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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101135
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/165 20200101AFI20230712BHJP
   H05B 47/105 20200101ALI20230712BHJP
   H05B 47/16 20200101ALI20230712BHJP
   H05B 47/17 20200101ALI20230712BHJP
   F21S 9/02 20060101ALI20230712BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230712BHJP
【FI】
H05B47/165
H05B47/105
H05B47/16
H05B47/17
F21S9/02 110
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001539
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹下 理和
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA08
3K273QA07
3K273QA11
3K273QA30
3K273QA38
3K273RA12
3K273RA13
3K273SA08
3K273SA32
3K273SA50
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA17
3K273TA40
3K273TA49
3K273UA16
3K273UA19
3K273UA22
3K273UA27
3K273UA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動点検時において、点検時間を短くしつつ、利用者に、照明器具の異常、又は停電が発生していると誤認させることを抑制する照明器具を得る。
【解決手段】照明器具は、発光体と、商用電源からの電力が供給されないときに発光体に電力供給する非常電源と、発光体の発光状態を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、商用電源から供給された電力で発光体を発光させる常用点灯モードと、商用電源からの電力が断たれた場合に、非常電源から供給された電力で発光体を発光させる非常用点灯モードと、予め定められた点検間隔時間に達した際に、予め定められた設定時間にわたり、非常電源から供給された電力で発光体を発光させ、非常電源を点検する自動点検モードとを実行し、自動点検モードにおいて発光体に供給される電力は、非常用点灯モードで発光体に供給される電力を超え、且つ常用点灯モードで発光体に供給される電力以下である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される電力により発光する発光体と、
商用電源からの電力が供給されないときに前記発光体に電力供給する非常電源と、
前記発光体の発光状態を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記商用電源から供給された電力で前記発光体を発光させる常用点灯モードと、
前記商用電源からの電力が断たれた場合に、前記非常電源から供給された電力で前記発光体を発光させる非常用点灯モードと、
予め定められた点検間隔時間に達した際に、予め定められた設定時間にわたり、前記非常電源から供給された電力で前記発光体を発光させて、前記非常電源を点検する自動点検モードと、を実行し、
自動点検モードにおいて前記発光体に供給される電力は、非常用点灯モードで前記発光体に供給される電力を超え、且つ常用点灯モードで前記発光体に供給される電力以下である
照明器具。
【請求項2】
管理者によって操作される点検スイッチを更に備え、
前記制御装置は、
前記点検スイッチが操作された際に、前記非常電源から供給された電力で前記発光体を発光させて、前記非常電源を点検する手動点検モードを実行する
請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記制御装置は、前記常用点灯モードと、前記自動点検モードとにおいて、前記発光体を同一の輝度で発光させるように、前記発光体の発光状態を制御する
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記発光体として、常用発光体と非常用発光体とを有し、
前記制御装置は、前記常用点灯モードでは前記常用発光体を発光させ、前記非常用点灯モードでは前記非常用発光体を発光させ、前記自動点検モードでは前記常用発光体を発光させる
請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項5】
前記自動点検モードにおける前記点検間隔時間は、6ヵ月以上の間隔である
請求項1~4の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記自動点検モードにおける前記設定時間は、60分以下である
請求項1~5の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記制御装置による点検結果を報知する報知部を有する
請求項1~6の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記非常電源は、蓄電池である
請求項1~7の何れか1項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この技術は、照明器具に係るものである。特に、非常電源を有する照明器具の点検に関するものである。
【背景技術】
【0002】
外部からの電力供給が断たれたときに、搭載した非常電源から電力供給を行って発光することができる照明器具がある。このような照明器具においては、照明器具に搭載された非常電源の点検が行われる。特許文献1には、商用電源からの電力供給を受ける常用時は、光源を消灯すると共に、蓄電池の充電を行い、商用電源からの電力供給が断たれた停電時は、光源を点灯すると共に、蓄電池の充電を停止する照明器具が開示されている。特許文献1の照明器具は、非常電源からの電力供給により光源を点灯させることで、非常電源の自動点検を行う。また、特許文献1の照明器具は、点検時において光源の調光レベルを大きくすることで、点検時間を短くするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-027706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1においては、照明器具の常用時と自動点検時とで光源の点灯状態が異なるため、自動点検時、照明器具の利用者に、照明器具の異常、又は停電が発生していると誤認させてしまうことがあった。
【0005】
そこで、本開示は、管理者による操作を伴わずに定期的に行われる自動点検時において、点検時間を短くしつつ、照明器具の利用者に、照明器具の異常、又は停電が発生していると誤認させることを抑制する照明器具を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る照明器具は、供給される電力により発光する発光体と、商用電源からの電力が供給されないときに発光体に電力供給する非常電源と、発光体の発光状態を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、商用電源から供給された電力で発光体を発光させる常用点灯モードと、商用電源からの電力が断たれた場合に、非常電源から供給された電力で発光体を発光させる非常用点灯モードと、予め定められた点検間隔時間に達した際に、予め定められた設定時間にわたり、非常電源から供給された電力で発光体を発光させて、非常電源を点検する自動点検モードと、を実行し、自動点検モードにおいて発光体に供給される電力は、非常用点灯モードで発光体に供給される電力を超え、且つ常用点灯モードで発光体に供給される電力以下である。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る照明器具によれば、常用点灯モードと、自動点検モードとの何れにおいても発光体を発光させるため、利用者は自動点検モードが実行されていることを認識しにくくなる。また、本開示に係る照明器具によれば、自動点検モードにおいて発光体に供給される電力が、非常用点灯モードで発光体に供給される電力を超え、且つ常用点灯モードで前記発光体に供給される電力以下である。つまり、本開示における自動点検モードにおいて非常電源に要求される電力は、非常用点灯モードにおいて非常電源に要求される電力よりも大きい。このため、本開示の照明器具によれば、自動点検モードにおいて非常用点灯モードと同等の電力が要求された場合と比較して、点検にかかる時間を短くすることができる。以上のように、本開示に係る照明器具は、管理者による操作を伴わずに定期的に行われる自動点検時において、点検時間を短くしつつ、照明器具の利用者に、照明器具の異常、又は停電が発生していると誤認させることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る照明器具の外観を示す図である。
図2】実施の形態1に係る照明器具を示す機能ブロック図である。
図3】実施の形態1に係る照明器具において実行可能なモードについて説明する図である。
図4】実施の形態1に係る照明器具の自動点検モードを説明する図である。
図5】比較例に係る照明器具の自動点検モードを説明するための図である。
図6】実施の形態2に係る照明器具の外観を示す図である。
図7】実施の形態2に係る照明器具を示す機能ブロック図である。
図8】実施の形態2に係る照明器具において実行可能なモードについて説明する図である。
図9】実施の形態2に係る照明器具の自動点検モードを説明する図である。
図10】比較例に係る照明器具の自動点検モードを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態に係る照明器具1などについて、図面などを参照しながら説明する。以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、以下に記載する実施の形態の全文において共通することとする。また、図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。そして、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、明細書に記載された形態に限定するものではない。特に、構成要素の組み合わせは、各実施の形態における組み合わせのみに限定するものではなく、他の実施の形態に記載した構成要素を別の実施の形態に適用することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明器具1の外観を示す図である。図1に示すように、照明器具1は、例えば災害又は停電時に用いられる誘導灯であって、本体2、表示部3、点検スイッチ5、および報知部6を有する。本体2は、照明器具1の外郭を構成しており、後述する各機器等を格納している。本体2は、照明機器の設置場所の天井、壁、床等に取り付けられる。表示部3は、本体2の表面に設けられ、災害又は停電時における避難口又は避難方向を示すピクトグラム又は矢印等を表示するものである。表示部3は、後述する発光体12によって、所定の輝度で点灯する。以下では、表示部3の点灯を、照明器具1の点灯として説明することがある。なお、表示部3は、本体2と一体的な構造であってもよいし、本体2の一面に設けられたパネルなどであってもよい。
【0011】
点検スイッチ5は、照明器具1の管理者が、後述する非常電源11の電池残量を点検する際に操作する1または複数個のスイッチである。点検スイッチ5は、照明器具1の操作装置となる。照明器具1は、点検スイッチ5が操作されると、後述するように、各種点検モードによる動作を行う。報知部6は、後述する制御装置10からの報知信号に基づいて報知を行う。実施の形態1における報知部6は、LED(発光ダイオード)を有し、LEDが発光することにより報知を行う。ただし、これに限定するものではない。特に、実施の形態1における報知部6は、報知信号に基づいて点検動作の結果を報知する。
【0012】
図2は、実施の形態1に係る照明器具1を示す機能ブロック図である。図2に示すように、表示部3は、光源部15を有する。また、照明器具1は、非常電源11および制御装置10を有している。
【0013】
実施の形態1における光源部15は、照明器具1の本体2(図1参照)に格納され、発光体12、および実装基板13を有する。実施の形態1における照明器具1は、実装基板13に発光体12を実装する構成である。
【0014】
発光体12は、光源となって発光し、照明器具1を点灯させる。具体的に、発光体12は、商用電源100から電力が供給されている常用時に、商用電源100から供給された電力で発光し、照明器具1を点灯させる。また、発光体12は、商用電源100からの電力が断たれた非常時に、非常電源11から供給された電力で発光し、照明器具1を点灯させる。なお、発光体12は、LEDを有するものとして説明するが、これに限定するものではない。発光体12は、たとえば、有機EL、またはレーザーダイオードなどでもよい。
【0015】
非常電源11は、たとえば蓄電池であり、照明器具1の本体2(図1参照)に格納される。非常電源11は、商用電源100から電力が供給されているときに、電力を貯め、商用電源100からの電力が供給されないときに、バックアップ用電源となって、照明器具1の各機器へ電力を供給する。ここで、非常電源11は、Ni-MH蓄電池とするが、これに限定するものではない。非常電源11を、たとえば、Ni-Cd蓄電池またはLi-Ion電池などの2次電池としてもよい。なお、非常電源11は、本体2に格納されていなくてもよい。
【0016】
制御装置10は、照明器具1における点灯および点検などの動作を制御する装置であり、たとえば照明器具1の本体2(図1参照)に格納される。制御装置10は、ハードウェアとしては、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置を有するマイクロコンピュータなどで構成されているものとする。制御装置10は、上述した機能を実現するため、図2に示すように、点灯回路部10A、充電回路部10B、点検処理部10Cおよび計時部10Dを有する。点灯回路部10Aは、発光体12の発光状態の制御を行う。点灯回路部10Aは、主として、後述する機能(1)および機能(4)を行う。充電回路部10Bは、商用電源100から供給される電力を非常電源11に充電する際の充電制御を行う。充電回路部10Bは、主として、後述する機能(2)を行う。点検処理部10Cは、後述する各種点検機能を実行する際の点検制御に係る処理を行う。点検処理部10Cは、主として、後述する機能(5)~機能(9)を行う。計時部10Dは、タイマを有し、計時を行う。計時部10Dが計時した時間などは、点検処理部10Cなどが制御を行う際に用いる。計時部10Dは、主として、後述する機能(3)を行う。
【0017】
実施の形態1の制御装置10は、次の(1)~(9)に示す機能を有し、照明器具1の点灯または消灯、非常電源11の充電および非常電源11に関する点検などを行う。
(1)商用電源100からの電源供給を受けて発光体12を発光させ、照明器具1を点灯させる機能。
(2)商用電源100からの電力供給を受け、非常電源11を通常充電する通常充電機能。ここで、通常充電は、微少な電流を非常電源11に供給して充電するトリクル充電で行われる。
(3)商用電源100からの電力供給を受けた経過時間を計時するタイマ機能。
(4)商用電源100からの電力供給が断たれた場合、非常電源11からの電力供給に切り替えて発光体12を発光させ、照明器具1を点灯させる機能。
(5)照明器具1が、非常電源11によって、規定時間(20分または60分)点灯可能かおよび非常電源11の劣化状況を確認する点検機能。ここで、機能(5)は、発光体12を発光させて点検機能を実現する。
(6)点検スイッチ5が操作されると、非常電源11により発光体12を発光させて、機能(5)の点検を実行する自動点検機能。
(7)機能(3)のタイマ機能により、あらかじめ定めた点検間隔時間経過後に、点検スイッチ5の操作によらず、非常電源11により発光体12を発光させて、機能(5)の点検を自動的に実行する定期自動点検機能。機能(7)での点検は、予め設定された設定時間にわたり実行される。
(8)点検スイッチ5を操作中のみ、非常電源11により発光体12を発光させ、照明器具1が点灯可能かどうかを確認する手動点検機能。
(9)機能(5)~機能(7)に基づいて実行した点検結果を報知部6に報知させる機能。
【0018】
図3は、実施の形態1に係る照明器具1において実行可能なモードについて説明する図である。図3に示すように、実施の形態1における照明器具1は、たとえば、(a)常用点灯モード、(b)非常用点灯モード、(c)手動点検モードおよび(d)自動点検モードの4つのモードを実行することができる。
【0019】
(a)の常用点灯モードは、通常の状態におけるモードである。制御装置10の点灯回路部10Aは、機能(1)を実行して商用電源100から供給された電力で発光体12を発光させるとともに、制御装置10の充電回路部10Bが、機能(2)を実行して非常電源11を充電する。
【0020】
(b)の非常用点灯モードは、非常時におけるモードである。制御装置10の点灯回路部10Aは、停電の発生によって商用電源100からの電力供給が断たれたことを検知した際に、常用点灯モードから非常用点灯モードに切り替える。制御装置10の点灯回路部10Aは、機能(4)を実行して、非常電源11から供給された電力で発光体12を発光させて照明器具1を点灯させる。このとき、発光体12が負荷となり、非常電源11は放電する。また、常用点灯モードで発光体12に供給される電力を100%とした場合に、非常用点灯モードで発光体12に供給される電力は、例えば50%である。このため、非常用点灯モードでは、常用点灯モードよりも表示部3が暗く点灯する。
【0021】
(c)の手動点検モードは、管理者による点検スイッチ5の操作を点検開始条件として点検を行うモードである。手動点検モードは、機能(6)の自動点検機能または機能(8)の手動点検機能を実行し、機能(9)の報知を行う。
【0022】
(d)の自動点検モードは、後述するように、点検間隔時間の経過を点検開始条件として自動的に点検を行うモードである。次に、自動点検モードについて説明する。
【0023】
消防法で規定される誘導灯は、たとえば、内蔵する非常電源11を充電しておき、商用電源100からの電源が断たれた停電時の場合、充電しておいた非常電源11による電力供給で光源を点灯させるものである。
【0024】
ここで、誘導灯には、非常電源11による点灯継続時間が規定されており、停電時は、規定された点灯継続時間以上、点灯を継続できるようにしておく必要がある。規定される点灯継続時間は、誘導灯の場合20分または60分である。
【0025】
照明器具1における点灯継続時間は、非常電源11の充電量および非常電源11の劣化状況に左右される。誘導灯は、充電方式として主にトリクル充電を用いており、通常時には、非常電源11の電力が常に満充電状態となるように制御している。しかし、照明器具1の非常電源11が劣化すると、満充電状態であっても、時間経過とともに点灯継続時間が短くなる傾向にある。
【0026】
このため、照明器具1が規定時間点灯可能か否かを定期的に点検することで、非常電源11の劣化状態を確認し、非常電源11の劣化が認められた場合は、非常電源11を交換することにより、照明器具1が規定時間点灯可能な状態に維持管理する必要がある。
【0027】
維持管理は、一般的に、管理者の操作により点検が行われ、点検結果の確認がなされる。ただし、このような確認を行う場合、照明器具1の管理は、管理者による点検頻度に依存する。このため、点検頻度(間隔)が長い場合は、適正交換時期に非常電源11が交換されない場合が懸念される。
【0028】
実施の形態1の照明器具1では、制御装置10は、上述した機能(5)および機能(7)の定期自動点検機能を有する。そこで、制御装置10は、自動点検モードにおいて、機能(3)のタイマ機能により、商用電源100からの電力供給を受けてからの時間が点検間隔時間に達した際に、点検スイッチ5が操作されなくても、自動的に点検を実行する。
【0029】
ここで、上述した点検間隔時間は、特に規定するものではないが、たとえば、6ヵ月、1年などとする。点検間隔時間は、他の任意の時間としてもよいが1年に1回は行うことが好ましい。
【0030】
制御装置10が行う非常電源11が規定時間点灯可能か否かを判定する方法について、説明する。図4は、実施の形態1に係る照明器具1の自動点検モードを説明する図である。図4の左側の図は、常用点灯モードでの表示部3の輝度を簡易的に示している。図4の右側の図は、自動点検モードでの表示部3の輝度を簡易的に示している。図4に示すように、制御装置10は、自動点検モードに要する設定時間を10分として、常用点灯モードと同じ100%の電力を発光体12に供給する。そして、制御装置10は、設定時間経過後の非常電源11の電圧が閾値以上の電圧を保っているか否かを判定することで、点検を行う。ここで、設定時間は、非常点灯モード時に供給する2倍の電力が発光体12に供給されているため、20分が規定時間である場合は、その1/2の10分とされている。
【0031】
なお、制御装置10は、非常電源11に対する規定時間による判定を行ってもよい。また、規定時間又は設定時間経過後の電圧に対して、非常電源11の寿命と相関のとれる他の閾値を設定しておき、制御装置10は、設定された閾値に基づいて判定してもよい。更に、制御装置10は、設定時間後の照度に閾値を設定し、判定を行うようにしてもよい。
【0032】
また、実施の形態1では、自動点検モードにおいて常用点灯モードと同じ100%の電力の供給を受けるため、常用点灯モードと自動点検モードとで発光体12が同一の輝度で発光する。これにより、常用点灯モードと自動点検モードとで表示部3が同一の輝度で点灯させられる。
【0033】
制御装置10は、上述した(9)の機能により、判定による点検結果に基づく報知信号を報知部6に送る。報知部6は、報知信号に基づいて表示を行い、管理者に報知する。
【0034】
(比較例)
ここで、実施の形態1と同一の構成を有する照明器具において、自動点検モードで発光体12に供給される電力を非常用点灯モードと同等とする、一般的に知られた点灯状態の制御を行う場合を比較例として、実施の形態1の効果について説明する。つまり、比較例では、常用点灯モードで発光体に供給される電力を100%とした場合に、自動点検モードにおいて、非常用点灯モードと同等の50%の電力が非常電源から発光体に供給される。図5は、比較例に係る照明器具の自動点検モードを説明するための図である。図5の左側の図は、常用点灯モードでの表示部3Zの輝度を簡易的に示している。図5の右側の図は、自動点検モードでの表示部3Zの輝度を簡易的に示している。図5に示すように、比較例に係る制御装置は、自動点検モードにおいて、常用点灯モードの50%の電力を発光体に供給する。このため、設定時間を20分として点検を行う。また、比較例に係る照明器具では、自動点検モードに移行する際に、常用点灯モードよりも表示部3Zの輝度が低下する為、明るさの変化が照明器具の設置場所に存在する利用者に認知されてしまう。この際に、利用者に、停電又は照明器具に異常が発生しているものと誤認させるおそれがある。
【0035】
これに対して、実施の形態1の照明器具1によれば、常用点灯モードと自動点検モードとで発光体12及び表示部3が同一の輝度で点灯するため、自動点検モードが実行されていることを利用者に認識させにくい。このため、照明器具1の利用者に、照明器具1の異常、又は停電が発生していると誤認させることを抑制することができる。
【0036】
また、実施の形態1の自動点検モードにおいて、非常電源11は、常用点灯モードと同等の電力を発光体12に供給している。つまり、実施の形態1における自動点検モードにおいて非常電源11に要求される電力は、非常用点灯モードにおいて非常電源11に要求される電力よりも大きい。このため、実施の形態1の照明器具1によれば、比較例のように自動点検モードにおいて非常用点灯モードと同等の電力が要求された場合と比較して、非常電源11の電力を早く消費することとなり、点検にかかる時間を短くすることができる。
【0037】
なお、自動点検モードで発光体12に供給される電力が、非常用点灯モードで発光体12に供給される電力を超え、且つ常用点灯モードで発光体12に供給される電力以下であれば、常用点灯モードと自動点検モードとで発光体12及び表示部3は輝度が異なっていてもよい。この場合も、常用点灯モードと、定期点検モードとの何れにおいても発光体12を発光させるため、自動点検モードが実行されていることを利用者に認識させにくい。また、実施の形態1における自動点検モードにおいて非常電源11に要求される電力は、非常用点灯モードにおいて非常電源11に要求される電力よりも大きい。このため、実施の形態1の照明器具1によれば、比較例のように自動点検モードにおいて非常用点灯モードと同等の電力が要求された場合と比較して、非常電源11の電力を早く消費することとなり、点検にかかる時間を短くすることができる。以上のように、実施の形態1に係る照明器具1は、管理者による操作を伴わずに定期的に行われる自動点検時において、点検時間を短くしつつ、照明器具1の利用者に、照明器具1の異常、又は停電が発生していると誤認させることを抑制できる。
【0038】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る照明器具101の外観を示す図である。図6に示すように、実施の形態2は、照明器具101が常用光源部15aおよび非常用光源部15bを有する非常用照明器具である点で実施の形態1と相違する。非常用照明器具の仕様などは、建築基準法により規定される。本実施の形態2では、実施の形態1と同一の部分は同一の符合を付して説明を省略し、実施の形態1との相違点を中心に説明する。なお、図6においては、本体2に設けられた点検スイッチ5および報知部6の図示を省略している。もっとも、点検スイッチ5及び報知部6は、本体2ではなく、照明器具101を操作するリモコン(図示せず)などに設けられていてもよい。
【0039】
図7は、実施の形態2に係る照明器具101を示す機能ブロック図である。図7に示すように、照明器具101は、常用光源部15a、非常用光源部15b、および常用点灯装置30を有している。常用光源部15aは、商用電源100からの電力供給が得られる場合に用いられる光源である。非常用光源部15bは、商用電源100からの電力供給が断たれた場合に、非常電源11からの電力供給で用いられる光源である。常用光源部15aは、常用発光体12a、および実装基板13aを有する。非常用光源部15bは、非常用発光体12b、および実装基板13bを有する。実施の形態2における照明器具101は、実装基板13aに常用発光体12aを実装し、実装基板13bに非常用発光体12bを実装する構成である。
【0040】
常用光源部15aの常用発光体12aに供給される電力を100%とした場合に、非常用光源部15bで非常用発光体12bに供給される電力は、例えば50%である。このため、非常用点灯モードでの非常用光源部15bは、常用点灯モードでの常用光源部15aよりも暗く点灯される。
【0041】
常用点灯装置30は、常用発光体12aの発光状態の制御を行う。常用点灯装置30は、主として、後述する機能(1)を行う。実施の形態2の制御装置10の点灯回路部10Aは、主として、後述する機能(4)を行う。充電回路部10Bは、商用電源100から供給される電力を非常電源11に充電する際の充電制御を行う。充電回路部10Bは、主として、後述する機能(2)を行う。点検処理部10Cは、後述する各種点検機能を実行する際の点検制御に係る処理を行う。点検処理部10Cは、主として、後述する機能(5)~機能(9)を行う。計時部10Dは、タイマを有し、計時を行う。計時部10Dが計時した時間などは、点検処理部10Cなどが制御を行う際に用いる。計時部10Dは、主として、後述する機能(3)を行う。
【0042】
実施の形態2の常用点灯装置30および制御装置10は、次の(1)~(9)に示す機能を有し、照明器具101の点灯または消灯、非常電源11の充電および非常電源11に関する点検などを行う。
(1)商用電源100からの電源供給を受けて常用発光体12aを発光させ、照明器具1を点灯させる機能。
(2)商用電源100からの電力供給を受け、非常電源11を通常充電する通常充電機能。ここで、通常充電は、微少な電流を非常電源11に供給して充電するトリクル充電で行われる。
(3)商用電源100からの電力供給を受けた経過時間を計時するタイマ機能。
(4)商用電源100からの電力供給が断たれた場合、非常電源11からの電力供給に切り替えて非常用発光体12bを発光させ、照明器具1を点灯させる機能。
(5)照明器具1が、非常電源11によって、規定時間(30分または60分)点灯可能かおよび非常電源11の劣化状況を確認する点検機能。ここで、機能(5)は、常用発光体12aまたは非常用発光体12bを発光させて点検機能を実現する。
(6)点検スイッチ5が操作されると、非常電源11により非常用発光体12bを発光させて、機能(5)の点検を実行する自動点検機能。
(7)機能(3)のタイマ機能により、あらかじめ定めた点検間隔時間経過後に、点検スイッチ5の操作によらず、非常電源11により常用発光体12aを発光させて、機能(5)の点検を自動的に実行する定期自動点検機能。機能(7)での点検は、予め設定された設定時間にわたり実行される。
(8)点検スイッチ5を操作中のみ、非常電源11により非常用発光体12bを発光させ、照明器具1が点灯可能かどうかを確認する手動点検機能。
(9)機能(5)~機能(7)に基づいて実行した点検結果を報知部6に報知させる機能。
【0043】
図8は、実施の形態2に係る照明器具101において実行可能なモードについて説明する図である。図9は、実施の形態2に係る照明器具101の自動点検モードを説明する図である。実施の形態2の制御装置10は、手動点検モードでは、常用発光体12aを発光させず、非常用発光体12bを発光させる。即ち、図8に示すように、常用光源部15aを消灯させ、非常用光源部15bは点灯させる。自動点検モードでは、常用発光体12aを発光させ、非常用発光体12bを発光させない。即ち、図8に示すように、常用光源部15aを点灯させ、非常用光源部15bは消灯させる。つまり、図9(a)に示すように、常用運転モードと自動点検モードとは、共に常用光源部15aのみを点灯させる。また、図9(b)に示すように、非常用点灯モードと手動点検モードとは、共に非常用光源部15bのみを点灯させる。なお、非常用照明器具の場合、規定される点灯継続時間は、30分又は60分である。
【0044】
(比較例)
比較例と比較して、実施の形態2の効果について説明する。図10は、比較例に係る照明器具101Zの自動点検モードを説明するための図である。図10(a)に示すように、比較例の照明器具101Zでは、常用運転モードでは、常用光源部15aのみを点灯させる。また、図10(b)に示すように、非常用点灯モードと自動点検モードとは、共に非常用光源部15bのみを点灯させる。このため、比較例に係る照明器具101Zでは、自動点検モードに移行する際に、常用点灯モードよりも光源の点灯が暗くなる為、明るさの変化が照明器具101Zの設置場所に存在する利用者に認知されてしまう。この際に、利用者に、停電又は照明器具101Zに異常が発生しているものと誤認させるおそれがある。
【0045】
これに対して、実施の形態2の照明器具101によれば、常用点灯モードと自動点検モードとで常用光源部15aが点灯させられるため、自動点検モードが実行されていることを利用者に認識させにくい。このため、照明器具101の利用者に、照明器具101の異常、又は停電が発生していると誤認されることを抑制することができる。
【0046】
また、実施の形態2の自動点検モードにおいて、非常電源11は、常用点灯モードと同等の電力を発光体12に供給している。つまり、実施の形態2の自動点検モードにおいて、非常電源11に要求される電力は、比較例のように自動点検モードにおいて非常用発光体12bが用いられる場合の電力よりも大きい。このため、非常電源11の電力を早く消費することとなり、点検にかかる時間を短くすることができる。
【0047】
なお、上述した実施の形態1および2では、報知部6は、LEDを有し、発光色、点滅などにより点検結果を報知するものであったが、これに限定するものではない。報知部6の表示が、たとえば、セグメント表示であってもよい。また、報知部6は、液晶モニタなどを有し、文字、絵などで表示してもよい。
【0048】
また、実施の形態2では、非常用照明器具において、常用光源部15aと非常用光源部15bとが分かれている場合について説明したが、常用光源部15aと非常用光源部15bとが同一の発光体12を有する同一の光源として設けられていてもよい。この場合は、実施の形態1と同様に、常用点灯モードと、自動点検モードとの何れにおいても発光体12を同一の輝度で発光させる。なお、自動点検モードにおいて発光体12に供給される電力が、非常用点灯モードで発光体12に供給される電力を超え、且つ常用点灯モードで発光体12に供給される電力以下となるように制御されていれば、常用点灯モードと自動点検モードとで発光体12の輝度が異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1、101、101Z 照明器具、2 本体、3、3Z 表示部、5 点検スイッチ、6 報知部、10 制御装置、10A 点灯回路部、10B 充電回路部、10C 点検処理部、10D 計時部、11 非常電源、12 発光体、12a 常用発光体、12b 非常用発光体、13、13a、13b 実装基板、15 光源部、15a 常用光源部、15b 非常用光源部、30 常用点灯装置、100 商用電源。
図1
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図7
図8
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図10