(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023100922
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】アジュバントワクチン
(51)【国際特許分類】
A61K 39/39 20060101AFI20230711BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20230711BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230711BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20230711BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230711BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20230711BHJP
A61K 39/09 20060101ALI20230711BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
A61K39/39
A61K9/19
A61K47/02
A61K47/22
A61K47/26
A61K39/00 G
A61K39/09
A61P37/04
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023078031
(22)【出願日】2023-05-10
(62)【分割の表示】P 2020523021の分割
【原出願日】2018-10-22
(31)【優先権主張番号】62/576,819
(32)【優先日】2017-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522242018
【氏名又は名称】メルク・シャープ・アンド・ドーム・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】バムバニ,アキレシュ
(72)【発明者】
【氏名】メディ,ムニースワラ・バブ
(72)【発明者】
【氏名】サルニコワ,マヤ
(72)【発明者】
【氏名】スミス,ウィリアム・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ティリオット,デイビッド・エス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】物理的に分離された、凍結乾燥抗原及びアジュバント成分を含むワクチン製剤を提供する。
【解決手段】(a)下記成分:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;及び任意に、
(3)水若しくは(4)水に溶かした抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合は、成分(3)又は(4)は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。];又は、(b)下記成分:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;
(3)任意に水;及び
(5)乾燥抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合は成分(3)、及び、成分(5)は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。]
を含む製造物とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性条件下でのアルミニウム化合物とリン酸化合物との間での反応の生成物を含む、
乾燥アルミニウムアジュバント。
【請求項2】
アジュバントが凍結乾燥ビーズである、請求項1に記載の乾燥アルミニウムアジュバン
ト。
【請求項3】
生成物が、リン酸アルミニウム、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウム、非晶質ヒドロ
キシリン酸硫酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムである、請求項1~2のいずれか1
項に記載の乾燥アルミニウムアジュバント。
【請求項4】
(1)請求項1~3のいずれか1項の乾燥アルミニウムアジュバント;
(2)乾燥抗原又は(3)水に溶かした抗原、及び、任意に、
(4)水
を含む製造物であって、
ここで、成分(1)、成分(2)又は(3)、及び、存在する場合、成分(4)が、そ
れぞれ互いに物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている製造物。
【請求項5】
成分(1)、(2)又は(3)、及び、存在する場合(4)の1以上が、塩、緩衝剤、
保存剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに含む、請求項4に記載の製造物。
【請求項6】
塩がNaClであり、緩衝剤がヒスチジンであり、界面活性剤がポリソルベートであり
、保存剤がm-クレゾール若しくはフェノールであり、そして、糖がトレハロース若しく
はショ糖である、請求項5に記載の製造物。
【請求項7】
成分(1)及び/又は(2)が、凍結乾燥ビーズとして提供される、請求項4に記載の
製造物。
【請求項8】
成分(1)及び(2)がそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供され、そして、製造物が、
成分(1)及び成分(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、及び、任意に、存
在する場合は成分(4)を含む第2の容器を含む、請求項7に記載の製造物。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項の成分を組み合わせることを含む、ワクチンの製造方法。
【請求項10】
(a)下記成分:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;及び任意に、
(3)水若しくは(4)水に溶かした抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合は、成分(3)又は(4)は
、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。];又は、(b)下記成分
:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;
(3)任意に水;及び
(5)乾燥抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合は成分(3)、及び、成分(
5)は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。]
を含む製造物。
【請求項11】
(a)において、成分(3)又は(4)が存在しない、請求項10に記載の製造物。
【請求項12】
(a)において、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合成分(3)又は(4)
の1以上が、塩、保存剤、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに含み;又は、(b)
において、成分(1)、成分(2)、成分(5)、及び存在する場合は成分(3)の1以
上が、塩、保存剤、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに含む、請求項10に記載の
製造物。
【請求項13】
塩がNaClであり、緩衝剤がヒスチジンであり、界面活性剤がポリソルベートであり
、そして、糖がショ糖、トレハロース若しくはそれらの組み合わせである、請求項12に
記載の製造物。
【請求項14】
成分(1)、(2)及び(5)が、凍結乾燥ビーズとして提供される、請求項10に記
載の製造物。
【請求項15】
請求項10に記載の製造物であって、ここで、
(a)において、成分(1)及び(2)がそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供され、そ
して、製造物は、成分(1)及び(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、及び
、任意に、存在する場合は、成分(3)又は(4)を含む第2の容器、を含み;
(b)において、成分(1)、(2)及び(5)がそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供さ
れ、製造物は、(i)成分(1)、(2)及び(5)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1
の容器、及び、任意に、存在する場合は成分(3)を含む第2の容器;又は、(ii)成
分(1)及び(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、任意に、存在する場合は
成分(3)を含む第2の容器、及び、成分(5)凍結乾燥ビーズを含む第3の容器、を含
む、
請求項10に記載の製造物。
【請求項16】
抗原が、
タンパク質;
毒素若しくはトキソイド;
多糖;
1以上の肺炎球菌多糖-タンパク質複合体;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の33~21価混合物、肺炎球菌多糖-タンパク質複
合体の21~15価混合物、肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の15~7価混合物、又は
1価肺炎球菌多糖-タンパク質複合体;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の33価混合物;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の21価混合物;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の15価混合物;
1価血清型3肺炎球菌多糖-タンパク質複合体;又は
1価血清型19A肺炎球菌多糖-タンパク質複合体
である、請求項4~8及び10~15のいずれか1項に記載の製造物。
【請求項17】
肺炎球菌多糖に結合したタンパク質が、CRM197、ジフテリア毒素断片B(DTF
B)、DTFBC8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷風トキソイド(TT)、TT
の断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、髄膜炎菌外膜タンパク質複合体(OM
PC)、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.coli)ST、緑膿菌(Pseu
domonas aeruginosa)からの外毒素A、分類不可能インフルエンザ菌
(Haemophilus influenza)からのタンパク質D、及びこれらの組
み合わせから選択されるキャリアタンパク質である、請求項16に記載の製造物。
【請求項18】
請求項16~17のいずれか1項の製造物中の成分を組み合わせることを含む、ワクチ
ンの製造方法。
【請求項19】
下記成分:
(1)乾燥された抗原(i)若しくは溶液での抗原(ii);
(2)乾燥アルミニウム含有及び/又はカルシウム含有試薬;及び
(3)乾燥リン酸試薬及び、任意に、塩基
を含む製造物であって;
ここで、成分(1)、(2)及び(3)のそれぞれが、他成分から物理的に分離され、
そして一緒にパッケージ化されており;
ここで、前記アルミニウム含有及び/又はカルシウム含有試薬及び前記リン酸試薬及び
任意に塩基は、水で再構成される時に反応してアジュバントを形成する、製造物。
【請求項20】
成分(1)(i)、成分(2)及び成分(3)が、それぞれ凍結乾燥ビーズとして提供
される、請求項19に記載の製造物。
【請求項21】
成分(1)(i)、成分(2)及び成分(3)がそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供さ
れ、そして、製造物が、成分(1)(i)、成分(2)及び成分(3)凍結乾燥ビーズの
混合物を含む第1の容器、及び、任意に、水を含む第2の容器を含む、請求項19に記載
の製造物。
【請求項22】
請求項19に記載の製造物の成分(1)~(3)を組み合わせることを含む、ワクチン
の製造方法。
【請求項23】
(1)約5以下のpHを有し、実質的に透明である、アルミニウム塩及びリン酸塩を含
む溶液;及び
(2)(1)の溶液に加えた時に反応及び沈殿を引き起こすのに十分な塩基及び抗原を
含む溶液;又は(1)の溶液に加えた時に反応及び沈殿を引き起こすのに十分な塩基及び
抗原を含む乾燥組成物
を含み;
ここで、(1)及び(2)のそれぞれは、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ
化されている製造物。
【請求項24】
(1)の溶液が、アルミニウム塩、リン酸塩、水を含み、そして、4未満のpHであり
、(2)の溶液若しくは乾燥組成物が、抗原、緩衝剤(pH6.0以上)、糖及び塩を含
む、請求項23に記載の製造物。
【請求項25】
請求項23~24のいずれか1項に記載の製造物の成分(1)及び(2)を組み合わせ
ることを含む、ワクチンの製造方法。
【請求項26】
(1)アルミニウム塩を含む溶液;及び
(2)リン酸塩、抗原、及び塩基を含む溶液[ここで、リン酸塩及び塩基は、(1)の
溶液と組み合わせた時に、アルミニウム及びリン酸塩を反応させて沈殿させる十分な量で
存在する。]
を含む製造物であって、
ここで、溶液(1)及び(2)のそれぞれは、物理的に分離され、そして一緒にパッケ
ージ化されている製造物。
【請求項27】
請求項26に記載の製造物の成分(1)及び(2)を組み合わせることを含む、ワクチ
ンの製造方法。
【請求項28】
塩基性条件下でアルミニウム化合物とリン酸化合物との間の反応の生成物であるアジュ
バントの成分を保存する方法であって、反応が全く起こらない条件下でアルミニウム及び
リン酸化合物を一緒に保存することを含む方法。
【請求項29】
反応が全く起こらない条件が、
(a)アルミニウム化合物及びリン酸化合物、及び、任意に塩基を物理的に分離した状
態に維持することによる;又は
(b)アルミニウム化合物及びリン酸化合物をpH約5未満で一緒に保存することによ
る、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(a)が、乾燥状態のアルミニウム化合物及び乾燥状態のリン酸化合物を単一の容器若
しくは機器に保存することを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
対象者に免疫付与する方法であって、請求項4、10、15、19、23及び26のい
ずれか1項に記載の製造物の成分を組み合わせてワクチン製剤を形成し、そして、ワクチ
ン製剤を対象者に投与することを含む方法。
【請求項32】
対象者における感染性疾患又はがんの治療又は予防方法であって、請求項31に記載の
方法によって対象者を免疫化することを含む方法。
【請求項33】
乾燥される成分が、凍結乾燥、マイクロ波真空乾燥又は噴霧乾燥される、請求項4、1
0、15、19、23及び26のいずれか1項に記載の製造物。
【請求項34】
乾燥された成分がリオスフィア(lyosphere)である、請求項33に記載の製
造物。
【請求項35】
対象者における感染性疾患又はがんを治療又は予防するためのワクチン製剤を形成する
ための、請求項4、10、15、19、23及び26のいずれか1項に記載の製造物の成
分の使用。
【請求項36】
対象者における感染性疾患又はがんの治療又は予防のためのワクチン製剤の製造用の、
請求項4、10、15、19、23及び26のいずれか1項に記載の製造物の成分。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者のワクチン接種に有用なワクチン製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
典型的には、液体製剤中のアルミニウムアジュバント(単独又はワクチン抗原とともに
)は、冷凍によってダメージを受ける。近年、アルミニウムアジュバントに対する冷凍ダ
メージを防止若しくは低減することができる製剤がいくつか報告されているが、アジュバ
ント及びワクチンの冷凍ダメージを防止する方法及び組成物は、非常に価値があると考え
られる。さらに、ワクチン熱安定性を高め、そして、ワクチンの製造、パッケージ化、貯
蔵及び使用における柔軟性を高める方法及び組成物が非常に価値が高いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5656597号
【特許文献2】国際公開WO2013066769号
【特許文献3】国際公開WO2014093206号
【特許文献4】国際公開WO2015057540号
【特許文献5】国際公開WO2015057541号
【特許文献6】国際公開WO2015057548号
【特許文献7】米国特許第4,389,794号
【特許文献8】米国特許第4,664,924号
【特許文献9】米国特許第4,809,596号
【特許文献10】米国特許第4,882,851号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、例えば、長期間にわたるワクチン成分の組み合わせによって有効性や免疫原性
が低下するが、短期間の組み合わせはワクチンにはダメージを与えず、有利である可能性
がある場合がある。本発明を適用することで、これら全ての分野において進歩があるもの
と考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、最終の容器又は送達機器におけるアルミニウムアジュバント及び/又はアル
ミニウムアジュバントワクチンの調製方法を提供する。本発明の1実施形態において、ア
ルミニウムアジュバントは、リン酸アルミニウム、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウム
及び/又は水酸化アルミニウム(例えば、Merckリン酸アルミニウムアジュバント(
MAPA)又はMerckアルミニウムアジュバント(MAA))を含む。
【0006】
1実施形態において、本発明は、塩基性条件下でのアルミニウム化合物とリン酸化合物
の間の反応の生成物を含む乾燥アルミニウムアジュバントを提供する。特定の実施形態に
おいて、アジュバントは、凍結乾燥ビーズ(lyobead)であり、さらなる実施形態
において、その生成物はリン酸アルミニウム、非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウム、非
晶質ヒドロキシリン酸硫酸アルミニウム又は水酸化アルミニウムである。
【0007】
本発明は、下記の成分:
(1)請求項1~3のいずれか1項の乾燥アルミニウムアジュバント;
(2)乾燥抗原若しくは(3)水に溶かした抗原、及び、任意に、
(4)水
を含む製造物であって、
成分(1)、成分(2)若しくは(3)、及び、存在する場合、成分(4)が、それぞ
れ互いに物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている製造物を提供する。
【0008】
特定の実施形態において、成分(1)、(2)又は(3)、及び、存在する場合(4)
のさらに一つが、塩、緩衝剤、保存剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに含む。
【0009】
特定の実施形態において、塩はNaClであり、緩衝剤はヒスチジンであり、界面活性
剤はポリソルベートであり、保存剤はm-クレゾール若しくはフェノールであり、糖はト
レハロース若しくはショ糖である。
【0010】
特定の実施形態において、成分(1)及び/又は(2)は、凍結乾燥ビーズとして提供
される。
【0011】
特定の実施形態において、成分(1)及び(2)はそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供
され、そして、製造物は、成分(1)及び成分(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1
の容器、及び、任意に、存在する場合に成分(4)を含む第2の容器を含む。
【0012】
本発明はさらに、上記成分を組み合わせることを含む、ワクチンの製造方法を提供する
。
【0013】
本発明はさらに、(a)下記成分:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;及び任意に、
(3)水若しくは(4)水に溶かした抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び存在する場合に成分(3)若しくは(4)は
、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。];又は、(b)下記成分
:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;
(3)任意に水;及び
(5)乾燥抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合成分(3)、及び成分(5)
は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。]
を含む製造物を提供する。
【0014】
(a)の特定の実施形態において、成分(3)又は(4)は存在しない。
【0015】
(a)の特定の実施形態において、成分(1)、成分(2)、及び存在する場合成分(
3)若しくは(4)の1以上が、塩、保存剤、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに
含み;又は(b)の特定の実施形態において、成分(1)、成分(2)、成分(5)、及
び存在する場合に成分(3)の1以上が、塩、保存剤、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖
をさらに含む。
【0016】
特定の実施形態において、塩はNaClであり、緩衝剤はヒスチジンであり、界面活性
剤はポリソルベートであり、糖はショ糖、トレハロース又はそれらの組み合わせである。
【0017】
特定の実施形態において、成分(1)、(2)及び(5)は、凍結乾燥ビーズとして提
供される。
【0018】
(a)の特定の実施形態において、成分(1)及び(2)はそれぞれ凍結乾燥ビーズと
して提供され、製造物は、成分(1)及び(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容
器、及び、任意に、存在する場合は成分(3)若しくは(4)を含む第2の容器を含み;
(b)の特定の実施形態において、成分(1)、(2)、及び(5)はそれぞれ凍結乾燥
ビーズとして提供され、製造物は、(i)成分(1)、(2)及び(5)凍結乾燥ビーズ
の混合物を含む第1の容器、及び、任意に、存在する場合は成分(3)を含む第2の容器
;又は、(ii)成分(1)及び(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器を含み
、任意に、存在する場合は成分(3)を含む第2の容器、及び、成分(5)凍結乾燥ビー
ズを含む第3の容器、を含む。
【0019】
上記製造物のさらなる実施形態において、抗原は、
タンパク質;
毒素若しくはトキソイド;
多糖;
1以上の肺炎球菌多糖-タンパク質複合体;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の33~21価混合物、肺炎球菌多糖-タンパク質複
合体の21~15価混合物、肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の15~7価混合物、又は
1価肺炎球菌多糖-タンパク質複合体;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の33価混合物;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の21価混合物;
肺炎球菌多糖-タンパク質複合体の15価混合物;
1価血清型3肺炎球菌多糖-タンパク質複合体;又は
1価血清型19A肺炎球菌多糖-タンパク質複合体
である。
【0020】
さらなる実施形態において、肺炎球菌多糖に結合したタンパク質は、CRM197、ジ
フテリア毒素断片B(DTFB)、DTFBC8、ジフテリアトキソイド(DT)、破傷
風トキソイド(TT)、TTの断片C、百日咳トキソイド、コレラトキソイド、髄膜炎菌
外膜タンパク質複合体(OMPC)、大腸菌(E.coli)LT、大腸菌(E.col
i)ST、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)からの外毒素A、
分類不可能インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)からのタ
ンパク質D、及びこれらの組み合わせから選択されるキャリアタンパク質である。
【0021】
本発明はさらに、既に開示されている製造物中で成分を組み合わせることを含むワクチ
ンの製造方法を提供する。
【0022】
本発明はさらに、下記成分:
(1)乾燥された抗原(i)若しくは溶液での抗原(ii);
(2)乾燥アルミニウム含有及び/又はカルシウム含有試薬;及び
(3)乾燥リン酸試薬、及び、任意に、塩基
を含む製造物であって;
ここで、成分(1)、(2)及び(3)のそれぞれは、他成分から物理的に分離され、
そして一緒にパッケージ化されており;そして
ここで、前記アルミニウム含有及び/又はカルシウム含有試薬及び前記リン酸試薬及び
任意に塩基を水で再構成される時に反応して、アジュバントを形成する、製造物を提供す
る。
【0023】
製造物のさらなる実施形態において、成分(1)(i)、成分(2)及び成分(3)は
それぞれ、凍結乾燥ビーズとして提供される。
【0024】
製造物のさらなる実施形態において、成分(1)(i)、成分(2)及び成分(3)は
それぞれ凍結乾燥ビーズとして提供され、そして、製造物は、成分(1)(i)、成分(
2)、及び成分(3)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、及び任意に、水を含む
第2の容器を含む。
【0025】
本発明はさらに、上記製造物の成分(1)~(3)を組み合わせることを含む、ワクチ
ンの製造方法を提供する。
【0026】
本発明はさらに、
(1)約5以下のpHを有し、実質的に透明である、アルミニウム塩及びリン酸塩を含
む溶液;及び
(2)(1)の溶液に加えた時に反応及び沈殿を引き起こすのに十分な塩基、及び抗原
を含む溶液;又は(1)の溶液に加えた時に反応及び沈殿を引き起こすのに十分な塩基、
及び抗原を含む乾燥組成物
を含み;
ここで、(1)及び(2)のそれぞれは、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ
化されている製造物を提供する。
【0027】
製造物のさらなる実施形態において、(1)の溶液は、アルミニウム塩、リン酸塩、水
、及び4未満のpHを含み、(2)の溶液若しくは乾燥組成物は、抗原、緩衝剤(pH6
.0以上)、糖及び塩を含む。
【0028】
本発明はさらに、上記製造物の成分(1)及び(2)を組み合わせることを含む、ワク
チンの製造方法を提供する。
【0029】
本発明はさらに、
(1)アルミニウム塩を含む溶液;及び
(2)リン酸塩、抗原及び塩基を含む溶液[ここで、リン酸塩及び塩基は、(1)の溶
液と組み合わせた時に、アルミニウム及びリン酸塩を反応させて沈殿させる十分な量で存
在する。]
を含む製造物であって、
ここで、溶液(1)及び(2)のそれぞれは、物理的に分離され、そして一緒にパッケ
ージ化されている製造物を提供する。
【0030】
本発明はさらに、上記製造物の成分(1)及び(2)を組み合わせることを含む、ワク
チンの製造方法を提供する。
【0031】
本発明はさらに、塩基性条件下でアルミニウム化合物とリン酸化合物との間の反応の生
成物であるアジュバントの成分を保存する方法であって、反応が全く起こらない条件下で
アルミニウム化合物及びリン酸化合物を一緒に保存することを含む方法を提供する。
【0032】
製造物のさらなる実施形態において、反応が全く起こらない条件は、
(a)アルミニウム化合物及びリン酸化合物、及び任意に塩基を物理的に分離した状態
に維持することにより;又は
(b)アルミニウム化合物及びリン酸化合物をpH約5未満で一緒に保存することによ
る。
【0033】
製造物のさらなる実施形態において、(a)は、乾燥状態の前記アルミニウム化合物及
び乾燥状態の前記リン酸化合物を単一の容器若しくは機器に保存することを含む。
【0034】
本発明はさらに、対象者に免疫付与する方法であって、請求項4、10、15、19、
23及び26のいずれか1項の製造物の成分を組み合わせてワクチン製剤を形成し、そし
てワクチン製剤を対象者に投与することを含む方法を提供する。特定の実施形態において
、方法は、対象者における感染性疾患又はがんの治療又は予防に用いられる。
【0035】
本発明は、乾燥される成分が、凍結乾燥、マイクロ波真空乾燥又は噴霧乾燥される、本
明細書で開示の製造物を提供する。さらなる実施形態において、前記乾燥成分はリオスフ
ィア(lyosphere)である。
【0036】
本発明はさらに、対象者における感染性疾患又はがんを治療又は予防するためのワクチ
ン製剤を形成するための、本明細書で開示の製造物の成分の使用を提供する。
【0037】
本発明はさらに、対象者における感染性疾患又はがんの治療又は予防のためのワクチン
製剤の製造のための本明細書で開示の製造物の成分を提供する。
【0038】
本発明はさらに、次の成分:(1)乾燥アルミニウムアジュバント;及び(2)抗原、
及び、任意に(3)水を含む組成物を含む製造物(例えば、機器又は容器)であって、こ
こで、(i)抗原が水に溶解しており、又は(ii)組成物がさらに、凍結乾燥した抗原
を含み;ここで、(1)及び(2)及び(3)が、物理的に分離され、そして一緒にパッ
ケージ化されている製造物を提供する。成分(1)及び/又は(2)及び/又は(3)は
、任意に、塩(例えば、NaCl)、緩衝剤、保存剤(例えば、m-クレゾール又はフェ
ノール)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート20又はポリソルベート80)、及び/
又は糖(例えば、ショ糖又はトレハロース)をさらに含む。
【0039】
本発明はまた、下記の成分:(1)凍結乾燥したアルミニウム塩;(2)凍結乾燥した
リン酸化合物;及び(3)任意に水及び/又は抗原(例えば、タンパク質;毒素又はトキ
ソイド;多糖;多糖-タンパク質複合体;タンパク質又は複数のタンパク質に結合した3
3価肺炎球菌多糖複合体;タンパク質(例えば、ジフテリア毒素)に結合した21価肺炎
球菌多糖;タンパク質に結合した15価肺炎球菌多糖;タンパク質に結合した1価3型肺
炎球菌多糖;又はタンパク質に結合した1価19A型肺炎球菌多糖)を含む組成物を含む
製造物であって、ここで、(1)、(2)及び(3)は、物理的に分離され、そして一緒
にパッケージ化されている製造物も提供する。例えば、本発明の1実施形態において、水
は抗原を含まず、及び/又は、製造物はさらに、(1)、(2)及び(3)から物理的に
分離された(4)凍結乾燥抗原を含む。(1)~(4)のいずれか1以上が、塩、保存剤
、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖を含んでいても良い。
【0040】
本発明はまた、(1)凍結乾燥されているか溶液である抗原;(2)凍結乾燥したアル
ミニウム-及び/又はカルシウム含有試薬;及び(3)凍結乾燥したリン酸試薬及び、任
意に塩基を含む組成物を含む製造物であって、ここで、各成分(1)、(2)及び(3)
がそれぞれ、他の成分から物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されており;そ
してここで、前記アルミニウム-及び/又はカルシウム含有試薬及び前記リン酸試薬及び
任意に塩基が、水による再構成時に反応してアジュバントを形成する製造物を提供する。
【0041】
(1)実質的に透明なpH約5以下を有するアルミニウム塩及びリン酸塩を含む溶液;
及び(2)(i)(1)に加えた時に前記反応及び沈殿を生じさせるのに十分な塩基及び
抗原を含む溶液;又は(ii)再構成したとき、(1)に加えた時に前記反応及び沈殿を
生じさせるのに十分な塩基及び抗原を含む凍結乾燥組成物を含む組成物を含む製造物であ
って;ここで、各成分(1)及び(2)は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ
化されている、製造物も本発明によって提供される。
【0042】
本発明はまた、(1)アルミニウム塩を含む溶液;及び(2)リン酸塩、抗原及び塩基
を含む溶液[ここで、リン酸塩及び塩基は、(1)と組み合わせた時に、アルミニウム及
びリン酸塩の反応及び沈殿を生じさせるのに十分な量で存在する]を含む組成物を含む製
造物であって;ここで、各成分(1)及び(2)が、物理的に分離され、そして一緒にパ
ッケージ化されている、製造物を提供する。
【0043】
さらに、本発明は、塩基性条件下でのアルミニウム化合物とリン酸化合物との間の反応
の生成物であるアジュバントの成分を保存する方法であって、反応が全く起こらない条件
下で[例えば、ここで、反応が全く起こらない条件は、(i)アルミニウム化合物及びリ
ン酸化合物、及び任意に塩基を、物理的に分離した状態に維持すること;又は(ii)ア
ルミニウム化合物及びリン酸化合物を、pH約4未満で一緒に保存することである。]、
アルミニウム化合物及びリン酸化合物を一緒に保存することを含む方法も提供する。本発
明の1実施形態において、(i)は、単一の容器又は機器中で、凍結乾燥状態のアルミニ
ウム化合物及び凍結乾燥状態のリン酸化合物を保存することを含む。
【0044】
本発明は、本明細書に記載の製造品のいずれかの成分を組み合わせる段階を含むワクチ
ン製剤の製造方法も提供する。そのような方法はさらに、得られたワクチン製剤を処置を
必要とする対象者に投与する段階を含むことができる。そのような方法の生成物によって
対象者に免疫付与することで、対象者における感染性疾患若しくはがんを治療若しくは予
防する方法も、その方法の生成物であり、その方法の生成物自体も本発明の一部である。
【0045】
本発明はさらに、対象者における感染性疾患又はがんを治療若しくは予防するためのワ
クチン製剤を作るための、本明細書に開示の製造物の成分の使用を提供する。本発明はさ
らに、対象者における感染性疾患若しくはがんの治療若しくは予防のためのワクチン製剤
の製造のための本明細書で開示の製造物の成分を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】クラスA実施形態:(1)プレフォーム乾燥アルミニウムアジュバント及び(2)液体を含むバイアル。
【
図2】静的光散乱粒径分布(製剤#1、冷凍なし;製剤#1、冷凍及び解凍;製剤#2、アルミニウムアジュバント凍結乾燥ビーズ、再構成後;及び製剤#3、アルミニウムアジュバント凍結乾燥ビーズ、再構成後)。
【
図3】静的光散乱粒径分布(製剤#2、沈降、冷凍、解凍;製剤#2ビーズとして冷凍、凍結乾燥、再構成)。
【
図4】クラスA実施形態:(1)プレフォーム乾燥アルミニウムアジュバント;(2)製剤した抗原;及び(3)液体を含むバイアル。
【
図5】静的光散乱粒径分布(製剤#1、冷凍なし;製剤#3、再構成アルミニウムアジュバント凍結乾燥ビーズ;製剤#6A、共再構成アルミニウムアジュバント及び抗原からのワクチン;製剤#6B、共再構成アルミニウムアジュバント及び抗原からのワクチン;製剤#1、冷凍及び解凍)。
【
図6】クラスB実施形態:(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部を含む乾燥製剤;(2)反応物の他のものを含む乾燥製剤及び(3)液体を含むバイアル。
【
図7】静的光散乱粒径分布(製剤#1、冷凍なし;製剤#7+8Aの凍結乾燥ビーズ、一緒に再構成;製剤#7+8Bの凍結乾燥ビーズ、一緒に再構成;製剤#1、冷凍及び解凍)。
【
図8】クラスB実施形態:(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば、アルミニウム含有化合物)を含む乾燥製剤;(2)他の反応物を含む乾燥製剤;(3)液体;及び(4)製剤した抗原を含むバイアル。
【
図9】静的光散乱粒径分布(プレフォームアルミニウムアジュバントの凍結乾燥ビーズ及び抗原の凍結乾燥ビーズの共再構成からの多価ワクチン;アルミニウム試薬凍結乾燥ビーズ及びアルミニウムアジュバントを形成するリン酸試薬凍結乾燥ビーズ(次に、それを用いて、抗原凍結乾燥ビーズを再構成する。)の共再構成からの多価ワクチン、抗原を含まない冷凍・解凍アルミニウムアジュバント(製剤#1))。
【
図10】クラスB実施形態、さらにクラスC実施形態。製剤中に(1)アルミニウム-及びリン酸含有化合物の溶液と、液体(2)又は凍結乾燥(3)抗原を含むバイアル。
【
図11】クラスB実施形態、さらにクラスC実施形態:(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部を含む乾燥製剤及び(2)他の反応物を含む液体を含むバイアル。
【
図12】クラスB実施形態。(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部を含む乾燥製剤、(2)他の反応物を含む乾燥製剤;(3)抗原を含む乾燥製剤;及び(4)液体を含むバイアル。
【
図13】静的光散乱粒径分布(製剤#7及び8Aの凍結乾燥ビーズの再構成で形成されたアルミニウムアジュバント;製剤#4、7及び8Aの凍結乾燥ビーズの再構成で形成されたワクチン)。
【
図14】クラスC実施形態:(1)アルミニウム含有化合物及びリン酸含有化合物を含むが、アルミニウムアジュバント沈殿を完了させるのに十分な塩基を含まない溶液、及び(2)アルミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるのに必要な塩基の残りを提供する緩衝剤又は塩又は塩基を含む溶液を含むバイアル。
【
図17】クラスC実施形態:(1)アルミニウム含有化合物を含む溶液、及び(2)リン酸含有化合物又はアルミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるのに十分なリン酸化合物及び/又は塩基を提供する緩衝剤若しくは塩若しくは塩基を含む溶液を含むバイアル。
【
図18】クラスC実施形態。(1)アルミニウム含有化合物の溶液、及び(2)4種類の異なる抗原(タンパク質、細菌、毒素又はトキソイド)及びリン酸化合物pH8の溶液を含むバイアル。
【0047】
*図面の簡単な説明で引用の製剤番号は、特定の図に相当する実施例に記載のものであ
る。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本発明のワクチン製剤(例えば、製造物で提供されるもの)は、一般に使用されるワク
チン製剤及びそのような製剤の製造方法に勝る大きな利点を提供する。本発明は、懸濁液
を凍結乾燥する必要性なしで、一部の実施形態における凍結乾燥ワクチン製剤の形成を容
易にする。懸濁液の凍結乾燥又は抗原とアルミニウム(Al)-若しくはカルシウム(C
a)含有アジュバントの間のプレフォーム複合体の凍結乾燥は技術的に困難であり、典型
的には、そのような段階を回避するのが望ましい。Al-又はCa含有アジュバントは水
系懸濁液を形成することから、そのようなアジュバントについて凍結乾燥を行う凍結乾燥
ワクチン製剤の形成は困難であろう。
【0049】
従って、本発明は、懸濁液を凍結乾燥する必要性を回避して凍結乾燥製剤を形成する方
法を提供し、即ち、ここで、アジュバントのAl-又はCa含有成分を溶液から凍結乾燥
し、そして、他のアジュバント成分又は反応物-リン酸化合物含有試薬又は塩基(これも
、溶液から凍結乾燥される。)から物理的に分離する。従って、一部の実施形態において
、アジュバント成分(又は反応物)の溶液のみを凍結乾燥する。他の実施形態において、
プレフォームアルミニウムアジュバントの冷凍誘発凝集は、十分な再懸濁状態の懸濁液の
小液滴を極めて急速に凍結乾燥粒子として冷凍することで回避される。上記実施形態のい
ずれかのさらなる拡大実施形態において、抗原を、アジュバント又はアジュバント反応物
から物理的に分離し、抗原-アジュバント複合体の凍結乾燥を回避することができる。
【0050】
本発明のワクチン製剤は、冷凍及び解凍の場合に物理的に安定な状態に維持可能である
ことからも有利である。アルミニウムアジュバントの冷凍及び解凍は、一般に起こること
であり、アジュバントの望ましくない凝集に至る可能性がある。アジュバント成分(又は
反応物)を凍結乾燥する場合、懸濁液の冷凍は起こらず、冷凍によるダメージは回避され
る。アルミニウムアジュバント懸濁液の凍結乾燥粒子を調製した後、それらは、その後の
冷凍に関連するダメージから保護される。
【0051】
物理的に分離されている凍結乾燥製剤成分に関して本明細書で使用される「物理的に分
離された」は、当該成分を実質的に組み合わせ又は混和状態に維持することを指す。例え
ば、2若しくは3の異なる種類の凍結乾燥粒子を、単一容器中に互いに接触した状態で入
れることができ、それら成分はほとんど組み合わせたり混和していないことから、物理的
に分離されている。本発明の別の実施形態では、物理的に分離された成分は、別個の容器
若しくは機器又はそのような容器若しくは機器内の別個の区画に入った状態であることが
できる。物理的に分離された成分は、単一の製造物中に一緒にパッケージ化することがで
き、例えば、前記別個の容器若しくは機器を一緒にパッケージ化することができる。
【0052】
凍結乾燥粒子は、例えば、ビーズ若しくは球体の形その他の形状を取る、凍結乾燥材料
のバラバラの粒子である。凍結乾燥粒子は、リオスフィア(lyosphere)、スフ
ィアオン(sphereon)又は凍結乾燥ビーズとも称することができる。一部の実施
形態において、リオスフィア(lyosphere)直径は、約2~約12mm、好まし
くは2~8mm、例えば2.5~6mm又は2.5~5mmである。一部の実施形態にお
いて、リオスフィア(lyosphere)の体積は、約20~550μL、好ましくは
20~100μL、例えば20~50μLである。リオスフィア(lyosphere)
がほとんど球形ではない実施形態では、リオスフィア(lyosphere)の大きさは
、長い方の寸法の短い方の寸法に対する比率であるアスペクト比に関して記述することが
できる。リオスフィア(lyosphere)のアスペクト比は、0.5~2.5、好ま
しくは0.75~2、例えば1~1.5であることができる。
【0053】
「対象者」は、哺乳動物、例えば、ヒト、非ヒト霊長類、マウス、イヌ、ネコ、ウサギ
、ウシ又はウマである。
【0054】
I.アルミニウム化合物及びアジュバント
本発明のアジュバントには、アルミニウム塩又はアルミニウム塩の反応生成物及び別の
化合物、例えばリン酸化合物及び/又は塩基である。例えば、Harlow,E及びD.
Lane(1988;Antibodies:A Laboratory Manual
Cold Spring Harbor Laboratory)及びNicklas
,W.(1992;Aluminum salts.Research in Immu
nology 143:489-493)を参照する。アルミニウム塩であるアジュバン
トは、例えば、アルミナ水和物、アルミナ白、アルミナ三水和物(ATH)、アルミニウ
ム水和物、アルミニウム三水和物、Alhydrogel(登録商標)、Adjupho
s(登録商標)、Superfos、Amphogel(登録商標)、水酸化アルミニウ
ム(III)、ヒドロキシリン酸硫酸アルミニウム(AAHS及び/又はMAAとも称さ
れる)、Merckリン酸アルミニウムアジュバント(MAPA、APAとも称される)
、非晶質アルミナ、三水和アルミナ、又は三水酸化アルミニウムであることができる。M
APAは、ヒドロキシリン酸アルミニウムの水系懸濁液である。MAPAは、塩化アルミ
ニウム及びリン酸ナトリウムを1:1体積比で混合してヒドロキシリン酸アルミニウムを
沈殿させることで製造される。混合プロセス後、材料を高剪断ミキサーでサイズ低下して
、単分散粒径分布とする。次に、生成物を、生理食塩水に対して透析濾過し、水蒸気滅菌
する。
【0055】
乾燥(例えば、凍結乾燥)アルミニウムアジュバントは、懸濁液として調製され、次に
乾燥させたアルミニウムアジュバントである。本発明の1実施形態において、乾燥アルミ
ニウムアジュバントは、MAPA(Merckリン酸アルミニウムアジュバント)又はM
AA(Merckアルミニウムアジュバント。MAPAは当業界で公知である;US特許
第9573811号を参照する)である。MAAは、「非晶質ヒドロキシリン酸硫酸アル
ミニウム」とも称される。例えば、Caulfieldら、Human Vaccine
s 3(4):139-145を参照する。プレフォーム乾燥アルミニウムアジュバント
で使用可能と考えられる別の種類のアルミニウムアジュバントは、水酸化アルミニウムで
ある。
【0056】
MAPAアジュバントの製造方法は、
(a)一定pHを維持する緩衝剤の存在下に、規定のP/Alモル比でアルミニウム塩
(Al)の溶液をリン酸塩(P)の溶液と共混合して、ヒドロキシリン酸アルミニウムア
ジュバントを沈殿させる段階[ここで、前記共混合では、アルミニウム塩の溶液及びリン
酸塩の溶液を同時及び連続的に組み合わせることを含み、前記規定のP/Al比は2.0
~3.5の範囲である。];そして(b)緩衝剤交換溶液との緩衝剤交換によって、過剰
のリン酸塩、緩衝剤又は他の残留塩の少なくとも80%を元の反応物から除去する段階を
含む。
【0057】
本発明の1実施形態において、アルミニウムアジュバントは、例えば下記の特性の1以
上を有するヒドロキシリン酸アルミニウムアジュバントである。
【0058】
4.2~6.9、4.7~6.4又は4.7~5.4のゼロ電荷のゼータ電位点(P
ZC);
40ミクロン未満、特定の実施形態では2~10ミクロン又は3~6ミクロンの凝集
体粒径体積直径中央値(例えば静的光散乱によって測定されるd(v,0.5));
3.0~8.0の範囲内のpH、又は特定の実施形態においては4.5~7.2の範
囲内のpH、又は4.5~5.5の範囲内のpH;又は
0.6~1.2の最終沈殿固体で測定されるP/Alモル比;ある種の実施形態にお
いて、その比は0.8~1.2又は0.9~1.1である。
【0059】
II.製造品
本発明は、本明細書で論じられているワクチン若しくはそれの成分を保持及び/又は投
与するための製造品を提供する。製造物の成分は、典型的には製造品内で物理的に分離さ
れた状態に維持されている製剤、例えばワクチン製剤の成分を含む。前記成分は物理的に
分離された状態で維持されるが、それらは典型的には、共通の製造品中に一緒にパッケー
ジ化されている。そのような製造品は、前記成分を含むキットであることができる。例え
ば、前記成分は、1以上の容器及び/又は1以上の機器中にあることができる。追加のパ
ッケージ化材料を用いて、製造品の成分、例えば、箱又は包装材料及び/又は製品パンフ
レットを含むようにすることができる。
【0060】
製造物は、例えばバイアル、例えば、例えばキャップ付きのプラスチック又はガラスバ
イアルのような1以上の容器中に成分を含むことができる。製造物は、それ自体、製剤の
成分を含む容器若しくは機器であることができる。本発明の1実施形態において、成分は
、容器又は機器内の別個の区画に含む。例えば、本発明の1実施形態において、機器は、
成分が異なる区画に含む多区画注入機器である。
【0061】
製造物は、1以上の機器、例えば注射機器中に成分を含むことができる。注射機器は、
ワクチンのような物質を、非経口経路、例えば筋肉、皮下若しくは静脈経路を介して患者
身体に導入する機器であることができる。例えば、注射機器は、注射器(例えば、ワクチ
ンを予め充填したもの、例えば自己注射器)であることができ、それは、例えば、注射さ
れる流体(例えば、抗体又はそれの断片若しくは医薬組成物を含む)を保持するためのシ
リンダー若しくは円筒部、流体の注入のために皮膚及び/又は血管を刺し通す針;及び、
シリンダーから、そして針穴を通って流体を押し出すためのプランジャーを含む。本発明
の1実施形態において、ワクチンを含む注射機器は、静脈(IV)注射機器である。その
ような機器は、カニューレ又はトロカール/針を通って患者身体に導入される流体を保持
するためのバッグ若しくは貯留部につながっていても良いチューブにつながっていても良
いカニューレ又はトロカール/針中のワクチンを含む。ワクチンは、本発明の1実施形態
において、トロカール及びカニューレを対象者の静脈に挿入してから機器内に導入するこ
とができ、その挿入されたカニューレからトロカールを外す。そのIV機器は、例えば、
末梢静脈(例えば、手若しくは腕の)に;上大静脈又は下大静脈、又は右心房内に(例え
ば、中心IV);又は鎖骨下静脈、内頸静脈若しくは大腿静脈に挿入することができ、そ
して例えば、上大静脈若しくは右心房(例えば、中心静脈ライン)に達するまで心臓に向
かって進めることができる。本発明の1実施形態において、注射機器は自己注射器;ジェ
ット式注射器又は外部輸液ポンプである。ジェット式注射器は、表皮を貫通してワクチン
を患者身体に導入する高圧の狭い液体ジェットを用いる。外部輸液ポンプは、ワクチンを
制御された量で患者身体に送達する医療機器である。外部輸液ポンプは、電気的又は機械
的に動かすことができる。異なるポンプは異なる形態で動作するものであり、例えば、シ
リンジポンプは注射器の貯留部に流体を保持し、可動式のピストンが流体送達を制御し、
エラストマーポンプは伸縮性のバルーン貯留部に流体を保持し、バルーンの弾性壁からの
圧力が流体送達を駆動する。蠕動ポンプでは、一組のローラーが、可撓性管系の長さ方向
に挟んで押し下げ、流体を進める。多チャンネルポンプでは、流体を、複数の貯留部から
複数の速度で送達することができる。
【0062】
ワクチンは、無針皮下注射機器;例えば米国特許第6,620,135号;同6,09
6,002号;同5,399,163号;同5,383,851号;同5,312,33
5号;同5,064,413号;同4,941,880号;同4,790,824号又は
同4,596,556号に開示の機器を用いて投与することもできる。
【0063】
本明細書に開示のワクチンは、注入によって投与することもできる。ワクチンを投与す
るための公知のインプラント及びモジュールの例には、制御された速度で投薬するための
埋込式微量注入ポンプを開示している米国特許第4,487,603号;正確な注入速度
で医薬を送達するための医薬注入ポンプを開示している米国特許第4,447,233号
;連続薬剤送達のための流量可変の埋込式注入装置を開示している米国特許第4,447
,224号;多チャンバ区画を有する浸透式薬剤送達システムを開示している米国特許第
4,439,196号で開示されているものがある。多くの他のそのようなインプラント
、送達システム及びモジュールは当業者には公知であり、本発明の医薬組成物を含むもの
が本発明の範囲に含まれる。
【0064】
対象者にワクチンを投与する方法であって、製剤の成分を組み合わせ、そして、対象者
に、得られたワクチンを、例えば本明細書に記載の注射機器を用いて注射することを含む
方法が本発明の一部を形成する。前記成分を組み合わせ、及び/又は対象者に注射する段
階は、臨床医又は対象者自身が行うことができる。
【0065】
III.製剤
本発明は、例えば容器又は機器中に一緒にパッケージ化されている成分を含む組成物を
含む製造品を提供する。成分は、一緒にパッケージ化されているが、物理的に分離された
状態に維持されていることができる。
【0066】
上記のように、本発明は、本発明のワクチン製剤の成分を組み合わせることを含むワク
チンの製造方法を含む。乾燥成分及び液体を組み合わせてワクチンを形成する場合、それ
らは再構成される。乾燥成分の再構成は、当業界で共有されている技術である。本発明の
1実施形態において、再構成は、組み合わせた成分を、例えば室温(例えば、約20~2
5℃)で又は冷蔵(例えば、約4℃)下に、一定期間保存若しくはインキュベートする段
階を含むことができる。インキュベーション又は保存は、例えば1分間、30分間、1時
間、8時間又は24時間であることができる。
【0067】
本発明の1実施形態において、組換え後には、そのようなインキュベーションも保存も
行わず、ワクチンを対象者に投与するか、あるいは、直後に別の形で用いることができる
。
【0068】
本発明の1実施形態において、再構成は、合わせた成分を回転若しくは攪拌(例えば、
優しく)する段階を含む。
【0069】
本発明の1実施形態において、再構成は、例えば肉眼観察によって、全ての固体の液体
成分による実質的に完全な溶解若しくは懸濁を確認する段階を含む。
【0070】
上記の再構成のために製剤の成分を組み合わせ、そして、得られたワクチンを例えば本
明細書で述べた注射機器によって対象者に注射することを含む、対象者にワクチンを投与
する方法が本発明の一部を形成する。成分を再構成し、及び/又は再構成した製剤を注射
する段階は、臨床医又は対象者自身が行うことができる。
【0071】
本発明の1実施形態において、下記のように、成分は、アルミニウム化合物の反応を引
き起こして沈殿し得るアルミニウムアジュバントを形成するのに不十分な塩基がある条件
下で維持される(例えば、約4以下などの酸性pH条件下)。アジュバントを形成するの
に十分な塩基及び反応は、成分の組み合わせで生じる。溶液が実質的に透明なままである
場合、そのような沈殿がないことは明らかである。「実質的に透明な」溶液は、約0、例
えば、紫外線波長と可視光波長の間で(例えば、260nM、280nm又は600nM
)約0の光学密度を有し得;及び/又は、肉眼観察で実質的に粒子状物が含まれ得ない。
【0072】
概して、本発明は、
(A)プレフォームアルミニウムアジュバントから作られる凍結乾燥ビーズを含む;
(B)再構成で反応してアルミニウムアジュバントを形成する乾燥型の化合物(例えば
、凍結乾燥ビーズ)を含む;及び
(C)他の必要な反応物が提供される場合に反応してアルミニウムアジュバントを形成
する化合物の液体製剤を含む、
三つの分類のアジュバントワクチンを含む。
【0073】
いくつかの例が、複数のクラスの構成員であることができる。各実施形態クラス(A、
B及びC)について、本明細書でさらに説明する。
【0074】
本発明の(A)実施形態の1例は、予め作られたアルミニウムアジュバントから製造さ
れるアルミニウムアジュバント凍結乾燥ビーズに関する。例えば、
図1を参照する。本発
明は、そのようなアルミニウムアジュバント及び任意に液体を含む製造物を含む。そのよ
うな製造物は、アルミニウムアジュバント(例えば、乾燥アルミニウムアジュバント、例
えば、1以上の凍結乾燥ビーズ)を含み、アジュバントの再構成に使用できる任意の液体
から物理的に分離された状態に維持されており、一緒にパッケージ化されている。その液
体は、製造物の一部であってもそうでなくても良い。そのような液体は、水;及び任意に
塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤;任意に抗原)(例えば、多糖-タンパク質結
合抗原);任意に別のアジュバント;及び/又は任意に保存剤を含むことができる。
【0075】
本発明の1実施形態において、液体は、水及び抗原、及び、任意に1以上の他の成分を
含む。
【0076】
本発明は、製造物の成分を組み合わせることを含むワクチンの形成方法並びにそのよう
な方法の生成物を含む。成分を組み合わせ、そして、そのワクチンを対象者に注射するこ
と(例えば、本明細書で記述の注射機器を用いて)を含む、対象者(例えば、ヒト)にワ
クチンを投与する方法も、本発明の一部を形成する。
【0077】
例えば、そのような実施形態は、例えば下記に記載の前凍結乾燥組成(乾燥、例えば凍
結乾燥後の濃度)を有する乾燥(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ)MAPAを含む。
【0078】
アルミニウムアジュバント;及び、塩若しくはアルミニウムアジュバント、糖、塩及び
塩基(例えば、アミノ酸、例えばヒスチジン又はヒスチジン塩基);又は1250mcg
Al/mLアルミニウムアジュバント;150mM塩化ナトリウム、又は625~125
0mcgAl/mLのMAPA;16~23%(重量/体積)トレハロース;35~70
mM NaCl;0.5~0.8mMヒスチジン塩基;又は、例えば1250mcgAl
/mLアルミニウムアジュバント;16%(重量/体積)トレハロース;70mM塩化ナ
トリウム;及び、0.5mMヒスチジン塩基;又は625mcgAl/mLアルミニウム
アジュバント;23%(重量/体積)トレハロース;35mM塩化ナトリウム;及び、0
.8mMヒスチジン塩基を含む。
【0079】
本発明のクラスA実施形態の別の例は、冷凍又は解凍誘発の凝集をほとんど生じること
のない、乾燥アルミニウムアジュバント、例えば、凍結乾燥ビーズ(予め作られたアルミ
ニウムアジュバントから調製)、及び、乾燥抗原、例えば1以上の凍結乾燥ビーズの共再
構成によるワクチン調製に関する。例えば、
図4を参照する。
【0080】
本発明のそのような実施形態において、次の3成分が、物理的に分離された状態である
:プレフォーム乾燥アルミニウムアジュバント(例:凍結乾燥ビーズ);及び、製剤した
抗原及び液体[水;任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤(例えば、リン酸緩
衝剤、ヒスチジン緩衝剤、デキストロース又は浸透圧調節剤としてのNaCl);任意に
抗原;任意に別のアジュバント(例えば、例えば本明細書に記載の1以上の免疫刺激分子
);及び、任意に1以上の保存剤を含んでいても良い]。
【0081】
本明細書で定義される場合、「アジュバント」は、本発明の免疫原性組成物の免疫原性
を増強するのに役立つ物質である。免疫アジュバントは、単独で投与された場合、例えば
、無いか又は弱い抗体価又は細胞媒介免疫応答を誘発する免疫原性が弱い抗原に対する免
疫応答を増強し、抗原に対する抗体価を高め、及び/又は個人の免疫反応を達成するのに
効果的な抗原の用量を下げ得る。従って、アジュバントは、しばしば免疫応答をブースト
するために与えられ、当業者によく知られている。組成物の有効性を増強するための適切
なアジュバントは、限定されるものではないが:
(1)水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどのアルミニウ
ム塩(ミョウバン)、
(2)例えば、(a)Model 110Yマイクロフルイダイザー(Microfl
uidics、Newton、MA)のようなマイクロフルイダイザーを使用したサブミ
クロン粒子に製剤化された5%スクアレン、0.5%Tween80、及び0.5%Sp
an85(様々な量のMTP-PEを含有していてもよい)を含むMF59(国際特許出
願公開第90/14837号)、(b)サブミクロンの乳濁液にマイクロ流動化されるか
、又はより大きな粒子サイズの乳濁液を生じさせるために渦攪拌された、10%スクアレ
ン、0.4%Tween80、5%プルロニックブロックポリマーL121、及びthr
-MDPを含有するSAF、(c)2%スクアレン、0.2%Tween80、並びに米
国特許第4,912,094号に記載された3-O-脱アシル化モノリン脂質A(MPL
(商標))、トレハロースジミコレート(TDM)、及び細胞壁骨格(CWS)、好まし
くはMPL+CWS(Detox(商標))からなる群からの1以上の細菌細胞壁成分を
含有するRibi(商標)アジュバント系(RAS)、(Corixa,Hamilto
n,MT)、及び(d)Montanide ISAのような水中油型乳濁液製剤(ムラ
ミルペプチド(以下に定義される)又は細菌細胞壁成分などの他の特定の免疫刺激剤の有
無にかかわらず)、
(3)Quil A又はSTIMULON(商標)QS-21(Antigenics
、Framingham、MA)のようなサポニンアジュバント(例えば、米国特許第5
,057,540号を参照されたい)が使用され得るか、又はISCOM(コレステロー
ル、サポニン、リン脂質、及び両親媒性タンパク質の組合せにより形成される免疫刺激複
合体)及びIscomatrix(商標)(ISCOMと本質的に同じ構造を有するが、
タンパク質は有さない)のようなそこから生じる粒子、
(4)細菌性リポポリサッカライド、Corixaから入手可能であり、米国特許第6
,113,918号に記載されているアミノアルキルグルコサミンリン酸化合物(AGP
)のような合成脂質A類縁体、又はその誘導体又は類縁体;そのようなAGPの1つは、
2-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]エチル2-デオキ
シ-4-O-ホスホノ-3-O-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイ
ル]-2-[(R)-3-テトラデカノイルオキシテトラデカノイルアミノ]-b-D-
グルコピラノシドであり、これは、529としても知られており(以前はRC529とし
て知られていた)、水性形態又は安定な乳濁液として製剤化される、
(5)(1以上の)CpGモチーフを含有するオリゴヌクレオチドのような合成ポリヌ
クレオチド(米国特許第6,207,646号)、
(6)インターロイキン(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-
6、IL-7、IL-12、IL-15、IL-18など)などのサイトカイン、インタ
ーフェロン(例えば、ガンマインターフェロン)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子(GM-CSF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、腫瘍壊死因子(
TNF)、共刺激分子B7-1及びB7-2など、及び/又は
(7)補体成分C3dの三量体のような補体
を含む。
【0082】
別の実施形態では、アジュバントは、上記のアジュバントの2、3又はそれ以上の混合
物、例えば、SBAS2(3-脱アシル化モノホスホリルリピドA及びQS21も含有す
る水中油型エマルション)である。
【0083】
ムラミルペプチドは、N-アセチル-ムラミル-L-トレオニル-D-イソグルタミン
(thr-MDP)、N-アセチル-ノルムラミル-L-アラニン-2-(1′-2′ジ
パルミトイル-sn-グリセロ-3-ヒドロキシホスホリルオキシ)-エチルアミン(M
TP-PE)などを含むが、これらに限定されるものではない。
【0084】
ある実施形態では、上記のように、アジュバントは、アルミニウム塩である。アルミニ
ウム塩アジュバントは、ミョウバン沈殿ワクチン又はミョウバン吸着ワクチンとすること
ができる。1実施形態において、そのワクチンは、アルミニウムアジュバント上に予め吸
収させる。アルミニウム塩アジュバントは、当技術分野においてよく知られており、例え
ば、Harlow,E.及びD.Lane(1988;Antibodies:A La
boratory Manual Cold Spring Harbor Labor
atory)及びNicklas,W.(1992;Aluminum salts.R
esearch in Immunology 143:489-493)に記載されて
いる。アルミニウム塩は、水和アルミナ、アルミナ水和物、アルミナ三水和物(ATH)
、アルミニウム水和物、アルミニウム三水和物、Adjuphos(登録商標)、Alh
ydrogel(登録商標)、Superfos、Amphogel(登録商標)、水酸
化アルミニウム(III)、ヒドロキシリン酸アルミニウム硫酸塩(場合により、AAH
S又はMAAと称される)、Merckリン酸アルミニウムアジュバント(MAPA)、
非晶質アルミナ、三水和アルミナ又はトリヒドロキシアルミニウムを含むが、これらに限
定されるものではない。
【0085】
上記で記載のアジュバント、抗原及び液体を含む製造物は、本発明の一部を形成する。
本発明は、アジュバント、抗原及び液体並びにそのような方法の生成物を組み合わせるこ
とを含む、ワクチンの製造方法を含む。前記成分を組み合わせ、そして、そのワクチンを
対象者に注射すること(例えば、本明細書に記載の注射機器によって)を含む、対象者(
例えば、ヒト)にワクチンを投与する方法も、本発明の一部を形成する。
【0086】
本発明の1実施形態において、そのような本発明のアルミニウムアジュバントは、乾燥
(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ)MAPA、例えば前凍結乾燥:(i)1250mc
gAl/mLアルミニウムアジュバント;16%(重量/体積)トレハロース;70mM
塩化ナトリウム;及び、0.5mMヒスチジン塩基;又は、(ii)625mcgAl/
mLアルミニウムアジュバント;23%(重量/体積)トレハロース;35mM塩化ナト
リウム;及び、0.8mMヒスチジン塩基を含む。
【0087】
本発明の1実施形態において、そのような抗原は、PCV抗原、例えば、21価、33
価、15価、1価の3型及び/又は1価の19A型肺炎球菌多糖タンパク質複合体抗原を
含む製剤を含み、例えば、ここで、抗原成分は、乾燥前に、製剤:320mcgPnPs
/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)CRM-PnPs複合体抗原;100mMヒス
チジン;20%(重量/体積)トレハロース;50mM塩化ナトリウム;及び0.1%ポ
リソルベート20をpH6~7.5で含む。
【0088】
本発明の1実施形態において、ワクチンは、一つの抗原(「一価」)又は複数抗原(「
多価」、又は「組み合わせ」)を含み、それは、乾燥(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ
)アルミニウムアジュバントを乾燥(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ)製剤化抗原若し
くは複数抗原と共パッケージ化することで調製することができる。本発明の1実施形態に
おいて、アルミニウムアジュバント成分は、乾燥前に、例えば、凍結乾燥(i)1250
mcgAl/mLアルミニウムアジュバント;150mM塩化ナトリウム;及び23%(
重量/体積)トレハロース、ショ糖及び/又はそれらの組み合わせ;又は、(ii)62
5mcgAl/mLアルミニウムアジュバント;23%(重量/体積)トレハロース;3
5mM塩化ナトリウム;及び、0.8mMヒスチジン塩基を含む。
【0089】
本発明の1実施形態において、抗原は、乾燥前に、例えば凍結乾燥、20%(重量/体
積)トレハロース;50mMヒスチジン(塩基);50mMヒスチジン塩酸塩;320m
cgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖体)複合体抗原、19A型;50m
M塩化ナトリウム;及び0.1%ポリソルベート20をpH6で含む。
【0090】
本発明の1実施形態において、抗原は、乾燥前に、例えば凍結乾燥、20%(重量/体
積)トレハロース;100mMヒスチジン(塩基);320mcgPnPs/mLCRM
-PnPs(肺炎球菌多糖体)複合体抗原、15の複合体の異なる種類の多糖との混合物
;50mM塩化ナトリウム;及び0.1%ポリソルベート20をpH7.5で含む多抗原
組成物である。
【0091】
本発明の1実施形態において、製剤は、乾燥アルミニウムアジュバント(例えば、1以
上の凍結乾燥ビーズ)及び乾燥抗原(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ)の液体による再
構成後に、13.2%(重量/体積)トレハロース;250mcgAl/mLアルミニウ
ムアジュバント;64mcgPnPs/mLCRM-PnPs複合体抗原、全ての19A
型(A)又は15のPnPs型(B);24mM塩化ナトリウム;20.3mMヒスチジ
ン(塩基);及び0.02%ポリソルベート20を含む混合物を含む。
【0092】
本発明のクラスB実施形態の1例は、物理的に分離されている(そして、単一容器中に
一緒にパッケージ化されていても良い)溶液及びリン酸塩/塩基を含むアルミニウムの分
かれた凍結乾燥ビーズ、及び、やはり凍結乾燥ビーズとは物理的に分離されている、例え
ば第2の別の容器に入っている液体に関する。アルミニウム及びリン酸塩/塩基が、液体
と組み合わせた時に、バイアル中又は再構成チャンバ中で反応して、アルミニウムアジュ
バントを形成することができる。
【0093】
本発明のそのような実施形態において、反応物の一部(例えば、下記の三つの反応物)
は反応物の他のものから物理的に分離された状態を維持されており、反応物の一部又は全
てが乾燥されている。例えば、アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の
一部(例えば、アルミニウム含有化合物)を含む乾燥製剤(例えば、1以上の凍結乾燥ビ
ーズ);及びアルミニウムアジュバントを形成するのに必要な他の反応物(例えば、リン
酸含有化合物及び/又は塩基)を含む乾燥製剤(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ)、及
び、例えば、水;任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤;任意に抗原;任意に
別のアジュバント;及び/又は任意に保存剤を含む液体である。
【0094】
上記で記載の物理的に分離されたアルミニウム含有成分、リン酸塩/塩基含有成分及び
液体を含む製造物は、本発明の一部を形成する。アルミニウム、リン酸塩/塩基及び液体
を組み合わせることを含むワクチンの製造方法は、そのような方法の生成物とともに、本
発明の一部を形成する。前記成分を組み合わせ、そして、ワクチンを対象者に注射するこ
と(例えば、本明細書に記載の注射機器で)を含む、対象者(例えば、ヒト)へのワクチ
ンの投与方法も、本発明の一部を形成する。
【0095】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、乾燥前に、例えば凍結乾燥前
に、92.66mM塩化アルミニウム及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0096】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、乾燥前に、例えば凍結乾燥
前に、92.66mM三塩基リン酸ナトリウム及び25%(重量/体積)トレハロース;
又は92.47mM三塩基リン酸ナトリウム及び24.95%(重量/体積)トレハロー
ス;又は92.29mM三塩基リン酸ナトリウム及び24.9%(重量/体積)トレハロ
ースを含む。
【0097】
再構成すると、沈殿反応に十分な塩基が提供されている場合、アルミニウム化合物がリ
ン酸化合物若しくは塩基と反応して、アルミニウムアジュバントが形成されることで、ア
ルミニウムアジュバントを形成することができる。
【0098】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基による再構成で形成される前記アルミニ
ウムアジュバントは、(i)1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント;15
0mM塩化ナトリウム;及び16%(重量/体積)トレハロース、ショ糖及び/又はこれ
らの組み合わせ;又は(ii)1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント;1
6%(重量/体積)トレハロース;70mM塩化ナトリウム;及び0.5mMヒスチジン
塩基を含む。
【0099】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に
、92.66mM塩化アルミニウム;及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0100】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前
に、92.66mM三塩基リン酸ナトリウム;及び25%(重量/体積)トレハロースを
含む。
【0101】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前
に、92.47mM三塩基リン酸ナトリウム;24.95%(重量/体積)トレハロース
;及び10mM水酸化ナトリウムを含む。
【0102】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前
に、92.29mM三塩基リン酸ナトリウム;24.9%(重量/体積)トレハロース;
及び20mM水酸化ナトリウムを含む。
【0103】
本発明のクラスB実施形態の別の例は、液体と組み合わせた場合にバイアル中(又は再
構成チャンバ中)で反応してアルミニウムアジュバントを形成する、アルミニウム含有溶
液及びリン酸塩/塩基含有溶液(例えば、一緒にパッケージ化されている)の物理的に分
離された凍結乾燥ビーズの再構成によるワクチン(アルミニウムアジュバント及び抗原)
の製造に関する。そのような新たに形成されたアルミニウムアジュバント懸濁液を用いて
抗原凍結乾燥ビーズを再構成して、完全なワクチンを形成することができる。
【0104】
本発明のそのような実施形態において、次の4成分が物理的に分離された状態に維持さ
れている:アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば、アル
ミニウム含有化合物)を含む乾燥製剤(例えば、1以上の凍結乾燥ビーズ);及び、一緒
にパッケージ化することができるアルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物
の他のもの(例えば、リン酸含有化合物及び/又は塩基)を含む乾燥製剤(例えば、1以
上の凍結乾燥ビーズ);及び、(i)水;任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形
剤;任意に抗原;任意に別のアジュバント;及び/又は任意に保存剤を含む液体;及び、
(ii)凍結乾燥(例えば、凍結乾燥ビーズ)抗原。
【0105】
本発明の製造物のさらなる実施形態において、反応物を含む乾燥成分は、共通の容器中
にあり;乾燥抗原は、第2の容器中にあり;そして、液体は、第3の容器中にある。例え
ば、
図8を参照する。
【0106】
本発明は、物理的に分離されているが一緒にパッケージ化することができる二つの乾燥
成分、並びに液体(他の成分から物理的に分離されている)及び抗原(他の成分から物理
的に分離されている)を含む製造物を含む。前記成分を組み合わせることを含むワクチン
の製造方法並びにそのような方法の生成物も本発明の一部を形成する。前記成分を組み合
わせ、そして、対象者にワクチンを注射すること(例えば、本明細書で記載の注射機器を
用いて)を含む、対象者(例えば、ヒト)にワクチンを投与する方法も、本発明の一部を
形成する。
【0107】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に
、92.66mM塩化アルミニウム及び25%トレハロース(重量/体積)を含む。
【0108】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前
に、92.66mM三塩基リン酸ナトリウム及び25%(重量/体積)トレハロースを含
む。
【0109】
本発明の1実施形態において、抗原含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、pH6
で320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)複合体抗原;50mM
ヒスチジン塩基;50mMヒスチジン塩酸塩;20%(重量/体積)トレハロース;50
mM塩化ナトリウム;及び0.1%ポリソルベート20を含む15価抗原製剤を含む。
【0110】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に
、92.66mM塩化アルミニウム;及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0111】
本発明の1実施形態において、アルミニウム及びリン酸塩/塩基含有成分の組み合わせ
によって形成されるアルミニウムアジュバント成分は、再構成すると、625mcgAl
/mLアルミニウムアジュバント;23%(重量/体積)トレハロース;35mM塩化ナ
トリウム;及び0.8mMヒスチジン塩基を含む。
【0112】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前
に、92.66mM三塩基リン酸ナトリウム;及び25%(重量/体積)トレハロースを
含む。
【0113】
本発明の1実施形態において、抗原含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、pH6
で、20%(重量/体積)トレハロース;50mMヒスチジン(塩基);50mMヒスチ
ジン塩酸塩;320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)CRM-P
nPs複合体抗原;50mM塩化ナトリウム;及び0.1%ポリソルベート20を含む。
【0114】
本発明の別の実施形態は、アルミニウム-及びリン酸含有化合物の液体溶液(まだ、反
応してアルミニウムアジュバント懸濁液を形成していない)を液体(クラスC実施形態)
又は凍結乾燥(クラスB及びクラスCの両方の実施形態)状態で製剤された抗原と組み合
わせて、1以上の抗原の存在下にアルミニウムアジュバントを形成する反応を生じさせる
ことによる、1価及び多価HPVワクチンの製造に関する。
【0115】
本発明のそのような実施形態において、下記の成分が、物理的に分離された状態で維持
されている:
(1)アルミニウムアジュバント懸濁液を形成する反応を完結させるのに十分な塩基を
含まないアルミニウム-及びリン酸含有化合物の溶液(例えば、pH約5以下、例えば、
約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5)、及び
(2)抗原を含み得る塩基源として役立ち得る液体、又は
(3)乾燥、例えば凍結乾燥抗原[ここで、その製剤された抗原は、抗原存在下でのア
ルミニウムアジュバント沈殿反応の完結を可能とする緩衝剤、塩及び/又は塩基を含む。
]。
【0116】
本発明は、(i)物理的に分離された上記で記載の(1)及び(2);又は(ii)物
理的に分離された上記で記載の(1)及び(3)を含む製造品を包含する。
【0117】
(1)と(2);又は(1)と(3)を組み合わせることを含むワクチンの形成方法並
びにそのような方法の生成物は、本発明の一部である。前記成分を組み合わせ、そして、
ワクチンを対象者に注射すること(例えば、本明細書に記載の注射機器で)を含む、対象
者(例えば、ヒト)にワクチンを投与する方法も、本発明の一部を形成する。
【0118】
本発明の1実施形態において、
(1)は、等体積の37.08mM塩化アルミニウム水溶液と33.38mMリン酸ナ
トリウムpH7.0水溶液を酸性pH(例えば、約4以下)で混和して、18.54mM
塩化アルミニウム、16.69mMリン酸ナトリウムを得ることで得られる溶液を含み;
(2)は、(50、80、又は75)mM二塩基リン酸ナトリウム、(50、20、又
は25)mM一塩基リン酸ナトリウム、160mcg/mLのHPV VLP 16型、
5mMヒスチジン、125mM塩化ナトリウム、0.005%ポリソルベート80/水を
含み;及び/又は
(3)は、凍結乾燥された(20又は42.5)mMヒスチジン塩基、4.5%ショ糖
、HPV VLP 6型(40mcg/mL)、11型(80mcg/mL)、16型(
80mcg/mL)、及び18型(40mcg/mL)、125mM塩化ナトリウム、0
.005%ポリソルベート80を含む。
【0119】
アルミニウム-及びリン酸含有化合物の溶液(アルミニウムアジュバント懸濁液を形成
する反応を完結させるのに十分な塩基を含まない(例えば、pH約5以下、例えば、約1
、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5又は5))は、単一VLP型又は複数V
LP型の製剤されたHPVウィルス様粒子と混合することができる。製剤された抗原とと
もに存在する緩衝剤は、不足していた塩基を提供して、抗原存在下にアルミニウムアジュ
バントを形成する反応を起こすことができる。これらの反応は、ワクチンバイアル又は送
達機器での場合にあり得るように、小体積で(例えば1mLに1mLを加える)行うこと
ができる。
【0120】
本発明の1実施形態において、アルミニウムアジュバントを形成するのに十分な塩基を
含まない(例えば、pH約5以下、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4
、4.5又は5で)アルミニウム及びリン酸含有成分(1)は、(i)18.54mM塩
化アルミニウム・6水和物;16.69mMリン酸ナトリウム;及び水中、酸性pH;又
は(ii)9.27mM塩化アルミニウム・6水和物;8.34mMリン酸ナトリウム;
及び、水中、酸性pH、を含む。
【0121】
本発明の1実施形態において、前記抗原(3)は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、
(A)(i)50mM二塩基リン酸ナトリウム;50mM一塩基リン酸ナトリウム;1
60mcg/mLのHPV VLP 16型;5mMヒスチジン;125mM塩化ナトリ
ウム;及び、0.005%ポリソルベート80;水中;又は(ii)80mM二塩基リン
酸ナトリウム;20mM一塩基リン酸ナトリウム;160mcg/mLのHPV VLP
16型;5mMヒスチジン;125mM塩化ナトリウム;及び0.005%ポリソルベ
ート80;水中;又は
(B)(i)75mM二塩基リン酸ナトリウム;25mM一塩基リン酸ナトリウム;1
60mcg/mLのHPV VLP 16型;5mMヒスチジン;125mM塩化ナトリ
ウム;及び、0.005%ポリソルベート80;水中;又は(ii)20mMヒスチジン
塩基;4.5%ショ糖;40mcg/mLのHPV VLP 6型;80mcg/mLの
HPV VLP 11型;80mcg/mLのHPV VLP 16型;40mcg/m
LのHPV VLP 18型;125mM塩化ナトリウム;0.005%ポリソルベート
80;水中、又は
(C)(i)42.5mMヒスチジン塩基;4.5%ショ糖;40mcg/mLのHP
V VLP 6型;80mcg/mLのHPV VLP 11型;80mcg/mLのH
PV VLP 16型;40mcg/mLのHPV VLP 18型;125mM塩化ナ
トリウム;及び0.005%ポリソルベート80;水中
を含む。
【0122】
クラスB及びクラスCの両方で適合する別の実施形態は、アルミニウム含有化合物及び
リン酸含有化合物を含む液体溶液(前記溶液自体は、沈殿固体と反応して、アルミニウム
アジュバント懸濁液を形成しない)の、アルミニウムアジュバント形成反応を完了させる
のに必要な塩基を提供する乾燥(例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥)製剤との組み合わせに
よるアルミニウムアジュバントの製造に関する。
【0123】
本発明のそのような実施形態において、次の二つの成分が、物理的に分離された状態で
維持されている:アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば
、リン酸塩及び/又は緩衝剤及び/又は塩基、任意に緩衝剤及び/又は賦形剤、任意に追
加のアジュバント、任意に保存剤により製剤化した抗原)を含む乾燥(例えば、凍結乾燥
若しくは噴霧乾燥)製剤、並びに、水;アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な
他の反応物(例えば、アルミニウムアジュバント沈殿反応を完了するのに十分な塩基を含
まない(例えば、pH約5以下、例えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、
4.5、又は5)アルミニウム含有化合物及びリン酸含有化合物);任意に緩衝剤、塩、
界面活性剤及び/又は賦形剤;任意に追加のアジュバント;及び/又は任意に保存剤を含
む液体。
【0124】
本発明は、物理的に分離された乾燥(例えば、凍結乾燥若しくは噴霧乾燥)製剤及び液
体を含む製造物、並びに前記成分を組み合わせることを含むワクチンの製造方法並びにそ
のような方法の生成物を提供する。成分を組み合わせ、そして、ワクチンを対象者に注射
すること(例えば、本明細書に記載の注射機器で)を含む、対象者(例えば、ヒト)への
ワクチンの投与方法も、本発明の一部を形成している。
【0125】
例えば、本発明の1実施形態において、乾燥(例えば、噴霧乾燥若しくは凍結乾燥)製
剤は、乾燥前で、1%ショ糖、9%マンニトール、50mMリン酸化合物、pH7.4又
はpH7.8;又は、乾燥(例えば、噴霧乾燥若しくは凍結乾燥)前で、6%ショ糖、1
00mMヒスチジン、pH6.0又は7.0又は7.4を含む。
【0126】
本発明の1実施形態において、液体成分は、酸性pHで10.49mM塩化アルミニウ
ム、9.44mMリン酸ナトリウム/水を含む。
【0127】
本発明の1実施形態において、液体は、酸性pHで10.49mM塩化アルミニウム;
9.44mMリン酸ナトリウム/水を含む。
【0128】
本発明の1実施形態において、乾燥成分は、乾燥(例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥)前
で、(i)6%ショ糖;100mMヒスチジン;pH7.6、凍結乾燥品;又は(ii)
6%ショ糖;100mMヒスチジン;pH7.0、凍結乾燥品;又は(iii)6%ショ
糖;100mMヒスチジン;pH6.0、凍結乾燥品;又は(iv)1%ショ糖;9%マ
ンニトール;50mMリン酸化合物;pH7.4、噴霧乾燥品;又は(v)1%ショ糖;
9%マンニトール;50mMリン酸化合物;pH7.8、噴霧乾燥品を含む。
【0129】
別のクラスB実施形態は、アルミニウム含有溶液、リン酸塩/塩基含有溶液、及び製剤
された抗原及び液体の凍結乾燥ビーズの共パッケージ化によって、抗原存在下でのアルミ
ニウムアジュバントの反応及び形成を可能とすることによる、ワクチンの製造に関する。
【0130】
本発明のそのような実施形態において、次の成分が、物理的に分離された状態に維持さ
れている:アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば、アル
ミニウム含有化合物)を含む乾燥(例えば、凍結乾燥)製剤;及びアルミニウムアジュバ
ントを形成するのに必要な反応物の他のもの(例えば、リン酸含有化合物及び/又は塩基
)を含む乾燥(例えば、凍結乾燥)製剤;及び抗原を含む乾燥(例えば、凍結乾燥)製剤
、ここで、これらのいずれかは、保存剤を含んでいても良い;及び水;任意に緩衝剤、塩
、界面活性剤及び/又は賦形剤;任意に抗原;任意に追加のアジュバント;及び任意に保
存剤を含む液体。
【0131】
本発明の製造物の好ましい実施形態では、全ての乾燥成分を共通の容器に入れ、液体成
分は別の容器に入れる。例えば、
図12を参照する。
【0132】
本発明は、全てが互いに物理的に分離された状態に維持されている前記乾燥(例えば、
凍結乾燥)製剤及び液体を含む製造物、並びに前記成分を組み合わせることを含むワクチ
ンの製造方法及び、そのような方法の生成物を提供する。成分を組み合わせ、そして、対
象者にワクチンを注射すること(例えば、本明細書に記載の注射機器で)を含む、ワクチ
ンを対象者(例えば、ヒト)に投与する方法も、本発明の一部を形成する。
【0133】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に
、92.66mM塩化アルミニウム及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0134】
本発明の1実施形態において、リン酸含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、92
.66mM三塩基リン酸ナトリウム及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0135】
本発明の1実施形態において、抗原含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、320
mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)複合体抗原(多糖19A型);
100mMヒスチジン;20%(重量/体積)トレハロース;50mM塩化ナトリウム;
及び0.1%ポリソルベート20;pH7.5を含む。
【0136】
本発明の1実施形態において、抗原含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、20%
(重量/体積)トレハロース;100mMヒスチジン(塩基);320mcgPnPs/
mLCRM-PnPS(肺炎球菌多糖)複合体抗原(多糖19A型);50mM塩化ナト
リウム;及び0.1%ポリソルベート20を含む。
【0137】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に
、92.66mM塩化アルミニウム及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0138】
本発明の1実施形態において、リン酸含有成分は、乾燥前、例えば凍結乾燥前に、92
.66mM三塩基リン酸ナトリウム及び25%(重量/体積)トレハロースを含む。
【0139】
本発明のクラスC実施形態には、他の必要な反応物(液体又は乾燥)と組み合わせた時
に反応してアルミニウムアジュバントを形成する化合物の液体製剤を含む。例えば、二つ
の液体溶液を容器に加えて、アルミニウムアジュバントを形成することができる(任意に
、抗原、塩、緩衝剤、賦形剤、洗浄剤、界面活性剤、保存剤、安定剤、色素、指示剤の存
在下で)。
【0140】
例えば、本発明の実施形態において、次の二つの成分が、物理的に分離された状態に維
持されている:アルミニウム含有化合物及びリン酸含有化合物を含むが、アルミニウムア
ジュバント沈殿反応を完了させるのに十分な塩基を含まない(例えば、pH約5以下、例
えば、約1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、又は5)溶液を含むアルミ
ニウム/リン酸含有成分;及び(例えば、等体積の)アルミニウムアジュバント沈殿反応
を完了させるのに必要な塩基の残りの部分を提供する緩衝剤又は塩又は塩基を含む溶液を
含み、任意に抗原及び/又は他の成分を含む成分。
【0141】
本発明は、物理的に分離された状態に維持されているアルミニウム/リン酸含有成分及
び緩衝剤/塩/塩基提供成分を含む製造物を提供する。前記成分を組み合わせることを含
むワクチンの製造方法も、そのような方法の生成物とともに、本発明の一部を形成する。
成分を組み合わせ、そして、ワクチンを対象者に注射すること(例えば、本明細書に記載
の注射機器で)を含む、ワクチンを対象者(例えば、ヒト)に投与する方法も、本発明の
一部を形成する。
【0142】
本発明の1実施形態において、アルミニウム/リン酸含有成分は、酸性pHで18.5
4mM塩化アルミニウム(塩化アルミニウム・6水和物から)及び16.69mMリン酸
ナトリウム(例えば、等体積の37.08mM塩化アルミニウム及び33.38mMリン
酸ナトリウムpH7の混合物から調製)/水を含む。
【0143】
本発明の1実施形態において、緩衝剤/塩/塩基提供成分は、128mcgPnPs/
mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)複合体抗原、例えば、15の異なる多糖型との複
合体;80mMヒスチジン、pH7.0;6%ショ糖;150mM塩化ナトリウム;水の
混合物を含む。
【0144】
本発明の1実施形態において、アルミニウム/リン酸含有成分は、酸性pHで18.5
4mM塩化アルミニウム・6水和物;16.69mMリン酸ナトリウム/水を含む。
【0145】
本発明の1実施形態において、アルミニウム/リン酸含有成分及び塩基提供成分の組み
合わせ後の生成物は、pH5.9で水中64mcgPnPs/mLCRM-PnPS(肺
炎球菌多糖)複合体抗原(例えば、15の異なる多糖型との複合体);40mMヒスチジ
ン;3%ショ糖;100mM塩化ナトリウム;250mcgAl/mLアルミニウムアジ
ュバントを含む。
【0146】
本発明の別のクラスC実施形態は、例えば自動バイアル充填ラインでのアルミニウム含
有溶液及びリン酸塩/塩基含有溶液の迅速な順次添加によるアルミニウムアジュバントの
製造に関する。本発明の1実施形態において、二つの液体溶液を、例えば充填ラインを用
いてバイアルに充填して、それによってアルミニウムアジュバントを形成し(任意に、抗
原、塩、緩衝剤、賦形剤、洗浄剤、界面活性剤、保存剤、安定剤、色素、指示剤の存在下
に)、直後にバイアルにストッパーを施す。
【0147】
本発明のそのような実施形態において、次の成分が、物理的に分離された状態に維持さ
れている:アルミニウム含有化合物を含む溶液を含むアルミニウム含有成分;及び、例え
ば、等体積の、アルミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるのに十分なリン酸塩及び
/又は塩基を提供するリン酸含有化合物又は緩衝剤又は塩又は塩基、及び、任意に抗原及
び/又は他の成分を含む溶液、を含む、リン酸塩/塩基含有成分。溶液は逆の順序で加え
ることができ、添加体積を、所望に応じて等体積とならないように意図的に設計すること
ができよう。
【0148】
本発明は、物理的に分離された状態に維持されたアルミニウム含有成分及びリン酸塩/
塩基含有成分を含む製造物を提供する。本発明の1実施形態において、製造物は、例えば
、それぞれ物理的に分離された成分を含む1以上の貯留部を含む実験室若しくは工場設定
で、バイアルに充填する装置である。本発明はまた、成分並びにそのような方法の生成物
を組み合わせることを含むワクチンの製造方法を提供する。成分を組み合わせ、そして、
ワクチンを対象者に注射すること(例えば、本明細書に記載の注射機器で)を含む、ワク
チンを対象者(例えば、ヒト)に投与する方法も、本発明の一部を形成する。
【0149】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、18.53mM塩化アルミニ
ウム/水を含む。
【0150】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、100mMリン酸ナトリウ
ム/水、pH8.1;或いは、100mMリン酸ナトリウム、9%(重量/体積)ショ糖
/水、pH8.1;又は100mMTris(即ち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ
メタン)、18.53mMリン酸ナトリウム/水、pH8.1を含む。
【0151】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、18.53mM塩化アルミニ
ウム/水を含む。
【0152】
本発明の1実施形態において、リン酸塩/塩基含有成分は、(i)100mMリン酸ナ
トリウム、pH8.1/水、又は(ii)100mMリン酸ナトリウム;9%(重量/体
積)ショ糖;pH8.1/水、又は(iii)100mM Tris(トリス(ヒドロキ
シメチル)アミノメタンとも称される);18.53mMリン酸ナトリウム;pH8.1
/水を含む。
【0153】
本発明のさらなるクラスC実施形態は、例えば、アルミニウム含有化合物の溶液をリン
酸塩/塩基及び抗原を含む第2の溶液と混合して、抗原存在下にアルミニウムアジュバン
トを反応及び生成させることにより、最終体積約12mL(ワクチンの多用量容器の体積
に相当すると考えられる)で製造される、多抗原アルミニウムアジュバントワクチンの製
造に関する。
【0154】
本発明の1実施形態において、次の二成分が、物理的に分離された状態に維持されてい
る:アルミニウム含有化合物の溶液を含むアルミニウム含有成分;及び抗原の存在下にア
ルミニウムアジュバント沈殿反応の完了を可能とする4種類の異なる抗原(タンパク質細
菌毒素又はトキソイド)及び緩衝剤及び塩基源としてのリン酸塩pH8の溶液を含む抗原
含有成分。例えば、本発明の1実施形態において、各成分について、等体積、例えば6m
Lを用いる。
【0155】
本発明は、物理的に分離された状態に維持されているアルミニウム含有成分及び抗原含
有成分を含む製造物を提供する。
【0156】
本発明は、成分を組み合わせることを含むワクチンの製造方法並びにそのような方法の
生成物も提供する。成分を組み合わせ、そして、ワクチンを対象者に注射すること(例え
ば、本明細書に記載の注射機器で)を含む、ワクチンを対象者(例えば、ヒト)に投与す
る方法も、本発明の一部を形成する。
【0157】
本発明の1実施形態において、アルミニウム含有成分は、18.54又は18.53m
M塩化アルミニウム/水を含む。
【0158】
本発明の1実施形態において、抗原含有成分は、100mMリン酸ナトリウム、pH8
、9%ショ糖/水を、4種類の抗原、例えば抗原1(20mcg/mL vpi_5mT
cdA、C.ディフィシル(C.Difficile)からの組換え変異体毒素);抗原
2(20mcg/mL nap_5mTcdB、ホルムアルデヒド処理、C.ディフィシ
ル(C.Difficile)からの組換えトキソイド);抗原3(5.6mcg/mL
3mCdtA、C.ディフィシル(C.Difficile)からの組換え変異体毒素
サブユニット);及び、抗原4(44.4mcg/mL CdtB、C.ディフィシル(
C.Difficile)からの毒素サブユニット)とともに含む。
【0159】
本発明の1実施形態において、抗原含有成分は、100mMリン酸ナトリウム、pH8
、及び9%ショ糖を含む溶液中、20mcg/mL 5mTcdA;20mcg/mL
5mTcdB;5.6mcg/mL 3mCdtA;及び44.4mcg/mL Cdt
Bからなる群から選択されるC.ディフィシル(C.Difficile)関連の1以上
の抗原を含む。
【0160】
本発明のワクチン組成物は、界面活性剤を含むことができる。本発明の製剤で有用な界
面活性剤には、ノニオン系界面活性剤、例えばポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エス
テル類(ポリソルベート類、商標名Tween(登録商標)下で販売(Uniquema
Americas LLC,Wilmington,DE))、例えばポリソルベート
-20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート-40(ポリ
オキシエチレンソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート-60(ポリオキシエチ
レンソルビタンモノステアレート)、及びポリソルベート-80(ポリオキシエチレンソ
ルビタンモノオレエート);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、例えばBrij(
登録商標)58(Uniquema Americas LLC,Wilmington
,DE)及びBrij(登録商標)35;ポロクサマー類(例えば、ポロクサマー188
);Triton(登録商標)X-100(Union Carbide Corp.,
Houston,TX)及びTriton(登録商標)X-l 14;NP40;Spa
n20、Span40、Span60、Span65、Span80及びSpan85;
エチレン及びプロピレングリコールのコポリマー(例えば、pluronic(登録商標
)シリーズのノニオン系界面活性剤、例えばpluronic(登録商標)F68、pl
uronic(登録商標)10R5、pluronic(登録商標)F108、plur
onic(登録商標)F127、pluronic(登録商標)F38、pluroni
c(登録商標)L44、pluronic(登録商標)L62(BASF Corp.,
Ludwigshafen,Germany);及びドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
を含み、これらに限定されるものではない。
【0161】
本発明の1実施形態において、本発明の組成物は、リン酸化合物;例えば、リン酸塩、
例えばリン酸ナトリウム又はリン酸カリウムを含む。
【0162】
本発明の1実施形態において、本発明の組成物は、塩基、例えば、ヒスチジン、トリス
(ヒドロキシメチル)アミノメタン、HEPES、NaOH、KOH又はイミダゾールを
含む。
【0163】
本発明の1実施形態において、本発明の組成物は、保存剤、例えば、抗菌性保存剤、例
えば、m-クレゾール、フェノール又はベンジルアルコールを含む。
【0164】
IV.抗原
本発明の抗原は、物質を投与された対象者(例えば、ヒト)において、その物質に対す
る免疫応答を引き起こすのに十分な免疫原性を有する物質であり得る。本発明のワクチン
中の抗原は、凍結乾燥されているか、液体状態に維持されているが、アジュバント若しく
はアジュバント成分から物理的に分離されていることができる。
【0165】
抗原の例には、ポリペプチド、核酸、多糖若しくは多糖のタンパク質への複合体、トキ
ソイド、サブユニット(例えば、ウィルスの)、ウィルス様粒子、生ウィルス、スプリッ
トウィルス、弱毒化ウィルス、不活化ウィルス、エンベロープウィルス又はこれらのいず
れかの組み合わせを含む。
【0166】
本発明の1実施形態において、抗原は、多糖-ポリペプチド抗原、例えば肺炎球菌(例
えば、肺炎連鎖球菌(S.pneumonia))多糖(例えば、細胞被膜糖)-タンパ
ク質(例えば、ジフテリアタンパク質)複合体である。本発明の1実施形態において、複
合体は、タンパク質(例えば、ジフテリアタンパク質)に結合した肺炎連鎖球菌(S.p
neumonia)の細胞被膜(capture)糖を含み、例えば、前記細胞被膜糖は
、ジフテリアタンパク質と結合した細菌である肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae
)の7種類の血清型(4、6B、9V、14、18C、19F及び23F)のものである
。本発明の1実施形態において、複合体は、分類不能型インフルエンザ菌(Haemop
hilus influenza)、破傷風トキソイドキャリアタンパク質及び/又はジ
フテリアトキソイドキャリアタンパク質由来のタンパク質Dなどのタンパク質に結合した
肺炎球菌多糖体血清型1、4、5、6B、7F、9V、14、18C、19F及び23F
を含む。本発明の1実施形態において、複合体は、ジフテリアタンパク質に結合した肺炎
連鎖球菌(Streptococcus pneumonia)被膜多糖、例えばジフテ
リアcrm197タンパク質などのタンパク質に結合した肺炎連鎖球菌(Strepto
coccus pneumoniae)1、3、4、5、6a、6b、7f、9v、14
、18c、23f、19a及び19f型被膜多糖を含む。本発明の1実施形態において、
1以上のキャリアタンパク質に結合した肺炎連鎖球菌(Streptococcus p
neumoniae)の血清型1、2、3、4、5、6A、6B、6C、6D、6E、6
G、6H、7F、7A、7B、7C、8、9A、9L、9N、9V、10F、10A、1
0B、10C、11F、11A、11B、11C、11D、11E、12F、12A、1
2B、13、14、15F、15A、15B、15C、16F、16A、17F、17A
,18F、18A、18B、18C、19F、19A、19B、19C、20A、20B
、21、22F、22A、23F、23A、23B、24F、24A、24B、25F、
25A、27、28F、28A、29、31、32F、32A、33F、33A、33B
、33C、33D、33E,34、35F、35A、35B、35C、36、37、38
、39、40、41F、41A、42、43、44、45、46、47F、47A、48
、CWPS1、CWPS2、CWPS3の少なくとも一つからの被膜多糖を含む多糖-タ
ンパク質複合体の1以上である。
【0167】
抗原として使用可能なウィルスの例には、アデノウィルス、鳥インフルエンザ、コクサ
ッキーウィルス、サイトメガロウィルス、デング熱ウィルス、エボラウィルス、エプスタ
イン・バールウィルス、ウマ脳炎ウィルス、フラビウィルス、ヘパドナウィルス、A型肝
炎ウィルス、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、D型肝炎ウィルス、E型肝炎ウィル
ス、単純疱疹ウィルス、ヒト免疫不全ウィルス、ヒトパピローマ・ウィルス、インフルエ
ンザウィルス、日本脳炎ウィルス、JCウィルス、麻疹ウィルス、マールブルグ・ウィル
ス、ムンプス・ルブラウィルス、オルトミクソウィルス、パラインフルエンザウィルス、
パルボウィルス、ピコルナ・ウィルス、ポリオウィルス、ポックス・ウィルス、狂犬病ウ
ィルス、レオウィルス、呼吸器合胞体ウィルス、レトロウィルス、ラブドウィルス、ライ
ノウィルス、リフトバレー熱ウィルス、ロタウィルス、風疹ウィルス、麻疹ウィルス、天
然痘ウィルス、トガウィルス、豚インフルエンザ・ウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス、大
痘瘡、小痘瘡及び/又は黄熱病ウィルスを含み、これらに限定されるものではない。その
ようなウィルスは、全ウィルス(例えば、生存、弱毒化又は不活化)又はそのようなウィ
ルスのサブユニットであり得る。
【0168】
抗原として使用可能なウィルスの例には、麻疹ウイルス、ムンプス・ウィルス(ムンプ
ス・ルブラウィルス)、風疹ウィルス、水痘帯状疱疹ウィルス又はそれらの全ての4若し
くは3の組み合わせ(例えば、麻疹、ムンプス及び風疹)を含む。
【0169】
1実施形態において、抗原は、ボレリア(Borrelia)属種、バチルス・アント
ラシス(Bacillus anthracis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Bo
rrelia burgdorferi)、ボルデテラ・ペルツシス(Bordetel
la pertussis)、カンフィロバクター・ジェジュニ(Camphyloba
cter jejuni)、クラミジア(Chlamydia)属種、クラミジアル・プ
シッタシ(Chlamydial psittaci)、クラミジアル・トラコマチス(
Chlamydial trachomatis)、クロストリジウム(Clostri
dium)属種、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)
、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、ク
ロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium perfringens
)、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(Corynebacterium dipht
heriae)、コクシエラ(Coxiella)属種、エンテロコッカス(Enter
ococcus)属種、エーリキア(Erlichia)属種、エシェリキア・コリ(E
scherichia coli)、フランシセラ・ツラレンシス(Francisel
la tularensis)、ヘモフィルス(Haemophilus)属種、ヘモフ
ィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、ヘモフ
ィルス・パラインフルエンザエ(Haemophilus influenzae)、乳
酸菌(Lactobacillus)属種、レジオネラ(Legionella)属種、
レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、レプ
トスピロシス・インテロガンス(Leptospirosis interrogans
)、リステリア(Listeria)属種、リステリア・モノシトゲネス(Lister
ia monocytogenes)、マイコバクテリウム(Mycobacteriu
m)属種、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobacterium tub
erculosis)、マイコバクテリウム・レプラエ(Mycobacterium
leprae)、マイコプラズマ(Mycoplasma)属種、マイコプラズマ・ニュ
ーモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、ナイセリア(Neisse
ria)属種、ナイセリア・メニンギチジス(Neisseria meningiti
dis)、ネイッセリア・ゴノロエアエ(Neisseria gonorrhoeae
)、肺炎球菌(Pneumococcus)属種、シュードモナス(Pseudomon
as)属種、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラ(
Salmonella)属種、サルモネラ・ティフィ(Salmonella typh
i)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enterica)、ストレプ
トコッカス(Streptococcus)属種、リケッチア(Rickettsia)
属種、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia ricketsii)、リケッ
チア・ティフィ(Rickettsia typhi)、シゲラ(Shigella)属
種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属種、スタフィロコッカス・
オーレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス(S
treptococcus)属種、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Strepto
cocccus pneumoniae)、ストレプトコッカス・ピロゲネス(Stre
ptococcus pyrogenes)、ストレプトコッカス・ミュータンス(St
reptococcus mutans)、トレポネーマ(Treponema)属種、
トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum)、ビブリオ(Vib
rio)属種、ビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae)及びエルシニア
(Yersinia)属種から選択される1以上の細菌から取られる。そのような細菌は
、全細胞(例えば、生存、弱毒化又は不活化)又はそのような細菌のポリペプチド又は多
糖であることができる。
【0170】
1実施形態において、抗原は、アスペルギルス(Aspergillus)属種、カン
ジダ(Candida)属種、カンジダ・アルビカンス(Candida albica
ns)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、クリプト
コッカス(Cryptococcus)属種、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(C
ryptococcus neoformans)、エンタモエバ・ヒストリチカ(En
tamoeba histolytica)、ヒストプラズマ・カプスラツム(Hist
oplasma capsulatum)、リーシュマニア(Leishmania)属
種、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、プラス
モジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、トキソプ
ラズマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)、トコモナス・バギナリス(
Trichomonas vaginalis)、トキソプラズマ(Toxoplasm
a)属種、トキソプラズマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、シス
トソーマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)、フザリウム(Fus
arium)属種、及び/又はトリコフィトン(Trichophyton)属種から選
択される1以上の真菌から取られる。そのような真菌は、全細胞(例えば、生存、弱毒化
又は不活化)又はそのような真菌のポリペプチド若しくは多糖であることができる。
【0171】
1実施形態において、抗原は、プラスモジウム(Plasmodium)属種、トキソ
プラズマ(Toxoplasma)属種、エンタモエバ(Entamoeba)属種、バ
ベシア(Babesia)属種、トリパノソーマ(Trypanosoma)属種、リー
シュマニア(Leshmania)属種、ニューモシスティス(Pneumocysti
s)属種、トリコモナス(Trichomonas)属種、ジアルジア(Giardia
)属種及び/又はシソストマ(Schisostoma)属種から選択される1以上の寄
生生物から取られる。そのような寄生生物は、全細胞(例えば、生存、弱毒化又は不活化
)又はそのような寄生生物のポリペプチド若しくは多糖であることができる。
【0172】
本発明の1実施形態において、有効成分は核酸である。例えば、本発明の1実施形態に
おいて、核酸は、DNA、RNA、SiRNA、mRNAなどから選択される。
【0173】
本発明の1実施形態において、有効成分はトキソイドである。例えば、本発明の1実施
形態において、トキソイドは、ジフテリアトキソイド又は破傷風トキソイド又はC.ディ
フィシル(C.Difficile)からのトキソイドである。
【0174】
本発明の1実施形態において、有効成分は、ウィルスのサブユニットである。例えば、
本発明の1実施形態において、ウィルスサブユニットは、インフルエンザウィルス、単純
ヘルペスウィルス、呼吸器合胞体ウィルスFタンパク質、HIV、VSVからの糖タンパ
ク質などから選択される。
【0175】
本発明の1実施形態において、有効成分は、ウィルス様粒子(VLP)である。例えば
、本発明の1実施形態において、VLPは、ヒトパピロマウィルス又はサイトメガロウィ
ルスのウィルス様粒子である。
【0176】
本発明の1実施形態において、有効成分はスプリットウィルスである。例えば、本発明
の1実施形態において、スプリットウィルスはインフルエンザウィルスである。
【0177】
本発明の1実施形態において、抗原は、抗がんワクチンで用いることができる抗がん抗
原である。例えば、抗原は、腫瘍関連抗原(TAA)、例えばgp100、テセモチド、
葉酸結合タンパク質(FBP)、AE37、GP2、E75(ネリペピムト-S)、HE
R2/neu又はリンドペプムトであることができる。本発明の1実施形態において、抗
がん抗原は、ウィルスに結合している。
【0178】
V.乾燥
本発明は、再構成前に、1以上の成分が、乾燥、例えば凍結乾燥されているワクチンを
含む。水分が除去されて水のような液体が実質的に存在しない固体が得られる場合、組成
物は乾燥されている。乾燥組成物は、例えば、凍結乾燥、マイクロ波真空乾燥(例えば、
リオスフィア(lyosphere)の)、噴霧乾燥、パルス燃焼乾燥又はドラム乾燥さ
れたものであることができる。例えば、Encyclopedia of Agricu
lture,Food,and Biological Engineering.Ma
rcel Dekker,Inc or Xu&Sunada,Chem Pharm
Bull(Tokyo)55(11):1545-50(2007)を参照する。凍結乾
燥製剤成分は、粒子、例えば凍結乾燥材料のペレット、ビーズ又は球の形態であることが
できる。例えば、A.S.Mujumdar(2007).Handbook of I
ndustrial Drying.CRC Pressを参照する。
【0179】
本発明の1実施形態において、凍結乾燥又は乾燥は、プレフォームアルミニウムアジュ
バントのようなワクチン成分を含む液滴に液体窒素を直接接触させることを除外する方法
によって行う。
【0180】
本発明の1実施形態において、製剤成分は、冷凍し、その冷凍組成物を低圧下とするこ
とで成分中の水を昇華させることで凍結乾燥される。例えば、本発明の1実施形態におい
て、成分は、三段階凍結乾燥プロセス:下記の前冷凍、一次乾燥及び二次乾燥を課させる
。
【0181】
成分を、最初にそれの共晶温度(例えば、-50℃~-105℃以下)以下まで冷却
する前冷凍。
【0182】
次に、冷凍成分を低圧(例えば、真空又は部分真空、例えば、約1、2又は3ミリバ
ールの圧力)下とすることで、サンプル中の水を昇華させる一次乾燥。低温及び定圧とし
た場合、成分が乾燥マトリクスのように見えるまで、その圧力を続ける。
【0183】
一次乾燥が終わって全ての氷が昇華した後、結合した水分が生成物中にまだ存在し得
る二次乾燥。残留水をより高い温度で除去する。このプロセスは、結合した水が生成物か
ら脱着することから、等温脱着と称される。
【0184】
リオスフィア(lyosphere)は、例えば、液滴の形態での少量液体(例えば、
約20、50、100又は250μL)を、その液滴が完全な状態に維持されるように、
固体の平坦表面上に乗せることで作ることができる。本発明の1実施形態において、その
表面は、例えば約-180℃~約-196℃又は約-180℃~約-273℃の温度のプ
レート、例えば金属プレートである。例えば、本発明の1実施形態において、液体は、デ
ィスペンス先端によって表面上に乗せる。本発明の1実施形態において、液体は、約3m
L/分~約75mL/分、約5mL/分~約75mL/分;約3mL/分~約60mL/
分、約20mL/分~約75mL/分;及び約20mL/分~約60mL/分のディスペ
ンス速度でディスペンスされる。本発明の1実施形態において、ディスペンスされる小分
け量は、250μLであり、ディスペンス速度は約5mL/分~約75mL/分であり、
小分け量は100μLであり、ディスペンス速度は約3mL/分~約60mL/分である
。本発明の1実施形態において、ディスペンス先端と液体がディスペンスされる表面の間
の隙間は、約0.1cm以上(例えば、約0.5cm又は0.1cm~1cm又は0.1
cm~0.75cm)である。表面上に乗ると、液滴は冷凍され、乾燥される。リオスフ
ィア(lyosphere)の製造方法は、当業界で公知である。例えば、US5656
597;WO2013066769;WO2014093206;WO20150575
40;WO2015057541又はWO2015057548を参照する。
【0185】
本発明の1実施形態において、製剤成分は、マイクロ波真空乾燥によって乾燥される。
マイクロ波真空乾燥は、減圧下で行う乾燥方法であり、水の沸点及び大気中の酸素含有量
が相対的に低い。例えば、本発明の1実施形態において、製剤成分は、単一液滴としての
少量液体を、それが表面に接触し冷凍ペレットとしてその表面上で凍結する時に単一液滴
として液滴が維持されるように、表面温度を約-90℃以下とした固体表面上にディスペ
ンスし;そして、大気圧以下の圧力下に冷凍ペレットにマイクロ波照射を行って、球体の
ような乾燥ペレットを製造することで作られる。例えば、米国特許第4,389,794
号;同4,664,924号;同4,809,596号;同4,882,851号を参照
する。
【0186】
本発明の1実施形態において、製剤の成分は噴霧乾燥される。噴霧乾燥は、液体混合物
又は溶液を粉末に変換するプロセスである。これは、液体から水分成分を除去することで
行う。その液体を、例えば、ノズルを通して、チャンバ中に噴霧し、そのチャンバには同
時に熱風を吹き込んでいる。溶液の液滴がノズルから放出され、そして、熱風と接触させ
るので、各液滴の含水量が除去され、それを液体から粉末形態に変える。
【0187】
VI.治療方法
本発明は、本発明のワクチン製剤を再構成し、そして対象者に製剤を導入すること(例
えば、製剤の注射)を含む、処置を必要とする対象者にワクチンを投与する方法を提供す
る。本発明は、本発明の再構成ワクチン製剤を投与することによる、感染性疾患若しくは
がんの治療若しくは予防方法、又は抗原に対して対象者を免疫化/ワクチン接種する方法
も含む。本発明の1実施形態において、感染性疾患は、細菌感染、ウィルス感染、真菌感
染及び/又は寄生生物感染である。
【0188】
本発明のワクチン製剤に関して「投与する」という用語は、対象者の身体への本発明の
製剤を導入すること、例えば、筋肉注射、皮下注射、静脈注射、皮内注射、経口導入、経
鼻導入を指す。
【0189】
本発明の1実施形態において、当該方法は、対象者が、臨床医からワクチン製剤を自己
投与する指導を受けること、そして、その臨床医の指導に応えて製剤を再構成し、そして
、その製剤を対象者自身の身体に自己投与することを含む。本発明の1実施形態において
、当該方法は、ワクチン製剤の再構成及び対象者身体への投与、例えば、臨床医による対
象者への投与を含む。
【0190】
本発明の1実施形態において、ウィルス感染は、アデノウィルス、鳥インフルエンザ、
コクサッキーウィルス、サイトメガロウィルス、デング熱ウィルス、エボラウィルス、エ
プスタイン・バールウィルス、ウマ脳炎ウィルス、フラビウィルス、ヘパドナウィルス、
A型肝炎ウィルス、B型肝炎ウィルス、C型肝炎ウィルス、D型肝炎ウィルス、E型肝炎
ウィルス、単純疱疹ウィルス、ヒト免疫不全ウィルス、ヒトパピローマ・ウィルス、イン
フルエンザウィルス、日本脳炎ウィルス、JCウィルス、麻疹ウィルス、マールブルグ・
ウィルス、ムンプス・ルブラウィルス、オルトミクソウィルス、パラインフルエンザウィ
ルス、パルボウィルス、ピコルナ・ウィルス、ポリオウィルス、ポックス・ウィルス、狂
犬病ウィルス、レオウィルス、呼吸器合胞体ウィルス、レトロウィルス、ラブドウィルス
、ライノウィルス、リフトバレー熱ウィルス、ロタウィルス、風疹ウィルス、麻疹ウィル
ス、天然痘ウィルス、トガウィルス、豚インフルエンザ・ウィルス、水痘帯状疱疹ウィル
ス、大痘瘡、小痘瘡及び/又は黄熱病ウィルスから選択されるウィルスによるものである
。
【0191】
例えば、本発明の1実施形態において、細菌感染は、ボレリア(Borrelia)属
種、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、ボレリア・ブ
ルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボルデテラ・ペルツシ
ス(Bordetella pertussis)、カンフィロバクター・ジェジュニ(
Camphylobacter jejuni)、クラミジア(Chlamydia)属
種、クラミジアル・プシッタシ(Chlamydial psittaci)、クラミジ
アル・トラコマチス(Chlamydial trachomatis)、クロストリジ
ウム(Clostridium)属種、クロストリジウム・テタニ(Clostridi
um tetani)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium bo
tulinum)、クロストリジウム・ペルフリンゲンス(Clostridium p
erfringens)、コリネバクテリウム・ジフテリアエ(Corynebacte
rium diphtheriae)、コクシエラ(Coxiella)属種、エンテロ
コッカス(Enterococcus)属種、エーリキア(Erlichia)属種、エ
シェリキア・コリ(Escherichia coli)、フランシセラ・ツラレンシス
(Francisella tularensis)、ヘモフィルス(Haemophi
lus)属種、ヘモフィルス・インフルエンザエ(Haemophilus influ
enzae)、ヘモフィルス・パラインフルエンザエ(Haemophilus inf
luenzae)、乳酸菌(Lactobacillus)属種、レジオネラ(Legi
onella)属種、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneum
ophila)、レプトスピロシス・インテロガンス(Leptospirosis i
nterrogans)、リステリア(Listeria)属種、リステリア・モノシト
ゲネス(Listeria monocytogenes)、マイコバクテリウム(My
cobacterium)属種、マイコバクテリウム・ツベルクロシス(Mycobac
terium tuberculosis)、マイコバクテリウム・レプラエ(Myco
bacterium leprae)、マイコプラズマ(Mycoplasma)属種、
マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、ナイ
セリア(Neisseria)属種、ナイセリア・メニンギチジス(Neisseria
meningitidis)、ネイッセリア・ゴノロエアエ(Neisseria g
onorrhoeae)、肺炎球菌(Pneumococcus)属種、シュードモナス
(Pseudomonas)属種、緑膿菌(Pseudomonas aerugino
sa)、サルモネラ(Salmonella)属種、サルモネラ・ティフィ(Salmo
nella typhi)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella ente
rica)、ストレプトコッカス(Streptococcus)属種、リケッチア(R
ickettsia)属種、リケッチア・リケッチイ(Rickettsia rick
etsii)、リケッチア・ティフィ(Rickettsia typhi)、シゲラ(
Shigella)属種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)属種、
スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)、ス
トレプトコッカス(Streptococcus)属種、ストレプトコッカス・ニューモ
ニエ(Streptococccus pneumoniae)、ストレプトコッカス・
ピロゲネス(Streptococcus pyrogenes)、ストレプトコッカス
・ミュータンス(Streptococcus mutans)、トレポネーマ(Tre
ponema)属種、トレポネーマ・パリズム(Treponema pallidum
)、ビブリオ(Vibrio)属種、ビブリオ・コレラエ(Vibrio choler
ae)及びエルシニア(Yersinia)属種から選択される細菌によるものである。
【0192】
例えば、本発明の1実施形態において、真菌感染は、アスペルギルス(Aspergi
llus)属種、カンジダ(Candida)属種、カンジダ・アルビカンス(Cand
ida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropic
alis)、クリプトコッカス(Cryptococcus)属種、クリプトコッカス・
ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、エンタモエバ
・ヒストリチカ(Entamoeba histolytica)、ヒストプラズマ・カ
プスラツム(Histoplasma capsulatum)、リーシュマニア(Le
ishmania)属種、ノカルジア・アステロイデス(Nocardia aster
oides)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falcip
arum)、トキソプラズマ・ゴンジイ(Toxoplasma gondii)、トコ
モナス・バギナリス(Trichomonas vaginalis)、トキソプラズマ
(Toxoplasma)属種、トキソプラズマ・ブルセイ(Trypanosoma
brucei)、シストソーマ・マンソニ(Schistosoma mansoni)
、フザリウム(Fusarium)属種、及びトリコフィトン(Trichophyto
n)属種から選択される真菌によるものである。
【0193】
例えば、本発明の1実施形態において、寄生生物感染は、プラスモジウム(Plasm
odium)属種、トキソプラズマ(Toxoplasma)属種、エンタモエバ(En
tamoeba)属種、バベシア(Babesia)属種、トリパノソーマ(Trypa
nosoma)属種、リーシュマニア(Leshmania)属種、ニューモシスティス
(Pneumocystis)属種、トリコモナス(Trichomonas)属種、ジ
アルジア(Giardia)属種及びシソストマ(Schisostoma)属種から選
択される寄生生物によるものである。
【0194】
本発明の1実施形態において、がんは、メラノーマ、肺がん、結腸直腸がん、卵巣がん
、肝臓がん、前立腺がん又は乳がんである。
【0195】
本発明の1実施形態において、ワクチンは、サイトカイン、GM-CSF(顆粒球マク
ロファージコロニー刺激因子)、IL2、IL5又はIL10などの免疫刺激剤に関連す
る。
【0196】
「に関連する」という用語は、成分、免疫刺激剤のような別の剤とともにワクチン組成
物を、例えば同時送達用に単独組成物に製剤することができ、又は2以上の組成物に別個
に(例えば、キット)製剤することができることを示す。各成分は、他の成分を投与する
時と異なる時点で対象者に投与することができる。例えば、各投与は、所定の期間をかけ
て間隔を置いて、非同時に(例えば、別個に又は順次)行うことができる。さらに、別個
の成分を同一経路若しくは異なる経路によって対象者に投与することができる。他方の成
分がワクチン組成物の一部として製剤されている場合、本発明の1実施形態では、それは
、再構成されるまで他方の組成物成分から物理的に分離された状態に維持されている。
【0197】
下記の実施例は、本発明についての理解をさらに深めるためのものである。
【0198】
実施例1
本実施例は、予め作られたアルミニウムアジュバントからのアルミニウムアジュバント
凍結乾燥ビーズの製造、及び冷凍若しくは解凍誘発の凝集をほとんど起こすことのない再
構成を示す。
【0199】
以下の成分を用いて、本実施例で記載のワクチンを形成した。
【0200】
(1)(2)で再構成したプレフォーム乾燥アルミニウムアジュバント(例:凍結乾燥
ビーズ)
(2)以下を含む液体(
図1参照)
・水
・任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤
・任意に抗原
・任意に追加のアジュバント
・任意に保存剤。
【0201】
本実施例における実施形態:
(1)MAPA(リン酸アルミニウムアジュバント)と製剤3又は製剤2の前凍結乾燥組
成物の凍結乾燥ビーズ。
【0202】
【0203】
アルミニウムアジュバントの3種類の異なる製剤を調製した。
【0204】
製剤1
・1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・150mM塩化ナトリウム
製剤2
・1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・16%(重量/体積)トレハロース
・70mM塩化ナトリウム
・0.5mMヒスチジン塩基
製剤3
・625mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・23%(重量/体積)トレハロース
・35mM塩化ナトリウム
・0.8mMヒスチジン塩基
【0205】
製剤#2及び#3を、リオスフィア(lyosphere)として調製した。即ち、懸
濁液を混和し、深ウェル多チャンネルピペットプレートに充填し、そして、各懸濁液の小
分け量50μLを、超低温金属表面上に滴下して(「CRYOMEK」を用いて)、50
μL液滴が非常に急速に冷凍される(同様のプロセスを、ピペットを手で用い、液体窒素
冷却した金属板上に100μLずつを滴下することによっても行った。)。これらのビー
ズを、それらが凍結乾燥されるまで冷凍状態に維持した(ターゲット:-70℃以下)。
凍結乾燥を、好適な凍結乾燥サイクルでLYOSTARIIユニットで行った。
【0206】
冷凍及び/又は解凍誘発凝集は、一般に、ワクチン又はアルミニウムアジュバントに対
するダメージの証拠と解釈される。
図2に示したように、1回も冷凍されたことがない製
剤#1中の機械的にサイズ低下したアジュバントは、静的光散乱によって測定される予想
粒径分布を有していた。沈降、固体冷凍し、解凍した製剤#1中のアジュバントは、かな
りの凝集があった。製剤#2及び#3は、ビーズとして冷凍し、凍結乾燥し、水で再構成
した後、1回も冷凍されたことがない製剤#1中のアジュバントと一致する粒径分布を有
していた。再構成した凍結乾燥ビーズは、冷凍及び解凍していた製剤#1と比較して非常
に異なる粒径分布を有していた。再構成した凍結乾燥ビーズは、冷凍及び冷凍液体及び冷
凍乾燥ビーズとしての保存を行っていたが、凝集の証拠を示さなかった。乾燥ビーズは、
室温以上で数時間、数日間、数週間及びそれ以上、物理的に安定なままであった。驚くべ
きことに、製剤#2及び#3からの再構成した凍結乾燥ビーズ間で粒径分布差が認められ
た。理論に拘束されることを望むものではないが、これは、相対的に低いアルミニウムア
ジュバント濃度、相対的に高いトレハロース濃度、相対的に低い塩化ナトリウム濃度、相
対的に高いヒスチジン塩基濃度、及び/又はpH差のためであろう。
【0207】
製剤2について、アルミニウムアジュバントの高トレハロース中懸濁液を、沈降、冷凍
、及び次に解凍と、凍結乾燥ビーズとして冷凍(超低温プレート上への再懸濁した懸濁液
の液滴をディスペンス)、凍結乾燥及び再構成との間で、比較を行った。静的光散乱測定
(
図3)に基づいて、恐らく高トレハロース濃度のために若干の冷凍-解凍保護があるよ
うに思われたが、同じ製剤についての凍結乾燥ビーズプロセスは、より小さい粒径を示し
、凝集からかなり良好に保護された。
【0208】
実施例2
本実施例は、ほとんど冷凍又は解凍誘発凝集を起こすことなく、アルミニウムアジュバ
ント凍結乾燥ビーズ(予め作られたアルミニウムアジュバントから製造)、及び抗原凍結
乾燥ビーズの共再構成によりワクチンを製造することを示す。
【0209】
下記の成分を用いて、本実施例で記載のワクチンを形成した。
【0210】
(1)プレフォーム乾燥アルミニウムアジュバント(例:凍結乾燥ビーズ)
(2)(3)で再構成した製剤化抗原;
(3)以下を含む液体
・水
・任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤
・任意に抗原
・任意に追加のアジュバント
・任意に保存剤。
【0211】
【0212】
本実施例における実施形態:
(1)MAPAと製剤3又は製剤2の前凍結乾燥組成物の凍結乾燥ビーズ
(2)15価(
図5にデータ)、1価3型(データは不図示)、1価19A型(
図5に
データ)肺炎球菌多糖タンパク質複合体抗原を含むPCV抗原製剤であって、乾燥前に、
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)CRM-PnPs
複合体抗原
・100mMヒスチジン
・20%(重量/体積)トレハロース
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
・pH6~7.5、
を含む製剤。
【0213】
一つの抗原(「一価」)又は複数の抗原(「多価」、又は「組み合わせ」)を有するワ
クチンを、アルミニウムアジュバント(製剤#3)の乾燥凍結乾燥ビーズを製剤化抗原若
しくは抗原の凍結乾燥ビーズと共パッケージ化することで製造した。乾燥ビーズに水を加
えて、アルミニウム-アジュバントワクチンを再構成した。
【0214】
製剤1
・1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・150mM塩化ナトリウム
製剤3(アルミニウムアジュバントの凍結乾燥ビーズ)
・625mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・23%(重量/体積)トレハロース
・35mM塩化ナトリウム
・0.8mMヒスチジン塩基
製剤4(抗原を含む凍結乾燥ビーズ用)
・20%(重量/体積)トレハロース
・50mMヒスチジン(塩基)
・50mMヒスチジン塩酸塩
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖体)複合体抗原、19
A型
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
・pH6
製剤5(複数の異なる抗原を含む凍結乾燥ビーズ用)
・20%(重量/体積)トレハロース
・100mMヒスチジン(塩基)
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖体)複合体抗原、異な
る種類の多糖との15の複合体の混合物
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
・pH7.5
製剤6A又は6B(製剤3+製剤4、又は製剤3+製剤5の凍結乾燥ビーズの再構成後
の製剤)
・13.2%(重量/体積)トレハロース
・250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・64mcgPnPs/mLCRM-PnPs複合体抗原、全種類の19A型(A)又
は15のPnPs型を含む混合物(B)
・24mM塩化ナトリウム
・20.3mMヒスチジン(塩基)
・0.02%ポリソルベート20。
【0215】
静的光散乱(SLS)測定を行って、冷凍及び冷凍/解凍されたことがないアルミニウ
ムアジュバント、及び再構成後のアルミニウムアジュバントの凍結乾燥ビーズの粒径分布
を、アルミニウムアジュバント凍結乾燥ビーズと抗原凍結乾燥ビーズを共パッケージ化し
、そして一緒に再構成することで製造されたワクチン(アルミニウムアジュバント+1以
上の抗原)とを比較した(
図5)。この方法で調製されたワクチンは、全く冷凍されてい
ないアルミニウムアジュバントと同様の粒径分布を示し、冷凍若しくは解凍凝集の証拠は
示さなかった。
【0216】
実施例3
本実施例は、バイアル中(又は再構成チャンバ中)で、一緒にパッケージ化されている
が分離されている、反応してアルミニウムアジュバントを形成するアルミニウム含有溶液
及びリン酸塩/塩基含有溶液の凍結乾燥ビーズを再構成することによるアルミニウムアジ
ュバントの製造を示す。
【0217】
下記の成分を用いて、本実施例で記載のワクチンを形成した。
【0218】
(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば、アルミ
ニウム含有化合物)を含む乾燥製剤
(2)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の他のもの(例えば、リ
ン酸含有化合物及び/又は塩基)を含む(3)で再構成した乾燥製剤
(3)以下を含む液体
・水
・任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤
・任意に抗原
・任意に別のアジュバント
・任意に保存剤。
【0219】
【0220】
本実施例における実施形態:
(凍結乾燥前の濃度)
(1)92.66mM塩化アルミニウム、25%(重量/体積)トレハロース;
(2)92.66mM三塩基リン酸ナトリウム、25%(重量/体積)トレハロース;
(2)92.47mM三塩基リン酸ナトリウム、24.95%(重量/体積)トレハロ
ース;又は
(2)92.29mM三塩基リン酸ナトリウム、24.9%(重量/体積)トレハロー
ス。
【0221】
アルミニウムアジュバントは、沈殿反応を起こすのに十分な塩基が提供される場合、ア
ルミニウム化合物含有溶液をリン酸含有溶液及び/又は塩基提供溶液と反応させることで
製造することができる。アルミニウム及びリン酸含有溶液は、微粒子状懸濁液ではなく、
アルミニウムアジュバントにダメージを与え得る冷凍-解凍誘発凝集を起こさない。バイ
アル中又は送達機器中で形成され、そして場合によっては、注射直前まで、アルミニウム
アジュバントの形成を遅延させることで、冷凍-解凍誘発アジュバント凝集の回避を含む
、製造及び輸送上の簡便性を達成することができる。
【0222】
アルミニウム含有化合物の一つの溶液、及びリン酸塩/塩基含有化合物の三つの溶液を
調製した。
【0223】
製剤1
・1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・150mM塩化ナトリウム
製剤2
・1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・16%(重量/体積)トレハロース
・70mM塩化ナトリウム
・0.5mMヒスチジン塩基
製剤7(アルミニウム含有化合物)
・92.66mM塩化アルミニウム
・25%(重量/体積)トレハロース
製剤8A(リン酸塩/塩基含有化合物)
・92.66mM三塩基リン酸ナトリウム
・25%(重量/体積)トレハロース
製剤8B(リン酸塩/塩基含有化合物)
・92.47mM三塩基リン酸ナトリウム
・24.95%(重量/体積)トレハロース
・10mM水酸化ナトリウム
製剤8C(リン酸塩/塩基含有化合物)
・92.29mM三塩基リン酸ナトリウム
・24.9%(重量/体積)トレハロース
・20mM水酸化ナトリウム。
【0224】
製剤7の冷凍及び凍結乾燥ビーズを、製剤8の冷凍及び凍結乾燥ビーズと一緒にパッケ
ージ化した(A、B、又はC)。水の添加による凍結乾燥ビーズの再構成によってアルミ
ニウムアジュバント沈殿反応が開始し、それは急速に起こった。得られたアルミニウムア
ジュバント懸濁液の粒径分布を静的光散乱によって測定し、冷凍及び冷凍/解凍されたこ
とがない機械的にサイズ低下したアルミニウムアジュバント(製剤1)と比較した。粒径
は、冷凍されたことがない生理食塩水中の機械的にサイズ低下したアルミニウムアジュバ
ントより大きいように見えたが、冷凍-解凍によって凝集した同じアルミニウムアジュバ
ントより有意に小さかった(
図7)。生理食塩水中の機械的にサイズ低下したアルミニウ
ムアジュバントよりサイズ上昇があるにも拘わらず、バイアル中若しくは機器中の再構成
によるアルミニウムアジュバント形成反応は、製造及び輸送の柔軟性における大幅な改善
、及び、冷凍-解凍凝集したアルミニウムアジュバントに勝る品質を表し得るものであり
、別の試験とともにワクチンにおいて許容でき、有効であることを証明し得る。
【0225】
実施例4
本実施例は、バイアル中(又は再構成チャンバ中)で反応してアルミニウムアジュバン
トを形成する一緒にパッケージ化されているが分離されているアルミニウム含有溶液及び
リン酸塩/塩基含有溶液の凍結乾燥ビーズの再構成によるワクチン(アルミニウムアジュ
バント+抗原又は抗原)の製造、及びその新たに形成されたアルミニウムアジュバント懸
濁液の使用による抗原凍結乾燥ビーズの再構成による完全ワクチンの形成を示す。
【0226】
下記の成分を用いて、本実施例に記載のワクチンを形成した。
【0227】
(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば、アルミ
ニウム含有化合物)を含む乾燥製剤
(2)(3)によって再構成される、アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な
反応物の他のもの(例えば、リン酸含有化合物及び/又は塩基)を含む乾燥製剤
(3)以下を含む液体;
・水
・任意に塩、緩衝剤、界面活性剤及び/又は賦形剤
・任意に抗原
・任意に追加のアジュバント
・任意に保存剤
であって、再構成された、新たに形成されたアルミニウムアジュバントを用いて(4)を
再構成するもの
(4)製剤された抗原。
【0228】
【0229】
本実施例における実施形態:
(1)92.66mM塩化アルミニウム、25%(重量/体積)(乾燥前)
(2)92.66mM三塩基リン酸ナトリウム、25%(重量/体積)トレハロース(
乾燥前)
(4)15価抗原、乾燥前製剤:
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)複合体抗原
・50mMヒスチジン塩基
・50mMヒスチジン塩酸塩
・20%(重量/体積)トレハロース
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
・pH6。
【0230】
1価(一つの抗原型)及び多価(複数の抗原型の組み合わせ)を、複数の方法によって
製造した。
【0231】
方法1
・プレフォームアルミニウムアジュバントの凍結乾燥ビーズを製造する(機械的にサイ
ズ低下)。
【0232】
・製剤された抗原又は抗原組み合わせの凍結乾燥ビーズを製造する。
【0233】
・アルミニウムアジュバント及び抗原の凍結乾燥ビーズを共パッケージ化する。
【0234】
・一緒に再構成する。
【0235】
方法2
・アルミニウム含有化合物の凍結乾燥ビーズを製造する。
【0236】
・リン酸塩/塩基含有化合物の凍結乾燥ビーズを製造する。
【0237】
・製剤された抗原又は抗原組み合わせの凍結乾燥ビーズを製造する。
【0238】
・アルミニウム及びリン酸塩/塩基含有化合物の凍結乾燥ビーズを共パッケージ化する
。
【0239】
・再構成を行って、アルミニウムアジュバント形成反応を行わせる。
【0240】
・アルミニウムアジュバントを用いて、抗原凍結乾燥ビーズを再構成する。
【0241】
静的光散乱測定によって、粒径分布の比較を行った。本実施例中の比較のための関連製
剤には、下記のものを含む。
【0242】
製剤1
・1250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・150mM塩化ナトリウム
製剤3
・625mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・23%(重量/体積)トレハロース
・35mM塩化ナトリウム
・0.8mMヒスチジン塩基
製剤7(アルミニウム含有化合物)
・92.66mM塩化アルミニウム
・25%(重量/体積)トレハロース
製剤8A(リン酸塩/塩基含有化合物)
・92.66mM三塩基リン酸ナトリウム
・25%(重量/体積)トレハロース
製剤9(複数の異なる抗原を含む凍結乾燥ビーズ用)
・20%(重量/体積)トレハロース
・50mMヒスチジン(塩基)
・50mMヒスチジン塩酸塩
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)CRM-PnPs複
合体抗原
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
・pH6。
【0243】
生理食塩水中の冷凍アルミニウムアジュバント(製剤1、冷凍及び解凍)は、冷凍-解
凍凝集によってダメージを受けるのが一般に受け入れられている。方法1によって製造さ
れた多価ワクチン(予め作られた機械的にサイズ低下させたアルミニウムアジュバントの
凍結乾燥ビーズ)によって、最も小さい粒径のアジュバントが得られた(
図9)。方法2
によって製造された多価ワクチン(共再構成時に反応してアルミニウムアジュバントを形
成するアルミニウム及びリン酸塩/塩基含有化合物の凍結乾燥ビーズ)は相対的に大きい
粒径を有していたが、それでもまだ、抗原を持たない冷凍-解凍凝集アルミニウムアジュ
バントより有意に小さかった。方法2から得られるその相対的に大きい粒径のワクチンの
正確な性質についてはまだ十分に理解されていないが、それは冷凍-解凍凝集の結果では
ない。機械的にサイズ低下したアルミニウムアジュバントの再構成凍結乾燥ビーズを用い
て製造したワクチンよりサイズが大きいにも拘わらず、アルミニウム及びリン酸塩/塩基
溶液のバイアル内若しくは機器内再構成によるアルミニウムアジュバント形成反応と、次
に、その新たに形成されたアジュバントによる凍結乾燥抗原の再構成は、多くの現在のワ
クチンで存在する冷凍-解凍ダメージのリスクを回避することができ、製造及び輸送の柔
軟性における大幅な改善を表すものと考えられる。さらなる試験を行えば、それはワクチ
ンにおいて許容され、有効であることが証明できる。
【0244】
実施例5
本実施例は、アルミニウム-及びリン酸含有化合物の液体溶液(まだ、アルミニウムア
ジュバント懸濁液形成反応を行っていないもの)を液体状態又は凍結乾燥状態のいずれか
の製剤化抗原と組み合わせることで、1以上の抗原存在下でアルミニウムアジュバント形
成反応を行う、1価及び多価HPVワクチンの製造を示す。
【0245】
(1)アルミニウム-及びリン酸含有化合物の溶液(アルミニウムアジュバント懸濁液
形成反応を完了するのに十分な塩基を含まない)を、製剤中、液体(2)若しくは凍結乾
燥(3)抗原と組み合わせると、緩衝剤、塩、及び/又は塩基を含む製剤化抗原によって
、抗原存在下でのアルミニウムアジュバント沈殿反応が完了する。
図10を参照する。
【0246】
本実施例における実施形態:
(1)等体積の37.08mM塩化アルミニウム/水と33.38mMリン酸ナトリウ
ムpH7.0/水を混和し、酸性pHの18.54mM塩化アルミニウム、16.69m
Mリン酸ナトリウムとなる溶液。実施例5における比較の一部については、これをさらに
水で1:1希釈する。
【0247】
(2)(50、80、又は75)mM二塩基リン酸ナトリウム、(50、20、又は2
5)mM一塩基リン酸ナトリウム、160mcg/mLのHPV VLP 16型、5m
Mヒスチジン、125mM塩化ナトリウム、0.005%ポリソルベート80/水。
【0248】
(3)(20又は42.5)mMヒスチジン塩基、4.5%ショ糖、HPV VLP
6型(40mcg/mL)、11型(80mcg/mL)、16型(80mcg/mL)
、及び18型(40mcg/mL)、125mM塩化ナトリウム、0.005%ポリソル
ベート80、凍結乾燥品。
【0249】
アルミニウム-及びリン酸含有化合物の溶液(アルミニウムアジュバント懸濁液形成反
応を完了させるのに十分な塩基を含まない)を、単一VLP型(液体製剤)又は複数VL
P型(凍結乾燥製剤)の製剤されたHPVウィルス様粒子と混合した。製剤化抗原ととも
に存在する緩衝剤は、抗原存在下でのアルミニウムアジュバント形成反応を可能とするの
に不足している塩基を提供した。これらの反応は、ワクチンバイアル又は送達機器中での
場合のように小体積(例えば1mLに1mLを加える)で行った。アッセイを行って、ア
ルミニウムアジュバント形成反応前後における抗原及びワクチンの特性を決定した。これ
らには、pH、動的光散乱によるウィルス様粒子平均粒径(アルミニウムアジュバント溶
解後)、及びBiacoreによるウィルス様粒子相対効力(アルミニウムアジュバント
溶解後)を含んだ。さらに試験を行うことで、バイアル又は送達機器中、抗原の存在下で
のアルミニウムアジュバントの形成によって作られたHPVワクチンが、許容でき、有効
であることを証明することができる。
【0250】
製剤11
・18.54mM塩化アルミニウム・6水和物
・16.69mMリン酸ナトリウム
・水中、酸性pH
製剤17
・50mM二塩基リン酸ナトリウム
・50mM一塩基リン酸ナトリウム
・160mcg/mLのHPV VLP 16型
・5mMヒスチジン
・125mM塩化ナトリウム
・0.005%ポリソルベート80
・水中
製剤18
・80mM二塩基リン酸ナトリウム
・20mM一塩基リン酸ナトリウム
・160mcg/mLのHPV VLP 16型
・5mMヒスチジン
・125mM塩化ナトリウム
・0.005%ポリソルベート80
・水中
製剤19
・75mM二塩基リン酸ナトリウム
・25mM一塩基リン酸ナトリウム
・160mcg/mLのHPV VLP 16型
・5mMヒスチジン
・125mM塩化ナトリウム
・0.005%ポリソルベート80
・水中
製剤20
・20mMヒスチジン塩基
・4.5%ショ糖
・40mcg/mLのHPV VLP 6型
・80mcg/mLのHPV VLP 11型
・80mcg/mLのHPV VLP 16型
・40mcg/mLのHPV VLP 18型
・125mM塩化ナトリウム
・0.005%ポリソルベート80
・凍結乾燥
製剤21
・42.5mMヒスチジン塩基
・4.5%ショ糖
・40mcg/mLのHPV VLP 6型
・80mcg/mLのHPV VLP 11型
・80mcg/mLのHPV VLP 16型
・40mcg/mLのHPV VLP 18型
・125mM塩化ナトリウム
・0.005%ポリソルベート80
・凍結乾燥
製剤22
・9.27mM塩化アルミニウム・6水和物
・8.34mMリン酸ナトリウム
・水中、酸性pH。
【0251】
【0252】
実施例6
本実施例は、アルミニウム含有化合物及びリン酸含有化合物を含む液体溶液(前記溶液
は、自体で反応して、アルミニウムアジュバント懸濁液を形成して固体を沈殿させるもの
ではない。)を、アルミニウムアジュバント形成反応を完了させるのに必要な塩基を提供
する凍結乾燥若しくは噴霧乾燥製剤と組み合わせることによる、アルミニウムアジュバン
トの製造を示す。
【0253】
下記の成分を用いて、本実施例に記載のワクチンを形成した。
【0254】
(1)(2)で再構成される、アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物
の一部(例えば、リン酸塩及び/又は緩衝剤及び/又は塩基、任意に緩衝剤及び/又は賦
形剤、任意に別のアジュバント、任意に保存剤とともに製剤された抗原)を含む乾燥製剤
;
(2)以下を含む液体
・水
・アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の他のもの(例えば、アル
ミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるのに十分な塩基を持たない、アルミニウム含
有化合物及びリン酸含有化合物)
・任意に緩衝剤、塩、界面活性剤及び/又は賦形剤
・任意に別のアジュバント
・任意に保存剤。
【0255】
本実施例における実施形態:
(1)(噴霧乾燥前):1%ショ糖、9%マンニトール、50mMリン酸塩、pH7.
4又はpH7.8を含む噴霧乾燥製剤;又は(選択肢1)(凍結乾燥前)6%ショ糖、1
00mMヒスチジン、pH6.0又は7.0又は7.4を含むバイアル中の凍結乾燥製剤
(2)10.49mM塩化アルミニウム、9.44mMリン酸ナトリウム、水中、酸性
pH。
【0256】
凍結乾燥及び噴霧乾燥製剤を製造した。アルミニウム-及びリン酸含有化合物の溶液(
アルミニウムアジュバント懸濁液と同じものではない)を凍結乾燥又は噴霧乾燥製剤に加
えることで、アルミニウムアジュバントが形成された。アルミニウムアジュバント形成反
応を起こさせるのに必要な量の塩基は、凍結乾燥又は噴霧乾燥製剤によって提供された。
ワクチンの一部の静的光散乱測定からの最終ワクチンのpH及び粒径中央値d(0.5)
を測定した。反応完了すると、凍結乾燥サンプル用に形成されたアルミニウムアジュバン
トの濃度は、266mcgAl/mLであろう。
【0257】
製剤23
・10.49mM塩化アルミニウム
・9.44mMリン酸ナトリウム
・水中、酸性pH
製剤24
・6%ショ糖
・100mMヒスチジン
・pH7.6、凍結乾燥
製剤25
・6%ショ糖
・100mMヒスチジン
・pH7.0、凍結乾燥
製剤26
・6%ショ糖
・100mMヒスチジン
・pH6.0、凍結乾燥
製剤27
・1%ショ糖
・9%マンニトール
・50mMリン酸塩
・pH7.4、噴霧乾燥
製剤28
・1%ショ糖
・9%マンニトール
・50mMリン酸塩
・pH7.8、噴霧乾燥。
【0258】
【0259】
実施例7
本実施例は、アルミニウム含有溶液、リン酸塩/塩基含有溶液、及び製剤化抗原の凍結
乾燥ビーズの共パッケージ化によるワクチンの製造、及び液体による再構成による抗原存
在下での反応及びアルミニウムアジュバント形成を示す。
【0260】
下記の成分を用いて、本実施例に記載のワクチンを形成した。
【0261】
(1)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の一部(例えば、アルミ
ニウム含有化合物)を含む乾燥製剤
(2)アルミニウムアジュバントを形成するのに必要な反応物の他のもの(例えば、リ
ン酸含有化合物及び/又は塩基)を含む乾燥製剤
(3)抗原を含む乾燥製剤
1~3のいずれも保存剤を含んでいても良く、(4)によって再構成される。
【0262】
(4)
・水
・任意に緩衝剤、塩、界面活性剤及び/又は賦形剤
・任意に抗原
・任意に別のアジュバント
・任意に保存剤
を含む液体。
【0263】
【0264】
本実施例における実施形態:
(1)凍結乾燥前、92.66mM塩化アルミニウム、25%(重量/体積)トレハロ
ース
(2)凍結乾燥前、92.66mM三塩基リン酸ナトリウム、25%(重量/体積)ト
レハロース
(3)凍結乾燥前、以下を含む製剤化抗原
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)複合体抗原(多糖
19A型)
・100mMヒスチジン
・20%(重量/体積)トレハロース
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
・pH7.5。
【0265】
アルミニウム含有化合物の凍結乾燥ビーズ、リン酸塩/塩基含有化合物の凍結乾燥ビー
ズ、及び抗原製剤の凍結乾燥ビーズを製造した。これら3種類の凍結乾燥ビーズを共パッ
ケージ化し、水で再構成することで、ワクチンを作った。再構成により、抗原存在下での
アルミニウムアジュバント形成反応が起こった。
【0266】
製剤4(1価複合体ワクチン(下記に示す19A型)を含む凍結乾燥ビーズ用)抗原
・20%(重量/体積)トレハロース
・100mMヒスチジン(塩基)
・320mcgPnPs/mLCRM-PnPS(肺炎球菌多糖)複合体抗原(多糖
19A型)
・50mM塩化ナトリウム
・0.1%ポリソルベート20
製剤7(アルミニウム含有化合物)
・92.66mM塩化アルミニウム
・25%(重量/体積)トレハロース
製剤8A(リン酸塩/塩基含有化合物)
・92.66mM三塩基リン酸ナトリウム
・25%(重量/体積)トレハロース。
【0267】
図13における粒径分析を参照する。アルミニウム含有化合物、リン酸塩/塩基含有化
合物、及び抗原(再構成時に、抗原存在下で、アルミニウムアジュバントの形成を生じる
。)を含む凍結乾燥ビーズを共パッケージ化(バイアル又は送達機器中)することで作ら
れるワクチンは、許容され、有効であり得る。
【0268】
実施例8
本実施例は、抗原存在下でアルミニウムアジュバントを形成するアルミニウム及びリン
酸塩/塩基含有化合物の反応による多価ワクチンの製造を示す。
【0269】
本実施例は、バイアル又は小容器に二つの液体溶液を充填して、アルミニウムアジュバ
ントを形成することで(任意に、抗原、塩、緩衝剤、賦形剤、洗浄剤、界面活性剤、保存
剤、安定剤、色素、指示剤の存在下に)製造される製剤に関する。
【0270】
1実施形態において(
図14を参照する)、
(1)アルミニウム含有化合物及びリン酸含有化合物を含むが、アルミニウムアジュバ
ント沈殿反応を完了させるのに十分な塩基を持たない溶液をバイアルに加え、次に、等体
積の
(2)アルミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるのに必要な塩基の残りを提供す
る緩衝剤若しくは塩若しくは塩基を含み、任意に抗原及び/又は他の成分を含む溶液を加
える。
【0271】
本実施例における実施形態:
(1)18.54mM塩化アルミニウム(塩化アルミニウム・6水和物から)、16.
69mMリン酸ナトリウム/水、酸性pH(等体積の37.08mM塩化アルミニウム及
び33.38mMリン酸ナトリウムpH7の混合物から調製)
(2)以下を含む15価PCV抗原製剤
・128mcgPnPs/mLCRM-PnPs(肺炎球菌多糖)複合体抗原
・80mMヒスチジン、pH7.0
・6%ショ糖
・150mM塩化ナトリウム。
【0272】
ELISAに基づく相対的効力及び多価ワクチンの蛍光スペクトラムを測定して、抗原
の存在下で塩化アルミニウムをリン酸ナトリウム及び十分な塩基と反応させるプロセスが
、アジュバント形成/沈殿反応を経験していない抗原と比較して測定される効力若しくは
蛍光スペクトラムに悪影響を与えないことが示された。
【0273】
ここで、十分な塩基が存在しなかった場合、アルミニウム含有化合物及びリン酸含有化
合物が反応して安定な沈殿アルミニウムアジュバントを製造しないであろうことが示され
た。製剤11は、アジュバント形成反応に必要な十分な量の塩基を含まず、沈殿アジュバ
ント固体の濁った懸濁液を形成するのではなく、透明のままである。不足している塩基は
、80mMヒスチジン緩衝剤からの製剤10と混合した場合に提供される。従って、反応
に必要な塩基のごく一部を他の成分(本実施例では、アルミニウム含有化合物及びリン酸
含有化合物)から離れた状態に維持することが、反応完了及びアルミニウムアジュバント
懸濁液の形成を回避するのに十分であり得、懸濁液が形成する前の時点でアジュバント懸
濁液の冷凍-解凍凝集の可能性が回避される。
【0274】
製剤10
・128mcgPnPs/mLCRM-PnPS(肺炎球菌多糖)複合体抗原(15の
異なる多糖型との複合体)
・80mMヒスチジン、pH7.0
・6%ショ糖
・150mM塩化ナトリウム
・水中
製剤11
・18.54mM塩化アルミニウム・6水和物
・16.69mMリン酸ナトリウム
・水中、酸性pH
製剤12
・64mcgPnPs/mLCRM-PnPS(肺炎球菌多糖)複合体抗原(15の異
なる多糖型との複合体)
・40mMヒスチジン
・3%ショ糖
・100mM塩化ナトリウム
・250mcgAl/mLアルミニウムアジュバント
・水中
・pH5.9。
【0275】
等体積の製剤10及び製剤11を混和して、製剤12を得た。比較物として、等体積の
製剤10及び水を混和し、それによってアルミニウムアジュバントは形成されなかった。
両方のサンプルについての抗原効力を、ELISAアッセイを用いて測定し(
図15)、
両方のサンプルの蛍光スペクトラムを測定した(
図16)。これらのアッセイにより、抗
原存在下にアジュバント沈殿によって製造されるワクチンの構造及び抗原性は、無アルミ
ニウムアジュバント比較物(又は「モック」)サンプルと同様に見えた。
【0276】
実施例9
本実施例は、自動バイアル充填ラインでのアルミニウム含有溶液及びリン酸塩/塩基含
有溶液の迅速な順次添加によるアルミニウムアジュバントの製造を示す。
【0277】
本実施例は、充填ラインを用いて二つの液体溶液をバイアル中に充填して、アルミニウ
ムアジュバント(任意に、抗原、塩、緩衝剤、賦形剤、洗浄剤、界面活性剤、保存剤、安
定剤、色素、指示剤の存在下に)を形成し、次に直ちに反応停止することで形成される製
剤に関する。
【0278】
例えば(
図17参照)、
(1)アルミニウム含有化合物を含む溶液を加え、次に等体積の
(2)アルミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるのに十分なリン酸塩及び/又は
塩基を提供するリン酸含有化合物又は緩衝剤又は塩又は塩基を含み、及び任意に抗原及び
/又は他の成分を含む溶液。溶液を逆の順序で加えることができ、添加体積を、所望に応
じて、意図的に等体積でないように設計することが可能であろう。
【0279】
本実施例における実施形態:
(1)18.53mM塩化アルミニウム/水
(2)100mMリン酸ナトリウム/水、pH8.1
(選択肢2)100mMリン酸ナトリウム、9%(重量/体積)ショ糖/水、pH8.
1
(別の選択肢2)100mM Tirs*、18.53mMリン酸ナトリウム/水、p
H8.1
(*Trisは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとも称され、他の名称でも
知られる。)
複数の溶液をバイアル又はワクチン一次容器に加えて、そのバイアル中で反応を行い、
アルミニウムアジュバントを形成することを含むアルミニウムアジュバントの製造方法を
示した。典型的なアルミニウムアジュバント製造アプローチと比べて、このアプローチに
はいくつかの長所がある。他のアルミニウムアジュバント製造装置及びプロセスが必要な
く、バイアル(又は一次容器)充填の既存ユニット操作にアルミニウムアジュバント製造
のプロセスを組み込むものである。溶液を無菌濾過してから、無菌充填及びアルミニウム
アジュバント形成を行うことができる。それは、プレフォームアルミニウムアジュバント
懸濁液の処理及び充填に関連するいくつかの製造上の問題も解消する。溶液は、沈降して
不均一になり得る懸濁液と比べて、製造時の作業が容易である。
【0280】
アルミニウム含有化合物の溶液及び三つのリン酸塩/塩基含有化合物の溶液のうちのそ
れぞれ(実証実験当たり一つ、下記にリストアップ)を、充填ライン上の2本の充填針を
用いて3mLワクチンバイアルに順次加えて、アルミニウムアジュバントをバイアル内で
形成した。ディスペンスした各溶液の体積は、バイアル当たり0.5mLであり、最終体
積はバイアル当たり1mLであった。バイアルには、充填ラインでストッパーを取り付け
た。充填ラインの速度は、毎分約53個のバイアルに設定した。
【0281】
製剤13(アルミニウム含有溶液)
・18.53mM塩化アルミニウム
・水中
製剤14(リン酸塩/塩基含有溶液)
・100mMリン酸ナトリウム
・pH8.1、水中
製剤15(リン酸塩/塩基含有溶液)
・100mMリン酸ナトリウム
・9%(重量/体積)ショ糖
・pH8.1、水中
製剤16(リン酸塩/塩基含有溶液)
・100mM Tris(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとも称される)
・18.53mMリン酸ナトリウム
・pH8.1、水中。
【0282】
両方の成分を加え、沈殿反応が完了した後、バイアル中のアルミニウムアジュバントの
最終濃度は、250mcgAl/mLであろう。最終アルミニウムアジュバント懸濁液の
pHを測定し、下記の表に挙げる。
【0283】
【0284】
アルミニウムアジュバントは、予想された外観を持っており、手技による優しい反転や
攪拌によって再懸濁させるのが非常に容易であり、少なくとも5年間、2~8℃でストッ
パーを付けたバイアルで保存される。
【0285】
実施例10
本実施例は、アルミニウム含有化合物の溶液とリン酸塩/塩基及び抗原を含む第2の溶
液との混合による、反応と抗原存在下でのアルミニウムアジュバントの形成による複数抗
原アルミニウムアジュバントワクチンの製造、並びにそのワクチンの対象者への投与を示
す。
【0286】
本発明は、2つの液体溶液を、バイアル又は小容器
*に充填することで形成される製剤
に関する(
図18参照)
(1)アルミニウム含有化合物の溶液を含み、そして
(2)抗原存在下にアルミニウムアジュバント沈殿反応を完了させるための四つの異な
る抗原(タンパク質、細菌、毒素又はトキソイド)及び緩衝剤及び塩基源としてのリン酸
塩pH8の溶液を含む。
(
*例えば、等体積、例えばそれぞれ6mLを用いる。)
【0287】
本実施例における実施形態:
(1)18.54mM塩化アルミニウム/水.
(2)100mMリン酸ナトリウム、pH8、9%ショ糖/水、4種類の抗原:
・抗原1(20mcg/mL vpi_5mTcdA、C.ディフィシル(C.Di
fficile)からの組換え変異体毒素
・抗原2(20mcg/mL nap_5mTcdB、ホルムアルデヒド処理、C.
ディフィシル(C.Difficile)からの組換えトキソイド)
・抗原3(5.6mcg/mL 3mCdtA、C.ディフィシル(C.Diffi
cile)からの組換え変異体毒素サブユニット)
・抗原4(44.4mcg/mL CdtB、C.ディフィシル(C.Diffic
ile)からの毒素サブユニット)
【0288】
塩化アルミニウム水溶液をリン酸ナトリウム水溶液及びショ糖水溶液中で製剤した複数
種類の抗原と組み合わせて、抗原存在下にアルミニウムアジュバントを形成することで、
複数抗原ワクチンを製造した。本方法によって製造したワクチンの体積は、ヒト又は動物
対象者についてのほぼ複数用量ワクチン像(image)とした。ワクチンを対象者(ハ
ムスター)に投与し、その対象者は数ヶ月の期間で4用量の投与をうけた。ワクチン接種
を受けた後、抗原が存在するうちの二つについての群平均力価を、抗原/アルミニウム-
アジュバント共沈殿ワクチンと3種類の異なる形態のプレフォームアルミニウムアジュバ
ントとともに抗原を含む三つの他の試験群との間で比較した。
【0289】
製剤13(アルミニウム含有溶液)
・18.53mM塩化アルミニウム
・水中
製剤29
・C.ディフィシル(C. Difficile)関連の抗原
○20mcg/mL 5mTcdA
○20mcg/mL 5mTcdB
○5.6mcg/mL 3mCdtA
○44.4mcg/mL CdtB
・100mMリン酸ナトリウム、pH8
・9%ショ糖
・水中。
【0290】
等体積(各6mL)の製剤13及び製剤29を混合して、抗原存在下でアルミニウムア
ジュバントを形成した。ハムスターワクチン接種試験で調べた他のワクチンには、3種類
の異なるプレフォームアルミニウムアジュバントと組み合わせた抗原を含む3種類の別の
ワクチンを含んだ。存在する抗原のうちの二つについてのワクチンにおける免疫原性(群
の平均若しくは幾何平均ワクチン接種力価)を、表5に報告している。
【0291】
表5.ハムスター試験におけるワクチン免疫原性
【表5】
【0292】
本明細書においては、例示の実施形態を参照しながら本発明について説明しているが、
本発明は、それらに限定されないことは理解すべきである。当業界における通常の技術を
持ち、本明細書における内容を知ることができる者であれば、本発明の範囲内である別の
改変及び実施形態を認識するであろう。従って、本発明は、本明細書に添付の特許請求の
範囲によってのみ限定される。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記成分:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;及び任意に、
(3)水若しくは(4)水に溶かした抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合は、成分(3)又は(4)は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。];又は、(b)下記成分:
(1)乾燥アルミニウム塩;
(2)乾燥リン酸塩;
(3)任意に水;及び
(5)乾燥抗原
[ここで、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合は成分(3)、及び、成分(5)は、物理的に分離され、そして一緒にパッケージ化されている。]
を含む製造物。
【請求項2】
(a)において、成分(3)又は(4)が存在しない、請求項1に記載の製造物。
【請求項3】
(a)において、成分(1)、成分(2)、及び、存在する場合成分(3)又は(4)
の1以上が、塩、保存剤、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに含み;又は、(b)
において、成分(1)、成分(2)、成分(5)、及び存在する場合は成分(3)の1以
上が、塩、保存剤、緩衝剤、界面活性剤及び/又は糖をさらに含む、請求項1に記載の製造物。
【請求項4】
塩がNaClであり、緩衝剤がヒスチジンであり、界面活性剤がポリソルベートであり、そして、糖がショ糖、トレハロース若しくはそれらの組み合わせである、請求項3に記載の製造物。
【請求項5】
成分(1)、(2)及び(5)が、凍結乾燥ビーズとして提供される、請求項1に記載の製造物。
【請求項6】
請求項1に記載の製造物であって、ここで、
(a)において、成分(1)及び(2)がそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供され、そして、製造物は、成分(1)及び(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、及び、任意に、存在する場合は、成分(3)又は(4)を含む第2の容器、を含み;
(b)において、成分(1)、(2)及び(5)がそれぞれ凍結乾燥ビーズとして提供され、製造物は、(i)成分(1)、(2)及び(5)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、及び、任意に、存在する場合は成分(3)を含む第2の容器;又は、(ii)成分(1)及び(2)凍結乾燥ビーズの混合物を含む第1の容器、任意に、存在する場合は成分(3)を含む第2の容器、及び、成分(5)凍結乾燥ビーズを含む第3の容器、を含む、
請求項1に記載の製造物。
【請求項7】
抗原が、タンパク質;毒素若しくはトキソイド;多糖;または、1以上の肺炎球菌多糖-タンパク質複合体、である、請求項1に記載の製造物。
【請求項8】
多糖または肺炎球菌多糖が、肺炎連鎖球菌(S.pneumonia)多糖または肺炎連鎖球菌の肺炎球菌多糖である、請求項7に記載の製造物。
【請求項9】
タンパク質またはタンパク質複合体が、CRM197タンパク質またはCRM197タンパク質複合体、ジフテリアトキソイド(DT)タンパク質またはDTタンパク質複合体、または破傷風トキソイド(TT)タンパク質またはTTタンパク質複合体である、請求項7に記載の製造物。
【請求項10】
タンパク質またはタンパク質複合体が、CRM197タンパク質またはCRM197タンパク質複合体である、請求項7に記載の製造物。
【外国語明細書】