特開 2023-101308 ポンプの構造体

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023101308

(43)【公開日】2023-07-20

(54)【発明の名称】ポンプの構造体

(51)【国際特許分類】

   F04B 43/02 20060101AFI20230712BHJP

   H02N 2/04 20060101ALI20230712BHJP

   H10N 30/20 20230101ALI20230712BHJP

【ＦＩ】

F04B43/02 C

H02N2/04

H01L41/09

F04B43/02 B

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022001872

(22)【出願日】2022-01-07

(71)【出願人】

【識別番号】521515735

【氏名又は名称】ＭＭＩセミコンダクター株式会社

(71)【出願人】

【識別番号】503246015

【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002860

【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】内田 雄喜

(72)【発明者】

【氏名】西岡 孝哲

(72)【発明者】

【氏名】東狐 義秀

(72)【発明者】

【氏名】佐野 佳彦

【テーマコード（参考）】

3H077

5H681

【Ｆターム（参考）】

3H077CC02

3H077CC09

3H077DD06

3H077EE02

3H077EE36

3H077FF07

3H077FF09

3H077FF36

5H681AA19

5H681DD15

5H681DD23

5H681EE10

(57)【要約】

【課題】板状の圧電アクチュエータが屈曲振動することで流体を圧送するポンプの特性向上および該ポンプの小型化を実現可能にする技術を提供する。
【解決手段】本開示の一側面に係るポンプの構造体は、屈曲振動可能なアクチュエータと、アクチュエータを囲むように設けられる固定部と、固定部とアクチュエータとに一体に設けられることで固定部とアクチュエータとを接続し、アクチュエータを固定部に対して屈曲振動を可能に支持する支持部と、を備え、アクチュエータと固定部とは相似形状ではなく、支持部は、板面においてアクチュエータの中心点を通る仮想線を引いた場合に、中心点から仮想線と交差する固定部の外形までの距離と、中心点から仮想線と交差するアクチュエータの外形までの距離と、の差が最大となる場所に設けられ、支持部は、該支持部をアクチュエータの外形に沿って重畳可能な折り返し部を有する。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

板状であり、圧電効果を有する素子の作用により板面が屈曲振動可能なアクチュエータと、
前記板面方向において、前記アクチュエータの外形から所定の間隔を空けて前記アクチュエータを囲むように設けられる固定部と、
前記固定部と前記アクチュエータとに一体に設けられることで前記固定部と前記アクチュエータとを接続し、前記アクチュエータを前記固定部に対して前記屈曲振動を可能に支持する支持部と、を備え、
前記アクチュエータと前記固定部とは相似形状ではなく、
前記支持部は、前記板面において前記アクチュエータの中心点を通る仮想線を引いた場合に、前記中心点から前記仮想線と交差する前記固定部の外形までの距離と、前記中心点から前記仮想線と交差する前記アクチュエータの外形までの距離と、の差が最大となる場所に設けられ、
前記支持部は、該支持部を前記アクチュエータの外形に沿って重畳可能な折り返し部を有する、
ポンプの構造体。

【請求項2】

前記支持部は、
前記アクチュエータと接続される第１端部と、
前記固定部と接続される第２端部と、を有し、
前記第１端部および前記第２端部は、それぞれ一つずつであり、
前記第１端部および前記第２端部は、前記仮想線上に並ぶ、
請求項１に記載のポンプの構造体。

【請求項3】

前記支持部は、前記仮想線に対して対称に設けられる、
請求項２に記載のポンプの構造体。

【請求項4】

前記支持部は、前記仮想線を中心線とした場合に、前記中心線によって分割された領域のうちの一方の領域に設けられる、
請求項２に記載のポンプの構造体。

【請求項5】

前記支持部は、蛇腹状に重畳される、
請求項２に記載のポンプの構造体。

【請求項6】

前記アクチュエータは、円板状であり、
前記固定部の前記板面方向の外形は、矩形状であり、
前記支持部は、前記固定部の四隅に配置される、
請求項１から５のうち何れか一項に記載のポンプの構造体。

【請求項7】

前記支持部には、幅が略一定なスリットが設けられる、
請求項１から６のうち何れか一項に記載のポンプの構造体。

【請求項8】

前記支持部は、前記板面方向と直交する面同士の交わり部分が丸められる、
請求項１から７のうち何れか一項に記載のポンプの構造体。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、ポンプの構造体に関する。

【背景技術】

【0002】

板状の圧電アクチュエータが屈曲振動することで流体を圧送するポンプに関する技術が開発されている（例えば特許文献１－２）。特許文献１－２に開示されるポンプの構造では、圧電アクチュエータの屈曲振動部分が周囲の固定部に対して支持されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】米国特許出願公開第２０１７／２２２１２２号明細書

【特許文献2】特許第５１７７３３１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１－２に開示される構造を有するポンプの特性を向上させる場合、圧電アクチュエータの屈曲振動部分を固定部に対して支持する支持部の長さを増大させることが考えられる。その理由として、支持部の剛性が低下することで圧電アクチュエータの振幅が増大するものと想定されるからである。しかしながらこのような場合、圧電アクチュエータおよび支持部の占有面積が増大し、その結果としてポンプの小型化が困難になることが考えられる。

【0005】

そこで、小型化を実現するために支持部を短い直線形状とし、圧電アクチュエータを支持可能に支持部の剛性を高めることが考えられる。しかしながらこのような場合、圧電アクチュエータの振幅が減少するためポンプの特性は低下する可能性がある。そこで、支持部を薄く加工することが考えられるが、このようにすると加工精度が低下することで剛性が低すぎる支持部が形成される可能性がある。つまり、特許文献１－２に開示される構造を有するポンプは、特性向上と小型化の両立が困難と考えられる。

【0006】

本発明は、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、板状の圧電アクチュエータが屈曲振動することで流体を圧送するポンプの特性向上および該ポンプの小型化の両立を実現可能にする技術を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。

【0008】

すなわち本発明の一側面に係るポンプの構造体は、板状であり、圧電効果を有する素子の作用により板面が屈曲振動可能なアクチュエータと、前記板面方向において、前記アクチュエータの外形から所定の間隔を空けて前記アクチュエータを囲むように設けられる固定部と、前記固定部と前記アクチュエータとに一体に設けられることで前記固定部と前記アクチュエータとを接続し、前記アクチュエータを前記固定部に対して前記屈曲振動を可能に支持する支持部と、を備え、前記アクチュエータと前記固定部とは相似形状ではなく、前記支持部は、前記板面において前記アクチュエータの中心点を通る仮想線を引いた場合に、前記中心点から前記仮想線と交差する前記固定部の外形までの距離と、前記中心点から前記仮想線と交差する前記アクチュエータの外形までの距離と、の差が最大となる場所に設けられ、前記支持部は、該支持部を前記アクチュエータの外形に沿って重畳可能な折り返し部を有する。

【0009】

当該構成によれば、支持部が折り返し部を有することで支持部の全長を長くとることができる。よって、支持部の剛性は軟化し、支持部により支持されるアクチュエータの屈曲振動の振幅は増大する。よって、ポンプ機能は向上する。また、当該構成によれば、支持部の全長を長くとった場合であっても、支持部が折り返されて重畳可能なため支持部の大きさを小型化できる。よって、ポンプの小型化を実現できる。また、当該構成によれば、支持部が設けられる場所は、支持部が仮に存在しない場合に固定部が専有する領域のうち最大となる領域である。よって、当該構成によれば、このような場所に支持部を設けることでスペースを有効活用し、ポンプ全体を小型化していると言える。

【0010】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記支持部は、前記アクチュエータと接続される第１端部と、前記固定部と接続される第２端部と、を有し、前記第１端部および前記第２端部は、それぞれ一つずつであり、前記第１端部および前記第２端部は、前記仮想線上に並んでもよい。

【0011】

当該構成によれば、第１端部および第２端部は、中心点からみて仮想線上に並ぶ。よって、固定部に対してアクチュエータは安定的に支持される。よって、アクチュエータの屈曲振動は安定する。

【0012】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記支持部は、前記仮想線に対して対称に設けられてもよい。

【0013】

当該構成によれば、支持部の構造は仮想線に対して対称な分岐構造となる。よって、支持部はアクチュエータを安定的に支持できる。よって、アクチュエータの屈曲振動は安定する。

【0014】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記支持部は、前記仮想線を中心線とした場合に、前記中心線によって分割された領域のうちの一方の領域に設けられてもよい。

【0015】

当該構成によれば、アクチュエータの外形に沿う支持部の専有領域を小型化できる。よって、ポンプの小型化を実現できる。

【0016】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記支持部は、蛇腹状に重畳されてもよい。

【0017】

当該構成によれば、支持部の全長をより長くとることができる。よって、支持部の剛性は軟化する。よって、支持部により支持されるアクチュエータの屈曲振動の振幅は増大する。よって、ポンプ機能は向上する。また、当該構成によれば、蛇腹状に重畳されるため、支持部の大きさを小型化できる。よって、ポンプの小型化を実現できる。

【0018】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記アクチュエータは、円板状であり、前記固定部の前記板面方向の外形は、矩形状であり、前記支持部は、前記固定部の四隅に配置されてもよい。

【0019】

当該構成によれば、支持部が設けられる場所は、支持部が仮に存在しない場合に固定部が専有する領域のうち最大となる領域である。よって、当該構成によれば、このような場所に支持部を設けることでスペースを有効活用し、ポンプ全体を小型化していると言える。また、この位置に支持部が設けられることでアクチュエータを該アクチュエータの中心点を中心として対称に支持できる。よって、ポンプの小型化およびアクチュエータの屈曲振動の安定化が可能となる。

【0020】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記支持部には、幅が略一定なスリットが設けられてもよい。

【0021】

当該構成によれば、スリットの深さと幅のアスペクト比が略一定となる。よって、スリットをエッチングにより形成する場合に、場所に応じてエッチングレート差が生じることは抑制される。

【0022】

上記一側面に係るポンプの構造体において、前記支持部は、前記板面方向と直交する面同士の交わり部分が丸められてもよい。

【0023】

当該構成によれば、丸められた交わり部分に作用する応力を低減することができる。よって、支持部の破損を抑制できる。また、交わり部分が丸められることで支持部は小型化される。

【発明の効果】

【0024】

本発明によれば、板状の圧電アクチュエータが屈曲振動することで流体を圧送するポンプの特性向上および該ポンプの小型化を実現可能にする技術を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0025】

【図1】図１は、実施形態に係るポンプの概要を例示する。

【図2】図２は、支持部の部分拡大図の一例である。

【図3】図３は、ポンプの動作例の概要を例示する。

【図4】図４は、第１変形例に係る支持部の概要を例示する。

【図5】図５は、第２変形例に係る支持部の概要を例示する。

【図6】図６は、第３変形例に係る支持部の概要を例示する。

【図7】図７は、第４変形例に係るポンプの概要を例示する。

【発明を実施するための形態】

【0026】

§１ 構成例
図１は、本実施形態に係るポンプ１の概要を例示する。図１（Ａ）は、ポンプ１の上面図の概要を例示する。図１（Ｂ）は、図１（Ａ）におけるＡ－Ａ断面図の概要である。図１（Ａ）および図１（Ｂ）に示されるようにポンプ１には円板状の圧電素子２が設けられる。圧電素子２は、電圧が印加されることで圧電効果により板面が屈曲振動する。また、圧電素子２の下面には、同じく円板状の振動板３が固定される。振動板３は、例えばＳＯＩ（Ｓｉｌｉｃｏｎ Ｏｎ Ｉｎｓｕｌａｔｏｒ）であり圧電素子２の屈曲振動に追随して振動する。なお、圧電素子２および振動板３は、本開示の「アクチュエータ」の一例である。

【0027】

また、ポンプ１には、振動板３の周囲に配置される固定板４が設けられている。固定板４の形状は矩形状であり、振動板３と同じく例えばＳＯＩである。また、固定板４は、振動板３から板面方向に所定の間隔を空けて設けられる。

【0028】

また、ポンプ１には、振動板３と固定板４との間に支持部５が設けられている。支持部５は、固定板４と振動板３との両方に接続される。そして、支持部５は、固定板４に対して振動板３を支持する。また、支持部５が設けられる場所は、矩形状の固定板４の四隅近傍である。

【0029】

また、図１（Ｂ）に示されるように、ポンプ１には振動板３からＧａｐ１０を空けて可動板９が設けられる。そして、可動板９の下面には基板１１が設けられる。可動板９およ
び基板１１は、振動板３と同じく例えばＳＯＩである。また、可動板９および基板１１の中央には孔１２、孔１３が夫々設けられている。

【0030】

図２は、支持部５の部分拡大図の一例である。図２に示されるように、支持部５は、振動板３との接続部である端部７（本開示の「第１端部」の一例）から分岐し、振動板３の外形に沿って設けられる。そして、分岐した支持部５は、折り返し部６で折り返されることで固定板４との接続部である端部８（本開示の「第２端部」の一例）で一つになる。なお、端部８は、振動板３の中心点と端部７とを結ぶ仮想線の延長線上に設けられる。また、支持部５は、仮想線に対して対称な形状となる。また、このような支持部５には、振動板３の外形と平行にスリット１４が設けられる。スリット１４の幅は略一定である。また、支持部５の板面方向と直交する面同士の交わり部分（例えば部分１５）は丸められている。

【0031】

上記のようなポンプ１は次のような方法で加工される。すなわち、ＳＯＩ部材を用意し、ＳＯＩ部材に対してエッチングや接合に加え、所定の酸化膜を腐食液で腐食除去することで図１に示されるポンプ１の構造が形成される。

【0032】

図３は、ポンプ１の動作例の概要を例示する。圧電素子２（図１参照）に印加される電圧が制御されることで、圧電素子２は面方向に伸長する。すると、図３（Ａ）に示されるように圧電素子２と振動板３との伸長の差により圧電素子２および振動板３は、全体として中央部が上に凸となるように変形する（図３（Ａ）では振動板３のみ表示）。すると、基板１１の孔１３および可動板９の孔１２（図３（Ａ）では孔１２のみ表示）を介いて流体がＧａｐ１０の中央部に吸い込まれる。その後、圧電素子２に印加される電圧が変更されることで、圧電素子２は面方向に収縮する。すると、図３（Ｂ）に示されるように圧電素子２と振動板３との収縮の差により圧電素子２および振動板３は、全体として中央部が下に凸となるように変形する。すると、Ｇａｐ１０の中央部に吸い込まれた流体は、Ｇａｐ１０の図３（Ｂ）でいう両側方向に移動する。このように圧電素子２に印加される電圧が繰り返し制御されることでポンプ機能は実現される。

【0033】

［作用・効果］
上記のようなポンプ１によれば、支持部５に折り返し部６が設けられることで支持部５の全長を長くとることができる。よって、支持部５の剛性は軟化する。よって、支持部５により支持される圧電素子２および振動板３の屈曲振動の振幅は増大する。よって、ポンプ機能は向上する。また、上記のようなポンプ１によれば、支持部５の全長を長くとった場合であっても、支持部５が折り返されて重畳可能なため支持部５の大きさを小型化できる。よって、ポンプ１の小型化を実現できる。また、このようなポンプ１によれば、振動板３のサイズ自体を小さくせずに、ポンプ機能を維持したままポンプ１の小型化を実現できる。

【0034】

また、上記のようなポンプ１によれば、端部７および端部８は、中心点からみて仮想線上に並ぶ。よって、固定板４に対して圧電素子２および振動板３は安定的に支持される。よって、圧電素子２および振動板３の屈曲振動は安定する。

【0035】

また、上記のようなポンプ１によれば、支持部５の構造は端部７および端部８を通る仮想線に対して対称な分岐構造である。よって、支持部５は圧電素子２および振動板３を安定的に支持できる。よって、圧電素子２および振動板３の屈曲振動は安定化する。

【0036】

また、上記のようなポンプ１によれば、支持部５が設けられる固定板４の四隅は、支持部５が仮に存在しない場合に固定板４が専有する領域のうち最大となる領域である。よって、このようなポンプ１によれば、このような場所に支持部を設けることでスペースを有
効活用し、ポンプ１全体を小型化していると言える。また、上記のようなポンプ１によれば、矩形状の固定板４の四隅に支持部５が設けられるため、支持部５は圧電素子２および振動板３を圧電素子２の中心点を中心として対称に支持できる。よって、ポンプ１の小型化および圧電素子２および振動板３の屈曲振動の安定化が可能となる。

【0037】

また、上記のようなポンプ１によれば、支持部５のスリット１４の深さと幅のアスペクト比が略一定となる。よって、スリット１４をエッチングにより形成する場合に場所に応じてエッチングレート差が生じることは抑制される。

【0038】

また、上記のようなポンプ１によれば、支持部５の板面方向と直交する面同士の交わり部分（例えば部分１５）は丸められている。よって、これらの丸められた交わり部分に作用する応力を低減することができる。よって、支持部５の破損を抑制できる。また、交わり部分が丸められることで支持部５は小型化される。

【0039】

§２ 変形例
［変形例１］
図４は、第１変形例に係るポンプ１Ａの支持部５Ａの概要を例示する。支持部５Ａは、振動板３Ａとの接続部である端部７Ａから分岐せず、振動板３Ａの外形に沿って一方向に延在する。そして、支持部５Ａは、折り返し部６Ａで反対方向に折り返され、端部８Ａにおいて固定板４Ａと接続される。また、端部８Ａは、振動板３Ａの中心点と端部７Ａとを結ぶ線分の延長線上に設けられる。つまり、支持部５Ａは、振動板３Ａの中心、端部７Ａ、および端部８Ａを通過する仮想線を中心線とした場合に、中心線よりも図４でいう右側の領域に設けられる。このようなポンプ１Ａによっても実施形態に係るポンプ１と同様の効果を奏する。さらにポンプ１Ａによれば、振動板３Ａの外形に沿う支持部５Ａの専有領域を小型化できる。よって、ポンプ１Ａの小型化を実現できる。

【0040】

［変形例２］
図５は、第２変形例に係るポンプ１Ｂの支持部５Ｂの概要を例示する。支持部５Ｂは、振動板３Ｂとの接続部である端部７Ｂから分岐せず、振動板３Ｂの外形に沿って一方向に延在する。そして、支持部５Ｂは、折り返し部６Ｂ１で反対方向に折り返され、振動板３Ｂの外形に沿って反対方向に延在する。そして、支持部５Ｂは、折り返し部６Ｂ２において再度折り返され、端部８Ｂにおいて固定板４Ｂと接続される。また、端部８Ｂは、振動板３Ｂの中心点と端部７Ｂとを結ぶ線分の延長線上に設けられる。すなわち、支持部５Ｂは、蛇腹状に重畳された形状となる。

【0041】

上記のようなポンプ１Ｂによれば、実施形態に係るポンプ１と同様の効果を奏する。加えて、ポンプ１Ｂは支持部５Ｂの全長をより長くとることができる。よって、支持部５Ｂの剛性は軟化する。よって、支持部５Ｂにより支持される圧電素子２Ｂおよび振動板３Ｂの屈曲振動の振幅は増大する。よって、ポンプ機能は向上する。

【0042】

［変形例３］
図６は、第３変形例に係るポンプ１Ｃの支持部５Ｃの概要を例示する。支持部５Ｃは、実施形態の支持部５と同様の構造である。しかしながら、支持部５Ｃの配置場所は、固定板４Ｃの四隅のうち、対角線上に存在する二つの隅の近傍である。このようなポンプ１Ｃによっても実施形態に係るポンプ１と同様の効果を奏する。さらにポンプ１Ｃによれば、支持部５Ｃの専有面積を削減できる。よって、ポンプ１Ｃをより小型化できる。

【0043】

［変形例４］
図７は、第４変形例に係るポンプ１Ｄの概要を例示する。ポンプ１Ｄの固定板４Ｄの形状は、実施形態に係るポンプ１の固定板４のように矩形状ではなく、多角形状である。そ
して、支持部５Ｄの配置場所は、振動板３Ｄの中心点を通る仮想線を引いた場合に、中心点から仮想線と交差する固定板４Ｄまでの距離と、中心点から仮想線と交差する振動板３Ｄの外形までの距離と、の差が最大となる部位に設けられている。このようなポンプ１Ｄによっても実施形態に係るポンプ１と同様の効果を奏する。

【0044】

［その他変形例］
支持部５と振動板３との接続部である端部７および支持部５と固定板４との接続部である端部８は複数であってもよい。また、端部７と端部８とは振動板３の中心点を通る仮想線上に配置されていなくともよい。また、振動板３と固定板４の形状は上記の例に限定されず相似形状でなければよい。また、支持部５のスリット１４の幅は略一定でなくともよい。また、支持部５の部分１５等（図２参照）には丸みはつけられていなくともよい。

【0045】

以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせる事ができる。

【符号の説明】

【0046】

１ ：ポンプ
２ ：圧電素子
３ ：振動板
４ ：固定板
５ ：支持部
６ ：折り返し部
７ ：端部
８ ：端部
９ ：可動板
１１ ：基板
１２ ：孔
１３ ：孔
１４ ：スリット
１５ ：部分

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】