(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100829
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】機械学習を用いた、対象の組織を特徴付けるための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20230711BHJP
A61B 5/026 20060101ALN20230711BHJP
A61B 5/0275 20060101ALN20230711BHJP
【FI】
A61B10/00 E
A61B5/026 120
A61B5/0275 J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023076212
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2021005921の分割
【原出願日】2017-07-28
(31)【優先権主張番号】62/368,960
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/368,971
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521535973
【氏名又は名称】ストライカー ヨーロピアン オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Stryker European Operations Limited
【住所又は居所原語表記】Anngrove, IDA Business & Technology Park, Carrigtwohill, County Cork, T45HX08 Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガービック, リナ
(72)【発明者】
【氏名】スワルム, ロリ アン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】対象の組織を特徴付けるための方法およびシステム
【解決手段】蛍光イメージの複数の時系列のデータを取得し受信することと、組織の臨床的特徴付けに関するデータのひとつ以上の属性を特定することと、同じクラスタ内のデータ同士が異なるクラスタ内のデータ同士よりも互いに似ているものとなるように、ひとつ以上の属性に基づいて、データを、クラスタへ分類することであって、クラスタが組織を特徴付ける、分類することと、を含む。方法およびシステムはさらに、蛍光イメージの対象時系列のデータを受信することと、蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けることと、蛍光イメージの対象時系列において複数のサブ領域に対応するクラスタに基づいて、対象空間マップを生成することと、を含む。生成された空間マップは、次いで、教師付き機械学習を用いた組織診断の入力として用いられてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の組織を特徴付けるための方法であって、
前記対象の蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信することであって、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することと、
前記組織の臨床的特徴付けに関する、前記データのひとつ以上の属性を特定することと、
同じクラスタ内の前記データ同士が異なるクラスタ内の前記データ同士よりも互いに似ているものとなるように、前記データの前記ひとつ以上の属性に基づいて、前記データを、複数のクラスタへ分類することであって、前記クラスタが前記組織を特徴付ける、分類することと、
前記組織を表す特徴付け出力を、前記分類されたクラスタに基づいて、生成することと、
前記特徴付け出力を表示することと、を含む方法。
【請求項2】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データが、生データ、前処理されたデータまたはそれらの組み合わせを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記前処理されたデータが、データ圧縮、主成分分析、自己符号化、またはそれらの組み合わせを適用することによって前処理される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記組織の前記臨床的特徴付けに関する、前記データの前記ひとつ以上の属性が、前記対象の蛍光イメージの前記時系列内の複数のサブ領域に対して特定される請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記サブ領域のうちの少なくともひとつが、蛍光イメージの前記時系列におけるピクセルまたはボクセルである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記サブ領域のうちの少なくともひとつが、前記対象の蛍光イメージの前記時系列におけるピクセルのグループまたはボクセルのグループである請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データの前記ひとつ以上の属性が、時間-強度曲線、係数、空間的位置、発現時刻、紅潮までの時間、最大蛍光強度、血液流入、血液流出、またはそれらの組み合わせを含む請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記クラスタが、前記クラスタの空間的分布、前記クラスタの性質、クラスタデータ、またはそれらの組み合わせに基づいて、前記組織を特徴付ける請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記クラスタの性質が前記クラスタの形を含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
各クラスタが重心によって表される請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
クラスタの重心は、前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データの前記ひとつ以上の属性のうちのどれがデータ分類に寄与するかを示す請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データを前記複数のクラスタに分類することが、前記データを10以下のクラスタに分類することを含む請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データを前記複数のクラスタに分類することが、前記データを7つのクラスタに分類することを含む請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データを前記複数のクラスタに分類することが、教師無しクラスタ化アルゴリズムを適用することを含む請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記クラスタ化アルゴリズムがk平均アルゴリズムである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のクラスタに基づいて空間マップを生成することをさらに含む請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記空間マップが、蛍光イメージの前記時系列における複数のサブ領域の間での、血流、灌流パターン、またはそれらの組み合わせの差を表す請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記分類されたデータに基づいて機械学習モデルを訓練することをさらに含む請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記機械学習モデルが教師付き機械学習アルゴリズムで訓練される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信した後、蛍光イメージの前記対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けることと、
蛍光イメージの前記対象時系列において前記複数のサブ領域に関連付けられた前記クラスタに基づいて、対象空間マップを生成することと、
前記空間マップを表示することと、をさらに含む請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記対象空間マップを生成することが、蛍光イメージの前記対象時系列における各サブ領域に、強度値および色のうちの少なくともひとつを、前記関連付けられたクラスタに基づいて、割り当てることを含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象の組織の臨床データを予測するための方法であって、
請求項19または20により生成された複数の対象空間マップを受信し、かつ、各対象空間マップに関連付けられたメタデータを受信することと、
各対象空間マップとそれに関連付けられたメタデータとをデータベースのレコードに格納することと、
前記データベースの前記レコードを教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることで、前記組織を特徴付けるための予測モデルを生成することと、を含む方法。
【請求項23】
前記メタデータが、臨床データ、非臨床データ、またはそれらの組み合わせを含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記臨床データが、組織異変の診断、傷の予測治癒期間、提案治療プラン、またはそれらの組み合わせを含む請求項23に記載の方法。
【請求項25】
対象の組織を特徴付ける臨床データを予測するための方法であって、
前記対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信することであって、前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列がイメージ取得デバイスによって取得されているかされたものである、受信することと、
前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列に関連付けられた臨床データを予測するために請求項22から24のいずれか一項に記載の方法にしたがって生成された前記予測モデルを用いることで、前記対象の組織を特徴付けることと、
前記組織を表す特徴付け出力を生成することと、を含む方法。
【請求項26】
前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列に関連付けられた臨床データを予測するための、請求項22から25のいずれか一項に記載のデータベースの使用。
【請求項27】
対象の組織を特徴付けるための方法であって、
前記対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信することであって、前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列がイメージ取得デバイスによって取得されているかされたものである、受信することと、
蛍光イメージの前記対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するカテゴリに、関連付けることであって、前記カテゴリが前記組織を特徴付け、かつ、同じカテゴリ内のデータ同士が異なるカテゴリ内の前記データ同士よりも互いに似たものとなるように前記組織の臨床的特徴付けに関するひとつ以上の属性に基づいて定義される、関連付けることと、
蛍光イメージの前記対象時系列において前記複数のサブ領域に関連付けられた前記カテゴリに基づいて、前記組織を表す空間マップを生成することと、
前記空間マップを表示することと、を含む方法。
【請求項28】
対象の組織を特徴付けるための方法であって、
蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信することであって、蛍光イメージの前記複数の時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することと、
前記データの複数の特徴ベクトルを選択することであって、各特徴ベクトルが前記データのひとつ以上の特徴を特徴付ける、選択することと、
前記特徴ベクトルを含むデータセットを生成することと、
ラベル付けされたデータセットを生成するよう前記データセットを分類することと、
前記組織の特徴付けを表す複数の重心を生成することと、
前記組織の特徴付け出力を、前記複数の重心に基づいて、表示することと、を含む方法。
【請求項29】
対象の組織を特徴付けるための方法であって、
複数のデータエントリのひとつ以上の特徴を特徴付ける複数の特徴ベクトルを含む訓練データセットを受信することであって、各データエントリが蛍光イメージの訓練時系列における訓練サブ領域の時間-強度曲線の少なくとも一部であり、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することを含む方法。
【請求項30】
システムであって、
蛍光イメージの時系列を取得するよう構成されたイメージ取得デバイスと、
前記システムに、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法を実行させるよう構成されたひとつ以上のプロセッサと、を備えるシステム。
【請求項31】
空間マップイメージ、対象空間マップイメージ、またはその両方を表示するディスプレイをさらに備える請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ひとつ以上のプロセッサがさらに、前記組織の解剖イメージに、前記空間マップイメージ、前記対象マップイメージまたはその両方を重ね合わせるよう構成される請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記組織内の蛍光イメージング剤から蛍光放射を誘起するために励起光を提供する光源をさらに備える請求項30から32のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項34】
前記蛍光放射に基づいて蛍光イメージの前記時系列、蛍光イメージの前記対象時系列、またはその両方を生成するイメージ取得アセンブリをさらに備える請求項30から33のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項35】
対象の組織のイメージの時系列を処理するシステムであって、
ユーザインタフェースと、
前記ユーザインタフェースと通信するよう構成されたプロセッサと、
保持されるインストラクションを有する非一時的コンピュータ可読保持媒体と、を備え、
前記インストラクションは前記プロセッサによって実行された場合、前記プロセッサに請求項1から29のいずれか一項に記載の方法を実行させるシステム。
【請求項36】
前記プロセッサはイメージングシステムと通信する請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
イメージングシステムをさらに備える請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記プロセッサは前記イメージングシステムのコンポーネントである請求項35に記載のシステム。
【請求項39】
前記プロセッサは前記イメージングシステムの動作を制御するよう構成される請求項37から38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記イメージングシステムは蛍光イメージングシステムであり、イメージの前記時系列は蛍光イメージの時系列である請求項37から39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記蛍光イメージングシステムは、
前記対象の前記組織を照らすことで前記対象の前記組織における蛍光イメージング剤からの蛍光放射を誘導するよう構成された照明モジュールと、
蛍光イメージの前記時系列を取得するよう構成されたカメラアセンブリと、を含む請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
請求項1から29のいずれか一項に記載の方法を実行するための、組み込まれたコンピュータ実行可能プログラムコード手段を有する非一時的実体的コンピュータ可読媒体。
【請求項43】
対象の組織の蛍光イメージの時系列を処理するためのキットであって、前記キットは請求項30から34のいずれか一項に記載のシステムと、蛍光イメージング剤と、を含む、キット。
【請求項44】
請求項1から29のいずれか一項に記載の方法において、または請求項30から34のいずれか一項に記載のシステムにおいて、用いられる蛍光イメージング剤。
【請求項45】
請求項1から29のいずれか一項に記載の方法において、または請求項30から34のいずれか一項に記載のシステムにおいて、傷管理のために用いられる蛍光イメージング剤。
【請求項46】
前記傷管理は慢性傷管理を含む請求項45に記載の蛍光イメージング剤。
【請求項47】
前記蛍光イメージング剤はICGを含む請求項44または45に記載の蛍光イメージング剤。
【請求項48】
前記蛍光イメージング剤はICGである請求項44または45に記載の蛍光イメージング剤。
【請求項49】
血管造影データを可視化するための方法であって、
a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信するステップと、
b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの空間領域の複数の時間シーケンスに分割するステップと、
c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割するステップと、
d)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信するステップと、
e)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのクラスタと対応するかを判定するステップと、
f)イメージを生成するステップであって、前記クラスタにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該クラスタに対応すると判定されたものである、生成するステップと、を含む方法。
【請求項50】
前記ステップb)が、空間領域の各時間シーケンスについて、当該空間領域における時間イメージ変化を表す特徴ベクトルを決定することを含む請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記特徴ベクトルが、次元削減機械学習アルゴリズムを用いて決定される請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記次元削減機械学習アルゴリズムが、主成分分析、自己符号化神経回路網、またはそれらの組み合わせに基づく請求項51に記載の方法。
【請求項53】
ステップb)において、空間領域の前記時間シーケンスが前記時間イメージシーケンスの前記イメージの個々のピクセルの時間シーケンスである請求項49から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ステップc)が、教師無しクラスタ化アルゴリズムを用いて実行される請求項49から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記教師無しクラスタ化アルゴリズムがk平均アルゴリズムを含む請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ステップc)が、
空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに、教師無しクラスタ化アルゴリズムを用いて自動的に分割することと、
空間領域の前記複数の時間シーケンスを、訓練データセットとテストデータセットとに分割することと、
予測モデルを生成するために、前記訓練データセットを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることと、
前記テストデータセットに対して前記予測モデルをテストすることと、を含み、
前記ステップe)が、前記ピクセルの前記時間シーケンスがどのクラスタと対応するかを決定するために前記予測モデルをを用いることを含む請求項49から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記ステップc)が、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに、前記空間領域の強度の時間依存性に基づいて、自動的に分割することを含む請求項49から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記ステップc)が、累積分類誤差に基づいて前記複数のクラスタを決定することを含む請求項49から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
血管造影データを可視化するための方法であって、
a)イメージの空間領域の強度の複数の異なる時間依存性を表す複数のマスクを取得するステップと、
b)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信するステップと、
c)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのマスクと最も良く対応するかを判定するステップと、
d)イメージを生成するステップであって、前記マスクにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該マスクに対応すると判定されたものである、生成するステップと、を含む方法。
【請求項60】
前記複数のマスクが、
e)少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信することと、
f)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割することと、
g)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割することと、
h)各クラスタについて、当該クラスタの空間領域の前記強度の前記時間依存性を表すマスクを生成することと、によって取得されたものである請求項59に記載の方法。
【請求項61】
各マスクが、前記対応するクラスタの重心の前記強度の前記時間依存性を表す請求項60に記載の方法。
【請求項62】
臨床データを予測するための方法であって、
a)請求項49から61のいずれか一項にしたがい生成された複数の血管造影イメージ可視化物を受信するステップと、
b)各血管造影イメージ可視化物について、それを表すデータを、データベースのレコードに格納するステップと、
c)各血管造影イメージ可視化物について、それに関連付けられた臨床データを、前記データベースの前記対応するレコードに格納するステップと、
d)予測モデルを生成するために、前記データベースの前記レコードを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いるステップと、
e)解析対象の血管造影イメージシーケンスを受信するステップと、
f)請求項49から61のいずれか一項にしたがって前記血管造影イメージシーケンスを可視化するステップと、
g)前記血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するために、前記予測モデルを用いるステップと、を含む方法。
【請求項63】
臨床データを予測するための方法であって、
a)解析対象の血管造影イメージシーケンスを受信するステップであって、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信するステップと、
b)請求項49から61のいずれか一項にしたがって前記血管造影イメージシーケンスを可視化するステップと、
c)前記血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するために、予測モデルを用いるステップと、を含む方法。
【請求項64】
前記予測モデルが
d)請求項49から61のいずれか一項にしたがい生成された複数の血管造影イメージ可視化物を受信することと、
e)各血管造影イメージ可視化物について、それを表すデータを、データベースのレコードに格納することと、
f)各血管造影イメージ可視化物について、それに関連付けられた臨床データを、前記データベースの前記対応するレコードに格納することと、
g)前記予測モデルを生成するために、前記データベースの前記レコードを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることと、によって取得されたものである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するための、請求項62から64のいずれか一項に記載のデータベースの使用。
【請求項66】
前記血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するための、請求項62から64のいずれか一項に記載の予測モデルの使用。
【請求項67】
複数のマスクを生成するための方法であって、
a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信するステップと、
b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割するステップと、
c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割するステップと、
d)各クラスタについて、当該クラスタの空間領域の前記強度の前記時間依存性を表すマスクを生成するステップと、を含む方法。
【請求項68】
各マスクが、前記対応するクラスタの重心の前記強度の前記時間依存性を表す請求項67に記載の方法。
【請求項69】
血管造影データを可視化するための、請求項67または68に記載の方法により得られた複数のマスクの使用。
【請求項70】
血管造影データを可視化するためのシステムであって、
a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信する第1受信部と、
b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割する分割部と、
c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割するクラスタ化部と、
d)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信する第2受信部と、
e)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのクラスタと対応するかを判定する判定部と、
f)イメージを生成するイメージ生成部であって、前記クラスタにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該クラスタに対応すると判定されたものである、イメージ生成部と、を備えるシステム。
【請求項71】
血管造影データを可視化するためのシステムであって、
a)イメージの空間領域の強度の複数の異なる時間依存性を表す複数のマスクを取得する取得部と、
b)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信する受信部と、
c)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのマスクと最も良く対応するかを判定する判定部と、
d)イメージを生成するイメージ生成部であって、前記マスクにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該マスクに対応すると判定されたものである、イメージ生成部と、を備えるシステム。
【請求項72】
請求項71の前記システムにおける、請求項67または68に記載の方法により得られた複数のマスクの使用。
【請求項73】
複数のマスクを生成するためのシステムであって、
a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信する受信部と、
b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割する分割部と、
c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割するクラスタ化部と、
d)各クラスタについて、当該クラスタの空間領域の前記強度の前記時間依存性を表すマスクを生成する生成部と、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのリファレンス
本願は、どちらも「METHODS AND SYSTEMS FOR CHARACTERIZING TISSUE OF A SUBJECT USTILIZING MACHINE LEARING」というタイトルの、どちらも2016年7月29日に提出された、米国特許仮出願第62/368,960号および第62/368,971号の優先権の利益を享受する。それらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は総じてイメージング分野に関し、特に、機械学習を用いて、対象の組織を特徴付けるための、および/または、組織に関する臨床データを予測して表示するための、医療イメージの取得および/または処理に関する。
【背景技術】
【0003】
血流は血管を通る血液の動きを定義するのに用いられる一般的な用語であり、例えば体積流量(すなわち、体積/時間)や通過速度(すなわち、距離/時間)などで定量化されうる。組織灌流は組織体積内の血管を通る血液の動きを定義するという点で、組織灌流は血管血流とは区別される。より具体的には、組織灌流は単位組織体積ごとの微小循環性血流に関連しており、そこでは灌流対象の組織の毛細血管床へ酸素および栄養が提供され、そこから老廃物が除去される。灌流は栄養性血管(すなわち、キャピラリとして知られている毛細血管)に関連付けられる。この栄養性血管は、より大きな径の非栄養性血管ではなく、血液と組織との間の代謝物の交換に関連付けられた血管を含む。
【0004】
医療従事者が組織内の血流および/または組織灌流を正しく評価したいと望む状況が多くある。例えば、患者の創傷組織を治療する際、医療者は創傷サイト内およびその周りの血流および/または組織灌流を正しく評価しなければならない。組織灌流が貧弱であると、治癒プロセスに悪影響が出るからである。血流および/または組織灌流の正確な評価は、急性(例えば、手術の)および慢性創傷の両方の治癒の成功確率を高める。灌流ダイナミクスの評価は他の医療アプリケーションにおいても重要である。そのような医療アプリケーションは例えば、プラスチック再建手術(例えば、皮弁移送)を行う患者の手術前診断や、心臓手術(例えば、冠動脈バイパス手術、左室部分切除術、バチスタ手術を介した左室縮小形成術など)中の心臓組織の生存度および機能の評価であってもよい。
【0005】
血流および/または組織灌流を評価するために蛍光イメージング技術などのイメージング技術を用いるというある進んだ取り組みが始まった。典型的には、蛍光イメージング技術はイメージング剤(例えば、インドシアニングリーン(ICG)など)のボラースの投与を用いる。イメージング剤は投与の後、対象の組織、例えば血管系やリンパ系を循環し、適切な励起光で照らされると蛍光信号を発する。蛍光イメージングシステムは、イメージング剤ボラースがイメージング視野内の対象の組織を通過する際に発せられるイメージング剤蛍光のイメージを取得する。例えば、ボラースが動脈血管を通って組織に入り、組織の毛細血管系を通過し、静脈血管を通って組織から出る際に、イメージが取得されてもよい。イメージがモニタ上に動画として表示されるとき、医療者は、蛍光強度の時間変化として表される血管系内のこのイメージング剤通過を観測してもよい。その蛍光強度の視覚的知覚に基づいて、医療者は、組織の血流および/または灌流状態およびその後の治癒可能性についての相対的、質的決定を行ってもよい。しかしながら、そのようなイメージの定性的目視評価は多くの理由により、常に十分であるとは限らない。特に例えば視覚的情報があいまいである場合にそうである。例えば、イメージ輝度やイメージコントラストやイメージノイズなどの多くのパラメータが、組織の血流および/または灌流特性以外の要因によって影響を受けうるので、そのような視覚的評価は制限される。さらに、単なる視覚的評価は主観的であり(例えば、医療者によって視覚的評価は異なりうるし、一人の医療者の視覚的評価プロトコルもまた患者によっておよび/またはイメージセッションによっていくらか異なりうる)、血流および/または組織灌流を評価するための標準化されたプロトコルをサポートしない。最後に、医療者の記憶の欠如や過去の視覚的評価の不正確な記憶のため、患者の血流および/または灌流状態を、経時的に複数のイメージングセッションに亘って、信頼性高くかつ矛盾無く比較、追跡することは困難でありうる。
【0006】
組織診断のために機械学習アルゴリズムを用いるいくつかの試みがなされた。そのようなアプローチは可視光の傷のイメージに依拠するように見え、したがって、傷の表面的な外観に基づいて傷を分類するものであって、組織の特性および/または状態(例えば、組織の健常度)をより良く示すものでありうる他の重要な要因(例えば、血流パターン)を見ていない。本明細書で説明される方法およびシステムは、傷組織および/またはリンパ組織を含む様々な種類の組織で観察される血流ダイナミクスを含む組織医療イメージングのコンテキストでの優れたパターン認識において、機械学習アルゴリズムの利点を用いる。その結果、フローパターンおよび/または灌流パターンの視覚的表現は、以前に示されたものよりも、より正確かつより直感的となろう。
【発明の概要】
【0007】
対象の組織を特徴付けるためのシステムおよび方法の態様が本明細書で説明される。総じて、ある態様では、対象の組織を特徴付けるための方法は、対象の蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信することと、組織の臨床的特徴付けに関するデータのひとつ以上の属性を特定することと、同じクラスタ内のデータ同士が異なるクラスタ内のデータ同士よりも互いに似ているものとなるように、データのひとつ以上の属性に基づいて、データを、複数のクラスタへ分類することであって、クラスタが組織を特徴付ける、分類することと、を含む。
【0008】
ある態様では、方法はさらに、対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信することと、蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けることと、蛍光イメージの対象時系列において複数のサブ領域に関連付けられたクラスタに基づいて、対象空間(クラスタ)マップを生成することと、を含んでもよい。
【0009】
方法はさらに、複数の対象空間マップを受信することと、各対象空間マップに関連付けられたメタデータを受信することと、各対象空間マップとそれに関連付けられた臨床データとをデータベースのレコードに格納することと、予測モデルを生成するために、データベースのレコードを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることと、を含んでもよい。予測モデルは、対象の蛍光イメージの対象時系列に関連付けられた臨床データを予測するために用いられてもよい。
【0010】
さらなる態様では、対象の組織を特徴付けるためのシステムは、ひとつ以上のプロセッサと、そこに保持されているインストラクションを有するメモリと、を含み、該インストラクションは、ひとつ以上のプロセッサによって実行された場合、システムに方法を実行させる。
【0011】
ある態様によると、対象の組織を特徴付けるための方法が提供される。方法は、前記対象の蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信することであって、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することを含む。方法は、前記組織の臨床的特徴付けに関する、前記データのひとつ以上の属性を特定することを含む。方法は、同じクラスタ内の前記データ同士が異なるクラスタ内の前記データ同士よりも互いに似ているものとなるように、前記データの前記ひとつ以上の属性に基づいて、前記データを、複数のクラスタへ分類することであって、前記クラスタが前記組織を特徴付ける、分類することを含む。方法は、前記組織を表す特徴付け出力を、前記分類されたクラスタに基づいて、生成することを含んでもよい。
【0012】
オプションで、前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データが、生データ、前処理されたデータまたはそれらの組み合わせを含む。オプションで、前記前処理されたデータが、データ圧縮、主成分分析、自己符号化、またはそれらの組み合わせを適用することによって前処理される。オプションで、前記組織の前記臨床的特徴付けに関する、前記データの前記属性が、前記対象の蛍光イメージの前記時系列内の複数のサブ領域に対して特定される。
【0013】
オプションで、前記サブ領域のうちの少なくともひとつが、蛍光イメージの前記時系列におけるピクセルまたはボクセルである。オプションで、前記サブ領域のうちの少なくともひとつが、前記対象の蛍光イメージの前記時系列におけるピクセルのグループまたはボクセルのグループである。
【0014】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データの前記ひとつ以上の属性が、時間-強度曲線、係数、空間的位置、発現時刻、紅潮までの時間、最大蛍光強度、血液流入、血液流出、またはそれらの組み合わせを含む。
【0015】
オプションで、前記クラスタが、前記クラスタの空間的分布、前記クラスタの性質、クラスタデータ、またはそれらの組み合わせに基づいて、前記組織を特徴付ける。オプションで、前記クラスタの性質が前記クラスタの形を含む。オプションで、各クラスタが重心によって表される。クラスタの重心は、前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データの前記ひとつ以上の属性のうちのどれがデータ分類に寄与するかを示してもよい。
【0016】
前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データを前記複数のクラスタに分類することが、前記データを10以下のクラスタに分類することを含む。オプションで、前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データを前記複数のクラスタに分類することが、前記データを7つのクラスタに分類することを含む。
【0017】
オプションで、前記対象の蛍光イメージの前記複数の時系列の前記データを前記複数のクラスタに分類することが、教師無しクラスタ化アルゴリズムを適用することを含む。前記クラスタ化アルゴリズムがk平均アルゴリズムであってもよい。
【0018】
オプションで、方法は前記複数のクラスタに基づいて空間マップを生成することを含む。前記空間マップが、蛍光イメージの前記時系列における複数のサブ領域の間での、血流、灌流パターン、またはそれらの組み合わせの差を表してもよい。
【0019】
オプションで、方法は、前記分類されたデータに基づいて機械学習モデルを訓練することを含む。前記機械学習モデルが教師付き機械学習アルゴリズムで訓練されてもよい。
【0020】
オプションで、方法は、対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信した後、蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けることと、蛍光イメージの対象時系列において複数のサブ領域に関連付けられたクラスタに基づいて、対象空間マップを生成することと、オプションで空間マップを表示することと、を含む。前記対象空間マップを生成することが、蛍光イメージの前記対象時系列における各サブ領域に、強度値および色のうちの少なくともひとつを、前記関連付けられたクラスタに基づいて、割り当てることを含んでもよい。
【0021】
ある態様によると、対象の組織の臨床データを予測するための方法が提供される。方法は、上記のように生成された複数の対象空間マップを受信することと、各対象空間マップに関連付けられたメタデータを受信することと、を含む。方法は、各対象空間マップとそれに関連付けられた臨床データとをデータベースのレコードに格納することを含む。方法は、前記組織を特徴付ける予測モデルを生成するために、前記データベースの前記レコードを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることを含む。
【0022】
オプションで、前記メタデータが、臨床データ、非臨床データ、またはそれらの組み合わせを含む。前記臨床データが、組織異変の診断、傷の予測治癒期間、提案治療プラン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0023】
ある態様によると、対象の組織を特徴付けるために臨床データを予測するための方法が提供される。方法は、前記対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信することであって、前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列がイメージ取得デバイスによって取得されているかされたものである、受信することを含む。方法は、前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列に関連付けられた臨床データを予測するために、生成された前記予測モデルを用いることで、前記対象の組織を特徴付けることを含む。方法は、前記組織を表す特徴付け出力を生成することを含んでもよい。
【0024】
ある態様によると、対象の蛍光イメージの対象時系列に関連付けられた臨床データを予測するためのデータベースの使用が提供される。
【0025】
ある態様によると、対象の組織を特徴付けるための方法が提供される。方法は、前記対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信することであって、前記対象の蛍光イメージの前記対象時系列がイメージ取得デバイスによって取得されているかされたものである、受信することを含む。方法は、蛍光イメージの前記対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するカテゴリに、関連付けることであって、前記カテゴリが前記組織を特徴付け、かつ、同じカテゴリ内のデータ同士が異なるカテゴリ内の前記データ同士よりも互いに似たものとなるように前記組織の臨床的特徴付けに関するひとつ以上の属性に基づいて定義される、関連付けることを含む。方法は、蛍光イメージの前記対象時系列において前記複数のサブ領域に関連付けられた前記カテゴリに基づいて、前記組織を表す空間マップを生成することを含む。方法は、空間マップを表示することを含んでもよい。
【0026】
ある態様によると、対象の組織を特徴付けるための方法が提供される。方法は、蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信することであって、蛍光イメージの前記複数の時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することを含む。方法は、前記データの特徴ベクトルを選択することであって、各特徴ベクトルが前記データのひとつ以上の特徴を特徴付ける、選択することを含む。方法は、前記特徴ベクトルを含むデータセットを生成することを含む。方法は、ラベル付けされたデータセットを生成するよう前記データセットを分類することを含む。方法は、前記組織の特徴付けを表す複数の重心を生成することを含む。方法は、前記組織の特徴付け出力を、前記複数の重心に基づいて、表示することを含んでもよい。
【0027】
ある態様によると、対象の組織を特徴付けるための方法が提供される。方法は、複数のデータエントリのひとつ以上の特徴を特徴付ける複数の特徴ベクトルを含む訓練データセットを受信することであって、各データエントリが蛍光イメージの訓練時系列における訓練サブ領域の時間-強度曲線の少なくとも一部であり、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することを含む。
【0028】
ある態様によると、システムに、方法のひとつ以上を実行させるよう構成されたひとつ以上のプロセッサを含むシステムが提供される。システムは、蛍光イメージの時系列を取得するよう構成されたイメージ取得デバイスを含んでもよい。
【0029】
オプションで、システムは、空間マップイメージ、対象空間マップイメージ、またはその両方を表示するディスプレイを含む。
【0030】
オプションで、前記ひとつ以上のプロセッサがさらに、前記組織の解剖イメージに、前記空間マップイメージ、前記対象マップイメージまたはその両方を重ね合わせるよう構成される。
【0031】
オプションで、システムは、組織内の蛍光イメージング剤から蛍光放射を誘起するために励起光を提供する光源を含む。
【0032】
システムは、前記蛍光放射に基づいて蛍光イメージの前記時系列、蛍光イメージの前記対象時系列、またはその両方を生成するイメージ取得アセンブリを含む。
【0033】
ある態様によると、対象の組織のイメージの時系列を処理するシステムが提供される。システムは、ユーザインタフェースを含む。システムは、前記ユーザインタフェースと通信するよう構成されたプロセッサを含む。システムは、保持されるインストラクションを有する非一時的コンピュータ可読保持媒体を含み、前記インストラクションは前記プロセッサによって実行された場合、前記プロセッサに方法のいずれかひとつを実行させる。プロセッサは、イメージングシステムと通信してもよい。システムは、イメージングシステムを含んでもよい。プロセッサはイメージングシステムのコンポーネントであってもよい。プロセッサはイメージングシステムの動作を制御するよう構成されてもよい。
【0034】
オプションで、イメージングシステムは蛍光イメージングシステムであり、イメージの時系列は蛍光イメージの時系列であってもよい。蛍光イメージングシステムは、前記対象の前記組織を照らすことで前記対象の前記組織における蛍光イメージング剤からの蛍光放射を誘導するよう構成された照明モジュールを含んでもよい。蛍光イメージングシステムは、蛍光イメージの前記時系列を取得するよう構成されたカメラアセンブリを含んでもよい。
【0035】
ある態様によると、方法のいずれかひとつを実行するための、組み込まれたコンピュータ実行可能プログラムコード手段を有する非一時的実体的コンピュータ可読媒体が提供される。
【0036】
ある態様によると、対象の組織の蛍光イメージの時系列を処理するためのキットであって、前記キットが、システムと、蛍光イメージング剤と、を含む、キットが提供される。
【0037】
ある態様によると、方法またはシステムにおける使用のための蛍光イメージング剤が提供される。蛍光イメージング剤は、傷管理用の方法またはシステムにおいて用いられてもよい。傷管理は慢性傷管理を含んでもよい。
【0038】
オプションで、蛍光イメージング剤はインドシアニングリーン、ICG、を含む。蛍光イメージング剤はICGであってもよい。
【0039】
ある態様によると、血管造影データを可視化するための方法が提供される。方法は以下のステップを含む:a)少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信することであって、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することと、b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割することと、c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割することと、d)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信することと、e)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのクラスタと対応するかを判定することと、f)イメージを生成することであって、前記クラスタにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該クラスタに対応すると判定されたものである、生成すること。
【0040】
オプションで、前記ステップb)が、空間領域の各時間シーケンスについて、当該空間領域における時間イメージ変化を表す特徴ベクトルを決定することを含む。
【0041】
前記特徴ベクトルが、次元削減機械学習アルゴリズムを用いて決定されてもよい。前記次元削減機械学習アルゴリズムが、主成分分析、自己符号化神経回路網、またはそれらの組み合わせに基づいてもよい。
【0042】
オプションで、ステップb)において、空間領域の前記時間シーケンスが前記時間イメージシーケンスの前記イメージの個々のピクセルの時間シーケンスである。
【0043】
オプションで、前記ステップc)が、教師無しクラスタ化アルゴリズムを用いて実行される。教師無しクラスタ化アルゴリズムがk平均アルゴリズムを含んでもよい。
【0044】
オプションで、ステップc)は以下を含む。空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに、教師無しクラスタ化アルゴリズムを用いて自動的に分割することと、空間領域の前記複数の時間シーケンスを、訓練データセットとテストデータセットとに分割することと、予測モデルを生成するために、前記訓練データセットを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることと、前記テストデータセットに対して前記予測モデルをテストすること。前記ステップe)が、前記ピクセルの前記時間シーケンスがどのクラスタと対応するかを決定するために前記予測モデルをを用いることを含む。
【0045】
オプションで、前記ステップc)が、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに、前記空間領域の強度の時間依存性に基づいて、自動的に分割することを含む。
【0046】
オプションで、前記ステップc)が、累積分類誤差に基づいて前記複数のクラスタを決定することを含む。
【0047】
ある態様によると、血管造影データを可視化するための方法が提供される。その方法は以下のステップを含む:a)イメージの空間領域の強度の複数の異なる時間依存性を表す複数のマスクを取得することと、b)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信することと、c)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのマスクと最も良く対応するかを判定することと、d)イメージを生成することであって、前記マスクにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該マスクに対応すると判定されたものである、生成すること。
【0048】
オプションで、前記複数のマスクは以下によって得られた:e)少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信することと、f)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割することと、g)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割することと、h)各クラスタについて、当該クラスタの空間領域の前記強度の前記時間依存性を表すマスクを生成すること。各マスクが、前記対応するクラスタの重心の前記強度の前記時間依存性を表してもよい。
【0049】
ある態様によると、臨床データを予測するための方法が提供される。その方法は以下のステップを含む:a)生成された複数の血管造影イメージ可視化物を受信することと、b)各血管造影イメージ可視化物について、それを表すデータを、データベースのレコードに格納することと、c)各血管造影イメージ可視化物について、それに関連付けられた臨床データを、前記データベースの前記対応するレコードに格納することと、d)予測モデルを生成するために、前記データベースの前記レコードを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いることと、e)解析対象の血管造影イメージシーケンスを受信することと、f)前記血管造影イメージシーケンスを可視化することと、g)前記血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するために、前記予測モデルを用いること。
【0050】
ある態様によると、臨床データを予測するための方法が提供される。その方法は以下のステップを含む:a)解析対象の血管造影イメージシーケンスを受信することであって、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することと、b)前記血管造影イメージシーケンスを可視化することと、c)前記血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するために、予測モデルを用いることと、前記予測モデルは以下により得られた:d)生成された複数の血管造影イメージ可視化物を受信することと、e)各血管造影イメージ可視化物について、それを表すデータを、データベースのレコードに格納することと、f)各血管造影イメージ可視化物について、それに関連付けられた臨床データを、前記データベースの前記対応するレコードに格納することと、g)前記予測モデルを生成するために、前記データベースの前記レコードを、教師付き機械学習アルゴリズムの入力として用いること。
【0051】
ある態様によると、血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するためのデータベースの使用が提供される。
【0052】
ある態様によると、血管造影イメージシーケンスに関連付けられた臨床データを予測するために、予測モデルを用いることが提供される。
【0053】
ある態様によると、複数のマスクを生成するための方法が提供される。その方法は以下のステップを含む:a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信することと、b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割することと、c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割することと、d)各クラスタについて、当該クラスタの空間領域の前記強度の前記時間依存性を表すマスクを生成すること。各マスクが、前記対応するクラスタの重心の前記強度の前記時間依存性を表してもよい。
【0054】
ある態様によると、血管造影データを可視化するための、方法により得られた複数のマスクの使用が提供される。
【0055】
ある態様によると、血管造影データを可視化するためのシステムが提供される。システムは以下を含む。a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信する第1受信部と、b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割する分割部と、c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割するクラスタ化部と、d)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信する第2受信部と、e)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのクラスタと対応するかを判定する判定部と、f)イメージを生成するイメージ生成部であって、前記クラスタにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該クラスタに対応すると判定されたものである、イメージ生成部。
【0056】
ある態様によると、血管造影データを可視化するためのシステムが提供される。システムは以下を含む。a)イメージの空間領域の強度の複数の異なる時間依存性を表す複数のマスクを取得する取得部と、b)可視化対象の血管造影イメージシーケンスを受信する受信部と、c)前記血管造影イメージシーケンスの各ピクセルについて、当該ピクセルの前記時間シーケンスがどのマスクと最も良く対応するかを判定する判定部と、d)イメージを生成するイメージ生成部であって、前記マスクにしたがってそのイメージの各ピクセルにピクセル値が割り当てられ、前記血管造影イメージシーケンス内の当該ピクセルの位置が当該マスクに対応すると判定されたものである、イメージ生成部。
【0057】
ある態様によると、複数のマスクを生成するためのシステムが提供される。システムは以下を含む。a)イメージ取得システムによって取得されているか取得された少なくともひとつの時間イメージシーケンスを受信する受信部と、b)前記少なくともひとつの時間イメージシーケンスを、前記時間イメージシーケンスの前記イメージの空間領域の複数の時間シーケンスに分割する分割部と、c)同じクラスタ内の前記シーケンス同士が異なるクラスタからのシーケンス同士よりも互いに似ているものとなるように、空間領域の前記複数の時間シーケンスを複数のクラスタに自動的に分割するクラスタ化部と、d)各クラスタについて、当該クラスタの空間領域の前記強度の前記時間依存性を表すマスクを生成する生成部。
【0058】
方法がコンピュータに実装される方法であってもよいことは理解されるであろう。
【0059】
方法およびシステムは対象の組織の視覚的表現を取得して生成することを容易にし、この視覚的表現はデータ表現の点でより正確でありえ、医療従事者が臨床判断のために用いる際により直感的である。方法およびシステム、ならびに生成される組織の視覚的表現は、様々な種類の組織(例えば、慢性傷、急性傷、褥瘡を含む各種傷)に適用可能であり、組織(例えば、傷組織)を自動的に分類するためのおよび/または臨床成績(例えば、傷組織の治癒タイムライン)を予測するためのフレームワークを提供することができる。
【0060】
方法、システムおよびキットは、血流イメージング、組織灌流イメージング、リンパイメージング、またはそれらの組み合わせのために用いられてもよく、それらは侵襲的手術、最低侵襲的手術、非侵襲的手術、またはそれらの組み合わせ中に行われてもよい。血流および組織灌流を含みうる侵襲的手術の例は、心臓関連手術(例えば、CABGオンポンプまたはオフポンプ)や再建手術を含む。非侵襲的または最小侵襲手術の例は、傷(例えば、褥瘡などの慢性傷)の治療および/または管理を含む。この点で、例えば、傷の大きさ(例えば、直径、面積)の変化などの傷の経時変化や、傷内および/または傷の周囲の組織灌流の変化は、方法およびシステムを適用することで、経時的に追跡されてもよい。リンパイメージングの例は、リンパ節、リンパ節ドレナージ、リンパマッピング、またはそれらの組み合わせの特定を含む。ある変形例では、そのようなリンパイメージングは女性の生殖システム(例えば、子宮、子宮頸部、外陰)に関してもよい。
【0061】
方法のいずれかに鑑み言及された任意のオプションが他の方法、システム、およびキットと連携して用いられてもよく、その逆もしかりであることは、理解されるであろう。オプションのいずれかが組み合わされてもよいことは理解されるであろう。態様のいずれかが組み合わされてもよいことは理解されるであろう。以下、実施の形態およびその変形例が説明される。実施の形態および/または変形例のいずれかが上述の方法、システムおよびキットと組み合わされてもよいことは理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
本特許または本出願書類は、少なくともひとつの色付きの図面を含む。色付き図面を伴う本特許または本特許出願公開の複製は、要求に応じておよび必要な手数料を支払うことで庁により提供されるであろう。例示的な実施の形態を添付の図面を参照して詳細に説明することにより、特徴が当業者に明らかになるであろう。
【0063】
【
図1】ある態様における、対象の組織を特徴付けるための例示的方法のブロック図である。
【0064】
【
図2A】
図2Aは、イメージの時系列または対象時系列の説明図である。
図2Bは、イメージの時系列または対象時系列におけるサブ領域について生成された時間-強度曲線の説明図である。
【
図2B】
図2Aは、イメージの時系列または対象時系列の説明図である。
図2Bは、イメージの時系列または対象時系列におけるサブ領域について生成された時間-強度曲線の説明図である。
【0065】
【
図3A】
図3Aは、時間-強度曲線を近似するかそうでなければ特徴付ける複数の例示的パラメータを伴う例示的時間-強度曲線である。
図3Bは、個々のピクセルについての複数の強度対時間曲線を含むサンプルデータセットを示し、時間に亘る強度の値は特徴ベクトルを含む。
図3Cは、種々の訓練シーケンスからのピクセルエントリをひとつの行列に組み合わせたものを示す。
図3Dおよび
図3Eは、ピクセル曲線の模式的分類および各データサンプルへのラベルの割り当てを示す。
図3Fは、分類に対する、最適なクラスタ数の決定を示す。
【
図3B】
図3Aは、時間-強度曲線を近似するかそうでなければ特徴付ける複数の例示的パラメータを伴う例示的時間-強度曲線である。
図3Bは、個々のピクセルについての複数の強度対時間曲線を含むサンプルデータセットを示し、時間に亘る強度の値は特徴ベクトルを含む。
図3Cは、種々の訓練シーケンスからのピクセルエントリをひとつの行列に組み合わせたものを示す。
図3Dおよび
図3Eは、ピクセル曲線の模式的分類および各データサンプルへのラベルの割り当てを示す。
図3Fは、分類に対する、最適なクラスタ数の決定を示す。
【
図3C】
図3Aは、時間-強度曲線を近似するかそうでなければ特徴付ける複数の例示的パラメータを伴う例示的時間-強度曲線である。
図3Bは、個々のピクセルについての複数の強度対時間曲線を含むサンプルデータセットを示し、時間に亘る強度の値は特徴ベクトルを含む。
図3Cは、種々の訓練シーケンスからのピクセルエントリをひとつの行列に組み合わせたものを示す。
図3Dおよび
図3Eは、ピクセル曲線の模式的分類および各データサンプルへのラベルの割り当てを示す。
図3Fは、分類に対する、最適なクラスタ数の決定を示す。
【
図3D】
図3Aは、時間-強度曲線を近似するかそうでなければ特徴付ける複数の例示的パラメータを伴う例示的時間-強度曲線である。
図3Bは、個々のピクセルについての複数の強度対時間曲線を含むサンプルデータセットを示し、時間に亘る強度の値は特徴ベクトルを含む。
図3Cは、種々の訓練シーケンスからのピクセルエントリをひとつの行列に組み合わせたものを示す。
図3Dおよび
図3Eは、ピクセル曲線の模式的分類および各データサンプルへのラベルの割り当てを示す。
図3Fは、分類に対する、最適なクラスタ数の決定を示す。
【
図3E】
図3Aは、時間-強度曲線を近似するかそうでなければ特徴付ける複数の例示的パラメータを伴う例示的時間-強度曲線である。
図3Bは、個々のピクセルについての複数の強度対時間曲線を含むサンプルデータセットを示し、時間に亘る強度の値は特徴ベクトルを含む。
図3Cは、種々の訓練シーケンスからのピクセルエントリをひとつの行列に組み合わせたものを示す。
図3Dおよび
図3Eは、ピクセル曲線の模式的分類および各データサンプルへのラベルの割り当てを示す。
図3Fは、分類に対する、最適なクラスタ数の決定を示す。
【
図3F】
図3Aは、時間-強度曲線を近似するかそうでなければ特徴付ける複数の例示的パラメータを伴う例示的時間-強度曲線である。
図3Bは、個々のピクセルについての複数の強度対時間曲線を含むサンプルデータセットを示し、時間に亘る強度の値は特徴ベクトルを含む。
図3Cは、種々の訓練シーケンスからのピクセルエントリをひとつの行列に組み合わせたものを示す。
図3Dおよび
図3Eは、ピクセル曲線の模式的分類および各データサンプルへのラベルの割り当てを示す。
図3Fは、分類に対する、最適なクラスタ数の決定を示す。
【0066】
【
図4】ある態様における、対象の組織を特徴付けるための例示的方法のブロック図である。
【0067】
【
図5A】
図5Aは、臨床データを予測するための例示的方法のブロック図である。
図5Bは、対象メタデータ/臨床データを空間マップと組み合わせてデータベースまたはレジストリへの入力として用い、さらに分類神経回路網訓練において用いるること、の説明図である。
図5Cは、臨床データを予測するためおよび/または診断のための、新たなデータ分類における、本明細書で説明される方法およびシステムを用いることの説明図である。
【
図5B】
図5Aは、臨床データを予測するための例示的方法のブロック図である。
図5Bは、対象メタデータ/臨床データを空間マップと組み合わせてデータベースまたはレジストリへの入力として用い、さらに分類神経回路網訓練において用いるること、の説明図である。
図5Cは、臨床データを予測するためおよび/または診断のための、新たなデータ分類における、本明細書で説明される方法およびシステムを用いることの説明図である。
【
図5C】
図5Aは、臨床データを予測するための例示的方法のブロック図である。
図5Bは、対象メタデータ/臨床データを空間マップと組み合わせてデータベースまたはレジストリへの入力として用い、さらに分類神経回路網訓練において用いるること、の説明図である。
図5Cは、臨床データを予測するためおよび/または診断のための、新たなデータ分類における、本明細書で説明される方法およびシステムを用いることの説明図である。
【0068】
【
図6】対象の組織を特徴付けるためのおよび/または臨床データを予測するための例示的方法のブロック図である。
【0069】
【
図7】対象の組織を特徴付けるよう構成された例示的蛍光イメージングシステムの説明図である。
【0070】
【
図8】対象の組織を特徴付けるよう構成された蛍光イメージングシステムの例示的照明モジュールの説明図である。
【0071】
【
図9】対象の組織を特徴付けるよう構成された蛍光イメージングシステムの例示的カメラモジュールである。
【0072】
【0073】
【
図11A】
図11Aから11Fは、再建手術における胸部組織への方法およびシステムの適用を示す。
【
図11B】
図11Aから11Fは、再建手術における胸部組織への方法およびシステムの適用を示す。
【
図11C】
図11Aから11Fは、再建手術における胸部組織への方法およびシステムの適用を示す。
【
図11D】
図11Aから11Fは、再建手術における胸部組織への方法およびシステムの適用を示す。
【
図11E】
図11Aから11Fは、再建手術における胸部組織への方法およびシステムの適用を示す。
【
図11F】
図11Aから11Fは、再建手術における胸部組織への方法およびシステムの適用を示す。
【0074】
【
図12A】
図12Aは、対象の足部について生成された重心を示す。
図12Bおよび12Cは、足部組織への本明細書で説明される方法およびシステムの適用を示す。
【
図12B】
図12Aは、対象の足部について生成された重心を示す。
図12Bおよび12Cは、足部組織への本明細書で説明される方法およびシステムの適用を示す。
【
図12C】
図12Aは、対象の足部について生成された重心を示す。
図12Bおよび12Cは、足部組織への本明細書で説明される方法およびシステムの適用を示す。
【0075】
【
図13】
図13および14は、実施の形態に係る例示的な訓練方法を示す。
【
図14】
図13および14は、実施の形態に係る例示的な訓練方法を示す。
【0076】
【
図15】
図13および14に関連して説明された傷/組織の蛍光イメージに対して訓練されたモデルに基づいて、傷の臨床データ(治癒期間)を予測するための、神経回路網の例示的使用を示す。
【0077】
【
図16】本明細書の種々の実施の形態に係る、訓練および臨床データの予測を含む例示的臨床アプリケーションを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
本発明の種々の態様および変形例の実装および実施の形態が以下に詳述される。それらの例は添付の図面に示される。種々の蛍光イメージングおよび/または処理システムおよび方法が本明細書で説明される。イメージングおよび/または処理システムおよび方法の少なくとも二つのバリエーションが説明されるが、蛍光イメージングおよび/または処理システムおよび方法の他のバリエーションは、本明細書で説明されるシステムおよび方法の態様を任意の適切なやり方で組み合わせたものであって説明される態様のうちの全てまたはいくつかの組み合わせを有するものを含みうる。以下に添付の図面を参照して例示的な実施の形態をより十分に説明するが、例示的な実施の形態は異なる態様で実現されうるものであり、本明細書で説明されるものに限定されるとみなされるべきではない。むしろ、これらの実施の形態は、本開示が完全であり、当業者に例示的な実装を十分に伝えるように提供される。種々のデバイス、システム、方法、プロセッサ、キットおよびイメージング剤が本明細書で説明される。デバイス、システム、方法、プロセッサ、キットおよびイメージング剤の少なくとも二つのバリエーションが説明されるが、他のバリエーションは、本明細書で説明されるデバイス、システム、方法、プロセッサ、キットおよびイメージング剤の態様を任意の適切なやり方で組み合わせたものであって説明される態様のうちの全てまたはいくつかの組み合わせを有するものを含みうる。
【0079】
総じて、対応するかまたは同様な参照符号が、図面を通じて、同じまたは対応する部材を参照するために可能な場面で使用されるであろう。
【0080】
空間的に相対的な語、例えば「の下」、「の下方」、「より低い」、「の上」、「の上方」など、は、本明細書において、図に示される、ある要素またはフィーチャと他の要素またはフィーチャとの関係の説明を容易にするために用いられてもよい。空間的に相対的な語が、図に示される配置構成に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる配置構成をも包含することを意図していることは理解されるであろう。例えば、図のデバイスが裏返された場合、他の要素またはフィーチャ「より下」や「より下方」として説明される要素は、今度は該他の要素またはフィーチャ「の上」に配置されることとなるであろう。したがって、例示的な語である「より下」は、上方および下方の両方の配置を包含しうる。デバイスはそうでないよう(90度回転や他の配置構成など)に配置構成されてもよく、本明細書で用いられる空間的に相対的な記述子はそれにしたがい解釈されてもよい。
【0081】
本明細書で説明される方法およびシステムは対象の組織の視覚的表現を取得して生成することを容易にし、この視覚的表現はデータ表現の点でより正確でありえ、医療従事者が臨床判断のために用いる際により直感的である。本明細書で説明される方法およびシステム、ならびに生成される組織の視覚的表現は、様々な種類の組織(例えば、慢性傷、急性傷、褥瘡を含む各種傷)に適用可能であり、組織(例えば、傷組織)を自動的に分類するためのおよび/または臨床成績(例えば、傷組織の治癒タイムライン)を予測するためのフレームワークを提供することができる。
【0082】
本明細書で説明される方法およびシステムは、機械学習または深層学習を部分的に用いる。機械学習ベースの方法およびシステムは、アルゴリズム的解がないか、または解を見出すのが非常に困難であるような問題を解決することをより容易にする。組織のイメージングに基づく医療診断および組織特徴付けは、人間の体で生じる生理的プロセスの複雑さに起因して、機械学習アルゴリズムに特に適したタスクである。機械学習を用いることで、巨大なデータセットのなかから、医療的に関連する特徴およびパターンを発見することができ、これは医療従事者が、その医療従事者の経験に関係なく、より正確により素早くかつより整合的に医療診断を行うことを助ける。
【0083】
訓練された予測モデルの正確さはその入力データの量および質に依存する。その結果、従来提案されている自動傷分類フレームワークの大半が傷イメージの巨大なデータベースに頼っており、そこではサンプル入力はイメージである。古典的な教師付き機械学習法は、データ生成を訓練するために数百万ものラベル付きデータサンプルに頼っている。これは例えば蛍光イメージングデータなどの医療イメージングデータについて問題を提起する。なぜならば、古典的な教師付き機械学習で使用されるためには、そのようなデータは巨大でなければならず、またラベル付きでなければならないからである。
【0084】
さらに、データの質およびそれが含む役に立つ情報の量は、古典的な機械学習モデルまたはアルゴリズムがどの程度良く学習できるかを決める重要なファクタである。例えば蛍光イメージングデータなどのイメージングデータとの関連でそのようなモデルを用いることについて、いくつかの困難が生じる。困難は、データセットにおける欠落した値を伴う複製と、モデル作成に関連する特徴の選択と、を含む。学習アルゴリズムおよび最適化との関連でさらなる困難が生じうる。例えば、テストデータセットに対するモデルの振る舞いが良くない場合、失敗の原因を確立してそれにしたがってモデルを調整できなければならないが、これは医療イメージングデータについては難しいものでありうる。本明細書で説明される方法およびシステムは、ピクセル強度の時間次元を用いることによって現行の機械学習モデルの「ビッグデータの必要性」を回避し、それにより一握りの患者のシーケンスだけからの訓練セットの構成を可能とする。
【0085】
加えて、本発明の方法およびシステムの種々の実施の形態においてクラスタ化機械学習アルゴリズムを適用することによって、訓練データセットは自動的に分類され、これに臨床専門家は関与しない。機械学習を用いた、対象の組織を特徴付けるための方法
【0086】
図1に示されるように、対象の組織を特徴付けるための方法100の一例は、対象の組織の蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信すること112であって、蛍光イメージの複数の時系列がイメージ取得/撮像デバイスまたはシステムを用いて取得/撮像されているかされたものである、受信すること112と、組織の臨床的特徴付けに関する、データのひとつ以上の属性(例えば、本明細書で説明されるような、時間に亘る生強度値を含む血管造影曲線の種々の特徴、最大強度、流入レート、流出レート、灌流発現期間、動脈フェーズ/毛細血管フェーズ/静脈フェーズの持続期間)を特定すること114と、同じクラスタ内のデータ同士が異なるクラスタ内のデータ同士よりも互いに似ているものとなるように、データのひとつ以上の属性に基づいて、データを、複数のクラスタへ分類すること116であって、クラスタが組織を特徴付ける、分類すること116と、(分類されたクラスタに基づいて)組織の特徴付け出力を生成することと、を含んでもよい。ある態様では、特定するステップとの関連での特徴ベクトルは個々全てのピクセルについてのものであってもよく、さらに隣接するピクセルからの同様な特徴の組み合わせを含んでもよい。特定するステップは、手動(例えば、強度対時間値を用いる)であってもよいし、自動(例えば本明細書で説明されるような主成分分析を介してアルゴリズムで補助されたもの)であってもよいし、それらの組み合わせであってもよい。さらなる態様では、方法はさらに、対象の蛍光イメージの対象時系列のデータ(例えば、診断および/または評価が求められている患者がイメージングを行っているか行ったことから取得/導出されるデータ)を受信することと、組織の蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けること120と、蛍光イメージの対象時系列において複数のサブ領域に関連付けられたクラスタに基づいて、組織の対象空間マップを生成すること122と、を含んでもよい。ある態様では、方法はさらに対象空間マップ(例えば、イメージ)を表示すること122aを含んでもよい。明細書を通じて、「空間マップ」および/または「対象空間マップ」は、「クラスタマップ」および/または「対象クラスタマップ」と互換的に用いられる。明細書を通じて、「対象」は人間の対象および動物の対象(例えば、ほ乳類)を含む。
【0087】
ある態様では、方法の少なくとも一部は医療イメージングシステムとは別個に設けられたコンピュータシステムによって行われてもよい。例えば、組織の蛍光イメージの時系列を受信するステップ112、データのひとつ以上の属性を特定するステップ114、データを複数のクラスタに分類するステップ116、およびさらに蛍光イメージの対象時系列のデータを受信するステップ118、蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けるステップ120、対象空間マップを生成するステップ122および対象空間マップを表示するステップ122aのいくつかまたは全ては、医療サイト(例えば、そこには蛍光イメージングシステムが配置されている)から離れたところにあるオフサイトロケーションにあるコンピュータシステムによって、または、医療セッティングに設けられてはいるがイメージングシステムには体現されていないコンピュータシステムによって、行われてもよい。これらの態様では、蛍光イメージの時系列および/または対象時系列は、データ保持媒体(例えば、ハードドライブ、クラウドストレージ等)からのまたはネットワーク通信(例えば、有線接続、インターネット、適切な無線技術規格に基づく無線ネットワーク等)を介したイメージデータの移送の結果として受信されてもよい。例えば、方法はクライアント-サーバアーキテクチャを含んでもよく、この場合、イメージングシステムは、計算サーバにイメージデータを送信し、該イメージングシステム上に処理済みデータ(例えば、ランキングマップイメージや本明細書で説明される方法の種々のステップの中間出力)をロードするクライアントハードウエアを含んでもよい。イメージングシステムのクライアントハードウエアが処理済みデータをロードした後、イメージングシステムはさらに、本明細書で説明される方法にしたがって、データを処理しおよび/または処理済みデータを表示してもよい。
【0088】
ある態様では、方法の少なくとも一部は、臨床サイトなどに設けられた医療イメージングシステムに組み入れられたコンピュータシステムにおいて、ひとつ以上のプロセッサによって実行される。例えば、組織の蛍光イメージの時系列を取得/受信するステップ112および/または蛍光イメージの対象時系列のデータを受信するステップ118、組織の臨床的特徴付けに関するデータのひとつ以上の属性を特定するステップ114、データを複数のクラスタに分類するステップ116、蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けるステップ120、対象空間マップを生成するステップ122および対象空間マップを表示するステップ122aのいくつかまたは全ては、医療イメージングシステムのコンピュータシステムによって行われてもよい。これらの態様のいくつかでは、方法はさらに、蛍光イメージの時系列を受信する118前に蛍光イメージの時系列を生成すること110を含んでもよい。
【0089】
上述の通り、蛍光イメージング技術などの従来の医療イメージング技術は、医療者が対象の組織における血流および/または組織灌流を正確に評価することについて制限された機会を提供する。例えば、組織を通る色素ボラースの通過を捉える蛍光イメージを視覚的に評価する際、医療者による血流および/または組織灌流の評価は、組織の灌流特性とは無関係のパラメータ(例えば、輝度、イメージコントラスト、イメージノイズ)によって混同される。加えて、医療者の単なる視覚的イメージ評価は主観的であり、医療者によって、患者によって、および/またはイメージセッションによって変わりうる。
【0090】
本明細書で説明される方法およびシステムは、組織を特徴付けたり、臨床データや成績を予測したり、臨床成績を予測することをさらに容易にするためのより効果的な臨床判断を可能とするような態様でイメージデータをユーザに提供するのに役に立つ。特に、医療イメージングが行われているか行われた対象(例えば、患者)に対して本明細書(例えば、
図1の122)で説明される方法にしたがい生成された対象空間マップ(例えば、イメージ)は、例えばピクセル(またはボクセル)などのイメージ要素の間の相対差分または被撮像対象組織の異なる領域の間の相対差分を、臨床的に関連する属性に関して、簡潔に示す。ある態様では、対象空間マップ(例えば、
図1の122)は、撮像対象組織の異なるエリアが、その治癒状態、組織特性および/または他の組織条件についてどのように異なっているかの可視化であってもよい。例えば、対象空間マップイメージは、炎症、悪性腫瘍、疾病、または他の組織の異常を、人間によって容易に知覚可能および特定可能な態様で、可視化してもよい。本明細書でさらに説明されるように、血流および/または組織灌流を評価するための標準化プロトコルを推進し、複数のイメージングセッションに亘る経時的な患者評価を比較、追跡するための道を提供することによって、これらの生成された可視化は曖昧さを低減し、医療者の主観の影響を低減する。したがって、これらの可視化は、医療者が、より統一感のある臨床評価および/または治療判断を行うことを可能とする。
【0091】
本明細書では、種々の例示的な態様を蛍光イメージの時系列および/または対象時系列のコンテキストで説明するが、方法は、組織内でのイメージング剤の動的振る舞いに関する時系列として生成される他のイメージ源に適用可能であり、また他の医療目的のために適用可能である。例えば、イメージは、血流および組織灌流評価のための、放射線不透過性コントラスト色素を用いるコンピュータ断層撮影(CT)血管造影から得られてもよい。他の例として、イメージは、代謝活性を評価し、かつ、病理の評価および/または病理の評価に使用可能な情報の提供を可能とするための、フルオロデオキシグルコース(FDG)または他の放射トレーサを用いる陽電子放射断層撮影(PET)から得られてもよい。他の例として、イメージは、体循環へ静脈投与されるガス充填マイクロバブルコントラスト媒体の使用を利用するコントラスト強化超音波イメージングから得られてもよい。マイクロバブルコントラスト剤を用いるそのような超音波イメージングは、超音波後方散乱または超音波の反射を強化することで、マイクロバブル内のガスと軟組織との間のエコー輝度(すなわち、対象が超音波を反射する能力)の大きな差に起因して増大するコントラストを伴うユニークな超音波画像を生成する。例えば、コントラスト強化超音波を用いて、臓器内の血液灌流および血流のイメージを得ることができる。
組織のイメージの時系列および対象時系列ならびに関連データの生成
【0092】
ある態様では、
図1に示されるように、方法100は、組織の蛍光イメージの時系列を生成すること110、および/または、時系列を受信すること112および/または対象時系列を受信すること118の前に対象の組織の蛍光イメージの対象時系列を生成すること118aを含む。蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列は、例えば蛍光イメージング剤としてのインドシアニングリーン(ICG)色素などの蛍光イメージング剤を用いる蛍光イメージング技術によって生成されてもよい。ICGは対象に投与されると、血液タンパクと結合し血液と共に組織内を循環する。本明細書において、蛍光剤や蛍光色素が参照されるが、イメージの時系列および/またはイメージの対象時系列が蛍光ベースでない態様においてイメージの時系列を生成するために用いられるイメージング技術のタイプに依存して、蛍光剤や色素以外の適切なイメージング剤を用いてもよい。
【0093】
ある態様では、蛍光イメージング剤(例えば、ICG)は、ボラース投与として、イメージングに適した濃度で、対象に(例えば、静脈や動脈や他の組織へと)投与されてもよい。組織灌流を評価するために方法が行われるある態様では、蛍光イメージング剤は対象の静脈または動脈への注射により対象に投与されてもよく、この場合、色素ボラースは血管系を循環し、毛細血管系を通過する。複数の蛍光イメージング剤が用いられるある態様では、そのような複数の薬剤は同時に(例えば、単一のボラースで)投与されてもよいし、順番に(例えば、別個のボラースで)投与されてもよい。ある態様では、蛍光イメージング剤はカテーテルによって投与されてもよい。ある態様では、蛍光イメージング剤は、蛍光イメージの時系列および/または対象時系列を生成するための測定を行う前一時間以内に、対象に投与されてもよい。例えば、蛍光イメージング剤は、測定を行う前三十分以内に対象に投与されてもよい。他の態様では、蛍光イメージング剤は、測定を行う少なくとも三十秒前に投与されてもよい。ある態様では、蛍光イメージング剤は、測定を行うのと同時に投与されてもよい。
【0094】
ある態様では、蛍光イメージング剤は、所望の循環血中濃度を達成するために種々の濃度で投与されてもよい。例えば、蛍光イメージング剤がICGである組織灌流評価のためのある態様では、蛍光イメージング剤が約2.5mg/mLの濃度で投与されることで、約5μMから約10μMの循環血中濃度が達成されてもよい。ある態様では、蛍光イメージング剤の投与についての上限濃度は、蛍光イメージング剤が循環血液中で臨床毒性となる濃度であり、下限濃度は、蛍光イメージの時系列を取得し血液中を循環する蛍光イメージング剤を検出するために用いられる装置の限界である。ある態様では、蛍光イメージング剤の投与についての上限濃度は、蛍光イメージング剤が自己失活となる濃度である。例えば、ICGの循環濃度は約2μMから約10mMの範囲であってもよい。
【0095】
したがって、変形例では、方法は、蛍光イメージング剤または他のイメージング剤の対象への投与と、生成されたデータを処理する前の、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列の生成または取得と、を含んでもよい。他の変形例では、方法は蛍光イメージング剤または他のイメージング剤の対象への投与ステップを除いてもよい。例えば、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列は、対象内に既に存在するインドシアニングリーン(ICG)色素などの蛍光イメージング剤の測定に基づいてもよく、および/または自己蛍光応答(例えば、ネイティブ組織自己蛍光または誘起組織自己蛍光)に基づいてもよく、または自己蛍光と蛍光イメージング剤から生じる外因性蛍光との組み合わせの測定に基づいてもよい。
【0096】
ある態様では、適切な蛍光イメージング剤は、血液と共に循環可能(例えば、リポタンパクや血中の血漿血清などの血液成分と共に循環可能な蛍光色素)であり、かつ、適切な励起光エネルギに曝されると蛍光を発する薬剤を含む。蛍光イメージング剤は、蛍光色素、その類似物、その誘導体、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。蛍光色素は非毒性蛍光色素を含んでもよい。ある態様では、蛍光イメージング剤は、近赤外線スペクトルにおいて最適に蛍光を発する。ある態様では、蛍光イメージング剤は、例えばインドシアニングリーン(ICG)などのトリカルボシアニン色素であるかそれを含む。他の態様では、蛍光イメージング剤は、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド、フルオレサミン、ローズベンガル、トリパン青、フルオロゴールド、緑色蛍光タンパク質、フラビン(例えば、リボフラビン等)、メチレンブルー、ポルフィゾーム、シアニン色素(例えば、ターゲティングリガンドと組み合わされたカテプシン活性化Cy5やCy5.5など)、IRDye800CW、ターゲティングリガンドと組み合わされたCLR 1502、ターゲティングリガンドと組み合わされたOTL38、メチレンブルー、またはそれらの組み合わせであってもよいし、それを含んでもよく、そのような蛍光イメージング剤は各イメージング剤に適した励起光波長を用いて励起される。ある態様では、蛍光イメージング剤はメチレンブルー、ICGまたはそれらの組み合わせであるか、それを含む。ある態様では、蛍光イメージング剤の類似物または誘導体が用いられてもよい。例えば、蛍光色素類似物または誘導体は、化学的に変更されたが、適切な波長の光エネルギに曝された場合に蛍光を発する能力を維持する蛍光色素を含んでもよい。蛍光のいくつかまたは全てが自己蛍光から導かれるものである態様では、自己蛍光を生成する蛍光体のひとつ以上は、内因性組織蛍光体(例えば、コラーゲン、エラスチン、NADH等)、5-アミノレブリン酸(5-ALA)、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0097】
ある態様では、蛍光イメージング剤は凍結乾燥粉末、固体、または液体として提供されてもよい。蛍光イメージング剤はバイアル(例えば、無菌バイアル)で提供されてもよく、バイアルは、無菌注射器で無菌流体を調製することにより適切な濃度での再構成を可能としてもよい。再構成は適切なキャリアや希釈剤を用いて行われてもよい。例えば、蛍光イメージング剤は、投与の直前に水性希釈剤で再構成されてもよい。溶液中で蛍光イメージング剤を維持するであろう任意の希釈剤またはキャリアが用いられてもよい。一例として、ICGは水で再構成可能である。ある態様では、蛍光イメージング剤が再構成されると、それは追加的な希釈剤およびキャリアと混合されうる。ある態様では、溶解性、安定性、イメージング特性、またはそれらの組み合わせを強化するために、蛍光イメージング剤を他の分子(例えば、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、合成高分子、糖など)と複合化してもよい。トリスアミノメタン、HCl、NaOH、リン酸緩衝剤、HEPESを含む追加的な緩衝剤を追加してもよい。
【0098】
当業者であれば、上で蛍光イメージング剤が詳細に説明されたが、医療イメージングモダリティに依存して、本明細書で説明されるシステム、方法および技術との関連で他のイメージング剤を用いてもよいことを理解するであろう。
【0099】
ある変形例では、本明細書で説明される方法、システムおよびキットと組み合わせて用いられる、種々の実施の形態のうちのひとつ以上にしたがう蛍光イメージング剤は、血流イメージング、組織灌流イメージング、リンパイメージング、胆汁イメージングまたはそれらの組み合わせのため用いられてもよく、それらは侵襲的手術、最低侵襲的手術、非侵襲的手術、またはそれらの組み合わせ中に行われてもよい。血流および組織灌流を含みうる侵襲的手術の例は、心臓関連手術(例えば、CABGオンポンプまたはオフポンプ)や再建手術を含む。非侵襲的または最小侵襲手術の例は、傷(例えば、褥瘡などの慢性傷)の治療および/または管理を含む。この点で、例えば、傷の大きさ(例えば、直径、面積)の変化などの傷の経時変化や、傷内および/または傷の周囲の組織灌流の変化は、方法およびシステムを適用することで、経時的に追跡されてもよい。リンパイメージングの例は、リンパ節、リンパ節ドレナージ、リンパマッピング、またはそれらの組み合わせの特定を含む。ある変形例では、そのようなリンパイメージングは女性の生殖システム(例えば、子宮、子宮頸部、外陰)に関してもよい。
【0100】
心臓への応用や任意の血管系への応用に関する態様では、イメージング剤(例えば、ICGのみやICGと他のイメージング剤との組み合わせ)を静脈に注入してもよいし、既に静脈に注入された状態であってもよい。例えば、イメージング剤を、中心静脈線、バイパスポンプおよび/または心筋保護線および/または他の血管系を通じて静注することで、冠状血管系、毛細血管および/またはグラフトに流しおよび/または灌流させてもよい。人工血管や他の血管系にICGを、希薄ICG/血液/生理食塩水溶液として投与してもよく、この場合、冠動脈や他の血管系(アプリケーションに依存)におけるICGの最終濃度は、中心線やバイパスポンプに約2.5mgの注入(すなわち、2.5mg/mlのものを1ml)をした結果得られるものとおよそ同じかそれよりも低いものとなる。ICGは、例えば25mgの固体を10mlの無菌水性溶媒に溶かすことによって調製されてもよく、そのような無菌水性溶媒は製造者によってICGと共に提供されてもよい。ICG溶液1ミリリットルを500mlの無菌生理食塩水と混合してもよい(例えば、ICG1mlを500mlの生理食塩水バッグに注入することによって、)。希薄ICG/生理食塩水溶液30ミリリットルを対象の血液10mlに加えてもよい。その血液は中心動脈線またはバイパスポンプから無菌的に得られてもよい。血液中のICGは血漿タンパク質と結合し、血管からの漏出の防止を促進する。滅菌手術分野内の標準的な滅菌技術を用いることで、ICGと血液との混合が行われてもよい。グラフトそれぞれについて、ICG/生理食塩水/血液混合物10mlを投与してもよい。針を用いてグラフトの壁を通して注入することによりICGを投与する代わりに、ICGはグラフトの(開放)近位端に取り付けられたシリンジにより投与されてもよい。グラフトが移植される際、手術者はルーチンとして、グラフトの近位端にアダプタを取り付ける。この場合、最初の吻合を行う前に、生理食塩水充填シリンジを取り付け、グラフトの遠位端を閉じ、グラフトに生理食塩水を注入し、グラフトに圧力をかけ、これにより導管の完全性(リークや側枝など)を評価する。他の態様では、心臓イメージングに関連して本明細書で説明される方法、用量またはそれらの組み合わせは任意の血管系および/または組織灌流イメージングアプリケーションにおいて用いられてもよい。
【0101】
リンパマッピングは、リンパ系を通じて広がるガン(例えば、乳ガン、胃ガン、婦人科系ガン)のための有効な手術ステージ決めの重要な部分である。特定のリンパ節の鉢(basin)からの複数のリンパ節の除去は、急性または慢性リンパ浮腫、感覚異常、および/または血清腫の形成を含む重大な余病を引き起こす可能性があり、実際、センチネルリンパ節が転移陰性であるなら、その周りのリンパ節もまたたいていの場合は陰性である。腫瘍ドレーンリンパ節(LN)の特定は、例えば乳ガン手術において、リンパ系を通じて広がるガンのステージ決めのための重要なステップになった。LNマッピングは、色素および/または放射トレーサを用いることで、生検または切除のいずれかのために、そして後続の転移の病理評価のために、LNを特定することを含む。手術ステージ決めのときのリンパ節郭清術の目的は、ガンの局所広がりのリスクが高いLNを特定して除去することである。乳ガンの治療において、センチネルリンパ節(SLN)マッピングは有効な手術戦略として登場した。これは総じて以下のコンセプトに基づく:転移(腋窩LNへのガンの広がり)は、もしあれば、SLNにあるはずであり、SLNは当該技術分野において、原発腫瘍から癌細胞が広がった先として最も蓋然性の高い最初のLNまたはリンパ節グループとして定義される。SLNが転移陰性である場合、周囲の第2、第3LNもまた陰性であるべきである。SLNマッピングの主な利点は、従来の部分的または完全リンパ節郭清術を受ける対象の数を低減することであり、したがって、リンパ浮腫やリンパ嚢胞などの関連疾患に苦しむ対象の数を低減することである。
【0102】
SLNマッピングの治療の現在標準は、原発腫瘍からのリンパ流経路を特定するトレーサの注入を含む。用いられるトレーサは、ガンマプローブでの手術中位置決め用の放射性同位体(例えば、テクネチウム-99またはTc-99m)であってもよい。放射能トレーサ技術(シンチグラフィとして知られている)は、放射性同位体へのアクセスを有する病院に限られ、原子核物理の医師の関与を必要とし、リアルタイムの視覚的ガイダンスを提供しない。色付き色素、イソスルファンブルー、もまた用いられてきたが、皮膚や脂肪組織を通じてこの色素を見ることはできない。加えて、青いシミは胸部のタトゥーとなって数ヶ月に亘って残り、また、真皮下注射では皮膚の壊死が生じることがあり、まれにアナフィラキシーを伴うアレルギー反応もまた報告されている。イソスルファンブルーの注射の後、(約2%の患者に)重大なアナフィラキシー反応が生じた。症状は、呼吸困難、ショック、血管浮腫、じんましんおよびかゆみを含む。気管支ぜん息が既往である患者やトリフェニルメタン色素に対するアレルギーや薬物反応がある患者において反応が生じる蓋然性が高い。イソスルファンブルーは、パルスオキシメトリによる酸素飽和度の測定およびガス分析器によるメトヘモグロビンの測定と干渉することが知られている。イソスルファンブルーの利用は、遷移的または長期の青色着色(タトゥー)を引き起こしうる。
【0103】
これに対して、SLN可視化、マッピングで用いられる種々の実施の形態にしたがう蛍光イメージングは、LNおよび/または求心性リンパチャネルの直接的な手術中リアルタイム可視的特定を容易にし、皮膚および脂肪組織を通じた高解像度光学的リアルタイムガイダンスを容易にし、血流、組織灌流またはそれらの組み合わせの可視化を容易にする。
【0104】
ある態様では、蛍光イメージング中のリンパ節の可視化、分類またはその両方はひとつ以上のイメージング剤のイメージングに基づいてもよく、これはさらにガンマプローブ(例えば、テクネチウムTc-99mは透明な無色の水溶液であり、標準的な治療によると乳輪の周りに注射される)、他の従来から用いられている有色イメージング剤(イソスルファンブルー)、および/または例えば組織学などの他の評価、での可視化および/または分類に基づいてもよい。対象の胸部に、例えば約1%のイソスルファンブルーを二回(比較のため)、約2.5mg/mlの濃度を有するICG溶液を二回、注射してもよい。イソスルファンブルーの注射はICGの注射に先んじてもよいし、その逆であってもよい。例えば、TBシリンジおよび30G針を用いて、麻酔が効いている対象の、胸部の乳輪の周りのエリアに、0.4ml(各サイトに0.2ml)のイソスルファンブルーを注射してもよい。右の胸部について、対象は12時および9時の位置に注射され、左の胸部について、12時および3時の位置に注射されてもよい。各胸部へのイソスルファンブルーの真皮内注射の総用量は約4.0mg(1%溶液:10mg/mlを0.4ml)であってもよい。他の例示的な態様では、対象はまずICG注射を受け、次いでイソスルファンブルーを(比較のために)受けてもよい。ひとつの25mgICGバイアルを10mlの注射用滅菌水で再構成することで、ICG投与の直前に2.5mg/ml溶液を生成してもよい。例えば、TBシリンジおよび30G針を用いて、対象の、胸部の乳輪の周りのエリアに、約0.1ml(各サイトに0.05ml)のICGを注射してもよい(右の胸部について、12時および9時の位置に注射が行われ、左の胸部について、12時および3時の位置に注射が行われてもよい)。各胸部へのICGの真皮内注射の総用量は、胸部ごとに、約0.25mg(2.5mg/ml溶液を0.1ml)であってもよい。ICGは例えば注射ごとに5から10秒のレートで注射されてもよい。ICGが真皮内に注射される場合、ICGのタンパク質結合特性により、ICGはリンパによって急速に吸収され、導管を通じてLNへと移動する。ある態様では、ICGは、5%より少ないヨウ化ナトリウムを伴う25mgICGを含む滅菌凍結乾燥粉末の形で提供されてもよい。ICGは注射用滅菌水からなる水性溶媒と一緒にパッケージ化されてもよく、その水性溶媒はICGを再構成するのに用いられる。ある態様では、乳ガンのセンチネルリンパマッピングにおけるICG用量(mg)は約0.5mgから約10mgの範囲にあり、投与の経路による。ある態様では、ICGの用量は約0.6mgから約0.75mg、約0.75mgから約5mg、約5mgから約10mgであってもよい。投与の経路は、例えば、真皮下、真皮内(例えば、乳輪の周りの領域)、乳輪の下、腫瘍を覆う皮膚、腫瘍に最も近い乳輪における真皮内、乳輪内の真皮下、腫瘍の上の真皮内、胸部全体の上の乳輪の周辺、またはそれらの組み合わせであってもよい。NIR蛍光陽性LN(例えば、ICGを用いて)は、例えば、白黒NIR蛍光イメージとして、および/または、完全または部分的カラー(白色光)イメージ、完全または部分的不飽和白色光イメージ、強化カラーイメージ、オーバレイ(例えば、他のイメージを伴う蛍光)、種々の色を有しうる合成イメージ(例えば、他のイメージに組み入れられた蛍光)、種々のレベルの不飽和、または種々の範囲の色として表されてもよく、これにより所定の関心特徴をハイライト化/可視化できる。イメージの処理はさらに、さらなる可視化および/または他の解析(例えば、定量化)のために行われてもよい。リンパ節およびリンパ管は、ICGおよびSLNのみ、または乳ガンの患者のSLN生検のためのAmerican Society of Breast Surgeons(ASBrS)の実務基準にしたがうガンマプローブ(Tc-99m)と組み合わされたICGおよびSLNの、種々の実施の形態にしたがう蛍光イメージングシステムおよび方法を用いて、(例えば、手術中にリアルタイムで)可視化されてもよい。LNの蛍光イメージングは、注射サイトから、腋窩のLNに至るリンパチャネルを追跡することにより始まってもよい。LNの視覚的イメージが特定されると、LNマッピングおよびLN特定は、切開された皮膚を通じてなされてもよく、LNマッピングはICG可視化されたリンパ節が特定されるまで行われてもよい。比較のため、「青い」リンパ節が特定されるまで、イソスルファンブルーでのマッピングがなされてもよい。ICGだけで、または他のイメージング技術(例えば、イソスルファンブルーおよび/またはTC-99m)と組み合わされたICGで、特定されたLNは、切除対象としてラベル付けされてもよい。対象は乳ガンの様々なステージ(例えば、IA、IB、IIA)を有しうる。
【0105】
例えば婦人科系ガン(例えば、子宮、子宮内膜、外陰部、および頸部の悪性腫瘍)におけるある態様では、ICGは、リンパ節、リンパチャネルまたはそれらの組み合わせの可視化のために細胞間に投与されてもよい。細胞間に注射される場合、ICGのタンパク質結合特性により、ICGはリンパによって急速に吸収され、導管を通じてSLNへと移動する。ICGは、5%より少ないヨウ化ナトリウムを伴う25mgICG(例えば、25mg/バイアル)を含む滅菌凍結乾燥粉末の形で、注射用に提供されてもよいICGは、次いで、使用前に市販の注射用水(滅菌)で再構成されてもよい。ある実施の形態によると、25mgのICGを含むバイアルを注射用水20mlで再構成し、1.25mg/ml溶液を得た。対象ごとに5mgのICGの合計用量を得るために、対象に、この1.25mg/ml溶液を合計で4ml注射する(4×1ml注射)。子宮頸部にはまた、1%イソスルファンブルー10mg/mlの溶液1mlを(比較を目的として)四(4)回注射してもよく、合計用量は40mgである。対象が手術室で麻酔下にある間に注射を行ってもよい。ある態様では、婦人科系ガンのセンチネルリンパ節検出および/またはマッピングにおけるICG用量(mg)は約0.1mgから約5mgの範囲にあり、投与の経路による。ある態様では、ICGの用量は約0.1mgから約0.75mg、約0.75mgから約1.5mg、約1.5mgから約2.5mg、約2.5mgから約5mgであってもよい。投与の経路は、例えば、子宮頸部注射、外陰部腫瘍周辺注射、子宮鏡子宮内膜注射、またはそれらの組み合わせであってもよい。LNが切除される際のマッピング手順と干渉するイソスルファンブルーまたはICGのこぼれを最小化するために、マッピングは骨盤の半分側で行われ、LNの切除の前にイソスルファンブルーおよびICGの両方でのマッピングが行われてもよい。臨床ステージIの子宮内膜ガンのLNマッピングは、子宮腫瘍のNCCNガイドライン、子宮内膜ガンの手術ステージ決めのSLNアルゴリズムにしたがって行われてもよく、臨床ステージIの子宮頸ガンのSLNマッピングは、子宮頸腫瘍のNCCNガイドライン、初期ステージ子宮頸ガンの手術/SLNマッピングアルゴリズムにしたがって行われてもよい。したがって、LNの特定は、ICG蛍光イメージングのみ、またはそれと比色分析色素(イソスルファンブルー)および/または放射能トレーサとの組み合わせ、またはそれと比色分析色素(イソスルファンブルー)および/または放射能トレーサとの同時投与、に基づいてもよい。
【0106】
リンパ節の可視化は定性的および/または定量的であってもよい。そのような可視化は、例えば、リンパ節検出、検出レート、リンパ節の解剖学的分布を含んでもよい。種々の実施の形態に係るリンパ節の可視化は、それだけで、または他の変形物(例えば、バイタルサイン、身長、体重、人口統計、手術予測因子、関連医療履歴およびその根本となる条件、組織可視化および/または評価、Tc-99m可視化および/または評価、併用療法)と組み合わせて用いられてもよい。排泄の日および後日(例えば、一ヶ月)に再診が生じてもよい。
【0107】
リンパ液は高レベルのタンパク質を含み、したがってICGはリンパ系に入ると内因性タンパク質と結合しうる。リンパマッピングのための蛍光イメージング(例えば、ICGイメージング)は、本明細書で説明される方法およびシステムにしたがって用いられる場合、以下の例示的な利点を提供する:NIRが顕著な自己蛍光を生成しないことによる高い信号対背景比(または腫瘍対背景比)、リンパマッピングのリアルタイム可視化特徴、組織決定(すなわち、構造的可視化)、血管系に入った後の急速な排泄および消失、および非電離放射の回避。さらに、NIRイメージングは、可視光のそれ(組織の1mmから3mm)に対する優れた組織貫通性(組織の約5ミリメートルから10ミリメートル)を有する。例えば、ICGの利用はまた、傍大動脈リンパ節の上にある腹膜を通じた可視化を容易にする。組織蛍光は長期間NIR光で観測可能であるが、それは可視光で見ることはできないので、LNの病理的評価または処理に影響を与えない。また、蛍光は、リンパ節の青色染色(イソスルファンブルー)よりも、手術中に検出容易である。他の態様では、リンパイメージングに関連して本明細書で説明される方法、用量またはそれらの組み合わせは任意の血管系および/または組織灌流イメージングアプリケーションにおいて用いられてもよい。
【0108】
組織灌流は単位組織体積ごとの微小循環性血流に関連しており、そこでは灌流対象の組織の毛細血管床へ酸素および栄養が提供され、そこから老廃物が除去される。組織灌流は、血管内の血流に関連するがそれとは別個の現象である。血管を通じた定量化血流は、フローを定義するターム(すなわち、体積/時間)で、またはスピードを定義するターム(すなわち、距離/時間)で、表現されてもよい。組織血液灌流は組織体積内における小動脈、細管、細静脈などの毛細血管を通る血液の動きを定義する。定量化組織血液灌流は、組織を通過する血流のタームで、すなわち、体積/時間/組織体積(または、組織質量)のタームで、表現される。灌流は栄養性血管(例えば、キャピラリとして知られている毛細血管)に関連付けられる。この栄養性血管は、より大きな径の非栄養性血管ではなく、血液と組織との間の代謝物の交換に関連付けられた血管を含む。ある実施の形態では、ターゲット組織の定量化は、ターゲット組織に関するパラメータまたは量、例えばレート、サイズ、体積、時間、距離/時間、および/または体積/時間、および/または変化量、を計算するか決定することを含んでもよい。それは前述のパラメータまたは量のうちの任意のひとつ以上に関する。しかしながら、より大きな径の血管を通じた血液の動きと比べて、個々のキャピラリを通じた血液の動きは大いに不規則でありうる。これは主に血管運動のためであり、血管拍での自発振動は赤血球の動きにおける脈動として現れる。
【0109】
ある態様では、間質投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、固形腫瘍がある患者のリンパマッピング中に、子宮頸部および子宮におけるリンパ節の蛍光イメージングおよびリンパ管の描写のために用いられてもよい。固形腫瘍については、この手順は手術中管理のコンポーネントである。例えばPINPOINT(登録商標)蛍光イメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光剤、例えばICG、を用いることにより、リンパマッピング中に手術中蛍光イメージングを行うことができる。
【0110】
ある態様では、真皮内投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、固形腫瘍がある患者のリンパマッピング中に、胸部におけるリンパ節の蛍光イメージングおよびリンパ管の描写のために用いられてもよい。固形腫瘍については、そのような手順は手術中管理のコンポーネントである。例えばSPY-PHIポータブルハンドヘルドイメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光剤、例えばICG、を用いることにより、リンパマッピング中に手術中蛍光イメージングを行うことができる。
【0111】
ある態様では、(皮下を含む)真皮内投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、固形腫瘍がある患者のリンパマッピング中に、皮膚組織におけるリンパ節の蛍光イメージングおよびリンパ管の描写のために用いられてもよい。固形腫瘍については、この手順は手術中管理のコンポーネントである(例えば、メラノーマ)。例えばSPY(登録商標)エリートおよびSPY-PHIポータブルハンドヘルドイメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光イメージング剤、例えばICG、を用いることにより、リンパマッピング中に手術中蛍光イメージングを行うことができる。
【0112】
ある態様では、間質投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、四肢の一次および二次リンパ浮腫のリンパ管造影中のリンパ節の蛍光イメージングおよびリンパ管の描写のために用いられてもいよい。例えばSPY(登録商標)エリートおよびSPY-PHIポータブルハンドヘルドイメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光イメージング剤、例えばICG、を用いることにより、リンパマッピング中に手術中蛍光イメージングを行うことができる。
【0113】
ある態様では、血管内投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、血管および/または臓器移植手術中の血流および組織灌流の蛍光イメージングのために用いられてもよい。SPY(登録商標)エリート、LUNAおよびSPY-PHI蛍光イメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光イメージング剤、例えばICG、を用いることにより、手術中蛍光イメージング(例えば、血管造影)を行うことができる。
【0114】
ある態様では、血管内投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、一般的な最低侵襲的手術を含む血管、胃腸、臓器移植、整形、マイクロ、および/または再建手術中の血流および組織灌流の蛍光イメージングのために用いられてもよい。SPY(登録商標)エリート、LUNA、SPY-PHIおよびPINPOINT(登録商標)蛍光イメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光イメージング剤、例えばICG、を用いることにより、手術中蛍光イメージング(例えば、血管造影)を行うことができる。
【0115】
ある態様では、血管内投与によって、蛍光イメージング剤、例えばICG、は、胆管の蛍光イメージングのために、手術中胆管造影の間に用いられてもよい。PINPOINT(登録商標)蛍光イメージングシステム(Novadaq Technologies Inc.から入手可能)で蛍光イメージング剤、例えばICG、を用いることにより、そのようなイメージングを行うことができる。
【0116】
ひとつ以上の実施の形態は、例えば本明細書に記載のイメージングシステムおよび方法で用いられる蛍光イメージング剤を指向する。ひとつ以上の実施の形態では、その使用は、血流イメージング、組織灌流イメージング、リンパイメージング、またはそれらの組み合わせを含んでもよく、それらは侵襲的手術、最低侵襲的手術、非侵襲的手術、またはそれらの組み合わせ中に生じてもよい。蛍光剤は本明細書で説明されるキットに含まれてもよい。
【0117】
ひとつ以上の実施の形態では、前記侵襲的手術は、心臓関連手術または再建手術を含んでもよい。前記心臓関連手術は、心臓冠動脈バイパス(CABG)手術を含んでもよく、それはオンポンプおよび/またはオフポンプであってもよい。
【0118】
ひとつ以上の実施の形態では、前記最低侵襲的手術または前記非侵襲的手術は、傷治療手術を含んでもよい。
【0119】
ひとつ以上の実施の形態では、前記リンパイメージングは、リンパ節、リンパ節ドレナージ、リンパマッピング、またはそれらの組み合わせの特定を含んでもよい。前記リンパイメージングは前記女性の生殖システムに関してもよい。
【0120】
本明細書で説明される方法およびプロセスは、コンピュータやプロセッサやマネジャーやコントローラによって、またはハードウエアや他の回路で実行されるコードまたはインストラクションによって実行されてもよい。方法(またはコンピュータ、プロセッサまたはコントローラの動作)の基礎をなすアルゴリズムが詳細に説明されたので、方法の実施の形態の動作を実装するためのコードまたはインストラクションはコンピュータ、プロセッサまたはコントローラを、本明細書で説明される方法を実行するための専用プロセッサへと変換してもよい。
【0121】
また、他の実施の形態は、上述のコードまたはインストラクションを保持するための、例えば非一時的コンピュータ可読媒体などのコンピュータ可読媒体を含んでもよい。コンピュータ可読媒体は、揮発性もしくは不揮発性メモリまたは他のストレージデバイスであってもよく、それはコンピュータ、プロセッサまたはコントローラに取り外し可能または固定的に結合されていてもよく、コンピュータ、プロセッサまたはコントローラは本明細書で説明された方法の実施の形態を実行するためにコードまたはインストラクションを実行するものである。
【0122】
ある変形例では、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列は複数の別個のイメージフレーム(例えば、蛍光イメージフレーム)、または別個のフレームを表すデータを含み、それらは取得時刻で順番に並べられている。例えば、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列は蛍光イメージングシステムを用いて取得されうる。そのシステムでは、対象は作業の直前にICGの静脈投与を受け、組織がICGの励起波長の光で照らされ、一方で色素がターゲット組織を通過する際にその色素から得られる蛍光放射が画像化される。蛍光イメージは続いて、一連の別個のフレーム、または別個のフレームを表すデータ(例えば、圧縮動画)として格納され、それらはその取得時刻で順番に並べられている。
【0123】
ある態様では、時系列の別個のイメージフレームは空間的に整列しているか登録されている。例えば、蛍光イメージの典型的な時系列および/または蛍光イメージの対象時系列は二分間から三分間の長さで記録されてもよく、その間の対象のある程度の動きは避けられない。その結果、同じ解剖的特徴が、イメージ時系列取得期間中の異なる時刻に取得されたイメージフレーム内の異なる位置に現れうる。そのようなズレは後の解析においてエラーを導入しうる。後の解析では、各ピクセルまたはピクセルのグループの蛍光レベルが経時的に追従される。エラーを低減することを助けるため、生成されたイメージフレームは互いに空間的に整列(登録)してもよい。ある態様では、イメージ登録または整列は、あるイメージからの点を第2イメージ内の相同点へ写す空間変換を決定するプロセスを指す。
【0124】
イメージ登録は繰り返しプロセスであってもよい。例えば、例示的な実施の形態によると、イメージ登録は以下のコンポーネントの集合のうちのひとつ以上を用いてもよい:二入力イメージ、変換、指標(metric、メトリック)、補間器、および最適化器。変換は、固定イメージ空間を動的イメージ空間へ写す。パラメータ空間を探索するのに最適化器が要求される。Insight Segmentation and Registration Toolkit (ITK) (http://itk.org/)ベースの変換の実装を、メトリックの最適値の探索において用いてもよい。メトリックは二つのイメージが互いにどの程度良くマッチするかを比較する。最後に、補間器は、非グリッド位置において、動的イメージの強度を評価する。蛍光イメージの時系列全体を整列させるため、解析に含まれるフレームの全てについてこの手順が実行される。コンポーネントは入力系列フレームの範囲を通じてループし、ベースライン修正のために背景イメージを減算し、ノイズ低減フィルタを適用し、次いでイメージの連続する組を登録する。
【0125】
ある変形例では、蛍光イメージの複数の時系列および/または蛍光イメージの対象時系列のデータはイメージデータを含み、また生データ、未処理データまたはそれらの組み合わせを含んでもよい。ある変形例では、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列は、例えば選択されたデータを抽出するよう、ベースライン強度を計算するよう、画質向上プロセスを行うよう、またはそれらの組み合わせを行うよう、前処理される。
【0126】
例えば、選択されたデータの抽出は、イメージ時系列データから所定のデータを見つけるおよび除くためのクロッピングを含む。例えば、対象の蛍光イメージング作業中に、オペレータは蛍光イメージング剤がターゲット組織に届くかなり前に蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列を記録し始めるかもしれない。その結果、蛍光イメージの時系列は最初の方にかなりの数の「暗い」フレームを有するかもしれず、したがって、意味のあるデータを含まないフレームのための不必要な計算時間が追加されうる。この問題を軽減するため、クロッピングを用いることで蛍光イメージの時系列の最初の方からそれらの「暗い」フレームを除くことができる。加えて、蛍光イメージング剤(例えば、ICG)が対象に投与される場合、イメージング剤がターゲット組織を通過する際のイメージング剤からの蛍光信号は典型的には一連のフェーズを経る:イメージング剤が動脈血管を通じて組織に入る際の蛍光強度の急速な増大、その次に、イメージング剤が毛細血管系を通過する際の安定的な蛍光の期間、その次に、イメージング剤の静脈的流出に起因する蛍光強度のゆっくりとした減少、その次に、血管系の内側面に保持されていたイメージング剤が血流内に放出される際の残留蛍光の期間。この最後の「残留」フェーズは数分間続きうる。それは、血流を直接的に示すものではなく、意味のある灌流情報を提供するものではない。したがって、クロッピングを用いることで残留フェーズを見つけて、後の解析ステップから除くことができる。
【0127】
ある態様では、前処理はベースライン強度の計算を含んでもよい。例えば、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列が蛍光イメージングシステムによって生成されているとき、カメラノイズ、熱ノイズ、および/または以前の投与からの残留蛍光色素の存在などの種々の外的要因が、記録される系列の蛍光に寄与しうる。そのような要因の解析に対する影響を最小化するために、系列ごとにベースライン強度を計算してもよく、データの解析をそれにしたがって調整してもよい。
【0128】
ある態様では、前処理は画質検証プロセスを含んでもよい。例えば蛍光イメージの時系列の取得が始まったのが遅すぎて、最初のフレームが取得された時には既にイメージング剤がターゲット組織の通過を始めてしまっている実施の形態において、そのようなプロセスは開始輝度テストを含んでもよい。このシナリオでは、灌流開始に関する情報が失われているので、蛍光イメージの時系列を信頼性高く解析したり処理したりすることはできない。その結果、そのような系列データは拒否されるであろう。
【0129】
ある態様では、画質検証プロセスは輝度変化テストを含んでもよい。例えば、蛍光イメージングシステムがイメージ取得中に突然動かされたり、視野に異物が現れたり、系列が取得されている最中に外部ソースからの光がシーンを照らしたり、といった状況においてそのようなテストが用いられてもよい。これらのイベントの全てが後の解析の結果を大幅に歪めうる。したがって、そのようなテストにかかった蛍光イメージの時系列は検証手順に失敗する(さらなる処理について不適切であると特定される)。例示的な実施の形態によると、輝度変化テストは、蛍光イメージの時系列に含まれる隣接するフレームの平均強度間の差の計算と、それを選択された強度差しきい値と比較することと、を含む。検証に合格するためには、全ての連続するフレームの強度の差が、選択された強度差しきい値によって指定されるリミット内になければならない。
【0130】
ある態様では、画質検証プロセスは、蛍光イメージの時系列の取得が時期尚早に停止されたか否かをチェックするための強度ピーク位置テストを含んでもよい。例えば、強度ピーク位置テストは、組織を通じた色素ボラース通過の全てのフェーズをカバーするのに十分な数のフレームが取得されたことを確かなものとする。例示的な実施の形態によると、蛍光強度ピーク位置テストは、最大の平均蛍光強度を伴うフレームを見つけることと、それが蛍光イメージの時系列の最後のフレームでないことを確かめることと、を含む。この条件が満たされない場合、それは、蛍光強度値がその最大にまだ達しておらず、したがってそのような蛍光イメージの時系列がさらなる解析に適していないこと、を強く示す。
【0131】
ある態様では、画質検証プロセスはさらに、最大蛍光強度テストを含んでもよい。このテストの目的は、イメージが暗すぎる(ピクセルの大部分が所定のしきい値を下回る)か過飽和している(ピクセルの大部分が所定の飽和しきい値を上回る)ような蛍光イメージの時系列をフィルタリングすることである。
【0132】
組織表面の曲がり、イメージ取得作業中の過度な動き、暗いイメージまたは過飽和イメージ、撮像領域内の異物、および外からの光やシェーディングは、蛍光イメージの時系列および/または蛍光イメージの対象時系列の質に影響を与えうるので、そのようなイメージデータの後の処理にも影響を与えうる。これらの問題を軽減するため、よく構築されたイメージングプロトコルおよびそのような問題を最小化するよう設計された蛍光イメージングシステムを用いてもよい。
【0133】
ある態様では、データは、例えばデータ圧縮、主成分分析、自己符号化、またはこれらのアプローチの組み合わせもしくは既知の他の前処理を適用することによって前処理されてもよい。前処理は、データのタイプおよび/またはイメージングアプリケーションによって変わりうる。ある態様では、前処理は、係数、空間的位置、発現時刻、紅潮までの時間、最大蛍光強度、血液流入、血液流出、またはそれらの組み合わせの算出を含んでもよい。
組織の臨床的特徴付けに関するデータの属性
【0134】
図1に示されるように、説明される方法は、組織の臨床的特徴付けに関する、データ(例えば、蛍光イメージング導出データ)のひとつ以上の属性を特定することを含む。ある態様では、蛍光イメージの複数の時系列のデータのひとつ以上の属性(例えば、
図1の114)は、蛍光イメージの時系列における複数のサブ領域または計算領域の複数の時間-強度曲線を含む。各時間-強度曲線は、蛍光イメージ内の対応するサブ領域または計算領域に対応する。ある変形例では、サブ領域または計算領域のうちの少なくともひとつはイメージ要素であってもよく、そのようなイメージ要素は、例えば、単一ピクセルまたはピクセルのグループ、ボクセルまたはボクセルのグループ、または蛍光イメージの時系列中に空間的に規定される他のエリアまたはボリュームである。各サブ領域または計算領域のサイズは他の全てのサブ領域または計算領域のサイズと同じであってもよく、または他の全てまたはいくつかのサブ領域または計算領域のサイズと比べて異なっていてもよい。ある変形例では、ひとつ以上のサブ領域または計算領域の境界および/または分布は所与のものであってもよい(例えば、各ピクセルまたはボクセルについてひとつの計算領域、または2×2ピクセルのグループまたは2×2×2ボクセルのブロックについてひとつの計算領域)。他の態様では、ひとつ以上のサブ領域または計算領域の境界および/または分布は医療者などのユーザによって決められてもよい。
【0135】
複数のサブ領域または計算領域のうちのいくつかまたは全てのそれぞれについて、別個の時間-強度曲線が生成されてもよい。
図2Aおよび2Bに模式的に示されるように、特定のサブ領域または計算領域210(
図2A)に対応する所与の時間-強度曲線212(
図2B)は、そのサブ領域または計算領域において組織の蛍光イメージの時系列に亘って(すなわち、時間と共に)観測された蛍光信号の強度を記述する。ある態様では、時間-強度曲線は、全てのフェーズ(例えば、血管造影アプリケーションにおける動脈、毛細血管、静脈および残留)、あるフェーズまたはフェーズの組み合わせの部分集合、全てのフェーズの部分集合、またはそれらからの派生(例えば、ピクセルごとのまたはボクセルごとの、蛍光強度の変化に伴う第1および第2時間微分に基づく判定を含む)を記述してもよい。組織の蛍光イメージを生成する蛍光イメージングシステムに実装されたプロセッサ、または蛍光イメージを生成する蛍光イメージングシステムから離れたプロセッサ、が時間-強度曲線の全てまたはいくつかを生成してもよい。
【0136】
ある態様では、
図2Bに示されるように、時間-強度曲線212は、強度増大領域、ピーク強度領域、平坦領域、強度減少領域、またはそれらの組み合わせを含む。蛍光イメージング(例えば、蛍光血管造影)のコンテキストにおいて、
図3に示されるように、時間-強度曲線312は組織を通じた蛍光イメージング剤(例えば、蛍光色素)ボラースの通過を一連のフェーズとして表してもよい。一連のフェーズは、動脈フェーズ、毛細血管フェーズ、静脈フェーズ、残留フェーズ、またはそれらの組み合わせである。
【0137】
時間-強度曲線(またはその一部)の形状、時間-強度曲線の下の面積、またはそれらの組み合わせは、対象の組織内の蛍光イメージング剤の分布、組織内の血流、またはそれらの組み合わせを示すものであってもよい。あるアプリケーションでは、対象の組織内のイメージング剤の分布は、組織の特性、組織の状態(例えば、炎症、悪性腫瘍、異常、疾病)またはそれらの組み合わせを表す。
【0138】
ある態様では、蛍光イメージの複数の時系列のデータのひとつ以上の属性は(例えば、
図1の114)、蛍光イメージの時系列における複数のサブ領域または計算領域についての、本明細書で説明される時間-強度曲線、係数、空間的位置、発現時刻、紅潮までの時間、最大蛍光強度、血液流入、血液流出、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。さらなる態様では、蛍光イメージの複数の時系列のデータのひとつ以上の属性は、隣接ピクセルの寄与(例えば、統計的性質)、空間および時間における強度勾配、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。
【0139】
ある変形例では、蛍光イメージの複数の時系列(例えば、112)は、健常対象、健常対象の個体群、対象のターゲット組織内の健常組織領域、対象のターゲット組織外の健常組織領域、そのような代替物のうちの二つ以上の組み合わせ、またはある変形例では蛍光イメージの時系列における背景を考慮に入れたそのような代替物のさらなる組み合わせ、から導出されてもよい。さらに、蛍光イメージの時系列(例えば、112)は、特定のモダリティ(例えば、糖尿病などの全身状態)、状態、臨床コンテキスト、またはこれらのファクタの組み合わせに特定的であってもよく、そのなかで組織(例えば、傷組織)が評価されている。
データのクラスタへの分類
【0140】
図1に示されるように、方法は、同じクラスタ内のデータ同士が異なるクラスタ内のデータ同士よりも互いに似ているものとなるように、データのひとつ以上の属性に基づいて、データを、複数のクラスタへ分類すること116であって、クラスタが組織を特徴付ける、分類すること116を含む。データが分類される先のクラスタの数は、特定のアプリケーションに対して最適化され決定されてもよい。ある態様では、データの複数のクラスタへの分類は、データを選択された数のクラスタ(例えば、10以下のクラスタ)に分類することを含む。
【0141】
ある態様では、蛍光イメージの複数の時系列のデータが受信されると、データの特徴ベクトルが選択され、各特徴ベクトルはデータのひとつ以上の特徴を特徴付け、特徴ベクトルを含むデータセットが生成されてもよい。例えば、選択されたイメージングモダリティ(または複数のモダリティ)(例えば、慢性傷、急性傷、褥瘡)について、選択された解剖学的特徴(例えば、足、かかと、向こうずね、胸部等)について、またはそれらの組み合わせについて、ユーザは広範囲の組織状態(例えば、傷)およびその異なるステージをカバーする複数の代表的フィールドシーケンス(例えば、約3-5)を選択してもよい。例えば、組織の蛍光イメージの時系列において、全てのフィールドシーケンスが三次元データ(二つの空間次元およびひとつの時間次元)として扱われうるので、時間次元を利用し、個々のピクセルの強度対時間曲線(時間-強度曲線)を、データセットを生成するための特徴ベクトルとして用いることができる。このアプローチは、機械学習アルゴリズムを用いる従来の技術により課される「ビッグデータ」要件を克服することを容易にする。例えばSPY(登録商標)蛍光イメージングシステム、SPY-PHI蛍光イメージングシステム、PINPOINT(登録商標)蛍光イメージングシステム、およびLUNA(登録商標)蛍光イメージングシステムは全てNovadaq Technologies Inc.から入手可能であって、これらのような蛍光イメージングシステムはフレームのシーケンスを記録し、各シーケンスは数多くのピクセルを生成することができる。その結果、個々全てのピクセル(または本明細書で説明されるような計算領域)はデータセットの単一のサンプルを表す一方、その時間に亘る強度値は特徴ベクトルを構成する。したがって、データセットは
図3Bに示される強度対時間曲線の集合を含む。ある態様では、
図3Cに示されるように、データセットは、異なる訓練シーケンスからのピクセルエントリを組み合わせて単一の行列にすることによって生成されてもよい。
【0142】
蛍光イメージングの時系列から導出されるデータの解釈および処理においては、例えば時間強度曲線が組織の臨床的特徴付けに関する属性として選択され、そのような解釈および処理における困難のひとつは、時間強度曲線を分類する正確で統一的な方法を見つけることである。組織を通じた血流および/または灌流のダイナミクスがその生存可能性および治癒可能性に直接的に関与していることは、この分野では知られている。その結果、観測された数多くの強度対時間曲線において何が意味のある差ないし差分を表すのか、また何がノイズとして無視できるのか、を確立することが望ましい。本明細書で説明される方法およびシステムは「人間によるファクタ(human factor)」を除去し、したがって被撮像組織の健康状態に高度に相関するようである血流および/または灌流パターンの特定をより容易にする。
【0143】
ある態様では、アルゴリズムを用いてクラスタを分類し、このアルゴリズムは、同じクラスタ内のアイテム同士が異なるクラスタからのアイテム同士よりも互いに似ているものとなるように、データにおける自然なグループ化を見出すことを容易にする。分類は、例えば、データセットをピクセル曲線のいくつかの異なるカテゴリに分け(例えば、
図3D)、続いて、各データサンプルにそれに適切なラベルを割り当てることを含む。それを達成するために、既知の教師無し学習クラスタ化(パーティション化)アルゴリズム、例えばk平均++、が用いられてもよい。さらなる態様では、k平均の代わりに、Density-based Spatial Clustering of Applications with Noise(DBSCAN)または階層的クラスタ化(塊的または分裂的)などの他のクラスタ化アルゴリズムが用いられてもよい。ある態様では、各クラスタは重心によって表されてもよい(例えば、
図3E)。二次元散布図は曲線を示さないが、むしろ、それらの役割は可視化の助けのみである。アプリケーションに応じて、そのようなクラスタ化技術のひとつ以上が用いられてもよい。例えば、まず階層的クラスタ化方法を用いて対象を異なる複数の属性に分け、次いでそのような対象から導出された灌流データに密度ベースのクラスタ化を適用してもよい。
【0144】
教師無し学習の困難のひとつは、それがデータセット内のラベルを用いないことであり、これは教師付き学習アプローチとは異なっており、ラベルを用いるとモデルの性能の評価が可能となる。したがって、クラスタ化の質を定量化するために、生来的測度を用いることで、異なるk平均クラスタ化のパフォーマンスを比較することができる。グラフィカルなツールを用いること(例えば、いわゆるエルボー法)で、所与のタスクに対する最適なクラスタの数kを見積もることができる。kが増えると、サンプルがそれに割り当てられている重心により近くなるので、歪みは減少するであろう。エルボー法に通底するアイデアは、異なるkの値に対して歪みをプロットすることによって明らかになるように、歪みが最も急に増大し始めるkの値を特定することである。これは例えば
図3Fに示されており、そこでは、曲線クラスの最適な数が何であるかを決定するために、1から10のクラスタ数の範囲について累積分類誤差(歪み)が計算され、容易に見て分かるようにグラフとしてプロットされる。
図3Fのグラフは、5-6クラスタに到達した後、歪み曲線が平坦になることを示す。したがって、この特定の例示的なデータコンテキストにおいては、ピクセルベースの強度対時間曲線の全てはおおよそ7つの異なるカテゴリにグループ化され、それで全体的な正確さに与える影響は最小であるという推論が得られうる。
【0145】
クラスタの最適数の決定の後、この数を入力パラメータとして用いることで、再び、訓練セットにアルゴリズムが適用されてもよい。アルゴリズムの出力は訓練されたモデルであり、該モデルは、訓練データセットで用いられた特徴ベクトルと同じ属性を備える任意の特徴ベクトルのラベル(すなわち、クラスタID)を予測することができる。モデルはまた、ラベル付けに用いられた重心を出力するようポーリングされてもよい。訓練されたモデルの生成に成功した後、それは新たなシーケンスにおけるピクセル曲線にラベル付けするために用いられてもよく、したがって、被撮像組織における曲線分布を表す偽色空間マップ(クラスタ)を生成することを容易にすることができる。
分類されたクラスタからの、組織についての臨床関連情報の導出
【0146】
ある態様では、クラスタ自身が組織についての有益な情報を提供してもよい。例えば、クラスタが、クラスタの空間的分布、クラスタの性質、クラスタデータ、またはそれらの組み合わせに基づいて、組織を特徴付けてもよい。ある態様では、クラスタの性質がクラスタの形を含む。
【0147】
ある態様では、分類されたクラスタは空間マップ116a(
図1)に変換されてもよく、その空間マップはクラスタの分布を示し、それにより、蛍光イメージの時系列におけるサブ領域または計算領域の間の任意の相対的差分を可視化し、蛍光イメージの時系列における複数のサブ領域の間の、血流、灌流パターン、またはそれらの組み合わせの差分を表す。したがって、分類されたクラスタは、組織の臨床的特徴付けに関する、データのひとつ以上の特定された属性に対して、被撮像組織の異なる部分の間の相対的差分を示してもよい。これは、客観的で理解容易な態様で、組織の異なる特性(例えば、生理学的特性)をハイライトすることを容易にしてもよい。後に詳述されるように、その結果、分類クラスタは、より効果的で統一的な臨床評価および意思決定を促進しうる。
【0148】
ある態様では、クラスタの重心値はグレースケールまたはカラースケールの値にマッピングされてもよく、例えば、8ビットグレースケール表示値(例えば、0から255)にマッピングされてもよく、それにより、重心のグレースケールイメージ表現が可能となる。ある態様では、視覚的な受け取られ方を最適化するために、適切にコントラストを与える色(例えば、偽色や疑似色)で表現される異なるグレースケール値範囲を伴う色スキームが、グレースケールイメージ表現に適用されてもよい。重心を空間マップイメージ116aのピクセル値へ変換するために他のスケールが追加的または代替的に適用されてもよく、この場合、ピクセル値の差分は、そこからデータが導出される被撮像組織の異なる領域間の相対的差分を反映する。
【0149】
さらなる態様では、分類されたクラスタのデータは、描画的および数学的特徴付け、特定のクラスタラベルを伴う曲線の割合の計算、例えばヒストグラム、ラベルについての標準偏差、またはそれらの組み合わせを含む空間マップ(クラスタマップ)ビルトについての統計計算を含む他の形態にコンパイルされてもよい。ある態様では、重心自体が特定の臨床状態(例えば、静脈閉塞)を表してもよく、医療従事者によって、特定の重心とそのデータとが相関する特定の対象の臨床状態を診断するために用いられてもよい。
クラスタの空間マップの表示および他のステップ
【0150】
ある態様では、
図1に示されるように、方法は、ディスプレイに空間マップイメージ116bを表示することをさらに含んでもよい。例えば、空間マップイメージは、蛍光イメージングシステムのビデオモニタ上のユーザインタフェース内または他の適切なディスプレイに表示されてもよい。空間マップイメージはそれだけで表示されてもよいし、他のイメージ(例えば、解剖イメージが重ねられて、または解剖イメージに重ねるようにして)または他のデータと組み合わせて表示されてもよい。そのような他のデータは例えば、対象および/または対象の個体群の特定の臨床コンテキストを提供する、その対象または対象の個体群の全身状態や局所状態に関してもよい。そのような状態は併存症状態を含んでもよく、併存症状態は例えば高血圧、脂質異常、糖尿病、慢性閉鎖性肺疾患、冠動脈疾患、慢性腎臓病、またはそれらの組み合わせを含む。ある態様では、以下にさらに説明されるように、空間マップイメージは、対象、対象の個体群、組織、またはそれらの組み合わせに関する他のデータやメタデータと共に表示されてもよい。
【0151】
ある態様では、方法はさらに、クラスタおよび/または空間マップと、臨床関連(例えば、組織灌流関連)状態のリスク評価と、を相互に関連付けることを含んでもよい。そのような評価は、介入前に、治療/作業中に、および介入後に、行われてもよい。方法はまた、介入前に、治療/作業中に、および介入後に、対象の臨床関連(例えば、組織灌流関連)状態を特定して特徴付けるための診察を、クラスタに基づいて、定義することを含んでもよい。他の態様では、方法は相関ステップおよび診察ステップを除いてもよい。
蛍光イメージの対象時系列または対象の組織の他のデータの特徴付けのためのクラスタの使用
【0152】
ある態様では、方法はさらに、分類されたデータに基づいて機械学習モデルを訓練することを含んでもよい。ある態様では、機械学習モデルが教師付き機械学習アルゴリズムで訓練されてもよい。
図1に示されるように、クラスタ化に続いて、方法はさらに、対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信すること118と、蛍光イメージの対象時系列における複数のサブ領域のそれぞれを、対応するクラスタと、関連付けること120と、蛍光イメージの対象時系列において複数のサブ領域に関連付けられたクラスタに基づいて、対象空間マップを生成すること122と、を含んでもよい。
【0153】
対象空間マップの生成は、空間マップ116aの生成に関連して上述されたものと同様の方法で行われてもよい。例えば、対象空間マップを生成することが、蛍光イメージの対象時系列における各サブ領域に、強度値および色のうちの少なくともひとつを、関連付けられたクラスタに基づいて、割り当てることを含んでもよい。
【0154】
その強度/色値の広範な連続的範囲を伴う蛍光イメージの対象時系列の未処理データとは異なり、対象空間マップ(例えば、
図1の122、
図4の422)は、高度に構造化された離散的パラメータ集合に基づく。その結果、イメージ分類のタスクにおいてよく用いられる訓練された神経回路網によって、臨床的に関連する流れのパターンおよび/または灌流パターンをより容易に検出することができる。対象空間マップによって明らかになった流れのパターンおよび/または灌流パターンは、そうでなければ人間の観察者には分からなかった種々の臨床状態を予測することができる。特別に設計された神経回路網を、入力としての巨大な数のラベル付き対象空間マップに対して訓練することにより、被撮像組織における臨床関連状態を自動的に特定することができる予測機械学習フレームワークを確立することができる。例えば、情報ベース学習(決定木およびそのアンサンブル)、類似性ベース学習(k近傍法)、確率ベース学習(ベイジアンネットワーク)、誤差ベース学習(ロジスティック回帰分析、サポートベクタマシン、人工的神経回路網)、またはそれらの組み合わせを含む、種々の学習モデルを、組織の予測解析(例えば、傷治癒期間予測因子)のために用いてもよい。
【0155】
ある態様では、例えば
図4に示されるように、例示的な方法400は臨床データを予測するために用いられてもよく、方法400は、関連付けられたクラスタに基づいて対象空間マップを生成すること(例えば、
図4のステップ410からステップ422であり、これらは総じて
図1のステップ110からステップ122に対応してもよい)と、各対象空間マップに関連付けられたメタデータを受信すること424と、各対象空間マップおよびそれに関連付けられたメタデータをデータベースのレコードに格納すること426と、を含む。方法はさらに、予測モデルを生成するために、データベースのレコードを、機械学習アルゴリズム、例えば教師付き機械学習アルゴリズム、の入力として用いること428を含んでもよい。
【0156】
ある態様では、メタデータが、臨床データ、非臨床データ、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。臨床データは、例えば、対象の健康状態の履歴(例えば、合併症や喫煙など)、対象のバイタル統計(例えば、血圧、体温など)、組織異常の診断、傷の予測治癒期間、提案された治療プラン、傷のサイズ/形に関連付けられた機械的測度、肉芽組織形成の存否および特性、傷および/または傷の周囲の酸素負荷状態、傷および/または傷の周囲の感染状態、またはそれらの組み合わせ、を含んでもよい。非臨床データは、対象の年齢、財産、訪問番号、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。ある態様では、メタデータは他のファクタに対して重み付けされてもよい(例えば、各パラメータの重要度に依存して)。さらに、ある態様では、適用される重み付けは、各入力がよりよく理解されるように変更されてもよい。
【0157】
ある態様では、
図5Aの例示的方法500で説明されるように、方法は臨床データを予測するために用いられてもよい。方法500は、対象の蛍光イメージの対象時系列のデータを受信すること510であって、このデータが上述の種々の態様との関連で説明されたように生成され処理されてもよい、受信すること510と、上述の方法にしたがい生成される予測モデルを用いること512により、対象の蛍光イメージの対象時系列に関連付けられた臨床データを予測すること514と、を含んでもよい。
図5Bは、データベースまたはレジストリの生成のために、そしてさらに神経回路網分類モデルの生成のために、対象のメタデータと組み合わせて、本明細書で説明される種々の方法にしたがい生成される空間マップの使用を図で示す。したがって、
図5Cに模式的に示されるように、新たな対象は以下のようにして評価されてもよい。すなわち、イメージング中に、評価されている組織の蛍光イメージの対象時系列を生成し、本明細書で説明されたように対象空間マップを生成し、そのようなマップをデータベースまたはレジストリに格納し、マップから導かれる種々のデータ(例えば、マップにおける各クラスタの割合、その平均/メジアン/標準偏差、マップヒストグラム、またはそれらの組み合わせなどのマップから導かれる統計データ)を格納し、ここで、それらのうちのひとつ以上は以前に生成/訓練された分類神経回路網モデルへの入力として用いられてもよく、次いで、医療従事者による考慮のための可能性のある予測出力(例えば、診断)を提案し、医療従事者による診断の促進を助ける。種々の実施の形態では、そのようなシステムは診断を提供することはなくむしろ可能性のある提案される出力を提供するものであるが、他の態様ではそのようなシステムは診断を提供する。種々の他の態様では、そのようなシステムは、診断を容易にするために用いられるのではなく、むしろ、空間マップのデータベースやレジストリ、空間マップから導かれるデータ、またはそれらの組み合わせを作るために用いられる。データベースやレジストリは、例えば、組織のタイプ、モダリティ、臨床状態によって整理されたデータを含んでもよく、そのようなデータは、ユーザ(例えば、医療従事者)によってアクセスされた場合、診断を容易にすることを助ける。
【0158】
したがって、ある態様では、
図6の例示的方法600で説明されるように、対象の組織を特徴付けるための方法は、蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信すること612と、データの特徴ベクトルを選択することであって、各特徴ベクトルがデータのひとつ以上の特徴を特徴付ける、選択すること614と、特徴ベクトルを含むデータセットを生成すること616と、データセットを分類することでラベル付きデータセットを生成すること618と、複数の重心を生成すること620と、を含んでもよい。ある態様では、出力される重心はさらに、上述されたように、新たな対象のデータについての空間(クラスタ)マップを作成するために用いられてもよい。対象の組織を特徴付けるための方法のさらなる態様は、複数のデータエントリのひとつ以上の特徴を特徴付ける複数の特徴ベクトルを含む訓練データセットを受信することであって、各データエントリが蛍光イメージの訓練時系列における訓練サブ領域の時間-強度曲線の少なくとも一部である、受信することを含んでもよい。
【0159】
ある態様では、組織は例えば、健常組織、非健常組織、傷組織またはそれらの組み合わせを含んでもよい。傷は組織に対する慢性創傷や急性創傷のいずれかの種類を含んでもよく、そのような創傷は例えば切開、褥瘡、静脈潰瘍、動脈潰瘍、糖尿病性下肢潰瘍、裂傷、擦過傷、刺し傷、挫傷、剥離、腔、火傷、それらの組み合わせ、および/または同様のものである。さらに、傷は種々の外傷的出来事および/または医療状態のうちのひとつ以上により引き起こされてもよい。そのような外傷的出来事および/または医療状態は、例えば、圧挫創、戦傷(例えば、被弾/爆発)、または壊疽、炎症、静脈鬱血、リンパ浮腫などから生じる傷であってもよい。
【0160】
傷管理におけるひとつの課題は、例えば医療者の技術、経験に依存して、医療状態または傷の性質に対する見方が医療者により異なりうることである。従来、傷管理技術は傷の病理的履歴についての情報を提供しうるが、生存度および/または回復の見込みの信頼性の高いインジケータ(例えば、傷および/またはその周辺が余病を生じさせる可能性があるか否か、治癒可能か否か、治癒がどのように進むか、および施された治療が効果的か否かおよびその治療をいつ止めることができるか)を提供することはできない。さらに、従来技術による病理学が論証できない傷も存在する。
【0161】
従来、これらの課題のいくつかを解決しようとする試みのなかで、ある蛍光イメージング技術は、視覚的な表示を提供することに加えて、傷内およびその周りの血流および/または灌流を数値的に特徴付けるためのメトリクスを動画データから生成することができ、したがって、組織血流および/または灌流状態を評価する際の主観性および認識の偏りを低減しようとしている。しかしながら、そのような数値的特徴付けには、傷治癒の下にある生物学的メカニズムの理解は与えられていない。該メカニズムは、医療者が医療的に意味のある評価を行うことを可能とする情報を運ぶために必要である。より具体的には、傷治癒プロセス中の血流および/または組織灌流ダイナミクスの理解は、そのようなイメージデータが傷治癒状態の正確な解釈を生み出すために有益であろう。既存の蛍光イメージング技術はそのような知識を組み入れておらず、また血流および/または組織灌流を評価するための標準化プロトコルをサポートしておらず、また組織内の血流/灌流の振る舞いの正確な特徴付けおよび分類であって医療者間、患者間、そして複数のイメージングセッション間で十分に整合する特徴付けおよび分類を提供していない。
【0162】
ある態様では、本明細書で説明される方法は、ターゲット組織領域における傷(例えば、傷、傷の周辺)を特徴付けるための医療イメージング技術に関する。本明細書で説明される方法を用いて生成される空間マップおよび/または対象空間マップ(クラスタマップ)は、解釈の簡単さおよび組織を特徴付けることに関する全体的な正確さの両方を体現するが、これは、関連パラメータの主観的な人による選択よりもむしろ測定信号の質に起因する。方法は、関心情報の希薄化を最小化することにより診断力を強化することを提供してもよい。さらに、方法は、ターゲット組織(例えば、傷または傷の周辺)の状態の統一的、客観的表現を提供してもよい。そのような表現は、医療者の認識および/またはスキルのバイアスに影響を受けない。さらに、方法は、対象の傷治癒状態を(例えば、血流および/または灌流に基づいて)、経時的に複数のイメージングセッションに亘って比較、追跡するための、信頼性の高いかつ整合性の高い手法を提供してもよい。したがって、方法は、ターゲット組織領域のより正確で統一的な評価を可能とするだけでなく、医療ケア戦略のターゲット化された形成(例えば、治療の推薦、治療の効き目の監視、治療を止めるべきか/いつ止めるべきかの判断、手術戦略の形成)をも可能としてもよい。最後に、方法はまた、薬に敏感な患者の患者リスクを低減すること、および処置および/または治療の総コストを低減すること、を促進してもよい。
【0163】
種々の実施の形態に係る傷を評価することは、灌流ダイナミクスを評価することを包含する。例えば、本明細書で説明される方法およびシステムは、例えばプラスチック再建手術を行う患者の手術前診断、血管吻合を伴う組織再近置を含む一般的な手術(例えば、皮弁移送、結腸再建等)、または心臓手術中の心臓組織の生存度および機能の評価などの他の医療アプリケーションに適用可能である。さらに、本明細書で説明される方法およびシステムはさらに、例えば組織灌流や組織内におけるイメージング剤の他の動的振る舞いなどの任意の動的プロセスの臨床評価に適用可能である。動的プロセスは、そのプロセスを表す入力データの時系列(例えば、イメージフレーム)から生成されるイメージデータの空間マップによって、表されうる。
【0164】
本明細書に記載の方法を実行し本明細書に記載のシステムを用いることから得られるデータはさらに、ターゲット組織における複数の傷領域を区別することを促進する。この複数の傷領域は、異なるタイムラインにしたがって発展、進行および/または治癒するであろう。
【0165】
追加的に、本明細書では、様々な方法を蛍光イメージの時系列のコンテキストで説明するが、方法は、組織内でのイメージング剤の動的振る舞いに関する時系列として生成される入力データの他のソースに適用可能であり、またターゲット組織が異なる組織特性を有する領域を含む場合の他の医療目的のために適用可能である。例は、励起されたイメージング剤からの蛍光の検出と、イメージング剤に伴う吸収の検出により生成されたイメージの時系列などの入力データの他のソースと、を含んでもよい。
クラスタ、空間マップ、対象空間マップまたはそれらの組み合わせの定量化
【0166】
本発明の方法はさらに、分類されたクラスタ、クラスタから生成された空間マップ、蛍光イメージの対象時系列から生成された対象空間マップ、またはそれらの組み合わせの定量化を含んでもよい。定量化は、マップ内の関心領域について、またはマップ全体について、数値(定量化子)を生成することを含んでもよい。
【0167】
生成された数値は組織(例えば、傷)の定量的表現を提供してもよい。実施の形態によると、数値は組織の活動(例えば、傷活動値)を表してもよい。数値は経時的に追跡されてもよく、これは率および傾きについての情報を導くことを促進するグラフの形で表現されてもよい。数値の経時的グラフ表現は、数値の経時的な変化の評価を容易にし、ある実施の形態では、組織(例えば、傷)の状態または活動の経時的変化を示すものであってもよい。組織の状態または活動の例は、組織の特性、組織の状態、組織の治癒状態(例えば、炎症、悪性腫瘍、異常、疾病)を含む。数値を経時的に追跡することは変化率を追跡することを容易にし、これは例えば組織治癒(例えば、傷治癒)の段階と相互に関連付けられてもよい。時間に亘る数値の追跡はさらに、血管新生および患者が今いる治癒段階と関係してもよい。さらに、数値の経時的変化に関する情報は、高圧酸素療法、負圧療法、または他の既知の傷治療方法などの治療を、治療プロセスを犠牲にせずに止めることのできる時点についての予測情報を提供してもよい。その結果、数値は組織血流および/または組織灌流を評価するための客観的な標準化プロトコルを提供し、これは、評価を実施する医療者に依らずに、対象の血流および/または灌流状態を経時的に複数のイメージングセッションに亘って信頼性高くかつ高い整合性で比較、追跡する方法を促進しうる。ある態様では、例えば、空間マップに存在する曲線の様々な種類のカテゴリ、および/または、空間マップにおけるクラスタの分布に関する統計、もしくは他のパラメータから数値(定量化子)が導出される場合、その数値(定量化子)自体が複雑であり得る。
【0168】
ある態様では、方法はさらに、ディスプレイに数値(定量化子)を表示することを含んでもよい。例えば、数値は、蛍光イメージングシステムのビデオモニタ上のユーザインタフェース内または他の適切なディスプレイに表示されてもよい。ある態様では、数値をそれだけで、または本明細書で説明される方法の他のステップの可視化と組み合わせて用いることで、医療者に提供される情報を強化することができる(これは診断の強化を促進する)。数値はさらに、解剖イメージに重ねられてもよくおよび/または対象に関する他のデータまたは情報(例えば、患者の全身状態)と相互に関連付けられてもよい。例えば、ある態様では、数値はそれだけで、または対象空間マップと組み合わせて、表示されてもよい(例えば、122、422)。他の例として、数値は空間(クラスタ)マップおよび/または他の適切なマップまたはイメージと組み合わせて表示されてもよい。ある態様では、数値と、臨床関連(例えば、灌流関連)状態のリスク評価と、を相互に関連付けてもよい。そのような評価は、介入前に、治療/作業中に、および/または介入後に、行われてもよい。方法はさらに、介入前に、治療/作業中に、および介入後に、対象の臨床関連(例えば、灌流関連)状態を特定して特徴付けるための診察を定義することを含んでもよい。種々の他の実施の形態では、方法は相関ステップおよび/または診察ステップを除いてもよい。
【0169】
例セクションにおいて種々の臨床コンテキストへの応用と共に方法の種々の態様をさらに説明する。
組織を特徴付けるためのおよび/または臨床データを予測するためのシステム
【0170】
ある態様によると、対象の組織を特徴付けるための、および/または臨床データおよび/または成績を予測するためのシステムは、組織のイメージの時系列(例えば、蛍光イメージの時系列)を取得するイメージングシステムと、ひとつ以上のプロセッサと、そこに保持されるインストラクションを有するメモリと、を含み、インストラクションはひとつ以上のプロセッサによって実行されると、システムに、組織を特徴付けるためのおよび/または臨床データを予測するための方法であって実質的に上述された方法を行わせる。
【0171】
ある態様では、本明細書で種々の態様に関連付けて説明されたような、蛍光イメージの時系列/対象時系列を生成するための、および/または対象の組織を特徴付けるための、および/または臨床データを予測するための、システムは、蛍光イメージングシステムである。
図7は、蛍光イメージングシステム710の模式的例である。蛍光イメージングシステム710は、対象の組織を照らすことで対象の組織における(例えば、血中の)蛍光イメージング剤714からの蛍光放射を誘導する光源712と、蛍光放射からの蛍光イメージの時系列および/または対象時系列を生成するよう構成されたイメージ取得アセンブリ716と、本明細書に記載の方法の態様のいずれかにしたがい蛍光イメージの生成された時系列/対象時系列を処理するよう構成されたプロセッサアセンブリ718と、を備える。プロセッサアセンブリ718は、命令を伴うメモリ768と、メモリ768上の命令を実行することで、方法の種々の実施の形態との関連で本明細書で説明されたように蛍光イメージの時系列および/または対象時系列を処理するよう構成されたプロセッサモジュール762と、蛍光イメージの未処理および/または処理済み時系列および/または対象時系列を保持するデータストレージモジュール764と、を含んでもよい。ある態様では、メモリ768とデータストレージモジュール764とは同じ保持媒体に具現化されてもよいし、他の態様では、メモリ768とデータストレージモジュール764とは異なる保持媒体に具現化されてもよい。システムはさらにディスプレイ766を含んでもよく、ディスプレイ766にはイメージおよび他のデータが表示され、表示されるものとしては例えば蛍光イメージまたは他の入力データの時系列/対象時系列のいくつかまたは全て、空間マップ、対象空間マップ、および/または組織数値(定量化子)がある。
【0172】
ある態様では、光源712は例えば照明モジュール720を含む。照明モジュール720は、蛍光イメージング剤714を励起するのに適切な強度および波長を有する励起光を生成するよう構成された蛍光励起源を含んでもよい。
図8に示されるように、照明モジュール720は、対象の組織内の蛍光イメージング剤(不図示)を励起するための励起光を提供するよう構成されたレーザダイオード822(例えば、これは例えばひとつ以上のファイバ結合ダイオードレーザを含んでもよい)を備えてもよい。種々の実施の形態において用いられ得る励起光の他のソースの例は、ひとつ以上のLED、アークランプ、または組織内の蛍光イメージング剤を励起するのに十分な強度および適切な波長の他の照明技術を含む。例えば、血中の蛍光イメージング剤の励起(該蛍光イメージング剤は近赤外線励起および放射特性を伴う蛍光色素)は、DILAS Diode Laser Co, Germanyから入手可能なひとつ以上の793nm、伝導冷却、シングルバー、ファイバ結合レーザダイオードモジュールを用いて実行されてもよい。
【0173】
図7を再度参照すると、ある態様では、光源712からの光出力をひとつ以上の光学要素を通じて投影することで、組織の関心領域を照らすのに用いられている出力を形成しかつ導いてもよい。光学要素は、イメージ取得アセンブリ716の視野の実質的全体に亘る平坦なフィールドが得られるように、ひとつ以上のレンズ、光ガイド、および/または回折要素を含んでもよい。蛍光励起源は、蛍光イメージング剤714(例えば、ICG等)の最大吸収に近い波長で放射するよう選択されてもよい。例えば、
図8に示されるように、レーザダイオード822からの出力824はひとつ以上の収束レンズ826を通過し、例えばNewport Corporation, USAから普通に取得可能なライトパイプなどの均質化ライトパイプ828を通過してもよい。最後に、光は、例えばNewport Corporation, USAから取得可能なすりガラス回折要素などの光学回折要素832(すなわち、ひとつ以上の光学ディフューザ)を通過してもよい。レーザダイオード822への電力は、例えばLumina Power Inc., USAから取得可能な大電流レーザドライバなどによって提供されてもよい。レーザは、オプションで、イメージ取得プロセス中、パルスモードで動作してもよい。ソリッドステートフォトダイオード830などの光学センサは照明モジュール720に組み込まれてもよく、照明モジュール720によって生成される照明強度を、種々の光学要素からの散乱や拡散反射を介してサンプルしてもよい。ある態様では、追加的な照明源を用いることで、関心領域の上でモジュールを整列させ位置決めするときのガイドを提供してもよい。
【0174】
図7を再度参照すると、ある態様では、イメージ取得アセンブリ716は蛍光イメージングシステム710のコンポーネントであってもよく、蛍光イメージング剤714からの蛍光放射から蛍光イメージの時系列および/または対象時系列を取得するよう構成されてもよい。イメージ取得アセンブリ716はカメラモジュール740を含んでもよい。
図9に示されるように、カメラモジュール740は、蛍光放射をイメージセンサアセンブリ944上に集束させるためのイメージングオプティクスのシステム(例えば、946a、946b、948および950)を用いることで、組織内の蛍光イメージング剤からの蛍光放射942のイメージを取得してもよい。イメージセンサアセンブリ944は、少なくともひとつの二次元ソリッドステートイメージセンサを含んでもよい。ソリッドステートイメージセンサは、電荷結合デバイス(CCD)、CMOSセンサ、CIDまたは同様の二次元センサ技術であってもよい。イメージセンサアセンブリ944によって変換された光信号から得られる電荷は、カメラモジュール940内の適切な読み出しおよび増幅エレクトロニクスによって、デジタルビデオ信号およびアナログビデオ信号の両方を含む電子ビデオ信号に変換される。
【0175】
蛍光イメージングシステムの例示的な変形例によると、光源は約800 nm +/- 10 nmの励起波長を提供し、イメージ取得アセンブリは例えばICG蛍光イメージングのためのNIR-コンパチブル光学系と共に>820 nmの放射波長を用いる。例示的な実施の形態では、NIR-コンパチブル光学系は、GigEスタンダードインタフェースを有するCCDモノクロイメージセンサと、光学フォーマットおよび取り付けフォーマット(例えば、C/CSマウント)についてセンサと互換性のあるレンズと、を含んでもよい。
【0176】
ある態様では、プロセッサモジュール762は、例えばタブレットやラップトップやデスクトップやネットワークコンピュータや専用スタンドアローンマイクロプロセッサなどの任意のコンピュータまたは計算手段を含む。例えば、プロセッサモジュール762はひとつ以上の中央演算ユニット(CPU)を含んでもよい。例示的な実施の形態では、プロセッサモジュール762は四つのCPUを伴うクアッドコア、2.5GHzプロセッサであり、各CPUは64ビットマイクロプロセッサ(例えば、INTEL Core i3, i5, または i7, もしくはAMD Core FX シリーズとして売られている)などのマイクロプロセッサである。しかしながら、他の実施の形態では、プロセッサモジュール762は、任意の適切な数のCPUおよび/または他の適切なクロック速度を伴う任意の適切なプロセッサであってもよい。
【0177】
プロセッサモジュール762の入力は、例えば、
図9に示されるカメラモジュール740のイメージセンサ944から、
図8の照明モジュール720のソリッドステートフォトダイオード830から、および/またはフットスイッチまたは遠隔制御などの外部制御ハードウエアのいずれかから、取得されてもよい。出力は、レーザダイオードドライバおよび光学アライメント器に提供される。
図7に示されるように、ある態様では、プロセッサアセンブリ718は、内部メモリ(例えば、ハードディスクやフラッシュメモリ)などの実体的非一時的コンピュータ可読媒体に、イメージの時系列/対象時系列、またはイメージの時系列/対象時系列を表すデータ、または他の入力データを保存する能力を伴うデータストレージモジュール764を有してもよく、それにより取得データの記録および処理が可能となる。ある態様では、プロセッサモジュール762は内部クロックを有してもよく、これにより種々の要素の制御が可能となり、また照明およびセンサシャッタの正しいタイミングが保証される。ある態様では、プロセッサモジュール762はユーザ入力と出力のグラフィカル表示とを提供してもよい。蛍光イメージングシステムはオプションで、蛍光イメージの時系列を、それらが取得されている際または記録の後で再生される際に蛍光イメージの時系列を表示するための、ビデオディスプレイ766または他のモニタを備えてもよい。ビデオディスプレイ766は追加的にまたは代替的に、本明細書に記載の方法の実行中に生成されるデータ、例えば空間マップ、対象空間マップ、および/または組織数値、を可視化してもよい。
【0178】
図7-9に示される例示的なシステムの動作において、関心エリア(例えば、ターゲット組織領域)が光源712およびイメージ取得アセンブリ716の下に置かれるように、対象を蛍光イメージングシステム710に対して配置する。その結果、光源712の照明モジュール720は関心エリアの実質的に全体に亘って実質的に一様な照明フィールドを生成する。ある態様では、対象に蛍光イメージング剤714を投与する前に、背景除去のために関心エリアのイメージが取得されてもよい。蛍光イメージ/対象蛍光イメージを取得するため、蛍光イメージングシステム710のオペレータは、遠隔スイッチまたはフットコントロールを押し込むことで、またはプロセッサアセンブリ718に接続されたキーボード(不図示)を介して、蛍光イメージの時系列/対象時系列の取得を始めてもよい。その結果、光源712がオンされ、プロセッサアセンブリ718は、イメージ取得アセンブリ716によって提供される蛍光イメージデータ/対象蛍光イメージデータの記録を開始する。実施の形態のパルスモードで動作する場合、カメラモジュール740のイメージセンサ944は、照明モジュール720のダイオードレーザ822によって生成されるレーザパルスに続く蛍光放射を集めるように同期される。このようにすることで、最大の蛍光放射強度が記録され、信号対ノイズ比は最適化される。この実施の形態では、蛍光イメージング剤714は対象に投与され、動脈流を介して関心エリアに運ばれる。蛍光イメージの時系列/対象時系列の取得は、例えば、蛍光イメージング剤714の投与の後すぐに開始され、関心エリアの実質的に全体からの蛍光イメージの時系列は蛍光イメージング剤714の入来を通じて取得される。関心領域からの蛍光放射は、カメラモジュール740の収集光学系によって集められる。残留雰囲気励起光および反射励起光は、カメラモジュール740の後続の光学要素(例えば、
図9の光学要素950であってこれはフィルタであってもよい)によって減衰する。その結果、蛍光放射はイメージセンサアセンブリ944によって、他のソースからの光との最小の干渉を伴って、取得されうる。
【0179】
ある態様では、蛍光イメージの時系列/対象時系列の取得または生成の次に、プロセッサアセンブリ718(例えば、プロセッサモジュール762または他のプロセッサ)は、メモリ768に保持される命令を実行し、本明細書に記載のひとつ以上の方法を実行するよう起動されてもよい。システム710はディスプレイ766に、空間マップおよび/または対象空間マップおよび/または医療相関、またはそれから導かれる診察結果、もしくはその両方を可視化してもよく、それらは例えばグレースケールまたは偽色イメージとしてユーザに表示されてもよく、および/または後の利用のために保持されてもよい。追加的にまたは代替的に、システム710はディスプレイ766に、組織数値を表示してもよい。
【0180】
ある態様では、臨床データおよび/または結果を予測するためのまたは組織を特徴付けるためのシステムは、ユーザインタフェースと、ユーザインタフェースと通信するよう構成されたプロセッサと、保持される命令を有する非一時的コンピュータ可読保持媒体と、を備え、命令はプロセッサによって実行された場合、プロセッサに本明細書に記載の組織を特徴付けるためのおよび/または臨床データを予測するための方法のうちのひとつ以上を行わせる。ある態様では、プロセッサはイメージングシステムのコンポーネントであってもよい。他の態様では、プロセッサはイメージングシステムから離れて設けられ、イメージングシステムと通信してもよい。この場合、イメージングシステムは上述の蛍光イメージングシステムであってもよいし、任意の適切なイメージングシステムであってもよい。
【0181】
コンピュータ実行可能(可読)プログラムコードを組み込みの形で有する実体的非一時的コンピュータ可読媒体は命令を提供してもよく、該命令は、ひとつ以上のプロセッサに、その命令を実行するときに、本明細書に記載の組織を特徴付けるためのおよび/または臨床データを予測するための方法のうちのひとつ以上を行わせる。プログラムコードを任意の適切なプログラミング言語で記述可能であり、かつ、多くの形態でプロセッサに提供可能である。そのような多くの形態は、例えば、書き込み不可保持媒体(例えば、ROMやCD-ROMディスクなどのリードオンリーメモリデバイス等)に恒久的に保持される情報や、書き込み可能保持媒体(例えば、ハードドライブ等)に変更可能に保持される情報や、ローカルエリアネットワーク、インターネットなどの公衆ネットワーク、または電子的インストラクションを保持するのに適切な任意のタイプの媒体などの通信媒体を通じてプロセッサに運ばれる情報、を含むがそれらに限定されない。本発明の方法の種々の実施の形態を実装するコンピュータ可読インストラクションを運ぶ場合、そのようなコンピュータ可読媒体は本発明の種々の実施の形態の例を表す。種々の実施の形態では、実体的非一時的コンピュータ可読媒体は全てのコンピュータ可読媒体を含み、本発明範囲はコンピュータ可読媒体を包含し、媒体は実体的および非一時的の両方である。
【0182】
キットは、本明細書に記載のシステムの部分のいずれかと、ICGなどの蛍光色素や任意の適切な蛍光イメージング剤などの蛍光イメージング剤と、を含んでもよい。さらなる態様では、キットはコンピュータ実行可能(可読)プログラムコードを組み込みの形で有する実体的非一時的コンピュータ可読媒体を含んでもよく、該媒体は命令を提供してもよく、該命令は、ひとつ以上のプロセッサに、その命令を実行するときに、本明細書に記載の組織を特徴付けるためのおよび/または臨床データを予測するための方法のうちのひとつ以上を行わせる。キットは、そのコンポーネントのうちの少なくともいくつかの使用のための(例えば、蛍光イメージング剤を用いるための、命令が組み込まれたコンピュータ実行可能(可読)プログラムコードをインストールするための、等)命令を含んでもよい。さらに別の態様では、例えば、本明細書に記載の方法およびシステムで用いられる蛍光色素などの蛍光イメージング剤が提供される。さらなる変形例では、キットは、本明細書に記載のシステム全体または任意の部分と、ICGなどの蛍光色素や任意の適切な他の蛍光剤や蛍光剤の組み合わせなどの蛍光剤と、を含んでもよい。
【0183】
例
傷管理における方法およびシステムの適用
【0184】
慢性創傷管理などの傷管理におけるひとつの課題は、医療者の間で、傷の医学的状態や性質に対する見方が異なりうることである。従来の技術は傷の病理的履歴についての情報を提供しうるが、生存度および/または回復の見込み、例えば、傷および/またはその周辺が余病を生じさせる可能性があるか否かや治癒可能か否かや治癒がどのように進むか(例えば、受け入れ可能な治癒段階に達するまでの時間)、についての信頼性の高いインジケータを提供することはできない。さらに、従来の診断技術による病理学が論証できない傷も存在する。本明細書に記載の方法およびシステムの種々の実施の形態は、特定の組織領域(例えば、傷、傷の周辺)の状態の統一的な表現(認識バイアスによらない)の生成を促進し、したがってより正確な後続の治療戦略評価および形成(例えば、局所治療、高圧療法、手術前および手術後の組織評価、手術戦略の形成などの効能ケアの推薦および評価や、組織の種々の治癒段階に達するまでの期間に関する推薦)を促進する。
【0185】
訓練セット1-再建手術における胸部組織
【0186】
図10および11は、種々の実施の形態に係る方法およびシステムの、胸部再建手術への応用を示す。乳房切除手術のなかでデータが収集された。患者は46歳の女性で、直後の再建を伴うバイラテラル乳房切除を行った。術後48時間後、彼女は右の胸の下極の虚血性悪化を有しているとみなされた。HBOT治療が推薦された。蛍光血管造影イメージの時系列(動画)は、SPY(登録商標)エリート蛍光イメージングシステム(NOVADAQ(登録商標) Technologies Inc.から入手可能)を用いて記録された。実施中の各胸部治療:切開前ベースライン、乳房切除後、および再建後、について、三つのタイプの記録が行われた。加えて、手術の一週間後、臨床成績を評価するための手段としてカラースナップショットがとられた。
【0187】
種々の実施の形態にしたがう方法およびシステムとの関連で説明された第1データセットは、胸部の異なる三つのシーケンスのピクセル強度曲線を組み合わせることによって生成された。次いで、このデータセットに対してk平均アルゴリズムを訓練し、七つの重心を伴うモデルを生成し、それは
図10に示されている。
【0188】
この訓練されたモデルをピクセルに適用することによって、二つの訓練シーケンスおよびひとつの新たなシーケンスが連続的にラベル付けされた。最終ステップとして、各ピクセルに、それに関連付けられた重心の色に対応する色を割り当てることによって、三つのシーケンスについて視覚的空間マップを生成した(
図10の重心グラフの凡例に示される)。
図11A、11Bおよび11Cは、最初の診察中の傷のカラーイメージ(
図11A)、その後治療を継続し、最初の診療から一週間後にとられたもの(
図11B)および三週間後にとられたもの(
図11C)である。
図11D、11Eおよび11Fは、本明細書で説明される方法およびシステムにしたがい生成された対応する空間(クラスタ)マップである。
【0189】
このケースは、過灌流傷の治癒を示す。
図11D、11Eおよび11Fに示されるように、空間(クラスタ)マップは、
図11A、11Bおよび11Cの可視光イメージからは明らかでない血流および/または灌流についての詳細を提供する。空間(クラスタ)マップイメージは乳首に隣接するエリア(矢印で示される)を特定した。このエリアの組織は隣の組織と比べてかなり異なっていた(傷ついていた)。
【0190】
HBOT治療は血管新生プロセスをトリガし、該プロセスはまず組織の過灌流エリアの周りの血流活動の増大を引き起こした(
図11D、矢印)。治癒が進むにつれて、濃い青色の領域が時間と共につぶれ、血流および/または灌流が増大することによって示されるように、増大した流れが傷の内部に広がる(
図11E、11F)。治癒の進行は、強度曲線が傷の中心から外向きにどのように徐々に変化するかによって、空間(クラスタ)マップにおいて表され、すなわち、濃い青色から空色へ、緑へ、黄へと変わるものであって、濃い青色の領域は治癒が進むにつれて最終的につぶれる。空間(クラスタ)マップは、治癒が急激に起こるものではなく、むしろ徐々に、傷の周りに対称的に起こるものであることを示す。カラーイメージ(すなわち、
図11A、11Bおよび11C)を調べることからは、そのような情報は明らかではなかったであろう。
【0191】
訓練セット2-足
【0192】
蛍光血管造影イメージの時系列(動画)は、LUNA(登録商標)蛍光イメージングシステム(NOVADAQ(登録商標) Technologies Inc.から入手可能)を用いて記録された。足の蛍光イメージの時系列および足のデータセットは、胸部組織に関する例と同様にして生成された。より具体的に、足の三つの異なるシーケンスからの時間に亘るピクセル強度データを組み合わせることによって足のデータセットを生成し、次いで七つのクラスタおよびk平均法を用いてそれを訓練した。その結果得られた重心は
図12Aに示され、傷の状態を示す生成された空間マップは
図12Bおよび12Cに示される。
組織分類のためのユニバーサル灌流ベース傷スケールにおける、クラスタ解析の応用
【0193】
例えば以下のものを含む多くの既存の傷分類システムが存在する:
(i)神経障害性潰瘍のワグナー(Wagner)分類、これは傷をその深さおよび感染の有無で格付けし、5つの数値グレードを有する;
(ii)神経障害性潰瘍に用いられるテキサス大学スキーム、これは傷をその深さおyび感染の有無で格付けし、深さについて4つの数値グレードを、感染および虚血について4つの文字グレードを有する;
(iii)ナショナル褥瘡アドバイザリパネル分類、これは褥瘡をその色と組織欠損とかさぶたの有無で格付けし、6つの数値段階を定義する;
(iv)動脈不全潰瘍に用いられるラザフォードおよびフォンテインスキーム、これは傷をその臨床症状によって格付けし、4から6の説明的ステージを有する;
(v)静脈不全潰瘍のためのCEAP分類、これは別個に点数が付けられるふたつの部分からなり、パートIについて4つの文字グレードを有し、パートIIについて3つの数値グレードを有する。
【0194】
火傷用の特別格付けシステム(これは傷をその深さおよび影響を受けたエリアによりランク付けする)もあり、糖尿病性足部潰瘍のためのPEDISシステムやDEPAスコアやSADスコアもある。
【0195】
既存の傷分類システムは、主に、傷の表面外観と、そのテクスチャと、形態とを格付けすることに基づいている。その結果、損傷を受けた組織の態様の広範なスペクトルを効率的に捉えるために、異なる傷病因について異なるシステムが発達した。医療従事者にとってそれほど多くのオプションが利用可能であることは、医療従事者がどのシステムを用いるべきかについての問題を生じさせる。同様のタイプの傷の記述のためにいくつかの異なるシステムを有することは明白な不利益を有し、したがって、良く設計されたユニバーサル傷分類スキームが有利となろう。
【0196】
本明細書で説明される方法およびシステムは、特異な血流パターンを特定することおよびそれを対応する傷のタイプに関連付けることを容易にし、したがって、通底する灌流プロファイルに基づくユニバーサル傷分類システムを生成し、それは異なる傷の病因および重症度にも適用可能である。そのような尺度に基づく傷グレードは、その病因と、治癒可能性と、最適治療と、に関連付けられ得る。
【0197】
種々の慢性傷(DFU-s、外傷、手術、動脈潰瘍)の治療を行っている複数の(-20)患者を、連続する5週(平均)の間、LUNA(登録商標)イメージングシステム(Novadaq Technologies(登録商標) Inc.から入手可能)を用いて週一回、イメージングした。イメージングセッションの間に記録されたNIRビデオシーケンスから最大強度マップが生成され(「最大強度マップ」は、蛍光入力イメージの時系列の計算領域における各ピクセルに、測定期間全体のなかで到達したその最大強度の値を割り当てることにより生成されたマップを指す)、患者の治療の最後に、診察医によって、傷が治った日が記録された。続いて、特定のイメージングセッションの日にちと傷が治った日との間の期間が計算され、個々全ての最大強度マップと関連付けられた。十分な数の訓練およびテストサンプルを生成するために、治癒期間を日にちで表す連続的ラベルが「治癒ビン」の離散カテゴリによって置き換えられた。「A」-0から20日の治癒期間、「B」-21から80日の治癒期間、および「C」-80日を超える治癒期間。結果として得られた約100個のサンプルデータセットは、それぞれが関連する「治癒ビン」グレード(A、BまたはC)でラベル付けされた最大強度マップイメージを含んでいた。
【0198】
この例では、マイクロソフトカスタムビジョンクラウドベースサービス(customvision.ai)を、予測器の訓練プラットフォームとして選択した。このツールは、カテゴリごとに20から30程度の訓練イメージでカスタムイメージ分類器を作ることを可能とする。訓練サンプルを選択するために、以下の基準が用いられた:被撮像部位(すなわち、脚、足、かかと、手、腹)の代表的種類、あるイメージにおけるノイズの存在、傷の病因(例えば、糖尿病性足部潰瘍(DFU)、外傷、手術)の代表的種類。同一の偽色スキームを用いてマップが生成されるので、本例のイメージ分類器が治癒期間に関連する関連血流パターンを特定するために必要な訓練サンプルの数がより少なくなる。本例では、訓練手順は二回繰り返された。最初、最大強度マップのうちの選択された数のイメージ(例えば、76)がクラウドベースサービスにアップロードされ、その対応する「治癒グレード」でタグ付けされた:11A-s、45B-s、20C-s。訓練の後、k重交差検証を用いて、訓練セットに対して、分類器の性能を自動的に評価し、分類器の予測能力の測度として精度/リコールメトリックが生成された。
図13に示されるように、分類器はグレードBを特定する際に最も良く振る舞い、グレードAについてはスコアが最も悪かった。これらの結果は、各カテゴリの訓練サンプルの数と直接相関する:B-sについては最も高く、A-sについては最も低い。続いて、追加的なタグ付きイメージ(例えば、10個の追加イメージ)が訓練プラットフォームにアップロードされた。その結果、新たな訓練セットは全部で86個のイメージを含んだ:13A-s、49B-s、24C-s、そして、分類器を再度訓練した。
【0199】
二回目の繰り返しについての評価結果が
図14に示されており、それは全体的なスコアの改善を示し、グレードA予測について特に顕著な変化を伴う。
【0200】
図14の繰り返し2からの訓練された分類器をテストするために、単一の患者からの5つのイメージの集合であって、既知の「治癒までの日数」メトリックが各イメージに関連付けられているイメージの集合が用いられた。これらのイメージは分類器によってこれまで「見られた」ことはなく、したがって、それが新たなデータに対してどれほどよく一般化できるかを測定することを可能とする。
図15(「治癒ビン」スケールと共に示される)は、予測用に提出されたイメージを示し、実測ラベルがイメージに関連付けられ、分類器によって予測されたタグはその確率を伴う。正しく予測された実測ラベルは緑色で示され(「正しい予測」とラベル付けされる)、間違った予測は赤色で示される(「間違った予測」とラベル付けされる)。
図15の結果により示されるように、分類器はひとつを除いて全てのラベルを正しく予測した。さらに、
図15に示されるように、第2選択の確率およびラベルの両方が、タイムラインに沿って治癒が進行するにつれて矛盾無く変化する。
【0201】
例えば、
図15の第1サンプルは治癒まで76日としてマークされ、これはそれをB-ビン(80-21日)に入れるが、C-ビン(>80日)の境界にすごく近い。分類器は最も蓋然性の高いカテゴリとしてBを正しく予測したが、それはまた、Cラベルの確率に31%を割り当てた。
【0202】
図15の第2サンプル(治癒から46日)はBカテゴリのおよそ中間にあり、これは、Bラベルに99.9%を割り当てると共にAまたはCのいずれかであることにはるかに低いがほぼ同等の確率(それぞれ、9.4%および7.3%)を割り当てることにより、分類器によって正しく反映されている。
【0203】
図15の第3サンプル(治癒から39日)はCグレードとして誤分類されたが、それは正しいグレードであるBにも比較的高い確率(74.2%)を割り当てた。
【0204】
図15の第4サンプル(治癒から20日)はAカテゴリとBカテゴリとの間の分割境界のまさに上に位置し、分類器は両方のグレードに同等に高い確率を正しく割り当てた(Aに95.2%、Bに94.6%)。
【0205】
最後に、
図15の最後のサンプルはほぼ完全に治癒した傷を示し、分類器はグレードAに対して非常に高い確率(99.6%)を正しく割り当てると共に、BおよびCに対して非常に低い確率(それぞれ、2.7%および0.3%)を正しく割り当てた。
【0206】
本明細書で説明される訓練および予測トレンドは、訓練サンプルの数および種類を増やすことによって、また、より狭い期間を表すより多くのラベルを導入することによって、新たなデータに対する治癒グレードの予測の確度および整合性を高めることができることを示す。
【0207】
図16は、蛍光イメージデータに対して分類器を訓練し、臨床データを予測するために訓練された分類器を用いる例示的方法2000を模式的に示す。
図16に示されるように、分類器は、本明細書で説明されるカスタムビジョンクラウドサービスを用いて訓練2010されてもよい。訓練された分類器の性能が許容可能レベルに達すると、訓練されたモデルはREST APIサービスとして出力2020されてもよい。予測エンドポイントの公開URLを用いることで、クライアントアプリケーションはサーバにREST API要求を提出することで、種々の実施の形態において本明細書で説明されたように、新たなイメージのラベルを予測し、結果としてのタグを伴う応答を受信する2030ことができる。傷分類スケール(傷グレード)の出力は、本明細書で説明される方法およびシステムにしたがって、例えば組織における灌流パターンを自動的に分類し、関連する臨床観察に特定のグレードを割り当てることに基づいて生成される。本明細書で例示される傷分類スケール(傷グレード)は、従来の傷分類スキームの全てにおいて生来的である観察者/医療従事者の主観を排することを容易にする。傷分類スケールに加えて、分類に基づく提案された治療オプションが医療従事者に提供されてもよい(例えば、傷分類スケール数/文字;病因DFU(信頼度80%)および動脈腫瘍(信頼度65%);提案される治療HBOT(40ダイブ-週2回)、Dermacell(登録商標)(80%)、切断手術(50%)、何もしない(10%))。
【0208】
例は、組織(例えば、傷組織)の血流および/または灌流解析への応用において機械学習アルゴリズムを用いることにより、実際に達成可能なユニークな利点の集合を示す。ある実施の形態では、アルゴリズムへの入力データは、前処理にも血流ダイナミクスの詳細な理解にも依存しない。その結果、解析の正確さは、関連パラメータの主観的な人間による選択ではなくむしろ測定信号の質に主に依存する。さらに、機械学習分類および特徴付けの結果は、「ビッグデータ」処理の利点に起因して、入力信号のノイズの影響を受けにくい。さらに、機械学習に基づいて本明細書で説明される方法およびシステムにしたがい生成された空間マップは、解釈のシンプルさおよび結果の全体的な正確さの両方を示す。それは、現在実装されておりまだ概念化されていない視覚的マップおよび/またはイメージの現実的な置換および/またはそれを補強するものとして、用いられうる。空間マップのカラースキームが異なる血管造影曲線クラスを表す重心に容易に関連付け可能なので、手動で関心領域(ROI)を選択し、続いてグラフを生成する必要はない。空間マップおよびそれに対応する重心のカラー凡例を単に見るだけで、ユーザはすぐに、イメージエリア全体に亘って血流パターンを評価することができる。さらに、方法およびシステムに関連して説明されたように、関連データセットに対してクラスタ化モデルを訓練すると、それは任意の計算プラットフォームに格納可能である。モデルは高度にスケーラブルであり、他のモダリティ(すなわち、整形外科、MIS、褥瘡等)への拡張容易でありうる。
【0209】
例示的な実施の形態およびそのオプションの変形例が本明細書で開示され、具体的な用語が用いられたが、それらは概括的なものおよび説明的なものとしてのみ使用され、かつそのようなものとして解釈されるべきであって、限定を目的としていない。ある例では、本願の出願時点の当業者には明らかであるように、特定の実施の形態との関連で説明された特徴、特性、および/または要素は単体で用いられてもよく、またはそうでないと特に断らない限り、他の実施の形態との関連で説明された特徴、特性、および/または要素との組み合わせで用いられてもよい。したがって、以下で規定される本発明の精神および範囲から逸脱すること無く、形態や詳細の種々の変更がなされうることは、当業者には理解されるであろう。
【0210】
詳述された種々の実施の形態と関連して本開示が説明されたが、示された詳細に限定されることを意図したものではない。本開示の範囲から外れることなく様々な変更や構造変形がなされうるからである。本開示の範囲から逸脱すること無く、説明された実施の形態の形態やコンポーネント配置やステップや詳細や動作順序の種々の変更を行うことができ、また本開示の他の実施の形態をなすこともでき、それらのものは本開示に触れた当業者には明らかであろう。したがって、添付の請求項は本開示の範囲に入るので、添付の請求項がそのような変形例および実施の形態をカバーすることが想定されている。簡潔明瞭な記載をするために、本明細書では特徴は同じまたは異なる実施の形態の一部として説明された。しかしながら、本開示の範囲は、説明された特徴の全てまたはいくつかの組み合わせを有する実施の形態を含むことが理解されよう。「例えば」および「など」という用語およびそれらの文法的等価物について、そうでないと明記されない限り、「および非限定的に」というフレーズが次に続くものとして理解される。本明細書で用いられるように、「a」、「an」及び「the」という単数形はコンテキストがそうでないと明示的に述べない限り複数の指示物を含む。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の組織を特徴付けるための方法であって、
前記対象の蛍光イメージの複数の時系列のデータを受信することであって、蛍光イメージの前記時系列がイメージ取得システムによって取得されているかされたものである、受信することと、
前記組織の臨床的特徴付けに関する、前記データのひとつ以上の属性を特定することと、
同じクラスタ内の前記データ同士が異なるクラスタ内の前記データ同士よりも互いに似ているものとなるように、前記データの前記ひとつ以上の属性に基づいて、前記データを、複数のクラスタへ分類することであって、前記クラスタが前記組織を特徴付ける、分類することと、
前記組織を表す特徴付け出力を、前記分類されたクラスタに基づいて、生成することと、
前記特徴付け出力を表示することと、を含む方法。
【外国語明細書】