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特開2023-101197超音波データ解析装置、超音波検査装置、超音波データ解析方法、超音波検査方法、プログラム、及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101197
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】超音波データ解析装置、超音波検査装置、超音波データ解析方法、超音波検査方法、プログラム、及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01B 17/02 20060101AFI20230712BHJP
   G01N 29/07 20060101ALI20230712BHJP
   G01N 29/38 20060101ALI20230712BHJP
   G01N 29/40 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
G01B17/02 B
G01N29/07
G01N29/38
G01N29/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001663
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】595052046
【氏名又は名称】日本シーレーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100194515
【弁理士】
【氏名又は名称】南野 研人
(72)【発明者】
【氏名】中野 浩志
【テーマコード(参考)】
2F068
2G047
【Fターム(参考)】
2F068AA28
2F068AA29
2F068BB09
2F068BB15
2F068DD03
2F068FF13
2F068FF18
2F068FF25
2F068NN02
2F068QQ01
2F068RR01
2F068TT24
2G047AA05
2G047AB01
2G047BA03
2G047BB01
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC18
2G047DA01
2G047DA02
2G047GF24
2G047GF26
2G047GG02
2G047GG06
2G047GG20
2G047GG28
2G047GG30
2G047GG33
2G047GH07
(57)【要約】
【課題】 被覆管の厚みを測定できる超音波データ解析装置を提供する。
【解決手段】 本発明の超音波データ解析装置は、超音波データ取得部、ゲート設定部、エコー検出部、解析部を含み、
前記超音波データ取得部は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定部は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出部は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、前記解析部は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波データ取得部、ゲート設定部、エコー検出部、解析部を含み、
前記超音波データ取得部は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定部は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出部は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、
前記解析部は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する、超音波データ解析装置。
【請求項2】
前記解析部は、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析し、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析する、請求項1記載の超音波データ解析装置。
【請求項3】
マッピング部、画像生成部、及び表示部を含み、
前記マッピング部は、前記管の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成し、
前記画像生成部は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示部は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項1または2記載の超音波データ解析装置。
【請求項4】
前記マッピング部は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、
前記画像生成部は、前記管断面マップ上に前記超音波信号データを重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示部は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項3記載の超音波データ解析装置。
【請求項5】
超音波データ解析部を含み、
前記超音波データ解析部が、請求項1から4のいずれか一項に記載の超音波データ解析装置である、超音波検査装置。
【請求項6】
探触装置、液体ポンプ、超音波制御装置、リードケーブル、および超音波ケーブルを含み、
前記探触装置は、探触装置本体部、及び、探触装置先端部を含み、
前記探触部本体部は、筒状容器及び探触子を含み、
前記筒状容器は、検査対象の管内に挿入可能な大きさであり、
前記筒状容器は、前記管内への挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有し、
前記筒状容器の内部に、前記探触子が収容され、
前記探触子と前記筒状容器の内壁との間に、液体が流れることが可能な流路が形成され、
前記流路において、前記液体は、前記後端部から前記先端部に向けて流れることが可能であり、
前記探触子は、超音波を送受信可能であり、
前記探触装置先端部は、前記管内に挿入可能な大きさであり、
前記探触装置先端部は、反射ミラー、及び、回転機構、を含み、
前記反射ミラーは、前記探触子から送信された超音波を反射して前記管の内壁に対し垂直方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、前記管の内壁で反射された超音波を反射して前記探触子に入射可能であり、
前記回転機構により、前記反射ミラーが、前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられており、
前記回転機構は、前記流路の前記液体の流れを駆動力として前記反射ミラーを回転可能であり、
前記液体ポンプは、前記リードケーブルを通じて前記探触装置の前記筒状容器の前記後端部に前記液体を送液可能であり、
前記リードケーブル内に、前記超音波ケーブルが挿通され、
前記超音波ケーブルにより、前記超音波制御装置と前記探触子が接続され、
前記超音波制御装置により、前記探触子による超音波の送受信が制御され、
前記超音波制御装置と、前記超音波データ解析部とが接続され、
前記超音波データ解析部は、前記探触子が受信し、かつ、前記超音波制御装置に送信された超音波信号データを解析する、請求項5記載の超音波検査装置。
【請求項7】
被覆管の検査用である、請求項5または6記載の超音波検査装置。
【請求項8】
超音波データ取得工程、ゲート設定工程、エコー検出工程、解析工程を含み、
前記超音波データ取得工程は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定工程は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出工程は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、
前記解析工程は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する、超音波データ解析方法。
【請求項9】
前記解析工程は、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析し、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析する、請求項8記載の超音波データ解析方法。
【請求項10】
マッピング工程、画像生成工程、及び表示工程を含み、
前記マッピング工程は、前記超音波信号データに基づき、前記管の内壁の一工程又は全工程をマッピングして管内壁マップを生成し、
前記画像生成工程は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示工程は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項8または9記載の超音波データ解析方法。
【請求項11】
前記マッピング工程は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、
前記画像生成工程は、前記管断面マップ上に前記超音波信号データを重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示工程は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項10記載の超音波データ解析方法。
【請求項12】
被覆管の厚みを超音波で検査する超音波検査方法であって、
超音波データ解析工程を含み、
前記超音波データ解析工程が、請求項8から11のいずれか一項に記載の超音波データ解析方法である、超音波検査方法。
【請求項13】
コンピュータに、超音波データ取得手順、ゲート設定手順、エコー検出手順、解析手順を実行させるためのプログラムであって、
前記超音波データ取得手順は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定手順は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出手順は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、
前記解析手順は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する、プログラム。
【請求項14】
前記解析手順は、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析し、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析する、請求項13記載のプログラム。
【請求項15】
マッピング手順、画像生成手順、及び表示手順を含み、
前記マッピング手順は、前記超音波信号データに基づき、前記管の内壁の一手順又は全手順をマッピングして管内壁マップを生成し、
前記画像生成手順は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手順は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項13または14記載のプログラム。
【請求項16】
前記マッピング手順は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、
前記画像生成手順は、前記管断面マップ上に前記超音波信号データを重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手順は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、
請求項15記載のプログラム。
【請求項17】
コンピュータに、被覆管の厚みを超音波で検査する超音波検査手順を実行させるためのプログラムであって、
前記超音波検査手順は、超音波データ解析手順を含み、
前記超音波データ解析手順が、請求項13から16のいずれか一項に記載のプログラムにより実行される、プログラム。
【請求項18】
請求項13から17のいずれか一項に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波データ解析装置、超音波検査装置、超音波データ解析方法、超音波検査方法、プログラム、及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
化学工業の各種プラント及び工場では、多数の配管があり、配管の割れ及び腐食等を超音波で検査する非破壊検査が実施されている。超音波を用いた検査は、配管に水を送液しながら超音波を送信し、液体を媒体として超音波が配管内壁に照射され、その超音波のエコーで配管の肉厚、割れ及び腐食等を検出する方法である(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1のような超音波検査方法において管の厚みを測定する場合、エコーを検出する基準となるゲートを、2つ設定し、前記2つのゲートと交差するエコーを、管内表面で反射した超音波エコー(Sエコー)と、管外表面で反射した超音波エコー(B1エコー)として検出し、SエコーとB1エコーとの時間差を測定することにより、管の厚みを測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5042153号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ガラスライニング管等、内面に皮膜が形成された管が存在する。このような管において超音波検査を行うと、皮膜表面のエコー(GSエコー)、皮膜と管内表面との境界部のエコー(G1エコー)、皮膜内部で多重反射したエコー(G2エコー)、及び管外表面で反射したエコー(B1エコー)が発生する。
【0006】
この場合、B1エコーを検出するためのゲートにG2エコーが交差してしまい、G2エコーがノイズとなって管の厚みを測定することができないという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、内面に皮膜が形成された被覆管の厚みを測定可能な超音波データ解析装置、超音波検査装置、超音波データ解析方法、超音波検査方法、プログラム、及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の超音波データ解析装置は、
超音波データ取得部、ゲート設定部、エコー検出部、解析部を含み、
前記超音波データ取得部は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定部は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出部は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、
前記解析部は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する。
【0009】
本発明の超音波検査装置は、
超音波データ解析部を含み、
前記超音波データ解析部が、前記本発明の超音波データ解析装置である。
【0010】
本発明の超音波データ解析方法は、
超音波データ取得工程、ゲート設定工程、エコー検出工程、解析工程を含み、
前記超音波データ取得工程は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定工程は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出工程は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、
前記解析工程は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する。
【0011】
本発明の超音波検査方法は、
被覆管の厚みを超音波で検査する超音波検査方法であって、
超音波データ解析工程を含み、
前記超音波データ解析工程が、前記本発明の超音波データ解析方法である。
【0012】
本発明の第1のプログラムは、コンピュータに、超音波データ取得手順、ゲート設定手順、エコー検出手順、解析手順を実行させるためのプログラムであって、
前記超音波データ取得手順は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定手順は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出手順は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、
前記解析手順は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する、プログラムである。
【0013】
本発明の第2のプログラムは、コンピュータに、被覆管の厚みを超音波で検査する超音波検査手順を実行させるためのプログラムであって、
前記超音波検査手順は、超音波データ解析手順を含み、
前記超音波データ解析手順が、前記第1のプログラムにより実行される、プログラムである。
【0014】
本発明の記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内面に皮膜が形成された被覆管の厚みを測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態1の超音波データ解析装置の一例の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の超音波データ解析装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態1の超音波データ解析装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態2の超音波データ解析装置の一例の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施形態2の超音波データ解析装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6(A)及び(B)は、マッピング部による管内壁のマッピングの一例を示す模式図である。
図7図7(A)及び(B)は、画像生成部が生成した管内壁マップ超音波エコー画像の一例を示す模式図である。
図8図8は、画像生成部が生成した管内壁マップ超音波エコー画像の一例を示す模式図である。
図9図9は、実施形態3の超音波検査装置の構成の一例を示す模式図である。
図10図10は、実施形態3の超音波検査装置における、探触装置の構成の一例を示す模式図である。
図11図11(a)は、実施形態3の探触装置における液体の流れの一例を示す模式図であり、図11(b)は、探触装置の反射ミラー及び回転機構の構成の一例を示す模式図である。
図12図12は、検査対象の管の周方向傷を超音波で検査する一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の超音波データ解析装置において、例えば、前記解析部は、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析し、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析する、という態様であってもよい。
【0018】
本発明の超音波データ解析装置は、例えば、マッピング部、画像生成部、及び表示部を含み、
前記マッピング部は、前記管の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成し、
前記画像生成部は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示部は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0019】
本発明の超音波データ解析装置において、例えば、前記マッピング部は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、
前記画像生成部は、前記管断面マップ上に前記超音波信号データを重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示部は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0020】
本発明の超音波検査装置は、例えば、探触装置、液体ポンプ、超音波制御装置、リードケーブル、および超音波ケーブルを含み、
前記探触装置は、探触装置本体部、及び、探触装置先端部を含み、
前記探触部本体部は、筒状容器及び探触子を含み、
前記筒状容器は、検査対象の管内に挿入可能な大きさであり、
前記筒状容器は、前記管内への挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有し、
前記筒状容器の内部に、前記探触子が収容され、
前記探触子と前記筒状容器の内壁との間に、液体が流れることが可能な流路が形成され、
前記流路において、前記液体は、前記後端部から前記先端部に向けて流れることが可能であり、
前記探触子は、超音波を送受信可能であり、
前記探触装置先端部は、前記管内に挿入可能な大きさであり、
前記探触装置先端部は、反射ミラー、及び、回転機構、を含み、
前記反射ミラーは、前記探触子から送信された超音波を反射して前記管の内壁に対し垂直方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、前記管の内壁で反射された超音波を反射して前記探触子に入射可能であり、
前記回転機構により、前記反射ミラーが、前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられており、
前記回転機構は、前記流路の前記液体の流れを駆動力として前記反射ミラーを回転可能であり、
前記液体ポンプは、前記リードケーブルを通じて前記探触装置の前記筒状容器の前記後端部に前記液体を送液可能であり、
前記リードケーブル内に、前記超音波ケーブルが挿通され、
前記超音波ケーブルにより、前記超音波制御装置と前記探触子が接続され、
前記超音波制御装置により、前記探触子による超音波の送受信が制御され、
前記超音波制御装置と、前記超音波データ解析部とが接続され、
前記超音波データ解析部は、前記探触子が受信し、かつ、前記超音波制御装置に送信された超音波信号データを解析する、という態様であってもよい。
【0021】
本発明の超音波検査装置は、例えば、被覆管の検査用であってもよい。
【0022】
本発明の超音波データ解析方法において、例えば、前記解析工程は、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析し、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析する、という態様であってもよい。
【0023】
本発明の超音波データ解析方法は、例えば、マッピング工程、画像生成工程、及び表示工程を含み、
前記マッピング工程は、前記超音波信号データに基づき、前記管の内壁の一工程又は全工程をマッピングして管内壁マップを生成し、
前記画像生成工程は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示工程は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0024】
本発明の超音波データ解析方法において、例えば、前記マッピング工程は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、
前記画像生成工程は、前記管断面マップ上に前記超音波信号データを重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示工程は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0025】
本発明の第1のプログラムにおいて、例えば、前記解析手順は、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析し、
前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に基づいて前記被覆管の厚みを解析する、という態様であってもよい。
【0026】
本発明の第1のプログラムは、例えば、マッピング手順、画像生成手順、及び表示手順を含み、
前記マッピング手順は、前記超音波信号データに基づき、前記管の内壁の一手順又は全手順をマッピングして管内壁マップを生成し、
前記画像生成手順は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手順は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0027】
本発明の第1のプログラムにおいて、例えば、前記マッピング手順は、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングして管断面マップを生成し、
前記画像生成手順は、前記管断面マップ上に前記超音波信号データを重ねて管断面マップ超音波エコー画像を生成し、
前記表示手順は、前記管断面マップ超音波エコー画像を表示する、という態様であってもよい。
【0028】
本発明において、「被覆管」とは、その内面に皮膜が形成された管を意味し、材質、長さ、厚み、形状、配置箇所、及び用途等は特に制限されない。前記皮膜は、特に制限されず、例えば、ライニング、塗装、メッキ等があげられる。前記被覆管の具体例として、例えば、ガラスライニング管、ポリエチレンライニング管、硬質塩化ビニルライニング管、軟質塩化ビニルライニング管、ノンタールエポキシ塗装管、ナイロンコーティング管等があげられる。
【0029】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0030】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の超音波データ解析装置10の一例の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本装置10は、超音波データ取得部11、ゲート設定部12、エコー検出部13、及び解析部14を含む。また、本装置10は、図示していないが、記憶部を含んでもよい。
【0031】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、前記通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。前記通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)、LPWA(Low Power Wide Area)、L5G(ローカル5G)、等があげられる。無線通信としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ローカル5G、LPWA等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、インフラストラクチャ(infrastructure通信)、アクセスポイントを介した間接通信等であってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされた超音波検査装置の制御装置、パーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。本装置10は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0032】
図2に、本装置10のハードウェア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、CPU101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置106、ディスプレイ(表示装置)107、通信デバイス(通信部)108等を含む。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0033】
CPU101は、例えば、コントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)等により、他の構成と連携動作し、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、CPU101により、例えば、本発明のプログラム105やその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、CPU101が、超音波データ取得部11、ゲート設定部12、エコー検出部13、解析部14として機能する。本装置10は、演算装置として、CPUを含むが、GPU(Graphics Processing Unit)、APU(Accelerated Processing Unit)等の他の演算装置を備えてもよいし、CPUとこれらとの組合せを備えてもよい。
【0034】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、超音波検査装置、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンター、外部入力装置、外部表示装置、外部撮像装置等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス108により、外部ネットワーク(前記通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、他の装置と接続することもできる。
【0035】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。CPU101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム105等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、CPU101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0036】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。本装置10が前記記憶部を含む場合、例えば、記憶装置104は、前記記憶部として機能する。
【0037】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、ログ情報、外部データベース(図示せず)や外部の装置から取得した情報、本装置10によって生成した情報、本装置10が処理を実行する際に用いる情報等の種々の情報を記憶することも可能である。なお、少なくとも一部の情報は、例えば、メモリ102及び記憶装置104以外の外部サーバに記憶されていてもよいし、複数の端末にブロックチェーン技術等を用いて分散して記憶されていてもよい。
【0038】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置106、ディスプレイ107を含む。入力装置106は、例えば、タッチパネル、トラックパッド、マウス等のポインティングデバイス;キーボード;カメラ、スキャナ等の撮像手段;ICカードリーダ、磁気カードリーダ等のカードリーダ;マイク等の音声入力手段;等があげられる。ディスプレイ107は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置があげられる。本実施形態1において、入力装置106とディスプレイ107とは、別個に構成されているが、入力装置106とディスプレイ107とは、タッチパネルディスプレイのように、一体として構成されてもよい。
【0039】
つぎに、本実施形態の超音波データ解析方法の一例を、図3のフローチャートに基づき説明する。本実施形態の超音波データ解析方法は、例えば、図1又は図2の超音波データ解析装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態の超音波データ解析方法は、図1又は図2の超音波データ解析装置10の使用には限定されない。
【0040】
まず、超音波データ取得部11は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得する(S1、超音波データ取得工程)。具体的に、超音波データ取得部11は、例えば、後述する本発明の超音波検査装置から超音波信号データを取得してもよいし、超音波検査装置が測定した超音波信号データが記憶された外部のデータベースやサーバから前記超音波信号データを取得してもよい。前者の場合、超音波データ取得部11は、例えば、超音波検査装置の探触装置が受信した超音波信号データを、前記探触装置から取得してもよいし、探触装置が超音波制御装置に送信した超音波信号データを、前記超音波制御装置から取得してもよい。前記超音波信号データの取得は、例えば、有線でも無線でもよい。
【0041】
つぎに、ゲート設定部12は少なくとも3つの厚み検出用ゲートを設定する(S2、ゲート設定工程)。本発明において、「ゲート」は、例えば、JIS Z 2300(非破壊試験用語)に定義されているゲートであり、きずエコーなど必要なエコーだけを取り出す目的で、表示器上で時間的に限定した範囲を意味する。前記厚み検出用ゲートは、例えば、被覆管の厚み測定のため、後述する内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを取り出す(検出する)ために設定されたゲートである。前記厚み検出用ゲートは、例えば、時間範囲と、超音波信号データの強度の閾値との情報を含む。前記少なくとも3つの厚み検出用ゲートは、例えば、互いに重複する時間範囲が設定されていてもよいし、互いに重複しない時間範囲が設定されていてもよい。
【0042】
ゲート設定部12は、例えば、前記少なくとも3つの厚み検出用ゲートとして、3つの時間範囲を任意に設定すればよいが、内面エコーの発生が予想される時間範囲、多重エコーの発生が予想される時間範囲、及び外面エコーの発生が予想される時間範囲を前記厚み検出用ゲートとして設定することが好ましい。以下、例えば、内面エコーの発生が予想される時間範囲を設定した厚み検出用ゲートを、「第1ゲート」、多重エコーの発生が予想される時間範囲を設定した厚み検出用ゲートを、「多重エコー検出ゲート」、外面エコーの発生が予想される時間範囲を設定した厚み検出用ゲートを、「第2ゲート」ともいう。
【0043】
前記内面エコーは、後述するように、例えば、検査対象の被覆管内において、超音波送受信機から送信され、前記被覆管の内表面で反射した超音波を前記超音波送受信機が受信したエコーである。このため、前記第1ゲートは、例えば、検査対象の被覆管の皮膜の厚みと皮膜材質の音速に基づいて、超音波送受信機から送信された超音波が被覆管に伝播し、被覆管の内表面(前記皮膜の外表面(被覆管の内表面側)と、被覆管の管体の内表面との界面)で反射して超音波送受信機に受信されるまでの時間を含む時間範囲を算出することにより設定できる。前記第1ゲートは、例えば、後述するトラッキングエコー検出用ゲートよりも後ろの時間範囲、且つ、多重エコー検出ゲートよりも前の時間範囲に設定されることが好ましい。
【0044】
前記多重エコーは、後述するように、例えば、前記皮膜の表面(被覆管の中心側)および前記皮膜の外表面(被覆管の内表面側)の境界面で多重反射したエコーである。このため、前記多重エコー検出ゲートは、例えば、検査対象の被覆管の皮膜の厚みと皮膜材質の音速に基づいて、超音波送受信機から送信された超音波が被覆管に伝播し、前記皮膜の表面(被覆管の中心側)および前記皮膜の外表面(被覆管の内表面側)の境界面で多重反射して超音波送受信機に受信されるまでの時間を含む時間範囲を算出することにより設定できる。前記多重エコー検出ゲートは、例えば、前記第1ゲートよりも後ろの時間範囲、且つ、第2ゲートよりも前の時間範囲に設定されることが好ましい。また、前記多重エコーは、前記皮膜の表面および前記皮膜の外表面の境界面で多重反射したエコーであるため、皮膜表面で反射したエコーを基準に、前記内面エコーの発生時点から等間隔で発生する。このため、前記多重エコーは、後述するトラッキングエコー(皮膜の表面(被覆管の中心側)で反射したエコー)の発生時間と、前記内面エコーの発生時間の差分のn倍(nは2以上の整数)の時間に発生すると予想できる。このため、前記多重エコー検出ゲートは、例えば、トラッキングエコー(皮膜の表面(被覆管の中心側)で反射したエコー)の発生が予想される時間と、前記内面エコーの発生が予想される時間との差分のn倍(nは2以上の整数)の時間を含む時間範囲に設定されることが好ましい。
【0045】
前記外面エコーは、後述するように、例えば、検査対象の被覆管内において、超音波送受信機から送信され、前記被覆管の外表面で反射した超音波を前記超音波送受信機が受信したエコーである。このため、前記第2ゲートは、例えば、検査対象の被覆管の皮膜の厚みと皮膜材質の音速、並びに検査対象の被覆管の管体の厚みと管材質の音速に基づいて、超音波送受信機から送信された超音波が被覆管に伝播し、被覆管の外表面で反射して超音波送受信機に受信されるまでの時間を含む時間範囲を算出することにより設定できる。また、前記外面エコーの発生が予想される時間範囲は、例えば、前記多重エコー検出ゲートよりも後ろの時間範囲に設定することが好ましい。
【0046】
前記厚み検出用ゲートは、例えば、基準点から所定時間経過後の時間が始点となるように各時間範囲を設定してもよい。前記基準点は、例えば、後述するトラッキングエコーの位置があげられる。
【0047】
ゲート設定部12は、例えば、その他のゲートを設定可能であってもよい。前記その他のゲートは、例えば、超音波検査装置が備える探触装置の探触装置先端部(ターゲット)の回転数を検出するゲート(例えば、ターゲット検出用ゲートともいう)、トラッキング基準ゲート等があげられる。前記ターゲット検出用エコーは、超音波検査装置が備える探触装置の探触装置先端部(ターゲット)で反射したエコー(ターゲットエコー)を検出するためのゲートである。前記トラッキング基準ゲートは、例えば、前記厚み検出用ゲート設定時の基準点となるエコーを検出するためのゲートである。前記基準点は、例えば、前記皮膜の表面(被覆管の中心側)で反射したエコーがあげられる。ゲート設定部12が設定するゲートの数は、前記少なくとも3つの厚み測定用ゲートを含んでいればよく、例えば、その上限は特に制限されない。前記ゲートの数は、例えば、3~10、3~7、3~5等があげられる。
【0048】
エコー検出部13は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出する(S3、エコー検出工程)。具体的に、エコー検出部13は、例えば、前記厚み検出用ゲートに設定された時間範囲内において、前記厚み検出用ゲートと交差した超音波シグナル、すなわち、前記厚み検出用ゲートに設定された時間範囲内における所定の閾値以上の超音波信号(例えば、ピークともいう)を、厚み検出用エコーとして検出する。つぎに、エコー検出部13は、検出された前記厚み検出用エコーを、内面エコー、外面エコー、多重エコーに分類する。具体的に、まず、エコー検出部13は、例えば、厚み検出用ゲートにより検出された最初のエコーを、前記内面エコーとして分類する。つぎに、エコー検出部13は、例えば、基準点から前記内面エコーの検出時間までの間隔と等間隔にあるエコーがある場合、前記エコーを多重エコーとして分類する。前記基準点は、例えば、任意に設定してもよいし、後述するトラッキングエコー(GSエコー)の位置でもよい。前記基準点を任意に設定する場合、例えば、検査対象の被覆管において、皮膜表面のエコーが検出されると予想される時間を設定することが好ましい。また、エコー検出部13は、例えば、前記厚み検出用ゲート内において、所定の間隔で繰り返し発生しているエコーが存在する場合、前記繰り返し発生しているエコーを多重エコーとして分類してもよい。そして、エコー検出部13は、例えば、厚み検出用ゲートにより検出されたエコーのうち、前記内面エコーでも、前記多重エコーでもないエコーを前記外面エコーとして分類する。
【0049】
前記内面エコーは、例えば、検査対象の被覆管内において、超音波送受信機から送信され、前記被覆管の内表面で反射した超音波を前記超音波送受信機が受信したエコーであり、G1エコーともいう。前記被覆管の内表面は、例えば、前記被覆管の内面における素地表面と、前記皮膜の外表面(被覆管の内表面側)との境界面ともいう。
前記多重エコーは、例えば、検査対象の被覆管内において、超音波送受信機から送信され、前記皮膜内において多重反射した超音波を前記超音波受信器が受信したエコーであり、G2エコーともいう。前記多重エコーは、例えば、JIS Z 2300(非破壊試験用語)に定義されている多重エコーであってもよい。この場合、前記多重エコーは、例えば、2個以上の境界面又はきずの間で繰り返される超音波パルスの多重反射によって生じるエコーを意味する。前記境界面は、例えば、前記皮膜の表面(被覆管の中心側)および前記皮膜の外表面(被覆管の内表面側)の境界面があげられる。
前記外面エコーは、例えば、検査対象の被覆管内において、超音波送受信機から送信され、前記被覆管の外表面で反射した超音波を前記超音波送受信機が受信したエコーであり、B1エコーともいう。
【0050】
前記S2において、前記その他のゲートが設定されている場合、エコー検出部13は、例えば、前記その他のゲートに基づいて、その他のエコーを検出してもよい。前記その他のエコーは、例えば、ターゲットエコー及びトラッキングエコー等があげられる。前記ターゲットエコーは、例えば、超音波検査装置が備える探触装置の探触装置先端部(ターゲット)で反射したエコーである。エコー検出部13が前記ターゲットエコーを検出することにより、前記探触装置先端部の回転数を検出することができる。前記トラッキングエコーは、例えば、前記検査対象の被覆管における、皮膜の表面(被覆管の中心側)で反射したエコーである。エコー検出部13が前記トラッキングエコーを検出することにより、例えば、前記トラッキングエコーの検出時間を基準点として、前記厚み検出用ゲートの時間範囲の始点を一定に保つ(トラッキングする)ことが可能となる。
【0051】
解析部14は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する(S4、解析工程)。前記「検査対象管の厚み」は、例えば、前記検査対象管の管体の厚み、すなわち、前記検査対象管全体の厚みのうち、皮膜の厚みを除いた厚みを意味する。具体的に、解析部14は、例えば、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に対し、前記被覆管の素材に対応した音速(縦波)を乗算することで前記検査対象管の厚みを解析できる。前記被覆管の素材に対応した音速の一例を下記表1に示すが、本発明は下記の表に何ら制限されず、検査対象の被覆管の皮膜及び管体の素材に応じた音速を適宜参照できる。前記被覆管の素材に対応した音速の情報は、例えば、本装置10の記憶装置104またはメモリ102に記憶されていてもよいし、外部のサーバ又はデータベースに記憶されていてもよい。後者の場合、例えば、通信デバイス108により、通信回線網を介して前記音速の情報を取得してもよい。
【表1】
【0052】
解析部14は、例えば、前記エコーの検出順序に基づいて、厚みの解析手法を変更してもよい。具体的に、解析部14は、例えば、前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合、前記内面エコーと前記外面エコーの時間差に対し、前記被覆管の素材に対応した音速を乗算することで前記検査対象管の厚みを解析できる。また、前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合、前記内面エコーと前記多重エコーとの時間差、及び、前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差に対し、前記被覆管の素材に対応した音速を乗算することで前記検査対象管の厚みを解析できる。このような処理によれば、例えば、被覆管における皮膜の厚みと管体の厚みとの組み合わせによらず、様々な被覆管においても厚みを解析できる。
【0053】
解析部14は、例えば、さらに前記解析した検査対象管の厚みに基づいて、前記検査対象管の傷の有無、管の端部から傷がある場所までの長さ、傷の長さ、探触装置を中心とした傷の方向等の解析、すなわち、探傷が可能であってもよい。前記探傷は、例えば、前記厚みに基づいて、厚みが薄くなっている箇所の位置および場所を特定することにより解析できる。
【0054】
本実施形態の超音波データ解析方法において、前記S1~S4を順次実行する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれには制限されない。本発明において、前記S1~S4は、例えば、同時に実行してもよいし、別個に実行してもよい。後者の場合、実行する順序は、特に制限されず、任意である。
【0055】
本実施形態の超音波データ解析装置によれば、ゲート設定部により、少なくとも3つの厚み検出用ゲートを設定し、エコー検出部により、超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出でき、解析部により、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析できる。このため、本実施形態の超音波データ解析装置によれば、内面に皮膜が形成された被覆管においても、ノイズの影響を抑制した厚み測定が可能となる。
【0056】
[実施形態2]
本実施形態は、実施形態1の超音波データ解析装置10の構成に加えて、マッピング部、画像生成部、及び表示部を含むこと以外は、実施形態1の超音波データ解析装置10と同様であり、その説明を援用できる。本実施形態の超音波データ解析装置は、例えば、マッピング部、画像生成部、及び表示部を含み、前記マッピング部は、前記管の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成し、前記画像生成部は、前記管内壁マップ上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成し、前記表示部は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する。
【0057】
図4は、本実施形態の超音波データ解析装置10Aの一例の構成を示すブロック図である。図4に示すように、超音波データ解析装置10Aは、実施形態1の超音波データ解析装置10の構成に加えて、マッピング部15、画像生成部16、及び表示部17を含む。超音波データ解析装置10Aのハードウェア構成は、図2の超音波データ解析装置10のハードウェア構成において、CPU101が、図1の超音波データ解析装置10の構成に代えて、図4の超音波データ解析装置10Aの構成を含む以外は同様である。
【0058】
つぎに、本実施形態の超音波データ解析方法について、図5のフローチャートを用いて説明する。本実施形態の超音波データ解析方法は、例えば、図4に示す本実施形態の超音波データ解析装置10Aを用いて実施できる。なお、本発明の超音波データ解析方法は、超音波データ解析装置10Aの使用に限定されない。また、本実施形態においては、測定対象の被覆管として、その内面をガラスでライニングされたグラスライニング管を例に挙げて説明するが、本発明は以下の説明に何ら制限されない。また、以下の説明においては、例えば、前記S2工程において、その他のゲートとして、前記トラッキングエコー検出ゲートが設定され、前記S3工程において、前記トラッキングエコーが検出されている場合を例に挙げて説明するが、前述のように、本発明においてトラッキングエコー検出ゲートの設定及びトラッキングエコーの検出は任意である。
【0059】
まず、前記実施形態1の超音波データ解析方法におけるS1~S4と同様にして、S1~S4を実施する。
【0060】
つぎに、マッピング部15は、前記管の内壁の一部又は全部をマッピングして管内壁マップを生成する(S5、マッピング工程)。具体的には、マッピング部15は、例えば、前記管の軸方向に対し垂直方向の管断面をマッピングした管断面マップを生成してもよい。図6を用いて、マッピング部15による処理を説明する。図6(A)は、検査対象の被覆管2の断面を示す模式図である。マッピング部15は、例えば、図6(A)において破線で示す仮想切断面2cを基準に、被覆管2の周方向における測定点1から測定点200の200か所の測定点を展開し、図6(B)に示すような管断面マップを生成する。なお、前記測定点の数は任意であり、これには制限されない。
【0061】
つぎに、画像生成部16は、前記管内壁マップ(管断面マップ)上に前記超音波信号データを重ねて管内壁マップ超音波エコー画像を生成する(S6、画像生成工程)。図7に、画像生成部16により生成された管内壁マップ超音波エコー画像の一例を示す。図7において、(A)は、前記測定点における超音波信号データ画像(Aスコープともいう)の一例を示し、(B)が、複数の測定点における超音波信号データを前記管内壁マップに重畳した前記管内壁マップ超音波エコー画像(Bスコープともいう)の一例を示す。図7(A)及び(B)において、符号161は、前記トラッキングエコー(皮膜表面のエコー)を示し、符号162は、前記内面エコーを示し、符号163は、前記多重エコーを示し、符号164は、前記外面エコーを示す。図7(B)において、符号165は、前記トラッキングエコーと前記内面エコーとの時間差、すなわち、皮膜(ガラス)の厚みを示す。符号166は、前記内面エコーと前記多重エコーの時間差、符号167は前記多重エコーと前記外面エコーとの時間差を示し、符号168が、前記検査対象管の管体の厚みを示す。本実施形態の超音波データ解析装置10Aは、例えば、図7(B)に示すような管内壁マップ超音波エコー画像を生成できるため、より直感的に検査対象管の厚みを確認できる。
【0062】
画像生成部16は、解析部14が前記エコーの検出順序に基づいて厚みの解析手法を変更している場合、例えば、前記解析手法に応じて異なる前記管内壁マップ超音波エコー画像を生成してもよい。図8に、異なる前記管内壁マップ超音波エコー画像の一例を示す。図8(A)および(B)において、上図は、超音波信号データの一例を示す模式図であり、下図が、前記管内壁マップ超音波エコーの一例を示す模式図である。図8(A)は、前記多重エコーが前記外面エコーよりも後に検出された場合の前記管内壁マップ超音波エコー画像の一例であり、図8(B)は、前記多重エコーが前記外面エコーよりも先に検出された場合の前記管内壁マップ超音波エコー画像の一例である。図8(A)及び(B)において、管体の減肉部を白抜き矢印で示す。本実施形態の超音波データ解析装置10Aは、例えば、図8(A)及び(B)に示すような管内壁マップ超音波エコー画像を生成できるため、被覆管における皮膜の厚みと管体の厚みとの組み合わせによらず、より直感的に検査対象管の厚みを確認できる。
【0063】
そして、表示部17は、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示する(S7、表示工程)。表示部17は、例えば、超音波データ解析装置10Aのディスプレイ107に前記管内壁マップ超音波エコー画像(Bスコープ)を表示してもよいし、装置外の表示装置に、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示させてもよい。前記装置外の表示装置は、例えば、超音波検査装置が備えるモニタ、外部ディスプレイ等があげられる。また、表示部17は、例えば、前記測定点における超音波信号データ画像(Aスコープ)を表示可能であってもよい。本実施形態の超音波データ解析装置10Aは、表示部17に、前記管内壁マップ超音波エコー画像を表示できるため、より直感的に被覆管の厚みを確認できる。また、図8(A)及び(B)のように、被覆管の減肉部をより容易に発見することができる。
【0064】
本実施形態の超音波データ解析方法において、前記S1~S7を順次実行する場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれには制限されない。本発明において、前記S1~S7は、例えば、同時に実行してもよいし、別個に実行してもよい。後者の場合、実行する順序は、特に制限されず、任意である。
【0065】
本実施形態の超音波データ解析装置は、超音波信号データを解析した、前記管内壁マップ超音波エコー画像を生成および表示できるため、例えば、より詳細な超音波データの解析が可能となる。
【0066】
[実施形態3]
実施形態3は、本発明の超音波検査装置について説明する。本発明の超音波検査装置は、例えば、超音波データ解析部を含み、前記超音波データ解析部が、前記本発明の超音波データ解析装置であることを特徴とし、その他の構成は特に制限されない。
【0067】
本発明の超音波検査装置は、例えば、公知の超音波検査装置が備える各種の部材を備えていてもよい。前記部材は、例えば、探触装置、液体ポンプ、超音波制御装置、リードケーブル、および超音波ケーブルがあげられる。図9に、本実施形態の超音波検査装置の構成の一例の模式図を示す。図9に示すように、本実施形態の超音波検査装置20は、超音波データ解析部(超音波データ解析装置)10、探触装置21、液体ポンプ22、超音波制御装置23、リードケーブル24、および超音波ケーブル(図示せず)を含む。
【0068】
液体ポンプ22は、例えば、リードケーブル24を通じて、図10に示す探触装置21の筒状容器211の後端部に液体(例えば、水)を送液可能である。具体的に、液体ポンプ22は、例えば、水圧を上げることで、前記液体を送液可能である。
【0069】
リードケーブル24は、例えば、液体ポンプ22と探触装置21、超音波制御装置23と探触装置21とを接続するためのケーブルであり、リードケーブル24内に、前記超音波ケーブルが挿通される。前記超音波ケーブルにより、超音波制御装置23と探触子212が接続される。リードケーブル24及び前記超音波ケーブルの長さは、特に制限されず、検査対象の管の長さに応じて適宜設定可能である。
【0070】
超音波制御装置23は、例えば、探触装置21による超音波の送受信を制御する装置であり、前記超音波ケーブルにより、超音波制御装置23の制御信号が探触子212に伝送され、探触子212による超音波の送受信が制御される。
【0071】
超音波制御装置23と、超音波データ解析装置10とは、例えば、互いに接続可能な装置である。超音波制御装置23及び超音波データ解析装置10との接続は、例えば、有線でも無線でもよい。前記無線での接続は、例えば、通信回線網を介した通信があげられる。前記通信回線網は、例えば、前述の通りである。
【0072】
超音波データ解析装置10は、前記本発明の超音波データ解析装置であり、探触子212が受信し、かつ、超音波制御装置23に送信された超音波信号データを解析する。
【0073】
探触装置21は、特に制限されず、例えば、公知の探触装置が利用できる。図10および図11を用いて、前記探触装置の一例の構成を説明する。図10は、探触装置21の構成の一例を示す模式図である。探触装置21は、探触装置本体部、及び、探触装置先端部を含む。前記探触部本体部は、図10に示すように、筒状容器211及び探触子212を含む。筒状容器211の内部に、探触子212が収容される。筒状容器211は、前記管内への挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有する。前記探触装置先端部は、反射ミラー213、及び、回転機構214を含む。
【0074】
前記探触装置先端部及び筒状容器211の大きさは、検査対象の管2内に挿入可能な大きさであればよく、特に制限されない。検査対象の管2は、例えば、前記被覆管である。図10に示す管2において、符号2aは、管の素地断面を示し、符号2bは、管2内部の皮膜断面を示す。
【0075】
図11(a)は、液体の流れの一例を示す模式図である。図11(a)に示すように、探触子212と筒状容器211の内壁との間に、液体3が流れることが可能な流路が形成される。前記流路において、液体3は、前記後端部から前記先端部に向けて流れることが可能である。液体3は、特に制限されないが、例えば、水である。液体3は、例えば、前述のように、液体ポンプ22からリードケーブル24を通じて、筒状容器211の後端部に送液される。検査対象の管2の内部は、例えば、予め液体3によって満たされていてもよいし、液体ポンプ22による送液により液体3によって満たされてもよい。
【0076】
探触子212は、超音波を送受信可能である。前記超音波の周波数は、検査対象の管2及び液体3の種類に応じて、適宜設定可能である。
【0077】
反射ミラー213は、探触子212から送信された超音波を反射して検査対象の管2の内壁に対し垂直方向に前記超音波を出射可能であり、かつ、検査対象の管2の皮膜2b表面、管体2aの内表面(管2の内壁)、及び管体2aの外表面等で反射された超音波、並びに皮膜2aの表面(被覆管の中心側)及び皮膜2aの外表面(被覆管2の内表面側)の境界面で多重反射した超音波を反射して探触子212に入射可能である。反射ミラー213は、回転機構214により、筒状容器211の前記先端部に回転自在に取り付けられている。反射ミラー213の角度は特に制限されず、適宜設定可能である。
【0078】
回転機構214は、前記流路の液体3の流れを駆動力として反射ミラー213を回転可能である。図11(b)は、反射ミラー213及び回転機構214の構成の一例を示す模式図である。図11(b)に示すように、回転機構214は、例えば、筒状回転体214a、及び、板状回転体214bを含む。筒状回転体214aは、検査対象の管2内の挿入方向側の先端部と、前記先端部と反対側の後端部を有する。反射ミラー213は、筒状回転体214aの前記先端部に配置される。板状回転体214bは、筒状回転体214aの前記後端部に配置される。筒状回転体214aは、板状回転体214bを介して前記筒状容器の前記先端部に回転自在に取り付けられる。板状回転体214bには、溝(図示せず)がある。前記溝において、液体3は、筒状容器211の前記先端部から筒状回転体214aの前記先端部に向けて流れることが可能である。筒状回転体214aの側部に、液体3の排出孔が形成されている。すなわち、筒状容器211の後端部に送液された液体3が、前記流路を流れて、板状回転体214bの前記溝を流れる。そして、板状回転体214bは、液体3が前記溝を流れる力を駆動力として、回転し、連動して筒状回転体214aが回転する。前記回転の方向は、例えば、右回りでもよいし、左回りでもよい。筒状回転体214a及び板状回転体214bは、一体成形品であってもよい。
【0079】
図11(b)に示すように、回転機構214は、例えば、さらに、ベアリング214c及び固定治具214dを含んでもよい。ベアリング214cは、例えば、筒状容器211、筒状回転体214a及び板状回転体214bに接して配置される。固定治具214dは、例えば、筒状容器211、ベアリング214c及び筒状回転体214aに接して配置される。ベアリング214c及び固定治具214dは、筒状回転体214aを筒状容器211の前記先端部に固定して支持可能なものであればよく、特に制限されない。
【0080】
[実施形態4]
つぎに、本発明の超音波検査方法について説明する。本発明の超音波検査方法は、例えば、被覆管の厚みを超音波で検査する超音波検査方法であって、超音波データ解析工程を含み、前記超音波データ解析工程が、前記本発明の超音波データ解析方法であることを特徴とし、その他の工程および条件は、なんら制限されない。
【0081】
本発明の超音波検査方法は、例えば、前記本発明の超音波データ解析装置または本発明の超音波検査装置を用いて実施できるが、本発明の超音波検査方法は、前記本発明の超音波データ解析装置または本発明の超音波検査装置を利用した方法には限定されない。以下、図を用いて本実施形態の超音波検査方法の一例について説明するが、本発明は以下の例には何ら制限されない。
【0082】
まず、図12に示すように、検査対象の管2内に超音波送受信機を挿入する。前記超音波送受信機は、超音波を送受信可能な装置であればよく、特に制限されないが、例えば、超音波検査装置における探触装置、すなわち、前記実施形態3の探触装置21があげられる。以下、超音波送受信機を探触装置21として示す。探触装置21は、例えば、管2内の中心に挿入されることが好ましい。検査対象の管2内は、流体3によって満たされている。次に、探触装置21から管2の内壁に対し、垂直方向に向けて超音波4を管2の周方向に回転させながら送信する。そして、探触装置21で前記送信された超音波4の反射を受信する。そして、探触装置21は、得られた超音波信号データを、リードケーブル24を介して超音波制御装置23に送信する。そして、超音波制御装置23は、受信した前記超音波信号データを超音波データ解析装置10に送信し、超音波データ解析装置10は、超音波制御装置23から取得した前記超音波信号データを解析する。超音波データ解析装置10による超音波信号データの解析は、例えば、前記実施形態1および2で前述したとおりである。
【0083】
また、本実施形態の超音波検査方法は、例えば、図12に示すように、管2内に液体3を送液し、管2内を液体3で満たした状態で超音波4を管2の周方向に回転させながら送信してもよい。
【0084】
本実施形態の超音波検査方法は、前述のように、得られた超音波信号データを前記本発明の超音波データ解析方法により解析する。このため、本実施形態の超音波検査方法によれば、例えば、内面に皮膜が形成された被覆管においても、ノイズの影響を抑制した厚み測定または探傷が可能となる。
【0085】
[実施形態5]
本実施形態の第1のプログラムは、前述の超音波データ解析方法の各工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。具体的に、本実施形態の第1のプログラムは、コンピュータに、超音波データ取得手順、ゲート設定手順、エコー検出手順、解析手順を実行させるためのプログラムである。
【0086】
前記超音波データ取得手順は、検査対象の被覆管の超音波信号データを取得し、
前記ゲート設定手順は、少なくとも3つの厚み測定用ゲートを設定し、
前記エコー検出手順は、前記超音波信号データから、前記厚み測定用ゲートに基づいて、内面エコー、外面エコー、及び多重エコーを検出し、前記解析手順は、前記内面エコー、前記外面エコー、及び前記多重エコーに基づいて、前記検査対象管の厚みを解析する。
【0087】
また、本実施形態の第1のプログラムは、コンピュータを、超音波データ取得手順、ゲート設定手順、エコー検出手順、解析手順として機能させるプログラムということもできる。
【0088】
本実施形態の第1のプログラムは、前記本発明の超音波データ解析装置及び超音波データ解析方法における記載を援用できる。前記各手順は、例えば、「手順」を「処理」と読み替え可能である。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)である。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0089】
[実施形態6]
本実施形態の第2のプログラムは、前述の超音波検査方法の各工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。具体的に、本実施形態の第2のプログラムは、コンピュータに、被覆管の厚みを超音波で検査する超音波検査手順を実行させるためのプログラムであって、前記超音波検査手順は、超音波データ解析手順を含み、前記超音波データ解析手段が、前記本発明の第1のプログラムにより実行される。
【0090】
また、本実施形態の第2のプログラムは、コンピュータを、超音波検査手順として機能させるプログラムということもできる。
【0091】
本実施形態の第2のプログラムは、前記本発明の超音波検査装置及び超音波検査方法における記載を援用できる。前記各手順は、例えば、「手順」を「処理」と読み替え可能である。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)である。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0092】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明によれば、内面に皮膜が形成された被覆管の厚みを測定できる。このため、本発明は、配管の検査、保守、点検等の様々な分野において有用である。
【符号の説明】
【0094】
10、10A 超音波データ解析装置
11 超音波データ取得部
12 ゲート設定部
13 エコー検出部
14 解析部
15 マッピング部
16 画像生成部
17 表示部
101 CPU
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 プログラム
106 入力装置
107 ディスプレイ
108 通信デバイス
20 超音波検査装置
2 検査対象の被覆管
2a 管
2b 皮膜
3 液体(水)
4 超音波
21 探触装置
22 ポンプ
23 超音波制御装置
24 リードケーブル
211 筒状容器
212 探触子
213 反射ミラー
214 回転機構
214a 筒状回転体
214b 板状回転体
214c ベアリング
214d 固定治具

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12