(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100893
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】より大きいデータセットの資源取得挙動と限局的使用傾向をリンクするためのクラウドベースの医療分析
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20230711BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023077262
(22)【出願日】2023-05-09
(62)【分割の表示】P 2020535125の分割
【原出願日】2018-07-31
(31)【優先権主張番号】62/611,339
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,340
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/611,341
(32)【優先日】2017-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/649,333
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/940,679
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】517076008
【氏名又は名称】エシコン エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Ethicon LLC
【住所又は居所原語表記】#475 Street C, Suite 401, Los Frailes Industrial Park, Guaynabo, Puerto Rico 00969, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】イェイツ・デビッド・シー
(72)【発明者】
【氏名】バコス・グレゴリー・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スウェイズ・ジェフリー・エス
(72)【発明者】
【氏名】チラムボロ・マイケル・エイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】患者の診療を改善する。
【解決手段】クラウドベースの分析医療システムは、プロセッサとメモリと外科用器具とが結合された医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスする入出力インターフェースと、データを記憶するデータベースとを含む。プロセッサは、医療用ハブから患者の転帰データを集約する。患者転帰データは、患者処置において実行される工程及び各工程の対応するタイミングに関するデータと実行される各患者処置の転帰に関するデータと患者処置において使用される医療資源に関するデータと、を含む。患者転帰データは医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと転帰が成功か失敗かを示すデータと、を含む。プロセッサはまた、医療用ハブから医療資源取得データを集約し、肯定的な転帰と資源取得データとの相関関係を判定し、相関関係に基づいて医療提案を生成し、医療提案を異なる医療施設に位置する医療用ハブに表示させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラウドベースの分析医療システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、
前記少なくとも1つのメモリに常駐し、前記データを記憶するように構成されたデータベースと、を備え、
前記少なくとも1つのメモリは、
前記複数の医療用ハブからの医療器具データを集約することであって、前記医療器具データは、
医療装置の物理的及びパフォーマンスパラメータに関するデータと、
前記医療装置に関するそれぞれのデータについて、
前記医療装置を利用した医療処置に関する使用データと、
それぞれの医療処置について、
前記医療処置の転帰、及び
前記医療処置中の前記医療装置の状態のステータスと、を含む、ことと、
前記医療処置の転帰と前記それぞれの医療処置において利用される前記医療装置の状態のステータスとの相関関係を判定することと、
目下の医療処置に関してライブ医療処置データにアクセスすることであって、前記ライブ医療処置データは、前記目下の医療処置を実行している手術室にある前記医療装置の記述を含む、ことと、
前記転帰と前記利用される医療装置との判定された前記相関関係に基づいて、前記目下の医療処置における前記医療装置の前記記述におけるイレギュラー性を判定することと、
前記目下の医療処置の前記手術室で利用される医療通信ハブにアラートを提供することと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、クラウドベースの分析医療システム。
【請求項2】
前記手術室にある前記医療装置は、手動医療器具及びロボット医療器具を含む、請求項1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサは、提供された前記アラートと連携して、前記目下の医療処置における医療装置のファームウェア又はソフトウェアの変更を生成するように更に構成されている、請求項1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【請求項4】
前記イレギュラー性は、前記医療処置に関する集約された前記医療器具データと整合しない、前記目下の医療処置における医療装置の医療資源の使用を含む、請求項1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【請求項5】
前記アラートは、前記目下の医療処置における医療装置の発射又はクランプ速度を変更する命令を含む、請求項1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【請求項6】
前記アラートは、前記目下の医療処置における医療装置の超音波ブレードの長さを変更する命令を含む、請求項1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する2018年3月28日出願の米国特許仮出願第62/649,333号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は更に、米国特許法第119条(e)の下で、それぞれの開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号、「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,340号、「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,339号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
本開示は、様々な外科用システムに関する。デジタル情報時代において、医療システム及び医療施設は、多くの場合、患者の安全性及び従来の慣行を維持するための一般的な要望により、より新しい技術及び改良された技術を利用してシステム又は手技を実施することがより遅い。しかしながら、多くの場合、医療システム及び医療施設は、その結果として、他の近隣又は同様の状況の施設との通信及び共有知識を欠く場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
患者の診療を改善するために、医療システムと医療施設との相互接続を助ける方法を見出すことが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの一般的な態様において、クラウドベースの分析医療システムが提供される。クラウドベースの分析医療システムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、少なくとも1つのメモリに常駐し、データを記憶するように構成されたデータベースと、を含む。少なくとも1つのメモリは、複数の医療用ハブから患者転帰データを集約することを行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している。患者転帰データは、患者処置において実行される工程及びそれぞれの工程の対応するタイミングに関するデータと、実行されるそれぞれの患者処置の転帰に関するデータと、患者処置において使用される医療資源に関するデータと、を含む。患者転帰データはまた、医療資源に関するそれぞれのデータ項目について、医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと、患者処置の転帰に関するそれぞれのデータ項目について、転帰が成功であるか失敗であるかの表示に関するデータと、を含む。少なくとも1つのメモリは、複数の医療用ハブから医療資源取得データを集約することと、患者転帰データからの肯定的な転帰と資源取得データとの相関関係を判定することと、相関関係に基づいて、医療資源取得の実務を変更するための医療提案を生成することと、医療提案を異なる医療施設に位置する複数の医療用ハブに表示させることと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を更に記憶している。
【0006】
別の一般的な態様において、コンピュータ可読媒体が提供される。コンピュータ可読媒体は、非一時であり、複数の医療用ハブから患者転帰データを集約することを行うために、クラウドベースの分析システムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶している。患者転帰データは、患者処置において実行される工程及びそれぞれの工程の対応するタイミングに関するデータと、実行されるそれぞれの患者処置の転帰に関するデータと、患者処置において使用される医療資源に関するデータと、医療資源に関するそれぞれのデータ項目について、医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと、患者処置の転帰に関するそれぞれのデータ項目について、転帰が成功であるか失敗であるかの表示に関するデータと、を含む。実行可能な命令はまた、複数の医療用ハブから医療資源取得データを集約することと、患者転帰データからの肯定的な転帰と資源取得データとの相関関係を判定することと、相関関係に基づいて、医療資源取得の実務を変更するための医療提案を生成することと、医療提案を異なる医療施設に位置する複数の医療用ハブに表示させることと、を行う。
【0007】
更に別の一般的な態様において、別のクラウドベースの分析医療システムが提供される。クラウドベースの分析医療システムは、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、少なくとも1つのメモリに常駐し、データを記憶するように構成されたデータベースと、を含む。少なくとも1つのメモリは、複数の医療用ハブからの医療器具データを集約することを行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している。医療器具データは、医療装置の物理的及びパフォーマンスパラメータに関するデータと、医療装置に関するそれぞれのデータについて、医療装置を利用した医療処置に関する使用データと、それぞれの医療処置について、医療処置の転帰、及び医療処置中の医療装置の状態のステータスと、を含む。少なくとも1つのメモリは、医療処置の転帰とそれぞれの医療処置において利用される医療装置の状態のステータスとの相関関係を判定することと、目下の医療処置に関してライブ医療処置データにアクセスすることであって、ライブ医療処置データは、目下の医療処置を実行している手術室にある医療装置の記述を含む、ことと、転帰と利用される医療装置との判定された相関関係に基づいて、目下の医療処置における医療装置の記述におけるイレギュラー性を判定することと、目下の医療処置の手術室で利用される医療通信ハブにアラートを提供することと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
様々な態様の特徴が、添付された特許請求の範囲で詳細に説明される。ただし、機構、及び動作の方法の両方についての様々な態様は、それらの更なる目的及び利点と共に、以降の添付図面と併せて、以下の説明を参照することにより最もよく理解することができる。
【
図1】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
【
図2】本開示の少なくとも1つの態様による、手術室内で外科処置を行うために使用される外科システムである。
【
図3】本開示の少なくとも1つの態様による可視化システム、ロボットシステム、及びインテリジェント器具とペアリングされた外科用ハブである。
【
図4】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブ筐体、及び外科用ハブ筐体のドロアー内に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュールの部分斜視図である。
【
図5】本開示の少なくとも1つの態様による、双極、超音波、及び単極接点、並びに排煙構成要素を備える組み合わせ生成器モジュールの斜視図である。
【
図6】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジングの複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。
【
図7】本開示の少なくとも1つの態様による、複数のモジュールを受容するように構成された垂直モジュール式ハウジングを示す。
【
図8】本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科手術のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドに接続するように構成されたモジュール式通信ハブを備える外科用データネットワークを示す。
【
図9】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムを示す。
【
図10】本開示の少なくとも1つの態様による、モジュール式制御タワーに連結された複数のモジュールを備える外科用ハブを示す。
【
図11】本開示の少なくとも1つの態様による、ユニバーサルシリアルバス(USB)ネットワークハブ装置の一態様を示す。
【
図12】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの制御システムの論理図を示す。
【
図13】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路を示す。
【
図14】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路を示す。
【
図15】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路を示す。
【
図16】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。
【
図17】本開示の少なくとも1つの態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具の回路図である。
【
図18】本開示の少なくとも1つの態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具のブロック図を示す。
【
図19】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具の回路図である。
【
図20】本開示の少なくとも1つの態様による、様々な利点の中でも特に、インダクタレス同調を提供するように構成された発生器の簡略ブロック図である。
【
図21】本開示の少なくとも1つの態様による、
図20の発生器の一形式である、発生器の実施例を示す。
【
図22】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。
【
図23】本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。
【
図24】本開示の少なくとも1つの態様による、特定の種類の外科的分類に関連する様々な資源の集計の例示的な図である。
【
図25】本開示の少なくとも1つの態様による、資源の使用を比較するために複数の施設間の比較を提供するように、クラウドシステムによってデータが分析される方法の例示的な説明を提供する。
【
図26】本開示の少なくとも1つの態様による、クラウドシステムが、全領域にわたる一連の集約されたデータから有効性傾向を判定してもよい方法の一例を示す。
【
図27】本開示の少なくとも1つの態様による、いくつかの種類の分析の例示的な説明を提示し、クラウドシステムは、予測モデリングを提供することを実行するように構成されてもよい。
【
図28】本開示の少なくとも1つの態様による、1種の例示的な分析の図示を提示し、クラウドシステムは、これらの提案を提供することを実施してもよい。
【
図29】本開示の少なくとも1つの態様による、ローカライズされた設定において装置が使用される方法に結び付けられるローカルな問題に対する統計的相関関係を特定するように、クラウドシステムが分析を行う方法の説明を提示する。
【
図30】本開示の少なくとも1つの態様による、いくつかの装置が意図された装置と比較して同等の使用を満たしてもよい方法、及びクラウドシステムがそのような同等の使用を判定してもよいという実施例の図示を提示する。
【
図31】本開示の少なくとも1つの態様による、術後決定木がどのように分岐してもよいかを決定する際に、いくつかのデータを変数として使用してもよい方法の様々な実施例を提示する。
【
図32】本開示の少なくとも1つの態様による、外科用ハブの状況認識を示す時間線である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本願の出願人は、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月28日出願の以下の米国特許仮出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許仮出願第62/649,302号、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許仮出願第62/649,294号、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許仮出願第62/649,300号、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許仮出願第62/649,309号、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許仮出願第62/649,310号、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許仮出願第62/649,291号、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,296号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許仮出願第62/649,333号、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許仮出願第62/649,327号、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許仮出願第62/649,315号、
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許仮出願第62/649,313号、
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,320号、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,307号、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許仮出願第62/649,323号。
【0010】
本願の出願人は、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH ENCRYPTED COMMUNICATION CAPABILITIES」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8499USNP/170766、
・「INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS WITH CONDITION HANDLING OF DEVICES AND DATA CAPABILITIES」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8499USNP1/170766-1、
・「SURGICAL HUB COORDINATION OF CONTROL AND COMMUNICATION OF OPERATING ROOM DEVICES」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8499USNP2/170766-2、
・「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8499USNP3/170766-3、
・「COOPERATIVE UTILIZATION OF DATA DERIVED FROM SECONDARY SOURCES BY INTELLIGENT SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8499USNP4/170766-4、
・「SURGICAL HUB CONTROL ARRANGEMENTS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8499USNP5/170766-5、
・「DATA STRIPPING METHOD TO INTERROGATE PATIENT RECORDS AND CREATE ANONYMIZED RECORD」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8500USNP/170767、
・「COMMUNICATION HUB AND STORAGE DEVICE FOR STORING PARAMETERS AND STATUS OF A SURGICAL DEVICE TO BE SHARED WITH CLOUD BASED ANALYTICS SYSTEMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8500USNP1/170767-1、
・「SELF DESCRIBING DATA PACKETS GENERATED AT AN ISSUING INSTRUMENT」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8500USNP2/170767-2、
・「DATA PAIRING TO INTERCONNECT A DEVICE MEASURED PARAMETER WITH AN OUTCOME」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8500USNP3/170767-3、
・「SURGICAL HUB SITUATIONAL AWARENESS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8501USNP/170768、
・「SURGICAL SYSTEM DISTRIBUTED PROCESSING」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8501USNP1/170768-1、
・「AGGREGATION AND REPORTING OF SURGICAL HUB DATA」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8501USNP2/170768-2、
・「SURGICAL HUB SPATIAL AWARENESS TO DETERMINE DEVICES IN OPERATING THEATER」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8502USNP/170769、
・「DISPLAY OF ALIGNMENT OF STAPLE CARTRIDGE TO PRIOR LINEAR STAPLE LINE」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8502USNP1/170769-1、
・「STERILE FIELD INTERACTIVE CONTROL DISPLAYS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8502USNP2/170769-2、
・「COMPUTER IMPLEMENTED INTERACTIVE SURGICAL SYSTEMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8503USNP/170770、
・「USE OF LASER LIGHT AND RED-GREEN-BLUE COLORATION TO DETERMINE PROPERTIES OF BACK SCATTERED LIGHT」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8504USNP/170771、
・「CHARACTERIZATION OF TISSUE IRREGULARITIES THROUGH THE USE OF MONO-CHROMATIC LIGHT REFRACTIVITY」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8504USNP1/170771-1、及び
・「DUAL CMOS ARRAY IMAGING」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8504USNP2/170771-2。
【0011】
本願の出願人は、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8506USNP/170773、
・「ADAPTIVE CONTROL PROGRAM UPDATES FOR SURGICAL HUBS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8506USNP1/170773-1、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR CUSTOMIZATION AND RECOMMENDATIONS TO A USER」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8507USNP/170774、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR MEDICAL FACILITY SEGMENTED INDIVIDUALIZATION OF INSTRUMENT FUNCTION」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8507USNP2/170774-2、
・「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS FOR SECURITY AND AUTHENTICATION TRENDS AND REACTIVE MEASURES」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8508USNP/170775、
・「DATA HANDLING AND PRIORITIZATION IN A CLOUD ANALYTICS NETWORK」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8509USNP/170776、及び
・「CLOUD INTERFACE FOR COUPLED SURGICAL DEVICES」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8510USNP/170777。
【0012】
本願の出願人は、それぞれの開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月29日出願の以下の米国特許出願を所有する。
・「DRIVE ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8511USNP/170778、
・「COMMUNICATION ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8511USNP1/170778-1、
・「CONTROLS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8511USNP2/170778-2、
・「AUTOMATIC TOOL ADJUSTMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8512USNP/170779、
・「CONTROLLERS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8512USNP1/170779-1、
・「COOPERATIVE SURGICAL ACTIONS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8512USNP2/170779-2、
・「DISPLAY ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8512USNP3/170779-3、及び
・「SENSING ARRANGEMENTS FOR ROBOT-ASSISTED SURGICAL PLATFORMS」と題する米国特許出願第_______号、代理人整理番号END8513USNP/170780。
【0013】
外科用装置及び発生器の様々な態様を詳細に説明する前に、例示される実施例は、適用又は用途において、添付の図面及び説明で示される部品の構造及び配置の詳細に限定されないことに留意すべきである。例示的な実施例は、他の態様、変形形態、及び修正で実施されるか、又はそれらに組み込まれてもよく、様々な方法で実施又は実行されてもよい。更に、特に明記しない限り、本明細書で用いられる用語及び表現は、読者の便宜のために例示的な実施例を説明する目的で選択されたものであり、それらを限定するためのものではない。また、以下に記述される態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの1つ以上を、以下に記載される他の態様、態様の具現、及び/又は実施例のうちの任意の1つ以上と組み合わせることができることが理解されよう。
【0014】
図1を参照すると、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100は、1つ以上の外科システム102と、クラウドベースのシステム(例えば、ストレージ装置105に連結されたリモートサーバ113を含んでもよいクラウド104)と、を含む。それぞれの外科システム102は、リモートサーバ113を含んでもよいクラウド104と通信する少なくとも1つの外科用ハブ106を含む。一実施例では、
図1に示すように、外科システム102は、互いに、及び/又はハブ106と通信するように構成された、可視化システム108と、ロボットシステム110と、ハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含む。いくつかの態様では、外科システム102は、M個のハブ106と、N個の可視化システム108と、O個のロボットシステム110と、P個のハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と、を含んでもよく、ここでM、N、O、及びPは1以上の整数である。
【0015】
図3は、外科手術室116内の手術台114上に横たわる患者に対して外科処置を実施するために使用される外科システム102の一例を示す。ロボットシステム110は、外科処置において外科システム102の一部として使用される。ロボットシステム110は、外科医のコンソール118と、患者側カート120(外科用ロボット)と、外科用ロボットハブ122と、を含む。患者側カート120は、患者の身体の低侵襲切開中に、外科医が外科医のコンソール118を介して手術部位を見る間、少なくとも1つの取り外し可能に連結された外科用ツール117を操作することができる。手術部位の画像は、医療用撮像装置124によって得ることができ、医療用撮像装置124は、撮像装置124を配向するために患者側カート120によって操作することができる。ロボットハブ122は、外科医のコンソール118を介して外科医に対するその後の表示のために、手術部位の画像を処理するよう用いることができる。
【0016】
他の種類のロボットシステムを、外科システム102と共に使用するために容易に適合させることができる。本開示と共に使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「ROBOT ASSISTED SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,339号に記載されている。
【0017】
クラウド104によって実施され、本開示と共に使用するのに好適なクラウドベース分析の様々な例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「CLOUD-BASED MEDICAL ANALYTICS」と題する米国特許仮出願第62/611,340号に記載されている。
【0018】
様々な態様では、撮像装置124は、少なくとも1つの画像センサと、1つ以上の光学構成要素と、を含む。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
撮像装置124の光学構成要素は、1つ以上の照明光源及び/又は1つ以上のレンズを含んでもよい。1つ以上の照明光源は、手術野の一部を照明するように方向付けられてもよい。1つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、手術野から反射又は屈折された光を受信してもよい。
【0020】
1つ以上の照明光源は、可視スペクトル及び不可視スペクトル内の電磁エネルギーを放射するように構成されてもよい。光学スペクトル又は発光スペクトルと呼ばれることもある可視スペクトルは、人間の目に可視の(すなわち、人間の目で検出可能な)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と呼ばれることがある。典型的な人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に反応する。
【0021】
不可視スペクトル(すなわち、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する電磁スペクトルの一部分である(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長)。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(IR)、マイクロ波、及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線、及びガンマ線電磁放射線になる。
【0022】
様々な態様では、撮像装置124は、低侵襲性手術で使用するように構成されている。本開示と共に使用するのに好適な撮像装置の例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎臓鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
一態様では、撮像装置は、トポグラフィーと下層構造とを区別するためにマルチスペクトルモニタリングを用いる。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトルにわたって特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR及び紫外光を含む特定の波長からの光に感受性の器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像法は、人間の目がその赤色、緑色、及び青色の受容体で捕捉することのできない追加情報の抽出を可能にすることができる。マルチスペクトル撮像法の使用は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で詳細に説明されている。マルチスペクトルモニタリングは、1つの手術作業が完了した後に、処置された組織上で上述の試験の1つ以上を実施するために手術野を再配置するのに有用なツールであり得る。
【0024】
いかなる外科手術においても手術室及び外科用器具の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場(surgical theater)」、すなわち手術室又は処置室に必要とされる厳格な衛生及び滅菌条件は、全ての医療装置及び機器の最大級の滅菌性を必要とする。その滅菌プロセスの一部は、撮像装置124並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性である。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの、微生物を含まないと見なされる特定の領域と見なされてもよいこと、又は滅菌野は、外科処置のために準備された患者のすぐ周囲の領域と見なされてもよいことは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにその領域内の全ての備品及び固定具を含んでもよい。
【0025】
様々な態様では、可視化システム108は、
図2に示されるように、滅菌野に対して巧妙に配列された1つ以上の撮像センサと、1つ以上の画像処理ユニットと、1つ以上のストレージアレイと、1つ以上のディスプレイと、を含む。一態様では、可視化システム108は、HL7、PACS、及びEMRのインターフェースを含む。可視化システム108の様々な構成要素については、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号の「Advanced Imaging Acquisition Module」の項で説明されている。
【0026】
図2に示すように、一次ディスプレイ119は、手術台114に位置する操作者に可視であるように、滅菌野内に位置付けられる。加えて、可視化タワー111は、滅菌野の外に位置付けられる。可視化タワー111は、互いに離れる方に面する第1の非滅菌ディスプレイ107及び第2の非滅菌ディスプレイ109を含む。ハブ106によって誘導される可視化システム108は、ディスプレイ107、109、及び119を使用して、滅菌野の内側及び外部の操作者に対する情報フローを調整するように構成されている。例えば、ハブ106は、可視化システム108に、一次ディスプレイ119上の手術部位のライブ映像を維持させながら、撮像装置124によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示させてもよい。非滅菌ディスプレイ107又は109上のスナップショットは、例えば、非滅菌操作者が外科処置に関連する診断工程を実施することを可能にすることができる。
【0027】
一態様では、ハブ106は、滅菌野内で、可視化タワー111に位置する非滅菌操作者によって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌領域内の一次ディスプレイ119に送り、これを手術台に位置する滅菌操作者が見ることができるようにも構成される。一実施例では、入力は、ハブ106によって一次ディスプレイ119に送ることのできる、非滅菌ディスプレイ107又は109上に表示されるスナップショットに対する修正の形態であり得る。
【0028】
図2を参照すると、外科用器具112は、外科処置において外科システム102の一部として使用されている。ハブ106はまた、外科用器具112のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成されている。例えば、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号における、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。可視化タワー111の位置で非滅菌操作者によって入力される診断入力又はフィードバックは、滅菌野内でハブ106によって外科用器具ディスプレイ115に送られてもよく、ここで診断入力又はフィードバックは外科用器具112の操作者によって見られてもよい。外科システム102と共に用いるのに好適な例示的外科用器具については、例えば、「外科用器具のハードウェア」の項目、及びその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号で説明されている。
【0029】
ここで
図3を参照すると、ハブ106が、可視化システム108、ロボットシステム110、及びハンドヘルド式インテリジェント外科用器具112と通信している状態で示されている。ハブ106は、ハブディスプレイ135、撮像モジュール138、発生器モジュール140、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、及びストレージアレイ134を含む。特定の態様では、
図3に示すように、ハブ106は、排煙モジュール126及び/又は吸引/灌注モジュール128を更に含む。
【0030】
外科処置中、封止及び/又は切断のため組織へのエネルギー印加は、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注を伴う。異なる供給源からの流体、電力、及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブのモジュール式筐体136は、電力、データ、及び流体ラインを管理するための統一環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。
【0031】
本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科処置において使用するための外科用ハブを提示する。外科用ハブは、ハブ筐体と、ハブ筐体のドッキングステーション内に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ及び電力接点を含む。組み合わせ生成器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ以上を含む。一態様では、組み合わせ生成器モジュールは、更に、排煙構成要素と、組み合わせ生成器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体、及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、遠隔手術部位から排煙構成要素まで延びる流体ラインと、を含む。
【0032】
一態様では、流体ラインは第1の流体ラインであり、第2の流体ラインは、遠隔手術部位から、ハブ筐体内に摺動可能に受容される吸引及び灌注モジュールまで延びる。一態様では、ハブ筐体は、流体インターフェースを備える。
【0033】
特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であってもよいが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であってもよい。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブのモジュール式筐体136が様々な発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブのモジュール式筐体136の利点の1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。
【0034】
本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用筐体を提示する。モジュール式外科用筐体は、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0035】
上記に加えて、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ及び電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を更に含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。
【0036】
更に、モジュール式外科用筐体は、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成された、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを更に含む。
【0037】
図3~
図7を参照すると、発生器モジュール140と、排煙モジュール126と、吸引/灌注モジュール128と、のモジュール式統合を可能にするハブのモジュール式筐体136に関する本開示の態様が提示される。ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128間の双方向通信を更に促進する。
図5に示すように、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット139内に支持される、統合された単極、双極、及び超音波構成要素を備える発生器モジュールであってもよい。
図5に示すように、発生器モジュール140は、単極装置146、双極装置147、及び超音波装置148に接続するように構成することができる。あるいは、発生器モジュール140は、ハブのモジュール式筐体136を介して相互作用する一連の単極、双極、及び/又は超音波発生器モジュールを備えてもよい。ハブのモジュール式筐体136は、複数の発生器が単一の発生器として機能するように、複数の発生器の挿入と、ハブのモジュール式筐体136にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成することができる。
【0038】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128の取り外し可能な取り付け及びそれらの間の双方向通信を可能にするために、外部及び無線通信ヘッダを備えるモジュール式電力及び通信バックプレーン149を備える。
【0039】
一態様では、ハブのモジュール式筐体136は、モジュール140、126、128を摺動可能に受容するように構成された、本明細書ではドロアーとも称されるドッキングステーション又はドロアー151を含む。
図4は、外科用ハブ筐体136、及び外科用ハブ筐体136のドッキングステーション151に摺動可能に受容可能な組み合わせ生成器モジュール145の部分斜視図を示す。組み合わせ生成器モジュール145の後側に電力及びデータ接点を有するドッキングポート152は、組み合わせ生成器モジュール145がハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151内の位置へと摺動されると、対応するドッキングポート150をハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の電力及びデータ接点と係合するように構成される。一態様では、組み合わせ生成器モジュール145は、
図5に示すように、双極、超音波、及び単極モジュールと、単一のハウジングユニット139と共に一体化された排煙モジュールと、を含む。
【0040】
様々な態様では、排煙モジュール126は、捕捉/回収された煙及び/又は流体を手術部位から遠ざけて、例えば、排煙モジュール126へと搬送する流体ライン154を含む。排煙モジュール126から発生する真空吸引は、煙を手術部位のユーティリティ導管の開口部に引き込むことができる。流体ラインに連結されたユーティリティ導管は、排煙モジュール126で終端する可撓管の形態であり得る。ユーティリティ導管及び流体ラインは、ハブ筐体136内に受容される排煙モジュール126に向かって延びる流体経路を画定する。
【0041】
様々な態様では、吸引/灌注モジュール128は、吸い込み(aspiration)流体ライン及び吸引(suction)流体ラインを含む外科用ツールに連結される。一実施例では、吸い込み及び吸引流体ラインは、手術部位から吸引/灌注モジュール128に向かって延びる可撓管の形態である。1つ以上の駆動システムは、手術部位への、及び手術部位からの流体の灌注及び吸い込みを引き起こすように構成することができる。
【0042】
一態様では、外科用ツールは、その遠位端にエンドエフェクタを有するシャフトと、エンドエフェクタに関連付けられた少なくとも1つのエネルギー処置部と、吸い込み管と、灌注管と、を含む。吸い込み管は、その遠位端に入口ポートを有することができ、吸い込み管はシャフトを通って延びる。同様に、灌注管はシャフトを通って延びることができ、かつ、エネルギー送達器具に近接した入口ポートを有することができる。エネルギー送達器具は、超音波及び/又はRFエネルギーを手術部位に送達するように構成され、最初にシャフトを通って延びるケーブルによって発生器モジュール140に連結される。
【0043】
灌注管は流体源と流体連通することができ、吸い込み管は真空源と流体連通することができる。流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128内に収容され得る。一実施例では、流体源及び/又は真空源は、吸引/灌注モジュール128とは別にハブ筐体136内に収容することができる。このような実施例では、流体インターフェースは、吸引/灌注モジュール128を流体源及び/又は真空源に接続するように構成され得る。
【0044】
一態様では、モジュール140、126、128及び/又はハブのモジュール式筐体136上のそれらの対応するドッキングステーションは、モジュールのドッキングポートを位置合わせして、ハブのモジュール式筐体136のドッキングステーション内でこれらの対応部品と係合させるように構成された位置合わせ機構を含んでもよい。例えば、
図4に示すように、組み合わせ生成器モジュール145は、ハブのモジュール式筐体136の対応するドッキングステーション151の対応するブラケット156と摺動可能に係合するように構成された側部ブラケット155を含む。ブラケットは協働して、組み合わせ生成器モジュール145のドッキングポート接点をハブのモジュール式筐体136のドッキングポート接点と電気係合させるように誘導する。
【0045】
いくつかの態様では、ハブのモジュール式筐体136のドロアー151はサイズが同じ又は実質的に同じであり、モジュールは、ドロアー151内に受容されるサイズに調整される。例えば、側部ブラケット155及び/又は156は、モジュールのサイズに応じてより大きくなっても小さくなってもよい。他の態様では、ドロアー151はサイズが異なり、それぞれ特定のモジュールを収容するように設計される。
【0046】
更に、適合しない接点を備えるドロアーにモジュールを挿入することを避けるために、特定のモジュールの接点を、特定のドロアーの接点と係合するように鍵付きにしてもよい。
【0047】
図4に示されるように、1つのドロアー151のドッキングポート150は、通信リンク157を介して別のドロアー151のドッキングポート150に連結されて、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の双方向通信を容易にすることができる。あるいは又は更に、ハブのモジュール式筐体136のドッキングポート150は、ハブのモジュール式筐体136内に収容されたモジュール間の無線双方向通信を容易にしてもよい。例えば、Air Titan-Bluetoothなどの任意の好適な無線通信を用いてもよい。
【0048】
図6は、外科用ハブ206の複数のモジュールを受容するように構成された横方向モジュール式ハウジング160の複数の横方向ドッキングポートの個々の電力バスアタッチメントを示す。横方向モジュール式ハウジング160は、モジュール161を横方向に受容して相互接続するように構成される。モジュール161は、モジュール161を相互接続するためのバックプレーンを含む横方向モジュール式ハウジング160のドッキングステーション162内に摺動可能に挿入される。
図6に示すように、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング160内で横方向に配置される。あるいは、モジュール161は、横方向モジュール式ハウジング内で垂直方向に配置されてもよい。
【0049】
図7は、外科用ハブ106の複数のモジュール165を受容するように構成された垂直モジュール式ハウジング164を示す。モジュール165は、モジュール165を相互接続するためのバックプレーンを含む垂直モジュール式ハウジング164のドッキングステーション又はドロアー167内に摺動可能に挿入される。垂直モジュール式ハウジング164のドロアー167は、垂直方向に配置されているが、特定の場合では、垂直モジュール式ハウジング164は、横方向に配置されたドロアーを含んでもよい。更に、モジュール165は、垂直モジュール式ハウジング164のドッキングポートを介して互いに相互作用してもよい。
図7の実施例では、モジュール165の動作に関連するデータを表示するためのディスプレイ177が提供される。加えて、垂直モジュール式ハウジング164は、マスタモジュール178内に摺動可能に受容される複数のサブモジュールを収容するマスタモジュール178を含む。
【0050】
様々な態様では、撮像モジュール138は、内蔵型のビデオプロセッサ及びモジュール式光源を備え、様々な撮像装置と共に使用するように適合されている。一態様では、撮像装置は、光源モジュール及びカメラモジュールと共に組み立てることが可能なモジュール式ハウジングで構成される。ハウジングは、使い捨て式ハウジングであってもよい。少なくとも1つの実施例では、使い捨て式ハウジングは、再利用可能なコントローラ、光源モジュール、及びカメラモジュールと取り外し可能に連結される。光源モジュール及び/又はカメラモジュールは、外科処置の種類に応じて選択的に選択することができる。一態様では、カメラモジュールはCCDセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールはCMOSセンサを含む。別の態様では、カメラモジュールは走査されたビームの撮像用に構成される。同様に、光源モジュールは、外科処置に応じて白色光又は異なる光を送達するように構成することができる。
【0051】
外科処置中に、手術野から外科用装置を除去して異なるカメラ又は異なる光源を含む別の外科用装置と交換することは非効率的であり得る。手術野の視野を一時的に喪失することは、望ましからぬ結果をもたらすおそれがある。本開示のモジュール撮像装置は、手術野から撮像装置を除去する必要なく、外科処置中に光源モジュール又はカメラモジュール中間体(midstream)の交換を可能にするように構成される。
【0052】
一態様では、撮像装置は、複数のチャネルを含む管状ハウジングを備える。第1のチャネルは、第1のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得るカメラモジュールを摺動可能に受容するように構成されている。第2のチャネルは、第2のチャネルとスナップ嵌め係合するように構成され得る光源モジュールを摺動可能に受容するように構成されている。別の実施例では、カメラモジュール及び/又は光源モジュールは、これらの対応するチャネル内の最終位置へと回転させることができる。スナップ嵌め係合の代わりにねじ係合が採用されてもよい。
【0053】
様々な実施例で、複数の撮像装置が、複数の視野を提供するために手術野内の様々な位置に位置決めされる。撮像モジュール138は、最適な視野を提供するために撮像装置間を切り替えるように構成することができる。様々な態様では、撮像モジュール138は、異なる撮像装置からの画像を統合するように構成することができる。
【0054】
本開示と共に使用するのに好適な様々な画像プロセッサ及び撮像装置は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「COMBINED SBI AND CONVENTIONAL IMAGE PROCESSOR」と題する2011年8月9日発行の米国特許第7,995,045号に記載されている。更に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SBI MOTION ARTIFACT REMOVAL APPARATUS AND METHOD」と題する2011年7月19日発行の米国特許第7,982,776号は、画像データからモーションアーチファクトを除去するための様々なシステムについて記載している。こうしたシステムは、撮像モジュール138と一体化され得る。更に、「CONTROLLABLE MAGNETIC SOURCE TO FIXTURE INTRACORPOREAL APPARATUS」と題する2011年12月15日公開の米国特許出願公開第2011/0306840号、及び「SYSTEM FOR PERFORMING A MINIMALLY INVASIVE SURGICAL PROCEDURE」と題する2014年8月28日公開の米国特許出願公開第2014/0243597号は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0055】
図8は、医療施設の1つ以上の手術室、又は外科処置のための専門設備を備えた医療施設内の任意の部屋に配置されたモジュール式装置をクラウドベースのシステム(例えばストレージ装置205に連結されたリモートサーバ213を含んでもよいクラウド204)に接続するように構成されたモジュール式通信ハブ203を備える外科用データネットワーク201を示す。一態様では、モジュール式通信ハブ203は、ネットワークルータと通信するネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209を備える。モジュール式通信ハブ203は更に、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供するために、ローカルコンピュータシステム210に連結することができる。外科用データネットワーク201は、受動的、インテリジェント、又は切替式として構成されてもよい。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つの装置(又はセグメント)から別の装置(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェントな外科用データネットワークは、トラフィックが監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ207又はネットワークスイッチ209内の各ポートを構成する追加の機構を含む。インテリジェントな外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称してもよい。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0056】
手術室に配置されるモジュール式装置1a~1nは、モジュール式通信ハブ203に連結されてもよい。ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、ネットワークルータ211に連結されて、装置1a~1nをクラウド204又はローカルコンピュータシステム210に接続してもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータは、遠隔データ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。装置1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。同じ手術室に位置するモジュール式装置2a~2mもまた、ネットワークスイッチ209に連結されてもよい。ネットワークスイッチ209は、ネットワークハブ207及び/又はネットワークルータ211に連結されて、装置2a~2mをクラウド204に接続してもよい。装置2a~2nに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ211を介してクラウド204に転送されてもよい。装置2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム210に転送されてもよい。
【0057】
複数のネットワークハブ207及び/又は複数のネットワークスイッチ209を複数のネットワークルータ211と相互接続することによって、外科用データネットワーク201が拡張されてもよいことが理解されるであろう。モジュール式通信ハブ203は、複数の装置1a~1n/2a~2mを受容するように構成されたモジュール式制御タワー内に収容されてもよい。ローカルコンピュータシステム210もまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、ディスプレイ212に接続されて、例えば外科処置中に、装置1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示する。様々な態様では、装置1a~1n/2a~2mとしては、外科用データネットワーク201のモジュール式通信ハブ203に接続されてもよいモジュール式装置の中でも特に、例えば、内視鏡に連結された撮像モジュール138、エネルギーベースの外科用装置に連結された発生器モジュール140、排煙モジュール126、吸引/灌注モジュール128、通信モジュール130、プロセッサモジュール132、ストレージアレイ134、ディスプレイに連結された外科用装置、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールを挙げてもよい。
【0058】
一態様では、外科用データネットワーク201は、装置1a~1n/2a~2mをクラウドに接続する、ネットワークハブ(複数可)、ネットワークスイッチ(複数可)、及びネットワークルータ(複数可)との組み合わせを含んでもよい。ネットワークハブ又はネットワークスイッチに連結された装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全ては、リアルタイムでデータを収集し、データ処理及び操作のためにデータをクラウドコンピュータに転送してもよい。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナル装置を有するのではなく、共有コンピューティングリソースに依存することは理解されるであろう。用語「クラウド」は、「インターネット」の隠喩として用いられる場合があるが、この用語はそのように限定はされない。したがって、用語「クラウドコンピューティング」は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングの一種」を指すために用いてもよく、この場合、サーバ、ストレージ、及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的、又は現場の手術室又は空間)に位置するモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に、かつインターネットを介してモジュール式通信ハブ203及び/又はコンピュータシステム210に接続された装置に送達される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持されてもよい。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ以上の手術室内に位置する装置1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であってもよい。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置によって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実行することができる。ハブハードウェアは、複数の装置又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0059】
装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科的成果の改善、コスト低減、及び患者満足度の改善を提供する。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織の試料の画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病状を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。これは、組織及び表現型の位置特定及びマージン確認を含む。撮像装置と一体化された様々なセンサ、及び複数の撮像装置によってキャプチャされた画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を特定するために、装置1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、装置1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウド204若しくはローカルコンピュータシステム210又はその両方に転送されてもよい。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入、及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析することができる。こうしたデータ分析は、予後分析処理を更に採用してもよく、標準化されたアプローチを使用することは、外科治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供することができる。
【0060】
一実装態様では、手術室装置1a~1nは、ネットワークハブに対する装置1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介してモジュール式通信ハブ203に接続されてもよい。ネットワークハブ207は、一態様では、開放型システム間相互接続(OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャスト装置として実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置する装置1a~1nに接続性を提供する。ネットワークハブ207は、パケット形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信する。ネットワークハブ207は、装置データを転送するための任意の媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(MAC/IP)を記憶しない。装置1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ207を介して一度にデータを送信することができる。ネットワークハブ207は、情報の送信先に関する経路選択テーブル又はインテリジェンスを有さず、全てのネットワークデータをそれぞれのコネクション全体、及びクラウド204上のリモートサーバ213(
図9)にブロードキャストする。ネットワークハブ207は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出することができるが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0061】
別の実装形態では、手術室装置2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ209に接続されてもよい。ネットワークスイッチ209は、OSIモデルのデータリンク層内で機能する。ネットワークスイッチ209は、同じ手術室内に位置する装置2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャスト装置である。ネットワークスイッチ209は、フレームの形態のデータをネットワークルータ211に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置2a~2mは、ネットワークスイッチ209を介して同時にデータを送信することができる。ネットワークスイッチ209は、データを転送するために装置2a~2mのMACアドレスを記憶かつ使用する。
【0062】
ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ209は、クラウド204に接続するためにネットワークルータ211に連結される。ネットワークルータ211は、OSIモデルのネットワーク層内で機能する。ネットワークルータ211は、装置1a~1n/2a~2mのいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを更に処理及び操作するために、ネットワークハブ207及び/又はネットワークスイッチ211から受信したデータパケットをクラウドベースのコンピュータリソースに送信するための経路を作成する。ネットワークルータ211は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に位置する異なるネットワークなどの、異なる位置に位置する2つ以上の異なるネットワークを接続するために用いられてもよい。ネットワークルータ211は、パケット形態のデータをクラウド204に送信し、全二重モードで機能する。複数の装置が同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ211は、データを転送するためにIPアドレスを使用する。
【0063】
一実施例では、ネットワークハブ207は、複数のUSB装置をホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、装置をホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ207は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線又は無線能力を含むことができる。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置する装置1a~1nと装置2a~2mとの間の通信のために使用されてもよい。
【0064】
他の実施例では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、固定及びモバイル装置から短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、かつパーソナルエリアネットワーク(PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ203と通信してもよい。他の態様では、手術室装置1a~1n/2a~2mは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ203と通信してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0065】
モジュール式通信ハブ203は、手術室装置1a~1n/2a~2mの1つ又は全ての中央接続部として機能することができ、フレームとして知られるデータ型を取り扱う。フレームは、装置1a~1n/2a~2mによって生成されたデータを搬送する。フレームがモジュール式通信ハブ203によって受信されると、フレームは、増幅されてネットワークルータ211へ送信され、ネットワークルータ211は、本明細書に記載される数多くの無線又は有線通信規格又はプロトコルを使用することによってこのデータをクラウドコンピューティングリソースに転送する。
【0066】
モジュール式通信ハブ203は、スタンドアロンの装置として使用されてもよく、又はより大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ及びネットワークスイッチに接続されてもよい。モジュール式通信ハブ203は、一般に据え付け、構成、及び維持が容易であるため、モジュール式通信ハブ203は手術室装置1a~1n/2a~2mをネットワーク接続するための良好な選択肢となる。
【0067】
図9は、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200を示す。コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム100と類似している。例えば、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、多くの点で外科システム102と類似する1つ以上の外科システム202を含む。それぞれの外科システム202は、リモートサーバ213を含んでもよいクラウド204と通信する少なくとも1つの外科用ハブ206を含む。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システム200は、例えば、インテリジェント外科用器具、ロボット、及び手術室内に位置する他のコンピュータ化装置などの複数の手術室装置に接続されたモジュール式制御タワー236を備える。
図10に示されるように、モジュール式制御タワー236は、コンピュータシステム210に連結されたモジュール式通信ハブ203を備える。
図9の実施例に例示するように、モジュール式制御タワー236は、内視鏡239に連結された撮像モジュール238、エネルギー装置241に連結された発生器モジュール240、排煙器モジュール226、吸引/灌注モジュール228、通信モジュール230、プロセッサモジュール232、ストレージアレイ234、任意でディスプレイ237に連結されたスマート装置/器具235、及び非接触センサモジュール242に連結される。手術室装置は、モジュール式制御タワー236を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結される。ロボットハブ222もまた、モジュール式制御タワー236及びクラウドコンピューティングリソースに接続されてもよい。中でもとりわけ、装置/器具235、可視化システム208が、本明細書に記載される有線又は無線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式制御タワー236に連結されてもよい。モジュール式制御タワー236は、撮像モジュール、装置/器具ディスプレイ、及び/又は他の可視化システム208から受信した画像を表示及びオーバーレイするためにハブディスプレイ215(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されてもよい。ハブディスプレイはまた、画像及びオーバーレイ画像と共にモジュール式制御タワーに接続された装置から受信したデータを表示してもよい。
【0068】
図10は、モジュール式制御タワー236に連結された複数のモジュールを備える外科用ハブ206を示す。モジュール式制御タワー236は、例えばネットワーク接続装置などのモジュール式通信ハブ203と、例えば局所処理、可視化、及び撮像を提供するためのコンピュータシステム210と、を備える。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203は、モジュール式通信ハブ203に接続できるモジュール(例えば、装置)の数を拡張するために階層化構成で接続されて、モジュールに関連付けられたデータをコンピュータシステム210、クラウドコンピューティングリソース、又はその両方に転送することができる。
図10に示すように、モジュール式通信ハブ203内のネットワークハブ/スイッチのそれぞれは、3つの下流ポート及び1つの上流ポートを含む。上流のネットワークハブ/スイッチは、クラウドコンピューティングリソース及びローカルディスプレイ217への通信接続を提供するためにプロセッサに接続される。クラウド204への通信は、有線又は無線通信チャネルのいずれかを介して行うことができる。
【0069】
外科用ハブ206は、非接触センサモジュール242を使用して、手術室の寸法を測定し、また超音波又はレーザ型非接触測定装置のいずれかを使用して手術現場のマップを生成する。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国特許仮出願第62/611,341号中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の項で説明されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査し、ここでセンサモジュールが、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成される。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信し、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較することによって手術室を走査して、手術室のサイズを判定し、かつBluetoothペアリング距離限界を調整する。
【0070】
コンピュータシステム210は、プロセッサ244とネットワークインターフェース245とを備える。プロセッサ244は、システムバスを介して、通信モジュール247、ストレージ248、メモリ249、不揮発性メモリ250、及び入出力インターフェース251に連結される。システムバスは、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(MSA)、拡張ISA(EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(IDE)、VESAローカルバス(VLB)、周辺装置相互接続(PCI)、USB、アドバンスドグラフィックスポート(AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(SCSI)、又は任意の他の独自バス(proprietary bus)が挙げられるがこれらに限定されない任意の様々なバスアーキテクチャを用いる、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造(複数可)のうちのいずれかであってもよい。
【0071】
プロセッサ244は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、及び/又は、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0072】
一態様では、プロセッサ244は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0073】
システムメモリとしては、揮発性メモリ及び不揮発性メモリが挙げられる。起動中などにコンピュータシステム内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含む基本入出力システム(BIOS)は、不揮発性メモリに記憶される。例えば、不揮発性メモリとしては、ROM、プログラマブルROM(PROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、EEPROM、又はフラッシュメモリを挙げることができる。揮発性メモリとしては、外部キャッシュメモリとして機能するランダムアクセスメモリ(RAM)が挙げられる。更に、RAMは、SRAM、ダイナミックRAM(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)、エンハンスドSDRAM(ESDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM)、及びダイレクトランバスRAM(DRRAM)などの多くの形態で利用可能である。
【0074】
コンピュータシステム210はまた、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性コンピュータストレージ媒体、例えばディスクストレージなどを含む。ディスクストレージとしては、磁気ディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、テープドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-60ドライブ、フラッシュメモリカード、又はメモリスティックのようなデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、ディスクストレージは、ストレージ媒体を、独立して、又はコンパクトディスクROM装置(CD-ROM)、コンパクトディスク記録可能ドライブ(CD-Rドライブ)、コンパクトディスク書き換え可能ドライブ(CD-RWドライブ)、若しくはデジタル多用途ディスクROMドライブ(DVD-ROM)などの光ディスクドライブが挙げられるがこれらに限定されない他のストレージ媒体との組み合わせで含むことができる。ディスクストレージ装置のシステムバスへの接続を容易にするために、取り外し可能な又は取り外し不可能なインターフェースが用いられてもよい。
【0075】
コンピュータシステム210は、好適な動作環境で説明されるユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含むことを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムが挙げられる。ディスクストレージ上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能する。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスクストレージ上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用する。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0076】
ユーザは、I/Oインターフェース251に連結された入力装置(複数可)を介してコンピュータシステム210にコマンド又は情報を入力する。入力装置としては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、サテライト・ディッシュ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどが挙げられるが、これらに限定されない。これら及び他の入力装置は、インターフェースポート(複数可)を介し、システムバスを通してプロセッサに接続する。インターフェースポート(複数可)としては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート、及びUSBが挙げられる。出力装置(複数可)は、入力装置(複数可)と同じ種類のポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステムに入力を提供し、またコンピュータシステムからの情報を出力装置に出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とする出力装置の中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ、及びプリンタなどのいくつかの出力装置が存在することを示すために提供される。出力アダプタとしては、例示としてのものであり限定するものではないが、出力装置とシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードが挙げられる。遠隔コンピュータ(複数可)などの他の装置及び/又は装置のシステムは、入力及び出力機能の両方を提供することに留意されたい。
【0077】
コンピュータシステム210は、クラウドコンピュータ(複数可)などの1つ以上の遠隔コンピュータ又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作することができる。遠隔クラウドコンピュータ(複数可)は、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピア装置、又は他の一般的なネットワークノードなどであり得、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、遠隔コンピュータ(複数可)と共にメモリストレージ装置のみが示される。遠隔コンピュータ(複数可)は、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続を介して物理的に接続される。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)などの通信ネットワークを包含する。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、銅線分散データインターフェース(CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などが挙げられる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク、並びにデジタル加入者回線(DSL)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0078】
様々な態様では、
図10のコンピュータシステム210、
図9~
図10の撮像モジュール238、及び/又は可視化システム208、及び/又はプロセッサモジュール232は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理に使用される任意の専用デジタル信号プロセッサ(DSP)を含んでもよい。画像プロセッサは、単一命令複数データ(SIMD)、又は複数命令複数データ(MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを使用して速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実行することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0079】
通信接続(複数可)とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために用いられるハードウェア/ソフトウェアを指す。例示の明瞭さのために、通信接続は、コンピュータシステム内部に示されているが、通信接続はまた、コンピュータシステム210の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部技術及び外部技術が挙げられる。
【0080】
図11は、本開示の一態様による、USBネットワークハブ300装置の一態様の機能ブロック図を示す。図示した態様では、USBネットワークハブ装置300は、Texas Instruments製TUSB2036集積回路ハブを採用する。USBネットワークハブ300は、USB2.0規格に準拠する、上流USB送受信ポート302及び最大3つの下流USB送受信ポート304、306、308を提供するCMOS装置である。上流USB送受信ポート302は、差動データプラス(DP0)入力とペアリングされた差動データマイナス(DM0)入力を含む差動ルートデータポートである。3つの下流USB送受信ポート304、306、308は、各ポートが差動データマイナス(DM1~DM3)出力とペアリングした差動データプラス(DP1~DP3)出力を含む差動データポートである。
【0081】
USBネットワークハブ300装置は、マイクロコントローラの代わりにデジタル状態マシンを備えて実装され、ファームウェアのプログラミングを必要としない。完全準拠したUSB送受信機が、上流USB送受信ポート302及び全ての下流USB送受信ポート304、306、308の回路に統合される。下流USB送受信ポート304、306、308は、ポートに取り付けられた装置の速度に応じてスルーレートを自動的に設定することによって、最高速度及び低速の装置の両方をサポートする。USBネットワークハブ300装置は、バスパワーモード又はセルフパワーモードのいずれかで構成されてもよく、電力を管理するためのハブパワー論理312を含む。
【0082】
USBネットワークハブ300装置は、シリアルインターフェースエンジン310(SIE)を含む。SIE310は、USBネットワークハブ300ハードウェアのフロントエンドであり、USB仕様書の第8章に記載されているプロトコルの大部分を取り扱う。SIE310は、典型的には、トランザクションレベルまでのシグナリングを理解する。これが取り扱う機能としては、パケット認識、トランザクションの並べ替え、SOP、EOP、RESET、及びRESUME信号の検出/生成、クロック/データ分離、非ゼロ復帰逆転(NRZI)データ符号化/復号及びビットスタッフィング、CRC生成及びチェック(トークン及びデータ)、パケットID(PID)の生成、及びチェック/復号、並びに/又はシリアル・パラレル/パラレル・シリアル変換が挙げられ得る。310はクロック入力314を受信し、ポート論理回路320、322、324を介して上流USB送受信ポート302と下流USB送受信ポート304、306、308との間の通信を制御するためにサスペンド/レジューム論理並びにフレームタイマー316回路及びハブリピータ回路318に連結される。SIE310は、シリアルEEPROMインターフェース330を介してシリアルEEPROMからコマンドを制御するためのインターフェース論理を介してコマンドデコーダ326に連結される。
【0083】
様々な態様では、USBネットワークハブ300は、最大6つの論理層(階層)内に構成された127個の機能を単一のコンピュータに接続することができる。更に、USBネットワークハブ300は、通信及び電力分配の両方を提供する標準化された4本のワイヤケーブルを使用して全ての周辺機器に接続することができる。電力構成は、バスパワーモード及びセルフパワーモードである。USBネットワークハブ300は、個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるバスパワーハブ、及び個々のポート電力管理又は連動ポート電力管理のいずれかを備えるセルフパワーハブの、電力管理の4つのモードをサポートするように構成されてもよい。一態様では、USBケーブル、USBネットワークハブ300を使用して、上流USB送受信ポート302は、USBホストコントローラにプラグ接続され、下流USB送受信ポート304、306、308は、USBに互換性のある装置を接続するために露出されるなどである。
【0084】
外科用器具のハードウェア
図12は、本開示の1つ以上の態様による、外科用器具又はツールの制御システム470の論理図を示す。システム470は制御回路を備える。制御回路は、プロセッサ462及びメモリ468を備えるマイクロコントローラ461を含む。例えば、センサ472、474、476のうちの1つ以上は、プロセッサ462にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータ駆動器492によって駆動されるモータ482は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ部材を駆動する。追跡システム480は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を決定するように構成されている。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を決定するようにプログラムするか又は構成することができるプロセッサ462に提供される。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖管の移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ473は、器具の様々な動作条件を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含んでもよい。ディスプレイ473上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイさせることができる。
【0085】
一態様では、マイクロコントローラ461は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、主マイクロコントローラ461は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ以上のPWMモジュール、1つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットADCを含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0086】
一態様では、マイクロコントローラ461は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、中でも特に、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0087】
マイクロコントローラ461は、ナイフシステム及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実行するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ461は、プロセッサ462及びメモリ468を含む。電動モータ482は、ギアボックス、及び関節運動システム又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(DC)モータであってもよい。一態様では、モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480で使用するために容易に置き換えることができる。絶対位置決めシステムの詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0088】
マイクロコントローラ461は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされてもよい。マイクロコントローラ461は、マイクロコントローラ461のソフトウェア内で応答を計算するように構成されてもよい。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答が得られ、これが実際のフィードバックの判定に用いられる。観測された応答は、シミュレーションによる応答の滑らかで連続的な性質と、測定による応答とのバランスを取る好適な調整された値であり、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0089】
一態様では、モータ482は、モータ駆動器492によって制御されてもよく、外科用器具又はツールの発射システムによって使用され得る。様々な形態において、モータ482は、例えば、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。別の構成において、モータ482は、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータを含んでもよい。モータ駆動器492は、例えば、電界効果トランジスタ(FET)を含むHブリッジ駆動器を備えてもよい。モータ482は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドルアセンブリ又はツールハウジングに解除可能に装着された電源アセンブリによって給電することができる。電源アセンブリは、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含む場合がある電池を含んでもよい。特定の状況下では、電源アセンブリ706の電池セルは、交換可能かつ/又は再充電可能であってよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源アセンブリに連結可能かつ電源アセンブリから分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0090】
モータ駆動器492は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941 492は、特にブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)と共に使用するためのフルブリッジコントローラである。駆動器492は、固有の電荷ポンプレギュレータを備え、電荷ポンプレギュレータは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に提供し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を与えるために、ブートストラップコンデンサが用いられてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を用いて高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードにおいて、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、レジスタで調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護される。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を指示するものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータ駆動器を、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム480で使用するために容易に置換することができる。
【0091】
追跡システム480は、本開示の一態様による位置センサ472を備える制御されたモータ駆動回路構成を備える。絶対位置決めシステム用の位置センサ472は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を提供する。一態様では、変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。他の態様では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合及び構成され得る発射部材を表す。更に別の態様では、変位部材は、発射バー又はIビームを表し、それらのそれぞれは、駆動歯のラックを含むように適合し、かつ構成することができる。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位することができる任意の要素など、外科用器具の任意の可動部材を指すために使用される。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに連結される。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な他の態様では、変位部材は、直線変位を測定するのに好適な任意の位置センサ472に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可動な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式又は非接触式の変位センサを含んでもよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線上に配列されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線上に配列されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線上に配列された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線上に配列された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0092】
電動モータ482は、変位部材上の駆動歯のセット又はラックと噛合係合で装着されるギアアセンブリと動作可能にインターフェースする回転式シャフトを含んでもよい。センサ素子は、位置センサ472素子の1回転が、変位部材のいくらかの直線長手方向並進に対応するように、ギアアセンブリに動作可能に連結されてもよい。ギアリング及びセンサの機構を、ラックピニオン機構によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示することができる。変位部材は、ギア減速機アセンブリの対応する駆動ギアと噛合係合するために、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表す。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組合せを表す。
【0093】
位置センサ472に付随するセンサ素子の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当し、d1は、変位部材に連結したセンサ素子の1回転した後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ機構は、位置センサ472が変位部材のフルストロークに対して1回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して接続されてもよい。位置センサ472は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了することができる。
【0094】
位置センサ472の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1より大きい整数である)が、単独で用いられても、ギアの減速との組み合わせで用いられてもよい。スイッチの状態は、マイクロコントローラ461にフィードバックされ、マイクロコントローラ461は、論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ472の出力はマイクロコントローラ461に提供される。センサ機構の位置センサ472は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果素子のアレイを備えてもよい。
【0095】
位置センサ472は、例えば、磁界の全磁界又はベクトル成分を測定するか否かに基づいて分類される磁気センサなどの、任意の数の磁気感知素子を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために用いられる技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含んでいる。磁界の感知に用いられる技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核歳差運動、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサが挙げられる。
【0096】
一態様では、絶対位置決めシステムを備える追跡システム480の位置センサ472は、磁気回転絶対位置決めシステムを備える。位置センサ472は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ472は、マイクロコントローラ461と連携して絶対位置決めシステムを提供する。位置センサ472は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に位置する位置センサ472の領域に、4つのホール効果素子を含む。更に、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラがチップ上に設けられている。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために、一桁毎の方法及びボルダーアルゴリズム(Volder's algorithm)としても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(CORDIC)プロセッサが設けられる。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ461に伝送される。位置センサ472は、12ビット又は14ビットの解像度を提供する。位置センサ472は、小型のQFN16ピン4×4×0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0097】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム480は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、かつ/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源が、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ472によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサ(複数化)が設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサ(複数可)としては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ機構を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを用いて、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備えてもよい。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れる。
【0098】
絶対位置決めシステムは、モータ482が単に前方又は後方に経たステップの数をカウントして装置アクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダで必要となる場合があるような、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置へ後退又は前進させることなしに、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供する。
【0099】
例えば、歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ474は、例えば、アンビルに加えられる閉鎖力を示すことができる、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅などのエンドエフェクタの1つ以上のパラメータを測定するように構成される。測定された歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。センサ474の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ476が、閉鎖駆動システムによってアンビル914に加えられる閉鎖力を測定することができる。例えば、負荷センサなどのセンサ476は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定することができる。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含む。あるいは、モータ482による電流引き込みを測定するために、電流センサ478を用いることができる。変位部材を前進させるのに必要な力は、例えば、モータ482によって引き込まれる電流に相当する場合がある。測定された力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供される。
【0100】
一形態では、歪みゲージセンサ474を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。治療される組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に加えられる力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ以上のパラメータを測定するように構成された微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ474を備える。一態様では、歪みゲージセンサ474は、把持動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は大きさを測定することができ、これは組織の圧縮を示すことができる。測定された歪みはデジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ461のプロセッサ462に提供される。負荷センサ476は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を操作するのに用いられる力を測定することができる。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために用いることができる。磁界センサの測定値もまたデジタル信号に変換されて、プロセッサ462に提供されてもよい。
【0101】
センサ474、476によってそれぞれ測定される、組織の圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するのに必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ461によって使用することができる。一例では、メモリ468は、評価の際にマイクロコントローラ461によって用いることができる技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶することができる。
【0102】
外科用器具又はツールの制御システム470はまた、
図8~
図11に示されるようにモジュール式通信ハブと通信するための有線又は無線通信回路を備えてもよい。
【0103】
図13は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された制御回路500を示す。制御回路500は、本明細書に説明される様々なプロセスを実装するように構成することができる。制御回路500は、少なくとも1つのメモリ回路504に連結された1つ以上のプロセッサ502(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ)を備えるマイクロコントローラを備えてもよい。メモリ回路504は、プロセッサ502によって実行されると、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するための機械命令をプロセッサ502に実行させる、機械実行可能命令を記憶する。プロセッサ502は、当該技術分野で既知の多数のシングル又はマルチコアプロセッサのうち任意の1つであってもよい。メモリ回路504は、揮発性及び不揮発性のストレージ媒体を含んでもよい。プロセッサ502は、命令処理ユニット506及び演算ユニット508を含んでもよい。命令処理ユニットは、本開示のメモリ回路504から命令を受信するように構成されてもよい。
【0104】
図14は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された組み合わせ論理回路510を示す。組み合わせ論理回路510は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。組み合わせ論理回路510は、入力514で外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理512によってデータを処理し、出力516を提供するように構成された組み合わせ論理512を含む有限状態マシンを含んでもよい。
【0105】
図15は、本開示の一態様による、外科用器具又はツールの態様を制御するように構成された順序論理回路520を示す。順序論理回路520又は組み合わせ論理522は、本明細書に記載される様々なプロセスを実装するように構成することができる。順序論理回路520は有限状態マシンを含んでもよい。順序論理回路520は、例えば、組み合わせ論理522、少なくとも1つのメモリ回路524、及びクロック529を含んでもよい。少なくとも1つのメモリ回路524は、有限状態マシンの現在の状態を記憶することができる。特定の例では、順序論理回路520は、同期式又は非同期式であってもよい。組み合わせ論理522は、入力526から外科用器具又はツールと関連付けられたデータを受信し、組み合わせ論理522によってデータを処理し、出力528を提供するように構成される。他の態様では、回路は、プロセッサ(例えば、
図13のプロセッサ502)と、本明細書の様々なプロセスを実装する有限状態マシンと、の組み合わせを含んでもよい。他の態様では、有限状態マシンは、組み合わせ論理回路(例えば、
図14の組み合わせ論理回路510)と順序論理回路520との組み合わせを含んでもよい。
【0106】
図16は、様々な機能を実行するために起動され得る複数のモータを備える外科用器具又はツールを示す。特定の例では、第1のモータを起動させて第1の機能を実行することができ、第2のモータを起動させて第2の機能を実行することができ、第3のモータを起動させて第3の機能を実行することができ、第4のモータを起動させて第4の機能を実行することができる、といった具合である。特定の例では、ロボット外科用器具600の複数のモータは、個々に起動されて、エンドエフェクタにおいて発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動を生じさせることができる。発射運動、閉鎖運動、及び/又は関節運動は、例えばシャフトアセンブリを介してエンドエフェクタに伝達することができる。
【0107】
特定の例では、外科用器具システム又はツールは、発射モータ602を含んでもよい。発射モータ602は、具体的にはIビーム部材を変位させるために、モータ602によって生成された発射運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、発射モータ駆動アセンブリ604に動作可能に連結されてもよい。特定の例では、モータ602によって生成される発射運動によって、例えば、ステープルをステープルカートリッジから、エンドエフェクタによって捕捉された組織内へと配備し、かつ/又はIビーム要素の切刃を前進させて、捕捉された組織を切断してもよい。Iビーム要素は、モータ602の向きを逆転させることによって後退させられてもよい。
【0108】
特定の例では、外科用器具又はツールは閉鎖モータ603を含んでもよい。閉鎖モータ603は、具体的には閉鎖管を変位させてアンビルを閉鎖し、アンビルとステープルカートリッジとの間で組織を圧縮するためにモータ603によって生成された閉鎖運動をエンドエフェクタに伝達するように構成され得る、閉鎖モータ駆動アセンブリ605と動作可能に連結されてもよい。閉鎖運動によって、例えば、エンドエフェクタが開放構成から接近構成へと遷移して組織を捕捉することができる。エンドエフェクタは、モータ603の方向を逆転させることによって開放位置に遷移されてもよい。
【0109】
特定の例では、外科用器具又はツールは、例えば、1つ以上の関節運動モータ606a、606bを含んでもよい。モータ606a、606bは、モータ606a、606bによって生成された関節運動をエンドエフェクタに伝達するように構成することができる、対応する関節運動モータ駆動アセンブリ608a、608bに動作可能に連結されてもよい。特定の例では、関節運動によって、例えば、エンドエフェクタがシャフトに対して関節運動することができる。
【0110】
上述したように、外科用器具又はツールは、様々な独立した機能を実施するように構成されてもよい複数のモータを含んでもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、他のモータが停止した状態を維持している間に、独立して又は別個に起動させて、1つ以上の機能を実施することができる。例えば、関節運動モータ606a、606bを起動させて、発射モータ602が停止した状態を維持している間に、エンドエフェクタを関節運動させることができる。あるいは、発射モータ602を起動させて、関節運動モータ606が停止している間に、複数のステープルを発射させ、及び/又は刃先を前進させることができる。更に、閉鎖モータ603は、本明細書の以下でより詳細に説明されるように、閉鎖管及びIビーム要素を遠位に前進させるために、発射モータ602と同時に起動されてもよい。
【0111】
特定の例では、外科用器具又はツールは、外科用器具又はツールの複数のモータと共に用いることができる、共通の制御モジュール610を含んでもよい。特定の例では、共通の制御モジュール610は、一度に複数のモータのうちの1つに対応することができる。例えば、共通の制御モジュール610は、ロボット外科用器具の複数のモータ対して個々に連結及び分離が可能であってもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610などの1つ以上の共通の制御モジュールを共有してもよい。特定の例では、外科用器具又はツールの複数のモータは、共通の制御モジュール610に独立してかつ選択的に係合することができる。特定の例では、共通の制御モジュール610は、外科用器具又はツールの複数のモータのうち一方との連携から、外科用器具又はツールの複数のモータのうちもう一方との連携へと選択的に切り替えることができる。
【0112】
少なくとも1つの例では、共通の制御モジュール610は、関節運動モータ606a、606bとの動作可能な係合と、発射モータ602又は閉鎖モータ603のいずれかとの動作可能な係合と、の間で選択的に切り替えることができる。少なくとも1つの実施例では、
図16に示すように、スイッチ614は、複数の位置及び/又は状態間を移動又は遷移させることができる。例えば、第1の位置616では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を発射モータ602と電気的に連結してもよく、第2の位置617では、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を閉鎖モータ603と電気的に連結してもよく、第3の位置618aでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第1の関節運動モータ606aと電気的に連結してもよく、第4の位置618bでは、スイッチ614は、共通の制御モジュール610を第2の関節運動モータ606bと電気的に連結してもよい。特定の例では、同時に、別個の共通の制御モジュール610を、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bと電気的に連結することができる。特定の例では、スイッチ614は、機械的スイッチ、電気機械的スイッチ、固体スイッチ、又は任意の好適な切り替え機構であってもよい。
【0113】
モータ602、603、606a、606bのそれぞれは、モータのシャフト上の出力トルクを測定するためのトルクセンサを備えてもよい。エンドエフェクタ上の力は、ジョーの外側の力センサによって、又はジョーを作動させるモータのトルクセンサなどによって、任意の従来の方法で感知されてもよい。
【0114】
様々な例では、
図16に示されるように、共通の制御モジュール610は、1つ以上のHブリッジFETを備えてもよいモータ駆動器626を備えてもよい。モータ駆動器626は、例えば、マイクロコントローラ620(「コントローラ」)からの入力に基づいて、電源628から共通の制御モジュール610に連結されたモータへと伝達された電力を変調してもよい。特定の例では、上述したように、例えば、モータが共通の制御モジュール610に連結されている間にマイクロコントローラ620を用いて、モータによって引き込まれる電流を判定することができる。
【0115】
特定の例では、マイクロコントローラ620は、マイクロプロセッサ622(「プロセッサ」)と、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体又はメモリユニット624(「メモリ」)と、を含んでもよい。特定の例では、メモリ624は、様々なプログラム命令を記憶してもよく、そのプログラム命令が実行されると、プロセッサ622に、本明細書に記載される複数の機能及び/又は計算を実施させてもよい。特定の例では、メモリユニット624のうちの1つ以上は、例えば、プロセッサ622に連結されてもよい。
【0116】
特定の例では、電源628を用いて、例えばマイクロコントローラ620に電力を供給してもよい。特定の例では、電源628は、例えばリチウムイオン電池などの電池(又は「電池パック」若しくは「パワーパック」)を含んでもよい。特定の例では、電池パックは、外科用器具600に電力を供給するため、ハンドルに解除可能に装着されるように構成されてもよい。直列で接続された多数の電池セルを、電源628として使用してもよい。特定の例では、電源628は、例えば、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。
【0117】
様々な例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626を制御して、共通の制御モジュール610に連結されたモータの位置、回転方向、及び/又は速度を制御することができる。特定の例では、プロセッサ622は、モータ駆動器626に信号伝達して、共通の制御モジュール610に連結されたモータを停止及び/又は使用不能にすることができる。用語「プロセッサ」は、本明細書で使用されるとき、任意の好適なマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は、コンピュータの中央処理装置(CPU)の機能を1つの集積回路又は最大で数個の集積回路上で統合したその他の基本コンピューティング装置を含むと理解されるべきである。プロセッサは、デジタルデータを入力として受理し、メモリに記憶された命令に従ってそのデータを処理し、結果を出力として提供する、多目的のプログラマブルデバイスである。これは、内部メモリを有するので、逐次的デジタル論理の一例である。プロセッサは、二進数法で表される数字及び記号で動作する。
【0118】
一例では、プロセッサ622は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。特定の例では、マイクロコントローラ620は、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM 4F230H5QRであってもよい。少なくとも1つの実施例では、Texas InstrumentsのLM4F230H5QRは、製品データシートで容易に利用可能な特性の中でもとりわけ、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ以上のPWMモジュール、1つ以上のQEIアナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットADCを含むARM Cortex-M4Fプロセッサコアである。他のマイクロコントローラが、モジュール4410と共に使用するのに容易に代用されてもよい。したがって、本開示は、この文脈に限定されるべきではない。
【0119】
特定の例では、メモリ624は、共通の制御モジュール610に連結可能な外科用器具600のモータをそれぞれ制御するためのプログラム命令を含んでもよい。例えば、メモリ624は、発射モータ602、閉鎖モータ603、及び関節運動モータ606a、606bを制御するためのプログラム命令を含んでもよい。このようなプログラム命令は、プロセッサ622に、外科用器具又はツールのアルゴリズム又は制御プログラムからの入力に従って、発射機能、閉鎖機能、及び関節運動機能を制御させることができる。特定の例では、例えば、センサ630などの1つ以上の機構及び/又はセンサを用いて、特定の設定で使用すべきプログラム命令をプロセッサ622に警告することができる。例えば、センサ630は、エンドエフェクタの発射、閉鎖、及び関節運動に関連するプログラム命令を使用するようにプロセッサ622に警告することができる。特定の例では、センサ630は、例えば、スイッチ614の位置を感知するために用いることができる位置センサを備えてもよい。したがって、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第1の位置616にあることを検出すると、エンドエフェクタのIビームの発射と関連付けられたプログラム命令を使用してもよく、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第2の位置617にあることを検出すると、アンビルの閉鎖と関連付けられたプログラム命令を使用してもよく、プロセッサ622は、例えば、センサ630を介してスイッチ614が第3の位置618a又は第4の位置618bにあることを検出すると、エンドエフェクタの関節運動と関連付けられたプログラム命令を使用してもよい。
【0120】
図17は、本開示の一態様による、本明細書で説明される外科用ツールを操作するように構成されたロボット外科用器具700の回路図である。ロボット外科用器具700は、単一又は複数の関節運動駆動連結部のいずれかを用いて、変位部材の遠位/近位並進、閉鎖管の遠位/近位変位、シャフトの回転、及び関節運動を制御するようにプログラム又は構成されてもよい。一態様では、外科用器具700は、発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ以上の関節運動部材を個別に制御するようにプログラムされるか又は構成されてもよい。外科用器具700は、モータ駆動式の発射部材、閉鎖部材、シャフト部材、又は1つ以上の関節運動部材を制御するように構成された制御回路710を備える。
【0121】
一態様では、ロボット外科用器具700は、複数のモータ704a~704eを介して、エンドエフェクタ702のアンビル716及びIビーム714(鋭い切刃を含む)部分、取り外し可能なステープルカートリッジ718、シャフト740、並びに1つ以上の関節運動部材742a、742bを制御するように構成された制御回路710を備える。位置センサ734は、Iビーム714の位置フィードバックを制御回路710に提供するように構成されてもよい。他のセンサ738は、制御回路710にフィードバックを提供するように構成されてもよい。タイマー/カウンタ731は、制御回路710にタイミング情報及びカウント情報を提供する。モータ704a~704eを動作させるためにエネルギー源712が設けられてもよく、電流センサ736はモータ電流フィードバックを制御回路710に提供する。モータ704a~704eは、開ループ又は閉ループフィードバック制御において制御回路710によって個別に操作することができる。
【0122】
一態様では、制御回路710は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに1つ以上のタスクを実施させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ回路731は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路710に提供して位置センサ734によって決定されたIビーム714の位置をタイマー/カウンタ回路731の出力と相関させ、その結果、制御回路710は、Iビーム714が開始位置に対して特定の位置にあるときの、開始位置又は時間(t)に対する特定の時間(t)におけるIビーム714の位置を決定することができる。タイマー/カウンタ731は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を計測するように構成されてよい。
【0123】
一態様では、制御回路710は、1つ以上の組織状態に基づいてエンドエフェクタ702の機能を制御するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路710は、組織状態に基づいて発射制御プログラム又は閉鎖制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述してもよい。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路710は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。閉鎖制御プログラムは、アンビル716によって組織に加えられる閉鎖力を制御してもよい。その他の制御プログラムは、シャフト740及び関節運動部材742a、742bの回転を制御する。
【0124】
一態様では、制御回路710は、モータ設定値信号を生成してもよい。モータ設定値信号は、様々なモータコントローラ708a~708eに提供されてもよい。モータコントローラ708a~708eは、本明細書で説明するように、モータ704a~704eにモータ駆動信号を提供してモータ704a~704eを駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ704a~704eの速度は、それぞれのモータ駆動信号に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ704a~704eはブラシレスDC電動モータであってもよく、それぞれのモータ駆動信号は、モータ704a~704eの1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ708a~708eは、省略されてもよく、制御回路710がモータ駆動信号を直接生成してもよい。
【0125】
一態様では、制御回路710は、最初に、モータ704a~704eのそれぞれを、変位部材のストロークの第1の開ループ部分では開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間のロボット外科用器具700の応答に基づいて、制御回路710は、閉ループ構成の発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ704a~704eのうちの1つに提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられてもよい。開ループ部分の後で、制御回路710は、変位部材ストロークの第2の部分に対して選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路710は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ704a~704eのうちの1つを閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。
【0126】
一態様では、モータ704a~704eは、エネルギー源712から電力を受け取ってもよい。エネルギー源712は、主交流電源、電池、超コンデンサ、又は任意の他の好適なエネルギー源によって駆動されるDC電源であってもよい。モータ704a~704eは、それぞれの伝達機構706a~706eを介して、Iビーム714、アンビル716、シャフト740、関節運動部742a、及び関節運動部742bなどの個々の可動機械的要素に機械的に連結されてもよい。伝達装置706a~706eは、モータ704a~704eを可動機械的要素に連結するための1つ以上のギア又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を感知してもよい。位置センサ734は、Iビーム714の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよいか、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ734は、Iビーム714が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路710に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路710は、パルスを追跡してIビーム714の位置を判定してもよい。例えば、近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム714の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ734は、省略されてもよい。モータ704a~704eのいずれかがステップモータである場合、制御回路710は、モータ704が実行するように指示されたステップの数及び向きを合計することによって、Iビーム714の位置を追跡してもよい。位置センサ734は、エンドエフェクタ702内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。モータ704a~704eのそれぞれの出力は、力を感知するためのトルクセンサ744a~744eを含み、駆動シャフトの回転を感知するエンコーダを有する。
【0127】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のIビーム714部分などの発射部材を駆動するように構成されている。制御回路710はモータ制御部708aにモータ設定値を提供し、モータ制御部708aはモータ704aに駆動信号を提供する。モータ704aの出力シャフトは、トルクセンサ744aに連結される。トルクセンサ744aは、Iビーム714に連結された伝達装置706aに連結される。伝達機構706aは、エンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って遠位方向及び近位方向へのIビーム714の移動を制御するための回転要素及び発射部材などの可動機械的要素を備える。一態様では、モータ704aは、第1のナイフ駆動ギア及び第2のナイフ駆動ギアを含むナイフギア減速セットを含むナイフギアアセンブリに連結されてもよい。トルクセンサ744aは、制御回路710に発射力フィードバック信号を提供する。発射力信号は、Iビーム714を発射又は変位させるために必要な力を表す。位置センサ734は、発射ストロークに沿ったIビーム714の位置又は発射部材の位置を、フィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702は、制御回路710にフィードバック信号を提供するように構成された追加のセンサ738を含んでもよい。使用準備が整ったら、制御回路710は、モータ制御部708aに発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ704aは、発射部材をエンドエフェクタ702の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動してもよい。発射部材が遠位に並進すると、遠位端に位置付けられた切断要素を備えるIビーム714は、遠位に前進して、ステープルカートリッジ718とアンビル716との間に位置する組織を切断する。
【0128】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702のアンビル716などの閉鎖部材を駆動するように構成されている。制御回路710は、モータ704bに駆動信号を提供するモータ制御部708bにモータ設定値を提供する。モータ704bの出力シャフトは、トルクセンサ744bに連結される。トルクセンサ744bは、シャフト716に連結された伝達装置706bに連結される。伝達機構706bは、開放位置及び閉位置からのアンビル716の移動を制御するための回転要素及び閉鎖部材などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704bは、閉鎖スパーギアと噛合係合して支持される閉鎖減速ギアセットを含む閉鎖ギアアセンブリに連結される。トルクセンサ744bは、制御回路710に閉鎖力フィードバック信号を提供する。閉鎖力フィードバック信号は、アンビル716に加えられる閉鎖力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。エンドエフェクタ702内の追加のセンサ738は、閉鎖力フィードバック信号を制御回路710に提供してもよい。枢動可能なアンビル716は、ステープルカートリッジ718の反対側に位置付けられる。使用準備が整うと、制御回路710は、モータ制御部708bに閉鎖信号を提供してもよい。閉鎖信号に応答して、モータ704bは、閉鎖部材を前進させて、クランプアーム716とステープルカートリッジ718との間で組織を把持する。
【0129】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を回転させるためにシャフト740などのシャフト部材を回転させるように構成されている。制御回路710は、モータ704cに駆動信号を提供するモータ制御部708cにモータ設定値を提供する。モータ704cの出力シャフトは、トルクセンサ744cに連結される。トルクセンサ744cは、シャフト740に連結された伝達装置706cに連結される。伝達機構706cは、シャフト740の時計回り又は反時計回りの回転を最大360°まで及び360°を超えて制御するために回転要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704cは、ツール装着プレート上に動作可能に支持された回転ギアアセンブリによって動作可能に係合されるように、近位閉鎖管の近位端上に形成された(又はこれに取り付けられた)管状ギアセグメントを含む回転伝達装置アセンブリに連結される。トルクセンサ744cは、制御回路710に回転力フィードバック信号を提供する。回転力フィードバック信号は、シャフト740に加えられる回転力を表す。位置センサ734は、閉鎖部材の位置をフィードバック信号として制御回路710に提供するように構成されてもよい。シャフトエンコーダなどの追加のセンサ738が、シャフト740の回転位置を制御回路710に提供してもよい。
【0130】
一態様では、制御回路710は、エンドエフェクタ702を関節運動させるように構成されている。制御回路710は、モータ704dに駆動信号を提供するモータ制御部708dにモータ設定値を提供する。モータ704dの出力シャフトは、トルクセンサ744dに連結される。トルクセンサ744dは、関節運動部材742aに連結された伝達装置706dに連結される。伝達機構706dは、エンドエフェクタ702の関節運動部を±65°で制御するための関節運動要素などの可動機械的要素を含む。一態様では、モータ704dは、関節運動ナットに連結され、関節運動ナットは、遠位スパイン部分の近位端部分上で回転可能に軸支され、遠位スパイン部分の近位端部分上で関節運動アセンブリによって回転可能に駆動される。トルクセンサ744dは、制御回路710に関節運動力フィードバック信号を提供する。関節運動力フィードバック信号は、エンドエフェクタ702に加えられる関節運動力を表す。関節運動エンコーダなどのセンサ738は、エンドエフェクタ702の関節運動位置を制御回路710に提供してもよい。
【0131】
別の態様では、ロボット外科システム700の関節運動機能は、2つの関節運動部材、又は連結部742a、742bを含んでもよい。これらの関節運動部材742a、742bは、2つのモータ708d、708eによって駆動されるロボットインターフェース(ラック)上の個別のディスクによって駆動される。個別の発射モータ704aが提供されると、ヘッドが運動していないときにヘッドに抵抗保持運動及び負荷を提供するために、かつヘッドが関節運動しているときに関節運動を提供するために、関節運動連結部742a、742bのそれぞれは、他の連結部に対して拮抗的に駆動することができる。関節運動部材742a、742bは、ヘッドが回転するときに固定された半径でヘッドに取り付けられる。したがって、ヘッドが回転すると、プッシュプル連結部の機械効率は変化する。この機械効率の変化は、他の関節運動連結部の駆動システムでより顕著であってもよい。
【0132】
一態様では、1つ以上のモータ704a~704eは、ギアボックス、及び発射部材、閉鎖部材、又は関節運動部材への機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータを備えてもよい。別の例としては、変位部材、関節運動連結部、閉鎖管、及びシャフトなどの可動機械的要素を動作させる電動モータ704a~704eが挙げられる。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電動モータ704a~704eの1つに反して作用する障害(drag)と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0133】
一態様では、位置センサ734は、絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。一態様では、位置センサ734は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備えてもよい。位置センサ734は、制御回路710と連係して絶対位置決めシステムを提供してもよい。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含んでもよい。
【0134】
一態様では、制御回路710は、1つ以上のセンサ738と通信してもよい。センサ738は、エンドエフェクタ702上に位置付けられ、ロボット外科用器具700と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な導出パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ738は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、ロードセル、圧力センサ、力センサ、トルクセンサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ702の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ738は、1つ以上のセンサを含んでもよい。センサ738は、分割された電極を使用して組織の位置を決定するために、ステープルカートリッジ718のデッキ上に配置されてもよい。トルクセンサ744a~744eは、とりわけ、発射力、閉鎖力、及び/又は関節運動力などの力を感知するように構成されてもよい。したがって、制御回路710は、(1)遠位閉鎖管によって経験される閉鎖負荷及びその位置、(2)ラックにある発射部材及びその位置、(3)超音波ブレード718のどの部分がその上に組織を有しているか、及び(4)両方の関節運動ロッド上の負荷及び位置を感知することができる。
【0135】
一態様では、1つ以上のセンサ738は、把持状態の間のアンビル716における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ738は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0136】
一態様では、センサ738は、とりわけ、1つ以上のリミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、磁気抵抗(MR)装置、巨大磁気抵抗(GMR)装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチとして実装されてもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ738は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0137】
一態様では、センサ738は、閉鎖駆動システムによってアンビル716に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ以上のセンサ738は、閉鎖管によってアンビル716に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル716との間の相互作用点に位置することができる。アンビル716に対して及ぼされる力は、アンビル716とステープルカートリッジ718との間に捕捉された組織切片によって経験される組織圧縮を表すことができる。1つ以上のセンサ738を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に位置付けて、閉鎖駆動システムによりアンビル716に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ738は、制御回路710のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路710は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供かつ分析し、クランプアーム716に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0138】
一態様では、電流センサ736を用いて、モータ704a~704eのそれぞれによって引き込まれる電流を測定することができる。Iビーム714などの可動機械的要素のいずれかを前進させるのに必要な力は、モータ704a~704eのうちの1つによって引き込まれる電流に対応する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路710に提供される。制御回路710は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ702内のIビーム714を目標速度で又は目標速度付近で移動させることができる。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PIDコントローラ、状態フィードバックコントローラ、線形二次(LQR)コントローラ、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであり得る。ロボット外科用器具700は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月29日出願の「CLOSED LOOP VELOCITY CONTROL TECHNIQUES FOR ROBOTIC SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/636,829号に開示されている。
【0139】
図18は、本開示の一態様による、変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた外科用器具750のブロック図を示す。一態様では、外科用器具750は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具750は、アンビル766、Iビーム764(鋭い切断縁部を含む)、及び取り外し可能なステープルカートリッジ768を備えてもよいエンドエフェクタ752を備える。
【0140】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ機構、及び位置センサ784によって測定することができる。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成することができる。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えば、Iビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ回路781は、経過時間又はデジタルカウントなど出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ回路781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0141】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの例では、モータ754は、ブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0142】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受容してもよい。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、若しくは任意の他の好適なエネルギー源であってもよいか、又はそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結されてもよい。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知してもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよくいか、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は、省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータ754が実行するように指示されたステップの数及び方向を合計することによって、Iビーム764の位置を追跡してもよい。位置センサ784は、エンドエフェクタ752内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0143】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信してもよい。センサ788は、エンドエフェクタ752上に位置付けられ、外科用器具750と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な誘導パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ752の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0144】
1つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0145】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置することができる。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すことができる。1つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に位置付けて、閉鎖駆動システムによってアンビル766に加えられた閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサによるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供かつ分析し、クランプアーム766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0146】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0147】
制御回路760は、器具の実際のシステムの応答をコントローラのソフトウェアでシミュレートするように構成することができる。変位部材を作動させて、エンドエフェクタ752内のIビーム764を目標速度で又は目標速度付近で移動させることができる。外科用器具750は、フィードバックコントローラを含むことができ、フィードバックコントローラは、例えば、PID、状態フィードバック、LQR、及び/又は適応コントローラが挙げられるがこれらに限定されない任意のフィードバックコントローラのうちのいずれか1つであり得る。外科用器具750は、フィードバックコントローラからの信号を、例えば、ケース電圧、PWM電圧、周波数変調電圧、電流、トルク、及び/又は力などの物理的入力に変換するための電源を含むことができる。
【0148】
外科用器具750の実際の駆動システムは、ギアボックス、並びに関節運動部及び/又はナイフシステムへの機械的連結部を備えるブラシ付きDCモータによって、変位部材、切断部材、又はIビーム764を駆動するように構成されている。別の例は、交換式シャフトアセンブリの、例えば、変位部材及び関節運動駆動部を操作する電気モータ754である。外部影響とは、組織、周囲体、及び物理系上の摩擦などのものの、測定されていない予測不可能な影響である。こうした外部影響は、電気モータ754に反して作用する障害と呼ばれることがある。障害などの外部影響は、物理系の動作を物理系の所望の動作から逸脱させることがある。
【0149】
様々な例示的態様は、モータ駆動の外科用ステープル留め及び切断手段を有するエンドエフェクタ752を備える外科用器具750を対象とする。例えば、モータ754は、エンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って遠位及び近位に変位部材を駆動してもよい。エンドエフェクタ752は、枢動可能なアンビル766と、使用のために構成される場合は、アンビル766の反対側に位置付けられたステープルカートリッジ768と、を備えてもよい。臨床医は、本明細書に記載されるように、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に組織を把持してもよい。器具750を使用する準備が整った場合、臨床医は、例えば、器具750のトリガを押すことによって発射信号を提供してもよい。発射信号に応答して、モータ754は、変位部材をエンドエフェクタ752の長手方向軸線に沿って、近位のストローク開始位置からストローク開始位置の遠位にあるストローク終了位置まで遠位方向に駆動してもよい。変位部材が遠位方向に並進するにつれて、遠位端に位置付けられた切断要素を有するIビーム764は、ステープルカートリッジ768とアンビル766との間の組織を切断してもよい。
【0150】
様々な実施例で、外科用器具750は、1つ以上の組織状態に基づいて、例えば、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされた制御回路760を備えてもよい。制御回路760は、本明細書に説明されるように、直接的又は間接的のいずれかで厚さなどの組織状態を感知するようにプログラムされてもよい。制御回路760は、組織状態に基づいて発射制御プログラムを選択するようにプログラムされてもよい。発射制御プログラムは、変位部材の遠位運動を記述することができる。様々な組織状態をより良好に処理するために様々な発射制御プログラムを選択することができる。例えば、より厚い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより低速で、かつ/又はより低電力で並進させるようにプログラムされてもよい。より薄い組織が存在する場合、制御回路760は、変位部材をより高速で、かつ/又はより高電力で並進させるようにプログラムされてもよい。
【0151】
いくつかの実施例では、制御回路760は、最初に、モータ754を、変位部材のストロークの第1の開ループ部分に対する開ループ構成で動作させてもよい。ストロークの開ループ部分の間の器具750の応答に基づいて、制御回路760は、発射制御プログラムを選択してもよい。器具の応答としては、開ループ部分の間の変位部材の並進距離、開ループ部分の間に経過する時間、開ループ部分の間にモータ754に提供されるエネルギー、モータ駆動信号のパルス幅の合計などが挙げられてもよい。開ループ部分の後、制御回路760は、変位部材ストロークの第2の部分に対して、選択された発射制御プログラムを実施してもよい。例えば、ストロークの閉ループ部分の間、制御回路760は、変位部材の位置を記述する並進データに基づいてモータ754を閉ループ式に変調して、変位部材を一定速度で並進させてもよい。更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年9月29日出願の「SYSTEM AND METHODS FOR CONTROLLING A DISPLAY OF A SURGICAL INSTRUMENT」と題する米国特許出願第15/720,852号に開示されている。
【0152】
図19は、本開示の一態様による、様々な機能を制御するように構成された外科用器具790の概略図である。一態様では、外科用器具790は、Iビーム764などの変位部材の遠位並進を制御するようにプログラムされる。外科用器具790は、アンビル766と、Iビーム764と、RFカートリッジ796(破線で示す)と交換してもよい取り外し可能なステープルカートリッジ768と、を備えてもよいエンドエフェクタ792を備える。
【0153】
一態様では、センサ788は、とりわけ、リミットスイッチ、電気機械装置、固体スイッチ、ホール効果装置、MR装置、GMR装置、磁力計として実装されてもよい。他の実装形態では、センサ638は、とりわけ光センサ、IRセンサ、紫外線センサなどの光の影響下で動作する固体スイッチであってもよい。更に、スイッチは、トランジスタ(例えば、FET、接合FET、MOSFET、双極など)などの固体装置であってもよい。他の実装形態では、センサ788は、とりわけ、導電体非含有スイッチ、超音波スイッチ、加速度計、及び慣性センサを含んでもよい。
【0154】
一態様では、位置センサ784は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装される磁気回転絶対位置決めシステムを備える絶対位置決めシステムとして実装されてもよい。位置センサ784は、制御回路760と連係して絶対位置決めシステムを提供してもよい。位置は、磁石の上方に位置し、加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔かつ効率的なアルゴリズムを実装するために設けられた、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られるCORDICプロセッサに連結された、複数のホール効果素子を含んでもよい。
【0155】
一態様では、Iビーム764は、上に組織切断刃を動作可能に支持するナイフ本体を備えるナイフ部材として実装されてもよく、アンビル係合タブ又は特徴部及び通路係合特徴部又は足部を更に含んでもよい。一態様では、ステープルカートリッジ768は、標準的な(機械的)外科用締結具カートリッジとして実装されてもよい。一態様では、RFカートリッジ796は、RFカートリッジとして実装されてもよい。これらのセンサ構成及び他のセンサ構成は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」)と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されている。
【0156】
Iビーム764などの直線変位部材の位置、移動、変位、及び/又は並進は、絶対位置決めシステム、センサ構成、及び位置センサ784として表される位置センサによって測定することができる。Iビーム764が長手方向に移動可能な駆動部材に連結されているため、Iビーム764の位置は、位置センサ784を使用する長手方向に移動可能な駆動部材の位置を測定することによって判定することができる。したがって、以下の説明では、Iビーム764の位置、変位、及び/又は並進は、本明細書に記載される位置センサ784によって達成することができる。制御回路760は、Iビーム764などの変位部材の並進を制御するようにプログラムされてもよい。いくつかの実施例では、制御回路760は、1つ以上のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、又はプロセッサ若しくは複数のプロセッサに、記載される方法で変位部材、例えば、Iビーム764を制御させる命令を実行するための他の好適なプロセッサを備えてもよい。一態様では、タイマー/カウンタ781は、経過時間又はデジタルカウントなどの出力信号を制御回路760に提供して、位置センサ784によって判定されたIビーム764の位置をタイマー/カウンタ781の出力と相関させ、その結果、制御回路760は、開始位置に対する特定の時間(t)におけるIビーム764の位置を判定することができる。タイマー/カウンタ781は、経過時間を測定するか、外部イベントを計数するか、又は外部イベントの時間を測定するように構成されてもよい。
【0157】
制御回路760は、モータ設定値信号772を生成してもよい。モータ設定値信号772は、モータコントローラ758に提供されてもよい。モータコントローラ758は、本明細書で説明するように、モータ754にモータ駆動信号774を提供してモータ754を駆動するように構成された1つ以上の回路を備えてもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシ付きDC電動モータであってもよい。例えば、モータ754の速度は、モータ駆動信号774に比例してもよい。いくつかの実施例では、モータ754は、ブラシレスDC電動モータであってもよく、モータ駆動信号774は、モータ754の1つ以上の固定子巻線に提供されるPWM信号を含んでもよい。また、いくつかの実施例では、モータコントローラ758は、省略されてもよく、制御回路760がモータ駆動信号774を直接生成してもよい。
【0158】
モータ754は、エネルギー源762から電力を受容してもよい。エネルギー源762は、電池、超コンデンサ、若しくは任意の他の好適なエネルギー源であってもよいか、又はそれを含んでもよい。モータ754は、伝達装置756を介してIビーム764に機械的に連結されてもよい。伝達装置756は、モータ754をIビーム764に連結するための1つ以上の歯車又は他の連結構成要素を含んでもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を感知してもよい。位置センサ784は、Iビーム764の位置を示す位置データを生成することができる任意の種類のセンサであってもよいか、又はそれを含んでもよい。いくつかの実施例では、位置センサ784は、Iビーム764が遠位及び近位に並進すると一連のパルスを制御回路760に提供するように構成されたエンコーダを含んでもよい。制御回路760は、パルスを追跡してIビーム764の位置を判定してもよい。例えば近接センサを含む他の好適な位置センサが使用されてもよい。他の種類の位置センサは、Iビーム764の運動を示す他の信号を提供してもよい。また、いくつかの実施例では、位置センサ784は、省略されてもよい。モータ754がステップモータである場合、制御回路760は、モータが実行するように指示されたステップの数及び向きを合計することによって、Iビーム764の位置を追跡してもよい。位置センサ784は、エンドエフェクタ792内、又は器具の任意の他の部分に位置してもよい。
【0159】
制御回路760は、1つ以上のセンサ788と通信してもよい。センサ788は、エンドエフェクタ792上に位置付けられ、外科用器具790と共に動作して、間隙距離対時間、組織圧縮対時間、及びアンビル歪み対時間などの様々な誘導パラメータを測定するように適合されてもよい。センサ788は、磁気センサ、磁界センサ、歪みゲージ、圧力センサ、力センサ、渦電流センサなどの誘導センサ、抵抗センサ、容量センサ、光学センサ、及び/又はエンドエフェクタ792の1つ以上のパラメータを測定するための任意の他の好適なセンサを備えてもよい。センサ788は、1つ以上のセンサを含んでもよい。
【0160】
1つ以上のセンサ788は、クランプ留め状態の間のアンビル766における歪みの大きさを測定するように構成された、微小歪みゲージなどの歪みゲージを備えてもよい。歪みゲージは、歪みの大きさに伴って振幅が変動する電気信号を提供する。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間で圧縮された組織の存在によって生成された圧力を検出するように構成された圧力センサを備えてもよい。センサ788は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に位置する組織部分のインピーダンスを検出するように構成されてもよく、このインピーダンスは、それらの間に位置する組織の厚さ及び/又は充満度を示す。
【0161】
センサ788は、閉鎖駆動システムにより、アンビル766上に及ぼされる力を測定するように構成されてもよい。例えば、1つ以上のセンサ788は、閉鎖管によってアンビル766に加えられる閉鎖力を検出するために、閉鎖管とアンビル766との間の相互作用点に位置することができる。アンビル766に対して及ぼされる力は、アンビル766とステープルカートリッジ768との間に捕捉された組織部分が経験する組織圧縮を表すことができる。1つ以上のセンサ788を、閉鎖駆動システムに沿って様々な相互作用点に位置付けて、閉鎖駆動システムによりアンビル766に加えられる閉鎖力を検出することができる。1つ以上のセンサ788は、制御回路760のプロセッサ部分によるクランプ動作中にリアルタイムでサンプリングされてもよい。制御回路760は、リアルタイムのサンプル測定値を受信して、時間ベースの情報を提供かつ分析し、クランプアーム766に加えられる閉鎖力をリアルタイムで評価する。
【0162】
モータ754によって引き込まれる電流を測定するために、電流センサ786を用いることができる。Iビーム764を前進させるのに必要な力は、モータ754によって引き込まれる電流に相当する。力はデジタル信号に変換されて、制御回路760に提供される。
【0163】
RFエネルギー源794は、エンドエフェクタ792に連結され、RFカートリッジ796が、ステープルカートリッジ768の代わりにエンドエフェクタ792にロードされるときに、RFカートリッジ796に印加される。制御回路760は、RFエネルギーのRFカートリッジ796への送達を制御する。
【0164】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年6月28日出願の「SURGICAL SYSTEM COUPLABLE WITH STAPLE CARTRIDGE AND RADIO FREQUENCY CARTRIDGE,AND METHOD OF USING SAME」と題する米国特許出願第15/636,096号に開示されている。
【0165】
発生器ハードウェア
図20は、他の利点の中でも、インダクタレス同調を提供するように構成された発生器800の簡略ブロック図である。発生器800の追加の詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2015年6月23日出願の「SURGICAL GENERATOR FOR ULTRASONIC AND ELECTROSURGICAL DEVICES」と題する米国特許第9,060,775号に記載されている。発生器800は、電力変圧器806を介して非絶縁段階804と通信する患者絶縁段階802を含んでもよい。電力変圧器の二次巻線808は、絶縁段階802内に収容され、例えば、超音波外科用器具、RF電気外科用器具、並びに単独又は同時に送達可能な超音波及びRFエネルギーモードを含む多機能型外科用器具などの様々な外科用器具に駆動信号を送達するために駆動信号出力部810a、810b、810cを画定するためのタップ構成(例えば、センタータップ又は非センタータップ構成)を備えてもよい。具体的には、駆動信号出力部810a、810cは、超音波駆動信号(例えば、420Vの二乗平均根(RMS)駆動信号)を超音波外科用器具104に出力してもよく、駆動信号出力部810b、810cは、電力変圧器806のセンタータップに対応する駆動出力部810bにより、電気外科用駆動信号(例えば、100VのRMS駆動信号)をRF電気外科用器具に出力してもよい。
【0166】
特定の形態では、超音波及び電気外科用の駆動信号は、別個の外科用器具に、及び/又は超音波エネルギー及び電気外科用エネルギーの両方を組織に送達する能力を有する、多機能外科用器具などの単一の外科用器具に、同時に供給されてもよい。専用の電気外科用器具及び/又は複合多機能超音波/電気外科用器具のどちらかへと提供される電気外科用信号は、治療用又は治療量以下のレベルの信号のどちらかであり、治療量以下の信号は、例えば、組織又は器具状態をモニタして、発生器へとフィードバックを提供することに使用することができる、と理解されよう。例えば、超音波及びRF信号は、以下でより詳細に論じられるように、所望の出力信号を外科用器具に提供するために、単一の出力ポートを有する発生器から別個に又は同時に送達することができる。したがって、発生器は、超音波エネルギー及び電気外科用RFエネルギーを組み合わせて、複合エネルギーを多機能超音波/電気外科用器具に送達することができる。双極電極は、エンドエフェクタの一方又は両方のジョーの上に配置することができる。一方のジョーは、同時に働く、電気外科用RFエネルギーに加えて超音波エネルギーによって駆動されてもよい。超音波エネルギーが組織を切開するために用いられてもよい一方で、電気外科用RFエネルギーは、血管封止に用いられてもよい。
【0167】
非絶縁段階804は、電力変圧器806の一次巻線814に接続された出力部を有する電力増幅器812を含んでもよい。特定の形態では、電力増幅器812は、プッシュプル増幅器を含んでもよい。例えば、非絶縁段階804は、対応するアナログ信号を電力増幅器812の入力に続いて供給するデジタル-アナログ変換器(DAC)回路818に、デジタル出力を供給するための論理装置816を更に含んでもよい。特定の形態では、論理装置816は、様々な論理回路の中でも特に、例えば、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、FPGA、プログラマブル論理装置(PLD)を含んでもよい。したがって、論理装置816は、DAC回路818を介して電力増幅器812の入力を制御することにより、駆動信号入力部810a、810b、810cで出現する駆動信号の多くのパラメータ(例えば、周波数、波形、波形振幅)のうちのいずれかを、制御してもよい。特定の形態では、また以下で説明するように、プログラム可能な論理機構816、プロセッサ(例えば、以下で説明するDSP)と共に、多くのDSPベースの制御アルゴリズム及び/又はその他の制御アルゴリズムを実行して、発生器800によって出力される駆動信号のパラメータを制御してもよい。
【0168】
電力は、スイッチモードレギュレータ820、例えば、電力変換装置によって、電力増幅器812の電力レールに供給されてもよい。特定の形態では、スイッチモードレギュレータ820は、例えば、調整可能なバックレギュレータを含んでもよい。非絶縁段階804は、第1のプロセッサ822を更に含んでもよく、第1のプロセッサ822は、一形態では、例えば、Analog Devices(Norwood,MA)から入手可能なAnalog Devices ADSP-21469 SHARC DSPなどのDSPプロセッサを含んでもよいが、様々な形態において、任意の好適なプロセッサが使用されてもよい。特定の形態では、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812からDSPプロセッサ822がADC回路824を介して受信する、電圧フィードバックデータに応答するスイッチ-モードレギュレータ820の動作を制御してもよい。一形態では、例えば、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812によって増幅された信号(例えば、RF信号)の波形エンベロープを、ADC回路824を介して入力として受信してもよい。次いで、DSPプロセッサ822は、電力増幅器812に供給されるレール電圧が、増幅された信号の波形エンベロープを追跡するように、スイッチ-モード調節器820(例えば、パルス幅変調(PWM)出力)を制御してもよい。波形エンベロープに基づいて、電力増幅器812のレール電圧を動的に変調することにより、電力増幅器812の効率は、固定レール電圧増幅器スキームに対して顕著に改善されてもよい。
【0169】
特定の形態では、論理装置816は、DSPプロセッサ822と共に、直接デジタルシンセサイザ制御スキームなどのデジタル合成回路を実装して、発生器800によって出力される駆動信号の波形形状、周波数及び/又は振幅を制御してもよい。一形態では、例えば、論理装置816は、FPGA内に埋め込まれてもよいRAM LUTなどの、動的に更新されるルックアップテーブル(LUT)内に記憶された波形サンプルを呼び出すことによって、DDS制御アルゴリズムを実装してもよい。この制御アルゴリズムは、超音波変換器などの超音波変換器が、その共振周波数における明瞭な正弦波電流によって駆動されてもよい超音波用途で特に有用である。他の周波数が寄生共振を励起する場合があるため、動作分岐電流の全歪みの最小化又は低減は、これに対応して望ましくない共振効果を最小化又は低減することができる。発生器800よって出力される駆動信号の波形は、出力駆動回路内に存在する様々な歪み源(例えば、電力変圧器806、電力増幅器812)によって影響されるため、駆動信号に基づく電圧及び電流フィードバックデータは、DSPプロセッサ822によって実行される誤差制御アルゴリズムなどのアルゴリズムに入力されてもよく、これは動的な、進行に応じたベース(例えば、リアルタイム)で、LUTに記憶された波形サンプルを好適に事前に歪ませる又は修正することによって、歪みを補償する。一形態では、LUTサンプルに加えられる予歪みの量又は程度は、計算された動作分岐電流と所望の電流波形との間の誤差に基づいてもよく、誤差は、サンプル毎に決定される。このようにして、予め歪ませたLUTサンプルは、駆動回路により処理される場合、超音波変換器を最適に駆動するために、所望の波形形状(例えば、正弦波)を有する動作ブランチ駆動信号を生じてもよい。そのような形態では、LUT波形サンプルは、したがって、駆動信号の所望の波形を表すのではなく、歪み効果を考慮した際の、動作分岐駆動信号の所望の波形を最終的に生成するために必要な波形を表す。
【0170】
非絶縁段階804は、発生器800によって出力される駆動信号の電圧及び電流をそれぞれサンプリングするために、それぞれの絶縁変圧器830、832を介して電力変圧器806の出力部に連結された第1のADC回路826及び第2のADC回路828を更に備えてもよい。特定の形態では、ADC回路826、828は、駆動信号のオーバーサンプリングを可能にするために、高速(例えば、毎秒80メガサンプル(MSPS))でサンプリングするように構成されてもよい。一形態では、例えば、ADC回路826、828のサンプリング速度は、(周波数に応じて)駆動信号のおよそ200倍のオーバーサンプリングを可能にしてもよい。特定の形態では、ADC回路826、828のサンプリング動作は、双方向マルチプレクサを介し、入力電圧及び電流信号を受信する単一のADC回路によって実施されてもよい。発生器800の形態での高速サンプリングの使用は、とりわけ、(上述のDDSベースの波形形状制御を実施するために、特定の形態で使用されてもよい)動作ブランチを通って流れる複素電流の計算、サンプリングされた信号の正確なデジタルフィルタリング、及び高精度での実電力消費の計算を可能にしてもよい。ADC回路826、828によって出力される電圧及び電流フィードバックデータは、論理装置816によって受信かつ処理されてもよく(例えば、先着順処理方式(FIFO)バッファ、マルチプレクサなど)、例えば、DSPプロセッサ822による、以後の読み出しのために、データメモリに記憶されてもよい。上記のように、電圧及び電流のフィードバックデータは、動的及び進行に応じたベースで、LUT波形サンプルを予め歪ませるか又は修正するための、アルゴリズムへの入力として使用されてもよい。特定の形態では、これは、電圧及び電流のフィードバックデータ対が得られる場合に、論理装置816によって出力された対応するLUTサンプルに基づき、又は別の方法でこれに関連して、記憶されたそれぞれの電圧及び電流のフィードバックデータ対が索引されることを必要としてもよい。この方法によるLUTサンプルと電圧及び電流のフィードバックデータとの同期は、予歪みアルゴリズムの正確なタイミング及び安定性に寄与する。
【0171】
特定の形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、駆動信号の周波数及び/又は振幅(例えば、電流振幅)を制御するために使用されてもよい。例えば、一形態では、電圧及び電流のフィードバックデータは、インピーダンス相を決定するために使用されてもよい。駆動信号の周波数はその後、判定されたインピーダンス相とインピーダンス相設定点(例えば、0°)との間の差を最小化又は低減するように制御されてもよく、したがって高調波歪みの効果を最小化又は低減し、これに対応してインピーダンス相測定正確性を向上させる。相インピーダンス及び周波数制御信号の決定は、例えば、DSPプロセッサ822に実装されてもよく、周波数制御信号は、論理装置816によって実装されるDDS制御アルゴリズムへの入力として供給される。
【0172】
別の形態では、例えば、電流のフィードバックデータは、駆動信号の電流振幅を電流振幅設定点で維持するために監視されてもよい。電流振幅設定値は、直接指定されてもよく、又は指定された電圧振幅及び電力設定値に基づいて間接的に判定されてもよい。特定の形態では、電流振幅の制御は、例えば、DSPプロセッサ822内の比例-積分-微分(PID)制御アルゴリズムといった、制御アルゴリズムによって実行されてもよい。駆動信号の電流振幅を好適に制御するために、制御アルゴリズムにより制御される変数には、例えば、論理装置816に記憶されるLUT波形サンプルのスケーリング、及び/又はDAC回路834を介した(電力増幅器812に入力を供給する)DAC回路818のフルスケール出力電圧が挙げられてもよい。
【0173】
非絶縁段階804は、とりわけ、ユーザインターフェース(UI)機能性を提供するために、第2のプロセッサ836を更に含んでもよい。一形態では、UIプロセッサ836は、例えば、Atmel Corporation(San Jose,CA)から入手可能な、ARM 926EJ-Sコアを有するAtmel AT91SAM9263プロセッサを含んでもよい。UIプロセッサ836によってサポートされるUI機能の例としては、聴覚的及び視覚的なユーザフィードバック、周辺装置との(例えば、USBインターフェースを介した)通信、フットスイッチとの通信、入力装置(例えば、タッチスクリーンディスプレイ)との通信、並びに出力装置(例えば、スピーカ)との通信を挙げることができる。UIプロセッサ836は、DSPプロセッサ822及び論理装置816と(例えば、SPIバスを介して)通信してもよい。UIプロセッサ836は、UI機能性を主にサポートしてもよいが、特定の形態では、UIプロセッサ836はまた、DSPプロセッサ822と協調して、危険の緩和を実現してもよい。例えば、UIプロセッサ836は、ユーザ入力及び/又は他の入力(例えば、タッチスクリーン入力、フットスイッチ入力、温度サンサ入力)の様々な態様を監視するようにプログラミングされてもよく、また誤った状態が検出される際に、発生器800の駆動出力を無効化してもよい。
【0174】
特定の形態では、DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836の両方は、例えば、発生器800の動作状態を判定かつ監視してもよい。DSPプロセッサ822に関し、発生器800の動作状態は、例えば、どの制御プロセス及び/又は診断プロセスがDSPプロセッサ822によって実行されるかを表してもよい。UIプロセッサ836に関し、発生器800の動作状態は、例えば、UI(例えば、ディスプレイスクリーン、音)のどの要素がユーザに提供されるかを表してもよい。DSPプロセッサ822及びUIプロセッサ836はそれぞれ、発生器800の現在の動作状態を別個に維持し、現在の動作状態からの可能な遷移を、認識かつ評価してもよい。DSPプロセッサ822は、この関係におけるマスターとして機能し、動作状態間の遷移が生じるときを決定してもよい。UIプロセッサ836は、動作状態間の有効な遷移を認識してもよく、また特定の遷移が適切であるかを確認してもよい。例えば、DSPプロセッサ822が、UIプロセッサ836に特定の状態へと遷移するように命令すると、UIプロセッサ836は、要求される遷移が有効であることを確認してもよい。要求される状態間の遷移がUIプロセッサ836によって無効であると判定される場合、UIプロセッサ836は、発生器800を故障モードにしてもよい。
【0175】
非絶縁段階804は、入力装置を監視するためのコントローラ838(例えば、発生器800をオン及びオフするために使用される静電容量式タッチセンサ、静電容量式タッチスクリーン)を更に含んでもよい。特定の形態では、コントローラ838は、少なくとも1つのプロセッサ及び/又はUIプロセッサ836と通信する他のコントローラ装置を含んでもよい。一形態では、例えば、コントローラ838は、1つ以上の容量性タッチセンサを介して提供されるユーザ入力を監視するように構成されたプロセッサ(例えば、Atmelから入手可能なMeg168 8ビットコントローラ)を含んでもよい。一形態では、コントローラ838は、容量性タッチスクリーンからのタッチデータの取得を制御及び管理するための、タッチスクリーンコントローラ(例えば、Atmelから入手可能なQT5480タッチスクリーンコントローラ)を含んでもよい。
【0176】
特定の形態では、発生器800が「電力オフ」状態にあるとき、コントローラ838は、(例えば、後述の電源854などの、発生器800の電源からのラインを介して)動作電力を受信し続けてもよい。このようにして、コントローラ838は、発生器800をオンオフするための入力装置2150(例えば、発生器800の前側パネルに配置された静電容量式タッチセンサ)を監視し続けてもよい。発生器800が電源オフ状態にあるとき、コントローラ838は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動が検出されれば、電源を起動してもよい(例えば、電源854の1つ以上のDC/DC電圧変圧器856の動作を有効にできる)。したがって、コントローラ838は、発生器800を「電源オン」状態に移行させるためのシーケンスを開始してもよい。逆に、発生器800が電源オン状態にあるときに「オン/オフ」入力装置の起動が検出されれば、コントローラ838は発生器800を電源オフ状態に遷移させるためのシーケンスを開始してもよい。例えば、特定の形態では、コントローラ838は、「オン/オフ」入力装置の起動をUIプロセッサ836に報告してもよく、これは、順次、発生器800の切断状態への遷移のために必要なプロセスシーケンスを実行する。このような形態では、コントローラ838は、発生器800の電源オン状態が確立された後に、発生器800から電力を排除するための別個の能力を有しないことがある。
【0177】
特定の形態では、コントローラ838は、ユーザに電源オンシーケンス又は電源オフシーケンスが開始されたことを警告するために、発生器800に可聴又は他の感覚的フィードバックを提供させてもよい。そのような警告は、電源オン又は電源オフシーケンスの開始時、及びシーケンスと関連する他のプロセスの開始前に提供されてもよい。
【0178】
特定の形態では、絶縁段階802は、例えば、外科用器具の制御回路(例えば、ハンドピーススイッチを含む制御回路)と、例えば、論理装置816、DSPプロセッサ822及び/又はUIプロセッサ836などの非絶縁段階804の構成要素との間の、通信インターフェースを提供するために、器具インターフェース回路840を含んでもよい。器具インターフェース回路840は、例えば、IRベースの通信リンクなどの、絶縁段階802と非絶縁段階804との間の好適な度合いの電気的絶縁を維持する通信リンクを介し、非絶縁段階804の構成要素と情報を交換してもよい。例えば、非絶縁段階804から駆動される絶縁変圧器によって電力供給される低ドロップアウト電圧レギュレータを使用して、器具インターフェース回路840に電力を供給することができる。
【0179】
一形態では、器具インターフェース回路840は、信号調整回路844と通信している論理装置842(例えば、論理回路、プログラマブルロジック回路、PGA、FPGA、PLD)を含んでもよい。信号調整回路844は、同一の周波数を有する双極呼掛け信号を生成するために、論理装置842から周期信号(例えば、2kHz方形波)を受信するように構成されてもよい。呼掛け信号は、例えば、差動増幅器によって供給される双極電流源を使用して発生させることができる。呼掛け信号は、(例えば、発生器800を外科用装置に接続するケーブル内の導電ペアを使用して)外科用装置制御回路に通信され、制御回路の状態又は構成を判定するために監視されてもよい。制御回路は、多数のスイッチ、抵抗器、及び/又はダイオードを含んでもよく、制御回路の状態又は構成が1つ以上の特性に基づいて個別に識別可能であるように、呼掛け信号の1つ以上の特性(例えば、振幅、整流)を修正してもよい。例えば、一形態では、信号調整回路844は、呼掛け信号が通過する経路から生じる制御回路の入力にわたって出現する電圧信号のサンプルを生成するために、ADC回路を含んでもよい。次いで、論理回路842(又は非絶縁段階804の構成要素)は、ADC回路サンプルに基づく制御回路の状態又は構成を決定してもよい。
【0180】
一形態では、器具インターフェース回路840は、第1のデータ回路インターフェース846を含んで、論理回路842(又は器具インターフェース回路840のその他の要素)と、外科用器具内に配設されるか又は別の方法で関連付けられた第1のデータ回路と、の間の情報交換を可能にしてもよい。特定の形態では、例えば、第1のデータ回路は、発生器800を有する特定の外科用器具タイプ又はモデルとインターフェース接続させるために、外科用器具ハンドピースに一体的に取り付けられたケーブル内、又はアダプタ内に配設されてもよい。第1のデータ回路は、任意の好適な方法で実装されてもよく、例えば、第1のデータ回路に関して本明細書に記載されたものを含む任意の好適なプロトコルに従って、発生器と通信してもよい。特定の形態では、第1のデータ回路は、EEPROMデバイスなどの、不揮発性記憶デバイスを含んでもよい。特定の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842とは別個に実施されてもよく、また好適な回路(例えば、別個の論理装置、プロセッサ)を含み、論理回路842と第1のデータ回路との間の通信を可能にしてもよい。その他の形態では、第1のデータ回路インターフェース846は、論理回路842と一体であってもよい。
【0181】
特定の形態では、第1のデータ回路2006は、第1のデータ回路が関連している特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他のタイプの情報を含むことができる。この情報は、器具インターフェース回路840によって(例えば、ロジック装置842によって)読み出され、出力装置を介したユーザへの提供のため、及び/又は発生器800の機能又は動作の制御のために、非絶縁段階804の構成要素(例えば、ロジック装置816、DSPプロセッサ822、及び/又はUIプロセッサ836)に通信されてもよい。加えて、任意の種類の情報を、(例えば、論理回路842を使用して)第1のデータ回路インターフェース846を介して内部に記憶させるために、第1のデータ回路に通信されてもよい。そのような情報は、例えば、外科用器具が使用された最新の手術数並びに/又はその使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。
【0182】
上記のように、外科用器具は、器具の互換性及び/又は廃棄性を促進するために、ハンドピースから取り外し可能であってもよい(例えば、多機能外科用器具は、ハンドピースから取り外し可能であってもよい)。そのような場合、従来の発生器は、使用されている特定の器具構成を認識し、これに対応して制御及び診断プロセスを最適化する能力が制限されている場合がある。しかし、この問題に対処するために、外科用器具に読み取り可能なデータ回路を追加することは、適合性の観点から問題がある。例えば、必要なデータ読み取り機能性を欠く発生器との後方互換性を保つように外科用器具を設計することは、例えば、異なる信号スキーム、設計複雑性及びコストのために、実用的でない場合がある。本明細書で論じられる器具の形態は、既存の外科用器具に実装されてもよいデータ回路を経済的に使用し、外科用器具と最新の発生器プラットフォームとの適合性を維持するための設計変更を最小限にすることによってこれらの懸念に対処する。
【0183】
加えて、発生器800の形態は、器具ベースのデータ回路との通信を可能にしてもよい。例えば、発生器800は、器具(例えば、多機能外科用器具)内に収容される第2のデータ回路と通信するように構成されてもよい。いくつかの形態では、第2のデータ回路は、本明細書に記載される第1のデータ回路の形態と類似した多くの形態に実装される。器具インターフェース回路840は、この通信を可能にする第2のデータ回路インターフェース848を含んでもよい。一形態では、第2のデータ回路インターフェース848は、トライステートデジタルインターフェースを含んでもよいが、他のインターフェースもまた使用されてもよい。ある特定の形態では、第2のデータ回路は、一般にデータを送信及び/又は受信するための任意の回路であってもよい。一形態では、例えば、第2のデータ回路は、第2のデータ回路が関連付けられた特定の外科用器具に関する情報を記憶してもよい。そのような情報は、例えば、モデル番号、シリアル番号、外科用器具が使用された動作数、及び/又は任意の他のタイプの情報を含んでもよい。
【0184】
いくつかの形態では、第2のデータ回路は、関連するトランスデューサ、エンドエフェクタ、又は超音波駆動システムの電気的及び/又は超音波的特性に関する情報を記憶してもよい。例えば、第1のデータ回路は、本明細書に記載されたように、バーンイン周波数スロープを示してもよい。追加的に又は代替的に、(例えば、論理回路842を使用して)第2のデータ回路インターフェース848を介して内部に記憶させるために、第2のデータ回路に任意の種類の情報を通信してもよい。そのような情報は例えば、器具が使用された最新の動作数、並びに/又は、その使用の日付及び/若しくは時間を含んでもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、1つ以上のセンサ(例えば、器具ベースの温度センサ)によって取得されたデータを送信してもよい。特定の形態では、第2のデータ回路は、発生器800からデータを受信し、その受信したデータに基づいてユーザに指標(例えば、発光ダイオード指標又はその他の可視指標)を提供してもよい。
【0185】
特定の形態では、第2のデータ回路及び第2のデータ回路インターフェース848は、論理回路842と第2のデータ回路との間の通信が、この目的のための追加的な導体(例えば、ハンドピースを発生器800に接続するケーブルの専用導体)の提供を必要とせずにもたらすことができるように、構成されてもよい。一形態では、例えば、使用される導体のうちの1つが、信号調整回路844からハンドピース内の制御回路へ呼掛け信号を送信するなど、既存のケーブル配線上に実装されたワンワイヤバス通信方式を使用して、第2のデータ回路との間で情報を通信してもよい。このようにして、元来必要とされる場合がある外科用器具への設計変更又は修正は、最小化されるか又は低減される。更に、一般的な物理的チャネル上で実施される異なる種類の通信を周波数帯域分離することができるため、第2のデータ回路の存在は、必要なデータ読み取り機能を有しない発生器にとって「不可視」であり、したがって、外科用器具の後方互換性を可能にする。
【0186】
特定の形態では、絶縁段階802は、直流電流が患者を通るのを防ぐために、駆動信号出力部810bに接続された、少なくとも1つの阻止コンデンサ850-1を含んでもよい。単一のブロッキングコンデンサは、例えば、医学的規制又は基準に準拠することが必要とされる場合がある。単一コンデンサ設計における故障は比較的稀であるが、それでもなおそのような故障は否定的な結果をもたらす恐れがある。一形態では、第2の阻止コンデンサ850-2は、阻止コンデンサ850-1と直列で提供されてもよく、阻止コンデンサ850-1と850-2との間の点からの電流漏洩は、漏洩電流により誘発される電圧をサンプリングするためのADC回路852によって監視される。サンプルは、例えば、論理回路842によって受信されてもよい。発生器800は、(電圧サンプルによって示されるような)漏洩電流の変化に基づいて、阻止コンデンサ850-1、850-2のうちの少なくとも1つが故障したときを判定して、単一の故障点を有する単一コンデンサ設計に勝る利益を提供してもよい。
【0187】
特定の形態では、非絶縁段階804は、好適な電圧及び電流でDC電力を送達するための電源854を含んでもよい。電源は、例えば、48VDCシステム電圧を送達するための、400W電源を含んでもよい。電源854は、電源の出力を受信して発生器800の様々な構成要素によって必要とされる電圧及び電流でDC出力を生成するための1つ以上のDC/DC電圧変換器856を更に備えてもよい。コントローラ838と関連して上述したように、DC/DC電圧変換器856のうちの1つ以上は、ユーザによる「オン/オフ」入力装置の起動がコントローラ838によって検出されたときにコントローラ838から入力を受信し、DC/DC電圧変換器856の動作又は起動を可能にしてもよい。
【0188】
図21は、発生器800(
図20)の一形態である発生器900の例を示す。発生器900は、複数のエネルギーモダリティを外科用器具に送達するように構成されている。発生器900は、エネルギーを外科用器具に送達するためのRF信号及び超音波信号を単独で又は同時にのいずれかで提供する。RF信号及び超音波信号は、単独で、又は組み合わせて提供されてもよく、また同時に提供されてもよい。上述したように、少なくとも1つの発生器出力部は、単一のポートを通して複数のエネルギーモダリティ(例えば、とりわけ超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギー)を送達することができ、これらの信号は、組織を治療するために個別に又は同時にエンドエフェクタに送達することができる。
【0189】
発生器900は、波形発生器904に連結されたプロセッサ902を備える。プロセッサ902及び波形発生器904は、プロセッサ902に連結されたメモリに記憶された情報(開示を明瞭にするために示されず)に基づいて、様々な信号波形を発生するように構成されている。波形に関連するデジタル情報は、デジタル入力をアナログ出力に変換するために1つ以上のDAC回路を含む波形発生器904に提供される。アナログ出力は、信号調節及び増幅のために、増幅器1106に供給される。増幅器906の調節され増幅された出力は、電力変圧器908に連結される。信号は、電力変圧器908を横断して患者絶縁側にある二次側に連結される。第1のエネルギーモダリティの第1の信号は、ENERGY1及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。第2のエネルギーモダリティの第2の信号は、コンデンサ910にわたって連結され、ENERGY2及びRETURNとラベルされた端子間の外科用器具に提供される。2つを超えるエネルギーモダリティが出力されてもよく、したがって添え字「n」は、最大n個のENERGYn端子が提供される場合ことを表示するために使用してもよく、このnは、1超の正の整数であることが理解されよう。最大「n」個のリターンパス(RETURNn)が、本開示の範囲から逸脱することなく提供されてもよいことも理解されよう。
【0190】
第1の電圧感知回路912は、ENERGY1及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。第2の電圧感知回路924は、ENERGY2及びRETURNパスとラベルされた端子にわたって連結され、それらの間の出力電圧を測定する。電流感知回路914は、いずれかのエネルギーモダリティの出力電流を測定するために、図示される電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配設される。異なるリターンパスが各エネルギーモダリティに対して提供される場合、別個の電流感知回路が、各リターン区間で提供されねばならない。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力が対応の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器918に提供される。電力変圧器908の一次側(非患者絶縁側)上における絶縁変圧器916、928、922の出力は、1つ以上のADC回路926に提供される。ADC回路926のデジタル化された出力は、更なる処理及び計算のためにプロセッサ902に提供される。出力電圧及び出力電流のフィードバック情報は、外科用器具に提供される出力電圧及び電流を調整するために、また様々なパラメータの中でも特に、出力インピーダンスを計算するために使用することができる。プロセッサ902と患者絶縁回路との間の入出力通信は、インターフェース回路920を通して提供される。センサもまた、インターフェース回路920を介してプロセッサ902と電気通信してもよい。
【0191】
一態様では、インピーダンスは、ENERGY1/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第1の電圧感知回路912又はENERGY2/RETURNとラベルされた端子にわたって連結された第2の電圧感知回路924を、電力変圧器908の二次側のRETURN区間と直列に配置された電流感知回路914の出力で割ることによって、プロセッサ902により決定されてもよい。第1の電圧感知回路912及び第2の電圧感知回路924の出力は、個別の絶縁変圧器916、922に提供され、電流感知回路914の出力は、別の絶縁変圧器916に提供される。ADC回路926からのデジタル化された電圧及び電流感知測定値は、インピーダンスを計算するためにプロセッサ902に提供される。一例として、第1のエネルギーモダリティENERGY1は、超音波エネルギーであってもよく、第2のエネルギーモダリティENERGY2は、RFエネルギーであってもよい。それでも、超音波エネルギーモダリティ及び双極又は単極RFエネルギーモダリティに加えて、他のエネルギーモダリティには、とりわけ、不可逆並びに/又は可逆電気穿孔法及び/若しくはマイクロ波エネルギーが挙げられる。また、
図21に例示された例は、単一のリターンパス(RETURN)が2つ以上のエネルギーモダリティに提供されてもよいことを示しているが、他の態様では、複数のリターンパスRETURNnが、それぞれのエネルギーモダリティENERGYnに提供されてもよい。したがって、本明細書に記載されるように、超音波変換器のインピーダンスは、第1の電圧感知回路912の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよく、組織のインピーダンスは、第2の電圧感知回路924の出力を電流感知回路914で割ることによって測定されてもよい。
【0192】
図21に示すように、少なくとも1つの出力ポートを含む発生器900は、実行される組織の処置の種類に応じて、電力を、例えば、とりわけ、超音波、双極若しくは単極RF、不可逆及び/若しくは可逆電気穿孔法、並びに/又はマイクロ波エネルギーなどの1つ以上のエネルギーモダリティの形態でエンドエフェクタに提供するために単一の出力部を有し、かつ複数のタップを有する電力変圧器908を含むことができる。例えば、発生器900は、単極又は双極RF電気外科用電極のいずれかを用いて、超音波変換器を駆動するために高電圧かつ低電流で、組織封止のためのRF電極を駆動するために低電圧かつ高電流で、又はスポット凝固のための凝固波形で、エネルギーを送達することができる。発生器900からの出力波形は、周波数を外科用器具のエンドエフェクタに提供するために、誘導、切り替え、又はフィルタリングすることができる。超音波トランスデューサの発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、
図21に示したENERGY1とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。一実施例では、RF双極電極の発生器900の出力部への接続部は、好ましくは、ENERGY2とラベルされた出力部とRETURNとラベルされた出力部との間に位置するであろう。単極出力の場合、好ましい接続部は、ENERGY2出力部及びRETURN出力部に接続された好適なリターンパッドへの活性電極(例えば、ペンシル型又は他のプローブ)であろう。
【0193】
更なる詳細は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR OPERATING GENERATOR FOR DIGITALLY GENERATING ELECTRICAL SIGNAL WAVEFORMS AND SURGICAL INSTRUMENTS」と題する2017年3月30日公開の米国特許出願公開第2017/0086914号に開示されている。
【0194】
本説明全体で使用される用語「無線」及びその派生語は、非固体媒体を介して変調電磁放射線の使用を通じてデータを通信してもよい回路、装置、システム、方法、技術、通信チャネルなどを説明するために使用されてもよい。この用語は、関連する装置がいかなる有線も含まないことを意味するものではないが、いくつかの態様では、それらは存在しない可能性がある。通信モジュールは、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリー)、WiMAX(IEEE802.16ファミリー)、IEEE802.20、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、Bluetooth、これらのイーサネット派生物、のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降と指定される任意の他の無線及び有線プロトコルが挙げられるがこれらに限定されない多数の無線又は有線通信規格又はプロトコルのうちのいずれかを実装してもよい。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetoothなどの短距離無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DOなどの長距離無線通信専用であってもよい。
【0195】
本明細書で使用するとき、プロセッサ又は処理ユニットは、いくつかの外部データソース、通常はメモリ又は何らかの他のデータストリーム上で動作を実行する電子回路である。この用語は、本明細書では、多くの専用「プロセッサ」を組み合わせたシステム又はコンピュータシステム(特にシステムオンチップ(SoC))内の中央プロセッサ(中央処理ユニット)を指すために使用される。
【0196】
本明細書で使用するとき、チップ上のシステム又はシステムオンチップ(SoC又はSOC)は、コンピュータ又は他の電子システムの全ての構成要素を統合する集積回路(「IC」又は「チップ」としても知られる)である。これは、デジタル、アナログ、混合信号、及び多くの場合は高周波数機能を、全て単一の基材上に含むことができる。SoCは、マイクロコントローラ(又はマイクロプロセッサ)を、グラフィックス処理ユニット(GPU)、Wi-Fiモジュール、又はコプロセッサなどの最新の周辺装置と統合する。SoCは、内蔵メモリを含んでもよく、含まなくてもよい。
【0197】
本明細書で使用するとき、マイクロコントローラ又はコントローラは、マイクロプロセッサを周辺回路及びメモリと統合するシステムである。マイクロコントローラ(又はマイクロコントローラユニットのMCU)は、単一の集積回路上の小型コンピュータとして実装されてもよい。これはSoCと同様であってもよく、SoCは、その構成要素の1つとしてマイクロコントローラを含んでもよい。マイクロコントローラは、1つ以上のコア処理ユニット(CPU)と共にメモリ及びプログラム可能な入出力周辺機器を収容してもよい。強誘電性のRAM、NORフラッシュ、又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ、及び少量のRAMもまた、チップ上に含まれることが多い。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途用に採用されてもよい。
【0198】
本明細書で使用するとき、コントローラ又はマイクロコントローラという用語は、周辺装置とインターフェースするスタンドアロンIC又はチップ装置であってもよい。これは、その装置の動作(及び装置との接続)を管理する外部装置上のコンピュータ又はコントローラの2つの部分間の連結部であってもよい。
【0199】
本明細書で説明されるプロセッサ又はマイクロコントローラはいずれも、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであってもよい。一態様では、プロセッサは、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、1つ以上のパルス幅変調(PWM)モジュール、1つ以上の直交エンコーダ入力(QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(ADC)を含む、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0200】
一態様では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラ系ファミリーを含む安全コントローラを含んでもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性、及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全機構を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0201】
モジュール式装置は、外科用ハブ内に受容可能な(例えば
図3及び
図9に関連して説明される)モジュールと、対応する外科用ハブと接続又はペアリングするために様々なモジュールに接続され得る外科用装置又は器具と、を含む。モジュール式装置としては、例えば、インテリジェント外科用器具、医療用撮像装置、吸引/灌注装置、排煙器、エネルギー発生器、ベンチレータ、吸入器、及びディスプレイが挙げられる。本明細書に記載されるモジュール式装置は、制御アルゴリズムによって制御することができる。制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体上で、特定のモジュール式装置がペアリングされる外科用ハブ上で、又はモジュール式装置及び外科用ハブの両方の上で(例えば、分散コンピューティングアーキテクチャを介して)、実行され得る。いくつかの例示では、モジュール式装置の制御アルゴリズムは、モジュール式装置自体によって(すなわち、モジュール式装置内の、モジュール式装置上の、又はモジュール式装置に接続されたセンサによって)感知されたデータに基づいて装置を制御する。このデータは、手術中の患者(例えば、組織特性又は注入圧)又はモジュール式装置自体(例えば、前進するナイフの速度、モータ電流、又はエネルギーレベル)に関連し得る。例えば、外科用ステープル留め及び切断器具の制御アルゴリズムは、ナイフが前進する際にナイフが遭遇する抵抗に基づき、器具のモータが組織を貫いてそのナイフを駆動させる速度を制御することができる。
【0202】
クラウドシステムハードウェア及び機能モジュール
図22は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムのブロック図である。一態様では、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボット装置、及び手術室又は医療施設を含む様々な外科用システムの動作に関するデータを監視及び分析するように構成される。コンピュータ実装インタラクティブ外科システムは、クラウドベースの分析システムを含む。クラウドベースの分析システムは、外科用システムとして記載されているが、必ずしもそのように限定されるものではなく、クラウドベースの医療システムであってもよい。
図22に示すように、クラウドベースの分析システムは、(器具112と同じ又は同様であってもよい)複数の外科用器具7012と、(ハブ106と同じ又は類似であってもよい)複数の外科用ハブ7006と、(ネットワーク201と同じ又は同様のものであってもよい)外科用データネットワーク7001は、(クラウド204と同じ又は同様であってもよい)クラウド7004に外科用ハブ7006を結合する。複数の外科用ハブ7006のそれぞれは、1つ以上の外科用器具7012に通信可能に連結される。ハブ7006はまた、ネットワーク7001を介してコンピュータ実装インタラクティブ外科システムのクラウド7004に通信可能に連結される。クラウド7004は、様々な外科用システムの動作に基づいて生成されたデータを記憶、操作、及び通信するためのハードウェア及びソフトウェアのリモートの集中型源である。
図22に示すように、クラウド7004へのアクセスは、インターネット又は何らかの他の好適なコンピュータネットワークであってもよいネットワーク7001を介して達成される。クラウド7004に結合される外科用ハブ7006は、クラウドコンピューティングシステムのクライアント側(すなわち、クラウドベースの分析システム)と見なすことができる。外科用器具7012は、本明細書に記載される様々な外科処置又は動作の制御及び実施のために、外科用ハブ7006とペアリングされている。
【0203】
加えて、外科用器具7012は、(送受信機もまた含んでもよい)対応する外科用ハブ7006へのデータ伝送、及び外科用ハブ7006からのデータ伝送のための送受信機を備えてもよい。外科用器具7012と対応するハブ7006との組み合わせは、医療手術を提供するための医療施設(例えば、病院)内の手術室などの、特定の位置を示してもよい。例えば、外科用ハブ7006のメモリは、位置データを記憶してもよい。
図22に示すように、クラウド7004は、(リモートサーバ7013と同じ又は同様であってもよい)中央サーバ7013、ハブアプリケーションサーバ7002、データ分析モジュール7034、及び入出力(「I/O」)インターフェース7006を含む。クラウド7004の中央サーバ7013は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理し、これは、クライアントモジュール7006による要求を監視し、リクエストを実行するためのクラウド7004の処理能力を管理することを含む。中央サーバ7013のそれぞれは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの揮発性メモリ及び磁気記憶装置などの不揮発性メモリを含むことができる、好適なメモリ装置7010に連結された1つ以上のプロセッサ7008を備える。メモリ装置7010は、実行されると、プロセッサ7008が、以下で説明するクラウドベースのデータ分析、動作、提案、及び他の動作のために、データ分析モジュール7034を実行させる、機械実行可能命令を含んでもよい。更に、プロセッサ7008は、ハブ7006によって独立して実行されるハブアプリケーションと独立して、又はハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール7034を実行することができる。中央サーバ7013はまた、メモリ2210内に常駐することができる集約された医療データデータベース2212を含む。
【0204】
ネットワーク7001を介した様々な外科用ハブ7006への接続に基づいて、クラウド7004は、様々な外科用器具7012及びそれらの対応するハブ7006によって生成された特定のデータからのデータを集約することができる。そのような集約されたデータは、クラウド7004の集約された医療データベース7012内に記憶されてもよい。具体的には、クラウド7004は、有利には、集約されたデータ上でデータ分析及び動作を実行して、個別のハブ7006がそれ自体で達成できない機能をもたらしてもよい。この目的のために、
図22に示すように、クラウド7004及び外科用ハブ7006は、情報を送受信するように通信可能に連結される。I/Oインターフェース7006は、ネットワーク7001を介して複数の外科用ハブ7006に接続される。このようにして、I/Oインターフェース7006は、外科用ハブ7006と集約された医療データデータベース7011との間で情報を転送するように構成することができる。したがって、I/Oインターフェース7006は、クラウドベースの分析システムの読み出し/書き込み操作を容易にしてもよい。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ7006からの要求に応じて実行されてもよい。これらの要求は、ハブアプリケーションを介してハブ7006に送信される場合がある。I/Oインターフェース7006は、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、IEEE1394ポート、並びにクラウド7004をハブ7006に接続するためのWi-Fi及びBluetooth I/Oインターフェースを含んでもよい1つ以上の高速データポートを含んでもよい。クラウド7004のハブアプリケーションサーバ7002は、外科ハブ7006によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)に共有機能をホストし、かつ供給するように構成されている。例えば、ハブアプリケーションサーバ7002は、ハブアプリケーションがハブアプリケーションによって作成された要求を管理して、集約された医療データデータベース7011へのアクセスを制御し、負荷バランス調整を実行してもよい。データ分析モジュール7034を、
図23を参照してより詳細に説明する。
【0205】
本開示に記載される特定のクラウドコンピューティングシステムの構成は、具体的には、外科用器具7012、112などの医療用装置を使用して実行される医療動作及び処置の文脈において生じる様々な問題に対処するように設計されている。特に、外科用器具7012は、外科手術の成績を改善するための技術を実施するために、クラウド7004と相互作用するように構成されたデジタル外科用装置であってもよい。様々な外科用器具7012及び/又は外科用ハブ7006は、臨床医が外科用器具7012とクラウド7004との間の相互作用の態様を制御してもよいように、タッチ制御されたユーザインターフェースを含んでもよい。聴覚的に制御されたユーザインターフェースなどの制御のための他の好適なユーザインターフェースもまた使用することもできる。
【0206】
図23は、本開示の少なくとも1つの態様による、コンピュータ実装インタラクティブ外科システムの機能アーキテクチャを示すブロック図である。クラウドベースの分析システムは、データ分析ソリューションを医療分野において具体的に生じる問題に提供するために、クラウド7004のプロセッサ7008によって実行されてもよい、複数のデータ分析モジュール7034を含む。
図23に示すように、クラウドベースのデータ分析モジュール7034の機能は、ハブアプリケーションサーバ7002によってホストされたハブアプリケーション7014を介して、外科ハブ7006に関してアクセスされてもよいハブアプリケーション7014を介して支援されてもよい。クラウドプロセッサ7008及びハブアプリケーション7014は、データ分析モジュール7034を実行するために連携して動作してもよい。アプリケーションプログラムインターフェース(API)7016は、ハブアプリケーション7014に対応する一連のプロトコル及びルーチンを定義する。加えて、API 7016は、アプリケーション7014の動作のために集約された医療データベース7012へのデータの記憶及び検索を管理する。キャッシュ7018はまた、データを(例えば、一時的に)記憶し、アプリケーション7014によって使用されるデータのより効率的な検索のためにAPI 7016に結合される。
図23のデータ分析モジュール7034は、資源最適化7020、データ収集及び集約7022、認可及びセキュリティ7024、制御プログラムの更新7026、患者転帰分析7028、提案7030、及びデータ分類及び優先順位付け7032のためのモジュールを含む。他の好適なデータ分析モジュールはまた、いくつかの態様により、クラウド7004によって実装される場合がある。一態様では、データ分析モジュールは、傾向、転帰、及び他のデータの分析に基づいて特定の提案に使用される。
【0207】
例えば、データ収集及び集約モジュール7022は、顕著な特徴又は構成(例えば、傾向)の識別、冗長データセットの管理、及び手術によってグループ化することができるが、必ずしも実際の外科手術日付及び外科医に一致していないペアリングされたデータセットへのデータの保存を含む、自己記述型データ(例えば、メタデータ)を生成するために使用される場合がある。具体的には、外科用器具7012の動作から生成される一対のデータセットは、例えば、出血又は非出血事象などのバイナリ分類を適用することを含むことができる。より一般的には、バイナリ分類は、望ましい事象(例えば、成功した外科処置)又は望ましくない事象(例えば、誤発射又は誤使用された外科用器具7012)のいずれかとして特徴付けられてもよい。集約された自己記述型データは、外科用ハブ7006の様々なグループ又はサブグループから受信された個々のデータに相当してもよい。したがって、データ収集及び集約モジュール7022は、外科用ハブ7006から受信した生データに基づいて、集約メタデータ又は他の編成されたデータを生成することができる。この目的のために、プロセッサ7008は、データ分析モジュール7034を実行するために、ハブアプリケーション7014及び集約された医療データデータベース7011に動作的に結合することができる。データ収集及び集約モジュール7022は、集約された編成済みデータを集約された医療データデータベース2212に記憶してもよい。
【0208】
資源最適化モジュール7020は、この集約されたデータを分析して、特定の医療施設又は医療施設のグループに関する資源の最適な使用を決定するように構成することができる。例えば、資源最適化モジュール7020は、そのような器具7012の対応する予測される要求に基づいて、医療施設のグループに関する外科用ステープラ7012の最適な順序点を決定してもよい。資源最適化モジュール7020はまた、資源使用を改善することができるかどうかを判定するために、様々な医療施設の資源使用又は他の動作構成を評価する場合があるであろう。同様に、提案モジュール7030は、データ収集及び集約モジュール7022から集約された編成済みデータを分析して提案を提供するように構成することができる。例えば、提案モジュール7030は、特定の外科用器具7012が、例えば、期待される誤り率よりも高いことに基づいて改善されたバージョンにアップグレードされるべきであることを、医療施設(例えば、病院などの医療サービス提供者)に提案することができる場合もある。加えて、提案モジュール7030及び/又は資源最適化モジュール7020は、製品再注文ポイントなどのより良好な供給チェーンパラメータを提案し、異なる外科用器具7012、その使用の、又は手術結果を改善する手順工程などの提案を提供することができる場合もある。医療施設は、対応する外科用ハブ7006を介してそのような提案を受信することができる。様々な外科用器具7012のパラメータ又は構成に関するより具体的な提案もまた提供することができる。ハブ7006及び/又は外科用器具7012はそれぞれ、クラウド7004によって提供されるデータ又は提案を表示するディスプレイスクリーンを有することができる場合もある。
【0209】
患者転帰分析モジュール7028は、外科用器具7012の現在使用されている動作パラメータに関連付けられた手術結果を分析することができる。患者転帰分析モジュール7028はまた、他の潜在的な動作パラメータを分析及び評価してもよい。この接続では、提案モジュール7030は、より良好な封止又はより少ない出血などの、より良好な手術結果をもたらすことに基づいて、これらの他の潜在的な動作パラメータを使用して提案することができる場合もある。例えば、提案モジュール7030は、対応するステープル留め外科用器具7012に特定のカートリッジを使用するときに関する提案を外科用7006に送信することができる場合もある。したがって、クラウドベースの分析システムは、共通変数を制御している間に、生データの大規模な収集を分析し、複数の医療施設にわたって(有利には、集約されたデータに基づいて決定される)集中的提案を提供するように構成されてもよい。例えば、クラウドベースの分析システムは、医療行為の種類、患者の種類、患者の数、医療提供者/施設が、同様の種類の器具などを使用する医療提供者の間の地理的類似性を分析、評価、及び/又は集約することができる場合もあり、医療提供者/施設は、同様の種類の器具などを使用する。制御プログラム更新モジュール7026は、対応する制御プログラムが更新されたときに、様々な外科用器具7012の提案を実施するように構成することができる場合もある。例えば、患者転帰分析モジュール7028は、特定の制御パラメータを成功した(又は失敗した)結果とリンクする相関関係を識別することができる場合もある。このような相関関係は、更新された制御プログラムが制御プログラム更新モジュール7026を介して外科用器具7012に送信されるときに対処されてもよい。対応するハブ7006を介して送信される器具7012への更新は、クラウド7004のデータ収集及び集約モジュール7022によって収集され、かつ分析された集約された成績データを組み込んでもよい。加えて、患者転帰分析モジュール7028及び提案モジュール7030は、集約された成績データに基づいて、器具7012を使用する改善された方法を識別することができる場合もある。
【0210】
クラウドベースの分析システムは、クラウド7004によって実装されるセキュリティ機能を含んでもよい。これらのセキュリティ機能は、認可及びセキュリティモジュール7024によって管理されてもよい。それぞれの外科用ハブ7006は、ユーザ名、パスワード、及び他の好適なセキュリティ資格情報などの関連する固有の資格情報を有することができる。これらの資格情報は、メモリ7010に記憶され、許可されたクラウドアクセスレベルに関連付けることができる場合もある。例えば、正確な資格情報を提供することに基づいて、外科用ハブ7006は、クラウドと所定の範囲まで通信するアクセスを付与されてもよい(例えば、特定の定義された種類の情報の送信又は受信を行ってもよい)。この目的のために、クラウド7004の集約された医療データデータベース7011は、提供された資格情報の精度を検証するための資格情報のデータベースを含んでもよい。異なる資格情報は、クラウド7004によって生成されたデータ分析を受信するための所定のアクセスレベルなど、クラウド7004との相互作用のための様々なレベルの許可に関連付けられてもよい。更に、セキュリティ目的のために、クラウドは、ハブ7006、器具7012、及び禁止された装置の「ブラックリスト」を含んでもよい他の装置のデータベースを維持することができる場合もある。具体的には、ブラックリスト上に列挙された外科用ハブ7006は、クラウドと相互作用することを許可されなくてもよい一方で、ブラックリスト上に列挙された外科用器具7012は、対応するハブ7006への機能的アクセスを有さなくてもよく、かつ/又は対応するハブ7006とペアリングされたときに完全に機能することが防止されてもよい。追加的に又は代替的に、クラウド7004は、不適合性又は他の指定された基準に基づいて、器具7012にフラグを立ててもよい。このようにして、偽造医療用装置及びそのような装置の、クラウドベースの分析システム全体での不適切な再使用を識別し、対処することができる。
【0211】
外科用器具7012は、無線送受信機を使用して、例えば、対応するハブ7006及びクラウド7004へのアクセスのための認可資格情報を表してもよい無線信号を送信してもよい。有線送受信機はまた、信号を送信するために使用してもよい。そのような認可資格情報は、外科用器具7012のそれぞれのメモリ装置に記憶することができる。認可及びセキュリティモジュール7024は、認可資格情報が正確であるか又は偽造であるかを判定することができる。認可及びセキュリティモジュール7024はまた、強化されたセキュリティのために、認可資格情報を動的に生成してもよい。資格情報はまた、ハッシュベースの暗号化を使用することなどによって、暗号化することができる場合もある。適切な認可を送信すると、外科用器具7012は、対応するハブ7006及び最終的にはクラウド7004に信号を送信して、器具7012が医療データを取得して送信する準備ができていることを示してもよい。これに応答して、クラウド7004は、集約された医療データデータベースに記憶するための医療データを受信することが可能な状態に遷移してもよい。このデータ伝送準備は、例えば、器具7012上の光インジケータによって示すことができる場合もある。クラウド7004はまた、それらの関連する制御プログラムを更新するために、外科用器具7012に信号を送信することができる。クラウド7004は、制御プログラムに対するソフトウェアアップデートが適切な外科用器具7012にのみ送信されるように、特定のクラスの外科用器具7012(例えば、電気外科用器具)に向けられた信号を送信することができる。更に、クラウド7004は、選択的データ送信及び認可資格情報に基づいてローカル又はグローバルの問題に対処するために、システムワイドソリューションを実装するために使用することができる場合もある。例えば、外科用器具7012のグループが共通の製造不良を有するものとして識別される場合、クラウド7004は、このグループに対応する認可資格情報を変更して、このグループの動作ロックアウトを実施してもよい。
【0212】
クラウドベースの分析システムは、(例えば、提案モジュール2030を介して)改善された実務及び提案の変更を判定するために、複数の医療施設(例えば、病院のような医療施設)を監視することを可能にしてもよい。したがって、クラウド7004のプロセッサ7008は、個々の医療施設に関連付けられたデータを分析して、施設を識別し、そのデータを他の医療施設に関連付けられた他のデータと集約することができる。グループは、例えば、同様の操作行為又は地理的位置に基づいて定義することができる場合がある。このようにして、クラウド7004は、医療施設グループの幅広い分析及び提案を提供してもよい。クラウドベースの分析システムはまた、強化された状況認識のために使用することができる場合がある。例えば、プロセッサ7008は、(全体的な動作及び/又は様々な医療処置に対する)特定の施設に対するコスト及び有効性に関する提案の効果を予測的にモデル化してもよい。その特定の施設に関連するコスト及び有効性はまた、他の施設又は任意の他の同等の施設の対応するローカル領域と比較することもできる。
【0213】
データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、重大性(例えば、データに関連付けられた医療イベントの重篤度、意外さ、不審さ)に基づいてデータを優先順位付けし、かつ分類してもよい。この分類及び優先順位付けは、本明細書に記載されるクラウドベースの分析及び動作を改善するために、上記の他のデータ分析モジュール7034の機能と併せて使用してもよい。例えば、データ分類及び優先順位付けモジュール7032は、データ収集及び集約モジュール7022並びに患者転帰分析モジュール7028によって実行されるデータ分析に対する優先度を割り当てることができる。異なる優先順位レベルは、迅速応答のための上昇、特別な処理、集約された医療データデータベース7011からの除外、又は他の好適な応答などの、(緊急性のレベルに対応する)クラウド7004からの特定の応答をもたらすことができる。更に、必要に応じて、クラウド7004は、対応する外科用器具7012からの追加データのために、ハブアプリケーションサーバを介して要求(例えば、プッシュメッセージ)を送信することができる。プッシュメッセージは、支持又は追加のデータを要求するために、対応するハブ7006上に表示された通知をもたらすことができる。このプッシュメッセージは、クラウドが有意な不規則性又は外れ値を検出し、クラウドが不規則性の原因を判定することができない状況で必要とされてもよい。中央サーバ7013は、例えば、データが所定の閾値を超えて予測値と異なると判定されるとき、又はセキュリティが含まれていたと見られる場合など、特定の重大な状況においてこのプッシュメッセージをトリガするようにプログラムされてもよい。
【0214】
説明された様々な機能に関する更なる例示的な詳細を、以下の説明において提供する。様々な説明のそれぞれは、ハードウェア及びソフトウェアの実装の一実施例として
図22及び
図23に記載されるように、クラウドアーキテクチャを利用してもよい。
【0215】
医療施設の使用、資源、及び効率的なモデリング
本開示の態様は、複数のハブ及びスマート医療器具に通信可能に連結され、効率を改善し、資源割り当てを最適化するために、医療用品及び他の資源の使用に関するローカライズされた医療ケア施設にカスタマイズされた提案を提供するように構成された、クラウドベースの分析システムについて提示される。病院又は医療診療所などの医療ケア施設は、多くの場合、経時的に維持されるルーチン及び伝統に由来する様々な医療用品の処置、使用、及び廃棄のための一連の実務を開発してもよい。医療施設の行動様式は、典型的にはリスク回避型であり、一般に、より良好な実務が示されるまで、新規でより良好な実務を採用することを躊躇するであろう。同様に、より良好な使用又は効率モデルが近くの施設で開発されている場合であっても、ローカル施設がその改善された実務を採用することが困難なのは、1)それぞれの施設が外部からの変化に対して元来より抵抗性である場合があり、2)ローカル施設で行われている実務の代わりに、改善された実務がどのように又はなぜ近くの施設で機能するのかについて、未知なことが多いからである。更に、その実務を改善することが所望される医療施設であっても、そのように最適に行うことができない場合があるのは、その地域において、同様のサイズに従って、かつ/又は同様の実務若しくは患者などのいずれかにより、他の同様の状況の施設からの十分な知識を欠くためである。
【0216】
複数の医療施設にわたって改善された実務の普及を促進するのを助けるために、共通のソースが複数の医療施設からのコンテキストの知識を有し、複数の施設のいずれか又は全ての実務の知識に基づいて、任意の特定の医療施設のためにどのような変更を行うべきかを決定することができる場合が望ましいであろう。
【0217】
いくつかの態様では、1つ以上の医療用ハブなどの医療施設内の知識センターに通信可能に連結されたクラウドベースのシステムは、複数の医療施設から医療資源使用データを集約するように構成されてもよい。次いで、クラウドベースのシステムは、医療資源使用データをそれらの施設からの転帰と相関させてもよく、データ内の様々なパターンを誘導することができてもよい。例えば、いくつかの態様では、クラウドベースのシステムは、広域地理的領域(例えば、日本の全手術センター)における医療施設から取得された全ての廃棄物及び調達データの集約に基づいて、単位コスト当たり廃棄物の最小限の量がどの病院で生じるかを見出してもよい。クラウドベースのシステムは、どの医療施設が単位コスト当たり廃棄物の最小限の量を生じたかを識別するように構成されてもよく、次いで、その医療施設をどのように区別するかを分析してもよい。傾向が見出された場合、クラウドベースのシステムは、この情報を、同様の状況の医療施設の全てに配布して、それらの実務を改善してもよい。この分析は、医療施設の在庫管理、スループット効率、又は全体的な効率を改善するのに役立つ場合がある。改善された在庫管理は、資源が不適切に管理された場合と比較して、手術装置及び他の医療用資源がより長い期間にわたってそれらのピーク性能レベルで利用されるように役立ってもよく、したがって、医療装置は、それらがより旧式で、より使い古されていても継続的に使用されてもよい。
【0218】
一般に、クラウドベースのシステムは、複数の医療施設からのデータを集約するように構成されてもよく、単一の施設単独ではそれ自体で達成することができないものであろう。更に、クラウドベースのシステムは、データの大規模な収集を分析し、単一の施設単独ではそれ自身で分析することができないであろう、実務の種類、患者の種類、患者の数、地理的類似性、どの施設が同様の種類の器具を使用しているかなどの共通変数を制御するように構成されてもよい。
【0219】
このようにして、本開示のクラウドベースのシステムは、特定の施設で最良の実務をもたらすより正確な因果関係を見出すことができてもよく、次いで、他の施設の全てに配布することができる。更に、クラウドベースのシステムは、単一の施設がそれ自体で行うことができない異種ソースの全てからデータを提供することができる場合がある。
【0220】
図24を参照すると、特定の種類の外科的分類に相関する様々な資源の集計の例示的な図が示されている。それぞれのカテゴリに対して2本のバーがあり、破線バー7102、7106、及び7110は、未使用資源及び/又はスクラップ資源を表し、実線バー7104、7108、及び7112は、そのカテゴリに使用中の資源の合計を示す。この実施例では、バー7104、7108、及び7112は、それぞれ胸郭、結腸直腸、及び肥満処置のための未使用資源の量を表すより少ない量7102、7106、及び7110と比較して、それぞれ、胸部、結腸直腸、及び肥満処置のためのエンドカッターカートリッジ、スポンジ、生理食塩水、フィブリンシーラント、縫合糸、及びステープラバットレスの総量を示す。
【0221】
クラウドシステムは、患者又は手術に有益ではない手法で収集されて未使用の、又は収集されて使用済みの浪費製品を識別するように構成されてもよい。これを行うために、クラウドシステムは、在庫受入及び廃棄の全ての記録をメモリ内に記録してもよい。それぞれの受入中、在庫をスキャンして入力してもよく、それぞれの在庫項目のバーコードは、一例として、どの種類の製品であるかを識別してもよい。いくつかの態様では、スマート廃棄用容器は、製品が廃棄されているときに自動的に集計するために利用されてもよい。スマート廃棄用容器は、最終的には、1つ以上の外科用ハブを介して、又は施設全体にわたる別個の在庫管理システムを介してのいずれかで、クラウドシステムに接続されてもよい。それぞれの施設は、例えば、設定されたGPS座標、入力されたアドレスなどを通じて、その場所によって追跡されてもよい。このデータは、日付及び使用時間、の位置、該当する場合は使用される処置の種類、生産地、品目毎のコスト、該当する場合は使用期限日など、そのデータに関連付けられたメタデータと共に、1つ以上のデータベースを使用してメモリ内で編集されてもよい。
【0222】
加えて、クラウドシステムは、誤発射又は誤用された製品及び製品が使用された場所の追跡を識別するように構成されてもよく、これらの結果をアーカイブしてもよい。例えば、外科用ハブに通信可能に結合されたそれぞれの外科用器具は、ステープルを発射するか、又は超音波エネルギーを加えるなどの、器具が発射されたときの記録を送信してもよい。それぞれの記録は、器具を通して送信され、最終的にクラウドシステムで記録されてもよい。器具による動作は、その時点で、又は処置が成功したか否かを示す全体的な結果のいずれかで、結果と結び付けられてもよい。この動作は、手術中の正確なポイントに動作を配置する正確なタイムスタンプに関連付けられてもよく、手術の全ての動作もまた、手術の開始時間及び終了時間を含んでクラウドに自動的に記録される。これにより、人間の医療ケア作業者全員は、医療器具の動作が生じた場合に実際のインスタンスについて心配するよりも、手術中にそれぞれの職務に集中することが可能になる。医療器具の記録は、手術中にどの製品が浪費される場合があるのかを識別するために使用することができ、クラウドシステムはまた、このようにして使用傾向を特定するように構成されてもよい。
【0223】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、短い発射又は廃棄製品を識別するために、製品の全長又は量に結び付けられた製品の傾向分析を実行するように構成されてもよい。例えば、クラウドシステムは、外科処置が発生しているときの既知の期間内に、タイムスタンプを用いて製品の使用を行ってもよい。次いで、クラウドシステムは、その処置中に利用される資源の量を記録してもよく、その処置で使用される材料を、他の場所で実施される同様の状況の処置と比較してもよい。これから、クラウドシステムによっていくつかの結論に到達する場合がある。例えば、クラウドシステムは、浪費される製品がより少なくなる、より小さな部分又は代替的な使用を提供する、組み合わせの提案を提供してもよい。別の実施例として、クラウドシステムは、検出された機関の使用量により調整された手法で製品を組み立てる、専用キットの提案又は特定のプロトコル変更を提供してもよい。更に別の実施例として、クラウドシステムは、検出された使用量により調整される代替製品組み合わせの提案又はプロトコルの変更を提供してもよく、したがって、製品の浪費が少なくなるはずである。更に別の実施例として、以前の動作に対して特定の時間間隔内で生じる手術中の動作が無駄な動作をもたらす傾向がある相関関係又はパターンを特定することに基づいて、クラウドシステムは、典型的には、誤発射又は複数の発射などの資源の浪費をもたらす事象の前又は後に生じる動作のタイミングに基づいて、手術中の医療処置をどのように調節するかに関する提案を提供してもよい。これらの分析は、利用可能な資源をその廃棄の比率で最適化しようと試みるアルゴリズムを使用して、誤発射、外科医の生来の行動、又は施設全般などを考慮して、部分的に導かれてもよい。
【0224】
図24を更に参照すると、使用済み製品及び未使用製品の集計に基づいて、クラウドシステムはまた、いくつかの他の結論を生成することができる。例えば、クラウドシステムは、未使用製品と間接費との相関関係を生成するように構成されてもよい。クラウドシステムはまた、期限切れ製品の計算、及びそれが在庫との変化率にどのように影響するかを生成してもよい。また、サプライチェーンにおいて、製品が未使用である場所、及びどの程度の割合を占めているかの指標を生成してもよい。また、同じ処置のために、他の資源の代替物を見つけることによって、コスト又は在庫空間を低減する方法を生成してもよい。これは、同じ処置を実行するために異なる資源を使用する、異なる医療施設における同様の実務を比較することに基づいてもよい。
【0225】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、任意の医療製品及び全ての医療製品の在庫使用量を分析し、新たな製品を取得する際の調達管理を行うように構成されてもよい。クラウドシステムは、他と比較して特定の製品の使用率に照らして、在庫空間の利用を最適化して、利用可能な空間を最適に利用する方法を決定してもよい。製品がどのくらい長く保管されているかに関して、在庫が厳密に監視されない場合が多いおそれもある。特定の製品がより低い割合で利用されるが、大量の製品が存在する場合、保管空間の割り当てが不足していると判定される場合がある。したがって、クラウドシステムは、実際の資源使用を反映するために、保管空間をより良好に分配してもよい。
【0226】
この領域を改善するために、いくつかの態様では、クラウドシステムは、例えば、特定の処置のために、手術室(OR)内の欠落した又は不十分な製品を識別してもよい。次いで、クラウドシステムは、アラート若しくは通知を提供するか、又はデータを送信して、そのOR内の外科用ハブにおいて欠陥を表示してもよい。別の実施例として、製品がOR内で使用されるとき、センサの起動又は起動識別など、その使用情報をクラウドに通信してもよい。製品は、スキャン又は電源スイッチで登録されてもよい。注文情報と結合された所与の病院に関するこの情報の分析は、最終的に供給ステータスに通知してもよく、注文提案を可能にすることができる。これは、クラウドシステムが、その製品がOR内で、又は他の手段を介して使用されていることをクラウドシステムが登録すると、自動的に生じてもよい。
【0227】
いくつかの態様では、処置内の装置利用は、クラウドシステムによって監視され、他のセグメントにおける同様の処置のための装置利用に対する所与のセグメント(例えば、個々の外科医、個々の病院、病院のネットワーク、地域など)と比較される。使用されるユニット資源又は消費に基づいて利用量を最適化してこのような資源を供給するための提案が提示される。一般に、クラウドシステムは、そのクラウドシステムが接続されている異なる機関間の製品利用量の比較に焦点を当ててもよい。
【0228】
図25は、資源の使用を比較するように複数の施設間の比較を提供するために、クラウドシステムによってデータが分析される方法の例示的な説明を提供する。一般に、クラウドシステム7200は、
図24に関して説明されたデータの種類のいずれかなど、全ての施設から使用データを取得してもよく、それぞれのデータを、時間、処置、処置の結果、コスト、取得日などの様々な他のメタデータと関連付けてもよい。
図25は、クラウド7200にアップロードされているデータ7202の例示的な集合と、転帰及び1つ以上の資源並びに転帰への誘導に関連してもよいコンテキストメタデータを表すセット7202内のそれぞれの円と、を示す。加えて、高成績転帰7204並びにそれらの関連する資源及びコンテキストメタデータもまた、クラウド7200にアップロードされるが、アップロード時に、どのデータが非常に良好な転帰を有するか、又は単純に平均(又は平均未満)の転帰を有するかは未知であってもよい。クラウドシステムは、資源のどの使用が平均転帰又は予想転帰と比較して、より良好な転帰に関連付けられているかを識別してもよい。いくつかの実施例として、これは、その資源が長持ちするか、それほど多く浪費されないか、最終的に単位時間当たり又は単位資源当たりコストが少なくなるかを判定することに基づいてもよい。クラウドシステムは、データを分析して、これらの変数のいずれか及び全て、又は更にはそれらの1つ以上の組み合わせに基づいて、最良の転帰を判定してもよい。次いで、識別された傾向は、相関関係を見出すために使用されてもよいか、又はこれらのデータポイントに関連付けられた追加データの要求を促してもよい。パターンが見出された場合、これらの提案は、資源の使用量及び効率を改善するために可能な方法として検討するようにユーザに警告されてもよい。
【0229】
例示的なグラフ7206は、いくつかの態様によれば、クラウドが、資源データ及び転帰データを検討することから導いてもよい、例示的な傾向又はパターンの視覚的表現を提供する。この実施例では、クラウドシステムは、ステープラ発射数及び手術における成績とのそれらの関係の資源データ及び転帰データを分析してもよい。クラウドシステムは、外科用ステープラ自体の動作から直接生成される、それぞれの手術中に自動的に記録された発射データに基づいて、複数の医療施設及びそれぞれの施設内の複数の外科医からデータを収集していてもよい。成績結果は、手術後の検査及び評価、及び/又は、出血事象又は正常な創傷閉鎖があるかどうかなどの手術中の即時の結果に基づいてもよい。データの全てに基づいて、傾向を判定してもよく、ここでは、示されるように、間隔「a」において最良の成績結果をもたらす発射数の小さな窓が存在することが発見される場合もある。最も一般的な発射数と比較したこの成績の度合いは、間隔「b」として示される。最良の転帰をもたらす発射数は、一般的に実施されているものではない場合があるため、クラウドシステムの集約及び分析能力を用いずにこれらの転帰を簡単に発見していたことは容易ではない場合がある。
【0230】
別の実施例として、同じ病院内の個々の外科医のスリーブ胃切除術のために監視されるカートリッジタイプ、色、及び補助具使用量を取得してもよい。データは、同じ病院内の他の外科医と比較した場合、1人の外科医の平均処置コストがこの外科医より高いことを明らかにしてもよいが、短期患者転帰は同じままである。次いで、病院に通知され、補助具の廃止を通じて潜在的にコストの最適化を求めて、装置利用、技術などの差異を検討するように奨励される。
【0231】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、特殊な状況を識別してもよい。例えば、時間、装置利用、及びスタッフを含む、病院内に提供される特定のコスト情報は、識別されてもよい。これらの態様は、特定のOR又は施設に固有であってもよい。クラウドシステムは、これらの特殊な状況について、専門家(整形外科、胸郭、結腸直腸、肥満など)にわたるOR使用時間(スケジューリング)における効率、装置在庫などを示唆するように構成されてもよい。
【0232】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、所与の処置種類の腹腔鏡術などの従来の方法に対するロボット手術のコスト効果を比較するように構成されてもよい。クラウドシステムは、装置コスト、OR時間、患者退院時間、外科医のみによって行われる処置のロボットによって行われる処置に対する有効性を比較してもよい。
【0233】
個別化された変化
クラウドシステムのいくつかの態様によれば、上記の開示は、効率(すなわち、値)の判定及び最適化に焦点を当て、ここでは、このセクションは、どのローカルな実務が他の同様の状況の医療施設に最良に配布されてもよいかを識別することに集中することに基づく。
【0234】
病院又は医療診療所などの医療用ケア施設は、多くの場合、経時的に維持されたルーチン及び伝統に由来する医療処置を支援するための医療装置を利用する方法のための一連の実務を開発してもよい。医療施設の行動様式は、典型的にはリスク回避型であり、一般に、より良好な実務が示されるまで、新規でより良好な実務を採用することを躊躇するであろう。同様に、装置を利用するための、又は処置を調整するためのより良好な実務が近くの施設で開発されている場合であっても、ローカル施設がその改善された実務を採用することが困難であるのは、1)それぞれの施設が外部からの変化に対して元来より抵抗性である場合があり、2)ローカル施設で行われている実務の代わりに、改善された実務がどのように又はなぜ近くの施設で機能するのかについては、未知なことが多いからである。更に、その実務を改善することが所望される医療施設であっても、そのように最適に行うことができない場合があるのは、その地域において、同様のサイズに従って、かつ/又は同様の実務若しくは患者などのいずれかにより、他の同様の状況の施設からの十分な知識を欠くためである。
【0235】
複数の医療施設にわたって改善された実務の普及を促進するのを助けるために、共通のソースが複数の医療施設からのコンテキストの知識を有し、複数の施設のいずれか又は全ての実務の知識に基づいて、任意の特定の医療施設のためにどのような変更を行うべきかを決定することができる場合が望ましいであろう。
【0236】
いくつかの態様では、1つ以上の医療用ハブなどの医療施設内の知識センターに通信可能に結合されたクラウドベースのシステムは、資源利用データ及び患者転帰を複数の医療施設から集約するように構成されてもよい。次いで、クラウドベースのシステムは、資源利用データをそれらの施設からの転帰と相関させてもよく、データ内の様々なパターンを導くことができてもよい。例えば、いくつかの態様では、クラウドベースのシステムは、広範な地理的領域(例えば、ドイツの全ての手術センター)で収集されたその特定の処置に対する全ての患者転帰データの集約に基づいて、どの病院が特定の種類の処置に対してより良好な転帰を生成するかを見出してもよい。クラウドベースのシステムは、地理的領域にわたる平均と比較して、どの医療施設がより良好な処置の転帰を生じたかを識別し、次いで、どのような差が識別されたかを分析するように構成されてもよい。クラウドベースのシステムは、この情報を、同様に位置する医療施設の全てに発信して、それらの医療施設の実務を改善してもよい。
【0237】
一般に、クラウドベースのシステムは、複数の医療施設からのデータを集約するように構成されてもよく、単一の施設単独ではそれ自体で達成することができないものであろう。更に、クラウドベースのシステムは、データの大規模な収集を分析し、単一の施設単独ではそれ自身で分析することができないであろう、実務の種類、患者の種類、患者の数、地理的類似性、どの施設が同様の種類の器具を使用しているかなどの共通変数を制御するように構成されてもよい。
【0238】
このようにして、本開示のクラウドベースのシステムは、特定の施設で最良の実務を生じさせるより正確な因果関係を見出すことができてもよく、これはその後、他の施設の全てに配布することができる。更に、クラウドベースのシステムは、単一の施設がそれ自体で行うことができない異種ソースの全てからデータを提供することができる場合がある。
【0239】
クラウドシステムは、多くの方法で任意のローカル施設の有効性についての結論を生成するように構成されてもよい。例えば、クラウドシステムは、ローカル治療施設が、より大きなコミュニティ及びその転帰とは異なる製品組み合わせ又は使用量を使用しているかどうかを判定してもよい。次いで、クラウドシステムは、いくつかの実施例として、他の施設、他の外科用ハブ、又は臨床製品販売で使用するために、差異を相関させ、それらを強調してもよい。一般に、この情報は、この改善処置を実施する施設を含む、単一の施設がアクセス又は知識を有していなくてもよいように、広範に配布されてもよい。
【0240】
別の実施例として、クラウドシステムは、ローカルの施設が、より大きなコミュニティへの転帰と同等か又はその転帰に劣るかどうかを判定してもよい。次いで、クラウドシステムは、提案を関連付け、その情報を提案としてローカル施設に返してもよい。システムは、その成績を示すデータを他のものに対して表示してもよく、また、その他全体が行っていることと比較して、その施設が行っていることについての提案を表示してもよい。この場合もまた、ローカル施設は、その点において非効率性を有することを知らなくてもよく、また、それらの資源をより効率的に利用していることをその他の誰もが認識しなくてもよく、したがって、全てのデータのより大きな全体像を有するクラウドシステムなしに、これらの問題を検証することを誰も全く知らないであろう。
【0241】
これらの提案は、様々な形態で提供することができる。例えば、クラウドシステムは、同様の転帰のためのコストの改善を示唆する購入レベルでの提案を提供してもよい。別の実施例として、クラウドシステムは、あまり望ましくない製品が引っ張られている際、処置が計画され、装備を準備しているとき、ORレベルで提案を提供し、より高い転帰を達成するより広範なコミュニティと一致するであろう他の技術及び製品組み合わせを示唆してもよい。更に別の実施例として、クラウドシステムは、おそらくはクラウドデータからその外科医によって実施される同様の症例のカウントを介して、外科医の経験を考慮するために、転帰比較必要性を表示してもよい。いくつかの態様では、個々の学習曲線は、定常状態転帰レベルを得る際に、改善された転帰、又は同等者に対する外科医の成績の期待値として、集約されたより大きいデータセットに対して報告されてもよい。
【0242】
図26は、いくつかの態様による、クラウドシステム7300が、全領域にわたる集約されたデータの集合7302から有効性傾向を判定してもよい方法の一実施例を示す。ここで、データの集合7302のそれぞれの円について、処置のための装置利用、コスト、及び処置の結果が監視され、他のセグメントにおける同様の処置のための装置利用、コスト、及び処置の結果に対して所与のセグメント(例えば、個々の外科医、個々の病院、病院のネットワーク、地域など)について比較される。これらのデータは、それを特定の施設に関連付けるメタデータを所有してもよい。一般に、処置の結果は、使用された資源、処置を実行した人、処置を実行した場所など、処置に関連付けられた複数の種類のデータに連結されてもよい。次いで、転帰に連結されたデータは、データペアとして提示されてもよい。データは、良好な転帰と劣った転帰との間などの様々な方法で細分化されてもよく、特定の施設、特定の人口統計などによってフィルタリングされてもよい。領域フィルタ7304は、一例として視覚的に示されている。データセット7302は、良好な転帰及び劣った転帰の両方を含み、劣った転帰は、対比のために黒くしてある。
【0243】
図26はまた、これらの区別がなされたチャートの例を示しており、1つ以上のデータペアを使用して、集約されたデータセット7302から導かれてもよい。チャート7306は、一実施例でのグローバル分析を示し、一方、地域的にセグメント化された分析は、他のチャート7308に提供されている。統計分析は、転帰が統計的に有意であるかどうかを判定するために実行されてもよい。チャート7306では、クラウドシステムは、発生率に基づいて、良好な転帰と劣った転帰との間に統計的差異が見出されなかったことを判定してもよい。対照的に、チャート7308では、クラウドシステムは、特定の領域をフィルタリングするときに、所与の領域に対する劣った転帰の統計的に高い発生があると判定してもよい。いくつかの態様によれば、提案は、転帰対コスト対装置利用量及びその中の全ての組み合わせを共有するために提示されて、潜在的に差異の主要な誘因である装置利用量と共に処置コストに対する転帰の最適化を通知することに役立つ。
【0244】
別の実施例として、カートリッジの種類及び色は、同じ病院内の個々の外科医について肺葉切除術のために監視される。このデータは、1人の外科医の平均コストが、この外科医の平均よりも高いが、平均の滞在長さが少ないことを明らかにする。病院は、クラウドシステムによって通知され、患者転帰の改善を求めて、装置利用量、技術などの差異を検討するように奨励される。
【0245】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、処置、製品組み合わせ、及び所与のローカライズされた集団のための、又は全体としての一般集団のためのタイミングに対する変化の予測モデル化を提供するように構成されてもよい。予測モデリングは、いくつかの実施例として、資源利用量、資源効率、及び資源性能に対する影響を評価するために使用されてもよい。
【0246】
図27は、いくつかの態様による、いくつかの種類の分析の例示的な説明を提供し、クラウドシステムは、予測モデリングを提供するために実行するように構成されてもよい。クラウドシステムは、必要な工程及び処置を実行するための器具のクラウドの知識を組み合わせてもよく、利用される資源、時間、処置コストなどの様々な数値指標を介して異なる手段を比較してもよい。チャート7400のこの実施例では、同じ処置を実施するための2つの異なる種類の方法を用いて胸郭肺葉切除術を分析する。オプションAは、処置を実施するための方法として使い捨て超音波器具を記述する一方、オプションBは、集約において同じ処置を実施する異なる方法の組み合わせを示す。グラフは、外科医又は管理者が、資源の利用方法及びそれらのコストを知るのに役立つ場合がある。オプションBは、滅菌コスト、再利用可能なディセクター、及び処置を実行するための追加の時間を含む、複数のセクションに分割される。クラウドシステムは、OR内に滞在した時間、スタッフ給与及びOR内での単位時間当たりの資源コスト、並びに滅菌及び再利用可能なディセクターに利用される資源及びそれらの関連コストのクラウドの知識に基づいて、これらのいくらか抽象概念を定量的コスト値に変換するように構成されてもよい。クラウドシステムは、任意の量の資源及びコストを、必要な工程のクラウドの知識と関連付けるように構成されて、オプションBにおける所定の方法を使用して胸郭肺葉切除術を実行するように構成されてもよい。
【0247】
別の実施例として、
図27のチャート7404は、超音波ロングディセクター及び単極再利用可能ディセクターを使用して処置の様々な部分を実行する間の比較を示す。チャート7404は、それぞれの器具について処置のそれぞれの部分を実行するのに必要な時間の観点での比較を示す。次いで、外科医は、特定の処置のためにどの器具が所望される可能性があるかを選択することができてもよい。ブレークアウト時間は、処置を実行するための予想されるシーケンスのクラウドシステムの知識に起因して、全体的な処置のそれぞれの部分についての時間を用いて、経験的に実行中の処置中に自動的に記録されてもよい。それぞれの部分間の境界は、それぞれの変化が生じるときに手動で示すように、入力を提供する外科医によって設定されてもよい。他の場合には、クラウドシステムは、状況認識を利用して、装置が使用され、また使用されない方法に基づいて、処置の一部が終了したときを判定してもよい。クラウドシステムは、複数の外科医及び複数の施設にわたって実行される、これらの処置の数を集約し、次いで、一例としてそれぞれのセクションの平均時間を計算してもよい。
【0248】
別の実施例として、
図27のチャート7402は、いくつかの態様による、超音波ロングディセクター又は単極再利用可能ディセクターを利用するときの相対コストを比較するための例示的なグラフィカルインターフェースを示す。単位時間当たりのそれぞれの器具の値は、特定の処置について表示される。いくつかの実施例として、これらの値を生成するために使用されるデータは、チャート7400及び7404で得られたデータと同様であってもよい。グラフィックディスプレイは、判定を行うのに最も有用であるであろう、効率の重要な点の簡潔な説明を可能にしてもよい。この分析は、外科医が、どのくらい価値のあるそれぞれの器具が所与の処置のためにどのくらい貴重であるかを確認するのに役立つ場合がある。
【0249】
一般に、予測モデリングを実行するために、クラウドシステムは、処置を実行するための正確な工程のクラウドシステムの知識と、それぞれの工程を実行するためにどの器具を使用してもよいかと、それぞれの器具がそれぞれの特定の工程をどのように実行するかについてのクラウドシステムの集約データと、を組み合わせてもよい。外科医は、そのような評価を単独で提供するために、そのような知識の組み合わせを有さなくてもよい。したがって、予測モデリングは、複数の施設にわたるデータの継続的な監視及び取得の結果であってもよく、予測モデリングのようなことは、クラウドシステムなしでは不可能であろう。
【0250】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、最適な処置技術を特定するために、複数の情報源(例えば、ハブデータ収集源、文献など)から抽出情報を導いてもよい。予測モデリングが利用されてもよい方法の様々な他の例としては、
(1)S状結腸切除術:マルチクアドラント手術、動作の最良の順序など、
(2)RYGB:この患者の状況に基づいた理想的な肢部長さなど、
(3)肺葉切除術:除去されるべきリンパ節の数及び方法、
(4)VSG:ブジーサイズ及び幽門からの距離が挙げられる。
【0251】
いくつかの態様では、外科医に提案がなされると、外科医は、このような将来の推薦を拒否するか、又は継続するための選択肢を与えられる。加えて、ハブとのインターフェースを介して、外科医は、クラウドシステムに、自身の判断を通知するための追加情報を問い合わせてもよい。例えば、外科医は、特定の施設、又は手術を受けている患者をより良好に満たす特定の人口統計などの、よりローカライズされたデータの集合に状況を切り分けることを望む場合がある。データは、例えば、患者が子どもであるか、又は患者が女性である場合に変化してもよい。
【0252】
外科医、地域、病院、又は患者パラメータに基づく装置セットアップ修正(手術前)
上記のセクションと同様に、クラウドベースのシステムはまた、スマート器具構成を監視するように、より一般的には、手術用に準備している手術室などの複数のスマート器具を利用する構成を監視するように、構成されてもよい。医療有効性及び効率を改善するためなどの、上述したのと同様の理由から、任意の特定の医療施設における処置セットアップを比較して、複数の他の医療施設における処置セットアップに関係するデータを集約することが有用であってもよい。
【0253】
本開示のクラウドベースのシステムは、スマート医療器具構成及び複数のスマート医療器具を利用する手術室(OR)に関連するデータを集約するように構成されてもよい。スマート医療器具は、医療データタワーに通信可能に結合され、センサデータを生成するように構成された手動装置と、より自動化された様式で処置を実行するロボット器具と、を含んでもよい。クラウドベースのシステムは、どの装置が室内に存在するか、及び/又は医療処置のための製品組み合わせを生成するためにどの材料が使用されているかに関係する、ORセットアップにおける不規則性を検出するように構成されてもよい。不規則性は、同様の状況のために、OR内に存在する材料及び器具を他の医療施設由来の他のセットアップと比較することに基づいてもよい。次いで、クラウドシステムは、ファームウェア、ソフトウェア、又は他の設定の変更を生成し、それらの変更を、装置更新と同等なものとして外科用装置に送信してもよい。
【0254】
このようにして、本開示のクラウドベースのシステムは、エラーを識別し、特定の施設で最良の実務を生じさせるより正確な因果関係を見出すことができてもよく、次いで、他の全ての施設に配布することができる。更に、クラウドベースのシステムは、単一の施設がそれ自体で行うことができない異種ソースの全てからデータを提供することができる場合がある。これは、一般に、安全かつより効率的な手術室処置及び医療行為をもたらすことができる。
【0255】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、器具構成の提案を提供し、適切な器具設定の変更を生成して、予め指定されたユーザの実績をカスタマイズするように構成されてもよい。
【0256】
例えば、クラウドシステムは、より大きなデータセットの履歴傾向を有する装置の現在の使用状況の比較に基づいて、外科用装置ユーザ又は外科医に焦点を当ててもよい。いくつかの実施例として、クラウドシステムは、特定の処置のためにユーザが以前に使用したか、又は特定の外科医が一般にまさに望むものに基づいて、どの種類のカートリッジを使用すべきかの提案を提供してもよい。クラウドシステムは、この判定を行うために、特定の外科医、処置の種類、及び使用された器具の種類に基づいたデータにアクセスしてもよい。
【0257】
別の実施例として、クラウドシステムは、カートリッジのディスプレイに示される識別された解剖学的構造に基づいて提案を提供してもよい。別の実施例として、クラウドシステムは、そのメモリに記憶されているローカルな以前の使用データに基づいて、ベースライン外科用装置のクランプ及び発射速度を参照することによって提案を提供してもよい。
【0258】
更に別の実施例として、クラウドシステムは、同じ外科医について、又はデータベース内の外科医のセグメントに関する同じ処置における同じ工程について、履歴平均に対する現在の装置の組織相互作用の比較を行ってもよい。クラウドシステムは、手術を実行するために使用される全ての工程へのアクセスを有してもよく、そのネットワーク内でその処置をこれまでに実行したことがある全ての外科医にわたって、特定の処置において特定の工程を行うときに、全てのデータのカタログにアクセスしてもよい。提案はまた、現在の外科用装置が組織と履歴的に相互作用することがどのように観察されたかの分析からもたらされてもよい。この種類の分析が有用であってもよいのは、外科用装置が組織とどのように正確に相互作用するかについて、大量の実際の患者データを収集することができる場合が多くはないためである。更に、外科医は、典型的には自身の経験のみを知っており、同じ処置のために他の外科医がどのような経験をしているかについての知識を有さない。一方、クラウドは、このデータの全てを収集することができ、任意の個々の外科医が単独では知らない新たな洞察を提供することができる。
【0259】
別の実施例として、ステープル留めでは、カートリッジ色、ステープラタイプ、処置、処置工程、患者情報、経時的なクランプ力、発射前の情報、エンドエフェクタの変形などのうちの2つ以上が知られている。この情報は、同様のデータセットの履歴平均に対して比較される。現在の状況は、この平均に対して比較され、現在の発射の性質についてユーザに通知される。
【0260】
図28は、いくつかの態様による、例示的な分析の種類のグラフを提供し、クラウドシステムは、これらの提案を提供するように実行してもよい。この実施例では、チャート7500は、実質組織ステープル発射分析のためのデータを示す。棒グラフ7502では、使用される様々な種類のステープルであり、ステープルのそれぞれの色は、手術部位に加えられる異なる量の力を反映する。棒グラフ7502に関連付けられたy軸(左側)は、その種類のステープラ色の使用率のパーセント値を反映し、それぞれの色は、3つの異なるカテゴリ、すなわち、領域平均使用量(この場合は日本)、最良の転帰を有する全体的な平均使用量、及びローカル施設平均使用量の棒グラフを示す。このデータに基づいて、クラウドシステムは、所与の状況のためにどのステープルを変化させるかという提案を策定するように構成されてもよい。一連の提案されたアクションは、結果としてチャート7506に示される。チャート7500はまた、使用されるそれぞれの色に対する長引く空気漏れのパーセント値(右のy軸)を反映する一組の折れ線グラフ7504を示し、カテゴリのそれぞれの種類(地域、グローバル平均、施設平均)についても示す。ステープルが厚すぎて、組織厚さのレベルと一致しない場合、望ましくない空気漏れをもたらす穴がステープル内に存在する場合がある。ここで、クラウドシステムは、いくつかの態様によれば、示されるデータ及び示されていないデータの全てに基づく提案を提供してもよい。クラウドシステムは、ラベルとして文字の形態で提案を単に提供してもよく、外科医は、クラウドシステムの提案を承諾するためにデータがそのような治験及び決定を支持するかどうかを検証してもよい。
【0261】
別の実施例として、クラウドシステムは、処置における血管構造に遭遇する可能性に基づいて、超音波ブレードの長さ又は容量の提案を提供するように構成されてもよい。
図28を参照して上述したものと同様に、クラウドシステムは、ブレード長さに関する関連データ、及び複数の外科用ハブから得られたそれらの転帰を収集してもよく、特定の処置で異なるブレード長さを使用するための様々な転帰を示してもよい。提案は、外科医がクラウドシステムによるグラフィック表示を使用して提案を検証することができる、グラフィックディスプレイに提供されてもよい。
【0262】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、次の処置を支援する装置に関してスタッフに提案を提供するように構成される。これらの提案は、より大きいデータベースのいくつかのセグメントによって実行される同じ処置のための、履歴装置利用率に対する外科医の選択傾向(ピックリスト)の組み合わせ、並びに最良の結果を生成する異なる施設にわたる平均提案又は利用量に基づいてもよい。データは、それらの良好な転帰を達成するためにどの装置を使用したかなど、メタデータとの良好な転帰をペアリングすることによって得てもよい。提案は、患者情報、人口統計データなどを含む他の要因によって影響される可能性がある。
【0263】
関連して、いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、所与の処置のために好ましい装置ではないおそれのある、引き抜かれた器具の識別を提供してもよい。ソートのブラックリスト化は、外科医が最良の決定を行うのを助けるために、装置の任意の明らかな欠陥のある使用をより明確に排除することができる。このデータは、製造業者の入力、不良な転帰の分析、クラウドシステムに提供される特定の入力などから得られてもよい。
【0264】
加えて、特性(弾性、インピーダンス、灌流速度)について組織をデータベースに問い合わせることに基づいて、所与のパラメータセット(クランプ予負荷)を有する特定の装置は、クラウドシステムによって在庫内の現在の在庫から使用されることが示唆される場合がある。過去の処置の転帰に関連付けられたメタデータのいくつかは、操作される組織の種類、及びその組織の物理的特性の関連する説明の説明を含んでもよい。次いで、クラウドシステムは、異なる種類の処置に基づいて傾向又はパターンを引き出してもよいが、一般的には、同様の種類の組織に対処する全ての処置を有する。この種の分析は、新しい又は未知の処置が行われる必要があり、新しい提案が歓迎される場合に、二次提案として使用されてもよい。提案が承諾される場合、クラウドシステムは、パラメータにおいて変化を生成し、そのパラメータを相互接続された医療用装置に、外科用ハブを介して送信して、調整された処置での使用のために容易に利用可能とするように構成されてもよい。
【0265】
いくつかの態様では、装置セットアップ提案は、手術前画像化又は処置開始時にローカルで収集されたデータに基づいて、装置用の補助具の提案を含むことができる。すなわち、この補助具の提案は、装置の有効性に対する使用のローカルな相関関係に基づいて、装置上又は装置と共に使用するためのものであってもよい。一例として、所与の処置、外科医、及び患者情報に基づいて、その症例における出血は、緊密に制御される必要があり、したがって、クラウドシステムは、バットレスが全てのステープル発射に推奨されると結論付けてもよい。
【0266】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、利用可能であり、動作に好適である任意の新たに発売された製品、並びに使用のための命令(IFU)の認識を提供するように構成されてもよい。データは、1つ以上の外科用ハブから、又は新たに発売された製品のための直接工場入力から収集されてもよい。クラウドシステムは、情報をダウンロードし、複数の施設にわたって複数の医療用ハブに表示可能な情報を作成することができる。
【0267】
いくつかの態様では、クラウドシステムによって提供されている提案のための上記の実施例のいずれに関しても、クラウドシステムはまた、装置又は提案されたセットアップがそれに続くか又は無視されていないときに、アラート又は他の信号を提供してもよい。クラウドシステムは、例えば、外科処置中に外科用ハブからの処置データにアクセスするように構成されてもよい。外科用ハブは、処置中にどの種類の装置が使用されているかに関するデータを収集してもよい。クラウドシステムは、承認された方法又は装置が処置のための正しい又は所定の順序で使用されているかどうかを検証することによって、処置の進行を監視してもよい。一例として、特定の装置が予期されていないか、又は工程が欠落しているという偏差がある場合、クラウドシステムは、特定の装置が適切に使用されていないというアラートを外科用ハブに送信してもよい。これは、処置のタイミングが患者の安全性にとって重要であるため、リアルタイムで生じるであろう。
【0268】
器具機能の個別化がセグメント化された医療施設
いくつかの態様では、クラウドベースのシステムはまた、医療施設における特定の差異を考慮するために、外科用器具設定の提案を提供するか又は自動的に調節するように構成されてもよい。複数の施設にわたって正規化することができる多数の類似点が存在するが、考慮すべき特定の差異もまた存在する場合がある。例えば、患者の人口統計学的差異、局所母集団により生来的である患者の生理学的差異、処置の差異、例えば、それぞれの個人の外科医の選択傾向、及び領域固有の器具の利用可能性、又は他の差異は、任意の特定の医療施設で行われるべき特定の調整を引き起こす場合がある。
【0269】
本開示のクラウドベースのシステムは、スマート医療器具構成に関するデータ及び複数のスマート医療器具を利用する手術室(OR)セットアップに関連するデータだけでなく、その領域又はその特定の医療施設に固有であってもよい特定の差異を強調するデータも集約するように構成されてもよい。次いで、クラウドベースのシステムは、これらの差異に基づいて、処置の変更に対する装置設定又は提案に対する調節を要因として含んでもよい。例えば、クラウドベースのシステムは、まず、集約されたデータに見出された最良の実務に基づいて、スマート器具をどのように使用すべきかについてのベースライン提案を提供してもよい。次いで、クラウドベースのシステムは、医療施設に特有の1つ以上の固有の差異を考慮するための提案を増強してもよい。これらの差異の例を上述した。クラウドベースのシステムは、どの人口統計及び患者データが最適なベースライン処置を生じさせたかを認識し、次いで、そのデータに対してローカル施設の人口統計及び患者データを比較してもよい。クラウドベースのシステムは、人口統計及び患者データの差異を考慮する調整又はオフセットを開発するために、そのベースライン設定との相関関係を明らかにする又は推定してもよい。
【0270】
このようにして、本開示のクラウドベースのシステムは、それぞれの医療施設に特有の最適な調整を行うことができてもよいか、又は更にはそれぞれの手術室又は外科医に特定することができてもよい。調整は、観察された最良の実務、並びに任意の固有の差異を考慮する改善された性能を提供してもよい。
【0271】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、転帰を改善するための器具の使用多様性の変更を提供するように構成されてもよい。例えば、クラウドシステムは、外科用装置を利用する特定の手法に起因するローカライズされた望ましくない効果を判定してもよい。
図29は、クラウドシステムが、どのように分析を行って、ローカライズされた設定においてどのように装置がどのように使用されているかに結び付けられるローカルな問題に対する統計的相関関係を特定してもよいかという説明を提供する。クラウド7600は、全ての種類の装置の使用データを集約し、それらの転帰を記録してもよい。データセットは、問題となっている特定の装置を利用するそれらの転帰のみにフィルタリングされてもよい。次いで、クラウドシステムは、その装置を利用するときに、特定の施設で処置がどのように行われるかについて傾向があるかどうかを判定するために、統計分析を実行してもよい。パターンでは、統計相関関係を示すデータポイント7602として表される、その施設で装置がどのように使用されるかについて一貫した欠陥があることを示唆するパターンが出現してもよい。次いで、他がどのように装置を集約において使用しているかという比較において第2のパターンが生じる場合があるかどうかを見るために、追加のデータが検証されてもよい。パターンが特定され、ローカル外れ値7604に対処されると、提案が提供されてもよい。他の場合には、クラウドシステムは、その装置がどのように使用されるかというローカル実務をオフセットするために、装置に施設固有の更新を提供してもよい。
【0272】
いくつかの形態では、クラウドシステムは、特定のユーザに偏差を伝達するように構成されてもよく、特定の装置からの結果を改善するために、異なる技術又は使用法の提案を行うように構成されてもよい。クラウドシステムは、どの変更がなされるべきかを示すために、外科用ハブに表示するためのデータを送信してもよい。
【0273】
一例として、装置をクランプするために必要な力を感知するための手段を用いて構成されたステープラは、外科医がステープルの発射を開始したときにクランプ力が依然として急速に変化している(粘弾性クリープ)ことを示すデータを送信し、ステープル線から予想よりも多く出血することが観察される。クラウドシステム及び/又は装置は、装置を発射する前により長く(例えば、15秒)待機する必要性を通信して転帰を改善することができる。これは、複数の外科医及び複数の施設から集約された同様の処置からのデータポイントを使用して、
図29に記載された統計分析を実施することに基づいてもよい。手術の際に、これらの結論に至るためには、このような知識を集約し、そのような結論に到達するクラウドシステムの支援なしに、手術チームの誰に対しても実用不可能であるか、又は実用的ではないであろう。
【0274】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、特定の基準を満たす使用基準を有する装置への制御アルゴリズムの意図的な配備のために構成されてもよい。地域差に対して、クラウドシステムは、様々な外科用装置の制御アルゴリズムを調整してもよい。異なる量の力が、例えば、異なる人口統計の患者のための装置に加えられてもよい。別の実施例として、外科医は、ある種類の外科用装置のために異なる用途を有してもよく、制御アルゴリズムは、これを考慮するように調整することができる。クラウドシステムは、広域エリア更新を装置に送信するように構成されてもよく、その制御プログラムに対する目標の更新を可能にする領域及び特定の器具IDを標的にしてもよい。
【0275】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、売上ユニット及び/又は個々の装置のシリアル番号の符号化を提供してもよく、これにより、特定の判定基準又は閾値を満たすことに基づいて、更新された制御プログラムを特定の装置又は装置の特定のグループにプッシュ配信することを可能にする。
【0276】
加えて、いくつかの態様によれば、クラウドシステムは、例外的な結果(正及び負)を識別する相関関係を求める転帰データに対する、周術期データの分析を実行するように構成されてもよい。分析は、複数のレベル(例えば、個人、病院、及び地理上(例えば、都市、郡、州、国など)のフィルタ)で行ってもよい。更に、改善された転帰の地域的な確証作業は、限定された地理的領域のみを対象としてもよいのは、変化が限定された領域内でのみ生じていることが既知であるからである。装置を地域な選択傾向、技術、及び手術の選択傾向に合わせる能力により、地域特異的な領域に対する微妙な改善を可能にしてよい。
【0277】
器具設定を直接変更することに加えて、クラウドシステムはまた、地域の利用可能性に起因して、異なる器具又は同等の装置の提案に関する提案を提供するように構成されてもよい。すなわち、特定の機能を実行するための装置に対する等価な提案は、装置が欠けており、特定の領域が、同等の目的を果たすために使用されてもよい異なる器具の過剰又は一般的な可用性を有する場合に、クラウドシステムによって提案されてもよい。
【0278】
例えば、クラウドシステムは、固有の処置構成又は病院処置設計の教示に起因して、PPH痔核ステープル留め装置又は湾曲カッター30装置がイタリアでのみ利用可能であると判定してもよい。別の実施例として、クラウドシステムは、コスト感度、腹腔鏡採用の欠如、並びに病院の好ましい技術及び患者の胸腔サイズを教示することに起因して、アジア特有のTX及び血管用オープンステープラの使用があると判定してもよい。別の実施例として、クラウドシステムは、特定の地域で利用可能な、サブ標準的なノックオフ製品のORスタッフにアウェイネスメッセージを提供してもよい。このデータは、専門家及び医師によって提供される入力などの複数のソースからの情報の取込に由来してもよく、機械学習及び自然言語処理を使用して、ローカルエリアに関連する傾向及びニュースを解釈してもよい。
図30は、いくつかの装置が、意図された装置と比較して同等の使用を満たしてもよい方法の一例の図示を提供する。ここで、円形ステープル留め装置7702を、痔核固定術処置用にPPHステープラ7700で使用するための圧縮リング7704と比較する。クラウドシステムによる提案に到達するように実行される分析の種類は、
図29に記載されているものと同様であってもよい。クラウドシステムは、この提案の表示、並びにその効率及び資源利用の分析、例えば、外科用ハブ内のディスプレイに示されてもよい表示7706を提供してもよい。この場合、器具のコストが比較され、並びにそれぞれの種類の器具の時間及び有効性が比較される。クラウドシステムは、異なる施設から使用例を取得すること、並びに他の施設及び医師が同じ処置をどのように取り扱うかを観察することによって、これらの提案を導いてもよい。
【0279】
いくつかの態様では、クラウドシステムはまた、処置中に処理されたデータ及びより大きな集団集合から集約される装置の結果又は成績のクラウド分析傾向に基づいて、外科用ハブ決定木及び術後ケアのローカル提案を提供するように構成されてもよい。
【0280】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、装置測定状況使用量に基づいて、術後ケア提案のための更新可能な決定木を提供してもよい。術後ケア決定は、最初に、医師が通常提案するであろう従来既知の応答から導かれてもよい。追加のデータが利用可能になると、例えば、他の施設からの術後ケアの種類を集約すること、又は新しい種類のケアを文献から若しくは新たな外科用装置の研究から分析することにより、決定をクラウドシステムによって更新することができる。決定木は、外科用ハブにおいて、グラフィカル形態で表示可能であってもよい。
【0281】
この決定木を使用する際、それぞれのノードについてフィードバックを提供して、現在の解決策がどのように有効であるかを示すことができる。データは、どのフィードバック患者が提供する可能性があるかに基づいて入力されてもよい。医師又はデータ管理者は、その時点で分析を何も行う必要はないが、クラウドシステムは、全てのデータを集約し、どの傾向が生じる可能性があるのかを観察することができる。次いで、フィードバックを提供して、決定木を更新することができる。
【0282】
いくつかの態様では、クラウドシステムは、術後の監視及び活動を提案するために、操作データ及び装置性能を組み込んでもよい。例えば、様々な患者の測定値により、術後ケアにおいてどの決定を取るべきかを変更されてもよい。これらの測定値には、(a)血圧、(b)低ヘマトクリット値、(c)PTT(部分トロンボプラスチン時間)、(d)INR(国際標準比)、(e)酸素飽和度、(f)通気の変化、及び(g)X線データを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0283】
別の実施例として、麻酔プロトコルは、どの術後決定を取るべきかに影響する可能性がある。これは、(a)投与される任意の流体、(b)麻酔時間、及び(3)いくつかの非限定的な実施例としての薬剤を考慮してもよい。
【0284】
別の実施例として、薬剤の種類もまた、役割を果たしてもよい。ワルファリンの投与は、顕著な一実施例である。患者は、例えば、異常PTT及びINRを術後に有する。患者は、ワルファリンを投与されているため、潜在的治療は、ビタミンK、第7因子、又は血漿(fpp)の送達を含む場合がある。プラビックスは、別の実施例となる可能性がある。患者は、異常PTT及びINRを術後に有する。患者は、プラビックスを投与されているため、ワルファリンの潜在的治療は、有効ではないであろう。代わりに、血小板を送達することは、決定木における提案であってもよい。
【0285】
第4の実施例として、処置の種類に依存する術後指示が提供されてもよい。いくつかの非限定的な例としては、固形食品に対する結腸直腸時間(運動性)、及び(b)身体活動及びPTまでの時間が挙げられる。これらの様々な決定は、決定木に反映することができ、分枝決定の種類の全ては、クラウドシステム内に記憶され、追加のデータが任意の接続された施設から得られるときに更新されてもよい。
【0286】
図31は、術後決定木がどのように分岐する可能性があるのかを決定する際に、いくつかのデータを変数として使用してもよい方法の様々な実施例を提供する。示すように、いくつかの要因7802は、手術に使用される発射力(FTF)、又は外科用装置で使用される閉鎖力(FTC)などの、外科用装置に使用されるパラメータを含んでもよい。グラフ7800は、FTC曲線及びFTF曲線がどのように互いに相互関係する場合があるのかという視覚的描写を示す。他の要因としては、圧縮速度、待ち時間、及びステープル適合性が挙げられる。これらの変数のうちのいくつかに基づいて、術後ケアの種類を調整する必要がある。この場合、多因子分析が適用され、これは、クラウドシステムのようなシステムの処理能力を補助することなく計算又は修正するには複雑すぎる場合がある。この実施例は、クラウドシステムによって提供される決定木7804が、単純な2次元決定木よりも大きくなる可能性があることを示唆している。単一の判定を行うために複数の変数を考慮するために、クラウドによって生成された決定木は、おそらく部分のみで視覚的に利用可能であってもよく、最終結論は、考慮されなかった全ての他の分岐の完全な表示なしに表示される必要がある場合がある。チャート7806は、決定木内で応答する方法の追加情報を提供する実施例であってもよい。
【0287】
状況認識
状況認識は、データベース及び/又は器具から受信したデータから外科処置に関連する情報を判定又は推測するための、外科用システムのいくつかの態様の能力である。情報は、実行されている処置の種類、手術されている組織の種類、又は処置の対象である体腔を含むことができる。外科処置に関連するコンテキスト情報により、外科用システムは、例えば、それに接続されたモジュール式装置(例えば、ロボットアーム及び/又はロボット外科用ツール)を制御し、外科手術の過程で外科医にコンテキスト上の情報又は提案を提供する手法を改善することができる。状況認識は、例えば、
図22~
図31に記載された機能のいずれかを実行かつ/又は改善するために適用されてもよい。
【0288】
ここで
図32を参照すると、例えば、外科用ハブ106又は206などのハブの状況認識を示す時間線5200が示されている。時間線5200は例示的な外科処置、及び外科用ハブ106、206が、外科処置の各工程でデータソースから受信したデータから導き出すことができるコンテキスト情報である。時間線5200は、手術室を設置することから開始し、患者を術後回復室に移送することで終了する肺区域切除手術の過程で、看護師、外科医、及び他の医療関係者によって取られるであろう典型的な工程を示す。
【0289】
状況認識外科用ハブ106、206は、外科処置の過程全体にわたって、医療関係者が外科用ハブ106、206とペアリングされたモジュール式装置を使用する度に生成されるデータを含むデータをデータソースから受信する。外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置及び他のデータソースからこのデータを受信して、任意の所与の時間に処置のどの工程が実施されているかなどの新しいデータが受信されると、進行中の処置に関する推定(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導くことができる。外科用ハブ106、206の状況認識システムは、例えば、レポートを生成するために処置に関するデータを記録する、医療関係者によって取られている工程を検証する、特定の処置工程に関連する場合があるデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイスクリーンを介して)提供する、コンテキストに基づいてモジュール式装置を調節する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像装置の視界(FOV)を調節する、又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更するなど)、及び上記の任意の他のこうした動作を行うことが可能である。
【0290】
この例示的な処置における第1の工程5202として、病院職員は、病院のEMRデータベースから患者のEMRを読み出す。EMRにおける選択された患者データに基づいて、外科用ハブ106、206は、実行される処置が胸郭処置であることを判定する。
【0291】
第2の工程5204では、職員は、処置のために入来する医療用品をスキャンする。外科用ハブ106、206は、スキャンされた用品を様々な種類の処置で利用される用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせ(mix of supplies)が胸郭処置に対応することを確認する。更に、外科用ハブ106、206はまた、処置が楔形処置ではないと判定することができる(入来する用品が、胸郭楔形処置に必要な特定の用品を含まないか、又は別の点で胸郭楔形処置に対応していないかのいずれかであるため)。
【0292】
第3の工程5206では、医療関係者は、外科用ハブ106、206に通信可能に接続されたスキャナを介して患者のバンドをスキャンする。続いて、外科用ハブ106、206は、スキャンされたデータに基づいて患者の識別情報を確認することができる。
【0293】
第4の工程5208では、医療スタッフが補助装置をオンにする。利用される補助装置は、外科処置の種類及び外科医によって使用される技術に従って変わり得るが、この例示的な場合では、これらとしては、排煙器、吸入器、及び医療用撮像装置が挙げられる。起動されると、モジュール式装置である補助装置は、その初期化プロセスの一部として、モジュール式装置の特定の近傍内に位置する外科用ハブ106、206と自動的にペアリングすることができる。続いて、外科用ハブ106、206は、この術前又は初期化段階中にそれとペアリングされるモジュール式装置の種類を検出することによって、外科処置に関するコンテキスト情報を導出することができる。この特定の実施例では、外科用ハブ106、206は、ペアリングされたモジュール式装置のこの特定の組み合わせに基づいて、外科処置がVATS手術であると判定する。患者のEMRからのデータの組み合わせ、手術に用いられる医療用品のリスト、及びハブに接続するモジュール式装置の種類に基づいて、外科用ハブ106、206は、外科チームが実施する特定の処置を概ね推定することができる。外科用ハブ106、206が、何の特定の処置が実施されているかを知ると、続いて外科用ハブ106、206は、メモリから、又はクラウドからその処置の工程を読み出して、次に接続されたデータソース(例えば、モジュール式装置及び患者監視装置)からその後受信したデータを相互参照して、外科処置のどの工程を外科チームが実行しているかを推定することができる。
【0294】
第5の工程5210では、職員は、EKG電極及び他の患者監視装置を患者に取り付ける。EKG電極及び他の患者監視装置は、外科用ハブ106、206とペアリングすることができる。外科用ハブ106、206が患者監視装置からデータの受信を開始すると、外科用ハブ106、206は患者が手術室にいることを確認する。
【0295】
第6の工程5212では、医療関係者は患者に麻酔を誘発する。外科用ハブ106、206は、例えば、EKGデータ、血圧データ、ベンチレータデータ、又はこれらの組み合わせを含む、モジュール式装置及び/又は患者監視装置からのデータに基づいて、患者が麻酔下にあることを推定することができる。第6の工程5212が完了すると、肺区域切除術の術前部分が完了し、手術部分が開始する。
【0296】
第7の工程5214では、操作されている患者の肺が虚脱される(換気が対側肺に切り替えられる間に)。外科用ハブ106、206は、例えば、患者の肺が虚脱されたことをベンチレータデータから推定することができる。外科用ハブ106、206は、患者の肺が虚脱したのを検出したことを、(事前にアクセス又は読み出すことができる)処置の予期される工程と比較することができるため、処置の手術部分が開始したことを推定して、それによって肺を虚脱させることがこの特定の処置における第1の手術工程であると判定することができる。
【0297】
第8の工程5216では、医療用撮像装置(例えば、スコープ)が挿入され、医療用撮像装置からのビデオ映像が開始される。外科用ハブ106、206は、医療用撮像装置への接続を通じて医療用撮像装置データ(すなわち、ビデオ又は画像データ)を受信する。医療用撮像装置データを受信すると、外科用ハブ106、206は、外科処置の腹腔鏡部分が開始したことを判定することができる。更に、外科用ハブ106、206は、実施されている特定の処置が、肺葉切除とは対照的に区域切除術であると判定することができる(処置の第2の工程5204で受信したデータに基づいて、楔形処置は外科用ハブ106、206によって既に割り引かれていることに留意されたい)。医療用撮像装置124(
図2)からのデータは、患者の解剖学的構造の可視化に関して配向されている医療用撮像装置の角度を判定することによる、用いられている(すなわち、起動されており、外科用ハブ106、206とペアリングされている)数又は医療用撮像装置を監視することによる、及び用いられている可視化装置の種類を監視することによる、ことを含む多くの異なる方法の中から実施されている処置の種類に関するコンテキスト情報を判定するために用いられ得る。例えば、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は、カメラを患者の胸腔の前下方角部の横隔膜上方に配置し、一方、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、カメラを、区域裂に対して前肋間位置に配置する。例えば、パターン認識又は機械学習技術を使用して、状況認識システムは、患者の解剖学的構造の可視化に基づいて、医療用撮像装置の位置を認識するように訓練され得る。別の例として、VATS肺葉切除術を実施するための1つの技術は単一の医療用撮像装置を利用するが、VATS区域切除術を実施するための別の技術は複数のカメラを利用する。更に別の例として、VATS区域切除術を実施するための1つの技術は、区域裂を可視化するために赤外線光源(可視化システムの一部として外科用ハブに通信可能に連結され得る)を使用し、これはVATS肺葉切除術では使用されない。医療用撮像装置からのこのデータのいずれか又は全てを追跡することによって、外科用ハブ106、206は、実行中の特定の種類の外科処置、及び/又は特定の種類の外科処置に使用されている技術を判定することができる。
【0298】
第9の工程5218で、外科チームは、処置の切開工程を開始する。外科用ハブ106、206は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器からのデータを受信するため、外科医が患者の肺を切開して分離するプロセスにあると推定することができる。外科用ハブ106、206は、受信されたデータを外科処置の読み出しされた工程と相互参照して、プロセスのこの時点(すなわち、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定することができる。特定の例では、エネルギー器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられたエネルギーツールであり得る。
【0299】
第10の工程5220で、外科チームは、処置の結紮工程に進む。外科用ハブ106、206は、器具が発射されていることを示す外科用ステープル留め及び切断器具からのデータを受信するため、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推定することができる。前工程と同様に、外科用ハブ106、206は、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、読み出しされたプロセス内の工程と相互参照することによって、この推定を導出することができる。特定の例では、外科用器具は、ロボット外科システムのロボットアームに取り付けられた外科用ツールであり得る。
【0300】
第11の工程5222では、処置の区域切除部分が実施される。外科用ハブ106、206は、そのカートリッジからのデータを含む外科用ステープル留め及び切断器具からのデータに基づいて、外科医が実質組織を横切開していると推定することができる。カートリッジのデータは、例えば、器具によって発射されるステープルのサイズ又は種類に対応することができる。異なる種類のステープルが異なる種類の組織に利用されているため、カートリッジのデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織の種類を示すことができる。この場合、発射されるステープルの種類は実質組織(又は他の同様の組織種)に用いられ、これにより、外科用ハブ106、206は、処置の区域切除部分が実行されていると推定することができる。
【0301】
続いて第12の工程5224で、結節切開工程が実行される。外科用ハブ106、206は、RF又は超音波器具が発射されていることを示す発生器から受信したデータに基づいて、外科チームが結節を切開し、漏れ試験を実施していると推定することができる。この特定の処置の場合、実質組織が横切開された後に用いられるRF又は超音波器具は結節切開工程に対応しており、この結節切開工程により外科用ハブ106、206がこの推定を行うことが可能となる。異なる器具が特定の作業に対してより良好に適合するため、外科医は、処置中の特定の工程に応じて、定期的に外科用ステープル留め/切断器具と外科用エネルギー(すなわち、RF又は超音波)器具との間で交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め/切断器具及び外科用エネルギー器具が使用される特定のシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実施中であるかを示すことができる。更に、特定の例では、外科処置中の1つ以上の工程にロボットツールを使用することができ、かつ/又は外科処置中の1つ以上の工程にハンドヘルド外科用器具を使用することができる。外科医(複数可)は、例えば、ロボットツールとハンドヘルド外科用器具とを順に交代させることができ、かつ/又は、例えば、装置を同時に使用することができる。第12の工程5224が完了すると、切開部が閉鎖され、処置の術後部分が開始する。
【0302】
第13の工程5226では、患者の麻酔が逆転される。外科用ハブ106、206は、例えば、ベンチレータデータに基づいて(すなわち、患者の呼吸速度が増加し始める)、患者が麻酔から覚醒しつつあると推定することができる。
【0303】
最後に、第14の工程5228は、医療関係者が患者から様々な患者監視装置を除去することである。したがって、外科用ハブ106、206は、ハブがEKG、BP、及び患者監視装置からの他のデータを喪失したとき、患者が回復室に移送されていると推定することができる。この例示的な処置の説明から分かるように、外科用ハブ106、206と通信可能に連結された各種データソースから受信されたデータに基づいて、外科用ハブ106、206は、所与の外科処置の各工程が発生しているときを判定又は推定することができる。
【0304】
状況認識については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2017年12月28日出願の「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する米国特許仮出願第62/611,341号で更に説明されている。特定の例では、例えば本明細書で開示される様々なロボット外科システムを含むロボット外科システムの動作は、その状況認識、及び/若しくはその構成要素からのフィードバックに基づいて、並びに/又はクラウド102からの情報に基づいて、ハブ106、206によって制御され得る。
【0305】
本明細書に記載される主題の様々な態様は、以下の番号付けされた実施例において説明される。
【0306】
実施例1.クラウドベースの分析医療システムであって、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、少なくとも1つのメモリに常駐し、データを記憶するように構成されたデータベースと、を含み、少なくとも1つのメモリは、複数の医療用ハブから患者転帰データを集約することであって、患者転帰データは、患者処置において実行される工程及びそれぞれの工程の対応するタイミングに関するデータと、実行されるそれぞれの患者処置の転帰に関するデータと、患者処置において使用される医療資源に関するデータと、医療資源に関するそれぞれのデータ項目について、医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと、患者処置の転帰に関するそれぞれのデータ項目について、転帰が成功であるか失敗であるかの表示に関するデータと、を含む、ことと、複数の医療用ハブから医療資源取得データを集約することと、患者転帰データからの肯定的な転帰と資源取得データとの相関関係を判定することと、相関関係に基づいて、医療資源取得の実務を変更するための医療提案を生成することと、医療提案を異なる医療施設に位置する複数の医療用ハブに表示させることと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、クラウドベースの分析医療システム。
【0307】
実施例2.少なくとも1つのメモリは、特定の医療施設の患者転帰データ及び資源取得データを評価することと、特定の医療施設の評価された患者転帰データ及び資源取得データと集約された患者転帰データとの比較に基づいて、特定の医療施設のパフォーマンスのレベルが他の医療施設と比べて平均未満であると判定することと、特定の医療施設での実務を変更するための限局的提案を生成することと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0308】
実施例3.限局的提案は、外科医の経験レベルを考慮するように医療処置を見直す命令を含む、実施例1~2のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0309】
実施例4.限局的提案は、第1の製品の在庫を削減し、第2の製品の在庫を増加させるように資源在庫管理を見直す命令を含む、実施例1~3のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0310】
実施例5.少なくとも1つのメモリは、地理的領域に属する医療施設の患者転帰データ及び資源取得データを評価することと、地理的領域における医療施設の評価された患者転帰データ及び資源取得データと集約された患者転帰データとの比較に基づいて、地理的領域における医療施設のパフォーマンスのレベルが医療施設のグローバル平均と比べて平均未満であると判定することと、地理的領域に属する医療施設での実務を変更するための地域別の提案を生成することと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例1~4のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0311】
実施例6.少なくとも1つのメモリは、集団のデモグラフィックスにおける期待される変化を示す傾向分析を実行することと、傾向分析に基づいて、デモグラフィックスにおける期待される変化に対処するように、医療処置又は1つ以上の医療製品の在庫をある期間にわたって変更する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例1~5のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0312】
実施例7.少なくとも1つのメモリは、医療処置を実施するための第1の方法のパフォーマンスメトリクスを、同じ医療処置を実施するための第2の方法のパフォーマンスメトリクスと比較することと、パフォーマンス比較に基づいて、医療処置を実施するための第1の方法を実行する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施例1~6のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0313】
実施例8.クラウドベースの分析システムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータ可読命令は、複数の医療用ハブから患者転帰データを集約することであって、患者転帰データは、患者処置において実行される工程及びそれぞれの工程の対応するタイミングに関するデータと、実行されるそれぞれの患者処置の転帰に関するデータと、患者処置において使用される医療資源に関するデータと、医療資源に関するそれぞれのデータ項目について、医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと、患者処置の転帰に関するそれぞれのデータ項目について、転帰が成功であるか失敗であるかの表示に関するデータと、を含む、ことと、複数の医療用ハブから医療資源取得データを集約することと、患者転帰データからの肯定的な転帰と資源取得データとの相関関係を判定することと、相関関係に基づいて、医療資源取得の実務を変更するための医療提案を生成することと、医療提案を異なる医療施設に位置する複数の医療用ハブに表示させることと、を行うためにクラウドベースの分析システムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
【0314】
実施例9.命令は、特定の医療施設の患者転帰データ及び資源取得データを評価することと、特定の医療施設の評価された患者転帰データ及び資源取得データと集約された患者転帰データとの比較に基づいて、特定の医療施設のパフォーマンスのレベルが他の医療施設と比べて平均未満であると判定することと、特定の医療施設での実務を変更するための限局的提案を生成することと、を行うために更に実行可能である、実施例8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0315】
実施例10.限局的提案は、外科医の経験レベルを考慮するように医療処置を見直す命令を含む、実施例8~9のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0316】
実施例11.限局的提案は、第1の製品の在庫を削減し、第2の製品の在庫を増加させるように資源在庫管理を見直す命令を含む、実施例8~10のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0317】
実施例12.命令は、地理的領域に属する医療施設の患者転帰データ及び資源取得データを評価することと、地理的領域における医療施設の評価された患者転帰データ及び資源取得データと集約された患者転帰データとの比較に基づいて、地理的領域における医療施設のパフォーマンスのレベルが医療施設のグローバル平均と比べて平均未満であると判定することと、地理的領域に属する医療施設での実務を変更するための地域別の提案を生成することと、を行うために更に実行可能である、実施例8~11のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0318】
実施例13.命令は、集団のデモグラフィックスにおける期待される変化を示す傾向分析を実行することと、傾向分析に基づいて、デモグラフィックスにおける期待される変化に対処するように、医療処置又は1つ以上の医療製品の在庫をある期間にわたって変更する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うように更に構成されている、実施例8~12のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0319】
実施例14.命令は、医療処置を実施するための第1の方法のパフォーマンスメトリクスを、同じ医療処置を実施するための第2の方法のパフォーマンスメトリクスと比較することと、パフォーマンス比較に基づいて、医療処置を実施するための第1の方法を実行する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うように更に構成されている、実施例8~13のいずれか1つに記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0320】
実施例15.クラウドベースの分析医療システムであって、少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、少なくとも1つのメモリに常駐し、データを記憶するように構成されたデータベースと、含み、少なくとも1つのメモリは、複数の医療用ハブからの医療器具データを集約することであって、医療器具データは、医療装置の物理的及びパフォーマンスパラメータに関するデータと、医療装置に関するそれぞれのデータについて、医療装置を利用した医療処置に関する使用データと、それぞれの医療処置について、医療処置の転帰、及び医療処置中の医療装置の状態のステータスと、を含む、ことと、医療処置の転帰とそれぞれの医療処置において利用される医療装置の状態のステータスとの相関関係を判定することと、目下の医療処置に関してライブ医療処置データにアクセスすることであって、ライブ医療処置データは、目下の医療処置を実行している手術室にある医療装置の記述を含む、ことと、転帰と利用される医療装置との判定された相関関係に基づいて、目下の医療処置における医療装置の記述におけるイレギュラー性を判定することと、目下の医療処置の手術室で利用される医療通信ハブにアラートを提供することと、を行うために、少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、クラウドベースの分析医療システム。
【0321】
実施例16.手術室にある医療装置は、手動医療器具及びロボット医療器具を含む、実施例15に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0322】
実施例17.少なくとも1つのプロセッサは、提供されたアラートと連携して、目下の医療処置における医療装置のファームウェア又はソフトウェアの変更を生成するように更に構成されている、実施例15~16のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0323】
実施例18.イレギュラー性は、医療処置に関する集約された医療器具データと整合しない、目下の医療処置における医療装置の医療資源の使用を含む、実施例15~17のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0324】
実施例19.アラートは、目下の医療処置における医療装置の発射又はクランプ速度を変更する命令を含む、実施例15~18のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0325】
実施例20.アラートは、目下の医療処置における医療装置の超音波ブレードの長さを変更する命令を含む、実施例15~19のいずれか1つに記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0326】
いくつかの形態が例示され説明されてきたが、添付の「特許請求の範囲」をそのような詳述に制限又は限定することは、本出願人が意図するところではない。多数の修正、変形、変化、置換、組み合わせ及びこれらの形態の等価物を実装することができ、本開示の範囲から逸脱することなく当業者により想到されるであろう。更に、記述する形態に関連した各要素の構造は、その要素によって行われる機能を提供するための手段として代替的に説明することができる。また、材料が特定の構成要素に関して開示されているが、他の材料が使用されてもよい。したがって、上記の説明文及び添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、組み合わせ、及び変形を、開示される形態の範囲に含まれるものとして網羅することを意図としたものである点を理解されたい。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような修正、変形、変化、置換、修正、及び等価物を網羅することを意図する。
【0327】
上記の詳細な説明は、ブロック図、フローチャート、及び/又は実施例を用いて装置及び/又はプロセスの様々な形態について記載してきた。そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例が1つ以上の機能及び/又は動作を含む限り、当業者に理解されたいこととして、そのようなブロック図、フローチャート、及び/又は実施例に含まれる各機能及び/又は動作は、多様なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの事実上の任意の組み合わせによって、個々にかつ/又は集合的に実装することができる。当業者には、本明細書で開示される形態のうちのいくつかの態様の全部又は一部が、1台以上のコンピュータ上で稼働する1つ以上のコンピュータプログラムとして(例えば、1台以上のコンピュータシステム上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、1つ以上のプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして(例えば、1つ以上のマイクロプロセッサ上で稼働する1つ以上のプログラムとして)、ファームウェアとして、又はこれらの実質的に任意の組み合わせとして集積回路上で等価に実現することができ、また、回路を設計すること、並びに/又はソフトウェア及び/若しくはファームウェアのコードを記述することは、本開示を鑑みれば当業者の技能の範囲内に含まれることが理解されよう。更に、当業者には理解されることとして、本明細書に記載した主題の機構は、多様な形式で1つ以上のプログラム製品として配布されることが可能であり、本明細書に記載した主題の具体的な形態は、配布を実際に行うために使用される信号搬送媒体の特定の種類にかかわらず用いられる。
【0328】
様々な開示された態様を実行するように論理をプログラムするために使用される命令は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、又は他のストレージなどのシステム内メモリに記憶され得る。更に、命令は、ネットワークを介して、又は他のコンピュータ可読媒体によって分配され得る。したがって、機械可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で情報を記憶又は送信するための任意の機構が挙げられてもよいが、フロッピーディスケット、光ディスク、コンパクトディスク、読み出し専用メモリ(CD-ROM)、並びに磁気光学ディスク、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、磁気若しくは光カード、フラッシュメモリ、又は、電気的、光学的、音響的、若しくは他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)を介してインターネットを介した情報の送信に使用される有形機械可読ストレージに限定されない。したがって、非一時的コンピュータ可読媒体としては、機械(例えば、コンピュータ)によって読み出し可能な形態で電子命令又は情報を記憶又は送信するのに好適な任意の種類の有形機械可読媒体が挙げられる。
【0329】
本明細書の任意の態様で使用されるとき、用語「制御回路」は、例えば、ハードワイヤード回路、プログラマブル回路(例えば、1つ以上の個々の命令処理コアを含むコンピュータプロセッサ、処理ユニット、プロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコントローラユニット、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、プログラマブル論理機構(PLD)、プログラマブル論理アレイ(PLA)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA))、状態機械回路、プログラマブル回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及びこれらの任意の組み合わせを指すことができる。制御回路は、集合的に又は個別に、例えば、集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、システムオンチップ(SoC)、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、サーバ、スマートフォンなどの、より大きなシステムの一部を形成する回路として具現化されてもよい。したがって、本明細書で使用するとき、「制御回路」としては、少なくとも1つの個別の電気回路を有する電気回路、少なくとも1つの集積回路を有する電気回路、少なくとも1つの特定用途向け集積回路を有する電気回路、コンピュータプログラムによって構成された汎用コンピューティング装置(例えば、本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成された汎用コンピュータ、又は本明細書で説明したプロセス及び/若しくは装置を少なくとも部分的に実行するコンピュータプログラムによって構成されたマイクロプロセッサ)を形成する電気回路、メモリ装置(例えば、ランダムアクセスメモリの形態)を形成する電気回路、及び/又は通信装置(例えばモデム、通信スイッチ、又は光-電気設備)を形成する電気回路が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、本明細書で述べた主題が、アナログ若しくはデジタルの形式又はこれらのいくつかの組み合わせで実現されてもよいことを認識するであろう。
【0330】
本明細書の任意の態様で使用される場合、用語「論理」は、前述の動作のいずれかを実行するように構成されたアプリケーション、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は回路を指してもよい。ソフトウェアは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に記録されたソフトウェアパッケージ、コード、命令、命令セット、及び/又はデータとして具現化されてもよい。ファームウェアは、メモリ装置内のコード、命令、若しくは命令セット、及び/又はハードコードされた(例えば、不揮発性の)データとして具現化されてもよい。
【0331】
本明細書の任意の態様で使用するとき、用語「構成要素」、「システム」、「モジュール」などは、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせ、ソフトウェア、又は実行中のソフトウェアのどちらかであるコンピュータ関連エンティティを指すことができる。
【0332】
本明細書の任意の態様で使用するとき、「アルゴリズム」とは、所望の結果につながる工程の自己無撞着シーケンスを指し、「工程」とは、必ずしも必要ではないが、記憶、転送、結合、比較、及び別様に操作されることが可能な電気又は磁気信号の形態をなすことができる物理量及び/又は論理状態の操作を指す。これらの信号を、ビット、値、要素、記号、文字、用語、番号などとして言及することが一般的な扱い方である。これらの及び類似の用語は、適切な物理量と関連付けられてもよく、また単に、これらの量及び/又は状態に適用される便利なラベルである。
【0333】
ネットワークとしては、パケット交換ネットワークが挙げられてもよい。通信装置は、選択されたパケット交換ネットワーク通信プロトコルを使用して、互いに通信することができる。1つの例示的な通信プロトコルとしては、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)を使用して通信を可能にすることができるイーサネット通信プロトコルを挙げることができる。イーサネットプロトコルは、Institute of Electrical and Electronics Engineers(IEEE)によって発行された2008年12月発行の表題「IEEE802.3 Standard」、及び/又は本規格の後のバージョンのイーサネット規格に準拠するか、又は互換性があってもよい。代替的に又は追加的に、通信装置は、X.25通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。X.25通信プロトコルは、International Telecommunication Union-Telecommunication Standardization Sector(ITU-T)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があってもよい。代替的に又は追加的に、通信装置は、フレームリレー通信プロトコルを使用して互いに通信することができる。フレームリレー通信プロトコルは、Consultative Committee for International Telegraph and Telephone(CCITT)及び/又はthe American National Standards Institute(ANSI)によって公布された規格に準拠するか、又は互換性があってもよい。代替的に又は追加的に、送受信機は、非同期転送モード(ATM)通信プロトコルを使用して互いに通信することが可能であってもよい。ATM通信プロトコルは、ATM Forumによって「ATM-MPLS Network Interworking2.0」という題で2001年8月に公開されたATM規格及び/又は本規格の後のバージョンに準拠するか、又は互換性があってもよい。当然のことながら、異なる及び/又は後に開発されたコネクション型ネットワーク通信プロトコルは、本明細書で等しく企図される。
【0334】
別段の明確な定めがない限り、前述の開示から明らかなように、前述の開示全体を通じて、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「表示する」などの用語を使用する議論は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内で物理(電子的)量として表現されるデータを、コンピュータシステムのメモリ若しくはレジスタ又はそのような情報記憶、伝送、若しくは表示装置内で物理量として同様に表現される他のデータへと操作し変換する、コンピュータシステム又は類似の電子計算装置の動作及び処理を指していることが理解されよう。
【0335】
1つ以上の構成要素が、本明細書中で、「ように構成される(configured to)」、「ように構成可能である(configurable to)」、「動作可能である/ように動作する(operable/operative to)」、「適合される/適合可能である(adapted/adaptable)」、「ことが可能である(able to)」、「準拠可能である/準拠する(conformable/conformed to)」などと言及されてもよい。当業者は、「ように構成される」は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、アクティブ状態の構成要素及び/又は非アクティブ状態の構成要素及び/又はスタンドバイ状態の構成要素を包含し得ることを理解するであろう。
【0336】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用器具のハンドル部分を操作する臨床医を基準として使用される。「近位」という用語は、臨床医に最も近い部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れた位置にある部分を指す。便宜上及び明確性のために、「垂直」、「水平」、「上」、及び「下」などの空間的用語が、本明細書において図面に対して使用されてもよいことが更に理解されよう。しかしながら、外科用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は限定的及び/又は絶対的であることを意図したものではない。
【0337】
当業者は、一般に、本明細書で使用され、かつ特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本文)で使用される用語は、概して「オープンな」用語として意図されるものである(例えば、「含む(including)」という用語は、「~を含むが、それらに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「~を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「~を含むが、それらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきであるなど)ことを理解するであろう。更に、導入された請求項記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、かかる意図は当該請求項中に明確に記載され、またかかる記載がない場合は、かかる意図は存在しないことが、当業者には理解されるであろう。例えば、理解を助けるものとして、後続の添付の特許請求の範囲は、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」という導入句を、請求項記載を導入するために含むことがある。しかしながら、かかる句の使用は、「a」又は「an」という不定冠詞によって請求項記載を導入した場合に、たとえ同一の請求項内に「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句及び「a」又は「an」という不定冠詞が含まれる場合であっても、かかる導入された請求項記載を含むいかなる特定の請求項も、かかる記載事項を1つのみ含む請求項に限定されると示唆されるものと解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味するものと解釈されるべきである)。定冠詞を使用して請求項記載を導入する場合にも、同様のことが当てはまる。
【0338】
更に、導入された請求項記載において特定の数が明示されている場合であっても、かかる記載は、典型的には、少なくとも記載された数を意味するものと解釈されるべきであることが、当業者には認識されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、一般的に、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類する表記が用いられる場合、一般に、かかる構文は、当業者がその表記を理解するであろう意味で意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定するものではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全てなどを有するシステムを含む)。更に、典型的には、2つ若しくは3つ以上の選択的な用語を表わすあらゆる選言的な語及び/又は句は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、明細書内であろうと、請求の範囲内であろうと、あるいは図面内であろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」という句は、典型的には、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むものと理解されよう。
【0339】
添付の特許請求の範囲に関して、当業者は、本明細書における引用した動作は一般に、任意の順序で実施されてもよいことを理解するであろう。また、様々な動作のフロー図がシーケンス(複数可)で示されているが、様々な動作は、例示されたもの以外の順序で行われてもよく、又は同時に行われてもよいことが理解されるべきである。かかる代替の順序付けの例は、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除いて、重複、交互配置、割り込み、再順序付け、増加的、予備的、追加的、同時、逆、又は他の異なる順序付けを含んでもよい。更に、「~に応答する」、「~に関連する」といった用語、又は他の過去時制の形容詞は、一般に、文脈上他の意味に解釈すべき場合を除き、かかる変化形を除外することが意図されるものではない。
【0340】
「一態様」、「態様」、「例示」、「一例示」などへの任意の参照は、その態様に関連して記載される特定の機構、構造、又は特性が少なくとも1つの態様に含まれると意味することは特記に値する。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に見られる語句「一態様では」、「態様では」、「例示では」、及び「一例示では」は、必ずしも全てが同じ態様を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の態様において任意の好適な手法で組み合わせてもよい。
【0341】
本明細書で参照され、かつ/又は任意の出願データシートに列挙される任意の特許出願、特許、非特許刊行物、又は他の開示資料は、組み込まれる資料が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参考として本明細書に組み込まれているあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。現行の定義、見解、又は本明細書に記載されるその他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は本明細書に参考として組み込まれるものとするが、参照内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、参照されるものとする。
【0342】
要約すると、本明細書に記載した構想を用いる結果として得られる多くの利益が記載されてきた。1つ以上の形態の上述の記載は、例示及び説明を目的として提示されているものである。包括的であることも、開示された厳密な形態に限定することも意図されていない。上記の教示を鑑みて、修正又は変形が可能である。1つ以上の形態は、原理及び実際の応用について例示し、それによって、様々な形態を様々な修正例と共に、想到される特定の用途に適するものとして当業者が利用できるようにするために、選択され記載されたものである。本明細書と共に提示される特許請求の範囲が全体的な範囲を定義することが意図される。
【0343】
〔実施の態様〕
(1) クラウドベースの分析医療システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、
前記少なくとも1つのメモリに常駐し、前記データを記憶するように構成されたデータベースと、を備え、
前記少なくとも1つのメモリは、
前記複数の医療用ハブから患者転帰データを集約することであって、前記患者転帰データは、
患者処置において実行される工程及びそれぞれの工程の対応するタイミングに関するデータと、
実行されるそれぞれの患者処置の転帰に関するデータと、
前記患者処置において使用される医療資源に関するデータと、
前記医療資源に関するそれぞれのデータ項目について、
前記医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと、
前記患者処置の前記転帰に関するそれぞれのデータ項目について、
前記転帰が成功であるか失敗であるかの表示に関するデータと、を含む、ことと、
前記複数の医療用ハブから医療資源取得データを集約することと、
前記患者転帰データからの肯定的な転帰と前記資源取得データとの相関関係を判定することと、
前記相関関係に基づいて、医療資源取得の実務を変更するための医療提案を生成することと、
前記医療提案を異なる医療施設に位置する複数の医療用ハブに表示させることと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、クラウドベースの分析医療システム。
(2) 前記少なくとも1つのメモリは、
特定の医療施設の前記患者転帰データ及び前記資源取得データを評価することと、
前記特定の医療施設の評価された前記患者転帰データ及び前記資源取得データと集約された前記患者転帰データとの比較に基づいて、前記特定の医療施設のパフォーマンスのレベルが他の医療施設と比べて平均未満であると判定することと、
前記特定の医療施設での実務を変更するための限局的提案を生成することと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(3) 前記限局的提案は、外科医の経験レベルを考慮するように医療処置を見直す命令を含む、実施態様2に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(4) 前記限局的提案は、第1の製品の在庫を削減し、第2の製品の在庫を増加させるように資源在庫管理を見直す命令を含む、実施態様2に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(5) 前記少なくとも1つのメモリは、
地理的領域に属する医療施設の前記患者転帰データ及び前記資源取得データを評価することと、
前記地理的領域における前記医療施設の評価された前記患者転帰データ及び前記資源取得データと集約された前記患者転帰データとの比較に基づいて、前記地理的領域における前記医療施設のパフォーマンスのレベルが医療施設のグローバル平均と比べて平均未満であると判定することと、
前記地理的領域に属する前記医療施設での実務を変更するための地域別の提案を生成することと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【0344】
(6) 前記少なくとも1つのメモリは、
集団のデモグラフィックスにおける期待される変化を示す傾向分析を実行することと、
前記傾向分析に基づいて、前記デモグラフィックスにおける期待される変化に対処するように、医療処置又は1つ以上の医療製品の在庫をある期間にわたって変更する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(7) 前記少なくとも1つのメモリは、
同じ医療処置を実施するための第2の方法のパフォーマンスメトリクスと、
前記パフォーマンス比較に基づいて、前記医療処置を実施するための前記第1の方法を実行する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、実施態様1に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(8) クラウドベースの分析システムの少なくとも1つのプロセッサによって実行可能なコンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読命令は、
複数の医療用ハブから患者転帰データを集約することであって、前記患者転帰データは、
患者処置において実行される工程及びそれぞれの工程の対応するタイミングに関するデータと、
実行されるそれぞれの患者処置の転帰に関するデータと、
前記患者処置において使用される医療資源に関するデータと、
前記医療資源に関するそれぞれのデータ項目について、
前記医療資源が割り当てられた医療施設を記述した位置データと、
前記患者処置の前記転帰に関するそれぞれのデータ項目について、
前記転帰が成功であるか失敗であるかの表示に関するデータと、を含む、ことと、
前記複数の医療用ハブから医療資源取得データを集約することと、
前記患者転帰データからの肯定的な転帰と前記資源取得データとの相関関係を判定することと、
前記相関関係に基づいて、医療資源取得の実務を変更するための医療提案を生成することと、
前記医療提案を異なる医療施設に位置する複数の医療用ハブに表示させることと、を行うために前記クラウドベースの分析システムの前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である、非一時的コンピュータ可読媒体。
(9) 前記命令は、
特定の医療施設の前記患者転帰データ及び前記資源取得データを評価することと、
評価された前記患者転帰データの比較に基づいて、前記特定の医療施設のパフォーマンスのレベルが他の医療施設と比べて平均未満であると判定することと、
前記特定の医療施設での実務を変更するための限局的提案を生成することと、を行うために更に実行可能である、実施態様8に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(10) 前記限局的提案は、外科医の経験レベルを考慮するように医療処置を見直す命令を含む、実施態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【0345】
(11) 前記限局的提案は、第1の製品の在庫を削減し、第2の製品の在庫を増加させるように資源在庫管理を見直す命令を含む、実施態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(12) 前記命令は、
地理的領域に属する医療施設の前記患者転帰データ及び前記資源取得データを評価することと、
前記地理的領域における前記医療施設の評価された前記患者転帰データ及び前記資源取得データと集約された前記患者転帰データとの比較に基づいて、前記地理的領域における前記医療施設のパフォーマンスのレベルが医療施設のグローバル平均と比べて平均未満であると判定することと、
前記地理的領域に属する前記医療施設での実務を変更するための地域別の提案を生成することと、を行うために更に実行可能である、実施態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(13) 前記命令は、
集団のデモグラフィックスにおける期待される変化を示す傾向分析を実行することと、
前記傾向分析に基づいて、前記デモグラフィックスにおける期待される変化に対処するように、医療処置又は1つ以上の医療製品の在庫をある期間にわたって変更する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うように更に構成されている、実施態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(14) 前記命令は、
医療処置を実施するための第1の方法のパフォーマンスメトリクスを、同じ医療処置を実施するための第2の方法のパフォーマンスメトリクスと比較することと、
前記パフォーマンス比較に基づいて、前記医療処置を実施するための前記第1の方法を実行する命令を示す予測モデリング提案を生成することと、を行うように更に構成されている、実施態様9に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
(15) クラウドベースの分析医療システムであって、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に結合された少なくとも1つのメモリと、
少なくとも1つの外科用器具とそれぞれ通信可能に結合された、複数の医療用ハブ通信装置からのデータにアクセスするように構成された入出力インターフェースと、
前記少なくとも1つのメモリに常駐し、前記データを記憶するように構成されたデータベースと、を備え、
前記少なくとも1つのメモリは、
前記複数の医療用ハブからの医療器具データを集約することであって、前記医療器具データは、
医療装置の物理的及びパフォーマンスパラメータに関するデータと、
前記医療装置に関するそれぞれのデータについて、
前記医療装置を利用した医療処置に関する使用データと、
それぞれの医療処置について、
前記医療処置の転帰、及び
前記医療処置中の前記医療装置の状態のステータスと、を含む、ことと、
前記医療処置の転帰と前記それぞれの医療処置において利用される前記医療装置の状態のステータスとの相関関係を判定することと、
目下の医療処置に関してライブ医療処置データにアクセスすることであって、前記ライブ医療処置データは、前記目下の医療処置を実行している手術室にある前記医療装置の記述を含む、ことと、
前記転帰と前記利用される医療装置との判定された前記相関関係に基づいて、前記目下の医療処置における前記医療装置の前記記述におけるイレギュラー性を判定することと、
前記目下の医療処置の前記手術室で利用される医療通信ハブにアラートを提供することと、を行うために、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行可能な命令を記憶している、クラウドベースの分析医療システム。
【0346】
(16) 前記手術室にある前記医療装置は、手動医療器具及びロボット医療器具を含む、実施態様15に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(17) 前記少なくとも1つのプロセッサは、提供された前記アラートと連携して、前記目下の医療処置における医療装置のファームウェア又はソフトウェアの変更を生成するように更に構成されている、実施態様15に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(18) 前記イレギュラー性は、前記医療処置に関する集約された前記医療器具データと整合しない、前記目下の医療処置における医療装置の医療資源の使用を含む、実施態様15に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(19) 前記アラートは、前記目下の医療処置における医療装置の発射又はクランプ速度を変更する命令を含む、実施態様15に記載のクラウドベースの分析医療システム。
(20) 前記アラートは、前記目下の医療処置における医療装置の超音波ブレードの長さを変更する命令を含む、実施態様15に記載のクラウドベースの分析医療システム。
【外国語明細書】