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特開2023-10140顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010140
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤
(51)【国際特許分類】
   C09B 67/20 20060101AFI20230113BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20230113BHJP
   C09B 35/24 20060101ALI20230113BHJP
   D06P 1/44 20060101ALI20230113BHJP
   C09D 17/00 20060101ALI20230113BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230113BHJP
   D01F 6/46 20060101ALI20230113BHJP
   C09B 57/00 20060101ALN20230113BHJP
   C09B 1/22 20060101ALN20230113BHJP
   C09B 57/04 20060101ALN20230113BHJP
   C09B 19/02 20060101ALN20230113BHJP
   C09B 47/04 20060101ALN20230113BHJP
   C09B 47/10 20060101ALN20230113BHJP
   B41M 5/00 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
C09B67/20 L
C09B67/46 B
C09B35/24
D06P1/44 Z
C09D17/00
G02B5/20 101
D01F6/46 B
C09B57/00 Z
C09B1/22
C09B57/04
C09B19/02
C09B47/04
C09B47/10
B41M5/00 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114054
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000002820
【氏名又は名称】大日精化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098707
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 利英子
(74)【代理人】
【識別番号】100135987
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 重慶
(74)【代理人】
【識別番号】100168033
【弁理士】
【氏名又は名称】竹山 圭太
(74)【代理人】
【識別番号】100161377
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 薫
(72)【発明者】
【氏名】柳本 宏光
(72)【発明者】
【氏名】武尾 駿
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 誠七
【テーマコード(参考)】
2H148
2H186
4H157
4J037
4L035
【Fターム(参考)】
2H148BE36
2H148BF16
2H148BG01
2H148BH20
2H186FB15
2H186FB48
2H186FB55
4H157AA01
4H157BA15
4H157CA12
4H157CA29
4H157CA30
4H157CA33
4H157CB09
4H157DA01
4H157DA17
4H157DA24
4H157GA04
4J037EE08
4J037FF23
4L035AA05
4L035BB31
4L035JJ28
(57)【要約】
【課題】黒色アゾ顔料などの顔料粒子を分散状態で含有するインキや塗料などの液状物の流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料粒子の凝集を抑制することができ、かつ、異物の発生を防止しつつ、光学濃度に優れた着色物品を製造可能な顔料分散剤、それを用いた顔料組成物、及び顔料着色剤を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩である顔料分散剤、この顔料分散剤を含有する顔料組成物、及び顔料着色剤である。
(一般式(1)中、Xは置換基を有してもよい芳香族基を示す)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩である顔料分散剤。
(前記一般式(1)中、Xは置換基を有してもよい芳香族基を示す)
【請求項2】
前記一般式(1)中のXが、相互に独立に、下記一般式(1-a)~(1-c)のいずれかで表される請求項1に記載の顔料分散剤。
(前記一般式(1-a)~(1-c)中、*は窒素原子との結合位置を示す。前記一般式(1-a)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基を示す。前記一般式(1-b)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基を示す。前記一般式(1-c)中、R及びRは、相互に独立に水素原子、アルキル基、アルコシキ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はスルホンアミド基を示し、m及びnは、相互に独立に0~5の数を示し、m+nは5以下である)
【請求項3】
顔料と、請求項1又は2に記載の顔料分散剤と、を含有する顔料組成物。
【請求項4】
前記顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の含有量が、0.5~40質量部である請求項3に記載の顔料組成物。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する顔料着色剤。
【請求項6】
画像表示用、画像記録用、グラビア印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、塗料用、又はカラーフィルターのブラックマトリックス用である請求項5に記載の顔料着色剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料着色剤に関する。さらに詳しくは、印刷インキ(オフセットインキ、グラビアインキなど)、各種塗料、プラスチック、顔料捺染剤、電子写真用乾式トナー、電子写真用湿式トナー、インクジェット記録用インキ、熱転写記録用インキ、カラーフィルター用レジスト、筆記具用インキなどに配合される顔料分散剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗料、グラビアインキ、オフセットインキなどのビヒクル中に顔料(粒子)を安定した状態で混合分散させることは困難である。例えば、ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向にある。顔料粒子が凝集すると、ビヒクルの粘度は上昇してしまう。また、凝集した状態の顔料粒子を含有するビヒクルを用いると、インキや塗料の着色力が低下したり、塗膜のグロスが低下したりするなどの種々の問題が生じやすい。顔料のなかでも、黒色顔料を安定した状態で混合分散させることは特に困難である。
【0003】
塗料、印刷インキ、プラスチック用などの着色剤に用いられている黒色顔料としては、カーボンブラック系顔料や酸化鉄系顔料などが一般的である。これらの黒色顔料は、太陽光のうちの可視光領域を含む全ての光線を吸収することで黒色を呈している。
【0004】
太陽光は電磁波であり、概ね380nm~780nmの波長領域の光が可視光線である。このため、可視光線を全て吸収するだけでも黒色を呈する。可視光線よりも長波長側の波長領域であって、赤外線領域との間の0.8μm~2.5μm(800nm~2,500nm)の波長領域の光は、近赤外線と呼ばれている。カーボンブラック系顔料は、この近赤外線をも吸収する。なお、太陽光の波長領域において、特に熱に寄与する度合が大きいのは、近赤外線のなかでも800nm~1,400nmの波長領域の光であるとされている。
【0005】
上述の通り、カーボンブラック系顔料などの黒色顔料は、熱に寄与する度合いの大きい800nm~1,400nmの波長領域の近赤外線も吸収する。このため、黒色顔料で着色された物品は、太陽光を浴びることで昇温しやすいという課題があった。黒色顔料で着色された物品としては、カラーフィルター(以下、単に「CF」とも記す)を構成するブラックマトリックス(以下、単に「BM」とも記す)などの精緻な製品も数多く存在する。このため、太陽光を浴びても昇温しない黒色顔料や各種物品を黒色に着色する着色剤組成物等について種々検討されている。
【0006】
特許文献1では、可視光線を吸収して黒色を呈するとともに赤外線を反射する、アゾメチン基を有する黒色アゾ顔料が開示されている。また、赤外線を反射することから、この黒色アゾ顔料で着色することで、直射日光等によっても過度に昇温しない物品を得ることなどが提案されている。
【0007】
ところで、近年の情報化機器の目覚ましい発展に伴い、液晶カラーディスプレー(以下、単に「LCD」とも記す)が数多くの情報表示関連機器に情報表示部材として適用されている。それに伴い、LCDの表示品位の向上及び低コスト化が要望されている。このため、LCDに搭載されるCFに対しても、精細性、色濃度、光透過性、コントラスト性などの色彩特性や光学特性の面で、より優れた品質を有することが要求されている。
【0008】
CFでは、R(赤色)、G(緑色)、及びB(青色)の各画素がストライプ状、モザイク状、又はトライアングル状に配列されているとともに、不要な光を遮蔽すべく、各画素の周囲に格子状のBMが形成されている。そして、裏面からバックライトで光が照射され、R、G、及びBの各画素の透過光の加色混合で発色させて映像が形成されている。有彩色(RGB)画素には、赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料、及び紫色顔料などが使用されており、それぞれ改良されている。また、BMを構成する遮光性材料としては、基板サイズの大型化や環境負荷の低減等に対応すべく、従来の金属クロム膜から、黒色顔料を用いた樹脂膜へと移行しつつある。
【0009】
また、CFの画素の表示方式においても種々の改良が提案されており、それに付随して、BMに用いられる遮光性の黒色顔料についても改良されている。例えば、視野角を広げるべく、基板に対して平行に電界を印加して液晶層を変換させ、画素を表示するイン-プレーン・スイッチング方式(IPS方式)が提案されている。また、薄膜トランジスター(TFT)上にBMを形成したブラックマトリックス・オン・アレイ方式(BOA方式)や、カラーフィルター・オン・アレイ方式(COA方式)が提案されている。これらの方式では、開口率が高くなるために画素面積を広げることができる。さらには、貼り合わせ工程の効率が向上するため、作業工程についても合理化することができる。
【0010】
例えば、IPS方式で視野角をより広げるには、液晶層を挟む基板の間隔(セルギャップ)を精度高く一定に保つことが必要とされる。しかし、従来のビーズ状スペーサーを散布する方式では、セルギャップを均一に調整することが困難である。このため、セルギャップを均一に調整する方法として、BMそのものを厚くしたり、着色層やフォトレジスト層などの間隔を支持する樹脂をBM上に積層して厚くしたりする等の方法が提案されている。さらに、これらの方法の場合、従来のビーズ状スペーサーを使用しないため、光の散乱や透過による表示品質の低下を抑制することができるとされている(特許文献2及び3)。
【0011】
IPS方式、BOA方式、COA方式などの方式は、TFTなどのアクティブ素子上にBMを形成する方式であるため、BMが電気絶縁性でないとアクティブ素子が誤作動する可能性がある。遮光性の黒色顔料として従来用いられているカーボンブラック系顔料は電気抵抗が低いため、上記の方式に適用する黒色顔料として適当であるとは言えない。したがって、電気絶縁性により優れた遮光性の黒色顔料が要望されている。
【0012】
このような要望に対し、例えば、酸素量を規定したカーボンブラックを高絶縁性の樹脂皮膜で被覆して電気絶縁性を向上させたBM用の黒色顔料が提案されている(特許文献4)。また、体積抵抗値を測定して選別した絶縁性のカーボンブラック、又は樹脂で被覆して電気絶縁性を向上させたカーボンブラックを用いて形成したBMをCOA方式に適用することが提案されている(特許文献5)。しかし、カーボンブラック系顔料は本質的に導電性を有する材料であるため、樹脂被覆等した場合であっても十分な絶縁性を確保することは困難であった。
【0013】
一方、BMの絶縁性を確保すべく、特許文献1で提案された黒色アゾ顔料を用いることが提案されている(特許文献6)。しかし、特許文献1で提案された黒色アゾ顔料をビヒクル中に安定した状態で混合分散させることは困難であった。ビヒクル中に一旦分散した微細な顔料粒子は、そのビヒクル中で凝集する傾向にある。そして、顔料粒子が凝集したビヒクルの粘度は上昇する。また、凝集した顔料粒子を含有するビヒクルを用いると、インキや塗料の着色力が低下する、塗膜のグロスが低下する、又はBMを形成する遮光性材料としては光学濃度が不十分である等の課題が生じていた。
【0014】
黒色アゾ顔料等の顔料の粒子を分散媒体中に安定した状態で分散させるべく、顔料誘導体を分散剤として用いる方法や、顔料誘導体で処理した顔料を用いる方法などが提案されている。具体的には、PB15:6などのフタロシアニン系顔料を用いる場合には、フタロシアニンの置換誘導体を顔料分散剤として用いることが提案されている(特許文献7)。また、PR177などのアントラキノン系顔料を用いる場合には、アントラキノンの置換誘導体を顔料分散剤として用いることが提案されている(特許文献8)。さらに、PR254などのジケトピロロピロール系顔料を用いる場合には、ジケトピロロピロールの置換誘導体を顔料分散剤として用いることが提案されている(特許文献8)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特公平4-15265号公報
【特許文献2】特開2000-66018号公報
【特許文献3】特開2002-341332号公報
【特許文献4】特許第3543501号公報
【特許文献5】特許第4338479号公報
【特許文献6】特許第2819512号公報
【特許文献7】特開2002-55224号公報
【特許文献8】特開2001-240780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献7及び8で提案された顔料誘導体を用いても、特許文献1で提案された黒色アゾ顔料を媒体中に安定した状態で分散させるのは困難であった。また、特許文献7及び8で提案された顔料誘導体の色調は黒色ではないため、黒色の光学濃度が低下するといった課題もあった。
【0017】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、黒色アゾ顔料などの顔料粒子を分散状態で含有するインキや塗料などの液状物の流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料粒子の凝集を抑制することができ、かつ、異物の発生を防止しつつ、光学濃度に優れた着色物品を製造可能な顔料分散剤を提供することにある。また、本発明の課題とするところは、上記の顔料分散剤を用いて得られる顔料組成物及び顔料着色剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
すなわち、本発明によれば、以下に示す顔料分散剤が提供される。
[1]下記一般式(1)で表される化合物、その第4級アンモニウム塩、そのアミン塩、又はその金属塩である顔料分散剤。
【0019】
(前記一般式(1)中、Xは置換基を有してもよい芳香族基を示す)
【0020】
[2]前記一般式(1)中のXが、相互に独立に、下記一般式(1-a)~(1-c)のいずれかで表される前記[1]に記載の顔料分散剤。
【0021】
(前記一般式(1-a)~(1-c)中、*は窒素原子との結合位置を示す。前記一般式(1-a)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基を示す。前記一般式(1-b)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基を示す。前記一般式(1-c)中、R及びRは、相互に独立に水素原子、アルキル基、アルコシキ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はスルホンアミド基を示し、m及びnは、相互に独立に0~5の数を示し、m+nは5以下である)
【0022】
また、本発明によれば、以下に示す顔料組成物が提供される。
[3]顔料と、前記[1]又は[2]に記載の顔料分散剤と、を含有する顔料組成物。
[4]前記顔料100質量部に対する、前記顔料分散剤の含有量が、0.5~40質量部である前記[3]に記載の顔料組成物。
【0023】
さらに、本発明によれば、以下に示す顔料着色剤が提供される。
[5]前記[3]又は[4]に記載の顔料組成物と、皮膜形成材料と、を含有する顔料着色剤。
[6]画像表示用、画像記録用、グラビア印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、塗料用、又はカラーフィルターのブラックマトリックス用である前記[5]に記載の顔料着色剤。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、黒色アゾ顔料などの顔料粒子を分散状態で含有するインキや塗料などの液状物の流動性を著しく改善可能であるとともに、顔料粒子の凝集を抑制することができ、かつ、異物の発生を防止しつつ、光学濃度に優れた着色物品を製造可能な顔料分散剤を提供することができる。また、本発明によれば、上記の顔料分散剤を用いて得られる顔料組成物及び顔料着色剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<顔料分散剤>
以下、好ましい実施形態を例に挙げて本発明の詳細について説明する。本発明の顔料分散剤は、下記一般式(1)で表される化合物であることを主要な特徴の一つとする。このような特徴を有する本発明の顔料分散剤は、種々の顔料に対して優れた親和性を有しており、有機・無機を問わず、様々な顔料を分散させるための顔料分散剤として好適に使用することができる。また、本発明の顔料分散剤は、優れた顔料分散効果を有しているので、種々の用途の顔料着色剤を調製するための材料として使用することができる。
【0026】
(前記一般式(1)中、Xは置換基を有してもよい芳香族基を示す)
【0027】
一般式(1)中のXは、相互に独立に、下記一般式(1-a)~(1-c)のいずれかで表される基であることが好ましい。
【0028】
(前記一般式(1-a)~(1-c)中、*は窒素原子との結合位置を示す。前記一般式(1-a)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基を示す。前記一般式(1-b)中、Rは置換基を有してもよい芳香族基を示す。前記一般式(1-c)中、R及びRは、相互に独立に水素原子、アルキル基、アルコシキ基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はスルホンアミド基を示し、m及びnは、相互に独立に0~5の数を示し、m+nは5以下である)
【0029】
本発明の顔料分散剤は、少量であっても顔料の分散剤として優れた作用を示す。また、本発明の顔料分散剤を用いて調製される顔料組成物及び顔料着色剤は、貯蔵時の増粘やゲル化が生じにくく、これらを用いて形成される塗膜中に異物が発生しにくい。本発明の顔料分散剤の具体例としては、下記式(A)~(F)で表される化合物等を挙げることができる。
【0030】
【0031】
【0032】
本発明の顔料分散剤のさらなる具体例として、下記式(1-1)~(1-18)で表される化合物等を挙げることができる。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)は、例えば、以下のようにして合成することができる。5-アミノ-2-[(4-アミノフェニル)アミノ]ベンゼンスルホン酸を、塩酸及び亜硝酸ナトリウムを用いて常法によりテトラゾ化する。次いで、ナフタレンカルボキシアミド類、2-ヒドロキシ-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド類、又は3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン類とカップリング反応させることにより、一般式(1)で表される化合物(顔料分散剤)を得ることができる。なお、本発明の顔料分散剤には未反応の原料及び副生成物が少量含まれる可能性があるが、本発明の効果が得られる限りにおいて、これらの未反応の原料及び副生成物が若干含まれていてもよい。
【0039】
上記の合成方法で用いるナフタレンカルボキシアミド類としては、N-フェニル-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-メチルフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(4-メチルフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(3-ニトロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(4-メトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-エトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2,5-ジメトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-メトキシ-5-ニトロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-メチル-5-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-メチル-4-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(5-クロロ-2,4-ジメトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-[(2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンゾイミダゾール)-5-イル]-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2,3-ジヒドロ-1,3-ジオキソ-1H-イソインドール-5-イル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(4-クロロ-2,5-ジメトキシフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(2-メトキシ-5-クロロフェニル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド、3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド、3-ヒドロキシ-N-(2-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド、N-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミドなどを挙げることができる。
【0040】
上記の合成方法で用いる2-ヒドロキシ-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド類としては、2-ヒドロキシ-N-フェニル-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド、2-ヒドロキシ-N-(4-メトキシフェニル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド、2-ヒドロキシ-N-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド、2-ヒドロキシ-N-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド、N-(1,3-ジオキソイソインドリン-5-イル)-2-ヒドロキシ-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド、N-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)-2-ヒドロキシ-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミドなどを挙げることができる。
【0041】
上記の合成方法で用いる3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン類としては、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン、3-メチル-1-p-トリル-5-ピラゾロン、1-(3,4-ジメチルフェニル)-3-メチル-5-ピラゾロン、1-(4-クロロフェニル)-3-メチル-5-ピラゾロン、1-(2-クロロフェニル)-3-メチル-5-ピラゾロン、1-(4-ニトロフェニル)-3-メチル-5-ピラゾロン、3-メチル-1-(3’-スルホアミドフェニル)-5-ピラゾロンなどを挙げることができる。
【0042】
本発明の顔料分散剤の使用方法は特に制限されないが、以下に示すような使用方法が例示される。いずれの方法であっても、目的とする顔料分散効果を得ることができる。
(1)顔料と顔料分散剤とを予め公知の方法で混合し、得られた顔料組成物をビヒクルなどに添加して顔料をビヒクル中に分散させる。
(2)ビヒクルなどに顔料と顔料分散剤を所定の割合で別々に添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
(3)顔料と顔料分散剤をそれぞれビヒクルなどに別々に分散させた後、得られた各分散液を所定の割合で混合し、顔料をビヒクル中に分散させる。
(4)ビヒクルなどに顔料を分散させて得られた分散液に、顔料分散剤を所定の割合で添加して、顔料をビヒクル中に分散させる。
【0043】
<顔料組成物>
本発明の顔料組成物は、顔料と、前述の顔料分散剤とを含有する。顔料100質量部に対する顔料分散剤の配合量は、0.5~40質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがさらに好ましい。顔料分散剤の配合量が上記した範囲内よりも少ないと、目的とする分散剤の効果が十分に得られなくなる場合がある。一方、上記した範囲内よりも顔料分散剤の配合量が多いと、分散剤の効果が頭打ちになり、それ以上の効果が期待できず、材料がコスト高になるなど、生産性の面で不利になる場合がある。さらには、このような顔料分散剤を過剰に含有する顔料組成物を用いた塗料やインキにおいて、ビヒクルの諸物性が低下したり、顔料分散剤自体の色によって、顔料のもつ色相が大きく変化したりする場合もある。
【0044】
本発明の顔料分散剤を用いることによって、有効な分散効果が得られる顔料の具体例としては、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、インジゴ・チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、フタロシアニン系顔料、インドリン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、キノフタロン顔料、ニッケルアゾ顔料、金属錯体顔料、不溶性アゾ系顔料、溶性アゾ系顔料、高分子量アゾ系顔料、アニリンブラック系顔料、アゾ系黒色顔料などを挙げることができる。なかでも、特に、色相が黒であるアゾ系黒色顔料に使用した場合に、より顕著な効果が得られるので好ましい。
【0045】
色相が黒であるアゾ系黒色顔料の具体例としては、下記式(a1)~(a7)で表される化合物(黒色アゾ顔料(1)~(7))等を挙げることができる。
【0046】
【0047】
【0048】
本発明の顔料組成物を製造する方法は特に限定されない。例えば、顔料と顔料分散剤を従来公知の方法により混合すれば、本発明の顔料組成物を得ることができる。なお、本発明の顔料組成物を製造する方法の具体例としては、以下に示す(1)~(4)の方法を挙げることができる。
(1)顔料の粉末と顔料分散剤の粉末とを、分散機を使用せずに混合する方法。
(2)顔料と顔料分散剤とを、ニーダー、ロール、アトライター、横型ビーズミルなどの各種分散機で機械的に混合する方法。
(3)顔料の水系又は有機溶剤系のサスペンションに、顔料分散剤を溶解又は微分散させた液を添加及び混合し、顔料の表面に顔料分散剤を均一に沈着させる方法。
(4)硫酸などの強い溶解力を持った溶媒に顔料及び顔料分散剤を溶解させた後、水などの貧溶媒によって共析出させる方法。
【0049】
顔料組成物を調製するのに用いる顔料分散剤の性状は、溶液、スラリー、ペースト、及び粉末のいずれであってもよい。いずれの性状の顔料分散剤を用いた場合であっても、所望の効果を得ることができる。
【0050】
ここで、赤外領域の光、特に近赤外領域の光を良好に透過するともに、可視光領域の光をほぼ遮蔽する光学的特性を有する黒色アゾ顔料と、前述の顔料分散剤とを含有する顔料組成物について説明する。この顔料組成物は、例えば、赤外線を利用する電子機器に搭載される赤外線フィルターに好適に用いることができる。また、この顔料組成物は、印刷印字が近赤外線を吸収せずに透過するので、例えば、アルミ包材上の印刷印字が異物検出の障害にならない、PTP(プレススルーパック)包装用インキにも好適に用いることができる。さらに、上記の黒色アゾ顔料は、カーボンブラック等の導電性材料と異なり、優れた電気絶縁性を有する。このため、この黒色アゾ顔料と、前述の顔料分散剤とを含有する顔料組成物は、例えば、カラーフィルター(CF)のブラックマトリックス(BM)を形成するための材料としても好適である。
【0051】
<顔料着色剤>
本発明の顔料着色剤は、前述の顔料組成物と、皮膜形成材料とを含有する。本発明の顔料着色剤は、画像表示用、画像記録用、グラビア印刷インキ用、筆記用インキ用、プラスチック用、顔料捺染用、及び塗料用の着色剤等として、広範な分野で用いることができる。特に、本発明の顔料着色剤は、カラーフィルターのブラックマトリックス用の着色剤として好適である。さらに、本発明の顔料着色剤は、グラビア印刷インキなどの画像記録剤用の材料としても特に有用である。本発明の顔料着色剤を用いれば、高品位な画像を提供しうる画像記録剤用の材料を調製することができる。
【0052】
本発明の顔料着色剤中の顔料組成物の量は、皮膜形成材料100質量部に対して、5~500質量部であることが好ましく、50~250質量部であることがさらに好ましい。本発明の顔料着色剤は、例えば、微細化した顔料と、樹脂((共)重合体)、オリゴマー、又はモノマーなどの皮膜形成材料とを混合することで調製することができる。
【0053】
また、本発明の顔料着色剤は、顔料組成物と、上記の皮膜形成材料を含有する液とを混合することでも調製することができる。皮膜形成材料を含有する液としては、感光性の皮膜形成材料を含有する液や、非感光性の皮膜形成材料を含有する液などを用いることができる。感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、紫外線硬化性インキ、電子線硬化インキなどに用いられる感光性の皮膜形成材料を含有する液などを挙げることができる。また、非感光性の皮膜形成材料を含有する液の具体例としては、凸版インキ、平版インキ、グラビアインキ、スクリーンインキなどの印刷インキに使用するワニス;常温乾燥又は焼き付け塗料に使用するワニス;電着塗装に使用するワニス;熱転写リボンに使用するワニスなどを挙げることができる。
【0054】
感光性の皮膜形成材料の具体例としては、感光性環化ゴム系樹脂、感光性フェノール系樹脂、感光性ポリアクリレート系樹脂、感光性ポリアミド系樹脂、感光性ポリイミド系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリエポキシアクリレート系樹脂、ポリウレタンアクリレート系樹脂、ポリエーテルアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂などの感光性樹脂を挙げることができる。これらの感光性樹脂を含有する液には、反応性希釈剤として各種のモノマーを添加してもよい。
【0055】
感光性樹脂を皮膜形成材料として含有する顔料着色剤に、ベンゾインエーテル、ベンゾフェノンなどの光重合開始剤を添加し、従来公知の方法により練肉すれば、光硬化性の感光性顔料分散液とすることができる。また、上記の光重合開始剤に代えて熱重合開始剤を用いれば、熱硬化性顔料分散液とすることができる。
【0056】
非感光性の皮膜形成材料の具体例としては、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、可溶性ポリアミド系樹脂、可溶性ポリイミド系樹脂、可溶性ポリアミドイミド系樹脂、可溶性ポリエステルイミド系樹脂、水溶性アミノポリエステル系樹脂、これらの水溶性塩、スチレン-マレイン酸エステル系共重合体の水溶性塩、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸系共重合体の水溶性塩などを挙げることができる。
【0057】
本発明の顔料着色剤には、高分子分散剤をさらに含有させることができる。高分子分散剤としては、酸性の高分子分散剤及び塩基性の高分子分散剤を用いることができる。高分子分散剤の配合量は、顔料100質量部に対して、2~100質量部とすることが好ましく、10~50質量部とすることがさらに好ましい。
【0058】
次に、本発明の顔料着色剤のさらなる詳細について、カラーフィルターのブラックマトリックス用の顔料分散液(BM用顔料着色剤)を代表例に挙げて説明する。BM用顔料着色剤(フォトレジスト)を調製するには、まず、黒色アゾ顔料などの黒色顔料を含有する前述の顔料組成物を、皮膜形成材料を含有する液に添加し、プレミキシングする。次いで、分散処理すれば、BM用顔料着色剤を得ることができる。より具体的には、縦型媒体分散機、横型媒体分散機、ボールミルなどの分散機械を使用して均一に摩砕した顔料組成物を、皮膜形成性材料を含有する液に添加及び混合することで、BM用顔料着色剤を得ることができる。また、黒色アゾ顔料と顔料分散剤を硫酸などに溶解させて得られた溶液と水を混合して、黒色アゾ顔料と顔料分散剤を含む顔料組成物を固溶体又は共析体として析出させて分離する。分離した顔料組成物を、皮膜形成材料や高分子分散剤などを含有する液に添加して混合した後、ダイノミルなどの横型湿式媒体分散機(ビーズミル)を使用して摩砕分散しても、BM用顔料着色剤を得ることができる。
【0059】
BM用顔料着色剤を調製するために用いる、皮膜形成材料を含有する液としては、従来公知のカラーフィルター用顔料分散液に含有される皮膜形成性重合体の溶液を用いることができる。また、皮膜形成材料を含有する液に用いられる液媒体としては、有機溶剤、水、及び有機溶剤と水との混合液などを挙げることができる。なお、BM用顔料着色剤には、必要に応じて、例えば、分散助剤、平滑化剤、密着化剤などの従来公知の添加剤を添加することができる。
【0060】
顔料分散剤で分散させた黒色アゾ顔料を含有する上記のBM用顔料着色剤を用いることで、実質的に電気絶縁性であるCF基板用のブラックマトリックス(BM)を形成することができる。BMは、例えば、BM用顔料着色剤を使用して、フォトリソグラフィ法、レーザー・アブレーション法、インクジェットプリント法、印刷法、転写法、又は貼付け法などの方法によってCF基板上に形成することができる。
【0061】
BMの膜厚は、例えば0.5~3μmであり、通常1~2μmであればよい。また、上記のBM用顔料着色剤を用いることで、十分な光学濃度のBMを形成することができる。形成されるBMの光学濃度は、例えば1.6以上であり、好ましくは2.0以上とすることができる。BMにスペーサーとしての機能を持たせる場合の具体的な方法としては、BM自体を厚く形成する方法;BMの上に画素を重積する方法;BMの上に無色の樹脂膜を重積する方法;などがある。いずれの方法であっても、膜厚を5~10μm程度とすることが好ましい。その後、公知の有彩色画素形成用の着色剤を用いれば、BMが形成されたCF基板上に有彩色画素をさらに形成することができる。
【実施例0062】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」とあるのは特に断らない限り質量基準である。
【0063】
<顔料分散剤の調製>
(実施例1)
3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド18.8部及び水酸化ナトリウム7.2部をメタノール400部に溶解させて溶液を調製した。5-アミノ-2-[(4-アミノフェニル)アミノ]ベンゼンスルホン酸8.4部を、35%塩酸18.8部及び亜硝酸ナトリウム4.5部を用いて常法によりジアゾ化してジアゾニウム塩の溶液を得た。調製した溶液にジアゾニウム塩の溶液を加え、20~30℃で5時間カップリング反応させた。ろ過及び水洗した後、乾燥して、下記式(A)で表される青紫色の顔料分散剤(A)25.1部を得た。
【0064】
【0065】
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)を用いた質量分析により、分子量927.98のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィー(MODEL860-CO(日本分光社製)、カラム:YMCPack Pro C18(ワイエムシー社製))を使用して測定した純度は92%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0066】
(実施例2)
3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド18.8部に代えて、N-(9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-1-イル)-3-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシアミド23.6部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(B)で表される青紫色の顔料分散剤(B)29.2部を得た。
【0067】
【0068】
MALDIを用いた質量分析により、分子量1088.06のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は89%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0069】
(実施例3)
3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド18.8部に代えて、2-ヒドロキシ-N-(4-メトキシフェニル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド22.9部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(C)で表される青紫色の顔料分散剤(C)28.9部を得た。
【0070】
【0071】
MALDIを用いた質量分析により、分子量1066.1のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は93%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0072】
(実施例4)
3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド18.8部に代えて、2-ヒドロキシ-N-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-3-カルボアミド23.8部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(D)で表される青紫色の顔料分散剤(D)29.5部を得た。
【0073】
【0074】
MALDIを用いた質量分析により、分子量1094.16のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は96%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0075】
(実施例5)
3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド18.8部に代えて、3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾロン10.5部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(E)で表される青紫色の顔料分散剤(E)17.7部を得た。
【0076】
【0077】
MALDIを用いた質量分析により、分子量649.68のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は96%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0078】
(実施例6)
3-ヒドロキシ-N-(1-ナフチル)-2-ナフタレンカルボキシアミド18.8部に代えて、3-メチル-1-p-トリル-5-ピラゾロン11.3部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(F)で表される青紫色の顔料分散剤(F)19.2部を得た。
【0079】
【0080】
MALDIを用いた質量分析により、分子量677.73のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は93%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0081】
<黒色顔料分散液の調製>
(実施例7)
[黒色顔料の微細化粉末の調製]
加圧蓋を装着したニーダーに、式(a1)で表される黒色アゾ顔料(1)(商品名「クロモファインブラックA1103」、大日精化工業社製)100部、塩化ナトリウム粉末500部、及びジエチレングリコール50部を仕込んだ。均一に湿潤された塊ができるまで予備混合した後、加圧蓋を閉じ、圧力6kg/cmで押さえ込みながら、92~98℃となるように温度管理しながら内容物を2時間混練及び摩砕した。得られた摩砕物を80℃に加温した水3,000部に入れ、1時間撹拌した後、ろ過及び水洗して塩化ナトリウムとジエチレングリコールを除去し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキにノニオン性界面活性剤(顔料に対して200%の量)を添加するとともに水で希釈した後、超音波分散処理して顔料分散液を調製した。粒度測定機器(商品名「ModelN-4」、コールター社製)を使用して測定した顔料分散液中の微粒子の平均粒子径は、約90nmであった。プレスケーキを乾燥及び粉砕して、黒色顔料の微細化粉末を得た。
【0082】
[黒色顔料分散液の調製]
黒色顔料の微細化粉末25部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1.5部、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(モル比:60/20/20、重量平均分子量30,000)10部、塩基性の高分子分散剤(商品名「DISPERBYK-2001」、ビックケミー社製、固形分46%)5.5部及びプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート65部を混合した。プレミキシングした後、横型ビーズミルを用いて分散処理し、黒色顔料分散液(実施例7)を得た。
【0083】
(実施例8~12)
顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(B)~(F)を用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(実施例8~12)を得た。
【0084】
(比較例1)
顔料分散剤(A)を用いなかったこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(比較例1)を得た。
【0085】
(比較例2)
顔料分散剤(A)に代えて、顔料分散剤(G)(フタロシアニンスルホン化物(商品名「SOLSPERS-12000」、Lubrizol社製))を用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(比較例2)を得た。
【0086】
<評価>
得られた各黒色顔料分散液について、(1)流動性(貯蔵安定性)、(2)展色面のグロス、及び(3)塗膜中の異物を評価した。評価方法を以下に示す。また、評価結果を表1に示す。
【0087】
(1)流動性(貯蔵安定性)
E型粘度計を使用し、調製直後(初期)と、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)の黒色顔料分散液の粘度(mPa・s)を測定した。測定条件は、温度:室温(25℃)、ローターの回転数:6rpmとした。そして、「放置後粘度/初期粘度(%)」を算出し、以下に示す基準にしたがって「貯蔵安定性」を評価した。
○:「放置後粘度/初期粘度」が110%以下
×:「放置後粘度/初期粘度」が110%超
【0088】
(2)展色面のグロス
バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用して黒色顔料分散液をポリプロピレンフィルムに展色し、展色面を形成した。形成された展色面のグロスを目視により観察するとともに、グロスメーターを使用して観察し、以下に示す基準にしたがって「展色面のグロス」を評価した。なお、展色面のグロスが高いものほど良好であると判定することができる。
◎:非常に良好
○:良好
×:不良
【0089】
(3)塗膜中の異物
スピンナーを使用して黒色顔料分散液をガラス基板に塗布した。90℃で2分間乾燥後、230℃で30分間加熱して塗膜を形成した。顕微鏡(200倍)を使用して形成された塗膜の表面(塗布面)を観察して異物の有無を確認し、以下に示す基準にしたがって「塗膜中の異物」を評価した。
◎:異物なし
○:わずかに異物あり
×:異物あり
【0090】
【0091】
(実施例13~48)
黒色アゾ顔料(1)に代えて式(a2)~(a7)で表される黒色アゾ顔料(2)~(7)をそれぞれ用いたこと、及び表2に示す種類の顔料分散剤をそれぞれ用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(実施例13~48)を得た。得られた黒色顔料分散液について、前述の評価((1)流動性(貯蔵安定性)、(2)展色面のグロス、及び(3)塗膜中の異物)を行った。結果を表2に示す。
【0092】
【0093】
<CFのBMパターンの形成及び評価>
(実施例49)
(1)感光性黒色レジストインクの調製
実施例7で得た黒色顔料分散液40部、アクリル化アクリルポリオール感光性樹脂60%プロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート溶液5部、トリメチロールプロパントリアクリレート2部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3部、光重合開始剤(エタノン-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(O-アセチルオキシム)、商品名「イルガキュアOXE02」、BASF社製)1部、及びプロピレングリコール-1-モノメチルエーテル-2-アセテート51部を配合した。高速撹拌機を用いて均一になるように十分撹拌した後、孔径3μmのフィルターでろ過して、感光性黒色レジストインクを調製した。
【0094】
(2)黒色塗膜(レジスト膜)の評価
スピンコーターを用いて感光性黒色レジストインクをガラス基板上に塗布した。60℃で予備乾燥した後、プリベークした。超高圧水銀灯を用いて400mJ/cm2の光量で露光した後、230℃で30分間ポストベークして、厚さ2μmの黒色塗膜を形成した。形成した黒色塗膜の可視光領域の長波長側から670nm付近までの光の透過率は20%以下であり、780nmの光の透過率は82%に達し、その後、なだらかに上昇して平衡状態となった。特に、580~625nm付近の光の透過率は極めて低く、5%以下であった。また、形成した黒色塗膜の体積抵抗率は1014Ω・cm以上であり、高絶縁性の塗膜であることがわかった。
【0095】
(3)BMパターンの形成
スピンコーターを用いて感光性黒色レジストインクをガラス基板上に塗布した後、80℃で10分間プリベークして、厚さ2μmの黒色塗膜を形成した。超高圧水銀灯を使用し、BMパターンのネガのフォトマスクパターンを介して100mJ/cm2の光量で露光した。アルカリ現像液で現像した後、水洗及び乾燥してBMパターン(BM膜)を形成した。形成したBM膜は高絶縁性の塗膜であることから、例えば、スペーサーの代わりに液晶層の厚みを保持するBM膜として用いることができ、IPS方式やCOA方式などの液晶を構築することができる。また、長波長領域までの可視光を十分に吸収するため、LEDバックライトを採用したLCDパネルのBMとして好適に使用することができる。
【0096】
(4)赤色、緑色、青色、黄色、及び紫色の各顔料分散液の調製
クロモファインブラックA1103に代えdて、PR254(ジケトピロロピロールレッド顔料)、PR177(アントラキノン系レッド顔料)、PG36(銅フタロシアニングリーン顔料)、PB15:6(ε型銅フタロシアニンブルー顔料)、PY185(黄色顔料)、及びPV23(ジオキサジンバイオレット顔料)をそれぞれ用いるとともに、スルホン基を有する公知の顔料誘導体を用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして各色の顔料分散液を調製した。
【0097】
(5)各色の感光性レジストインクの調製
PR254を用いた顔料分散液と、PR177を用いた顔料分散液とを、8:2の比で配合して配合物を得た。黒色顔料分散液に代えて得られた配合物を用いたこと以外は、前述の感光性黒色レジストインクの場合と同様にして、感光性赤色レジストインクを調製した。
【0098】
また、PG36を用いた顔料分散液と、PY185を用いた顔料分散液とを、6:4の比で配合して配合物を得た。黒色顔料分散液に代えて得られた配合物を用いたこと以外は、前述の感光性黒色レジストインクの場合と同様にして、感光性緑色レジストインクを調製した。
【0099】
さらに、PB15:6を用いた顔料分散液と、PV23を用いた顔料分散液とを、8:2の比で配合して配合物を得た。黒色顔料分散液に代えて得られた配合物を用いたこと以外は、前述の感光性黒色レジストインクの場合と同様にして、感光性青色レジストインクを調製した。
【0100】
(6)CFのRGB画素の形成
BMが形成されたガラス基板をスピンコーターにセットした。調製した感光性赤色レジストインクをガラス基板上にスピンコートした後、80℃で10分間プリベークした。超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー露光機を使用し、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを介して100mJ/cmの光量で露光した。専用現像液及び専用リンスを用いて現像及び洗浄した後、乾燥して、モザイク状の赤色のパターンをガラス基板上に形成した。感光性赤色レジストインクに代えて、感光性緑色レジストインク及び感光性青色レジストインクをそれぞれ用いたこと以外は上記と同様にして、モザイク状の緑色のパターン及び青色のパターンを形成した。これにより、BM及びRGB画素が形成されたCFを得た。得られたCFは優れたCF特性を示すものであった。
【0101】
<グラビア印刷インキの調製及び評価>
(実施例50)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末10.5部、実施例1で得た顔料分散剤(A)0.5部、及びイソシアネート末端ポリエステルをジアミンで鎖長延長したポリウレタン樹脂の40%メチルエチルケトン:トルエン(1:3)混合溶媒溶液30部を混合した。カチオン性ポリマー分散剤2部、トリレンジイソシアネートを用いて得たポリカルボジイミド化合物の40%トルエン溶液2.5部、及びメチルエチルケトン:トルエン:イソプロピルアルコール(50:30:20)混合溶媒54.5部を加えた後、高速撹拌機を使用して十分に混合した。ガラスビーズを分散メディアとする横型連続媒体分散機を使用して顔料を分散させて、黒色のグラビア印刷インキを調製した。グラビア印刷機を使用して、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、及びポリプロピレンフィルムに調製したグラビア印刷インキを付与して印刷し、黒色フィルムを得た。得られた黒色フィルムは、いずれも可視光を遮蔽するとともに、近赤外線を十分に透過することが可能なものであった。
【0102】
<ポリカーボネート樹脂成形板の製造及び評価>
(実施例51)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末20部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1部、及びポリカーボネート樹脂粉末80部を、ヘンシェルミキサーを使用して十分混合した。次いで、二軸押出機を使用して混合及び混練し、黒色顔料を20%含有するマスターバッチを得た。得られたマスターバッチ2部及びポリカーボネート樹脂ペレット100部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、二軸押出機を使用して混練し、黒色の樹脂ペレットを得た。インラインスクリュー射出成型機を使用して得られた樹脂ペレットを成形し、顔料分散性に優れた黒色のポリカーボネート樹脂成形板(黒色プレート)を得た。得られた黒色プレートは可視光を遮蔽するとともに、近赤外線を十分に透過するものであり、赤外線透過フィルターなどの用途に使用可能なものであった。
【0103】
<アクリル樹脂成形板の製造及び評価>
(実施例52)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末20部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1部、及びアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)粉末80部を、ヘンシェルミキサーを使用して十分混合した。次いで、二軸押出混練機を使用して混合及び混練し、黒色顔料を20%含有するマスターバッチを得た。得られたマスターバッチ2部及びアクリル樹脂ペレット100部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、押出機を使用して混練し、黒色の樹脂ペレットを得た。インラインスクリュー射出成型機を使用して得られた樹脂ペレットを成形し、顔料分散性に優れた黒色のアクリル樹脂成形板(黒色プレート)を得た。得られた黒色プレートは可視光を遮蔽するとともに、近赤外線を十分に透過するものであり、赤外線透過フィルターなどの用途に使用可能なものであった。
【0104】
<ポリウレタンコーティング剤の調製及び評価>
(実施例53)
(1)ポリウレタンコーティング剤(液)の調製
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末40部、実施例1で得た顔料分散剤(A)2部、及びアジピン酸エステル系可塑剤60部を、三本ロール混練機を使用して十分混練し、黒色顔料の可塑剤分散ペースト(黒色顔料トナー)を得た。また、酸化チタン白色顔料60部及びアジピン酸エステル系可塑剤40部を、三本ロール混練機を使用して十分混練し、白色顔料の可塑剤分散ペースト(白色顔料トナー)を得た。一方、カルボキシ基を有するポリエーテルポリオール・ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタンのメチルエチルケトン分散液(固形分:30%)100部、ポリエーテルポリオール・ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタンのメチルエチルケトン溶液(固形分:50%)5部、及びポリカルボジイミド系架橋剤(固形分:20%)2.5部を十分混合して混合物を得た。得られた混合物に黒色顔料トナー1部及び白色顔料トナー6部を添加した後、十分混合して、灰色(グレー)のポリウレタンコーティング液を調製した。
【0105】
また、黒色顔料トナーを用いず、白色顔料トナーのみを用いたこと以外は上記と同様にして、白色のポリウレタンコーティング液を調製した。さらに、白色顔料トナーを用いず、黒色顔料トナーのみを用いたこと以外は上記と同様にして、黒色のポリウレタンコーティング液を調製した。
【0106】
(2)評価
ナイロン織布テント地の表面に調製したグレーのポリウレタンコーティング液を約200g/mとなるように塗布した後、乾燥して、グレーの加工織布を作製した。作製した加工織布は直射日光の熱線を反射するものであり、昇温を防ぐテントなどの用途に使用することができた。また、調製した白色のポリウレタンコーティング液を下地塗布した後、調製した黒色のポリウレタンコーティング液をトップコートして、二層構造を有するポリウレタン合成皮革を得た。得られた合成皮革は熱線を反射するものであり、自動車の内装などの用途に使用することができた。
【0107】
<原液着色繊維の製造及び評価>
(実施例54)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末50部、実施例1で得た顔料分散剤(A)2.5部、及び滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド粉末)50部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合し、顔料分50%の粉末着色剤(ドライカラー)を得た。得られたドライカラー1部及びポリプロピレン樹脂ペレット99部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、ベント式40m/m押出機を使用して混練し、0.5%黒色顔料を0.5%含有する樹脂ペレットを得た。熔融紡糸機を使用して得られた樹脂ペレットを紡糸し、顔料分散性に優れた繊度10デニールの鮮明な黒色のポリプロピレン繊維(原液着色繊維)を得た。得られた原液着色繊維を用いて作製した織布は直射日光の熱線を反射することが可能なものであり、昇温を避ける日傘やカーテンなどの用途に使用することができた。
【0108】
<樹脂成形品の製造及び評価>
(実施例55)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末5部、実施例1で得た顔料分散剤(A)0.1部、酸化チタン白色顔料20部、及びポリエチレン樹脂粉末75部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合し、ドライカラーを得た。得られたドライカラー1部及びポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂ペレット100部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、押出機を使用して混練し、黒色の樹脂ペレットを得た。インラインスクリュー射出成型機を使用して得られた樹脂ペレットを成形し、顔料分散性に優れた黒色の樹脂成形板を得た。得られた樹脂成形板は直射日光の熱線を反射することが可能なものであり、昇温を避ける樹脂成形品として使用することができた。
【0109】
<織布用捺染糊の製造及び評価>
(実施例56)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末25部を含むプレスケーキ71部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1.5部、ノニオン系顔料分散剤10部、消泡剤1部、及び水18部を十分に予備混合した。次いで、ガラスビーズを分散メディアとする横型連続媒体分散機を使用して顔料を分散させて、黒色顔料の高濃度分散液(黒色カラーベース)を調製した。調製した黒色カラーベース20部、反応性アクリル酸アルキルエステルラテックス(固形分40%)25部、消泡剤0.5部、分散剤1部、水中油滴型乳化用分散安定剤3部、ミネラルターペン38部、及び水12.5部を、ホモジナイザー(強力乳化分散機)を使用して乳化分散させ、水中油滴型の黒色エマルジョンペーストを得た。得られた黒色エマルジョンペーストにカルボジイミド系の架橋剤(固形分40%)2部を添加して十分に混合し、黒色捺染糊を得た。ポリエステル-綿混紡布上に得られた黒色捺染糊を全面プリントした後、120℃で15分間キュアーして黒色の無地捺染布を得た。得られた無地捺染布は熱線を反射することが可能なものであった。