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特開2023-1008ポリウレタンフォームの製造方法及びポリウレタンフォーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001008
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】ポリウレタンフォームの製造方法及びポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20221222BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221222BHJP
   C08G 18/40 20060101ALI20221222BHJP
   C08G 18/66 20060101ALI20221222BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20221222BHJP
【FI】
C08G18/00 H
C08G18/76
C08G18/40 072
C08G18/40 009
C08G18/00 L
C08G18/66 066
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022034193
(22)【出願日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2021101418
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武山 英孝
(72)【発明者】
【氏名】坂本 恵
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034BA08
4J034CA04
4J034CC03
4J034DA01
4J034DB04
4J034DB07
4J034DG04
4J034DQ02
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034NA02
4J034NA03
4J034NA08
4J034QB01
4J034QB14
4J034QC01
(57)【要約】
【課題】表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上できるポリウレタンフォームの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリウレタンフォームの製造方法は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物からポリウレタンフォームを製造する方法である。発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有する。水の含有量Aは、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く0.8質量部以下である。ハイドロハロオレフィンの含有量Bは、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く36質量部以下であり、0<(A/(A+B))×100≦9.0を満たす。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物からポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有し、
前記水の含有量Aは、前記ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く0.8質量部以下であり、
前記ハイドロハロオレフィンの含有量Bは、前記ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く36質量部以下であり、
0<(A/(A+B))×100≦9.0
を満たす、ポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項2】
前記イソシアネート類は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、変性MDI、及びポリメリックMDIからなる群より選ばれる1種以上のMDI系化合物を含有し、
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の含有量及び変性MDIの含有量の合計と、ポリメリックMDIの含有量との比が、100:0~60:40(質量比)である、請求項1に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項3】
前記ポリオール類は、ポリプロピレングリコールとポリマーポリオールを含有し、
前記ポリプロピレングリコールの含有量と前記ポリマーポリオールの含有量との比が、80:20~10:90(質量比)である、請求項1又は請求項2に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項4】
前記組成物は分子量60~150の架橋剤を含み、
前記架橋剤の含有量は、前記ポリオール類100質量部に対して2.0質量部以上15質量部以下である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項5】
前記組成物はシリコーン界面活性剤を含み、
前記シリコーン界面活性剤の含有量は、前記ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く20質量部以下である、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項6】
見掛け全体密度が100kg/m以上700kg/m以下である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のポリウレタンフォームの製造方法によって製造されたポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ポリウレタンフォームの製造方法及びポリウレタンフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トランス-1,1,1,3-テトラフルオロプロペン及びシクロペンタン共発泡剤を含む組成物からポリウレタンフォームを製造することが開示されている。得られたポリウレタンフォームは、気相熱伝導性が低い特性(低k-ファクター)であると、記載されている。特許文献2~8にも種々のポリウレタンフォームが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-017268号公報
【特許文献2】特開2016-199761号公報
【特許文献3】特開2017-222873号公報
【特許文献4】特開昭60-195118号公報
【特許文献5】特開2020-063379号公報
【特許文献6】特表2019-507818号公報
【特許文献7】特表2018-507956号公報
【特許文献8】特開2015-124336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ポリウレタンフォームには種々の要求があり、製品品位の向上もその1つである。例えば、表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上することが求められている。
本開示は、表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上できるポリウレタンフォームの製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔1〕ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物からポリウレタンフォームを製造する方法であって、
前記発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有し、
前記水の含有量Aは、前記ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く0.8質量部以下であり、
前記ハイドロハロオレフィンの含有量Bは、前記ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く36質量部以下であり、
0<(A/(A+B))×100≦9.0
を満たす、ポリウレタンフォームの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上できるポリウレタンフォームの製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係るポリウレタンフォームの断面図である。
図2】ポリウレタンフォームを用いたステアリングホイールの平面図である。
図3図2のIII-III線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
〔2〕前記イソシアネート類は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、変性MDI、及びポリメリックMDIからなる群より選ばれる1種以上のMDI系化合物を含有し、
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の含有量及び変性MDIの含有量の合計と、ポリメリックMDIの含有量との比が、100:0~60:40(質量比)である、ポリウレタンフォームの製造方法。
【0009】
〔3〕前記ポリオール類は、ポリプロピレングリコールとポリマーポリオールを含有し、
前記ポリプロピレングリコールの含有量と前記ポリマーポリオールの含有量との比が、80:20~10:90(質量比)である、ポリウレタンフォームの製造方法。
【0010】
〔4〕前記組成物は分子量60~150の架橋剤を含み、
前記架橋剤の含有量は、前記ポリオール類100質量部に対して2.0質量部以上15質量部以下である、ポリウレタンフォームの製造方法。
【0011】
〔5〕前記組成物はシリコーン界面活性剤を含み、
前記シリコーン界面活性剤の含有量は、前記ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く20質量部以下である、ポリウレタンフォームの製造方法。
〔6〕見掛け全体密度が100kg/m以上700kg/m以下である、ポリウレタンフォームの製造方法。
〔7〕上記のポリウレタンフォームの製造方法によって製造されたポリウレタンフォーム。
【0012】
以下、本開示を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「~」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10~20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10~20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0013】
1.ポリウレタンフォーム10の製造方法
ポリウレタンフォーム10の製造方法は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤を含む組成物からポリウレタンフォーム10を製造する方法である。発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有する。水の含有量Aは、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く0.8質量部以下である。ハイドロハロオレフィンの含有量Bは、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く36質量部以下であり、0<(A/(A+B))×100≦9.0を満たす。
【0014】
[ポリオール類]
ポリオール類は、特に限定されない。ポリオール類としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエステルポリオール等を用いることができる。これらの中でも、ポリオール類は、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールを含有することが好ましい。
【0015】
ポリエーテルポリオールとしては、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコール、またはその多価アルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加したポリエーテルポリオールを挙げることができる。なお、ポリエーテルポリオールとしては、1種のポリエーテルポリオールのみが含有されてもよいし、2種以上のポリエーテルポリオールが併用されてもよい。ポリエーテルポリオールを用いることで、ポリウレタンフォーム10の柔軟性を向上できる。これらの中でも、ポリオール類は、ポリプロピレングリコールを含有することが好ましい。
【0016】
ポリエーテルポリオールの重量平均分子量は、好ましくは1500~10000であり、より好ましくは2000~6000であり、さらに好ましくは2500~4500である。
ポリエーテルポリオールの官能基数は、好ましくは2~5であり、より好ましくは2~4であり、さらに好ましくは2又は3である。
ポリエーテルポリオールの含有量は特に限定されない。ポリエーテルポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、好ましくは1質量部以上95質量部以下であり、より好ましくは10質量部以上80質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以上75質量部以下である。
【0017】
ポリマーポリオールは、特に限定されない。ポリマーポリオールとして、例えば、ポリオール中に、分散した微粒子ポリマーを含む液体のものを用いることができる。微粒子ポリマーは、例えばスチレン、アクリロニトリル、アクリル、メラミン等のポリマーや、ポリ尿素等が挙げられる。ポリマーポリオールは、ポリエーテルポリオール(ベースポリオール)に、スチレンまたはアクリロニトリル、あるいはスチレンとアクリロニトリルを重合したものが好ましい。スチレンとアクリロニトリルの比率は0/100~50/50が好ましい。ポリマーポリオールのポリマーコンテント(ポリマーポリオール全体に対するベースポリオール以外の部分の質量割合)は10質量%~55質量%であることが好ましく、15質量%~45質量%であることがより好ましい。ポリウレタンフォーム10の強度を向上させるという観点においては、ポリマーコンテントは大きいほうが好ましいが、同ポリマーコンテントが大きくなりすぎると、粘度が高くなり作業性が低下するおそれがある。なお、ポリマーポリオールとしては、1種のポリマーポリオールのみが含有されてもよいし、重量平均分子量やポリマーコンテント、官能基数等が異なる2種以上のポリマーポリオールが併用されてもよい。ポリマーポリオールを用いることで、ポリウレタンフォーム10の硬度を向上できる。
【0018】
ポリマーポリオールの重量平均分子量は、好ましくは1500~10000であり、より好ましくは2000~6000であり、さらに好ましくは2500~4500である。
ポリマーポリオールの官能基数は、好ましくは2~5であり、より好ましくは2~4であり、さらに好ましくは2又は3である。
ポリマーポリオールの含有量は特に限定されない。ポリマーポリオールの含有量は、ポリオール類全体を100質量部とした場合に、好ましくは5質量部以上99質量部以下であり、より好ましくは20質量部以上90質量部以下であり、さらに好ましくは25質量部以上75質量部以下である。
【0019】
ポリオール類が、ポリプロピレングリコールとポリマーポリオールを含有する場合において、ポリプロピレングリコールの含有量とポリマーポリオールの含有量との比(PPG:POPとも称する)は特に限定されない。PPG:POPは、95:5~1:99(質量比)であることが好ましく、80:20~10:90(質量比)であることがより好ましく、75:25~25:75(質量比)であることがさらに好ましい。ポリプロピレングリコールの含有量が上記範囲の下限以上であれば、ポリウレタンフォーム10の柔軟性を向上できる。また、汎用品等においてコストの面で好ましい。ポリプロピレングリコールの含有量が上記範囲の上限以下であれば、ポリウレタンフォーム10の硬さを向上できる。また、ポリウレタンフォーム10表面のボイドを好適に低減できる。
【0020】
[ポリイソシアネート類]
ポリイソシアネート類としては、一般にポリウレタンフォームの製造に使用されるものを用いることができる。ポリイソシアネート類は、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、変性MDI、及びポリメリックMDIからなる群より選ばれる1種以上のMDI系化合物を含有することが好ましい。
【0021】
ジフェニルメタンジイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’-MDI)、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’-MDI)、およびこれらの2種以上の混合物である。ジフェニルメタンジイソシアネート(未変性のモノメリックMDI)の4,4’-MDIの含有量は、ジフェニルメタンジイソシアネート全体を100質量部とした場合に、好ましくは45質量部以上100質量部以下である。
【0022】
変性MDIは、例えば、MDIのカルボジイミド変性体、MDIのウレタン変性体、MDIのウレトイミン変性体等である。変性MDIは、MDIのカルボジイミド変性体を含むことが好ましく、MDIのカルボジイミド変性体とMDIのウレタン変性体の混合物であることがより好ましい。
【0023】
ポリメリックMDIは、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートであり、例えば、二核体であるMDIと、三核体以上の多核体との混合物である。ポリメリックMDIは、MDI合成反応により得られる未処理の粗(クルード)MDIであってもよく、また上記の粗(クルード)MDIから減圧蒸留により所望量のモノメリックMDIを分離して組成を調整したものであってもよい。
【0024】
ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計と、ポリメリックMDIの含有量との比(M-MDI:P-MDIとも称する)は、特に限定されない。M-MDI:P-MDIは、100:0~40:60(質量比)であることが好ましく、100:0~60:40(質量比)であることがより好ましく、100:0~75:25(質量比)であることがさらに好ましい。ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計が、上記範囲の下限以上であれば、ポリウレタンフォーム10の剛性を確保できる。ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計が、上記範囲の上限以下であれば、シュリンク、ボイド、外観不良を抑制する点で好ましい。また、ポリメリックMDIを用いる場合には、経済的な観点でも好ましい。
ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量及び変性MDIの含有量の合計は、イソシアネート類全体を100質量部とした場合に、好ましくは40質量部以上100質量部以下であり、より好ましくは55質量部以上95質量部以下であり、さらに好ましくは65質量部以上90質量部以下である。
ジフェニルメタンジイソシアネートの含有量と変性MDIとの比(未変性MDI:変性MDIとも称する)は特に限定されない。未変性MDI:変性MDIは、0:100~50:50(質量比)であることが好ましく、0:100~25:75(質量比)であることがより好ましく、0:100(質量比)であることがさらに好ましい。
【0025】
イソシアネートインデックス(INDEX)は60~120が好ましい。イソシアネートインデックスは、イソシアネートにおけるイソシアネート基のモル数をポリオールの水酸基や発泡剤としての水などの活性水素基の合計モル数で割った値に100を掛けた値であり、[イソシアネートのNCO当量/活性水素当量×100]で計算される。
【0026】
[発泡剤]
発泡剤は、水とハイドロハロオレフィンとを含有する。このような発泡剤は、インテグラルスキンフォームの製造に好適である。インテグラルスキンフォームは、表層付近はほとんど発泡していないため密度が高く、内部に向かうに従って順次密度が低くなっている。ポリウレタンフォーム10は、例えば図1に示すように、高発泡のコア部11と、低発泡のスキン層12(緻密層)とを有している。
【0027】
水の含有量は、コストの面や触媒の失活を抑制する観点から、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く、好ましくは0.1質量部以上であり、より好ましくは0.2質量部以上である。水の含有量は、ボイドを抑制して良好なスキン層12を得る観点から、ポリオール類100質量部に対して0.8質量部以下であり、好ましくは0.6質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以下である。これらの観点から、水の含有量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く0.8質量部以下であり、好ましくは0.1質量部以上0.6質量部以下であり、より好ましくは0.2質量部以上0.5質量部以下である。
【0028】
ハイドロハロオレフィンとしては、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)、ハイドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)等を挙げることができる。
ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6個程度であるフルオロアルケン等を挙げることができる。ハイドロクロロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6個程度であるクロロフルオロアルケン等を挙げることができる。
より具体的には、トリフルオロプロペン、HFO-1234等のテトラフルオロプロペン、HFO-1225等のペンタフルオロプロペン、HFO-1233等のクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、及びクロロテトラフルオロプロペン等が挙げられる。より具体的には、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブト-2-エン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez)、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd)、及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン等が挙げられる。これらの中ではHFO-1233zdが好ましい。
これらのハイドロハロオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
ハイドロハロオレフィンの含有量は、ボイドを抑制し、良好なスキン層12を得る観点から、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く、好ましくは3質量部以上であり、より好ましくは5質量部以上である。ハイドロハロオレフィンの含有量は、コストの面や触媒の失活を抑制する観点から、ポリオール類100質量部に対して36質量部以下であり、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下であり、さらに好ましくは22質量部以下であり、さらに好ましくは18質量部以下である。これらの観点から、ハイドロハロオレフィンの含有量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く36質量部以下であり、好ましくは0質量部より多く30質量部以下であり、より好ましくは0質量部より多く25質量部以下であり、さらに好ましくは3質量部以上22質量部以下であり、さらに好ましくは5質量部以上18質量部以下である。
ハイドロハロオレフィンの含有量とポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度との関係は特に限定されない。ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度が比較的高い(例えば、200kg/m以上である)場合には、ボイドを抑制し、良好なスキン層12を得る観点から、ハイドロハロオレフィンの含有量は、25質量部以下であるとよい。他方、ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度が比較的低い(例えば、200kg/m未満である)場合には、良好なスキン層12を得る観点から、ハイドロハロオレフィンの含有量は、8質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましい。
【0030】
水の含有量をAとし、ハイドロハロオレフィンの含有量をBとした場合に、発泡剤は、以下の関係式(1)を満たす。関係式(1)を満たす場合には、表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上できる。
0<(A/(A+B))×100≦9.0 ・・・・(1)
発泡剤は、さらに以下の関係式(2)を満たすことが好ましく、関係式(3)を満たすことがより好ましい。
0.5≦(A/(A+B))×100≦7.0 ・・・・(2)
0.9≦(A/(A+B))×100≦5.0 ・・・・(3)
【0031】
[その他の成分]
組成物は、ポリオール類、ポリイソシアネート類、及び発泡剤以外に、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、架橋剤、シリコーン界面活性剤、触媒、着色剤、難燃剤等を挙げることができる。
【0032】
架橋剤は、ポリウレタンフォーム10の硬さを調整するために配合される。架橋剤としては、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,4-ブタンジオール等の多価アルコールや、ジエタノールアミン(DEA)やトリエタノールアミン(TEA)等のエタノールアミン類、ポリエチレンポリアミン類等を挙げることができる。架橋剤は二種類以上使用してもよい。架橋剤の分子量は、60~150であることが好ましい。架橋剤としては、環境負荷物質や、臭気の要因となりにくい観点から、多価アルコールが好ましく、エチレングリコール(分子量62)又はジプロピレングリコール(分子量134)がより好ましい。これらの架橋剤は、特に車両用内装材等の内装材用途や、車両用部品として好適である。架橋剤の量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部~20質量部が好ましく、2質量部~15質量部がより好ましく、4質量部~10質量部がさらに好ましい。
【0033】
シリコーン界面活性剤は、例えば、整泡剤として配合される。シリコーン界面活性剤は、特に限定されない。シリコーン界面活性剤としては、シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマーが好ましく、例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン(cas. 556-67-2)が挙げられる。それ以外にも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(cas. 9002-92-0)、ヘプタメチル-3-(プロピル(ポリエチレンオキシド)モノ(水素)ドデセニルサクシネート)トリシロキサン、アルキルポリエーテルトリシロキサン等が挙げられる。シリコーン界面活性剤は、1種のシリコーン界面活性剤のみが用いられてもよいし、2種以上のシリコーン界面活性剤が併用されてもよい。
具体的なシリコーン界面活性剤としては、例えば、Niax silicone L-5302、L-1500、L-1501、L-1504、L-1506、L-1580、L-1593、L-1603(いずれもmomentive社製)、VORASURF SZ-1333、SZ-1328、SZ-1346E、SRX274DL(いずれも東レ・ダウコーニング株式会社製)、DABCO DC2525(Evonik社製)などを用いることができる。
シリコーン界面活性剤の含有量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多いことが好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましい。他方、シリコーン界面活性剤の含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。シリコーン界面活性剤の含有量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く20質量部以下が好ましく、0.2質量部以上15質量部以下がより好ましく、0.5質量部以上10質量部以下がさらに好ましい。
【0034】
触媒はポリオール類とポリイソシアネート類とのウレタン化反応を促進するために配合される。触媒として具体的には、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、N,N’,N’-トリメチルアミノエチルピペラジン等の3級アミン、オクチル酸スズ(スズオクトエート)等の有機金属化合物、酢酸塩、アルカリ金属アルコラート等が単独、或いは混合して用いられる。触媒の合計量は、ポリオール類100質量部に対して0質量部~15質量部が好ましく、1質量部~11質量部がより好ましく、2質量部~8質量部がさらに好ましい。
【0035】
ポリウレタンフォーム10の製造には、例えば、プレポリマー法、ワンショット法などが採用される。プレポリマー法は、ポリオール類とポリイソシアネート類とを事前に反応させて末端にイソシアネート基又は水酸基を有するウレタンプレポリマーを得て、ウレタンプレポリマーを用いてポリウレタンフォーム10を得る方法である。ワンショット法は、ポリオール類とポリイソシアネート類等を一括に仕込み、反応させる方法である。
【0036】
ポリウレタンフォーム10の製造には、型内で成形するモールド法における公知の方法が適用できる。具体的には、組成物(発泡原液)を密閉型のモールド(金属製又は樹脂製、好ましくは15℃~80℃)に注入し、ウレタン化反応を行わせ、所定時間(例えば30秒~120秒)硬化後、脱型してインテグラルスキンフォームを得ることができる。モールド法によれば、スキン層12の硬度が高いインテグラルスキンフォームを好適に得ることができる。また、モールド法によれば、図1に示すように、スキン層12の表面に、モールド表面の形状が転写されたシボ模様やドット等の凹凸を付与することができ、意匠性の観点で好ましい。図1では、ポリウレタンフォーム10の意匠面に符号「10A」を付し、裏面に符号「10B」に付している。また、シボ模様を模式的に表す凹部に符号「13」を付している。
【0037】
2.ポリウレタンフォーム10の物性及び用途
ポリウレタンフォーム10は、上記のポリウレタンフォーム10の製造方法によって製造される。上記のポリウレタンフォーム10の製造方法は、インテグラルスキンフォームの製造に好適である。ポリウレタンフォーム10は、硬質ポリウレタンフォーム又は半硬質ポリウレタンフォームであることが好ましい。
【0038】
ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度は、欠肉やボイドを抑制する観点から、100kg/m以上が好ましく、140kg/m以上がより好ましく、200kg/m以上がさらに好ましく、300kg/m以上がさらに好ましく、350kg/m以上がさらに好ましい。ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度は、コストの面、また膨れを抑制する観点から、700kg/m以下が好ましく、600kg/m以下がより好ましく、500kg/m以下がさらに好ましく、450kg/m以下がさらに好ましい。ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度の好ましい範囲は、上記の下限と上限を適宜組み合わせた範囲とすることができる。
ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度は、JIS K7222:2005に準じて、厚さ40mmの試験片を作製して測定した密度である。見掛け全体密度は、コア部11とスキン層12を含んだ全体の密度を指す。
【0039】
ポリウレタンフォーム10の見掛けコア密度は、150kg/m以上が好ましく、250kg/m以上がより好ましく、300kg/m以上がさらに好ましい。ポリウレタンフォーム10の見掛けコア密度は、ソフトな触感とする観点から、550kg/m以下が好ましく、450kg/m以下がより好ましく、400kg/m以下がさらに好ましい。ポリウレタンフォーム10の見掛けコア密度の好ましい範囲は、上記の下限と上限を適宜組み合わせた範囲とすることができる。
ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度は、JIS K7222:2005に準じて、厚さ40mmの試験片を作製して、表面から5mmの厚さの表層(スキン層12を含む)をカットして測定した密度である。見掛けコア密度は、コア部11のみの密度を指す。
【0040】
ポリウレタンフォーム10の見掛け全体密度をCとし、ポリウレタンフォーム10の見掛けコア密度をDとした場合に、ポリウレタンフォーム10は、以下の関係式(4)を満たすことが好ましい。(1-D/C)×100の値が大きいことは、コア部11の密度と、スキン層12の密度との差が大きいことの一つの指標となり得る。
1≦(1-D/C)×100≦20 ・・・・(4)
ポリウレタンフォーム10は、さらに以下の関係式(5)を満たすことが好ましく、関係式(6)を満たすことがより好ましい。
5≦(1-D/C)×100≦16 ・・・・(5)
7≦(1-D/C)×100≦12 ・・・・(6)
【0041】
スキン層12の厚さは、好ましくは0.1mm~5mmであり、より好ましくは0.5mm~3mmであり、さらに好ましくは0.8mm~1.5mmである。スキン層12の厚さが下限以上であれば、表面硬度を確保する観点で好ましい。スキン層12の厚さが上限以下であれば、ポリウレタンフォーム10に触れたときのソフト感やグリップ感の観点で好ましい。
【0042】
アスカーC硬度計で測定したポリウレタンフォーム10の表面硬度は、好ましくは45~100であり、より好ましくは60~95であり、さらに好ましくは70~92である。ポリウレタンフォーム10の表面硬度が下限以上であれば、耐摩耗性、機械的強度の観点で好ましい。ポリウレタンフォーム10の表面硬度が上限以下であれば、ポリウレタンフォーム10に触れたときのソフト感やグリップ感の観点で好ましい。
【0043】
ポリウレタンフォーム10の表面に存在するボイドの数は、好ましくは10個/10cm以下であり、より好ましくは6個/10cm以下であり、さらに好ましく4個/10cm以下である。ポリウレタンフォーム10の表面に存在するボイドの数の下限は0である。すなわち、ポリウレタンフォーム10は、ボイドレスインテグラルスキンフォームであってもよい。
ポリウレタンフォーム10の表面に存在するボイドの数は、次のように測定する。まず、ポリウレタンフォーム10の表面において、離型ピンその他の型構造による欠損のない連続した面に10cm×1cmの領域を3カ所特定する。次に、各領域中において、開口径が0.5mmを超えるボイドの数を数える。3カ所の領域において計測したボイドの数の平均を、ポリウレタンフォーム10の表面に存在する10cmあたりのボイドの数とする。
【0044】
本開示のポリウレタンフォーム10が使用される物品は限定されない。
ポリウレタンフォーム10は、ボイドが少ないから、表面が意匠面を構成する部材に好適である。また、ポリウレタンフォーム10は、表面硬度が高いから、表面が外部に露出する部材に好適である。ポリウレタンフォーム10は、ソフト感やグリップ感が良好であり、ユーザが接触する面を構成する部材に好適である。ポリウレタンフォーム10がインテグラルスキンフォームである場合には、スキン層12がコア部11の表面に一体に成形されるから、表皮をクッション材に張り付ける構成等に比して形状自由度が高い。このため、ポリウレタンフォーム10は、表面に曲面等の立体形状を有する部材に好適である。このような部材としては、車両用内装材等の内装材、ステアリングホイール等の把持部材、各種の車両用部品、介護用便座等が例示できる。図2及び図3は、ポリウレタンフォーム10を用いたステアリングホイール20を示している。ステアリングホイール20の芯材21は、リング部22、スポーク部23、ボス部24を備えている。ポリウレタンフォーム10は、リング部22の全部とスポーク部23の一部を被覆している。ポリウレタンフォーム10の意匠面10Aには、シボ模様を構成する凹部13が形成されている。
【0045】
3.本実施形態の作用及び効果
本実施形態のポリウレタンフォーム10の製造方法によれば、表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上できる。また、ボイド発生による不良品率を低減でき、安定して高品質な製品を製造できる。
【実施例0046】
次に、実施例及び比較例を挙げて上記実施形態を更に具体的に説明する。
1.ポリウレタンフォームの製造
まず、各実施例及び各比較例のポリウレタンフォームに用いた組成物の原料成分を以下に示す。
ポリエーテルポリオール1:重量平均分子量3500、官能基数2のポリプロピレングリコール(BASF社製、品番LUPRANOL 2043)
ポリエーテルポリオール2:重量平均分子量5500、官能基数3のポリプロピレングリコール(BASF社製、品番LUPRANOL2095)
ポリマーポリオール:重量平均分子量5000、官能基数3、ポリマーコンテント40質量%のポリマーポリオール(Dow chemical社製、品番SPECFLEX NC701)
架橋剤1:分子量62、官能基数2のエチレングリコール(三菱化学社製、ETHYLENE GLYCOL(100%))
架橋剤2:分子量134、官能基数2のジプロピレングリコール(旭硝子社製、DIPROPYLENE GLYCOL)
水(HO)
ハイドロフルオロオレフィン(HFO):HFO-1233zd(Honeywell社製、品番Solstice LBA)
シリコーン界面活性剤:シロキサンポリアルキレンオキシドコポリマー(momentive社製、Niax silicone L-5302)
触媒:アミン触媒(花王社製、品番カオーライザーP-200)
ポリメリックMDI:NCO% 31.0%のポリメリックMDI(BASF社製、品番LUPRANATE M-20S)
変性MDI1:NCO% 29.5%のカルボジイミド変性MDI
変性MDI2:NCO% 23.0%のウレタン変性MDI
MDI:NCO% 33.5%、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’-MDI)含有量50質量%のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)
顔料:ブラック(大日精化社製、品番FT-IG77)
【0047】
上記各成分を下記表1~4に示す配合割合で調製し、各実施例及び各比較例の組成物を得た。表1~4中、「A液/B液/顔料=100/x/3.3」の欄は、A液を100質量部、顔料を3.3質量部とした場合の、B液の量(質量部)を示している。次いで、「ハンド成型」として、2300rpmのハンドミキサーで撹拌混合した組成物を設定温度50℃、厚さ40mm×200mm×200mm金型内にて発泡・硬化させ、脱型し、ポリウレタンフォームの試験片を得た。「マシン成型」として、高圧マシン成型機を用いて、吐出圧15MPaで衝突混合させた組成物を設定温度50℃、厚さ20mm×200mm×200mm金型内にて発泡・硬化させ、脱型し、ポリウレタンフォームの試験片を得た。
なお、表1-3,6において、シリコーン界面活性剤は、「その他(触媒、添加剤など)」に含まれる。実施例1~19,比較例1,2,4,5におけるシリコーン界面活性剤の配合量は、いずれもポリオール類100質量部に対して0.7質量部である。
【0048】
水の含有量(配合割合)をAとし、ハイドロフルオロオレフィンの含有量(配合割合)をBとした場合の(A/(A+B))×100を算出した。その結果を「水の割合:(A/(A+B))×100」の欄に示す。
【0049】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】
【0050】
2.ポリウレタンフォームの評価
ハンド成型によって得られたポリウレタンフォームを以下の評価方法で評価した。その結果を表1~4の各欄に示す。各欄において、「-」は評価していないことを示す。
[見掛け全体密度:C]
実施形態に記載の方法で、見掛け全体密度(kg/m)を測定した。
[見掛けコア密度:D]
実施形態に記載の方法で、見掛けコア密度(kg/m)を測定した。
[密度差]
ポリウレタンフォームの見掛け全体密度をCとし、ポリウレタンフォームの見掛けコア密度をDとした場合の(1-D/C)×100(%)を算出した。
[フォーム外観]
ウレタンフォームの外観を、以下の基準で目視にて評価した。
「A」:良い
「B」:可
「C」:不可
[表面硬度(アスカーC)]
実施形態に記載の方法で、ポリウレタンフォームの表面硬度を測定した。
【0051】
マシン成型によって得られたポリウレタンフォームを以下の評価方法で評価した。その結果を表1~4の各欄に示す。各欄において、「-」は評価していないことを示す。
[フォーム外観]
ウレタンフォームの外観を、以下の基準で目視にて評価した。
「A」:良い
「B」:可
「C」:不可
[ボイド]
実施形態に記載の方法で求めたボイドの数について、以下の基準で評価した。
「A」:ボイドの数が6個/10cm以下である。
「B」:ボイドの数が6個/10cmより多く、10個/10cm以下である。
「C」:ボイドの数が10個/10cmより多い。
[表面硬度(アスカーC)]
実施形態に記載の方法で、ポリウレタンフォームの表面硬度を測定した。
【0052】
判定は、以下の基準で評価した。
「A」:フォーム外観(ハンド成型)の評価が「A」であり、フォーム外観(マシン成型)の評価が「A」であり、ボイドの評価が「A」である。
「B」:フォーム外観(ハンド成型)の評価、フォーム外観(マシン成型)の評価、ボイドの評価が「B」以上であり、少なくとも1つが「B」である。
「C」:フォーム外観(ハンド成型)の評価、フォーム外観(マシン成型)の評価が「A」であり、ボイドの評価が「C」である。
「D」:フォーム外観(ハンド成型)の評価及びフォーム外観(マシン成型)の評価の少なくとも1つが「B」であり、ボイドの評価が「C」である。または、フォーム外観(ハンド成型)の評価及びフォーム外観(マシン成型)の評価のいずれかが「C」である。
【0053】
3.結果
実施例1~29は、下記要件(a)~(c)を満たしている。
・要件(a):水の含有量Aは、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く0.8質量部以下である。
・要件(b):ハイドロハロオレフィン(ハイドロフルオロオレフィン)の含有量Bは、ポリオール類100質量部に対して0質量部より多く36質量部以下である。
・要件(c):0<(A/(A+B))×100≦9.0を満たす。
【0054】
これに対して、比較例1,2,4,5は以下の要件を満たしていない。
比較例1は、要件(c)を満たしてない。
比較例2は、要件(c)を満たしてない。
比較例4は、要件(b)、(c)を満たしてない。
比較例5は、要件(a)を満たしてない。
【0055】
実施例1~29は、比較例1,2,4,5と比較して、総合評価が高かった。実施例1~29は、フォーム外観がよく、ボイドが抑制されていた。
また、実施例1~29のうち、更に下記要件(d)を満たしている実施例1~14,20~24は、総合評価が「A」であった。実施例1~14,20~24は、ボイドがより一層抑制されていた。
・要件(d):ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の含有量及び変性MDIの含有量の合計と、ポリメリックMDIの含有量との比が、100:0~60:40(質量比)である。
【0056】
また、実施例1~29のうち、更に下記要件(e)を満たしている実施例1~14,20~24は、総合評価が「A」であった。実施例1~14,20~24は、ボイドがより一層抑制されていた。
・要件(e):ポリプロピレングリコールの含有量とポリマーポリオールの含有量との比が、80:20~10:90(質量比)である。
【0057】
4.実施例の効果
以上の実施例のポリウレタンフォームの製造方法によれば、表面の微細なボイドを抑制し、製品品位を向上できる。
【0058】
本開示は上記で詳述した実施形態に限定されず、本開示の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10: ポリウレタンフォーム
10A: 意匠面
10B: 裏面
11: コア部
12: スキン層
13: 凹部
20: ステアリングホイール
21: 芯材
22: リング部
23: スポーク部
24: ボス部
図1
図2
図3