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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101276
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 33/00 20060101AFI20230712BHJP
   F21V 3/04 20180101ALI20230712BHJP
   F21V 3/08 20180101ALI20230712BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230712BHJP
   F21V 31/03 20060101ALI20230712BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20230712BHJP
   B01J 23/72 20060101ALI20230712BHJP
   B01J 35/06 20060101ALI20230712BHJP
   A61L 9/00 20060101ALI20230712BHJP
   A61L 9/01 20060101ALI20230712BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230712BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230712BHJP
   F21Y 113/10 20160101ALN20230712BHJP
【FI】
F21V33/00 400
F21V3/04 600
F21V3/08
F21V3/00 510
F21V31/03 100
B01J35/02 J
B01J23/72 A
B01J35/06 Z
A61L9/00 C
A61L9/01 B
A61L9/20
F21Y115:10
F21Y113:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001812
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 友也
(72)【発明者】
【氏名】福山 創一朗
(72)【発明者】
【氏名】茂手木 省吾
【テーマコード(参考)】
3K014
4C180
4G169
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014RB03
4C180AA07
4C180AA16
4C180CC03
4C180CC12
4C180CC16
4C180DD03
4C180EA34X
4C180EA39X
4C180HH05
4C180HH15
4C180HH19
4C180MM06
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA48A
4G169BB06A
4G169BC31A
4G169CA02
4G169DA06
4G169EA10
4G169HA05
4G169HB01
4G169HB06
4G169HC14
4G169HE03
4G169HF02
4G169HF03
4G169HF04
4G169HF05
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減した小型の照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置1は、照明用光源10と、筐体30と、光触媒部材20と、を備える。照明用光源10は光源11と蛍光部12とを有する。光源11は、波長が380nm以上450nm以下である第1波長成分の光出力が、波長が220nm以上380nm以下である第2波長成分の光出力の10倍以上である第1の光を発する。蛍光部12は、第1の光の一部によって励起され、第1の光とは波長が異なる第2の光を発する。照明用光源10は、第1の光と第2の光とを混色した照明光を出射する。光触媒部材20は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含み、照明光に含まれる第1の光によって触媒作用を発生する光触媒材料を保持する。光触媒部材20は、筐体30において、筐体30の外部の空気に暴露される部位であって、照明光が照射される部位に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明用光源と、前記照明用光源を収容する筐体と、光触媒部材と、を備え、
前記照明用光源は、
波長が380nm以上450nm以下である第1波長成分の光出力が、波長が220nm以上380nm以下である第2波長成分の光出力の10倍以上である第1の光を発する光源と、
前記第1の光の一部によって励起され、前記第1の光とは波長が異なる第2の光を発する蛍光部と、を有し、
前記照明用光源は、前記第1の光と前記第2の光とを混色した照明光を出射し、
前記筐体は、前記照明光を外部に出射させる光出射部を有し、
前記光触媒部材は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含み、前記照明光に含まれる前記第1の光によって触媒作用を発生する光触媒材料を保持し、
前記光触媒部材は、前記筐体において、前記筐体の外部の空気に暴露される部位であって、前記照明光が照射される部位に配置されている、
照明装置。
【請求項2】
前記光触媒部材は、前記筐体の内部に収容されている、
請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記筐体の内部と外部との間で空気が出入りする複数の通気口と、前記筐体の内部において前記複数の通気口の間で空気が流れる流路と、を有し、
前記光触媒部材は前記流路に面して配置されている、
請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記光触媒部材は、前記光触媒材料を担持したフィルタ部材を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光触媒部材は、前記照明用光源と前記光出射部との間に配置されている、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光出射部は透光性のカバーを含み、
前記光触媒部材は、前記光触媒材料が設けられた前記カバーを含む、
請求項1~3のいずれかに記載の照明装置。
【請求項7】
前記筐体の内部に配置されて、前記光触媒部材の表面に当たるように空気を流すファンを更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明装置。
【請求項8】
前記照明光は、白色光である。
請求項1~7のいずれか1項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明装置に関する。より詳細には、本開示は、照明光により光触媒の触媒作用を発生させる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、照明の機能を有した光触媒装置を開示する。特許文献1の光触媒装置は、筐体の下部に配置される照明と、筐体の内部に配置される光触媒と、筐体の内部に配置されて光触媒に光を照射するためのライトと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-104154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の光触媒装置は、照明用の光源と、光触媒に光を照射して触媒作用を発生させるためのライトと、を備えているため、消費電力が増加したり、装置が大型化したりするという問題があった。
【0005】
本開示の目的は、消費電力を低減した小型の照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の照明装置は、照明用光源と、前記照明用光源を収容する筐体と、光触媒部材と、を備える。前記照明用光源は、光源と、蛍光部と、を有する。前記光源は、波長が380nm以上450nm以下である第1波長成分の光出力が、波長が220nm以上380nm以下である第2波長成分の光出力の10倍以上である第1の光を発する。前記蛍光部は、前記第1の光の一部によって励起され、前記第1の光とは波長が異なる第2の光を発する。前記照明用光源は、前記第1の光と前記第2の光とを混色した照明光を出射する。前記筐体は、前記照明光を外部に出射させる光出射部を有する。前記光触媒部材は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含み、前記照明光に含まれる前記第1の光によって触媒作用を発生する光触媒材料を保持する。前記光触媒部材は、前記筐体において、前記筐体の外部の空気に暴露される部位であって、前記照明光が照射される部位に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、消費電力を低減した小型の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る照明装置の断面図である。
図2図2は、同上の照明装置の側面図である。
図3図3は、変形例1の照明装置の断面図である。
図4図4は、変形例2の照明装置の断面図である。
図5図5は、変形例3の照明装置の断面図である。
図6図6は、変形例3の照明装置の別の態様の断面図である。
図7図7は、変形例4の照明装置の側面図である。
図8図8は、変形例5の照明装置が備える光触媒部材の第1態様の平面図である。
図9図9は、変形例5の照明装置が備える光触媒部材の第2態様の平面図である。
図10図10は、変形例5の照明装置が備える光触媒部材の第3態様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0010】
図1は、本実施形態の照明装置1の模式的な断面図である。
【0011】
本実施形態の照明装置1は、図1に示すように、照明用光源10と、照明用光源10を収容する筐体30と、光触媒部材20と、を備える。
【0012】
照明用光源10は、光源11と、蛍光部12と、を有する。
【0013】
光源11は、波長が380nm以上450nm以下である第1波長成分の光出力が、波長が220nm以上380nm以下である第2波長成分の光出力の10倍以上である第1の光を発する。
【0014】
蛍光部12は、第1の光の一部によって励起され、第1の光とは波長が異なる第2の光を発する。
【0015】
照明用光源10は、第1の光と第2の光とを混色した照明光を出射する。
【0016】
筐体30は、照明光を外部に出射させる光出射部32を有する。
【0017】
光触媒部材20は光触媒材料を保持する。光触媒材料は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含み、照明光に含まれる第1の光によって触媒作用を発生する。
【0018】
光触媒部材20は、筐体30において、筐体30の外部の空気に暴露される部位であって、照明光が照射される部位に配置されている。
【0019】
ここにおいて、第1波長成分の光は、波長が380nm以上450nm以下の波長成分の光であり、主に紫光を含み、紫外線を含まない光である。第2波長成分の光は、波長が220nm以上380nm以下の波長成分の光であり、主に紫外線を含む光である。つまり、光源11から出射される第1の光は、紫外線の光出力に対して、10倍以上の光出力の紫光を含んでいる。言い換えると、第1の光は、主に紫光を含み、紫外線を殆ど含まない光である。
【0020】
蛍光部12は第1の光の一部によって励起されて第2の光を発しており、照明用光源10は第1の光と第2の光とを混色した照明光を出射する。照明光は光出射部32から筐体30の外部に出射されるので、照明用光源10が出射する照明光によって周囲を照明することができる。また、光触媒部材20は照明光が照射される部位に配置されているので、照明光に含まれる第1の光によって光触媒部材20が触媒作用を発生し、光触媒部材20が接する空気中のウィルス、細菌、又は揮発性有機化合物等の有機物質等を分解することができる。
【0021】
このように、照明用光源10が出射する照明光で光触媒部材20に触媒作用を発生させることができ、照明用光源10とは別に、光触媒部材20に触媒作用を発生させるための光源を備える必要がないから、光源の数を削減できる。これにより、消費電力を低減した小型の照明装置1を提供することができる。また、光源の数を削減することで、照明装置1の軽量化を実現することができる。
【0022】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る照明装置1について図面を参照して詳しく説明する。
【0023】
照明装置1は、上述のように、照明用光源10と、筐体30と、光触媒部材20と、を備えている。
【0024】
図1に示す照明装置1は、例えば、天井面に直付けされる直付け型の照明装置である。以下の説明では、図1におけるX軸方向を左右方向、Z軸方向を上下方向と規定する。さらに、X軸方向の正の向きを右側、Z軸方向の正の向きを上側と規定する。ただし、これらの方向は一例であり、照明装置1の使用時の方向を限定する趣旨ではない。また、図面中の各方向を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。
【0025】
筐体30は、天井面に固定される本体31と、カバー32Aと、を有する。
【0026】
本体31は、合成樹脂製又は金属製である。本体31は、例えば、平面視の形状が円形であり、下面が開口した箱状に形成されている。より詳細には、本体31は、天井面に固定される円板形状の平板部311と、平板部311の外周部分から下向きに突出する側板部312と、を備えている。
【0027】
平板部311の下面には、複数の照明用光源10が実装された基板13が取り付けれている。
【0028】
基板13の下面には、複数の照明用光源10が発光面を下向きにして実装されている。基板13には、複数の照明用光源10を点灯させる点灯回路、点灯回路に電力を供給する電源回路等が実装されている。なお、基板13に実装される照明用光源10の数及び配置は適宜変更が可能である。点灯回路及び電源回路は、基板13とは別体の基板に実装されていてもよい。
【0029】
照明用光源10は、例えば発光ダイオードのような固体発光素子を含む。照明用光源10は、上述のように、第1の光を発する光源11と、光源11が発する第1の光の一部によって励起され、第1の光とは波長が異なる第2の光を発する蛍光部12と、を有している。本実施形態では、光源11は、主に紫光を含む第1の光を発する。
【0030】
蛍光部12は、例えばYAG系(Yttrium・Aluminum・Garnet)蛍光体のような黄色蛍光体を含む。蛍光部12は、光源11が発する紫光によって励起されて、第2の光を発する。第2の光は、波長が500~700nmの光であり、紫光の補色である黄色光を主に含む。そして、照明用光源10は、主に紫光を含む第1の光と、主に黄色光を含む第2の光とを混色して得られる白色光を照明光として出射する。つまり、本実施形態では照明用光源10が出射する照明光が白色光である。なお、混色光を白色光とするために用いられる蛍光部12は黄色蛍光体に限定されない。蛍光部12は、YAG系蛍光体等の黄色蛍光体、CASN(カズン)蛍光体等の赤色蛍光体、LuAG(Lutetium・Aluminum・Garnet)系蛍光体、ガーネット系蛍光体(Garnet)等の緑色蛍光体のうち少なくとも1種の蛍光体を含んでいればよい。
【0031】
カバー32Aは、透光性を有する合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等)により、下向きに突出するドーム形状に形成されている。カバー32Aは、側板部312の下端部に取り付けられている。カバー32Aは、本体31の下面の開口を塞ぐように、本体31に取り付けられている。ここで、照明用光源10の照明光はカバー32Aを通して外部に出射する。すなわち、光出射部32は透光性のカバー32Aを含んでいる。
【0032】
光触媒部材20は筐体30の内部に収容されている。より詳細には、光触媒部材20は本体31に収容されている。光触媒部材20は照明用光源10に近い位置に配置されているので、光触媒部材20により強い第1の光を当てることができ、第1の光が照射されることで発生する触媒作用を高めることができる。
【0033】
また、光触媒部材20は、筐体30の内部において、照明用光源10よりも下側の位置に配置されている。言い換えると、光触媒部材20は、照明用光源10と光出射部32との間に配置されている。これにより、光出射部32に比べて照明用光源10に近い位置に光触媒部材20を配置でき、照明光に含まれる第1の光によって発生する触媒作用を高めることができる。
【0034】
光触媒部材20は、例えば、透光性を有する合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等)により形成された基材21を有している。基材21は、例えば、本体31の側板部312の内径よりも直径が僅かに小さい円板状に形成されている。なお、基材21の形状は円板状に限定されない。光触媒部材20は、流路34の少なくとも一部に面して配置されていればよく、筐体30の形状、照明用光源10の配置等に応じて適宜変更が可能である。
【0035】
基材21は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含む光触媒材料を保持している。光触媒材料は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含んでいればよく、酸化チタン及び酸化銅に加えて、光触媒作用を発生又は補助する1又は複数の材料を更に含んでもよい。光触媒材料は、可視光領域の光、より詳細には波長が380nm以上450nm以下の第1波長成分の光である紫光が照射されると触媒作用を発生する。つまり、光触媒材料は、紫光が照射されることによって強い酸化作用を発生し、光触媒部材20に接する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を分解することで、ウィルスや細菌や有機物質等の除去を行うことができる。
【0036】
本実施形態では、基材21の下面に光触媒材料を塗布することで、基材21に光触媒材料が保持されている。例えば、酸化チタン及び酸化銅を含む光触媒材料と有機溶剤とを混合した溶液を攪拌し、この溶液を基材21の上面に塗布した後、風乾又は加熱して有機溶剤を蒸発させることによって、基材21の表面に光触媒材料を保持させる。これにより、基材21の表面には酸化チタン及び酸化銅を含む光触媒材料が分散して存在している。
【0037】
ここにおいて、酸化チタン及び酸化銅の平均二次粒子径は可視光線の波長未満である、つまり380nm未満であることが好ましく、酸化チタン及び酸化銅の平均二次粒子径を可視光線の波長未満とすることで、光触媒部材20の透光性を確保することができる。
【0038】
なお、基材21の表面に、シート状に形成された光触媒材料を接合することによって、基材21に光触媒材料を保持させてもよいし、合成樹脂材料に光触媒材料を混錬したものを成形して基材21とすることで、基材21に光触媒材料を保持させてもよい。
【0039】
側板部312には、光触媒部材20よりも下側の部位に、複数の通気口33が設けられている。複数の通気口33の各々は、側板部312を貫通するように設けられており、複数の通気口33の各々を通って空気の出入りが可能である。つまり、筐体30は、筐体30の内部と外部との間で空気が出入りする複数の通気口33を有している。また、筐体30は、筐体30の内部において、複数の通気口33の間で空気が流れる流路34を有している。流路34は、光触媒部材20の下面に面している。言い換えると、光触媒部材20は流路34に面して配置されている。
【0040】
これにより、流路34を通る空気は光触媒部材20の下面に保持された光触媒材料に接触可能である。したがって、筐体30の内部に収容された光触媒部材20に、筐体30の外部の空気を接触させることができる。通気口33には、虫などが筐体30の内部に侵入するのを抑制するために、防虫網やフィルタ等が設けられることが好ましい。なお、通気口33の形状、大きさ、及び数、流路34の形状などは筐体30の形状、照明用光源10及び光触媒部材20の配置等に応じて適宜変更が可能である。
【0041】
本実施形態の照明装置1には強制的に空気を流すファン等が設けられていない。自然な空気の流れによって、複数の通気口33の一部である吸気口から筐体30の内部に空気が入り込むと、筐体30の内部に入った空気は流路34を通り、複数の通気口33のうち別の一部である排気口から外部に出ていく。
【0042】
例えば、図1に示す断面において本体31の左側に位置する側板部312に設けられた通気口33を第1通気口33A、本体31の右側に位置する側板部312に設けられた通気口33を第2通気口33Bとして、流路34を通る空気の流れの一例を説明する。例えば、筐体30の内部を左側から右側へと空気が流れる場合、筐体30の外部から第1通気口33Aを通って筐体30の内部に入った空気は、流路34を通って第2通気口33Bから筐体30の外部へと出ていく。上述とは逆に、筐体30の内部を右側から左側へと空気が流れる場合、筐体30の外部から第2通気口33Bを通って筐体30の内部に入った空気は、流路34を通って第1通気口33Aから筐体30の外部へと出ていく。
【0043】
ここで、光触媒部材20の基材21の下面は流路34に面しており、基材21の下面は、流路34を通過する空気、つまり筐体30の外部から筐体30の内部に入ってきた空気に暴露されている。言い換えると、光触媒部材20は、筐体30において、筐体30の外部から内部に入ってきた空気に暴露される部位に設けられている。
【0044】
また、光触媒部材20は、筐体30の内部において、照明用光源10の下側に位置している。したがって、照明用光源10が出射する照明光は、光触媒部材20とカバー32Aとを通って外部へと出射される。
【0045】
上述のように、照明用光源10は、主に紫光を含む第1の光を発する光源11と、紫光によって励起されて主に黄色光を含む第2の光を発する蛍光部12とを有しており、第1の光と第2の光とを混色した白色光である照明光を出射する。照明用光源10が出射した照明光は光触媒部材20に照射されるので、照明光に含まれる第1の光の一部を光触媒材料が吸収することで、光触媒材料が触媒作用を発生する。これにより、流路34を通る空気にウィルス、細菌又は有機物質等が含まれている場合、光触媒材料によって空気中のウィルス、細菌又は有機物質等の酸化還元反応が促進され、ウィルス、細菌又は有機物質等が分解されることによって除去される。
【0046】
本実施形態の照明装置1では、照明用光源10が発する第1の光によって光触媒部材20が触媒作用を発生するので、照明用光源10とは別に、触媒作用を発生させるための光源を備える必要がない。したがって、照明用光源10とは別に、触媒作用を発生させるための光源及びその点灯回路を備える場合に比べて、光源の数や点灯回路等を減らすことができ、消費電力を低減するとともに、照明装置1の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0047】
なお、本実施形態の照明装置1において、側板部312には複数の通気口33が設けられているが、空気の出入りが可能であれば少なくとも1つの通気口33が設けられていればよい。また、通気口33は、筐体30において側板部312以外の部位に設けられていてもよく、例えば平板部311と側板部312とに通気口が設けられていてもよいし、カバー32Aと平板部311とに通気口33が設けられてもよい。つまり、平板部311と側板部312とカバー32Aのうちの1つ以上に、1又は複数の通気口33が設けられていればよい。
【0048】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。なお、以下に説明する変形例は適宜組み合わせて実施可能である。
【0049】
(3.1)変形例1
変形例1に係る照明装置1について図3に基づいて説明する。変形例1の照明装置1は、筐体30の内部に配置されて、光触媒部材20の表面に当たるように空気を流すファン40を更に備える点で上記実施形態と相違する。なお、ファン40以外の構成は上述の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0050】
ファン40は、筐体30の内部において、例えば流路34の途中の位置に配置されている。より具体的には、ファン40は、筐体30の内部において、通気口33よりも内側に位置するように配置されており、例えば第2通気口33Bよりも内側に位置するように配置されている。ファン40は、例えば基板13に設けられた制御回路によって動作が制御される。制御回路は、照明用光源10が点灯する間はファン40を動作させ、照明用光源10が消灯する間はファン40を停止させる。
【0051】
したがって、照明用光源10が点灯中は、ファン40が筐体30の外部から筐体30の内部に空気を吸引する。例えば、筐体30の外部から第1通気口33Aを通って筐体30の内部に吸引された空気は、流路34を通って筐体30の内部を右側へ移動し、第2通気口33Bから筐体30の外部に出ていく。ここで、流路34に面して配置された光触媒部材20に、照明用光源10からの照明光が当たっているので、照明光に含まれる第1の光によって、光触媒部材20が触媒作用を発生する。これにより、流路34を通過する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒部材20の酸化作用によって分解することができる。
【0052】
変形例1では、ファン40が筐体30の外部から空気を取り入れているので、光触媒部材20に、筐体30の外部の空気を効率的に当てることができ、光触媒部材20の触媒作用で空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を低減する効果を高めることができる。
【0053】
(3.2)変形例2
変形例2に係る照明装置1について図4に基づいて説明する。変形例2の照明装置1では、側板部312において、光触媒部材20よりも上側の部位に、複数の通気口33が設けられている。複数の通気口33の各々は、側板部312を貫通するように設けられており、複数の通気口33の各々を通って空気の出入りが可能である。筐体30の内部には、複数の通気口33の間で空気が流れる流路34が設けられており、流路34には光触媒部材20の上面が面している。光触媒部材20は、流路34に面した上面に光触媒材料を保持している。また、筐体30の内部には,筐体30の外部から空気を導入するためのファン40が配置されている。なお、通気口33及び流路34の位置、光触媒部材20に設けられた光触媒材料の位置、及びファン40を除いては、上述の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0054】
ここで、図4に示す断面において、本体31の左側に位置する側板部312に設けられた通気口33を第3通気口33C、本体31の右側に位置する側板部312に設けられた通気口33を第4通気口33Dと言う。
【0055】
変形例2の照明装置1では、筐体30の内部において、第4通気口33Dよりも内側にファン40が配置されている。
【0056】
照明用光源10が点灯中はファン40が動作し、ファン40が、筐体30の外部から空気を吸引する。これにより、筐体30の外部から、例えば、第3通気口33Cを通って筐体30の内部に入った空気が、流路34を通って、第4通気口33Dから外部に出る。ここで、流路34に面して配置された光触媒部材20に、照明用光源10からの照明光が当たっているので、照明光に含まれる第1の光によって、光触媒部材20が触媒作用を発生する。これにより、流路34を通過する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって分解することができる。
【0057】
なお、変形例2の照明装置1において、上記実施形態と同様、側板部312において、光触媒部材20よりも下側の部位に、複数の通気口33が設けられてもよい。つまり、側板部312には、光触媒部材20よりも上側の部位、及び、下側の部位に、それぞれ複数の通気口33が設けられてもよい。これにより、筐体30の内部には、光触媒部材20の上面及び下面にそれぞれ面して流路34が設けられることになる。
【0058】
この場合、光触媒部材20には、基材21の上面及び下面にそれぞれ光触媒材料が保持されていることが好ましい。照明用光源10の点灯中は、照明用光源10からの照明光が光触媒部材20に当たっているので、照明光に含まれる第1の光によって、光触媒部材20の上面及び下面に保持された光触媒材料が触媒作用を発生する。したがって、光触媒部材20の上側及び下側の流路34をそれぞれ通過する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒部材20の酸化作用によって分解することができる。
【0059】
(3.3)変形例3
変形例3に係る照明装置1について図5に基づいて説明する。変形例3の照明装置1では、側板部312において、光触媒部材20よりも下側の部位と、光触媒部材20よりも上側の部位とに、それぞれ複数の通気口33が設けられている。複数の通気口33の各々は、側板部312を貫通するように設けられており、複数の通気口33の各々を通って空気の出入りが可能である。光触媒部材20の中央には、光触媒部材20を上下に貫通する貫通孔22が設けられている。筐体30の内部には、光触媒部材20の上側にある通気口33と、光触媒部材20の下側にある通気口33との間で、光触媒部材20の中央の貫通孔22を介して空気が流れる流路34が設けられれている。
【0060】
したがって、筐体30の内部には、光触媒部材20の上面及び下面にそれぞれ接する流路34が設けられている。また、光触媒部材20の上面及び下面にはそれぞれ光触媒材料が設けられている。また、筐体30の内部には、光触媒部材20の上側に設けられた通気口33よりも内側に、筐体30の外部から内部へ空気を吸引するためのファン40が設けられている。
【0061】
なお、側板部312に設けられた通気口33の位置、流路34、光触媒部材20、及びファン40以外の構成は上述の実施形態と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0062】
照明用光源10の点灯中はファン40が動作し、ファン40が、筐体30の外部から空気を吸引する。これにより、筐体30の外部から、光触媒部材20の下側に設けられた通気口33を通って筐体30の内部に入った空気は、流路34(光触媒部材20の貫通孔22を含む)を通って、光触媒部材20の上側に設けられた通気口33から筐体30の外部に出る。ここで、流路34に面して配置された光触媒部材20に、照明用光源10からの照明光が当たっているので、照明光に含まれる第1の光によって光触媒部材20が触媒作用を発生する。これにより、流路34を通過する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって分解することができる。
【0063】
なお、図5に示す照明装置1では、筐体30の内部において、光触媒部材20の上側に設けられた通気口33の内側にファン40が設けられているが、図6に示すように、光触媒部材20の下側に設けられた通気口33の内側にファン40が設けられていてもよい。
【0064】
この場合、照明用光源10の点灯中にファン40が動作することによって、筐体30の外部から、光触媒部材20の上側に設けられた通気口33を通って筐体30の内部に空気が導入される。筐体30の内部に入った空気は、流路34(光触媒部材20の貫通孔22を含む)を通って、光触媒部材20の下側に設けられた通気口33から筐体30の外部に出る。ここで、流路34に面して配置された光触媒部材20に、照明用光源10からの照明光が当たっているので、照明光に含まれる第1の光によって、光触媒部材20が触媒作用を発生する。これにより、流路34を通過する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって分解することができる。
【0065】
なお、光触媒材料は、光触媒部材20の上面及び下面だけでなく、貫通孔22の側面部分にも設けられていてもよい。この場合、筐体30の内部に入った空気がより長時間光触媒材料に接触することになり、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等の分解効率をより高めることができる。
【0066】
(3.4)変形例4
上記実施形態の変形例4に係る照明装置1について図7に基づいて説明する。変形例4の照明装置1では、カバー32Bに光触媒材料が担持されている。つまり、光触媒材料が担持されたカバー32Bが光触媒部材20Aの機能を有している。言い換えると、変形例4の照明装置1では、光触媒部材20Aは、光触媒材料が設けられたカバー32Bを含んでいる。したがって、変形例4の照明装置1は、筐体30とは別部材の光触媒部材20を備えていない。
【0067】
また、変形例4の照明装置1では、カバー32Bにおいて外気に接する表面に光触媒材料が設けられているので、筐体30には通気口33が設けられていない。なお、光触媒部材20A及び筐体30以外の構成は上記の実施形態と同様であるので、共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0068】
照明用光源10が点灯すると、照明用光源10からの照明光はカバー32Bを透過して外部に照射される。この時、カバー32Bの表面に設けられた光触媒材料に照明用光源10からの照明光が当たっているので、照明光に含まれる第1の光によって光触媒材料が触媒作用を発生する。これにより、カバー32Bの表面に接する空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって分解することができる。
【0069】
なお、カバー32Bは、透光性を有する合成樹脂材料(例えばポリカーボネート樹脂等)に光触媒材料を混練して成形されているので、カバー32Bの内面(外気と接する表面と反対側の面)にも光触媒材料が設けられている。
【0070】
したがって、変形例4においても、上記の実施形態及び変形例1~3と同様に、側板部312に複数の通気口33を設けてもよい。ここにおいて、筐体30の内部には、複数の通気口33の間で空気が流れる流路34が、カバー32Bの内面に接するように設けられていればよい。筐体30の外部から、複数の通気口33の一部である吸気口を通って筐体30の内部に入った空気は、流路34を通り、複数の通気口33の別の一部である排気口から筐体30の外部に出る。
【0071】
照明用光源10の点灯中は、照明用光源10からの照明光がカバー32Bに当たることによって、カバー32Bに設けられた光触媒材料が触媒作用を発生する。このとき、筐体30の内部において流路34を通過する空気が、カバー32Bの内面に接触すると、カバー32Bの内面に設けられた光触媒材料の酸化作用によって、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって分解することができる。また、筐体30の外部の空気がカバー32Bの表面に接触すると、カバー32Bの表面に設けられた光触媒材料の酸化作用によって、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって分解することができる。これにより、カバー32Bの表面及び内面のそれぞれで光触媒材料の酸化作用によって、空気中のウィルス又は有害な有機物質等を分解することができる。
【0072】
なお、カバー32Bは、合成樹脂材料に光触媒材料を混錬して成形することによって形成されるものに限定されず、合成樹脂の成型品に光触媒材料を塗布することで形成されてもよい。この場合、光触媒材料は、カバー32Bの表面又は内面のどちらかのみに設けられていてもよいし、両面に設けられていてもよい。
【0073】
(3.5)変形例5
上記実施形態の変形例5に係る照明装置1について図8図10に基づいて説明する。変形例5の照明装置1では、光触媒部材が、光触媒材料を担持したフィルタ部材を含む点で上記実施形態と相違する。なお、光触媒部材以外の構成は上記の実施形態と同様であるので、共通の構成要素には同一の符号を付して、その説明は省略する。
【0074】
図8は、変形例5の照明装置1が備える光触媒部材の第1態様を示している。第1態様の光触媒部材20Bは、複数の角孔231が設けられたメッシュ状のフィルタ部材23を含む。このフィルタ部材23は、例えば、酸化チタン及び酸化銅を含む光触媒材料を、透光性を有する合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等)に混練し、メッシュ状に成形して構成される。なお、フィルタ部材23は、合成樹脂の成型品に光触媒材料を塗布することによって形成されてもよい。
【0075】
この光触媒部材20Bは筐体30の内部に収容されている。光触媒部材20Bは、主面の法線方向が上下方向と平行になるように筐体30の内部に収容されている。光触媒部材20Bは、筐体30の内部において、照明用光源10が実装された基板13の下側に位置している。光触媒部材20Bは流路34に面して配置されており、流路34を通る空気の少なくとも一部が角孔231を通過するように配置されている。
【0076】
ここで、側板部312には光触媒部材20Bの上側及び下側にそれぞれ複数の通気口33が設けられている。例えば、上側の通気口33から筐体30の内部に入った空気は、流路34(角孔231を含む)を通って下側の通気口33から筐体30の外部に出ていく。また、下側の通気口33から筐体30の内部に入った空気は、流路34(角孔231を含む)を通って上側の通気口33から筐体30の外部に出ていく。
【0077】
光触媒部材20Bは、照明光に含まれる第1の光が照射されることによって触媒作用を発生し、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって酸化分解する。また、流路34を通過する空気が角孔231を通ることで、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等が光触媒材料に接触しやすくなり、光触媒材料の触媒作用によって空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を低減する効果を高めることができる。
【0078】
なお、図8に示すフィルタ部材23は平面視の形状が矩形状に形成されているが、フィルタ部材23の形状は適宜変更が可能であり、フィルタ部材23の平面視の形状は正方形でもよいし、円形でもよい。
【0079】
また、フィルタ部材23は、図8に示すようなメッシュ状の成形品に限定されず、適宜変更が可能である。
【0080】
図9は、変形例5の照明装置1が備える光触媒部材の第2態様を示している。第2態様の光触媒部材20Cは、複数のパンチ孔241が設けられたフィルタ部材24を含んでいる。このフィルタ部材24は、例えば、酸化チタン及び酸化銅を含む光触媒材料を、透光性を有する合成樹脂(例えばポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等)に混練して平板状に形成され、穴開け加工を施すことによって形成される。なお、フィルタ部材24は、合成樹脂の成型品に穴開け加工を施した後、光触媒材料を塗布することによって形成されてもよい。
【0081】
この光触媒部材20Cは筐体30の内部に流路34に面して配置されており、流路34を通る空気の少なくとも一部がパンチ孔241を通過するように配置されている。ここで、側板部312には光触媒部材20Cの上側及び下側にそれぞれ複数の通気口33が設けられている。例えば、上側の通気口33から筐体30の内部に入った空気は、流路34(パンチ孔241を含む)を通って下側の通気口33から筐体30の外部に出ていく。また、下側の通気口33から筐体30の内部に入った空気は、流路34(パンチ孔241を含む)を通って上側の通気口33から筐体30の外部に出ていく。
【0082】
光触媒部材20Cに照明光に含まれる第1の光が照射されることによって、光触媒部材20Cが触媒作用を発生し、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって酸化分解する。また、流路34を通過する空気がパンチ孔241を通ることで、空気中のウィルス、細菌又は有機物質等が光触媒材料に接触しやすくなり、光触媒材料の触媒作用によって空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を低減する効果を高めることができる。
【0083】
また、図10は、変形例5の照明装置1が備える光触媒部材の第3態様を示している。第3態様の光触媒部材20Dは、例えばガラス繊維等により形成され、例えば酸化チタン及び酸化銅を含む光触媒材料が塗布されたフィルタ部材25を含んでいる。フィルタ部材25は例えばガラス繊維等の不織布フィルタであるので、フィルタ部材25を空気が上下方向に通過することができる。この光触媒部材20Dは筐体30の内部において流路34に面して配置されており、流路34を通る空気の少なくとも一部が光触媒部材20Dを通るように配置されている。ここで、側板部312には光触媒部材20Dの上側及び下側にそれぞれ複数の通気口33が設けられている。例えば、上側の通気口33から筐体30の内部に入った空気は、流路34(光触媒部材20Dを含む)を通って下側の通気口33から筐体30の外部に出ていく。また、下側の通気口33から筐体30の内部に入った空気は、流路34(光触媒部材20Dを含む)を通って上側の通気口33から筐体30の外部に出ていく。
【0084】
光触媒部材20Dに照明光に含まれる第1の光が照射されることによって、光触媒部材20Dが触媒作用を発生し、空気中のウィルス又は有害な有機物質等を光触媒材料の酸化作用によって酸化分解する。また、流路34を通過する空気はフィルタ部材25を通過するので、流路34を通過する空気がフィルタ部材25に保持された光触媒材料に接触しやすくなる。したがって、光触媒部材20Dにより空気中のウィルス、細菌又は有機物質等を低減する効果を高めることができる。
【0085】
(3.6)その他の変形例
上記実施形態の照明装置1では、本体31の下側の開口を覆うカバー32Aで光出射部32が構成されているが、筐体30に設けられた開口部を通して照明光を出射する場合、筐体30の開口部が光出射部となる。
【0086】
また、上記実施形態の照明装置1は天井直付け型の照明装置であるが、照明装置1の形状は天井直付け型に限定されず、適宜変更が可能である。照明装置1は、天井等から吊り下げられるタイプの照明装置でもよいし、天井に埋め込まれるタイプの施設照明でもよいし、床又は机等に置いて使用されるスタンド型の照明装置でもよい。
【0087】
なお、上記変形例では、ファン40によって空気を吸い込む場合を説明したが、本開示は、ファン40によって空気を吐き出すように設計してもよい。また、複数のファン40を用いて、空気の吸い込みと吐き出しを両方行わせる設計としてもよい。いずれの場合も、上記変形例と同様の効果を奏することができる。
【0088】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の照明装置(1)は、照明用光源(10)と、照明用光源(10)を収容する筐体(30)と、光触媒部材(20,20A~20D)と、を備える。照明用光源(10)は、光源(11)と、蛍光部(12)と、を有する。光源(11)は、波長が380nm以上450nm以下である第1波長成分の光出力が、波長が220nm以上380nm以下である第2波長成分の光出力の10倍以上である第1の光を発する。蛍光部(12)は、第1の光の一部によって励起され、第1の光とは波長が異なる第2の光を発する。照明用光源(10)は、第1の光と第2の光とを混色した照明光を出射する。筐体(30)は、照明光を外部に出射させる光出射部(32)を有する。光触媒部材(20,20A~20D)は、酸化チタンと酸化銅とを少なくとも含み、照明光に含まれる第1の光によって触媒作用を発生する光触媒材料を保持する。光触媒部材(20,20A~20D)は、筐体(30)において、筐体(30)の外部の空気に暴露される部位であって、照明光が照射される部位に配置されている。
【0089】
この態様によれば、照明用光源(10)が出射する照明光で光触媒部材(20,20A~20D)に触媒作用を発生させることができる。したがって、照明用光源(10)とは別に、光触媒部材(20,20A~20D)に触媒作用を発生させるための光源を備える必要がなく、光源の数を削減できる。これにより、消費電力を低減した小型の照明装置(1)を提供することができる。
【0090】
第2の態様の照明装置(1)では、第1の態様において、光触媒部材(20,20B~20D)は、筐体(30)の内部に収容されている。
【0091】
この態様によれば、照明用光源(10)に近い位置に光触媒部材(20,20B~20D)を配置でき、照明光に含まれる第1の光によって発生する触媒作用を高めることができる。
【0092】
第3の態様の照明装置(1)では、第2の態様において、筐体(30)は、筐体(30)の内部と外部との間で空気が出入りする複数の通気口(33)と、筐体(30)の内部において複数の通気口(33)の間で空気が流れる流路(34)と、を有する。光触媒部材(20,20B~20D)は流路(34)に面して配置されている。
【0093】
この態様によれば、筐体(30)の内部に収容された光触媒部材(20,20B~20D)に、筐体(30)の外部の空気を接触させることができる。
【0094】
第4の態様の照明装置(1)では、第1~3のいずれかの態様において、光触媒部材(20B~20D)は、光触媒材料を担持したフィルタ部材(23~25)を含む。
【0095】
この態様によれば、流路(34)を通る空気がフィルタ部材(23~25)を通過することで、流路(34)を通る空気がフィルタ部材(23~25)に担持された光触媒材料に接触しやすくなる。したがって、光触媒材料の触媒作用で空気中のウィルス、細菌、又は有機物質を低減する効果を高めることができる。
【0096】
第5の態様の照明装置(1)では、第1~4のいずれかの態様において、光触媒部材(20,20A~20D)は、照明用光源(10)と光出射部(32)との間に配置されている。
【0097】
この態様によれば、光出射部(32)に比べて照明用光源(10)に近い位置に光触媒部材(20,20B~20D)を配置でき、照明光に含まれる第1の光によって発生する触媒作用を高めることができる。
【0098】
第6の態様の照明装置(1)では、第1~3のいずれかの態様において、光出射部(32)は透光性のカバー(32B)を含む。光触媒部材(20A)は、光触媒材料が設けられたカバー(32B)を含む。
【0099】
この態様によれば、カバー(32B)で光触媒部材(20A)を兼用しているので、部品数を削減することができる。
【0100】
第7の態様の照明装置(1)では、第1~6のいずれかの態様において、筐体(30)の内部に配置されて、光触媒部材(20,20B~20D)の表面に当たるように空気を流すファン(40)を更に備える。
【0101】
この態様によれば、光触媒部材(20,20B~20D)の触媒作用により空気中のウィルス、細菌又は有機物質を低減する効果を高めることができる。
【0102】
第8の態様の照明装置(1)では、第1~7のいずれかの態様において、照明光は、白色光である。
【0103】
この態様によれば、消費電力を低減した小型の照明装置(1)を提供することができる。
【0104】
第2~第8の態様に係る構成については、照明装置(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0105】
1 照明装置
10 照明用光源
11 光源
12 蛍光部
20,20A~20D 光触媒部材
23~25 フィルタ部材
30 筐体
32 光出射部
32A,32B カバー
33 通気口
34 流路
40 ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10