提示制御部3104が提示する飛行情報はこれに限定されない。提示制御部3104は、上述の3つの飛行情報を含む種々の飛行情報のうち、少なくとも1つの飛行情報を提示すればよい。種々の飛行情報には、着陸動作中であることを示す情報、離陸動作中であることを示す情報、離陸待ちの状態であることを示す情報、減速走行中であることを示す情報が含まれてもよい。
【0127】
(変形例3)
実施の形態3では特に言及しなかったが、提示制御部3104は、提示部3102を方向指示器として機能させるべく、進行方向を変更する前に、変更先(変更予定)の進行方向を提示部3102に提示してもよい。
【0128】
この場合、移動体3010は、進行方向の変更先として右折および左折に加えて上昇および下降も指示可能なターンシグナルスイッチを備えてもよい。移動体3010の運転車は、移動体3010の進行方向を変更する前に、ターンシグナルスイッチに変更先の進行方向を入力する。移動体制御部3200から提示制御部3104には、変更先の進行方向を示す情報を含む飛行情報Sが送信される。提示制御部3104は、変更先の進行方向を示す情報が飛行情報Sに含まれる場合、変更先の進行方向を、移動体3010の現在の進行方向とは区別可能に提示する。例えば提示制御部3104は、移動体3010の現在の進行方向を提示する場合は点灯表示し、移動体3010の変更先の進行方向を提示する場合は点滅表示してもよい。なお、提示制御部3104は、変更先の進行方向を表示する場合、現在の進行方向に代えて変更先の進行方向を表示してもよいし、現在の進行方向に加えて変更先の進行方向を表示してもよい。
【0129】
図18は、変形例に係る移動体用提示システムの動作を説明する図である。
図18は、移動体3010の側面図であり、左折直前の様子を示す。
図18では、移動体3010は前方に向かって(
図18の紙面左側に向かって)平行飛行しており、提示部3102には移動体3010から見て左側(
図18の紙面手前側)を指す矢印が点滅表示されている。他の移動体の運転者等は、移動体3010が左折することを把握できる。
【0130】
(変形例4)
実施の形態3では特に言及しなかったが、提示制御部3104は、移動体3010の飛行速度に応じて、飛行情報の表示態様を変化させてもよい。例えば提示制御部3104は、移動体3010の飛行速度が速くなるにつれて、より高輝度で飛行情報を表示してもよい。この場合、移動体3010の飛行速度が速くても、飛行情報を確認できる。
【0131】
(変形例5)
実施の形態3では、移動体用提示システム3100の提示部3102がディスプレイである場合について説明したが、これには限定されない。提示部3102は、飛行状態を提示可能であればよく、例えばランプユニットであってもよい。
図19は、別の変形例に係る移動体3010を示す左側面図である。
図19は
図15に対応する。ランプユニットである提示部3102は、複数色の光、例えば青色の光、赤色の光、緑色の光、白色の光および黄色の光を選択的に照射可能に構成される。提示制御部3104は、上昇中は赤色の光、下降中は青色の光、平行飛行中は緑色の光、停止飛行中は白色の光、緊急時は黄色の光を提示部3102に照射させる。
本変形例によれば、実施の形態3と同様の作用効果を奏することができる。
【0132】
(変形例6)
実施の形態3および上述の変形例では、提示部3102がロータカバー3018に設けられる場合について説明したが、これには限定されない。提示部3102は、外部から視認可能に設けられればよく、言い換えると移動体3010の外表面に設けられればよく、例えば機体3012の外表面に設けられてもよい。
【0133】
IV 本発明の第4側面
以下、本発明の第4側面を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。
【0134】
(実施の形態4)
図20、21は、人を輸送するための移動体4010の斜視図、側面図である。移動体4010は、空を飛行可能に構成される。移動体4010は、本実施の形態では、空中停止飛行(ホバリング)、垂直下降飛行も可能に構成される。また移動体4010は、好ましくはさらに地上を走行可能に構成される。
【0135】
本実施の形態の移動体4010は、人が乗る機体4012と、4つのロータユニット4014と、を備える。なお、ロータユニット4014の数は特に限定されない。各ロータユニットは、ロータ4016と、ロータ4016を保護するためのロータカバー4018と、を備える。ロータ4016が回転することにより移動体4010が飛行する。
【0136】
機体4012には、後述する灯具システムの着陸ランプ4120が設けられる。着陸ランプ4120は、地面Gに向けて光を照射可能であればよく、取り付け位置は特に問わない。図示の例では、着陸ランプ4120は機体4012の下面に設けられている。着陸ランプ4120は、移動体4010を着陸させる際に、着陸予定エリアAに光を照射する。
【0137】
図22は、実施の形態4に係る灯具システム4100のブロック図である。灯具システム4100は、移動体4010に搭載される。灯具システム4100は、検出部4110と、着陸ランプ4120と、灯具制御部4130と、を備える。実際の灯具システム4100には、ロービームやハイビームなどが含まれるが、ここでは省略している。着陸ランプ4120は、これらのランプと同じ筐体に内蔵されてもよいし、これらのランプとは別の筐体に内蔵されてもよい。
【0138】
灯具制御部4130は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワークを介して、移動体制御部4200と接続される。移動体制御部4200から灯具制御部4130には、飛行状況に関する情報(飛行情報)Sが送信される。飛行情報Sには、移動体4010が着陸待ちで空中停止飛行中であることを示す情報が含まれる。
【0139】
検出部4110は、着陸予定エリアAに存在する人、他の移動体、所定の大きさ以上の障害物などの物体を検出する。検出部4110は、本実施の形態では、カメラと、画像処理部と、を含む。画像処理部は、カメラが撮影した画像を処理することにより、着陸予定エリアAに存在する物体を検出する。
【0140】
着陸ランプ4120は、光源を含み、灯具制御部4130からパターンPTNを指示する制御信号SCTRLを受け、パターンPTNに応じた強度分布を有するビームBMを下方に照射し、地面Gに制御信号SCTRLに応じた照度分布(パターンPTN)を形成する。着陸ランプ4120の構成は特に限定されず、たとえば、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体光源と、半導体光源を駆動して点灯させる点灯回路と、を含みうる。着陸ランプ4120は、パターンPTNに応じた照度分布の形成のために、DMD(Digital Mirror Device)や液晶デバイスなどのマトリクス型のパターン形成デバイスを含んでもよい。あるいは着陸ランプ4120は、発光素子のアレイ(μ-LEDともいう)であってもよい。
【0141】
灯具制御部4130は、飛行情報Sに移動体4010が着陸待ちであることを示す情報が含まれる場合、着陸ランプ4120を制御して、着陸予定エリアAに光を照射させる。灯具制御部4130は、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出した場合、着陸予定エリアAに移動体4010が着陸することを着陸予定エリアAおよびその周囲にいる人に報知するべく、言い換えると着陸予定エリアAから離れるように着陸予定エリアAおよびその周囲にいる人に報知するべく、第1の態様の光を着陸予定エリアAに照射させる。灯具制御部4130は、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出しない場合、移動体4010の運転者に着陸予定エリアAに物体が存在しないことを報知するべく、言い換えると着陸予定エリアAが着陸可能な状態にあることを報知するべく、第2の態様の光を着陸予定エリアAに照射させる。
【0142】
例えば第1、第2の態様の光はそれぞれ、第1、第2の色の光であってもよい。また例えば第1、第2の態様の光はそれぞれ、着陸予定エリアAに第1、第2の形状のパターンを形成する光、言い換えると着陸予定エリアAに第1、第2の照度分布を形成する光であってもよい。また例えば第1、第2の態様の光はそれぞれ、点灯光、点滅光であってもよく、反対に点滅光、点灯光であってもよい。
【0143】
着陸予定エリアAの形状は特に限定しないが、少なくとも、平面視において移動体4010を包含する大きさ及び形状である。着陸予定エリアAは、本実施の形態では円形状であり、その円形状の範囲が着陸ランプ4120からの光で照射される。なお、着陸ランプ4120の光が照射された円形状の範囲が着陸予定エリアAと捉えることもできる。
【0144】
以上が灯具システム4100の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図23(a)、(b)は、着陸ランプ4120が照射する光が着陸予定エリアAに形成するパターンの一例を示す図である。
図23(a)に示すように、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出する場合、着陸予定エリアAに第1の色(例えば赤色)の光が照射される。
図24(b)に示すように、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出しない場合、着陸予定エリアAに第2の色(例えば緑色)の光が照射される。物体が人や他の移動体であれば、着陸予定エリアAに光を照射することで、移動体4010が着陸するため着陸予定エリアA(光が照射されているエリア)から離れるように報知できる。また、着陸エリアに物体が存在する場合と存在しない場合で着陸予定エリアAの色を異ならせることで、着陸予定エリアAが着陸可能な状態であるか否かを運転者に報知できる。
【0145】
図24(a)、(b)は、着陸ランプ4120が照射する光が着陸予定エリアAに形成するパターンの別の例を示す図である。
図24(a)に示すように、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出する場合、第1の形状のパターン、例えば進入禁止マークを含むパターンが描画されるように着陸予定エリアAに光が照射される。第1の形状のパターンは進入禁止マークを含むパターンであってもよい。
図24(b)に示すように、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出しない場合、第2の形状のパターン、例えば進入禁止マークを含まないパターンが描画されるように着陸予定エリアAに光が照射される。物体が人や他の移動体であれば、着陸予定エリアAに進入禁止マークが描画されることで、移動体4010が着陸するため着陸予定エリアA(光が照射されているエリア)から離れるように報知できる。また、着陸予定エリアAに物体が存在する場合は進入禁止マークが描画され、存在しない場合は進入禁止マークが描画されないことで、着陸予定エリアAが着陸可能な状態であるか否かを運転者に報知できる。なお、着陸予定エリアAに描画されるパターンの形状に加えて、光の色も異なっていてもよい。つまり、着陸予定エリアAに物体が存在する場合は赤色を基調とした進入禁止マークを含むパターンが描画され、存在しない場合は緑色のパターンが描画されてもよい。
【0146】
図25(a)、(b)は、着陸ランプ4120が照射する光が着陸予定エリアAに形成するパターンのさらに別の例を示す図である。
図25(a)に示すように、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出する場合、点灯光が着陸予定エリアAに照射される。
図25(b)に示すように、検出部4110が着陸予定エリアAに物体を検出しない場合、点滅光が着陸予定エリアAに照射される。例えば、着陸予定エリアAに物体が存在する場合は進入禁止マークを含むパターンが着陸予定エリアAに点灯光で描画され、物体が存在しない場合は進入禁止マークを含むパターンが着陸予定エリアAに点滅光で描画されてもよい。この場合、物体が人や他の移動体であれば、進入禁止マークが表示され続けることで、移動体4010が着陸するため着陸予定エリアA(光が照射されているエリア)から離れるように報知できる。また、着陸予定エリアAに物体が存在する場合は進入禁止マークが点灯し、存在しない場合は進入禁止マークが点滅することで、着陸予定エリアAが着陸可能な状態であるか否かを運転者に報知できる。
【0147】
続いて、以上説明した本実施の形態が奏する効果について述べる。本実施の形態によれば、物体が人や他の移動体であれば、着陸予定エリアAが描画されることで、着陸予定エリアAから離れるように報知できる。
【0148】
また、本実施の形態によれば、着陸予定エリアAに物体が存在する場合と存在しない場合とで、着陸予定エリアAに異なる態様の光が照射される。これにより、着陸予定エリアAが着陸可能な状態であるか否かを運転者に報知できる。
【0149】
続いて、実施の形態4に関連する変形例を説明する。
【0150】
(変形例1)
実施の形態4では、着陸予定エリアAに物体が存在する場合は第1の態様の光が着陸予定エリアに照射され、存在しない場合は第2の態様の光が着陸予定エリアAに照射される場合について説明したが、着陸予定エリアAへの光の照射を開始してから所定時間は、着陸予定エリアAに物体が存在するか否かによらず、第1の態様の光が着陸予定エリアAに照射されてもよい。この場合、当初から着陸予定エリアAに物体が存在しない場合であっても、第1の態様の光が照射されてから第2の態様の光が照射されるため、すなわち着陸エリアに照射される光の態様が変化するため、移動体4010の運転者は、着陸予定エリアAが着陸可能状態にあることを把握しやすい。なお、さらなる変形例として、着陸予定リアへの光の照射を開始してからの所定期間は、第3の態様の光が着陸予定エリアAに照射されてもよい。例えば、着陸予定リアへの光の照射を開始してからの所定期間は黄色の光(第3の態様の光)が着陸予定エリアAに照射され、その後は、着陸予定エリアAに物体が存在する場合は赤色の光(第1の態様の光)が着陸予定エリアAに照射され、着陸予定エリアAに物体が存在しない場合は緑色の光(第2の態様の光)が着陸予定エリアAに照射される。
【0151】
(変形例2)
実施の形態4では、検出部4110がカメラを含み、撮影した画像に基づいて物体を検出したが、物体の検出方法は特に限定されず、例えば検出部4110がステレオカメラ、ToFカメラ、LiDAR、または赤外線センサを含み、その検出結果に基づいて物体を検出してもよい。
【0152】
V 本発明の第5側面
以下、本発明の第5側面を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。
【0153】
(実施の形態5)
図26、27は、人を輸送するための移動体5010の斜視図、側面図である。移動体5010は、空を飛行可能に構成される。移動体5010は、本実施の形態では、空中停止飛行(ホバリング)、垂直下降飛行も可能に構成される。また移動体5010は、好ましくはさらに地上を走行可能に構成される。
【0154】
本実施の形態の移動体5010は、人が乗る機体5012と、4つのロータユニット5014と、を備える。なお、ロータユニット5014の数は特に限定されない。各ロータユニットは、ロータ5016と、ロータ5016を保護するためのロータカバー5018と、を備える。ロータ5016が回転することにより移動体5010が飛行する。
【0155】
機体5012には、後述する灯具システムの着陸ランプ5120が設けられる。着陸ランプ5120は、地面Gに向けて光を照射可能であればよく、取り付け位置は特に問わない。図示の例では、着陸ランプ5120は機体5012の下面に設けられている。着陸ランプ5120は、移動体5010を着陸させる際に、着陸予定エリアAに光を照射する。
【0156】
図28は、実施の形態5に係る灯具システム5100のブロック図である。灯具システム5100は、移動体5010に搭載される。灯具システム5100は、第1検出部5110と、第2検出部5112と、着陸ランプ5120と、灯具制御部5130と、を備える。実際の灯具システム5100には、ロービームやハイビームなどが含まれるが、ここでは省略している。着陸ランプ5120は、これらのランプと同じ筐体に内蔵されてもよいし、これらのランプとは別の筐体に内蔵されてもよい。
【0157】
灯具制御部5130は、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などのネットワークを介して、移動体制御部5200と接続される。移動体制御部5200から灯具制御部5130には、飛行状況に関する情報(飛行情報)Sが送信される。飛行情報Sには、移動体5010が着陸待ちで空中停止飛行中であることを示す情報が含まれる。
【0158】
第1検出部5110は、着陸予定エリアAの地形(具体的には着陸予定エリアAにおける所定の深さ以上の地面Gの凹部および所定の高さ以上の地面Gの凸部)と、着陸予定エリアAに存在する障害物(具体的には着陸予定エリアAに存在する人、他の移動体、その他の所定の大きさ以上の物体)と、を検出する。第1検出部5110は、本実施の形態では、カメラ5114と、画像処理部5116と、を含む。カメラ5114は、後述のように着陸予定エリアAに描画される模様であって図形が規則的に配列された模様(以下、基準模様という)を撮影する。基準模様は特に限定されず、線状または帯状の図形が規則的に配列された縞模様や格子模様であってもよいし、他の模様であってもよい。画像処理部5116は、カメラ5114が撮影した画像を処理することにより、着陸予定エリアAの地形や障害物を検出する。具体的には画像処理部5116は、基準模様の歪みからそれらを検出する。なお、画像処理部5116は、公知の技術を用いて構成されればよい。第1検出部5110は、検出結果を灯具制御部5130に送信する。
【0159】
なお、カメラ5114が撮影した画像を機体5012内の所定のディスプレイに表示してもよい。そして運転者は、ディスプレイに表示された画像内の基準模様を目視して基準模様が歪んでいるか否かを確認することにより、着陸予定エリアAの地形と障害物の有無とを確認してもよい。この場合、第1検出部5110は画像処理部5116を有しなくてもよい。
【0160】
第2検出部5112は、移動体5010から着陸予定エリアAまで(例えば着陸予定エリアAの中心位置まで)の距離を検出する。第2検出部5112の構成は特に限定されず、例えば距離センサを含みうる。第2検出部5112は、検出結果を灯具制御部5130に送信する。
【0161】
着陸ランプ5120は、光源を含み、灯具制御部5130からパターンPTNを指示する制御信号SCTRLを受け、パターンPTNに応じた強度分布を有するビームBMを下方に照射し、地面Gに制御信号SCTRLに応じた照度分布(パターンPTN)を形成する。着陸ランプ5120の構成は特に限定されず、たとえば、LD(レーザダイオード)やLED(発光ダイオード)などの半導体光源と、半導体光源を駆動して点灯させる点灯回路と、を含みうる。着陸ランプ5120は、パターンPTNに応じた照度分布の形成のために、DMD(Digital Mirror Device)や液晶デバイスなどのマトリクス型のパターン形成デバイスを含んでもよい。あるいは着陸ランプ5120は、発光素子のアレイ(μ-LEDともいう)であってもよい。
【0162】
灯具制御部5130は、飛行情報Sに移動体5010が着陸待ちであることを示す情報が含まれる場合、着陸ランプ5120を制御して、着陸予定エリアAに基準模様を描画するための光を照射する。上述したように、第1検出部5110は、着陸予定エリアAに描画された基準模様に基づいて、着陸予定エリアAの地形と、着陸予定エリアAに存在する障害物と、を検出する。
【0163】
灯具制御部5130は、着陸予定エリアAが着陸可能な状態にある場合、移動体5010の運転者に着陸予定エリアAが着陸可能な状態にあることを報知するとともに、地上にいる人、例えば歩行者や他の移動体の運転手に着陸予定エリアAに進入せずに着陸予定エリアAから離れるように報知するべく、所定の態様の光を着陸予定エリアAに照射させる。そして灯具制御部5130は、移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離に応じて、着陸予定エリアAに照射される光の態様を変化させる。例えば灯具制御部5130は、着陸予定エリアAが着陸可能な状態にある場合、まず、第1の態様の光を着陸予定エリアAに照射し、第2検出部5112が移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離が所定の閾値距離未満になったことを検出すると、第2の態様の光を着陸予定エリアAに照射する。
【0164】
例えば第1、第2の態様の光はそれぞれ、第1、第2の色の光であってもよい。また例えば第1、第2の態様の光はそれぞれ、着陸予定エリアAに第1、第2のパターン形状の光、言い換えると着陸予定エリアAに第1、第2の照度分布を形成する光であってもよい。また例えば第1、第2の態様の光はそれぞれ、点灯光、点滅光であってもよく、反対に点滅光、点灯光であってもよい。
【0165】
なお、灯具制御部5130は、着陸予定エリアAに照射される光の態様を、移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離に応じて2段階以上、変化させてもよい。例えば、灯具制御部5130は、移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離が第1閾値距離未満(ただし第2閾値距離以上)になると、着陸ランプ5120から照射される光を第1の態様(例えば黄色)から第2の態様(例えばオレンジ色)に変化させ、移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離が第2閾値未満になると、着陸ランプ5120から照射される光を第2の態様から第3の態様(例えば赤色)に変化させてもよい。また、灯具制御部5130は、着陸予定エリアAに照射される光の態様を、無段階に変化させてもよい。例えば灯具制御部5130は、移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離に応じて、着陸ランプ5120から照射される光を第1の態様(黄色)から第2の態様(赤色)に無段階に変化させてもよい。
【0166】
着陸予定エリアAの形状は特に限定しないが、少なくとも、平面視において移動体5010を包含する大きさ及び形状である。着陸予定エリアAは、移動体5010の大きさに応じた大きさであってもよく、例えば平面視で移動体5010が内接する大きさであっても、内接する大きさに所定の余裕率を乗じた大きさであってもよい。また、着陸予定エリアAは、円形状、矩形状、平面視で移動体5010と実質的に同一または相似な形状、その他の形状であってもよい。着陸予定エリアAには、着陸ランプ5120からの光が照射される。なお、着陸ランプ5120からの光が照射された範囲が着陸予定エリアAと捉えることもできる。
【0167】
図29(a)、(b)は、着陸ランプ5120が照射する光が着陸予定エリアAに描画する基準模様の一例を示す図である。ここでは、基準模様は縞模様である。
図29(a)では、着陸予定エリアAの地面Gに大きな凹凸がなく且つ着陸予定エリアAに障害物が存在しないため、実質的に歪みのない理想的な縞模様が描画されている。
図29(b)では、着陸予定エリアAの地面に大きな凹凸がある又は着陸予定エリアAに障害物が存在するため、それらを照射する部分が歪んだ縞模様が描画されている。
【0168】
図30(a)~(d)は、移動体5010の着陸ランプ5120が光を照射する様子を示す図である。
図30(a)、(b)は移動体5010が垂直下降して着陸する様子を示し、
図30(b)は
図30(a)よりも下降した状態を示す。
図30(c)、(d)は移動体5010が前進しながら下降して着陸する様子を示し、
図30(d)は
図30(c)よりも下降した状態を示す。
図30(a)、(b)では、灯具制御部5130は、着陸予定エリアAまでの距離にしたがって照射角度αを大きくすることで、照射範囲を実質的に一定にしている。同様に、
図30(a)、(b)では、灯具制御部5130は、着陸予定エリアAまでの距離にしたがって照射角度βを大きくすることで、照射範囲を実質的に一定にしている。つまり、着陸予定エリアまでの距離にかかわらず、着陸予定エリアAとして、実質的に一定の大きさの範囲を照射している。
【0169】
以上が灯具システム5100の基本構成である。続いてその動作を説明する。
図31(a)~(c)は、灯具システム5100の動作を時系列で説明する図である。
図31(a)では、基準模様が着陸予定エリアAに描画される。第1検出部5110は、基準模様に基づいて着陸予定エリアAの地形や着陸予定エリアAに存在する障害物を検出する。
【0170】
着陸予定エリアAに大きな凹凸がなく、かつ、障害物が存在しない場合、言い換えると着陸予定エリアAの安全が確認された場合、
図31(b)に示すように第1の態様の光(例えば黄色)が着陸予定エリアAに照射される。着陸予定エリアAに照射される光が第1の態様の光になったことにより、移動体5010の運転者は着陸可能状態であることを把握できる。
【0171】
着陸するべく移動体5010が下降し、移動体5010から着陸予定エリアAまでの距離が閾値距離以下になると、
図31(c)に示すように第2の態様の光(例えば赤色)が着陸予定エリアAに照射される。これにより、地上にいる人は、移動体5010の着陸が近いことを把握できる。
【0172】
続いて、以上説明した本実施の形態が奏する効果について述べる。本実施の形態によれば、移動体5010から着陸エリアまでの距離に応じて着陸予定エリアAに照射される光の態様が変化するため、地上にいる人は、移動体5010の着陸が近いことを把握できる。
【0173】
また、本実施の形態によれば、着陸予定エリアAに基準模様が照射されるため、基準模様に基づいて着陸予定エリアAに着陸可能であるか否かを判断できる。
【0174】
続いて、実施の形態5に関連する変形例を説明する。
【0175】
(変形例1)
基準模様を描画するタイミングは実施の形態5のそれには限定されない。例えば
図31(b)と
図31(c)の間のタイミングに、
図31(a)の基準模様を描画してもよい。
【0176】
地上にいる人着陸予定エリアAから離れるように報知等するために着陸予定エリアAに照射する光は、基準模様を描画する光であってもよい。具体的には例えば、第1の態様の光であって、第1の色(例えば黄色)の基準模様(例えば縞模様)を描画する光を照射して着陸予定エリアAの地形や障害物の有無を確認して着陸予定エリアAが着陸可能な状態であるか否かを確認し、着陸可能な状態であれば、第2の態様の光であって、第2の色(例えばオレンジ色)の基準模様を描画する光を照射し、移動体5010と着陸予定エリアAとの距離が閾値距離以下になったら、第3の態様の光であって、第3の色(例えば赤色)の基準模様を描画する光を照射してもよい。第1検出部5110が画像処理部5116を有しないで運転者が基準模様を目視して着陸予定エリアAが着陸可能な状態であるか否かを確認する場合は、第1の態様の光と第2の態様の光は同じであってもよい。
【0177】
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用の一側面を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本発明は、移動体用灯具、灯具システムおよび移動体用提示システムに利用できる。
【符号の説明】
【0179】
100 移動体用灯具、 120 スポットランプ、 150 灯具制御部、 160 検出部、 300 灯具システム。