(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101320
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】自動体外式除細動器
(51)【国際特許分類】
A61N 1/39 20060101AFI20230712BHJP
A61N 1/08 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
A61N1/39
A61N1/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022001891
(22)【出願日】2022-01-07
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】久野 良介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 匡
(72)【発明者】
【氏名】吉村 匡平
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ18
4C053JJ23
(57)【要約】
【課題】救助者が放電されることを認識できるように、放電されるタイミングを救助者に明確に通知するAEDを提供する。
【解決手段】自動体外式除細動器1は、電気ショックを与えるまでの時間に関する時間情報と電気ショックの感電に関するイラストと電気ショックの感電に関する警告文字の少なくとも一つを画面表示する画面表示部100と、画面表示部100を制御する表示制御部103Aと、を備え、表示制御部103Aは、電気ショックを与えるまでの前記時間に応じて画面表示部100に表示する色を変化させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の心臓に除細動用の電気ショックを与えるように構成された自動体外式除細動器であって、
前記自動体外式除細動器は、
前記電気ショックを与えるまでの時間に関する時間情報と前記電気ショックの感電に関するイラストと前記電気ショックの前記感電に関する警告文字の少なくとも一つを画面表示する画面表示部と、
前記画面表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記電気ショックを与えるまでの前記時間に応じて前記画面表示部に表示する色を変化させる、
自動体外式除細動器。
【請求項2】
前記時間情報は、離散的な数値からなる情報であり、
前記表示制御部は、
前記時間情報の数値が変化する時間間隔よりも短い所定の時間間隔で、前記画面表示部に表示する色を変化させる、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項3】
前記表示制御部は、
前記時間情報は、離散的な数値からなる情報であり、
前記時間情報の数値が変化するタイミングで、前記画面表示部に表示する色を変化させる、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項4】
前記表示制御部は、
前記画面表示部に表示される、前記時間情報の色および背景色の少なくとも一方を変化させる、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項5】
前記表示制御部は、
前記画面表示部に表示される、前記時間情報の色および前記背景色の少なくとも一方を、複数回変化させる、
請求項4に記載の自動体外式除細動器。
【請求項6】
前記時間情報は、離散的な数値からなる情報であり、
前記表示制御部は、
前記画面表示部に表示される、前記時間情報の色および前記背景色の少なくとも一方を、前記時間情報の数値が変化する時間間隔内に複数回変化させる、
請求項5に記載の自動体外式除細動器。
【請求項7】
前記表示制御部は、
前記画面表示部に表示される、前記時間情報の色相、明度、彩度および前記背景色の色相、明度、彩度の少なくとも1つを変化させる、
請求項4に記載の自動体外式除細動器。
【請求項8】
前記表示制御部は、
24等分に分割された色相環において、色相差の角度が少なくとも45度以上となるように、前記時間情報の色または前記背景色の少なくとも一方を変化させる、
請求項4に記載の自動体外式除細動器。
【請求項9】
前記表示制御部は、
前記画面表示部に表示される前記時間情報の色と、前記画面表示部の背景色とを入れ替える、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項10】
前記表示制御部は、
前記時間情報を前記画面表示部に表示している間、救助者に対象者から離れるように注意を促す通知を前記画面表示部に表示する、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【請求項11】
前記自動体外式除細動器は、
前記電気ショックを与えるまでのタイミングを音で表したタイミング音と、前記自動体外式除細動器の内部コンデンサに高電圧が充電されている状態を表す警告音と、を出力する音出力部と、
前記音出力部を制御する音制御部と、をさらに備え、
前記音制御部は、前記タイミング音の出力の有無に応じて、前記警告音を変化させる、
請求項1に記載の自動体外式除細動器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動体外式除細動器に関する。
【背景技術】
【0002】
心室細動によって突然の心停止を起こした傷病者の心臓に除細動用の強い電気ショックを与えることで傷病者の心臓の機能を回復させる自動体外式除細動器(以下、AEDともいう。)が、現在急速に普及している。傷病者に電気ショックを与える際、AEDは高電圧放電を行うため、救助者が感電しないような仕組みが知られている。例えば、特許文献1には、救助者が傷病者から手を放すまで放電されないように、セーフティインターロックを備えたAEDが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたAEDでは、救助者が、傷病者から手を離さないと放電されないことに気づかず、放電の実施が遅れる可能性がある。特に、ショックボタンを有さない自動体外式除細動器(以下、オートショックAEDともいう。)の場合、救助者が自動放電されることを認識していないケースや、音声や画面上での単純なカウントダウン通知では、救助者が自動放電されるタイミングを認識できないケースが想定される。
【0005】
本開示は、救助者が放電されることを認識できるように、放電されるタイミングを救助者に明確に通知するAEDを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る自動体外式除細動器は、
対象者の心臓に除細動用の電気ショックを与えるように構成されて、
前記電気ショックを与えるまでの時間に関する時間情報と前記電気ショックの感電に関するイラストと前記電気ショックの前記感電に関する警告文字の少なくとも一つを画面表示する画面表示部と、
前記画面表示部を制御する表示制御部と、を備え、
前記表示制御部は、前記電気ショックを与えるまでの前記時間に応じて前記画面表示部に表示する色を変化させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、救助者が放電されることを認識できるように、放電されるタイミングを救助者に明確に通知するAEDを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態に係るAEDの外観図である。
【
図2】本開示の実施形態に係るAEDの構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態に係るAEDの救助処理フローを示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係るAEDの画面表示部を示す説明図である。
【
図5】本開示の第一実施形態に係るAEDの画面表示処理フローを示す図である。
【
図6】本開示の第一実施形態に係るAEDの画面表示部の遷移フローを示す図である。
【
図7】本開示の第二実施形態に係るAEDの音出力処理フローを示す図である。
【
図8】本開示の第三実施形態に係るAEDの音出力処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、実施形態の説明において既に説明された部材と同一の参照番号を有する部材については、説明の便宜上、その説明は省略する。また、本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0010】
図1は、本開示の実施形態に係るAEDの外観図である。本開示の実施形態に係るAED1は、AED本体10(筐体本体)と、AED本体10を覆う蓋部12と、を備え、バッテリパック11、ケーブル13、電極パッド14、15と接続可能に構成される。バッテリパック11は、バッテリセル11A(
図2参照)を内蔵し、AED本体10および電極パッド14、15を作動させるための電力をAED本体10に供給する。また、バッテリパック11は、AED本体10の裏面側に取り外し可能な構造で接続されている。蓋部12は、AED本体10を覆う構造となっており、蓋部12が開状態ではAED1の主電源がОNとなり、閉状態ではAED1の主電源がОFFとなる。なお、蓋部12の開閉による電源ON/OFFを行う構成に限られず、例えば電源ボタンが筐体本体10に設けられていてもよい。ケーブル13は、AED本体10と電極パッド14、15を電気的に接続する。電極パッド14、15は、傷病者(対象者)に貼付されることで、傷病者への心電図解析および電気ショック(以下、「放電処理」ともいう)等の処置を可能とする。
【0011】
AED本体10は、ユーザインターフェースとして、画面表示部100と、音出力部101と、インジケータ102と、を備える。画面表示部100は、イラストや文字等を表示可能なディスプレイであり、電極パッド14、15の貼付方法や、電気ショックの処置方法等を、救助者に対して視覚的に表示する。音出力部101は、スピーカーであり、電極パッド14、15の貼付方法や、電気ショックの処置方法や、AED本体10の内部に高電圧が充電されている状態を表す警告音等を、救助者に対して聴覚的に通知する。インジケータ102は、点灯または点滅可能なランプ等から構成され、AED1が使用可能な状態であるか等を、救助者に対して視覚的に表示する。
【0012】
図2は、本開示の実施形態に係るAEDの構成を示すブロック図である。バッテリパック11は、バッテリセル11Aを有する。AED本体10は、画面表示部100と、音出力部101と、インジケータ102と、制御部103と、記憶部104と、高圧ユニット105と、心電図解析部106と、を有する。
制御部103は、AED1の各種動作を制御する。制御部103は、表示制御部103Aと、音制御部103Bと、電源制御部103Cと、電極パッド制御部103Dと、を有する。制御部103は、蓋部12が開状態となりAED1の主電源がОN状態になることで、記憶部104に記憶されるプログラム等を読み出し、プログラム等を実行し、AED1の各種動作を制御する。
【0013】
表示制御部103Aは、記憶部104にあらかじめ記録されている、電極パッド14、15の貼付方法や、電気ショックの処置方法や、放電処理が実施されるまでの時間に関する時間情報(以下、時間情報の一態様であるカウント文字を例に説明を行う)等、救助者へのガイダンスに関する画像データを読み出し、読み出した画像データを画面表示部100に送信する。画面表示部100は、受信した画像データを画面表示する。
【0014】
また、表示制御部103Aは、AED1が使用可能な状態であるかを救助者に通知するため、インジケータ102のランプ等の制御信号をインジケータ102に送信する。
インジケータ102は、受信した制御信号を基づいて点灯、消灯、または点滅する。
【0015】
音制御部103Bは、記憶部104にあらかじめ記録されている、電極パッド14、15の貼付方法や、電気ショックの処置方法や、AED本体10の内部に高電圧が充電されている状態を表す警告音や、放電処理が実施されるまでのタイミング音など、救助者へのガイダンスに関する音データを読み出し、読み出した音データを音出力部101に送信する。
音出力部101は、受信した音データに基づいて、音を出力する。
【0016】
電源制御部103Cは、バッテリセル11Aによって高圧ユニット105の内部コンデンサを充電し、電極パッド14、15から放電するように、バッテリセル11Aと、内部コンデンサとを制御する。
【0017】
電極パッド制御部103Dは、電極パッド14、15が傷病者に貼付されているかを判定し、心電図解析部106に心電図解析を実施させるように、電極パッド14、15と、心電図解析部106とを制御する。
【0018】
記憶部104は、AED1の各種動作を制御するためのプログラム等を記憶する。
心電図解析部106は、電極パッド14、15を通じて傷病者の心電図解析を実施する。
【0019】
図3は、本開示の実施形態に係るAEDの救助処理フローを示す図である。制御部103は、蓋部12が開状態となりAED1の主電源がОN状態になることで、記憶部104に記憶されるプログラム等を読み出し、救助処理を開始する(S100)。
【0020】
電源制御部103Cは、バッテリセル11Aによって高圧ユニット105の内部コンデンサの充電を開始する(S102)。
【0021】
次に、表示制御部103Aと音制御部103Bは、救助者に対して、傷病者への電極パッド14、15の貼付方法のガイダンスを実施する(S103)。具体的には、表示制御部103Aは、傷病者への電極パッド14、15の貼付方法に関する画像データを画面表示部100に送信し、画面表示部100は救助者に対して画像データを表示する。これと同時に、音制御部103Bは、傷病者への電極パッド14、15の貼付方法に関する音データを音出力部101に送信し、音出力部101は救助者に対して、受信した音データに基づいて、音を出力する。
【0022】
次に、電極パッド制御部103Dは、電極パッド14、15の間のインピーダンスを測定し、測定したインピーダンスに基づいて、電極パッド14、15が傷病者に貼付されているかを判定する(S104)。電極パッド14、15が傷病者に貼付されていないと判定すれば、表示制御部103Aと音制御部103Bは、救助者に対して、再度、傷病者への電極パッド14、15の貼付方法のガイダンスを実施する(S103)。電極パッド14、15が傷病者に貼付されていると判定すれば、電極パッド制御部103Dは、心電図解析部106に心電図解析の実施を指示する。心電図解析部106は、電極パッド制御部103Dからの指示に基づいて、心電図解析を実施する(S105)。なお、電極パッド制御部103Dは、心電図解析を開始した後には電極パッド14、15が傷病者に貼付されているかを判定し、電極パッド14、15が外れた場合には工程S103と同様に、救助者に対して、傷病者への電極パッド14、15の貼付方法のガイダンスを実施する。電極パッド14,15が再度貼付された場合、心電図解析部106は再び心電図解析を実施する。
【0023】
次に、電極パッド制御部103Dは、心電図解析部106の心電図解析結果に基づいて、電気ショックが必要かを判定する(S106)。電極パッド制御部103Dが、電気ショックが必要と判定すれば、電源制御部103Cは、高圧ユニット105の内部コンデンサの充電が完了しているかを判定する(S107)。電源制御部103Cが内部コンデンサの充電が完了していると判定すれば、音制御部103Bは、救助者に対して、AED本体10の内部に高電圧が充電されている状態を表す警告音の出力を開始する(S108)。警告音は、例えば連続するブザー音である。救助者は、警告音を聞くことによって、AED本体10から高電圧が放電される可能性があることを認識することができる。
【0024】
工程S108と略同時に、表示制御部103Aと音制御部103Bは、救助者に対して、放電前の注意喚起ガイダンスを開始する(S109)。放電前の注意喚起ガイダンスの詳細については、後段にて説明する。なお、表示制御部103Aと音制御部103Bは、工程S108よりも前に工程S109を開始してもよい。
【0025】
電極パッド14、15が傷病者に貼付されていると判定すれば、電源制御部103Cは、傷病者に対して放電処理を実施する(S110)。電源制御部103Cは、放電前の注意喚起ガイダンスの実施後に、自動で放電処理を実施してもよいし、救助者による不図示の放電ボタンの押下の後に放電処理を実施するように構成してもよい。
【0026】
制御部103は、放電処理を実施した後に、放電前の注意喚起ガイダンスおよび警告音の出力を停止する(S111)。制御部103は、上述の工程S102~S111を繰り返す(S101)。工程S106において、電極パッド制御部103Dが、心電図解析部106の心電図解析結果に基づいて、放電処理が不要と判定すれば、制御部103は救助処理を終了する(S112)。
【0027】
図4を用いて、
図3に示す放電前の注意喚起ガイダンス(S109)の一例を説明する。
図4は、本開示の実施形態に係るAEDの画面表示部を示す説明図である。画面表示部100は、タイミング表示部107と、背景表示部108と、イラスト表示部109と、警告文字表示部110と、を有する。タイミング表示部107、背景表示部108、イラスト表示部109、警告文字表示部110は、
図3に示す放電前の注意喚起ガイダンス(S109)の一例として、以下の処理を行う。
【0028】
タイミング表示部107は、放電処理を実施するまでの時間に関する時間情報を表示する。時間情報は、好適には放電までの残り時間を数値で示したカウント文字であり、以下の説明ではカウント文字を用いて説明を行う。なお、時間情報(カウント文字)は小数点以下まで示した情報であってもよい。背景表示部108は、背景色や背景模様等を表示する。さらに、背景表示部108は、背景色や背景模様等を変化させることで、放電処理が実施されることによる感電の危険性を救助者に伝える。イラスト表示部109は、救助者に傷病者から離れるように、例えば
図4に示すようなイラストを表示する。警告文字表示部110は、救助者に傷病者から離れるように、例えば
図4に示すような「離れて下さい」等の文字を表示する。
ここで、「イラスト」とは、救助者、傷病者等の人間やAED等の装置のイラストを指す。
図4に示す符号109の破線内の人間や装置以外の背景箇所は、イラスト表示部109には含まれず、背景表示部108に含まれるものとする。
【0029】
図2に示す表示制御部103Aは、上述した注意喚起ガイダンス(S109)の一例として、放電処理を実施するまでの時間に応じて、画面表示部100に表示する色を変化させる。ここで、「色」とは、色相・色彩・明度の少なくとも一つを意味する。なお、画面表示部100に表示する色を変化させるのではなく、画面表示部100に表示する模様(無地、斜線ハッチング)を変化させてもよい。
本構成によれば、救助者は画面表示部100の表示画面の変化に気づき易くなり、放電が開始されることを認識することができる。
【0030】
表示制御部103Aは、時間情報(カウント文字)の数値が変化する時間間隔よりも短い所定の時間間隔(例えば0.5秒間隔)で、画面表示部100に表示する色を変化させてもよい。例えば画面表示部100に表示する色が0.5秒間隔で変化する場合、同一の時間情報(カウント文字)が表示されている間に2色の表示がなされる。なお、ここでの時間情報は、離散的な数値からなる情報である。
本構成によれば、画面表示部100に表示される時間情報(カウント文字)の数値が更新しない間でも、時間情報(カウント文字)等の色が変化するため、救助者は画面表示部100の表示画面の変化に気づき易くなり、放電が開始されることを認識することができる。
【0031】
また、表示制御部103Aは、放電処理を実施するまでの時間情報の数値が変化するタイミングで、画面表示部100に表示する色を変化させてもよい。なお、ここでの時間情報は、離散的な数値からなる情報である。
本構成によれば、救助者は放電処理を実施するまでの時間情報(カウント文字)の数値が変化するタイミングで、画面表示部100の表示画面の変化に気づき易くなり、放電処理が開始されることを認識することができる。
【0032】
また、表示制御部103Aは、放電処理を実施するまでの時間に応じて、タイミング表示部107に表示する時間情報(カウント文字)、背景表示部108に表示される背景色や背景模様等、イラスト表示部109に表示されるイラスト情報、警告文字表示部110に表示される文字情報のうち少なくとも一つについて、一部または全体の色及び模様の少なくとも一つを変化させてもよい。
本構成によれば、タイミング表示部107に表示する時間情報(カウント文字)等の色及び模様の少なくとも一つを変化させることで、救助者が画面表示部100を見ている場合に現在の時間情報(カウント文字)を把握しやすくなり、救助者は放電が開始されることを容易に認識することができる。あるいは、本構成によれば、背景表示部108の背景色等を変化させることで、救助者が画面表示部100を見ていない場合に、救助者は画面表示部100の変化に気づき易くなり、放電が開始されることを認識することができる。
【0033】
また、表示制御部103Aは、24等分に分割された色相環において、色相差の角度が少なくとも45度以上となるように、タイミング表示部107に表示する時間情報(カウント文字)、背景表示部108に表示される背景色や背景模様等、イラスト表示部109に表示されるイラスト情報、警告文字表示部110に表示される文字情報のうち少なくとも一つについて、一部または全体の色を変化させてもよい。
本構成によれば、時間情報(カウント文字)等の色相を類似色相でない色相へと変化させることで、画面表示部100の変化が顕著となり、救助者は画面表示部100の変化に気づき易くなり、放電が開始されることを認識することができる。
【0034】
図2に戻って、
図3に示す放電前の注意喚起ガイダンス(S109)の一例を説明する。
図2に示す音出力部101は、
図3に示す放電前の注意喚起ガイダンス(S109)の他の一例として、高圧ユニット105の内部コンデンサに高電圧が充電されている状態を表す警告音と、放電処理を実施するまでのタイミング音を出力する。ここで、タイミング音とは、例えば「3」、「2」、「1」などの離散的な数値からなるカウント音を意味する。
【0035】
音制御部103Bは、タイミング音の出力の有無に応じて、警告音を変化させる。すなわち、音制御部103Bは、タイミング音の出力の有無に応じて、警告音の音量、音階、音色の少なくとも1つを変化させてもよい。
本構成によれば、警告音が鳴っている間でも救助者はタイミング音に気づき易くなり、放電が開始されることを認識させやすくなる。
【0036】
具体的には、音制御部103Bは、タイミング音の出力時の警告音の音量を、タイミング音の非出力時の警告音の音量より小さくする、または0にしてもよいし、タイミング音の出力時の警告音の音階を、タイミング音の非出力時の警告音の音階より低くしてもよいし、タイミング音の出力時の警告音の音色を、タイミング音の非出力時の警告音の音色と異ならせてもよい。
本構成によれば、タイミング音の出力時に警告音の音量を小さくすることで、警告音が鳴っている間でも救助者はタイミング音に気づき易くなり、放電が開始されることを認識させることができる。または、タイミング音の出力時に警告音の音階を低くすることで、警告音が鳴っている間でも救助者はタイミング音に気づき易くなり、放電が開始されることを認識させることができる。または、タイミング音の出力時の警告音の音色をタイミング音の非出力時の警告音の音色と異ならせることで、警告音が鳴っている間でも救助者はタイミング音に気づき易くなり、放電が開始されることを認識させることができる。
【0037】
また、音制御部103Bは、タイミング音の出力回数に応じて、タイミング音の音量、音階、音色の少なくとも1つを変化させてもよい。なお、タイミング音の出力回数について、例えばタイミング音がカウント音であり、「3」、「2」、「1」の数字を音で出力する場合、タイミング音の出力回数は3回となる。
本構成によれば、タイミング音の出力回数が増えるにしたがって、タイミング音の音量を大きくしたり、タイミング音の音階を高くしたり、タイミング音の音色を警告音の音色と異ならせたりすることで、警告音が鳴っている間でも救助者はタイミング音に気づき易くなり、放電が開始されることを認識させることができる。
【0038】
図5は、本開示の第一実施形態に係るAEDの画面表示処理フローを示す図である。
図2に示す表示制御部103Aは、
図3に示す注意喚起ガイダンス(S109)の一例として、放電処理を実施するまでの時間に応じて、画面表示部100に表示する色を変化させる画面表示処理を実施する(S200)。
【0039】
制御部103は、放電処理を実施するまでの時間のカウントを開始する(S201)。タイミング表示部107は、カウント開始と同時に、時間情報(カウント文字)を、第1の色で表示する(S202)。なお、タイミング表示部107が時間情報(カウント文字)を第1の色で表示する代わりに、背景表示部108が背景色や背景模様等を第1の色で表示してもよいし、イラスト表示部109が上述したイラスト情報を第1の色で表示してもよいし、警告文字表示部110が上述した文字情報を第1の色で表示してもよい。
【0040】
次に、カウント開始から、あらかじめ設定された0秒から1秒の間の所定の時間経過後(S204)に、タイミング表示部107は、時間情報(カウント文字)の色を、第1の色から第2の色に変更する(S205)。
次に、制御部103は、カウント開始から1秒経過後(S206)に、時間情報(カウント文字)の数値を更新する(S207)。具体的には、時間情報(カウント文字)の数値Nから1を減算する。更新後の時間情報(カウント文字)の数値Nが0より大きければ工程S204~S207を繰り返し、更新後の時間情報(カウント文字)の数値Nが0であれば、表示制御部103Aは、画面表示処理を終了する(S208)。なお、時間情報(カウント文字)の数値Nは、離散的な数値である。
【0041】
本実施形態では、タイミング表示部107は、時間情報(カウント文字)の色を、第1の色から第2の色に変更(S205)する構成であったが、時間情報(カウント文字)の数値が更新される間に、時間情報(カウント文字)の色を、さらに第2の色から第3の色へと複数回変更する構成であってもよい。なお、色を変化させるのではなく、背景または時間情報(カウント文字)の模様(無地、斜線ハッチング)を変化させてもよい。
【0042】
図6は、本開示の第一実施形態に係るAEDの画面表示部の遷移フローを示す図である。
図6において、縦軸は時間を表し、放電処理を実施するまでの時間経過とともに背景表示部108に表示する背景色が変化するフローを示している。
図2に示す表示制御部103Aは、時間情報(カウント文字)の数値が変化する時間間隔(例えば1秒間隔)よりも短い所定の時間間隔(例えば0.5秒間隔)で、背景表示部108に表示する背景色を第1の色と第2の色で交互に変化させる。この場合、同一のカウント文字が表示されている間に第1の色と第2の色の2色の背景色が背景表示部108に表示される。
【0043】
図7は、本開示の第二実施形態に係るAEDの音出力処理フローを示す図である。音制御部103Bは、
図3に示す注意喚起ガイダンス(S109)の他の一例として、タイミング音の出力の有無に応じて、警告音を変化させる音出力処理を実施する(S300)。
【0044】
音出力部101は、放電処理が実施されるため救助者に傷病者から離れるように、例えば「離れて下さい」等の案内音を出力する(S301)。
【0045】
次に、制御部103は、放電処理を実施するまでのカウントを開始する(S302)。
カウント開始後、音制御部103Bは、警告音の音量設定を変更する(S304)。音出力部101は、出力する警告音の音量を変更するのと同時に、タイミング音の出力を開始する(S305)。ここで、タイミング音とは放電処理を実施するまでの時間を数字等で表す音であってもよいし、ビープ音であってもよい。音出力部101が警告音の音量を小さくしてタイミング音を出力することで、救助者はタイミング音と警告音の両方を聞き取り易くなり、放電が開始されることを認識することができる。
【0046】
次に、カウント開始から所定の時間経過後(S306)に、音出力部101は、タイミング音の出力を停止し(S307)、音制御部103Bは、警告音の音量設定を元に戻す(S308)。これにより、音出力部101は、警告音のみを元の音量設定で出力する。
次に、制御部103は、カウント開始から1秒経過後(S309)に、時間情報(カウント文字)の数値を更新する(S310)。具体的には、時間情報(カウント文字)の数値Nから1を減算する。更新後の時間情報(カウント文字)の数値Nが0より大きければ工程S304~S310を繰り返し、更新後の時間情報(カウント文字)の数値Nが0であれば、音制御部103Bは、音出力処理を終了する(S311)。
【0047】
図8は、本開示の第三実施形態に係るAEDの音出力処理フローを示す図である。音制御部103Bは、
図3に示す注意喚起ガイダンス(S109)の他の一例として、タイミング音の出力回数に応じて、警告音を変化させる音出力処理を実施する(S400)。
【0048】
音出力部101は、放電処理が実施されるため救助者に傷病者から離れるように、例えば「離れて下さい」等の案内音を出力する(S401)。
【0049】
次に、制御部103は、放電処理を実施するまでのカウントを開始する(S402)。
カウント開始後、音出力部101は、出力する警告音の音量を変更するのと同時に、タイミング音の出力を開始する(S404)。ここで、タイミング音とは放電処理を実施するまでの時間を数字等で表す音であってもよいし、ビープ音であってもよい。
【0050】
次に、カウント開始から、あらかじめ設定された0秒から1秒の間の所定の時間経過後(S405)に、音出力部101は、タイミング音の出力を停止する(S406)。
カウント開始から1秒経過後(S407)に、音制御部103Bは、タイミング音の音量設定を変更(S408)し、制御部103は、時間情報(カウント文字)の数値を更新する(S409)。更新後の時間情報(カウント文字)の数値Nが0より大きければ工程S404~S409を繰り返す。これにより、音制御部103Bは、時間情報(カウント文字)の数値が更新される度に、言い換えれば、タイミング音の出力回数が増加する度に、タイミング音の音量設定を変更する。タイミング音の出力回数が増加するにしたがって、音出力部101の出力するタイミング音の音量を大きくすることで、警告音が鳴っている間でも救助者はカウント音に気づき易くなり、放電開始が迫っていることを認識することができる。
【0051】
以上、本開示の実施形態について説明をしたが、本開示の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本開示の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【符号の説明】
【0052】
1 AED
10 AED本体(筐体本体)
11 バッテリパック
11A バッテリセル
12 蓋部
13 ケーブル
14、15 電極パッド
100 画面表示部
101 音出力部
102 インジケータ
103 制御部
103A 表示制御部
103B 音制御部
103C 電源制御部
103D 電極パッド制御部
104 記憶部
105 高圧ユニット
106 心電図解析部