(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101300
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】犬用歯ブラシ及び犬用歯ブラシシステム
(51)【国際特許分類】
A46B 9/04 20060101AFI20230712BHJP
A01K 13/00 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A46B9/04
A01K13/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001864
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】522011388
【氏名又は名称】岩瀬 由季子
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 由季子
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA40
3B202DB01
3B202DB04
3B202EF01
(57)【要約】
【課題】山形のブラシ先端が犬の上顎、下顎に配置される犬歯の配列に適応してフィットさせることができるのと同時に、角が当たることを極力抑えて痛みや不快感を押させることでストレスなく網羅的に歯全体を操作性よくブラッシングすること。
【解決手段】犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、毛束が植毛されるヘッド部53と、ヘッド部53と一体となるネック部54と、ネック部54と一体となるハンドル部52とを備え、毛束の形状は、ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第1の山形41とし、かつ、ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形42とし、さらに、ヘッド部53に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、第1の山形41と、前記第2の山形42に対して植毛する構成を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、
毛束が植毛されるヘッド部と、前記ヘッド部から延びるネック部と、前記ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成され、
前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、
さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛したことを特徴とする犬用歯ブラシ。
【請求項2】
犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、
毛束が植毛されるヘッド部と、前記ヘッド部から延びるネック部と、前記ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成され、
前記毛束の形状は、
前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向う曲線であって、犬の顎形状に沿って生え揃う歯列が形成する曲線の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、
さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛したことを特徴とする犬用歯ブラシ。
【請求項3】
前記ヘッド部に植毛された毛束の先端形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向う峰曲線であることを特徴とする請求項1または2に記載の犬用歯ブラシ。
【請求項4】
前記ネック部と、前記ハンドル部とは着脱自在に構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の犬用歯ブラシ。
【請求項5】
前記ヘッド部は、
前記ヘッド部の縁に沿うガイドと、前記ガイドの中央部に人差し指が挿通する所定幅のアーチとが一体となるキャッチャを装着可能とすることを特徴とする請求項1に記載の記載の犬用歯ブラシ。
【請求項6】
犬の口腔内の歯列をブラッシングするための第1の犬用歯ブラシと、第2の犬用歯ブラシとを有する犬用歯ブラシシステムであって、
前記第1の犬用歯ブラシは、
毛束が植毛される第1のヘッド部と、前記第1のヘッド部から延びるネック部と、前記第1のネック部から延びる第1のハンドル部とが一体に形成され、
前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、
さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛し、
第2の犬用歯ブラシは、
毛束が植毛される第2のヘッド部と、前記第2のヘッド部から延びるネック部と、前記第2のネック部から延びる第2のハンドル部とが一体に形成され、
前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって前記所定の曲率よりも大きい曲率をもって降下する第3の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第4の山形とし、
さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第3の山形と、前記第4の山形に対して植毛したことを特徴とする犬用歯ブラシシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、犬用歯ブラシ及び犬用歯ブラシシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ペットとして犬を飼う飼育者は、ペットの食欲に応じて与える餌の質や、量をコントロールして肥満な体形とならないように健康管理を行っている。
【0003】
特に、生後数か月経過後、歯磨き習慣を取り入れている飼育者も年々増えている。その際、飼育者は、市販されるペット用の歯ブラシをペットショップやネット販売で様々な犬種に応じて適切なサイズの歯ブラシ購入する必要がある。
【0004】
ここで、ペット用歯ブラシとして、下記特許文献1には、歯磨きと、歯垢除去を兼ね備えるものが開示されている。
【0005】
さらに、ペット用でなく人間が使用する歯ブラシも様々な形状のものが実用化されている(特許文献2)。
【0006】
ところで、インターネット上のいくつかのメディアを散見してみると、犬の歯磨く習慣について、以下のようなコメントが公開されている。
「飼育者の9割以上が、犬に対してお家でのデンタルケアの必要性を感じている実状が報告されている。
例えば歯磨きを兼ねるおやつを利用するケア、歯ブラシを利用するケア、歯磨きシート、手袋、ガーゼによるケア、指ブラシによるケア、サプリメントによるケアが挙げられている。
これらのコメントから伺えることは、歯磨きを兼ねるおやつを利用するケアが約半数を占め、歯ブラシを利用するケア、歯磨きシート、手袋、ガーゼによるケアが約3割を占め、指ブラシによるケアが約1割を占めているということである。」
【0007】
このような統計によれば、9割以上の飼育者が愛犬に対してお家でのデンタルケアの必要性を感じており、しかも複数種類を組み合わせながらデンタルケアを行う飼育者も多いということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-231968号公報
【特許文献2】特開2008-302164号公報
【0009】
犬の下顎と、上顎とに配置される歯列は、人間の歯列とは異なり、先端部が狭く、奥歯に広がり、かつ、一番長い犬歯を基準として、内側から外側に湾曲する歯列形状となる上顎と、一番長い犬歯を基準として、5番目の歯までなだらかに広がり、第5番目の歯から奥歯ではやや内側による歯列となる特徴を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記犬歯の特徴的な形状として配置される各歯を磨くためには、飼育者が愛犬に対しておやつを与えるなどしながら、ブラッシングを繰り返しているが磨き残しが発生してしまうことも多い。
【0011】
一方、飼育者は、できるだけ1本の歯ブラシですべての犬歯を磨き残しなくブラッシングしたいと考えるが、市販されている歯ブラシはその条件を満たしていない。
【0012】
また、愛犬家も歯磨き習慣が大事であると認識しているが、犬種や飼育者による習慣にもよるが歯ブラシによるブラッシングを好むまで習慣づけている愛犬家は別として、通常の飼育者は、歯ブラシ以外のツールを使用することも多い。
【0013】
一方、愛犬家によれば、適切な形状の歯ブラシを採用して不快感を除去できれば、歯ブラシによる歯磨き習慣が定着するという意見もあり、歯磨き習慣を継続することにより、愛犬の長期的な健康維持に貢献できるともいわれている。
【0014】
また、動画等で紹介される犬の歯ブラシの経路は、あまりにも直線的に実行されており、その磨き経路と、歯ブラシの歯茎への当接とがあまりにも乖離しているため、ほとんどの飼い犬は、歯ブラシを視るだけで顔を背けてしまうことも多い。
【0015】
特に、市販されている歯ブラシの形状は、トップが平面となるように毛が植毛されている。
【0016】
しかし、実際の歯磨きでは、歯は顔の皮膚に覆われているため、歯の外側面に垂直に当てることは困難であり、出来たとしても、飼育者の腕や手首の角度を慎重に選ばないと、愛犬の歯全体を磨き残しなくきれいにブラッシングすることは困難であった。
【0017】
同様に、愛犬の歯の内側を磨く場合でも、歯を上下に開けて口を開いても、歯の模型のように180度開口しないため、やはり平らな歯ブラシ面では、各歯に対するブラシ先端の当接感がばらついて、磨き残しなくきれいにブラッシングすることは困難であった。
【0018】
しかも、上記統計によれば、飼育者は愛犬に対するデンタルケアとして、安易に歯磨きガムによるケアをメインに捉えて、補足的に他のデンタルケアを採用している。
【0019】
具体的には、愛犬の口の開度は、180度とはならないので、少なからず斜めに歯ブラシを当てることにならざるを得ない状況の中、やはり毛先が平らなブラシ面では、歯表面との密着を増やそうとすれば、ブラシ天面を歯表面に無理に押し付けることになり、その結果、平面形状の角の部分が口腔内歯肉や歯茎部に無理に強く当たることとなる。その結果、歯磨き自体を嫌がるようになり、歯磨きすること自体の困難を飼育者に与えることとなる。
【0020】
このように、多くの飼育者は、愛犬の歯磨き習慣が大切であることは認識しているが、手間のかからないガムなどによるデンタルケアで、磨いたことにしている。
【0021】
しかしながら、実際にはガムのみのデンタルケアでは愛犬の口腔内の健康が保たれることはないと思われ、デンタルケアの効果が高い飼育者による歯磨きは手間がかかり、愛犬の口腔内を傷つけてしまうのではないかという恐れから、採用割合が低く、愛犬の口腔衛生環境は未だ整備されていないのが実情である。
【0022】
本出願人は、上記知見に鑑み、愛犬の歯磨き習慣を推進する上で、従来の犬用歯ブラシの基台に植毛されるブラシの形状について思考錯誤を繰り返し、愛犬にとっても、飼育者にとっても犬の口腔衛生環境に貢献できる犬用歯ブラシ及び犬用歯ブラシシステムを提供するものである。
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、山形のブラシ先端が犬の上顎、下顎に配置される犬歯の配列に適応してフィットさせることができるのと同時に、角が当たることを極力抑えて痛みや不快感を押させることでストレスなく網羅的に歯全体を操作性よくブラッシングできる犬用歯ブラシ及び犬用歯ブラシシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記目的を達成する本発明の犬用歯ブラシは以下に示す構成を備える。
犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、毛束が植毛されるヘッド部と、前記ヘッドから延びるネック部と、前記ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成され、前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、山形のブラシ先端が犬の上顎、下顎に配置される犬歯の配列に適応してフィットさせてストレスなく網羅的に歯全体を操作性よくブラッシングできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は、本発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【
図1】本発明を適用する犬の歯並びを説明する平面図。
【
図2】(a)は本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す側断面図。(b)は本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す側断面図。
【
図3】
図2に示した第1の歯ブラシと、第2の歯ブラシとによる磨き分けを説明する図。
【
図4】(a)は
図2に示した歯ブラシの植毛状態を示す断面図。(b)は
図2に示した歯ブラシの植毛状態を示す断面図。(c)は
図2に示した歯ブラシの植毛状態を示す斜視図。
【
図5】本実施形態を示す本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す構造を示す斜視図。
【
図6】本実施形態を示す本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す構造を示す斜視図。
【
図7】(a)は
図2に示した歯ブラシの植毛状態を示す断面図。(b)は
図2に示した歯ブラシの植毛状態を示す断面図。(c)は
図2に示した歯ブラシの植毛状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
下記の実施の形態は、犬用歯ブラシに関し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
【0028】
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本発明を適用する犬の歯並びを説明する平面図である。
図1において、1は上顎の歯並びで、成犬の永久歯の本数は、上顎に切歯(6本)+犬歯(2本)+前臼歯(8本)+後臼歯(4本)=20本。下顎に切歯(6本)+犬歯(2本)+前臼歯(8本)+後臼歯(6本)=22本。これにより、全体としては合計42本の歯が歯肉から生えそろっているのが通例である。
【0029】
また、成犬の歯列の形状は、複雑に湾曲するという特徴を有している。
【0030】
図2は、本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す側断面図である。なお、本実施形態では、犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、毛束が植毛されるヘッド部と、ヘッド部から延びるネック部と、ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成された構造を備える。
【0031】
図2の(a)は第1の歯ブラシを示し、
図2の(b)は第2の歯ブラシを示す。ここで、第1の歯ブラシは、第2の歯ブラシよりも山切の形状が緩やかな曲線に沿うように植毛されている。なお、植毛する毛の材料は、人工毛(ナイロン、ポリエステル等)、天然毛(豚毛、馬毛等)等があるが、毛の太さを均一として植毛してもよく、毛の太さを不均一として、山形のトップに細く、丘陵に向かって太くするような植毛としてもよい。
【0032】
これにより、犬の歯肉に接触する先端のフィット感が和らぐとともに、歯磨き習慣により使用回数が増加しても山形の形状が損なわれてしまうことを防止できる。
【0033】
図3は、
図2に示した第1の歯ブラシと、第2の歯ブラシとによる磨き分けを説明する図であり、歯列は
図1に示した歯列と同一のものである。
【0034】
図3において、21は第1の歯ブラシのヘッド部を示し、22は第2の歯ブラシのヘッド部を示す。
【0035】
飼い主は、飼育する犬とのコミュニケーションをとって、リラックスした状態において、呼びかけと次に始める動作を愛犬に行う。
【0036】
本実施形態示す犬の口腔内に湾曲して生え揃う歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシは、毛束が植毛されるヘッド部と、ヘッド部から延びるネック部と、ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成されている。
【0037】
また、犬用歯ブラシは、毛束の形状は、ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向う曲線であって、犬の顎形状に沿って生え揃う歯列が形成する曲線の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛している。ここで、ランダムとは、長い毛と短い毛の毛先の長さが例えば3.1mm~4.1mmの範囲内で不揃い(不均一)であるものとするが、毛先の長さの差は、これに限定されることはない。
【0038】
また、ヘッド部に対する植毛態様(パターン)は、等間隔の縦列、横列の配置構成としてもよいし、植毛態様自体がランダムとなる配置構成としてもよい。
【0039】
より具体的には、植毛されるヘッド部21、22の先端部aから後端部bに向かって、犬の顎形状(
図1参照)に沿って生え揃う歯列が形成する曲線の一部を歯列の外側から近接する形状に毛束が植わり、かつ、先端部aから後端部bに向う毛束の中心を基準として左右側にやや尖った山形(
図4参照)に毛束が植わり、該毛束を構成する各毛の長さを不均一となるように植わっている植毛部として構成する第1のヘッド部21,第2のヘッド部22と、ネック部と、ハンドル部と、を備える。
【0040】
特に、植毛された第1のヘッド部21,第2のヘッド部22は、植毛されるヘッド部21,22の先端部aから後端部bに向かって、犬の顎形状に沿って生え揃う歯列が形成する曲率が異なる曲線の一部を歯列の外側から近接する形状に毛束が植わり、かつ、先端部から後端部に向う毛束の中心を基準として左右側にやや尖った山形に毛束が植わり、該毛束を構成する各毛の長さをランダム(不均一)となるように植わっている。
【0041】
なお、本例では、
図2の(a)に示す第1のヘッド部21の曲率半径は、
図2の(b)に示す第2のヘッド部22の曲率半径よりもやや大きい場合を示す。
【0042】
ここで、
図2の(a)に示す第1のヘッド部21の曲率半径と、
図2の(b)に示す第2のヘッド部22の曲率半径は、犬種、小型犬、中型犬、大型犬でそれぞれ特徴的なサイズとなるようにバリエーションを揃えることで、いずれの犬種、小型犬、中型犬、大型犬にも対応した歯ブラシを提供することができる。
【0043】
〔上顎磨き〕
まず、飼い主は、左手の人差し指を犬歯T1または犬歯T2に差し込み、上顎と下顎が開くように調整する。次に、
図3に示す歯列22-1~22-5の箇所に、例えば歯肉と歯との角度が、約45度で軽くヘッド部22を当接して、やさしくブラッシングする。ここで、
図3に示す歯列22-1~22-5のブラッシングが終了したら、ちょっとおやつを与え歯磨きに対して愛犬を褒めてあげる。
【0044】
次に、
図3に示す歯21-1、21-2の箇所に、例えば歯肉と歯との角度が、約45度で軽くヘッド部21を当接して、やさしくブラッシングする。ここで、
図3に示す歯21-1、21-2のブラッシングが終了したら、ちょっとおやつを与え歯磨きに対して愛犬を褒めてあげる。
【0045】
〔下顎磨き〕
まず、飼い主は、左手の人差し指を犬歯T3または犬歯T4に差し込み、上顎と上顎が開くように調整する。次に、
図3に示す歯列22-6~22-12の箇所に、例えば歯肉と歯との角度が、約45度で軽くヘッド部22を当接して、やさしくブラッシングする。ここで、
図3に示す歯列22-6~22-12のブラッシングが終了したら、ちょっとおやつを与え歯磨きに対して愛犬を褒めてあげる。
【0046】
次に、
図3に示す歯21-3、21-4の箇所に、例えば歯肉と歯との角度が、約45度で軽くヘッド部21を当接して、やさしくブラッシングする。ここで、
図3に示す歯21-3、21-4のブラッシングが終了したら、ちょっとおやつを与え歯磨きに対して愛犬を褒めてあげる。
【0047】
図4は、
図2に示したヘッド部21、22の植毛状態を示す断面図である。
(a)は歯ブラシを短手方向の断面形状を示し、(b)は歯ブラシを長手方向の断面形状を示し、(c)はブラシを構成する毛の長さを示す。
【0048】
本実施形態に示す歯ブラシの形状は、上下サイド、側面サイド、両面とも、山形としている。
【0049】
図4に示すようにヘッド部41、42、43の形状は、従来の歯ブラシが採用する平らな面を形成するように植毛していないので、つまり山形でトップに凸部が形成されるように植毛されている。なお、基台部分の材料は、後述する
図6に示す構造を備える場合には、弾性を有する弾性材料、例えばラバー素材や軟質プラスチック素材で構成してもよい。
【0050】
本実施形態では、
図4の(c)に示すように、ブラシの1本1本の毛の長さは、ランダムで短調を持たせ、極力本数を多く密集させて植毛している。また、毛の素材は、柔らかめとし、1本1本の歯に絡みつくように接触できる構造としている。
【0051】
これにより、ブラッシング時に、食べかす等を効率よく掻き出し、かつ、歯垢をも除去できる。
【0052】
また、犬の口腔内において、歯ブラシがブラッシングにより移動すると、頬の肉に当たり、不快感を示す場合が多い。
【0053】
これに対して、本実施形態に示す歯ブラシの形状により、歯ブラシと歯との接触感が程よく絡み合うため、ストレスなく網羅的に歯にブラシが当接する。これにより、愛犬に対して、より良い歯磨きとその習慣が身に付き易くなる。
【0054】
〔第1の実施形態の効果〕
本実施形態によれば、毛の長さがランダムで植毛される毛先が尖ったエッジを形成する山形のブラシ先端が犬の上顎、下顎に配置される犬歯の配列に適応してフィットさせることができるのと同時に、角が当たることを極力抑えて痛みや不快感を押させることでストレスなく網羅的に歯全体を操作性よくブラッシングできる。
【0055】
〔第2実施形態〕
図5は、本実施形態を示す本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す構造を示す斜視図である。
【0056】
図5において、51は歯ブラシで、本体部52と、ブラシ部53が縦方向に着脱自在に構成されている。
【0057】
54は弾性部で、例えば人差し指の第2関節を起点として、歯ブラシの先端部を上下方向に曲げたり、起こしたりすることができる。
【0058】
これにより、愛犬の口腔内で歯ブラシの先端と、歯との当接角度を、例えば45度として、おり歯垢を掻き出すことができる。
【0059】
これにより、2本の歯ブラシをあらかじめ購入する必要はなく、ブラシ部を交換するだけで、小型犬、中型犬、大型犬のすべてのサイズに合わせたブラッシングを1つのブラシ本体部で賄うことができる。
【0060】
〔第2の実施形態の効果〕
本実施形態によれば、1つの歯ブラシ本体に小型犬、中型犬、大型犬に合わせたブラシ部を着脱して、犬の成長や顎のサイズが変化しても適正サイズのブライス部を用いて愛犬に対する歯磨きを行うことができ経済性も高い。
【0061】
〔第3実施形態〕
図6は、本実施形態を示す本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す構造を示す斜視図である。
【0062】
図6において、61はリング部で、ヘッド部に対して一体成型され、飼育者の利き手の人差し指または中指が挿通可能に構成されている。なお、
図5に示したように、本実施形態に示す犬用歯ブラシのヘッド部は、本体部から着脱可能に構成されているため、飼育者は、ブラッシングの際、ヘッド部のリング部に人差し指、又は中指が挿通する。これにより、指先の一部となる歯ブラシを犬の口腔内で操作可能な状態となる。
【0063】
これにより、歯ブラシの直線性により、歯ブラシ先端を愛犬の口腔内を自由に取り回すことができ、磨き残しとなるような位置の歯(特に前歯周辺であって、犬歯が好例)をもきれいにブラッシングすることができる。
【0064】
また、飼育者の指を直接使用するため、臭覚に敏感な飼い犬にとって、馴染みの強い飼育者の指先の匂いが強い口腔環境を整えることで、口腔内におけるブラッシングに対する愛犬の嫌悪感をも和らげることができる。
【0065】
〔第3の実施形態の効果〕
本実施形態によれば、第2実施形態に示した歯ブラシの先端部を利用し、かつ、愛犬の口腔内であって、前歯周辺の歯垢をきれい、かつ、丁寧に掻き出し、歯周病が原因とする体調不良を予防することができる。
【0066】
〔第4実施形態〕
第1~第3の実施形態では、1つの犬用歯ブラシの構成について説明したが、上述した大小異なる顎の湾曲形状に適応させるため、
図2の(a)、(b)に示した犬用歯ブラシを、1組の犬用歯ブラシシステムとして構成してもよい。
【0067】
具体的には、犬の口腔内に湾曲して生え揃う歯列をブラッシングするための第1の犬用歯ブラシと、第2の犬用歯ブラシとを備える犬用の歯ブラシシステムであって、第1の犬用歯ブラシ(ヘッド部21)は、植毛される基台の先端部から後端部に向かって、犬の顎形状に沿って生え揃う歯列が形成する第1の曲線C1の一部を前記歯列の外側から近接する形状に毛束が植わり、かつ、先端部aから後端部bに向う毛束の中心を基準として左右側にやや尖った山形に毛束が植わり、該毛束を構成する各毛の長さを不均一となるように植わっている第1の植毛部として構成する第1のヘッド部21,第2のヘッド部22と、これに一体となるネック部と、ハンドル部と、を備える。
【0068】
第2の犬用歯ブラシ(ヘッド部22)は、植毛される基台の先端部から後端部に向かって、犬の顎形状に沿って生え揃う歯列が形成する第2の曲線C2の一部を前記歯列の外側から近接する形状に毛束が植わり、かつ、先端部aから後端部bに向う毛束の中心を基準として左右側にやや尖った山形に毛束が植わり、該毛束を構成する各毛の長さを不均一となるように植わっている第2の植毛部と第2のヘッド部22と、これに一体となるネック部と、ハンドル部と、を備える。
【0069】
なお、第1の曲線C1と、第2の曲線C2とは、それぞれ曲率半径が異なる構成としている。
【0070】
〔第4の実施形態の効果〕
本実施形態によれば、第1のヘッド部21,第2のヘッド部22をそれぞれ購入して取り揃えるか、組合せて販売されるシステムを購入することで、犬の口腔内に湾曲して生え揃う歯列を一定のフィット感をもって犬の口腔内の歯列全体の隅々をブラッシングすることができるため、犬の歯周病対策が向上し、犬の寿命そのものを延命することも可能となる。
【0071】
〔第5の実施形態〕
なお、
図4に示したヘッド部の毛束は、平面に対して鉛直方向に植毛する例を示したが、植毛する縦列の奇数番目の毛を植毛する際に、頂上方向に倒れ込むように斜めに方向に直毛する構成を採用してもよい。
【0072】
〔第5の実施形態の効果〕
本実施形態によれば、歯ブラシの使用状態により、頂上側の毛先の形状がよれてしまうことを防止することができる。
【0073】
なお、上記各実施形態では、植毛する毛質について言及していないが、市販される歯ブラシのジャンルでいえば、柔らかに属し、動物の毛や、人口毛が採用される。
【0074】
〔第6実施形態〕
図7は、本実施形態を示す本実施形態を示す犬用歯ブラシの構成を示す構造を示す図である。本例は、
図2に示したヘッド部21、22の植毛状態を示す図である。
【0075】
(a)は歯ブラシを短手方向の断面形状を示し、(b)は歯ブラシを長手方向の断面形状を示し、(c)はブラシを構成する毛の長さを示す。
【0076】
本実施形態に示す歯ブラシの形状は、上下サイド、側面サイド、両面とも、山形としている。
図4に示した先細る植毛状態とはことなり、毛先のトップ面はなだらかな山形となる構造を特徴とする。
【0077】
図7の(a)~(c)に示すようにヘッド部71、72、73の形状は、従来の歯ブラシが採用する平らな面を形成するように植毛していないので、本実施形態に示す犬用の歯ブラシは、縦方向の形状が山形でトップに向かって凸部となるように植毛され、横方向の形状が中央部よりで、外側に向かってなだらかに毛の長さが短くなる形状である。なお、基台部分の材料は、後述する
図6に示す構造を備える場合には、弾性を有する弾性材料、例えばラバー素材や軟質プラスチック素材で構成してもよい。
【0078】
本実施形態では、
図7の(c)に示すように、ブラシの1本1本の毛の長さは、ランダムで短調を持たせ、極力本数を多く密集させて植毛している。また、毛の素材は、柔らかめとし、1本1本の歯に絡みつくように接触できる構造としている。
【0079】
これにより、ブラッシング時に、食べかす等を効率よく掻き出し、かつ、歯垢をも除去できる。
【0080】
また、犬の口腔内において、歯ブラシがブラッシングにより移動すると、頬の肉に当たり、不快感を示す場合が多い。
【0081】
なお、
図7に示す犬用の歯ブラシについても先端部から着脱可能とする構成としてもよい。
【0082】
さらに、
図4に示す犬用の歯ブラシの先端部と、
図7に示す犬用の歯ブラシの先端部が同一の柄に対して一対となるように形成し、飼育者が適宜に持ち替えながら、2種類の歯ブラシを使用して犬歯の歯列に応じてブラッシングを行えるように構成してもよい。
【0083】
〔第6の実施形態の効果〕
本実施形態によれば、小型犬から大型犬にいたる歯列構造の異なる犬にたいして、ブラッシング時に犬から受けるリアクションを観察しながら、効率よく歯磨きを完了することができる。
【0084】
また、犬が食べた食事臭覚、特に献立(餌(固い、柔らかい))に応じて形成されてしまう歯垢を確実に除去することができる。
【0085】
これにより、飼育者は、犬に対して正しい歯磨き習慣を身に着けさせることで、愛犬の長寿命化にも十分に貢献できる。
【0086】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0087】
本実施形態では、犬用歯ブラシについて説明したが、歯ブラシのサイズを変更することで、他の動物、例えば猫、牛、豚、ジャイアントパンダ、鹿等にも適用可能である。
【0088】
以上の記載した本発明に関する開示は、少なくとも下記事項に要約することができる。
犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、毛束が植毛されるヘッド部と、前記ヘッド部から延びるネック部と、前記ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成され、前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛したことを特徴とする。
【0089】
上記本発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。
(1)犬の口腔内の歯列をブラッシングするための犬用歯ブラシであって、毛束が植毛されるヘッド部と、前記ヘッド部から延びるネック部と、前記ネック部から延びるハンドル部とが一体に形成され、前記毛束の形状は、前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向う曲線であって、犬の顎形状に沿って生え揃う歯列が形成する曲線の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛したことを特徴とする。
【0090】
(2)前記ヘッド部に植毛された毛束の先端形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向う峰曲線であることを特徴とする。
【0091】
(3)前記ネック部と、前記ハンドル部とは着脱自在に構成したことを特徴とする。
【0092】
(4)前記ヘッド部は、前記ヘッド部の縁に沿うガイドと、前記ガイドの中央部に人差し指が挿通する所定幅のアーチとが一体となるキャッチャを装着可能とすることを特徴とする。
【0093】
(5)犬の口腔内の歯列をブラッシングするための第1の犬用歯ブラシと、第2の犬用歯ブラシとを有する犬用歯ブラシシステムであって、前記第1の犬用歯ブラシは、毛束が植毛される第1のヘッド部と、前記第1のヘッド部から延びるネック部と、前記第1のネック部から延びる第1のハンドル部とが一体に形成され、前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第1の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第2の山形とし、さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第1の山形と、前記第2の山形に対して植毛し、第2の犬用歯ブラシは、毛束が植毛される第2のヘッド部と、前記第2のヘッド部から延びるネック部と、前記第2のネック部から延びる第2のハンドル部とが一体に形成され、前記毛束の形状は、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、上端側方向および下端側方向に向かって所定の曲率をもって降下する第3の山形とし、かつ、前記ヘッド部の上下方向の中心位置を頂点として、左端側方向および右端方向に向かって鋭角に降下する第4の山形とし、さらに、前記ヘッド部に対して、隣接する毛の長さがランダムとなるように、前記第3の山形と、前記第4の山形に対して植毛したことを特徴とする。
【産業上の利用可能性】
【0094】
上記実施形態では、飼育者の愛犬に対する犬用歯ブラシについて説明したが、愛犬に限らず、歯列を揃えるペットにも適用可能であり、さらには、幼児の歯磨き始めにも適用可能である。
【符号の説明】
【0095】
21 ヘッド部
22 ネック柄
23 ホールド部