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特開2023-10102水処理剤及びその製造方法、並びに水処理方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010102
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】水処理剤及びその製造方法、並びに水処理方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/01 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
B01D21/01 108
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113958
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】白岩 俊紀
(72)【発明者】
【氏名】小幡 慶
【テーマコード(参考)】
4D015
【Fターム(参考)】
4D015BA01
4D015BA11
4D015BB09
4D015BB11
4D015CA01
4D015CA11
4D015CA12
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DA15
4D015DA16
4D015DA24
4D015DB08
4D015DB14
4D015DB31
4D015DC03
4D015DC04
4D015EA37
4D015EA39
(57)【要約】
【課題】植物成分の分散性が良好であり、かつ汚泥脱水性にも優れ、有機系排水に対しても適用できる水処理剤及びその製造方法、並びに該水処理剤を用いた水処理方法の提供。
【解決手段】植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む水処理剤であって、前記水処理剤の水中におけるゼータ電位が+5mV以上である水処理剤である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む水処理剤であって、
前記水処理剤の水中におけるゼータ電位が+5mV以上であることを特徴とする水処理剤。
【請求項2】
排水中の有機系不要物を含む汚泥を濃縮及び/又は脱水するために用いる請求項1に記載の水処理剤。
【請求項3】
前記植物成分が、酢酸セルロース、黄麻、大豆粕、及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される請求項1から2のいずれかに記載の水処理剤。
【請求項4】
前記カチオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される請求項1から3のいずれかに記載の水処理剤。
【請求項5】
前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む混合物の造粒物である、又は植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む溶解乃至分散液である請求項1から4のいずれかに記載の水処理剤。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の水処理剤の製造方法であって、
前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む混合物の造粒物であり、
前記植物成分と、前記カチオン性高分子凝集剤と、前記カチオン性界面活性剤と、水分とを混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を造粒して造粒物を得る造粒工程とを含み、
前記混練工程が、前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤とを含有し、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製する調製処理と、
前記調製された植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液と、前記カチオン性高分子凝集剤を含有するカチオン性高分子凝集剤含有液とを混合する混合処理とを含むことを特徴とする水処理剤の製造方法。
【請求項7】
前記混練工程で用いる前記水分が、含水有機溶媒である請求項6に記載の水処理剤の製造方法。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の水処理剤の製造方法であって、
前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む溶解乃至分散液であり、
前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤とを含有し、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製する調製工程と、
前記調製された植物成分及びカチオン成分含有液と、前記カチオン性高分子凝集剤を含有するカチオン性高分子凝集剤含有液とを混合する混合工程とを含むことを特徴とする水処理剤の製造方法。
【請求項9】
請求項1から5のいずれかに記載の水処理剤及び請求項6から8のいずれかに記載の水処理剤の製造方法により得られた水処理剤のいずれかをそのまま又は水に溶解乃至分散させ、植物成分及びカチオン性高分子凝集剤の溶解乃至分散液を得、該溶解乃至分散液を排水中の有機系不要物を含む汚泥に供することにより排水中の有機系不要物を含む汚泥を濃縮及び/又は脱水することを特徴とする水処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機系排水に対しても適用可能な、植物由来の水処理剤及びその製造方法、並びに該水処理剤を用いた水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、排水中の不要物を除去するための様々な検討がなされている。
【0003】
例えば、有機系不要物を含む排水に関する技術として、含水率が30~80重量%の繊維状物のビスコースレーヨンからなる汚泥用脱水助剤と、高分子凝集剤とを用いて、下水処理施設、し尿処理施設などから発生する汚泥を脱水処理する技術(例えば、特許文献1参照)、グリオキザールを粉末化して得られる水溶性粉末消臭剤と、粉末高分子凝集剤と、粉末カチオン性界面活性剤とを含む汚泥脱水剤を用いる技術(例えば、特許文献2参照)、パルプを含有する汚泥の脱水助剤であって、上記パルプの流動電位値が-85mV以上-58mV以下である汚泥の脱水助剤を用いる技術(例えば、特許文献3参照)などが報告されている。
【0004】
また、無機系不要物を含む排水に関する技術として、植物成分を含む凝集剤や水浄化剤が報告されている(例えば、特許文献4~6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-283225号公報
【特許文献2】特開昭61-78499号公報
【特許文献3】特開2016-93777号公報
【特許文献4】特表2014-505588号公報
【特許文献5】特開2016-187782号公報
【特許文献6】特開2016-187783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、排水中の不要物を除去するための様々な検討がなされている。中でも、前記植物成分を用いる技術は非常に有用であるものの、アニオン性である前記植物成分と、排水中の不要物を除去するための効果を示すカチオン性高分子凝集剤とを液中に分散させると、電荷中和が起こり、植物成分が凝集により分散性が悪化してしまい、有機系排水に適用することが困難であることを新たに知見した。
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、植物成分の分散性が良好であり、かつ汚泥脱水性にも優れ、有機系排水に対しても適用できる水処理剤及びその製造方法、並びに該水処理剤を用いた水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液の水中におけるゼータ電位を+5mV以上とすることで、カチオン性高分子凝集剤を加えても植物成分が凝集することを防ぐことができ、汚泥脱水性に優れ、有機系排水に対しても適用できる水処理剤が得られることを見出した。
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む水処理剤であって、
前記水処理剤の水中におけるゼータ電位が+5mV以上であることを特徴とする水処理剤である。
<2> 排水中の有機系不要物を含む汚泥を濃縮及び/又は脱水するために用いる前記<1>に記載の水処理剤である。
<3> 前記植物成分が、酢酸セルロース、黄麻、大豆粕、及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される前記<1>から<2>のいずれかに記載の水処理剤である。
<4> 前記カチオン性界面活性剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、及びこれらの2種以上の組合せからなる群から選択される前記<1>から<3>のいずれかに記載の水処理剤である。
<5> 前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む混合物の造粒物である、又は植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む溶解乃至分散液である前記<1>から<4>のいずれかに記載の水処理剤である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の水処理剤の製造方法であって、
前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む混合物の造粒物であり、
前記植物成分と、前記カチオン性高分子凝集剤と、前記カチオン性界面活性剤と、水分とを混練して混練物を得る混練工程と、
前記混練物を造粒して造粒物を得る造粒工程とを含み、
前記混練工程が、前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤とを含有し、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製する調製処理と、
前記調製された植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液と、前記カチオン性高分子凝集剤を含有するカチオン性高分子凝集剤含有液とを混合する混合処理とを含むことを特徴とする水処理剤の製造方法である。
<7> 前記混練工程で用いる前記水分が、含水有機溶媒である前記<6>に記載の水処理剤の製造方法である。
<8> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の水処理剤の製造方法であって、
前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む溶解乃至分散液であり、
前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤とを含有し、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製する調製工程と、
前記調製された植物成分及びカチオン成分含有液と、前記カチオン性高分子凝集剤を含有するカチオン性高分子凝集剤含有液とを混合する混合工程とを含むことを特徴とする水処理剤の製造方法である。
<9> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の水処理剤及び前記<6>から<8>のいずれかに記載の水処理剤の製造方法により得られた水処理剤のいずれかをそのまま又は水に溶解乃至分散させ、植物成分及びカチオン性高分子凝集剤の溶解乃至分散液を得、該溶解乃至分散液を排水中の有機系不要物を含む汚泥に供することにより排水中の有機系不要物を含む汚泥を濃縮及び/又は脱水することを特徴とする水処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、植物成分の分散性が良好であり、かつ汚泥脱水性にも優れ、有機系排水に対しても適用できる水処理剤及びその製造方法、並びに該水処理剤を用いた水処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A図1Aは、実施例1における分散性を評価した結果の一例を示す図である。
図1B図1Bは、実施例2における分散性を評価した結果の一例を示す図である。
図1C図1Cは、実施例3における分散性を評価した結果の一例を示す図である。
図2A図2Aは、比較例1における分散性を評価した結果の一例を示す図である。
図2B図2Bは、比較例2における分散性を評価した結果の一例を示す図である。
図2C図2Cは、比較例3における分散性を評価した結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(水処理剤)
本発明の水処理剤は、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の成分を含み、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である。
【0013】
前記水処理剤の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機系排水中の不要物を除去するために好適に用いることができ、排水中の有機系不要物を含む汚泥を濃縮及び/又は脱水するためにより好適に用いることができる。
前記有機系不要物とは、下水道、し尿;紙・パルプ、食品、畜産等の工業排水に含まれるもののことをいう。
前記水処理剤を前記排水に加えると、排水中の有機系不要物は該水処理剤により凝集分離される。係る凝集物を排水中から取り除くと、排水は浄化される。また、前記水処理剤を前記排水中の有機系不要物を含む汚泥に加えると、排水中の有機系不要物を含む汚泥は、濃縮及び/又は脱水される。
【0014】
<植物成分>
前記植物成分はアニオン性である。
前記植物成分としては、排水中の不要物(例えば、有機系排水中の不要物)を除去することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酢酸セルロース、黄麻等の麻、大豆粕等の大豆由来余剰バイオマス、フスマなどの小麦由来余剰バイオマス、ナタネ油粕などの菜種由来余剰バイオマスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記植物成分の中でも、酢酸セルロース、黄麻、大豆粕、及びこれらの2種以上の組合せが好ましい。
前記植物成分の水処理剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0015】
<カチオン性高分子凝集剤>
前記カチオン性高分子凝集剤としては、上記植物成分と同様、排水中の不要物(例えば、有機系排水中の不要物)を除去することができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(又はその塩及び四級化物)、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート塩化ベンジル4級塩、ポリビニルアミジンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート(又はその塩及び四級化物)の市販品としては、例えば、FO4900 SSH(エス・エヌ・エフ社製)、FO8998 HV(エス・エヌ・エフ社製)などが挙げられる。
前記カチオン性高分子凝集剤の水処理剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0016】
前記水処理剤における前記植物成分と、前記カチオン性高分子凝集剤との質量比(植物成分/カチオン性高分子凝集剤)(「水処理剤における前記植物成分と、前記カチオン性高分子凝集剤との含有量比」と称することもある。)としては、特に制限はなく、処理対象とする排水の種類などに応じて適宜選択することができるが、0.1/99.9~99.9/0.1が好ましく、1/9~9/1がより好ましい。
【0017】
<カチオン性界面活性剤>
前記カチオン性界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、ポリリジンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記カチオン性界面活性剤の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記カチオン性界面活性剤の中でも、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、及びこれらの2種以上の組合せが好ましい。
前記カチオン性界面活性剤の水処理剤における含有量としては、特に制限はなく、植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液のゼータ電位に応じて適宜選択することができる。
【0018】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィラー、増粘剤、着色剤、チキソ性付与剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の水処理剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0019】
前記水処理剤の態様としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、造粒物の態様、溶解乃至分散液の態様などが挙げられる。
【0020】
前記造粒物(以下、「粒子」と称することもある。)の態様の水処理剤は、前記植物成分と、前記カチオン性高分子凝集剤と、前記カチオン性界面活性剤と、必要に応じて更に前記その他の成分とを含む混合物の造粒物である。
前記造粒物における各成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0021】
前記造粒物の形態(直径、長さ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、市販の定量器の供給口のサイズに広く適合させる観点から、造粒物の直径は3mm以下、長さは3mm以下が好ましい。また、供給口の通りをスムーズにし、溶解時の溶解性も考慮する場合には、造粒物の直径は1mm以下、長さは1mm以下がより好ましい。
【0022】
前記溶解乃至分散液の態様の水処理剤は、前記植物成分と、前記カチオン性高分子凝集剤と、前記カチオン性界面活性剤と、必要に応じて更に前記その他の成分とを含む溶解乃至分散液である。
前記溶解乃至分散液における各成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0023】
<ゼータ電位>
前記植物成分はアニオン性であるが、前記カチオン性界面活性剤を加え、水分散し、ゼータ電位を+5mV以上の状態とした後に、前記カチオン性高分子凝集剤を加えることで、水中において植物成分が凝集せずに分散性を良好にすることができる。なお、前記カチオン性高分子凝集剤を加えた後の水処理剤の水中におけるゼータ電位も+5mV以上となる。
【0024】
前記ゼータ電位は、以下の装置を使用して測定することができる。
・ 測定装置 : ゼータサイザーナノZSP(スペクトリス株式会社マルバーン事業部社製)
・ 測定原理:電気泳動光散乱法
【0025】
前記水処理剤の水中におけるゼータ電位としては、+5mV以上であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
前記水処理剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する本発明の水処理剤の製造方法により製造することが好ましい。
【0027】
本発明の水処理剤は、植物成分の分散性が良好であり、かつ汚泥脱水性にも優れ、有機系排水に対しても適用できる。
【0028】
(水処理剤の製造方法)
本発明の水処理剤の製造方法の第1の態様は、前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤と、必要に応じて更に前記その他の成分とを含む混合物の造粒物である態様の場合の方法であって、混練工程と、造粒工程とを少なくとも含み、必要に応じて更に乾燥工程、解砕工程、分級工程などのその他の工程を含む。
【0029】
<混練工程>
前記混練工程は、上記した水処理剤の項目に記載した植物成分と、上記した水処理剤の項目に記載したカチオン性高分子凝集剤と、上記した水処理剤の項目に記載したカチオン性界面活性剤と、水分とを混練して混練物を得る工程である。前記混練工程では、必要に応じて更に上記した水処理剤の項目に記載したその他の成分が含まれていてもよい。
【0030】
前記混練工程は、前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤とを含有し、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製する調製処理と、前記調製された植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液と、前記カチオン性高分子凝集剤を含有するカチオン性高分子凝集剤含有液とを混合する混合処理とを含む。
【0031】
前記調製処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤との混合物を同量の水分に溶解乃至分散させることにより調製する方法などが挙げられる。
【0032】
前記混合処理の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を、前記カチオン性高分子凝集剤を溶解させたカチオン性高分子凝集剤含有液に投入し、撹拌する方法などが挙げられる。
【0033】
前記混合処理により得られた混合物を練ることにより、混練物を得ることができる。
【0034】
前記混練工程における水分の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分の合計質量に対し、15~250質量%などが挙げられる。
【0035】
前記混練工程で用いる前記水分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒などが挙げられる。これらの中でも、含水有機溶媒が好ましい。
【0036】
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、比誘電率が30以下である有機溶媒が好ましく、比誘電率が20以下である有機溶媒がより好ましい。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、2-ブタノール、エタノールなどが挙げられる。
前記有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶媒の中でも、ヘキサン、2-ブタノール、エタノールが好ましい。
前記有機溶媒を用いることで、カチオン性高分子凝集剤を使用した際に生じる混練時の粘着性の発生を低減することができ、加工性に優れた混練物を調製することができる。
【0037】
前記含水有機溶媒における有機溶媒の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%超が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
【0038】
前記混練は装置を用いて行ってもよい。前記混練に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラネタリーミキサー等の縦型ミキサーなどが挙げられる。前記ミキサーの回転数、時間などの条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0039】
<造粒工程>
前記造粒工程は、前記混練物を造粒して造粒物を得る工程である。
【0040】
前記混練物を造粒する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、押出造粒方式、攪拌造粒方式、シート化造粒方式などが挙げられる。
ここで、押出造粒とは、前記混練物の湿塊を小孔から円柱状に押し出して造粒する方法である。
攪拌造粒とは、前記混練物を容器に入れ攪拌しながら混練物中の粒子を凝集させて造粒する方法である。
シート化造粒とは、乾式造粒の一種で、粉体を2つのローラ間で押し潰して原材料をシート状にした後に粉砕して造粒する方法である。
【0041】
前記造粒は、公知の手段を適宜選択して行うことができる。前記造粒における条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0042】
<乾燥工程>
前記乾燥工程は、前記造粒物を乾燥させて乾燥物を得る工程である。
【0043】
前記乾燥は、公知の手段を適宜選択して行うことができ、例えば、振動流動層乾燥機、熱風乾燥機などが挙げられる。前記乾燥における条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0044】
前記乾燥物における水分量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15質量%以下であることが好ましい。
【0045】
前記乾燥工程を行うことで、後述の解砕工程において、解砕がしやすくなり、高生産性となる。
【0046】
<解砕工程>
前記解砕工程は、前記乾燥物を解砕して解砕物を得る工程である。
【0047】
前記解砕は、公知の手段を適宜選択して行うことができ、例えば、解砕機などが挙げられる。前記解砕における条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0048】
前記解砕の程度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0049】
<分級工程>
前記分級工程は、前記解砕物を分級する工程である。
【0050】
前記分級は、公知の手段を適宜選択して行うことができ、例えば、篩を用いた篩い分けや、振動式分級機、重力分級機、遠心分級機(サイクロン式分級機)、慣性分級機などが挙げられる。前記分級における条件としては、特に制限はなく、水処理剤の粒子径に応じて適宜選択することができる。
【0051】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、上記した乾燥工程、解砕工程、分級工程や、原料に用いる植物成分を粉砕し、粉砕物とする工程などが挙げられる。
【0052】
本発明の水処理剤の製造方法の第2の態様は、前記水処理剤が、植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤と、必要に応じて更にその他の成分とを含む溶解乃至分散液である態様の場合の方法であって、調製工程と、混合工程とを少なくとも含み、必要に応じて更にその他の工程を含む。
【0053】
<調製工程>
前記調製工程は、前記植物成分と、前記カチオン性界面活性剤とを含有し、水中におけるゼータ電位が+5mV以上である植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製する工程であり、水分として水を用いることが好ましい点以外は、上記した本発明の水処理剤の製造方法の第1の態様の混練工程における調製処理と同様にして行うことができる。
【0054】
<混合工程>
前記混合工程は、前記調製された植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液と、前記カチオン性高分子凝集剤を含有するカチオン性高分子凝集剤含有液とを混合する工程であり、上記した本発明の水処理剤の製造方法の第1の態様の混練工程における混合処理と同様にして行うことができる。
【0055】
<その他の工程>
前記その他の工程としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、原料に用いる植物成分を粉砕し、粉砕物とする工程などが挙げられる。
【0056】
本発明の水処理剤の製造方法によれば、本発明の水処理剤を容易に製造することができる。
【0057】
(水処理方法)
本発明の水処理方法は、上述した本発明の水処理剤及び本発明の製造方法により得られた水処理剤のいずれかをそのまま又は水に溶解乃至分散させ、植物成分及びカチオン性高分子凝集剤の溶解乃至分散液を得、該溶解乃至分散液を排水中の有機系不要物を含む汚泥に供することにより排水中の有機系不要物を含む汚泥を濃縮及び/又は脱水するものである。
【0058】
前記有機系不要物を含む汚泥としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下水道、し尿;紙・パルプ、食品、畜産等の工業排水の浄化処理工程において発生した汚泥などが挙げられる。
【0059】
前記溶解乃至分散液に用いる水としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、純水(蒸留水)、電気伝導度が30μS/cm以上の水などが挙げられる。
【0060】
前記水処理方法の一例を以下に説明する。
排水中の有機系不要物を含む汚泥に対し、カチオン性高分子凝集剤の溶解液を添加し、凝集性と脱水性向上処理後、脱水装置へ移送を行い汚泥の脱水を行う。
【0061】
前記カチオン性高分子凝集剤の溶解液を添加する前に、アニオン性高分子凝集剤や無機凝結剤を添加してもよい。
前記アニオン性高分子凝集剤としては、特に制限はなく、公知のアニオン性高分子凝集剤を適宜選択することができ、例えば、ポリアクリルアミド部分加水分解物、アニオン性モノマーの共重合体、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの共重合体などが好ましく挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記アニオン性モノマーとしては、特に制限はなく、公知のアニオン性モノマーを適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機凝結剤としては、特に制限はなく、公知の無機凝結剤を適宜選択することができ、例えば、ポリ硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウム、消石灰などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0062】
前記汚泥の脱水は、例えば、以下のようにして実施することができる。
前記汚泥に、例えば、汚泥中の懸濁物質に対して絶乾重量で、植物成分の濃度が0.001~10質量%、カチオン性高分子凝集剤の濃度が0.001~10質量%となるように調整した前記溶解乃至分散液を供する。
【0063】
前記溶解乃至分散液の汚泥への添加方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1回で全量を添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい。また、常時又は間欠的に汚泥の流入、引抜きがある場合には、汚泥の流入量、引抜き量を考慮して、前記溶解乃至分散液を追加添加すればよい。
【0064】
前記溶解乃至分散液が添加された汚泥の脱水処理の方法としては、特に制限はなく、公知の手段を適宜選択して実施することができ、例えば、加圧脱水機、真空脱水機、ベルトプレス脱水機、遠心脱水機、スクリュープレス脱水機などを用いて実施することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記脱水処理により、脱水汚泥(「汚泥脱水物」と称することもある。)が得られる。
【実施例0065】
以下、試験例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0066】
(試験例1)
<実施例1>
植物成分の一例である酢酸セルロース7.5gと、カチオン性界面活性剤の一例である塩化ベンザルコニウム2.5gとの混合物を、前記混合物と同じ重量(10g)の純水に溶解乃至分散させ、植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を調製した。
前記調製された植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液を、水に0.2質量%の濃度で溶解させたカチオン性高分子凝集剤の一例であるカチオン性ポリアクリルアミド(FO4900 SSH、エス・エヌ・エフ社製)へ投入し、3分間撹拌(240rpm)し、水処理剤(植物成分と、カチオン性高分子凝集剤と、カチオン性界面活性剤とを含む溶解乃至分散液)とした。
【0067】
<評価>
〔ゼータ電位〕
前記植物成分及びカチオン性界面活性剤含有液のゼータ電位を以下の装置を使用して測定した。結果を表1に示す。
・ 測定装置 : ゼータサイザーナノZSP(スペクトリス株式会社マルバーン事業部社製)
・ 測定原理:電気泳動光散乱法
【0068】
〔分散性〕
前記3分間撹拌後の水処理剤の分散性を目視で確認し、下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
-分散性の評価基準-
○ : 植物成分が全体に均一に分散している。
× : 植物成分が一部凝集している部分がある。
【0069】
〔脱水性〕
前記水処理剤の脱水性を以下のようにして測定し、下記の評価基準で評価した。結果を表1に示す。
-測定-
有機系不要物を含む汚泥の一例として、コーヒ粕を用いた。前記汚泥200gに無機凝結剤(35wt%塩化第二鉄)2gを添加した。次いで、前記汚泥に、実施例1で製造した水処理剤を10g添加した後、凝集させた。
凝集した汚泥を遠心分離(1,500G、5分間)した後に上澄みを取り除き、ろ紙上に汚泥を移し、更に遠心脱水(2,500G、10分間)を行い、脱水汚泥を得た。
前記脱水汚泥の含水率(以下、「含水率」と称することがある。)を以下のようにして求めた。
前記脱水汚泥の重量を測定し、脱水汚泥の重量Aを求めた。続いて、105℃のオーブンで絶乾状態(水分量0.05%以下)にした脱水汚泥の重量Bを測定した。ここで、水分量の確認には加熱乾燥式水分計(MX-50、株式会社エー・アンド・デイ製)を用いた。これらより、脱水汚泥に含まれる水分の重量(A-B)を脱水汚泥の重量(A)で除し百分率とすることで、含水率を求めた。
-評価基準-
○ : 処理後の汚泥の含水率が90%未満である。
× : 処理後の汚泥の含水率が90%超である。
【0070】
<実施例2>
実施例1において、植物成分を黄麻5gとし、カチオン性界面活性剤の量を5gとした以外は、実施例1と同様にして水処理剤を製造し、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
<実施例3>
実施例1において、植物成分を大豆粕2.5gとし、カチオン性界面活性剤の量を7.5gとした以外は、実施例1と同様にして水処理剤を製造し、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
【0072】
<実施例4>
実施例1において、植物成分の量を5gとし、カチオン性界面活性剤を塩化セチルトリメチルアンモニウム5gとした以外は、実施例1と同様にして水処理剤を製造し、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
【0073】
<実施例5>
実施例1において、植物成分の量を5gとし、カチオン性界面活性剤を塩化ステアリルトリメチルアンモニウム5gとした以外は、実施例1と同様にして水処理剤を製造し、実施例1と同様にして各評価を行った。結果を表1に示す。
【0074】
<比較例1>
酢酸セルロース10gを、前記酢酸セルロースと同じ重量(10g)の純水に溶解乃至分散させ、植物成分含有液を調製した。
前記調製された植物成分含有液を、水に0.2質量%の濃度で溶解させたカチオン性高分子凝集剤(カチオン性ポリアクリルアミド、FO4900 SSH、エス・エヌ・エフ社製)へ投入し、3分間撹拌(240rpm)し、水処理剤とし、実施例1と同様にしてゼータ電位、分散性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0075】
<比較例2>
比較例1において、酢酸セルロースを黄麻とした以外は、比較例1と同様にして水処理剤を製造し、実施例1と同様にしてゼータ電位、分散性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0076】
<比較例3>
比較例1において、酢酸セルロースを大豆粕とした以外は、比較例1と同様にして水処理剤を製造し、実施例1と同様にしてゼータ電位、分散性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】
<比較例4>
水に0.2質量%の濃度で溶解させたカチオン性高分子凝集剤(カチオン性ポリアクリルアミド、FO4900 SSH、エス・エヌ・エフ社製)を比較例4の水処理剤とし、実施例1と同様にして脱水性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
表1に示したように、実施例1~5は、植物成分の分散性が優れていた。一方、比較例1~3では、植物成分が凝集してしまい、分散性が劣っていた。なお、実施例1における分散性を評価した結果の一例を図1A、実施例2における分散性を評価した結果の一例を図1B、実施例3における分散性を評価した結果の一例を図1C、比較例1における分散性を評価した結果の一例を図2A、比較例2における分散性を評価した結果の一例を図2B、比較例3における分散性を評価した結果の一例を図2Cに示す。
実施例1~5では、植物成分とカチオン性高分子凝集剤とを混合する前に、植物成分にカチオン性界面活性剤を添加することにより、電荷中和による植物成分の凝集を防ぐことができ、分散性が向上したと考えられる。また、実施例1~5から、添加するカチオン性界面活性剤の量でゼータ電位を制御することができることも確認され、また、カチオン性界面活性剤の添加による分散性の向上は、種々の植物成分に適用することができることも確認された。
【0080】
また、植物成分の分散性が良かった実施例1~5の水処理剤は、通常使用されるカチオン性高分子凝集剤の比較例4と比較して、汚泥脱水性が優れていた。なお、比較例1~3は分散性が劣っていたため、脱水性の評価は行わなかった。
【0081】
(試験例2)
植物成分と、カチオン性高分子凝集剤とを含有する造粒物からなる水処理剤を製造する際、水との混練時に強い粘着性が発生してしまい、加工性が劣ることから、この点について、下記で検討した。
【0082】
<試験例2-1>
カチオン性高分子凝集剤(カチオン性ポリアクリルアミド、FO8998 HV、エス・エヌ・エフ社製)に対し、表2に記載の溶媒を固形分の40%の容量添加し、混錬し、混練物を得た。
【0083】
-評価-
得られた混練物をプラスチック製の容器の壁面に押し付け、下記の評価基準で加工性を評価した。結果を表2に示す。
〔評価基準〕
○ : 混練物が、粘着性により、容器の壁面にとどまらない。
△ : 混練物が、粘着性により、容器の壁面にややとどまる。
× : 混練物が、粘着性により、容器の壁面にとどまる。
【0084】
【表2】
【0085】
表2に示したように、低極性溶媒を用いることで、粘着性による加工性の問題が解決され、加工性に優れた混練物を得られることが確認された。そのため、低極性溶媒を用いることで、植物成分とカチオン性高分子凝集剤とを含有する造粒物の加工も容易となる。
【0086】
<試験例2-2>
高分子凝集剤(カチオン性ポリアクリルアミド、FO8998 HV、エス・エヌ・エフ社製)に対し、表3に記載の割合で水と有機溶媒とを混合した混合溶媒を固形分の40%の容量添加し、混錬し、混練物を得た。前記混練物について、試験例2-1と同様にして加工性を評価した。結果を表3に示す。
【0087】
【表3】
【0088】
表3に示したように、低極性溶媒を一定割合以上含む水との混合溶媒とした場合にも加工性に優れた混練物を得られることが確認された。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C