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特開2023-101269ラベル付きパルプモールドおよびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101269
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】ラベル付きパルプモールドおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 29/00 20060101AFI20230712BHJP
   D21J 3/00 20060101ALI20230712BHJP
   D21J 7/00 20060101ALI20230712BHJP
   B65D 1/36 20060101ALI20230712BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
B32B29/00
D21J3/00
D21J7/00
B65D1/36
B65D1/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001800
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000238005
【氏名又は名称】株式会社フジシールインターナショナル
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松室 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】綿世 真弓
(72)【発明者】
【氏名】和田 奈央子
(72)【発明者】
【氏名】八木 晴可
(72)【発明者】
【氏名】節田 征矢
【テーマコード(参考)】
3E033
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
3E033AA10
3E033BA10
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA30
3E033BB08
3E033DD01
3E033FA04
4F100AR00D
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10B
4F100CB00C
4F100DC11A
4F100DC21
4F100DD11A
4F100DG02A
4F100DG10A
4F100DG10B
4F100JL01
4F100JN01B
4F100JN02D
4L055AH37
4L055AJ01
4L055AJ03
4L055BF06
4L055EA15
4L055EA34
4L055FA14
4L055GA04
4L055GA05
(57)【要約】
【課題】窓部が設けられたラベル付きパルプモールドの表面の平滑性の向上を図る。
【解決手段】ラベル付きパルプモールド1Aは、パルプモールド2Aとラベル3Aとを備える。パルプモールド2Aには、孔部21aが設けられる。ラベル3Aは、基材および基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有し、接着剤層を介してパルプモールド2Aに貼り付けられる。ラベル3Aは、孔部21aを覆う被覆領域31を含む。パルプモールド2Aは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部Xを有する。ラベル付きパルプモールド1Aにあっては、ラベル3Aのうちの曲面部Xに対応する部分が10%以上50%以下の絞り率で曲面部Xに貼り付けられ、また、ラベル3Aを介してラベル3Aの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能な窓部31aが、被覆領域31の少なくとも一部に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部が設けられたパルプモールドと、
基材および当該基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有し、当該接着剤層を介して前記パルプモールドに貼り付けられたラベルとを備え、
前記ラベルは、前記孔部を覆う被覆領域を含み、
前記パルプモールドは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を有し、
前記ラベルのうちの前記曲面部に対応する部分が、10%以上50%以下の絞り率で当該曲面部に貼り付けられ、
前記ラベルを介して当該ラベルの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能な窓部が、前記被覆領域の少なくとも一部に設けられている、ラベル付きパルプモールド。
【請求項2】
孔部が設けられたパルプモールドと、
基材および当該基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有し、当該接着剤層を介して前記パルプモールドに貼り付けられたラベルとを備え、
前記ラベルは、前記孔部を覆う被覆領域を含み、
前記パルプモールドは、前記ラベルが貼り付けられた部分である被貼り付け面と、前記ラベルが貼り付けられていない部分である露出面とを含み、
前記被貼り付け面と前記露出面との境界部において、前記被貼り付け面が前記露出面よりも後退していることにより、前記パルプモールドに段差部が設けられ、
前記ラベルが、当該ラベルの厚み方向における少なくとも一部が前記段差部に入り込んだ状態で前記パルプモールドに貼り付けられ、
前記ラベルを介して当該ラベルの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能な窓部が、前記被覆領域の少なくとも一部に設けられている、ラベル付きパルプモールド。
【請求項3】
前記基材が、光透過性を有する紙製である、請求項1または2に記載のラベル付きパルプモールド。
【請求項4】
前記基材の隠ぺい力が、40%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のラベル付きパルプモールド。
【請求項5】
前記ラベルが、遮蔽層をさらに有し、
前記パルプモールドに前記ラベルが貼り付けられた側から見た場合に、前記遮蔽層によって前記被覆領域の周縁部が覆われていることにより、前記窓部が、前記被覆領域のうちの前記周縁部以外の部分に設けられている、請求項1から4のいずれかに記載のラベル付きパルプモールド。
【請求項6】
孔部が設けられたパルプモールドが準備される工程と、
基材および当該基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有するラベルが準備される工程と、
前記孔部を覆うように前記ラベルが前記接着剤層を介して前記パルプモールドに貼り付けられる工程とを備え、
前記ラベルは、当該ラベルを介して前記ラベルの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能なものであり、
前記ラベルが前記パルプモールドに貼り付けられる工程において、前記ラベルが、前記パルプモールドに積層された状態でプレスされることによって前記パルプモールドに貼り付けられ、これにより、前記孔部を覆う部分である前記ラベルの被覆領域の少なくとも一部に窓部が設けられる、ラベル付きパルプモールドの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓部が設けられたラベル付きパルプモールドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物が収容可能に構成されたパルプモールドが普及しており、その一つとして、不透明なパルプモールドの外部から内容物を確認できるようにするために、パルプモールドに孔部を設け、透明なフィルムからなるラベルを貼り付けて当該孔部を覆うことで窓部が設けられてなるラベル付きパルプモールドが知られている。
【0003】
また、パルプモールドに孔部を設け、これを透明なフィルムで覆うことで窓部が設けられたパルプモールドが開示された文献としては、たとえば、特開2014-144612号公報(特許文献1)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-144612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、パルプモールドに孔部を設け、当該孔部を覆うように透明なプラスチック製フィルムからなるラベルを貼り付けることで得られるラベル付きパルプモールドにおいては、パルプモールドの曲面部に沿ってラベルを貼り付けることが困難であり、曲面部に沿って貼り付けられた部分のラベルに生じる皺や折り重なりが原因となって、ラベル付きパルプモールドの表面の手触り感や美観が損なわれてしまう問題があった。
【0006】
また、上記特許文献1に開示された窓部が設けられたパルプモールドが製造されるにあたっては、まず、パルプモールドに設けられた孔部の上方に、熱可塑性フィルムからなる透明な基材が配置され、次に、この基材が、加熱されることで軟化した状態で真空引き等によってパルプモールドに向けて吸引される。これにより、当該基材が孔部を覆うようにパルプモールドに貼り付けられることになる。
【0007】
しかしながら、上述した方法に従って窓部が設けられたパルプモールドが製造された場合には、熱可塑性フィルムがパルプモールドの表面形状に沿わずに皺や折り重なりが生じることがあり、パルプモールドの曲面部等に貼り付けられた部分の熱可塑性フィルムに生じる皺や折り重なりが原因となって、当該窓部が設けられたパルプモールドの表面の手触り感や美観が損なわれてしまう問題があった。
【0008】
さらに、上述した方法に従って窓部が設けられたパルプモールドが製造された場合には、当該パルプモールドのうちの熱可塑性フィルムが貼り付けられている部分と貼り付けられていない部分との境界部に大きな段差が生じてしまい、表面の手触り感や美観が損なわれてしまう問題もあった。
【0009】
したがって、本発明は、上述した問題を解決すべくなされたものであり、窓部が設けられたラベル付きパルプモールドにおいて、その表面の平滑性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の局面に基づくラベル付きパルプモールドは、パルプモールドとラベルとを備えている。上記パルプモールドには、孔部が設けられている。上記ラベルは、基材および当該基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有しており、当該接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられている。上記ラベルは、上記孔部を覆う被覆領域を含んでいる。上記パルプモールドは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を有している。上記本発明の第1の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記ラベルのうちの上記曲面部に対応する部分が、10%以上50%以下の絞り率で当該曲面部に貼り付けられており、また、上記ラベルを介して当該ラベルの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能な窓部が、上記被覆領域の少なくとも一部に設けられている。
【0011】
本発明の第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドは、パルプモールドとラベルとを備えている。上記パルプモールドには、孔部が設けられている。上記ラベルは、基材および当該基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有しており、当該接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられている。上記ラベルは、上記孔部を覆う被覆領域を含んでいる。上記パルプモールドは、上記ラベルが貼り付けられた部分である被貼り付け面と、上記ラベルが貼り付けられていない部分である露出面とを含んでいる。上記被貼り付け面と上記露出面との境界部において、上記被貼り付け面が上記露出面よりも後退していることにより、上記パルプモールドには段差部が設けられている。上記本発明の第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記ラベルが、当該ラベルの厚み方向における少なくとも一部が上記段差部に入り込んだ状態で上記パルプモールドに貼り付けられており、また、上記ラベルを介して当該ラベルの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能な窓部が、上記被覆領域の少なくとも一部に設けられている。
【0012】
上記本発明の第1および第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記基材が、光透過性を有する紙製であってもよい。
【0013】
上記本発明の第1および第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記基材の隠ぺい力が、40%以下であることが好ましい。
【0014】
上記本発明の第1および第2の局面に基づくラベル付きパルプモールドにあっては、上記ラベルが、遮蔽層をさらに有していてもよく、上記パルプモールドに上記ラベルが貼り付けられた側から見た場合に、上記遮蔽層によって上記被覆領域の周縁部が覆われていることにより、上記窓部が、上記被覆領域のうちの上記周縁部以外の部分に設けられていてもよい。
【0015】
本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法は、以下の工程を備えている。
(a)孔部が設けられたパルプモールドが準備される工程。
(b)基材および当該基材の一方の主面に設けられた接着剤層を有するラベルが準備される工程。
(c)上記孔部を覆うように上記ラベルが上記接着剤層を介して上記パルプモールドに貼り付けられる工程。
【0016】
ここで、上記ラベルは、当該ラベルを介して上記ラベルの一対の主面のうちの一方の側から他方の側が視認可能なものである。
【0017】
上記本発明に基づくラベル付きパルプモールドの製造方法にあっては、上記ラベルが上記パルプモールドに貼り付けられる工程において、上記ラベルが、上記パルプモールドに積層された状態でプレスされることによって上記パルプモールドに貼り付けられる。これにより、上記孔部を覆う部分である上記ラベルの被覆領域の少なくとも一部に窓部が設けられる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、窓部が設けられてなるラベル付きパルプモールドにおいて、その表面の平滑性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
図2図1に示すラベル付きパルプモールドの平面図である。
図3図1に示すラベル付きパルプモールドの断面図および要部拡大断面図である。
図4図1に示すパルプモールドの平面図である。
図5図1に示すラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図である。
図6図5に示す工程S3および工程S4を表わした模式断面図である。
図7図5に示す工程S5を表わした模式断面図である。
図8図5に示す工程S6を表わした模式断面図である。
図9】第1変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図および要部拡大断面図である。
図10】第2変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図および要部拡大断面図である。
図11】第3変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図および要部拡大断面図である。
図12】第4変形例に係るラベル付きパルプモールドの平面図である。
図13】第5変形例に係るラベル付きパルプモールドの平面図である。
図14】第5変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図および要部拡大断面図である。
図15】検証試験の結果を示す表である。
図16】実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの斜視図である。
図17図15に示すラベル付きパルプモールドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。以下に示す実施の形態1およびその変形例は、ファンデーションおよびパフを収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示するものであり、以下に示す実施の形態2は、パウチを収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示するものである。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るラベル付きパルプモールドの形状および構成を示す図であり、図1(A)は、開閉可能な蓋になる上側容器部が閉じられた状態のラベル付きパルプモールドの斜視図、図1(B)は、上側容器部が開かれた状態のラベル付きパルプモールドの斜視図である。図2は、図1(A)に示すラベル付きパルプモールドの平面図である。図3は、図1(A)に示すラベル付きパルプモールドの断面図であり、図3(A)は、図1(A)中に示すIII-III線に沿った断面図、図3(B)は、図3(A)の孔部近傍を拡大した要部拡大断面図である。図4は、図1に示すパルプモールドの平面図である。まず、これら図1ないし図4を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aについて説明する。なお、図1および図2においては、パルプモールド2Aとこれに貼り付けられているラベル3Aとの対応を、当該図1および図2を参照することで理解できるようにするため、ラベル3Aに覆われることで直接的には視認することができない部分のパルプモールド2Aの表面を、模式的にラベル3Aを透過させることで図示している(後述する図12図16および図17においても同様である)。
【0022】
図1ないし図3に示すように、ラベル付きパルプモールド1Aは、偏平形状の内容物であるファンデーションおよびパフを収容するための容器であり、パルプモールド2Aと、ラベル3Aとを備えている。
【0023】
パルプモールド2Aは、これが閉じられた状態において、全体として平面視略矩形状の外形を有しており、下面開口の上側容器部21と、上面開口の下側容器部22と、これら上側容器部21および下側容器部22を回動可能に連結するヒンジ部23とを有している。下側容器部22には、上側容器部21が閉じられた状態において当該上側容器部21に面する2つの凹部22aが設けられている。これら2つの凹部22aは、上側容器部21が閉じられた状態において、当該上側容器部21と共に、内容物としてのファンデーションおよびパフが収容される2つの収容空間20を規定する。
【0024】
図4に示すように、パルプモールド2Aの上側容器部21は、略平板状の部位と、その周囲に位置する湾曲状の部位とを含んでおり、これにより上側容器部21の内側表面には、凹形状の部位が設けられている。また、上側容器部21の外側表面の中央部は、略平面形状を有するように構成されており、上側容器部21の外側表面の周縁部の四隅は、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を含んでおり、当該四隅以外の上記周縁部には、一方向に湾曲した曲面からなる曲面部が位置している。説明の便宜上、上側容器部21のうちの上述した複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部を第1部分Xと称し、それ以外の部分(すなわち、上述した略平面形状を有する部分、および、上記周縁部のうちの一方向に湾曲した曲面からなる曲面部)を第2部分Yと称する。なお、図4においては、理解を容易とするために、第1部分Xに濃い色を付すとともに、第2部分Yに薄い色を付している。
【0025】
図1ないし図4に示すように、上側容器部21の第2部分Yのうちの略平面形状を有する部分には、当該上側容器部21が閉じられた状態において収容空間20に面することとなる位置(本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにおいては、ファンデーションの色等を外部から視認可能な位置)に、平面視略矩形状の孔部21aが設けられている。孔部21aは、後述する外部から収容空間20を視認可能な窓部31aを構成するものであり、当該孔部21aの平面視した場合の外形は、下側容器部22の凹部22aの構成等によって適宜変更されてもよく、たとえば、略円形状、略楕円形状、多角形状等であってもよい。なお、図1(A)および図2においては、孔部21aを想像線(二点鎖線)にて示している(後述する図12図13図16(A)および図17においても同様である)。
【0026】
パルプモールド2Aの原料としては、新聞紙、チラシ、中質紙、および上質紙等からなる印刷使用済み古紙に、湿式で離解、および精選等の処理を施すことによって得られる古紙パルプ、または、上記処理に加えて脱墨および漂白等の処理を施すことによって得られる脱墨古紙パルプ、もしくは晒パルプまたは未晒パルプ等のセルロースパルプが用いられる。パルプモールド2Aは、これらのパルプにサイズ剤、填料、染料、定着剤、および耐水化剤等が適宜添加されてなるパルプスラリーが、所望の形状に成形されることによって製作される。
【0027】
なお、上述した各種パルプに代えて、バージンパルプ、または、サトウキビの搾りかすであるバガスもしくは竹等の非木材系パルプが用いられてもよい。また、いずれのパルプにおいても、合成樹脂が少量(好ましくは5%以下程度)含まれていてもよい。
【0028】
図1ないし図3に示すように、ラベル3Aは、パルプモールド2Aの上側容器部21の外側表面の全面に貼り付けられたシート状のものであり、基材3aおよび当該基材3aの一方の主面に設けられた接着剤層3bを有している(特に図3(B)参照)。これにより、ラベル3Aの一対の主面のうちの一方である第1主面3(1)は、基材3aによって規定され、他方である第2主面3(2)は、接着剤層3bによって規定されている。ここで、図2においては、理解を容易とするために、ラベル3Aのうちの、上側容器部21の第1部分Xに対応して貼り付けられている部分に濃い色を付すとともに、上側容器部21の第2部分Yに対応して貼り付けられている部分に薄い色を付している(後述する図12および図17においても同様である)。
【0029】
なお、ラベル3Aの平面視した場合の外形は、パルプモールド2Aの上側容器部の外形に合わせて適宜変更されてもよく、たとえば、略円形状、略楕円形状、多角形状等であってもよい。
【0030】
基材3aは、紙製の部材によって構成されることが好ましい。また、基材3aは、隠ぺい力が90%以下である部材によって構成されていることが好ましく、さらに好適には、隠ぺい力が40%以下である部材によって構成される。これにより、基材3aおよび接着剤層3bからなるラベル3Aは、ラベル3Aの第1主面3(1)側から第2主面3(2)側が当該ラベル3Aを介して視認可能に構成されている。なお、基材の隠ぺい力とは、当該基材が素地の色または色差を覆い隠す能力のことである。
【0031】
上述した隠ぺい力を備える部材としては、光透過性を有する部材が挙げられる。光透過性を有する部材であって隠ぺい力が90%以下であるものとしては、たとえば米坪が50g/m以上100g/m以下の片艶晒クラフト紙やセロファン、米坪が40g/m以下のグラシン紙等が挙げられ、これらのうちセロファンおよび米坪が40g/m以下のグラシン紙は、その隠ぺい力が40%以下である。また、上述した隠ぺい力を備える部材としては、光透過性を有しない紙に複数の貫通孔が設けられた部材である、いわゆる網目加工紙が用いられてもよい。網目加工紙は、これに設けられる貫通孔の大きさや数等を変更することにより、その隠ぺい力を適宜調整可能に構成されている。なお、以上において列挙した部材の隠ぺい力は、後述する検証試験の結果に基づいている。
【0032】
また、基材3aとして用いられる紙製の部材の米坪は、20g/m以上100g/m以下であることが好ましい。このようにすれば、ラベル3Aが意図せず破断すること、ならびに、ラベル3Aがパルプモールド2Aの表面に沿わずに変形すること等を効果的に防止できることになる。なお、基材3aとして用いられる紙製の部材の厚みは、30μm以上150μm以下であることが好ましく、さらに好適には、50μm以上130μm以下とされる。
【0033】
本実施の形態においては、基材3aとして、透明性に優れたセロファンが用いられている。このように基材3aとしてセロファン等の紙製の部材が用いられた場合には、パルプモールド2Aを含めて本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの大部分が紙製の部材によって構成されることになるため、ラベル付きパルプモールド1Aを、合成樹脂の使用が大幅に抑制された環境に優しい容器とすることができる。
【0034】
なお、基材3aは、特にこれが紙製の部材に限定されるものではなく、基材3aとしてプラスチック製のフィルム等が用いられてもよい。基材3aに用いられるフィルムとしては、たとえばポリエチレンテレフタレートやポリ乳酸等のポリエステル系、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系、スチレンブタジエン共重合体等のスチレン系のフィルムであって、厚みが10μm以上100μm以下のものが挙げられる。
【0035】
接着剤層3bは、透明性を有しかつ熱接着性を有するものであることが好ましい。具体的には、接着剤層3bは、熱接着性を有する樹脂である、低密度ポリエチレン(Low Density Polyethylene(LDPE))、またはエチレン酢酸ビニル共重合体(Ethylene-Vinyl Acetate(EVA))等の熱可塑性樹脂であることが好ましいが、アクリル系もしくはウレタン系等の良好な接着性を有する樹脂等であってもよい。また、基材3aとしてセロファンが用いられる場合には、接着剤層3bとしてアクリル系樹脂や塩化ビニリデン系樹脂が用いられることが好ましい。このようにすれば、基材3aを構成するセロファンに防湿性および熱接着性を付与することができる。
【0036】
さらに、接着剤層3bは、植物由来の原料を用いたPBS(Poly Butylene Succinate)やPLA(Poly Lactic Acid)等の生分解性樹脂であってもよく、このようにすれば、石油由来材料の使用を抑制することができる。なお、接着剤層3bは、粘着付与剤や滑剤等が添加されたものであってもよい。
【0037】
接着剤層3bを基材3aの主面に設ける手法としては、接着剤層3bを構成する上述した樹脂等を押出しラミネートによって基材3aにコーティングする手法でもよく、溶液もしくはエマルジョンの状態とした当該樹脂等を基材3aにコーティングして乾燥させる手法等でもよい。なお、接着剤層3bの厚みは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましい。
【0038】
ここで、接着剤層3bは、基材3aの一対の主面の一方に設けられるだけでなく、当該一対の主面の両方に設けられてもよい。このように構成した場合には、後述するようにラベル3Aに皺や折り重なりが生じた際に、これらを規定する部分の主面同士が接着された上で折り畳まれた状態にてこれらを固定することができる。
【0039】
図1ないし図3に示すように、上側容器部21に貼り付けられたラベル3Aは、上側容器部21の孔部21aを覆う被覆領域31を含んでいる。ここで、ラベル3Aは、上述したように、第1主面3(1)側から第2主面3(2)側が当該ラベル3Aを介して視認可能なものである。このように構成することにより、孔部21aを覆う部分であるラベル3Aの被覆領域31には、外部から収容空間20を視認可能な窓部31aが設けられている。
【0040】
また、図3(B)に示すように、ラベル3Aは、これが後述するようにプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、孔部21aを覆う部分であるラベル3Aの被覆領域31は、その厚み方向における少なくとも一部が孔部21aに入り込んだ状態でパルプモールド2Aに貼り付けられている。これにより、ラベル3Aの被覆領域31は、被覆領域31以外の部分のラベル3Aよりも、全体として後退して位置している。
【0041】
さらに、図2および図4に示すように、ラベル3Aは、接着剤層3bを介して上側容器部21のうちの複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部である第1部分Xと、それ以外の部分である第2部分Yとを含む外側表面の全面に貼り付けられている。
【0042】
ここで、第1部分Xは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部であることから、何らの手当ても行なわずにラベル3Aが当該第1部分Xに貼り付けられた場合には、ラベル3Aが皺になったり、折り重なったりしやすくなる。この点、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、第1部分Xに対応する部分のラベル3Aの絞り率が所定の値となるように当該ラベル3Aが貼り付けられ、さらに、第1部分Xに対応する部分のラベル3Aに所定のデザインが施されることにより、上述した問題の解決が図られている。
【0043】
具体的には、ラベル付きパルプモールド1Aにあっては、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、当該ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分が、10%以上50%以下の絞り率で当該第1部分Xに貼り付けられており、ラベル3Aのうちの第2部分Yに対応する部分が、10%未満の絞り率で当該第2部分Yに貼り付けられている。
【0044】
絞り率とは、パルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3Aの周長と、パルプモールド2Aのうち当該ラベル3Aが貼り付けられる領域の周長とによって算出することができる。パルプモールド2Aのうち当該ラベル3Aが貼り付けられる領域のある位置で測定した周長をP1とし、パルプモールド2Aに貼り付けられるラベル3AのうちP1の測定位置に相当する位置の周長をP2とした場合、絞り率は以下に示す式1により算出される。なお、絞り率の算出においては、P2をたとえば2mmにする等、短い単位で算出することが好ましい。
【0045】
(式1) 絞り率=100-(P1/P2×100)
さらに、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分には、当該ラベル3Aの皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインが施されている。このようなデザインとしては、たとえば、木目調、石目調、石垣模様、岩肌模様、大理石模様、空模様、砂地柄、波柄、織物柄、小花柄、草花柄、樹木柄、唐草模様、小紋柄、ボタニカル柄、ペイズリー柄、カモフラージュ柄、ドット柄、水彩柄、およびマーブル模様等が挙げられ、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分には、これらのうちのいずれかのデザインが施されることが好ましい。
【0046】
ここで、木目調は材木の断面に表れる年輪、繊維、導管等で成された模様、石目調は天然石やレンガの地肌を表した模様、石垣模様は城壁等に様々な形状の石が積み重ねられた雰囲気を表した模様、空模様は様々な雲が青空に浮かんでいる景色や曇り空を表した模様、波柄は波立つ海原や波紋を表した柄、織物柄は綿や麻の糸を織ったり藁や竹を編んだ風合いを表した柄、ドット柄は水玉模様を含みシャンプードット、バブルドット、コインドット、ランダムドットと呼ばれる柄、水彩柄は水彩絵の具で濃淡を描いた雰囲気のある柄である。
【0047】
また、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に施されるデザインは、上記のデザインに限られず、ラベル3Aの皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインであればよい。すなわち、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に施されるデザインは、上述したデザイン以外にも、たとえば、パルプモールドの地模様と同一の模様、自然物を散在させたようなデザイン、および、実質的に同一の単位デザインが繰り返し並ぶように配置された連続柄のうちのいずれかとすることができる。
【0048】
ここで、パルプモールドの地模様と同一の模様とは、パルプモールドを構成する紙やパルプの種々の微細な繊維が不規則に絡み合うことによってパルプモールドの表面に現れる模様のことである。また、実質的に同一の単位デザインには、大きさ、形状、および色彩が完全に同一の単位デザインだけではなく、大きさ、形状、および色彩のうち少なくとも1つが同一ではない単位デザインが含まれていてもよい。実質的に同一の単位デザインには、たとえば、種類が異なる花や植物であっても、そのそれぞれを単位デザインとして配置したものが含まれてもよい。
【0049】
上述したこれらのデザインは、ラベル3Aの基材3aの一対の主面のうちの一方あるいは両方に設けられてもよい。接着剤層3bが設けられる側の基材3aの主面にこれらのデザインが設けられる場合には、まず、基材3aの主面にデザインが塗布され、その後に当該デザインの上から接着剤層3bが塗布されればよい。なお、このようなデザインの塗布は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、およびインキジェット印刷等の公知の印刷法のうちの、基材3aやデザイン等に応じた適切な方法にて行われる。
【0050】
なお、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分には、デザインが施されることなく無地であってもよい。たとえば、ラベル3Aの基材3aとして透明性に優れたセロファンが用いられた場合には、これを介してパルプモールド2Aの地模様が視認可能になるとともに、第1部分Xに、セロファン特有の光沢等を付与することが可能になる。
【0051】
図5は、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法を示すフロー図であり、図6ないし図8は、図5に示す工程の一部を表わした模式断面図である。次に、これら図5ないし図8を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールドの製造方法について具体的に説明する。
【0052】
ここで、図6は、図1(B)中に示すVI-VI線に対応した位置でのパルプモールド2A、ラベル3A、および後述する第1型100および第2型110の断面を表わした図である(図7および図8においても同様である)。
【0053】
図5に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、まず、孔部21aが設けられ、かつ後述するプレス工程(工程S5)を経ることでそれ自体が圧縮されることが可能に構成されたパルプモールド2Aが準備される(工程S1)。次に、パルプモールド2Aのうちの、孔部21aが設けられた上側容器部21の外側表面の全面を覆うことが可能な大きさの外形を有するラベル3Aが準備される(工程S2)。
【0054】
次に、図5および図6に示すように、上側容器部21が開かれた状態におけるパルプモールド2Aの形状に沿う形状を有する第1型100に、パルプモールド2Aがセットされる(工程S3)。ここで、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、後述するパルプモールド2Aおよびラベル3Aが第2型110によってプレスされる工程(工程S5)の前のパルプモールド2Aの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、後述する工程S5においてラベル3Aと共に第2型110によってプレスされた後の(すなわち、プレスによって圧縮変形した後の)パルプモールド2Aおよびこれに貼り付けられたラベル3Aに沿う形状を意味している。
【0055】
図6に示すように、第1型100には、その一対の主面のうちの一方から突出するように、第1凸状部101および第2凸状部102が設けられている。第1凸状部101は、パルプモールド2Aの上側容器部21に含まれる凹形状の部位に沿う形状を有しており、第2凸状部102は、パルプモールド2Aの下側容器部22の凹部22aに沿う形状を有している。
【0056】
パルプモールド2Aは、上側容器部21に含まれる凹形状の部位が第1凸状部101に当接するとともに、下側容器部22の凹部22aが第2凸状部102に当接するように、上側容器部21が開かれた状態で第1型100にセットされる。
【0057】
次に、図5および図6に示すように、ラベル3Aが、パルプモールド2Aに対して位置決めされて配置される(工程S4)。
【0058】
具体的には、図6に示すように、パルプモールド2Aが第1型100にセットされた状態において、ラベル3Aが、接着剤層3bが設けられた第2主面3(2)がパルプモールド2Aの上側容器部21に面し、かつ、後述するパルプモールド2Aおよびラベル3Aが第2型110によってプレスされる工程(工程S5)において上側容器部21の孔部21aを覆うこととなるように、パルプモールド2Aの上側容器部21に対して位置決めされて配置される。これにより、ラベル3Aは、第1型100と後述する第2型110との間に配置されることになる。
【0059】
次に、図5および図7に示すように、ラベル3Aが、第2型110によってプレスされることでパルプモールド2Aに貼り付けられる(工程S5)。
【0060】
具体的には、図7に示すように、ラベル3Aがパルプモールド2Aに対して位置決めされた状態において、ラベル3Aが、パルプモールド2Aの形状に沿う形状を有する第2型110によってパルプモールド2Aに向けて(すなわち、図7中に示す矢印AR1方向に向けて)プレスされる。これにより、ラベル3Aが、孔部21aを覆うように上側容器部21に貼り付けられる。
【0061】
ここで、パルプモールド2Aの形状に沿う第2型110の形状とは、製品としてのラベル付きパルプモールド1Aの形状に実質的に沿う形状のことを意味しており、当該工程S5の前のパルプモールド2Aの形状と完全に一致した形状を意味するものではない。すなわち、パルプモールド2Aの形状に沿う形状とは、当該工程S5においてラベル3Aと共に第2型110によってプレスされた後の(すなわち、後述するように、プレスによって圧縮変形した後の)パルプモールド2Aおよびこれに貼り付けられたラベル3Aに沿う形状を意味している。
【0062】
また、第2型110には、その一対の主面のうちの第1型100に面する側に、第1凹状部111および第2凹状部112が設けられている。第1凹状部111は、パルプモールド2Aの上側容器部21に含まれる凹形状の部位の外側表面(すなわち、図7中に示す上側の表面)に沿う形状を有しており、第2凹状部112は、パルプモールド2Aの下側容器部22の凹部22aの外側表面(すなわち、図7中に示す上側の表面)に沿う形状を有している。
【0063】
このように構成された第2型110によってプレスされることにより、パルプモールド2Aおよびラベル3Aが、積層された状態で第1型100および第2型110によって挟み込まれることになる。これにより、ラベル3Aは、孔部21aが設けられた上側容器部21の外側表面の全面を覆うように、第2主面3(2)側に設けられた熱接着性の接着剤層3bを介して当該上側容器部21に貼り付けられる。
【0064】
ここで、ラベル3Aは、上述したように、ラベル3Aの第1主面3(1)側から第2主面3(2)側が、当該ラベル3Aを介して視認可能に構成されている。これにより、孔部21aを覆う部分であるラベル3Aの被覆領域31には、上側容器部21が閉じられた際に外部から収容空間20を視認可能な窓部31aが設けられることとなる。
【0065】
また、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、孔部21aを覆う部分であるラベル3Aの被覆領域31は、その接着剤層3bが当該孔部21aの縁に沿うようにパルプモールド2Aに貼り付けられる。これにより、ラベル3Aの被覆領域31は、被覆領域31以外の部分のラベル3Aよりも、全体として後退した位置に配置されることになる(図3(B)参照)。
【0066】
さらに、ラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、上側容器部21の第1部分Xに対応する部分のラベル3Aが、10%以上50%以下の絞り率で当該第1部分Xに貼り付けられるとともに、上側容器部21の第2部分Yに対応する部分のラベル3Aが、10%未満の絞り率で当該第2部分Yに貼り付けられることとなる。
【0067】
なお、工程S5における第2型110によるプレスは、プレス温度が概ね70℃以上200℃以下であることが好ましく、さらに好適には、90℃以上150℃以下とされる。その際、第1型100も同程度に加熱されていてもよい。また、プレス時間は、1秒以上5秒以下程度であることが好ましい。なお、上述したプレス温度およびプレス時間は、基材3aの耐熱性や接着剤層3bの接着温度等によって適宜変更されるものである。パルプモールド2Aは、このような条件下でラベル3Aと共にプレスされて圧縮変形されることにより、プレス前の状態に比べて、硬く、薄く、その表面が平滑化したものになる。一例として、プレス前において厚さが0.8mm以上3.0mm以下あるいは1.5mm以上2.5mm以下のパルプモールド2Aは、このプレスによって厚さが0.8mm以上1.5mm以下等になる。
【0068】
次に、図5および図8に示すように、第2型110によるパルプモールド2Aおよびラベル3Aのプレスが解除される(工程S6)。具体的には、図8に示すように、第2型110がプレス前の位置に後退する(すなわち、図8中に示す矢印AR2方向に向けて移動する)ことにより、第2型110によるパルプモールド2Aおよびラベル3Aのプレスが解除される。これにより、図1ないし図3において示したラベル付きパルプモールド1Aの製造が完了する。
【0069】
以上において説明した本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、外部から収容空間20を視認可能な窓部31aが、被覆領域31に設けられている。これにより、不透明な部材からなるパルプモールド2Aの収容空間20に収容された内容物を、上側容器部21が閉じられた状態のまま、窓部31aを介して外部から視認することが可能になる。
【0070】
ここで、上側容器部21の第1部分Xは、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部であることから、何らの手当ても行なわずにラベル3Aが当該第1部分Xに貼り付けられた場合には、ラベル3Aが皺になったり、折り重なったりしやすくなる。
【0071】
この点、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したようにラベル3Aがプレスによってパルプモールド2Aに貼り付けられることにより、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分が、10%以上50%以下の絞り率で貼り付けられている。これにより、ラベル3Aを、パルプモールド2Aの表面の形状に沿った形状で保持することができるとともに、当該部分に大きな皺や折り重なりが生じることを抑制することができ、また、生じた折り重なり同士が更に重なることを抑制できることとなる。さらに、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に皺や折り重なりが生じた場合においても、これらがパルプモールド2Aの厚みに吸収されることになるため、実質的に当該部分のラベル3Aの表面に段差が生じることを抑制することができる。
【0072】
したがって、このように構成することにより、窓部が設けられたラベル付きパルプモールドにおいて、その表面の平滑性を大幅に向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、ラベル3Aのうちの第1部分Xに対応する部分に、当該ラベル3Aの皺や折り重なりが目立ちにくいようなデザインが施されている。これにより、ラベル3Aの皺や折り重なりをさらに目立ち難くすることができるため、ラベル付きパルプモールド1Aの美観を向上させることができるとともに、ラベル付きパルプモールド1Aに収容される商品の購買欲を高めることができる。
【0074】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、孔部21aを覆う部分であるラベル3Aの被覆領域31の厚み方向における少なくとも一部が孔部21aに入り込んだ状態でラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられている。これにより、ラベル付きパルプモールド1Aの輸送時および陳列時等において、ラベル3Aのうちの被覆領域31が周囲の物体と接触すること等によって破損してしまうことが効果的に防止できることになる。
【0075】
また、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aにあっては、上述したように、ラベル3Aの基材3aが紙製の部材によって構成されることが好ましい。これにより、プラスチック製フィルムからなるラベルが用いられる場合に比して、環境負荷の低減やコスト削減を図ることができる。
【0076】
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法においては、第1型100および第2型110の形状(図7等参照)は、上述した形状に限定されるものではない。たとえば、第1型100の形状を、上述した工程S5(すなわち、第2型110によるプレス工程)において第1型100を平面視した場合に、これに設けられた第1凸状部101のうちの孔部21aと重なる部分の表面が、圧縮後のパルプモールド2Aの厚み分だけ突出して位置した形状にしてもよい。このように構成した場合には、当該工程S5においてラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられる際に、孔部21aに対応する部分の第1凸状部101が、孔部21aに対応する部分の第1凹状部111に被覆領域31を介して当接することになり、これにより、窓部31aを規定する部分のラベル3Aに皺やたるみが生じることを効果的に抑制することができる。
【0077】
また、第2型110の形状を、上述した工程S5において第2型110を平面視した場合に、これに設けられた第1凹状部111のうちの孔部21aと重なる部分の表面が後退して位置した形状にしてもよい。このように構成した場合には、当該工程S5においてラベル3Aがパルプモールド2Aに貼り付けられる際に、ラベル3Aの被覆領域31が、加熱された第2型110に接触することを防止することができ、これにより、窓部31aを規定する部分のラベル3Aに、熱による変形や損傷が生じることを効果的に抑制することができる。
【0078】
(第1変形例)
図9は、第1変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図であり、図9(A)は、図1中に示すIII-III線に沿った断面図に対応する部分の第1変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図、図9(B)は図9(A)の孔部近傍を拡大した要部拡大断面図である。以下、この図9を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1について説明する。
【0079】
図9(A)および図9(B)に示すように、第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、ラベル3A1が、遮蔽層3cをさらに有している点において、上述したラベル3Aとその構成が相違している。
【0080】
具体的には、第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1にあっては、ラベル3A1が、上側容器部21が閉じられた際に収容空間20とは反対側に位置する上側容器部21の外側表面に貼り付けられており、当該ラベル3A1の基材3aの一対の主面のうちの接着剤層3bが設けられていない側の主面の一部には、遮蔽層3cが、被覆領域31の周縁部を覆うように設けられている。
【0081】
遮蔽層3cは、白色、黒色、その他の遮蔽効果を有する着色インキを用いて、いわゆるベタ印刷が行なわれることによってこれが構成されることが好ましいが、文字や絵柄等のデザインによってこれが構成されていてもよい。遮蔽層3cは、所望の色彩の印刷インキをオフセット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、およびインキジェット等の無版印刷法等の公知の印刷法にて塗布することによって形成されるが、当該遮蔽層3cは、当該印刷インキを1度塗りして形成されたもののほか、遮蔽効果を高めるために2度以上重ね塗りして形成されたものであってもよい。なお、微視的には、印刷インキを塗布した後の遮蔽層3cの表面には凹凸が生じるため、表面の平滑化や光沢付与、ならびに質感向上のために、さらに遮蔽層3cの表面を覆うように透明ニスもしくはマットニス等のコーティング層が設けられてもよい。
【0082】
また、遮蔽層3cの厚みは、特にこれが制限されるものではないが、たとえば0.5μm以上10μm以下程度とすることが好ましく、さらに好適には、1.5μm以上5μm以下とされる。
【0083】
このように構成した場合には、窓部31aが、被覆領域31のうちの周縁部以外の部分に設けられることになる。これにより、上側容器部21が閉じられた状態において外部から収容空間20を見た場合に、パルプモールド2Aを製造する際に孔部21aの縁に生じ得るバリ等を、遮蔽層3cによって隠すことが可能になる。
【0084】
したがって、第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1とすることにより、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られるばかりでなく、さらにラベル付きパルプモールドの美観を向上させることができる。
【0085】
なお、上述した第1変形例に係るラベル付きパルプモールド1A1にあっては、遮蔽層3cは、ラベル3A3の基材3aの一対の主面のうちの接着剤層3bが設けられていない側の主面の一部に設けられているが、ラベル3Aの厚み方向における遮蔽層3cの配置は、特にこれに制限されるものではなく、たとえば基材3aと接着剤層3bの間に配置されてもよい。
【0086】
また、遮蔽層3cが設けられる位置は、被覆領域31の周縁部のみに限定されるものではなく、当該周縁部以外の部分の被覆領域31においても適宜設けられてよい。窓部31aは、遮蔽層3cが設けられていない部分の被覆領域31に設けられることになるため、このように遮蔽層3cを所望の位置に適宜設けることにより、窓部31aの輪郭にデザイン性を付与することができ、これにより、ラベル付きパルプモールド1Aの美観を向上させることができる。
【0087】
(第2変形例)
図10は、第2変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図であり、図10(A)は、図1中に示すIII-III線に沿った断面図に対応する部分の第2変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図、図10(B)は図10(A)の孔部近傍を拡大した要部拡大断面図である。以下、この図10を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2について説明する。
【0088】
図10(A)および図10(B)に示すように、第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、ラベル3A2の基材3aの構成が、上述したラベル3Aの基材3aのそれと相違している。
【0089】
具体的には、第2変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2においては、ラベル3A2の基材3aとして、上述した、光透過性を有しない紙の一部に複数の貫通孔が設けられた部材である、いわゆる網目加工紙が用いられている。
【0090】
基材3aを構成する網目加工紙は、当該基材3aに接着剤層3bが塗布された後に、これら基材3aおよび接着剤層3bにレーザー等を照射することによって孔開けが行われることで形成されている。これにより、基材3aに設けられた貫通孔に対応する部分の接着剤層3bにおいても、同様に貫通孔が設けられることとなる。なお、この孔開けは、被覆領域31のうちの周縁部を除く内側部分において行なわれる。
【0091】
これにより、ラベル付きパルプモールド1A2にあっては、孔部21aを覆う部分であるラベル3A2の被覆領域31に設けられた複数の貫通孔の各々が、外部から収容空間20を視認可能な窓部31aを構成することとなる。
【0092】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られるばかりでなく、基材3aに設けられる貫通孔の大きさや数等を変更することにより、製品としてのラベル付きパルプモールド1A2に求められる機能に応じて適宜隠ぺい力を調整することが可能になる。
【0093】
なお、本変形例に係るラベル付きパルプモールド1A2においては、ラベル3A2として、当該ラベル3A2の一部において上述した孔開けが行なわれているが、当該孔開けは、ラベル3A2の全面において行なわれてもよい。ただし、この場合においても、ラベル3A2のうちの印刷等によってデザインが施されている部分には、当該孔開けは行われなくてよい。
【0094】
(第3変形例)
図11は、第3変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図であり、図11(A)は、図1中に示すIII-III線に沿った断面図に対応する部分の第3変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図、図11(B)は図11(A)の孔部近傍を拡大した要部拡大断面図である。以下、この図11を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第3変形例に係るラベル付きパルプモールド1A3について説明する。
【0095】
図11(A)および図11(B)に示すように、第3変形例に係るラベル付きパルプモールド1A3は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、ラベル3Aがパルプモールド2Aの上側容器部21の内側表面(すなわち、上側容器部21が閉じられた状態において、収容空間20に面する側の表面)に貼り付けられている点において、その構成が相違している。
【0096】
具体的には、第3変形例に係るラベル付きパルプモールド1A3にあっては、上側容器部21が閉じられた状態において、基材3aによって規定されているラベル3Aの第1主面3(1)が収容空間20に面することとなるように、ラベル3Aが、接着剤層3bを介して上側容器部21の内側表面に貼り付けられている。
【0097】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになる。
【0098】
(第4変形例)
図12は、第4変形例に係るラベル付きパルプモールドの上側容器部が閉じられた状態の平面図である。以下、この図12を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第4変形例に係るラベル付きパルプモールド1A4について説明する。
【0099】
図12に示すように、第4変形例に係るラベル付きパルプモールド1A4は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、パルプモールド2A4の上側容器部21に設けられている孔部21aの構成が、上述したパルプモールド2Aのそれと相違している。
【0100】
具体的には、第4変形例に係るラベル付きパルプモールド1A4にあっては、孔部21aが、上側容器部21の第2部分Yのうちの略平面形状を有する部分と、一方向に湾曲した曲面からなる曲面部とに跨がって設けられている。
【0101】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになる。
【0102】
(第5変形例)
図13は、第5変形例に係るラベル付きパルプモールドの上側容器部が閉じられた状態の平面図である。図14は、図13に示すラベル付きパルプモールドの断面図であり、図3(A)は、図1中に示すIII-III線に沿った断面図に対応する部分の第5変形例に係るラベル付きパルプモールドの断面図、図14(B)は、図14(A)の孔部近傍を拡大した要部拡大断面図である。以下、これら図13および図14を参照して、上述した実施の形態1に基づいた第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5について説明する。
【0103】
図13および図14に示すように、第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aと比較した場合に、上側容器部21に貼り付けられているラベル3A5の構成が、上述したラベル3Aのそれと相違している。
【0104】
具体的には、第5変形例に係るラベル付きパルプモールド1A5にあっては、ラベル3A5が、上側容器部21の第2部分Yのうちの略平面形状を有する部分の一部にのみ貼り付けられており、このようにして上側容器部21の一部に貼り付けられたラベル3A5は、上側容器部21の孔部21aを覆う被覆領域31を含んでいる。また、図14(A)および図14(B)に示すように、上側容器部21の外側表面は、ラベル3Aが貼り付けられた部分である被貼り付け面21(1)と、ラベル3Aが貼り付けられていない部分である露出面21(2)とを含んでいる。
【0105】
ここで、パルプモールド2Aのうちの被貼り付け面21(1)と露出面21(2)との境界部においては、被貼り付け面21(1)が、露出面21(2)よりも後退して位置している。すなわち、被貼り付け面21(1)は、上側容器部21が閉じられた状態において、露出面21(2)よりも収容空間20側に位置している。これにより、パルプモールド2Aの上側容器部21には段差部21bが設けられており、ラベル3A5は、当該ラベル3A5の厚み方向における少なくとも一部が段差部21bに入り込んだ状態でパルプモールド2Aに貼り付けられている。このようなラベル付きパルプモールド1A5の構成は、上述したようにラベル3A5がパルプモールド2Aに積層された状態でプレスされることにより、当該パルプモールド2Aの被貼り付け面21(1)が圧縮されつつ当該被貼り付け面21(1)にラベル3A5が貼り付けられることに起因して生じるものである。
【0106】
このように構成した場合には、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになるばかりでなく、段差部21bによってラベル3A5の厚みの少なくとも一部が吸収されることになるため、結果として、ラベル付きパルプモールド1A5の表面の平滑性を大幅に向上させることができる。
【0107】
(検証試験)
検証試験においては、紙製のサンプルを複数種類準備し、準備した各サンプルの隠ぺい力を測定するとともに、孔部を覆うラベルとしてこれらサンプルを用いた場合の内容物の視認性を実際に目視によって確認した。
【0108】
本検証試験においては、紙製のサンプルとして、セロファン(フタムラ化学社製普通セロファン PL #300)、薄口白色グラシン(日本製紙社製グラシン紙 25.8g/m)、特厚白色グラシン(日本製紙社製グラシン紙 40g/m)、網目加工紙(カクケイ社製レーザー加工紙)、片艶紙(日本製紙社製片艶晒クラフト紙 キャピタルラップ50g/m)、片艶紙(日本製紙社製片艶晒クラフト紙 キャピタルラップ80g/m)、片艶紙(日本製紙社製片艶晒クラフト紙 キャピタルラップ100g/m)、片艶紙(日本製紙社製片艶晒クラフト紙 キャピタルラップ120g/m)の合計8種類のサンプルを準備し、これらの隠ぺい力を、分光測色計(製品名:X-rite RM200QCポータブル色差計、X-rite社製)によって測定した。
【0109】
上記サンプルの隠ぺい力を測定するにあたっては、まず、基準黒の上にサンプルを重ね、そのサンプルの上に配置された分光測色計によって三刺激値YBを測定した。次に、基準白の上にサンプルを重ね、そのサンプルの上に配置された分光測色計によって三刺激値YWを測定した。このようにして得られた三刺激値YBおよび三刺激値YWを以下に示す式2に代入することにより、各サンプルの隠ぺい力を算出した。なお、本検証試験においては、基準黒および基準白として、白黒台帳(薄物)(大文字洋紙店社製)を用いた。
【0110】
(式2) 隠ぺい力=(YB/YW)×100
図15は、以上において説明した方法により測定された各サンプルの隠ぺい力と、これらをラベル3Aへ適用した場合の視認性の評価結果を示す表である。本検証試験の結果、隠ぺい力が90%以下の部材をラベル3Aとして用いた場合には、ラベル付きパルプモールド1Aの外部から収容空間20を視認可能であることがわかり、隠ぺい力が40%以下の部材をラベル3Aとして用いた場合には、明瞭に収容空間20を視認可能であることがわかった。ここで、図14においては、明瞭に収容空間20を視認可能であったサンプルには「優」と表わし、明瞭とまでは言えないものの収容空間20を視認可能であったサンプルには「良」と表わし、収容空間20を視認できなかったサンプルには「不可」と表わしている。ここで、明瞭とまでは言えないものの収容空間20を視認可能なサンプルとは、たとえば、明るい空間にて当該サンプルに接近した状態であれば収容空間20を視認可能なものである。
【0111】
なお、網目加工紙は、これに設けられる貫通孔の大きさや数等を変更することによって隠ぺい力が相応に調整可能である。したがって、本検証試験において測定された網目加工紙に設けられた貫通孔よりも大きい貫通孔とするか、または貫通孔の数を増やすこと等により、網目加工紙の隠ぺい力を図15に示す値よりも低くすることができるため、網目加工紙は、これに形成される貫通孔の数や大きさ等の調整如何により、内容物を外部から視認可能にするラベルとして用いることができるものである。
【0112】
(実施の形態2)
図16は、実施の形態2に係るラベル付きパルプモールドの形状および構成を示す図であり、図16(A)は、上側容器部が半開きにされた状態のラベル付きパルプモールドの斜視図、図16(B)は、上側容器部が全開にされた状態のラベル付きパルプモールドの斜視図である。図17は、図16(A)に示すラベル付きパルプモールドの上側容器部の平面図である。以下、これら図16および図17を参照して、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bについて説明する。なお、ラベル付きパルプモールド1Bが使用されるにあたっては、以下において説明する上側容器部21および下側容器部22は、ラベル付きパルプモールド1Bの前面側および背面側を規定することとなるが、説明の便宜上、これらを前面側容器部および背面側容器部と称することなく、上側容器部21および下側容器部22と称することとする。
【0113】
図16および図17に示すように、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bは、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aとは異なり、内容物として、外形が略円柱状のパウチや底側に襠部を有するいわゆるスタンディングパウチ等を収容可能なものであり、上側容器部21および下側容器部22を有している。
【0114】
より具体的には、本実施の形態に係るパルプモールド2Bは、上側容器部21と、下側容器部22と、ヒンジ部23と、蓋留め部24とを備えている。蓋留め部24は、上側容器部21の軸方向におけるヒンジ部23と連結していない側の端部と、下側容器部22の軸方向におけるヒンジ部23と連結していない側の端部とにそれぞれ設けられており、パルプモールド2Bは、これに収容されるパウチのスパウト部に蓋留め部24が係止されることによって蓋が閉じられた状態を維持することが可能に構成されている。また、下側容器部22は、上側容器部21が閉じられた状態においてこれに面するように湾曲した凹部22aを有している。この凹部22aは、上側容器部21が閉じられた状態において、当該上側容器部21と共に、内容物としてのパウチが収容される収容空間20を規定している。
【0115】
パルプモールド2Bの上側容器部21は、これを平面視したときの中央部が略平面でかつその周縁部が収容空間20に面するように湾曲した凹形状の部位を含んでいる。また、図16に示すように、上記周縁部の四隅のうちの蓋留め部24側に位置する二隅と、上記周縁部のうちのヒンジ部23側に隣接する部分とには、複数方向に湾曲した曲面からなる曲面部である第1部分Xが位置している。
【0116】
本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bにあっては、ラベル3Bが、上側容器部21のうちの第1部分Xと、それ以外の部分である第2部分Yとを含む全面に貼り付けられている。
【0117】
ここで、ラベル3Bのうちの第1部分Xに対応する部分は、10%以上50%以下の絞り率で当該第1部分Xに貼り付けられており、ラベル3Bのうちの第2部分Yに対応する部分は、10%未満の絞り率で当該第2部分Yに貼り付けられている。
【0118】
上側容器部21のうちの第2部分Yには、これを平面視した場合に上側容器部21の幅方向に延びる略矩形状の孔部21aが設けられており、当該孔部21aを覆うように、ラベル3Bが上側容器部21に貼り付けられている。
【0119】
これにより、孔部21aを覆う部分であるラベル3Bの被覆領域31には、外部から収容空間20を視認可能な窓部31aが設けられることになり、収容空間20に収容されたパウチが透明な素材からなる場合には、当該パウチに充填された飲料や化粧品等もまた窓部31aを介して視認可能になる。
【0120】
ここで、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bの製造方法は、上述した実施の形態1に係るラベル付きパルプモールド1Aの製造方法と同様の工程を経るものである。
【0121】
このように構成した場合にも、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになり、窓部が設けられたラベル付きパルプモールドにおいて、その表面の平滑性を大幅に向上させることができる。
【0122】
なお、本実施の形態に係るラベル付きパルプモールド1Bにあっては、上述したように、上側容器部21のうちの第2部分Yにおいて、これを平面視した場合に上側容器部21の幅方向に延びる略矩形状の孔部21aが設けられているものの、孔部21aの形状を、上側容器部21の幅方向と直交する方向(すなわち、図17における上下方向)に延びる略矩形状とした場合には、当該孔部21aに対応して設けられる窓部31aを介してパウチの充填物の残量等を視認可能に構成することができる。
【0123】
(その他の形態等)
上述した実施の形態およびそれらの変形例においては、1つの窓部が設けられた場合のラベル付きパルプモールドの構成を例示して説明を行なったが、当該窓部の数は、特にこれが制限されるものではなく、複数の窓部が設けられてもよい。
【0124】
また、上述した実施の形態およびその変形例においては、上側容器部と下側容器部とがヒンジ部によって連結された場合のラベル付きパルプモールドの構成を例示して説明を行なったが、上側容器部および下側容器部は、ヒンジ部によって連結されることなく、別個の部材として形成されていてもよい。この場合、上側容器部および下側容器部は、たとえば、各々に形成された嵌合部を介して互いに取り付けられてもよく、上述した窓部は、これら上側容器部および下側容器部のうちのいずれか一方に設けられていればよい。
【0125】
さらに、上述した実施の形態およびその変形例においては、内容物としてファンデーション、パフおよびパウチを収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、上述したファンデーション等以外の種々の商品を内容物として収容可能に構成されたラベル付きパルプモールドにも、本発明は当然に適用可能である。
【0126】
また、上述した実施の形態およびそれらの変形例においては、内容物を収容可能に構成された容器としてのラベル付きパルプモールドに本発明を適用した場合を例示して説明を行なったが、容器等の蓋材や、各種物品のカバー等としてのラベル付きパルプモールドにも、本発明は当然に適用可能である。
【0127】
上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した各部の形状や構成、大きさ、数、材質等は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変更が可能である。
【0128】
また、上述した本発明の実施の形態およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然に相互に組み合わせることができる。
【0129】
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0130】
1A,1B,1A1~1A5 ラベル付きパルプモールド、2A,2B,2A4 パルプモールド、3A,3B,3A1~3A3,3A5 ラベル、3(1) 第1主面、3(2) 第2主面、3a 基材、3b 接着剤層、3c 遮蔽層、20 収容空間、21 上側容器部、21(1) 被貼り付け面、21(2) 露出面、21a 孔部、21b 段差部、22 下側容器部、22a 凹部、23 ヒンジ部、24 蓋留め部、31 被覆領域、31a 窓部、100 第1型、101 第1凸状部、102 第2凸状部、110 第2型、111 第1凹状部、112 第2凹状部、X 第1部分、Y 第2部分。
図1
図2
図3
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図10
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