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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101172
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】通過検知センサ及び通過検知方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/00 20060101AFI20230712BHJP
   G01V 8/14 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
H01H35/00 V
G01V8/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001611
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000143031
【氏名又は名称】コーデンシ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友治
(72)【発明者】
【氏名】岸本 隆
(72)【発明者】
【氏名】楠原 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】板倉 雄大
【テーマコード(参考)】
2G105
5G055
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB16
2G105BB17
2G105CC03
2G105DD02
2G105EE01
2G105FF06
2G105HH04
5G055AA01
5G055AB03
5G055AC01
5G055AD08
5G055AD20
5G055AD29
5G055EG08
(57)【要約】
【課題】複雑な信号処理を要せず、材料コストを低減しながら、空間における未検知領域を低減する。
【解決手段】所定の空間を通過する物体を検知する通過検知センサであって、前記物体の通過方向から視て、前記空間に対向して設けられた一対のミラーと、前記一対のミラーの一方から他方に向かう方向に沿って前記空間に設けられた第3のミラーと、前記一対のミラー間で反射させながら前記第3のミラーに向わせるように前記空間に向けて光を出射する光源と、前記第3のミラーで折り返して前記一対のミラー間で反射しながら戻ってきた前記光源からの光をセンシングする受光素子とを備える通過検知センサである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間を通過する物体を検知する通過検知センサであって、
前記物体の通過方向から視て、
前記空間に対向して設けられた一対のミラーと、
前記一対のミラーの一方から他方に向かう方向に沿って前記空間に設けられた第3のミラーと、
前記一対のミラー間で反射させながら前記第3のミラーに向わせるように前記空間に向けて光を出射する光源と、
前記第3のミラーで折り返して前記一対のミラー間で反射しながら戻ってきた前記光源からの光をセンシングする受光素子とを備える通過検知センサ。
【請求項2】
前記一対のミラーの反射面が互いに平行であり、かつ前記第3のミラーの反射面が前記一対のミラーの反射面に対して垂直になっている請求項1に記載の通過検知センサ。
【請求項3】
前記光源から出射されて前記第3のミラーに向かう光の主光線の光路と、前記第3のミラーで反射されて前記受光素子に向かう光の主光線の光路が、前記一対のミラーのそれぞれの反射面から等距離にある平面上で交わるように構成された請求項2に記載の通過検知センサ。
【請求項4】
前記空間が前記一対のミラーの反射面と前記第3のミラーの反射面に三辺を囲まれた矩形状をなしている請求項2又は3に記載の通過検知センサ。
【請求項5】
前記光源が、前記一対のミラーの一方側から他方側に向けて光を入射させるように配置され、
前記受光素子が、前記一対のミラーの他方側から一方側に向かってきた光を受光するように配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載の通過検知センサ。
【請求項6】
前記第3のミラーが、前記通過方向から視て、前記一対のミラーの反射面に沿って進退可能に構成されている請求項1~5のいずれか一項に記載の通過検知センサ。
【請求項7】
前記光源がレーザ光を出射するように構成された請求項1~6のいずれか一項に記載の通過検知センサ。
【請求項8】
前記物体が錠剤である請求項1~7のいずれか一項に記載の通過検知センサ。
【請求項9】
所定の空間を通過する物体を検知する通過検知方法であって、
前記物体の通過方向から視て、
前記空間に対向するように一対のミラーを配置し、
前記一対のミラーの一方から他方に向かう方向に沿って前記空間に第3のミラーを配置し、
前記一対のミラー間で反射させながら前記第3のミラーに向わせるように前記空間に向けて光源から光を出射し、
前記第3のミラーで折り返して前記一対のミラー間で反射しながら戻ってきた前記光源からの光を受光素子でセンシングする通過検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の通過を検知する通過検知センサ及び通過検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば複数の錠剤を分包する錠剤分包機には、設定した個数の錠剤が誤りなく分包されるように、払い出されて落下してきた錠剤の通過を検知する通過検知センサが備わっている。このような通過検知センサとしては、錠剤が通過する空間を挟んで複数対の光源と受光素子を対向して設け、空間を錠剤が通過することによって生じる受光素子の受光量の変化をセンシングして物体の通過を検知するものが従来知られている(特許文献1の図8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登実3203793号公報
【特許文献2】特開2006-170793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記した複数対の光源と受光素子を設ける従来の通過検知センサでは、受光素子毎に出力の調整が必要であり、また外部回路での複雑な信号処理が必要となってしまう。また素子数が多いため製造コストが高くなってしまうという問題もある。
【0005】
特許文献2には、光源と受光素子を一対だけ備えており、空間に対向する一対のミラーを設け、光源から出射した光をミラー間で複数回反射させながら反射面に沿って進めて受光素子でセンシングするようにしたものが記載されている。しかしながらこの方式の通過検知センサでは、反射する光線間の隙間に未検知領域が生じるため、錠剤等の小さい物体の通過を精度よく検知することが難しいという問題がある。ミラーに対する光源からの光の入射角を小さくすることで光線間の隙間を狭めることが考えられるが、入射角を小さくしすぎると光源に戻ってしまうため限界がある。
【0006】
本発明はこのような問題を一挙に解決すべくなされたものであり、複雑な信号処理を要せず、材料コストを低減しながら、空間における未検知領域を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る通過検知センサは、所定の空間を通過する物体を検知するものであって、前記物体の通過方向から視て、前記空間に対向して設けられた一対のミラーと、前記一対のミラーの一方から他方に向かう方向に沿って前記空間に設けられた第3のミラーと、前記一対のミラー間で反射させながら前記第3のミラーに向わせるように前記空間に向けて光を出射する光源と、前記第3のミラーで折り返して前記一対のミラー間で反射しながら戻ってきた前記光源からの光をセンシングする受光素子とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成であれば、光源から出射された光を一対のミラー間で反射させながら第3のミラーへ向かわせ、この第3のミラーで反射して折り返させ、再び一対のミラー間で反射させながら戻ってくるようにしているので、光源から第3のミラーに向かう往路光と第3のミラーから受光素子に向かう復路光を空間内に張り巡らせることができ、光線間の隙間を狭めて未検知領域を小さくすることができる。しかも光源と受光素子とを複数対備える必要がないので、外部回路での複雑な信号処理を必要せず、また素子数も少なく製造コストをおさえることができる。
【0009】
前記通過検知センサは、前記一対のミラーの反射面が互いに平行であり、かつ前記第3のミラーの反射面が前記一対のミラーの反射面に対して垂直になっていることが好ましい。
このようにすれば、一対のミラーの反射面が互いに平行であるので、ミラー間で複数回反射する往路光及び復路光の反射角をそれぞれ等しくできる。さらに第3のミラーの反射面を一対のミラーの反射面に対して垂直にしているので、一対のミラーに対する往路光と復路光のそれぞれの反射角を互いに等しくすることができる。これにより、空間内に張り巡らせた往路光と復路光の間隔を等しくでき、光線間の隙間のムラを抑えて未検知領域をより一層小さくできる。
【0010】
また前記通過検知センサは、前記光源から出射されて前記第3のミラーに向かう光の主光線の光路と、前記第3のミラーで反射されて前記受光素子に向かう光の主光線の光路が、前記一対のミラーのそれぞれの反射面から等距離にある平面上で交わるように構成されているのが好ましい。
このようにすれば、往路光と復路光とが重複する領域を少なくできるので、未検知領域をより一層小さくすることができる。
【0011】
また前記通過検知センサの具体的態様としては、前記空間が前記一対のミラーの反射面と前記第3のミラーの反射面に三辺を囲まれた矩形状をなしているのが好ましい。
【0012】
また前記通過検知センサは、前記光源が、前記一対のミラーの一方側から他方側に向けて光を入射させるように配置され、前記受光素子が、前記一対のミラーの他方側から一方側に向かってきた光を受光するように配置されているのが好ましい。
このようにすれば、光源と受光素子を空間を挟んで設けるようにすることで、光源と受光素子を空間に対して同じ側に設ける場合に比べて、検知可能な空間面積を広げることができる。
【0013】
また前記通過検知センサは、前記第3のミラーが、前記通過方向から視て、前記一対のミラーの反射面に沿って進退可能に構成されているのが好ましい。
このようにすれば、通過検知センサの用途に応じて空間の面積を調整することが可能となり、ユーザ利便性を向上できる。
【0014】
また本発明の効果を顕著に奏する態様としては、前記光源がレーザ光を出射するように構成されているものが挙げられる。また本発明の効果を顕著に奏する態様としては、前記物体が錠剤であるものが挙げられる。
【0015】
また本発明の通過検知方法は、所定の空間を通過する物体を検知する通過検知方法であって、前記物体の通過方向から視て、前記空間に対向するように一対のミラーを配置し、前記一対のミラーの一方から他方に向かう方向に沿って前記空間に第3のミラーを配置し、前記一対のミラー間で反射させながら前記第3のミラーに向わせるように前記空間に向けて光源から光を出射し、前記第3のミラーで折り返して前記一対のミラー間で反射しながら戻ってきた前記光源からの光を受光素子でセンシングすることを特徴とする。
このような通過検知方法であれば、前記した本発明の通過検知センサと同様の作用効果を奏し得る。
【発明の効果】
【0016】
このようにした本発明によれば、複雑な信号処理を要せず、材料コストを低減しながら、空間における未検知領域を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の通過検知センサの構成を模式的に示す斜視図。
図2】同実施形態の通過検知センサの構成を模式的に示す平面図。
図3】他の実施形態の通過検知センサの構成を模式的に示す平面図。
図4】他の実施形態の通過検知センサの構成を模式的に示す平面図。
図5】他の実施形態の通過検知センサの構成を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の一実施形態に係る通過検知センサ100について図面を参照して説明する。
【0019】
本実施形態に係る通過検知センサ100は、例えば錠剤分包機等の内部に設けられ、落下してきた錠剤の通過を検知するものである。具体的にこの通過検知センサ100は、図1に示すように、錠剤が通過する空間P(以下、通過空間ともいう)を形成する物体通過部1と、通過空間Pに向けて光を出射する光源2と、前記通過空間Pを通った光源2の出射光をセンシングする受光素子3と、信号処理部4とを備える。落下してきた錠剤が通過空間Pを通過すると受光素子3の受光量が変化し、これにより錠剤が通過したことを検知することができる。
【0020】
以下、通過検知センサ100を構成する各部について説明する。なお以下の説明においては、錠剤が通過する方向(ここでは鉛直方向)を通過方向という。通過方向に垂直な方向であって互いに直交する2方向をそれぞれx軸方向及びy軸方向とする。また以下では、特に指定がない限り、通過方向から視たものとして各部の構成を説明する。
【0021】
物体通過部1は、通過方向に沿って上下に開口する枠体10からなるものであり、その内側周面11により物体Oの通過空間Pを形成するものである。図2に示すように、平面視においてこの内周側面は、x軸方向に平行な対向する一対の内側面11a、bと、y軸方向に平行な対向する一対の内側面11c、dからなる。4つの内側面11a~11dはいずれも平面であり、これら4つの内側面11a~11dによって通過空間Pが形成されている。すなわち通過空間Pは、内周側面によって囲まれた矩形状の領域である。
【0022】
物体通過部1には、光源2からの出射光を通過空間Pに導入する光導入孔10aと、通過空間Pを通った光を受光素子3に導出する光導出孔10bが設けられている。この光導入孔10aと光導出孔10bは、枠体10の側壁を貫通するように設けられており、ここではx軸方向に平行な対向する一対の内側面11a、bにそれぞれ開口するように設けられている。
【0023】
光源2は、所定のビーム径のレーザ光を出射するように構成されたものであり、出射したレーザ光の主光線の光路が通過方向に直交する平面(xy平面)と平行になるように設けられている。光源2は枠体10の外側であって、光導入孔10aに対向する位置に設けられており、光導入孔10aを介してレーザ光を通過空間Pに入射させる。具体的にこの光源2は、半導体レーザである発光素子21と、発光素子21から出射されたレーザ光を集光して平行光(コリメート光)に近づけるコリメートレンズ22とを備えている。発光素子21は、例えば垂直発振器面発光レーザ(VCSEL)等であるが、これに限らない。
【0024】
受光素子3は光電効果を利用するものであり、具体的にはフォトトランジスタである。受光素子3その受光面で受光した光量に比例した信号を出力するように構成されている。受光素子3は、通過方向において光源2と同じ位置に設けられており、かつその受光面がxy平面に直交するように設けられている。受光素子3は、枠体10の外側であって光導出孔10bに対向する位置に設けられており、光導入孔10aを介して通過空間Pから導出される光源2からの光を受光できるように構成されている。なお受光素子3は、フォトトランジスタに限らずフォトダイオードであってもよい。また受光素子3の受光面の前方には、光を効率よく受光面に導くための受光レンズが設けられてもよい。
【0025】
信号処理部4は、CPU、メモリ及び入出力インターフェース等を備えた汎用又は専用のコンピュータであり、メモリの所定領域に格納された所定プログラムに従ってCPUや周辺機器を協働させることによりその機能が実現されるものである。当該信号処理部4は、光源2の点灯態様を制御する点灯制御部と、受光素子3から出力される光強度信号を取得し、当該信号に基づき物体Oの通過を検知する通過検知部としての機能を少なくとも発揮する。
【0026】
しかして本実施形態の通過検知センサ100は、図2に示すように、通過空間Pに対向して設けられた一対のミラー51、52と、当該一対のミラー51、52の一方から他方に向かう方向に沿って通過空間Pに設けられた第3のミラー53とを備えている。
【0027】
具体的にこの一対のミラー51、52は、枠体10のx軸方向に沿った対向する一対の内側面にそれぞれ設けられている。この一対のミラー51、52は、通過空間Pを挟んで対向する平坦な反射面s1、s2を備えている。一対のミラー51、52の反射面s1、s2は互いに平行であり、かつx軸方向に沿って平行となるように形成されている。
【0028】
第3のミラー53は、枠体10のy軸方向に沿った内側面に設けられている。第3のミラー53は通過空間Pを向く平坦な反射面s3を備えており、この反射面s3は、一対のミラー51、52の反射面s1、s2に対して垂直になるように(すなわちy軸方向に沿って平行になるように)形成されている。この第3のミラー53の反射面s3は、x軸方向において一対のミラー51、52の一方の端部51a、52a近傍に位置するように形成されており、y軸方向において一対のミラー51、52の一方から他方に亘って形成されている。
【0029】
通過空間Pは、形成された一対のミラー51、52の反射面s1、s2と、第3のミラー53の反射面s3に三辺を囲まれた矩形状の領域となっている。
【0030】
そして、この通過検知センサ100では、光源2は、一対のミラー51、52間で反射させながら第3のミラー53に向わせるように通過空間Pに向けて光を出射し、受光素子3は、第3のミラー53で折り返して一対のミラー51、52間で反射しながら戻ってきた光源2からの光を受光素子3でセンシング(受光)するように構成されている。
【0031】
具体的に光源2と受光素子3は、x軸方向において一対のミラー51、52の他方の端部51b、52b近傍(すなわち、第3のミラー53とは反対側)に設けられている。光源2と受光素子3は、通過空間Pを挟んで対向する位置に設けられている。光源2は、一対のミラー51、52の反射面s1、s2に対して斜めに光を出射するように配置されており、一対のミラー51、52の一方側から他方側に向けて光を出射するように配置されている。また受光素子3は、その受光面が一対のミラー51、52の反射面s1、s2に対して斜めになるように配置されており、一対のミラー51、52の他方側から一方側に向かってきた光を受光するように配置されている。
【0032】
またこの通過検知センサ100では、光源2から出射されて第3のミラー53に向かう光(往路光L1)の主光線の光路と、第3のミラー53で反射されて受光素子3に向かう光(復路光L2)の主光線の光路が、一対のミラー51、52のそれぞれの反射面s1、s2から等距離にある仮想的な平面C(等距離面)上で交わるように、光源2の出射角度、光源2の位置又は第3のミラー53の反射面s3の位置が設定されている。具体的には光源2からの往路光L1の主光線が、第3のミラー53の反射面s3上のy軸方向に沿った中央位置53c(すなわち、前記した等距離面Cとの交点)で反射するように構成されている。
【0033】
このようにすることで、一対のミラー51、52の反射面s1、s2に対する往路光L1と復路光L2のそれぞれの入射角は等しくなっている。また往路光L1と復路光L2は、一対のミラー51、52の反射面s1、s2上で一定の距離間隔で交互に反射し、それぞれ同じ回数ずつ反射するように構成されている。
【0034】
またこの実施形態では、錠剤の検知を低減できるように、一対のミラー51、52の反射面51s、52s上での隣り合う往路光L1と復路光L2の反射点の間隔が錠剤の最大長さよりも小さくなるように、光源2から出射される光の角度が設定されている。
【0035】
このように構成された本実施形態の通過検知センサ100によれば、光源2から出射された光を一対のミラー51、52間で反射させながら第3のミラー53へ向かわせ、この第3のミラー53で反射して折り返させ、再び一対のミラー51、52間で反射させながら戻ってくるようにしているので、光源2から第3のミラー53に向かう往路光L1と第3のミラー53から受光素子3に向かう復路光L2を通過空間P内に張り巡らせることができ、光線間の隙間を狭めて未検知領域を小さくすることができる。しかも光源2と受光素子3とを複数対備える必要がないので、外部回路での複雑な信号処理を必要せず、また素子数も少なく製造コストをおさえることができる。
【0036】
さらに、一対のミラー51、52の反射面51s、52sが互いに平行であるので、ミラー間で複数回反射する往路光L1及び復路光L2の反射角をそれぞれ等しくできる。さらに第3のミラー53の反射面s3を一対のミラー51、52の反射面51s、52sに対して垂直にしているので、一対のミラー51、52に対する往路光L1と復路光L2のそれぞれの反射角を互いに等しくすることができる。これにより、通過空間P内に張り巡らせた往路光L1と復路光L2の間隔を等しくでき、光線間の隙間のムラを抑えて未検知領域をより一層小さくできる。さらに、往路光L1と復路光L2とが一対のミラー51、52の反射面51s、52sから等距離位置で交差するようにしているので、往路光L1と復路光L2とが重複する領域を少なくできるので、通過空間Pにおける未検知領域をより一層小さくすることができる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0038】
例えば前記実施形態の通過検知センサ100は錠剤の通過を検知するものであったが、これに限らない。錠剤以外の他の物体Oを検知するものであってもよい。
【0039】
また他の実施形態の通過検知センサ100は、図3に示すように、第3のミラー53が、一対のミラー51、52の反射面51s、52sに沿って手動又は自動で進退可能に構成されていてもよい。このようにすれば、通過検知センサ100の用途に応じてx軸方向の位置及び通過空間Pの面積を調整することが可能となり、ユーザ利便性を向上できる。
【0040】
また前記実施形態の通過検知センサ100では、物体通過部1の枠体10と一対のミラー51、52及び第3のミラー53とが別々に設けられていたが、これに限らない。他の実施形態の通過検知センサ100は、図4に示すように、枠体10のx軸方向に平行な一対の側壁が一対のミラー51、52として機能し、y軸方向に平行な1つの側壁が第3のミラー53として機能するようにしてもよい。この場合、枠体10の内側周面11の一部又は全部が鏡面加工され、反射面として機能するようにすればよい。
【0041】
また前記実施形態では、光源2と受光素子3は、通過空間Pを挟むようにして設けられていたがこれに限らない。他の実施形態では、図5に示すように、光源2と受光素子3は通過空間Pに対して同じ側に設けられてもよい。この場合、光導入孔10aと光導出孔10bを共通の貫通孔により構成してもよい。
【0042】
また前記実施形態では一対のミラー51、52の反射面s1、s2は互いに平行となっていたが、他の実施形態ではこれらの反射面s1、s2は互いに平行となっていなくてもよい。また、他の実施形態では、第3のミラー53の反射面s3は、一対のミラー51、52の反射面s1、s2は直交するように形成されていなくてもよい。
【0043】
また前記実施形態の光源2は、半導体レーザを発光素子21として用いてレーザ光を出射するように構成されていたが、これに限らない。他の実施形態の光源2は、発光素子21としてLED(発光ダイオード)を用いて構成してもよい。
【0044】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
100・・・通過検知センサ
1 ・・・物体通過部
2 ・・・光源
3 ・・・受光素子
51、52 ・・・一対のミラー
53 ・・・第3のミラー
P ・・・通過空間
O ・・・物体(錠剤)
L1 ・・・往路光
L2 ・・・復路光
図1
図2
図3
図4
図5