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特開2023-101079排泄物処理材の製造方法及び製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101079
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】排泄物処理材の製造方法及び製造装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20230712BHJP
   B29B 9/06 20060101ALI20230712BHJP
   B01J 20/28 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A01K1/015 B
B29B9/06
B01J20/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001436
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】321000026
【氏名又は名称】株式会社大貴
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】吉永 隼士
【テーマコード(参考)】
2B101
4F201
4G066
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101AA20
2B101GB05
4F201AC01
4F201BA02
4F201BC01
4F201BC02
4F201BD05
4F201BL08
4F201BL33
4F201BL42
4G066AC01C
4G066AC02B
4G066AC02C
4G066AC11B
4G066AC12C
4G066AC17B
4G066AC39B
4G066BA05
4G066BA09
4G066BA20
4G066CA43
4G066DA13
4G066FA27
4G066FA38
(57)【要約】
【課題】床を転がりにくい排泄物処理材の製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】製造装置は、複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する装置であって、造粒機10を備えている。造粒機10は、被造粒材料を押出造粒することにより、各粒状体を構成する造粒物を形成する押出造粒機である。造粒機10は、被造粒材料を通過させる複数の貫通孔13が設けられたダイス12を有している。複数の貫通孔13は、円形の出口を有する貫通孔13aと、多角形の出口を有する貫通孔13bとを含んでいる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、
押出造粒機を用いて被造粒材料を押出造粒することにより、前記各粒状体を構成する造粒物を形成する造粒工程を含み、
前記押出造粒機は、前記被造粒材料を通過させる複数の貫通孔が設けられたダイスを有し、
前記複数の貫通孔は、円形の出口を有する第1の貫通孔と、多角形の出口を有する第2の貫通孔とを含むことを特徴とする排泄物処理材の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記ダイスには、複数の前記第1の貫通孔と、複数の前記第2の貫通孔とが設けられている排泄物処理材の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の個数は、前記第1及び第2の貫通孔の個数の合計の30%以上70%以下である排泄物処理材の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の個数は、前記第1及び第2の貫通孔の個数の合計の40%以上60%以下である排泄物処理材の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の前記出口の径は、前記第1の貫通孔の前記出口の径よりも大きい排泄物処理材の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記押出造粒機は、前記ダイスの中心軸の周りに公転しながら前記被造粒材料を前記各貫通孔に押し込むローラーを有する排泄物処理材の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の方が、前記第1の貫通孔よりも、前記中心軸に近い位置に設けられている排泄物処理材の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の前記出口の形状は、正多角形である排泄物処理材の製造方法。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の前記出口の形状は、n角形(nは5以上8以下の整数)である排泄物処理材の製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の前記出口の開口面積は、当該第2の貫通孔の入口の開口面積よりも小さい排泄物処理材の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔の横断面の面積は、当該第2の貫通孔の前記入口から前記出口に向かうにつれて次第に小さくなる排泄物処理材の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記第2の貫通孔は、円形又は楕円形の入口を有する排泄物処理材の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れかに記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記造粒工程において形成された前記造粒物を被覆材料で被覆する被覆工程を含む排泄物処理材の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の排泄物処理材の製造方法において、
前記被覆工程においては、前記造粒工程において形成された前記造粒物が収容された容器を回転させながら、当該造粒物の周囲に前記被覆材料を付着させる排泄物処理材の製造方法。
【請求項15】
複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する装置であって、
被造粒材料を押出造粒することにより、前記各粒状体を構成する造粒物を形成する押出造粒機を備え、
前記押出造粒機は、前記被造粒材料を通過させる複数の貫通孔が設けられたダイスを有し、
前記複数の貫通孔は、円形の出口を有する第1の貫通孔と、多角形の出口を有する第2の貫通孔とを含むことを特徴とする排泄物処理材の製造装置。
【請求項16】
請求項15に記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記ダイスには、複数の前記第1の貫通孔と、複数の前記第2の貫通孔とが設けられている排泄物処理材の製造装置。
【請求項17】
請求項16に記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の個数は、前記第1及び第2の貫通孔の個数の合計の30%以上70%以下である排泄物処理材の製造装置。
【請求項18】
請求項17に記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の個数は、前記第1及び第2の貫通孔の個数の合計の40%以上60%以下である排泄物処理材の製造装置。
【請求項19】
請求項15乃至18の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の前記出口の径は、前記第1の貫通孔の前記出口の径よりも大きい排泄物処理材の製造装置。
【請求項20】
請求項15乃至19の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記押出造粒機は、前記ダイスの中心軸の周りに公転しながら前記被造粒材料を前記各貫通孔に押し込むローラーを有する排泄物処理材の製造装置。
【請求項21】
請求項20に記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の方が、前記第1の貫通孔よりも、前記中心軸に近い位置に設けられている排泄物処理材の製造装置。
【請求項22】
請求項15乃至21の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の前記出口の形状は、正多角形である排泄物処理材の製造装置。
【請求項23】
請求項15乃至22の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の前記出口の形状は、n角形(nは5以上8以下の整数)である排泄物処理材の製造装置。
【請求項24】
請求項15乃至23の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の前記出口の開口面積は、当該第2の貫通孔の入口の開口面積よりも小さい排泄物処理材の製造装置。
【請求項25】
請求項24に記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔の横断面の面積は、当該第2の貫通孔の前記入口から前記出口に向かうにつれて次第に小さくなる排泄物処理材の製造装置。
【請求項26】
請求項15乃至25の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記第2の貫通孔は、円形又は楕円形の入口を有する排泄物処理材の製造装置。
【請求項27】
請求項15乃至26の何れかに記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記押出造粒機により形成された前記造粒物を被覆材料で被覆する被覆機を備える排泄物処理材の製造装置。
【請求項28】
請求項27に記載の排泄物処理材の製造装置において、
前記被覆機は、前記押出造粒機により形成された前記造粒物を収容する容器を有し、当該造粒物が収容された前記容器を回転させながら、当該造粒物の周囲に前記被覆材料を付着させる排泄物処理材の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排泄物処理材を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排泄物処理材としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された排泄物処理材は、動物用の排泄物処理材であり、尿を吸収する複数の粒状体からなる。各粒状体は、円柱状をしている。この排泄物処理材は、複数の粒状体が箱状のトイレに敷設された状態で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-190026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の粒状体をトイレに敷設する際、当該粒状体がトイレの外にこぼれる場合がある。また、敷設後も、動物に掻き出されたりして粒状体がトイレの外にこぼれる場合がある。粒状体は、円柱状をしているため、床を転がりやすい。それゆえ、従来の排泄物処理材においては、トイレの外にこぼれた粒状体が広範囲に散乱するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、床を転がりにくい排泄物処理材の製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による排泄物処理材の製造方法は、複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する方法であって、押出造粒機を用いて被造粒材料を押出造粒することにより、上記各粒状体を構成する造粒物を形成する造粒工程を含み、上記押出造粒機は、上記被造粒材料を通過させる複数の貫通孔が設けられたダイスを有し、上記複数の貫通孔は、円形の出口を有する第1の貫通孔と、多角形の出口を有する第2の貫通孔とを含むことを特徴とする。
【0007】
この製造方法においては、第1及び第2の貫通孔が設けられたダイスを有する押出造粒機が用いられる。第1の貫通孔は円形の出口を有する一方で、第2の貫通孔は多角形の出口を有している。これにより、略円柱状の粒状体(第1の粒状体)と略角柱状の粒状体(第2の粒状体)とが混在した排泄物処理材が得られる。角柱は、床を転がりにくい形状である。このため、製造後の排泄物処理材においては、第2の粒状体が床を転がりにくいことは勿論、第1の粒状体も、第2の粒状体に堰き止められることにより床を転がりにくくなる。
【0008】
また、本発明による排泄物処理材の製造装置は、複数の粒状体からなる排泄物処理材を製造する装置であって、被造粒材料を押出造粒することにより、上記各粒状体を構成する造粒物を形成する押出造粒機を備え、上記押出造粒機は、上記被造粒材料を通過させる複数の貫通孔が設けられたダイスを有し、上記複数の貫通孔は、円形の出口を有する第1の貫通孔と、多角形の出口を有する第2の貫通孔とを含むことを特徴とする。
【0009】
この製造装置は、第1及び第2の貫通孔が設けられたダイスを有する押出造粒機を備えている。第1の貫通孔は円形の出口を有する一方で、第2の貫通孔は多角形の出口を有している。これにより、略円柱状の粒状体(第1の粒状体)と略角柱状の粒状体(第2の粒状体)とが混在した排泄物処理材が得られる。角柱は、床を転がりにくい形状である。このため、製造後の排泄物処理材においては、第2の粒状体が床を転がりにくいことは勿論、第1の粒状体も、第2の粒状体に堰き止められることにより床を転がりにくくなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、床を転がりにくい排泄物処理材の製造方法及び製造装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。
図2】粒状体30を示す斜視図である。
図3図2のIII-III線に沿った断面図である。
図4】粒状体40を示す斜視図である。
図5図4のV-V線に沿った断面図である。
図6】本発明による排泄物処理材の製造装置の一実施形態を示す構成図である。
図7】造粒機10を示す平面図である。
図8】造粒機10を示す底面図である。
図9図7のIX-IX線に沿った端面図である。
図10】貫通孔13aを示す底面図である。
図11】貫通孔13bを示す底面図である。
図12】被覆機20の構造を説明するための図である。
図13】本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態における造粒工程を説明するための図である。
図14】本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態における造粒工程を説明するための図である。
図15】一変形例に係る貫通孔13aを示す平面図である。
図16】一変形例に係る貫通孔13bを示す平面図である。
図17】他の変形例に係る貫通孔13bを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、本発明による排泄物処理材の一実施形態を示す模式図である。排泄物処理材6は、排泄物(主に尿)の処理に用いられる排泄物処理材である。排泄物処理材6は、猫や犬等の動物の排泄物の処理に用いられる動物用の排泄物処理材であってもよいし、人の排泄物の処理に用いられる人用の排泄物処理材であってもよい。排泄物処理材6は、排泄物を処理するための複数の粒状体からなる。排泄物処理材6は、例えば、複数の粒状体が箱状のトイレに敷設された状態で使用される。
【0014】
排泄物処理材6は、粒状体30(第1の粒状体)及び粒状体40(第2の粒状体)を備えている。すなわち、排泄物処理材6を構成する複数の粒状体は、粒状体30及び粒状体40を含んでいる。本実施形態において排泄物処理材6を構成する複数の粒状体は、粒状体30及び粒状体40のみからなる。粒状体30及び粒状体40は、複数ずつ設けられている。排泄物処理材6においては、これらの粒状体30,40が混在している。粒状体40の個数は、粒状体30及び粒状体40の個数の合計の30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがより好ましい。各粒状体30,40の粒径は、例えば5mm以上20mm以下である。ここで、粒状体の粒径は、当該粒状体を内包しうる最小の球の直径として定義するものとする。
【0015】
各粒状体30,40は、吸水性を有しており、排泄物を吸収することにより当該排泄物を処理する。すなわち、各粒状体30,40は、その内部に排泄物を取り込んで保持する。粒状体30が吸水性を有するというには、次の試験により測定される液通過率が60%未満であることが必要である。まず、内径10cm、目開き1mmの篩に50g相当の粒状体30(サンプル)を入れる。篩の下には、空のビーカーを設置する。そして、サンプルに対し、外筒の内径3cm、筒先の内径4mmのシリンジ(テルモ社製60mlシリンジ)を用いて、30mlの水を10秒かけて滴下する。1分間放置した後、ビーカー内の水量を計測する。計測した水量の滴下した水量(30ml)に対する割合をもって液通過率とする。すなわち、ビーカー内の水量が18ml未満であれば、液通過率が60%未満となるため、粒状体30が吸水性を有するといえる。粒状体40についても同様である。
【0016】
図2は、粒状体30を示す斜視図である。また、図3は、図2のIII-III線に沿った断面図である。粒状体30は、略円柱状をしている。粒状体30は、有機物を主材料としている。ここで、粒状体30の主材料とは、粒状体30を構成する1又は2以上の材料のうち、粒状体30に占める重量割合が最大のものをいう。粒状体30は、有機物のみからなってもよいし、有機物及び無機物からなってもよい。有機物としては、例えば、紙類、茶殻、プラスチック類又はオカラを用いることができる。
【0017】
紙類は、パルプを主体とする材料をいう。紙類としては、例えば、通常の紙の他にも、塩ビ壁紙分級物(塩ビ壁紙を分級することにより得られる紙)、フラッフパルプ、製紙スラッジ、パルプスラッジ等が挙げられる。プラスチック類としては、例えば、紙おむつ分級物(紙おむつを分級することにより得られるプラスチック)を用いてもよい。オカラは、乾燥オカラであることが好ましい。
【0018】
粒状体30は、芯部32及び被覆部34を有している。芯部32は、粒状(具体的には略円柱状)に成形されている。芯部32は、後述するダイス12の貫通孔13aを通過した被造粒材料から得られる造粒物である。芯部32は、排泄物を吸水及び保水する機能を有している。芯部32は、有機物を主材料としている。芯部32は、接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。接着性材料としては、例えば、吸水性ポリマー、澱粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、PVA(ポリビニルアルコール)、又はデキストリンが挙げられる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等のアクリル系吸水性ポリマーを用いることができる。
【0019】
被覆部34は、芯部32を覆っている。被覆部34は、芯部32の周囲の全体を覆っている。被覆部34は、排泄物処理材6の使用時に粒状体30,40どうしを接着させて固まりにする機能を有する。被覆部34も、有機物を主材料としている。被覆部34は、接着性材料を含有している。
【0020】
図4は、粒状体40を示す斜視図である。また、図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。粒状体40は、略角柱状をしている。粒状体40は、有機物を主材料としている。ここで、粒状体40の主材料とは、粒状体40を構成する1又は2以上の材料のうち、粒状体40に占める重量割合が最大のものをいう。粒状体40は、有機物のみからなってもよいし、有機物及び無機物からなってもよい。
【0021】
粒状体40は、芯部42及び被覆部44を有している。芯部42は、粒状(具体的には略角柱状)に成形されている。芯部42は、後述するダイス12の貫通孔13bを通過した被造粒材料から得られる造粒物である。芯部42は、排泄物を吸水及び保水する機能を有している。芯部42は、有機物を主材料としている。芯部42は、接着性材料を含有していてもよいし、含有していなくてもよい。芯部42は、芯部32と同一組成の材料からなっている。
【0022】
被覆部44は、芯部42を覆っている。被覆部44は、芯部42の周囲の全体を覆っている。被覆部44は、排泄物処理材6の使用時に粒状体30,40どうしを接着させて固まりにする機能を有する。被覆部44も、有機物を主材料としている。被覆部44は、接着性材料を含有している。被覆部44は、被覆部34と同一組成の材料からなっている。
【0023】
図6は、本発明による排泄物処理材の製造装置の一実施形態を示す構成図である。製造装置1は、上述の排泄物処理材6を製造する装置であって、造粒機10、及び被覆機20を備えている。
【0024】
図7及び図8は、それぞれ、造粒機10を示す平面図及び底面図である。また、図9は、図7のIX-IX線に沿った端面図である。造粒機10は、被造粒材料(芯部32,42を構成する材料)を押出造粒することにより、各粒状体30,40を構成する造粒物(芯部32,42)を形成する押出造粒機である。
【0025】
造粒機10は、ダイス12、ローラー14、及びカッター16を有している。ダイス12は、平面視で円形をしている。ダイス12の厚みは、均一である。ダイス12には、被造粒材料を通過させる複数の貫通孔13が設けられている。なお、以下の記述において「複数の貫通孔13」は、別段の断りがない限り、ダイス12に設けられた全ての貫通孔13を指すものとする。複数の貫通孔13は、互いに等しい長さを有している。複数の貫通孔13は、ダイス12の略全面にわたって点在している。
【0026】
複数の貫通孔13は、貫通孔13a(第1の貫通孔)、及び貫通孔13b(第2の貫通孔)を含んでいる。貫通孔13aは、図10に示すように、円形の出口(ダイス12の裏面における開口)を有している。貫通孔13aの入口(ダイス12の表面における開口)の形状は、上記出口と合同な円形である。ダイス12の厚み方向の何れの位置においても、貫通孔13aの横断面(ダイス12の厚み方向に垂直な断面)の形状は、上記出口と合同な円形である。それゆえ、貫通孔13a内には、円柱状の空間が広がっている。
【0027】
貫通孔13bは、図11に示すように、多角形の出口を有している。すなわち、貫通孔13bの出口の形状は、n角形(nは3以上の整数)である。nは、5以上8以下であることが好ましい。ここでは、例として、n=6の場合を示している。特に本実施形態においては、貫通孔13bの出口の形状が正多角形(正6角形)である。貫通孔13bの出口の径は、貫通孔13aの出口の径よりも大きい。ここで、貫通孔13bの出口(多角形)の径は、当該出口を内包する最小の円の直径として定義するものとする。貫通孔13bの入口の形状は、上記出口と合同な多角形である。ダイス12の厚み方向の何れの位置においても、貫通孔13bの横断面の形状は、上記出口と合同な多角形である。それゆえ、貫通孔13b内には、角柱(正6角柱)状の空間が広がっている。
【0028】
ダイス12には、複数の貫通孔13aと複数の貫通孔13bとが設けられている。貫通孔13bの個数は、貫通孔13a及び貫通孔13bの個数の合計の30%以上70%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがより好ましい。本実施形態において複数の貫通孔13は、貫通孔13a及び貫通孔13bのみからなる。貫通孔13bは、貫通孔13aよりもダイス12の径方向内側に設けられている。すなわち、貫通孔13bの方が、貫通孔13aよりも、ダイス12の中心軸A1に近い位置に設けられている。この関係は、全ての貫通孔13について成立する。すなわち、全ての貫通孔13bについて、当該貫通孔13bの方が、何れの貫通孔13aよりも、中心軸A1に近い位置に設けられている。ここで、ダイス12の中心軸A1とは、平面視でダイス12の中心を通り、ダイス12の厚み方向に延びる仮想的な直線をいう。
【0029】
図7に示すように、ダイス12の表面側(貫通孔13の入口側)には、ローラー14が設けられている。ローラー14は、円柱状をしており、その中心軸がダイス12の径方向に延びている。本実施形態においては、複数(具体的には4つ)のローラー14が設けられている。各ローラー14の一端は、ダイス12の表面の中心部に位置する回転軸15に連結されている。回転軸15の中心軸は、ダイス12の中心軸A1に一致する。回転軸15は、その中心軸の周りに回転(自転)するように構成されている。各ローラー14は、その中心軸の周りに回転(自転)しつつ、回転軸15と共にダイス12の中心軸A1の周りに回転(公転)する。このように、ローラー14は、中心軸A1の周りに公転しながら被造粒材料を各貫通孔13に押し込む。ローラー14は、ダイス12に設けられた全ての貫通孔13上を通過することが可能である。
【0030】
ダイス12の裏面側(貫通孔13の出口側)には、カッター16が設けられている。カッター16は、ダイス12の裏面の中心部からダイス12の径方向に延びている。カッター16は、ダイス12の裏面に沿って回転しながら、各貫通孔13から押し出された被造粒材料を切断する。詳細には、カッター16は、ダイス12の裏面に平行な面内で、ダイス12の中心軸A1の周りに回転する。なお、カッター16は、上述のローラー14とは独立して回転できるように構成されている。カッター16は、ダイス12に設けられた全ての貫通孔13上を通過することが可能である。
【0031】
図6に戻って、被覆機20は、造粒機10により形成された各造粒物(芯部32,42)を粉体状の被覆材料(被覆部34,44を構成する材料)で被覆するものである。被覆機20は、図12に示すように、ドラム22(容器)を有している。ドラム22は、略円筒状をしており、回転可能に設けられている。具体的には、ドラム22は、その中心軸周りに回転可能である。ドラム22の中心軸は、水平である。ドラム22には、造粒機10により形成された芯部32,42が収容される。被覆機20は、芯部32,42が収容されたドラム22を回転させながら、各芯部32,42の周囲に被覆材料を付着させる。
【0032】
続いて、製造装置1の動作と併せて、本発明による排泄物処理材の製造方法の一実施形態を説明する。この製造方法は、造粒工程及び被覆工程を含むものである。造粒工程は、造粒機10を用いて被造粒材料を押出造粒することにより、芯部32,42を形成する工程である。なお、造粒に先立って、被造粒材料には、粉砕、混練、加水等の前処理が必要に応じて行われる。
【0033】
造粒工程においては、図13に示すように、ダイス12の表面側に供給された被造粒材料M1が、ダイス12の表面上を転動するローラー14によって貫通孔13に押し込まれる。貫通孔13に押し込まれた被造粒材料M1は、ダイス12の裏面側に押し出される。被造粒材料M1が押し出される際、ダイス12の裏面側では、カッター16が回転し続けている。これにより、貫通孔13から押し出された被造粒材料M1は、図14に示すように、カッター16によって切断される。このようにして切断された部分が、造粒物(芯部32,42)となる。
【0034】
被覆工程は、造粒工程において形成された各造粒物を被覆材料で被覆する工程である。被覆工程においては、造粒工程において形成された芯部32,42をドラム22(図12参照)内に収容した後、ドラム22を回転させながら、各芯部32,42の周囲に被覆材料を付着させる。被覆材料の付着は、例えば、散布又は噴霧により行うことができる。これにより、被覆部34,44が形成される。その後、篩分け、乾燥等の後処理が必要に応じて行われる。以上により、粒状体30と粒状体40とが混在した排泄物処理材6が得られる。
【0035】
本実施形態の効果を説明する。本実施形態においては、貫通孔13a及び貫通孔13bが設けられたダイス12を有する造粒機10が用いられる。貫通孔13aは円形の出口を有する一方で、貫通孔13bは多角形の出口を有している。これにより、略円柱状の粒状体(粒状体30)と略角柱状の粒状体(粒状体40)とが混在した排泄物処理材6が得られる。角柱は、床を転がりにくい形状である。このため、製造後の排泄物処理材6においては、粒状体40が床を転がりにくいことは勿論、粒状体30も、粒状体40に堰き止められることにより床を転がりにくくなる。したがって、床を転がりにくい排泄物処理材6の製造方法及び製造装置1が実現されている。
【0036】
また、このように円形の出口を有する貫通孔13aと多角形の出口を有する貫通孔13bとがダイス12に設けられているため、相異なる形状の造粒物(芯部32及び芯部42)を1つのダイス12を用いて同時に形成することが可能となる。
【0037】
ところで、床を転がりにくい排泄物処理材6を得る手段としては、排泄物処理材6を略角柱状の粒状体40のみで構成することも考えられる。しかし、粒状体40の側面には角(角柱の側辺に相当する部分)が存在するため、粒状体40どうしが接触すると、粒状体40の表層に剥離や欠損が生じやすいという問題がある。この点、側面に角のない略円柱状の粒状体30を粒状体40に混在させることにより、粒状体40の表層の剥離等を生じにくくすることができる。
【0038】
排泄物処理材6が床を転がりにくくするには、排泄物処理材6全体に占める粒状体40の割合が大きい方が有利である。かかる観点から、貫通孔13bの個数は、貫通孔13a及び貫通孔13bの個数の合計の30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましい。他方、粒状体40の割合が大きすぎると、粒状体40の表層の剥離等が生じやすくなってしまう。かかる観点から、貫通孔13bの個数は、貫通孔13a及び貫通孔13bの個数の合計の70%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましい。
【0039】
貫通孔13bの出口の径は、貫通孔13aの出口の径よりも大きい。この場合、粒状体40の径を粒状体30の径よりも大きくすることができる。これにより、床を転がろうとする粒状体30が、粒状体40によって堰き止められやすくなる。
【0040】
造粒機10においては、ダイス12の中心軸A1の周りに公転するローラー14によって、被造粒材料が貫通孔13に押し込まれている。かかる構成の場合、中心軸A1に近づくにつれて、ローラー14が被造粒材料を押し込む力が強くなる。ローラー14が被造粒材料を押し込む力の強さが等しい場合、角を有する貫通孔13bの方が角を有しない貫通孔13aよりも被造粒材料が詰まりやすい。この点、本実施形態においては、貫通孔13bの方が、貫通孔13aよりも、中心軸A1に近い位置に設けられている。このように中心軸A1に比較的近い位置(被造粒材料を押し込む力が比較的強い位置)に貫通孔13bを配置することは、貫通孔13bに被造粒材料が詰まりにくくするのに有利である。
【0041】
貫通孔13bの出口の形状は、正多角形である。これにより、正角柱状の芯部42が得られるため、粒状体40の幾何学的対称性が高くなる。このように粒状体40の対称性を高めることにより、粒状体40ひいては排泄物処理材6の美観を向上させることができる。
【0042】
貫通孔13bの出口の形状がn角形(nは5以上の整数)である場合、内角が鈍角となる。このように出口の内角を大きくすることにより、貫通孔13bの角部に被造粒材料が詰まる事態を起こりにくくすることができる。ただし、nが大きすぎると、粒状体40が、円柱に近い形状になり、床を転がりやすくなってしまう。かかる観点から、nは8以下であることが好ましい。
【0043】
各粒状体30,40は、吸水性を有しており、排泄物を吸収することにより当該排泄物を処理する。この場合、排泄物を粒状体30,40の内部に閉じ込めることにより、排泄物から発生した悪臭が周囲に漂うのを抑制することができる。
【0044】
粒状体30が有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した排泄物処理材6を得るのに有利である。粒状体40も有機物を主材料とする場合、焼却処分に適した排泄物処理材6を得るのに一層有利である。このように排泄物処理材6が焼却処分に適していれば、使用済みの排泄物処理材6を可燃ゴミとして捨てることもできるため、ユーザにとっての利便性が向上する。
【0045】
造粒物(芯部32,42)は、接着性材料を含む被覆材料(被覆部34,44)で被覆されている。これにより、排泄物を吸収した複数の粒状体(粒状体30,40)を相互に接着させ、使用済みの複数の粒状体からなる固まりを形成することができる。このように粒状体の固まりが形成されることにより、未使用の粒状体と使用済みの粒状体とが混在する排泄物処理材6の中から、使用済みの粒状体を選択的に除去することが容易になる。
【0046】
被覆の際、造粒物(芯部32,42)が収容されたドラム22を回転させながら、各造粒物の周囲に被覆材料を付着させている。これにより、各造粒物の周囲全体に被覆材料を万遍なく付着させることができる。また、ドラム22の回転により、芯部32,42が撹拌されるため、製造後の排泄物処理材6における粒状体30(粒状体40)の偏在を小さくすることができる。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。上記実施形態においては、貫通孔13aの出口の形状と入口の形状とが互いに合同である場合を例示した。しかし、貫通孔13aの出口の形状と入口の形状とは、互いに合同でなくてもよい。例えば、図15に示すように、貫通孔13aの出口132aの開口面積は、入口134aの開口面積より小さくてもよい。同図において出口132aは、入口134aよりも小さい円形をしている。すなわち、出口132aの形状と入口134aの形状とは、互いに相似であるが合同ではない。貫通孔13aの横断面の面積は、入口134aから出口132aに向かうにつれて次第に小さくなっている。それゆえ、貫通孔13a内には、円錐台状の空間が広がっている。
【0048】
このように貫通孔13aの出口の開口面積を入口の開口面積よりも小さくすることにより、貫通孔13aから押し出される被造粒材料に対して強い圧力を加えやすくなる。また、入口から出口に向かうにつれて貫通孔13aの横断面の面積を次第に小さくすることにより、被造粒材料が貫通孔13aを円滑に通過しやすくなる。
【0049】
上記実施形態においては、貫通孔13bの出口の形状と入口の形状とが互いに合同である場合を例示した。しかし、貫通孔13bの出口の形状と入口の形状とは、互いに合同でなくてもよい。例えば図16に示すように、貫通孔13bの出口132bの開口面積は、入口134bの開口面積より小さくてもよい。同図において出口132bは、入口134bよりも小さい正6角形をしている。すなわち、出口132bの形状と入口134bの形状とは、互いに相似であるが合同ではない。貫通孔13bの横断面の面積は、入口134bから出口132bに向かうにつれて次第に小さくなっている。それゆえ、貫通孔13b内には、角錐台状の空間が広がっている。
【0050】
このように貫通孔13bの出口の開口面積を入口の開口面積よりも小さくすることにより、貫通孔13bから押し出される被造粒材料に対して強い圧力を加えやすくなる。また、入口から出口に向かうにつれて貫通孔13bの横断面の面積を次第に小さくすることにより、被造粒材料が貫通孔13bを円滑に通過しやすくなる。
【0051】
また、例えば図17に示すように、貫通孔13bは、円形の入口134bを有していてもよい。同図においては、出口132bの形状が多角形である一方で、入口134bの形状は円形である。この場合も、貫通孔13bの横断面の面積が、入口134bから出口132bに向かうにつれて次第に小さくなっている。貫通孔13b内には、横断面が円形から多角形へと連続的に変化する空間が広がっている。
【0052】
このように貫通孔13bの入口を角のない形状(円形)にすることにより、入口近傍の領域における被造粒材料の流れを特に円滑にすることができる。これにより、下流側の被造粒材料が強い力で押されるため、出口が角のある形状(多角形)をしていても、貫通孔13bの角部に被造粒材料が詰まる事態を一層起こりにくくすることができる。貫通孔13bの入口の形状を楕円形にした場合も、同様の効果が得られる。
【0053】
上記実施形態においては、貫通孔13bの出口の径が貫通孔13aの出口の径より大きい場合を例示した。しかし、貫通孔13bの出口の径は、貫通孔13aの出口の径に等しくてもよいし、貫通孔13aの出口の径より小さくてもよい。
【0054】
上記実施形態においては、貫通孔13bの方が、貫通孔13aよりも、ダイス12の中心軸A1に近い位置に設けられた場合を例示した。しかし、貫通孔13aと貫通孔13bとは、任意の位置関係で配設することができる。例えば、貫通孔13aの方が、貫通孔13bよりも、中心軸A1に近い位置に設けられてもよい。あるいは、貫通孔13aと貫通孔13bとが、ダイス12にランダムに配設されていてもよい。
【0055】
上記実施形態においては、造粒機10にローラー14が設けられた場合を例示した。しかし、造粒機10には、ローラー14が設けられていなくてもよい。その場合、ローラー14以外の公知の手段によって、被造粒材料を各貫通孔13に押し込めばよい。
【0056】
上記実施形態においては、造粒機10にカッター16が設けられた場合を例示した。しかし、造粒機10には、カッター16が設けられていなくてもよい。その場合、カッター16以外の公知の手段によって、各貫通孔13から押し出された被造粒材料を切断すればよい。
【0057】
上記実施形態においては、粒状体30が、芯部32及び被覆部34からなる複層構造(2層構造)を有する場合を例示した。しかし、被覆部34を設けることは必須でない。すなわち、粒状体30は、芯部32のみからなる単層構造を有していてもよい。粒状体40についても同様である。その場合、被覆機20は不要であり、被覆工程も実行されない。
【0058】
上記実施形態においては、各粒状体30,40が吸水性を有する場合を例示した。しかし、各粒状体30,40は、疎水性を有しており、排泄物を透過させることにより当該排泄物を処理するものであってもよい。各粒状体30,40が疎水性を有するというには、上述の試験により測定される液通過率が60%以上であることが必要である。かかる疎水性の粒状体30,40を用いた場合、排泄物は、粒状体30,40間の隙間を通過する。この場合、排泄物をトイレの下方に導くことにより、排泄物から発生した悪臭がトイレの上部から外に漏れるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 製造装置
6 排泄物処理材
10 造粒機
12 ダイス
13 貫通孔
13a 貫通孔(第1の貫通孔)
13b 貫通孔(第2の貫通孔)
14 ローラー
15 回転軸
16 カッター
20 被覆機
22 ドラム(容器)
30 粒状体
32 芯部(造粒物)
34 被覆部
40 粒状体
42 芯部(造粒物)
44 被覆部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
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