(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101391
(43)【公開日】2023-07-20
(54)【発明の名称】医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 30/40 20180101AFI20230712BHJP
A61B 6/03 20060101ALI20230712BHJP
【FI】
G16H30/40
A61B6/03 360G
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201458
(22)【出願日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2022001733
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 諒
【テーマコード(参考)】
4C093
5L099
【Fターム(参考)】
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA15
4C093CA22
4C093CA23
4C093CA35
4C093FA35
4C093FF43
4C093FG13
4C093FG16
4C093GA01
5L099AA03
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】検査に関する指示内容を正確かつ容易に伝えることができるようにすることである。
【解決手段】実施形態の医用情報処理システムは、取得部と、特定部と、画像生成部と、送信部と、を持つ。取得部は、検査対象に関する情報を取得する。特定部は、前記検査対象に関する情報に基づいて、前記検査対象に対応する参照画像を特定する。画像生成部は、前記参照画像を編集することにより生成された編集画像を生成する。送信部は、前記編集画像が添付されたオーダー情報を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象に関する情報を取得する取得部と、
前記検査対象に関する情報に基づいて、前記検査対象に対応する参照画像を特定する特定部と、
前記参照画像を編集することにより生成された編集画像を生成する画像生成部と、
前記編集画像が添付されたオーダー情報を送信する送信部と、を備える、
医用情報処理システム。
【請求項2】
前記取得部は、対象患者に関する患者情報を更に取得し、
前記特定部は、前記検査対象に関する情報と前記患者情報とに基づいて、前記参照画像を特定する、
請求項1に記載の医用情報処理システム。
【請求項3】
前記特定部は、過去に撮像された前記検査対象の撮像画像の中から前記参照画像を特定する、
請求項1に記載の医用情報処理システム。
【請求項4】
前記参照画像は、対象患者における過去の前記検査対象の自己撮像画像の中から特定される、
請求項2に記載の医用情報処理システム。
【請求項5】
前記特定部は、前記患者情報に含まれる前記対象患者の特徴に応じて前記参照画像を特定する、
請求項2に記載の医用情報処理システム。
【請求項6】
前記特定部は、前記対象患者の特徴に応じた人体構造を表現したモデル画像の中から前記参照画像を特定する、
請求項2に記載の医用情報処理システム。
【請求項7】
前記対象患者の特徴は、年齢、性別、体格、または疾患のうち、少なくともいずれか1つを含む、
請求項5に記載の医用情報処理システム。
【請求項8】
前記特定部は、操作者により操作された入力インターフェースにより送信される選択情報に基づいて、前記参照画像を特定する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項9】
前記画像生成部は、前記参照画像の撮像方向を変化させた前記編集画像を生成する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項10】
前記画像生成部は、前記参照画像の撮像範囲を変化させた前記編集画像を生成する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項11】
前記画像生成部は、前記参照画像に画像フィルタを適用した前記編集画像を生成する、 請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項12】
前記画像生成部は、前記参照画像の撮像範囲の一部の領域を除去した前記編集画像を生成する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項13】
前記参照画像に対する操作の履歴を示す履歴情報を設定する履歴情報設定部をさらに備え、
前記送信部は、前記編集画像および前記履歴情報が添付された前記オーダー情報を送信する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項14】
前記編集画像に対して説明情報を設定する説明情報設定部をさらに備え、
前記送信部は、前記説明情報が設定された前記編集画像が添付された前記オーダー情報を送信する、
請求項1から7のうちいずれか1項に記載の医用情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータが、
検査対象に関する情報を取得し、
前記検査対象に関する情報に基づいて、前記検査対象に対応する参照画像を特定し、
前記参照画像を編集することにより生成された編集画像を生成し、
前記編集画像が添付されたオーダー情報を送信する、
医用情報処理方法。
【請求項16】
コンピュータに、
検査対象に関する情報を取得させ、
前記検査対象に関する情報に基づいて、前記検査対象に対応する参照画像を特定させ、 前記参照画像を編集することにより生成された編集画像を生成させ、
前記編集画像が添付されたオーダー情報を送信させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
診療医が放射線科に画像検査をオーダーする際には、例えば、オーダーリングシステムなどを介して、診療医により生成された文章で示される指示内容を含むオーダー情報が診療科から放射線科へと送信される。画像検査をオーダーした際に、診療医の指示内容が正確に伝わらなかった場合には、不要な検査が行われたり、再検査が必要になったりする。
【0003】
これにより、患者(被検体)に不要な被ばくや医療資源の無駄な利用などの不利益が生じる。特に、空間的な情報(撮像対象の範囲、撮像の方向)、画像の見え方の情報(見るべき対象、見る必要のない対象、画像の精度の程度、最終的な画像イメージ)は言語化か難しいため、指示内容が伝わりにくいことがある。そこで、生成されたオーダー情報には、例えば、指示内容の理解を補助するためにシェーマが添えられることがある。
【0004】
シェーマは、例えば診療医が手書きをして生成されることが多い。このため、診療医には、シェーマを描く画力や手間が求められる。さらに、診療医がシェーマを描かなかったり、診療医の画力が低かったりした場合などには、細かな指示内容を正確に放射線科に伝えることが難しい場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Mervyn D. Cohen, Accuracy of Information on Imaging Requisitions: Does It Matter, Journal of the American College of Radiology, Volume 4, Issue 9, 2007, Pages 617-621, ISSN 1546-1440,
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、検査に関する指示内容を正確かつ容易に伝えることができるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の医用情報処理システムは、取得部と、特定部と、画像生成部と、送信部と、を持つ。取得部は、検査対象に関する情報を取得する。特定部は、前記検査対象に関する情報に基づいて、前記検査対象に対応する参照画像を特定する。画像生成部は、前記参照画像を編集することにより生成された編集画像を生成する。送信部は、前記編集画像が添付されたオーダー情報を送信する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の病院内システム1の構成の一例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態の医用情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態の医用情報処理システム100における処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】第1実施形態の医用情報処理システム100における処理の一例を示すフローチャート。
【
図5】参照画像GA10及び編集画像GA11の一例を示す図。
【
図6】参照画像GA20及び第1編集画像GA21から第4編集画像GA24の一例を示す図。
【
図7】参照画像GA30及び第1編集画像GA31から第3編集画像GA33の一例を示す図。
【
図8】参照画像GA40及び編集画像GA41の一例を示す図。
【
図9】参照画像GA50、第1編集画像GA51、及び第2編集画像GA52の一例を示す図。
【
図10】参照画像GA60及び編集画像GA61の一例を示す図。
【
図11】第2実施形態の医用情報処理システム200の構成の一例を示すブロック図。
【
図12】第2実施形態の医用情報処理システム200における処理の一例を示すフローチャート。
【
図13】第3編集画像GA33に対して説明情報が付与されている様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラムについて説明する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の病院内システム1の構成の一例を示すブロック図である。第1実施形態の病院内システム1は、例えば、病院情報システム(Hospital Information System:以下、HIS)10と、放射線科情報システム(Radiology Information System:以下、RIS)20と、医用画像診断装置(モダリティ)30と、画像保存通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)40と、を備える。HIS10は、医用情報処理システム100を含む。
【0012】
HIS10は、病院内での業務支援を行うコンピュータシステムである。具体的には、HIS10は、電子カルテシステム11や医用情報処理システム100を含む各種サブシステムを有する。各種サブシステムとしては、例えば、医療会計システム、診療予約システム、来院受付システム、入退院管理システムがある。
【0013】
HIS10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ディスプレイ、入力インターフェース及び通信インターフェースを備えるサーバ装置やクライアント端末等のコンピュータを含む。
【0014】
診療医等の医療従事者(以下、診療医等)は、HIS10における電子カルテシステム11を用いて、患者に関する各種情報(以下、患者情報)を入力したり参照したりする。各患者の患者情報は、各患者を識別可能な患者IDに関連付けて管理される。
【0015】
電子カルテシステム11は、複数の患者の電子カルテを保存している。電子カルテには、患者情報を含む患者に関する様々な情報が含まれる。患者情報には、患者の特徴を示す情報が含まれる。患者の特徴としては、例えば、患者の年齢、性別、体格(身長、体重等)、疑いの疾患、既往歴等が挙げられる。患者の年齢、性別、体格の情報は、対象患者の身体的特性から対象患者の人体構造を推定し得る有用な情報である。患者の疑い疾患名、既往歴の情報は、健常とは異なる対象患者の人体構造を推定し得る有用な情報である。
【0016】
診療医等は、HIS10における医用情報処理システム100に生成指示情報を与えることにより、画像検査オーダーを発行する。HIS10は、画像検査オーダーに応じたオーダー情報をRIS20などの他のシステムに転送する。医用情報処理システム100は、オーダーリングシステムとして機能する。生成指示情報には、例えば画像検査オーダーの内容を示す情報が含まれる。
【0017】
オーダーリングシステムは、検査や処方などの指示(オーダー)を担当する各部門に伝達するシステムである。オーダーには、画像検査指示のほか、生理検査指示、検体検査指示、処方薬指示、食維持指示などがある。画像検査では、一般に、診療科が画像検査オーダーを発行して放射線科に検査を指示する。
【0018】
HIS10は、診療医等が画像検査オーダーを発行するための生成指示情報を取得すると、医用情報処理システム100により、オーダー情報の生成を開始する。HIS10は、医用情報処理システム100におけるオーダー情報の生成に先立ち、電子カルテシステム11に対して、保存している検査対象の患者の患者情報を医用情報処理システム100に向けて送信させる。検査対象は、検査を受ける患者の身体に関するものであり、例えば、疾患が発生した臓器などの身体の部位でもよいし、疾患との関係によらずに指定された部位でもよい。あるいは、検査対象は、身体の全体でもよいし、神経や血管などの身体の全体に及ぶものでもよい。
【0019】
医用情報処理システム100は、生成指示情報、患者情報、その他の検査対象に関する情報に基づいて、オーダー情報を生成する。医用情報処理システム100は、生成したオーダー情報を患者情報とともにRIS20に送信する。オーダーリングシステムは、図示しない薬剤部門システム対する処方オーダー等を発行してもよい。
【0020】
RIS20は、画像診断部門での業務支援を行うコンピュータシステムである。RIS20は、HIS10と連携した画像検査オーダーの予約管理のほか、検査機器への予約情報連携、検査情報の管理などを行う。RIS20は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、ディスプレイ、入力インターフェース及び通信インターフェースを備えるサーバ装置やクライアント端末等のコンピュータを含む。
【0021】
モダリティ30は、例えば、画像検査指示等に基づき決定される撮影条件(撮影プロトコル)に従い撮像(撮影)を実行する。モダリティ30としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、核医学診断装置等が挙げられる。モダリティ30は、例えば、医師(放射線科医)や診療放射線技師等のオペレータにより操作される。モダリティ30の撮像により生成された医用画像(画像データ)はPACS40に送信される。
【0022】
PACS40は、モダリティ30により送信された医用画像を受信してデータベースに保存するコンピュータシステムである。PACS40は、クライアントからのリクエストに応じて、データベースに保存された医用画像を送信(転送)する。PACS40は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、ディスプレイ、入力インターフェース、通信インターフェースを含むサーバ・コンピュータを含む。PACS40に記憶された医用画像には、撮影対象の患者や撮影に関する情報が付帯情報として付帯されている。付帯情報には、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した形式で、患者ID、検査ID、撮影条件(撮影プロトコル)等の情報が含まれる。
【0023】
PACS40は、過去に撮像された複数の患者の画像(以下、患者撮像画像)41を記憶している。患者撮像画像41には、例えば、患者の人体の区分に応じた部位ごとの画像、例えば、胸部(肺等)、腹部(胃、小腸等)、上肢、下肢(骨格)等の画像が含まれる。PACS40は、HIS10の要求に応じて、記憶している患者撮像画像41をHIS10(医用情報処理システム100)に送信する。患者撮像画像41は、自己撮像画像の一例である。PACS40に記憶された患者撮像画像41は、過去の検査対象の撮像画像(自己撮像画像)の一例である。
【0024】
病院内システム1の構成は上記に限定されない。病院内システム1は、例えば、読影レポート作成装置等を含んでいてもよい。また、病院内システム1のいくつかの要素が統合されていてもよい。例えば、HIS10とRIS20とが1個のシステムに統合されていてもよい。
【0025】
図2は、第1実施形態の医用情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図である。医用情報処理システム100は、例えば、通信インターフェース110と、入力インターフェース120と、ディスプレイ130と、処理回路140と、メモリ150と、を備える。医用情報処理システム100における通信インターフェース110、入力インターフェース120、及びディスプレイ130は、HIS10が備える通信インターフェース、入力インターフェース及びディスプレイとは別個に設けられているが、これらが共通していてもよい。
【0026】
通信インターフェース110は、例えば、LAN(Local Area Network)などのネットワークNWを介してRIS20、モダリティ30、PACS40等の外部装置と通信する。通信インターフェース110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。ネットワークNWは、LANに代えてまたは加えて、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)等を含んでもよい。
【0027】
入力インターフェース120は、診療医等からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路140に出力する。入力インターフェース120は、例えば、診療医等により入力操作が行われた場合に、入力操作に応じた情報を生成する。入力インターフェース120に対する入力操作としては、例えば、検査目的や患者の症状、既往歴などの情報の入力操作が含まれる場合がある。検査目的や患者の症状、既往歴などの情報は、健常とは異なる対象患者の人体構造を推定し得る有用な情報である。
【0028】
入力操作としては、例えば、オーダー情報の生成、参照画像候補の選択、編集画像の添付、編集画像の編集に関する操作がある。これらの場合の入力操作が実行された場合には、入力インターフェース120は、生成指示情報、添付要求情報、選択情報、画像編集情報をそれぞれ生成する。入力インターフェース120は、生成した入力操作に応じた情報を処理回路140に出力する。
【0029】
入力インターフェース120は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を含む。入力インターフェース120は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインターフェースであってもよい。入力インターフェース120がタッチパネルである場合、入力インターフェース120は、ディスプレイ130の表示機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0030】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0031】
ディスプレイ130は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ130は、処理回路140によって生成された画像や、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。例えば、ディスプレイ130は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0032】
処理回路140は、例えば、取得機能141と、オーダー生成機能142と、特定機能143と、画像生成機能144と、送信機能145とを備える。処理回路140は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ(記憶回路)150に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0033】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)などの回路(circuitry)を意味する。
【0034】
メモリ150にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ150に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が医用情報処理システム100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ150にインストールされてもよい。
【0035】
ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。医用情報処理システム100におけるハードウェアプロセッサやメモリ等は、HIS10のハードウェアプロセッサやメモリ等とは別個に設けられているが、これらが共通していてもよい。
【0036】
メモリ150は、複数の標準参照画像151及び複数の参照モデル画像152を記憶している。標準参照画像151には、例えば、人体の区分に応じた部位ごとの画像、例えば、胸部(肺等)、腹部(胃、小腸等)、上肢、下肢(骨格)等の画像が含まれる。参照モデル画像152には、参照画像と同様の人体の区分に応じた部位ごとの人体構造を表現したモデル画像が含まれる。標準参照画像151及び参照モデル画像152は、例えば、疾患名や既往歴に紐づけられている。標準参照画像151及び参照モデル画像152は、過去の検査対象の撮像画像の一例である。
【0037】
メモリ150は、特徴ごとの標準参照画像を記憶している。メモリ150は、例えば、年齢層ごとに性別及び体格が異なるヒトの疾患ごとの標準参照画像151を人体の部位ごとに記憶している。メモリ150は、標準参照画像と同様の特徴ごとの参照モデル画像152を記憶している。
【0038】
標準参照画像151及び参照モデル画像152は、2D画像(2次元画像)でもよいし、3D画像(3次元画像)でもよいし、3D画像に他の1次元、例えば時間を加えた4D画像(4次元画像)でもよい。標準参照画像151は、例えばCT画像でもよいし、MRI画像でもよい。参照モデル画像152は、例えばイラストやCG(Computer Graphics)などにより生成された画像でもよいし、人体モデルなどを撮像した画像でもよい。
【0039】
取得機能141は、診療医等の入力操作に応じて入力インターフェース120により送信される生成指示情報、添付要求情報、選択情報、画像編集情報を取得する。取得機能141は、検査の対象となる患者(以下、対象患者)に関する情報、例えば患者情報を取得する。取得機能141は、PACS40により送信された患者撮像画像41を取得する。取得機能141は、メモリ150に格納された標準参照画像151や参照モデル画像152を読み出して取得する。取得機能141は、取得部の一例である。
【0040】
オーダー生成機能142は、入力インターフェース120により送信された生成指示情報が取得機能141により取得された場合に、オーダー情報の生成を開始する。生成指示情報は、診療医等による任意のタイミングで送信される。生成指示情報は、例えば、HIS10におけるディスプレイに患者情報が表示されているときに送信される。
【0041】
オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報や患者情報等に基づいて、オーダー情報を編集して生成する。オーダー情報には、オーダーする検査の内容が示された検査目的情報が含まれる。検査目的情報には、例えばテキスト情報が含まれる。検査目的情報には、例えば、検査目的、患者の症状、患者の既往歴などが含まれる。検査目的情報は、診療医等が書き起こした文章でもよいし、その一部または全部が定型文または選択肢により選択された文でもよい。ここで生成された検査目的情報に、対象患者の患者情報が含まれる。
【0042】
オーダー生成機能142は、画像生成機能144により編集画像が生成された場合には、生成された編集画像をオーダー情報に添付する。画像生成機能144は、オーダー情報に編集画像が添付された後、診療医等の入力操作に応じて入力インターフェース120により生成指示情報が送信された場合に、送信された生成指示情報に基づいて、検査目的情報を再編集する。オーダー生成機能142は、検査目的情報を生成する前に、編集画像を予めオーダー情報に添付するようにしてもよい。
【0043】
特定機能143は、取得機能141により添付要求情報が取得された場合に、取得機能141により取得された患者情報に基づく参照画像候補を取得機能141に取得させる。患者情報は、検査目的情報に含まれる情報でもよいし、電子カルテシステム11により送信される情報でもよい。参照画像候補は、例えば、患者撮像画像41、標準参照画像151、及び参照モデル画像152のうち少なくとも1つである。特定機能143は、選択した参照画像候補を取得機能141に取得させる。
【0044】
特定機能143は、取得機能141により取得された参照画像候補をディスプレイ130に表示させる。特定機能143は、取得機能141により取得された参照画像候補の中から、対象患者に対応する参照画像を特定する。特定機能143は、取得機能141により取得された選択情報に基づいて、参照画像候補の中から参照画像を選択する。
【0045】
特定機能143は、例えば、患者情報、特に患者情報に含まれる対象患者の特徴に基づいて、参照画像を特定してもよい。この場合、特定機能143は、参照画像候補を選択することなく、特定した参照画像を取得機能141に取得させる。標準参照画像151や参照モデル画像152が特徴ごとにメモリ150に記憶されていない場合には、特定機能143は、患者情報に応じた情報に基づいて参照画像を特定してもよい。特定機能143は、1枚の参照画像を特定してもよいし複数枚の参照画像を特定してもよい。特定機能143は、特定部の一例である。
【0046】
画像生成機能144は、取得機能141により取得された画像編集情報に基づいて特定機能143により特定された参照画像を編集した編集画像を生成する。編集画像は、テキスト情報で示される検査目的を補助するために検査目的情報に添付される画像である。診療医等は、例えば、編集画像を補助的に用いることにより、テキスト情報では伝えにくいまたは伝えきれない指示の内容等を説明する。
【0047】
画像生成機能144は、例えば、参照画像の撮像方向を変化させた編集画像を生成する。画像生成機能144は、例えば、参照画像の撮像範囲を変化させた編集画像を生成する。画像生成機能144は、患者情報やその他の情報に基づいて参照画像を編集した編集画像を生成してもよいし、取得機能141により取得された画像編集情報に基づいて参照画像を編集した編集画像を生成してもよい。画像生成機能144は、生成部の一例である。
【0048】
送信機能145は、オーダー生成機能142により生成されたオーダー情報を、通信インターフェース110を用いてRIS20に送信する。オーダー情報に編集画像が添付されて検査目的情報及び編集画像が含まれる場合には、送信機能145は、検査目的情報及び編集画像が含まれるオーダー情報をRIS20に送信する。送信機能145は、送信部の一例である。
【0049】
送信機能145は、検査目的情報のみ、または、検査目的情報及び編集画像が含まれるオーダー情報をRIS20に送信するが、他の態様でオーダー情報等を送信してもよい。例えば、送信機能145は、検査目的情報と編集画像とを紐づけられるようにした上で検査目的情報及び編集画像を個別にRIS20に送信してもよい。あるいは、送信機能145は、検査目的情報をRIS20に送信し、編集画像に画像データIDを添付してPACS40に送信してもよい。この場合、送信機能145は、編集画像に添付した画像データIDを検査目的情報に添付してRIS20に送信し、RIS20がPACS40から編集画像を取得できるようにしてもよい。
【0050】
次に、医用情報処理システム100における処理について説明する。
図3は、第1実施形態の医用情報処理システム100における処理の一例を示すフローチャートである。医用情報処理システム100は、入力インターフェース120により送信される生成指示情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。生成指示情報を取得していないと判定した場合、医用情報処理システム100は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0051】
生成指示情報を取得したと判定した場合、医用情報処理システム100は、取得機能141において、電子カルテシステム11により送信される患者情報を取得する(ステップS103)。続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報及び患者情報に基づいて、画像検査オーダーの目的を示す検査目的情報を生成する(ステップS105)。
【0052】
続いて、オーダー生成機能142は、入力インターフェース120により送信される添付要求情報を取得機能141が取得したか否かに基づいて、オーダー情報に編集画像を添付するか否かを判定する(ステップS107)。取得機能141が添付要求情報を取得しておらず、編集画像を添付しないと判定した場合、オーダー生成機能142は、処理をステップS121に進める。
【0053】
添付要求情報を取得しており、編集画像を添付すると判定した場合、取得機能141は取得した患者情報に基づいて、複数の参照画像候補を取得する(ステップS109)。取得機能141は、参照画像候補を取得するために、患者情報に含まれる特徴をPACS40に送信する。PACS40は、患者情報に含まれる特徴に対応する患者撮像画像41を送信する。取得機能141は、患者情報に含まれる特徴に対応する標準参照画像151や参照モデル画像152を読み出して取得する。
【0054】
特定機能143は、取得機能141が取得した患者撮像画像41、標準参照画像151、及び参照モデル画像152を参照画像候補としてディスプレイ130に表示させる(ステップS111)。例えば、患者情報に含まれる患者IDに相当する患者撮像画像41がPACS40に保存されている場合に、特定機能143は、その患者撮像画像を参照画像候補として取得機能141に取得させてディスプレイ130に表示させる。
【0055】
例えば、患者情報に疑い疾患名が含まれている場合には、患者撮像画像41、標準参照画像151、及び参照モデル画像152の中から、その疑い疾患名と同じ疾患と紐づいた画像と、鑑別疾患(疑い疾患と同じ症状を呈するため鑑別が必要な別の疾患)と紐づいた画像を、参照画像候補としてディスプレイ130に表示させる。例えば、患者情報に既往歴があれば、患者撮像画像41、標準参照画像151、及び参照モデル画像152の中から、その既往歴にある疾患名と同じ疾患と紐づいた画像を、参照画像候補として表示させる。
【0056】
ディスプレイ130を見た診療医等は、編集画像の生成に利用できる1つまたは複数の参照画像候補を指定する入力インターフェース120の入力操作を実行する。入力インターフェース120は、入力操作に応じた選択情報を処理回路140に出力する。取得機能141は、入力インターフェース120により送信された選択情報を取得する。
【0057】
続いて、特定機能143は、入力インターフェース120により出力され取得機能141により取得された選択情報に基づいて、参照画像候補の中から診療医等が指定した1つまたは複数の参照画像候補を選択する。特定機能143は、選択した参照画像候補を参照画像として特定する(ステップS113)。
【0058】
続いて、画像生成機能144は、特定機能143により特定された参照画像を編集して編集画像を生成する(ステップS115)。編集画像を生成する処理については、後にさらに説明する。続いて、オーダー生成機能142は、オーダー情報に編集画像を添付する(ステップS117)。
【0059】
続いて、オーダー生成機能142は、画像検査オーダーに含まれる検査目的情報及び編集画像をディスプレイ130に表示させる。診療医等は、ディスプレイ130の表示を見ながら、検査目的情報の文章を再構築する入力インターフェース120の入力操作を実行する。入力インターフェース120は、入力操作に応じた生成指示情報を処理回路140に出力する。取得機能141は、入力インターフェース120により送信された生成指示情報を取得する。
【0060】
続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報に基づいて、検査目的情報を再編集する(ステップS119)。続いて、送信機能145は、オーダー生成機能142により生成または再編集された画像検査オーダーをRIS20に送信する(ステップS121)。こうして、医用情報処理システム100は、
図3に示す処理を終了する。
【0061】
次に、編集画像を生成する処理について説明する。
図4は、医用情報処理システム100における処理の一例を示すフローチャートである。
図4では、編集画像を生成する処理を中心として医用情報処理システム100の処理を説明している。編集画像を生成するにあたり、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報に応じて編集画像を編集して生成する。
【0062】
オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報が、撮像範囲を変化させるために、撮像範囲を指定する指示を示すか否かを判定する(ステップS201)。生成指示情報が撮像範囲を指定する指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、例えば、空間的な情報としての撮像範囲を編集対象とする(ステップS203)。生成指示情報が撮像範囲を指定しない指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、ステップS203の処理をスキップする。
【0063】
続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報が、撮像方向を変化させるために、撮像方向を指定する指示を示すか否かを判定する(ステップS205)。生成指示情報が撮像方向を指定する指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、例えば、空間的な情報としての撮像方向を編集対象とする(ステップS207)。生成指示情報が撮像方向を指定しない指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、ステップS207の処理をスキップする。
【0064】
続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報が除去する撮像領域を指定する指示を示すか否かを判定する(ステップS209)。生成指示情報が除去する撮像領域を指定する指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、不要撮像領域の除去を編集対象とする(ステップS211)。生成指示情報が除去する撮像領域を指定しない指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、ステップS211の処理をスキップする。
【0065】
続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報が画像フィルタを指定する指示を示すか否かを判定する(ステップS213)。生成指示情報が画像フィルタを指定する指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、画像フィルタを編集対象とする(ステップS215)。生成指示情報が画像フィルタを指定しない指示を示すと判定した場合、オーダー生成機能142は、ステップS215の処理をスキップする。
【0066】
続いて、オーダー生成機能142は、編集対象となった項目について、取得機能141により取得された生成指示情報に基づいて、参照画像を編集して編集画像を生成する(ステップS217)。こうして、医用情報処理システム100は、
図4に示す処理を終了し、
図3のステップS117に処理を進める。
【0067】
次に、参照画像を編集して編集画像を生成する第1の例について説明する。
図5は、参照画像GA10及び編集画像GA11の一例を示す図である。
図5の(a)に示す参照画像GA10は、3D腹部造影MRI画像である。第1の例では、特定の肝動脈に注目した画像検査オーダーを発行する。
【0068】
第1の例での生成指示情報は、特定の肝動脈に注目した指示を含む情報である。
図5の(b)に示す編集画像GA11は、参照画像GA10の範囲及び方向を変化させて調整し、肝動脈に注目した画像となるように編集された画像である。このように、オーダー生成機能142は、生成指示情報に応じた編集画像GA11を生成する。
【0069】
続いて、参照画像を編集して編集画像を生成する第2の例について説明する。
図6は、参照画像GA20及び第1編集画像GA21から第4編集画像GA24の一例を示す図である。
図6の(a)に示す参照画像GA20及び
図6の(b)から(e)に示す第1編集画像GA21から第4編集画像GA24は、いずれも3D胸部CTモデル画像である。第2の例では、特定の方向から患者の胸部に注目した画像検査オーダーを発行する。
【0070】
第2の例での生成指示情報は、特定の方向から患者の胸部を注目する指示を含む情報である。編集画像を生成するにあたり、オーダー生成機能142は、参照画像GA20の3D胸部CTモデル画像を回転させて、見る方向を変えた画像を順次ディスプレイ130に表示させる。診療医等は、ディスプレイ130に順次表示される3D胸部CTモデル画像の中から、
図6の(b)から(e)のそれぞれに示す第1編集画像GA21から第4編集画像GA24のいずれかを選択する。オーダー生成機能142は、診療医等により選択された画像を編集画像として生成する。
【0071】
次に、参照画像を編集して編集画像を生成する第3の例について説明する。
図7は、参照画像GA30及び第1編集画像GA31から第3編集画像GA33の一例を示す図である。
図7の(a)に示す参照画像GA30は、3D足CT画像である。第3の例では、例えば、右足の一部に骨折などがあり、特定の方向から見た右足に注目した画像検査オーダーを発行する。
【0072】
第3の例での生成指示情報は、特定の方向から患者の足を注目する指示を含む情報である。編集画像を生成するにあたり、オーダー生成機能142は、参照画像GA30の3D足CT画像を回転させて、見る方向を変えた画像を順次ディスプレイ130に表示させる。診療医等は、ディスプレイ130に順次表示される3D足CT画像の中から、
図7の(b)から(d)のそれぞれに示す第1編集画像GA31から第3編集画像GA33のいずれかを選択する。オーダー生成機能142は、診療医等により選択された画像を編集画像として生成する。
【0073】
次に、参照画像を編集して編集画像を生成する第4の例について説明する。
図8は、参照画像GA40及び編集画像GA41の一例を示す図である。第4の例では、例えば、胃に注目した画像検査オーダーを発行する。
【0074】
第4の例での生成指示情報は、患者の胃に注目する指示を含む情報である。編集画像を生成するにあたり、オーダー生成機能142は、
図8の(a)に示す参照画像GA40をディスプレイ130に表示させる。オーダー生成機能142は、胃が見えるようにするために、胃以外の臓器が表示された領域を除去して、胃が見えやすくなるように編集された画像を生成する。このように、オーダー生成機能142は、生成指示情報に応じて、
図8の(b)に示す編集画像GA41を生成する。
【0075】
次に、参照画像を編集して編集画像を生成する第5の例について説明する。
図9は、参照画像GA50、第1編集画像GA51、及び第2編集画像GA52の一例を示す図である。
図9の(a)に示す参照画像GA50は、3D腹部造影MRI画像である。第5の例において、生成指示情報は、画像の見え方の情報を指定する。画像の見え方の情報は、例えば、画像の精細の程度、最終的な画像イメージの情報を含む。
【0076】
第5例での生成指示情報は、例えば、参照画像に適用するシャープネス画像フィルタまたはスムージング画像フィルタなどの画像フィルタを指定して、検査に必要な画像の精細の程度を指定する。
図9の(b)に示す第1編集画像GA51は、参照画像GA50にシャープネス処理を施して編集した画像である。
図9の(c)に示す第2編集画像GA52は、参照画像GA50にスムージング処理を施して編集した画像である。
【0077】
一般に撮像は高精細に撮るほど撮像時間が長く高コストである。一方、検査目的の達成に必要な精細の程度は必ずしも高くないこともある。例えば、肝臓全体が少なからず造影されていて肝動脈の深刻な血流障害が無いこと、を確認することが検査目的であることがある。この検査目的を達成するためには、肝臓全体が造影によって高信号を呈していることが確認できる画像が得られれば十分であり、細かな脈管構造が確認できるほどの高精細な画像は不要である。したがって、このような場合には、参照画像GA50にスムージング処理を施して編集した第2編集画像GA52を生成することにより、コストの低減を図ることができる。
【0078】
次に、参照画像を編集して編集画像を生成する第6の例について説明する。
図10は、参照画像GA60及び編集画像GA61の一例を示す図である。
図10の(a)に示す参照画像GA60は、3D腹部造影MRI画像である。第6の例において、生成指示情報は、第1の例における範囲及び方向の指示に加えて、ボリュームレンダリング処理を指定した最終的な画像イメージを指示した情報である。
【0079】
オーダー生成機能142は、生成指示情報に基づいてボリュームレンダリング処理を実行することによって画像の見え方を立体的に処理した編集を行い、
図10の(b)に示す編集画像GA61を生成する。このような処理がされることにより、患者に病状などを説明する際の患者の理解度を向上させたり、手術計画を生成する際の出術手技の検討に役立てたりすることができる。
【0080】
上記の各例では、オーダー生成機能142は、参照画像を編集して編集画像を生成する際に、画像自体の編集をしているが、これらの編集をする前またはした後の画像に矢印や丸印などを付加する編集をしてもよい。例えば、検査対象として注目する部位がある場合に、オーダー生成機能142は、その部位を丸印で囲み、矢印で指し示す記号を付加し、テキスト情報でその内容を説明するようにしてもよい。また、編集画像は、診療医等による入力操作に応じた画像編集情報に基づいて生成されるが、編集画像は、診療医等による入力操作に応じた画像編集情報以外の情報に基づいて生成されてもよい。編集画像は、例えば、病変の症状、進行度合いに応じて生成されてもよい。
【0081】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、編集画像を生成する際に参照画像に対して行われた操作の履歴情報や、編集の意図を伝えるための説明情報が、画像検査オーダーに対して付加される点で、上述した第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と共通する点については説明を省略する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明する。
【0082】
図11は、第2実施形態の医用情報処理システム200の構成の一例を示すブロック図である。第1の実施形態の医用情報処理システム100と比較して、医用情報処理システム200の処理回路140は、履歴情報設定機能146と、説明情報設定機能147とをさらに備える。
【0083】
履歴情報設定機能146は、診療医等のユーザの入力操作に応じて入力インターフェース120により送信される選択情報、画像編集情報などに基づいて、参照画像に対して操作がなされているときの操作の履歴情報を取得する。参照画像に対して操作がなされているときとは、例えば、参照画像候補が取得されてから、編集画像が生成されるまでの間の全体または一部である。履歴情報設定機能146は、履歴情報として、例えば、参照画像に対して操作がなされているときに、ディスプレイ130に表示されている画面の遷移を表す動画情報を取得する。また、履歴情報設定機能146は、履歴情報として、例えば、参照画像に対して操作がなされているときに、生成指示情報、添付要求情報、選択情報、画像編集情報の各種操作イベントを示すテキスト情報を取得する。このような履歴情報により、ユーザがどの参照画像候補を選択し、選択した参照画像に対してどのような編集処理を行ったのか(編集処理の内容、順番等)を把握することが可能となる。履歴情報設定機能146は、履歴情報設定部の一例である。履歴情報設定機能146は、参照画像に対する操作の履歴を示す履歴情報を設定する。
【0084】
説明情報設定機能147は、編集画像が生成された後に、診療医等のユーザの入力操作に応じて入力インターフェース120により送信される説明情報に基づいて、編集画像のキャプション情報(編集画像に添えられる説明文)や、編集画像のアノテーション情報(編集画像上に表示される文字列や、編集画像上に表示される矢印や手書きの線)を設定する。説明情報設定機能147は、説明情報設定部の一例である。説明情報設定機能147は、編集画像に対して説明情報を設定する。
【0085】
次に、医用情報処理システム200における処理について説明する。
図12は、第2実施形態の医用情報処理システム200における処理の一例を示すフローチャートである。医用情報処理システム200は、入力インターフェース120により送信される生成指示情報を取得したか否かを判定する(ステップS101)。生成指示情報を取得していないと判定した場合、医用情報処理システム200は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0086】
生成指示情報を取得したと判定した場合、医用情報処理システム200は、取得機能141において、電子カルテシステム11により送信される患者情報を取得する(ステップS103)。続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報及び患者情報に基づいて、画像検査オーダーの目的を示す検査目的情報を生成する(ステップS105)。
【0087】
続いて、オーダー生成機能142は、入力インターフェース120により送信される添付要求情報を取得機能141が取得したか否かに基づいて、オーダー情報に編集画像を添付するか否かを判定する(ステップS107)。取得機能141が添付要求情報を取得しておらず、編集画像を添付しないと判定した場合、オーダー生成機能142は、処理をステップS121に進める。
【0088】
添付要求情報を取得しており、編集画像を添付すると判定した場合、履歴情報設定機能146は、参照画像に対して操作がなされているときの操作の履歴情報の取得を開始する(ステップS301)。
【0089】
次に、取得機能141は取得した患者情報に基づいて、複数の参照画像候補を取得する(ステップS109)。特定機能143は、取得機能141が取得した患者撮像画像41、標準参照画像151、及び参照モデル画像152を参照画像候補としてディスプレイ130に表示させる(ステップS111)。
【0090】
続いて、特定機能143は、入力インターフェース120により出力され取得機能141により取得された選択情報に基づいて、参照画像候補の中から診療医等が指定した1つまたは複数の参照画像候補を選択する。特定機能143は、選択した参照画像候補を参照画像として特定する(ステップS113)。続いて、画像生成機能144は、特定機能143により特定された参照画像を編集して編集画像を生成する(ステップS115)。
【0091】
次に、履歴情報設定機能146は、履歴情報の取得を終了する(ステップS303)。また、説明情報設定機能147は、診療医等のユーザの入力操作に応じて入力インターフェース120により送信される説明情報を、編集画像に設定する(ステップS305)。
【0092】
続いて、オーダー生成機能142は、オーダー情報に、編集画像、履歴情報、および説明情報を添付する(ステップS307)。
【0093】
続いて、オーダー生成機能142は、画像検査オーダーに含まれる検査目的情報、編集画像、履歴情報、および説明情報をディスプレイ130に表示させる。診療医等は、ディスプレイ130の表示を見ながら、検査目的情報の文章を再構築する入力インターフェース120の入力操作を実行する。入力インターフェース120は、入力操作に応じた生成指示情報を処理回路140に出力する。取得機能141は、入力インターフェース120により送信された生成指示情報を取得する。
【0094】
続いて、オーダー生成機能142は、取得機能141により取得された生成指示情報に基づいて、検査目的情報を再編集する(ステップS119)。続いて、送信機能145は、オーダー生成機能142により生成または再編集された画像検査オーダーをRIS20に送信する(ステップS121)。こうして、医用情報処理システム200は、
図12に示す処理を終了する。
【0095】
図13は、第3編集画像GA33に対して説明情報が付与されている様子を示す図である。
図13に示す例では、
図7の(d)に示す第3編集画像GA33に対して、キャプション情報CA1として「右足の足首が骨折している可能性があります。右足の足首を上方から撮影して下さい。」の説明文が付与されている。さらに、第3編集画像GA33に対して、アノテーション情報AN1として撮影方向を示す矢印と、アノテーション情報AN2として「矢印の方向から撮影して下さい。」の文字列が付与されている。このように、編集画像に対して、説明情報が付与されることで、診療医等により行われた編集操作の意図を画像検査オーダー上で明らかにすることができる。
【0096】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、検査対象に関する情報を取得する取得部と、前記検査対象に関する情報に基づいて、前記検査対象に対応する参照画像を特定する特定部と、前記参照画像を編集することにより生成された編集画像を生成する画像生成部と、前記編集画像が添付されたオーダー情報を送信する送信部と、を持つことにより、検査に関する指示内容を正確かつ容易に伝えることができる。
【0097】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0098】
1…病院内システム
10…HIS
11…電子カルテシステム
20…RIS
30…モダリティ
40…PACS
41…患者撮像画像
100,200…医用情報処理システム
110…通信インターフェース
120…入力インターフェース
130…ディスプレイ
140…処理回路
141…取得機能
142…オーダー生成機能
143…特定機能
144…画像生成機能
145…送信機能
146…履歴情報設定機能
147…説明情報設定機能
150…メモリ
151…標準参照画像
152…参照モデル画像