(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100851
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】sGC刺激薬を含んでなる固体分散剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20230711BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230711BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230711BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230711BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20230711BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20230711BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230711BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20230711BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20230711BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230711BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230711BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/32
A61P1/16
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10
A61P9/12
A61P13/12
A61P27/02
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076655
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2021157646の分割
【原出願日】2016-11-22
(31)【優先権主張番号】62/260,910
(32)【優先日】2015-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/359,440
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519163876
【氏名又は名称】サイクレリオン・セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(72)【発明者】
【氏名】ダンバー,クレイグ・アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】セスラマン,バス
(72)【発明者】
【氏名】ハシャシュ,アフマド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】多くのNO及び/又はcGMP関連障害を治療するか又はその重度を軽減するのに有用なsGC刺激薬を提供する。
【解決手段】非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール又はその医薬的に許容される塩の固体分散剤を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)の固体分散剤。
【請求項2】
化合物Iとポリマー担体を含んでなる請求項1の固体分散剤。
【請求項3】
ポリマー担体がセルロースポリマーより選択される、請求項1又は請求項2の固体分散剤。
【請求項4】
ポリマー担体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、又はポリビニルピロリドンの共重合体より選択される、請求項2の固体分散剤。
【請求項5】
ポリマー担体がHPMCAS又はCAPより選択される、請求項4の固体分散剤。
【請求項6】
ポリマー担体がHPMCASである、請求項5の固体分散剤。
【請求項7】
ポリマー担体がHPMCPである、請求項4の固体分散剤。
【請求項8】
ポリマー担体がCAPである、請求項5の固体分散剤。
【請求項9】
ポリマー担体がPVPである、請求項4の固体分散剤。
【請求項10】
ポリマー担体がPVPの共重合体である、請求項4の固体分散剤。
【請求項11】
ポリマーがその全重量の約40%と約95%の間の量で存在する、請求項2~請求項10のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項12】
ポリマーがその全重量の50%と90%の間の量で存在する、請求項11の固体分散剤。
【請求項13】
ポリマーがその全重量の60%と90%の間の量で存在する、請求項12の固体分散剤。
【請求項14】
ポリマーがその全重量の60%と95%の間の量で存在する、請求項11の固体分散剤。
【請求項15】
ポリマーがその全重量の約70%と約90%の間の量で存在する、請求項11~請求項14のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項16】
ポリマーがその全重量の約75%と約90%の間の量で存在する、請求項15の固体分散剤。
【請求項17】
ポリマーがその全重量の約80%と約95%の間の量で存在する、請求項14の固体分散剤。
【請求項18】
ポリマーがその全重量の約90%と約95%の間の量で存在する、請求項17の固体分散剤。
【請求項19】
スプレー乾燥によって入手される、請求項1~請求項18のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項20】
溶融押出(hot-melt extrusion)によって産生される、請求項1~請求項18のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項21】
化合物Iがその約5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項1~請求項20のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項22】
化合物Iが約5重量%~約40重量%の量で存在する、請求項21の固体分散剤。
【請求項23】
化合物Iが約10重量%~約30重量%の量で存在する、請求項22の固体分散剤。
【請求項24】
化合物Iが約10重量%~約25重量%の量で存在する、請求項23の固体分散剤。
【請求項25】
化合物Iが約15重量%~約40重量%の量で存在する、請求項22の固体分散剤。
【請求項26】
化合物Iが約20重量%~約30重量%の量で存在する、請求項25の固体分散剤。
【請求項27】
請求項1~請求項26のいずれか1項の固体分散剤であって、20%未満の結晶性化合物Iを含む、化合物Iの前記固体分散剤。
【請求項28】
請求項27の固体分散剤であって、10%未満の結晶性化合物Iを含む、化合物Iの前記固体分散剤。
【請求項29】
請求項28の固体分散剤であって、5%未満の結晶性化合物Iを含む、化合物Iの前記固体分散剤。
【請求項30】
化合物Iの安定した固体分散剤である、請求項1~請求項29のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項31】
化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が10:90と50:50の間である、請求項1~請求項10のいずれか1項の固体分散剤。
【請求項32】
化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が20:80と40:60の間である、請求項31の固体分散剤。
【請求項33】
化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が25:75である、請求項32の固体分散剤。
【請求項34】
化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が50:50である、請求項31の固体分散剤。
【請求項35】
少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と請求項1~請求項34のいずれか1項に記載の固体分散剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項36】
少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤が、充填剤、流動化剤、滑沢剤、又は崩壊
剤より選択される、請求項35の医薬組成物。
【請求項37】
請求項1~請求項34のいずれか1項の固体分散剤、又は請求項35~請求項36のいずれか1項の医薬組成物を含んでなる、単位剤形。
【請求項38】
経口投与に適している、請求項37に記載の単位剤形。
【請求項39】
カプセル剤、懸濁液剤、散剤、又は錠剤より選択される、請求項38に記載の単位剤形。
【請求項40】
錠剤である、請求項39に記載の単位剤形。
【請求項41】
請求項1~請求項34のいずれか1項の非晶性固体分散剤、又は請求項35又は請求項36の医薬組成物、又は請求項38~請求項40のいずれか1項の単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなる、治療の必要な対象において疾患、健康状態、又は障害を治療する方法であって、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧症、又は心不全より選択される、前記方法。
【請求項42】
疾患が糖尿病性腎症である、請求項41の方法。
【請求項43】
疾患又は障害が糖尿病性網膜症である、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
疾患又は障害が非アルコール性脂肪性肝炎である、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
疾患又は障害が心不全である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記心不全が、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)又は駆出率が低下した心不全(HFrEF)より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記心不全がHFpEFである、請求項46の方法。
【請求項48】
前記心不全がHFrEFである、請求項46の方法。
【請求項49】
疾患又は障害が高血圧症である、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
前記高血圧症が抵抗性高血圧症である、請求項49に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[001] 本発明は、非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-
フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)又はその医薬的に許容される塩の固体分散剤に関する。それはまた、それらを含んでなる医薬組成物及び医療用経口単位剤形とそれらの使用に関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
[002] ヘム含有酵素の可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)は、一酸化窒素(NO
)の生体内(in vivo)での一次受容体である。sGCは、NO依存性機序とNO非依存
性機序の両方を介して活性化され得る。この活性化に反応して、sGCは、グアノシン三リン酸(GTP)をセカンドメッセンジャーの環状グアノシン一リン酸(cGMP)へ変換する。cGMPレベルの増加は、次に、プロテインキナーゼ、ホスホジエステラーゼ(PDE)、及びイオンチャネルが含まれる、下流エフェクターの活性を調節する。
【0004】
[003] 実験証拠と臨床証拠は、NOのバイオアベイラビリティの低下、及び/又は内
因的に産生されるNOへの反応性の減少が血管系、内皮系、炎症系、線維系、及び代謝系のプロセス又は疾患の発現に寄与することを示している。sGCの妨害、及び/又はNOバイオアベイラビリティの低下は、例えば、心臓血管系疾患、肺疾患、腎疾患、及び肝疾患の病態発生に関連があるとされてきた。
【0005】
[004] 身体において、NOは、アルギニンと酸素より様々な一酸化窒素合成酵素(N
OS)によって、そして無機硝酸塩の連続的な還元によって合成される。NOSの3種の別個のアイソフォーム:活性化マクロファージ細胞に見出される誘導型NOS(i-NOS又はNOS II);神経伝達と長期増強に関与する構成型/神経型NOS(nNOS又はNOS I);及び平滑筋弛緩と血圧を調節する構成型/内皮性NOS(eNOS又はNOS III)が同定されてきた。
【0006】
[005] 化合物Iのような、NO非依存性、ヘム依存性のsGC刺激薬は、可溶性グア
ニル酸シクラーゼ活性を刺激して、アクチベータと比較して差別化されるいくつかの重要な特徴(その活性が還元型補欠分子ヘム部分の存在に決定的に依存すること、NOと結合するときに強い相乗的な酵素活性化があること、及びNOに依存しないsGCの直接刺激によってcGMPの合成が刺激されることが含まれる)を有する分子である。ベンジリンダゾール化合物のYC-1は、最初に同定されたsGC刺激薬である。以来、sGCへの
効能及び特異性が改善された追加のsGC刺激薬が開発されてきた。
【0007】
[006] Adempas(登録商標)(リオシグアト)は、FDA規制承認を受けた初
めてのsGC刺激薬である。現在、それは、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)及び肺動脈高血圧症(PAH)の治療用に承認されている。Adempas(登録商標)は、1日3回経口服用されて、低血圧症(低い血圧)のような重篤な有害事象の変動リスクの故に、患者に依拠してきわめて慎重に増減させなければならない。
【0008】
[007] 従って、こういった課題のいくつかを回避する、新規で改善されたsGC刺激
薬とそれらの医薬組成物及び単位剤形へのニーズがある。さらに、前記刺激薬、それらの医薬組成物及び単位剤形を使用する、NO及びcGMP関連の疾患又は障害の治療の方法へのニーズがある。
【発明の概要】
【0009】
[008] 第一の側面において、本発明は、非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフル
オロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)又はその医薬的に許容される塩の固体分散剤に関する。化合物Iは、下記に図示される構造を有して、多くのNO及び/又はcGMP関連障害を治療するか又はその重度を軽減するのに有用なsGC刺激薬である。
【0010】
【0011】
[009] 第二の側面において、本発明は、少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤
と非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)又はその医薬的に許容される塩の固体分散剤を含んでなる、本明細書に記載される医薬組成物に関する。
【0012】
[0010] 第三の側面において、本発明は、非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)又はその医薬的に許容される塩の固体分散剤を含んでなる、本明細書に記載される単位剤形に関する。
【0013】
[0011] 第四の側面において、本発明は、本明細書に記載される医薬組成物を含んでなる単位剤形に関する。
[0012] 第五の側面において、本発明は、前記非晶性固体分散剤、医薬組成物、又は単
位剤形の1つをその必要な患者へ投与することによってsGC及び/又はcGMP関連障害を治療する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
[0013]
【
図1】
図1は、ポリマーの無い、本発明の化合物Iのスプレー乾燥分散剤についての生成から2時間後のXRPDパターンを、純結晶性化合物IのXRPDパターンと重ね合わせて示す。 [0014]
【
図2】
図2は、CAPポリマーの有る本発明のスプレー乾燥分散剤の態様についての様々な条件下でのXRPDパターンを例示する [0015]
【
図3】
図3は、HRMCAS-Mポリマーの有る本発明のスプレー乾燥分散剤の態様についての様々な条件下でのXRPDパターンを示す。 [0016]
【
図4】
図4は、本発明の様々なスプレー乾燥分散剤についての製造時点でのXRPDパターンを例示する。 [0017]
【
図5】
図5は、本発明のスプレー乾燥分散剤の態様についての様々な条件下で様々な時点でのXRPDパターンを例示する。 [0018]
【
図6】
図6は、本発明のスプレー乾燥分散剤の態様についての様々な条件下で様々な時点でのXRPDパターンを例示する。 [0019]
【
図7】
図7は、本発明の様々なスプレー乾燥分散剤についての製造時点(時間0)でのXRPDパターンを例示する。 [0020]
【
図8】
図8は、本発明の様々な分散剤のFaSSIFにおける動力学的溶解度を示すチャートである。 [0021]
【
図9】
図9は、本発明の様々な分散剤のFeSSIFにおける動力学的溶解度を示すチャートである。 [0022]
【
図10】
図10は、化合物Iの非晶性スプレー乾燥分散剤を含有する様々な錠剤のFaSSIFにおける溶解を例示する。 [0023]
【
図11】
図11は、本発明の態様に記載のように製造した5mg錠のバッチの溶解を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0024] 第一の側面において、本発明は、非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)又はその医薬的に許容される塩の固体分散剤に関する。化合物Iは、下記に図示される構造を有して、多くのNO及び/又はcGMP関連障害を治療するか又はその重度を軽減するのに有用なsGC刺激薬である。
【0016】
【0017】
[0025] 本開示の目的からすれば、「化合物」には、「医薬的に許容される塩」という用語が明白に注記されなくても、該化合物の医薬的に許容される塩が含まれる。
[0026] 「医薬的に許容される塩」という句は、本明細書に使用されるように、化合物Iの医薬的に許容される有機塩又は無機塩を意味する。化合物Iの医薬的に許容される塩は、医薬品に使用される。しかしながら、医薬的に許容されない塩は、化合物I又はその医薬的に許容される塩の製造において有用な場合がある。医薬的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、又は他の対イオンのような別の分子の包含を伴う場合がある。対イオンは、親化合物の電荷を安定させる、どんな有機部分又は無機部分でもよい。さらに、医薬的に許容される塩は、1個より多い荷電原子をその構造に有する場合がある。多数の荷電原子が医薬的に許容される塩の一部である事例は、多数の対イオンを有する可能性がある。従って、医薬的に許容される塩は、1個以上の荷電原子及び/又は1個以上の対イオンを有する可能性がある。
【0018】
[0027] 化合物Iの医薬的に許容される塩には、無機又は有機の酸又は塩基のある化合物より誘導されるものが含まれる。いくつかの態様において、該塩は、該化合物の最終単離及び精製の間にその場で(in situ)製造することができる。他の態様において、該塩
は、別の合成工程において該化合物の遊離型より製造することができる。
【0019】
[0028] 化合物Iの塩は、無機酸と有機酸が含まれる、医薬的に許容される毒性のない酸より製造され得る。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコ酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、等が含まれる。特別な態様には、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸、及び酒石酸が含まれる。他の例示の塩には、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(即ち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフト酸)塩)の塩が含まれる。
【0020】
[0029] 上記に記載される医薬的に許容される塩と他の典型的な医薬的に許容される塩の製造については、その全体が参照により本明細書に取り込まれる、Berg et al., 「Pharmaceutical Salts(医薬品の塩)」 J. Pharm. Sci., 1977:66:1-19 によって、より十分に記載されている。
【0021】
[0030] 本明細書に使用されるように、「分散剤(dispersion)」という用語は、第一の物質である「分散相」が第二の物質である「連続相」又は「運搬体(vehicle)」又は
「分散体(dispersant)」又は「分散媒体」又は「マトリックス」又は「担体(carrier
)」全体に不連続単位で分布している系を意味する。分散相と連続相は、同じ物理状態でも異なる物理状態でもよいので、固体、液体、又は気体であり得る。分散相の粒子のサイズは、変動する可能性があるので、分散剤は、分散相粒子のサイズに依拠して、溶液剤、コロイド剤、又は懸濁液剤として分類される。いくつかの一般的な分散剤のタイプは、例えば、溶液剤、エアゾール剤、固体エアゾール剤、ゲル剤、乳剤、フォーム剤、及び固体フォーム剤である。
【0022】
[0031] 「固体分散剤」は、分散相とマトリックスがともに固形物である分散剤である
。通常、固体の医薬有効成分(API)、例えば化合物Iが第二の不活性な担体又は運搬体(通常はポリマー)の中に分散して、固体状態の均質混合物を形成する。いくつかの事例において、固体分散剤は、分散相としてのポリマーと、連続相としての薬物又はAPIを含む。より典型的には、APIが分散相であって、ポリマーがマトリックスである。固体分散剤は、ほとんど溶けない薬物の溶解度、溶解速度と、結果的にそのバイオアベイラビリティを向上させるのに成功裡に応用されてきた。
【0023】
[0032] 固体分散剤は、通常、単独で、又は他の添加剤(即ち、医薬的に許容される添加剤又は賦形剤)の存在下のいずれかで2種の固体成分の均質な溶液又は融液を生成する工程、そして次いで、この混合物を冷却又は溶媒の除去のいずれかによって固化する工程によって製造される。この工程を達成するには、様々な技術を使用してよい。例えば、溶媒は、真空乾燥、スプレー乾燥、トレイ乾燥、フリーズ・ドライ、凍結乾燥、又は類似の手順によって除去してよい。融解物の場合は、固体分散剤を製造するのに溶融押出(hot-melt extrusion)を使用してよい。
【0024】
[0033] 化合物Iの固体分散剤は、例えば、少なくとも1つのポリマー担体と化合物Iの共沈殿物又は共融解物であり得る。「共沈殿物」とは、薬物(例、化合物I)とポリマー担体を溶媒又は溶媒混合物に溶かすことに続く、その溶媒又は溶媒混合物の除去の後に入手される固体分散剤である。その溶媒又は溶媒混合物には、有機溶媒と超臨界流体を含めることができる。「共融解物」とは、溶媒又は溶媒混合物の存在下であっても無くても薬物(例、化合物I)とポリマー担体を加熱して融解物にすることに続く、混合、適用可能であれば少なくとも一部の溶媒の除去、及び選択速度での室温への冷却後に入手される固体分散剤である。
【0025】
[0034] 「結晶性」固形物は、構造単位が一定の幾何学的パターン又は格子で配置されているものであるので、結晶性固形物は、厳密な長距離秩序を有する。結晶を構成する構造単位は、原子、分子、又はイオンであり得る。結晶性固形物は、一定の融点を示す。結晶性材料は、そのX線粉末回折(XRPD)パターンにおいて、鋭くて特徴的な結晶性ピーク(複数)を表示する。
【0026】
[0035] 固形物(例、固体分散剤)の結晶性のレベル又はその非晶型の安定性を決定するために使用し得る他の分析技術は、例えば、示差走査熱量測定(DSC)又は顕微鏡法を含む。
【0027】
[0036] 「非晶性」という用語は、本明細書に使用されるように、そのイオン、原子、又は分子の位置に、結晶に特徴的な長距離秩序を有さない固体材料に言及する。非晶性材料の場合は、そのXRPDパターンに、鋭いピークの代わりに、1以上の幅広ピーク(又は「ハロー」)が出現する。
【0028】
[0037] 医薬応用では、固体分散剤が、非晶性連続相(例、ポリマー)に分散した結晶性の薬物又はAPI(分散相)を含んでも、あるいは、非晶性連続相(例、ポリマー)に分散した非晶性の薬物又はAPIを含んでもよい。「非晶性固体分散剤」は、分散相が非晶性であるものである。本発明の分散剤は、非晶性化合物Iの固体分散剤である。
【0029】
[0038] 本発明の非晶性固体分散剤は、化合物Iをその非晶状態で含む。化合物Iは
、水系媒体における溶解度が低くて、溶液外で容易に晶出する。この効果は、pH非依存性である。非晶性化合物Iのある種の固体分散剤では、化合物Iそれ自体(即ち、純化合物I)と比較して、水系媒体と他の使用環境において、化合物Iを安定した非晶状態に維持し得て、晶出を防いで、改善された溶解度を示すことが見出されている。化合物Iの固体非晶性分散剤は、分散剤ポリマーの非存在下にある化合物Iと比較した場合に、増強さ
れた物理的安定性、及び/又は溶解性、及び/又は溶解度を示す。
【0030】
[0039] いくつかの態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤が実質的に非晶性の化合物Iとポリマー担体を含む。本明細書に使用されるように、「非晶性化合物Iの固体分散剤」という用語は、「化合物Iの固体非晶性分散剤」という用語と交換可能的に使用される。
【0031】
[0040] 本明細書に使用されるように、「実質的に非晶性の化合物I」という用語は、「結晶性化合物Iを実質的に含まない非晶性化合物I」という用語と交換可能的に使用される。いくつかの態様では、実質的に非晶性の化合物Iが、約20%未満の結晶性化合物I、約15%未満の結晶性化合物I、約10%未満の結晶性化合物I、約8%未満の結晶性化合物I、約5%未満の結晶性化合物I、約2%未満の結晶性化合物I、約1%未満の結晶性化合物I、又は約0.5%未満の結晶性化合物Iを含む。他の態様では、非晶性化合物Iが、XRPD、DSC、又は顕微鏡法によって決定されるように、結晶性化合物Iを実質的に含まない。
【0032】
[0041] 本明細書に使用されるように、「実質的に含まない(substantially free)」という用語は、約20%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約15%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約10%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約8%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約5%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約2%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約1%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。いくつかの態様では、「実質的に含まない」が約0.5%未満の結晶性化合物Iを含有する非晶性化合物Iについて記載するために使用される。
【0033】
[0042] いくつかの態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤が、約20%未満の結晶性化合物I、約15%未満の結晶性化合物I、約10%未満の結晶性化合物I、約8%未満の結晶性化合物I、約5%未満の結晶性化合物I、約2%未満の結晶性化合物I、約1%未満の結晶性化合物I、又は約0.5%未満の結晶性化合物Iを含む。他の態様では、非晶性化合物Iの固体分散剤が、XRPD、DSC、又は顕微鏡法によって決定されるように、結晶性化合物Iを実質的に含まない。いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤は、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤である。
【0034】
[0043] いくつかの態様では、非晶性化合物Iの固体分散剤が、分散剤5~分散剤13のいずれについても、
図4において示されるものに実質的に類似した、0時点でのX線粉末回折パターンを特徴とする。
【0035】
[0044] いくつかの態様では、化合物Iの固体非晶性分散剤が、顕微鏡法によって分析されるときに、何らかの明確な結晶性形態の非存在を特徴とする。
[0045] いくつかの態様では、化合物Iの固体非晶性分散剤が、DSCによって分析されるときに、再結晶事象又は融解事象の非存在を特徴とする。
【0036】
[0046] 「非晶性化合物Iの安定した固体分散剤」という用語は、本明細書に使用されるように、所与の期間又は時間の間、ある保存条件下に保たれるときに、結晶性化合物I
の量が実質的に増加しない、非晶性化合物I(即ち、実質的に非晶性の化合物I)の固体分散剤を意味する。
【0037】
[0047] いくつかの態様では、上記の保存条件が25℃の温度と60%の相対湿度(RH)に関わる。本開示を通して、上記の保存条件を安定性チャンバ(Stability Chamber
)1の条件と呼ぶ。他の態様では、保存条件が40℃の温度と75%の相対湿度(RH)に関わる。本開示を通して、上記の保存条件を安定性チャンバ2の条件と呼ぶ。いくつかの態様では、化合物Iの固体非晶性分散剤を非密封バイアル(オープントレイ条件とも呼ばれる)において、安定性チャンバ1又は安定性チャンバ2の安定性条件下に置く。他の態様では、化合物Iの固体非晶性分散剤を密封ボトル(例えば、HDPE(高密度ポリエチレン)ボトル)において、安定性チャンバ1又は安定性チャンバ2の安定性条件下に置く。他の態様では、化合物Iの固体非晶性分散剤を密封ボトル(例えば、HDPEボトル)において、乾燥剤の存在下又は非存在下のいずれかで、安定性チャンバ1又は安定性チャンバ2の安定性条件下に置く。いくつかの態様では、前記乾燥剤がシリカゲルより選択される。他の態様において、乾燥剤は、分子篩より選択される。
【0038】
[0048] いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも12ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも6ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも4ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。なお他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも3ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。さらに他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも2ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも1ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。
【0039】
[0049] いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも12ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも6ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも4ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。なお他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも3ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。さらに他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも2ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1において少なくとも1ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様において、化合物Iの固体非晶性分散剤は、乾燥剤の存在下に保存される。他の態様では、それが乾燥剤の非存在下に保存される。
【0040】
[0050] いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも12ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも6ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも4ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。なお他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも3ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも2ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも1ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。
【0041】
[0051] いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも12ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも6ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも4ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。なお他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも3ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。さらに他の態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも2ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様では、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2において少なくとも1ヶ月間、結晶性化合物Iを実質的に含まないままである。いくつかの態様において、該分散剤は、乾燥剤の非存在下に保存される。他の態様では、それが乾燥剤の存在下に保存される。
【0042】
[0052] 本明細書に使用されるように、「使用環境」又は「使用媒体」は、動物、特にヒトの消化管の「生体内(in vivo)」環境、又は試験溶液(例は、FaSSIF(絶食
状態擬似腸液)とFeSSIF(摂食状態擬似腸液)である)の「試験管内(in vitro)」環境と定義される。FaSSIFは、6.5のpHを特徴として、絶食状態にある動物(特にヒト)の小腸を特徴付けるはずのpHを模倣する。FeSSIFは、5.8のpHを特徴として、摂食状態にある動物(特にヒト)の小腸を特徴付けるはずのpHを模倣する。故に、実施例のセクションに記載されるように、化合物Iの固体分散剤を生体内(in vivo)において、又はより簡便には、試験管内(in vitro)において試験して、それが本発明の範囲内にあるかどうかを確かめることができる。
【0043】
[0053] ある使用環境における「化合物Iの固体非晶性分散剤の溶解度試験」は、化合物Iの固体分散剤を、温度、気圧、撹拌速度、等の所与の条件で使用環境(例えば、先の段落に記載したような試験管内溶液)へ導入する工程、上記溶液のアリコートを所定の時間で取り出す工程、及び前記アリコートについて(例えば、HPLC又は当該技術分野で知られた他の分析技術を使用して)分析して、各時点で溶液中に存在している化合物Iの濃度を定量する工程によって行う。本開示を通して、「溶解度試験」又は「動力学的溶解度試験」(又は「動力学的溶解度」)という用語は、通常、化合物Iの固体分散剤の試験についてのみ使用される。
【0044】
[0054] 本明細書に使用されるように、「化合物Iの過飽和溶液」とは、化合物Iが固体分散剤の他の成分の非存在下でそれ自体が溶けるとしても、通常の環境下で所与の溶媒によって溶け得るより多くの化合物Iを含有する溶液のことである。本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤の溶液剤は、ある使用環境(例、FaSSIF又はFeSSIF)における化合物Iの過飽和溶液である。非晶性化合物Iの固体分散剤は、前記固体分散剤につ
いて溶解度試験をするときに、前記固体分散剤で達成可能な化合物Iの最大過飽和濃度が、分散剤ポリマーの非存在下にある化合物I(例えば、非晶性又は結晶性の純化合物I、例えば、スプレー乾燥された純化合物I)の等量を含んでなる組成物について溶解度試験をすることによって達成される平衡濃度に対して少なくとも1.5倍高ければ、本発明の範囲内にある。いくつかの態様では、化合物Iの固体分散剤が、FaSSIF又はFeSSIFにおいて溶解度試験されるとき、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物に対して少なくとも20倍高い化合物Iの最大過飽和濃度(MSSC)を達成する。他の態様では、それが少なくとも15倍高い。他の態様では、それが少なくとも10倍高い。他の態様では、それが少なくとも5倍高い。
【0045】
[0055] 化合物Iの固体非晶性分散剤の溶解度試験を行うとき、化合物Iの溶液中の最大過飽和濃度は、分散剤が使用環境に溶けた直後に達成されて、その後それは、化合物Iが溶液からゆっくり析出するにつれて減衰するか又はそれは、所与の分散剤が化合物Iを試験時間より長い時間の間過飽和状態に維持することが可能であれば、同じままである。この種の挙動の例を
図8に表示する。
【0046】
[0056] 化合物Iをある使用環境の溶液中でその過飽和状態に長い時間の間維持することが可能であるポリマーは、より良好な「非晶性化合物Iの安定化剤」であると言われて、前記ポリマーを含んでなる化合物Iの固体非晶性分散剤は、本発明の好ましい態様である。
【0047】
[0057] いくつかの態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤が、FaSSIFにおいて溶解度試験される場合の、0.040mg/mLより高い化合物Iの最大過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FaSSIFにおいて溶解度試験される場合の、0.040mg/mLと0.050mg/mLの間の最大過飽和濃度によって特徴付けられる。
【0048】
[0058] 他の態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤が、FaSSIFにおける溶解度試験の2時間後の、0.040mg/mLと0.050mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FaSSIFにおける溶解度試験の4時間後の、0.040mg/mLと0.050mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FaSSIFにおける溶解度試験の24時間後の、0.040mg/mLと0.050mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。
【0049】
[0059] いくつかの態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤が、FeSSIFにおいて溶解度試験される場合の、0.250mg/mLより高い化合物Iの最大過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FeSSIFにおいて溶解度試験される場合の、0.250mg/mLと0.450mg/mLの間の最大過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FeSSIFにおいて溶解度試験される場合の、0.250mg/mLと0.350mg/mLの間の最大過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FeSSIFにおいて溶解度試験される場合の、0.350mg/mLと0.450mg/mLの間の最大過飽和濃度によって特徴付けられる。
【0050】
[0060] 他の態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤が、FeSSIFにおける溶解度試験の1時間後の、0.250mg/mLと0.450mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FeSSIFにおける溶解度試験の3時間後の、0.250mg/mLと0.450mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FeSSIFにおける溶
解度試験の4時間後の、0.250mg/mLと0.450mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。他の態様では、それが、FeSSIFにおける溶解度試験の6時間後の、0.250mg/mLと0.450mg/mLの間の化合物Iの過飽和濃度によって特徴付けられる。
【0051】
[0061] 非晶性化合物Iの上記固体分散剤のいくつかの態様において、ポリマー担体は、水溶性又は一部水溶性のポリマーである。いくつかの態様では、そのようなポリマーの1種より多い混合物を本発明の固体分散剤に使用することができる。非晶性化合物Iの上記固体分散剤のいくつかの態様において、その少なくとも1つのポリマー担体は、セルロースポリマーより選択される。他の態様において、その少なくとも1つのポリマー担体は、ポリビニルピロリドン(PVP)ベースのポリマーより選択される。
【0052】
[0062] 非晶性化合物Iの上記固体分散剤のいくつかの態様において、その少なくとも1つのポリマー担体は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、又はセルロースアセテートフタレート(CAP)より選択される。いくつかの態様において、ポリマー担体は、HPMCAS又はCAPより選択される。他の態様において、その少なくとも1つのポリマー担体は、ポリビニルピロリドン(PVP)又はポリビニルピロリドンの共重合体より選択される。
【0053】
[0063] いくつかの態様において、該ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約40%と約95%の間を含む。他の態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約50%と約95%の間を含む。他の態様において、ポリマーは、化合物Iの固体分散剤の全重量の約60%と約95%の間を含む。他の態様において、ポリマーは、全重量の約70%と約95%の間を含む。他の態様において、それは、全重量の約75%と約95%の間で含む。他の態様において、それは、約80%と約95%の間で含む。他の態様において、それは、約90%と約95%の間を含む。いくつかの態様において、該ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約40%と約90%の間を含む。他の態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約50%と約90%の間を含む。いくつかの態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約40%と約80%の間を含む。他の態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約70%と約90%の間を含む。いくつかの態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約75%と約90%の間を含む。他の態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約60%と約95%の間を含む。なお他の態様において、ポリマーは、非晶性化合物Iの固体分散剤の全重量の約60%と約90%の間を含む。
【0054】
[0064] いくつかの態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約5重量%と約60重量%の間の化合物Iを含む。いくつかの態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約5重量%と約50重量%の間の化合物Iを含む。他の態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約5重量%と約40重量%の間の化合物Iを含む。他の態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約10%と約30%の間を含む。他の態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約10%と約25%の間を含む。なお他の態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約15%と約40%の間を含む。さらに他の態様において、本発明の化合物Iの非晶性固体分散剤は、約20%と約30%の間を含む。
【0055】
[0065] いくつかの態様において、化合物Iのポリマーに対する重量対重量比は、約10:90と約50:50の間にある。他の態様において、化合物Iのポリマーに対する比は、約20:80と約40:60の間にある。いくつかの態様において、化合物Iのポリマーに対する比は、約20:80と約50:50の間にある。なお他の態様において、化合物Iのポリマーに対する比は、約25:75である。いくつかの態様において、化合物Iのポリマーに対する比は、約50:50である。
【0056】
[0066] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤は、スプレー乾燥によって入手される。他の態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤は、溶融押出によって入手される。非晶性化合物Iの所望される固体分散剤をもたらす、どのスプレー乾燥も溶融押出も使用することができる。
【0057】
[0067] いくつかの態様では、非晶性化合物Iの固体分散剤が1以上の賦形剤又は医薬的に許容される賦形剤を含んでもよい。
[0068] 固体分散剤中の添加剤は、この混合物を生成するときにスプレー乾燥溶液へ直接加えてよい。例えば、該添加剤は、スラリーとして溶液中に溶かすか又は懸濁させてよく、それからスプレー乾燥させることができる。あるいは、スプレー乾燥処理に続いて添加剤を加えて、最終製剤品の生成に役立てる場合がある。
【0058】
[0069] 第二の側面において、本発明は、非晶性化合物Iの固体分散剤と少なくとも1つの医薬賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。いくつかの態様において、該医薬組成物は、充填剤を含む。いくつかの態様において、該医薬組成物は、崩壊剤を含む。他の態様において、それらは、滑沢剤を含む。いくつかの態様において、本発明の医薬組成物は、結合剤及び/又は流動化剤を含んでもよい。いくつかの態様において、本発明の医薬組成物は、流動化剤を含む。
【0059】
[0070] 充填剤の非限定的な例には、微結晶性セルロース、乳糖、マンニトール、マルトデキストリン、他の圧縮糖、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、他の塩類又はデンプンが含まれる。いくつかの態様において、充填剤は、微結晶性セルロース、乳糖、マンニトール、マルトデキストリン、他の圧縮糖、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、他の塩類又はデンプンより選択される。いくつかの態様において、充填剤は、微結晶性セルロースより選択される。
【0060】
[0071] 崩壊剤の非限定的な例には、ポリビニルピロリドン(PVP)、クロスカルメロースナトリウム、又はデンプングリコール酸ナトリウムが含まれる。いくつかの態様において、崩壊剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、クロスカルメロースナトリウム、又はデンプングリコール酸ナトリウムより選択される。いくつかの態様において、それは、クロスカルメロースナトリウムより選択される。
【0061】
[0072] 滑沢剤の非限定的な例には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、又はベヘン酸グリセリルが含まれる。いくつかの態様において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、又はベヘン酸グリセリルより選択される。いくつかの態様において、それは、ステアリン酸マグネシウムより選択される。
【0062】
[0073] 流動化剤の非限定的な例には、シリカ、親水性発煙シリカ、又はAerosil200が含まれる。
[0074] いくつかの態様では、本発明の非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる医薬組成物が、約20%未満の結晶性化合物I、約15%未満の結晶性化合物I、約10%未満の結晶性化合物I、約8%未満の結晶性化合物I、約5%未満の結晶性化合物I、約2%未満の結晶性化合物I、約1%未満の結晶性化合物I、又は約0.5%未満の結晶性化合物Iを含む。他の態様では、本発明の医薬組成物が、XRPD、DSC、又は顕微鏡法によって決定されるように、結晶性化合物Iを実質的に含まない。
【0063】
[0075] 「非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる安定な医薬組成物」という用語は、本明細書に使用されるように、所与の期間又は時間にわたってある保存条件下に保たれるときに、結晶性化合物Iの量が実質的に増加しない、非晶性化合物I(即ち、実質的に非晶性の化合物I)の固体分散剤を含んでなる医薬組成物を意味する。いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2年までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、12ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、6ヶ月までの期間の間、安定している。いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、4ヶ月までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、3ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2ヶ月までの期間の間、安定している。さらに他の態様にでは、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、1ヶ月までの期間の間、安定している。
【0064】
[0076] いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2年までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、12ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、6ヶ月までの期間の間、安定している。いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、4ヶ月までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、3ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2ヶ月までの期間の間、安定している。さらに他の態様にでは、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、1ヶ月までの期間の間、安定している。
【0065】
[0077] いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2年までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、12ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、6ヶ月までの期間の間、安定している。いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、4ヶ月までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、3ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2ヶ月までの期間の間、安定している。さらに他の態様にでは、本発明の医薬組成物が、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、1ヶ月までの期間の間、安定している。
【0066】
[0078] いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2年までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、12ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、6ヶ月までの期間の間、安定している。いくつかの態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、4ヶ月までの期間の間、安定している。他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、3ヶ月までの期間の間、安定している。なお他の態様では、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2ヶ月までの期間の間、安定している。さらに他の態様にでは、本発明の医薬組成物が、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、1ヶ月までの期間の間、安定している。
【0067】
[0079] 化合物I又はその医薬的に許容される塩は、容易に調節可能な薬物の投与量を提供して処方レジメンへの患者コンプライアンスを可能にするために、医薬単位剤形へ製剤化され得る。化合物I又はその医薬的に許容される塩の医薬単位剤形は、様々な投与の経路及び種類のために調製され得る。医学的状態が異なれば異なる投与経路が求められる場合があるので、同じ化合物について様々な剤形が存在してよい。
【0068】
[0080] 第三の側面において、本発明は、本明細書に記載される、非晶性化合物Iの固体分散剤又は医薬組成物を含んでなる単位剤形に関する。いくつかの態様において、単位剤形は、経口投与に適している。いくつかの態様において、単位剤形は、カプセル剤、懸濁液剤、散剤、又は錠剤より選択される。他の態様において、それは、錠剤である。
【0069】
[0081] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、少なくとも1つの医薬賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、それは、コーティング剤である。非限定的な例として、コーティング剤は、セルロースベースの材料より選択される。いくつかの態様において、それは、PVPベースの材料より選択される。
【0070】
[0082] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤を含んでなる単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下に置かれる場合に、2年までの期間の間、結晶性化合物Iを実質的に含まない。他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、12ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、6ヶ月間までの期間の間、安定している。いくつかの態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、4ヶ月間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、3ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2ヶ月間までの期間の間、安定している。さらに他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、1ヶ月間までの期間の間、安定している。
【0071】
[0083] いくつかの態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2年間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、12ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、6ヶ月間までの期間の間、安定している。いくつかの態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、4ヶ月間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、3ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、2ヶ月間までの期間の間、安定している。さらに他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ1の保存条件下で、1ヶ月間までの期間の間、安定している。
【0072】
[0084] いくつかの態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2年間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、12ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、6ヶ月間までの期間の間、安定している。いくつかの態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、4ヶ月間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、3ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2ヶ月間までの期間の間、安定している。さらに他の態様において、その単位剤形は、バイアルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、1ヶ月間までの期間の間、安定している。
【0073】
[0085] いくつかの態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2年間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、12ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、6ヶ月間までの期間の間、安定している。いくつかの態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、4ヶ月間までの期間の間、安定している。他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、3ヶ月間までの期間の間、安定している。なお他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、2ヶ月間までの期間の間、安定している。さらに他の態様において、その単位剤形は、密封ボトルに保存されるとき、安定性チャンバ2の保存条件下で、1ヶ月間までの期間の間、安定している。
【0074】
[0086] 担体材料と他の医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて単一剤形を製造し得る有効成分の量は、治療される対象と特別な投与形式に依存して変動するものである。「治療有効量」という用語は、本明細書に使用されるように、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床医によって希求されている、組織、系、動物、又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する、活性化合物又は医薬品の量を意味する。投与されるべき化合物の治療又は医薬有効量は、そのような考察事項によって支配されるものであって、疾患又は障害又はその症状の1以上を改善する、治癒する、又は治療するのに必要な最小量である。
【0075】
[0087] 「治療」は、ある疾患を診断された患者へ本明細書に記載される化合物を投与することに関わる可能性があって、活動性の症状を有さない患者へ該化合物を投与することに関わる場合もある。逆に、治療は、特別な疾患を発現するリスク状態の患者へ、又はある疾患の生理学的症状の1以上が報告される患者へ、たとえこの疾患の診断が下されてないとしても、該組成物を投与することに関わる場合がある。「予防有効量」という用語は、疾患又は障害が獲得される前にその重度を低下させること、又はその症状が発現する前にその症状の1以上の重度を低下させることに有効な量を意味する。
【0076】
[0088] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの安定した固体分散剤を含んでなる単位剤形は、化合物Iの治療有効量を含む。他の態様において、それらは、化合物Iの予防有効量を含む。いくつかの態様において、それらは、約5mgの化合物I、約10mgの化合物I、約15mgの化合物I、約20mgの化合物I、約25mgの化合物I、約30mgの化合物I、約35mgの化合物I、約40mgの化合物I、約45mgの化合物I、約50mgの化合物I、約55mgの化合物I、約60mgの化合物I、約65m
gの化合物I、約70mgの化合物I、約75mgの化合物I、約80mgの化合物I、約85mgの化合物I、約90mgの化合物I、約95mgの化合物I、約100mgの化合物I、約105mgの化合物I、約110mgの化合物I、約115mgの化合物I、約120mgの化合物I、約125mgの化合物I、約130mgの化合物I、約135mgの化合物I、約140mgの化合物I、約140mgの化合物I、約145mgの化合物I、又は約150mgの化合物Iを含む。いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、約5mgと150mgの間の化合物Iを含む。他の態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、約10mgと130mgの間の化合物I、又は約10mgと100mgの間の化合物I、又は約10mgと80mgの間の化合物Iを含む。いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、約10mgと50mgの間の化合物I、又は約10mgと40mgの間の化合物I、又は約10mgと30mgの間の化合物Iを含む。いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、約5mgと50mgの間の化合物I、又は約5mgと40mgの間の化合物I、又は約5mgと30mgの間の化合物Iを含む。いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、約5mgと25mgの間の化合物I、又は約10mgと25mgの間の化合物Iを含む。いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、約5mgと20mgの間の化合物I、又は約10mgと20mgの間の化合物I、又は約15mgと25mgの間の化合物Iを含む。
【0077】
[0089] ある使用環境における「化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形溶解試験」は、化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形を、温度、気圧、撹拌速度、等の所与の条件で使用環境(例えば、上記に記載したような試験管内溶液)へ導入する工程、上記溶液のアリコートを所定の時間で取り出す工程、及び前記アリコートについて(例えば、HPLC又は当該技術分野で知られた他の分析技術を使用して)分析して、各時点で溶液中に存在している化合物Iの濃度を定量する工程、次いでさらに、溶解試験に使用される単位剤形の量に存在することが知られている化合物Iの全量(例えば、本発明の化合物Iの所与の固体非晶性分散剤を含んでなる一定数の錠剤中に存在することが知られている化合物Iの全量)に対する、溶液中に存在している化合物Iの百分率をさらに決定する工程によって行う。
【0078】
[0090] 溶解試験を行う場合、溶液中に存在する化合物Iの百分率は、最初は0であって、それは、該剤形が化合物Iの分散剤を使用環境中へゆっくり放出するにつれて増加して、該溶液が一定の期間の後で安定した過飽和状態において維持することが可能である、化合物Iの最大百分率に達する。化合物Iの溶液中の最大百分率(理想的には、この百分率は、100%であろうが、現実には、多くの事例において、それは100%より低い)に達した後で、それは、その試験の時間と化合物Iの所与の固体分散剤のその使用環境における安定性に依存して、長い時間の間維持され得るか、又はそれは、化合物Iが溶液の外へ析出し始めるので、減衰する場合がある。
【0079】
[0091] いくつかの態様では、本発明の単位剤形がFaSSIFにおける30分の溶解試験の後で60%より多くの溶解を達成することによって特徴付けられる。他の態様では、本発明の単位剤形がFaSSIFにおける60分の溶解試験の後で70%と80%の間の溶解を達成することによって特徴付けられる。他の態様では、それらがFaSSIFにおける60分の溶解試験の後で75%と85%の間の溶解を達成することによって特徴付けられる。他の態様では、それらがFaSSIFにおける60分の溶解試験の後で75%と80%の間の溶解を達成することによって特徴付けられる。
【0080】
[0092] 本発明の単位剤形はまた、生体内で、ヒト又は好適な動物モデル(例えば、イヌ)のいずれでも試験してよい。
[0093] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる医薬組成物、又は非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、生体内で試験される場合、前記医薬組成物又は単位剤形で達成されるCmax/用量値が、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物又は単位剤形(例えば、結晶性又は非晶型のいずれかで純化合物Iを含んでなる医薬組成物又は単位剤形、例、「ネイティブ化合物I」又は「ネイティブAPI」の湿式造粒製剤)で達成されるCmax/用量値に比べて、その両剤について同一の条件下で(例、摂食状態において、又は絶食状態において、そして同じ温度、気圧、及び撹拌速度で)試験するとき、少なくとも1.5倍高い(即ち、少なくとも50%高い)ならば、本発明の範囲内にある。Cmax/用量は、試験対象の血清又は血漿中の最大薬物濃度(ng/mL)を投与用量(mg/Kg)で割ったものの略語である。他の態様において、前記医薬組成物又は単位剤形で達成されるCmax/用量は、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物又は単位剤形で達成されるCmax/用量値に比べて、少なくとも2.0倍高い(即ち、少なくとも100%高い)。他の態様では、そのCmax/用量が少なくとも2.5倍高い(即ち、少なくとも150%高い)。他の態様では、それが少なくとも3.0倍高い(即ち、200%高い)。なお他の態様では、それが少なくとも1.25倍高い(即ち、25%高い)。
【0081】
[0094] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる医薬組成物、又は非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、生体内で試験される場合、前記医薬組成物又は単位剤形で達成されるAUC/用量が、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物又は単位剤形(例えば、結晶性又は非晶型のいずれかで純化合物Iを含んでなる医薬組成物又は単位剤形、例、「ネイティブ化合物I」又は「ネイティブAPI」の湿式造粒製剤)で達成されるAUC/用量に比べて、その両剤について同一の条件下で(例、摂食状態において、又は絶食状態において、温度、気圧、及び撹拌速度の同一条件下で)試験するとき、少なくとも1.25倍高い(即ち、少なくとも25%高い)ならば、本発明の範囲内にある。AUC/用量は、x軸の時間に対してy軸に試験対象についての化合物Iの血清又は血漿濃度をプロットするときに得られる曲線下面積(時間×ng/mLの単位)を投与用量(mg/Kg)で割ったものの略語である。他の態様において、前記医薬組成物又は単位剤形で達成されるAUC/用量は、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物又は単位剤形で達成されるAUC/用量値に比べて、少なくとも1.5倍高い(即ち、少なくとも50%高い)。他の態様において、そのAUC/用量は、少なくとも2.0倍高い(即ち、少なくとも100%高い)。他の態様では、それが少なくとも2.5倍高い(即ち、150%高い)。他の態様において、そのAUC/用量は、少なくとも3.0倍高い(即ち、少なくとも200%高い)。
【0082】
[0095] いくつかの態様において、非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる医薬組成物、又は非晶性化合物Iの固体分散剤を含んでなる単位剤形は、生体内で試験される場合、前記医薬組成物又は単位剤形での推定バイオアベイラビリティが、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物又は単位剤形(例えば、結晶性又は非晶型のいずれかで純化合物Iを含んでなる医薬組成物又は単位剤形)で達成される推定バイオアベイラビリティ値に比べて、その両剤について同一の条件下で(例、摂食状態において、又は絶食状態において、温度、気圧、及び撹拌速度の同一条件下で)試験するとき、少なくとも1.25倍高い(即ち、少なくとも25%高い)ならば、本発明の範囲内にある。バイオアベイラビリティは、当該技術分野で十分に理解されている。他の態様において、前記医薬組成物又は単位剤形での推定バイオアベイラビリティは、等量の化合物Iを分散剤ポリマーの非存在下に含んでなる組成物又は単位剤形で達成される推定バイオアベイラビリティ値に比べて、少なくとも1.5倍高い(即ち、少なくとも50%高い)。他の態様において、その推定バイオアベイラビリティは、少なくとも2.0倍高い(即ち、少なくとも100%高い)。
【0083】
[0096] 本発明の医薬組成物又は単位剤形には、該薬物の洗練された提示を提供するか又は該医薬製品(即ち、医薬品)の製造に役立てるために、1以上の緩衝剤、安定化剤、抗付着剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、結合剤、懸濁剤、崩壊剤、充填剤、吸着剤、コーティング剤(例、腸溶性又は徐放性)、保存剤、抗酸化剤、不透明化剤、流動化剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、及び他の既知の添加剤といった他の種類の賦形剤も含まれ得る。
【0084】
[0097] 本発明の医薬組成物又は単位剤形には、本明細書に詳述される投与経路に適したものが含まれる。該医薬組成物は、簡便にも、単位剤形で提示し得て、調剤の技術分野でよく知られた方法のいずれによっても製造し得る。技術と製剤については、一般に、「レミントン(Remington’s)」に見出される。そのような方法には、1以上の付属成分を構成する担体と有効成分を会合させる工程が含まれる。一般に、該製剤は、液体担体又は微細化固体担体、又はその両方と有効成分を均質かつ緊密に会合させる工程、そして次いで必要ならば、該産物を成型する工程によって製造される。
【0085】
[0098] 本発明の化合物Iの固体分散剤、医薬組成物、又は単位剤形に関連した、「投与する」、「投与すること」、又は「投与」という用語は、化合物Iの前記固体分散剤、医薬組成物、又は単位剤形を治療の必要な動物の系へ導入することを意味する。化合物Iが1以上の他の活性薬剤と組み合わせて提供される場合、「投与」とその変形語には、化合物Iの前記固体分散剤、医薬組成物、又は単位剤形と他の活性薬剤の同時的及び/又は連続的な導入が含まれるとそれぞれ理解される。
【0086】
[0099] 本明細書に記載される医薬組成物は、どの経口的に許容される固体剤形でも経口投与され得る。経口投与用の固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、及び顆粒剤が含まれる。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムのような少なくとも1つの不活性な医薬的に許容される賦形剤又は担体、及び/又はa)デンプン、乳糖、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、及びケイ酸のような充填剤又は膨張剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、及びアカシアのような結合剤、c)グリセロールのような保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ又はタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤、e)パラフィンのような溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールとモノステアリン酸グリセロールのような湿潤剤、h)カオリンとベントナイト粘土のような吸収剤、及びi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール類、ラウリル硫酸ナトリウムのような滑沢剤、及びこれらの混合物と混合され得る。錠剤は、コート化しなくても、不快な味を隠すためのマイクロカプセル化が含まれる既知の技術によってコート化してもよい。ヒドロキシプロピル-メチルセルロース又はヒドロキシプロピル-セルロースのような水溶性の味マスキング素材を利用し得る。
【0087】
[00100] 圧縮錠剤は、散剤又は顆粒剤のような自由浮遊形態にある有効成分を、結合
剤、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、界面活性又は分散剤と任意選択的に混合して、好適な機械において圧縮することによって製造し得る。成型錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末化有効成分の混合物を好適な機械において成型することによって作製し得る。
【0088】
[00101] 本発明の医薬組成物又は単位剤形は、薬物を投与するために使用される方法
に依拠して、多様なやり方で包装し得る。一般に、流通品には、適正な形態の医薬製剤をその中に収納した容器が含まれる。当業者には好適な容器がよく知られていて、ボトル(プラスチック及びガラス)、サシェ、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダー、等のような材料が含まれる。容器には、包装品の内容物への軽率なアクセスを防ぐために、不正開封防止の(tamper-proof)仕組みが含まれる場合もある。加えて、容器は、その表面に、該容器の内容物について記載するラベルを載せている。このラベルには、適正な警告が含まれる場合もある。
【0089】
[00102] 本明細書に開示される、化合物Iの固体分散剤、医薬組成物、又は単位剤形
は、単位用量又は多用量の容器に包装され得る。好ましい単位投与製剤は、本明細書の上記に引用したような、有効成分の1日用量又は単位1日サブ用量、又はそれらの適正な画分を含有するものである。
【0090】
[00103] 別の側面において、化合物I又はその医薬的に許容される塩は、獣医学用の
担体を含んでなる獣医学用の組成物に製剤化される場合がある.獣医学用の担体は、該組成物を投与する目的に有用な材料であって、他の点で不活性であるか又は獣医学の技術分野で受容されている固体材料であり得て、有効成分と適合可能である。これらの獣医学用組成物は、経口投与され得る。
【0091】
治療法
[00104] 別の側面において、本発明は、本発明の非晶性化合物I(単独又は併用)又
はその医薬的に許容される塩の固体分散剤、又はそれらを含んでなる医薬組成物又は単位剤形をその必要な患者において使用することによる、ある種の障害の治療に関する。
【0092】
[00105] 上記の固体非晶性分散剤、医薬組成物、又は単位剤形は、様々な疾患を治療
すること及び/又は予防することのために、単独で使用しても、1以上の追加薬剤と組み合わせて使用してもよく、ここでは、NO濃度の増加又はcGMP濃度の増加が望まれよう。治療することができる疾患には、限定されないが、肺高血圧症、動脈高血圧症、心不全、アテローム性動脈硬化症、炎症、血栓症、腎線維症及び腎不全、肝硬変、勃起不全、女性性機能障害、糖尿病関連障害、眼障害、及び他の関連した心臓血管系障害が含まれる。
【0093】
[00106] cGMP濃度が増加すると、血管拡張、血小板の凝集及び接着の阻害、抗高
血圧効果、抗再構築効果、抗アポトーシス効果、抗炎症効果、及び神経シグナル伝達効果をもたらす。従って、上記の固体非晶性分散剤、医薬組成物、及び単位剤形は、限定されないが、末梢、肺、肝、肝臓、心臓又は脳血管/内皮の障害又は状態、泌尿生殖器-婦人科又は性的な障害又は状態、血栓塞栓性疾患、虚血性疾患、線維性障害、局所又は皮膚障害、肺又は呼吸系障害、腎障害又は肝障害、代謝障害、アテローム性動脈硬化症、又は脂質関連障害が含まれる、広範囲の疾患及び障害を治療及び/又は予防するために使用され得る。
【0094】
[00107] 他の態様において、上記の固体非晶性分散剤、医薬組成物、及び単位剤形は
、酸化ストレス又はニトロソ化ストレスの状態に関連するような、NOのバイオアベイラビリティ及び/又はそれへの感受性の望まれない低下を特徴とする疾患及び障害の予防及び/又は治療に有用であり得る。
【0095】
[00108] 本開示を通して、「高血圧症」、「動脈高血圧症」又は「高血圧(HBP)
」という用語は、交換可能的に使用されて、動脈中の血圧(BP)が正常より高い、ごく一般的できわめて予防可能な慢性状態を意味する。適切に管理されなければ、それは、いくつかの重篤な心臓血管系及び腎臓の状態への重大な危険因子になる。高血圧症は、「本態性高血圧症」又は「特発性高血圧症」と呼ばれる原発性疾患であり得るか、又はそれは、他の疾患に起因する場合があり、その症例では、「二次性高血圧症」として分類される。本態性高血圧症が全症例の90~95%を占める。
【0096】
[00109] 本明細書に使用されるように、「抵抗性高血圧症」という用語は、異なる抗
高血圧薬の群に属する3種の降圧剤の同時使用にも拘らず、目標血圧(通常は140/90mmHg未満であるが、糖尿病又は腎疾患の併発患者では、130/80mmHg未満というより低い目標が推奨される)より高いままである高血圧症を意味する。その血圧を管理するのに4種以上の薬物を必要とする人々も、抵抗性高血圧症を有するとみなされる。高血圧症は、糖尿病においてごく一般的な併発状態であって、肥満、民族性、及び年齢に依拠して、糖尿病患者の約20~60%が罹患する。本明細書では、この種の高血圧症を「糖尿病性高血圧症」と呼ぶ。2型糖尿病では、中心性肥満と脂質異常症も含まれるインスリン抵抗性の代謝性症候群の一部として、高血圧症がしばしば存在している。1型糖尿病では、高血圧症が糖尿病性腎症の発現を反映する場合がある。
【0097】
[00110] 「肺高血圧症(PH)」は、本明細書に使用されるように、肺血管系(肺動
脈、肺静脈、及び肺毛細血管)における血圧の持続的な上昇を特徴とする疾患であって、右心肥大をもたらして、最終的には右心不全と死につながる。PHの一般症状には、息切れ、めまい、及び失神が含まれ、そのいずれも労作によって悪化する。治療しなければ、診断後のメジアン余命は、2.8年である。PHは、その病因に従って分類される、多くの異なる形態で存在する。そのカテゴリーには、肺動脈高血圧症(PAH)、左心疾患を伴うPH、肺疾患及び/又は低酸素血症に関連したPH、慢性の血栓性及び/又は塞栓性疾患によるPH、及びその他のPHが含まれる。PAHは、一般の人口集団では稀であるが、罹患率は、HIV感染、強皮症、及び鎌状赤血球症のようなある一般的な状態に関連して増加する。一般に、他の形態のPHの方がPAHより一般的であって、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)とPHの関連については、特に懸念されている。肺高血圧症への現行の治療は、該疾患の病期と機序に依拠する。
【0098】
[00111] 本明細書に使用されるように「心不全」は、結局は複雑な臨床症候群をもた
らす左心室(LV)心筋再構築の進行性障害であって、そこでは心機能障害と循環鬱血が明確な特徴であって、血液及び栄養素の身体組織への不十分な送達を生じる。この状態が発生するのは、心臓が傷害されるか又は酷使されて、全身循環からそれへ戻るすべての血液を汲み出すことができない場合である。汲み出される血液が少ないので、心臓へ戻る血液が渋滞して、体液が身体の他の部分に蓄積する。心不全はまた、ナトリウムと水を処理する腎臓の能力を損害して、体液貯留をさらに複雑にする。心不全は、進行性の循環不全に寄与する、自律神経機能不全、神経ホルモン活性化、及びサイトカインの過剰産生を特徴とする。心不全の症状には:運動時又は休息時の呼吸困難(息切れ)と突然の息切れによる夜間覚醒が含まれて、いずれも肺浮腫、全身疲労又は虚弱、脚、足首、及び肢の浮腫、急速な体重増加、慢性咳(痰又は血液を生じるものが含まれる)を示唆する。その臨床症状に依存して、心不全は、新規発症性(de novo)、一過性、又は慢性として分類される。急性心不全(即ち、緊急治療が求められる症状の急速的又は漸進的な発現)は、新規に発現する場合もあれば、慢性心不全が非代償性になった結果として発現する場合もある。糖尿病は、心不全患者に一般的な併存疾患であって、治療法の効能を潜在的に棄損することだけでなく転帰不良に関連する。他の重要な併存疾患には、全身性高血圧症、慢性気道閉塞、睡眠時無呼吸、認知機能障害、貧血、慢性腎疾患、及び関節炎が含まれる。慢性左心不全は、しばしば肺高血圧症の発症に関連する。ある併存疾患の頻度は、性によって変動する:女性の間では、高血圧症と甲状腺疾患がより一般的であるのに対して、男性では、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、末梢血管疾患、冠動脈疾患、及び腎不全に罹患することがより多い。うつ病は、心不全で頻発する併存疾患であって、この2つの状態は、互いを悪化させる可能性があって、実際にそうなることが多い。悪液質は、心不全の重篤で頻発する合併症として長く認識されてきて、すべての心不全患者の15%以下に影響を及ぼして、予後不良に関連する。心悪液質は、6ヶ月の期間にわたる、少なくとも6%の体重の非浮腫性で不随意性の損失と定義される。
【0099】
[00112] 「睡眠時無呼吸」という用語は、ごく一般的な睡眠障害性の呼吸障害を意味
する。それは、気流の間欠的、周期的な低下又は完全停止を特徴とする状態であって、上気道の閉塞を伴う場合も伴わない場合もある。閉塞性睡眠時無呼吸(最も一般的な形態)、中枢性睡眠時無呼吸、及び混合型睡眠時無呼吸という、3種類の睡眠時無呼吸がある。
【0100】
[00113] 「中枢性睡眠時無呼吸(CSA)」は、気道の物理的な遮断ではなくて、脳
の正常な呼吸シグナルにおける機能不良によって引き起こされる。呼吸作業の不足は、血中二酸化炭素の増加をもたらし、それにより患者が目を覚ます場合がある。CSAは、一般集団では稀であるが、収縮期心不全の患者では、比較的多く発生する。
【0101】
[00114] 本明細書に使用されるように、「代謝性症候群」、「インスリン抵抗性症候
群」、又は「症候群X」という用語は、偶発的に単独で生じるよりは一緒に生じることが多くて、2型糖尿病と心臓血管系疾患の発症を一緒に促進する代謝性状態(腹部肥満、絶食時血糖の上昇、「脂質異常症」(即ち、脂質レベルの上昇)、及び血圧上昇(HBP))の群又はクラスターを意味する。代謝性症候群は、増加したトリグリセリドの特異的な脂質プロフィール、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-コレステロール)の減少、及び、(いくつかの事例では)低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-コレステロール)レベルの中等度上昇、並びに、成分リスク因子の圧力による「アテローム性動脈硬化疾患」の急速な進行を特徴とする。数種類の脂質異常症があり、「高コレステロール血症」は、コレステロールレベルの上昇を意味する。家族性高コレステロール血症は、第19染色体(19p13.1-13.3)上の異常による、高コレステロール血症の特殊な形態である。「高グリセリド血症」は、グリセリドレベルの上昇を意味する(例えば、「高トリグリセリド血症」は、トリグリセリドレベルの上昇に関与する)。「高リポタンパク質血症」は、リポタンパク質(他に特定しなければ、通常はLDL)レベルの上昇を意味する。
【0102】
[00115] 本明細書に使用されるように、通常は「末梢動脈疾患(PAD)」又は「末
梢動脈閉塞疾患(PAOD)」とも呼ばれる「末梢血管疾患(PVD)」という用語は、冠動脈、大動脈弓血管系、又は脳の内部には無い大動脈の閉塞を意味する。PVDは、アテローム性動脈硬化症、狭窄をもたらす炎症プロセス、塞栓症、又は血栓形成より生じる可能性がある。それは、急性又は慢性のいずれかの「虚血(血液供給の不足)」を引き起こす。しばしばPVDは、下肢に見出されるアテローム動脈硬化性の遮断に言及するために使用される用語である。PVDには、動脈のエピソード狭窄(例、「レイノー現象」)又はその拡張(肢端紅痛症)、即ち、血管攣縮より生じる微小血管疾患として分類される疾患の亜集合も含まれる。
【0103】
[00116] 「血栓症」という用語は、循環系を通る血流を妨害する、血管内での血塊(
「血栓」)の形成を意味する。血管が損傷されると、身体は、血小板(栓球)とフィブリンを使用して血塊を形成して、血液損失を防ぐ。あるいは、血管が損傷してないときでも、しかるべき条件が揃えば、血塊が体内で形成される場合がある。血栓形成があまりに重篤で、血塊が砕けてしまうと、移動する血塊は、今度は「塞栓」として知られる。「血栓塞栓症」という用語は、血栓症とその主要な合併症である「塞栓症」の組合せを意味する。血栓が動脈内腔の表面積の75%より多くを占めるとき、組織へ供給される血流は、酸素減少(低酸素症)と乳酸のような代謝産物の蓄積(「痛風」)故の諸症状を引き起こすのに十分なほど低下する。90%より多い閉塞は、酸素の完全な喪失である無酸素症と、細胞死の一形式である「梗塞」を生じる可能性がある。
【0104】
[00117] 「塞栓症」(複数の塞栓症)は、動脈床の狭い毛細血管の中へ塞栓(動脈の
毛細血管床をその起源から離れた部位で詰まらせることが可能な、剥離した血管内の塊)
を留めて、身体の離れた部分で遮断(血管閉塞)を引き起こすイベントである。これは、起源部位で遮断する血栓症と混同してはならない。
【0105】
[00118] 「卒中」又は脳血管発作(CVA)は、脳への血液供給の妨害による、脳機
能(複数でもよい)の急速な喪失である。これは、遮断(血栓症、動脈塞栓症)又は出血(血液の漏出)によって引き起こされる「虚血」(血流の不足)の故であり得る。結果として、影響を受けた脳領域が機能し得なくなって、身体の片側の1本以上の手足を動かすことができないこと、発話を理解するか又は組立てることができないこと、又は視野の一方を見ることができないことを生じる可能性がある。卒中のリスク因子には、高齢、高血圧症、卒中又は一過性虚血性発作(TIA)の既往歴、糖尿病、高コレステロール、喫煙、及び心房細動が含まれる。高血圧は、最も重要で修復可能な卒中のリスク因子である。「虚血性卒中」は、時には、病院において血栓溶解法(「クロットバスター」としても知られる)で治療されて、神経外科手術から利益を得る出血性卒中もある。再発の予防には、アスピリン及びジピリダモールのような抗血小板薬の投与、高血圧症の管理及び抑制、及びスタチン類の使用を伴う場合がある。選択される患者では、頸動脈内膜剥離術と抗凝固薬の使用から利益を得る場合がある。
【0106】
[00119] 「虚血」は、組織への血液供給の制限であって、(組織を生かすために)細
胞代謝に必要とされる酸素及びグルコースの不足を引き起こす。虚血は、一般的には、血管の問題によって引き起こされて、結果的に組織への傷害又はその機能不全を生じる。それはまた、鬱血(血管収縮、血栓症、又は塞栓症のような)より時々生じる身体の所与部分における局所貧血を意味する。
【0107】
[00120] 米国精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル、第4版」(DSM-
IV)によれば、「性機能障害」という用語には、「性的欲望における障害と性的反応周期に関連した神経生理学的変化における障害を特徴とする」一連の状態が含まれるが、一方でこの種の問題はありふれたものであって、性機能障害が存在するとみなされるのは、その問題が患者へに苦痛を引き起こす場合だけである。性機能障害は、その起源が身体的でも心理学的でもあり得る。それは、一般的にはホルモンに由来する、原発性の状態として存在し得るが、ほとんどの場合、それは、他の医学的状態、又は前記状態への薬物療法に続発する。全種類の性機能障害は、終生型、獲得型、状況型、又は全般型(又はこれらの組合せ)としてさらに分類され得る。
【0108】
[00121] DSM-IV-TRでは、性的欲望/関心の障害;「性的興奮障害(性器型
、主観型、及び混合型が含まれる)」;オルガズム障害;性的疼痛及び膣痙;及び永続的な性的興奮障害という「女性性機能障害」の5つの主要カテゴリーが特定されている。
【0109】
[00122] 「冷感症(FSAD:女性の性的興奮障害)」は、個人的苦痛を引き起こす
、十分なレベルの性的興奮を達成又は維持することの永続性又は再発性の不能として定義される。FSADには、主観的な興奮感情の不足(即ち、主観的な性的興奮障害)と潤滑及び膨潤のような身体反応の不足(即ち、性器/身体の性的興奮障害)がともに含まれる。FSADは、厳密には、起源が心理学的なものであり得るが、一般的には、医学的又は生理学的な要因によって引き起こされるか又は複雑化される。低エストロゲン症は、FSADに関連した最も一般的な生理学的状態であって、泌尿生殖器萎縮と膣潤滑の減少をもたらす。
【0110】
[00123] 本明細書に使用されるように、「勃起不全(ED)」は、性行為の間に陰茎
の勃起を発現又は維持することの不能を特徴とする男性性機能障害である。陰茎勃起は、陰茎内の海綿様体の中に血液が流入して保持されることの水圧効果である。このプロセスは、しばしば、性的興奮の結果として開始され、このとき脳からのシグナルが陰茎中の神
経へ伝播される。勃起不全が示されるのは、勃起をもたらすことが困難である場合である。最も重要な器質的原因は、心臓血管系疾患と糖尿病、神経学的な問題(例えば、前立腺切除手術に由来する外傷)、ホルモン不足(性腺機能低下症)、及び薬物の副作用である。
【0111】
[00124] 本明細書に使用されるように、「気管支収縮」という用語は、周囲の平滑筋
の締付けによる肺中の気道の収縮と、それに続発する咳、喘鳴、及び息切れを明確化するために使用される。この状態にはいくつかの原因があって、その最も一般的なのは、喘息である。運動とアレルギーは、他の点で無症候性の個体に対して症状を持ち込む可能性がある。慢性閉塞性肺疾患(COPD)のような他の状態も、気管支収縮とともに出現する可能性がある。
【0112】
[00125] 本発明のsGC刺激薬を投与することによって治療及び/又は予防し得る特
定の疾患又は障害には、限定されないが:高血圧症(例、糖尿病性高血圧症、動脈高血圧症、肺高血圧症、抵抗性高血圧症、末梢動脈疾患、等)、心不全(例、左心室拡張機能障害(LVDD)と左心室収縮機能障害(LVSD))、駆出率が保たれた心不全(HFpEF;拡張期心不全とも呼ばれる)、駆出率が低下した心不全(HFrEF;収縮期心不全とも呼ばれる)、心不全随伴性の睡眠時無呼吸、動脈硬化疾患(例、アテローム性動脈硬化症)、血栓塞栓性障害(例、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、血栓症、卒中、塞栓症、肺塞栓症)、アルツハイマー病、腎疾患(例、腎線維症、虚血性腎疾患、腎不全、腎機能不全、慢性腎臓疾患)、肝疾患(例、肝線維症又は肝硬変)、呼吸疾患(例、肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患)、性的障害(例、勃起不全、男性及び女性の性機能障害、膣萎縮)、鎌状赤血球貧血、神経炎症性疾患又は障害、及び代謝性障害(例、脂質関連障害)が含まれる。
【0113】
[00126] 本発明の固体分散剤、医薬製剤、及び剤形は、sGC刺激又はNO経路の上
方制御より利益を得る可能性がある、以下の種類の疾患、状態、及び障害の予防及び/又は治療に有用である。
【0114】
(1)他の点で循環に関連する、末梢、肺、肝臓、腎臓、心臓、又は脳の血管/内皮障害/状態又は疾患:
・急性及び慢性の冠血圧の増加のような、高血圧と冠血流減少に関連した障害、動脈高血圧症、及び心及び腎合併症より生じる血管障害(例、心疾患、卒中、脳虚血、腎不全);駆出率が保たれた心不全(HFpEF;拡張期心不全とも呼ばれる)、駆出率が低下した心不全(HFrEF;収縮期心不全とも呼ばれる)、抵抗性高血圧症、糖尿病性高血圧症、鬱血性心不全;拡張又は収縮機能障害;冠不全;不整脈;心室前負荷の低下;心肥大;心不全/心腎症候群;門脈圧亢進症;内皮機能不全又は損傷;
・心筋梗塞、卒中、一過性虚血性発作(TIAs)のような血栓塞栓性障害と虚血;閉塞性血栓血管炎;安定及び不安定狭心症;冠動脈攣縮、異型狭心症、プリンツメタル狭心症;血栓溶解療法後再狭窄の予防;血栓形成障害;
・末梢動脈疾患、末梢閉塞性動脈疾患;末梢血管疾患;緊張亢進;レイノー症候群又は現象、重症下肢虚血、脈管炎;末梢塞栓症;間欠性跛行;血管閉塞危機;デュシェンヌ型筋ジストロフィー;ベッカー型筋ジストロフィー;微小循環異常;血管漏出又は透過性の制御;
・ショック;敗血症;心原性ショック;白血球活性化の制御;血小板凝集の阻害又は調節;
・肺高血圧症、肺動脈高血圧症、及び関連した肺血管再構築(例、局在化血栓症と右心肥大);肺緊張亢進;原発性肺高血圧症、二次性肺高血圧症、家族性肺高血圧症、散発性肺高血圧症、前毛細血管肺高血圧症、特発性肺高血圧症、血栓性肺動脈症、多因性肺動脈症;嚢胞性線維症;気管支収縮又は肺気管支収縮;急性呼吸窮迫症候群;肺線維症、肺移
植といった、肺/呼吸状態;
・左心室機能不全、低酸素血症、WHO I、II、III、IV、及びV群の高血圧症、僧帽弁疾患、収縮性心膜炎、大動脈弁狭窄症、心筋症、縦隔線維症、肺線維症、肺静脈環流異常、肺静脈閉塞性疾患、肺脈管炎、膠原血管疾患、先天性心疾患、肺静脈高血圧症、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸、肺胞低換気障害、高所への慢性曝露、新生児肺疾患、肺胞毛細血管形成異常、鎌状赤血球症、他の凝固障害、慢性血栓塞栓症、肺塞栓症(腫瘍、寄生虫、又は異物による)、結合組織疾患、狼瘡、住血吸虫症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気腫、慢性気管支炎、肺毛細血管腫症;組織球症X、リンパ管腫症、及び圧縮肺血管(アデノパシー、腫瘍、又は線維性縦隔炎による)に関連又は関係する肺高血圧症;
・アテローム性動脈硬化症のような動脈硬化性の疾患又は状態(例えば、内皮損傷、血小板及び単球の付着及び凝集、平滑筋の増殖及び遊走に関連した);再狭窄(例えば、血栓溶解療法、経皮経管的血管形成術(PTA)、経皮経管的冠血管形成術(PTCA)及びバイパス手術後に発症する);炎症;
・代謝性症候群(例、肥満、脂質異常症、糖尿病、高血圧)に関連した心臓血管系疾患;脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、脂肪肝疾患、及び肝炎のような脂質関連障害;子癇前症;多発性嚢胞腎疾患の進行;皮下脂肪;肥満;
・慢性肝疾患、肝線維症、肝星細胞活性化、肝線維性コラーゲン及び全コラーゲン蓄積に関連した肝硬変;壊死炎症性、及び/又は免疫学的起源の肝疾患;及び、腎線維症と慢性腎疾患又は不全(例えば、蓄積/沈積と組織損傷、進行性硬化症、糸球体腎炎による)より生じる腎不全のような泌尿生殖器系障害;前立腺肥大;全身性硬化症;心間質性線維症;心再構築及び線維症;心肥大;非アルコール性脂肪性肝炎又はNASH;
(2)虚血、再灌流傷害;臓器移植、肺移植、肺臓移植、心臓移植に関連した虚血/再灌流;外傷患者における血液代替物の保存;
(3)性的、婦人科系、及び泌尿器系の障害又は状態:勃起不全;インポテンス;早漏;女性性機能障害(例、女性の性的興奮障害、低機能性の性的興奮障害)、膣萎縮、性交痛(dyspaneuria)、萎縮性膣炎;良性前立腺肥大(BPH)又は肥大又は拡大、膀胱出口閉塞;膀胱痛症候群(BPS)、間質性嚢胞症(IC)、過活動膀胱、神経因性膀胱及び失禁;糖尿病性腎症;
(4)眼の疾患又は障害:緑内障、網膜症、糖尿病性網膜症、眼瞼炎、ドライアイ症候群、シェーグレン症候群;
(5)聴覚の疾患又は障害:聴覚障害、部分的又は全体的な失聴;部分的聴覚消失又は全聾;耳鳴;騒音誘発性の失聴;
(6)局所又は皮膚の障害又は状態:皮膚線維症、強皮症、皮膚線維症;
(7)創傷治癒:例えば、糖尿病患者における;微小血管灌流改善(例えば、損傷後、周術期ケアにおける炎症反応に対抗する)、裂肛、糖尿病性潰瘍;
(8)他の疾患又は状態:癌転移、骨粗鬆症、胃麻痺;機能性ディスペプシア;糖尿病性合併症、内皮機能不全に関連した疾患、及び一酸化窒素産生の減少に関連した神経障害;アカラシア又は食道アカラシア。
【0115】
(9)アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS又はルー・ゲーリック病)、ダウン症候群、認知症、血管性認知症、血管性認知障害、ビンスワンガー認知症(皮質下動脈硬化性脳症)、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL又はCADASIL症候群)、前頭側頭葉変性症又は認知症、HIV関連認知症、レビー小体型認知症、初老期認知症(軽度認知障害、MCI)、緑内障、ハンチントン病(又は舞踏病、HD)、多発性硬化症(MS)、多系統萎縮症(MSA)、パーキンソン病、パーキンソン・プラス症候群、脊髄小脳失調症、スティール・リチャードソン・オルスゼフスキー病(進行性核上性麻痺)、注意欠陥障害(ADD)又は注意欠陥多動性障害(ADHD)より選択される、CNS疾患、健康状態又は障害;
(10)アルツハイマー病又は発症前アルツハイマー病、軽度~中等度アルツハイマー病、又は中等度~重度アルツハイマー病より選択されるCNS障害又は状態;
(11)CNS障害は、外傷性(閉鎖性又は開放性、穿通性の頭部損傷)、外傷性脳損傷(TBI)、又は脳への非外傷性(卒中、動脈瘤、低酸素症)損傷、又は脳損傷又は神経変性障害に由来する認知障害又は機能不全のいずれかより選択される;
(12)CNS疾患又は障害は、ジストニア(例えば、全身性、限局性、分節性、生殖性、中間性、急性のジストニー反応が含まれる)と遺伝性/原発性ジストニア;及び、ジスキネシア(例えば、急性、慢性/遅発性、又は非運動又はレボドーパ誘発性ジスキネシア(LID)が含まれる)より選択される;
(13)CNS疾患又は障害は、シナプス可塑性及びシナプスプロセスの相対的な低下を特徴とする障害(例えば、脆弱X症候群、レット障害、ウィリアムス症候群、レンペニング症候群、自閉スペクトラム障害(自閉症が含まれる)、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、又は小児期崩壊性障害が含まれる)より選択される;
(14)CNS障害は、神経障害性疼痛である;
(15)CNS障害は、双極性障害、統合失調症、全般性精神病、薬物誘発性精神病、妄想性障害、統合失調感情障害、強迫性障害(OCD)、抑うつ障害、不安障害、パニック障害、又は外傷後ストレス障害(PTSD)より選択される、精神神経系、精神、気分、又は情動の障害である;又は
(16)CNS障害は、ケモブレイン、レボドーパ誘発性嗜癖行動、アルコール中毒症、麻薬依存症(限定されないが、アンフェタミン、オピエート、又は他の物質が含まれる)、又は薬物乱用より選択される。
【0116】
[00127] 本発明の他の態様において、本発明の固体分散剤、医薬製剤、及び固体剤形
は、sGC刺激又はNO経路の上方制御より利益を得る可能性がある、以下の種類の疾患、状態及び障害の予防及び/又は治療に有用である:
[00128] 高血圧症、抵抗性高血圧症、糖尿病性高血圧症、肺高血圧症(PH)、肺動
脈高血圧症、COPD随伴性のPH、慢性気流閉塞、喘息又は肺線維症、血栓症、塞栓症、血栓塞栓性障害、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、右心肥大、心不全、拡張期機能不全、収縮期機能不全、心不全随伴性の睡眠時無呼吸、肝硬変、腎線維症、慢性腎疾患又は機能不全より生じる腎不全、代謝性障害、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、脂肪肝疾患、肝炎、勃起不全、女性性機能障害、女性性的興奮障害、又は膣萎縮。
【0117】
[00129] いくつかの態様において、本発明は、上記に図示した式のいずれかの化合物
又はその医薬的に許容される塩の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなる、疾患、健康状態、又は障害を対象において治療する方法に関し、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、上記に収載した疾患の1つより選択される。
【0118】
[00130] 他の態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、末梢、肺、肝臓、腎臓
、心臓又は脳の血管/内皮障害又は状態、又は急性及び慢性の冠血圧増加、動脈高血圧症、及び心及び腎の合併症より生じる血管障害、心疾患、卒中、脳虚血、腎不全;抵抗性高血圧症、糖尿病性高血圧症、鬱血性心不全;拡張又は収縮機能不全;冠不全;不整脈;心室前負荷の低下;心肥大;心不全/心腎症候群;門脈圧亢進症;内皮機能不全又は損傷;心筋梗塞、卒中又は一過性虚血性発作(TIAs);閉塞性血栓血管炎;安定又は不安定狭心症;冠動脈攣縮、異型狭心症、プリンツメタル狭心症;血栓溶解療法の結果としての再狭窄;又は血栓形成障害より選択される、他の点で循環に関連する疾患より選択される。
【0119】
[00131] なお他の態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、末梢血管/内皮障
害又は状態、又は末梢動脈疾患、末梢閉塞性動脈疾患;末梢血管疾患;緊張亢進;レイノ
ー症候群又は現象;重症下肢虚血;脈管炎;末梢塞栓症;間欠性跛行;血管閉塞危機;デュシェンヌ型及びベッカー型筋ジストロフィー;微小循環異常;又は血管漏出又は透過性の問題より選択される、他の点で循環に関連する疾患より選択される。
【0120】
[00132] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、肺障害又は状態、
又は、肺高血圧症;肺動脈高血圧症と関連した肺血管再構築;局在化血栓症;右心肥大;;肺緊張亢進;原発性肺高血圧症、二次性肺高血圧症、家族性肺高血圧症、散発性肺高血圧症、前毛細血管肺高血圧症、特発性肺高血圧症、血栓性肺動脈症、多因性肺動脈症;嚢胞性線維症;気管支収縮又は肺気管支収縮;急性呼吸窮迫症候群;肺線維症、及び肺移植より選択される、他の点で循環に関連する疾患である。上記態様のいくつかにおいて、肺高血圧症は、左心室機能不全、低酸素血症、WHO I、II、III、IV、及びV群の高血圧症、僧帽弁疾患、収縮性心膜炎、大動脈弁狭窄症、心筋症、縦隔線維症、肺線維症、肺静脈環流異常、肺静脈閉塞性疾患、肺脈管炎、膠原血管疾患、先天性心疾患、肺静脈高血圧症、間質性肺疾患、睡眠呼吸障害、睡眠時無呼吸、肺胞低換気障害、高所への慢性曝露、新生児肺疾患、肺胞毛細血管形成異常、鎌状赤血球症、凝固障害、慢性血栓塞栓症、肺塞栓症(腫瘍、寄生虫、又は異物による);結合組織疾患、狼瘡、住血吸虫症、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患、喘息、気腫、慢性気管支炎、肺毛細血管腫症;組織球症X、リンパ管腫症、又は圧縮肺血管(アデノパシー、腫瘍、又は線維性縦隔炎による)に関連又は関係する肺高血圧症である。
【0121】
[00133] なお他の態様において、該健康状態又は障害は、血管又は内皮の障害又は状
態、又は動脈硬化性疾患;アテローム性動脈硬化症;内皮損傷に関連したアテローム性動脈硬化症、血小板及び単球の付着及び凝集に関連したアテローム性動脈硬化症、平滑筋の増殖及び遊走に関連したアテローム性動脈硬化症;再狭窄、血栓溶解療法後に発症する再狭窄、経皮経管的血管形成術後に発症する再狭窄;経皮経管的冠血管形成術及びバイパス手術後に発症する再狭窄;炎症;代謝性症候群、肥満、脂質異常症、糖尿病、又は高血圧に関連した心臓血管系疾患;脂質関連障害、脂質異常症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、シトステロール血症、脂肪肝疾患、及び肝炎;子癇前症;多発性嚢胞腎疾患の進行、又は皮下脂肪より選択される、他の点で循環に関連する疾患である。
【0122】
[00134] さらに他の態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、肝硬変、慢性肝
疾患随伴性の肝硬変、肝線維症、肝星細胞活性化、肝線維性コラーゲン及び全コラーゲン蓄積;又は壊死炎症性又は免疫学的起源の肝疾患より選択される。
【0123】
[00135] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、腎線維症;慢性腎
疾患又は不全より生じる腎不全;蓄積又は沈積と組織損傷、進行性硬化症、又は糸球体腎炎による腎不全;又は前立腺肥大より選択される泌尿生殖器系障害である。
【0124】
[00136] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、全身性硬化症であ
る。
[00137] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、心間質性線維症;
心再構築及び線維症、又は心肥大より選択される心障害である。
【0125】
[00138] いくつかの態様において、該障害は、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化
症(ALS又はルー・ゲーリック病)、ダウン症候群、認知症、血管性認知症、血管性認知障害、ビンスワンガー認知症(皮質下動脈硬化性脳症)、皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体優性脳動脈症(CADASIL又はCADASIL症候群)、前頭側頭葉変性症又は認知症、HIV関連認知症、レビー小体型認知症、初老期認知症(軽度認知障害、MCI)、緑内障、ハンチントン病(又は舞踏病、HD)、多発性硬化症(MS)、多系統萎縮症(MSA)、パーキンソン病、パーキンソン・プラス症候群、脊髄小脳失調症、ス
ティール・リチャードソン・オルスゼフスキー病(進行性核上性麻痺)、注意欠陥障害(ADD)又は注意欠陥多動性障害(ADHD)より選択される、CNS疾患、健康状態、又は障害である。
【0126】
[00139] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、アルツハイマー病
又は発症前アルツハイマー病、軽度~中等度アルツハイマー病、又は中等度~重度アルツハイマー病より選択される、CNS障害又は状態である。
【0127】
[00140] 他の態様において、CNS障害は、外傷性(閉鎖性又は開放性、穿通性の頭
部損傷)、外傷性脳損傷(TBI)、又は脳への非外傷性(卒中、動脈瘤、低酸素症)損傷、又は脳損傷又は神経変性障害に由来する認知障害又は機能不全のいずれかより選択される。
【0128】
[00141] 他の態様において、CNS疾患又は障害は、ジストニア(例えば、全身性、
限局性、分節性、生殖性、中間性、急性のジストニー反応が含まれる)と遺伝性/原発性ジストニア;及び、ジスキネシア(例えば、急性、慢性/遅発性、又は非運動又はレボドーパ誘発性ジスキネシア(LID)が含まれる)より選択される。
【0129】
[00142] 他の態様において、CNS疾患又は障害は、シナプス可塑性及びシナプスプ
ロセスの相対的な低下を特徴とする障害(例えば、脆弱X症候群、レット障害、ウィリアムス症候群、レンペニング症候群、自閉スペクトラム障害(自閉症が含まれる)、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、又は小児期崩壊性障害が含まれる)より選択される。
【0130】
[00143] 他の態様において、CNS障害は、神経障害性疼痛である。
[00144] 他の態様において、CNS障害は、双極性障害、統合失調症、全般性精神病
、薬物誘発性精神病、妄想性障害、統合失調感情障害、強迫性障害(OCD)、抑うつ障害、不安障害、パニック障害、又は外傷後ストレス障害(PTSD)より選択される、精神神経系、精神、気分、又は情動の障害である。
【0131】
[00145] 他の態様において、CNS障害は、ケモブレイン、レボドーパ誘発性嗜癖行
動、アルコール中毒症、麻薬依存症(限定されないが、アンフェタミン、オピエート、又は他の物質が含まれる)、又は薬物乱用より選択される。
【0132】
[00146] いくつかの態様において、該疾患又は障害は、アカラシア又は食道アカラシ
アである。
[00147] 他の態様において、該疾患又は障害は、非アルコール性脂肪性肝炎又はNA
SHである。
【0133】
[00148] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、虚血、再灌流傷害
;臓器移植、肺移植、肺臓移植、又は心臓移植に関連した虚血/再灌流障害;外傷患者における血液代替物の保存より選択される。
【0134】
[00149] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、勃起不全;インポ
テンス;早漏;女性性機能障害;女性の性的興奮障害;低機能性の性的興奮障害、膣萎縮、性交痛(dyspaneuria)、萎縮性膣炎;良性前立腺肥大(BPH)又は肥大又は拡大;膀胱出口閉塞;膀胱痛症候群(BPS);間質性嚢胞症(IC);過活動膀胱、神経因性膀胱;失禁;又は糖尿病性腎症より選択される、性的、婦人科系、及び泌尿器系の障害又は状態である。
【0135】
[00150] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、膣萎縮、性交痛(d
yspaneuria)、又は萎縮性膣炎より選択される。
[00151] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、良性前立腺肥大(
BPH)又は肥大又は拡大;膀胱出口閉塞;膀胱痛症候群(BPS);間質性嚢胞症(IC);過活動膀胱、神経因性膀胱、又は失禁より選択される。
【0136】
[00152] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、勃起不全;インポ
テンス;早漏;女性性機能障害;女性の性的興奮障害、又は低機能性の性的興奮障害より選択される、性的状態である。
【0137】
[00153] さらなる態様において、該疾患又は障害は、糖尿病性腎症である。
[00154] さらなる態様において、該疾患又は障害は、糖尿病性網膜症である。
[00155] さらなる態様において、該疾患又は障害は、心不全である。いくつかの態様
において、心不全は、駆出率が保たれた心不全(HFpEF;拡張期心不全とも呼ばれる)である。他の態様において、心不全は、駆出率が低下した心不全(HFrEF;収縮期心不全とも呼ばれる)である。
【0138】
[00156] さらなる態様において、該疾患、健康状態、又は障害は、デュシェンヌ型筋
ジストロフィー又はベッカー型筋ジストロフィーである。
[00157] さらなる態様において、該疾患は、緑内障、網膜症、糖尿病性網膜症、眼瞼
炎、ドライアイ症候群、シェーグレン症候群より選択される、眼の疾患又は障害である。
【0139】
[00158] さらなる態様において、該疾患は、聴覚障害、部分的又は全体的な失聴;部
分的聴覚消失又は全聾;耳鳴;又は騒音誘発性の失聴聴覚より選択される、聴覚疾患又は障害である。
【0140】
[00159] さらなる態様において、該疾患は、皮膚線維症、強皮症、又は皮膚線維症よ
り選択される、局所又は皮膚の障害又は状態である。
[00160] さらなる態様において、該治療は、創傷治癒;糖尿病患者における創傷治癒
;微小血管灌流の改善;損傷後の微小血管灌流問題の改善;裂肛の治療;又は糖尿病性潰瘍の治療に関わる。
【0141】
[00161] さらなる態様において、該疾患又は状態は、癌転移;骨粗鬆症;胃麻痺;機
能性ディスペプシア;糖尿病性合併症;内皮機能不全に関連した疾患、又は一酸化窒素産生の減少に関連した神経障害より選択される。
【0142】
[00162] 「疾患」、「障害」、及び「状態」という用語は、sGC、cGMP、及び
/又はNO介在性の医学的又は病理学的状態に言及するために、本明細書では交換可能的に使用し得る。
【0143】
[00163] 本明細書に使用されるように、「対象」及び「患者」という用語は、交換可
能的に使用される。「対象」及び「患者」という用語は、動物(例、ニワトリ、ウズラ、又は七面鳥のようなトリ、又は哺乳動物)を意味して、具体的に「哺乳動物」には、非霊長動物(例、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ウサギ、モルモット、ラット、ネコ、イヌ、及びマウス)と霊長動物(例、サル、チンパンジー、及びヒト)が含まれ、そしてより具体的には、ヒトが含まれる。いくつかの態様において、対象は、酪農動物(例、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ)、又はペット(例、イヌ、ネコ、モルモット、又はウサギ)のような非ヒト動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトである。
【0144】
[00164] 本発明はまた、本発明の固体非晶性分散剤、医薬組成物、及び単位剤形を治
療の必要な対象へ投与することを含んでなる、上記の疾患、状態、及び障害の1つを対象
において治療するための方法を提供する。あるいは、本発明は、治療の必要な対象での上記の疾患、状態、及び障害の1つの治療における、本発明の固体非晶性分散剤、医薬組成物、及び単位剤形の使用を提供する。本発明は、本発明の固体非晶性分散剤、医薬組成物、又は単位剤形を使用することを含んでなる、上記の疾患、状態、及び障害の1つを治療するのに有用な医薬品を作製又は製造する方法をさらに提供する。「生体試料」という用語は、本明細書に使用されるように、試験管内(in vitro)又は体外(ex vivo)の試料を意味して、細胞培養物又はその抽出物;哺乳動物より入手される生検材料、又はその抽出物;血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、リンパ液、眼液、硝子体液、又は他の体液又はその抽出物が限定なしに含まれる。
【0145】
[00165] 本明細書に記載される化合物及び医薬組成物は、sGC、cGMP、及び/
又はNOによって媒介される、調節される、又は影響される疾患又は障害の治療又は予防のために、単独で、又は併用療法で使用することができる。
【0146】
[00166] 本明細書に開示される固体非晶性分散剤、医薬組成物、及び単位剤形はまた
、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、モルモット、ウサギ、ウマ、ブタ、及びウシが限定なしに含まれる、伴侶動物、エキゾチックアニマル、及び酪農動物の獣医学的治療にも有用である。
【0147】
[00167] 他の態様において、本発明は、生体試料を本発明の固体分散剤、医薬組成物
、又は単位剤形と接触させる工程を含んでなる、前記生体試料においてsGC活性を刺激する方法を提供する。本発明の固体分散剤、医薬組成物、又は単位剤形の生体試料における使用は、当業者に知られた多様な目的に有用である。そのような目的の例には、限定なしに、生物学的アッセイと生体標本保存が含まれる。
【実施例0148】
機器
X線粉末回折計(XRPD)
水圧式手動タブレットプレス
ターブラシェーカー(Glen Mills)
化学天秤(Analytical balance)
トップ・ローディング天秤(Top loading balance)
UPLC1:Waters Acquity UPLC
インキュベーターシェーカー
超音波破砕機
エッペンドルフ(Eppendorf)遠心機
錠剤硬度テスター
示差走査熱量計(DSC)
卓上型スプレードライヤー:Buchi B290
顕微鏡/デジタルカメラ
熱重量分析計(TGA)
真空オーブン
湿度秤
8ステーション自動タブレットプレス
V型ブレンダー
厚さ測定器
卓上型ローラーコンパクター
クアドロ・コーミル(Quadro Comill)
誘導シーラー
崩壊試験器
pH計
実施例1A:化合物Iの小規模製造
化合物Iとその製造については、公表された特許出願公開公報(WO2014/144100(2014年9月18日)にすでに記載された。化合物Iとその製造についてのその記載
は、その全体が参照により本明細書に含まれる。
【0149】
実施例1B:化合物Iの大規模製造
i):化合物(1’)とN,O-ジメチルヒドロキシルアミンのカップリングよりN-メトキシ-N-メチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド(2’)を提供すること
【0150】
【0151】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へイソオキサゾール-3-カルボン酸((1’),241.6g,2137ミリモル、1.0当量)、トルエン(1450mL)、及びDMF(7.8g,107ミリモル、0.05当量)を入れた。生じるスラリーを45~50℃まで加熱した。次いで、反応温度を45~50℃の間に維持しながら、塩化オキサリル(325g,2559ミリモル、1.2当量)を滴下漏斗より2時間の経過にわたって入れると、激しいガス発生を観察した。添加後、茶褐色の混合物を入手した。この茶褐色の混合物を87~92℃まで1時間にわたって加熱して、87~92℃で1時間撹拌した。この反応は、HPLCによれば、完了していた。加熱の間に、この茶褐色の混合物は、暗色の溶液になった。この反応混合物の一部をピペリジン中へクエンチして、ピペリジンアミドをHPLCによってモニターすることによって、この反応についてモニターした。この暗色の混合物を20~25℃へ冷やしてから焼結ガラス濾過器に通して濾過して、あらゆる不溶物を除去した。この暗色の濾液を減圧下に濃縮して、400mL容量の暗色のオイルとした。
【0152】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ炭酸カリウム(413g,2988ミリモル、1.4当量)と水(1000mL)を入れた。この反応溶液を-10~-5℃へ冷やした。塩酸N,O-ジメチルヒドロキシアミン(229g,2348ミリモル、1.1当量)を好適な反応容器へ入れて、水(1000mL)に溶かした。次いで、このN,O-ジメチルヒドロキシアミン溶液とジクロロメタン(2500mL)を先の炭酸カリウム溶液へ入れた。
【0153】
次いで、反応温度を-10~0℃に維持しながら、上記の暗色オイル(400mL)を滴下漏斗よりゆっくり入れた。この添加はやや発熱性で、添加後に茶褐色の混合物を得た。この混合物を0~5℃で20分にわたって撹拌してから、20~25℃へ温めた。下の有機層を採取して、上の水層をジクロロメタン(400mL)で抽出した。合わせた有機層を15%塩化ナトリウム溶液(1200mL)で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させてから濾過した。その濾液を減圧下に濃縮して、中間体(2’)(261.9g,97重量%,収率76%,1H-NMRによればトルエン:3重量%、KFによる水分含量:0.04重量%)を暗色のオイルとして得た。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ
ppm 8.48 (s, 1H); 6.71(s, 1H); 3.78 (s, 3H); 3.38 (s, 3H)。
【0154】
ii):化合物(2’)とプロピオン酸エチルのアルキル化により4-(イソオキサゾ
ール-3-イル)-2-(メトキシ(メチル)アミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸(E)-エチル(3’)を提供すること
【0155】
【0156】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(2’)(72.2g,96重量%,444ミリモル、1.0当量)、プロピオン酸エチル(65.7g,670ミリモル、1.5当量)、及び無水THF(650mL)を入れた。この溶液を-65~-55℃へ冷やした。次いで、反応温度を-65~-55℃に維持しながら、THF中のナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(1M,650mL,650ミリモル、1.46当量)を滴下漏斗よりゆっくり入れた。添加が完了した後で、この混合物を-55℃未満で10分にわたって撹拌した。次いで、反応温度を-20℃未満に維持しながら1N HCl(650mL,650ミリモル、1.46当量)を入れてこの反応をクエンチして、直後に酢酸エチル(1500mL)と水(650mL)の添加を続けた。上の酢酸エチル層を採取して、下の水層を酢酸エチル(800mL)で抽出した。合わせた有機層を10%クエン酸(1000mL)と飽和塩化ナトリウム溶液(650mL)で洗浄した。この有機層を減圧下に濃縮して、暗色のオイルを得た。
【0157】
この暗色オイルをジクロロメタン/酢酸エチル/ヘプタン(150mL/100mL/100mL)の溶液に溶かした。この溶液をシリカパッド(410g)上にロードして、このシリカパッドを酢酸エチル/ヘプタン(1/1 v/v)で溶出した。その濾液(約3000mL)を採取してから減圧下に150mLの容量まで濃縮して、静置させてスラリーを得た。次いで、このスラリーへヘプタン(200mL)を加えて、このスラリーを減圧下に150mLの容量まで濃縮した。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークをヘプタン(150mL)で洗浄した。次いで、この濾過ケークを一晩空気乾燥させて、中間体(3’)(63.4g,収率56%,HPLCによる純度:>99%)を茶褐色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.42 (d, J=1.53 Hz, 1H); 6.76 (d,
J=1.53 Hz, 1H); 6.18 (s, 1H); 4.47 (q, J=7.07 Hz, 2H); 3.75 (s, 3H); 3.21 (s, 3H); 1.41 (t, J=7.17 Hz, 3H)。
【0158】
iii):化合物3’と2-フルオロベンジルヒドラジンの環化により1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸エチル(4’)を提供すること
【0159】
【0160】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(3’)(72.9g,287ミリモル、1.0当量)と無水エタノール(730mL)を入れた。この混合物を0~5℃へ冷やした。次いで、この混合物へ2-フルオロベンジルヒドラジン(48.2g,344ミリモル、1.2当量)を入れた。この混合物を0~10℃で1時間にわたって撹拌してから20~25℃へ温めて、20~25℃で16時間にわたって撹拌した。この反応は、HPLCによれば、完了していた。この反応混合物へ濃HCl(33.9g,37重量%,344ミリモル、1.2当量)を1分にわたって入れると、バッチ温度は、20℃から38℃へ発熱した。スラリーを得た。この混合物を0~10℃へ1時間にわたって冷やして、0~10℃で1時間撹拌した。生じるスラリーを濾過して、濾過ケークをエタノール(200mL)で洗浄した。この濾過ケークを30~40℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(4’)(81.3g,収率90%,HPLCによる純度:>99%)を灰白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=1.68 Hz, 1H); 7.15-7.26 (m, 2H); 6.94-7.08 (m, 2H); 6.77-6.87 (m, 1H); 6.55 (d, J=1.68 Hz, 1H); 5.95 (s, 2H); 4.43 (q, J=7.02 Hz, 2H); 1.41 (t, J=7.17 Hz, 3H)。
【0161】
iv):化合物(4’)のアミノ化により1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシイミドアミド塩酸塩(5’B)を提供すること
【0162】
【0163】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ無水塩化アンモニウム(267g,4991ミリモル、5.0当量)とトルエン(5400mL)を入れた。反応温度を20~40℃に維持しながら、トルエン中のトリメチルアルミニウム(2M,2400mL,4800ミリモル、4.8当量)を滴下漏斗よりゆっくり入れた(註:添加の間にメタンガス発生を観察した)。次いで、この混合物を75~80℃まで30分にわたって加熱して、澄明な白色の溶液を得た。この反応混合物へ中間体(4’)(315g,999ミリモル、1.0当量)を75~90℃で1時間にわたって4分量で入れた。この反応物を80~90℃で30分にわたって撹拌してから、100~110℃まで
加熱して、100~110℃で3時間にわたって撹拌した。この反応は、HPLCによれば、完了していた。この反応混合物を10~20℃へ冷やして、反応温度を10~40℃に維持しながら、メタノール(461g,14.4モル、14.4当量)を滴下漏斗よりゆっくり入れた(註:ごく発熱性のクエンチと多量のガス発生を観察した)。濃厚なスラリーを得た。次いで、反応温度を20~45℃に維持しながら、3N HCl(6400mL,3N,19.2モル、19.2当量)を滴下漏斗よりゆっくり加えた。この混合物を80~85℃まで加熱して、80~85℃で10分間にわたって撹拌して、澄明な二相性の混合物を得た。この混合物を0~5℃へ3時間にわたって冷やして、0~5℃で1時間にわたって撹拌した。生じるスラリーを濾過して、濾過ケークを水(3000mL)で洗浄した。この濾過ケークを40~50℃で24時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(5’B)(292g,収率91%,HPLCによる純度:>99%)を灰白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.52 (s, 2H); 9.33 (s, 2H); 9.18 (d, J=1.53 Hz, 1H); 7.88 (s, 1H); 7.29-7.38 (m, 1H); 7.19-7.25 (m, 1H); 7.10-7.16 (m, 1H); 7.03 (d, J=1.53 Hz, 1H); 6.92-6.98 (m, 1H); 5.91 (s, 2H)。M.P. 180-185℃。
【0164】
v):化合物(5’B)とフルオロマロン酸ジエチルの環化により5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4,6-ジオール(6’)を提供すること
【0165】
【0166】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(5’B)(224.6g,698ミリモル、1.0当量)、メタノール(2250mL)、及びフルオロマロン酸ジエチル(187g,1050ミリモル、1.5当量)を入れた。次いで、反応温度を20~35℃に維持しながら、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(567g,30重量%,3149ミリモル、4.5当量)を滴下漏斗より入れた。この混合物を20~35℃で30分にわたって撹拌しして、淡色の懸濁液を得た。この反応は、HPLCによれば、完了していた。反応温度を20~30℃に維持しながら、1.5N HCl溶液(2300mL,3450ミリモル、4.9当量)を滴下漏斗より1時間にわたって入れた。白色の懸濁液を得た。この反応混合物のpHは、pH試験紙によれば約1であった。このスラリーを20~30℃で30分にわたって撹拌した。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークを予め混合したメタノールと水(500mL/500mL)の溶液で、次いで水(1000mL)で洗浄した。この濾過ケークを50~60℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(6’)(264g,収率97%,HPLCによる純度:>99%)を灰白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm
12.82 (br. s., 1H); 12.31 (br. s., 1H); 9.14 (d, J=1.53 Hz, 1H); 7.55 (s, 1H); 7.31-7.37 (m, 1H); 7.18-7.25 (m, 1H); 7.10-7.15 (m, 2H); 6.97-7.02 (t, J=7.55 Hz, 1H); 5.88 (s, 2H)。
【0167】
vi):化合物(6’)の塩素化により3-(3-(4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(7’)を提供すること
【0168】
【0169】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(6’)(264g,711ミリモル、1.0当量)、アセトニトリル(4000mL)、及びN,N-ジメチルアニリン(138g,1137ミリモル、1.6当量)を入れた。このスラリー混合物を70~80℃まで加熱した。次いで、反応温度を70~80℃に維持しながら、オキシ塩化リン(655g,4270ミリモル、6.0当量)を滴下漏斗より1時間にわたって入れた。この混合物を75~80℃で22時間にわたって撹拌して、茶褐色の溶液を得た。この反応は、HPLCによれば、完了していた。次いで、この混合物を0~5℃へ冷やすと、綿様の固形物が25℃で析出した。反応温度を0~10℃に維持しながら、水(3000mL)を滴下漏斗よりゆっくり入れた。このスラリーを0~10℃で30分にわたって撹拌した。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークを予め混合したアセトニトリルと水(500mL/500mL)の溶液で洗浄した。この濾過ケークを35~45℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(7’)(283g,収率98%,HPLCによる純度:>99%)を灰白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.48 (d, J=1.68 Hz, 1H); 7.44 (s, 1H); 7.19-7.25 (m, 1H); 6.96-7.08 (m, 2H); 6.81-6.88 (m, 1H); 6.60 (d, J=1.68 Hz, 1H); 6.03 (s, 2H)。
【0170】
vii):化合物(7’)のメトキシドでの置換により3-(3-(4-クロロ-5-フルオロ-6-メトキシピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(8’)を提供すること
【0171】
【0172】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へメタノール(3400mL)とメタノール中のナトリウムメトキシド(154mL,5.4M,832ミリモル、1.2当量)を入れた。この反応混合物を23~27℃まで加熱した。反応温度を23~27℃に維持しながら、この混合物へ中間体(7’)(283g,693ミリモル、1.0当量)を小分けして(各分量:5~10g)40分にわたって入れた。このスラリーを23~27℃で30分にわたって撹拌した。この反応は、HPLCによれば、完了していた。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークをメタノール(850mL)で、次いで水(850mL)で洗浄した。この濾過ケークを35~45℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(8’)(277g,収率99%,HPLCによる純度:97%)を灰白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=1.83 Hz, 1H); 7.38 (s, 1H); 7.18-7.25 (m, 1H); 7.01-7.08 (m, 1H); 6.94-7.00 (m, 1H); 6.81-6.88 (m, 1H); 6.60 (d, J=1.68 Hz, 1H); 6.00 (s, 2H); 4.21 (s, 3H)。
【0173】
viii):化合物(8’)の水素化により3-(3-(5-フルオロ-4-メトキシピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(9’)を提供すること
【0174】
【0175】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(8’)(226g,560ミリモル、1.0当量)、パラジウム(10%担持活性炭、名目水分50%,22.6g)、テトラヒドロフラン(3400mL)、及びトリエチルアミン(91g,897ミリモル、1.6当量)を入れた。この反応混合物中へ20~30℃で10分にわたってテフロン(登録商標)管より窒素を泡立てて入れた。次いで、この混合物を40~50℃まで加熱して、反応温度を40~50℃に維持しながら、この反応混合物中へ6時間にわたってテフロン管より水素を泡立てて入れた。この反応は、HPLCによれば、完了していた。次いで、この反応混合物中へ40~50℃で10分にわたってテフロン管より窒素を泡立てて入れた。この反応混合物をHypo SupercelTMに通して熱時濾過して、この濾過ケークをテトラヒドロフラン(2000mL)で洗浄した。その濾液を減圧下に約1300mLの容量まで濃縮して、スラリーを得た。次いで、減圧下でメタノール(3000mL)を連続的に供給することにより、テトラヒドロフランをメタノールへ溶媒交換した。溶媒交換後の最終容量は、1300mLであった。生じるスラリーを濾過して、濾過ケークをメタノール(500mL)で洗浄した。この濾過ケークを20~25℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(9’)(192g,収率93%,HPLCによる純度:98%)を白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.47 (d, J=1.68 Hz, 1H); 8.41 (d, J=2.59 Hz, 1H); 7.36 (s, 1H); 7.17-7.24
(m, 1H); 6.95-7.07 (m, 2H); 6.83-6.90 (m, 1H); 6.60 (d, J=1.68 Hz, 1H); 5.99 (s
, 2H); 4.19 (s, 3H)。
【0176】
ix):化合物(9’)の脱メチル化により5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-オール(10’)を提供すること
【0177】
【0178】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(9’)(230g,623ミリモル、1.0当量)、MeOH(3450mL)、及び濃HCl(307g,37重量%,3117ミリモル、5.0当量)を入れた。この混合物を60~65℃まで加熱して、溶液を得た。次いでこの混合物を60~65℃で17時間にわたって撹拌して、スラリーを得た。この反応は、HPLCによれば、完了していた。このスラリーを20~25℃へ2時間にわたって冷やして、20~25℃で30分にわたって撹拌した。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークをメタノール(1000mL)で洗浄した。この濾過ケークを35~45℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、中間体(10’)(214g,収率97%,HPLCによる純度:>99%)を白色の固形物として得た。1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 12.90-13.61 (br. s., 1H); 9.11 (d, J=1.68 Hz, 1H); 8.16 (s, 1H); 7.64 (s, 1H); 7.29-7.42 (m, 1H); 7.17-7.28 (m, 2H); 7.08-7.15 (m, 1H); 6.97 (s, 1H); 5.91 (s, 3H)。
【0179】
x):化合物(10’)の塩素化により3-(3-(4-クロロ-5-フルオロピリミジン-2-イル)-1-(2-フルオロベンジル)-1H-ピラゾール-5-イル)イソオキサゾール(式IV)を提供すること
【0180】
【0181】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を取り付けた好適な反応容器へ中間体(10’)(214g,602ミリモル、1.0当量)、アセトニトリル(3000mL)、及びN,N-ジメチルアニリン(109g,899ミリモル、1.5当量)を入れた。このスラリー混合物を70~80℃まで加熱した。次いで、反応温度を70~80℃に維持しながら、オキシ塩化リン(276g,1802ミリモル、3.0当量)を滴下漏斗より30分にわたって入れた。この混合物を75~80℃で2時間にわたって撹拌して、緑色の溶液を得た。この反応は、HPLCによれば、完了していた。次いで、この混合物を0~5℃へ冷やした。反応温度を0~10℃に維持しながら、水(1500mL)を滴下漏斗よりゆっくり入れた。このスラリーを0~10℃で30分にわたって撹拌した。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークを予め混合したアセトニトリルと水(500mL/500mL)の溶液と水(500mL)で洗浄した。この濾過ケークを30~40℃で16時間にわたって真空下に乾燥させて、式IVの中間体(214g,収率95%,HPLCによる純度:>99%)を灰白色~桃色の固形物として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 8.65 (s, 1H); 8.48 (d, J=1.68 Hz, 1H); 7.44 (s, 1H); 7.21-7.25 (m, 1H); 6.97-7.06 (m, 2H); 6.83-6.87 (m, 1H); 6.61 (d, J=1.68 Hz, 1H); 6.03 (s, 2H)。
【0182】
a):化合物12のアミノ化により2-(アミノメチル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-オール(14)を提供すること
【0183】
【0184】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を装着した好適な反応容器へ水酸化アンモニウム(29%(NH3として)水溶液、354mL,5435ミリモル、9.7当量)とメチルt-ブチルエーテル(354mL)を入れた(註:冷却器の温度は、-20℃であって、水酸化アンモニウムの蒸発を最少化するように設定した)。反応温度を20~26℃に維持しながら、2,2-ビス(トリフルオロメチル)オキシラン((12),101g,561ミリモル、1.0当量)を滴下漏斗より40分にわたって入れた。添加後、この混合物を20~26℃で3時間にわたって撹拌した。この混合物をそのまま分離させて、下の水層をメチルt-ブチルエーテル(2×354mL)で抽出した。合わせた有機層を減圧下に濃縮して、容量を303mLにした。メチルt-ブチルエーテル(354mL)を加えて、この混合物を減圧下に濃縮して、容量を303mLにした。ヘプタン(303mL)を加えて、この混合物を減圧下に濃縮して、容量を303mLにした。このスラリーを濾過して、この濾過ケークをヘプタン(100mL)で洗浄した。この固形物をフードにおいて20~25℃で2時間にわたって一定の重量になるまで乾燥させて、中間体(14)(79.5g,収率71%)を白色の固形物として得た。1H NMR (500 MHz, MeOD) δ ppm 3.09 (s, 2H)。
【0185】
b):式IVの化合物と化合物14のカップリングにより1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)を提供すること
【0186】
【0187】
メカニカルスターラーとデジタル温度計を装着した好適な反応容器へ式IVの中間体(133g,356ミリモル、1.0当量)、中間体(14)のジメチルスルホキシド溶液(352g,60重量%,1071ミリモル、3.0当量)、及びジメチルスルホキシド(1200mL)を入れた。この反応混合物を125~130℃まで加熱して、125~130℃で4時間にわたって撹拌した。この反応は、HPLCによれば、完了していた。次いで、この混合物を20~25℃へ冷やした。次いで、この反応混合物へメチルt-ブチルエーテル(3800mL)と水(2600mL)を入れた。有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液(1000mL)と1N HCl溶液(1000mL)で洗浄してから、減圧下に1500mLの容量まで濃縮した。この有機溶液をシリカパッド(800g)上にロードして、このシリカパッドをメチルt-ブチルエーテルで溶出させた。この澄明な画分を採取して、減圧下に2000mLの容量まで濃縮した。MTBE溶液を45~55℃まで加熱して、反応温度を45~55℃に維持しながら、ヘプタン(2000mL)を滴下漏斗より30分にわたって入れて、スラリーを得た。このスラリーを20~25℃へ冷やして、20~25℃で30分にわたって撹拌した。生じるスラリーを濾過して、この濾過ケークを予め混合したMTBEとヘプタン(400mL/600mL)の溶液で洗浄した。次いで、この濾過ケークを45~55℃で5時間にわたって真空下に乾燥させて、化合物I(130g,収率68%,HPLCによる純度:>99%)を灰白色の固形物として得た。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.11 (d, J=1.96 Hz, 1H); 8.66 (s, 1H); 8.37 (d, J=3.13 Hz, 1H); 8.11 (t, J=5.87 Hz, 1H); 7.48 (s, 1H); 7.30-7.37 (m, 1H); 7.17-7.24 (m, 1H); 7.21 (d, J=1.7 Hz, 1H); 7.06-7.13 (m, 1H); 7.00-7.06 (m, 1H); 5.87 (s, 2H); 4.11 (d, J=5.87 Hz, 2H)。
【0188】
実施例2:化合物I単独と化合物Iとポリマーのスプレー乾燥分散剤としてのスプレー乾燥と上記粉末の物理的安定性
使用材料:
[00168] セルロースアセテートフタレート(CAP)(Fluka 製);HPMCAS-
MG(HPMCAS-M)(信越化学製);化合物I。
【0189】
手順:
[00169] 10gの化合物Iを250mLのパイレックス(登録商標)(Pyrex)ボトルの中へ秤量した。次いで、100mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えて、化合物Iが完全に溶けるまで、この混合物を撹拌した。この溶液を使用して、純化合物Iのスプレー乾燥分散剤を製造した。
【0190】
[00170] 5gの化合物Iを3つの250mLパイレックスボトルのそれぞれへ入れた
。次いで、各ポリマーの5gを加え、各ポリマーは、異なるパイレックスボトルへ加えた。次いで、100mLのTHFを各ボトル加えて、その内容物が溶けるまで撹拌した。
【0191】
[00171] 上記に調製した溶液のそれぞれを以下の条件でスプレー乾燥させた:入口温
度:100℃;出口温度:入口温度に基づいて、約35~40℃;アスピレーター:100%;ポンプ:35%;高効率サイクロンを使用した。
【0192】
[00172] 次いで、各バッチで得られるスプレー乾燥品を採取して、XRPDによって
評価した。化合物Iの3種のスプレー乾燥固体分散剤について評価した:
分散剤1:スプレー乾燥した純化合物I
分散剤2:化合物I:CAP(50:50)のスプレー乾燥分散剤
分散剤4:化合物I:HPMCAS-M(50:50)のスプレー乾燥分散剤
[00173] 以下のXRPD法を使用して、この分散剤について解析した:スキャン5~
45° 2θ、0.02°ステップサイズ、低バックグラウンドホルダー上で各ステップ1秒。
【0193】
[00174] 初回のスプレー乾燥固体分散剤についてXRPDによって評価した後で、そ
れらを安定性チャンバ中のバイアルに入れて、1ヶ月後にXRPDによって再び評価した。25℃/60%相対湿度(RH)(安定性チャンバ1)と40℃/75% RH(安定性チャンバ2)という2つの異なる安定性チャンバを使用した。容器は密封しないで、乾燥剤を使用しなかった。
【0194】
[00175] スプレー乾燥した純化合物I単独についてのXRPDは、製造の直後(2時
間後)に実施したが、いくつかの結晶性ピークを示し、化合物Iの純非晶型が安定していないことを示唆した。
【0195】
[00176] ポリマーとの分散剤についてのXRPDは、安定性条件で1ヶ月後に測定し
たが、結晶性ピークを示さず、これらが所与の条件下で少なくとも1ヶ月間安定していることを示唆した。
【0196】
[00177] セルロースアセテートフタレート(CAP)とヒドロキシプロピルメチルセ
ルロースアセテートスクシネート(HPMCAS-M)との化合物Iのスプレー乾燥分散剤は、XRPDによって測定されるように、25℃/60% RH(安定性チャンバ1)と40℃/75% RH(安定性チャンバ2)で1ヶ月後に安定していた。
【0197】
[00178] 上記分散剤のそれぞれについてのXRPDグラフを
図1、
図2、及び
図3に
図示する。
図1は、結晶性化合物I(濃い線)とスプレー乾燥した純化合物I(薄い線)についての製造2時間後のXRPD結果を示す。
図2は、非晶性化合物IのCAPとの(50:50)固体分散剤についてのXRPD結果を「時点0」対「安定性チャンバ1又は安定性チャンバ2(非密封、乾燥剤無し)において1ヶ月後」で示す。このXRPDラインは、順に、グラフの左側の上から下へ以下の通りである:化合物I;化合物I:CAP(50:50)、0時点;化合物I:CAP(50:50)、安定性チャンバ1において1ヶ月後;及び、化合物I:CAP(50:50)、安定性チャンバ2において1ヶ月後。
図3は、非晶性化合物IのHPMCAS-Mとの(50:50)固体分散剤についてのXRPD結果を「時点0」対「安定性チャンバ1又は安定性チャンバ2(非密封、乾燥剤無し)において1ヶ月後」で示す。このXRPDラインは、順に、グラフの左側の上から下へ以下の通りである:化合物I;化合物I:HPMCAS-M(50:50)、0時点;化合物I:HPMCAS-M(50:50)、安定性チャンバ1において1ヶ月後;及び、化合物I:HPMCAS-M(50:50)、安定性チャンバ2において1ヶ月後。
【0198】
実施例3:実施例2において作製したスプレー乾燥分散剤の安定性
[00179] 実施例2では、セルロースアセテートフタレート(CAP)との分散剤とヒ
ドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS-M)との分散剤(それぞれ、分散剤2と分散剤4)を製造し、安定性チャンバに入れて、1ヶ月後の物理的安定性を評価した。今回の試験では、安定性の評価を続けた。
【0199】
[00180] 安定性チャンバに入れた2種の分散剤は、湿気から守られていない(即ち、
誘導シールを施すことも乾燥剤とともに保存することもない)容器に保存された場合、40℃/75% RH(安定性チャンバ2)で4ヶ月後に、いずれも少なくとも少量の再結晶を示した。CAPとの分散剤は、顕微鏡法によって示されるように、最も少量の再結晶を示すように見えた。
【0200】
材料
[00181] 実施例2において作製した分散剤2と分散剤4について、3種の異なる技術
:XRPD、DSC、及び顕微鏡法を使用して分析した。
【0201】
手順
[00182] 実施例2において先に記載した条件をXRPD解析に使用した。
[00183] DSC法:変調DSC(mDSC);パン:ピンホール付きの気密封止パン
;0.00℃で平衡;60秒ごとに±1.00℃変調;5.00分間等温;温度傾斜(ramp)1.50℃/分で200.00℃まで。
【0202】
[00184] 顕微鏡法:20X対物レンズを非偏光下に用いて実施した。それぞれの安定
性条件(安定性チャンバ1と安定性チャンバ2)由来の各分散剤について画像を入手した。
【0203】
結果
[00185] 4ヶ月後のCAPとの分散剤(分散剤2)又はHPMCAS-Mとの分散剤
(分散剤4)については、XRPDによって明瞭な晶出ピークを確認し得なかった。結果を
図5(固体分散剤2、実施例2において製造)と
図6(固体分散剤4、実施例2において製造)に示す。
【0204】
[00186] mDSCは、以下のことを示した:
分散剤2:安定性チャンバ1で4ヶ月後、Tg(ガラス転移温度)は、91℃であった;安定性チャンバ2で4ヶ月後、発熱性のピークが約100℃に存在し、安定性チャンバ2の条件下で化合物Iの再結晶があり得ることを示唆した。
【0205】
分散剤4:25℃/60% RHで4ヶ月後、Tgは、72℃であった;40℃/75% RHで4ヶ月後、発熱性のピークが約100℃に存在し、安定性チャンバ2の条件下で化合物Iの再結晶があり得ることを示唆した。
【0206】
[00187] 顕微鏡法は、以下のことを示した:
分散剤2:4ヶ月後、いずれの安定性条件でも、形態変化を観察しない。
分散剤4:25℃/60% RHでの保存後、形態変化を観察しない;40℃/75%
RHでの保存後、いくつかの小さな針状物/棒状物(化合物Iの結晶形態)の形成が見えて、再結晶が起きたことを示唆した。
【0207】
実施例4:追加ポリマーと化合物Iのスプレー乾燥
[00188] 実施例2において、非晶性化合物Iのスプレー乾燥分散剤を50:50の化
合物I:ポリマーの比で製造して、それらの安定性について、実施例2では1ヶ月後に、そして実施例3では4ヶ月後に評価した。この実施例では、同じポリマーとの分散剤を25:75の化合物I:ポリマーの比で製造した。加えて、非晶性化合物Iのスプレー乾燥固体分散剤を25:75 化合物I:ポリマーの比で、3種の追加ポリマー:ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、PVP K29/32(ポリビニルピロリドンポリマー)、及びPlasdone S630(ポリビニルピロリドンとポリビニルアセテートの共重合体)とともに製造した。
【0208】
[00189] 生じる固体分散剤について、安定性チャンバ1と安定性チャンバ2の条件下
に置かれた後の様々な時点での安定性をXRPDによって評価した。
材料:
化合物I;セルロースアセテートフタレート(CAP)(Fluka 製);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS-M)(MGグレード)(信越化学製);ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)(HP-50グレード)(信越化学製);ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、Methocel E5 Premium LV(Dow 製);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(LH-21グレード)(信越化学製);Eudragit L100-55(Evonik製);ポリビニルピロリドン(PVP)、Plasdone K29/32(Ashland 製);ポリビニルピロリドンとポリビニルアセテートの共重合体(Plasdone)、Plasdone S630(Ashland 製);乾燥剤(Sorb-IT)。
【0209】
手順:
[00190] CAPとHPMCAS-Mは、化合物Iのテトラヒドロフラン(THF)か
らのスプレー乾燥においてすでに使用されており、これらポリマーの該溶媒における溶解度は、すでに知られていた。HPMCP、HPMC、HPC、Eudragit、PVP、及びPlasdoneを20mLのシンチレーションバイアル中へほぼ1gで加えた。各バイアルへ10mLのTHFを加えて、このバイアルをボルテックスして1時間音波処理して、これらのポリマーが溶けているかを判定した。HPMCP、PVP、及びPlasdoneがこの濃度で溶けたので、化合物Iとスプレー乾燥させる包含のために選択した。
【0210】
[00191] 50:50分散剤の製造のために、5gの化合物Iと5gのポリマーを25
0mLのパイレックスボトルの中へ秤量した。次いで、100mLのTHFを加えて、完全に溶けるまで撹拌した。
【0211】
[00192] 25:75分散剤の製造のために、5gの化合物Iと15gのポリマーを2
50mLのパイレックスボトルの中へ秤量した。次いで、100mLのTHFを加えて、完全に溶けるまで、この混合物を撹拌した。
【0212】
[00193] この溶液のそれぞれを実施例2に記載の条件でスプレー乾燥させた。
[00194] 非晶性化合物Iの以下のスプレー乾燥した固体分散剤を製造した:
分散剤5:50:50 化合物I:CAP
分散剤6:25:75 化合物I:CAP
分散剤9:50:50 化合物I:HPMCAS-M
分散剤10:25:75 化合物I:HPMCAS-M
分散剤11:25:75 化合物I:HPMCP
分散剤12:25:75 化合物I:PVP
分散剤13:25:75 化合物I:Plasdone
[00195] 各バッチで得られるスプレー乾燥分散剤を採取して、実施例2と実施例3に
おいて記載したのと同じ方法を使用して、製造から最大5日以内でXRPDによって評価した。この分散剤を初回のXRPD評価から4日後に安定性チャンバの中へ入れた。
【0213】
[00196] 安定性チャンバに初めて入れてから19日後に、これらの分散剤を30cc
HDPEボトルへ加えて、誘導シールした。これらの試料を安定性チャンバ1と安定性チャンバ2の両方の安定性条件下に置いた。
【0214】
[00197] 安定性チャンバに初めて入れてから31日後に、これらの分散剤を、1gの
乾燥剤(Sorb IT)を含有する30cc HDPEボトルへ加えて、誘導シールした。こ
れらの試料を後の分析のために安定性チャンバ1と安定性チャンバ2の両方の安定性条件下に置いた。
【0215】
[00198] 上記分散剤の初回評価時のXRPDを純化合物Iの過去の解析と比較すると
、結晶性ピークを少しも示さず、これら分散剤のすべてが時間0の点で非晶性であることを示唆した(
図4)。
【0216】
実施例5:いくつかのポリマーを25:75の比で含む非晶性化合物Iの大規模スプレー乾燥分散剤
材料:
[00199] 化合物I、セルロースアセテートフタレート(CAP)(Eastman 製);ポ
リビニルピロリドンポリビニルアセテート(Plasdone S630)(Ashland 製);ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS-M)、AquaSolve(Ashland 製)
手順:
[00200] それぞれの分散剤について、22gの化合物Iを1Lパイレックスボトルの
中へ秤量した。次いで、66gの該ポリマーに続いて880mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えて、すべての固形物が完全に溶けるまで、この混合物を撹拌した。
【0217】
[00201] この溶液のそれぞれを以下の条件でスプレー乾燥させた:入口温度:100
℃;出口温度:入口温度に基づいて、約40~45℃;アスピレーター:100%;ポンプ:35%;標準サイクロンと採取容器を使用した。
【0218】
[00202] 各バッチで製造した非晶性化合物Iのスプレー乾燥品を採取して、XRPD
によって評価した。
分散剤14:25:75 化合物I:CAP
分散剤15:25:75 化合物I:Plasdone S630
分散剤16:25:75 化合物I:HPMCAS-M
[00203] 上記に製造した非晶性化合物Iのスプレー乾燥分散剤を、LOD(乾燥時損
失レベル)が十分に低くなるまで、10~15Hgの真空オーブンにおいて40℃で4晩にわたってさらに乾燥させた(下記の数値を参照のこと)。
【0219】
[00204] 分散剤について、XRPD、mDSC、及び顕微鏡法によって分析した。X
RPDと顕微鏡法では、実施例3に記載したのと同じ条件を使用した。
[00205] mDSCでは、下記のやや変更した条件を使用した:
変調DSC;パン:ピンホール付きの気密封止パン;0.00℃で平衡;60秒ごとに±1.00℃変調;5.00分間等温;温度傾斜(ramp)1.50℃/分で240.00℃まで。
【0220】
[00206] 分散剤の試料を30cc HDPEボトルに1gの乾燥剤の有り無しで入れ
て、安定性チャンバ1と安定性チャンバ2に入れた。
[00207] 時間0での分散剤分析の結果:
分散剤14:LOD:1.66%、Tg:129℃、XRPDによれば非晶性、晶出徴候の無い球状粒子。
【0221】
分散剤15:LOD:1.40%、Tg:101℃、XRPDによれば非晶性、晶出徴候の無い球状粒子。
分散剤16:LOD:1.05%、Tg:91℃、XRPDによれば非晶性、晶出徴候の無い球状粒子。
【0222】
[00208] 分散剤14、15、及び16についての製造後のXRPD結果を
図7に示す
。
実施例6:非晶性化合物Iのスプレー乾燥分散剤の、異なる条件下で、そして異なるポリマーを使用するときの安定性
[00209] 実施例2、4、及び5に示したように先に製造して、安定性チャンバ2(4
0℃/75%)に異なる時間の間保存したいくつかの分散剤について、XRPD、mDSC、及び顕微鏡法によって分析し、その結果を下記の表1に要約する。
【0223】
表1.実施例2、4、及び5において作製した分散剤の安定性
【0224】
【0225】
実施例7:化合物IのHPMCAS-Hポリマーとのスプレー乾燥分散剤
[00210] 先の実施例では、化合物IのHPMCAS-M(中位pH)との分散剤を製
造した。ここでは、HPMCAS-H(高pH、同じポリマーの異なるグレード)との分散剤を製造した。
【0226】
[00211] 22gの化合物Iを1Lパイレックスボトルの中へ秤量してから、該ポリマ
ーの66gを加えた。880mLのテトラヒドロフラン(THF)を加えて、すべての固形物が完全に溶けるまで撹拌した。これには数時間かかった。
【0227】
[00212] この溶液を以下の条件でスプレー乾燥させた:入口温度:100℃;出口温
度:入口温度に基づいて、約40~45℃;アスピレーター:100%;ポンプ:35%;標準サイクロンと採取容器を使用した。
【0228】
[00213] 上記プロトコールによって、新たな分散剤を作製した:
分散剤17:化合物I:HPMCAS-H(25:75)のスプレー乾燥分散剤
[00214] この分散剤を、LODが十分に低くなるまで、10~15Hgの真空オーブ
ンにおいて40℃で4晩にわたってさらに乾燥させた。この分散剤について、XRPD、mDSC、及び顕微鏡法によって時間0の点で分析した。以下の条件を使用した:XRPD法:スキャン5~45° 2θ,0.02°ステップサイズ、低バックグラウンドホルダー上で各ステップ1秒、DSC法:変調DSC(mDSC);パン:ピンホール付きの気密封止パン;0.00℃で平衡;60秒ごとに±1.00℃変調;5.00分間等温;温度傾斜(ramp)1.50℃/分で200.00℃まで;顕微鏡法:20X対物レンズを偏光下に用いて画像を撮った。
【0229】
[00215] 時間0点での特性決定:LOD:1.05%、Tg:91℃、XRPDによ
れば、非晶性、晶出徴候の無い球状粒子。
実施例8A:化合物IのHPMCAS-Mポリマーとのスプレー乾燥分散剤と、安定性評価用の比の範囲
[00216] 先に、化合物Iのスプレー乾燥分散剤を25:75と50:50の化合物I
:HPMCAS-Mレベルで製造した(分散剤10、4、及び9)。25:75レベルでの分散剤は、より高い安定性を有することがわかった。今回の試験では、HPMCAS-Mを使用する分散剤を異なる比で製造して、安定性チャンバ1と安定性チャンバ2の安定性条件下に置いた。加えて、後続の打錠実験での使用のために、追加の分散剤を25:75レベルで製造した。
【0230】
材料:
[00217] 化合物I;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(
HPMCAS-M,MGグレード)(信越化学製)。
【0231】
手順:スプレー乾燥分散剤の製造
[00218] それぞれの分散剤のために、化合物IとHPMCAS-Mを250mLのパ
イレックスボトル又は2Lのパイレックスボトルの中へ秤量して、表2に示すメタノール量を加えた。化合物IとHPMCAS-Mが完全に溶けるまで、この溶液を撹拌した。
【0232】
表2.分散剤18~分散剤24の製造
【0233】
【0234】
[00219] この溶液のそれぞれを以下の条件でスプレー乾燥させた:入口温度:100
℃;出口温度:入口温度に基づいて、約35~45℃;アスピレーター:100%;ポンプ:35%;分散剤18~分散剤22には、高効率サイクロンと採取容器を使用し、分散剤23と分散剤24には、標準サイクロンと採取容器を使用した。
【0235】
[00220] この分散剤のそれぞれを真空オーブンにおいて4夜にわたって乾燥させた。
そのバッチのLODとTg値を製造後に測定して、表3に示す結果を得た:
表3.分散剤18~分散剤24のDSC結果
【0236】
【0237】
[00221] 各バッチのスプレー乾燥品を採取して、以下の方法を使用するXRPD、D
SC、及び顕微鏡法によって評価した。
[00222] XRPD法:スキャン5~45° 2θ,0.02°ステップサイズ、低バ
ックグラウンドホルダー上で各ステップ1秒。
【0238】
[00223] DSC法:変調DSC;パン:ピンホール付きの気密封止パン;0.00℃
で平衡;60秒ごとに±1.00℃変調;5.00分間等温;温度傾斜(ramp)1.50℃/分で200.00℃まで。
【0239】
[00224] 顕微鏡法:20X対物レンズを偏光下に用いて画像を撮った。
[00225] 作製したらすぐに、分散剤の試料を、安定性評価のために、40℃/75%
RH安定性チャンバ(安定性チャンバ2)中のHDPEボトル(非密封)に入れた。
【0240】
【0241】
[00226] LOD値とTg値の要約を上記の表3に示す。XRPDは、すべての分散剤
が非晶性であることを示唆して、顕微鏡法は、時間0の点で、球状粒子の存在と結晶形態(針状物/棒状物)の非存在を示した。
【0242】
[00227] 上記に製造した分散剤のいずれも、非密封ボトルにおいて40℃/75%
RHで12ヶ月間の保存後に晶出の徴候を示さなかった。
実施例8B.分散剤25の製造
25:75 化合物I:HPMCAS-M分散剤の大規模製造用の一般手順:
[00228] 既知重量のメタノールを容器へ移した。このメタノールを撹拌した。撹拌の
間に化合物Iを加えて、そのまま溶かした。撹拌を続け、HPMCAS-Mをゆっくり加えて、そのまま溶かした。使用した総固形物濃度は10%で、この溶液の重量の90%は、メタノールに由来した。この溶液を、適正サイズのスプレードライヤーと適正なノズルを使用し、適正な入口温度と溶液流速を使用してスプレー乾燥させた。スプレー乾燥が完了したらすぐに、この材料をトレイドライヤー又は流動床ドライヤーへ移し、乾燥時損失(LOD)が2%未満になるまで乾燥させた。
【0243】
分散剤25に特定の手順
[00229] 1500mLのメタノールを2Lボトル中へ移した。このメタノールを撹拌
した。撹拌の間に37.5gの化合物Iを加えて、そのまま溶かした。撹拌を続け、112.5gのHPMCAS-Mをゆっくり加えてそのまま溶かした。二流体ノズル付きの Buchi B290 スプレードライヤーを使用し、以下の条件を使用してスプレー乾燥させた:
入口温度:100℃;アスピレーター:100%;ポンプ:35%
[00230] スプレードライヤーのサイクロン下の採取容器に採取した粉末をオーブンの
中へ移して、2%未満の乾燥時損失(LOD)が達成されるまで、4夜にわたってトレイ乾燥させた。
【0244】
実施例9.スラッギングによる乾式造粒を20mg投与量で使用する、実施例2において製造した分散剤からの錠剤製造
材料:
[00231] 実施例2で製造した分散剤2;実施例2で製造した分散剤4;Avicel
DG(無水リン酸二カルシウムを含む共処理MCC)(FMC 製);クロスカルメロースナトリウム(CCS)、Ac-Di-Sol(FMC 製);ステアリン酸Mg(Fisher 製
)。
【0245】
手順:
[00232] ステアリン酸Mg以外の顆粒内混和成分(表4と表5を参照のこと)をHD
PEボトル中へ秤量してから、Turbula Shaker 上で5分間混和した。ステアリン酸Mg
を加えて、各分散剤につきさらに3分間混和した。
【0246】
[00233] 上記混和物のほぼ1150mgのアリコートを量り分けて、0.6250”
ラウンドフラットツーリングを1500psiの圧力で使用して、12kPの硬度を目標にしてそれらを打錠した。
【0247】
[00234] 0.040”孔径の篩を2000rpmで使用するコーミルで、そのスラグ
を粉砕した。
[00235] 収量に基づいて、ステアリン酸Mg以外の顆粒外成分を加えて、Turbula Shaker 上で5分間混和した。ステアリン酸Mgを加えて、各分散剤につきさらに3分間混和した。
【0248】
[00236] 各混和物の200mgアリコート(化合物Iの20mg用量に相当する)を
秤量して、0.3125”ラウンドツーリングを1300psiの圧力で使用して、9~10kPの硬度を目標にして錠剤へ圧縮した。
【0249】
[00237] 錠剤T2/200/20は、分散剤2より入手した。
[00238] 錠剤T4/200/20は、分散剤4より入手した。
表4.錠剤T2/200/20の製造
【0250】
【0251】
表5.錠剤T4/200/20の製造
【0252】
【0253】
実施例10.スラッギングによる乾式造粒を40mg投与量と80mg投与量で使用する、実施例2において製造した分散剤からの錠剤製造
材料:
[00239] 分散剤2より錠剤を製造するために実施例9において先に使用した混和物を
再び使用して、40mg用量の400mg錠と80mg用量の800mg錠を製造した。
【0254】
手順:
[00240] ツーリング:40mg用量(錠剤重量:400mg)では、0.2677”
×0.5787”改変楕円型ツーリングを使用し;80mg用量(錠剤重量:800mg)では、0.4000”×0.7500”改変楕円型ツーリングを使用した。
【0255】
[00241] 混和物を秤量して、圧縮設定について評価した。これらを選択して、以下の
目標硬度レベルを達成した:40mg錠-12~13kP;80mg錠-15~16kP。
【0256】
[00242] 錠剤T2/400/40は、分散剤2より入手して、1錠につき40mg最
終用量の化合物Iを得た;錠剤を1250psiで圧縮した。
[00243] 錠剤T2/800/80は、分散剤2より入手して、1錠につき80mg最
終用量の化合物Iを得た;錠剤を2000psiで圧縮した。
【0257】
[00244] 実施例11.ローラー圧縮による乾式造粒を10mg投与量で使用する、実
施例5において製造した分散剤からの錠剤製造
材料:
[00245] 実施例5からの分散剤14、実施例5からの分散剤15、実施例5からの分
散剤16;Avicel DG(リン酸二カルシウムで共処理したMCC)(FMC 製);クロスカルメロースナトリウム(CCS)、Ac-Di-Sol(FMC 製);ステアリン酸Mg(Fisher 製);MCC(Avicel PH-102)(FMC 製);Opadry II, 8518422 White(Colorcon 製)-WP731466;Milli Q 実験用水;乾燥剤(Sorb-IT)。
【0258】
乾式造粒品の製造(ローラー圧縮による):
[00246] 実施例5において入手した分散剤14、分散剤15、及び分散剤16を秤量
して、Vブレンダー上の1クォートVシェルにおいて、20メッシュ篩いを通して篩い処理済みのAvicel DGとCCSとともに10分間混和した。ステアリン酸Mgを20メッシュ篩いに通して、さらに3分の混和の間に加えた。
【0259】
[00247] 次いで、この混和物を10MPaのローラー圧と1rpmのローラー速度で
ローラー圧縮した。スクリュー回転速度を40rpmから70rpmまで変化させて、望まれるリボンを達成した。
【0260】
分散剤14:スクリュー回転速度:約50rpm、リボン厚:1.8~2.0mm
分散剤15:スクリュー回転速度:約70rpm、リボン厚:1.2-1.5mm
分散剤16:スクリュー回転速度:約50rpm、リボン厚:1.2~1.5mm
[00248] 0.062”孔径の篩いを使用するコーミル(CoMil)を2000rpmの速度で使用してこのリボンを粉砕して、最終造粒品を製造した。
【0261】
錠剤の製造:
[00249] 顆粒外成分は、20メッシュ篩いを通して篩いにかけた。収量に基づいて、
ステアリン酸Mg以外の顆粒外成分を加えて、Vブレンダー上の1クォートVシェルにおいて10分間混和した。ステアリン酸Mgを加えて、さらに3分間混和した。
【0262】
[00250] 自動錠剤プレス付きのフォースフィーダーを使用して、打錠を実施した。0
.3150”ラウンドツーリングと9~10kPの目標硬度を使用して、打錠を実施した。
【0263】
[00251] 主圧縮力と押出力についてモニターすると、分散剤14と分散剤16ではそ
れぞれ7~8kNと70~80Nであって、分散剤15ではそれぞれ7~8kNと80~100Nであった。
【0264】
錠剤のコーティング:
[00252] コーティングの間の目標重量増加は、3.0%であった。分散剤14と分散
剤15に使用するコーティング溶液:40.03gを秤量して、オーバーヘッドスターラーで撹拌しながら200mLの精製水へ加えることによって、Opadry II コーティング溶液を20%固形物で調製した。この溶液は、コーティング処理を開始するに先立って45分以上撹拌した。
【0265】
[00253] 分散剤16に使用するコーティング溶液:40.06gを秤量して、オーバ
ーヘッドスターラーで撹拌しながら200mLの精製水へ加えることによって、Opadry II コーティング溶液を20%固形物で調製した。この溶液は、コーティング処理を開始するに先立って45分以上撹拌した。各バッチに利用した成分と量を下記の表6、表7、及び表8に記載する。
【0266】
表6.錠剤T14/200/10/コート化の製造。分散剤14より。
【0267】
【0268】
表7.錠剤T15/200/10/コート化の製造。分散剤15より。
【0269】
【0270】
表8.錠剤T16/200/10/コート化の製造。分散剤16より。
【0271】
【0272】
錠剤の安定性:
[00254] 安定性チャンバ1と安定性チャンバ2の中へ入れるために、各ロットの錠剤
の一部を60cc HDPEボトルの中へ取った。
【0273】
[00255] 分散剤14より入手したコーティング錠(錠剤T14/200/10/コー
ト化)を初回試験に使用し、25℃/60% RHで安定性チャンバ1に入れて、40℃/75% RHで安定性チャンバ2に入れた。
【0274】
[00256] 分散剤15より入手したコーティング錠(錠剤T15/200/10/コー
ト化)を初回試験に使用し、25℃/60% RHで安定性チャンバ1に入れて、40℃/75% RHで安定性チャンバ2に入れた。
【0275】
[00257] 分散剤16より入手したコーティング錠(錠剤T16/200/10/コー
ト化)を初回試験に使用し、25℃/60% RHで安定性チャンバ1に入れて、40℃/75% RHで安定性チャンバ2に入れた。
【0276】
[00258] すべてのボトルへ1gの乾燥剤を加えてから、これを誘導シールした。初回
試験用のボトルは、6つの1g乾燥剤とともにホイルパウチに入れて、密封して、5℃に置いた。
【0277】
実施例12.ローラー圧縮による乾式造粒を20mg投与量で使用する、実施例5と実施例7において製造した分散剤からの錠剤製造
材料:
[00259] 実施例5において入手した分散剤14(25:75 化合物I:CAP);
実施例5において入手した分散剤16(25:75 化合物I:HPMCAS-M);実施例7において入手した分散剤17(25:75 化合物I:HPMCAS-H)、MCC/リン酸二カルシウム(Avicel DG)(FMC 製);クロスカルメロースナトリウム(CCS)、Ac-Di-Sol(FMC 製);ステアリン酸Mg(Fisher 製);M
CC(Avicel PH-102)(FMC 製);乾燥剤(Sorb-IT)。
【0278】
[00260] 実施例11において先に使用した混和物を、分散剤14と分散剤16も使用
して、200mg錠中10mg用量用に作製した。故に、400mg錠を製造して、20mg用量を達成した。
【0279】
[00261] 分散剤16より、25:75 化合物I:HPMCAS-M錠剤(20mg
用量)(錠剤T16/400/20)を製造した。以下のプロトコールを使用した:
[00262] 分散剤16についての最終混和物のほぼ400mgのアリコートを秤量して
、手動プレスでの0.2677”×0.5787”改変楕円型ツーリング設定用の成型器へ移した。目標硬度は、12kPであった。表10Bを参照のこと。
【0280】
表10B.錠剤T16/400/20の製造
【0281】
【0282】
[00263] 分散剤14より、25:75 化合物I:CAP錠剤(20mg用量)(錠
剤T14/400/20)を製造した。以下のプロトコールを使用した:
[00264] 分散剤14についての最終混和物のほぼ400mgのアリコートを秤量して
、手動プレスでの0.2677”×0.5787”改変楕円型ツーリング設定用の成型器へ移した。目標硬度は、12kPであった。表10Cを参照のこと。
【0283】
表10C.錠剤T16/400/20の製造
【0284】
【0285】
分散剤17からの乾式造粒品の製造
[00265] この分散剤を秤量して、1クォートVシェルにおいて、20メッシュ篩いを
通して篩い処理済みのAvicel DGとCCSとともに10分間混和した。ステアリン酸Mgを20メッシュ篩いに通して、さらに3分の混和の間に加えた。
【0286】
[00266] 次いで、この混和物を10MPaのローラー圧と1rpmのローラー速度で
ローラー圧縮した。スクリュー回転速度を40rpmから70rpmまで変化させて、望まれるリボンを達成した。
【0287】
[00267] 分散剤17からの乾式造粒品の製造には、スクリュー回転速度が約70rp
mで、リボン厚が1.1~1.2mmであった。0.062”孔径の篩いを使用するコーミル(CoMil)を2000rpmの速度で使用してこのリボンを粉砕して、最終造粒品を
製造した。
【0288】
分散剤17からの10mg錠(錠剤17/200/10)の製造:
[00268] 10mg錠用の顆粒外混和物を製造した。顆粒外成分は、20メッシュ篩い
を通して篩いにかけた。収量に基づいて、ステアリン酸Mg以外の顆粒外成分を加えて、Vブレンダー上の1クォートVシェルにおいて10分間混和した。ステアリン酸Mgを加えて、さらに3分間混和した。
【0289】
[00269] 自動錠剤プレス付きのフォースフィーダーを使用して、打錠を実施した。0
.3150”ラウンドツーリングと9~10kPの目標硬度を使用して、打錠を実施した。主圧縮力と押出力について、Director ソフトウェアでモニターした。
【0290】
HPMCAS-Hと20mg用量の化合物Iの錠剤の製造(分散剤17より)
[00270] 25:75 化合物I:HPMCAS-H錠剤(錠剤T17/400/20
)を20mg用量で製造した。
【0291】
[00271] 上記の10mg用量錠剤の製造用にすでに使用した最終混和物のほぼ400
mgのアリコートを秤量して、手動プレスでの0.2677”×0.5787”改変楕円型ツーリング設定用の成型器へ移した。目標硬度は、12kPであった(錠剤17/400/20)。この製剤の詳細を表11にまとめる。
【0292】
表11.錠剤T17/400/20の製造
【0293】
【0294】
実施例13.固体分散剤の擬似腸液における動力学的溶解度
[00272] 先に実施例4において製造したスプレー乾燥分散剤のいくつかの溶解度につ
いて評価して、化合物Iの溶液からの晶出をより長い期間の間阻害するポリマーがあるかどうかを判定した。この試験では、化合物I:ポリマー(25:75)を含む溶液を使用した。溶解度を擬似腸液において決定した。FeSSIF(摂食状態擬似腸液)とFaSSIF(絶食状態擬似腸液)という2種の流動液を利用した。
【0295】
[00273] 擬似液における溶解データに基づくと、化合物Iの非晶型の安定化に最も高
いポテンシャルを有するように見えたのは、セルロースアセテートフタレート(CAP)、HPMCAS、及びPlasdone S630である。
【0296】
材料:
[00274] 化合物I;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、Methocel E5
(Dow 製);ポリビニルピロリドン(PVP)、Plasdone K29/32(Ashland 製);ポリビニルピロリドンとポリビニルアセテートの共重合体(Plasdone)、Plasdone S630(Ashland 製);25:75 化合物I:CAPスプレー乾燥分散剤(分散剤6)、25:75 化合物I:HPMCASスプレー乾燥分散剤(分散剤10);25:75 化合物I:HPMCPスプレー乾燥分散剤(分散剤11);25:75 化合物I:PVPスプレー乾燥分散剤(分散剤12);25:75 化合物I:Plasdone S630スプレー乾燥分散剤(分散剤13);タウロコール酸ナトリウム(Spectrum 製);レシチン(Spectrum 製);ペプシン(Fisher Scientific 製);塩化ナトリウム(シグマ・アルドリッチ製);水酸化ナトリウム(Fisher Scientific 製);マレイン酸(シグマ・アルドリッチ製);FaSSIF-V2粉末(Biorelevant 製);FeSSIF-V2粉末(Biorelevant 製)。
【0297】
手順:
[00275] 各擬似液の1Lを調製した。FaSSIFとFeSSIFのために、Biorelevant 製の粉末と手順を使用した。FaSSIFの調製についての手引きは、http://biorelevant.com/fassf-v2/how-to-make/ においてオンラインで探すことができる。FeSSIFの調製についての手引きは、http://biorelevant.com/fessif-v2-dissolution-medium/fed-state-stimulated-intestinal-fluid-version-two-how-to-make/ のいてオンライ
ンで探すことができる。
【0298】
[00276] マレイン酸、水酸化ナトリウム、及び塩化ナトリウムを使用して、FaSS
IFとFeSSIFのためにマレイン酸塩緩衝剤をそれぞれ6.5と5.8のpHレベルで調製した。次いで、FaSSIF-V2粉末とFeSSIF-V2粉末を加えて、FaSSIFとFeSSIFの溶解溶媒を産生した。いずれの調製溶媒もその使用日まで冷蔵保存し、当日取り出して、実験室条件に少なくとも30分間置いて室温と平衡させた後で分散剤へ加えた。
【0299】
[00277] 実施例4で作製したそれぞれの25:75 化合物I:ポリマー分散剤につ
いて、FaSSIF又はFeSSIFとラベルした2つの100mLガラスボトルのそれぞれの中へほぼ100mgの分散剤を秤量した。次いで、このボトルへ50mLのFaSSIF溶媒又はFeSSIF溶媒を加えた。
【0300】
[00278] 上記の試料を調製したらすぐに、1.5mLのアリコートを遠心分離管へ移
した。次いで、37℃と115RPMに設定したシェーカー上にすべてのボトルを置いた。次いで、上記の管を13000RPMで15分間遠心分離した。この上清の0.5mLアリコートをHPLCバイアル中へ移した。このバイアルのそれぞれへ0.5mLのアセトニトリルを加えて、このバイアルをボルテックスした。この処理を15、30、45、60、90、及び120分と、4、6、及び24時間での試料について繰り返した。
【0301】
標準品の調製
[00279] 1セットの標準品を以下のように調製して、各試料セットとともに再注入し
た:20mLシンチレーションバイアルの中へほぼ10mgの化合物Iを秤量した。2.5mLのアセトニトリルを加えて、ボルテックス及び超音波処理をして、溶かした。この溶液へ2.5mLの水を加えて、ボルテックス/超音波処理した。(STDH)とラベルしたHPLCバイアルの中へこの溶液の0.5mLを移した。このバイアルへ0.5mLの(1:1)アセトニトリル:水を加えた。10倍希釈を実施して、中位標準品(STDM)を入手した。次いで、STDMの10倍希釈を実施して、低位標準品(STDL)を入手した。
【0302】
[00280] 最も近い標準品(STDL又はSTDMのいずれか)のピーク面積に対する
相対ピーク面積を定量することによって、又は標準曲線に対して解析することによって、濃度の推定値を入手した。
【0303】
[00281] それぞれの擬似媒体における各分散剤についての24時間にわたる時間に対
する化合物Iの濃度のプロットを
図8[FaSSIF中の分散剤の動力学的溶解度(実施例13)]と
図9[FeSSIF中の分散剤の動力学的溶解度(実施例13)]に示す。
【0304】
UPLC法:
移動相A:水中0.1% TFA
移動相B:アセトニトリル中0.1% TFA
カラム:Acquity BEH Shield RP18,1.7μm,2.1×50mm,部品番号:18
6002853,SN.021439007153 14
注入量:3μL
オートサンプラー温度:周囲温度
カラム温度:25℃
実行時間:10分
流速:0.45mL/分
収集波長:220nm、245nm、254nm、280nm、PDAスペクトル(190~400nm)
分析に使用する波長:254nm
濃度勾配:
【0305】
【0306】
実施例14.実施例11において作製した錠剤のFaSSIFにおける溶解
[00282] 実施例11において先に記載した固体分散剤の造粒品で製造した錠剤の溶解
性について評価した。これら錠剤の溶解性に基づくと、CAP又はHPMCASとともに製造した分散剤は、Plasdone S630とともに製造した分散剤より速い溶解プロフィールを示すように見える。
【0307】
材料:
[00283] 錠剤14/200/10/コート化、錠剤15/200/10/コート化、
錠剤16/200/10/コート化;塩化ナトリウム(シグマ・アルドリッチ製);水酸化ナトリウム(Fisher Scientific 製);マレイン酸(シグマ・アルドリッチ製);FaSSIF-V2粉末(Biorelevant 製)
手順、溶解:
[00284] 6LのFaSSIFを調製した(先の実施例を参照のこと)。
【0308】
[00285] 500mLのFaSSIFに対してUSP II型パドルを37℃にて50
RPMの回転速度で使用し、その溶解について各剤形を評価した。
[00286] 0、15、30、45、及び60分で試料を採取した。
【0309】
[00287] 60分での試料採取の後で、この溶解装置を200RPMのパドル速度まで
20分間で増加するように設定して、試料をエッペンドルフ管へ入手した。この管を13,000RPMで15分間遠心分離した。
【0310】
[00288] 各試料の0.5mLを0.5mLのアセトニトリルへ加えて、UPLCによ
る分析用にボルテックスした。
標準液の調製:
[00289] 10.00mgの化合物Iを20mLバイアル中へ秤量して、5mLのアセ
トニトリルを加えた。ボルテックスして溶かした。5mLの水を加えて、1mg/mLの濃度を達成した。2mL容量で20倍希釈を実施して、0.05mg/mLの濃度を達成した。この溶液の1mLを標準液1として使用した。0.6mLの1:1 アセトニトリル:水へ0.4mLの標準液1を加えて、0.02mg/mLの濃度で標準液2を達成した。0.8mLの1:1 アセトニトリル:水へ0.2mLの標準液1を加えて、0.01mg/mLの濃度で標準液3を達成した。0.9mLの1:1 アセトニトリル:水へ0.1mLの標準液1を加えて、0.005mg/mLの濃度で標準液4を達成した。0.95mLの1:1 アセトニトリル:水へ0.05mLの標準液1を加えて、0.0025mg/mLの濃度で標準液5を達成した。0.9mLの1:1 アセトニトリル:水へ0.1mLの標準液3を加えて0.001mg/mLの濃度で標準液6を達成した。
【0311】
[00290] この標準液と試料について、下記の方法を使用してUPLCによって分析し
た。
移動相A:水中0.1% TFA
移動相B:アセトニトリル中0.1% TFA
カラム:Acquity BEH Shield RP18,1.7μm,2.1×50mm,部品番号:18
6002853,SN.021439007153 14
注入量:3μL
オートサンプラー温度:周囲温度
カラム温度:25℃
実行時間:10分
流速:0.45mL/分
収集波長:220nm、245nm、254nm、280nm、PDAスペクトル(190~400nm)
分析に使用する波長:254nm
濃度勾配:
【0312】
【0313】
[00291] 錠剤溶解速度のプロットを
図10に示す[化合物Iの非晶性スプレー乾燥分
散剤の錠剤のFaSSIFにおける溶解(実施例14)]。
実施例15A.ローラー圧縮による乾式造粒を5mg投与量で使用する、実施例5において製造した分散剤からの錠剤製造
材料:
[00292] 実施例5からの分散剤16;MCC/リン酸二カルシウム(Avicel
DG)(FMC 製);クロスカルメロースナトリウム(CCS)、Ac-Di-Sol(FMC 製);ステアリン酸Mg(Mallinckrodt 製);MCC(Avicel PH-102)(FMC 製);Opadry II, 8518422 White(Colorcon 製);Milli Q 精製実験用水;乾燥剤、分子篩い(Dessicare 製)。
【0314】
乾式造粒品の製造(ローラー圧縮による):
[00293] 実施例5において入手した分散剤16を秤量して、16クォートVブレンダ
ーにおいて、20メッシュ篩いを通して篩い処理済みのAvicel DGとCCSとともに10分間混和した。ステアリン酸Mgを20メッシュ篩いに通して、さらに3分の混和の間に加えた。理論上のバッチサイズは、5kgであった。
【0315】
[00294] 次いで、この混和物を1400psiのローラー圧と0.75~1.25r
pmのローラー速度でローラー圧縮した。スクリュー回転速度を30rpmから50rpmまで変化させて、望まれるリボンを達成した。
【0316】
分散剤16:スクリュー回転速度:約30rpm、リボン厚:1.4~1.6mm
[00295] 0.050”孔径の篩いと円型インペラを使用するCoMilを2000r
pmの速度で使用してこのリボンを粉砕して、最終造粒品を製造した。
【0317】
錠剤の製造:
[00296] 顆粒外成分は、20メッシュ篩いを通して篩いにかけた。収量に基づいて、
ステアリン酸Mg以外の顆粒外成分を加えて、Vブレンダー上の16クォートVシェルに
おいて10分間混和した。ステアリン酸Mgを加えて、さらに3分間混和した。
【0318】
[00297] Piccola 錠剤プレス付きのフォースフィーダーを使用して、打錠を実施した
。0.3125”ラウンドツーリングと8kPの目標硬度を使用して、打錠を実施した。
[00298] 主圧縮力は、10~11kNであった。錠剤プレスのタレット速度は、30
rpmであった。
【0319】
錠剤のコーティング:
[00299] 分散剤16に使用するコーティング溶液:800gを秤量して、オーバーヘ
ッドスターラーで撹拌しながら3200mLの精製水へ加えることによって、Opadry II コーティング溶液を20%固形物で調製した。この溶液は、コーティング処理を開始するに先立って45分以上撹拌した。
【0320】
[00300] 利用した成分と量を下記の表15に記載する。圧縮の詳細について表16に
まとめる。錠剤は、12kPの目標硬度まで圧縮した。主圧縮力と押出力は、それぞれ7~8kNと70~80Nであった。錠剤を3.0%の目標重量増加までコート化した。コーティング処理の詳細を表16にまとめる。
【0321】
表15.分散剤16より錠剤T16/200/5/コート化の製造。
【0322】
【0323】
表16.コーティング処理のパラメータ:
【0324】
【0325】
錠剤の安定性:
[00301] 安定性チャンバ1と安定性チャンバ2の中へ入れるために、錠剤のアリコー
トを60cc HDPEボトルの中へ取った。すべてのボトルへ1gの乾燥剤を加えてから、これを誘導シールした。
【0326】
[00302] これらの錠剤について、1gの乾燥剤とともに25℃/60% RHと40
℃/75% RHで密封ボトル中に保存して、安定性(結晶性の存在)を様々な時点で試験した。12ヶ月間の保存まで、上記に記載の技術を使用することによって、結晶性を観
察しなかった。乾燥剤の存在下でも湿気が経時的に増加したが、12ヶ月間までは、湿気の増加が結晶性の増加をもたらすようには見えなかった。
【0327】
実施例15B.実施例15Aにおいて作製した錠剤のFaSSIFにおける溶解
[00303] 上記の実施例14に記載したのと同じプロトコールを使用して、我々は、実
施例15Bに記載のように製造した5mg錠のバッチの溶解性について評価した。結果を
図11に要約する。
【0328】
実施例16.イヌPK試験
[00304] 下記の表(表17)では、PKパラメータを決定するためにイヌにおいて試
験した錠剤について要約する。
【0329】
表17.イヌPK試験デザイン
【0330】
【0331】
給餌条件:
[00305] 本試験では、雄性ビーグル犬を使用した。1、2、3b、4b、5、6、7
、8、9、及び10群:すべてのイヌを一晩絶食させた。すべてのイヌに投薬後4時間でその1日給餌量を与えた。3a群と4a群:すべてのイヌを一晩絶食させて、投薬に先立つ10分以内に、ヒトFDA食(2個の卵、2切れのベーコン片、バター/ゼリー付きト
ースト2枚、ハッシュブラウンポテト、及び8オンスの全乳)より調製したホモジェネートの50gを強制補給した。すべてのイヌに投薬後4時間でその1日給餌量を与えた。
【0332】
[00306] 試験品投与に30分先立って、すべての動物をペンタガストリン(6mg/
kg;0.024mL/kg)で処理した。いくつかの群では、同じ動物に、少なくとも各例において7日のウォッシュアウト期間で数回投薬した。
【0333】
用量投与:
[00307] 錠剤は、ピル銃を介するか又は手によって口腔の後ろに入れた。投与後、各
動物に5~10mLの水を与えて、錠剤の嚥下を容易にした。
【0334】
血液/血漿:
[00308] 頸静脈、橈側皮静脈、及び伏在静脈より以下の時点(投薬後0.25時間、
0.5時間、1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、24時間、32時間、及び48時間)で血液試料(2mL)を採取した。血液試料は、血漿用に処理するまで、氷上に保った。採取の1時間以内に、血液試料を約5℃で10分間、3200RPMで遠心分離した。血漿を2つのほぼ等量のアリコートへ分けて、96ウェルプレート管(1.1mL)へ直接移した。この管上にプラグキャップを載せた。血漿試料は、使用するまで、ほぼ-70℃に保存した。HPLCアッセイを使用して、化合物Iの血漿濃度を検定した。
【0335】
[00309] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/400/40(50:50 CAP:
化合物I分散剤の40mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約93であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのCmax/用量は、約48であった。
【0336】
[00310] 摂食させたイヌにおいて、錠剤T2/200/20(50:50 CAP:
化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約245であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのCmax/用量は、約145であった。
【0337】
[00311] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/200/20(50:50 CAP:
化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約153であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのCmax/用量は、約40であった。
【0338】
[00312] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/800/80(50:50 CAP:
化合物I分散剤の80mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約82であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのCmax/用量は、約30であった。
【0339】
[00313] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/400/40(50:50 CAP:
化合物I分散剤の40mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約1710であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのAUC/用量は、約950であった。
【0340】
[00314] 摂食させたイヌにおいて、錠剤T2/200/20(50:50 CAP:
化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約3392であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのAUC/用量は、約2324であった。
【0341】
[00315] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/200/20(50:50 CAP:
化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約1869であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのAUC/用量は、約691であった。
【0342】
[00316] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/800/80(50:50 CAP:
化合物I分散剤の80mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約1273であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのAUC/用量は、約486であった。
【0343】
[00317] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/400/40(50:50 CAP:
化合物I分散剤の40mg用量)が投与された場合、平均推定バイオアベイラビリティ(% F)は、約59であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌの推定バイオアベイラビリティは、約31であった。
【0344】
[00318] 摂食させたイヌにおいて、錠剤T2/200/20(50:50 CAP:
化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均バイオアベイラビリティ(% F)は、約118であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのバイオアベイラビリティは、約73であった。
【0345】
[00319] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/200/20(50:50 CAP:
化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均推定バイオアベイラビリティ(% F)は、約60であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌのバイオアベイラビリティは、約22であった。
【0346】
[00320] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T2/800/80(50:50 CAP:
化合物I分散剤の80mg用量)が投与された場合、推定バイオアベイラビリティ(% F)は、約44であった。等しい用量のネイティブ化合物Iを湿式造粒錠として投与されたイヌの推定バイオアベイラビリティは、約16であった。
【0347】
[00321] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T14/400/20(75:25 CAP
:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約204であった。
【0348】
[00322] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T16/400/20(75:25 HPM
CAS-M:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約244であった。
【0349】
[00323] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T17/400/20(75:25 HPM
CAS-H:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均Cmax/用量(Cmax(ng/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約92であった。
【0350】
[00324] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T14/400/20(75:25 CAP
:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約2762であった。
【0351】
[00325] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T16/400/20(75:25 HPM
CAS-M:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約2798であった。
【0352】
[00326] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T17/400/20(75:25 HPM
CAS-H:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均AUC/用量(AUC((h×ng)/mL)を用量(mg/kg)で割ったもの)は、約1416であった。
【0353】
[00327] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T14/400/20(50:50 CAP
:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均推定バイオアベイラビリティ(% F)は、約87であった。
【0354】
[00328] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T14/400/20(75:25 HPM
CAS-M:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均推定バイオアベイラビリティ(% F)は、約99であった。
【0355】
[00329] 絶食させたイヌにおいて、錠剤T14/400/20(75:25 HPM
CAS-H:化合物I分散剤の20mg用量)が投与された場合、平均推定バイオアベイラビリティ(% F)は、約44であった。
【0356】
実施例17.分散剤25からの錠剤の製造
[00330] 実施例15に記載したのと同等のプロトコールを使用して、やや組成が異な
る、2つの他の含量の錠剤(10mgと20mg)も製造した。下記の表を参照のこと:
【0357】
【0358】
[00331] 本発明の様々な態様を以下のテキストに記載することができる。上記に説明
したように、これらの態様には、たとえ「医薬的に許容される塩」という句が書かれていなくても、医薬的に許容される塩が含まれると理解されたい。
【0359】
[1]. 非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)の固体分散剤。
【0360】
[2].化合物Iとポリマー担体を含んでなる、上記[1]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[3].ポリマー担体がセルロースポリマーより選択される、上記[1]又は[2]の(又は本発明の他の態様による)固体分散剤。
【0361】
[4].ポリマー担体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、又はポリビニルピロリドンの共重合体より選択される、上記[1]、[2]又は[3]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0362】
[5].ポリマー担体がHPMCAS又はCAPより選択される、上記[1]、[2]、[3]又は[4]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[6].ポリマー担体がHPMCASである、上記[1]、[2]、[3]、[4]又は[5]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0363】
[7].ポリマー担体がHPMCPである、上記[1]、[2]、[3]又は[4]の
(又は本発明の他の態様による)固体分散剤。
[8].ポリマー担体がCAPである、上記[1]、[2]、[3]、[4]又は[5]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0364】
[9].ポリマー担体がPVPである、上記[1]、[2]、[3]又は[4]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[10].ポリマー担体がPVPの共重合体である、上記[1]、[2]、[3]又は[4]の、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0365】
[11].ポリマーがその全重量の約40%と約95%の間の量で存在する、上記[1]~[10]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[12].ポリマーがその全重量の50%と90%の間の量で存在する、上記[1]~[11]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0366】
[13].ポリマーがその全重量の60%と90%の間の量で存在する、上記[1]~[12]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[14].ポリマーがその全重量の60%と95%の間の量で存在する、上記[1]~[11]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0367】
[15].ポリマーがその全重量の約70%と約90%の間の量で存在する、上記[1]~[14]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[16].ポリマーがその全重量の約75%と約90%の間の量で存在する、上記[1]~[15]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0368】
[17].ポリマーがその全重量の約80%と約95%の間の量で存在する、上記[1]~[11]又は[14]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[18].ポリマーがその全重量の約90%と約95%の間の量で存在する、上記[1]~[11]、[14]又は[17]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0369】
[19].スプレー乾燥によって入手される、上記[1]~[18]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[20].溶融押出によって製造される、上記[1]~[18]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0370】
[21].化合物Iがその約5重量%~約50重量%の量で存在する、上記[1]~[20]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[22].化合物Iが約5重量%~約40重量%の量で存在する、上記[1]~[21]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0371】
[23].化合物Iが約10重量%~約30重量%の量で存在する、上記[1]~[22]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[24].化合物Iが約10重量%~約25重量%の量で存在する、上記[1]~[23]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0372】
[25].化合物Iが約15重量%~約40重量%の量で存在する、上記[1]~[22]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[26].化合物Iが約20重量%~約30重量%の量で存在する、上記[1]~[23]又は[25]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0373】
[27].20%未満の結晶性化合物Iを含む、上記[1]~[26]のいずれかの、又は本発明の他の態様による化合物Iの固体分散剤。
[28].10%未満の結晶性化合物Iを含む、上記[1]~[27]のいずれかの、又は本発明の他の態様による化合物Iの固体分散剤。
【0374】
[29].5%未満の結晶性化合物Iを含む、上記[1]~[28]のいずれかの、又は本発明の他の態様による化合物Iの固体分散剤。
[30].化合物Iの安定した固体分散剤である、上記[1]~[29]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0375】
[31].化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が10:90と50:50の間である、上記[1]~[30]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[32].化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が20:80と40:60の間である、上記[1]~[30]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0376】
[33].化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が25:75である、上記[1]~[32]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
[34].化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が50:50である、上記[1]~[31]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤。
【0377】
[35].少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤又は担体と、上記[1]~[34]のいずれかの、又は本発明の他の態様による固体分散剤を含んでなる医薬組成物。
[36].少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤が、充填剤、流動化剤、滑沢剤、又は崩壊剤より選択される、上記[35]の、又は本発明の他の態様による医薬組成物。
【0378】
[37].上記[1]~[34]のいずれかの固体分散剤、又は上記[35]又は[36]のいずれかの、又は本発明の他の態様による医薬組成物を含んでなる単位剤形。
[38].上記[1]~[34]のいずれかの固体分散剤、又は上記[35]又は[36]のいずれかの、又は本発明の他の態様による医薬組成物を含んでなり、経口投与に適している、単位剤形。
【0379】
[39].上記[1]~[34]のいずれかの固体分散剤、又は上記[35]又は[36]のいずれかの、又は本発明の他の態様による医薬組成物を含んでなり、カプセル剤、懸濁液剤、散剤、又は錠剤より選択される、単位剤形。
【0380】
[40].上記[1]~[34]のいずれかの固体分散剤、又は上記[35]又は[36]のいずれかの、又は本発明の他の態様による医薬組成物を含んでなり、錠剤である、単位剤形。
【0381】
[41].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧症、又は心不全より選択される、前記方法。
【0382】
[42].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、糖尿病性腎症である、前記方法。
【0383】
[43].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、糖尿病性網膜症である、前記方法。
【0384】
[44].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、非アルコール性脂肪性肝炎である、前記方法。
【0385】
[45].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、心不全である、前記方法。
【0386】
[46].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)又は駆出率が低下した心不全(HFrEF)より選択される、前記方法。
【0387】
[47].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)である、前記方法。
【0388】
[48].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、駆出率が低下した心不全(HFrEF)である、前記方法。
【0389】
[49].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれかの、又は本発明の他の態様による単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、高血圧症である、前記方法。
【0390】
[50].疾患、健康状態、又は障害を治療するための方法であって、上記[1]~[34]のいずれかの化合物、又は上記[35]又は[36]の医薬組成物、又は上記[38]~[40]のいずれか1項の(又は本発明の他の態様による)単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなり、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、抵抗性高血圧症である、前記方法。
【0391】
[00332] 数多くの態様について記載してきた。しかしながら、本発明の精神及び範囲
から逸脱することなく様々な改変をなし得ることが理解されよう。
本願は以下の発明を包含する。
[項目1] 非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)の固体分散剤。
[項目2] 化合物Iとポリマー担体を含んでなる項目1の固体分散剤。
[項目3] ポリマー担体がセルロースポリマーより選択される、項目1又は2の固体分散剤。
[項目4] ポリマー担体が、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、又はポリビニルピロリドンの共重合体より選択される、項目2の固体分散剤。
[項目5] ポリマー担体がHPMCAS又はCAPより選択される、項目4の固体分散剤。
[項目6] ポリマー担体がHPMCASである、項目5の固体分散剤。
[項目7] ポリマー担体がHPMCPである、項目4の固体分散剤。
[項目8] ポリマー担体がCAPである、項目5の固体分散剤。
[項目9] ポリマー担体がPVPである、項目4の固体分散剤。
[項目10] ポリマー担体がPVPの共重合体である、項目4の固体分散剤。
[項目11] ポリマーがその全重量の約40%と約95%の間の量で存在する、項目2~10のいずれか1項の固体分散剤。
[項目12] ポリマーがその全重量の50%と90%の間の量で存在する、項目11の固体分散剤。
[項目13] ポリマーがその全重量の60%と90%の間の量で存在する、項目12の固体分散剤。
[項目14] ポリマーがその全重量の60%と95%の間の量で存在する、項目11の固体分散剤。
[項目15] ポリマーがその全重量の約70%と約90%の間の量で存在する、項目11~14のいずれか1項の固体分散剤。
[項目16] ポリマーがその全重量の約75%と約90%の間の量で存在する、項目15の固体分散剤。
[項目17] ポリマーがその全重量の約80%と約95%の間の量で存在する、項目14の固体分散剤。
[項目18] ポリマーがその全重量の約90%と約95%の間の量で存在する、項目17の固体分散剤。
[項目19] スプレー乾燥によって入手される、項目1~18のいずれか1項の固体分散剤。
[項目20] 溶融押出(hot-melt extrusion)によって産生される、項目1~18のいずれか1項の固体分散剤。
[項目21] 化合物Iがその約5重量%~約50重量%の量で存在する、項目1~20のいずれか1項の固体分散剤。
[項目22] 化合物Iが約5重量%~約40重量%の量で存在する、項目21の固体分散剤。
[項目23] 化合物Iが約10重量%~約30重量%の量で存在する、項目22の固体分散剤。
[項目34] 化合物Iが約10重量%~約25重量%の量で存在する、項目23の固体
分散剤。
[項目25] 化合物Iが約15重量%~約40重量%の量で存在する、項目22の固体分散剤。
[項目26] 化合物Iが約20重量%~約30重量%の量で存在する、項目25の固体分散剤。
[項目27] 項目1~26のいずれか1項の固体分散剤であって、20%未満の結晶性化合物Iを含む、化合物Iの前記固体分散剤。
[項目28] 項目27の固体分散剤であって、10%未満の結晶性化合物Iを含む、化合物Iの前記固体分散剤。
[項目29] 項目28の固体分散剤であって、5%未満の結晶性化合物Iを含む、化合物Iの前記固体分散剤。
[項目30] 化合物Iの安定した固体分散剤である、項目1~29のいずれか1項の固体分散剤。
[項目31] 化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が10:90と50:50の間である、項目1~10のいずれか1項の固体分散剤。
[項目32] 化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が20:80と40:60の間である、項目31の固体分散剤。
[項目33] 化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が25:75である、項目32の固体分散剤。
[項目34] 化合物Iのポリマーに対する重量対重量比が50:50である、項目31の固体分散剤。
[項目35] 少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤と項目1~34のいずれか1項の固体分散剤を含んでなる医薬組成物。
[項目36] 少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤が、充填剤、流動化剤、滑沢剤、又は崩壊剤より選択される、項目35の医薬組成物。
[項目37] 項目1~項目34のいずれか1項の固体分散剤、又は項目35~36のいずれか1項の医薬組成物を含んでなる、単位剤形。
[項目38] 経口投与に適している、項目37の単位剤形。
[項目39] カプセル剤、懸濁液剤、散剤、又は錠剤より選択される、項目38の単位剤形。
[項目40] 錠剤である、項目39の単位剤形。
[項目41] 項目1~34のいずれか1項の非晶性固体分散剤、又は項目35又は項目36の医薬組成物、又は項目38~項目40のいずれか1項の単位剤形の治療有効量を治療の必要な対象へ投与することを含んでなる、治療の必要な対象において疾患、健康状態、又は障害を治療する方法であって、ここで該疾患、健康状態、又は障害は、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、高血圧症、又は心不全より選択される、前記方法。
[項目42] 疾患が糖尿病性腎症である、項目41の方法。
[項目43] 疾患又は障害が糖尿病性網膜症である、項目41の方法。
[項目44] 疾患又は障害が非アルコール性脂肪性肝炎である、項目41の方法。
[項目45] 疾患又は障害が心不全である、項目41の方法。
[項目46] 前記心不全が、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)又は駆出率が低下した心不全(HFrEF)より選択される、項目45の方法。
[項目47] 前記心不全がHFpEFである、項目46の方法。
[項目48] 前記心不全がHFrEFである、項目46の方法。
[項目49] 疾患又は障害が高血圧症である、項目41の方法。
[項目50] 前記高血圧症が抵抗性高血圧症である、項目49の方法。
非晶性1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(((5-フルオロ-2-(1-(2-フルオロベンジル)-5-(イソオキサゾール-3-イル)-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-4-イル)アミノ)メチル)プロパン-2-オール(化合物I)と、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ポリビニルピロリドン(PVP)、又はポリビニルピロリドンの共重合体であるポリマー担体とを含む固体分散剤であって、ポリマーは固体分散剤の全重量の約60%~約95%の量で存在する、前記固体分散剤。