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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101128
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】荷役車両及び判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20230712BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001530
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美徳
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AE02
3F333DB01
3F333FA26
3F333FD13
3F333FD15
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】荷役作業の作業効率を向上させる。
【解決手段】フォークリフト1は、走行可能な車両本体11と、車両本体11に昇降可能に設けられ、パレット30を保持するフォーク12と、パレット30の面情報とパレット30を載置する棚40の面情報とを取得可能な撮像カメラ24と、制御部27とを備える。制御部27は、撮像カメラ24により取得されたパレット30の面情報及び棚40の面情報に基づいて、パレット30と棚40とが正対しているか否かを判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な車両本体と、
前記車両本体に昇降可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、
前記荷の面情報と、前記荷を載置する棚の面情報と、を取得可能な計測手段と、
前記計測手段により取得された前記荷の面情報及び前記棚の面情報に基づいて、前記荷と前記棚とが正対しているか否かを判定する判定手段と、
を備える荷役車両。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記荷の底面の面情報に基づいて、前記底面前端の境界線を第1境界線として抽出し、
前記棚の上面及び前面の面情報に基づいて、前記上面と前記前面との境界線を第2境界線として抽出し、
前記荷の前記第1境界線と前記棚の前記第2境界線とのなす角度が所定の閾値よりも小さい場合に、前記荷と前記棚が正対していると判定する、
請求項1に記載の荷役車両。
【請求項3】
前記計測手段は、面情報とともに距離情報を取得可能であり、
前記判定手段は、面情報及び距離情報に基づいて、前記第1境界線及び前記第2境界線を抽出する、
請求項2に記載の荷役車両。
【請求項4】
前記計測手段は、撮像手段であり、前記荷の底面と前記棚の上面及び前面とを撮影範囲内に収めた撮影画像を取得し、
前記判定手段は、前記撮影画像に基づいて判定を行う、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項5】
前記荷と前記棚とが正対していないと前記判定手段が判定した場合に、当該判定結果を運転者に報知する報知手段を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項6】
前記荷と前記棚とが正対していないと前記判定手段が判定した場合に、当該荷役車両の前進動作を規制する規制手段を備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項7】
前記荷は、当該荷が載置されるパレットを含み、
前記計測手段は、前記パレットの面情報と、前記棚の面情報と、を取得し、
前記判定手段は、前記パレットの面情報及び前記棚の面情報に基づいて、前記パレットと前記棚とが正対しているか否かを判定する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の荷役車両。
【請求項8】
走行可能な車両本体と、
前記車両本体に昇降可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、
前記荷の面情報と、前記荷を載置する棚の面情報と、を取得可能な計測手段と、
を備える荷役車両のコンピュータを、
前記計測手段により取得された前記荷の面情報及び前記棚の面情報に基づいて、前記荷と前記棚とが正対しているか否かを判定する判定手段、
として機能させる判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷役車両及び判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフト等の荷役車両による荷役作業では、前方の棚(棚面)にパレット(荷)を置けるか否かを、運転者が目視により確認していた。
しかし、例えばフォークに大きい荷を積んでいる場合などには、運転者が視線を遮られてしまい、前方の棚を視認しにくくなる。このような場合、その場所への進入前に運転者がその場所の状態を予め確認しておく必要などが生じるため、作業効率が低下してしまう。
【0003】
このような問題に対し、例えば、荷を置く際に車体の傾斜を考慮して荷の水平度を保つことで荷崩れを防ぐ技術などは提案されているが(例えば、特許文献1参照)、荷を置く棚との正対度合いを評価して作業効率を向上させる技術は提案されてきていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5921183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、荷役作業の作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷役車両は、
走行可能な車両本体と、
前記車両本体に昇降可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、
前記荷の面情報と、前記荷を載置する棚の面情報と、を取得可能な計測手段と、
前記計測手段により取得された前記荷の面情報及び前記棚の面情報に基づいて、前記荷と前記棚とが正対しているか否かを判定する判定手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る判定プログラムは、
走行可能な車両本体と、
前記車両本体に昇降可能に設けられ、荷を保持可能なフォークと、
前記荷の面情報と、前記荷を載置する棚の面情報と、を取得可能な計測手段と、
を備える荷役車両のコンピュータを、
前記計測手段により取得された前記荷の面情報及び前記棚の面情報に基づいて、前記荷と前記棚とが正対しているか否かを判定する判定手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るフォークリフトの棚置き時の側面図である。
図2】実施形態に係るフォークリフトの概略の制御構成を示すブロック図である。
図3】実施形態に係る棚置き正対判定処理の流れを示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る棚置き正対判定処理を説明するための図である。
図5】実施形態に係る棚置き正対判定処理を説明するための図である。
図6】実施形態に係る棚置き正対判定処理を説明するための図である。
図7】実施形態に係る撮像カメラの他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
[フォークリフトの構成]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1の棚置き時の側面図である。
本実施形態に係るフォークリフト1は、本発明に係る荷役車両の一例であり、棚40に荷L(パレット30)を載置する棚置きを含む荷役作業を行う。具体的に、フォークリフト1の車体10は、車両本体11、フォーク12、昇降体(リフト)13、マスト14、車輪15を備える。マスト14は車両本体11の前方に設けられ、図示しない駆動源によって駆動されて車両本体11の前後に傾斜する。昇降体13は、図示しない駆動源によって駆動され、マスト14に沿って昇降する。昇降体13には、荷Lやパレット30などを保持する左右一対のフォーク12が取り付けられている。一対のフォーク12は、マスト14及び昇降体13の駆動により、車両本体11に対する傾斜及び昇降が可能となっている。
パレット30は、荷Lが載置される荷受台である。このパレット30は、短矩形板状に形成され、一対のフォーク12が挿入される2つの孔部(フォークポケット)32を有する。
【0012】
図2は、フォークリフト1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、フォークリフト1は、上記構成に加え、駆動部21、操作部22、表示部23、撮像カメラ24、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit:IMU)25、記憶部26、制御部27を備える。
【0013】
駆動部21は、フォークリフト1の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪15のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪15のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、昇降体13の昇降とマスト14の傾倒との各動作を行わせる駆動源である。
【0014】
操作部22は、運転者が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよい。
【0015】
撮像カメラ24は、本発明に係る計測手段の一例であり、車体前方を撮影してその画像情報を取得し、取得した情報を制御部27に出力する。本実施形態の撮像カメラ24は、昇降体13の下部であって幅方向の中央部に配置され、フォーク12で保持したパレット30の底面30a前部が撮影範囲(画角)Rの上側に入るように、前方向きに設置されている。
【0016】
慣性計測装置25は、フォークリフト1の三次元の加速度及び角速度を計測し、その結果を制御部27に出力する。
【0017】
記憶部26は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等により構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部26は、後述の棚置き正対判定処理(図3参照)を実行するための棚置き正対判定プログラム260を予め記憶している。
制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)等により構成され、フォークリフト1各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、操作部22の操作内容に基づいて駆動部21を動作させたり、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。また、制御部27は、フォークリフト1の走行距離や速度、位置等の車両状態に関する情報(上述したもの以外)を、図示しないセンサ類により取得できる。
【0018】
[棚置き正対判定処理]
続いて、荷役作業中のフォークリフト1が棚置き正対判定処理を実行するときの動作について説明する。
図3は、棚置き正対判定処理の流れを示すフローチャートであり、図4図6は、棚置き正対判定処理を説明するための図である。
【0019】
棚置き正対判定処理は、棚置き時にパレット30が棚40に正対しているか否かを判定して作業者(運転者)に報知する処理である。この棚置き正対判定処理は、フォークリフト1の制御部27が記憶部26から棚置き正対判定プログラム260を読み出して展開することで実行される。
この棚置きでは、フォークリフト1が、パレット30上に置かれた荷Lを棚40の棚板42上に載置する。ここでは、フォークリフト1が、フォーク12により荷L(パレット30)を保持した状態で棚40付近まで走行してきた状態であるものとする。また、棚板42、フォークリフト1及び荷L(パレット30)はいずれも略水平にあるものとする。
【0020】
図3に示すように、棚置き正対判定処理が実行されると、まず制御部27は、パレット30の底面30aと、棚板42の上面42a及び前面42bとを含む車体前方の空間を、撮像カメラ24で撮影する(ステップS1;図4(a))。つまり、撮像カメラ24は、パレット30の底面30aと棚板42の上面42a及び前面42bとを撮影範囲R内に収めた状態で撮影を行う。また、制御部27は、取得した撮影画像Pを表示部23に表示する。
フォークリフト1は、撮影を行いつつ、フォーク12を棚板42よりも上側まで上昇させた状態で棚40に近づくか、棚40に近づいてからフォーク12を棚板42よりも上側まで上昇させることにより、上記各面を撮影範囲R内に収めた撮影画像Pが得られる。
【0021】
次に、制御部27は、ステップS1で取得した画像データから、パレット30前端の第1境界ラインL1を抽出する(ステップS2;図4(b))。
具体的に、制御部27は、画像データから例えばエッジ検出によりパレット30の底面30aの下端縁(境界線)を抽出し、この線を第1境界ラインL1とする。また制御部27は、抽出した第1境界ラインL1を、表示部23に表示された撮影画像P上に重畳表示する。
なお、画像処理による第1境界ラインL1の抽出では、機械学習(ニューラルネットワーク)を用いてもよい。
【0022】
次に、制御部27は、ステップS1で取得した画像データから、棚板42前端の第2境界ラインL2を抽出する(ステップS3)。
具体的に、制御部27は、画像データから例えばエッジ検出により棚板42の上面42aと前面42bとの境界を抽出し、この線を第2境界ラインL2とする。また制御部27は、抽出した第2境界ラインL2を、表示部23に表示された撮影画像P上に重畳表示する。
なお、画像処理による第2境界ラインL2の抽出では、機械学習(ニューラルネットワーク)を用いてもよい。
【0023】
次に、制御部27は、第1境界ラインL1と第2境界ラインL2とのなす角度θを算出し(ステップS4)、この角度θに基づいて、パレット30と棚40とが水平面内で正対しているか否かを判定する(ステップS5)。
このステップでは、制御部27は、第1境界ラインL1と第2境界ラインL2とのなす角度θが予め設定された所定の閾値よりも小さい場合に、パレット30と棚40とが正対していると判定する。
そして、パレット30と棚40とが正対していると判定した場合(ステップS5;Yes)、制御部27は、後述のステップS8に処理を移行する。なお、この場合には、パレット30と棚40とが正対していることを作業者(運転者)に報知(例えば表示部23に「OK」と表示する等)してもよい。
【0024】
一方、ステップS5において、パレット30と棚40とが正対していないと判定した場合(ステップS5;No)、制御部27は、パレット30と棚40とが正対していないことを作業者(運転者)に報知する(ステップS6)。
この場合の報知態様は特に限定されず、表示部23に警告表示部231を表示させてもよいし(図5)、図示しないスピーカに警告音声を出力させたりしてもよい。
さらにこの場合、正対していない状態での棚置き作業を防ぐため、フォークリフト1の前進動作を停止させる(規制する)等してもよい。
【0025】
次に、制御部27は、第1境界ラインL1と平行な目標ラインGを、撮影画像P上の第2境界ラインL2近傍に表示する(ステップS7)。目標ラインGは、パレット30が棚40と適切に正対した場合に、第2境界ラインL2と略一致するであろうラインである。
なお、目標ラインGは、ステップS5の判定結果に依らずに表示させてもよい。この場合の表示タイミングは特に限定されず、例えばステップS3の後に表示させてもよい。また、目標ラインGは、第1境界ラインL1と第2境界ラインL2とを平行にする(角度θを閾値よりも小さくする)うえで目標にできるものであれば、特に限定されない。例えば第1境界ラインL1と直交する線などであってもよい。
【0026】
次に、制御部27は、棚置き正対判定処理を終了させるか否かを判定し(ステップS8)、終了させないと判定した場合には(ステップS8;No)、上述のステップS1へ処理を移行し、撮影と判定を続ける。
そして、例えば荷役作業の終了等により、棚置き正対判定処理を終了させると判定した場合には(ステップS8;Yes)、制御部27は、棚置き正対判定処理を終了させる。
【0027】
このように、本実施形態の棚置き正対判定処理では、フォークリフト1による棚置き時に、撮像カメラ24でパレット30と棚板42を撮影することにより、その時点での荷L(パレット30)と棚板42との正対度合いが随時判定される。
そのため、パレット30と棚板42とが所要の正対度合いを満足しない場合には、その旨が警告表示等により運転者に報知される(図5)。そして、運転者がフォークリフト1の向きを修正し、パレット30と棚板42とが所要の正対度合いを満足した場合に、例えば警告表示が解除されて棚置きが可能となる(図4(b))。
これにより、例えば運転者が視線を荷Lに遮られて棚板42を直接視認できない場合等であっても、運転者がフォークリフト1を降りて棚板42との正対度合いを予め確認したりする必要なく、好適に棚置きを行うことができる。
【0028】
なお、図6(a)に示すように、棚板42の側面が撮影範囲R内に入っている場合には、図6(b)に示すように、例えばステップS2、S3において、棚板42の上面42a左右両端の境界線を第3境界ラインL3として抽出してもよい。そして、左右両端の第3境界ラインL3を基準として、パレット30を棚板42の左右中央に配置するようにしてもよい。また、左右両側に他の荷(又はパレット)が既に置かれている場合には、棚板42の上面42aの境界線に代えて、当該他の荷の側面と棚板42上面42aとの境界を第3境界ラインL3として抽出してもよい。
【0029】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、撮像カメラ24により取得されたパレット30(荷L)の面情報及び棚40の面情報に基づいて、パレット30(荷L)と棚40とが正対しているか否かが判定される。
これにより、例えば運転者が視線を荷Lに遮られて棚板42を直接視認できない場合等であっても、運転者がフォークリフト1を降りて棚板42との正対度合いを予め確認したりする必要なく、好適に棚置きを行うことができる。したがって、従来に比べ、荷役作業の作業効率を向上させることができる。
【0030】
また本実施形態によれば、パレット30(荷L)と棚40とが正対していないと判定された場合に、当該判定結果が運転者に報知される。これにより、運転者に状況を速やかに報知できる。
また本実施形態によれば、パレット30(荷L)と棚40とが正対していないと判定された場合に、フォークリフト1の前進動作が規制される。これにより、パレット30(荷L)と棚40とが正対していない状態での棚置き作業を防止できる。
【0031】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態(変形例含む)に限られない。
例えば、上記実施形態では、本発明に係る計測手段として撮像カメラ24を用いることとした。しかし、本発明に係る計測手段は、荷の面情報と、荷を載置する棚の面情報と、を取得可能なものであればよい。
具体的には、例えば図7(a)に示すように、棚40の面情報を取得する計測手段として、直線状の計測領域(線領域Ra)を有する線状センサ(例えば、二次元のLiDAR(LASER Imaging Detection and Ranging))を用いてもよい。この場合、上記実施形態と異なり、計測手段の計測領域が線領域Raとなるが、図7(b)に示すように、走行中にこの線領域Raを連続的に積分することにより、棚40の面情報を取得できる。
さらに、本発明に係る計測手段は、面情報とともに距離情報(深度情報)を取得可能な三次元計測手段(例えばデプスセンサ等)であってもよい。そして、各境界ラインの抽出の際に、面情報とともに距離情報を用いることにより、より高精度に境界ラインを抽出することができる。
【0032】
また、上記実施形態の棚置き正対判定処理では、終了までステップS1~S8の処理を繰り返すこととした。しかし、このうち正対判定とその報知・表示を行うステップS5~S7は、判定に必要な第1境界ラインL1及び第2境界ラインL2が得られた時点で行うこととし、それまではステップS1~S4を繰り返すこととしてもよい。
あるいは、このステップS5~S7は、特定の実行トリガーが検知された場合のみに行うこととしてもよい。この実行トリガーは、例えば、運転者の入力操作であってもよいし、フォークリフト1の停止やフォーク12の昇降動作などであってもよい。
【0033】
また、本発明に係る荷役車両は、フォークで荷を保持して走行できるものであればフォークリフトに限定されず、例えば無人で走行する無人搬送車(例えば、AGV:Automated Guided Vehicle。AGF(無人搬送フォークリフト)を含む)などであってもよい。この場合、パレット30(荷L)と棚40とが正対していないときの報知先は、例えば無人搬送車の制御装置などであってもよい。
【0034】
また、上記実施形態の棚置き正対判定処理では、パレット30の面情報を用いて当該パレット30と棚40との正対度合いを判定することとした。しかし、パレット30の面情報に代えて荷Lの面情報を用いることとしてもよい。具体的には、パレット30の面情報でなく荷Lの面情報を取得し、取得した荷Lの面情報に基づいて、当該荷Lと棚40との正対度合いを判定してもよい。つまり、本発明に係る荷役車両は、パレットを介さずにフォークで荷を直接保持するものであってもよい。
【0035】
また、本発明に係るパレットには、荷が載置される荷受台であって、フォークに保持されるもの(例えば、すのこなど)を広く含む。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 フォークリフト(荷役車両)
11 車両本体
12 フォーク
23 表示部(報知手段)
24 撮像カメラ(計測手段)
26 記憶部
27 制御部(判定手段、報知手段、規制手段)
30 パレット
30a 底面
40 棚
42 棚板
42a 上面
42b 前面
260 棚置き正対判定プログラム(判定プログラム)
L 荷
L1 第1境界ライン(第1境界線)
L2 第2境界ライン(第2境界線)
P 撮影画像
R 撮影範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7