(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101438
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】骨粗鬆症の予防や改善に有用な琥珀含有組成物とその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 35/10 20150101AFI20230713BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20230713BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20230713BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
A61K35/10
A61P19/10
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022010502
(22)【出願日】2022-01-08
(71)【出願人】
【識別番号】317006487
【氏名又は名称】琥珀バイオテクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】坂本 和一
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 一眞
(72)【発明者】
【氏名】関田 真理絵
(72)【発明者】
【氏名】山野 幹夫
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LE02
4B018MD48
4B018ME05
4B018ME14
4B117LC04
4B117LG24
4C087AA01
4C087AA02
4C087BA07
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZA97
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、日常的な摂取が簡便である飲食品に組み込むことができる、骨粗鬆症を予防又は改善するための組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決するために、琥珀または琥珀抽出物を有効成分とすることを特徴とする、骨粗鬆症の予防用又は改善用の琥珀含有組成物を提供する。本発明によれば、日常的な摂取が簡便である飲食品に組み込むことができる、骨粗鬆症を予防又は改善するための組成物を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
琥珀又は琥珀抽出物を有効成分とすることを特徴とする、骨粗鬆症の予防用又は改善用の琥珀含有組成物。
【請求項2】
破骨細胞分化抑制作用を有することを特徴とする請求項1に記載の琥珀含有組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の琥珀含有組成物を配合してなる、骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
【請求項4】
請求項2に記載の琥珀含有組成物を配合してなる、骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
【請求項5】
医薬品、医薬部外品、飲食品又は食品添加物である、請求項3に記載の骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
【請求項6】
医薬品、医薬部外品、飲食品又は食品添加物である、請求項4に記載の骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨粗鬆症の予防や改善に有用な琥珀含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
琥珀とは、主にマツ属植物の樹脂が長期間地下に埋没し凝結してできた化石であり、中国では古くからその粉末が漢方薬として用いられている。主に樹脂、精油、コハク酸等を含み、エタノールやジエチルエーテルあるいはベンゼンに少量溶ける。
【0003】
日本では宝飾品としてよく知られているが、近年では抽出物を化粧品や健康食品に用いる例が増えている。例えば、琥珀抽出物中の美白効果を利用する技術(例えば、特許文献1を参照)、琥珀抽出画分中の皮膚ターンオーバー促進因子を利用する技術(例えば、特許文献2を参照)、琥珀抽出画分中のヒアルロン酸産生促進因子を利用する技術(例えば、特許文献3を参照)、琥珀抽出画分中の血管新生促進因子を利用する技術(例えば、特許文献4を参照)、琥珀抽出物のグルコース吸収抑制効果を利用する技術(例えば、特許文献5を参照)などが知られている。
【0004】
このように、琥珀には様々な生物学的効果が知られており、非常に有用な素材として様々な分野で用いられてきており、無限の可能性を秘める素材として期待されている。
【0005】
琥珀には様々な成分が含まれているが、従来より知られているのが、コハク酸、サクシノイルアビエチン酸、サクシノアビエチノール酸、サクシノシルビン酸等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-240967号公報
【特許文献2】特開2007-314522号公報
【特許文献3】特開2008-266260号公報
【特許文献4】特開2011-256164号公報
【特許文献5】特開2011-057556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、高齢化により骨粗鬆症の患者が増加している。骨粗鬆症をわずらうとちょっとした転倒により骨折してしまいそのまま自力で歩くことができなくなる等、高齢者のQOLを大きく損なう要因の一つとなっている。
【0008】
骨粗鬆症を発症する原因は骨吸収(骨を壊す働き)と骨形成(骨をつくる働き)のバランスが崩れ、骨吸収が進んで骨形成を上回ることである。
【0009】
骨吸収が進んでしまうのは、破骨細胞が過剰に形成されてしまうことによる。
【0010】
よって骨粗鬆症を予防または改善するためには、破骨細胞が形成されることを抑制することが必要となる。
【0011】
つまり骨粗鬆症の予防または改善には、破骨細胞分化抑制剤が有効となる。
【0012】
本発明は、日常的な摂取が簡便である飲食品に組み込むことができる、骨粗鬆症を予防又は改善するための組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意研究をした結果、琥珀含有組成物に破骨細胞分化抑制効果を見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
【0014】
<1>琥珀又は琥珀抽出物を有効成分とすることを特徴とする、骨粗鬆症の予防用又は改善用の琥珀含有組成物。
<2>破骨細胞分化抑制作用を有することを特徴とする<1>に記載の琥珀含有組成物。
<3><1>に記載の琥珀含有組成物を配合してなる、骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
<4><2>に記載の琥珀含有組成物を配合してなる、骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
<5> 医薬品、医薬部外品、飲食品又は食品添加物である、<3>に記載の骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
<6>医薬品、医薬部外品、飲食品又は食品添加物である、<4>に記載の骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、日常的な摂取が簡便である飲食品に組み込むことができる、骨粗鬆症を予防又は改善するための組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の琥珀含有組成物は、琥珀又は琥珀抽出物を有効成分とすることを特徴とするものであり、骨粗鬆症の予防用又は改善用として利用するものである。
【0018】
琥珀は主にマツ属植物の樹脂が長期間地下に埋没し凝結してできた化石であり、中国では古くから漢方薬として使用されている。琥珀の産地としては、例えば岩手県久慈産、ロシアのカリーニングラード産などがあり、産地によっては特有の成分が含まれることがある。本発明の琥珀含有組成物に使用する琥珀は、ロシアのカリーニングラード産が好ましい。
【0019】
琥珀は、主成分は高分子のイソプレノイドであり、樹液に含まれるテルペンが天然樹脂やその化石となる過程の高温・高圧の下で、酸化、蒸発、重合などの化学変化を起こし、その結果として生じた重合体である。200℃以上に加熱すると、油状の琥珀油に分解され、さらに加熱を続けると黒色の残留物である「琥珀ヤニ、琥珀ピッチ」という液体になる。
【0020】
本発明の琥珀含有組成物は、琥珀又は琥珀抽出物を含有するため、破骨細胞分化抑制作用を有する。よって、琥珀抽出物含有組成物を飲食品などに添加して摂取することで、骨粗鬆症の予防又は改善をすることができる。
【0021】
<琥珀抽出物>
本発明における琥珀含有組成物は、有効成分として琥珀又は琥珀抽出物を含有することを特徴とする。ここで、本発明で言う琥珀とは、琥珀そのもの、琥珀を粉砕、細切等加工した加工物であり、琥珀抽出物とは、琥珀又はその加工物に溶媒を加え抽出した抽出物、抽出物から溶媒を除去した抽出物の溶媒除去物、それらの精製物等が例示でき、これらの内では抽出物又はその溶媒除去物が特に好ましい。又、本発明で用いる琥珀の産地は特に限定されることはないが、産出量、埋蔵量を考慮し、ロシア・カリーニングラード産のものが好ましく例示できる。
【0022】
抽出物の溶媒としては、例えば、水、メタノールやエタノール、1,3-ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン等のアルコール類、酢酸エチルや蟻酸メチル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類等が例示でき、これらの1種又は2種以上を単独あるいは混合して用いればよい。これらの内好ましいものは水又はアルコール類、より好ましいものは含水アルコールである。さらにアルコールとしてはエタノールが好ましい。含水アルコールにおける含水率は1質量%~80質量%が好ましく、10質量%~70質量%がさらに好ましい。この範囲とすることにより、抽出効率が向上する。
【0023】
抽出温度としては、常温から溶媒の沸点までが好ましく、さらに好ましいのは40~80℃である。
【0024】
琥珀抽出物の製造方法は特に制限されないが、例えば、琥珀又はその加工物と溶媒を混合して琥珀の成分を抽出する抽出工程、琥珀又はその加工物と溶媒の混合液をろ過して抽出液を回収するろ過工程、得られた抽出液から溶媒を除去する乾燥工程を備える。抽出液は、さらに破骨細胞分化を抑制する効果を高めるため精製工程を備えてもよい。効果を高めるための精製方法としては、例えば、シリカゲルまたはオクタデシルシリル化シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー、もしくはサイズ排除クロマトグラフィーなどが挙げられる。
また、乾燥工程の前に、抽出液にデキストリンなどの賦形剤を混合してもよい。
【0025】
琥珀含有組成物の剤形は、特に制限されないが、例えば、粉剤、顆粒剤、錠剤、ハードカプセル製剤、ソフトカプセル製剤、液剤などが挙げられる。なお、琥珀含有組成物は、製剤化の際に、他の有効成分と組み合わせてもよい。
【0026】
琥珀含有組成物の摂取量は1~100mg/日であり、好ましくは10~50mg/日であり、より好ましくは5~20mg/日である。
【0027】
本発明の琥珀含有組成物は、骨粗鬆症の予防用又は改善用の経口投与剤として利用することができる。
【実施例0028】
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。