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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101022
(43)【公開日】2023-07-19
(54)【発明の名称】油圧作動システム用の装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20230711BHJP
   B60T 8/96 20060101ALI20230711BHJP
   B60T 8/34 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
B60T8/17 B
B60T8/17 C
B60T8/96
B60T8/34
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023083187
(22)【出願日】2023-05-19
(62)【分割の表示】P 2019571736の分割
【原出願日】2018-06-28
(31)【優先権主張番号】102017114556.7
(32)【優先日】2017-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】509159159
【氏名又は名称】アイピーゲート・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ライバー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】隔壁上での非常に短い構造長さ、静音動作、非常に高い信頼性/システム利用可能性及び高いフィードバック制御精度要求に対する要求を考慮して設計された装置を提供する。
【解決手段】クラッチ及び/又は少なくとも1つのギアアクチュエータ用の装置であって、以下の構成要素がメインモジュールを形成するために組み合わされ、特に1つのハウジング内に配置される電動駆動装置によって駆動され、少なくとも1つの油圧回路内の圧力を変化させるためのピストンポンプ又は二重動作ピストンポンプの形態である少なくとも1つの圧力供給装置であって、駆動装置は、ステップアップトランスミッション、特に台形又は再循環ボール機構を介してピストンポンプ又は二重動作ピストンポンプのピストンを調整する、少なくとも1つの圧力供給装置、少なくとも1つのソレノイドバルブを備えたバルブ装置を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にハイブリッド車又は電気自動車用の自動車ブレーキの、又はクラッチ及び/又は少なくとも1つのギアアクチュエータ用の油圧作動システム用の装置であって、前記装置において、以下の構成要素がメインモジュール(MO)を形成するために組み合わされ、特に1つのハウジング内に配置され:
-電動駆動装置(M)によって駆動され、少なくとも1つの油圧回路内の圧力を変化させるためのピストン型又はダブルストロークピストン型ポンプの形態である少なくとも1つの圧力供給装置(11)であって、前記駆動装置(M)は、伝達機構、特に台形又は再循環ボール機構を介して前記ピストン型又はダブルストロークピストン型ポンプのピストンを調整する、少なくとも1つの圧力供給装置(11)、
-前記油圧回路内の油圧を個別に設定するために、及び/又は前記油圧回路を前記圧力供給装置(11)及び/又はピストン-シリンダユニット(10)から分離及び接続するために役立つ少なくとも1つのソレノイドバルブを備えたバルブ装置(HCU)、
-前記油圧作動システムの少なくとも2つの油圧消費部品、特に車両のアクスルのホイールブレーキ(RB)用の油圧ポート(AL1~4)、
-調整によって前記油圧作動システム内の圧力を設定するために、前記少なくとも1つのソレノイドバルブと前記電動駆動装置(M)を起動するための、特に、BLDCモータ用のモータ制御電子機器、バルブ出力段、及びセンサを備えたECU(S-ECU)、
前記メインモジュール(MO)は、少なくとも1つのさらなるシステム構成要素又は作動ユニット(BE)に、特に作動ペダルを備えた電気又は油圧作動式移動シミュレータ及び/又は中央プロセッサ(M-ECU)に電気的に接続される、又は電気的及び油圧的に接続される装置。
【請求項2】
ピストン-シリンダユニットがさらなるシステム構成要素の構成部分であり、さらなる別個のモジュール(MO1)、特に作動モジュール(BE)に配置され、前記さらなる別個のモジュール(MO1)、特に作動モジュール(BE)は、特に前記メインモジュール(MO)とは空間的に分離して配置されること、及び、前記ピストン-シリンダユニットの少なくとも1つのピストンが、作動装置、特にブレーキペダルによって調整可能であり、前記ピストン-シリンダユニットは、少なくとも1つの、特に剛性又は可撓性の油圧ライン(HL)を介して、前記メインモジュール(MO)、特に出力ライン(AL)、油圧回路、及び/又はバルブ装置に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記作動ユニット(BE)が単回路マスターシリンダ(HZ)又は2回路タンデムマスターシリンダ(THZ)を有し、及び前記マスターシリンダの作動室又は前記作動装置(BE)の前記2回路THZの2つの作動室と1つ又は2つのブレーキ回路(BK1、BK2)との間の油圧接続を選択的に確立又は閉鎖するために少なくとも1つの隔離バルブ(TV1、TV2)を有することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記油圧ライン(HL)が常開バルブによって通常動作の間遮断され、及び/又は緊急事態(フォールバックレベル)の際、圧力を、前記作動装置によって前記油圧ライン(HL)を介して油圧回路(BKi)に、又はホイールブレーキ(RB)、クラッチ、若しくはギアアクチュエータの調整のために伝達することができることを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
さらに、一方で上位制御装置(M-ECU)及び/又は少なくとも1つの走行モータ(TM)と、他方で前記メインモジュール(MO)及び/又は前記さらなるモジュール(MO1)との間に電気接続が同じく存在することを特徴とする、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
さらなるモジュール(MO2)内に又は上に、電気駆動装置又はアクチュエータによって力を及ぼすことができる電子ペダル又はレバーが配置され、前記電子ペダルに及ぼされた前記前記力が測定され、制御信号を、特に電気接続線又は無線伝送の形態の伝送経路を介して、特に前記メインモジュールと前記さらなるモジュール(MO2)との間で伝送することができることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記メインモジュール(MO)が2つの油圧出力ライン(AL1、AL2)を有し、前記2つの油圧出力ライン(AL1、AL2)を介して、前記圧力フィードバック制御が、特に二輪車の2つの別個のホイールブレーキ又は2つの油圧回路で実行されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ブレーキ力ブースト用の前記圧力フィードバック制御が前記出力ライン(AL1、AL2)を介して実行され、及び/又は少なくとも1つの電気モータによる回収が発電機モードで行われているブレンディングフィードバック制御の場合、制動動作が前記出力ライン(AL1、AL2)を介した補助動作によって実行されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記回収及び前記ブレンディングフィードバック制御が前記メインモジュールの前記ECUによって実行されることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記装置が1つより多いメインモジュール(MO)を有し、特に2つのメインモジュール(MO、MO’)が動態又は冗長性を高めるために提供され、各メインモジュール(MO、MO’)がそれぞれ圧力供給ユニット、ソレノイドバルブ及びECUを有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
各メインモジュール(MO、MO’)が1つの油圧回路又は2つの油圧回路又はブレーキ回路での前記圧力フィードバック制御に役立ち、いずれの場合も少なくとも1つ、好ましくは2つの消費部品、特にホイールブレーキが各油圧回路に配置されることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記メインモジュール(MO、MO’)が前記ブレーキ力ブースト、ブレンディング、ABS/ESP、及び運転者支援機能のための前記圧力フィードバック制御に役立つことを特徴とする、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項13】
2つ以上の消費部品の場合、多重モードの少なくとも1つのメインモジュールが圧力フィードバック制御を同時に及び/又は時間オフセット式に実行することを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
メインモジュール(MO)の切換えバルブに加えて、少なくとも1つのアウトレットバルブが、特に前記メインモジュールに同じく提供され、前記少なくとも1つのアウトレットバルブによって、少なくとも1つの消費部品、特に1つのホイールブレーキ、クラッチ又はギアアクチュエータの圧力散逸を実行することができることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記装置の制御が上位制御装置(M-ECU)によって実行され、前記少なくとも1つのメインモジュール(MO)は圧力作動機能のみを実行し、運転の動的フィードバック制御が前記上位制御装置(M-ECU)で計算され、実行されることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が各場合において4つの油圧出力ライン(AL1~4)を有する1つだけのメインモジュール(MO)を有し、各出力ラインを介して、前記圧力フィードバック制御が4つのホイールブレーキの1つで実行され、前記メインモジュール(MO)は前記ブレーキ力ブースト、ブレンディング、ABS/ESP、及び/又は運転者支援のための前記機能を行う又は実行することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記ECU、特にその少なくとも1つの回路基板が、前記圧力供給装置に隣接して、特に平行に配置され、特に少なくとも1つのモータセンサ、少なくとも1つのバルブ本体及び位相接点の形態にある少なくとも1つの電気構成要素が、前記少なくとも1つの回路基板に直接配置され、及び/又は前記ECU又はその1つの回路基板に固定された電気接点を介して前記ECUに電気的に接続されることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
屈曲ロッド(BS)が提供され、それを介してスピンドル(25)が前記駆動装置のロータ(22)に接続されることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記屈曲ロッド(BS)が前記スピンドル(25)内を軸方向に延在し、その一端によって前記ポット状ロータ(22)のベース壁に固定され、及びその他端によって特に前記スピンドルの端部に固定されることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記圧力供給装置によってスピンドルドライブ、任意選択的にボールスクリュードライブ(ダブルストロークピストン型ポンプ又はピストン型ストロークポンプ)、又は台形スピンドルドライブ(ピストン型ストロークポンプ)を備える電気モータ(M)を有することを特徴とする、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
スピンドルによって駆動されるナット(26)が、前記圧力供給装置の前記ピストン(11)に共同して回転するように接続されることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記スピンドルドライブが自動ロック設計のものであり、特に台形スピンドルの形態であることを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記メインモジュール(MO)の前記出力ライン(AL)と前記圧力供給装置との間に配置された前記ソレノイドバルブが低い流れ抵抗を有し、特に前記ホイールブレーキの比較的高い圧力と前記圧力供給ユニット又は出力ライン(AL)の圧力との間の圧力差により自動的に開放することを特徴とする、請求項1~22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
1つのみの又は2つのメインモジュール(MO、MO’)が存在する場合、これ/これらは2つの別個の電気回路によって、特にバッテリから直接及びさらにはDC/DCコンバータを介して冗長的にフィードされ、又は前記前記エネルギーの冗長的なフィードは、異なる電圧の2つのバッテリによって実行されることを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
個々の構成要素間の、特に前記メインモジュール(MO、MO’)及び前記作動モジュール(MO1)及び存在する場合上位制御装置(M-ECU)の間の信号の伝送が冗長的な構成であることを特徴とする、請求項1~24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
相対回転防止手段(33)が前記ピストン(11)がその長手方向軸の周りを回転することを防止することを特徴とする、請求項1~25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記メインモジュール(MO)のハウジングがプラスチックから製造されることを特徴とする、請求項1~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記ピストンハウジング(53)、前記モータハウジング(55)及び/又は前記ロータ(R)が、プラスチックから製造されることを特徴とする、請求項1~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
接続要素、特に前記車両の車載電気システムに接続するためのプラグコネクタ(1)が、前記制御ユニット(ECU)に隣接して横方向に、又は端面で前記制御ユニット(ECU)に、特に部分的に前記制御ユニットECU及び/又はリザーバ容器(VB)の突出部の下に取り付けられることを特徴とする、請求項1~28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記接続要素、特に前記プラグコネクタ(1)が水平差込み方向に前記制御ユニット(ECU)に差し込まれる又は差し込み可能であり、及び/又は特に直角ケーブル出口を有するプラグコネクタであり、特に前記差込み方向は車両の中心の方向ではなく車両外側に向かって向けられるように選択される又は提供されることを特徴とする、請求項1~29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記駆動装置の前記モータが2×3相を有し、前記圧力供給装置の前記ピストン-シリンダユニットが2つの作動室を有するダブルストロークピストンを有し、ここでいずれの場合も1つのブレーキ回路が各作動室に接続され、したがって電気的及び油圧的冗長性が実現されることを特徴とする、請求項1~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
1つの圧力センサ(DR)が2つの油圧回路に提供され、前記油圧回路はバルブによって油圧式に接続可能であることを特徴とする、請求項1~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
2つのメインモジュール(MO、MO’)及び1つの別個のモジュール(MO1)が提供され、各メインモジュール(MO)がその前記1つの油圧出力ライン(AL)を介していずれの場合も1つのブレーキ回路(BK1、BK2)に接続されることを特徴とする、請求項1~32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記ブレーキ回路(BK1、BK2)が、少なくとも1つの接続バルブ(BV1、BV2)によって遮断可能な接続ライン(VL)によって選択的に互いに接続可能であることを特徴とする、請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記別個のモジュール(MO1)の前記作動ユニット(BE)が少なくとも1つの油圧ライン(HL1、HL2)を介して1つ又は両方のブレーキ回路(BK1、BK2)に接続可能であり、前記油圧ライン(HL1、HL2)は特に常開バルブ(TV1、TV2)によって遮断可能であることを特徴とする、請求項33又は34に記載の装置。
【請求項36】
前記ピストン位置の前記フィードバック制御が、ピストン-体積特性曲線又はピストン-体積特性マップを考慮してモータ電流及びモータ角度の測定によって実行され、圧力変換器(DR)が較正又は細かいフィードバック制御(フィードバック制御カスケード圧力の外部フィードバック制御回路-移動-電流)に使用されることを特徴とする、請求項1~35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記圧力供給ユニット(DE)が、2つの作動室(3a、3b)を互いに分離するダブルストロークピストンを有するピストン-シリンダユニットを有すること、及び各作動室が1つの油圧回路又は油圧出力ライン(H3、H4、BK1、BK2)いずれの場合にも接続されることを特徴とする、請求項1~36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記圧力供給ユニット(DE)の1つ又は両方の作動室(3a、3b)が切換え可能バルブ(PD1、PD2)によって前記リザーバ容器(5、R)に接続可能であることを特徴とする、請求項1~37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記接続バルブ(BV、BV1、BV2)が閉じられるとき、別個の圧力変化を前記ブレーキ回路BK1及びBK2で実行可能であり、特に圧力散逸が一方のブレーキ回路で実行され、同時の又は時間オフセットの圧力蓄積が他方のブレーキ回路で実行されることを特徴とする、請求項1~38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
前記モータ(M)の励磁コイルの接触が3相又は2×3相によって、いずれの場合でも実行され、別個のブリッジ回路が、特に電気的に分離された方法で、前記制御装置(S-ECU)を供給し、及び/又は、さらなるシステムモジュール、特に制御ユニット(M-ECU)及び/又は別個のモジュール(MO1)への冗長的な信号線(DS1、DS2)が提供されることを特徴とする、請求項1~39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
ブレーキ圧力の高速蓄積の場合、両方のモジュール(MO、MO’)が前記圧力蓄積に使用され、前記ブレーキ回路が接続ライン(VL)及び開かれたバルブ(BV1、BV2)によって互いに接続されることを特徴とする、請求項1~40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
1つのモジュール(MO’)の1つのモータ(M)が、前記ABS及び/又はESPフィードバック制御機能に十分なレベルの駆動力のみを有することを特徴とする、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記2つのブレーキ回路(BK I、BK II)の圧力の前記蓄積について、特にフェージングの場合、前記接続バルブ(BV1、BV2)が開かれ、両方のモジュール(MO、MO’)が、圧力蓄積のために同時にその前記ピストン(1)を調整する、又はその前記ピストン(1)に力を適用することを特徴とする、請求項1~42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
各モジュール(MO、MO’)が各ブレーキ回路(BK I、BK II)の前記圧力変化に、特に冗長性のために、又は1つのモジュール(MO、MO’)の故障の場合に、利用可能であることを特徴とする、請求項1~43のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に自動車のブレーキ又はクラッチの、油圧作動システム用装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車製造業者(OEM)からの多くの新しいシステムを考慮すると、アセンブリを、特にモータ又はアセンブリコンパートメントに設置することは、設置スペースが限られているため、さらに大きな問題を引き起こす。場合によっては、例えば、ABSアセンブリは、特に前輪駆動及び横置きモータ構成の中にあり、モータの後ろに配置され、その結果、ABSアセンブリの交換中にモータを取り外す必要がある。
【0003】
したがって、OEMには、既存のアセンブリのサイズを小さくするか、又はブレーキシステム及びクラッチ/ギアアクチュエータ用の新しいアセンブリをできるだけコンパクトにすることが求められている。さらに、右ハンドル車と左ハンドル車が存在し、これは、ブレーキアセンブリの場合、いわゆるパッケージングが同一であるという結果になる。
【0004】
多くのアセンブリは電気機能とセンサを有し、これらは多くの場合複数のプラグコネクタを必要とするが、これは特に設置の面で面倒である。
【0005】
さらに、衝突安全性に関する要求はますます高まっており、その結果、アセンブリコンパートメント内のシステムの設置長は、特にそれらが隔壁及び隣接するアセンブリに固定されている場合、又は制御ユニットが前記設置ユニットに取り付けられている場合、できるだけ短くそして狭くしなければならない。自動車製造業者(OEM)の理想的な要望は、運転者に関する隔壁にアセンブリを取り付けないことであるが、これは運転者のいない自動運転車両の場合に限り可能である。それというのも作動装置(ブレーキ、アクセルペダル)を省略できるためである。さらに、自動変速機シフト手段(ダブルクラッチ、自動マニュアルシフト手段)の使用がますます増えており、その結果、クラッチ作動装置を省略でき、ブレーキ作動及びアクセルペダルは、運転手がいる車両において必須装置のままである。
【0006】
知られているように、ブレーキシステムの場合には、制動力ブースタ、ABS/ESPアセンブリ及び真空ポンプが異なる構造ユニットを形成し、これらはまた特に空間的に分離して配置され得る、現行の従来型のいわゆる「3ボックスソリューション」から、一体型「1ボックスソリューション」へ移行する強い傾向がある。「1ボックスソリューション」では、圧力供給、油圧(バルブ)ユニット(HCU)、フィードバック制御ユニット(ECU)及びマスターシリンダなどのすべての構成要素が1つの構造ユニットに一体化される。独国特許第10 2012 213 216号明細書は、例えば、前記タイプのコンパクトな「1ボックスブレーキシステム」を記載している。ここでの主な特徴は、電気モータの軸が第1のピストン-シリンダユニットの縦軸に垂直であることである。
【0007】
1980年代中頃、TevesはMark2でこの特徴を有する部分的に一体化されたソリューションを生み出したが、同じく変形として、ポンプ付きの電気モータの軸が作動軸に平行に配置されることを生み出した。注目すべきは、提案された発明とは異なり、モータ及び圧力供給及びECUが1つのハウジングユニットに一体化されていないことである。ここでは、ポンプ付きモータが取り付けられ、ホースラインを介してバルブブロック(HCU)及びシリンダ-ピストンユニットから構成されるハウジングに接続された。非常に狭くて短い構造ユニットの目的はまだ達成されていない。
【0008】
電気駆動モータのセンサとして、独国特許第10 2011 017 436号明細書は、モータターゲットの歯付きギアドライブについて記載している。この場合、センサ要素は、プラグ接続によってシステム回路基板に接続されるセンサモジュールに配置される。さらに、冗長なペダル移動センサと、ブレーキ流体容器内の充填レベルを監視するセンサとが必要である。
【0009】
独国特許第10 2012 213 216号明細書に記載されているブレーキシステムの場合、車両運転者によって作動される第1のシリンダ-ピストン装置、圧力供給装置、及びバルブ装置は同じハウジング内に配置され、ここで圧力供給装置の電気モータの軸は第1のシリンダ-ピストン配置の縦軸に実質的に垂直に配置されている。このソリューションでは、ある程度のコンパクトさを実現することがすでに求められているが、それはなおも改善が可能である。特に、独国特許第10 2012 213 216号明細書は、従来の真空ブースタの円形輪郭の空間的境界条件用に設計されており、車両の全体的なパッケージングの最適化を考慮していない。最適なパッケージングのために、長方形の構造形式は円形の輪郭よりも好都合である。また、特に、例えば、特に、隔壁に取り付けられる電気制動力ブースタ及び一体化ABSを有する電気制動力ブースタの、モータコンパートメントへの設置(いわゆる「フロントボルテッド」)など、さまざまな設置状況への適応性については物足りなさが残る。
【0010】
ますます静かな牽引動作を行う電気自動車又はハイブリッド車に向かう傾向は常に増加している。したがって、隔壁に配置された一体型1ボックスブレーキシステムは、電気モータ、ギアリング、油圧装置及びバルブ切り替えに起因するノイズを生成するので、ますます目立ってきた。それというのも、駆動モータ(特に電気自動車及びハイブリッド車の場合)の音がますます聞こえなくなっているからである。したがって、電気自動車用のブレーキシステムに関して、それらが可能な限り静かに動作し、ノイズ発生構成要素を異なる方法で位置決めし、可能な限りボディ伝播音の伝達を最小化するためのソリューションが同様に求められている。
【0011】
例えば、アップル、UBER、又はグーグルなどのいくつかの製造業者は、運転者なしで完全に自動運転する車両に取り組んでおり、この車両は最終的な構成レベルではもはやブレーキペダルを具備しないように意図されている。これに対するソリューションへの既知のアプローチとして、EMB又はウェッジタイプブレーキが存在する。これらのシステムは、安全上の懸念と高コストのために、これまでに確立されていない。高コストは、特に、ホイールブレーキごとに電気モータと複雑な電気機械的機構が必要であるという事実に基づく。
【0012】
特にますます強力な電気駆動モータを備えた、新しい未来のブレーキシステムに対する要求は、次のように要約することができる:
-短くて狭い構造形態
-油圧ライン、特にホイールブレーキへのブレーキラインの設備の良好なアクセス性
-特にメインラインセットのプラグコネクタの良好なアクセス性、及び自動車用配電ボックス(中央電気システム)への短いケーブル長
-最終組み立てプロセス(真空による)中だけでなく、整備中(ペダル操作による換気)においても良好な換気能力
-プラグコネクタからモータコントローラの電源部への電力線の短い経路
-電源部(出力段、MOSFET及びドライバ)の良好な冷却と放熱
-駆動及びソレノイドバルブ、隔壁へのボディ伝播ノイズ伝達に由来するノイズの低減
-THZからの短いボア、HCUへの圧力遅延。
【0013】
具体的には、純粋な電気自動車(電気自動車)及び自動運転操作又は運転者なしの運転操作が可能な将来の車両には、次のことがさらに要求される:
-完全に静かな動作。すなわち、隔壁上のアセンブリからの心をかき乱すようなノイズがない、
-新規車両プラットフォーム概念に起因する、従来の乗用車の場合よりもさらに短い構造、
-特に発電機運転中の駆動モータによるホイール特定又はアクスル特定のブレーキ介入。ここで走行モータは1つ又は2つのアクスルに位置決めされるか、又は直接ホイールに位置決めされる、
-システムの冗長性、信号伝送、電力供給による安全性の向上、
-制動距離をさらに短くするためのフィードバック制御の精度に対する新たな要求。
【0014】
特に内燃モータを備える車両と純粋な電気自動車の共存(内燃モータ、ハイブリッドモータ、純粋な電気自動車、無人車両)による、多数の車両駆動概念のせいで、システムのモジュール性、すなわち特に圧力供給における同一の部品/モジュールの使用は、非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、車両向けの、特に電気自動車、電気走行モータ(TM)を搭載したハイブリッド車、及び自動運転操作車両又は無人車両向けの、油圧作動システムの主要な構成要素が、隔壁上での非常に短い構造長さ、静音動作、非常に高い信頼性/システム利用可能性及び高いフィードバック制御精度要求に対する要求を考慮して設計された装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の目的は、特許請求項1の特徴を有する装置によって達成される。
【0017】
本発明による装置は、以下の事実によって特に有利に区別される。少なくとも1つの油圧回路内の圧力変化のための1つ又は2つの作動室を備えたピストン型又はダブルストロークピストン型ポンプの形態の圧力供給装置などの主要な構成要素、及びまた、その電動駆動装置と介在伝達機構、特に再循環ボール機構又は台形スピンドル機構、及びまた、少なくとも1つのソレノイドバルブ、油圧作動システムの少なくとも2つの油圧消費部品用の油圧ポートを備えたバルブ装置、及びまた、ソレノイドバルブと電動駆動装置を起動させる電気制御ユニットECUが、1つのモジュール(以下、メインモジュールと呼ぶ)内に組み込まれるという事実。及び、メインモジュールは少なくとも1つのさらなるシステム構成要素に電気的に接続されるか、又は少なくとも1つのさらなるシステム構成要素(以下、作動モジュール又はシステム構成要素と呼ぶ)に電気的及び油圧的に接続され、ここでさらなるシステム構成要素は、作動ペダルを備えた電気的又は油圧的に作動する移動シミュレータ及び/又は中央プロセッサであり得るという事実。
【0018】
したがって、本発明による装置は、純粋な圧力供給、圧力フィードバック制御、及びアセンブリ診断に有利に使用することができ、ここで、
-自動運転車両の場合のように、ブレーキペダルはまったく使用されない、
-又は、例えばブレーキバイワイヤ電気自動車の場合のように、純粋に電気的にモジュールに結合されたブレーキペダル又はブレーキレバーが使用される、
-又は、モジュールに油圧的及び電気的に結合されているブレーキペダル又はブレーキレバーが使用され、
ここで、後者の2つの変形では、それぞれの場合に移動シミュレータも提供され得る。
【0019】
メインモジュールと、例えばブレーキペダルを備えた作動モジュールとの間に油圧接続が存在する場合、油圧フォールバックレベルが実現され、それにより、例えばメインモジュールのモータの故障の場合、ブレーキペダルによって、少なくとも1つのホイールブレーキにブレーキ圧をなおも蓄積することができる。設計バリエーション、車両の種類(二輪車、乗用車、電気駆動モータ付き乗用車)及び安全要求に依存して、作動モジュールは単回路又は2回路のマスターブレーキシリンダ(HZ又はTHZ)として設計可能であり、及びシステム障害(フルバックレベル)の場合、手動の緊急制動機能を生じさせるために、油圧体積を1つ又は2つのブレーキ回路、又は2つ又は4つのホイールブレーキに導くことができる。
【0020】
さらに、メインモジュールは、有利に冗長的なデータライン、特にデータ及び/又は制御バスを介して、上位制御装置に接続されてもよい。
【0021】
作動装置としてのブレーキペダルは、同様に追加モジュールに配置することができ、移動センサも任意選択的に追加モジュールに配置することができる。追加モジュールは、作動装置の設計に依存して、純粋な電気接続又は電気/油圧接続のいずれかによってメインモジュールに接続される。
【0022】
本発明によるメインモジュールは、車両内に単独で又は複数で設けることができる。したがって、メインモジュールは、好ましくは1つのアクスルの2つのホイールブレーキで又は車両の4つのホイールブレーキで選択的に圧力フィードバック制御を実行してもよい。
【0023】
第1の実施形態では、メインモジュールが2つの油圧出力ラインを備え、それにより、圧力フィードバック制御、例えば、回収中のブレーキ力ブースト及びブレンディングフィードバック制御が、2つの別個のホイールブレーキ又は2つの油圧回路で実行されるようになっている。
【0024】
実施形態1は、例えば高出力の電気駆動モータを用いるモータレースにおいて、ブレーキ力ブースト又はブレンディングが1つのアクスルに使用される二輪車又は車両に提供される。1つのアクスルに、回収が発電機モードで行われる電気駆動モータが提供されている場合、ブレンディングが必要である。この場合、回収はメインモジュールによってフィードバック制御され、作動ユニットの一定の運転者感覚が調整によって設定される、つまり、作動ユニットは圧力フィードバック制御の影響を受けず、切り離される。この場合、作動ユニットは、好ましくはメインモジュールに配置された常開ソレノイドバルブによって通常モードで切り離される。他の機能(診断、移動シミュレータ)のために作動モジュールにソレノイドバルブが必要な場合(例えば、本出願人のPCT/EP2015/068693号明細書に記載されているように)、常開ソレノイドバルブが作動ユニットに配置されることが確認され得る。これは、メインモジュールが故障した場合にのみ開かれ、作動ユニットによって蓄積された油圧力によってブレーキ圧がホイールブレーキ内に蓄積され得る。
【0025】
この場合、ABS/ESP機能は、二輪車で使用する場合に制限なく使用できる。2つのアクスルを有する車両で実施例1を使用する場合、運転安定機能は、例えば減速時及び加速時の重量移動に依存する方法でのアクスル内のブレーキ圧の理想的な分布など、圧力フィードバック制御によって制限された形でのみ実現することができる。後者の機能は、例えば都市車両、新興国の1トン未満の車両重量の安価な車両など、単純な車両に完全に適している。
【0026】
さらに可能な第2及び第3の実施形態では、より大きな動態又は冗長性を達成するために、2つのメインモジュールが車両に配置され、メインモジュールはそれぞれ圧力供給ユニット、ソレノイドバルブ、及び制御ユニットを備え、システムは4つの油圧消費部品、例えば4つのホイールブレーキを備えた2つの油圧回路を有し、各メインモジュールは、例えば2つのホイールブレーキなどの複数の消費部品を備えた1つの油圧回路のみの圧力フィードバック制御に使用される。
【0027】
このシステムでは、2つのメインモジュールを使用して、例えばブレーキ力のブースト、ブレンディング、ABS/ESP及び運転者支援機能(例えば緊急制動機能、距離制御等)など、ホイールブレーキの理想的なフィードバック制御を実行することが可能である。ここで、このシステムは、純粋なブレーキバイワイヤシステム(EMB、ウェッジタイプブレーキ)の性能特性に似ている。特に、この設計の変形では、本出願人からの欧州特許第1 874602号明細書に記載されているように、多重フィードバック制御を使用するのが好都合な場合がある。この目的のために、それぞれの場合に、メインモジュールのブレーキ回路ごとに1つのソレノイド切換えバルブを設ける必要がある。本出願人によるPCT/EP2015/081402号明細書に記載されているように、切換えバルブとは別に、少なくとも1つのメインモジュールについては、アウトレットバルブも提供することができる。このようにして、特に車両のフロントアクスルに対する非常に動的なフィードバック制御の要求を満たすことが可能である。また、PCT/EP2015/081403号明細書に記載されているバルブの切換えと制御を使用して、ピストンによる流入圧力制御で静かな圧力蓄積を実現すること、及びアウトレットバルブを介して圧力を放出することも有利な場合がある。
【0028】
さらに、システムはそれぞれ専用の電子機器と電気モータを備えた2つの完全に独立したメインモジュールを有し、それらは1つのモジュールに障害が発生した場合に2つのホイールブレーキになおもはたらくことができるので、システムは慣習的な2ボックスシステム(電動ブースタ+ESP)に似た非常に高い冗長性を有する。このようにして自動運転の適切な安全性が実現される。
【0029】
実施形態2はまた、作動ユニットのメインモジュールへの油圧接続を有する。この目的のために、常開ソレノイドバルブがメインモジュールに提供される。したがって、システムに障害が発生した場合でも、運転者の操作力によってブレーキ回路に圧力がなおも蓄積され、システムの安全性は、すでに提供された冗長性のほかに2つのメインモジュールによってさらに向上される。
【0030】
第3の実施形態では、制御はM-ECUによって純粋に電気的に実現され、メインモジュールは好ましくは追加の圧力作動機能のみを実行する。次に、運転の動的フィードバック制御がM-ECUで実行される。M-ECUは同様に冗長的な設計(例えばクアッドコア)であることが好ましい。この実施形態では、作動ユニットは省略することができる。この実施形態では、一方ではメインモジュール間の、他方ではメインモジュールと制御ユニットとの間の電気的接続を冗長的な設計にすることが有利に可能であり、メインモジュールは、例えば12Vバッテリ、第2の電圧供給ネットワーク48V又は高電圧、12Vバッテリ及び第2の電圧ネットワークのDC/DCコンバータなどの2つの電圧源に冗長的に接続される。さらに、メインモジュールと制御ユニットとの間の信号伝送は、好ましくは2本の信号ラインで冗長的に実行され、この場合、ラインはケーブル又は無線伝送であってもよい。したがって、ケーブルによる伝送と無線伝送との組み合わせも冗長性として可能性がある。これらの拡張された冗長性対策により、第3の実施形態は、自動運転又は運転者のいない車両でも冗長性と安全機能を適切に備えており、コストと信頼性の点で、いずれの場合も1つのホイールブレーキに対して4つのアクチュエータを備えた純粋な電気ブレーキシステム(ウェッジ型ブレーキ、EMB)よりも優れている。
【0031】
第3の実施形態の場合、特に台形スピンドルの使用は、メインモジュール構成概念2でより詳細に考察されるように、コスト削減のさらなる可能性である。これは、より低いレベルの電力が必要であり、システムは構造的な空間の制約がないせいでメインモジュールの圧力供給のピストンの設計に関して自由度があるため可能である。したがって、システムは台形スピンドルの低い軸力負荷と駆動モータの低トルク用に設計でき、2つのモジュールの追加コストが比較的低くなるように、非常に安価な設計にすることができる。
【0032】
さらなる変形(実施形態4~7)では、1つのメインモジュールのみが提供される。メインモジュールには4つの油圧出力ラインがあり、4つのホイールブレーキの1つでの圧力フィードバック制御は各出力ラインを介して実行される。そのようなシステムの場合、メインモジュールは、例えばブレーキ力ブースト、ブレンディング、ABS/ESP及び運転者支援機能などのすべての機能を実行可能であり、性能に関してわずかの制約しか同時に有さないので第2及び第3の実施形態に対してコスト上の利点を有し、したがって乗用車の一連のアプリケーションの標的システムコンセプトとして提供される。圧力供給部として、ここでは、油圧冗長性を生むために、2つの作動室を備えたダブルストロークピストン型ポンプが有利に使用される。電気モータ、スピンドル駆動、及びピストンを備えた圧力供給部の構成は図3により詳細に示される。さらに、図7に示すように、駆動モータと冗長電源の2×3相接触が、可用性を高めるために有利に好都合である。2×3相接触の冗長性とは別に、電子回路基板、特にモータのB6ブリッジの電気的に分離した設計も有利である。これは2×3相接触が使用されるさらなる実施形態にも適用される。
【0033】
第4から第6の実施形態では、メインモジュールに加えて、作動モジュールが提供され、これは、第4の実施形態ではメインモジュールへの好ましくは冗長な電気接続及び1つ又は2つの油圧接続を有するが、第5及び第6の実施形態では純粋に電気的な、好ましくは冗長的な接続のみを有する。第4の実施形態では、好ましくはメインモジュールに一体化される1つ又は2つの常開バルブが設けられる。1つの回路を備えた作動モジュールには1つの常開バルブが必要であり、2つの油圧回路を備えた作動モジュールの場合は2つの常開バルブが必要である(例えばPCT/EP2015/068693号明細書)。油圧接続により、メインモジュールが故障した場合のフォールバックレベルが提供され、メインモジュールが故障した場合、作動モジュールが少なくとも1つのブレーキ回路、好ましくは2つのブレーキ回路に圧力媒体を供給し、又は少なくとも1つのブレーキ回路に圧力を蓄積する。冗長性を高めるために、メインモジュールと作動モジュールの間に1本ではなく2本の油圧ラインを設けることも可能である。
【0034】
第5の実施形態において油圧接続又は作動モジュールが省略された場合、追加の安全対策が不可欠であり、これは第4の実施形態でも推奨され、例えば、2つの車載電気システムへのメインモジュールの冗長接続、信号線の冗長性、2×3相の形態のモータの設計、例えば2つの作動室を備えたダブルストロークピストン型ポンプによる油圧冗長性のためのシステムの構成である。
【0035】
第6の実施形態では、2つの電気モータと2つの冗長な圧力供給部とが設けられ、1つの圧力供給部が1つの油圧回路又は2つのホイールブレーキにいずれの場合も圧力を供給する。この場合、圧力供給は、台形スピンドルを備えた単一ピストンポンプとして設計するのが好ましい(台形スピンドルを備えた図4を参照)。ここでは、特定の程度の冗長性(電気モータの2×3相接触)と2つの作動室を備えたダブルストロークピストン型ポンプとを省略することが可能である。システムは、メインモジュールの圧力供給部ごとに並行して及び互いに独立して油圧回路に圧力媒体を供給できる場合、より高いフィードバック制御性能を実現することもできる。この場合、実施形態6において、実施形態2及び3と同様の性能により、すなわち、1つのモータが1つの油圧回路又は2つのホイールブレーキにいずれの場合もはたらくので、多重法(アウトレットバルブなし)において圧力を1つのブレーキ回路内で蓄積し、一方で他方のブレーキ回路内の圧力が並行して散逸されることも可能である。これは、特に非常に動的な介入(例えば、高摩擦係数での制動、特別なESP介入)の場合に利点があり、非常に高出力の車両の場合の運転安定化と制動距離の短縮をもたらす。第2及び第3の実施形態と同様の信頼性を実現するために、電子システムはモータごとに個別の駆動装置を有する、例えば2×B6ブリッジ、電気的に別個の電子回路基板を有する冗長的な構成であり、メインモジュールの電気的供給及び信号伝送も同様に冗長的な構成である。
【0036】
第7の実施形態は、運転者のいない車両を意図しているため、作動モジュールが不要であり、したがってこれは省略される。
【0037】
本発明による装置を複数のモジュールに分割した結果、メインモジュールをモータコンパートメントの隔壁から離して配置することができ、それにより、メインモジュールによって発せられるより少ないノイズが乗員室に伝わるということが有利に起こり、このノイズは、油圧振動の結果としてABS/ESPモードでの非常に動的なフィードバック制御により発生し、及び圧力差の結果としてソレノイドバルブ切換えノイズによって発生する。メインモジュールは、モータコンパートメントのほぼすべての場所に配置可能である。
【0038】
車両が走行モータを有する場合、これは同様に制動アシストに使用することができる。この目的のために、前記走行モータを対応して作動させ、構成要素の機能を互いに調整することが必要である。したがって、メインモジュール、上位コントローラ、及び走行モータ間のデータバス及び/又は制御バスを介した電気接続が必要であり、それに応じて提供されなければならない。
【0039】
メインモジュールは、モータコンパートメント内で水平及び垂直の両方に配置できる。ノイズを最小限に抑えるために、対応する減衰要素を提供することが同様に可能である。
【0040】
さらに、メインモジュールのプラグコネクタの設計は、最小限のボックス容量と優れたアクセス性に関して、有利な設計である。これは、メインモジュールの電子回路基板に直接接続され、電子回路基板に対して90°の角度で直立するプラグコネクタの形で実現することができる。さらに、プラグコネクタは、上述の実施形態の可能な改良において、リザーバ容器の下に取り付けられ、特に、モータに平行に水平に引き抜くことができる。これにより、プラグコネクタの取り付けに必要となる構造スペースが無駄に費やされることがない。
【0041】
さらに、以下でより詳細に考察するように、メインモジュールは、ソレノイドバルブのすべてのセンサとバルブ本体がECU回路基板上に直接位置決めされ、電気モータの位相接点が電子システムに直接つながり、電子システムを非常に簡単にインストールできるように有利に設計することができる。ここでは、ソレノイドバルブのコイル本体は回路基板に接続され、センサ評価要素は差し込まれることによりセンサターゲットに間隔を空けて取り付けられ、電気モータのリードフレームの3(6)位相接点は回路基板(例えばRadsok接点)にプラグオンされるか、又は位相接点は回路基板上の銅要素に溶接される。
【0042】
さらに、メインモジュールは、屈曲ロッドが好ましくは溶接接続によって回転スピンドルに接続される、屈曲ロッド概念による非常に簡単な取り付け及び半径方向の力の補償を示し得る。スピンドルは金属製の高強度材料から形成されており、プラスチック製の台形スピンドルを駆動することが好ましい。台形スピンドルは、特に、最大圧力が低いシステム及び複数のメインモジュールで構成されるシステムで使用される。これは、特に第1、第2、第3及び第6の実施形態の場合に有利であるが、制動を支援し、したがって容積バランス又は最大圧力要件にプラスの影響を与える少なくとも1つの高出力駆動モータを備えたシステムでも使用可能である。台形スピンドルは、特殊な材料が台形スピンドルに使用されているため及び/又はメインモジュールは空気のアクティブな供給により低い周囲温度が支配的な場所に、例えば車両のフロントエンド領域に位置決めされているため、第4、第5及び第7の実施形態の場合のように、1つのモータを備えたシステムの場合にも使用することができる。特に電気自動車の場合、温度は内燃機関を備えた車両の場合よりも大幅に低く、台形スピンドルの使用をさらに促進する。
【0043】
台形スピンドルの代わりに、ボールねじ駆動(KGT)を使用することができる。ボールねじ駆動には、特に総重量が2トンを超える大型で重量のある車両の場合、軸力による負荷に対して比較的高い効率と比較的高いキャパシティがあるという利点を有する。さらに、システムのヒステリシスが少ないため、ボールねじ駆動はフィードバック制御を促進する。1つのモジュールにおける台形スピンドルの組み合わせも考えられ、例えば、フロントアクスルのKGT、リアアクスルの台形スピンドルである。
【0044】
メインモジュールの圧力ユニットは、非常に単純で安価なトルクサポートを有するように、及びシングルストロークからダブルストロークピストンタイプのポンプにわずかな修正で簡単に変換できるように設計することもできる。
【0045】
さらに、本発明による装置には多種多様な用途があり、モジュールを異なるシステム概念に容易に組み合わせて、非常に広範な車両クラスを少数の構成要素でカバーできるようにすることができる。
【0046】
本発明による装置、及び二輪車又は四輪車におけるその使用は、図面に基づいて以下により詳細に考察される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1a】特にABS/ESPのないアクスルごとのブレンディングを伴う二輪車又は車両用の、2つの油圧消費部品を備えた作動システムを備えた本発明による第1の実施形態を示し、ここでメインモジュール及び追加モジュールは電気データ及び/又は制御ライン及び油圧ラインを介して互いに接続されている。
図1b】非常に高いフィードバック制御要求及び柔軟な位置決めのための2つのメインモジュールと、作動装置を備えた追加モジュールとを備えた第2の可能な実施形態を示す。
図1c】ブレーキバイワイヤブレーキシステム又はブレーキペダルのない自動運転車両用の2つの独立した冗長メインモジュールを備えたペダルのない第3の可能な実施形態を示す。
図2a】四輪ブレーキの圧力フィードバック制御用のメインモジュールと作動装置付きの追加モジュールとを備えた油圧フォールバックレベルを備えた乗用車の一連のシステム概念の第4の実施形態を示し、ここでメインモジュールと追加モジュールは電気データ及び/又は制御ライン及び油圧ラインを介して互いに接続されている。
図2b図2aに対応する油圧フォールバックレベルのない、しかしメインモジュールと追加モジュール間の油圧接続のない乗用車の一連のシステム概念の第5の実施形態を示す。
図2c】2つのモータを備えた油圧フォールバックレベルのない乗用車の一連のシステム概念の第6の実施形態を示し、ここでメインモジュールには、それぞれ別個の電動駆動装置とギヤとを備えた2つの圧力供給装置が配置されている。
図2d】ブレーキバイワイヤブレーキシステム用の又は四輪ブレーキへの圧力供給のためのブレーキペダルのない自動運転車両用のメインモジュールを備えた機械式作動モジュールのないブレーキバイワイヤシステムの第7の実施形態を示す。
図3】モータ、センサ、電気接続HCU及びマグネットコイルを備えたECU、吸引バルブを備えた圧力ピストンを備えたメインモジュールの第1の可能な実施形態の断面図である。
図4】メインモジュールの第2の可能な実施形態の断面図であり、図の上半分に台形スピンドルが示され、図の下半分にボールねじ駆動装置が示されている。
図5a】すべての実施形態のメインモジュール内の可能なバルブ回路を示す。
図5b】メインモジュール及び図5aによるバルブ回路用の本発明によるインレットバルブを示す。
図6】第2、第3及び第6の実施形態の好ましい油圧概念を示す。
図7】2つの作動室の圧力フィードバック制御用のソレノイドバルブを備えたダブルストロークピストン型ポンプの構成を示し、各作動室は1つのブレーキ回路に割り当てられている。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aは、2つの油圧回路又はブレーキ回路BK1及びBK2の圧力フィードバック制御のためのメインモジュールMOと、作動装置を備えた追加モジュールMO1とを備えた本発明による装置の第1の可能な実施形態を示し、ここでメインモジュールMOと追加モジュールMO1は、電気データ及び/又は制御ラインDS及び油圧ラインHLを介して互いに接続されている。追加モジュールMO1は、例えば車両の場合のブレーキペダル又はオートバイの場合のブレーキレバーなどの作動装置を有し得る。追加モジュールMO1に移動シミュレータを追加で配置することができる。さらに別のピストン-シリンダユニットが追加モジュールに配置され、そのピストンが作動装置によって調整可能である場合、フォールバックレベルを任意選択の油圧接続によって実現可能であり、その結果、メインモジュールの1つの構成要素に障害が発生した場合、ブレーキ回路BK1/BK2の一方又は両方に、作動装置を使用してブレーキ圧力をなおも蓄積することができる。
【0049】
移動変換器PS及び/又はレベル変換器NGも追加モジュールMO1に配置することができる。ここで、移動変換器PSは、例えばブレーキペダル又はブレーキレバーの形態の作動手段の偏向を検出し、その信号は電線DSを介して制御装置S-ECU及びM-ECUに送信される。
【0050】
以下のすべての例示的な実施形態について、バルブ装置HCUは、モジュールのコントローラS-ECUと圧力供給装置DVを備えたモータMとの間に配置することができる。
【0051】
同様に、図に記載され示されているすべての実施形態について、コントローラS-ECUに加えて追加の上位制御装置M-ECUも提供できることが基本的に当てはまる。しかしながら、上位制御機能は、本発明によるモジュールMOに設けられたS-ECUにより共同で実行することも可能であり、その結果、基本的に上位コントローラを省くことも可能である。したがって、図1aに示される上位制御ユニットM-ECUは、メインモジュールMOに一体化することもできる、又はそれを形成することもできる。
【0052】
例えば、モータ又はトランスミッションコントローラ及びESP機能などの最新のシステムでは、システムコントローラS-ECUは、I/O、計算、作動要素の起動、及び診断機能などのほぼすべての機能を実行する。将来的には、ドメインプロセッサ又は中央プロセッサM-ECUの使用が増加するだろう。この場合、ECUは各アセンブリ又はその近くに配置され、特に起動機能と部分診断機能のみを実行する。
【0053】
モジュールMOは、減衰特性を有し得るブラケットDFによってモータコンパートメントに固定される。
【0054】
したがって、図1aに示すシステムは、2つの油圧消費回路又はブレーキ回路を備えたシステムに、及びまた走行モータを備えたアクティブブレーキシステムの場合に、及びまた二輪車(前輪及び後輪ブレーキ)において及び/又はアクスルごとのブレンディング及び1つのアクスルにおけるブレーキ力のブースト/ブレンディングを備えたシステム(1つのアクスルにおける駆動モータ及び1つのアクスルのホイールブレーキにおける油圧ブレーキ力のブースト及びブレンディングによるモータレース)に、ESP/ABS機能のないアクスルにおける異なるブレーキ力配分のみを備えた単純な車両に使用することができる。
【0055】
作動ユニットBEは、単一回路マスターシリンダHZ又は2回路タンデムマスターシリンダTHZ、及び少なくとも1つの隔離バルブTV1、TV2を有し、マスターシリンダの作動室間の油圧接続を、又は作動装置BEの2回路THZの両作動室の1つ又は2つのブレーキ回路BK1、BK2への油圧接続を選択的に確立又は閉鎖することができる。
【0056】
図1bは、図1aに示され記載された本発明による装置と同様の装置を示し、この場合、特にモータレースのために動態を増加させる目的で2つのメインモジュールMO及びMO’が設けられる。さらに、作動装置を備えた追加モジュールMO1が提供され、追加モジュールMO1は、電気データ及び/又は制御ラインDSによって上位コントローラM-ECU及び走行モータ、並びにメインモジュールMO及びMO’に接続される。この場合、2つのメインモジュールは、多重機能により、従来型切換バルブで及び場合によってはアウトレットバルブでも動作できるため、純粋なブレーキ力ブースタとして又はABS及び/又はESP機能を備えたブレーキ力ブースタとして使用することができる。したがって、メインモジュールMOは、ホイールアクスル1のホイールブレーキの圧力フィードバック制御のために提供され、メインモジュールMO’は、ホイールアクスル2のホイールブレーキの圧力フィードバック制御のために提供することができる。しかしながら、メインモジュールMO及びMO’によるホイールブレーキへの圧力の斜め供給も同様に可能である。メインモジュールMOの油圧フォールバックレベルは、追加モジュールMO1とメインモジュールMOとの間の油圧接続HLによって実現される又は可能である。したがって、高い動態とフィードバック制御精度を備えたアクスル特定又はホイール特定圧力フィードバック制御が可能である。このようなシステムでは、電気ブレーキ(EMB、ウェッジ型ブレーキ)と比べてより少ない構成要素及びより低いコストで同じ機能を実現することが可能である。
【0057】
図1cは、ブレーキバイワイヤブレーキシステム用の又はブレーキペダルのない自動運転車両用の2つのメインモジュールMO及びMO’を備え及び2つの走行モータTM1及びTM2を備えた本発明による装置を示し、ここでメインモジュールMOは接続ラインAL1及びAL2を介したアクスル1のホイールブレーキRBの圧力フィードバック制御を実行し、メインモジュールMO’はアクスル2のホイールブレーキの圧力フィードバック制御を実行する。上位制御装置M-ECUがホイールブレーキRBの及び走行モータTM1及びTM2のブレーキ機能を制御する。
【0058】
図5及び6に示され記載されているようなバルブ設計と油圧回路は、図1b及び1cの装置の場合に好都合である。
【0059】
図2aは、4つのホイールブレーキRBにおける圧力フィードバック制御のためのメインモジュールMOと作動装置を備えた追加モジュールMO1とを備えた本発明による装置を示し、ここでメインモジュールMOと追加モジュールMO1は電気データ及び/又は制御ラインDS及び油圧ラインHLを介して互いに接続される。油圧ラインHLは、先の例示的実施形態で記載したように、フォールバックレベルとして機能する。圧力供給装置用のメインモジュールMOのモータMは例えば6相モータであってもよく、それにより、2×3相によって適切な冗長性が提供される。電子システムに障害が発生した場合、電気モータはトルクの半分をなおも生成すること、及びシステムが160~200バールに設計されている場合、なおも80~100バールを得ることが可能である。80~100バールがロックブレーキを構成するため、1つのモータに障害が発生した場合でも、ほぼ完全な制動減速を達成することが可能である。圧力供給装置はさらに、その2つの作動室により、同様に油圧回路の二重の冗長性を提供するダブルストロークピストンを有してもよい。メインモジュールMOの圧力供給装置により、ブレーキ力のブースト、ブレンディング、運転者支援機能とは別に、ホイールブレーキのABS及び/又はESP機能を実現することがほぼ可能である。電子システムの一部に障害が発生した場合、残りの3つの相では、電力が減少するため、完全なABS性能を達成することはできない。しかしながら、ESPでの安全重視の介入と、例えばABSによる制動距離の延長をもたらす、比較的低いパフォーマンスによる制限されたABSパフォーマンスとが依然として可能である。
【0060】
追加モジュールMO1は車両の隔壁に配置することができる一方、メインモジュールMOは、特にノイズを最小化するために隔壁から遠く離れた、モータコンパートメントに実質的に任意に配置することができる。油圧振動は機構の取り付けの減衰によって減衰させるのが困難であるため、前記振動は液体を介してボディ伝播音によってブレーキペダルに伝達されるので、この配置はノイズ最小化の観点から非常に効果的である。
【0061】
図2bは、図2Aによる本発明による装置を示しているが、メインモジュールMOと追加モジュールMO1との間に油圧接続がない。このシステムは、例えば自動運転用の量産型乗用車で使用可能であり、非常に静かであり、ここでメインモジュールMOは、4つの出力ラインAL1~4を介して各ホイールブレーキRBに接続される。それぞれのブレーキ回路BK1又はBK2を1つのアクスル1/2に割り当てるのではなく、いずれの場合も互いに対して斜めに配置された2つのホイールブレーキにそれぞれ割り当てることも同様に可能である。十分な冗長性と安全性のために、6相モータ接触(図2a参照)以外に、2つの車載電圧ネットワークへのメインモジュールMOの冗長信号伝送と冗長接続:(a)12Vへの接続及び(b)第2の電圧レベルのDC/DCコンバータへの接続がここで同じく可能である。
【0062】
図2cは本発明による装置を示しており、それぞれ別個の電動駆動装置M及び歯車装置を備えた2つの圧力供給装置がメインモジュールMOに配置されている。2つの圧力供給装置を提供することにより、二重の冗長性が実現される。さらに、2つのモータを使用することで、パフォーマンスの向上(図1c参照)を実現することができる。このシステムの場合、図5及び図6に示され記載されているようなバルブ回路を使用することが好都合に可能である。
【0063】
図2dは、ブレーキバイワイヤブレーキシステム又は4輪ブレーキへの圧力供給のためのブレーキペダルのない自動運転車両用のメインモジュールMOを備えた本発明による装置を示す。ここでは、図2bに示した冗長性(2×3相、冗長信号伝送及び電圧供給)、及び2つの作動室を備えたダブルストロークピストン型ポンプが必須である。
【0064】
図3は、メインモジュールMOに配置された、モータM、駆動装置、圧力供給装置DK、バルブ装置HCU、及びその主構成要素を備えた制御及びフィードバック制御ユニットECUの断面図を示している。
【0065】
モータハウジング16は、好ましくは消音材料から構成される中間部品32を介して第1のハウジング部GH1に接続され、ここでセンタリングは突起14bによって実現され得る。モータハウジング16及び中間部品14及びECUハウジング35は、例えば長方形のハッチングされた表面で密閉されているが、これらは個別には記載されていない。4点軸受20がモータハウジング16に押し込まれ、この4点軸受はスピンドル25とロータ22からの両方向の軸方向の力に対応し、これらをセンタリングする。ロータ22は、軸方向固定手段29によって固定され、ステータ領域において、磁石20を備えた通常のロータ積層体19を支える。
【0066】
ロータ22はさらに、フェース側でかさ歯車28に接続され、これはシャフト41及びターゲット38を備える第2のかさ歯車29を駆動する。ターゲット38は、ロータの回転を評価するセンサ要素37に作用する。ここでは、センサ要素はシステム回路基板PCB上に据えられ、特に安価でフェールセーフである。機械的解決策の代替として、図示されていない解決策を実施することができ、そこではかさ歯車への接続の代わりに、ロータは磁石を備えるスリーブに接続され、したがってモータの回転角度の評価用のターゲット38を形成する。この場合、ターゲット磁場は、ターゲット付近のセンサ要素の対応する配置によって(例えば、ECUへのプラグ接続によって)検出され得るか、又は磁束伝導要素によってPCB上のリモートセンサ要素へ伝導され得る。
【0067】
かさ歯車29は、モータハウジング16に接続されたハウジング40に取り付けられる。歯付きギヤ20は、対応するブレーシングを備えた可撓性駆動シャフト41が歯の遊びを生じないように、半径方向の遊びSでハウジングに取り付けられる。ここで、シャフトは、中間部品14に固定された軸受ブッシング41に取り付けられる。シャフト41は、例えば回転防止手段を備えた対応する輪郭によって歯車29に共同して回転するように接続される。屈曲ロッドBSは、ナット23によってロータ22に固定される。前記屈曲ロッドは、例えば溶接接続部30によってスピンドル25に共同して回転するように接続される。スピンドル25は、KGTナット26に作用し、KGTナット26は例えばねじ27によってピストン11に共同して回転するように接続される。ロータ及びスピンドルの回転中に、半径方向の公差によりスピンドルの振れが生じ、これによりピストンに対応する高い横方向の力がもたらされ、これはシールDの走行面にとって重要である。曲げロッドBSの曲げ弾性によりこの値は小さくなる。この原理は、静的スピンドル(図示せず)及び回転ナットの場合にも適用することができる。この場合、ピストンは段付きピストンとして設計され、小さなストロークの場合、短い構造長が得られる。断面図に示すように、構造長はストロークH1+H2=2×H1+KGTナットのLで構成される。これは、本出願人からの独国特許第10 2008 063 772号明細書に対応するモータ内の中空シャフトモータであるため、ステータと軸受から構成される実際のモータ構造長はこの構造長に含まれない。ストローク成分H1の隙間は、巻線に接続された巻線のリードフレーム31に利用される。さらに、すでに述べたように、モータ感知手段28~29をここに収容することも可能である。
【0068】
ピストンは、対応する圧力室を密閉するために3つのシールDによって密閉される。これについてはこれ以上詳しく考察しないし、この目的に最適である中間部品14と第1のハウジング部(GH1)の設計についても考察しない。
【0069】
ピストン付きKGTナットには回転防止手段が必要である。回転防止手段はここでは端面に取り付けられている。四角形又は多角形の輪郭を有する対応する部分33は、GH1に共同して回転するように接続されており、ピストンに共同して回転するように接続されているスライドブッシング34に支持されている。このスライドガイドは、ブレーキ液の小さな潤滑作用の恩恵を受ける。ピストン駆動装置は、静的スピンドルと回転KGTナットによって設計することもできる。GH1の片側に収容されるのは、対応するポートによってVBに接続される吸引バルブSV1及びSV2である。一点鎖線で示すように、これらは管状要素のH2面に配置することができる。反対側に配置されているのはGH2-HCUであり、これはすでに記載したようにMV及び圧力変換器付きの他のバルブを収容する。ここでは、頂部と底部に、GH1とGH2の非常に短い接続穴をはっきりと見ることができる。
【0070】
GH2に接続されているのはECUハウジングであり、これはPCBを構造要素BEとともに収容する。モータ接点Kに至るリードフレーム31のモータへの短い電気接続もここに記載されており、その近傍には、PCB上のモータ制御のためのBEへのプラグコネクタ1の電力接点が配置されている。対応する電力損失は、PCBから熱伝導体を介してHCUのバルブブロック56まで散逸される。ECUハウジング35は、モータに対して平行且つ横方向に形成されてもよい。この構成により、多くの要求を考慮した有利なコンパクトな解決策を安価に実現することが可能である。
【0071】
図4は、メインモジュールMOの断面図を示し、ここで図の上半分に台形のスピンドルTSが、図の下半分にボールねじドライブKGTが示されている。メインモジュールは、ピストンハウジング53及びモータハウジング55を有する。ピストンハウジング53及びモータハウジング55は金属又はプラスチックから製造することができる。作動室内の作動圧力が100バールを超える場合、少なくともピストンハウジング53のハウジングはプラスチックから製造するべきでない。外側ステータ52及びステータ巻線51はモータハウジング内に配置される。
【0072】
ピストンハウジング53は、ハウジング53とピストン59によって区切られ、出力ラインAL(図示せず)を接続するための出口61を有する作動室Aを有する。ピストン59は、ピストンハウジング53内に配置されたシール50により密閉され、ポット形ロータRに共同して回転するように配置されたスピンドルSPにより駆動される。ロータRは、ベアリング60によってモータハウジング55内に回転可能に取り付けられる。
【0073】
回転防止手段54は、ピストン59のその長手軸の周りの望ましくない回転を防止する。この場合、スピンドルは台形のスピンドルTS(図の上部)又はボールねじドライブKGTの一部であり得る。スピンドルSPは、ロータRに共同して回転するように接続された屈曲ロッド58に固定され得、それにより、起こり得る偏心の存在下での補償が実現される。
【0074】
モータ用のロータリエンコーダ56と電気接続57がコントローラS-ECUに設けられる。
【0075】
過度に高い動作圧力が行き渡らない場合、ピストンハウジング53とピストン59の両方をプラスチックで製造することができる。モータハウジング55も同様にプラスチックから製造することができる。さらに可能な実施形態では、ステータ52も同様にプラスチックから製造することができる。
【0076】
さらに、ロータR又はロータRの一部を同じくプラスチックから製造することも可能であり、ここで磁束伝導部品を備えた磁石がプラスチックに挿入されるか、又はプラスチックによって囲まれる。
【0077】
図5aは、国際公開第2016/146223号パンフレットから知られている、多重動作に重要な低い流れ抵抗の切換バルブを備えたバルブ回路を示し、ここで切換バルブは、ホイールブレーキ内の圧力により自動的に開くように配置される。ここで、油圧媒体はブレーキ回路又は圧力発生ユニットからアーマチュアスペースを介してバルブシートへホイールシリンダの方向に流れる。故障が発生した場合、ホイール圧力が切換バルブを開く。しかしながら、磁力も130バールに対抗して閉鎖を実現する必要があるが、これはバルブ終端位置に小さなアーマチュアエアギャップがある場合に実現される。したがって、切換バルブSVのリセットスプリングは、切換バルブが対応して大量の流れの存在下で「突然閉じる」ことのないように、わずかな強化のみを必要とする。従来のインレットバルブは最大220バール(図5aの場合130バール)に対抗して閉じる必要があるため、磁石の寸法を変更せずにバルブシート領域を拡大することができ、これは背圧又は流れ抵抗をより低くし、MUX操作に有利である。したがって、図1eに示されるバルブ回路は、本発明によるブレーキシステムにとって有利である。
【0078】
図5bは、本発明によるインレットバルブEVの可能な実施形態と、ブレーキ回路BKと圧力供給部DVとホイールブレーキRBiとの接続とを示している。
【0079】
インレットバルブEVは、磁石アーマチュアMA、磁気本体MGK及び励磁コイルESを有する。ソレノイドバルブEVが通電されると、磁力MKは差移動SだけアーマチュアMAを位置SA0から位置SA2に変位させる。磁石アーマチュアMAはプランジャMStoeを同じ移動によって移動し、その結果、プランジャMStoeはバルブシートVSに当接し、ソレノイドバルブの出口Eaを閉じる。この位置で、アーマチュアMAは磁気本体MKGに対して残留エアギャップSを有する。これはバルブEVの励磁コイルESへの通電が停止されるときにアーマチュアMAが鉄回路の再磁化損失により磁石ハウジングMGKに固着しないように提供される。バルブ電流が停止すると、リセットスプリングRFがアーマチュアMAを初期位置に戻す。ここで、比較的小さなエアギャップの場合、すなわち移動量が増加すると、磁力Fは非線形に増加する。リセットスプリングFRFは、初期位置SA0で、バルブの確実な閉鎖が保証されるように、磁力Fがスプリング力よりも大きくなるように寸法決めされる。スプリング力は移動量Sの増加とともに増加し、最終位置SA2では同様に磁力Fよりも低くなる。線形スプリングは、最終位置で、所与の電流の存在下に、磁力Fがリセット力よりもかなり高く、その結果バルブを低電流で保持でき、確実な閉鎖がホイールブレーキと圧力供給部との間に大きな圧力差がある場合でも保証されるように好ましくは使用される。大きな圧力差がある場合でも、閉じたバルブ位置で磁力が非線形に大きく増加するため、保持動作が保証される。しかしながら、リセットスプリングは、常開バルブとしての機能を確保でき、バルブが常に確実に開くような寸法にする必要もある。
【0080】
バルブの出力EはホイールブレーキRBi(RB1~RB4)に接続され、入力Eはブレーキ回路BKi及び/又は圧力供給ユニットDV(20)に接続される。このような接続により、インレットバルブEVは、リセットスプリングRFとホイールブレーキの圧力の両方によって開くことができ、これは特にブレーキシステムの故障又は不具合の場合(例えばバルブの電圧に不具合がある場合)に非常に重要である。さらに、ブレーキ回路に高圧が、ホイールブレーキに低圧が存在する場合、入口Eiと出口Eaの間の圧力差のみがプランジャMStoeに作用するということも起こる。バルブのこの圧力差は、圧力蓄積中は比較的小さいが、その体積が圧力供給部DVからホイールブレーキに搬送されるときに圧力が蓄積する間、圧力差がバルブを押して閉じないようにするために、スプリング構成RFにおいて考慮される必要がある。開口部の断面積OeQが大きい又は低流量損失のバルブは、この影響を低減する。
【0081】
上記の大きな開口断面積のバルブは、特に、流入圧力とホイールブレーキの実際の圧力との圧力差が小さい圧力ボリューム制御又は時間制御による圧力蓄積の場合に使用することができる。その理由はフィードバック制御精度が非常に高いためである。これには、特に高速圧力蓄積(TTL)中に低流量損失のみが発生し、駆動モータは非常に短い時間(TTL=150ms)で高速圧力蓄積のために低レベルの電力のみを必要とするという利点がある。
【0082】
さらに、有利に設計されたインレットバルブの低流量損失により、インレットバルブを介して圧力の散逸を迅速に行うことができる。インレットバルブEVを介した正確な散逸圧力は、圧力供給ユニット20のピストン運動の対応する制御を通じて実行することができる。任意選択的に、既知のMUX方法を、上述のバルブ回路とともに、又は、特に例えばリアアクスルのホイールブレーキなど低体積バランスの消費部品向けに、ブレーキ回路内のアウトレットバルブAVによる圧力散逸制御とともに実施することも可能である。すなわち、組み合わせも可能であり、それによって、MUX方式は2つのホイールブレーキ(例えばフロントアクスル)でのみ新しいバルブ回路構成と組み合わせて使用され、圧力散逸は2つのさらなるホイールブレーキで従来通り実行される。これは、インレットバルブとアウトレットバルブ(SV1、SV2+AV)を備えた2つのホイールブレーキ/アクチュエータが提供されること、及び、入口又は切換バルブSV3、SV4のみを備えた2つのホイールブレーキ/アクチュエータが提供されることを意味し得る。この場合、図1a及び1bに示すように、フロントアクスルのホイールブレーキのみに本発明の新しいバルブ回路を装備し、標準回路構成/標準バルブをリアアクスルで使用することが可能であろう。
【0083】
図6は、2つのメインモジュールMO及びMO’と、作動ユニットBE及びブレーキペダルを備えたさらなる別個のモジュールMO1とから構成される、本発明による装置を備えたブレーキシステムを示す。
【0084】
モジュールMO1内の前記作動ユニットBEは、例えば油圧で作動し、モジュールMOに接続されてもよく、又は電気ブレーキペダル又は進行停止スイッチであってもよい。メインモジュールMOは、モータMと、制御ユニットS-ECUと、シリンダ、モータMによってその内部で動かされるピストン1からなる圧力発生ユニットDEとを備える。ピストン1はスピンドルSによって駆動され、シリンダとともに作動室3の境界を定め、作動室3は吸引バルブSVを介してリザーバ容器Rに接続される。作動室3は、モジュールMOの出力ラインALを介して第1のブレーキ回路BK1にさらに接続され、それに対して2つのホイールブレーキRB1及びRB2が切換バルブSV1及びSV2を介在して接続されている。ホイールブレーキRB2内の圧力蓄積と圧力散逸は、ここでは開いた切換バルブSV1又はSV2を介して、又は両方の切換バルブが開いている場合は同時に、いずれの場合も実行される。ここで、圧力発生器ユニットMOのピストン1は、前進ストローク又は後退ストロークによって制御される。切換バルブSV1を閉じると、ホイールブレーキ内の圧力が保持される。ホイールブレーキRB1の場合にアウトレットバルブAVが存在しない場合、ホイールブレーキの圧力蓄積と圧力散逸は、その開かれた切換バルブSV1によってピストンの前進ストロークと後退ストロークによって実行される。
【0085】
ホイールブレーキRB1内の圧力散逸は、リザーバ容器Rの方向においてアウトレットバルブAVを介して又はピストン-シリンダユニットの作動室3内へ切換バルブSV1を介して選択的に実現され得る。圧力の制御された散逸のために、特にパルス幅変調用に設計された共通のアウトレットバルブ(AV)によって、クロック動作(開閉)又はパルス幅変調、すなわち高速クロッキング又は開閉で、アウトレットバルブを動作させることがさらに可能であり、この際、圧力センサDRが圧力散逸中のアウトレットバルブのクロッキングの制御に使用される。RB2の圧力散逸は、切換バルブSV1とSV2を開いた状態でアウトレットバルブAVを介して行うこともでき、ここで制御された圧力散逸は圧力変換器を使用するアウトレットバルブのクロッキングによって同様に実現することができる。ここで、ピストン-シリンダユニットMOのピストンは、静止していることが好ましい。また、ピストンを圧力散逸中に動かし、さらに、補充される体積によって圧力散逸を制御し、圧力散逸を共同で制御するために使用することも可能である。この場合、圧力はホイールブレーキRB1とRB2の両方で同時に散逸される。対応するアウトレットバルブ(図示せず)をホイールブレーキRB2に設けることも言うまでもなく可能である。アウトレットバルブが提供されている場合、圧力がRB2で同時に蓄積される一方、圧力がRB1で同時に散逸されることが可能である。RB2の場合にアウトレットバルブが設けられている場合、圧力がブレーキ回路BK I又はBK IIのいずれかのホイールブレーキ内で同時に蓄積され、別のホイールブレーキBK I又はBK IIで同時に散逸されることが可能である。アウトレットバルブの使用は、MUX動作における圧力フィードバック制御動態でモータの負荷を軽減するために、特にブレーキ回路の黒白配分(フロントアクスルにBK I、リアアクスルにBK II)の場合に有利である。或いは、アウトレットバルブを他のホイールブレーキ(例えば、RB1及びRB3)に設けることも可能である。これは、例えば、RB1とRB3が斜めのブレーキ力配分の場合にフロントアクスルのホイールブレーキを投影する場合に好都合である。
【0086】
メインモジュールMOには、モータの回転角α、モータ電流i、及び温度Tを決定するためのセンサ6、7、8も配置されている。ブレーキ回路BK1内の圧力は、圧力センサDRによって決定することができる。
【0087】
これらのセンサによって、フィードバック制御を改良することができ、ピストンの位置フィードバック制御とモータの電流フィードバック制御によってのみ圧力作動を実行することができる。温度センサは、この目的のために、トルク定数ktを動作温度に合わせる働きをする。このシステムでは、圧力変換器は主に目標圧力に対する較正と細かいフィードバック制御とに使用され、ここで、電流と位置により、圧力-体積特性曲線の評価に従って、非常に高速なパイロット制御が実現され、主に非常に動的な圧力変化に使用される。ヒステリシスのより正確なモデリングにより、圧力変換器を完全に省略するか、又はブレーキ回路BK I又はBK IIの一方において1つのみの圧力変換器を較正目的のみに使用することも可能である。較正では、バイパスバルブBV1、BV2を開いて、それぞれの圧力フィードバック制御ユニットを圧力変換器で較正できるようにする。1つのブレーキ回路BK Iで1つ又は複数のアウトレットバルブが使用される場合、圧力変換器は、ブレーキ回路BK Iの圧力散逸フィードバック制御のクロッキングに使用できるように、BK Iに都合よく配置される。
【0088】
メインモジュールMOの電圧供給は、メインモジュールが最初に12Vバッテリの端子に直接接続され次にDC/DCコンバータを介して第2の供給源に接続されることによる冗長的な構成のものであることが好ましい。データラインDS1及びDS2も冗長的な構成のものであり、車載電気システムの中央制御ユニットZ-ECUに接続される。
【0089】
第2のメインモジュールMO’は、第1のメインモジュールMOと実質的に同一の設計であり、その油圧出力ラインALによって第2のブレーキ回路BK2に接続され、これを介して圧力蓄積及び圧力散逸がホイールブレーキRB3及びRB4で実行される。第1のメインモジュールMOとの唯一の違いは、電圧供給が48VバッテリとDC/DCコンバータによって実現され、それにより、より大きな冗長性が実現されることである。圧力センサDRを第2のブレーキ回路BK2に対して同様に設けることができる。
【0090】
一方のユニット(MO)又はMO2が故障した場合、接続ラインVLのバイパスバルブBV1及びBV2を開き、ブレーキ回路BK IとBK IIを相互に接続することによって、すべてのホイールブレーキを残りの圧力供給ユニットMO2によってMUX操作で操作することが可能である。使用できるモータは1つだけなので、ABS/ESPフィードバック制御操作の最大動態は制限される。ここで、アウトレットバルブは特にフィードバック制御操作に役立ち、1つ又は2つのホイールブレーキ(RB1/RB2又はRB1/RB3)、特にフロントアクスルホイールブレーキに少なくとも1つのアウトレットバルブが設けられる。欠陥のないモータの体積変位又はピストン変位を防ぐために、ドライブMO及びMO’は、自動ロック機構、特に自動ロック台形スピンドルFを使用して設計される。或いは、さもなければ非自動ロック式圧力供給装置の上流に接続しなければならないであろう遮断バルブ(図6には示されない)で使用することが可能である。
【0091】
バイパス回路は、個々のホイールブレーキ(例えば、フロントアクスルBK Iのホイールブレーキ)内の圧力蓄積が、両方の圧力供給ユニットを介してバイパスラインを開くことによって共同で実現されるように都合よく利用することもでき、1つのアクスル(例えばBK II)において、電気モータの高出力電気駆動モータ(50~200kW)が少なくとも1つのアクスルでのブレーキ動作に使用できるかどうかを確認する。したがって、モジュールMO/MO1のモータを小型化することができ、電力に関しては、ABS/ESPフィードバック制御機能専用に設計する必要がある。
【0092】
モジュールMO及びMO’の圧力アクチュエータDE及びDE’の寸法決定に関して、次の可能性も好都合である:
DE:約200バールの高圧用に寸法決めされ、容積はDE’の容積の50%
DE’:DEの圧力の約50%、つまり約100バール、容積は100%
したがってDEとDE’は同じ出力を有する。DEピストンはDE’ピストンのピストン面積の50%で寸法決めすることができ、それによりDE’の軸力の50%のみが必要とされる。したがって、両方のモータMは同じトルクを有する。フォールバックレベル(RFE)でDEに障害が発生した場合、DE’は50%の圧力で動作し、これは十分であり、DEは100%の圧力とより小さい容積で動作し、後退ストローク中SVは閉じされた状態で引き込みのための後退ストローク及び対応するバルブ回路によるさらなる容積のための前進ストロークによるDEの補充を必要とする。
【0093】
さらに、補充、つまりピストンの後退により、ZEAバルブの開放によってバイパスバルブBV1/BV2又はバイパスバルブBV1及びBV1を開放することにより、さらなる容積を引き込むことができ、したがって圧力室の容積バランスを縮小することができる。したがって、ピストン3の端面の小さな断面積を作り出すこともさらに可能であり、それにより、モータMに対するトルク要求を低減することができる。これはコストに大きな影響を及ぼす。圧力発生器ユニットは隔壁に配置されず、長さは構造上のスペースの制限(例えば、衝突要件)によって制限されていないため、圧力発生器ユニットの作動室は、小さな断面積の細長い設計にすることができる、すなわち、断面積は都合よく30~50%減少され、作動室3の長さは同じ長さだけ増加する。このようにして、モータM及びスピンドルドライブFのトルク及びコストをさらに削減することができる。したがって、モータの比較的低いトルクがモータの比較的高い回転速度によって補償可能であり、したがって駆動ユニットのパワー削減をもたらさない物理的効果を利用することが可能である。より高い回転速度に起因する作動のノイズの増加は、隔壁に配置するよりも隔壁から離れた配置において減衰しやすいため、このパラメータは駆動ユニットのコスト削減に都合よく利用でき、つまり駆動ユニットMO及びMO’は細長い実施形態においてかなり安価に同じパワーで設計することができる。さらに、既知の2ボックスブレーキシステムとは対照的に、ABS/ESPユニットに障害が発生した場合、1つのモジュールMO又はMO’が、バイパスラインVLの使用により障害の発生時にすべてのホイールブレーキでブレーキ力ブースト及びフィードバック制御機能ABS/ESPを実行することができる。
【0094】
接続ラインVLは1つの切換バルブBV1及び任意選択的に2つのバイパスバルブBV1、BV2と1つの排出バルブZEAとを有し、一方又は両方のバイパスバルブを開くことにより、2つのブレーキ回路BK IとBK IIの間に油圧接続が確立される。バイパスバルブはコスト面での利点と低いスロットル抵抗とを有するが、特にフィードバック制御動作中の耐漏れ性に高い要求があり、複数のバイパスバルブBV1及びBV2により信頼性のある耐漏れ性テストが可能になり、さらにシステムの自由度が高まる。バイパスバルブは、通常は閉じられたソレノイドバルブとして設計されることが好ましい。ただし、この目的のために、両方のブレーキ回路の緊急操作のために、圧力供給ユニットによって、圧力供給が失敗した場合でもバルブに電流が供給されること、すなわち、バイパスバルブは圧力供給部MO及びMO1のS-ECUによって好都合に処理されることを保証する必要がある。
【0095】
2つのバルブ(BV1及びBV2)を備えたバイパス回路は、とりわけ圧力をさらに上げるために、ブレーキ回路の1つで補充するために、中央アウトレットバルブ(ZEA)を介してリザーバ容器から液体を引き込む場合に有利である。代替的に補充はSVが同時に閉じられた状態でDEのピストンの後退ストロークによりR又はR’から吸引バルブを介して体積を引き込むことによって実現されてもよい。前進ストローク中、前記体積はブレーキ回路BK I及びBK IIに対して利用できる。
【0096】
バイパスバルブ回路は、いずれの場合も1つのバイパスソレノイドバルブBV1とBV2で構成され、中央ZEAソレノイドバルブがリザーバ容器に接続されている。これは、対応する体積がリザーバ容器に排出されることによって、及びリザーバ容器からの補充のための引き込みのために消費される。
【0097】
前記EAソレノイドバルブは断面積が大きい(特に>5mm)ものであることができ、これは素早い引き込みに必要である。上記の機能又は診断のために、前記バルブは開かれる。すでに述べたように、バイパスソレノイドバルブは一時的に開かれる。この場合、ピストンストロークに対する圧力又はモータ電流の既知の割り当てによって、起こり得る漏れが検出される。既知の方法で、MUXシステムはメモリに圧力-体積特性曲線を有する。
【0098】
作動ユニットBEは、油圧ラインHL1及びHL2を介して2つのブレーキ回路BK1及びBK2に任意選択的に油圧的に接続され、切換え可能な遮断バルブTV1及びTV2が油圧ラインHL1及びHL2に配置される。前記遮断バルブは、好ましくは、通常は開いており、故障の場合、DE及び遮断駆動装置の故障の場合、バルブTV1及びTV2が開き、作動ユニットBEのブレーキペダル及びピストン-シリンダユニットによりブレーキ回路BK1及びBK2内に油圧が蓄積され得、それによってフォールバックレベルが実現される。通常の動作中、バルブTV1及びTV2は閉じられており、したがって作動ユニットBEはブレーキ回路BK1及びBK2から切り離されている。
【0099】
開かれたバルブBV1を介して、例えば第2のメインモジュールMO’の圧力発生ユニットDEを用いて、ホイールブレーキRB1及びRB2の圧力変化を実施することが可能である。逆に、ブレーキ回路BK2の圧力変化は、バルブBV1が開いているときに、第1のメインモジュールの圧力発生ユニットDEによって実行することもできる。
【0100】
圧力発生装置により、ホイールブレーキRB1~4の圧力変化を時間オフセット方式で及び/又は同時に実行することができ、これは一般に多重動作MUXとも呼ばれる。1つ又は複数のアウトレットバルブAVが補助として提供されてもよい。
【0101】
ボールねじ駆動装置を備えたシステムとは対照的に、台形のスピンドルを備えた圧力供給部の構成の場合、圧力供給部の出力で隔離バルブ(図示せず)を省略することが可能である。その理由は、自動ロックにより、隔離バルブTV1(TV2)が開いた状態でのフォールバックレベルにおいて、ピストンは調整されず、ペダルの作動によりホイールブレーキに制動力が発生するためである。したがって、台形スピンドルソリューションには、スロットル損失が発生しないため、多重動作に特に利点がある。
【0102】
或いは、メインモジュールの圧力供給部とホイールブレーキとの間の切換バルブSV1~4は省略されてもよく、ホイール特定フィードバック制御は省略され、つまり、ABS/ESPフィードバック制御は機能の一部ではない。
【0103】
上記のアウトレットバルブAVは、圧力フィードバック制御で大きな動態を達成するために、例えばフロントアクスル又は1つのブレーキ回路に提供することができる。これは、制動距離を短くするため、特に危険な状況(高μ制動、つまりアスファルト上での制動)において好都合である。
【0104】
ピストン運動のフィードバック制御は、位置α、電流i、及び温度Tによって実現可能である。圧力変換器DRはもっぱら位置合わせ又は較正のためにはたらく。原則として、ブレーキ回路BK1とBK2はバルブBV1(通常は閉じている)によって互いに接続可能であるため、圧力変換器DRは1つだけあればよい。
【0105】
一方の圧力供給ユニットDEが故障した場合、もう一方のメインモジュールの圧力供給ユニットDEは、開かれた接続バルブBV1を介して、緊急動作において両方のブレーキ回路の圧力変更を実行することができる。圧力供給ユニットDEのスピンドルドライブが自動ロック設計の場合、欠陥のある圧力供給ユニットDEのピストンは調整されない。ボールねじ駆動装置が使用される場合、この機能のために、DEと切換えバルブSV/隔離バルブSVとの間の他のブレーキ回路からの送り込みの上流に追加の隔離バルブが必要である。
【0106】
自動ロック式ボールねじ駆動装置が使用されない場合、モータMの発生された又は切り換えられた短絡によって自動ロックを引き起こすことができる。
【0107】
台形スピンドルの温度誘起ヒステリシスにより、異なる圧力-体積/移動の割り当てが異なる温度で発生する。温度を測定することにより、最大80バールの圧力変換器測定範囲のみが位置合わせのために必要であるということが有利に起こる。
【0108】
圧力変化のより大きな動態を達成するために、閉ブレーキ回路で、つまりAVなしで比較的高い動態要求を伴うメインモジュールMOを、例えば48Vバッテリに又は48V出力のDC/DCコンバータに接続することができる。
【0109】
図7は、圧力供給ユニットDEを備えたブレーキ装置を示しており、そのピストン1はモータMによって調整され、ピストン1は2つの作動室3a及び3bを互いに密封式に分離し、各作動室は油圧ラインH3、H4を介して1つのブレーキ回路BK1及びBK2に接続されている。追加の切換えバルブPD1及びPD2により、作動室をリザーバ容器5に選択的に接続することができる。圧力蓄積及び圧力散逸は、両方向のピストン制御及びPD1/PD2バルブの開閉によって実現される。接続バルブBVを使用して、ブレーキ回路BK1とBK2を互いに油圧的に接続することができる。さらに、バルブVKFを圧力供給ユニットの上流に接続することができる。したがって、ダブルストロークピストンの両ストローク方向(前進ストロークと後退ストローク)において2つのブレーキ回路BK IとBK II内で圧力を蓄積し散逸することが可能である。この冗長性は、特にステージ3~5の自動運転操作の車両で必要であり、この場合、モータは両方とも冗長的な構成のものでなければならず、例えば2×3相接続を備え、すなわち、1つの3相接続の故障時に半トルクで操作され、同じく油圧機構も冗長的、特に2つの作動室でなければならず、つまり、ダブルストロークピストンの1つの室のみで両方のブレーキ回路の作動が可能でなければならない。メインモジュールは12V及び/又は48Vの車載電気システムによって電力を供給される。エネルギーの冗長的な供給は、対応するDC/DCコンバータによってさらに実現される。モータMの励磁コイルは、冗長給電ラインEL1及びEL2によって接続される。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の運転の動的制御システムであって、
前記電気自動車は、前記自動車の少なくとも1つの車軸で加速または制動するための少なくとも1つの走行モータ(TM1、TM2)を有し、
前記運転の動的制御システムは、
電動駆動装置(M)により駆動され、制御装置(S-ECU)により制御されて、少なくとも1つ油圧回路または1つのホイールブレーキに圧力を供給する、少なくとも1つの圧力供給装置と、
少なくとも1つの上位制御装置(M-ECU)と、
を備え、
前記圧力供給装置、前記電動駆動装置(M)および前記制御装置(S-ECU)は、1つのメインモジュール(MO)に組み込まれ、
前記上位制御装置(M-ECU)は、前記自動車の前記少なくとも1つの走行モータ(TM1、TM2)と、前記圧力供給装置の前記制御装置(S-ECU)とに電気的に接続され、
前記上位制御装置(M-ECU)は、
前記自動車の前記少なくとも1つの走行モータ(TM1、TM2)のブレーキ機能を制御し、
ブレーキ力ブースト、ブレンディング、ABS、ESP、緊急制動、および/または、距離制御のうちの1つ以上の機能を制御する
ように構成され、
さらに、
前記運転の動的制御システムが、ブレーキペダルまたはブレーキレバーを備え、前記メインモジュール(MO)と純粋に電気的に結合された作動手段を備えるか、または、
前記運転の動的制御システムが、ブレーキペダルおよびブレーキレバーのいずれも備えない、
運転の動的制御システム。
【請求項2】
前記上位制御装置(M-ECU)は、冗長的接続により、前記制御装置(S-ECU)と電気的に接続されている、請求項1に記載の運転の動的制御システム。
【請求項3】
前記電動駆動装置(M)の複数の励磁コイルは、それぞれの場合により、3相または2×3相によって接触され、
前記制御装置(S-ECU)は、別個のブリッジ回路によって供給される、
請求項1または2に記載の運転の動的制御システム。
【請求項4】
前記制御装置(S-ECU)は、2つの冗長的な電力供給源に接続されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の運転の動的制御システム。
【請求項5】
前記運転の動的制御システムは、ブレーキペダルまたはブレーキレバーを備える作動手段を備え、
前記作動手段は、前記メインモジュール(MO)と純粋に電気的に結合され、
前記運転の動的制御システムは、前記作動手段と、前記作動手段の偏向を検出するように構成された移動変換器(PS)とを備えるモジュール(MO1)をさらに備え、
前記モジュール(MO1)は、前記作動手段の偏向に対応する信号を、前記上位制御装置(M-ECU)に電気的に伝送するように構成されている、
請求項1から4までのいずれか1項に記載の運転の動的制御システム。
【請求項6】
前記モジュール(MO1)は、前記自動車の隔壁に配置されている、請求項5に記載の運転の動的制御システム。
【外国語明細書】