(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001014
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】空調ファン衣服の冷却・加温装置
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20221222BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042283
(22)【出願日】2022-03-17
(31)【優先権主張番号】P 2021100740
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114606
【氏名又は名称】モリト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087815
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 昭二
(72)【発明者】
【氏名】栢葉 崇
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外気を取り入れるだけでなく、保冷剤を併用して積極的に冷気を衣服内に循環させるようにした衣服用の冷却装置を提供する。
【解決手段】ハウジングと、前記ハウジングに内蔵された吸気ファン(6)と、前記ハウジングに内蔵された排気ファン(4)と、前記吸気ファン(6)と前記排気ファン(4)の間に着脱自在に設けられる保冷剤と、前記吸気ファン(6)と前記排気ファン(4)の駆動回路とを有することを特徴とする空調ファン衣服の冷却装置である。前記吸気ファン(6)と前記保冷剤の間、及び、前記排気ファン(4)と前記保冷剤の間がそれぞれ通気可能な開口を有する金属製の仕切り板で仕切られていることが好ましい。保冷剤を発熱剤に取り換えることにより、衣服の加温装置とすることもできる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ファン衣服の冷却装置(1,1A)であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに内蔵された吸気ファン(6,6A)と、
前記ハウジングに内蔵された排気ファン(4,4A)と、
前記吸気ファン(6,6A)と前記排気ファン(4,4A)の間に着脱自在に設けられる保冷剤(8,8A)と、
前記吸気ファン(6,6A)と前記排気ファン(4,4A)の駆動回路
とを有することを特徴とする空調ファン衣服の冷却装置。
【請求項2】
前記吸気ファン(6,6A)と前記保冷剤(8,8A)の間、及び、前記排気ファン(4,4A)と前記保冷剤(8,8A)の間がそれぞれ通気可能な開口を有する金属製の仕切り板(5,7;5A,7A)で仕切られている請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ハウジングの内面が金属シート(24,34)でカバーされている請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】
空調ファン衣服の冷却装置であって、
ハウジング(21B)と、
前記ハウジングに内蔵された吸排気ファン(46B)と、
前記吸吸気ファン(46B)に隣接して着脱自在に設けられる保冷剤(8B)と、
前記吸排気ファン(46B)の駆動回路と
を有することを特徴とする空調ファン衣服の冷却装置。
【請求項5】
前記ハウジング(21B)が内側壁(21B1)と外側壁(21B2)からなる二重壁である請求項1~4のいずれかに記載の冷却装置。
【請求項6】
空調ファン衣服の加温装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに内蔵された吸気ファンと、
前記ハウジングに内蔵された排気ファンと、
前記吸気ファンと前記排気ファンの間に着脱自在に設けられる発熱剤と、
前記吸気ファンと前記排気ファンの駆動回路と
を有することを特徴とする空調ファン衣服の加温装置。
【請求項7】
空調ファン衣服の加温装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジングに内蔵された吸排気ファンと、
前記吸吸気ファンに隣接して着脱自在に設けられる発熱剤と、
前記吸排気ファンの駆動回路と
を有することを特徴とする空調ファン衣服の加温装置。
【請求項8】
前記ハウジングが内側壁と外側壁からなる二重壁である請求項6又は7記載の加温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調ファン衣服の冷却・加温装置に関する。本発明はもともと空調ファン衣服の冷却用に開発されたものであり、その目的に使用するのが一般的である。しかし、熱媒体を保冷剤から発熱剤に変更することにより、容易に加温用に変更することができる。
【背景技術】
【0002】
室内室外を問わず、高温環境下で仕事や運動をしなければならないときがある。そのようなとき、過酷な条件が重なると、熱中症などで心身に異常をきたして、最悪のケースでは死に至ることもある。
【0003】
そのような事態を防止するため、近年、衣服にポケットを設けて保冷剤を入れたり、衣服に空調ファンを取り付けたりすることが多くなってきている。下記特許文献参照。
【0004】
しかし、単に保冷剤を入れるだけでは、時間の経過とともに比較的に早く冷却効果が薄れていく。空調ファンは衣服内に外気を取り込んで送風するだけであるので、冷却効果が十分でないことが多いようである。
【0005】
逆に寒冷地ではカイロを使用したり電熱ベストを着用したりするのが一般的であり、それであまり大きな問題はない。しかし、夏の冷却と冬の加温に熱媒体を取り換えるだけで共通使用することができる装置があれば好都合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-193622
【特許文献2】特開2020-111844
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、単に外気を取り入れるだけでなく、保冷剤を併用して積極的に冷気を衣服内に循環させるようにした衣服用の冷却装置を提供することを目的とする。また、この冷却装置の保冷剤を発熱剤に取り換えることにより、衣服用の加温装置にも転用することのできる装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の形態では、空調ファン衣服の冷却装置であって、ハウジングと、前記ハウジングに内蔵された吸気ファンと、前記ハウジングに内蔵された排気ファンと、前記吸気ファンと前記排気ファンの間に着脱自在に設けられる保冷剤と、前記吸気ファンと前記排気ファンの駆動回路とを有することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記吸気ファンと前記保冷剤の間、及び、前記吸気ファンと前記保冷剤の間がそれぞれ通気可能な開口を有する金属製の仕切り板で仕切られている。このようにすることで、冷気の循環の効率を高めることができる。
【0010】
好ましくは、前記ハウジングの内面が金属シートでカバーされている。これによっても冷気の循環の効率を高めることができる。
【0011】
本発明の第2の形態では、上記構成における吸気ファンと排気ファンを一体化させて、単一の吸排気ファンとする。この単純化された構成の下では、本発明は空調ファン衣服の冷却装置であって、ハウジングと、前記ハウジングに内蔵された吸排気ファンと、前記吸吸気ファンに隣接して着脱自在に設けられる保冷剤と、前記吸排気ファンの駆動回路とを有することを特徴とする。
【0012】
第3の形態の本発明では、第1の観点における保冷剤を発熱剤に取り換えることにより、衣服の加温装置とする。すなわち、空調ファン衣服の加温装置であって、ハウジングと、前記ハウジングに内蔵された吸気ファンと、前記ハウジングに内蔵された排気ファンと、前記吸気ファンと前記排気ファンの間に着脱自在に設けられる発熱剤と、前記吸気ファンと前記排気ファンの駆動回路とを有することを特徴とする。
【0013】
第4の形態の本発明では、第2の観点における保冷剤を発熱剤に取り換えることにより、衣服の加温装置とする。すなわち、空調ファン衣服の加温装置であって、ハウジングと、前記ハウジングに内蔵された吸排気ファンと、前記吸吸気ファンに隣接して着脱自在に設けられる発熱剤と、前記吸排気ファンの駆動回路とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
第1の形態の本発明では、ハウジングに内蔵された吸気ファン及び排気ファンと、前記吸気ファンと前記排気ファンの間に着脱自在に設けられる保冷剤を有するので、外気を取り入れるだけでなく、保冷剤を併用して積極的に冷気を衣服内に循環させることができる。
【0015】
第2の形態の本発明では、ハウジングに内蔵された単一の吸排気ファンと、前記吸排気ファンに隣接して着脱自在に設けられる保冷剤を有するので、外気を取り入れるだけでなく、保冷剤を併用して積極的に冷気を衣服内に循環させることができる。
【0016】
第3、第4の形態の本発明では、第1、第2形態における保冷剤を発熱剤に取り換えることにより、衣服の加温装置とすることができ、夏の冷却と冬の加温に共通使用することができるので、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明実施例1の冷却装置の使用状態を示す側面図である。
【
図2】本発明実施例1の冷却装置全体の正面図である。
【
図3】本発明実施例1の冷却装置の(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図、(d)右側面、(e)底面図、(f)背面図である。
【
図5】(a)~(d)は、側面が見た本発明実施例1の冷却装置の上半分の形成過程を示す流れ図である。
【
図6】(a)~(c)は、底面から見た本発明実施例1の冷却装置の上半分の形成過程を示す流れ図である。
【
図7】(a)~(e)は、側面が見た本発明実施例1の冷却装置の下半分の形成過程を示す流れ図である。
【
図8】(a)~(c)は、平面から見た本発明実施例1の冷却装置の下半分の形成過程を示す流れ図である。
【
図9】本発明実施例1の冷却装置の仕切り板の(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図、(d)右側面、(e)底面図、(f)図(d)の矢視断面図である。
【
図10】本発明実施例2の冷却装置の使用状態を示す側面図である。
【
図11】本発明実施例2の冷却装置の全体概念図である。
【
図12】本発明実施例2の冷却装置の(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図、(d)底面図である。
【
図13】本発明実施例2の冷却装置のファン部分の(a)平面図、(b)正面図、(c)底面図である。
【
図14】本発明実施例2の冷却装置の仕切り板の(a)平面図、(b)側面図である。
【
図15】本発明実施例3の冷却装置の全体図である。
【
図16】本発明実施例3の冷却装置の(a)平面図、(b)左側面図、(c)正面図、(d)右側面図、(e)背面図、(f)底面図である。
【
図19】本装置の上半分(上蓋)を開いて内側を見た図面である。(a)は上蓋を内側から見た正面図、(b)は下半分の装置主要部を内側から見た正面図である。
【
図20】本装置の開閉可能な後端扉を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施例を説明する。
【実施例0019】
図1~
図9は本発明の実施例1に係る冷却装置である。
【0020】
使用状態を示す
図1のように、この冷却装置1は使用者Uの体にベルトBなどで取り付ける。この例では、装置1を背中にあてがってベルトBで体に固定している。この装置1にベルトBを挿通させるための挿通穴36が装置1の表面に設けられている(
図4参照)。
【0021】
この装置1は正面から見れば、
図2、3からわかるように、厚みの薄い湯たんぽのような形状であり、電源10から電線11で電気を取り込む。電源は外部の交流電源でもよいし、内蔵の直流電源(電池)でもよい。
図1ではパソコンのUSB直流電源10を使用している。電源のON、OFFを選択するスイッチ12も設けられている。
【0022】
さらに詳しくみてみると、この装置1は、
図3、
図4に示すように、上半分2と下半分3に2分割することができるハウジング2,3を有する。後記するように、ハウジングの上下部分2,3は、分離させて中の保冷剤8を取り換える必要があるので、指の力で分離させられる程度の強度で接合されている。ハウジング2,3は、使用者Uの肌側に下半分3が当接し、上半分が外方に面する。
【0023】
図5、6はこの装置のハウジング上半分2の形成過程を示すものであり、
図7、8はこの装置の下半分3の形成過程を示すものである。
【0024】
まず、上半分2から述べると、
図5(a)、
図6(a)が、この装置の上半分2、いわば上蓋にあたる。平面形状は楕円形の本体21を有し、本体輪郭部分から短い側壁22が垂下している。本体楕円の左端部がやや内向きに傾斜して傾斜部23を形成している。この上蓋2は金属板又は合成樹脂板からなるのが好ましい。
【0025】
図5(b)、
図6(b)に示すように、上蓋2の内表面には伝熱特性に優れた金属シート24(例えばアルミニウム、鉄、銅など)が貼り付けられている。前記傾斜部23のアルミニウムシート24の上にそれ自体公知の排気ファン4が取り付けられている。
【0026】
図5(c)、
図6(c)に示すように、排気ファン4の上から第1仕切り板5がビス53などで取り付けられる。第1仕切り板5の詳細を
図9に示す。第1仕切り板5は左右端部が中央部に比べやや狭く形成されているとともに、排気ファン4の設定位置において段差が設けられれている。第1仕切り板5は伝熱特性に優れた金属板(アルミニウム、鉄、銅など)が好ましい。この第1仕切り板5の中央下部には四角い箱状の中空スペース51が形成されている。第1仕切り板5の左側先端部には排気ファン4の通気を妨げないように多数の小孔52(
図6(c)、
図9(c))があけられている。
【0027】
下半分の
図7(d)が下半分3(下蓋)にあたる。平面形状は楕円形の本体31を有し、本体輪郭部分から短い側壁32が起立している。楕円の右端部がやや内向きに傾斜して傾斜部33を形成している。この下蓋3も金属板又は合成樹脂板からなるのが好ましい。傾斜部33には空気取り入れ口35が形成されている。傾斜部33に空気取り入れ口35を設けているのは、傾斜部33の方が直線部よりも、人体との間に、空気取り入れのための隙間を作りやすいからである。
【0028】
図7(c)、
図8(b)に示すように、下蓋3の内表面に伝熱特性に優れた金属シート34(例えばアルミニウム、鉄、銅など)を貼り付ける。前記傾斜部33のアルミニウムシート34の上にそれ自体公知の吸気ファン6が取り付けられている。
【0029】
図7(b)、
図8(c)に示すように、吸気ファン6の上から第2仕切り板7がビスなどで取り付けられる。第2仕切り板7は伝熱特性に優れた金属板(アルミニウム、鉄、銅など)が好ましい。この第2仕切り板7の中央下部には四角い箱状の中空スペース71が形成されている。第2仕切り板7の左側先端部には吸気ファン6の通気を妨げないように多数の小孔72(
図8(c))があけられている。第2仕切り板7は上半分2で使用した第1仕切り板5と同じ構造であり、上半分2の説明で使用した
図9を参照されたい。
【0030】
上下蓋2,3により形成される中央の中空スペース51,71には
図7(a)、(e)、
図4に示すようなそれ自体公知の袋入り保冷剤8が挿入される。
【0031】
すなわち、この冷却装置1は楕円形の箱の中において、左右端に排気ファン4と吸気ファン6を設け、両者の間に保冷剤8を挿入したものである。吸気ファン6から取り入れた空気は保冷剤8により冷やされて、排気ファン4により排出される。排出冷気は衣服内面を冷やしながら循環し、襟元、袖口、衣服下部から外へ出ていく。保冷剤8の冷却効果が薄れたときには、上下蓋2,3を分離させて、冷却済みの新しい保冷剤と取り換える。
実施例1と同様に、実施例2の冷却装置1Aは、左右端に吸気ファン6Aと排気ファン4Aを設け、両者の間に保冷剤8Aを挿入したものである。吸気ファン6Aから取り入れた空気は保冷剤8Aにより冷やされて、排気ファン4Aにより排出される。排出冷気は衣服内面を冷やしながら循環し、襟元、袖口、衣服下部から外へ出ていく。保冷剤8の冷却効果が薄れたときには、上下蓋2,3を分離させて、冷却済みの新しい保冷剤と取り換える。