(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101388
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/02 20210101AFI20230712BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20230712BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20230712BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230712BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
G03B17/02
G03B15/00 P
G03B17/56 A
H04N23/50
H04N5/222 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196021
(22)【出願日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2022001615
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山田 純也
【テーマコード(参考)】
2H100
2H105
5C122
【Fターム(参考)】
2H100AA41
2H100CC07
2H105AA06
5C122EA05
5C122GD04
5C122GE11
(57)【要約】
【課題】第1の部材に対する第2の部材の意図しない回転を規制することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置2は、被写体を撮像する撮像部10と、第1の筐体6と、撮像部10を支持し、撮像部10の撮像方向を変更するために、第1の筐体6に対してチルト方向に回転可能に支持された第2の筐体8と、第1の筐体6及び第2の筐体8の両方に接触することにより、第1の筐体6に対する第2の筐体8のチルト方向における回転を規制するチルトストッパ12とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像部と、
第1の部材と、
前記撮像部を支持し、前記撮像部の撮像方向を変更するために、前記第1の部材に対して所定の方向に回転可能に支持された第2の部材と、
前記第1の部材及び前記第2の部材の両方に接触することにより、前記第1の部材に対する前記第2の部材の前記所定の方向における回転を規制する規制部材と、を備える
撮像装置。
【請求項2】
前記第1の部材と前記第2の部材との間には凹部が形成されており、
前記規制部材は、前記凹部に挿通される挿通部を有する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記所定の方向は、チルト方向であり、
前記凹部は、前記第1の部材と前記第2の部材との間に形成された隙間であり、
前記規制部材の前記挿通部は、第1の係合部を有し、
前記第1の部材は、前記隙間に配置された第2の係合部を有し、
前記規制部材が前記第2の部材に支持された状態で、前記規制部材の前記挿通部が前記隙間に挿通されることにより、前記第1の係合部と前記第2の係合部とが互いに着脱可能に係合される
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部は、レンズを有し、
前記第2の部材は、前記レンズを前記第2の部材の外部に露出させるための開口部を有し、
前記規制部材は、前記第2の部材の前記開口部に着脱可能に支持される
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記規制部材は、前記第1の部材に着脱可能に係合される爪部をさらに有する
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記規制部材は、前記第1の部材に着脱可能に係合される2つの爪部をさらに有し、
前記挿通部の前記第1係合部は、前記2つの爪部の間に位置する
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
ベース部をさらに備え、
前記第1部材は、前記ベース部に対してパン方向に回転可能に支持されている、
請求項3に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記規制部材は、被押圧部をさらに有し、
前記被押圧部が外力により押圧された際に、前記挿通部が撓むことにより、前記第1の係合部と前記第2の係合部との係合が解除される
請求項3~7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記所定の方向は、パン方向であり、
前記凹部は、
前記第1の部材に形成された第1の切り欠き部と、
前記第2の部材に形成され、前記パン方向に対して交差する方向に前記第1の切り欠き部と隣り合う第2の切り欠き部と、を有し、
前記規制部材の前記挿通部が前記第1の切り欠き部及び前記第2の切り欠き部に挿通されることにより、前記挿通部と前記第1の切り欠き部及び前記第2の切り欠き部の各々とが互いに着脱可能に係合される
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記規制部材は、前記第2の部材に着脱可能に係合される爪部をさらに有する
請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記規制部材は、前記第2の部材に着脱可能に係合される2つの爪部をさらに有し、
前記挿通部は、前記2つの爪部の間に位置する
請求項9に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被写体を撮像するための撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を撮像するための撮像装置の一つとして、パン回転、チルト回転及びズーム処理が可能なPTZ(Pan Tilt Zoom)カメラが知られている(例えば、特許文献1参照)。PTZカメラは、ベース部と、ベース部に対してパン方向に回転可能に支持された第1の筐体と、第1の筐体に対してチルト方向に回転可能に支持された第2の筐体と、第2の筐体に支持された撮像部とを備えている。PTZカメラでは、第1の筐体をベース部に対してパン方向に回転させ、且つ、第2の筐体を第1の筐体に対してチルト方向に回転させることにより、撮像部の撮像方向を任意の方向に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、減速機構を有していないPTZカメラの場合、非通電状態では、パン回転及びチルト回転はロックされない場合がある。そのため、例えばPTZカメラの運搬時等に、意図しないパン回転及びチルト回転により、PTZカメラの内部の部品等に衝撃を与えるおそれがあるという課題が生じる。
【0005】
本開示は、第1の部材に対する第2の部材の意図しない回転を規制することができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における撮像装置は、被写体を撮像する撮像部と、第1の部材と、前記撮像部を支持し、前記撮像部の撮像方向を変更するために、前記第1の部材に対して所定の方向に回転可能に支持された第2の部材と、前記第1の部材及び前記第2の部材の両方に接触することにより、前記第1の部材に対する前記第2の部材の前記所定の方向における回転を規制する規制部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示における撮像装置によれば、第1の部材に対する第2の部材の意図しない回転を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態に係る撮像装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係る撮像装置を示す斜視図である。
【
図3】実施の形態に係る撮像装置を示す正面図である。
【
図4】実施の形態に係る撮像装置を示す背面図である。
【
図5】
図3のV-V線による、実施の形態に係る撮像装置の断面図である。
【
図6】実施の形態に係るチルトストッパを示す斜視図である。
【
図7】実施の形態に係るチルトストッパを示す正面図である。
【
図8】
図6とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係るチルトストッパを示す斜視図である。
【
図9】実施の形態に係るチルトストッパの使用方法を説明するための図である。
【
図10】
図9の(b)のX-X線による、実施の形態に係る撮像装置の要部断面図である。
【
図11】実施の形態に係るパンストッパを示す斜視図である。
【
図12】
図11とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係るパンストッパを示す斜視図である。
【
図13】
図4のXIII-XIII線による、実施の形態に係る撮像装置の要部断面図である。
【
図14】
図4のXIV-XIV線による、実施の形態に係る撮像装置の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0010】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0011】
(実施の形態)
[1.撮像装置の概要]
まず、
図1~
図5を参照しながら、実施の形態に係る撮像装置2の概要について説明する。
図1は、実施の形態に係る撮像装置2を示す斜視図である。
図2は、
図1とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係る撮像装置2を示す斜視図である。
図3は、実施の形態に係る撮像装置2を示す正面図である。
図4は、実施の形態に係る撮像装置2を示す背面図である。
図5は、
図3のV-V線による、実施の形態に係る撮像装置2の断面図である。
【0012】
なお、
図1~
図5において、撮像装置2の左右方向をX軸、撮像装置2の前後方向をY軸、撮像装置2の上下方向をZ軸とする。また、説明の都合上、
図5では、撮像装置2の内部に配置された各種部品等の図示を省略してある。
【0013】
図1~
図4に示すように、実施の形態に係る撮像装置2は、パン回転、チルト回転及びズーム処理が可能なPTZカメラである。パン回転は、
図1及び
図2において矢印Pで示す水平方向(以下、「パン方向」という)における回転、すなわち、垂直方向(Z軸方向)に平行な回転軸線を中心とする回転を意味する。チルト回転は、
図1及び
図2において矢印Tで示す垂直方向(以下、「チルト方向」という)における回転、すなわち、水平面(XY平面)に平行な回転軸線を中心とする回転を意味する。ズーム処理は、被写体を拡大(ズームイン)又は縮小(ズームアウト)して撮像することを意味する。また、本開示に係る、撮像装置2のパン回転及びチルト回転は、ダイレクトドライブモータによる駆動力で実現される。なお、ダイレクトドライブモータとは、回転駆動する対象を直接受ける軸受を内蔵して、ギヤ等の減速機構を介さずに、回転駆動する対象を駆動させるモータである。
【0014】
図1~
図4に示すように、撮像装置2は、ベース部4と、第1の筐体6と、第2の筐体8と、撮像部10と、チルトストッパ12と、パンストッパ14とを備えている。撮像装置2は、例えばテレビ等の放送局において、遠隔操作されるテレビカメラとして用いられる。
【0015】
ベース部4は、撮像装置2の土台部分となる部材であり、例えば机上面又は天井面等の設置面に設置される。
図5に示すように、ベース部4は、中空状に形成されている。図示しないが、ベース部4の内部には、第1の筐体6をパン回転させるための駆動源であるダイレクトドライブモータが配置されている。また、図示しないが、ベース部4の内部には、撮像部10及びダイレクトドライブモータ等を制御するための制御ユニットが配置されている。
【0016】
第1の筐体6は、
図1及び
図2に示すようにX軸方向から見てドーム状に形成されており、
図3に示すようにY軸方向から見てベース部4に対して略U字形状を有している。第1の筐体6は、ベース部4に対してパン方向に回転可能に支持されている。
図1及び
図2におけるX軸方向から見て、第1の筐体6には、当該第1の筐体6の一側部から上端部を経由して他側部に亘って、略U字形状の切り欠き部16が形成されている。
図1、
図3及び
図5に示すように、切り欠き部16の長手方向における一端部16aは、第1の筐体6の一側部に配置されている。また、
図2、
図4及び
図5に示すように、切り欠き部16の長手方向における他端部16bは、第1の筐体6の他側部に配置されている。ここで、第1の筐体6は、ベース部4の内部に配置されたダイレクトドライブモータからの駆動力により、ベース部4に対してパン方向に例えば360°回転可能である。第1の筐体6がベース部4に対してパン方向に回転する場合、ベース部4は第1の部材を構成し、第1の筐体6は第2の部材を構成する。この場合、第1の筐体6は、第2の筐体8を介して撮像部10を支持する。また、図示しないが、第1の筐体6の内部には、第2の筐体8をチルト回転させるための駆動源であるダイレクトドライブモータが配置されている。
【0017】
第2の筐体8は、円環状に形成されており、第1の筐体6の切り欠き部16に配置されている。第2の筐体8は、第1の筐体6に対してチルト方向に回転可能に支持されている。第2の筐体8は、第1の筐体6の内部に配置されたダイレクトドライブモータからの駆動力により、第1の筐体6に対してチルト方向に例えば180°回転可能である。
図1に示すように、第2の筐体8の側面には、円形状の開口部18が形成されている。第2の筐体8が第1の筐体6に対してチルト方向に回転する場合、第1の筐体6は第1の部材を構成し、第2の筐体8は第2の部材を構成する。また、この場合、第2の筐体8は、撮像部10を支持する。
【0018】
撮像部10は、被写体を撮像するためのカメラユニットであり、第2の筐体8に支持されている。撮像部10は、円形状のレンズ20等を有している。なお、説明の都合上、
図5では、撮像部10のうちレンズ20以外の各種部品の図示を省略してある。
図1に示すように、レンズ20は、第2の筐体8の開口部18に配置されており、開口部18を通して第2の筐体8の外部に露出されている。撮像部10から出力される映像信号は、ケーブル(図示せず)を介して、ベース部4の内部の制御ユニット(図示せず)に入力される。第2の筐体8が第1の筐体6に対してチルト方向に180°回転するのに伴って、撮像部10は、第1の筐体6の切り欠き部16の長手方向に沿って、切り欠き部16の一端部16aから他端部16bまで(又は、他端部16bから一端部16aまで)移動するようになる。
【0019】
上述した撮像装置2では、第1の筐体6をベース部4に対してパン方向に回転させ、且つ、第2の筐体8を第1の筐体6に対してチルト方向に回転させることにより、撮像部10の撮像方向を任意の方向に変更することができる。
【0020】
チルトストッパ12は、第2の筐体8に対する第1の筐体6のチルト方向における回転を規制するための規制部材である。
図1、
図3及び
図5に示すように、チルトストッパ12は、第2の筐体8の開口部18を覆うようにして、第2の筐体8の開口部18に着脱可能に支持される。すなわち、チルトストッパ12は、撮像部10のレンズ20を保護するためのレンズキャップとしても用いられる。チルトストッパ12の具体的な構成については、後述する。
【0021】
パンストッパ14は、ベース部4に対する第1の筐体6のパン方向における回転を規制するための規制部材である。
図2、
図4及び
図5に示すように、パンストッパ14は、第1の筐体6の側面上に着脱可能に支持される。パンストッパ14の具体的な構成については、後述する。
【0022】
[2.チルトストッパの構成]
図6~
図8を参照しながら、実施の形態に係るチルトストッパ12の構成について説明する。
図6は、実施の形態に係るチルトストッパ12を示す斜視図である。
図7は、実施の形態に係るチルトストッパ12を示す正面図である。
図8は、
図6とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係るチルトストッパ12を示す斜視図である。
【0023】
図6~
図8に示すように、チルトストッパ12は、本体部22と、一対の爪部24,26と、挿通部28と、被押圧部30とを有している。チルトストッパ12は、例えば樹脂等の弾性を有する材料で形成されている。
【0024】
本体部22は、略円板状に形成されている。本体部22の下端部(
図7において下側の端部)には、一対のスリット32,34により形成された固定片36が形成されている。固定片36は、弾性的に撓むことが可能である。
図8に示すように、本体部22の裏面(レンズ20に対向する側の面)には、略C字形状のリブ38が形成されている。また、本体部22の上端部(
図7において上側の端部)には、フック40が形成されている。
【0025】
一対の爪部24,26は、本体部22の左右(
図7において左右)の両端部にそれぞれ形成されている。一対の爪部24,26は、弾性的に撓むことが可能である。
【0026】
挿通部28は、薄板状に形成され、固定片36の下端部に配置されている。挿通部28には、略矩形状の係合孔42(第1の係合部の一例)が形成されている。
図7及び
図8に示すように、係合孔42は、一対の爪部24,26の間に位置している。
【0027】
被押圧部30は、略三角柱状に形成され、固定片36の表面(レンズ20と反対側の面)から突出している。ユーザが被押圧部30に対して押し込む方向の外力を加えることにより、被押圧部30が外力により押圧され、固定片36(すなわち、挿通部28)を弾性的に撓ませることができる。
【0028】
以下、
図9及び
図10を参照しながら、チルトストッパ12の使用方法について説明する。
図9は、実施の形態に係るチルトストッパ12の使用方法を説明するための図である。
図10は、
図9の(b)のX-X線による、実施の形態に係る撮像装置2の要部断面図である。なお、
図10の(b)は、
図10の(a)において破線の円で囲まれた領域を拡大した要部断面図である。
【0029】
まず、
図9の(a)に示すように、チルトストッパ12を第2の筐体8の開口部18に配置する。この時、本体部22のリブ38は、撮像部10のレンズ20の外周部に着脱可能に支持される。また、爪部24は、第1の筐体6の切り欠き部16の長手方向に延在するエッジ16cと、切り欠き部16のエッジ16cに対向する第2の筐体8のエッジ8aとの間の隙間44に挿通され、切り欠き部16のエッジ16cに着脱可能に係合される。爪部26は、第1の筐体6の切り欠き部16の長手方向に延在するエッジ16d(エッジ16cと反対側のエッジ)と、切り欠き部16のエッジ16dに対向する第2の筐体8のエッジ8bとの間の隙間46に挿通され、切り欠き部16のエッジ16dに着脱可能に係合される。これにより、チルトストッパ12は、第2の筐体8の開口部18を覆うようにして、第2の筐体8の開口部18に着脱可能に支持される。
【0030】
次に、
図9の(a)の矢印Tで示す方向に、第1の筐体6に対して第2の筐体8をチルト方向に回転させる。これにより、
図9の(b)及び
図10の(a)に示すように、チルトストッパ12(すなわち、撮像部10)は、第1の筐体6の切り欠き部16の一端部16aに位置付けられる。
【0031】
この時、
図10の(b)に示すように、チルトストッパ12の挿通部28は、第1の筐体6の切り欠き部16の一端部16aと、第2の筐体8の開口部18の周縁部との間に形成された隙間48(凹部の一例)に挿通される。切り欠き部16の一端部16aには、隙間48に向けて突出した係合突起50(第2の係合部の一例)が形成されており、隙間48に挿通された挿通部28の係合孔42は、係合突起50と着脱可能に係合される。これにより、チルトストッパ12は、第1の筐体6及び第2の筐体8の両方に接触するようになるため、第1の筐体6に対する第2の筐体8のチルト方向における回転が規制される。また、挿通部28の係合孔42が一対の爪部24,26の間に位置しているために、係合孔42と係合突起50との係合を安定させることができる。
【0032】
なお、第1の筐体6に対する第2の筐体8のチルト方向における回転の規制を解除する際には、ユーザが被押圧部30を指で
図10の(a)の矢印Fで示す方向に押圧することにより、挿通部28が弾性的に撓むようになる。これにより、挿通部28の係合孔42と係合突起50との係合が解除され、第1の筐体6に対する第2の筐体8のチルト方向における回転が可能となる。
【0033】
[3.パンストッパの構成]
図11及び
図12を参照しながら、実施の形態に係るパンストッパ14の構成について説明する。
図11は、実施の形態に係るパンストッパ14を示す斜視図である。
図12は、
図11とは異なる角度から見た状態での、実施の形態に係るパンストッパ14を示す斜視図である。
【0034】
図11及び
図12に示すように、パンストッパ14は、本体部52と、挿通部54と、一対の爪部56,58とを有している。パンストッパ14は、例えば樹脂等の弾性を有する材料で形成されている。
【0035】
本体部52は、略矩形状の板状に形成されている。本体部52の上端部(
図11及び
図12において上側の端部)には、フック60が形成されている。例えばストラップ(図示せず)の両端部をそれぞれ、チルトストッパ12のフック40及びパンストッパ14のフック60に括り付けることにより、チルトストッパ12とパンストッパ14とをストラップを介して連結することができる。これにより、チルトストッパ12及びパンストッパ14の紛失を抑制することができる。
【0036】
挿通部54は、棒状に形成され、本体部52の裏面(第1の筐体6に対向する側の面)から突出している。
図11及び
図12に示すように、挿通部54は、一対の爪部56,58の間に位置している。
【0037】
一対の爪部56,58はそれぞれ、本体部52の裏面において挿通部54の左右(
図11及び
図12において左右)の両側にそれぞれ形成されている。一対の爪部56,58は、弾性的に撓むことが可能である。
【0038】
以下、
図2、
図13及び
図14を参照しながら、パンストッパ14の使用方法について説明する。
図13は、
図4のXIII-XIII線による、実施の形態に係る撮像装置2の要部断面図である。
図14は、
図4のXIV-XIV線による、実施の形態に係る撮像装置2の要部断面図である。
【0039】
まず、
図2に示すように、切り欠き部16の長手方向が撮像装置2の前後方向(Y軸方向)に平行となるように、ベース部4に対して第1の筐体6をパン方向に回転させる。この時、
図13及び
図14に示すように、ベース部4の上端部(第1の筐体6に対向する側の端部)に形成された略U字形状の第1の切り欠き部62(凹部の一例)と、第1の筐体6の下端部(ベース部4に対向する側の端部)に形成された略U字形状の第2の切り欠き部64(凹部の一例)とが、パン方向に対して交差する方向(Z軸方向)に隣り合うように配置される。すなわち、第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64は、ベース部4と第1の筐体6との間に形成されている。なお、第1の切り欠き部62は撮像装置2の内部に面し、第2の切り欠き部64は撮像装置2の外部に面している。
【0040】
この状態で、
図13及び
図14に示すように、パンストッパ14の挿通部54を、第1の筐体6の第2の切り欠き部64及びベース部4の第1の切り欠き部62にかんぬき状に挿通することにより、挿通部54と第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々とが互いに着脱可能に係合される。
【0041】
また、一対の爪部56,58は、ベース部4の上端部と第1の筐体6の下端部との間の隙間66に挿通され、第1の筐体6の下端部に着脱可能に係合される。これにより、パンストッパ14は、第1の筐体6の側面に着脱可能に支持される。
【0042】
以上のようにして、パンストッパ14は、ベース部4及び第1の筐体6の両方に接触するようになるため、ベース部4に対する第1の筐体6のパン方向における回転が規制される。また、挿通部54が一対の爪部56,58の間に位置しているために、挿通部54と第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々との係合を安定させることができる。
【0043】
なお、ベース部4に対する第1の筐体6のパン方向における回転の規制を解除する際には、ユーザがパンストッパ14の本体部52の左右の両端部を指で摘まみ、パンストッパ14を第1の筐体6から引き離すことにより、挿通部54が第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64から引き抜かれる。これにより、挿通部54と第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々との係合が解除され、第1の筐体6に対する第2の筐体8のチルト方向における回転が可能となる。
【0044】
[4.効果]
本実施の形態では、撮像装置2は、被写体を撮像する撮像部10と、第1の筐体6(第1の部材の一例)と、撮像部10を支持し、撮像部10の撮像方向を変更するために、第1の筐体6に対してチルト方向(所定の方向の一例)に回転可能に支持された第2の筐体8(第2の部材の一例)と、第1の筐体6及び第2の筐体8の両方に接触することにより、第1の筐体6に対する第2の筐体8のチルト方向における回転を規制するチルトストッパ12(規制部材の一例)とを備える。
【0045】
また、撮像装置2は、被写体を撮像する撮像部10と、ベース部4(第1の部材の一例)と、撮像部10を支持し、撮像部10の撮像方向を変更するために、ベース部4に対してパン方向(所定の方向の一例)に回転可能に支持された第1の筐体6(第2の部材の一例)と、ベース部4及び第1の筐体6の両方に接触することにより、ベース部4に対する第1の筐体6のパン方向における回転を規制するパンストッパ14(規制部材の一例)とを備える。
【0046】
これによれば、第1の筐体6に対する第2の筐体8の意図しないチルト回転、又は、ベース部4に対する第1の筐体6の意図しないパン回転を規制することができる。
【0047】
また、本実施の形態では、第1の筐体6と第2の筐体8との間(ベース部4と第1の筐体6との間)には凹部が形成されている。チルトストッパ12(パンストッパ14)は、当該凹部に挿通される挿通部28(54)を有する。
【0048】
これによれば、比較的簡単な構成で、第1の筐体6に対する第2の筐体8の意図しないチルト回転、又は、ベース部4に対する第1の筐体6の意図しないパン回転を規制することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、所定の方向は、チルト方向である。凹部は、第1の筐体6と第2の筐体8との間に形成された隙間48である。チルトストッパ12の挿通部28は、係合孔42(第1の係合部の一例)を有している。第1の筐体6は、隙間48に配置された係合突起50(第2の係合部の一例)を有している。チルトストッパ12が第2の筐体8に支持された状態で、チルトストッパ12の挿通部28が隙間48に挿通されることにより、係合孔42と係合突起50とが互いに着脱可能に係合される。
【0050】
これによれば、第2の筐体8を第1の筐体6に対してチルト方向に回転させて、チルトストッパ12の挿通部28を隙間48に挿通するという比較的簡単な操作により、係合孔42と係合突起50とを互いに着脱可能に係合させることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、撮像部10は、レンズ20を有している。第2の筐体8は、レンズ20を第2の筐体8の外部に露出させるための開口部18を有している。チルトストッパ12は、第2の筐体8の開口部18に着脱可能に支持される。
【0052】
これによれば、チルトストッパ12を、レンズ20を保護するためのレンズキャップとしても用いることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、チルトストッパ12は、爪部24(26)を有している。チルトストッパ12が第2の筐体8の開口部18に着脱可能に支持された状態で、爪部24(26)は、第1の筐体6に着脱可能に係合される。
【0054】
これによれば、チルトストッパ12が第2の筐体8の開口部18から脱落するのを抑制することができる。
【0055】
また、本実施の形態では、チルトストッパ12は、被押圧部30を有している。被押圧部30が外力により押圧された際に、挿通部28が撓むことにより、係合孔42と係合突起50との係合が解除される。
【0056】
これによれば、被押圧部30を押圧するという比較的簡単な操作により、係合孔42と係合突起50との係合を解除することができる。
【0057】
また、本実施の形態では、所定の方向は、パン方向である。凹部は、ベース部4に形成された第1の切り欠き部62と、第1の筐体6に形成され、パン方向に対して交差する方向に第1の切り欠き部62と隣り合う第2の切り欠き部64とを有している。パンストッパ14の挿通部54が第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64に挿通されることにより、挿通部54と第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々とが互いに着脱可能に係合される。
【0058】
これによれば、パンストッパ14の挿通部54を第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64に挿通するという比較的簡単な操作により、挿通部54と第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々とを互いに着脱可能に係合させることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、パンストッパ14は、爪部56(58)を有している。挿通部54が第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64に挿通された状態で、爪部56(58)は、第1の筐体6に着脱可能に係合される。
【0060】
これによれば、パンストッパ14が第1の筐体6から脱落するのを抑制することができる。
【0061】
(変形例等)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0062】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0063】
上記実施の形態では、パンストッパ14の挿通部54と、第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々とを着脱可能に係合させることによりパン回転を規制したが、これに限定されない。例えば、パンストッパ14の挿通部54と、第1の切り欠き部62及び第2の切り欠き部64の各々との間の摩擦力を利用して、パン回転を規制してもよい。同様に、チルトストッパ12の挿通部28と、第1の筐体6との間の摩擦力を利用して、チルト回転を規制してもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、撮像装置2をテレビカメラとして用いたが、これに限定されず、例えば防犯カメラ等として用いてもよい。
【0065】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0066】
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0067】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示の撮像装置は、例えばPTZカメラ等として適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
2 撮像装置
4 ベース部
6 第1の筐体
8 第2の筐体
8a,8b,16c,16d エッジ
10 撮像部
12 チルトストッパ
14 パンストッパ
16 切り欠き部
16a 一端部
16b 他端部
18 開口部
20 レンズ
22,52 本体部
24,26,56,58 爪部
28,54 挿通部
30 被押圧部
32,34 スリット
36 固定片
38 リブ
40,60 フック
42 係合孔
44,46,48,66 隙間
50 係合突起
62 第1の切り欠き部
64 第2の切り欠き部