(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010114
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】防火面格子
(51)【国際特許分類】
E06B 7/086 20060101AFI20230113BHJP
E06B 5/16 20060101ALI20230113BHJP
E06B 3/38 20060101ALI20230113BHJP
A62C 2/06 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
E06B7/086
E06B5/16
E06B3/38
A62C2/06 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021113993
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000005005
【氏名又は名称】不二サッシ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390040800
【氏名又は名称】株式会社ナカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】弁理士法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西本 直史
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 祥博
【テーマコード(参考)】
2E014
2E036
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014EA00
2E014EB02
2E014EB05
2E036JA06
2E036JC03
2E036KA03
2E036KB01
2E036LA06
2E036LB09
2E036MA05
2E036MA08
2E036MA09
2E036NA04
2E036NA05
2E036NB01
2E036QA02
2E036QA04
2E239CA01
2E239CA11
2E239CA52
2E239CA61
(57)【要約】
【課題】ルーバを全閉にした状態で、室内で火災が発生した場合にも、窓装置からの放熱を遮らないようにすることができる、防火面格子の構造を実現する。
【解決手段】防火面格子1を、面格子本体14と、窓枠側ブラケット15と、ロック装置16とを備えたものとし、面格子本体14を、窓枠側ブラケット15を利用して、窓装置2を構成する窓縦枠の屋外側に開閉可能に取り付ける。平常時には、窓縦枠と面格子本体14との間に取り付けたロック装置16により、面格子本体14を閉鎖位置にロックしておき、火災発生時には、ロック装置16に備えられた解除機構を作動させて、ロックを解除する。これにより、面格子本体14を揺動開放させる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓装置を構成する窓枠の窓縦枠の下部に取り付けられる窓枠側ブラケットと、
矩形枠状に構成され、下部が前記窓枠側ブラケットに対して揺動可能に支持された框枠体と、前記框枠体の内側に開閉可能に支持された複数のルーバとを有する、面格子本体と、
前記窓縦枠の上部に取り付けられる窓枠側ロック部材と、前記框枠体の縦框の上部に取り付けられる面格子側ロック部材とをそれぞれ有し、前記面格子本体を閉鎖位置にロックする、ロック装置と、を備え、
前記ロック装置は、所定温度に達したことを検知してロックを解除する、解除機構を含み、
前記解除機構が作動すると、前記面格子本体を揺動開放させる、
防火面格子。
【請求項2】
前記窓枠側ブラケットは、左右の前記窓縦枠それぞれの下部に取り付けられ、
前記窓枠側ロック部材は、左右の前記窓縦枠それぞれの上部に取り付けられ、
前記面格子側ロック部材は、左右の前記縦框それぞれの上部に取り付けられる、
請求項1に記載した防火面格子。
【請求項3】
前記窓枠側ロック部材は、窓枠側係合部を有し、
前記面格子側ロック部材は、前記窓枠側係合部と屋内外方向に係合可能な面格子側係合部を有し、
前記窓枠側係合部と前記面格子側係合部との少なくとも一方は、前記解除機構により可動される可動部材である、
請求項1又は2に記載した防火面格子。
【請求項4】
前記解除機構は、前記面格子側ロック部材に備えられており、前記面格子側係合部を可動させる、請求項3に記載した防火面格子。
【請求項5】
前記窓枠側係合部は、係合孔を有し、
前記面格子側係合部は、前記係合孔に対して挿入出可能な係合ピンを有する、
請求項4に記載した防火面格子。
【請求項6】
前記係合孔及び前記係合ピンは、それぞれの中心軸を上下方向に向けて配置されている、請求項5に記載した防火面格子。
【請求項7】
前記係合孔及び前記係合ピンは、それぞれの中心軸を屋内外方向に向けて配置されている、請求項5に記載した防火面格子。
【請求項8】
前記解除機構は、前記面格子側係合部に対し、前記窓枠側係合部との屋内外方向の係合を解除する方向に力を付与する、弾性部材を含む、
請求項4~7のうちのいずれか1項に記載した防火面格子。
【請求項9】
前記解除機構は、前記所定温度に達すると融解又は溶断する、融解部材をさらに含み、
前記融解部材は、前記弾性部材から前記面格子側係合部に付与される力によって、前記面格子側係合部が、前記窓枠側係合部との屋内外方向の係合を解除する方向に移動するのを阻止する、
請求項8に記載した防火面格子。
【請求項10】
前記面格子本体は、前記框枠体の下部に固定された面格子側ブラケットをさらに備え、
前記窓枠側ブラケットと前記面格子側ブラケットとのいずれか一方は、中心軸が水平に配置された、前記面格子本体の揺動中心となる枢軸を有する、
請求項1~9のうちのいずれか1項に記載した防火面格子。
【請求項11】
前記枢軸は、前記ロック装置よりも屋外側に配置されている、請求項10に記載した防火面格子。
【請求項12】
前記框枠体は、上框と、下框と、左右の前記縦框とを有し、内側に前記ルーバが配置された屋外側枠体と、屋内側枠体とからなり、
前記上框は、前記屋外側枠体の上辺を構成する上框本体と、前記面格子本体の閉鎖状態で、前記上框本体と前記窓枠を構成する窓上枠との間を塞ぐ、前記屋内側枠体の上辺を構成する上框閉塞片とを有し、
前記下框は、前記屋外側枠体の下辺を構成する下框本体と、前記面格子本体の閉鎖状態で、前記下框本体と前記窓枠を構成する窓下枠との間を塞ぐ、前記屋内側枠体の下辺を構成する下框閉塞片とを有し、
前記縦框のそれぞれは、前記屋外側枠体の左右の縦辺を構成する縦框本体と、前記面格子本体の閉鎖状態で、前記縦框本体と前記窓縦枠との間を塞ぐ、前記屋内側枠体の左右の縦辺を構成する縦框閉塞片とを有し、
前記面格子本体は、前記屋外側枠体の開口部を塞ぐ網戸をさらに有する、
請求項1~11のうちのいずれか1項に記載した防火面格子。
【請求項13】
前記框枠体は、上框と、下框と、左右の前記縦框とを有し、内側に前記ルーバが配置された屋外側枠体と、左右の屋内側側板とからなり、
前記上框は、前記屋外側枠体の上辺を構成する上框本体のみからなり、
前記下框は、前記屋外側枠体の下辺を構成する下框本体のみからなり、
前記縦框のそれぞれは、前記屋外側枠体の左右の縦辺を構成する縦框本体と、上端部を前記縦框本体の上端部に対して揺動可能に連結し、かつ、下端部を前記窓枠側ブラケットに対して揺動可能に連結支持した、前記屋内側側板を構成する縦框補助片とを有する、
請求項1~11のうちのいずれか1項に記載した防火面格子。
【請求項14】
前記面格子本体の開放角度を規制するための角度規制手段をさらに備える、請求項1~13のうちのいずれか1項に記載した防火面格子。
【請求項15】
前記面格子本体を屋外側に向けて付勢する付勢部材をさらに備える、請求項1~14のうちのいずれか1項に記載した防火面格子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓装置の屋外側に設置される防火面格子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マンションなどの集合住宅においては、室内換気や採光などの目的で、共用廊下に面した位置に窓装置を設置することが行われている。また、共用廊下に面して設置された窓装置の屋外側には、防犯性やプライバシーを確保するために、面格子を設けることが行われている。面格子としては、従来から各種構造のものが知られているが、特開2009-46868号公報などに記載された、開閉可能なルーバを備えたルーバ面格子は、通風性や遮光性などを自由に調節できることから、近年使用例が増えている。一方、火災時の延焼などを防止するため、防火性能を向上させた面格子が近年要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防犯性やプライバシーを確保しつつ、防火性能を向上させるには、窓装置の屋外側に設置したルーバ面格子のルーバを全閉にした状態で、室内で火災が発生した場合に、窓装置からの放熱をルーバ面格子が遮らない構造にすることが有効である。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、ルーバを全閉にした状態で、室内で火災が発生した場合にも、窓装置からの放熱を遮らない、防火面格子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる防火面格子は、窓装置の屋外側に設置されるものであり、窓枠側ブラケットと、面格子本体と、ロック装置とを備える。
前記窓枠側ブラケットは、窓装置を構成する窓枠の窓縦枠の下部に取り付けられる。
前記面格子本体は、矩形枠状に構成され、下部が前記窓枠側ブラケットに対して揺動可能に支持(枢支)された框枠体と、前記框枠体の内側に開閉可能に支持された複数のルーバとを有する。
前記ロック装置は、前記窓縦枠の上部に取り付けられる窓枠側ロック部材と、前記框枠体の縦框の上部に取り付けられる面格子側ロック部材と、をそれぞれ有し、前記面格子本体を閉鎖位置にロック(保持)する。
前記ロック装置は、所定温度に達したことを検知してロックを解除する、解除機構を含む。
本発明の一態様にかかる防火面格子は、前記解除機構が作動すると、前記面格子本体を揺動開放させる。
【0007】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記窓枠側ブラケットを、左右の前記窓縦枠それぞれの下部に取り付けられるものとし、前記窓枠側ロック部材を、左右の前記窓縦枠それぞれの上部に取り付けられるものとし、前記面格子側ロック部材を、左右の前記縦框それぞれの上部に取り付けられるものとすることができる。
【0008】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記窓枠側ロック部材を、窓枠側係合部を有するものとし、前記面格子側ロック部材を、前記窓枠側係合部と屋内外方向に係合可能な面格子側係合部を有するものとし、前記窓枠側係合部と前記面格子側係合部との少なくとも一方を、前記解除機構により可動される可動部材とすることができる。なお、屋内外方向に係合とは、前記窓枠側ロック部材と前記面格子側ロック部材との屋内外方向に関する相対変位が規制される態様の係合をいう。
【0009】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記面格子側ロック部材に、前記解除機構を備え、該解除機構により、前記面格子側係合部を可動させることができる。
【0010】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記窓枠側係合部を、係合孔を有するものとし、前記面格子側係合部を、前記係合孔に対して挿入出可能な係合ピンを有するものとすることができる。
なお、前記係合孔には、周囲が閉じた孔だけでなく、円周方向一部が開口した切り欠き孔、及び、底部を有する有底孔を含む。
【0011】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記係合孔及び前記係合ピンを、それぞれの中心軸を上下方向に向けて配置することができる。
前記係合孔を、周囲が閉じた孔とする場合には、前記解除機構により、前記係合ピンを、前記係合ピンの中心軸の方向である上方向又は下方向に可動させることができる。前記係合孔を、円周方向一部が開口した切り欠き孔とする場合には、前記係合ピンを、前記係合孔の開口方向で、かつ、前記係合ピンの中心軸に対して直交する方向である、例えば面内方向に可動させることができる。
【0012】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記係合孔及び前記係合ピンを、それぞれの中心軸を屋内外方向に向けて配置することができる。
この場合には、前記係合ピンを、屋内側の端部に係合鍔部を有するものとし、かつ、前記係合孔を、円周方向一部が開口した切り欠き孔とすることができる。そして、前記解除機構により、前記係合ピンを、前記係合孔の開口方向で、かつ、前記係合ピンの中心軸に対して直交する方向である、例えば上方向、下方向又は面内方向に可動させることができる。
【0013】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記解除機構を、可動部材である前記面格子側係合部に対し、前記前記窓枠側係合部との屋内外方向の係合を解除する方向に力を付与する、弾性部材を含んで構成することができる。
この場合には、前記解除機構を、前記所定温度に達すると融解又は溶断する、例えば温度ヒューズなどの融解部材をさらに含んで構成し、前記融解部材により、前記弾性部材から前記面格子側係合部に付与される力によって、前記面格子側係合部が、前記窓枠側係合部との屋内外方向の係合を解除する方向に移動するのを阻止することができる。
【0014】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記面格子本体を、前記框枠体の下部に固定された面格子側ブラケットをさらに備えるものとし、前記窓枠側ブラケットと前記面格子側ブラケットとのいずれか一方を、中心軸が水平(水平に対し数度程度ずれる場合を含む)に配置され、前記面格子本体の揺動中心となる枢軸を有するものとすることができる。
この場合には、前記枢軸を、前記ロック装置よりも屋外側に配置することができる。
【0015】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記窓枠側ブラケットを、下板部と縦板部とからなり、略L字形状を有する、持ち出し板部を備えるものとすることができる。
また、前記下板部を、屋外側端部の下部に備えられた屋外側開口係合凹部と、屋外側端部の上部に備えられた屋内側開口係合凹部と、上端縁に備えられた屋外側に向かうほど下側に向かう方向に傾斜し、かつ、屋外側の端部が前記屋内側開口係合凹部につながった傾斜案内部と、該傾斜案内部の屋内側の端部に備えられた上側開口保持凹部とを有するものとすることができる。
また、前記面格子側ブラケットを、屋側部に備えられ、かつ、前記屋外側開口係合凹部と係合可能な屋外側枢軸と、屋内端部に備えられ、かつ、前記屋内側開口係合凹部及び前記上側開口保持凹部のそれぞれと係合可能な屋内側枢軸とを有するものとすることができる。
前記面格子本体の閉鎖状態では、前記屋外側枢軸を前記屋外側開口係合凹部に対して係合させ、かつ、前記屋内側枢軸を前記上側開口保持凹部に対して係合させる。
前記解除機構が作動した際には、前記屋外側枢軸を前記面格子本体の揺動中心として、前記面格子本体の揺動動作を開始させる。
そして、前記面格子本体の揺動動作が進行する(開放角度が大きくなる)と、前記面格子本体の自重によって、前記屋外側枢軸を前記屋外側開口係合凹部から屋外側に抜け出させると同時に、前記屋内側枢軸を前記上側開口保持凹部から上側に抜け出させて前記傾斜案内部に対して係合させる。
そして、前記屋内側枢軸が前記屋内側開口係合凹部に対して係合するまで、前記屋内側枢軸を前記傾斜案内部に沿って屋外側へ摺動させることで、前記面格子本体を屋外側へとスライド移動させる。
なお、前記屋内側枢軸が前記屋内側開口係合凹部に係合した時点における前記面格子本体の姿勢次第で、前記面格子本体は、前記屋内側枢軸を揺動中心としてさらに揺動する。
【0016】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記框枠体を、上框と、下框と、前記左右の縦框とを有し、内側に前記ルーバが配置された屋外側枠体と、屋内側枠体とから構成することができる。
そして、前記上框を、前記屋外側枠体の上辺を構成する上框本体と、前記面格子本体の閉鎖状態で、前記上框本体と前記窓枠を構成する窓上枠との間を塞ぐ、前記屋内側枠体の上辺を構成する上框閉塞片とを有するものとし、前記下框を、前記屋外側枠体の下辺を構成する下框本体と、前記面格子本体の閉鎖状態で、前記下框本体と前記窓枠を構成する窓下枠との間を塞ぐ、前記屋内側枠体の下辺を構成する下框閉塞片とを有するものとし、前記左右の縦框のそれぞれを、前記屋外側枠体の左右の縦辺を構成する縦框本体と、前記面格子本体の閉鎖状態で、前記縦框本体と前記窓縦枠との間を塞ぐ、前記屋内側枠体の左右の縦辺を構成する縦框閉塞片とを有するものとすることができる。
そして、前記面格子本体を、前記屋外側枠体の開口部を塞ぐ網戸をさらに有するものとすることができる。
この場合には、前記面格子本体を、面内方向に関して前記下框本体と重なる位置に配置された枢軸を中心に揺動させることができる。
【0017】
あるいは、前記面格子本体を、上框と、下框と、前記左右の縦框とを有し、内側に前記ルーバが配置された屋外側枠体と、左右の屋内側側板とから構成することもできる。
そして、前記上框を、前記屋外側枠体の上辺を構成する上框本体のみから構成し、前記下框を、前記屋外側枠体の下辺を構成する下框本体のみから構成し、前記左右の縦框のそれぞれを、前記屋外側枠体の左右の縦辺を構成する縦框本体と、上端部を前記縦框本体の上端部に対して揺動可能に連結し、かつ、下端部を前記窓枠側ブラケットに対して揺動可能に連結支持した、前記屋内側側板を構成する縦框補助片とを有するものとすることができる。
そして、前記面格子本体を、前記屋外側枠体の開口部を塞ぐ網戸を備えないものとすることができる。
【0018】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記面格子本体の開放角度を規制するための角度規制手段をさらに備えることができる。
【0019】
本発明の一態様にかかる防火面格子では、前記面格子本体を屋外側に向けて付勢する付勢部材をさらに備えることができる。
前記付勢部材としては、例えばバネやゴムなどを採用することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の防火面格子によれば、ルーバを全閉にした状態で、室内で火災が発生した場合にも、窓装置からの放熱を遮らないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施の形態の第1例にかかる防火面格子を屋外側から見た図である。
【
図2】
図2は、ロック装置を省略して示す、
図1のA-A線断面に相当する縦断面図である。
【
図3】
図3は、
図1のB-B線断面に相当する横断面図である。
【
図4】
図4は、実施の形態の第1例にかかる防火面格子から面格子側ブラケットを取り出して示す図であり、(A)が屋外側から見た正面図であり、(B)が上側から見た平面図であり、(C)が下側から見た底面図であり、(D)が右側面図であり、(E)が左側面図であり、(F)が屋内側から見た背面図である。
【
図5】
図5は、窓枠側ブラケットの取付状態を、面格子本体を省略して示す、窓縦枠の下部における横断面図である。
【
図6】
図6は、窓枠側ブラケットを取り出して示す図であり、(A)が屋外側から見た正面図であり、(B)が上側から見た平面図であり、(C)が下側から見た底面図であり、(D)が右側面図であり、(E)が左側面図であり、(F)が屋内側から見た背面図である。
【
図7】
図7は、
図1のC-C線断面に相当する横断面図である。
【
図8】
図8は、窓枠側ロック部材の取付状態を、面格子本体を省略して示す、窓縦枠の上部における横断面図である。
【
図9】
図9は、各障子を省略した窓装置及び防火面格子を示す縦断面図であり、(A)は面格子本体の閉鎖状態を示し、(B)は面格子本体の揺動開放状態を示す。
【
図10】
図10は、窓枠側ロック部材を取り出して示す図であり、(A)が屋外側から見た正面図であり、(B)が上側から見た平面図であり、(C)が下側から見た底面図であり、(D)が右側面図であり、(E)が左側面図であり、(F)が屋内側から見た背面図である。
【
図11】
図11は、面格子側ロック部材を取り出して示す図であり、(A)が屋内側から見た正面図であり、(B)が上側から見た平面図であり、(C)が下側から見た底面図であり、(D)が右側面図であり、(E)が左側面図であり、(F)が屋外側から見た背面図である。
【
図12】
図12は、面格子側ロック部材を取り出して示す、
図11の(D)に相当する図であり、(A)は、解除機構が作動する以前の状態を示し、(B)は、解除機構が作動した後の状態を示す。
【
図16】
図16は、実施の形態の第2例にかかる窓枠側ロック部材を取り出して示す、
図10に相当する図である。
【
図17】
図17は、実施の形態の第2例にかかる面格子側ロック部材を取り出して示す、
図11に相当する図である。
【
図18】
図18は、面格子側ロック部材を取り出して示す、
図17の(F)に相当する図であり、(A)は、解除機構が作動する以前の状態を示し、(B)は、解除機構が作動した後の状態を示す。
【
図19】
図19は、実施の形態の第3例にかかる窓枠側ブラケットを取り出して示す、
図6に相当する図である。
【
図20】
図20は、実施の形態の第3例にかかる面格子側ブラケットを取り出して示す、
図4に相当する図である。
【
図22】
図22は、実施の形態の第3例に関して、面格子本体のスライド動作を、段階的に時系列で説明するために示す断面図である。
【
図23】
図23は、実施の形態の第4例を示す、
図9の(A)に相当する縦断面図である。
【
図24】
図24は、実施の形態の第4例にかかる防火面格子が取り付けられる窓装置の1例を示す、縦断面図である。
【
図27】
図27は、
図23に示す状態から、メンテナンス作業時に、面格子本体を揺動開放した状態を示す縦断面図である。
【
図28】
図28は、実施の形態の第4例を示す、
図9の(B)に相当する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、
図1~
図12を用いて説明する。
【0023】
防火面格子1は、例えばマンションなどの共用廊下に面して取り付けられた窓装置2の屋外側に設置されるもので、火災が発生した場合に、自動的に揺動開放し、窓装置2からの放熱を妨げないようにする機能を有する。以下、窓装置2の構造を簡単に説明した後、防火面格子1の構造を詳しく説明する。
【0024】
〔窓装置〕
窓装置2は、矩形枠状の窓枠3と、窓枠3の内側にそれぞれ面内方向(水平方向)に関する移動が可能に引き違い式に建て込まれた、内障子4及び外障子5とを備えている。
なお、面内方向に関して外側とは、窓枠3の幅方向(
図1の左右方向)外側をいい、面内方向に関して内側とは、窓枠3の幅方向中央側をいう。
【0025】
窓枠3は、躯体の開口部の面内方向に配置されて上辺を構成する窓上枠6と、同じく面内方向に配置されて下辺を構成する窓下枠7と、鉛直方向に配置されて左右の縦辺を構成する1対の窓縦枠8a、8bとを備えている。そして、窓上枠6及び窓下枠7の面内方向両側の端部と窓縦枠8a、8bの上下方向両側の端部とを、それぞれタッピングねじなどを用いて連結することにより、窓枠3を矩形枠(角部が直角状である四角枠)状に構成している。窓上枠6、窓下枠7及び窓縦枠8a、8bのそれぞれは、アルミニウム合金製である。
【0026】
内障子4及び外障子5は、矩形枠状の障子枠9a、9bと、障子枠9a、9bの内側に嵌め込まれた矩形板状のガラスパネル10a、10bとから構成されている。障子枠9a、9bを構成する各框(上框、下框、戸先框及び召し合わせ框)のそれぞれは、アルミニウム合金製である。
【0027】
内障子4は、窓枠3の屋内側部分に面内方向の移動を可能に建て込まれている。このために、内障子4の障子枠9aの上辺を、窓上枠6の屋内寄り部分に備えられた上部案内レール11aに係合させるとともに、内障子4の障子枠9aの下辺に備えられたローラ12aを、窓下枠7の屋内寄り部分に備えられた下部案内レール13aに係合させている。
【0028】
外障子5は、窓枠3の屋外側部分に面内方向の移動を可能に建て込まれている。このために、外障子5の障子枠9bの上辺を、窓上枠6の屋外寄り部分に備えられた上部案内レール11bに係合させるとともに、外障子5の障子枠9bの下辺に備えられたローラ12bを、窓下枠7の屋外寄り部分に備えられた下部案内レール13bに係合させている。
【0029】
本例の窓装置2は、後述する実施の形態の第4例の構造とは異なり、網戸障子を備えておらず、後述するように、防火面格子1に網戸19を備えている。
【0030】
なお、本例では、窓装置として、引き違い式の窓装置2を採用した場合を示したが、本発明を実施する場合には、窓装置の構造は、引き違い式に限定されず、FIX窓、内開き窓、内倒し窓など、その他の構造を採用することもできる。
【0031】
〔防火面格子の全体構造〕
防火面格子1は、防犯性やプライバシーを確保するために、窓装置2の屋外側に設置されるもので、大別して、面格子本体14と、1対の窓枠側ブラケット15と、1対のロック装置16とを備えている。
【0032】
面格子本体14は、窓枠側ブラケット15を利用して、窓装置2の窓枠3を構成する窓縦枠8a、8bの屋外側に開閉可能に支持されており、平常時には、ロック装置16により閉鎖位置(窓装置2と平行に配置され、窓装置2を屋外側から完全に覆う位置)にロックされているが、火災発生時には、ロック装置16のロックが解除され、揺動開放される。このような本例の防火面格子1を構成する各部材について、詳しく説明する。
【0033】
〈面格子本体〉
面格子本体14は、矩形枠状に構成された框枠体17と、框枠体17の内側に開閉可能に支持された複数のルーバ18と、網戸19と、1対の面格子側ブラケット20とを備えている。
【0034】
《框枠体》
框枠体17は、上框21と、下框22と、左右の縦框23a、23bとを有しており、屋外側に配置された矩形枠状の屋外側枠体24と、屋内側に配置された矩形枠状の屋内側枠体25とからなる。
【0035】
屋外側枠体24の内側には、ルーバ18が配置されている。また、ルーバ18の屋内側には、屋外側枠体24の開口部を塞ぐように網戸19が取り付けられている。このため、屋内側枠体25は、網戸19と内障子4及び外障子5との間に存在する空間の四周を塞いでおり、屋外側からの遮視性及び防虫性を向上させている。
【0036】
上框21は、
図2に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である、上框本体26と、上框閉塞片27とを有する。
【0037】
上框本体26は、略矩形の断面形状でタッピングホールを有しており、屋外側枠体24の上辺を構成する。上框本体26の面内方向両側の端部は、後述する左右の縦框本体34a、34bの上端部に対して、図示しないタッピングねじなどにより連結されている。
【0038】
上框閉塞片27は、略平板状に構成され、上框本体26の屋内側に配置されており、屋内側枠体25の上辺を構成する。上框閉塞片27は、面格子本体14の閉塞状態で、上框本体26と窓上枠6との間を塞ぐ。上框閉塞片27の屋内側の端部には、面内方向の全長にわたり、密封部材(図示の例ではモヘア)28aが取り付けられている。密封部材28aは、面格子本体14の閉塞状態で、窓上枠6の屋外側面に押し付けられている。上框閉塞片27の面内方向両側の端部は、後述する左右の縦框閉塞片35a、35bの本体部の上端部に設けられたタッピングホールに対して、複数(図示の例では2本)のタッピングねじ29aにより連結されている。なお、本例では、上框本体26(上框本体26の上板部)と上框閉塞片27とを一体に構成しているが、別体に構成しても良い。
【0039】
下框22は、それぞれがアルミニウム合金製である、下框本体30と、下框閉塞片31とを有する。
【0040】
下框本体30は、略矩形の断面形状でタッピングホールを有しており、屋外側枠体24の下辺を構成する。下框本体30の面内方向両側の端部は、後述する左右の縦框本体34a、34bの下端部に対して、図示しないタッピングねじなどにより連結されている。
【0041】
下框閉塞片31は、略平板状に構成され、下框本体30の屋内側に配置されており、屋内側枠体25の下辺を構成する。下框閉塞片31は、面格子本体14の閉塞状態で、下框本体30と窓下枠7との間を塞ぐ。下框閉塞片31の屋内側の端部には、略L字形の断面形状を有する下框係止部32が備えられている。下框係止部32は、窓下枠7の屋外側の端部に備えられたヒレ状の下枠係止片33に対して上方から係止されている。下框閉塞片31の面内方向両側の端部は、後述する左右の縦框閉塞片35a、35bの本体部の下端部に設けられたタッピングホールに対して、複数(図示の例では2本)のタッピングねじ29bにより連結されている。なお、本例では、下框本体30(下框本体30の下板部)と下框閉塞片31とを一体に構成しているが、別体に構成しても良い。
【0042】
縦框23a、23bは、
図3に示すように、それぞれがアルミニウム合金製である、縦框本体34a、34bと、縦框閉塞片35a、35bとを有する。
【0043】
縦框本体34a、34bは、略矩形の断面形状を有しており、屋外側枠体24の左右の縦辺を構成する。縦框本体34a、34bの上端部は、上框本体26の面内方向両側の端部に連結されており、縦框本体34a、34bの下端部は、下框本体30の面内方向両側の端部に連結されている。
【0044】
縦框閉塞片35a、35bは、中空に形成された本体部と、屋外側板部とを有し、断面略L字形状に構成され、縦框本体34a、34bの屋内側面に対して、図示しない固定ねじにより固定されている。縦框閉塞片35a、35bは、屋内側枠体25の左右の縦辺を構成する。縦框閉塞片35a、35bは、面格子本体14の閉塞状態で、縦框本体34a、34bと窓縦枠8a、8bとの間を塞ぐ。縦框閉塞片35a、35bの屋内側の端部には、上下方向の全長にわたり、密封部材(図示の例では弾性部材)28b、28cが取り付けられている。密封部材28b、28cは、面格子本体14の閉塞状態で、窓縦枠8a、8bの屋外側面に押し付けられている。縦框閉塞片35a、35bの上端部は、上框閉塞片27の面内方向両側の端部に対して連結されており、縦框閉塞片35a、35bの下端部は、下框閉塞片31の面内方向両側の端部に対して連結されている。なお、本例では、縦框本体34a、34bと縦框閉塞片35a、35bとを別体に構成しているが、一体に構成しても良い。
【0045】
《ルーバ》
ルーバ18は、
図2に示すように、略コ字形の断面形状を有する帯状部材であり、長手方向を面内方向に向け、上下方向に配列されている。上下方向に配列された複数のルーバ18は、互いに平行である。ルーバ18の面内方向両側の端部は、それぞれ支持ピン37a、37bを利用して、1対の縦框本体34a、34bに対し回動可能に支持(枢支)されている。また、複数のルーバ18を、同期して開閉させるために、ルーバ18の面内方向片側の端部を支持した支持ピン37a同士を、クランクアーム38(
図3参照)及び連動杆などによって互いに連結している。これにより、上下方向中間部に配置されたルーバ18に備えられた図示しない操作レバーを操作することで、複数のルーバ18を同期して開閉させられるようにしている。なお、ルーバ18の羽根角度は、例えば、全閉状態である0度から全開状態である90度までの間で調節可能である。
【0046】
《網戸》
網戸19は、
図2及び
図3に示すように、屋外側枠体24の屋外側に取り付けられており、屋外側枠体24の開口部を塞いでいる。なお、本例の構造においては、網戸19の清掃や交換などのメンテナンス作業は、室内側から行うことが可能である。
【0047】
《面格子側ブラケット》
1対の面格子側ブラケット20は、1対の窓枠側ブラケット15に対して、面格子本体14の下端部を揺動可能に支持するためのもので、框枠体17の面内方向両外側面の下端部に固定されている。
【0048】
面格子側ブラケット20は、
図4に示すように、板状部材であり、クランク状に屈曲した基板部39と、基板部39の屋外側の端部から下方に延出した二股状の軸受部40とを有する。
【0049】
基板部39は、屋外側半部が屋内側半部に対して平行にかつ面内方向外側に位置するように、クランク状に屈曲している。基板部39の屋内側半部には、複数(図示の例では2つ)の通孔41が備えられている。軸受部40は、下方が開口した係合凹部42を有している。係合凹部42は、奥部(上端部)が凹円弧状になった半長円形状を有している。
【0050】
面格子側ブラケット20は、基板部39の屋内側半部に備えられた通孔41を挿通したねじ43を、屋内側枠体25を構成する左右の縦框閉塞片35a、35bの面内方向に関する外側面の下端部に対し螺合することにより、縦框閉塞片35a、35bに固定されている。面格子側ブラケット20を、縦框閉塞片35a、35bに固定した状態で、軸受部40の屋外側端部は、面内方向に関して下框本体30と重なる位置に配置されている。また、軸受部40と、下框本体30(屋外側枠体24)の面内方向外側の端部との間には、隙間が備えられている。
【0051】
なお、本発明を実施する場合には、面格子側ブラケットを省略し、軸受部を、面格子本体の框枠体に直接設けることもできる。また、窓縦枠の下部に取り付けられる窓枠側ブラケットに軸受部を設け、面格子本体側に枢軸を設けることもできる。
【0052】
〈窓枠側ブラケット〉
窓枠側ブラケット15は、火災発生時に、面格子本体14を、いわゆる外倒し窓のように揺動開放させるために、面格子側ブラケット20と協働して、面格子本体14の下端部を窓枠3に対して揺動可能に支持する役割を果たす。
【0053】
窓枠側ブラケット15は、
図6に示すように、略平板状の板状部材であり、窓縦枠8a、8bのそれぞれの下端部に取り付けられている。窓枠側ブラケット15は、窓縦枠8a、8bに比べて上下寸法の小さいピース状に構成されている。窓枠側ブラケット15は、面格子本体14を構成する屋内側枠体25よりも、屋内外方向に関する寸法が少しだけ大きい。1対の窓枠側ブラケット15は、それぞれ左右対称の形状を有しており、面内方向に離隔して互いに平行に配置されている。窓縦枠8a、8bに対する1対の窓枠側ブラケット15の上下方向の取付位置は、互いに一致している。
【0054】
窓枠側ブラケット15は、屋内外方向に伸長した矩形平板状の持ち出し板部44と、持ち出し板部44の屋内側の端部に備えられた取付部45と、持ち出し板部44の屋外側の端部から下方に延出した延出板部46と、枢軸47とを有する。
【0055】
取付部45は、略U字形の断面形状を有しており、面内方向に関して外側が開口した係止溝48を備えている。
【0056】
枢軸47は、面格子本体14が揺動開放する際の揺動中心となる。枢軸47は、円柱形状を有しており、延出板部46の面内方向に関する内側面から水平方向に突出している。このため、枢軸47の中心軸は、水平に配置されている。枢軸47の先端部には、外向フランジ状の抜け止め鍔部49が備えられている。
図9の(A)に示すように、枢軸47は、面格子本体14の閉鎖状態で、ロック装置16よりも屋外側に配置されている。
【0057】
窓枠側ブラケット15は、
図5に示すように、係止溝48の内側に、窓縦枠8a、8bの屋外側の端部に備えられたヒレ状の縦枠係止片50を圧入し、取付部45により縦枠係止片50を屋内外方向両側から挟持することで、窓縦枠8a、8bのそれぞれの下端部の屋外側部分に取り付けられている。
【0058】
本例では、面格子本体14の下端部を窓枠3に対して揺動可能に支持するために、面格子本体14の下端部に固定した面格子側ブラケット20の軸受部40を、窓縦枠8a、8bの下端部に取り付けた窓枠側ブラケット15の枢軸47に対して上方から係合させる。具体的には、軸受部40を、延出板部46と抜け止め鍔部49との間に上方から挿入し、軸受部40に備えられた係合凹部42に対して枢軸47を係合させる。これにより、面格子本体14の下端部を、窓縦枠8a、8bに対して揺動可能に支持している。防火面格子1の重量は、窓枠側ブラケット15を介して窓枠3によって支承される。面格子本体14が揺動する際に、下框閉塞片31の屋内側の端部に備えられた下框係止部32は、枢軸47を揺動中心として上側に移動するため、下枠係止片33に対する下框係止部32の係止は解除される。
【0059】
〈ロック装置〉
ロック装置16は、平常時には、面格子本体14を閉鎖位置にロックして、面格子本体14が揺動開放することを防止し、火災発生時には、自動的にロックを解除する機能を有する。
【0060】
ロック装置16は、
図7に示すように、左右の窓縦枠8a、8bの上部と、面格子本体14を構成する左右の縦框23a、23bとの間にそれぞれ1つずつ備えられている。
【0061】
ロック装置16は、窓枠側ロック部材51と面格子側ロック部材52との2つの部品から構成されている。
【0062】
《窓枠側ロック部材》
窓枠側ロック部材51は、左右の窓縦枠8a、8bのそれぞれの上端部に取り付けられており、窓縦枠8a、8bに比べて上下寸法の小さいピース状に構成されている。1対の窓枠側ロック部材51は、それぞれ左右対称の形状を有している。窓縦枠8a、8bに対する1対の窓枠側ロック部材51の上下方向の取付位置は、互いに一致している。
【0063】
窓枠側ロック部材51は、
図10に示すように、略コ字形に屈曲した板状部材であり、屋内外方向に伸長した持ち出し板部53と、持ち出し板部53の屋内側の端部から面内方向に関して外側に略直角に折れ曲がった、取付部54とを有している。取付部54には、面内方向に関して外側が開口した係止溝55が備えられている。
【0064】
窓枠側ロック部材51は、
図8に示すように、係止溝55の内側に、窓縦枠8a、8bの屋外側の端部に備えられたヒレ状の縦枠係止片50を圧入し、取付部54により縦枠係止片50を屋内外方向両側から挟持することで、窓縦枠8a、8bのそれぞれの上端部の屋外側部分に取り付けられている。
【0065】
(窓枠側係合部)
窓枠側ロック部材51は、窓枠側係合部に相当する、係合板部56を備えている。係合板部56は、持ち出し板部53の下辺部に、面内方向に関して内側に略直角に折り曲げられるように備えられている。係合板部56は、窓枠側ロック部材51を窓縦枠8a、8bに取り付けた状態で、略水平に配置されている。係合板部56には、係合板部56を上下方向(鉛直方向)に貫通した、係合孔57が備えられている。このため、係合孔57の中心軸は、上下方向を向いて配置されている。係合孔57は、周囲が閉じた円孔である。ただし、本発明を実施する場合に、係合孔の形状は、適宜変更することができる。
【0066】
窓枠側ロック部材51は、持ち出し板部53の屋外側の端部から面内方向に関して内側に略直角に折れ曲がった、台座部58を備えている。台座部58の屋外側面には、後述するように、付勢部材59が取り付けられている。
【0067】
《面格子側ロック部材》
面格子側ロック部材52は、
図7及び
図9に示すように、左右の縦框23a、23bのそれぞれの上端部に取り付けられている。1対の面格子側ロック部材52は、それぞれ左右対称の構成を有しており、左右の縦框23a、23bに対する上下方向の取付位置は互いに一致している。
【0068】
面格子側ロック部材52は、
図11及び
図12に示すように、ケーシング61と、面格子側係合部に相当する係合ピン62と、解除機構63とを有する。
【0069】
(ケーシング)
ケーシング61は、矩形筐形状を有するケーシング本体64と、平板状の取付フランジ部65とを有しており、左右の縦框閉塞片35a、35bのそれぞれの面内方向内側の側面に固定されている。
【0070】
ケーシング本体64は、互いに平行に配置された上板66と、下板67と、中間板68とを有する。上板66と下板67と中間板68とのそれぞれには、上下方向に貫通した貫通孔69a~69cが互いに同軸に備えられている。貫通孔69a~69cのそれぞれは、係合ピン62を挿通可能な直径を有している。具体的には、貫通孔69a~69cは、係合ピン62の外径よりもわずかに大きい直径を有している。ケーシング本体64の内側には、係合ピン62及び解除機構63が収容されている。
【0071】
取付フランジ部65は、上下方向に長い長孔である取付孔70を複数(図示の例では2つ)備えている。
【0072】
面格子側ロック部材52(ケーシング61)は、
図9に示すように、取付孔70を挿通した取付ねじ71を、左右の縦框閉塞片35a、35bのそれぞれの上端部に対して螺合することにより、縦框閉塞片35a、35bに固定されている。具体的には、面格子本体14の閉鎖状態で、面格子側ロック部材52は、窓枠側ロック部材51を構成する係合板部56の下方に固定されており、係合板部56の下側面とケーシング本体64を構成する上板66の上側面とを近接対向させている。これにより、窓装置2に対する面格子本体14の上方への相対移動を防止し、軸受部40の係合凹部42から枢軸47が抜け出ることを防止している。面格子側ロック部材52は、取付ねじ71が取付孔70の内側で移動できる範囲で、縦框閉塞片35a、35bに対する上下位置の調節が可能である。
【0073】
(面格子側係合部)
面格子側係合部に相当する係合ピン62は、係合孔57の内径よりも小さな外径を有する、断面円形状の棒状部材である。係合ピン62は、中心軸を上下方向に向けて配置した状態で、ケーシング本体64の内側に支持されている。また、面格子本体14の閉鎖状態で、係合ピン62と係合孔57とは、同軸に配置されている。係合ピン62は、後述するように解除機構63によって下方向に可動される可動部材である。
【0074】
係合ピン62は、窓枠側ロック部材51を構成する係合孔57に対して挿入出可能な、上端部を有している。
【0075】
図9の(A)及び
図12の(A)に示すように、平常時において、係合ピン62の上端部は、ケーシング本体64の上板66の貫通孔69aから上方に大きく突出しており、係合孔57に下方から挿入され、係合孔57と屋内外方向に係合している。本例のロック装置16は、係合ピン62の上端部と係合孔57との屋内外方向の係合により、面格子本体14が揺動開放することを防止し、面格子本体14を閉鎖位置にロックする。
【0076】
係合ピン62の上端部以外の部分は、ケーシング本体64の内側に配置され、ケーシング本体64に支持されている。具体的には、係合ピン62の上端寄り部分は、上板66に備えられた貫通孔69aに挿通支持されており、係合ピン62の下端寄り部分は、中間板68に備えられた貫通孔69cに挿通支持されている。これにより、係合ピン62に作用する荷重にかかわらず、係合ピン62が傾斜することを防止している。
【0077】
図9の(B)及び
図12の(B)に示すように、火災発生時に、後述する解除機構63が作動すると、係合ピン62は下方向へと可動される。すると、係合ピン62の上端部は、係合孔57から下方へと挿出し、係合ピン62の上端部と係合孔57との屋内外方向の係合は解除される。これにより、ロック装置16のロックが解除される。
【0078】
(解除機構)
解除機構63は、火災発生時に、ロック装置16のロックを解除する機能を有する。具体的には、解除機構63は、係合ピン62を、係合ピン62の上端部と係合孔57との屋内外方向の係合を解除可能な方向である、下方向に可動する。そして、係合ピン62の上端部を係合孔57から挿出する(引き抜く)ことで、係合孔57と係合ピン62との屋内外方向の係合を解除する。
【0079】
解除機構63は、
図12に示すように、弾性部材である圧縮ばね72と、融解部材73とを有する。
【0080】
圧縮ばね72は、係合ピン62の中間部の周囲に配置されている。別の言い方をすれば、係合ピン62は、圧縮ばね72を挿通している。また、圧縮ばね72は、上板66の下側面と係合ピン62の中間部に係止された止め輪74との間に、圧縮変形した状態で挟持されている。これにより、圧縮ばね72は、止め輪74を介して、係合ピン62に下向きの力を付与している。
【0081】
融解部材73は、低融点合金製で、ロック装置16を構成するその他の部材に比べて低い融点を有している。融解部材73は、所定温度(例えば60℃~120℃程度)に達すると融解する特性を有しており、温度センサとして機能する。
【0082】
融解部材73は、ハット形状を有しており、融解する以前の状態では、下板67の貫通孔69bを上方から塞いでいる。これにより、融解部材73は、圧縮ばね72から係合ピン62に付与される力によって、係合ピン62が下方向に移動するのを阻止している。つまり、融解部材73は、下板67の貫通孔69bを塞ぐ、蓋として機能している。
【0083】
融解部材73は、貫通孔69bの内側に配置された挿入部75と、挿入部75の上端部に備えられた、貫通孔69bの内径よりも大きな外径を有する蓋体76とからなる。蓋体76の上面には、係合ピン62の下端部が圧縮ばね72により弾性的に押し付けられている。
【0084】
本例では、融解部材73を構成する挿入部75を貫通孔69bに挿入し、挿入部75の先端部を、ケーシング61から外部に露出させている。このため、火災発生時における温度上昇を検知し易く、室内で火災が発生した場合にも、融解部材73の温度を、窓装置2の屋外側近傍の温度に、より早くかつ正確に近づけることができる。
【0085】
解除機構63は、係合ピン62の下方への移動量を規制するためのストッパ(止め輪)77をさらに備える。ストッパ77は、係合ピン62の中間部に係止されており、融解部材73が融解し、係合ピン62が下方に移動する際に、中間板68の上面に当接して、係合ピン62の下方への移動量を規制する。
【0086】
図12の(B)に示すように、火災発生時に、融解部材73が所定温度に達することで融解すると、圧縮ばね72の力により、係合ピン62は下方向に可動される。そして、係合ピン62の下端部は、融解部材73を突き抜け、下板67の貫通孔69bから下方に突出する。これにより、係合ピン62の上端部は、係合孔57から下方へと挿出し、係合ピン62の上端部と係合孔57との屋内外方向の係合が解除される。
【0087】
〈付勢部材〉
本例の防火面格子1は、ロック装置16のロックを解除した際に、面格子本体14が自動的に揺動開放するように面格子本体14を屋外側に向けて付勢するための、付勢部材59をさらに備える。本例では、付勢部材59を圧縮コイルばねにより構成している。そして、付勢部材59を、固定ねじ60を用いて、窓枠側ロック部材51を構成する台座部58の屋外側面に固定している。
【0088】
付勢部材59は、ロック装置16により面格子本体14を閉鎖位置にロックした状態では、台座部58の屋外側面と、面格子本体14を構成する左右の縦框本体34a、34b(縦框閉塞片35a、35bの屋外側端部)の屋内側面との間で圧縮されている。
【0089】
解除機構63が作動し、係合ピン62の上端部と係合孔57との屋内外方向の係合が解除されると、付勢部材59による付勢力により、左右の縦框本体34a、34bが屋外側に押し出され、面格子本体14が自動的に揺動開放する。
なお、本発明を実施する場合には、面格子本体14の重心位置を調節する(例えば上部の屋外側に重心を配置する)などにより、付勢部材を省略することもできる。
【0090】
〈角度規制手段〉
本例の防火面格子1は、面格子本体14の開放角度(開度)を規制するために、面格子本体14と窓枠側ロック部材51との間に、角度規制手段78をさらに備えている。
【0091】
角度規制手段78は、
図9の(B)に示すように、所定長さに切断されたワイヤから構成されており、その両端部を、面格子本体14を構成する左右の縦框23a、23b(縦框閉塞片35a、35b)の上部と、窓枠側ロック部材51とに、それぞれ固定している。したがって、面格子本体14が揺動開放すると、面格子本体14と窓枠側ロック部材51との間で、角度規制手段78が突っ張り、面格子本体14の開放角度を規制する。面格子本体14の開放角度は、ワイヤの長さを変更することにより変更可能であり、開放角度をどの程度の大きさに規制するかは、面格子本体14の屋外側(廊下)の環境などに基づき適宜決定することができ、例えば10度~40度程度(本例では10度)に規制することができる。
【0092】
以上のような本例の防火面格子1によれば、すべてのルーバ18を全閉にした状態で、室内で火災が発生した場合にも、窓装置2からの放熱を遮らないようにすることができる。
すなわち、本例の防火面格子1は、室内で火災が発生し、ロック装置16に備えられた融解部材73が所定温度に達すると、融解部材73が融解し、係合ピン62を下方向へと可動させる。そして、係合孔57と係合ピン62の上端部との屋内外方向の係合を自動的に解除し、面格子本体14を、枢軸47を中心として揺動開放させることができる。その際、面格子本体14は、屋外側枠体24と屋内側枠体25とが一体になっているため、窓枠側ブラケット15と窓枠側ロック部材51とが、窓枠2に残った状態となる。したがって、本例の防火面格子1によれば、窓装置2からの放熱を妨げないようにすることができる。この結果、すべてのルーバ18を全閉にした状態で、室内で火災が発生した場合にも、窓装置2からの放熱を遮らないようにすることができる。
【0093】
特に本例では、火災発生時に、いわゆる外倒し窓のように面格子本体14を揺動開放させて、窓装置2の上部と面格子本体14の上部との間を広く開口させられるため、上昇する高温の空気を、効率良く外部に逃がすことができる。このため、窓装置2からの放熱を、効果的に行わせることができる。また、融解部材73を、面格子本体14を構成する縦框23a、23bの上端部に配置しているため、下框22などに配置した場合に比べて、融解部材73の温度を上昇させやすくすることができる。
【0094】
本例では、ロック装置16を、窓枠側ロック部材51と、解除機構63を備えた面格子側ロック部材52との2つの部品のみから構成している。このため、ロック装置16の部品点数を少なく抑えることができる。したがって、ロック装置16に関して、取付工数の低減、及び、取付作業の作業性の向上を図ることができる。
【0095】
また、解除機構63を構成する融解部材73に、温度センサとしての機能と、ケーシング61の貫通孔69cを塞ぐ蓋としての機能を持たせているため、解除機構63を備えた面格子側ロック部材52を、少ない部品点数でコンパクトに構成できる。したがって、コストの低減を図れるとともに、防火面格子1の室内側からの意匠性を向上することができる。
【0096】
また、窓枠側ロック部材51に備えられた係合孔57の中心軸と、面格子側ロック部材52に備えられた係合ピン62の中心軸とを、上下方向に向けて配置し、かつ、解除機構による係合ピン62の可動方向を、中心軸の方向と一致する下向きとしているため、ロック装置16の屋外内方向の寸法を小さくできる。このため、防火面格子1の屋外側への張出量を抑えることができる。
【0097】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、
図13~
図18を用いて説明する。
【0098】
本例では、1対のロック装置16aの構造のみを、実施の形態の第1例の構造から変更している。面格子本体14及び窓枠側ブラケット15の構造については、実施の形態の第1例の構造と同じである。
【0099】
本例のロック装置16aは、窓枠側ロック部材51aと面格子側ロック部材52aとの2つの部品から構成されている。
【0100】
《窓枠側ロック部材》
本例の窓枠側ロック部材51aは、左右の窓縦枠8a、8bのそれぞれの上端部に取り付けられており、窓縦枠8a、8bに比べて上下寸法の小さいピース状に構成されている。
【0101】
窓枠側ロック部材51aは、
図16に示すように、略コ字形に屈曲した板状部材であり、屋内外方向に伸長した持ち出し板部53と、持ち出し板部53の屋内側の端部から面内方向に関して外側に略直角に折れ曲がった、取付部54とを有している。取付部54には、面内方向に関して外側が開口した係止溝55が備えられている。窓縦枠8a、8bに対する窓枠側ロック部材51aの取付構造は、実施の形態の第1例にかかる窓枠側ロック部材51の取付構造と同じである。
【0102】
(窓枠側係合部)
窓枠側ロック部材51aは、窓枠側係合部に相当する、係合板部56aを備えている。係合板部56aは、持ち出し板部53の屋外側の端部に、面内方向に関して内側に略直角に折り曲げられるように備えられている。係合板部56aは、窓枠側ロック部材51aを窓縦枠8a、8bに取り付けた状態で、両側面を屋内外方向に向けて配置されている。係合板部56aの下部には、係合板部56aを屋内外方向に貫通した、係合孔57aが備えられている。このため、係合孔57aの中心軸は、屋内外方向を向いて配置されている。係合孔57aは、奥部(上端部)が凹円弧状になった半長円形状を有し、係合板部46aの下端部に開口した切り欠き孔である。ただし、本発明を実施する場合に、係合孔の形状は、適宜変更することができる。
【0103】
本例の窓枠側ロック部材51aには、前述した実施の形態の第1例の構造のように、面格子本体14を屋外側に向けて付勢するための、付勢部材は取り付けられていない。本例では、後述のように、付勢部材59を面格子側ロック部材52aに取り付けている。
【0104】
(面格子側ロック部材)
本例の面格子側ロック部材52aは、左右の縦框23a、23bのそれぞれの上端部に取り付けられている。
【0105】
面格子側ロック部材52aは、
図17及び
図18に示すように、ケーシング61aと、面格子側係合部に相当する係合ピン62aと、解除機構63aとを有する。
【0106】
(ケーシング)
ケーシング61aは、略コ字形の断面形状を有するケーシング本体64aと、平板状の取付フランジ部65とを有しており、左右の縦框閉塞片35a、35bのそれぞれの面内方向内側の側面に固定されている。
【0107】
ケーシング本体64aは、面内方向両側に配置された1対の側板部79と、1対の側板部79の屋外側の端部同士をつなぐ前板部80とを有する。1対の側板部79の互いに対向する内側面には、屋内側係止溝81と屋外側係止溝82とが、上下方向の全長にわたり備えられている。前板部80の上下方向中間部には、上下方向に長い長孔であるガイド孔83が備えられている。ガイド孔83の面内方向に関する幅寸法は、係合ピン62aを構成する後述の軸部84の外径よりもわずかに大きく、ガイド孔83の上下方向の長さ寸法は、係合ピン62aを構成する軸部84の外径よりも十分に大きい。ケーシング本体64aの内側には、係合ピン62aの屋外側部分及び解除機構63aが収容されている。
【0108】
窓縦枠8a、8bに対する面格子側ロック部材52a(ケーシング61a)の取付構造は、実施の形態の第1例にかかる面格子側ロック部材52の取付構造と同じである。また、面格子側ロック部材52aを、縦框閉塞片35a、35bのそれぞれの上端部に固定した状態で、ガイド孔83の上半部を、窓枠側ロック部材51aを構成する係合孔57aに対して、屋内外方向に対向させている。別の言い方をすれば、ガイド孔83の下半部は、係合孔57aから下方に外れた部分に位置させている。
【0109】
(面格子側係合部)
面格子側係合部に相当する係合ピン62aは、頭部を備えたねじ(トラスねじ)により構成されている。係合ピン62aは、中心軸を屋内外方向に向けて配置されている。係合ピン62aは、軸方向中間部に配置された円柱状の軸部84と、屋内側の端部に配置された外向フランジ状の係合鍔部85と、屋外側の端部に配置された雄ねじ部86とを有する。また、面格子本体14の閉鎖状態で、係合ピン62aと係合孔57aとは、同軸に配置されている。係合ピン62aは、後述するように解除機構63aによって下方向に可動される(平行移動させられる)可動部材である。
【0110】
係合ピン62aは、ガイド孔83を通じてケーシング本体64aの内側に挿入した雄ねじ部86を、解除機構63aを構成する後述の可動板87に対してねじ止め固定することで、該可動板87に固定されている。係合ピン62aを可動板87に固定した状態で、軸部84及び係合鍔部85は、前板部80よりも屋内側に配置されている。軸部84は、係合孔57aに対して挿入出可能である。
【0111】
平常時において、係合ピン62aは、ガイド孔83の上端部に位置しており、係合ピン62aのうちの軸部84を係合孔57aに下方から挿入している。これにより、係合ピン62aのうちの係合鍔部85を、係合板部56aのうちで係合孔57aの周縁部に存在する部分に対して屋内外方向に係合させている。本例のロック装置16aは、係合ピン62aの係合鍔部85と係合板部56aとの屋内外方向の係合により、面格子本体14が揺動開放することを防止し、面格子本体14を閉鎖位置にロックする。
【0112】
火災発生時に、後述する解除機構63aが作動すると、係合ピン62aは、下方向へと可動され、ガイド孔83の下端部へと移動する。すると、係合ピン62aの軸部84は、係合孔57aから下方へと挿出し、係合鍔部85と係合板部56aとの屋内外方向の係合は解除される。これにより、ロック装置16aのロックが解除される。
【0113】
(解除機構)
解除機構63aは、火災発生時に、ロック装置16aのロックを解除する機能を有する。具体的には、解除機構63aは、係合ピン62aを、係合鍔部85と係合板部56aとの屋内外方向の係合を解除可能な方向である、下方向に可動する。そして、軸部84を係合孔57aから挿出する(引き抜く)ことで、係合鍔部85と係合板部56aとの屋内外方向の係合を解除する。
【0114】
解除機構63aは、
図18に示すように、可動板87と、固定板88と、弾性部材である圧縮ばね72aと、融解部材73aとを有する。
【0115】
可動板87は、矩形板状に構成されており、ケーシング本体64aに備えられた屋内側係止溝81の内側に配置されている。可動板87の下部には、上向き凸状の下側係止部89が備えられている。可動板87の上端部は、融解部材73aを介して、ケーシング本体64aに固定されている。このため、可動板87は、融解部材73aが溶断する以前の状態では、ケーシング本体64aに対する相対変位が不能であるが、火災発生時に、融解部材73aが溶断すると、ケーシング本体64aに対する相対変位が可能になる。具体的には、可動板87は、屋内側係止溝81aに沿って下方への移動が可能になる。
【0116】
固定板88は、矩形板状に構成されており、ケーシング本体64aに備えられた屋外側係止溝82の内側に配置され、固定ねじ90を用いてケーシング本体64aに固定されている。固定板88の下部には、下向き凸状の上側係止部91が備えられている。なお、本発明を実施する場合には、ケーシング本体の一部に、上側係止部を直接設けることで、固定板を省略することもできる。
【0117】
圧縮ばね72aは、可動板87と固定板88との間に配置されている。具体的には、圧縮ばね72aの下端部に下側係止部89を挿入係止し、圧縮ばね72aの上端部に上側係止部91を挿入係止することで、圧縮ばね72aを、可動板87と固定板88との間に、圧縮変形した状態で挟持している。これにより、圧縮ばね72aは、可動板87を介して、係合ピン62aに下向きの力を付与している。
【0118】
融解部材73aは、低融点合金製の温度ヒューズであり、所定温度(例えば60℃~120℃程度)に達すると溶断する特性を有する。
図18の(A)に示すように、融解部材73aは、平板状に構成されており、可動板87の上部とケーシング本体64aとの間に掛け渡すようにねじ止め固定されている。これにより、融解部材73aは、圧縮ばね72aから係合ピン62aに付与される力によって、係合ピン62aが下方向に移動するのを阻止している。なお、融解部材73aは、その全体が温度ヒューズでなくても良い。所定温度に達したときに溶断可能であれば、融解部材73aの一部分に温度ヒューズが用いられていても良い。その際、両側の端部に銅系合金などを用いても良い。
【0119】
図18の(B)に示すように、火災発生時に、融解部材73aが所定温度に達することで溶断すると、圧縮ばね72aの力により、可動板87がケーシング本体64aに対して下方に移動し、係合ピン62aが下方向へ可動される。これにより、係合ピン62aの軸部84は、係合孔57aから下方へと挿出し、係合鍔部85と係合板部56aとの屋内外方向の係合が解除される。なお、本例では、係合ピン62aの下方向への移動は、ガイド孔83の下端部との係合によって規制することができる。
【0120】
本例では、付勢部材59を、面格子側ロック部材52aを構成するケーシング本体64aに固定している。具体的には、付勢部材59を、前板部80の屋内側面のうち、ガイド孔83の上方に位置する部分に、固定ねじ60を用いて固定している。付勢部材59は、ロック装置16aにより面格子本体14を閉鎖位置にロックした状態では、前板部80の屋内側面と、窓枠側ロック部材51aを構成する係合板部56aの屋外側面の上部との間で圧縮されている。このため、解除機構63aが作動すると、面格子本体14を自動的に揺動開放させることができる。
【0121】
以上のような構成を有する本例では、ケーシング本体64aの内側に、係合ピン62aを、中心軸を上下方向に向けて配置する必要がないため、ケーシング本体64aの屋内外方向に関する寸法を小さくできる。
【0122】
また、融解部材73aとして、板状の温度ヒューズを使用しているため、融解部材73aを安価に構成することができる。このため、ロック装置16aの低コスト化を図ることができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0123】
[実施の形態の第3例]
実施の形態の第3例について、
図19~
図22を用いて説明する。
【0124】
本例では、面格子本体14の下部を揺動自在に支持する部分の構造を、実施の形態の第1例の構造から変更している。具体的には、窓枠側ブラケット15a及び面格子側ブラケット20aの構造を、実施の形態の第1例の構造から変更している。面格子本体14及びロック装置16の構造については、実施の形態の第1例の構造と同じである。
【0125】
実施の形態の第1例及び第2例の構造においては、面格子本体14を揺動開放させた際に、窓装置2の上部と面格子本体14の上部との間部分のみを開口させる。このため、窓装置2からの放熱性を向上する面からは、面格子本体14の開放角度を大きくすることが有利になる。ただし、共用廊下に面した位置に設置された防火面格子1などにおいては、面格子本体14の開放角度を十分に大きくすることが難しい場合がある。
【0126】
そこで本例では、窓枠側ブラケット15a及び面格子側ブラケット20aの構造を変更することで、面格子本体14を揺動開放させた際に、窓装置2の上部と面格子本体14の上部との間を開口させるだけでなく、窓装置2の下部と面格子本体14の下部との間を開口させる機能を付加する。つまり、窓枠側ブラケット15a及び面格子側ブラケット20aにより、面格子本体14の下部スライド機構を構成する。これにより、窓装置2からの放熱性の向上を図る。
【0127】
〈窓枠側ブラケット〉
窓枠側ブラケット15aは、
図19に示すように、略平板状の板状部材であり、窓縦枠8a、8bのそれぞれの下端部に取り付けられている。窓枠側ブラケット15aは、窓縦枠8a、8bに比べて上下寸法の小さいピース状に構成されている。窓枠側ブラケット15は、面格子本体14を構成する屋内側枠体25よりも、屋内外方向に関する寸法が大きい。1対の窓枠側ブラケット15aは、それぞれ左右対称の形状を有しており、面内方向に離隔して互いに平行に配置されている。
【0128】
窓枠側ブラケット15aは、略L字形状を有する持ち出し板部44aと、持ち出し板部44aの屋内側の端部に備えられた取付部45とを有する。
【0129】
持ち出し板部44aは、屋内外方向に伸長した下板部92と、下板部92の屋内側の端部から上側に向けて伸長した縦板部93とを有する。
【0130】
下板部92は、屋外側端部の下部に、屋外側に開口した屋外側開口係合凹部94を有している。屋外側開口係合凹部94は、奥部(屋内側端部)が凹円弧状になった半長円形状を有している。屋外側開口係合凹部94の直線状の下辺95は、屋外側に向かうほど下側に向かう方向に傾斜している。
【0131】
下板部92は、屋外側端部の上部に、屋内側に開口した屋内側開口係合凹部96を有している。屋内側開口係合凹部96は、奥部(屋外側端部)が凹円弧状になった半長円形状を有している。本例では、このような屋内側開口係合凹部96を形成するために、下板部92の屋外側端部の上端部に、略L字形状を有する鉤部97を設けている。
【0132】
下板部92の上端縁には、屋外側に向かうほど下側に向かう方向に傾斜した傾斜案内部98が備えられている。水平面に対する傾斜案内部98の傾斜角度は、例えば5度~30度程度(本例では15度)とすることができる。傾斜案内部98の屋内側の端部には、下方に向けて凹み、かつ、上側に開口した上側開口保持凹部99が備えられている。上側開口保持凹部99は、凹円弧形状を有している。傾斜案内部98の屋外側の端部は、屋内側開口係合凹部96の下辺に滑らかにつながっている。
【0133】
縦板部93の屋外側端縁には、屋外側開口係合凹部94の中心軸を中心として円弧状に湾曲したガイド部100が備えられている。ガイド部100の下端部は、上側開口保持凹部99の屋内側端部に滑らかにつながっている。
【0134】
〈面格子側ブラケット〉
面格子側ブラケット20aは、
図20に示すように、板状部材であり、クランク状に屈曲した基板部39aと、屋外側枢軸101と、屋内側枢軸102とを有する。
【0135】
基板部39aは、下側半部が上側半部に対して平行にかつ面内方向外側に位置するように、クランク状に屈曲している。基板部39aの上側半部には、複数(図示の例では2つ)の通孔41aが備えられている。
【0136】
屋外側枢軸101及び屋内側枢軸102は、それぞれ円柱形状を有しており、基板部39aを構成する下側半部に備えられている。具体的には、屋外側枢軸101は、基板部39aの下側半部の屋外側端部の下部に備えられている。また、屋内側枢軸102は、基板部39aの下側半部の屋内側端部の上部に備えられている。屋外側枢軸101及び屋内側枢軸102は、基板部39aの下側半部の面内方向に関する外側面から水平方向に突出している。このため、屋外側枢軸101及び屋内側枢軸102のそれぞれの中心軸は、水平に配置されている。
図21の(A)に示すように、面格子本体14の閉鎖状態で、屋外側枢軸101は、ロック装置16よりも屋外側に配置されており、屋内側枢軸102は、ロック装置16の下方に配置されている。
【0137】
屋外側枢軸101は、面格子本体14の揺動動作開始時の揺動中心となる。一方、屋内側枢軸102は、面格子本体14が屋外側へスライド移動する際の摺動部となり、かつ、面格子本体14の揺動動作終了後における支持軸となる。
【0138】
屋外側枢軸101及び屋内側枢軸102のそれぞれの先端部には、外向フランジ状の抜け止め鍔部49a、49bが備えられている
【0139】
面格子側ブラケット20aは、基板部39aの上側半部に備えられた通孔41aを挿通したねじ43aを、屋内側枠体25を構成する左右の縦框閉塞片35a、35bの面内方向に関する外側面の下端部に対し螺合することにより、縦框閉塞片35a、35bに固定されている。
【0140】
なお、本発明を実施する場合には、面格子側ブラケットを省略し、屋外側枢軸及び屋内側枢軸を、面格子本体の框枠体に直接設けることもできる。
【0141】
図21の(A)及び
図22の(A)に示すように、面格子本体14の閉鎖状態では、屋外側枢軸101を屋外側開口係合凹部94に対して回動可能に係合させ、かつ、屋内側枢軸102を上側開口保持凹部99に対して係合させておく。
【0142】
〔面格子本体の揺動スライド動作〕
本例では、
図22の(A)→(B)に示すように、ロック装置16の解除機構63が作動した際に、屋外側枢軸101を揺動中心として、面格子本体14の揺動動作を開始させる。具体的には、屋外側枢軸101を揺動中心として、屋内側枢軸102が上側開口保持凹部99から上側に抜け出る方向へと、面格子本体14を揺動させる。この際、屋内側枢軸102は、ガイド部100に沿って上側かつ屋外側に移動する。
【0143】
図22の(B)→(C)に示すように、面格子本体14の揺動動作が進行する(開放角度が大きくなる)と、面格子本体14の自重によって、屋外側枢軸101が、屋外側開口係合凹部94の下辺95に沿って、屋外側開口係合凹部94から屋外側に抜け出る。同時に、屋内側枢軸102が、上側開口保持凹部99から上側に抜け出し、傾斜案内部98に対して係合する。
【0144】
図22の(C)に示すように、屋外側枢軸101が屋外側開口係合凹部94から脱落し、かつ、屋内側枢軸102が傾斜案内部98に対して係合した状態になると、屋内側枢軸102を傾斜案内部98に沿って屋外側へ摺動させることで、面格子本体14は、自重によって、屋外側へとスライド移動する。面格子本体14のスライド移動は、
図22の(D)に示すように、屋内側枢軸102が屋内側開口係合凹部96に対して係合するまで行われる。つまり、屋内側開口係合凹部96は、面格子本体14のスライド移動のストッパとして機能する。
【0145】
屋内側枢軸102が屋内側開口係合凹部96に係合した時点で、角度規制手段78を構成するワイヤに撓みが残っていれば、面格子本体14は、屋内側枢軸102を揺動中心としてさらに揺動する。これに対して、角度規制手段78を構成するワイヤに撓みが残っていなければ、面格子本体14の揺動動作は行われない。
【0146】
図21の(B)及び
図22の(D)に示すように、屋内側枢軸102が屋内側開口係合凹部96に対して係合し、面格子本体14のスライド移動及び揺動動作が停止した状態で、面格子本体14は、屋内側枢軸102を支持軸として、窓枠側ブラケット15aに対して支持される。また、面格子本体14を構成する下框22と窓下枠7との間は広く開口する。
【0147】
以上のような構成を有する本例では、窓枠側ブラケット15a及び面格子側ブラケット20aの構造を変更することで、面格子本体14を揺動開放させた際に、窓装置2の上部と面格子本体14の上部との間を開口させるだけでなく、窓装置2の下部と面格子本体14の下部との間を開口させることができる。したがって、窓装置2からの放熱性の向上を図るとともに、火災により窓装置2から発生する可燃ガスの滞留を防止することができる。
【0148】
また、傾斜案内部98の全長を変更することで、下框22と窓下枠7との開口部の広さを自由に設定することができる。さらに、傾斜案内部98の傾斜角度を変更することで、面格子本体14のスライド動作に要する時間を調節することもできる。
【0149】
また、屋外側枢軸101及び屋内側枢軸102のそれぞれの先端部に、外向フランジ状の抜け止め鍔部49a、49bを設けているため、屋外側枢軸101及び屋内側枢軸102が、窓枠側ブラケット15aの各部から不用意に脱落することを防止できる。
【0150】
なお、本例の窓枠側ブラケット15a及び面格子側ブラケット20aから構成される下部スライド機構は、実施の形態の第1例及び第2例の防火面格子に適用できることは勿論、例えば火災発生時に、面格子本体の上部と窓装置の上部との間のみを開口させる構造を備えた、その他の防火面格子と組み合わせて実施することもできる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0151】
[実施の形態の第4例]
【0152】
実施の形態の第4例について、
図23~
図28を用いて説明する。
【0153】
本例では、面格子本体14a及び1対の窓枠側ブラケット15bの構造を、実施の形態の第1例の構造から変更している。これにより、火災発生時に、面格子本体14aを自動的に揺動開放させるだけでなく、窓装置2aのメンテナンスなどを行う際に、面格子本体14aを手動で開放することが可能である。ロック装置16の構造については、実施の形態の第1例の構造と同じである。
【0154】
〈窓枠側ブラケット〉
窓枠側ブラケット15bは、
図23及び
図26に示すように、略コ字形に屈曲した板状部材であり、窓縦枠8a、8bのそれぞれの下端部に取り付けられている。窓枠側ブラケット15bは、窓縦枠8a、8bに比べて上下寸法の小さいピース状に構成されている。1対の窓枠側ブラケット15bは、それぞれ左右対称の形状を有しており、面内方向に離隔して互いに平行に配置されている。
【0155】
窓枠側ブラケット15bは、屋内外方向に伸長した矩形平板状の持ち出し板部44と、持ち出し板部44の屋内側の端部に備えられた取付部45と、持ち出し板部44の屋外側の端部から面内方向に関して内側に略直角に折れ曲がった固定板部103とを有する。
【0156】
〈面格子本体〉
面格子本体14aは、矩形枠状に構成された框枠体17aと、框枠体17aの内側に開閉可能に支持された複数のルーバ18とを備えている。本例の面格子本体14aは、実施の形態の第1例の構造とは異なり、網戸を備えていない。本例では、
図24に示すように、窓装置2aに網戸障子104を備えている。網戸障子104は、窓枠3のうちで、外障子5が建て込まれた部分よりもさらに屋外側部分に、面内方向に関する移動が可能に建て込まれている。
【0157】
《框枠体》
框枠体17aは、上框21aと、下框22aと、左右の縦框23c、23dとを有しており、屋外側に配置された矩形枠状の屋外側枠体24と、屋内側に配置された左右の屋内側側板105a、105bとからなる。
【0158】
屋外側枠体24の内側には、ルーバ18が配置されている。屋内側側板105a、105bは、ルーバ18と窓装置2aとの間に存在する空間の左右両側を塞いでおり、屋外側からの遮視性を向上させている。
【0159】
上框21aは、アルミニウム合金製の上框本体26のみからなる。また、下框22aは、アルミニウム合金製の下框本体30のみからなる。上框本体26及び下框本体30の構造は、実施の形態の第1例の構造とほぼ同じである。
【0160】
縦框23c、23dは、それぞれがアルミニウム合金製である、縦框本体34a、34bと、縦框補助片106a、106bとを有する。縦框本体34a、34bは、屋外側枠体24の左右の縦辺を構成し、縦框補助片106a、106bは、屋内側側板105a、105bを構成する。縦框本体34a、34bの構造についても、実施の形態の第1例の構造とほぼ同じである。
【0161】
縦框補助片106a、106bは、略L字形の断面形状を有する板状部材であり、縦框本体34a、34bとほぼ同じ全長(上下寸法)を有している。縦框補助片106a、106bは、屋内外方向に伸長した覆板部107と、覆板部107の屋外側端部から面内方向に関して内側に略直角に折れ曲がった、取付板部108とを有している。取付板部108の屋内側面には、ロック装置16を構成する面格子側ロック部材52が取り付けられている。
【0162】
本例では、縦框補助片106a、106bのそれぞれの上端部を、縦框本体34a、34bのそれぞれの上端部に対して揺動可能に支持している。具体的には、縦框補助片106a、106bを構成する取付板部108の上端部と、縦框本体34a、34bの屋内側面の上端部とを、上部丁番109を利用して互いに連結している。
【0163】
これにより、
図27に示すように、窓装置2aのメンテナンス作業時に、いわゆる突き出し窓のように、面格子本体14aの上部に配置された揺動軸を中心として、面格子本体14を構成する屋外側枠体24を揺動開放させられるようにしている。この際、屋外側枠体24は、上端が揺動端となり、下端が遊端となる。また、縦框補助片106a、106bは、窓枠2に残った状態になる。
【0164】
メンテナンスを行う場合以外は、縦框補助片106a、106bと縦框本体34a、34bとを、図示しない固定ねじにより固定している。このため、メンテナンス作業者は、前記固定ねじを取り外してはじめて、面格子本体14aを構成する屋外側枠体24を揺動開放させることが可能になる。これにより、網戸障子104の交換や、ガラスパネル10a、10bの清掃などを行うことができる。
【0165】
本例では、縦框補助片106a、106bのそれぞれの下端部を、窓枠側ブラケット15bに対して揺動可能に連結支持している。具体的には、縦框補助片106a、106bを構成する取付板部108の下端部と、窓枠側ブラケット15bを構成する固定板部103とを、下部丁番110を利用して互いに連結している。
【0166】
これにより、
図28に示すように、火災発生時に、いわゆる外倒し窓のように、面格子本体14aの下部に配置された揺動軸を中心として、面格子本体14aを揺動開放させられるようにしている。この際、面格子本体14aは、下端が揺動端となり、上端が遊端となる。このように面格子本体14aが揺動開放する際には、縦框補助片106a、106bは、屋外側枠体24と一体になっている。よって、窓枠側ロック部材51と窓枠側ブラケット15bとが、窓枠2aに残った状態となる。このように本例では、火災発生時とメンテナンス作業時とで、面格子本体14aの開放パターンが異なる。
【0167】
以上のような構成を有する本例では、縦框本体34a、34bの上端部と縦框補助片106a、106bの上端部とを、上部丁番109を利用して互いに連結しているため、いわゆる突き出し窓のように、面格子本体14aを構成する屋外側枠体24を揺動開放させて、窓装置2aのメンテナンス作業を行うことができる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例の構造と同じである。
【0168】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、発明の技術思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、実施の形態の各例の構造は、矛盾を生じない限り、適宜組み合わせて実施することができる。
【0169】
本発明は、実施の形態の各例に限定されない。例えばロック装置を構成する窓枠側ロック部材及び面格子側ロック部材の構造は、適宜変更することができる。窓枠側係合部及び面格子側係合部についても、係合孔及び係合ピンに限定されず、例えば鉤形状を有するものなど、その他の構造に適宜変更することができる。また、解除機構の構造についても、適宜変更することができる。また、解除機構は、窓枠側ロック部材にのみ設けることもできるし、面格子側ロック部材と窓枠側ロック部材との両方に設けることもできる。
【0170】
実施の形態では、面格子本体の開放角度を規制するための角度規制手段として、ワイヤを使用した場合について説明したが、角度規制手段の構造は特に限定されず、例えばすべり出し窓などに採用されているリンク機構を利用することもできるし、丁番として開き角度が規制できるものなどを利用することもできる。また、面格子本体を屋外側に向けて付勢するための付勢手段を、角度規制手段として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0171】
1 防火面格子
2、2a 窓装置
3 窓枠
4 内障子
5 外障子
6 窓上枠
7 窓下枠
8a、8b 窓縦枠
9a、9b 障子枠
10a、10b ガラスパネル
11a、11b 上部案内レール
12a、12b ローラ
13a、13b 下部案内レール
14、14a 面格子本体
15、15a 窓枠側ブラケット
16、16a ロック装置
17、17a 框枠体
18 ルーバ
19 網戸
20、20a 面格子側ブラケット
21 上框
22 下框
23a、23b 縦框
24 屋外側枠体
25 屋内側枠体
26 上框本体
27 上框閉塞片
28a、28b、28c 密封部材
29a、29b タッピングねじ
30 下框本体
31 下框閉塞片
32 下框係止部
33 下枠係止片
34a、34b 縦框本体
35a、35b 縦框閉塞片
37a、37b 支持ピン
38 クランクアーム
39 基板部
40 軸受部
41、41a 通孔
42 係合凹部
43 ねじ
44、44a 持ち出し板部
45 取付部
46 延出板部
47 枢軸
48 係止溝
49、49a、49b 抜け止め鍔部
50 縦枠係止片
51、51a 窓枠側ロック部材
52、52a 面格子側ロック部材
53 持ち出し板部
54 取付部
55 係止溝
56、56a 係合板部
57、57a 係合孔
58 台座部
59 付勢部材
60 固定ねじ
61、61a ケーシング
62、62a 係合ピン
63、63a 解除機構
64、64a ケーシング本体
65 取付フランジ部
66 上板
67 下板
68 中間板
69a~69c 貫通孔
70 取付孔
71 取付ねじ
72、72a 圧縮ばね
73、73a 融解部材
74 止め輪
75 挿入部
76 蓋体
77 ストッパ
78 角度規制手段
79 側板部
80 前板部
81 屋内側係止溝
82 屋外側係止溝
83 ガイド孔
84 軸部
85 係合鍔部
86 雄ねじ部
87 可動板
88 固定板
89 下側係止部
90 固定ねじ
91 上側係止部
92 下板部
93 縦板部
94 屋外側開口係合凹部
95 下辺
96 屋内側開口係合凹部
97 鉤部
98 傾斜案内部
99 上側開口保持凹部
100 ガイド部
101 屋外側枢軸
102 屋内側枢軸
103 固定板部
104 網戸障子
105a、105b 屋内側側板
106a、106b 縦框補助片
107 覆板部
108 取付板部
109 上部丁番
110 下部丁番