(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101291
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】液体化粧料及び塗布具
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20230712BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20230712BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20230712BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230712BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20230712BHJP
A46D 1/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/86
A61K8/02
A61Q1/00
A45D34/04 510B
A45D34/04 525A
A46D1/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001836
(22)【出願日】2022-01-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ぺんてる株式会社(東京都中央区日本橋小網町7-2)が、CITE JAPAN 2021 第10回化粧品産業技術展にて、液体化粧料及び塗布具を公開した。(公開日:令和3年5月19日)
(71)【出願人】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】粟辻 万葵子
(72)【発明者】
【氏名】東島 優
(72)【発明者】
【氏名】大家 千晴
(72)【発明者】
【氏名】有澤 克二
【テーマコード(参考)】
3B202
4C083
【Fターム(参考)】
3B202AA14
3B202EA01
4C083AB051
4C083AB132
4C083AB232
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB21
4C083CC11
4C083DD23
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】塗布時において肌へのダメージ及び塗布具へのダメージの両方を抑制可能な液体化粧料及び塗布具を提供する。
【解決手段】液体化粧料は、水と、顔料と、溶剤と、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種類以上と、スチレンとから合成される第1共重合体のエマルション粒子と、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる2種類以上から合成される第2共重合体のエマルション粒子と、アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、を含有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と、
顔料と、
溶剤と、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種類以上と、スチレンとから合成される第1共重合体のエマルション粒子と、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる2種類以上から合成される第2共重合体のエマルション粒子と、
アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、
を含有する液体化粧料。
【請求項2】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が5以上50以下である
請求項1に記載の液体化粧料。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が20以上35以下である
請求項2に記載の液体化粧料。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が30である
請求項3に記載の液体化粧料。
【請求項5】
合成樹脂を含むブラシ材料から形成されたブラシ部と、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の液体化粧料を収容する液体収容部と、を備え、
前記液体収容部からの前記液体化粧料が前記ブラシ部に供給されるように構成された
塗布具。
【請求項6】
前記ブラシ材料の吸水率が0.5%以上10.0%以下である
請求項5に記載の塗布具。
【請求項7】
前記ブラシ材料の吸水率が1.0%以上4.0%以下である
請求項6に記載の塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体化粧料及び塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
アイライナー等の化粧料として、液体化粧料が使用されている。
【0003】
特許文献1には、カーボンブラックと、酢酸ビニルを含むエマルションポリマーとを含有する水性アイライナー化粧料が記載されている。この水性アイライナー化粧料では、滑らかな使用性、優れた化粧持続性、除去時の剥がしやすさ等を実現すべく、各成分の配合量が規定されている。
【0004】
特許文献2には、液体化粧料等を肌に塗布するための筆具(塗布具)用のブラシ毛材が開示されている。このブラシ毛材は、長期間使用後の毛開き及び摩耗を低減するため、ポリプロピレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートを含む樹脂組成物から形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-121949号公報
【特許文献2】特開2006-254953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、塗布具を用いて液体化粧料を肌に塗布するとき、肌、液体化粧料及び塗布具の間で摩擦が生じ、これにより肌や塗布具がダメージを受け得る。この点、特許文献1に記載される液体化粧料は、摩擦による塗布具へのダメージを考慮したものではない。また、特許文献2に記載される塗布具のように、耐摩耗性の良好な塗布具の場合、通常、塗布時に生じる摩擦エネルギーが肌に集中して肌にダメージが大きくなると考えられる。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、塗布時において肌へのダメージ及び塗布具へのダメージの両方を抑制可能な液体化粧料及び塗布具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態に係る液体化粧料は、
水と、
顔料と、
溶剤と、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種類以上と、スチレンとから合成される第1共重合体のエマルション粒子と、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる2種類以上から合成される第2共重合体のエマルション粒子と、
アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、
を含有する。
【0009】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る塗布具は、
合成樹脂を含むブラシ材料から形成されたブラシ部と、
上述の液体化粧料を収容する液体収容部と、を備え、
前記液体収容部からの前記液体化粧料が前記ブラシ部に供給されるように構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、塗布時において肌へのダメージ及び塗布具へのダメージの両方を抑制可能な液体化粧料及び塗布具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0013】
(液体化粧料の組成)
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、例えばアイライナー、アイブロウ、コンシーラー、ファンデーション、ネイルエナメル、リップカラー等として使用可能な液体化粧料であり、例えば後述する塗布具を用いて、人の肌等に塗布することができる。
【0014】
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、水と、顔料と、溶剤と、第1共重合体のエマルション粒子と、第2共重合体のエマルション粒子と、アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、を含有する。前述の第1共重合体は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種類以上と、スチレンとから合成される共重合体(即ち、スチレン/アクリレーツコポリマー)である。前述の第2共重合体は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる2種類以上から合成される第2共重合体(即ち、アクリル酸アルキルエステルコポリマー)である。
【0015】
上述の実施形態に係る液体化粧料は、上述の第1共重合体(スチレン/アクリレーツコポリマー)のエマルション粒子、及び、上述の第2共重合体(アクリル酸アルキルエステルコポリマー)のエマルション粒子を含む。このため、液体化粧料の塗布時に、適度な硬さの皮膜を肌の上に形成することができる。
【0016】
また、上述の実施形態に係る液体化粧料は、上述の第1共重合体及び上述の第2共重合体に加え、アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む。このため、液体化粧料中において、第1共重合体及び第2共重合体は、それぞれ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(界面活性剤)の親油部分が吸着したエマルション粒子として存在する。
【0017】
上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が24以下であるので、水媒体に比較的溶けやすい。このため、適度な界面活性作用が得られやすい。
【0018】
また、上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が22以上であるので、親油部分(アルキル鎖の部分)の樹脂(第1共重合体及び第2共重合体)への吸着力が優れている。このため、上述のエマルション粒子(第1共重合体のエマルション粒子及び第2共重合体のエマルション粒子)は、液体化粧料の中で安定的に存在することができる。したがって、塗布時において塗布具と肌との間に存在する液体化粧料は、エマルション粒子同士の間に隙間が形成された、疎な構造となりやすい。
【0019】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは親水部分(ポリオキシエチレン鎖の部分)を有する。このため、上述のエマルション粒子は、肌及び塗布具のブラシ部との親和性が高い。したがって、塗布具を用いた肌への液体化粧料の塗布時に、塗布具の表面及び肌の表面には、上述のエマルション粒子が密着しやすい。
【0020】
ここで、液体化粧料の塗布時において、塗布具を肌に対して移動させると、肌、液体化粧料及び塗布具の間に摩擦が生じる。このとき、塗布具と肌の間の液体化粧料は上述のように疎な構造であるため、摩擦によって、肌に密着したエマルション粒子と、塗布具の表面に密着したエマルション粒子との間に、塗布具の肌に対する移動方向(即ち肌の表面に沿った方向)に沿ったクラックが生じ、エマルション粒子を含む液体化粧料は、肌の表面の皮膜と塗布具表面の皮膜とに分かれる。
【0021】
また、それぞれの液体化粧料の皮膜において、上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルが潤滑剤のように作用する。このため、上述の摩擦が生じると、肌表面の皮膜及び塗布具表面の皮膜のそれぞれを構成するエマルション粒子が転動する。このため、それぞれの皮膜が壊れずに肌表面及び塗布具表面に維持されやすくなる。
【0022】
このように、液体化粧料の肌への塗布時に生じる摩擦エネルギーが、エマルション粒子間におけるクラックの生成や、エマルション粒子の転動により消費されるため、塗布時における摩擦による肌及び塗布具へのダメージ(摩耗等)を効果的に抑制することができる。
【0023】
上述の液体化粧料に含まれる第1共重合体のエマルション粒子は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種類以上と、スチレンとから合成される共重合体(即ち、スチレン/アクリレーツコポリマー)のエマルション粒子である。
【0024】
第1共重合体のエマルション粒子は、該エマルション粒子を含むエマルション(以下、第1共重合体エマルションという。)の形態で入手可能であり、この第1共重合体エマルションを液体化粧料の材料として用いることができる。
【0025】
上述の第1共重合体エマルションとして、例えば、水を媒体とし、固形分濃度が30以上60重量%以下のエマルションを、液体化粧料に配合してもよい。
【0026】
第1共重合体のエマルション粒子は球状、板状、針状、中空、中実、多孔の形状を有していてもよい。
【0027】
第1共重合体のエマルション粒子は球形の中実粒子であってもよい。この場合、粒子最外殻の表面積を広くできる為、アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルとの付着を効率的に出来る様になる。よって、肌にも塗布具にも皮膜を効果的に形成しやすくなる。
【0028】
上述の第1共重合体エマルションとして市販品を用いることができる。第1共重合体エマルションとして使用可能な市販品の例として、ヨドゾールGH41F(ヌーリオンジャパン社、製品名、固形分濃度:45重量%)、ダイトゾール5000STY(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度:50重量%)等が挙げられる。
【0029】
上述の第1共重合体エマルションは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
液体化粧料中の第1共重合体(エマルション粒子)の含有量(固形分としての含有量)は、2重量%以上30重量%以下であってもよく、4重量%以上24重量%以下であってもよく、あるいは、6重量%以上18重量%以下であってもよい。
【0031】
第1共重合体の含有量が2重量%以上、4重量%以上、又は、6重量%以上であれば、液体化粧料の粘度が低くなり過ぎず、例えば後述する塗布具を用いたときに液体化粧料が過剰に吐出されることが抑制される。第1共重合体の含有量が30重量%以下、24重量%以下、18重量%以下であれば、液体化粧料の粘度が高くなり過ぎず、例えば後述する塗布具を用いたときに液体化粧料が適切に吐出されやすい。
【0032】
また、第1共重合体の含有量が上述の範囲内であれば、液体化粧料の塗布時に肌及び塗布具の表面に形成される皮膜の硬さが適度に硬く、このため、液体化粧料の塗布時に生じる摩擦による上述した皮膜間におけるクラックの生成やエマルション粒子の転動が起こりやすくなる。よって、液体化粧料の塗布時における摩擦による肌及び塗布具へのダメージ(摩耗等)を効果的に抑制することができる。
【0033】
上述の液体化粧料に含まれる第2共重合体のエマルション粒子は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる2種類以上から合成される第2共重合体(即ち、アクリル酸アルキルエステルコポリマー)のエマルション粒子である。
【0034】
第2共重合体のエマルション粒子は、該エマルション粒子を含むエマルション(以下、第2共重合体エマルションという。)の形態で入手可能であり、この第2共重合体エマルションを液体化粧料の材料として用いることができる。
【0035】
上述の第2共重合体エマルションとして市販品を用いることができる。第2共重合体エマルションとして使用可能な市販品の例として、ダーマクリルAQF(ヌーリオンジャパン社製、製品名、固形分濃度:45重量%)、ダーマクリルX(ヌーリオンジャパン社製、製品名、固形分濃度:45重量%)、ヨドゾールGH800F(ヌーリオンジャパン社製、製品名、固形分濃度:45重量%)、ヨドゾールGH810F(ヌーリオンジャパン社製、製品名、固形分濃度:46重量%)、ヨドゾールGH34F(ヌーリオンジャパン社製、製品名、固形分濃度:42重量%)、ヨドゾールGH256F(ヌーリオンジャパン社製、製品名、固形分濃度:29重量%)、ダイトゾール5000SJ(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度:50重量%)、ダイトゾール4000SJT(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度:40重量%)、ダイトゾール5000PO(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度:50重量%)、ダイトゾール3000SLPN-PE1(大東化成工業社製、製品名、固形分濃度:30重量%)等が挙げられる。
【0036】
上述の第2共重合体エマルションは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
液体化粧料中の第2共重合体(エマルション粒子)の含有量(固形分としての含有量)は、0.01重量%以上10重量%以下であってもよく、0.05重量%以上7.5重量%以下であってもよく、あるいは、0.1重量%以上5重量%以下であってもよい。
【0038】
第2共重合体の含有量が0.01重量%以上、0.05重量%以上、又は、0.1重量%以上であれば、液体化粧料の粘度が低くなり過ぎず、例えば後述する塗布具を用いたときに液体化粧料が過剰に吐出されることが抑制される。第2共重合体の含有量が10重量%以下、7.5重量%以下、又は5重量%以下であれば、液体化粧料の粘度が高くなり過ぎず、例えば後述する塗布具を用いたときに液体化粧料が適切に吐出されやすい。
【0039】
また、第2共重合体の含有量が上述の範囲内であれば、液体化粧料の塗布時に肌及び塗布具の表面に形成される皮膜の硬さが適度に柔らかく、このため、液体化粧料の塗布時に生じる摩擦による上述した皮膜間におけるクラックの生成やエマルション粒子の転動が起こりやすくなる。よって、液体化粧料の塗布時における摩擦による肌及び塗布具へのダメージ(摩耗等)を効果的に抑制することができる。
【0040】
上述の液体化粧料に含まれるアルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、親油部分(アルキル鎖の部分)及び親水部分(ポリオキシエチレン鎖の部分)を有する界面活性剤として機能する。
【0041】
上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が22以上であるので、親油部分(アルキル鎖の部分)の樹脂(第1共重合体及び第2共重合体)への吸着力が優れている。このため、液体化粧料の中でエマルション粒子(第1共重合体のエマルション粒子及び第2共重合体のエマルション粒子)が安定的に存在することができる。また、上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が24以下であるので、水媒体に比較的溶けやすい。このため、適度な界面活性作用が得られやすい。
【0042】
上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数は、5以上50以下であってもよく、20以上35以下であってもよく、30であってもよい。
【0043】
上述の酸化エチレン平均付加モル数が5以上、20以上又は30であれば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの親水部分の親水性が比較的高い。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子の肌及び塗布具との親和性が良好なものとなるため、肌及び塗布具の表面において液体化粧料の皮膜を形成しやすい。また、上述の酸化エチレン平均付加モル数が50以下、35以下又は30であれば、適度な界面活性作用が得られる、あるいは、比較的容易に入手可能である。
【0044】
なお、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのアルキル鎖の炭素数が22以上24以下であり、かつ、酸化エチレン付加モル数が5以上50以下又は20以上35以下又は30であることにより、水への溶けやすさと、高い親水性(即ち肌や塗布具との良好な親和性)とを両立しやすくなる。
【0045】
アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルとして、比較的入手しやすいポリオキシエチレンベヘニルエーテル(アルキル鎖の炭素数:22)を好適に使用することができる。
【0046】
アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルとして使用可能な市販品の例として、NIKKOL BB-5(日光ケミカルズ社製、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、酸化エチレン平均付加モル数:5)、NIKKOL BB-20(日光ケミカルズ社製、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、酸化エチレン平均付加モル数:20)、又は、NIKKOL BB-30(日光ケミカルズ社製、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、酸化エチレン平均付加モル数:30)等が挙げられる。
【0047】
アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0048】
液体化粧料中の上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量は、0.01重量%以上20重量%以下であってもよく、0.02重量%以上5重量%以下であってもよく、あるいは、0.07重量%以上1.5重量%以下であってもよい。上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量が上述の範囲内であれば、適度な界面活性作用が得られ、液体化粧料中において、第1共重合体及び第2共重合体に親油部分が吸着したエマルション粒子を効果的に形成することができる。
【0049】
上述の液体化粧料に含まれる顔料は、液体化粧料を着色するために用いられるものである。
【0050】
上述の顔料として、通常の化粧料に配合される公知の顔料を特に制限なく用いることができる。顔料の例としては、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、シリカ、炭化珪素等の無機粉体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン、ナイロン等の有機粉体類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、黒酸化鉄、赤色酸化鉄、ベンガラ(黒色酸化鉄と赤色酸化鉄の混合物)、黄酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青、ベンガラ等の有色無機顔料、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料、マイカチタン、カルミン被膜マイカチタン、酸化クロム被膜マイカチタン、酸化鉄被膜マイカチタン、酸化鉄・カルミン被膜マイカチタン、酸化鉄・紺青被膜マイカチタン、青被覆マイカチタン、紺青被膜マイカチタン、ベンガラ被膜マイカ、ベンガラ被膜マイカチタン、ベンガラ・カルミン被膜マイカチタン、ベンガラ・酸化鉄被膜マイカチタン、ベンガラ・紺青被膜マイカチタン、ベンガラ・酸化鉄・紺青被膜マイカチタン等のマイカ顔料、ガラスフレーク又は塊状フレークを母材とした上に、金属もしくは金属酸化物をコートしたフレーク顔料、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末顔料が挙げられる。顔料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
液体化粧料中の顔料の含有量は、3重量%以上30重量%以下であってもよく、あるいは、5重量%以上20重量%以下であってもよい。顔料の含有量が3重量%以上又は5重量%以上であれば、液体化粧料の色がある程度濃いので、化粧料としての機能が良好である。また、顔料の含有量が30重量%以下又は20重量%以下であれば、液体化粧料中における顔料の分散性が良好となり、液体化粧料の色ムラを抑制しやすい。
【0052】
上述の液体化粧料に含まれる溶剤は、液体化粧料に種々の機能(例えば、液体化粧料の腐食防止、凍結防止、乾燥防止、等)を付与する目的で使用される。
【0053】
上述の溶剤として、通常の化粧料に配合される公知の溶剤を特に制限なく用いることができる。上述の溶剤の例として、一価アルコール又は多価アルコールを含むアルコール類が挙げられる。溶剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0054】
液体化粧料中の溶剤の含有量は、1重量%以上40重量%以下であってもよく、あるいは、3重量%以上30重量%以下であってもよい。溶剤の含有量が1重量%以上又は3重量%以上であれば、液体化粧料に上述の機能(腐食防止等)が十分に付与されやすい。溶剤の含有量が40重量%以下又は30重量%以下であれば、液体化粧料を皮膚(肌)に付着させたときに、皮膚への刺激があまり大きくならない。
【0055】
上述の液体化粧料に含まれる水は、液体化粧料の主成分であり主溶剤である。該水として、イオン交換水や精製水、純水、超純水を用いてもよい。
【0056】
液体化粧料中の水の含有量は、40重量%以上90%重量%以下であってもよく、あるいは、50重量%以上80重量%以下であってもよい。水の含有量が40重量%以上又は50重量%以上であれば、他の成分(溶剤や界面活性剤等)が十分に水に溶けやすい。水の含有量が90重量%以下又は80重量%以下であれば、他の成分(第1共重合体、第2共重合体、溶剤又は顔料等)の含有量を大きくすることができ、肌や塗布具の表面に液体化粧料の皮膜を形成しやすく、あるいは、液体化粧料の色を十分に濃くしやすくなる。
【0057】
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、上述した各成分(水、顔料、溶剤、第1共重合体のエマルション粒子、第2共重合体のエマルション粒子、及び、アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテル)に加えて、他の成分を含んでいてもよい。幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、例えば、防腐剤又はpH調整剤を含んでもよい。
【0058】
本明細書において、防腐剤とは防腐、防腐増強、保存、抗菌、防カビ、酸化防止の機能を有するものを指す。防腐剤としては、フェノキシエタノール、ペンチレングリコール、エタノール、パラオキシ安息香酸エステル、1,2-ペンタジオール、プリルグリコール、ヘキシレングリコール、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、エチルヘキシルグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール及び1,2-ヘプタンジオール、メチルパラベンおよびその塩、エチルパラベンおよびその塩、ブチルパラベンおよびその塩、プロピルパラベンおよびその塩、イソブチルパラベンおよびその塩、イソプロピルパラベン、ベンジルパラベン、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン液、トリクロロカルバニリド、石炭酸、ヘキサクロロフェン、安息香酸およびその塩、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸およびその塩、感光素101号、感光素201号、感光素401号、ヒノキチオール、ベンジルアルコール、ピロクトンオラミン、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、メチルジブロモグルタロニトリル、DMDMヒダントイン、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ジイソブチルエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム、N-ラウリルサルコシン酸ナトリウム、N-パルメチルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン、N-ミリストイルグリシン、カリウム-N-ラウリルサルコシン、塩化トリメチルアンモニウム、アルミニウムクロロヒドロキシ乳酸ナトリウム、クエン酸トリエチル、塩化トリセチルメチルアンモニウム、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3,4,4’-トリクロロカルバニリド(トリクロカルバン)、ジアミノアルキルアミド、L-リシンヘキサデシルアミド、クエン酸重金属塩、サリチル酸塩、ピロクトース(piroctose)、亜鉛塩、ピリチオンおよびその重金属塩、亜鉛ピリチオン、亜鉛フェノール硫酸、ファルネソール、ケトコナゾール、オキシコナゾール、ビホナゾール、ブトコナゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、チオコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾール、ナフチフィン、テルビナフィン、セレンジスルフィド、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、塩化銀、ジアゾリジニル尿素、イミダゾリジニル尿素、ウンデシレン酸、クロルフェネシン、プロピオン酸及びその塩、サリチル酸、サリチル酸マグネシウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸チタン、クロロキシレノール、ジエチルヘキシルスルホスクシネートのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、(RS)-1-(4-クロロフェノキシ)-1-イミダゾール-1-イル-3,3-ジメチルブタン-2-オン(クリンバゾール)、ベンジルアルコール、フェノキシイソプロパノール、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ポリアミノプロピルビグアニド、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、ベンザルコニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)、塩化ベンゼトニウム、ペンタンジオール、1,2-オクタンジオール、ソルビン酸、安息香酸、乳酸、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、ジメチロールジメチルヒダントイン(DMDMH)、クロルヘキシジン、ヒドロキシメチルグリシネートのナトリウム塩、ソルビン酸のヒドロキシエチルグリシン、N-オレイルヒドロキシヘキサナミド、フェニルフェノール及びその塩類、o-フェニルフェノール及びその塩、p-クロロ-m-クレゾール、p-クロロフェノール、イミダゾリジニルウレア、ウスニン酸銅、オリゴペプチド-10、オリゴペプチド-76、ギ酸、ギ酸ナトリウム、クエン酸銀、クオタニウム-14、クオタニウム-15、グリオキサール、グレープフルーツエキス、グレープフルーツ果実エキス、グレープフルーツ種子エキス、クレゾール、クロラミンT、クロルキシレノール、クロルクレゾール、クロロブタノール、ケケイ酸(アンモニウム/銀/亜鉛/Al)、グリセリン、ゲットウ花/葉/種子/茎エキス、ゲットウ葉/茎発酵物、ゴバイシエキス、コリアンダー葉エキス、ザクロ果皮エキス、サンタルムパニクラツム木水、ジイセチオン酸ヘキサミジン、1,2-エタンジオール、シトロネル酸ナトリウム、シベリアカラマツ木エキス、トコフェノール、トリモニウムブロミド、タチジャコウソウ葉油、チアントール、ティーツリーオイル、バクハン石、ビスラウリル硫酸チアミン、ヒドロキシメチルグリシンNa、フェネチルアルコール、フェノール、フェノールスルホン酸Na、フェルラ酸、フェルラ酸エチル、ベンゼトニウムクロリド、ホウケイ酸銀、ボエセンベルギアパンズラタ根茎エキス、マセリグナン、ムクロジエキス、メチルプロパンジオール、ムラヤコエンジー葉油、ローズマリーエキス、ユキヤナギ葉エキス、ヨウ化ジメチルアミノスチリルヘプチルメチルチアゾリウム、ヨウ化ビスエチルキノリニウムエチルキノリニデンペンタジエン、ラウリルジアミノエチルグリシンNa、ラウロイルアルギニンエチルHCl、安息香酸アンモニウム、安息香酸イソブチル、安息香酸エチル、安息香酸パントテニルエチル、安息香酸フェニル、安息香酸メチル、臭化ドミフェン、カプリル酸グリセリル(グリセリン脂肪酸エステル)、ビサボロール、アニス酸、カプリル酸ソルビタン、カプリリルグリコール、カプリン酸グリセリル、オクタンジオール、アリジモルフ、トリデモルフ、ドデモルフ、ジメトモルフ;フルシラゾール、アザコナゾール、シプロコナゾール、エポキシコナゾール、フルコナゾール、プロピコナゾール、テブコナゾールなど;イマザリル、チオファネート、ベノミル、カルベンダジム、クロロチアロニル、ジクロラン、トリフロキシストロビン、フロキシストロビン、ジモキシストロビン、アゾキシストロビン、フルカラニル、プロクロラズ、フルスルファミド、ファモキサドン、カプタン、マンネブ、マンコゼブ、ドジシン、ドジンおよびメタラキシル、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、没食子酸オクチル、カロチノイド、β-カロチン、リコピン、カンタキサンチン、ユビキノン、ペンタエリトリチル テトラ(ジブチル-ヒドロキシ-ケイ皮酸)、ビタミンE、トロロクス、ビタミンCおよびその誘導体、α-トコフェロール、δ-トコフェロール、アスコルビン、イチョウエキス、アスパラサスリネアリスエキス、イソステアリルアスコルビルリン酸2Na、ウーロン茶エキス、オトギリソウエキス、コーヒーエキス、コーヒー種子エキス、セイヨウオトギリソウ花/葉/茎エキス、セイヨウノコギリソウエキス、セリシン、タチジャコウソウ花/葉/茎エキス、タイムエキス、チャエキス、チャ葉エキス、チョウジエキス、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、トウキンセンカエキス、パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na、ヘマトコッカスプルビアリスエキス、ヘマトコッカスプルビアリス油、メマツヨイグサ種子エキス、メマツヨイグサ抽出液、メリッサエキス、メリッサ葉エキス、リン酸L-アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルMg等が挙げられ、中でも1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、ペンチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、フェノキシエタノール、エタノール、カプリン酸グリセリル、エチルヘキシルグリセリン、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、メチルパラベンおよびその塩、エチルパラベンおよびその塩、ブチルパラベンおよびその塩、プロピルパラベンおよびその塩、イソブチルパラベンおよびその塩、イソプロピルパラベン、ベンジルパラベンが長期保存性に優れることが分かっており、好ましい。これらの防腐剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0059】
これらの防腐剤の液体化粧料中の含有量は、化粧料全量に対して、1.0重量%以上27.0重量%以下であってもよく、あるいは、3.0重量%以上22.0重量%以下であってもよく、あるいは、6.0重量%以上17.0重量%以下であってもよい。この防腐剤の含有量が0.1重量%以上、3.0重量%以上、又は、6.0重量%以上であると防腐性能が十分に発揮されるようになる。27.0重量%以下、22.0重量%以下、あるいは、17.0重量%以下であれば皮膚刺激性を許容できる。
【0060】
pH調整剤としては、トリエタノールアミン、エタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、アスコルビン酸、グリコール酸、クエン酸及びその塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、塩酸、p-アニス酸、アニス酸、アスパラギン酸及びその塩、トリイソプロパノールアミン、アジピン酸、アゼライン酸、アニス酸及びその塩、アミノエチルプロパンジオール、アルギニン、L-アルギニン、アンモニア、イソプロパノールアミン、ギ酸、グリオキシル酸、グリコール酸及びその塩、グルクロン酸、グリシン亜鉛、グルタル酸、クレイミネラルズ、クロロ酸、ケイ酸ナトリウム、ケトグルタル酸、コハク酸及びその塩、ジオレイルリン酸、システイン塩酸、ジメチルMEA、シュウ酸、スルホコハク酸3ナトリウム、スルホン化(スチレン/DVB)クロスポリマー、セスキ炭酸ナトリウム、セバシン酸、トリペプチド-51、トロメタミン、バクハン石、ビスヒドロキシエチルトロメタミン、ピロリン酸2ナトリウム、ピロリン酸4カリウム、ピロリン酸4ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、プロピオン酸、ベンジル酸、ホウ酸ナトリウム、マルトビオン酸、マレイン酸、マロン酸、メチルグルカミン、メトキシPEG-114/ポリε-カプロラクトン、モルホリン、ラクトビオン酸、リンゴ酸、リン酸、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸2カリウム、リン酸2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、三リン酸5ナトリウム、乳酸、合成DNAアプタマー-1、塩基性炭酸マグネシウム、塩基性炭酸亜鉛、安息香酸、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸、硝酸水素ナトリウム、酒石酸、酒石酸2ナトリウム、酒石酸カリウム、酢酸、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム等が挙げられ、中でもクエン酸、クエン酸ナトリウム、アルギニン、L-アルギニン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸、リン酸カルシウム、トリエタノールアミンなどは長期的にpHが変化しにくいことが分かっており、好ましい。これらのpH調整剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用しても良い。
【0061】
これらのpH調整剤の液体化粧料中の含有量は、化粧料全量に対して、0.01重量%以上3.5重量%以下であってもよく、あるいは、0.015重量%以上2.5重量%以下であってもよく、あるいは、0.02重量%以上1.8重量%以下であってもよい。さらに、pH調整剤によって調整される液体化粧料のpHは7以上8以下が好ましい。所望の範囲だと、人肌に近いpHとなるため、肌に塗布した後もpH変化が少なく、良好な皮膜を形成できる。
【0062】
(液体化粧料の製造方法)
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、従来知られている種々の方法で製造することができる。
【0063】
幾つかの実施形態に係る液体化粧料は、例えば、以下の手順で製造することができる。まず、水、溶剤、第二共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを撹拌しながら顔料を加え、ボールミル、ビーズミル、ロールミル等の分散機を用いて分散処理を行う。続いて、第一共重合体のエマルションを加え、攪拌機や分散機(ボールミル、ビーズミル、ロールミル等)を用いて分散処理を行う。このようにして液体化粧料が得られる。また、これらの調製工程において、発生した攪拌・分散熱、ヒーターを利用して液体化粧料に熱を加えて攪拌・分散することや、冷却して撹拌・分散することができる。脱泡機による泡の除去やろ過機による粗大物のろ過等を必要に応じて行っても良い。これらの種々の混合工程、攪拌・分散工程、ろ過工程、加熱工程又は冷却工程は、それぞれ単独で行ってもよく、あるいは、2種以上の工程を並行して行ってもよい。
【0064】
(塗布具の構成)
図1は、一実施形態に係る塗布具の縦断面図である。この塗布具100は、上述の液体化粧料を人の肌等に塗布するための塗布具である。
【0065】
図1に示すように、一実施形態に係る塗布具100は、軸筒1と、軸筒1の内部に収容される液体収容部2と、軸筒1の長手方向における先端側に設けられたブラシ部6と、液体収容部2とブラシ部6との間に設けられる中継芯4と、尾栓3と、を備えている。
【0066】
軸筒1は、円筒又は多角形筒等の形状を有していてもよい。軸筒1の長手方向における先端側には、軸筒1の内径が液体収容部の外径よりも小さい縮径部1aが設けられており、該縮径部1aによって液体収容部2の先端側への動きが規制されている。また、軸筒1の尾端側開口から軸筒1内に尾栓3が挿入されており、該尾栓3によって、液体収容部2の尾端側への動きが規制されている。
【0067】
液体収容部2は、液体化粧料を収容するように構成される。液体収容部2は、液体化粧料を吸蔵して収容することが可能な吸蔵体を含んでもよい。あるいは、液体収容部2は、液体化粧料を貯留可能なタンクを含んでもよい。
【0068】
液体収容部2に収容された液体化粧料は、ブラシ部6に供給されるようになっている。
図1に示す例示的な実施形態では、液体収容部2からの液体化粧料は、中継芯4を介してブラシ部6に供給される。
図1に示す中継芯4は、軸筒1の内部にて液体収容部2よりも軸筒1の先端側に設けられ、その一端部が液体収容部2に侵入しているとともに、他端部にブラシ部6が取り付けられている。中継芯4及びブラシ部6は、軸筒1の先端側から軸筒1内に部分的に挿入されて軸筒1に嵌め込まれる固定管5によって、軸筒1に対する位置が固定される。
【0069】
ブラシ部6に液体化粧料が供給された状態で、ブラシ部6を肌に付着させたまま肌に対して相対的に移動させることにより、肌に液体化粧料を塗布することができる。
【0070】
ブラシ部6は、合成樹脂を含むブラシ材料(ブラシ毛、繊維)から形成される。
【0071】
幾つかの実施形態では、ブラシ部6を構成するブラシ材料の吸水率が0.5%以上10%以下であってもよく、あるいは、1.0%以上4.0%以下であってもよい。
【0072】
ブラシ材料の吸水率が0.5%以上又は1.0%以上であれば、ブラシ材料と界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の親水部分との親和性が良好である。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子と塗布具のブラシ部との親和性が良好なものとなるため、塗布具100のブラシ部6の表面において液体化粧料の皮膜が形成されやすい。ブラシ材料の吸水率が10.0%以下又は4.0%以下であれば、ブラシ材料の硬さ(コシ)が失われ難い。したがって、塗布具100を用いて液体化粧料を塗布するときの使用感が悪化し難い。
【0073】
ブラシ材料を構成する合成樹脂は、例えば、ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリプロピレンテレフタレート、又は、ポリブチレンテレフタレートを含んでもよい。ナイロンは、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11又はナイロン12であってもよい。各種ナイロンは吸水率が比較的高く、このためブラシ材料として好適に用いることができる。
【0074】
ブラシ部は、1種の合成樹脂から形成された1種のブラシ材料を含んでもよく、あるいは、2種以上の異なる合成樹脂からそれぞれ形成されたブラシ材料の混合体を含んでもよい。
【0075】
ブラシ部6を構成するブラシ材料の太さは、特に限定されないが、例えば2.0mm以上5.0mm以下程度であってもよい。繊維を束ねたブラシ材料であった場合、太さが0.10mm以上0.20mm以下の繊維を複数本束ねて前記ブラシ材料の太さとすることも出来る。ブラシ部6の毛丈は、特に限定されないが、例えば、5mm以上20mm以下程度であってもよい。
【0076】
ブラシ材料の断面形状は、丸断面に限ったものではなく、その用途に応じて、例えば、楕円形、多角形、多葉形および中空などから適宜選定することができる。また、繊維の断面形状も用途に応じて丸形、楕円形、多角形、多葉形および中空などから適宜選定することができ、少なくとも2種類以上の異形断面の繊維を混合し、束ねてブラシ材料とすることも出来る。
【0077】
ブラシ材料(ブラシ毛、繊維)の先端は、テーパー形状であってもよい。ブラシ毛をテーパー加工する事や、テーパー加工された繊維を集束することで毛筆特有のなめらかな塗布感と綺麗な筆跡を得られるようになる。
【実施例0078】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0079】
(液体化粧料の作製)
下記表1~2に示す組成を有する実施例1~7及び比較例1~3の液体化粧料を作製した。表1~2に示す各液体化粧料の材料としては、具体的には下記のものを使用した。
【0080】
<溶剤>
1,3-ブチレングリコール(商品名:ハイシュガーケイン、高級アルコール工業社製)
ヘキシレングリコール(商品名:Arkema、アルケマ社製)
1,2-ペンタンジオール(商品名:ジオールPD、高級アルコール工業社製)
エチルヘキシルグリセリン(商品名:Saskin 50、SACHEM社製)
2-フェノキシエタノール(商品名:フェノキシエタノール、クラリアント社製)
【0081】
<顔料>
カーボンブラック(商品名:UNIPURE BLACK LC-902、SENSIENT社製)
黒色酸化鉄と赤色酸化鉄の混合物(ベンガラ)(商品名:UNIPURE RED LC381、SENSIENT社製)
【0082】
<第1共重合体(エマルション)>
(スチレン/アクリレーツ)共重合体エマルション、固形分濃度:50%の水分散体(商品名:ダイトゾール5000STY、大東化成工業社製)
【0083】
<第2共重合体(エマルション)>
アクリル酸アルキルエステル共重合体エマルション、固形分濃度:45%の水分散体(商品名:ダーマクリルAQF、ヌーリオンジャパン社製)
【0084】
<比較用樹脂エマルション>
アクリル酸アルキルエステル・酢酸ビニル共重合体エマルション(商品名:ニッセツ U-4315B、日本カーバイド工業社製)
【0085】
<ポリオキシエチレンアルキルエーテル(界面活性剤)>
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(5E.O.)、アルキル鎖の炭素数:22、酸化エチレン平均付加モル数:5(商品名:NIKKOL BB-5)
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(20E.O.)、アルキル鎖の炭素数:22、酸化エチレン平均付加モル数:20(商品名:NIKKOL BB-20)
ポリオキシエチレンベヘニルエーテル(30E.O.)、アルキル鎖の炭素数:22、酸化エチレン平均付加モル数:30(商品名:NIKKOL BB-30)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.)、アルキル鎖の炭素数:16、酸化エチレン平均付加モル数:20
【0086】
各実施例及び比較例の液体化粧料は、以下の手順で作製した。まず、水、溶剤、及び、第二共重合体エマルション(実施例1~7、比較例1,3)又は比較用樹脂エマルション(比較例2)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを撹拌しながら顔料を加え、分散機を用いて分散処理を行った。続いて、第一共重合体エマルション(実施例1~7、比較例1~2)又は比較用樹脂エマルション(比較例3)を加え、攪拌機及び分散機を用いて分散処理を行った。このようにして各実施例及び比較例の液体化粧料を得た。
【0087】
(試験用塗布具)
実施例及び比較例に係る液体化粧料を評価するため、試験用の塗布具A~Cを用意した。これらの塗布具A~Cは、
図1に示す構造を有する。塗布具A~Cのブラシ部の毛丈L(
図1参照;ブラシ部6のうち固定管5よりも先端側の部分の軸方向における長さ)はそれぞれ8.5mm±1.0mmであり、ブラシ部の外径(最大)はそれぞれ3.5mmである。また、塗布具A~Cのブラシ部を構成するブラシ材料の特徴は以下のとおりである。
【0088】
なお、以下に記載のブラシ材料の吸水率は、ISO62(プラスチック―吸水率の求め方)に記載のA法に基づき測定したものである。
【0089】
<塗布具A>
ブラシ材料(ブラシ毛):ポリブチレンテレフタラート
ブラシ材料の吸水率:0.5%
<塗布具B>
ブラシ材料(ブラシ毛):ポリアミド66(ナイロン66)
ブラシ材料の吸水率:8.5%
<塗布具C>
ブラシ材料(ブラシ毛):ポリアミド612(ナイロン612)
ブラシ材料の吸水率:3.0%
【0090】
【0091】
【0092】
以上説明した実施例1~7及び比較例1~3の液体化粧料、及び、塗布具A~Cを用いて、以下に説明する耐摩擦性試験、及び、モニター試験を行った。なお、各試験において、各実施例及び比較例の液体化粧料を塗布するための塗布具として、表1に示す塗布具を用いた。即ち、実施例1~2,5~6では塗布具Cを用い、実施例3では塗布具Bを用い、実施例4,7及び比較例1~3では塗布具Aを用いた。
【0093】
(耐摩耗性試験)
<試験方法>
画線筆記試験機(型式PM006 ぺんてる社製)にて、水平方向に対する塗布具の軸方向の角度65°±5°、筆記速度7cm/secの条件で筆記し、25m筆記する毎に90°穂先(ブラシ部)を軸方向の周りに回転させた。筆記荷重1gf以上3gf以下で、筆跡幅1±0.2mmになるように調整しながら、100m筆記した。
<評価方法>
上述のように100m筆記した後、試験開始前に測定していた毛丈(L0)と試験後に測定した毛丈(L1)から毛丈減少率[(L0-L1)/L0]を算出した。
【0094】
(モニター試験)
<試験方法>
モニター(評価者)10人それぞれに各実施例及び比較例のサンプル(液体化粧料及び塗布具)を渡した。30日間、毎日1回、同じ塗布具を用いてサンプルを皮膚に塗布してもらった。これに加え、最終日(30日目)には未使用(新品)のサンプル(液体化粧料及び塗布具)も使用してもらった。30日間使用したサンプルと未使用品のサンプルの使用感に違いがあるかについてモニターにアンケートをとった。
<評価方法>
30日間使用したサンプルと、未使用品のサンプルそれぞれの使用感(描きやすさ)について、以下の1~5点の5段階で評価してもらい、10人の点数の平均値をスコアとした。
5:非常に良好
4:良好
3:可もなく不可もない
2:不良
1:非常に不良
【0095】
(試験結果)
上述の耐摩耗性試験及びモニター試験の結果は表3に示す通りである。なお、表3の中で、モニター試験における「差」は、未使用品のスコアと使用品のスコアの差を表す。
【0096】
【0097】
実施例1~7では、耐摩耗性試験での毛丈減少率が15%以下であり、比較例1~3(毛丈減少率は32%以上38%以下)に比べて、筆穂先(ブラシ部)の摩耗が抑制されている。また、実施例1~7では、モニター試験において、使用品(30日連続して使用したもの)と未使用品との間でサンプルの使用感に関するスコアの差が小さい。
【0098】
これは、塗布時において、塗布具に液体化粧料の皮膜が形成されており、塗布時に肌と塗布具表面から皮膜が剥離せずに皮膜内が壊れて皮膜内に摩耗界面が生じることで、塗布具表面と肌が直接触れることがないからであると考えられる。摩擦界面では皮膜同士が擦れ合うものの、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルが皮膜間で潤滑油として働き、ポリオキシエチレンベヘニルエーテルに被覆された樹脂エマルションが転がれることで皮膜の摩耗も防いでいるため、塗布具と皮膚表面には常に皮膜が存在できているからであると考えられる。
【0099】
実施例2、5,6の結果から、特にポリオキシエチレンベヘニルエーテルの酸化エチレンの平均付加モル数を高くすると、液体化粧料と、塗布具及び肌表面との親和性が増し、皮膜を形成しやすく、皮膜が剥がれにくくなり、より塗布具の摩耗と肌へのダメージを防ぐことができると考えられる。
【0100】
また、実施例2~4の結果から、塗布具のブラシ部の材料として吸水率が高いものである程、液体化粧料と塗布具表面に皮膜を形成しやすくなり、塗布具の摩耗をより防ぐことができると考えられる。
【0101】
また、実施例2と7の結果から、高い吸水率の塗布具と高い酸化エチレンの平均付加モル数のポリオキシエチレンベヘニルエーテルを用いることで、互いの親和性が増し、相乗的に効果が高まっていることが分かる。
【0102】
以上のように、本発明の実施例に係る液体化粧料によれば、塗布具での塗布時における摩擦による肌及び塗布具へのダメージ(摩耗等)を効果的に抑制することができることがわかる。
【0103】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0104】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る液体化粧料は、
水と、
顔料と、
溶剤と、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種類以上と、スチレンとから合成される第1共重合体のエマルション粒子と、
アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、及び、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる2種類以上から合成される第2共重合体のエマルション粒子と、
アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、
を含有する。
【0105】
上記(1)の構成によれば、液体化粧料は、上述の第1共重合体(スチレン/アクリレーツコポリマー)のエマルション粒子、及び、上述の第2共重合体(アクリル酸アルキルエステルコポリマー)のエマルション粒子を含む。このため、液体化粧料の塗布時に、適度な硬さの皮膜を肌の上に形成することができる。
【0106】
また、上記(1)の構成によれば、液体化粧料は、上述の第1共重合体及び上述の第2共重合体に加え、アルキル鎖の炭素数が22以上24以下のポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む。このため、液体化粧料中において、第1共重合体及び第2共重合体は、それぞれ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(界面活性剤)の親油部分が吸着したエマルション粒子として存在する。
【0107】
上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が24以下であるので、水媒体に比較的溶けやすい。このため、適度な界面活性作用が得られやすい。
【0108】
また、上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルは、アルキル鎖の炭素数が22以上であるので、親油部分(アルキル鎖の部分)の樹脂(第1共重合体及び第2共重合体)への吸着力が優れている。このため、上述のエマルション粒子(第1共重合体のエマルション粒子及び第2共重合体のエマルション粒子)は、液体化粧料の中で安定的に存在することができる。したがって、塗布時において塗布具と肌との間に存在する液体化粧料は、エマルション粒子同士の間に隙間が形成された、疎な構造となりやすい。
【0109】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは親水部分(ポリオキシエチレン鎖の部分)を有する。このため、上述のエマルション粒子は、肌及び塗布具のブラシ部との親和性が高い。したがって、塗布具を用いた肌への液体化粧料の塗布時に、塗布具の表面及び肌の表面には、上述のエマルション粒子が密着しやすい。
【0110】
ここで、液体化粧料の塗布時において、塗布具を肌に対して移動させると、肌、液体化粧料及び塗布具の間に摩擦が生じる。このとき、塗布具と肌の間の液体化粧料は上述のように疎な構造であるため、摩擦によって、肌に密着したエマルション粒子と、塗布具の表面に密着したエマルション粒子との間に、塗布具の肌に対する移動方向(即ち肌の表面に沿った方向)に沿ったクラックが生じ、エマルション粒子を含む液体化粧料は、肌の表面の皮膜と塗布具表面の皮膜とに分かれる。
【0111】
また、それぞれの液体化粧料の皮膜において、上述のポリオキシエチレンアルキルエーテルが潤滑剤のように作用する。このため、上述の摩擦が生じると、肌表面の皮膜及び塗布具表面の皮膜のそれぞれを構成するエマルション粒子が転動する。このため、それぞれの皮膜が壊れずに肌表面及び塗布具表面に維持されやすくなる。
【0112】
このように、上記(1)の構成によれば、液体化粧料の肌への塗布時に生じる摩擦エネルギーが、エマルション粒子間におけるクラックの生成や、エマルション粒子の転動により消費されるため、塗布時における摩擦による肌及び塗布具へのダメージ(摩耗等)を効果的に抑制することができる。
【0113】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が5以上50以下である。
【0114】
上記(2)の構成によれば、界面活性剤として機能するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が5以上であるので、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの親水部分の親水性が比較的高い。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子の肌及び塗布具との親和性が良好なものとなるため、肌及び塗布具の表面において液体化粧料の皮膜を形成しやすい。
また、上記(2)の構成によれば、界面活性剤として機能するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が50以下であるので、適度な界面活性作用が得られる、あるいは、比較的容易に入手可能である。
【0115】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が20以上35以下である。
【0116】
上記(3)の構成によれば、界面活性剤として機能するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が20以上であるので、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの親水部分の親水性がより高い。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子の肌及び塗布具との親和性がより良好なものとなるため、肌及び塗布具の表面において液体化粧料の皮膜をより形成しやすい。
また、上記(3)の構成によれば、界面活性剤として機能するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が35以下であるので、適度な界面活性作用が得られる、あるいは、比較的容易に入手可能である。
【0117】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が30である。
【0118】
上記(4)の構成によれば、界面活性剤として機能するポリオキシエチレンアルキルエーテルの酸化エチレン平均付加モル数が30であるので、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの親水部分の親水性がより高い。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子の肌及び塗布具との親和性がより良好なものとなるため、肌及び塗布具の表面において液体化粧料の皮膜をより形成しやすい。
【0119】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係る塗布具(100)は、
合成樹脂を含むブラシ材料から形成されたブラシ部(6)と、
上記(1)乃至(4)の何れか一項に記載の液体化粧料を収容する液体収容部(2)と、を備え、
前記液体収容部からの前記液体化粧料が前記ブラシ部に供給されるように構成される。
【0120】
上記(5)の構成によれば、塗布具のブラシ部には、上記(1)~(4)の何れかの液体化粧料が供給される。よって、該塗布具を用いた液体化粧料の肌への塗布時にブラシ、液体化粧料及び肌との間で生じる摩擦による摩擦エネルギーが、上記(1)で述べたように、エマルション粒子間におけるクラックの生成や、エマルション粒子の転動により消費される。このため、塗布時における摩擦による肌及びブラシ部(塗布具)へのダメージ(摩耗等)を効果的に抑制することができる。
【0121】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記ブラシ材料の吸水率が0.5%以上10.0%以下である。
【0122】
上記(6)の構成によれば、ブラシ材料の吸水率が0.5%以上であるので、ブラシ材料と界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の親水部分との親和性が良好である。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子と塗布具のブラシ部との親和性が良好なものとなるため、塗布具のブラシ部の表面において液体化粧料の皮膜が形成されやすい。
また、上記(6)の構成によれば、ブラシ材料の吸水率が10.0%以下であるので、ブラシ材料の硬さ(コシ)が失われ難い。したがって、塗布具を用いて液体化粧料を塗布するときの使用感が悪化し難い。
【0123】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記ブラシ材料の吸水率が1.0%以上4.0%以下である。
【0124】
上記(7)の構成によれば、ブラシ材料の吸水率が1.0%以上であるので、ブラシ材料と界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の親水部分との親和性がより良好である。このため、液体化粧料中においてポリオキシエチレンアルキルエーテルが吸着したエマルション粒子と塗布具のブラシ部との親和性がより良好なものとなるため、塗布具のブラシ部の表面において液体化粧料の皮膜がより形成されやすい。
また、上記(7)の構成によれば、ブラシ材料の吸水率が4.0%以下であるので、ブラシ材料の硬さ(コシ)がより失われ難い。したがって、塗布具を用いて液体化粧料を塗布するときの使用感がより悪化し難い。
【0125】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0126】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。