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特開2023-100869対象におけるマイトファジーを改善するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100869
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】対象におけるマイトファジーを改善するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/80 20060101AFI20230711BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 39/02 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20230711BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 31/366 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230711BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230711BHJP
   A61K 31/205 20060101ALI20230711BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20230711BHJP
【FI】
C07D311/80 CSP
A61P43/00 105
A61P21/00
A61P3/02
A61P3/04
A61P3/00
A61P3/10
A61P9/00
A61P3/06
A61P25/28
A61P25/00
A61P25/22
A61P1/16
A61P27/02
A61P27/16
A61P19/02
A61P13/12
A61P39/02
A61P7/06
A61P7/00
A61P9/10
A61P29/00
A61P1/04
A61P29/00 101
A61P25/16
A61P21/02
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/366
A61K9/48
A61K47/14
A61K31/205
A23L33/10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023076848
(22)【出願日】2023-05-08
(62)【分割の表示】P 2019548663の分割
【原出願日】2018-03-08
(31)【優先権主張番号】1703735.9
(32)【優先日】2017-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1706594.7
(32)【優先日】2017-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1707861.9
(32)【優先日】2017-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】512018265
【氏名又は名称】アマゼンティス エスアー
【氏名又は名称原語表記】AMAZENTIS SA
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー リンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ペネロペ アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】アヌラーグ シング
(57)【要約】      (修正有)
【課題】有益な健康効果、例えばミトコンドリア機能および細胞代謝の改善をもたらす、特定の投与計画に従った経口投与を伴う方法に使用する化合物、および方法の提供。
【解決手段】対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩を提供し、化合物または塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための式(I)の化合物
【化1】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZがそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩であって、
前記化合物または塩が、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される、式(I)の化合物、またはその塩。
【請求項2】
対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための、A、B、C、D、W、X、Y、およびZがそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される、前記化合物またはその塩であって、前記化合物または塩が、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩。
【請求項3】
対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための、A、B、C、D、W、X、Y、およびZがそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される、前記化合物またはその塩であって、前記化合物または塩が、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩。
【請求項4】
前記使用が、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させること、ミトコンドリア機能を改善すること、および/または細胞代謝を改善することである、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
前記使用が、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、ATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力の維持および/または改善のうちの1つ以上から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項6】
前記式(i)の化合物が、食事、栄養、および/または健康補助食品として、食品成分として、または食品に使用される活性成分として投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
前記式(i)の化合物が、対象における健康な筋肉機能の維持を助け、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するために投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項8】
前記対象が、健康である、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項9】
前記疾患、障害、または状態が、不十分なミトコンドリア活性に関連する疾患、障害、または状態である、請求項1~8のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項10】
前記疾患、障害、または状態が、筋肉関連の疾患、障害、または状態である、請求項1~8のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項11】
前記疾患、障害、または状態が、老齢に関連する疾患、障害、または状態、例えば、筋肉減少症、悪液質、虚弱、および他の筋肉疾患である、請求項1~8のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項12】
前記疾患、障害、または状態が、肥満、代謝率低下、メタボリックシンドローム、代謝ストレス、糖尿病、心血管疾患、高脂血症、記憶力低下、神経変性疾患、認知障害、気分障害、ストレス、および不安障害、脂肪肝疾患、筋骨格疾患および障害、筋肉消耗、筋変性疾患、ミオパチー、加齢に伴う筋肉機能の低下、虚弱、前虚弱、神経筋疾患、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋肉減少症、筋萎縮および/または悪液質、ICUAW、筋肉喪失、記憶喪失、視力喪失、難聴、関節障害、筋肉機能障害、加齢に伴う筋肉機能の低下、加齢に伴う筋肉減少症、加齢に伴う筋肉消耗、身体疲労、筋肉疲労、封入体筋炎、散発性封入体筋炎、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患、薬物誘発性肝障害、急性または慢性腎不全、化学療法により誘発される急性または慢性毒性(例えば、腎毒性、神経毒性、聴器毒性)、薬物誘発性渇望、貧血障害、α1-抗トリプシン欠乏症、虚血/再灌流傷害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、変形性関節症、アルツハイマー病、パーキンソン病、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、癌、認知障害、ストレス、および気分障害からなる群から選択される、請求項1~8のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項13】
前記対象への前記式(I)の化合物またはその塩の投与が、少なくとも1100pg/mLのCmaxを含む血漿薬物動態プロファイルをもたらす、請求項1~12のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項14】
前記化合物が、ウロリチンA、すなわち、
【化2】
である、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項15】
前記式(I)の化合物またはその塩の前記1日投与量が、2.0~2.5mmolの範囲である、請求項1~14のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項16】
前記式(I)の化合物の前記1日投与量が、およそ2.2mmolである、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項17】
前記式(I)の化合物がウロリチンAであり、前記1日投与量が、およそ500mgである、請求項1~15のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項18】
前記対象に、4.5~11mg/kg/日の範囲の量でウロリチンAを投与することを含む、請求項1~15のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項19】
前記式(I)の化合物またはその塩が、少なくとも28日間投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項20】
前記式(I)の化合物またはその塩が、1日1回投与される、請求項1~19のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項21】
前記式(I)の化合物またはその塩が、1日2回投与される、請求項1~19のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項22】
前記対象が、少なくとも45歳である、請求項1~21のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項23】
前記式(I)の化合物またはその塩が、カルニチンまたはその塩と組み合わせて投与される、請求項1~22のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項24】
前記カルニチンまたはその塩が、食事、栄養、および/または健康補助食品としての使用のため、マイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善するため、筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、筋肉ATPmax、筋肉ATPレベル、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善するため、不十分なミトコンドリア活性に関連する疾患、障害、または状態を治療または予防するため、あるいは加齢、虚弱、および/または筋肉減少症中の筋肉機能の低下、筋肉関連の疾患、障害、もしくは状態、または老齢に関連する疾患、障害、もしくは状態を治療または予防するため、のものである、請求項23に記載の使用のための化合物。
【請求項25】
前記カルニチンまたはその塩が、1日当たり1~25mmolの範囲の1日量で前記対象に経口投与される、請求項23または請求項24に記載の使用のための化合物。
【請求項26】
前記カルニチンまたはその塩が、100mg~500mgの範囲の1日量で前記対象に経口投与される、請求項23または24に記載の使用のための化合物。
【請求項27】
前記カルニチンまたはその塩が、500mg~1000mgの範囲の1日量で前記対象に経口投与される、請求項23または24に記載の使用のための化合物。
【請求項28】
前記カルニチンまたはその塩が、500mg~2000mgの範囲の1日量で前記対象に経口投与される、請求項23または24に記載の使用のための化合物。
【請求項29】
前記式(I)の化合物またはその塩が、ソフトゲルカプセルである剤形で投与される、請求項1~28のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項30】
前記式(I)の化合物またはその塩が、
a)中鎖トリグリセリドと、
b)前記式(I)の化合物またはその塩と、を含む組成物の形態で投与される、請求項1~29のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項31】
前記式(I)の化合物またはその塩が、乳化剤および/または安定剤を含む組成物の形態で投与される、請求項30に記載の使用のための化合物。
【請求項32】
前記式(I)の化合物またはその塩が、20~60%w/wの中鎖トリグリセリドを含む組成物の形態で投与される、請求項30または請求項31に記載の使用のための化合物。
【請求項33】
前記式(I)の化合物が、0.5:1~3:1の範囲の比で中鎖トリグリセリド構成成分と式(I)の化合物とを含む組成物の形態で投与される、請求項30~32のいずれかに記載の使用のための化合物。
【請求項34】
前記治療および/または予防が、ミトコンドリア発生を増加させることを含む、請求項1~33のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項35】
ミトコンドリア発生の増加に使用するための式(I)の化合物
【化3】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZがそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩であって、
(i)少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量、
(ii)700~1200ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量、または
(iii)220~900ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量、のいずれかで対象に経口投与される、前記化合物またはその塩。
【請求項36】
対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善する方法であって、前記方法が、
式(I)の化合物
【化4】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZがそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を、
少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で前記対象に経口投与することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有益な健康効果、例えば、ミトコンドリア機能および細胞代謝の改善をもたらす、特定の投与計画に従ったウロリチンの経口投与を伴う方法に関する。方法は、例えば、対象、特に高齢者または虚弱高齢者の健康および幸福を改善するのに、かつ運動に従事する人々のフィットネス、筋肉性能、および/または持久力を改善するのに有用である。方法はまた、様々な状態、例えば、不十分なミトコンドリア活性に関連する状態、および/または筋肉関連障害の治療または予防にも有用である。
【背景技術】
【0002】
過去100年間で、人間の平均寿命は劇的に伸びている。老齢は、多くの場合、健康上の問題の増加および/または身体機能の低下に関連している。一例として、人生の全ての段階で効果的な生活を送るためには、良好な筋肉性能が重要であり、高齢者における損失または不十分な筋肉性能は、可動性および日常業務の完了に問題を生じさせる可能性がある。後年の人々の多くは、健康を維持するために、バランスの取れた食事を取り、定期的な運動を行い、かつ食事補助食品を取ることが奨励されている。
【0003】
また、過去数十年にわたる生活習慣の変化(例えば、食事、不活動)により、体重過多または肥満の人々の数が増加し、これらの障害は、糖尿病および心臓病などの状態に関連し、医療サービスに負担をかけている。その結果、健康を維持し、活動的な生活習慣を促進するための新しいアプローチに対する現実の必要性が残っている。
【0004】
当然のことながら、多くの個人は定期的な運動を行っており、そのうちの多くは、フィットネスの改善に役立つために、および/または怪我からの回復を補助するために補助食品を摂取する。例えば、筋肉性能の改善は、多くのアスリートにとって特に興味深いものである。筋収縮強度の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮は全て、運動を行う個人にとって有益である。体力および持久力をさらに改善するために運動を行う人々を支援するための新しいアプローチを提供することが望ましい。
【0005】
低い筋肉量または低い筋肉性能もまた、多くの疾患および状態の特徴である。筋肉関連病態としては、ミオパチー、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなどの神経筋疾患、急性筋肉減少症、例えば、筋萎縮および/または悪液質、例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、頸部、および/または整形外科の大手術に関連したものが挙げられる。加齢に伴う筋肉喪失は、特に一般的な状態である。長期固定または他の疾患、例えば、癌による悪液質は、不十分な筋肉性能を特徴とすることが多い他の状態である。さらに、そのような障害の影響を治療、予防、または少なくとも低減する新しい手段を提供することが望ましい。
【0006】
ウロリチンは、例えば、哺乳動物の結腸微生物叢によって産生されるエラジタンニンおよびエラグ酸由来の代謝産物の群である。ウロリチンは、長寿を促進するのに有用な化合物であると提案されており、例えば、特許文献1を参照されたい。
【0007】
しかしながら、効果的かつ安全な新しい食事補助食品および療法の開発は、複雑で時間がかかり、かつ予測不可能な分野である。有益な効果があるとされる多くの物質は、例えば、不十分な有効性、許容できない副作用、または不適切な薬物動態特性の結果として、最終的には不適切であることが証明されている。多くの場合、そのような問題は、臨床試験が実施されるまで現れない。
【0008】
本発明者らは、ヒト対象における特定の投与計画に従ったウロリチンAの経口投与が、予想外に良好な薬物動態特性をもたらし、これにより、この投与計画が観察されている筋肉および/またはミトコンドリア機能に関連するバイオマーカーに有意な効果をもたらしたことを現在発見している。500mgの投与量のウロリチンAの経口投与は、2000mgの投与量の同じ化合物の投与と比較して改善された薬物動態(より高いCmaxおよびAUC)を予想外にもたらした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2014/004902号
【発明の概要】
【0010】
本開示は、式(I)の化合物
【0011】
【化1】
【0012】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の、
食事、栄養、および/または健康補助食品としての、食品成分としての、または食品で使用される活性成分としての、または医薬品で使用される活性成分としての使用を提供し、化合物または塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される。
【0013】
誤解を避けるために、本明細書では伝統的丸め法が想定される。例えば、2.7mmol(2つの有効数字を含む)の文脈において上記で使用された数字2.7は、2つの有効数字に切り上げまたは切り捨てられたときに2.7を与える量を指す。それは、例えば、2.74および2.65を含む。
【0014】
本開示はまた、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の、
食事、栄養、および/または健康補助食品としての、食品成分としての、または食品で使用される活性成分としての、または医薬品で使用される活性成分としての使用も提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0015】
一実施形態では、ピーク血漿レベルは、式(I)の総化合物の750~1150ng/ml、例えば800~1100ng/ml、例えば800~1000ng/mlである。
【0016】
一実施形態では、ピーク血漿レベルは、5~12時間、例えば5~10時間、例えば約8時間、例えば約7時間、例えば約6時間、例えば約5時間維持される。
【0017】
一実施形態では、ピーク血漿レベルは、1日1回投与で7日以内、例えば6日、5日、4日、3日、または2日以内に得られる。
【0018】
「約」または「およそ」という用語が本明細書で使用され得、±20%、例えば±15%、例えば±10%、例えば±5%を指す。
【0019】
式(I)の化合物またはウロリチンという単語/語句に関連して使用される場合の「総」という単語は、化合物およびその代謝産物、例えばグルクロニドおよびスルフェート形態の合計を指す。
【0020】
本開示はまた、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の、
食事、栄養、および/または健康補助食品としての、食品成分としての、または食品で使用される活性成分としての、または医薬品で使用される活性成分としての使用を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0021】
「定常状態」レベルは、総化合物の濃度が投与の24時間後、次の投与前に低下する、親化合物を含む血漿中の総化合物、例えば、ウロリチンAおよびその代謝産物、例えば、ウロリチンAグルクロニドおよびウロリチンAスルフェートの最小濃度として定義される。
【0022】
一実施形態では、定常状態レベルは、320~820ng/ml、例えば380~730ng/ml、例えば380~640ng/ml、例えば450~600ng/ml、例えば約500ng/mlである。
【0023】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善する方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物
【0024】
【化2】
【0025】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を、
少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与することを含む。
【0026】
ミトコンドリア機能の改善は、ミトコンドリア発生の増加を含む。
【0027】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0028】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0029】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーの増加、ミトコンドリア機能の改善、および/または細胞代謝の改善に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、化合物または塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される。
【0030】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーの増加、ミトコンドリア機能の改善、および/または細胞代謝の改善に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、
化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0031】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーの増加、ミトコンドリア機能の改善、および/または細胞代謝の改善に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0032】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーの増加、ミトコンドリア機能の改善、および/または細胞代謝の改善のための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、化合物または塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの範囲の1日量で経口投与される。
【0033】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーの増加、ミトコンドリア機能の改善、および/または細胞代謝の改善のための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0034】
本開示はまた、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーの増加、ミトコンドリア機能の改善、および/または細胞代謝の改善のための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0035】
対象におけるミトコンドリア発生の増加に使用するための、式(I)の化合物
【0036】
【化3】
【0037】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩であって、
化合物または塩は、
(i)少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で、
(ii)700~1200ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量、または
(iii)220~900ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で、のいずれかで対象に経口投与される。
【0038】
本開示はまた、対象におけるミトコンドリア発生を増加させるための方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、
(i)少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で、
(ii)700~1200ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量、または
(iii)220~900ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で、のいずれかで対象に経口投与される。
【0039】
本開示はまた、対象におけるミトコンドリア発生を増加させるための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、
(i)少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で、
(ii)700~1200ng/ml以内の式(l)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量、または
(iii)220~900ng/mlの式(l)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で、のいずれかで対象に経口投与される。
【0040】
本開示はまた、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、ATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善する方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物
【0041】
【化4】
【0042】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を、
少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与することを含む。
【0043】
一実施形態では、本開示は、組織および/または筋肉ATPmaxの維持および/または改善を提供する。
【0044】
本開示はまた、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0045】
本開示はまた、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0046】
本開示はまた、
対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力の維持および/または改善に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩を提供し、化合物または塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される。
【0047】
本開示はまた、
対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩を提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0048】
本開示はまた、
対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力の維持および/または改善に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0049】
本開示はまた、
対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩の使用を提供し、式(I)の化合物またはその塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの範囲の1日量で対象に経口投与される。
【0050】
本開示はまた、
対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0051】
本開示はまた、
対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力の維持および/または改善に使用するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0052】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援する方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物
【0053】
【化5】
【0054】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を、
少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与することを含む。
【0055】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0056】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0057】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するのに使用するための、式(I)の化合物
【0058】
【化6】
【0059】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、
式(I)の化合物は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に投与される。
【0060】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するのに使用するための、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、
化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0061】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するのに使用するための、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、
化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0062】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、式(I)の化合物またはその塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの範囲の1日量で対象に経口投与される。
【0063】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0064】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援するための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0065】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援する方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物
【0066】
【化7】
【0067】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を、
少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与することを含む。
【0068】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0069】
本開示はまた、対象における健康な筋肉機能の維持に役立ち、筋肉の健康のための栄養サポートを提供し、筋肉中のミトコンドリア発生を支援し、および/または筋肉中のミトコンドリアの健康を支援する方法を提供し、方法は、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0070】
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防の方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物
【0071】
【化8】
【0072】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を、
少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与することを含む。
【0073】
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防の方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩を経口投与することを含み、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0074】
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防の方法を提供し、方法は、
式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を対象に経口投与することを含み、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための、式(I)の化合物
【0075】
【化9】
【0076】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、
式(I)の化合物またはその塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの範囲の1日量で対象に経口投与される。
【0077】
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0078】
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0079】
本開示は、対象における状態の治療および/または予防に使用するための薬剤の製造のための、式(I)の化合物
【0080】
【化10】
【0081】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、
式(I)の化合物またはその塩は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの範囲の1日量で対象に経口投与される。
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防のための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0082】
本開示はまた、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防のための薬剤の製造における、式(I)の化合物(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用を提供し、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0083】
本発明の一実装様式では、化合物は、式(I)の化合物の代謝産物、例えばグルクロニドまたはスルフェートとして投与される。ウロリチンBは、388g/molの分子量を有する代謝産物ウロルチンB 3-O-グルクロニドを有する。2.2mmolの化合物を1日当たりに投与した場合、それは、1日当たり853.6mgになる。ウロリチンBはまた、292g/molの分子量を有する代謝産物ウロルチンB 3-O-スルフェートも有する。2.2mmolの化合物を1日当たりに投与した場合、それは、1日当たり642.2mgになる。ウロリチンAは、404g/molの分子量を有する代謝産物ウロルチンA 3-O-グルクロニドを有する。2.2mmolの化合物を1日当たりに投与した場合、それは、1日当たり888.8mgになる。ウロリチンAはまた、308g/molの分子量を有する代謝産物ウロルチンA 3-O-スルフェートも有する。2.2mmolの化合物を1日当たりに投与した場合、それは、1日当たり677.6mgになる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】250、500、または2000mgのウロリチンAの単一用量の経口投与後の、健康な高齢者対象におけるウロリチンAの血漿薬物動態変数を要約した表を示す。
図2】健康な高齢者対象への500mgまたは2000mgのウロリチンAの単一用量の経口投与後の、ウロリチンAの血漿Cmaxの用量を正規化した個々の値および平均値を要約したチャートを示す。
図3】健康な高齢者対象への500mgまたは2000mgのウロリチンAの単一用量の経口投与後の、ウロリチンAの血漿AUC0~36時間の用量を正規化した個々の値および平均値を要約したチャートを示す。
図4】500mgのウロリチンAを28日間毎日経口投与した後の、28日目の健康な高齢者対象におけるウロリチンAの血漿薬物動態変数を要約した表を示す。
図5】特定の時点、すなわち、0、7、14、28、29日目での、28日間毎日500mgのウロリチンを投与した健康な高齢者対象におけるウロリチンAの平均血漿濃度を要約したチャートを示す。0日目の測定は、投与前であった。残りの測定を、前日の用量の投与の24時間後(すなわち、7、14、および28日目の次の1日投与量の投与の直前)に行った。
図6】プラセボと比較した、500mg/日のウロリチンAを投与した対象のコホートの28日目対1日目(投与前)でのミトコンドリア遺伝子セットの発現レベルの濃縮レベルを示す表を示す。
図7】28日目の処置後の、1日当たり500mgのウロリチンAまたはプラセボのいずれかを28日間投与した対象群の遺伝子セットGO_MITOCHONDRIONにおける遺伝子の発現レベルの変化のヒートマップ表示を示す。
図8】プラセボまたは500mg/日のウロリチンAを投与した対象のコホートの、-1日目~28日目の様々なアシルカルニチンのレベルの倍率変化を示す。
図9】プラセボまたは500mg/日のウロリチンAを投与した対象のコホートの、-1日目(投与前)~28日目の3-ヒドロキシオクタノエート、アセトアセテート、ラクテート、ピルベート、およびグルコースのレベルの倍率変化を示す。
図10】プラセボ、250mg/日のウロリチンA、または500mg/日のウロリチンAを投与した対象のコホートの、-1日目(投与前)~28日目のミオスタチン/フォリスタチン比(筋肉量および機能のバイオマーカー)の変化を示すグラフを示す。
図11】前虚弱高齢者および活動的な高齢者対象の群の、遺伝子セットGO_MITOCHONDRIONの遺伝子の発現レベルの変化のヒートマップ表示を示す。
図12】(28日目の)500mgのウロリチンAの単回経口投与後の、血漿中の総ウロリチンA(親代謝産物とグルクロニドおよびスルフェート代謝産物との組み合わせ)の薬物動態学的生物学的利用能プロファイルを示す。
図13】500mgのウロリチンA経口投与を用いた4週間の研究にわたる、血漿中の総ウロリチンA(親代謝産物とグルクロニドおよびスルフェート代謝産物との組み合わせ)のレベルを示す。
図14】箱ひげ図で示される血漿中の総ウロリチンAレベル(親代謝産物とグルクロニドおよびスルフェート代謝産物との組み合わせ)を示し、最小レベル(下側エラーバーの縁部)、第1四分位数(ボックスプロットの下縁部)、中央値(棒グラフの実線)、第3四分位数(ボックスプロットの上縁部)、およびウロリチンAの最大血漿レベル(上側エラーバーの縁部)を示す。血漿データは、投与前(0日目)、投与の7日後(7日目)、投与の14日後(14日目)、4週目の最後の投与前(28日目)、28日目の最後の投与の24時間後(29日目)、28日目の最後の投与の72時間後(31日目)、および28日目の最後の投与の96時間後(32日目)の時点からのものである。
【発明を実施するための形態】
【0085】
本開示は、有益な健康効果を提供する式(I)の化合物、すなわちウロリチンの特定の1日投与量の経口投与を伴う方法を提供する。
式(I)の化合物およびその塩
ウロリチンは、エラジタンニンおよびエラグ酸に対するヒトを含む哺乳動物の腸内微生物叢の作用によって産生される代謝産物である。エラジタンニンおよびエラグ酸は、ザクロ、堅果類、および液果類などの食物中に一般的に見られる化合物である。エラジタンニンは、それ自体では腸内に最小限に吸収される。ウロリチンは、上に示される代表的な構造(I)を有する化合物のクラスである。いくつかの特に一般的なウロリチンの構造を、構造(I)を参照して下の表1に記載する。
【0086】
【表1】
【0087】
実際には、商業規模製品の場合、ウロリチンを合成することは便利である。合成の経路については、例えば、WO2014/004902に記載されている。
構造(I)による任意の構造のウロリチンは、本開示の方法で使用され得る。
【0088】
本開示の使用および方法の一態様では、好適な化合物は、式(I)の化合物であり、式中、A、C、D、およびZは独立して、HおよびOHから選択され、B、W、X、およびYは全て、Hである。
【0089】
特に好適な化合物は、天然に存在するウロリチンである。したがって、Zは、好ましくはOHであり、W、X、およびYは好ましくは全て、Hである。W、X、およびYが全てHであり、AおよびBが両方Hであり、C、D、およびZが全てOHである場合、化合物は、ウロリチンCである。W、X、およびYが全てHであり、A、B、およびCが全てHであり、DおよびZが両方OHである場合、化合物は、ウロリチンAである。好ましくは、本開示の方法で使用されるウロリチンは、ウロリチンA、ウロリチンB、ウロリチンC、またはウロリチンDである。最も好ましくは、使用されるウロリチンは、ウロリチンAである。
【0090】
【化11】
【0091】
本発明は、式(I)の化合物の好適な塩、例えば薬学的に許容される塩の使用も包含する。本発明による好適な塩は、有機塩基または無機塩基で形成されたものを含む。薬学的に許容される塩基塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばカリウムおよびナトリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムおよびマグネシウムの塩、および有機塩基との塩、例えばジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルコミン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン、ピロリジン、モノ-、ジ-、もしくはトリ-低級アルキルアミン、例えばエチル-、tert-ブチル-、ジエチル-、ジイソプロピル-、トリエチル-、トリブチル-、もしくはジメチル-プロピルアミン、またはモノ-、ジ-、もしくはトリヒドロキシ低級アルキルアミン、例えばモノ-、ジ-、もしくはトリエタノールアミンが挙げられる。
【0092】
本発明のさらなる開示では、式(I)の化合物、
【0093】
【化12】
【0094】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用が提供され、
前述の式(l)の化合物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と組み合わされて経口固体剤形を形成し、投与され、化合物は、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される。
【0095】
本発明のさらなる開示では、式(I)の化合物、
【0096】
【化13】
【0097】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩の使用が提供され、
前述の式(l)の化合物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と組み合わされて経口固体剤形を形成し、投与され、化合物または塩は、700~1200ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物のピーク血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0098】
本発明のさらなる開示では、式(I)の化合物(式中、A、B、C、D、W、X、Y、およびZはそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、またはその塩の使用が提供され、前述の式(l)の化合物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体と組み合わされて経口固体剤形を形成し、投与され、化合物または塩は、220~900ng/mlの式(I)の化合物および/またはその代謝産物の定常状態血漿レベルを達成するのに十分な用量で経口投与される。
【0099】
有機化学の当業者は、多くの有機化合物が、それらが反応するか、またはそれらが沈殿もしくは結晶化される溶媒と錯体を形成できることを理解するであろう。これらの錯体は、「溶媒和物」として既知である。本発明がまた、式(I)の化合物の溶媒和物、ならびにその塩の溶媒和物も包含することを当業者は理解するであろう。溶媒和物には、関連する溶媒が薬学的に許容されるものが含まれる。水和物(関連する溶媒が水である)は、溶媒和物の一例である。
投与/投薬計画
本開示の方法は、少なくとも21日間、1日当たり1.7~2.7mmolの範囲の1日量での、対象への式(I)の化合物またはその塩の経口投与を伴う。以下で考察されるように、500mgのウロリチンA(約2.2mmolに相当)の投与は、2000mgのはるかに高い投与量と比較して、驚くほど良好な薬物動態プロファイルをもたらす。また、数週間にわたって500mgのウロリチンAの1日投与量を繰り返し投与すると、マイトファジーおよび筋肉機能に関連するバイオマーカーに驚くほど好ましい効果があることも分かっている。
【0100】
本開示の方法は、式(I)の化合物もしくはその塩、または化合物もしくは塩を含む組成物の毎日の投与を伴う。いくつかの実施形態では、化合物または組成物は、1日当たり1回投与され、すなわち、化合物または組成物は、24時間の期間当たり少なくとも1回投与されることになる。他の実施形態では、化合物、または化合物を含む組成物は、1日当たり複数回、例えば1日当たり2回、または1日当たり3回もしくは4回投与される。そのような場合、1日投与量は、それらの複数回の用量に分割される。一実施形態では、投与は1日1回であり、第2の実施形態では、投与は1日2回であり、第3の実施形態では、投与は1日3回である。
【0101】
本開示の方法は、少なくとも21日間の、式(I)の化合物もしくはその塩、または化合物もしくは塩を含む組成物の毎日の投与を必要とする。いくつかの実施形態では、方法は、より長い期間、例えば少なくとも28日間の毎日の投与を伴う。以下で考察されるように、28日間のヒト対象へのウロリチンAの毎日の投与は、ミトコンドリア機能の改善に関連するバイオマーカーの著しい変化をもたらすことが示されている。いくつかの実施形態では、方法は、さらにより長い期間にわたる、例えば少なくとも2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、8週間、12週間、4か月、6か月、または少なくとも1年間毎日の、式(I)の化合物またはその塩の投与を伴い得る。いくつかの実施形態では、方法は、最大3か月、最大6か月、最大1年、最大2年、または最大5年の期間にわたって毎日、化合物またはその塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、21日~5年、21日~2年、21日~1年、21日~6か月、21日~12週間、28日~5年、28日~2年、28日~1年、28日~6か月、28日~4か月、28日~12週間、6週間~2年、6週間~1年、8週間~1年、または8週間~6か月の範囲の期間にわたって毎日、化合物または塩を投与することを含む。
【0102】
本開示の方法は、1日当たり1.7mmol~最大1日当たり2.7mmolの量の式(I)の化合物またはその塩の毎日の投与を必要とする。いくつかの実施形態では、投与される1日量は、2.0~2.5mmolの範囲である。いくつかの実施形態では、投与される1日量は、およそ1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2、5、2.6、または2.7mmolである。いくつかの好ましい実施形態では、方法は、1日当たりおよそ2.2mmolの式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンAの)の投与を伴う。投与される化合物の正確な重量は、使用される化合物の分子量に依存する。例えば、ウロリチンAは、228g/molの分子量を有し(2.20mmolが501.6mgであるように)、ウロリチンBは、212g/molの分子量を有する(2.20mmolが466.4mgであるように)。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法は、400~600mg/日の範囲の量でウロリチンAの投与を伴う。好ましい実施形態では、方法は、450~550mg/日、より好ましくはおよそ500mg/日の範囲の量でウロリチンAの投与を伴う。
【0104】
いくつかの好ましい実施形態では、方法は、4.5~8.5mg/kg/日など、4.5~11mg/kg/日の範囲の量でウロリチンAを対象に投与することを伴う。別の実施形態では、方法は、5~9mg/kg/日の範囲の量でウロリチンAを対象に投与することを伴う。別の実施形態では、方法は、6.0~8mg/kg/日の範囲の量でウロリチンAを対象に投与することを伴う。
【0105】
式(I)の化合物もしくはその塩、または塩の化合物を含有する組成物は、任意の好適な時間に投与されてもよく、例えば、睡眠後の朝または夕方に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、毎日ほぼ同じ時間(複数可)に、例えば、所与の時点から15、30、60、または120分以内に実施されることが好ましい場合がある。
【0106】
他の実施形態では、例えば、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネスなどを改善するための方法の場合、式(I)の化合物またはその塩の投与は、運動の少し前または少し後、例えば、運動を行う前、または運動の終了後15分、30分、または60分以内に実行され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、対象への式(I)の化合物またはその塩の投与は、少なくとも1100pg/mLのCmaxを含む血漿薬物動態プロファイルをもたらす。いくつかの実施形態では、対象への式(I)の化合物またはその塩の投与は、少なくとも1150pg/mLのCmaxを含む血漿薬物動態プロファイルをもたらす。いくつかの実施形態では、対象への式(I)の化合物またはその塩の投与は、少なくとも1200pg/mLのCmaxを含む血漿薬物動態プロファイルをもたらす。一実施形態では、Cmaxは、500mgの用量に対して500~2400pg/ml、例えば、500~2000pg/ml、または1100~1500pg/mlの範囲である。代替の実施形態では、Cmaxは、1000~1500pg/mlの範囲である。さらなる実施形態では、Cmaxは、1100~1400pg/mlの範囲である。この節のCmax値は、その代謝産物を除く式(i)の化合物に関する。
【0108】
maxという用語は、化合物が投与された後、かつ2回目の用量の投与前に化合物が達成する最大(またはピーク)濃度を指す。
【0109】
maxという用語は、化合物投与とCmaxが観察される間の時間を指す。
【0110】
いくつかの実施形態では、対象への式(I)の化合物またはその塩の投与は、150~500pg/ml、例えば200~500pg/ml、例えば200~400pg/mlの範囲の代謝産物を除く式(I)の化合物の血漿「定常状態」レベルをもたらす。一実施形態では、代謝産物を除く式(I)の化合物の血漿「定常状態」レベルは、約300pg/mlである。
【0111】
最も一般的には、特に対象が健康である場合、化合物または化合物を含有する組成物は、自己投与される。医師、看護師、または介護者などの別の個人による投与も企図される。
【0112】
一実施形態では、式(I)の化合物は、食物と共に投与される。本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物は、食物なしで投与される。
使用
以下で考察されるように、ヒト対象への指示された投与量レベルでの28日間のウロリチンAの毎日の経口投与は、ミトコンドリア機能に関連する遺伝子に対する効果をもたらすことが分かっている。アシルカルニチンおよびミオスタチン/フォリスタチン比に対する効果も観察された。これらの変化は、ミトコンドリア機能の改善、細胞代謝、および身体機能、特に筋肉機能の改善における好ましい効果に関連している。
【0113】
したがって、本開示は、食事補助食品としての式(I)の化合物またはその塩の使用;式(I)の化合物またはその塩の投与を含む、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善する方法;式(I)の化合物またはその塩の投与を含む、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善する方法;ならびに式(I)の化合物またはその塩の投与を含む、対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防の方法に関する。
【0114】
いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば非ヒト哺乳動物であるが、より好ましくは、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態では、対象は、男性である。いくつかの実施形態では、対象は、女性である。ある特定の実施形態では、対象は、小児であってもよいが、他のより好ましい実施形態では、対象は、成人である。いくつかの実施形態では、例えば、老齢に関連する状態、疾患、または障害を治療するための方法の場合、対象は、少なくとも40歳、少なくとも45歳、少なくとも50歳、少なくとも55歳、少なくとも60歳、少なくとも65歳、少なくとも70歳、少なくとも75歳、少なくとも80歳、少なくとも85歳、または少なくとも90歳、例えば40~90歳、45~90歳、50~90歳、55~90歳、60~90歳、50~80歳、または55~75歳の範囲であってもよい。他の実施形態では、例えば、方法が筋肉性能を高めるためのものである場合(例えばアスリートにおいて)、対象は、例えば18~50歳、18~40歳、または18~30歳の範囲であってもよい。
【0115】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、医学的状態の治療および/または予防のためのものであり、すなわち、対象は、筋肉減少症または散発性封入体筋炎などの病状または医学的状態または障害を有する個体である場合である。いくつかの他の実施形態では、対象は、前疾患、前障害、または前状態を有している場合があり、例えば、対象は、特定の状態を有すると分類されることになるが、対象が将来そのような状態を発症する可能性が高いことを示す症状を有しない場合がある。本明細書で言及されるように、疾患、状態、または障害を有する対象は、症状を有し、かつ疾患、障害、もしくは状態を有すると医師によって診断されているか、または医師を受診した場合、疾患、障害、または状態を有すると診断されるかのいずれかである対象である。
【0116】
しかしながら、他の実施形態では、式(I)の化合物またはその塩は、特定の疾患または障害を患っていない対象によって摂取されることが想定される。例えば、対象は、幸福、代謝、および身体の健康を一般的に高めるための、例えばミトコンドリアの健康および機能ならびにミトコンドリア発生を増加させる食事補助食品として、式(I)の化合物を摂取することを望む健康な個人であってもよい。対象はまた、フィットネスレベルを改善するために、例えば、運動計画を補うために、式(I)の化合物を摂取することを望む健康な個人であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、対象は、健康である。本明細書で言及されるように、健康な対象は、医師を受診した場合、疾患、障害、または状態を有すると診断される症状を有しない対象である。
【0117】
いくつかの実施形態では、本開示は、食品成分、食品で使用される活性成分、食事補助食品、栄養補助食品、および/または健康補助食品としての式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。
【0118】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるマイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させ、ミトコンドリア機能を改善し、および/または細胞代謝を改善するための方法に関する。ミトコンドリアは、細胞の生命、すなわち、呼吸鎖中でエネルギーを産生することと死、すなわち、アポトーシスを開始することによる両方の細胞の生命を活発にすることができる中心的な細胞小器官である。より最近では、機能障害のミトコンドリアは、マイトファジーと呼ばれているプロセスである、オートファジーによる排除を特に対象としていることが実証された。マイトファジーの増加(機能障害のミトコンドリアの除去)は、ミトコンドリアの若返りおよびミトコンドリア機能の改善につながると理解されている。
【0119】
いくつかの実施形態では、本開示は、対象におけるミオスタチンの血漿レベルを増加させ、対象におけるフォリスタチンの血漿レベルを減少させ、および/または対象における血漿ミオスタチン/フォリスタチン比を増加させるための方法に関する。いくつかの実施形態では、方法は、対象における1つ以上のアシルカルニチンの血漿レベルを減少させるための、式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う。
【0120】
上述のように、いくつかの実施形態では、対象は、特定の健康状態を患っている対象ではない。代わりに、対象は、健康を維持することを望む対象、または例えば、筋肉機能/性能、運動耐性、および/または持久力レベルの改善に関して、フィットネスレベルを改善することを望む対象であってもよい。筋肉性能の改善は、アスリートにとって特に興味深い。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、例えば、骨格ミトコンドリアの健康、機能、および発生を改善することによって、対象における筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、組織および/または筋肉ATPmaxを含むATPmax、筋肉ATP使用、酸素消費、筋肉生体エネルギー、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善する方法のための、式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う。強化された筋肉性能は、筋肉機能の改善、筋力の改善、筋持久力の改善、筋肉回復の改善のうちの1つ以上であってもよい。
【0121】
筋肉性能は、スポーツ性能である場合があり、つまり、スポーツ活動に参加するときにアスリートの筋肉が実行する能力である。スポーツ性能、強度、速度、および持久力の強化は、筋収縮強度の増加、筋収縮の振幅の増加、または刺激と収縮との間の筋反応時間の短縮によって測定される。「アスリート」という用語は、例えば、ボディビルダー、競輪選手、長距離走者、および短距離走者など、任意のレベルでスポーツに参加し、かつ彼らの性能における強度、速度、または持久力のレベルの改善を達成しようとする個人を指す。スポーツ性能の強化は、筋疲労を克服する能力、より長期間活動を維持し、より効果的なトレーニングを行う能力によって示される。
【0122】
ATPmaxという用語は、組織または筋肉の体積などの身体の組織または器官の単位体積あたりのリン酸化能を指し、ミトコンドリア機能の尺度である。筋肉の生体エネルギーの他の指標には、筋肉ATP使用および酸素消費が含まれる。ATP生成能力(ATPmax)は、例えば、31P磁気共鳴分光法(MRS)を使用して決定され得る。筋力または持久力が低いヒト対象は、MRSを使用して、低いミトコンドリア機能を有することが示されている。いくつかの実施形態では、対象は、式(I)の化合物またはその塩の投与開始前に、低いミトコンドリア機能を有する対象であり、例えば、それらのATPmaxレベルは、同じ年齢および性別の群内の対象集団における平均レベルよりも少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、または少なくとも20%低い(例えば、40~65歳、50~55歳、55~60歳、60歳超~65歳、65歳超、65歳超~70歳、70歳超~75歳、75歳超~80歳、80歳超~85歳、85歳超~90歳、および90歳超の年齢範囲内)。
【0123】
例えば、筋肉の酸素消費を決定するために、光学分光法(OS)が使用され得る。いくつかの実施形態では、感光性プローブが対象の手または脚に取り付けられ、測定が行われ得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、方法は、身体持久力(例えば、運動、肉体労働、スポーツ活動などの肉体作業を実施する能力)の改善、身体疲労の抑制または遅延、作業能力および持久力の強化、筋疲労の軽減、心臓および心血管機能の強化のためのものであってもよい。
【0125】
筋肉性能は、例えば、運動試験の結果から決定される筋力(最大随意収縮)および/または持久力(力発生の持続時間)における、ベースライン(例えば、式(I)の化合物またはその塩の投与開始前に測定される値)からの変化を測定することによって評価され得る。トレッドミルテストでは、対象が最大心拍数の所定の百分率(例えば85%)に達するまでの時間が使用され得る。例えば、筋肉減少症の尺度として、腕の強度を測定するために、握力エルゴメーターが使用され得る。対象が所定の速度で最大随意収縮の所定の百分率(例えば70%)まで力変換器を引くよう要求され、かつ対象がもはや運動できなくなるまで運動率が増加する、疲労試験が使用され得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、身体能力、および身体能力の変化は、簡易身体能力バッテリー(SPPB)テストを使用して測定され得る。SPPBは、身体能力を定量化するために設計されたツールである。測定には、バランス、歩行、両足を並べて揃えて立つ能力、半継ぎ足、継ぎ足位、所定の距離を歩く時間(例えば8フィート)、所定の回数(例えば5回)椅子から立ち上がり座位に戻る時間、握力、および徒歩6分で進む距離が含まれる(Guralnik et al,Journal of Gerontology,1994,49,No.2,M85-M94を参照されたい)。
【0127】
いくつかの実施形態では、方法は、状態、疾患、または障害を治療、予防、および/またはその重症度を軽減するためのものである。加齢性疾患は、全体として高齢者および社会の両方に負担をかける。近年、ミトコンドリアの機能障害は、アルツハイマー病およびパーキンソン病、2型糖尿病、SIBM、集中治療室獲得性筋力低下(ICUAW)、ならびに筋肉減少症などの加齢性疾患において重要な役割を果たすことが、証拠により示されている。ミトコンドリアの突然変異およびオートファジーフラックスの減少によって証明されるように、加齢中、オートファジーによってその機能障害の要素を排除する細胞能力が徐々に低下する。
【0128】
いくつかの実施形態では、方法は、不十分なミトコンドリア活性に関連する疾患、障害、または状態の治療および/または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、方法は、筋肉関連疾患、障害、または状態の治療および/または予防のためのものである。いくつかの実施形態では、方法は、老年に関連する疾患、障害、または状態の治療および/または予防のためのものである。
【0129】
不十分なミトコンドリア活性に関連する関連疾患、障害、および状態の例としては、肝機能の改善および体重管理のための、肥満、代謝率低下、メタボリックシンドローム、代謝ストレス、糖尿病(例えば、II型糖尿病)、心血管疾患、高脂血症、記憶力低下、神経変性疾患、認知障害、気分障害、ストレス、および不安障害、脂肪肝疾患(例えばNAFLDおよびNASH)が挙げられる。
【0130】
筋骨格疾患および障害、筋肉消耗、筋変性疾患、ミオパチー、加齢に伴う筋肉機能の低下、虚弱、前虚弱、神経筋疾患、例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋肉減少症(例えば急性筋肉減少症)、封入体筋炎(例えば散発性封入体筋炎、SIBM)、ICUAW、筋萎縮および/または悪液質、例えば、火傷、床上安静、四肢固定、または胸部、腹部、頸部、および/または整形外科の大手術に関連したものを含む、筋肉関連病態が挙げられる。加齢に伴う筋肉喪失は、特に一般的な状態である。長期固定または他の疾患、例えば、癌による悪液質は、不十分な筋肉性能を特徴とすることが多い他の状態である。一実施形態では、関連疾患、障害および状態としては、筋肉減少症、悪液質、虚弱、および他の筋肉疾患が挙げられる。
【0131】
ミトコンドリア機能の低下は、加齢に伴う様々な健康状態、例えば、関節の健康、筋肉機能、筋肉喪失、記憶喪失、視力喪失、および難聴に関連している。加齢に伴う疾患、障害、および状態の例としては、関節障害、筋肉機能障害、記憶喪失、視力喪失、および/または難聴が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は、加齢に伴う筋肉機能の低下、加齢に伴う筋肉減少症、加齢に伴う筋肉消耗、身体疲労、筋肉疲労を患っている場合があり、および/または虚弱もしくは前虚弱である。
【0132】
本開示の方法が認知機能を改善し、体重を管理し、および/または筋肉および/または精神的性能を高める、治療および/または予防に有用である疾患、障害、および状態のさらなる例としては、封入体筋炎(例えば散発性封入体筋炎、SIBM)、アルコール性肝疾患、非アルコール性脂肪肝疾患、薬物誘発性肝障害、急性または慢性腎不全などの腎臓および肝臓の急性および慢性疾患、細胞毒性化学療法、例えばシスプラチンなどの化学療法により誘発される急性または慢性毒性(例えば、腎毒性、神経毒性、聴器毒性)、薬物誘発性渇望、貧血障害、α1-抗トリプシン欠乏症、虚血/再灌流傷害、炎症、炎症性腸疾患、クローン病、変形性関節症、アルツハイマー病、パーキンソン病、潰瘍、筋萎縮性側索硬化症、癌、認知障害、ストレス、気分障害が挙げられる。
【0133】
疾患のさらなる例としては、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、およびパーキンソン病などの神経変性疾患が挙げられる。
【0134】
良好な筋肉性能は、健康な個人、ならびに疾患を患っている個人、特に高齢者における人生の全ての段階での効果的な生活のために重要である。加齢(60歳超)に伴い筋量および筋力が徐々に低下するのは自然なことであるが、様々な環境要因(食事、運動、慢性疾患、多剤投与)が、加齢に伴い、高齢者が健康、前虚弱(すなわち、筋量もしくは筋肉機能のいずれかで低下)、または虚弱(筋肉減少症、すなわち、筋量および筋肉機能の両方の2を超える標準偏差低下)の群に分類されるかどうかを決定する。高齢者の中で、50%超の男性および25%超の女性が前虚弱の分類に分類される。その後、前虚弱の高齢者集団の約10~20パーセントは、この集団が彼らの生涯の今後数十年を進むにつれて、虚弱の分類に移行する。前虚弱および虚弱症候群を維持するための医療経済費用は、社会および医療システムに対する費用で200億米ドル超に達する。
【0135】
いくつかの実施形態では、方法は、筋肉機能の改善、維持、またはその喪失の低減のためのものである。特定の理論に束縛されるものではないが、ミトコンドリア機能の改善は、筋肉の質の改善、したがって機能性の改善に関連することが発明者らの理解である。本開示の方法は、例えば、若齢および高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、筋肉機能および持久力を改善、維持、またはその喪失を低減し得る。本開示の方法は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、および高齢者を含む、健康な個人において、筋肉機能および持久力を改善、維持、またはその喪失を低減し得る。例えば、本開示の方法は、運動などの身体活動の実施の改善、例えば、ウエイトを持ち上げる能力の増加または握力の増加によって証明されるように、筋力を増加させ得る。また、本開示の方法は、例えば、正常な筋肉機能、低下する筋肉機能、または障害のある筋肉機能の状態において、筋量を増加させるか、または維持することによって、筋肉構造を改善し得る。
【0136】
筋肉機能の改善は、加齢に伴う状態の結果として筋肉機能が低下している高齢者対象において特に有益であり得る。例えば、筋肉機能の改善から恩恵を受け得る対象は、前虚弱および虚弱につながる筋肉機能の低下を経験し得る。そのような対象は、筋肉機能の低下に加えて、筋肉消耗を必ずしも経験しない場合がある。一部の対象、例えば、筋肉減少症を有する対象は、筋肉消耗および筋肉機能の低下の両方を経験する。本開示の方法は、例えば、虚弱または前虚弱である対象に式(I)の化合物またはその塩を投与することによって、筋肉性能を強化する際に使用され得る。
【0137】
本開示はさらに、例えば、自己報告質問票を使用して決定される運動または活動中の知覚される作業または努力の減少により、対象によって知覚される身体性能または持久力を改善する方法を提供する。
【0138】
いくつかの実施形態では、方法は、骨格筋機能および/または心筋機能を改善および/または維持するための式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う。いくつかの実施形態では、方法は、関節の健康を改善および/または維持するための式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う。いくつかの実施形態では、方法は、可動性を改善および/または維持するための式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う。
【0139】
対象は、より活動的で/覚醒していると感じ、かつあまり疲れを感じたくない対象であってもよい。ミトコンドリアは、より多くのATP(エネルギー)を細胞に供給するのを助ける。したがって、いくつかの実施形態では、方法は、対象における覚醒状態を改善し、および/または疲れ/疲労を軽減するための式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う。
【0140】
方法はまた、不十分な身体性能、持久力低下、および筋肉機能障害を特徴とする状態の健康な個人において、正常な生理機能の管理にも使用される。方法は、若齢および高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、身体性能を改善し得る。本開示の方法は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、および高齢者を含む、健康な個人において、身体性能、例えば、短期性能または長期性能を改善し得る。この性能の改善は、ある特定の距離を歩くまたは走るのにかかった時間(例えば、6分間歩行試験(6MWT)中の性能の改善)、ある特定の距離を走る時間の改善、国際標準化身体活動質問票でのIPAQスコアの改善、ある特定の時間内での椅子立ち上がり回数の増加、または身体性能を測定するように設計された別の試験によって測定され得る。
【0141】
本開示の方法は、持久力の改善をさらに提供する。持久力とは、一定の作業負荷で、通常は80%未満のVOmaxの強度で運動する場合の疲労までの時間を指す。本開示の方法物は、若齢および高齢の個人を含む、疾患を有する個人において、持久力を改善し得る。本開示の方法は、アスリート、アスリートではない個人、座りがちな個人、および高齢者を含む、健康な個人において、持久力を改善し得る。本開示は、特定の活動、例えば、フィットネストレーニング、ウォーキング、ランニング、スイミング、またはサイクリングを行う際の疲労までの時間の増加方法を提供する。この持久力の改善は、客観的測定(例えば、速度、酸素消費、または心拍数)で評価されてもよく、または自己報告測定(例えば、有効な質問票の使用)であってもよい。
さらなる活性成分/補助食品
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその塩は、単独の活性成分または食事/栄養/健康補助食品として投与され得るが、他の実施形態では、式(I)の化合物またはその塩は、さらなる活性成分または補助食品と組み合わせて投与され得る。式(I)の化合物またはその塩およびさらなる活性成分または補助食品は、例えば、同時に(同じ組成物の一部として、もしくは別々の組成物、例えば複数の錠剤中のいずれかで)、連続して、または別々に(例えば、日中の異なる時間に)投与され得る。さらなる活性成分または補助食品は、例えば、食事、栄養、および/または健康補助食品としての使用のため;マイトファジーおよび/またはオートファジーを増加させるため、ミトコンドリア機能を改善し、かつ/もしくは細胞代謝を改善するため;筋肉機能および/または性能、身体の健康、フィットネス、筋肉ATPmax、筋肉ミトコンドリア機能、酸素消費、筋肉生体エネルギー、筋持久力、運動に対する耐性、運動からの回復、および/または持久力を維持および/または改善するため;または不十分なミトコンドリア活性に関連する疾患、障害、もしくは状態を治療または予防するため、加齢、虚弱、および/または筋肉減少症中の筋肉機能の低下を治療または予防するために適したものであり得る。別の例として、さらなる活性成分または補助食品は、異なる運動活動(例えばランニング)を行うときの筋肉機能および持久力の改善に適したものであり得る。
【0142】
いくつかの好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、カルニチンまたはその塩と共に投与される。カルニチンという用語は、アセチル-L-カルニチン(ALCAR)およびプロピオニルL-カルニチンを含む、L-カルニチンおよびその誘導体を包含する。カルニチンの塩としては、例えば、L-カルニチンL-酒石酸塩(LCLT)の場合の酒石酸塩、およびグリシン塩、例えば、グリシンプロピオニル-L-カルニチン(GPLC)が挙げられる。使用される場合、カルニチンは、任意の好適な手段または剤形によって投与されてもよいが、通常、カルニチンは、経口投与され、毎日投与される。したがって、いくつかの実施形態では、カルニチンまたはその塩は、経口投与によって、例えば少なくとも21日間または少なくとも28日間にわたって、毎日対象に投与される。いくつかの実施形態では、対象に(例えば経口で)投与されるカルニチンまたはその塩の1日投与量は、1日当たり0.5~50mmolの範囲、または1日当たり1~25mmolの範囲、または1日当たり2.5~15mmolの範囲、または1日当たり約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、もしくは約15mmolである。例えば、カルニチンがL-カルニチンである場合、1日投与量は、例えば、1日当たり100~2000mg、1日当たり100~250mg、1日当たり250~500mg、1日当たり250~1000mg、1日当たり500~1000mg、または1日当たり500~2000mgの範囲であり得る。別の例として、カルニチン塩であるL-カルニチン-L-酒石酸塩が使用される場合、1日投与量は、例えば、1日当たり500~4000mg、1日当たり1000~4000mg、または1日当たり500~1000mgの範囲であり得る。さらなる例として、カルニチンがアセチル-L-カルニチンである場合、1日投与量は、例えば、1日当たり500~2500mgの範囲であり得る。さらに別の例として、カルニチン塩であるグリシンプロピオニル-L-カルニチンが使用される場合、1日投与量は、例えば、1日当たり500~4000mg、1日当たり1000~4000mg、または1日当たり500~1000mgの範囲であり得る。カルニチンまたはその塩は、単回1日用量として対象に投与されてもよく、あるいは複数回用量(例えば1日2回、3回、または4回)として投与されてもよく、その場合、1日投与量は、それらの複数回用量に分割される。
組成物
本開示の方法は、式(I)の化合物またはその塩の経口投与を伴う。式(I)の化合物またはその塩を含有する任意の好適な経口組成物が使用され得る。方法は、例えば、食事、栄養、および/または健康補助食品としての、筋肉機能および/または性能、フィットネス、運動に対する耐性、および/または持久力を維持または改善するための、かつ筋肉に関連した医学的状態および障害を治療または予防するための新しい治療法としての、化合物の様々な使用を包含する。したがって、式(I)の化合物を含有し、経口投与に適した様々な組成物の使用が想定される。したがって、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物またはその塩は、式(I)の化合物またはその塩と、経口投与に適した1つ以上の賦形剤とを含有する経口組成物の形態で投与される。いくつかの実施形態では、式(I)の化合物(例えばウロリチンA)は、機能性食品、例えば健康バー、または運動後の体力消耗のためのエネルギーバーに含まれてもよい。それは、例えば、ヨーグルトに組み込まれてもよい。あるいは、化合物は、ミルクシェーク、スポーツ飲料(例えば、電解質および/または糖を提供する)などの飲料に含まれてもよく、または飲料にするための濃縮物または粉末形態で存在してもよい。例えば、それは、例えば、貯蔵安定性のある完全な栄養製品に含まれてもよい。完全な栄養製品の例としては、Boost(登録商標)およびEnsure(登録商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。化合物が食事補助食品または薬剤としての使用を目的とする場合、例えば、ピル、錠剤、カプセル、カプレット、薬用キャンディ、トローチ、顆粒、懸濁用粉末、経口溶液、経口懸濁液、経口エマルジョン、シロップなどの形態を有する組成物中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、化合物は、例えば、自分で食べることができない、および/または胃腸機能の障害を有する対象の場合、経腸/経管栄養用の組成物中に含まれてもよい。経腸栄養とは、例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪、水、ビタミン、およびミネラルを含有する栄養的に完全な食べ物を胃に送達することを指す。経腸栄養製品のタイプの例としては、経鼻胃管およびJ管によって栄養補給されるものが挙げられる。経腸栄養製品の例としては、Peptamen(登録商標)(Nestle Health)およびVital1.5(登録商標)(Abbott)が挙げられる。そのような組成物の製造に使用される従来の成分/賦形剤(例えば、機能性食品、スナックバー、飲料、薬用剤形、経腸栄養補給組成物など)が使用されてもよい。
【0143】
式(I)の化合物を含有する組成物は、意図する用途に適した任意の物理的形態をとってもよく、例えば、それらは、固体(例えばバー)、半固体(例えばソフトゲル)、または液体(エマルジョンを含む)の形態であってもよい。場合によっては、組成物は、粘性流体またはペーストの形態であってもよい。組成物が、例えばバーである場合、それは、任意の好適なタイプであってもよく、それは、スナックバーの調製のために従来使用される成分を含有してもよい。半固体形態は、同様に、当該技術分野における従来の賦形剤を含有してもよい。賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、および良好な貯蔵安定性を有するように、所望の硬度、貯蔵期限、および味を提供することができる。半固体形態は、ペーストの形態であってもよい。組成物がソフトゲルである場合、例えば、シェルを有するカプセルで提供されてもよい。シェルは、従来のタイプのものであってもよく、例えば、軟質ゼラチンベースのシェルであってもよい。一例として、組成物は、硬質カプセルタイプのシェルの内部に提供されてもよい。液体組成物は、それぞれ経口摂取用の薬剤、食事補助食品、または飲料の形態であってもよい。液体製剤は、溶液、エマルジョン、スラリー、または他の半液体であってもよい。液体組成物中の賦形剤は、例えば、組成物が許容できる味、魅力的な外観、および良好な貯蔵安定性を有するように、貯蔵期限、外観、味、および食感を提供することができる。ある特定の希釈レベルでは、活性成分の均一な懸濁を維持するために、対象が飲み物を飲む前にそれを振る必要がある場合がある。
【0144】
いくつかの好ましい実施形態では、方法は、微粉化形態の式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)の投与を含む。微粉化により、式(I)の化合物は、より迅速に分散または溶解することが可能になる。微粉化は、当該技術分野において構築されている方法によって達成され得、例えば圧縮力粉砕、ハンマー粉砕、ユニバーサルもしくはピン粉砕、またはジェット粉砕(例えばスパイラルジェット粉砕または流動床ジェット粉砕)が使用されてもよい。ジェット粉砕が特に適している。微粉化化合物が使用される場合、好ましくは、化合物は、100μm未満のD50サイズを有し、すなわち、化合物の50質量%は、100μm未満の粒径サイズを有する。より好ましくは、化合物は、75μm未満、例えば50μm未満、例えば25μm未満、例えば20μm未満、例えば10μm未満のD50サイズを有する。より好ましくは、化合物は、0.5~50μm、例えば0.5~20μm、例えば0.5~10μm、例えば1.0~10μm、例えば1.5~7.5μm、例えば2.8~5.5μmの範囲のD50を有する。好ましくは、化合物は、100μm未満のD90サイズを有する。より好ましくは、化合物は、75μm未満、例えば50μm未満、例えば25μm未満、例えば20μm未満、例えば15μm未満のD90サイズを有する。化合物は、好ましくは、5~100μm、例えば5~50μm、例えば5~20μm、例えば7.5~15μm、例えば8.2~16.0μmの範囲のD90を有する。好ましくは、化合物は、0.5~1.0μmの範囲のD10を有する。好ましくは、式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)は、8.2~16.0μmの範囲のD90、2.8~5.5μmの範囲のD50、およびが0.5~1.0μmの範囲のD10を有する。
式(I)の化合物またはその塩と中鎖トリグリセリドとを含む組成物
いくつかの好ましい実施形態では、式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)は、a)中鎖トリグリセリドと、b)式(I)の化合物またはその塩と、を含む組成物の形態で投与される。それらの実施形態において、好ましくは、式(I)の化合物(例えばウロリチンA)は、微粉化形態である。
【0145】
好適な中鎖トリグリセリドおよび賦形剤を選択することによって、組成物の物理的形態は、問題の製品の要件に合わせられ得る。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、医薬組成物であってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、栄養組成物であってもよい。
【0146】
式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)と中鎖トリグリセリドとを含む組成物は、初期ピーク後しばらくして血中の遅延した第2の増加を呈する単純な生理食塩水懸濁液と比較して、経口投与後の血漿薬物動態プロファイルに関して単一のピークを有利に呈する。生理活性化合物を経口投与する場合、化合物の血漿濃度は、複数のピークのプロファイルとしてではなく、単一のピークとして現れることが好ましい。
【0147】
多くの場合、式(I)の化合物と中鎖トリグリセリドとを含む組成物は、粘性の液体またはペーストの稠度を有し、対象の一般的な食事に対する1回限りの補助食品(例えば、バー、ゲル、もしくはソフトゲルカプセル、ハードカプセル中の、または飲み物に希釈される)として提供され得るか、あるいはそれは、食事の一部または全体として提供され得る。
【0148】
本開示の方法が中鎖トリグリセリドを含む組成物の使用を伴う場合、中鎖トリグリセリドは、典型的には、組成物の少なくとも1%w/w、例えば少なくとも5%w/w、例えば少なくとも10%w/w、例えば少なくとも15%w/wを構成する。中鎖トリグリセリドは、好ましくは、組成物の20%w/w以上、例えば組成物の重量で25重量%w/w以上、例えば重量で30%w/w以上を構成する。例えば、中鎖トリグリセリドは、組成物の1~40%w/w、組成物の2~40%w/w、組成物の5~40%w/w、組成物の10~40%w/w、組成物の1~99%w/w、組成物の5~99%w/w、組成物の10~99%w/w、組成物の20~99%w/w、組成物の5~90%w/w、組成物の10~90%w/w、例えば組成物の20~90%w/w、組成物の20~80%w/w、例えば組成物の30~80%w/w、例えば組成物の30~70%w/w、例えば組成物の30~60%w/w、例えば組成物の30~50%w/w、例えば組成物の30~40%w/w、例えば組成物の30~35%w/wを構成してもよい。例えば、中鎖トリグリセリドは、組成物の40~70%w/w、例えば組成物の50~70%w/w、例えば組成物の55~65%w/wを構成してもよい。
【0149】
そのような組成物において、式(I)の化合物は、典型的には、組成物の0.1~80%w/w、例えば0.1~60%w/w、例えば0.25~50%w/wを構成する。例えば、式(I)の化合物は、組成物の0.5~50%w/wを構成してもよい。組成物が食事の一部または全体として提供される場合、式(I)の化合物は、例えば組成物の0.25~5%w/w、例えば組成物の0.3~3%w/wを構成してもよい。組成物が対象の一般的な食事に対する1回限りの補助食品として提供される場合、ウロリチンは、典型的には、組成物の20~80%w/w、例えば組成物の20~40%w/w、例えば25~35%を構成する。例えば、ウロリチンは、組成物の26~34%w/w、例えば組成物の28~33%w/w、例えば組成物の29~32%w/w、例えば組成物の29~31%w/wを構成してもよい。
【0150】
そのような組成物において、中鎖トリグリセリド構成成分対式(I)の化合物の重量比は、一般に、0.01:1~100:1、例えば0.5:1~100:1、例えば0.5:1~50:1、例えば0.5:1~5:1、または例えば、1:1~75:1、例えば1:1~50:1、例えば1:1~20:1、例えば1:1~10:1、例えば1:1~2.5:1、例えば1:1~2:1、例えば1:1~1.5:1の範囲である。重量比は、0.01:1~10:1、例えば0.1:1~10:1、または0.01:1~5:1、例えば0.01:1~0.1:1の比であってもよい。
【0151】
いくつかの好ましい実施形態では、本開示の方法は、式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)と1つ以上の中鎖トリグリセリドとを含む、フィリングを含むソフトゲルカプセルの投与を伴う。それらの実施形態において、好ましくは、式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)は、微粉化される。ソフトゲルカプセルが使用される実施形態では、シェル構成成分は、従来の成分を使用して製造されてもよい。
【0152】
中鎖トリグリセリドは、式CH(OR)-CH(OR)-CH(OR)(式中、R、R、およびRが中鎖脂肪酸基である)の、一般に式-C(=O)(CHCH(式中、nは4~10、例えば6~8の範囲である)の化合物である。中鎖脂肪酸は、6~12個の炭素原子の脂肪族尾部を有する脂肪酸である。脂肪族尾部は、主に飽和している。特定の中鎖脂肪酸としては、カプロン酸(ヘキサン酸、C6:0)、カプリル酸(オクタン酸、C8:0)、カプリン酸(デカン酸、C10:0)、およびラウリン酸(ドデカン酸、C12:0)が挙げられる。ミリスチン酸(テトラデカン酸、C14:0)もまた少量存在し得る。最も一般的に使用される中鎖トリグリセリドは、一般に、カプリル酸およびカプリン酸のトリグリセリドの混合物を有し、95%以上の飽和脂肪酸を含有する。本開示の方法で使用される好ましい組成物中に存在する中鎖トリグリセリド構成成分は、均質な単一の中鎖トリグリリド化合物タイプからなってもよく、より一般的には、中鎖トリグリセリド構成成分は、2つ以上の異なる中鎖トリグリリド化合物の混合物である。
【0153】
European Pharmacopoeiaは、Cocos nucifera L.(ココヤシ)の胚乳の硬質乾燥部分から、またはElaeis guineenis Jacq.(アフリカのアブラヤシ)の乾燥胚乳から抽出された凝固油としての中鎖トリグリセリドを記載している。European PharmacopoeiaおよびUSPNFの両方は、特定の脂肪酸の存在が以下の通りであることを必要とする中鎖トリグリセリドの仕様を有する:カプロン酸(C6)2.0%以下、カプリル酸(C8)50.0~80.0%、カプリン酸(C10)20.0~50.0%、ラウリン酸(C12)3.0%以下、およびミリスチン酸(C14)1%以下。
好ましい組成物中で使用するための中鎖トリグリセリドは、以下の比率で存在する脂肪酸鎖とトリグリセリドとの混合物を含む:C6 5%以下、C8 50~70%、C10 30~50%、およびC12 12%以下、例えばC6 0.5%以下、C8 55~65%、C10 35~45%、およびC121.5%以下。
【0154】
好ましい組成物で使用される中鎖トリグリセリドは、任意の既知の、または他の好適な供給源に由来し得る。
【0155】
本開示の方法で使用される組成物は、有利には、1つ以上のリン脂質を含み得る。特に好ましいリン脂質は、ホスファチジルコリンである。ホスファチジルコリンによってもたらされる利点は、少なくとも部分的には、それらの両親媒性の特性によるものであり得、例えば、乳化剤としての特性によるものであり得る。
【0156】
特に有用なリン脂質源、特にホスファチジルコリンは、レシチンであり、本開示の方法で使用される組成物は、有利にレシチンを含む。レシチンは、組成物中に存在する場合、典型的には、組成物の少なくとも0.5%w/w、好ましくは組成物の少なくとも1%w/wを構成する。レシチンは、好ましくは、組成物の10%w/w以上、例えば組成物の重量で20%w/w以上、例えば重量で30%w/w以上を構成する。例えば、レシチンは、組成物の0.5~80%w/w、例えば組成物の1~80%w/w、例えば20~80%w/w、例えば40~80%w/w、あるいは例えば0.5~75%w/w、例えば組成物の1~40%w/w、例えば組成物の30~40%w/w、例えば組成物の30~35%w/w、例えば組成の30~75%w/wを構成してもよい。あるいは、レシチンは、組成物の0.5~5%w/w、例えば組成物の1~5%w/w、例えば組成物の1~3%w/w、例えば0.5~2%w/w、例えば組成物の1~2%w/wを構成してもよい。レシチン(存在する場合)とウロリチンとの間の重量比は、一般に、0.02:1~3:1、例えば0.03:1~1.2:1、例えば1:1~1.2:1、例えば1.1:1~1.2:1の範囲である。
【0157】
「レシチン」は、リン酸、コリン、脂肪酸、グリセロール、糖脂質、トリグリセリド、ならびにリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルイノシトール)を含む、動物および植物組織中に発生する脂肪物質の任意の群を示す。大豆およびヒマワリから得られる市販のレシチンは、リン脂質ホスファチジルコリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジン酸を含む。レシチンは、ヘキサン、エタノール、アセトン、石油エーテル、もしくはベンゼンなどの非極性溶媒中のその供給源からの化学的抽出によって、または機械的抽出によって得られ得る。特に、レシチンは、大豆、卵、牛乳、菜種、綿実、およびヒマワリなどの供給源からの抽出によって得られ得る。食用製剤に使用するための市販のレシチンは、容易に購入され得る。
【0158】
本明細書に記載の組成物に使用され得る市販のレシチンは、典型的には、以下の主要構成成分を含有する:33~35%の大豆油、20~21%のイノシトールホスファチド、19~21%のホスファチジルコリン、8~20%のホスファチジルエタノールアミン、5~11%の他のリン脂質、5%の遊離炭水化物、2~5%のステロール、および1%の水分。
【0159】
本明細書に記載の組成物に使用され得る市販のレシチンは、例えば、レシチン中に最低5%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低10%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低15%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低20%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低25%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低30%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低32%w/wのホスファチジルコリンを有し、例えば、レシチン中に最低40%w/wのホスファチジルコリンを有し、ホスファチジルコリンで富化されてもよい。
【0160】
レシチンはまた、それらの特性を調整するために以下のプロセスのうちの1つ以上によって修飾されてもよい。修正された比の異なるリン脂質を有するレシチンを製造するための特定のリン脂質のアルコール抽出;油を除去し、粉末状または顆粒状のリン脂質ブレンドを得るためのアセトン抽出;担体としてのタンパク質上への噴霧乾燥;フレーク状または粉末製品を製造するための高融点モノ-およびジ-グリセリドなどの合成乳化剤による噴霧冷却;酵素作用による修飾(ホスホリパーゼ、一般的には特にホスホリパーゼA2)、特に顕著な乳化挙動を伴うレシチンを製造するための部分加水分解;酸およびアルカリによる脂肪酸基の加水分解;アセチル化;ならびに脂肪酸鎖およびアミノ基のヒドロキシル化。
【0161】
いくつかの実施形態では、方法は、式(I)の化合物またはその塩と、中鎖トリグリセリドと、乳化剤(例えば、レシチン)とを含む組成物の投与を含む。
【0162】
本開示の方法が、式(I)の化合物と中鎖トリグリセリドと(任意にレシチンなどの乳化剤と)を含む組成物の投与を伴う場合、組成物は、例えば、追加の構成成分を含有し得る。追加の構成成分は、例えば、ビタミン、ミネラル、タンパク質、多価不飽和脂肪酸、および他の化合物から選択される、例えば、健康上の利益を提供する化合物であってもよい。
【0163】
ビタミンの中でも、具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB12、およびビタミンK2が挙げられ得る。本明細書において使用される場合、「ビタミンD」とは、ビタミンDの既知の形態のいずれかを指し、具体的には、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンD3(コレカルシフェロール)、ビタミンD前駆体、代謝産物、および別の類似体、ならびにこれらの組み合わせ、ならびにビタミンDの様々な活性および不活性形態を含む。例えば、ビタミンD3は、コレカルシフェロールとしてその非加水分解不活性形態で提供されてもよいか、またはカルシトリオールとしてその加水分解活性形態で提供されてもよい。
【0164】
クレアチンは、筋障害の治療において有益な効果を有するものとして記載されている。これは、本発明の組成物中に含まれ得る。β-ヒドロキシル-β-メチルブチレート(HMB)は、筋障害の治療において有益な効果を有するものとして記載されている。これは、組成物中に含まれ得る。
【0165】
多価不飽和脂肪酸は、骨格中に2つ以上の二重結合を含有する脂肪酸である。このクラスは、必須脂肪酸、例えば、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸などの多くの重要な化合物を含む。長鎖多価不飽和脂肪酸、および好ましくは分子中に少なくとも20個の炭素原子を有するものが適している。そのような長鎖オメガ-3脂肪酸としては、シス-11,14,17-エイコサトリエン酸(ETE)C20:3、シス-8,11,14,17-エイコサテトラエン酸(ETA)C20:4、シス-5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(EPA)C20:5、シス-7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(DPA、クルパノドン酸)C22:5、シス-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(DHA)C22:6、シス-9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸C24:5、シス-6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸(ニシン酸)C24:6が挙げられる。少なくとも20個の炭素原子を有する長鎖オメガ-6脂肪酸としては、シス-11,14-エイコサジエン酸C20:2、シス-8,11,14-エイコサトリエン酸(ジホモ-γ-リノレン酸)(DGLA)C20:3、シス-5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(アラキドン酸)(AA)C20:4、シス-13,16-ドコサジエン酸C22:2、シス-7,10,13,16-ドコサテトラエン酸(アドレン酸)C22:4、シス-4,7,10,13,16-ドコサペンタエン酸(オズボンド酸)C22:5が挙げられる。本発明による組成物は、好ましくは、EPA、DHA、またはこれらの組み合わせを、例えば、1食当たり10~1,000mgの量で、例えば、1食当たり25~250mgの量で含有する。
【0166】
式(I)の化合物またはその塩を含有する医薬組成物は、例えば、追加の薬学的に活性な化合物を含み得る。
【0167】
いくつかの例示的な実施形態では、本発明の組成物は、中鎖トリグリセリドおよび式(I)の化合物に加えて、1つ以上の追加の多量栄養素、例えば脂肪および/または炭水化物を含み得る。本明細書に記載の組成物中での使用に好適な脂肪またはその供給源の非限定的な例としては、ココヤシ油;分留ココヤシ油;大豆油;コーン油;オリーブ油;ベニバナ油;高オレイン酸ベニバナ油;ヒマワリ油;高オレイン酸ヒマワリ油;パーム油およびパーム核油;パームオレイン;キャノーラ油;魚油;綿実油;ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸(ARA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。本明細書に記載の組成物中での使用に好適な炭水化物またはその供給源の非限定的な例としては、マルトデキストリン、加水分解または変性デンプンまたはトウモロコシデンプン、グルコースポリマー、コーンシロップ、コーンシロップ固体、米由来の炭水化物、グルコース、フルクトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ、タピオカデキストリン、イソマルツロース、スクロマルト、マルチトール粉末、グリセリン、フラクトオリゴ糖、大豆繊維、トウモロコシ繊維、グアーガム、コンニャク粉、ポリデキストロース、蜂蜜、糖アルコール(例えば、マルチトール、エリスリトール、ソルビトール)、およびこれらの組み合わせが挙げられ得る。マルトデキストリン、スクロース、およびフルクトースが特に好ましい。
【0168】
組成物中の追加の構成成分は、対象に健康上の利益は提供しないが、代わりに組成物を何らかの他の方法で、例えば、上述されているようにその味、食感、または貯蔵期限を改善する化合物であってもよい。したがって、組成物は、乳化剤、着色剤、防腐剤、ガム、硬化剤、増粘剤、甘味料、および香料から選択される1つ以上の化合物をさらに含有してもよい。
【0169】
適切な乳化剤、着色剤、防腐剤、ガム、硬化剤、および増粘剤は、エマルジョンおよび他の半液体製造の技術分野において周知である。乳化剤は、ホスファチジルコリン、レシチン、ポリソルベート60またはポリソルベート80(Tween-60およびTween-80)などのポリソルベート、ならびにグリセロールモノステアレート(GMS)のうちの1つ以上を含み得る。グリセロールモノステアレートは、グリセリルモノステアレートとしても既知である。
【0170】
安定剤が本明細書に記載の組成物中に使用されてもよい。多くの組成物は、追加の安定剤を必要としない安定した懸濁液である。安定した懸濁液は、経時的に相分離を受けないものである。ある特定の組成物については、安定性は、追加の安定剤を含むことによって改善され得る。本発明の組成物での使用に好適な安定剤としては、グリセロールモノステアレート(GMS)、二酸化ケイ素、および植物性ショートニングが挙げられる。例示的な安定剤は、GMSであり、本発明の好ましい組成物は、GMSを含有する。その特性により、GMSは、例えばレシチンに見られるようなリン脂質の優れた溶媒にもなる。GMSは、2つの多形体で存在し、α型は、分散性かつ泡状であり、乳化剤または防腐剤として有用である。β型は、ワックスマトリクスに適している。α型は、50℃で加熱するとβ型に変換される。
GMSは、2つの別々のグレード、40~55パーセントのモノグリセリドおよび90パーセントのモノグリセリドに分類される。European Pharmacopoeiaによって定義されている40~55パーセントのモノグリセリドは、GMSを、ある量のジ-およびトリ-グリセロールと合わせたモノアシルグリセロール、主にモノステアロイルグリセロールの混合物として記載している。特に、40~55グレードは、40~55%のモノアシルグリセロール、30~45%のジアシルグリセロール、および5~15%のトリアシルグリセロールを含む。99パーセントグレードは、90%以上のモノグリセリドを含む。市販のGMS製品中のモノグリセリドは、可変比率のグリセリルモノステアレートとグリセリルモノパルミテートの混合物である。European Pharmacopoeiaは、混合物中のステアリン酸エステルの比率に応じて、グリセリルモノステアレート40~55を3つのタイプにさらに分割する。タイプ1は、40.0~60.0%のステアリン酸を含み、パルミチン酸とステアリン酸の合計は、90%以下である。タイプ2は、60.0~80.0%のステアリン酸を含み、パルミチン酸とステアリン酸の合計は、90%以下である。タイプ3は、90.0~99.0%のステアリン酸を含み、パルミチン酸とステアリン酸の合計は、96%以下である。GMSの任意の形態が組成物中で使用され得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、方法は、中鎖トリグリセリドと、式(I)の化合物またはその塩(例えばウロリチンA)と、安定剤、例えばグリセロールモノステアレートとを含む組成物の投与を含む。いくつかの実施形態では、方法は、乳化剤と安定剤とを含む組成物の投与を伴う。
【0172】
エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のナトリウムカルシウム塩などの金属キレート剤または金属イオン封鎖剤も使用され得る。本発明の製剤に含まれ得る他の構成成分としては、ポリエチレングリコール、二酸化ケイ素、植物ショートニング、および蜜蝋が挙げられ得る。
【0173】
香料は、本明細書に記載の方法に使用される組成物において有益であり得る。液体または半液体組成物において、例えば、果実ソースまたはピューレを含むことによって、果実フレーバが提供され得る。典型的な香料としては、ストロベリー、ラズベリー、ブルーベリー、アプリコット、ザクロ、ピーチ、パイナップル、レモン、オレンジ、およびアップルが挙げられる。一般に、果実香料は、果実抽出物、フルーツジャムまたはフルーツピューレを、甘味料、デンプン、安定剤、天然および/または人工フレーバ、着色剤、防腐剤、水、ならびにクエン酸またはpHを制御するのに好適な他の酸の組み合わせのいずれかと共に含む。
【0174】
本明細書に記載の方法に使用される単位用量組成物は、好ましくは、250mgまたは500mgの式(I)の化合物、例えば250mgまたは500mgのウロリチンAを含有する。単位用量は、例えば、25g~150gの範囲の重量のスナックバーの形態、単回用量(例えば、50~500mL、100~300mL、例えば250mL~500mL)を保持するのに十分なボトルまたはパウチなどの容器内で提供される飲料の形態であってもよい。好ましいさらなる代替例では、単位用量は、例えば、250mgのウロリチンAを含有するソフトゲルカプセルの形態である。
【0175】
代表的な組成物が以下の表に示される。
代表的な組成物A:
【0176】
【表2】
【0177】
さらなる代表的な組成物が以下の表に示される。
代表的な組成物B:
ゼラチンシェルを含有するソフトゲルカプセルおよびウロリチンAを含有する充填剤
【0178】
【表3】
【0179】
【表4】
【0180】
本開示は、式(I)の化合物またはその塩の使用、式(I)の化合物またはその塩の投与を伴う方法、薬剤として使用するための式(I)の化合物またはその塩、および対象における状態を治療するための薬剤の製造のための式(I)の化合物またはその塩の使用を提供する。上記の考察、およびそこに記載される実施形態(例えば、式(I)の化合物の性質、投与計画、用途、および組成物に関する)は、本開示の方法を考察する文脈で行われているが、(I)の化合物またはその塩の使用、薬剤として使用するための式(I)の化合物またはその塩、および対象における状態を治療するための薬剤の製造のための式(I)の化合物またはその塩の使用に関する態様を含む、本開示の全ての態様に等しく適用される。
【実施例0181】
以下の実施例は本発明を図示する。
実施例1:ウロリチンAの調製
ウロリチンA(4)を、2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸1およびレゾルシノール2から出発する2つの工程で調製した。純粋な化合物を淡黄色の粉末として得た。
【0182】
【化14】
【0183】
工程1:
水(120mL)中の2-ブロモ-5-メトキシ安息香酸1(27.6g、119mmol、1.0当量)、レゾルシノール2(26.3g、239mmol、2.0当量)、および水酸化ナトリウム(10.5g、263mmol、2.2当量)の混合物を1時間還流加熱した。硫酸銅の5%水溶液(50mLの水中の3.88gのCuSO・5HO、15.5mmol、0.1当量)を次に添加し、混合物をさらに30分間還流した。混合物を室温まで冷却させ、固体をブフナーフィルタ上で濾過した。残留物を冷水で洗浄して淡赤色の固体を得て、これを熱いMeOH中で粉砕した。懸濁液を一晩4°Cで放置した。得られた沈殿物を濾過し、冷たいMeOHで洗浄し、表題化合物3を淡褐色の固体として得た。
工程2:
乾燥ジクロロメタン(100mL)中の3(10.0g、41mmol、1.0当量)の懸濁液に、0°Cで乾燥ジクロロメタン中の三臭化ホウ素の1M溶液(110mLの無水ジクロロメタン中の11.93mLの純粋BBr、124mmol、3.0当量)を滴下した。混合物を0°Cで1時間放置した後、室温まで温めた。溶液をその温度で17時間撹拌した。次に氷を混合物に十分に添加した。黄色の沈殿物を濾過し、冷水で洗浄して黄色の固体を得て、これを酢酸中で3時間還流加熱した。熱い溶液を迅速に濾過し、沈殿物を酢酸で、次にジエチルエーテルで洗浄し、表題化合物4を黄色の固体として得た。Hおよび13C NMRは、4の構造と一致した。
実施例2:ウロリチンA剤形
ウロリチンAを、以下の構成成分を含むソフトゲルカプセルに製剤化した。
【0184】
【表5】
【0185】
【表6】
【0186】
実施例3:臨床研究
健康な高齢者対象における安全性、忍容性、薬物動態、および薬力学プロファイルを評価するために、ウロリチンAの単回(パートA)および複数回(パートB)用量研究を実施した。
研究デザイン
パートA:この研究は、24名の健康な高齢男性および女性ボランティアにおける二重盲検、無作為化、単回漸増用量の研究であった。各対象を、3つのコホートで2回の連続用量のために無作為化した。
【0187】
パートB:この研究は、36名の健康な高齢男性および女性ボランティアにおける二重盲検、無作為化、複数回漸増用量の研究であった。各対象を、28日間研究製品またはプラセボを受けるように無作為化した。
研究の目的:
28日間の複数回投与後の健康な高齢者対象におけるウロリチンAの安全性および忍容性を決定すること。
【0188】
単回および複数回投与後のウロリチンAの薬物動態プロファイルを決定すること。
【0189】
単一の250mg用量でソフトゲル製剤として送達されたウロリチンAの薬物動態プロファイルを、500mg、1000mg、および2000mgの用量での漸増単回高用量投与と比較すること。
【0190】
反復複数回の28日間の250mgの用量でソフトゲル製剤として送達されたウロリチンAの薬物動態プロファイルを、500mgおよび1000mgの用量での漸増反復複数回の28日間投与と比較すること。
【0191】
ウロリチンAの複数回用量の28日間経口投与(250mg、500mg、1000mgの用量)後の、ベースラインと比較した、筋組織(外側広筋)のオートファジーおよびマイトファジーバイオマーカーに対する遺伝子およびタンパク質発現の用量依存的な薬力学的調節を決定すること。
治験薬:
250mgのウロリチンAを含有する1100mgのソフトゲルカプセル(上記の実施例2に記載される通り)。ソフトゲルカプセルは、大量にブリスターパックされており、ラベリングは、現地の規制仕様および要件に準拠していた。
【0192】
摂取当たりの用量:
パートA:250mg、500mg、1000mg、または2000mg(1、2、4、または8カプセル)
パートB:1日当たり250mg、1日当たり500mg、または1日当たり1000mg(1日当たり1、2、または4カプセル)
プラセボ:
レシチン、トリグリセリド、ジグリセリドを含有するソフトゲルカプセル
摂取のタイミング:
パートA:無作為化に従って各期間の1日目の単回経口投与。投与は、午前8時頃、約200mLの水道水を用いて、座位で、かつ絶食状態で行われた。
【0193】
パートB:無作為化に従って1日目~28日目までの反復経口投与。投与は、午前8時頃、約200mLの水道水を用いて、座位で、かつ絶食状態で行われた。
【0194】
対象:
パートA:
61~85歳の範囲内の、24名の健康な高齢男性および女性対象を研究に含んだ。
【0195】
コホート1(8名の対象):250mgのウロリチンA(6名の対象)またはプラセボ(2名の対象)カプセルソフトゲル製剤、次いで、2000mgのウロリチンA、またはプラセボカプセルソフトゲル製剤。コホート2(8名の対象):500mgのウロリチンA(6名の対象)またはプラセボ(2名の対象)カプセルソフトゲル製剤。
【0196】
コホート3(8名の対象):1000mgのウロリチンA(6名の対象)またはプラセボ(2名の対象)カプセルソフトゲル製剤。
【0197】
パートB:
61~85歳の範囲内の、36名の健康な高齢男性および女性対象を研究に含んだ。
【0198】
コホート1(12名の対象):28日間の250mgのウロリチンA(9名の対象)またはプラセボ(3名の対象)ソフトゲルカプセル製剤。
【0199】
コホート2(12名の対象):28日間の500mgのウロリチンA(9名の対象)またはプラセボ(3名の対象)ソフトゲルカプセル製剤。
【0200】
コホート3(12名の対象):28日間の1000mgのウロリチンA(9名の対象)またはプラセボ(3名の対象)ソフトゲルカプセル製剤。
【0201】
薬物動態パラメータ:
単回投与後:Cmax、tmax、AUC0-t、AUC0-∞、t1/2
複数回投与後:Cmax、tmax、AUC0~24時間、t1/2
血漿濃度-時間データから、非コンパートメント方法を使用してデータが可能にするように、以下の薬物動態パラメータが決定される。最大観察血漿濃度(Cmax)(ng/mL)、最大観察血漿濃度の時間(tmax)(時間)、血漿濃度-時間曲線下面積AUC(0~24時間)(ng/mL*時間)およびAUC(0-∞)(ng/mL*時間)、ならびに見かけ消失半減期(t1/2)(時間)。
研究期間
パートA:
最初の投与前21日以内のスクリーニング。
各期間に対する48時間(D-1の夕方からD2の夕方)の入院。
各期間に対するD4およびD5の外来訪問
ウォッシュアウト:各投与の間に少なくとも21日間
研究訪問の終了:P2D5。
P2D7(±2)のフォローアップの電話。
予測期間:参加する対象毎におよそ8週間
パートB:
最初の投与前21日以内のスクリーニング
-1日目(V1)、7日目(V2)、14日目(V3)の外来訪問。
27日目(V4)(午後4時頃)~29日目(V6)(午前10時頃)までの入院
各期間に対する31日目および32日目の外来訪問
35日目(±2)のフォローアップの電話。
予測期間:参加する対象毎におよそ8週間
最後の訪問中、対象は、研究開始時の検査と同一の完全な臨床生物学的検査を受けた。いかなる(有害事象)も記録され、それらが進行中の場合、さらなるフォローアップを手配した。フォローアップは、事象が解決されるか、または状態が変化する可能性が低くなるか、または対象が追跡不能になるまで続いた。
無作為化
治験依頼者の代表者から無作為化リストが提供された。製品を、パートAに対してP1D1で、かつパートBでD-1(V1)に割り当てた。
盲検
バイアスを回避するために、次の措置が取られた。
【0202】
-二重盲検研究、および
-活性製品およびプラセボを含有するソフトゲルカプセルは、外観が区別できなかった。
【0203】
分析センター、ならびに治験責任医師およびチームおよび対象は、盲検状態にあった。各対象について、製品の識別を含む符号化リスト(緊急用封筒)が治験依頼者の代表者から供給され、臨床研究期間全体を通して安全な場所に保管された。医薬品が必要とされる場合、使用される復号システムは、代表者の薬剤師に提供される封印された符号化リストであった。封印された符号化リストは、安全な場所に保管され、非盲検が許可されたいかなる人にもアクセス可能であった。
統計
実験室パラメータ(生化学/血液学/尿検査)
値、実験室の範囲に応じた位置、および臨床評価を、スクリーニング時、研究ベースライン(D-1)、および研究終了時(D28)に用量群および全体で記載した。研究ベースラインの値と研究訪問終了時の値との間の変化を、用量群および全体で各パラメータについて記載した。全ての定量的および定性的な尿検査結果をリスト化し、用量群、対象、および訪問毎に分類した。
薬物動態パラメータの評価、記録、および分析のための方法およびタイミング
血液試料の採取、処理、および貯蔵
正確な時点でのウロリチンA濃度測定のために、以下の表に記載の許可された時間枠で採血を行った。
【0204】
【表7】
【0205】
【表8】
【0206】
血液処理手順:
表に示される各時点で、6mLの血液試料をK2-EDTAコーティングチューブに吸い込んだ。血液試料を凝固阻止剤と完全に混合するために、数回穏やかに反転させた。試料採取の正確な時間を、eCRFに記録した。採血後30分以内に、各血液試料を4℃において10分間1500gで遠心分離した。
【0207】
遠心分離後30分以内に、ヒト血漿の最上層は、それぞれおよそ1500μLの血漿(各時点で2アリコート)を含む、2つの予めラベルの付いたポリプロピレンチューブに移される。
【0208】
血球は移さなかった。全ての試料チューブに明確かつ適切にラベルを付けた。各時点からすぐにチューブに蓋をし、血漿を貯蔵のためにおよそ-80℃において直立状態で凍結させた。試料をドライアイス上で輸送した。
血漿試料輸送:
試料を、薬物動態パラメータの分析のために実験室に送った。輸送は、専門の運送業者によってドライアイス中で行われた。全ての輸送中にデータロガーを使用して温度を監視した。
筋生検の評価、記録、および分析のための方法およびタイミング
エクスビボ測定を行うために、右脚の外側広筋から食前に筋生検を採取した。
【0209】
【表9】
【0210】
筋生検を、Bergstrom生検針技術を使用して、絶食状態下で投与前、-1日目および28日目に採取した。各筋組織試料の最小量は、およそ50mgであった。組織の3分の1を遺伝子発現に使用し(約50mg)、2つの等しい部分にさらに分割し、1つの部分は、RNA分析用であり(約25mg)、1つの部分は、DNA分析用であり(約25mg)、両方ともセーフロックチューブ2.0ml、Eppendorf(部品番号0030.120.094)中にあった。採取直後に液体窒素を使用して筋組織を急速凍結し、さらに、長期貯蔵は、-80℃の冷凍庫内である。mRNAをqPCRによって分析した。核DNA上のmtDNAの定量化は、ミトコンドリアの個体数の別の尺度を提供した。輸送は、専門の運送業者によってドライアイス中で行われた。全ての輸送中にデータロガーを使用して温度を監視した。
血漿中の代謝産物および筋肉機能のマーカーの測定
血液試料の採取、処理、および貯蔵
以下の表に記載の正確な時点で、血漿の分析のために採血を行った。
【0211】
【表10】
【0212】
血液処理手順:表に示される各時点で、6mLの血液試料をK2-EDTAコーティングチューブに吸い込んだ。血液試料を凝固阻止剤と完全に混合するために、数回穏やかに反転させた。試料採取の正確な時間を、eCRFに記録した。採血後30分以内に、各血液試料を4℃において10分間1500gで遠心分離した。遠心分離の30分後、ヒト血漿の最上層を、およそ1500μLの血漿を含む2つの予めラベルの付いたポリプロピレンチューブに移した。血球は移さなかった。全ての試料チューブに明確かつ適切にラベルを付けた。各時点からすぐにチューブに蓋をし、血漿を貯蔵のためにおよそ-80℃において直立状態で凍結させた。
【0213】
血液試料の輸送:試料を、筋肉関連マーカーの分析のためにIndivumed GmbHに送り、代謝産物の測定のためにMetabolon Incに送った。輸送は、専門の運送業者によってドライアイスを使用して行われた。全ての輸送中にデータロガーを使用して温度を監視した。
【0214】
筋肉機能のマーカーの測定:ミオスタチンおよびフォリスタチンを含む筋肉機能のマーカーを、ELISAベースの方法を使用して測定した。
【0215】
代謝産物の測定:LC/MS/MSおよびPolar LCプラットフォームで分析するために、試料を抽出し、等しい部分に分割した。プロプライエタリソフトウェアを使用して、代謝産物の同定およびピーク面積積分による代謝産物の定量化のために、社内の標準物質ライブラリとイオンを照合した。合計781個の代謝産物を定量化した。
食事および研究の制限(複数可)
パートAについて各期間の1日目、およびパートBについて28日目に、対象は、研究製品投与に関して以下の時間に食事が許可された。-T5hの標準化された昼食、-T12hの標準化された夕食。
【0216】
食事は、ある場合は、PKサンプリング後にした。他の入院日には、標準化された朝食が提供された。水分補給は、24時間毎に1.5~2Lであった。入院中、対象は、屋内活動(運動なし)に制限され、休憩し、臨床薬理学棟を離れなかった。入院期間外、対象は、試験期間全体を通して、スポーツ活動のない安定したライフスタイルを送るように要求された。研究期間全体を通して、ニコチンの摂取を禁止した。以下の補助食品:レスベラトロル、ニコチンアミドリボシド、乳清タンパク質、ロイシン、イソ-ロイシン、L-カルニチン、クレアチニン、Q10、ビタミンA、ナイアシン、葉酸、ビタミンC、ビタミンE、植物抽出物(ザクロおよび果実抽出物を含む)、ならびにプロバイオティクス食品および補助食品の消費は、組み入れの少なくとも2週間前に停止された。
サンプリングされた血液量
研究中に採取された血液の総量は、およそ以下のようになる。
パートA:
総体積:223mL
パートB:
総体積:161mL
統計
統計方法の説明
統計分析は、SAS(登録商標)コンピュータープログラム(リリース9.3)を使用して、治験依頼者の代表者によって実施された個々のデータリスト化および記述統計からなった。各パートにおいて、3つのコホートの全てのプラセボ対象をプラセボ用量群に一緒に含んだ。
パートA
4つの用量群を考慮した。
1-プラセボ、
2-250~2000mg(P1で250mg、P2で2000mg)、
3-500mg、
4-1000mg。
パートB:
4つの用量群を考慮した。
1-プラセボ、
2-250mg、
3-500mg、
4-1000mg。
記述統計
平均、標準偏差(SD)、標準誤差(SEM)、最小、中央値、最大、および観測数を使用して、定量的パラメータの記述統計を提供し、頻度(n)およびパーセント頻度(%)を使用して、定性的パラメータの記述統計を提供する。
対象の人口統計学的特徴、病歴、および診断
連続変数(年齢、身長、体重、BMI、および定性的変数(人種))を、関連する場合、含まれる対象および/または薬物動態集団の記述統計に要約した。対象の消費習慣(喫煙、アルコール、食習慣)がリスト化される。実験室検査(薬物乱用)、血清学、およびアルコール呼気検査、IPAQの結果を、用量群および全体で要約した。病歴は、関連する場合は、器官別大分類および優先使用語でリスト化および要約される(Medical Dictionary for Regulatory Activity(MedDRA))。ベースラインにおける異常な身体所見をリスト化した。
以前の投薬
以前の投薬を、World Health Organization-Drug Reference List(WHO-DRL)に従って符号化した。
ベースライン安全性パラメータ
最初の製品投与前に測定された個々の安全性データ(臨床検査室、バイタルサイン、ECG)を、開始基準の妥当性についてチェックし、異常を記録した。投与前の個々の異常を、データリスト化においてフラグ付けし、統計付録に投与後の測定値と共に提示した。
研究製品および併用療法
各対象の研究製品調剤情報および製品投与の詳細(受けた実際の製品/治療、受けた実際の用量、製品摂取の日時)を、用量群、期間、および対象でリスト化した。併用治療を、World Health Organization-Drug Dictionary(WHO-DD)に従って符号化した。用量群と共に併用治療を受けた対象を、用量群、期間、および対象でリスト化した。関連する場合、併用薬もまた、用量群および期間対象の解剖学的クラスおよび治療的クラスで要約し、所与の薬剤を服用する対象の頻度(n)および各投薬の発生回数を示した。
薬物動態パラメータの分析
血漿濃度-時間データから、非コンパートメント方法を使用してデータを可能にするように、以下の薬物動態パラメータを決定した。最大観察血漿濃度(Cmax)、最大観察血漿濃度の時間(tmax)、血漿濃度-時間曲線下面積AUC(0~24時間)およびAUC(0-∞)、ならびに見かけ消失半減期(t1/2)。
薬力学的パラメータの分析
qPCRによるDNAおよびマイクロアレイによるRNAの分析
使用される方法は、対応するサービスプロバイダーによって、良好な臨床検査室の業務実施(GCLP)およびICHガイドラインQ2(R1)(分析手順の検証)に従って検証されている。全ての試料を、ハウスキーピングおよび標的遺伝子の少なくとも技術的複製において分析した。蛍光シグナルが増幅段階に達するサイクルに対応するCt値(閾値サイクル)を、全ての技術的複製および遺伝子について決定した。次いで、2-ΔΔCtの方法(Livak,K.,J.,and Schmittgen,T.D:,Methods,2001)を適用して、各標的遺伝子の相対的発現を決定した。
【0217】
利用可能な残りの筋肉組織試料における遺伝子発現を、マイクロアレイによって実施した。マイクロアレイデータを、遺伝子セット濃縮分析(GSEA)を実行して分析し、これは、どの生物学的プロセスが、遺伝子毎よりも遺伝子セット全体規模で上方または下方制御されるかを示す。
筋肉機能のマーカーの分析
全ての試料を、分離された各分析物で作製された標準曲線と共に、技術的複製において分析した。各マーカーの量を、血漿中の絶対濃度として表した(分析物に応じてpg~μg/mlの血漿)。
品質管理および保証
品質保証
研究を、法的条件およびフランスの規制に準拠して、かつGCP(ICH E6)に関して実施した。研究開始前にプロトコルに追加されたか、または治験依頼者によって書面で指定された任意の特定の条項を除き、治験依頼者の代表者において有効な品質保証システムを適用した。
品質管理
主な研究段階(適格規準、主な評価基準、AEに対するソースとCRFとの間の一貫性)は、品質管理プロセスを受けた。
治験依頼者の監査および規制当局による検査
研究がGCPの原則および研究プロトコルに従って実施されたことを検証するために、研究は、治験依頼者による現地監査訪問および該当する規制当局による検査の対象であった。監査人/検査官は、医療記録、ソース文書、および臨床試験に関連する全ての文書および施設に直接アクセスしたであろう。治験責任医師は、監査人/検査官が調査のために研究記録に直接アクセスすることを可能にすることに同意し、これらの人員が守秘義務によって拘束され、したがって、いかなる個人の身元または個人の医療情報も開示しないことが理解される。これらの検査中、検証されたデータの機密性および対象の匿名性が尊重されるべきである。
倫理的配慮:
Fortalezaで修正されたDeclaration of Helsinki(2013)、Good Clinical Practice(GCP)に関する勧告(ICH E6)、および任意の該当する現地の規制要件(複数可)に従って研究を実施した。Ethics Committee“Comite de Protection des Personnes”(CPP)およびFrench/National Health Authorities“Agence Nationale de securite du medicament et des produits de sante”(ANSM)の両方の承認を受けて、臨床研究を開始した。
実施例4:臨床研究結果
ヒト対象に投与した場合のウロリチンAの薬物動態学的および薬力学的特性を決定するための第I相臨床試験を、上記の実施例3に記載のように実施した。筋肉および血漿バイオマーカーに対するウロリチンAの効果と同様に、異なる用量で投与した場合の化合物の薬物動態パラメータを調査した。
【0218】
研究のパートAにおいて、ヒト対象に、プラセボまたはウロリチンAを様々な投与量で単回用量として経口投与した。パートBにおいて、ヒト対象に、プラセボまたはウロリチンAを28日間毎日、様々な投与量で経口投与した。パートBにおいて、骨格筋生検および血漿試料を採取し、様々な技術を使用して分析して、バイオマーカーに対する効果を決定した。
a)薬物動態-単回用量
図1は、250mg、500mg、および2000mgのウロリチンAの投与量での単回用量経口投与後の、ウロリチンAのある特定の血漿薬物動態パラメータを要約する。図1の表からわかるように、500mgの投与量は、これら3つの投与量のうち最良の薬物動態プロファイルを達成し、1240pg/mLのCmax、および13300pg.時間/mLの36時間までのAUCを有した。驚くべきことに、2000mgで投与した場合のウロリチンAの血漿レベルは、500mgの投与量で達成されたものよりも低く、1040pg/mLのCmax、および12400のAUC0~36時間を記録した。
【0219】
図2および3はそれぞれ、500mgおよび2000mgのコホートの個別および平均CmaxおよびAUC0~36時間データを、投与量に対して正規化した値で示す。図からわかるように、2000mgの投与量と比較して、500mgの投与量で投与したmg当たりのウロリチンAのより高い血漿レベルが観察された。
b)薬物動態-28日間投与
図4は、500mgのウロリチンAの1日投与量で28日間経口投与した後の、28日目のウロリチンAのある特定の血漿薬物動態パラメータを要約する。表からわかるように、平均値は、化合物の単回用量投与後に得られたものに匹敵し、1250pg/mLの平均Cmaxが得られ、24時間までのAUCは、10700pg.時間/mLである。
【0220】
図5は、28日間500mg/日のウロリチンAを投与した健康な高齢者対象におけるウロリチンAの平均血漿濃度を示し、0、7、14、28、および29日目に血漿濃度を測定する。対象にウロリチンAを投与する前に0日目の測定を行った。ウロリチンAの前回の用量を投与した24時間後に、他の測定を行った。図5のデータは、500mgの1日投与量のウロリチンAの薬物動態プロファイルが28日間にわたって安定していたことを実証する。
【0221】
c)ウロリチンAを投与したヒト対象の骨格筋生検における遺伝子発現のマイクロアレイ分析。
【0222】
マイクロアレイ分析を、28日間毎日ウロリチンAまたはプラセボを投与したヒト対象の骨格筋生検で実施した。およそ30,000個の遺伝子転写物を筋生検のマイクロアレイによって定量化し、比較した(28日目対-1日目)。遺伝子セット濃縮分析を、6166個の遺伝子セットに対して実施した。
【0223】
図6は、プラセボと比較した500mgウロリチンコホートの28日目対-1日目(投与前)における、ミトコンドリア遺伝子セットの発現レベル(対象の外側広筋で上方制御される)の濃縮レベルを示す。データは、群内の9名の対象の正規化された濃縮スコア(NES)を表す。0.25未満の偽発見率(FDR)の閾値を、遺伝子セットをフィルタリングするために適用した。ミトコンドリア遺伝子セットは、ウロリチンAの投与後の筋肉組織において有意に上方制御された。
【0224】
28日目の処置後の、1日当たり500mgのウロリチンAまたはプラセボを28日間投与した対象群の遺伝子セットGO_MITOCHONDRIONにおける遺伝子の発現レベルの変化のヒートマップ表示が図7に示される。GO_MITOCHONDRIONは、図6の表で言及された最初の遺伝子セットである。図7中、ヒートマップは、異なる研究および対象群(列)にわたって同じミトコンドリア遺伝子(行)を表す。GO_MITOCHONDRION遺伝子発現の濃縮は、500mgのウロリチンA群対プラセボ群において有意である。
d)アシルカルニチン血漿レベル
メタボロミクスは、試料中の既知の測定可能な代謝産物の研究である。メタボロミクスにより、関連する細胞経路に対する生体レベル全体でのインビボ効果を視覚化して、介入試験の効果を実証することが可能である。この技術は、プラセボまたはウロリチンAのいずれかを投与した対象の血漿試料のHPLC-MS-MS分析を利用して、代謝産物を特徴付けた。身体の生化学的プロセスの全体を網羅する781個の血漿代謝産物を調査した。
【0225】
図8は、プラセボおよび500mgのウロリチンAコホートの-1日目(投与前)~28日目の様々なアシルカルニチンのレベルの倍率変化を示す。図8の灰色の線は、1の倍率変化、すなわち効果がないことに対応する。*P<0.05は、反復測定ANOVA後に計算したD-1(投与前)~D28の有意な効果に対応する。N=1群当たり9名。値は、倍率変化の相加平均を表す。これらの結果は、500mgのウロリチンAによる28日間の処置後、血漿短鎖(例えば、ヘキサノイルカルニチンC6)から長鎖(例えば、キシメノイルカルニチンC26:1)アシルカルニチンまでの全体的な減少があることを示す。
【0226】
アシルカルニチンは、ミトコンドリア機能障害および脂肪酸障害の血漿マーカーとみなされ得る。アシルカルニチンの減少は、ミトコンドリア機能の尺度である脂肪酸酸化の誘発を示す。重要なことに、カルニチンのレベルは変化せず、細胞内へのカルニチンの侵入に障害がなかったことを意味する(Longo et al,Am J Med Genet C Semin Med Genet,2006,142C(2),p77-85)。アシルカルニチンのレベルの上昇は、脂肪酸酸化欠損症の診断法として使用され(Van Hove et al,Am J Hum Genet,1993,52(5),p958-966)、ミトコンドリア機能障害に関連している(Haas et al,Mol Genet Metab,2008,94(1),p16-37、Frye et al,Translational Psychiatry,2013,3,e220)。より高いアシルカルニチン因子スコアは、高齢男性群において客観的に測定した身体性能のより低いレベルとも関連している(Lum et al,J Gerontol A Biol Sci Med Sci,2011,66(5),p548-53)。一方、肥満対象のコホートにおける10週間の運動介入により、血漿長鎖アシルカルニチンは減少した(Rodriguez-Gutierrez et al,J Int Soc Sports Nut,2012,9(1),22)。
e)ピルベート、ラクテート、3-ヒドロキシオクタノエート、アセトアセテート、グルコース血漿レベル
図9は、プラセボおよび500mgのウロリチンAコホートについて、-1日目~28日目の血漿中のピルベート、ラクテート、アセトアセテート、3-ヒドロキシオクタノエート、およびグルコースのレベルの倍率変化を示す。データは、D-1(投与前)~D28の倍率変化を表す。灰色の線は、1の倍率変化、すなわち効果がないことに対応する。N=1群当たり9名。値は、倍率変化の相加平均を表す。
【0227】
ピルベートおよびラクテートは、解糖の最終産物であり、ミトコンドリア機能障害(REF)の場合に増加する。アセトアセテートは、ケトン体である。3-ヒドロキシオクタノエートは、脂肪酸酸化の副産物である。全体として、これらのパラメータのいずれにも有意な変化はなく、アシルカルニチンの減少は、ミトコンドリア機能障害によるものではなく、脂肪酸酸化効率の改善によるものであることを意味する。
【0228】
要するに、これらのデータは、500mgのウロリチンAによる28日間の処置が、ミトコンドリア機能および脂肪酸酸化を改善することが可能であることを示す。
f)ミオスタチン、フォリスタチンの血漿レベル
ミオスタチンは、筋肉の成長および分化を阻害する血漿成長因子である。より高い血漿ミオスタチンレベルは、筋萎縮および不十分な機能を示す。フォリスタチンは、ミオスタチンに拮抗することによって筋肉の成長および分化を調節する血漿成長因子である。より高い血漿フォリスタチンレベルは、筋量および筋肉機能の改善を示す。したがって、ミオスタチンとフォリスタチンとの間のバランスまたは比率は、筋量および筋肉機能の重要なバイオマーカーであり、より低いミオスタチン/フォリスタチン比は、より良好な筋量および筋肉機能を示し、より高いミオスタチン/フォリスタチン比は、より悪い筋量および筋肉機能を示す。
【0229】
ヒト対象の血漿に見られる筋肉バイオマーカーであるミオスタチンおよびフォリスタチンのレベルの分析を、ELISAを使用して実施した。プラセボまたはウロリチンAを投与した対象の血漿試料で分析を実施した。図10は、プラセボ、250mgのウロリチンA、および500mgのウロリチンAコホートに対する、-1日目(投与前)~28日目のミオスタチン/フォリスタチン比の変化を示す。図からわかるように、500mgのウロリチンAの用量は、プラセボと比較して、有意に低い28日目対-1日目におけるミオスタチン/フォリスタチン比を有する。
g)活動的な高齢者対象群および前虚弱の高齢者対象群の特性の比較
前虚弱および活動的な高齢者対象群の識別
本研究では、前虚弱の高齢者の特性を活動的な高齢者と比較した。前虚弱は、筋肉減少症の3つの基準:低筋肉量(すなわち、生体インピーダンス分析(BIA)によって評価される骨格筋量指数(SMI))、低筋力(Jamar握力計によって評価される握力強度)、および/または低い身体性能(4メートル歩行試験によって評価される歩行速度)のうちの少なくとも2つを満たすと定義された。座りがちなライフスタイルは、国際標準化身体活動質問票(IPAQ)によって評価されるように、1の活動カテゴリを有すると定義され、これは、600MET(代謝当量単位)-分/週未満の活動レベルを意味する。活動的な高齢者は、正常な筋量、正常な筋力、正常な身体性能、およびIPAQによって評価されるように、2または3のカテゴリの活動カテゴリ(600MET-分/週以上の活動レベル)を有すると定義された。
人口統計
合計で、61歳~80歳の11名の前虚弱対象(6名の男性および5名の女性)、ならびに11名の活動的な対象(6名の男性および5名の女性)が本研究に参加した。1名の前虚弱の男性対象が研究制限へのコンプライアンスの欠如のために研究から除外されたため、10名の前虚弱対象(5名の男性および5名の女性)、ならびに11名の活動的な対象(6名の男性および5名の女性)からのデータを分析に含んだ。最終的に、前虚弱対象および活動的な対象は、年齢(70.2±5.8対70.0±6.7歳)およびBMI(25.7±4.2対24.6±3.9kg/m)で一致した。アフリカ系オランダ人であった1名の活動的な対象を除いて、対象は全て白人であった。
身体性能
異なる身体性能の結果の群平均が、以下の表にリスト化される。前虚弱対象は、身体性能の点で活動的な対象とは異なった。身体活動の点では、前虚弱対象は全員座りがちで、600MET分/週未満の1日のエネルギー消費によって定義された。600MET分/週の1日のエネルギー消費は、1日当たり最大25分の歩行に相当する。活動群の1日の平均エネルギー消費は、7926.5MET分/週であり、これは、1日当たり1時間の激しい運動および2時間のサイクリングに相当する。前虚弱群の適格性は、低いSMI、握力、および歩行速度を含み、これらは全て、活動群よりも低かった。対象は、BMIで一致したため、これは群間で同等であった。前虚弱群の対象は、虚弱を定義するために使用される閾値未満の握力で選択されたが、前虚弱群は、39.3kgの平均値(男性と女性の合計)をもたらした。研究日の間、大腿四頭筋強度を評価し、予測通り、前虚弱群が活動群よりも低い平均大腿四頭筋強度をもたらした(それぞれ139.5ニュートン対221.3ニュートン)。姿勢安定性およびSPPBスコアについて2つの群を比較すると、平均スコアは同等であった。しかしながら、前虚弱群は、活動群よりも4メートル歩くのが遅かった(それぞれ4.50秒対2.90秒)。
【0230】
対象群の身体性能特性を示す表:
【0231】
【表11】
【0232】
表からわかるように、前虚弱群は、筋力/筋肉性能を示す身体性能特性の測定において、より悪い性能を示した。
筋生検
エクスビボ測定を実施するために、Bergstrom生検針技術を使用して、対象の右脚の外側広筋から筋生検を採取した。各筋組織試料の最小量は、150mgであった。筋肉組織を採取し、RNAおよびDNA分析のために処理した。
【0233】
採取直後に液体窒素を使用して筋組織を急速凍結し、さらに、長期貯蔵は、-80℃の冷凍庫内であった。マイクロアレイを使用して、参加者の身体活動および筋力によって影響を受ける遺伝子セットを特定した。マイクロアレイデータを、遺伝子セット濃縮分析(GSEA)を実行して分析し、これは、どの生物学的プロセスが、遺伝子毎よりも遺伝子セット全体規模で上方または下方制御されるかを示す。
【0234】
22名の対象の筋生検からの遺伝子発現データを、Affymetrix製のHTA 2.0マイクロアレイチップを使用して得て、33804個の注釈付き転写産物または遺伝子(mRNA)に関連する42935個のレポーター/プローブのmRNA発現レベルを測定した。
【0235】
mRNA発現プロファイルを、活動的または前虚弱のいずれかの研究参加者に属する試料からの何千もの遺伝子について生成した。
【0236】
BROAD InstituteからのGSEAオリジナルアルゴリズム実装を使用して、全ての遺伝子セット濃縮分析を実施した。
【0237】
試験した遺伝子セットを、コレクションのカテゴリおよびサブカテゴリで整理した事前定義の遺伝子セットを含むMSIGDBバージョン5.1から抽出した。分析に使用した遺伝子のランク付けされたリストは、活動的対前虚弱のlimma線形モデルからのモデレートT統計を使用して得た。
【0238】
正の濃縮スコアは、ランク付けされたリストの最上位にある遺伝子セット濃縮を示す。正規化された濃縮スコア(NES)は、遺伝子セットのサイズの違い、および遺伝子セットと発現データセットとの間の相関を考慮することによって計算される。次いで、このスコアは、遺伝子セット全体の分析結果を比較するために使用され、これは、所与のセットが濃縮されるための重要度計算の基礎である。
【0239】
タイプ1のエラー率を制御するために、GSEAによって多重検定補正も適用される。
【0240】
遺伝子セットの分類(ミトコンドリア関連または非関連)の分類は、GSEAによって得られた結果の全体的な生物学的傾向である、前虚弱対象におけるミトコンドリアの下方制御およびその関連したサブプロセスを実証する。セット間の相互接続のさらなる詳しい調査は、共通および特定のサブプロセスについての情報を提供する。
【0241】
以下の表は、10個の最も負に濃縮された遺伝子セット、つまりNESが最も低い遺伝子セットに焦点を当てている。これらは、活動的な高齢者群と比較して、前虚弱の高齢者群において最も下方制御された遺伝子セットを表す。これらの10個の最も下方制御された遺伝子セットは全て、ミトコンドリアまたはエネルギー放出分子プロセスに関連している。
【0242】
【表12】
【0243】
【表13】
【0244】
前虚弱の高齢者対象および活動的な高齢者対象に対するGO_MITOCHONDRION遺伝子セット(上記の表の4番目の遺伝子セット)における遺伝子の発現レベルの変化のヒートマップ表示が、図11に示される。ヒートマップは、異なる研究および対象群(列)にわたって同じミトコンドリア遺伝子(行)を表す。GO_MITOCHONDRION遺伝子発現の濃縮は、活動的な高齢者群対前虚弱の高齢者群において有意である。換言すれば、活動的な高齢者群は、前虚弱群と比較して、ミトコンドリア関連遺伝子セットの強い発現レベルを有する。
【0245】
上記c)、図6の表、および図7を参照すると、ウロリチンAの投与が、活動的な高齢者対象に比べて前虚弱の高齢者対象において下方制御されるミトコンドリア遺伝子セットの発現レベルの増加をもたらすこともわかる。
要約
要約すると、ウロリチンAは、ミトコンドリア遺伝子発現、メタボロミクスプロファイル、および筋肉機能バイオマーカーに影響を与える結果を示す。ミオスタチン/フォリスタチン比(筋肉機能)の有意な減少が、500mgのウロリチンAの28日間の1日投与量で観察された。上述のミオスタチン/フォリスタチン比の低下は、より良好な筋量および筋肉機能を示す。メタボロミクスは、多くの代謝産物が処置の影響を受けたことを示した。アシルカルニチン経路(ミトコンドリア機能)に対する有意な影響が、500mg/日のウロリチンAの投与で観察された。マイクロアレイは、筋肉のミトコンドリア遺伝子セットの有意な上方制御を示した。最後に、ウロリチンAの投与時に上方制御されるミトコンドリア遺伝子セットが、活動的な高齢者対象と比較して前虚弱の高齢者において下方制御もされることが示された。
実施例5:500mg用量のウロリチンAの単回経口投与後のバイオアベイラビリティ(28日目)
血漿中のウロリチンAの定常状態レベルを確立するために、健康な高齢者において二重盲検無作為化プラセボ対照臨床試験を実施した。高齢者対象(61~82歳)(n=9)が、各投与群に参加した。対象は、研究の組み入れおよび除外基準を全て満たし、インフォームドコンセントに署名した。対象は、一晩絶食し、朝、朝食前に血漿を採取して定常状態レベルを評価した。対象は、28日間の試験のために毎朝ある用量のウロリチンまたはプラセボを投与され、ウロリチンAは、各カプセルに250mgのウロリチンAを含有するソフトゲルカプセルとして投与された。
【0246】
以下の時点(0日目、7日目、14日目、28日目、29日目、31日目、および32日目)に、4週間のウロリチンA研究におけるウロリチンA定常状態濃度の評価のために血漿試料を採取し、測定した。
【0247】
28日目に、対象は、第1相臨床試験棟に入院し、ウロリチンA吸収の動態および4週間の複数回投与後の排泄を、28日目の最後の投与後96時間まで追跡した。28日目のウロリチンAの最後の投与後の以下の時点で血漿を採取した。投与前、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、72時間、および96時間。各時点で、6mLの血液試料をK2-EDTAコーティングチューブに吸い込んだ。血液試料を凝固阻止剤と完全に混合するために、数回穏やかに反転させた。試料採取の正確な時間を、eCRF(電子症例報告書)に記録した。採血後30分以内に、各血液試料を4℃において10分間1500gで遠心分離した。遠心分離後30分以内に、ヒト血漿の最上層を、予めラベルの付いたポリプロピレンチューブに移した。各時点からすぐにチューブに蓋をし、血漿を貯蔵のためにおよそ-80℃において直立状態で凍結させた。試料を、バイオアベイラビリティ分析のためにドライアイス上で輸送した。
【0248】
血漿中のウロリチンAならびにその代謝産物であるウロリチンAグルクロニドおよびウロリチンAスルフェートの血漿濃度を分析して、ウロリチンAの総レベルを評価した。血漿中のウロリチンAおよびその代謝産物の濃度を、検証済みのLC MS/MSアッセイを使用して決定した。
【0249】
総血漿ウロリチンA(親+グルクロニドおよびスルフェート代謝産物)は、図12の薬物動態グラフに示される。
実施例6 28日間500mgの複数回投与後の定常状態レベルの測定
無作為化プラセボ対照二重盲検第1相研究において、2つのソフトゲル(250mgカプセル)を28日間(4週間)服用することによって、9名の健康な研究参加者に、朝に1日当たり500mgのウロリチンA(UA)を経口投与した。研究参加者は、研究介入の開始時にごくわずかなUAレベルを有した。定常状態レベルを、投与の24時間後であるが次の投与前に測定した(定常状態UAレベルは、7日間の反復投与後に到達し、研究介入期間を通して維持された)。4週間のUA投与の終了後、定常状態レベルは、徐々に低下した(31日目および32日目)(図13および14を参照されたい)。
実施例7:筋肉機能に対する効果を調査する臨床試験
90名の対象(1群当たり30名)を含む無作為化二重盲検プラセボ対照研究を実施して、40~65歳の他の点では健康な中年、体重過多、および非活動的な個人における筋肉機能に対するウロリチンAの有効性を調査する。個人は、正常体重(25.0~34.9kg/mのBMI)を超える40~65歳の年齢範囲の座りがちな男性および女性であるものとする。
【0250】
研究は、3つの群を含む。
【0251】
群A-500mgのウロリチンAを含有する低用量/製品A
群B-1000mgのウロリチンを含有する高用量/製品B
群C-プラセボ
組み入れ基準は、以下の通りである。
【0252】
1.健康な男性および女性、40~65歳(両端を含む)
2.過去1年以内に筋肉機能および身体性能の改善に焦点を当てた臨床試験に参加していない対象
3.女性の参加者は、子宮摘出術もしくは卵巣摘出術、卵管結紮術を受けているか、または閉経後(自然もしくは外科的に最後の月経から1年超)である女性として定義され、出産の可能性がない
あるいは、
出産の可能性がある女性は、医学的に承認された避妊法を使用することに同意し、尿妊娠検査結果が陰性でなければならない。全てのホルモン避妊法は、最低3か月間使用されていなければならない。許容可能な避妊法は、以下を含む。
【0253】
・経口避妊薬、ホルモン避妊パッチ(Ortho Evra)、膣避妊リング(NuvaRing)、注射用避妊薬(Depo-Provera、Lunelle)、またはホルモンインプラント(Norplant System)を含むホルモン避妊薬
・ダブルバリア法
・子宮内デバイス
・非異性愛のライフスタイル、または異性愛のパートナー(複数可)への変更を計画している場合は避妊を使用することに同意する
・パートナーの精管切除術(適切なフォローアップにより成功したことが示されている)
4.25.0~34.9kg/m(両端を含む)のボディマス指数(BMI)
5.国際標準化身体活動質問票(IPAQ、付録IV)によって評価されるように1の活動テゴリを有すると定義される座りがちな行動(活性レベルは、600MET未満(代謝当量単位-)分/週であり、低強度の活動、1週間当たり5日の30分未満の中程度の活動、または1週間当たり3日の20分未満の激しい活動に制限される)
6.研究訪問の24時間前の運動を避け、試験期間中は低い身体活動状態を維持することに同意する
7.ベースラインの2週間前から研究期間を通して、ザクロジュースおよびクルミの消費を控えることに同意する
8.ベースラインの2週間前から研究期間を通して、ラズベリー、イチゴ、およびクラウドベリーの消費を制限することに同意する
9.筋肉試料採取の前後7日間、NSAIDの使用を控えることに同意する
10.病歴、身体検査、ECG、および検査結果に基づき、資格のある治験責任医師によって決定されるように、運動試験を安全に実施するための良好な全般的健康
11.ベースライン前にサイクルエルゴメータを介した、表1に従って定義される低いVO2最大
【0254】
【表14】
【0255】
12.考えられるリスクおよび副作用を含む研究の性質および目的の理解、ならびに治験施設スタッフの意見で全てのプロトコル手順が安全かつ確実に実施されることを可能にする方法での、直接および電話によるコミュニケーション能力
13.研究に参加する自発的で書面によるインフォームドコンセントを示している。
【0256】
除外基準は、以下の通りである。
1.妊娠中、授乳中、または試験中に妊娠する計画をしている女性
2.気化器または電子タバコの使用を含む、スクリーニングから1年以内の喫煙者または元喫煙者
3.スクリーニング訪問から60日以内の別の臨床研究への参加または治験薬の受領
4.ベースラインから1か月以内の献血、ならびに研究終了1か月後の計画された献血。
5.アルコールまたは他の薬物乱用の最近の履歴(過去2年以内)
6.薬用マリファナの使用。
7.カプセルを飲み込むことが不可能
8.1週間当たり3回20分間の激しい活動、1週間当たり5日30分間の中程度の活動、またはそれ以上として定義される、カテゴリ2以上の身体活動レベルを伴う、構造化された運動プログラムへの定期的な参加
9.集中的な筋肉運動を控えることが不可能
10.過去3か月間に、1週間当たり1時間以上のレジスタンストレーニングに参加した個人。
11.現在、研究中に体力試験を受ける能力を妨げる任意の医学的状態を経験している
12.減量ダイエットへの最近の参加、または無作為化から3か月以内の総体重の5%超の減少
13.スクリーニング時の臨床的に有意な異常検査結果
14.試験製品成分(または密接に関連する化合物)に対するアレルギーまたは感受性
15.麻酔薬(キシロカイン、リドカイン)に対するアレルギー
16.大豆アレルギー
17.ザクロジュースまたはクルミの消費を控えることが不可能
18.ラズベリー、イチゴ、またはクラウドベリーの頻繁な消費を控えることが不可能
19.コーヒー、茶、およびコーラなどのキサンチンベースを含有する飲料の過剰消費(1日当たり4カップ超)
20.筋肉構築または機能を目的としたNHPの使用。他のNHPの使用は、ベースラインの前少なくとも1か月間、安定した投与レジメンで行われていなければならず、試験全体を通して現在の投与レジメンを維持しなければならず、試験全体を通していかなる新しいNHPの服用も開始してはならず、対象が試験開始前にNHPの服用を中止したい場合は、無作為化の少なくとも2週間前に中止しなければならない。
21.出血/血液障害の履歴または現在の診断
22.経口抗凝固薬(血液希釈剤)、新規経口抗凝固薬(NOAC)、または抗血小板薬の使用。
23.針筋生検方法の前後1週間以内のNSAID薬剤の使用。
24.ステロイド薬の使用、アナボリックステロイド、コルチコステロイド、またはエストロゲン使用の現在/最近(3か月)の履歴。
25.スタチンの使用
26.甲状腺薬剤の使用。
27.最低1年間、安定したレジメンで制御されていない喘息、またはある特定の薬剤の使用を必要とする喘息。
28.COPDの診断
29.慢性筋肉痛、線維筋痛、または定期的な筋肉痛を特徴とする状態
30.以前の手術からの金属固定プレートまたはネジ
31.参加者の試験を完了する能力を妨げる可能性があるか、または研究結果を混乱させる可能性のある臨床的に重大な基礎全身疾患(すなわち末期疾患)
32.活動性心疾患または末梢血管疾患の診断
33.高血圧薬を使用しない150/95mmHg以上のSBP/DBP、または高血圧薬を使用する140/90mmHgを超えるSBP/DBP。
34.診断された高脂血症
35.腎臓または肝臓の障害または疾患
36.胃腸、肺、または内分泌系の任意の主要な疾患
37.I型およびII型糖尿病
38.自己免疫疾患または免疫不全(すなわち、HIV陽性、拒絶反応抑制剤の使用、関節リウマチ、B/C型肝炎陽性)
39.慢性感染症の診断
40.フェニルケトン尿症の診断
41.フォローアップが陰性である、化学療法または放射線なしで完全に切除された皮膚癌を除く、癌。QIによって承認された場合、診断後5年を超えて完全寛解状態にある癌の参加者は受け入れられる。
42.QIによって評価されるように、パーキンソン病および双極性障害を含むがこれらに限定されない、重大な神経疾患または精神疾患。
43.発作の履歴
44.認知障害のある個人、および/またはインフォームドコンセントを提供することが不可能な個人
45.資格のある治験責任医師の意見で、参加者の研究もしくはその手段を完了する能力に悪影響を与える可能性があるか、または参加者に重大なリスクをもたらす可能性がある任意の他の条件
資格のある治験責任医師の意見で、参加者の研究もしくはその手段を完了する能力に悪影響を与える可能性があるか、または参加者に重大なリスクをもたらす可能性がある任意の他の条件
研究デザイン
これは、中年、非活動的、および体重過多の個人(40~65歳)における筋肉機能の改善に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験であるものとする。スクリーニング(訪問1)において、CBC、電解質(Na、K、Cl)、絶食時血糖、クレアチニン、eGFR、AST、ALT、およびビリルビンを決定するために、絶食時末梢血が採取される。B型肝炎、C型肝炎、およびHIVの状態を判断するために、血液試料も採取される。尿も尿検査のために採取される。病歴および併用療法が調査され、身長、体重、心拍数、および血圧が測定され、ECGが実施される。対象は、国際標準化身体活動質問票(IPAQ)に記入する。
【0257】
ベースライン(訪問2、-0日目)において、適格な対象は、クリニックに戻る。体重、心拍数、および血圧が測定され、併用療法が調査される。身体検査が実施される。対象は、処置群に無作為化される。対象は、6分間の歩行試験を受けて、歩行距離と歩行速度を測定する。椅子立ち上がりも測定される。握力の筋力は、Jamar握力計によって測定される。対象の生活の質は、SF-36によって測定される。サイクルエルゴメータを使用した運動耐性試験が実施される。REEが測定され、ボルグの自覚的運動強度スケールが実施される。筋伸展等運動性筋力(両脚、屈曲、および伸展)は、Biodexを用いて1つの速度で測定される。DXAが実施される。脂質プロファイル(総コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL)、HbA1c、および絶食時インスリンのために、血液試料が採取される。血漿は、血漿アシルカルニチン代謝産物のメタボロミクス分析のために採取される。筋生検試料は、マイクロアレイを介してインビボミトコンドリア遺伝子発現を測定するために採取される。DietMaster Proを使用した3日間の食事記録が調査される。研究対象のベースライン微生物叢プロファイルを確立するために、糞便試料も採取される。治験薬および処置日記が配布され、対象は、使用について指導される。対象の処置日記は、研究全体を通して毎日の製品使用、併用療法の変更、ならびに任意の有害事象および症状を記録するために使用される。
【0258】
対象は、訪問3(2か月目、60日目)にクリニックに戻る。体重、心拍数、および血圧が測定され、併用療法および有害事象が調査される。サイクルエルゴメータ運動負荷試験法を使用した運動耐性試験が実施される。REEが測定され、ボルグの自覚的運動強度スケールが施される。3日間の食事記録が調査される。対象の生活の質は、SF-36によって測定される。血漿は、血漿アシルカルニチン代謝産物のメタボロミクス分析のために採取される。治験薬および処置日記が返却され、再配布され、コンプライアンスが計算される。
【0259】
対象は、訪問4(4か月目、120日目、研究終了)にクリニックに戻る。体重、心拍数、および血圧が測定され、併用療法および有害事象が調査される。治験薬および処置日記が返却され、コンプライアンスが計算される。対象は、6分間の歩行試験を受けて、歩行距離を測定する。歩行速度および椅子立ち上がりも測定される。握力の筋力は、Jamar握力計によって測定される。対象の生活の質は、SF-36によって測定される。3日間の食事記録が調査される。サイクルエルゴメータ運動負荷試験法を使用した運動耐性試験が実施される。REEが測定され、ボルグの自覚的運動強度スケールが施される。筋伸展等速性筋力(両脚、屈曲、および伸展)は、Biodexを用いて1つの速度で測定される。DXAが実施される。脂質プロファイル(総コレステロール、トリグリセリド、LDL、HDL)、HbA1c、および絶食時インスリンのために、血液試料が採取される。血漿は、血漿アシルカルニチン代謝産物のメタボロミクス分析のために採取される。介入後の微生物叢の変化を研究するために、糞便試料も採取される。筋生検試料は、インビボミトコンドリア遺伝子発現を測定するために採取される。CBC、電解質(Na、K、Cl)、クレアチニン、AST、ALT、およびビリルビンを決定するために、血液試料も採取される。
【0260】
一次エンドポイント:
ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの、サイクルエルゴメータの出力によって評価される、運動耐性の変化。
【0261】
二次エンドポイント:
1.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目までの、サイクルエルゴメータの出力によって評価される、運動耐性の変化。
2.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの、サイクルエルゴメータ上の疲労時間(およびサイクリング距離)によって評価される、運動耐性の変化。
3.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの、Jamar動力測定法によって評価される、非利き手の握力の変化
4.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの、等速性サイクルエルゴメータおよびBiodex等速性握力計によって評価される、等速性下半身筋力の変化
5.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの、最大心拍数(カルボーネン法に基づく)およびpeakVO2の85%に達する時間として定義される、サイクルエルゴメータ運動負荷試験法での身体性能の変化
6.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの、有酸素持久力の尺度としての6分間歩行試験における歩行距離の変化
7.6分間歩行試験から得られる、ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの歩行速度の変化
8.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの30秒椅子立ち上がり試験の変化(付録I)
9.SF-36質問票によって評価される、ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの参加者の生活の質の変化(付録II)
10.ボルグの自覚的運動強度スケールによって評価される、ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの、参加者の体力に対する自覚的運動強度の変化(付録III)
11.Cardiocoach CO2システムによって評価される、ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目および120日目までの、参加者の安静時エネルギー消費量(REE)の変化。
12.ベースラインならびに60日目および120日目に調査される、カロリー消費(タンパク質、炭水化物、脂肪、および微量栄養素摂取から)を追跡するための3日間の食事記録。
13.ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの血清脂質プロファイル、インスリン、およびHbA1Cの変化
14.二重X線吸収測定法(DXA)によって評価される、ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までの除脂肪体重の変化
15.メタボロミクス評価による、ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの血漿中のアシルカルニチンプロファイルの変化
16.ベースラインから60日目およびベースラインから120日目までの血漿筋肉機能バイオマーカー(ミオスタチン、フォリスタチン、炎症性サイトカイン、およびミトカイン)の変化
17.筋生検に対して実施されるマイクロアレイを介して評価される、ウロリチンA 500mg/日と1000mg/日とプラセボとの間の、ベースラインから120日目までのインビボミトコンドリア遺伝子発現の変化
18.ベースラインおよび120日目における微生物叢に対するウロリチンAの影響を評価するための、糞便試料。
【0262】
【表15】
図1
図2
図3
図4
図5
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図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象における状態、疾患、または障害の治療および/または予防に使用するための式(I)の化合物
【化1】
(式中、
A、B、C、D、W、X、Y、およびZがそれぞれ独立して、HおよびOHから選択される)、
またはその塩であって、
前記化合物または塩が、少なくとも21日間にわたって、1日当たり1.7~2.7mmolの1日量で対象に経口投与される、式(I)の化合物、またはその塩。