(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101455
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】貯留循環型水供給設備
(51)【国際特許分類】
A01K 63/04 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
A01K63/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022159424
(22)【出願日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】P 2022001982
(32)【優先日】2022-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522012019
【氏名又は名称】株式会社ワイズグロウ
(74)【代理人】
【識別番号】100149836
【弁理士】
【氏名又は名称】森定 勇二
(72)【発明者】
【氏名】丸野 美光
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104CA01
2B104CB30
2B104EA01
2B104EB01
2B104ED01
2B104ED08
2B104ED12
(57)【要約】
【課題】水棲動物の養殖又は飼育用水槽により良質な水を供給・循環する貯留循環型水供給設備を提供すること。
【解決手段】貯留循環型水供給設備1は、所定の水を貯留する容器10と、容器10の内部中央付近に配設する多層のろ過フィルター機構20と、容器10の内部に微小な泡を包含する水を生成する微小泡包含水生成機構30と、水質改善剤を投入する水質改善剤保留部40と、ろ過フィルター機構よりも下流側に配設する供給用配管60と、ろ過フィルターよりも上流側に配設する循環用配管50と、を備える。また、微小気泡包含水生成機構30は、微小気泡放出ノズル33へ容器10の内部に貯留した水を移送する液体移送ポンプ31を包含する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の水を貯留する容器(10)と、
前記容器の内部中央付近に配設するろ過フィルター機構(20)と、
前記ろ過フィルター機構よりも下流側に配設する供給用配管(60)と、
前記ろ過フィルター機構よりも上流側に配設する循環用配管(50)と、
前記容器の内部で微小な気泡を包含する水を生成する微小気泡包含水生成機構(30)と、
を備える貯留循環型水供給設備。
【請求項2】
さらに、水質改善剤保留部(40)を前記容器の内部に付加配設した請求項1の貯留循環型水供給設備。
【請求項3】
前記微小気泡包含水生成機構に、前記容器の内部に貯留した水中に微小な気泡を放出する微小気泡放出ノズル(34)と、前記微小気泡放出ノズルへ前記容器の内部に貯留した水を移送する液体移送ポンプ(31)と、前記微小気泡放出ノズルへ気体を移送する気体移送ポンプ(32)と、を包含する請求項1又は請求項2に記載の貯留循環型水供給設備。
【請求項4】
前記ろ過フィルター機構について、隣接するろ過フィルター層の設置高さを高低交互配置とした請求項1又は請求項2に記載の貯留循環型水供給設備。
【請求項5】
前記ろ過フィルター機構について、隣接するろ過フィルター層の設置高さを高低交互配置とした請求項3の貯留循環型水供給設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、えび・うなぎ・鯛・熱帯魚などの水棲動物の養殖又飼育に適した貯留循環型水供給設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、魚介類飼育用水槽で魚介類の飼育に用いた飼育用水をポンプなどにより再び飼育用水槽に供給し用いる循環設備を備えた養殖装置は存在する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の魚介類の循環濾過養殖装置は、飼育水槽から排出される魚介類(例えば、ヒラメ。)の糞、残餌は沈殿槽で、浮遊懸濁物はフィルター装置で効率的に捕集した後、再び前記飼育水槽へ供給する循環濾過養殖装置であるが、飼育用水の品質などにおいて、さらなる改良の余地があるものと考える。
【0005】
そこで、良質な飼育用水の供給・循環を可能とする貯留循環型水供給設備を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、上述の課題を解決するために、所定の水を貯留する容器と、前記容器の内部中央付近に配設するろ過フィルター機構と、前記ろ過フィルター機構よりも下流側に配設する供給用配管と、前記ろ過フィルター機構よりも上流側に配設する循環用配管と、前記容器の内部で微小な気泡を包含する水を生成する微小気泡包含水生成機構と、を備える貯留循環型水供給設備を提供する。
【0007】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、さらに、水質改善剤保留部を前記容器の内部に付加配設した貯留循環型水供給設備を提供する。
【0008】
また、本願発明は、上述の課題を解決するために、前記微小気泡包含水生成機構に、前記容器の内部に貯留した水中に微小な気泡を放出する微小気泡放出ノズルと、前記微小気泡放出ノズルへ前記容器の内部に貯留した水を移送する液体移送ポンプと、前記微小気泡放出ノズルへ気体を移送する気体移送ポンプと、を包含する貯留循環型水供給設備を提供する。
【0009】
本願発明は、上述の課題を解決するために、前記ろ過フィルター機構について、隣接するろ過フィルター層の設置高さを高低交互配置とした貯留循環型水供給設備を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本願発明の貯留循環型水供給設備は、所定の水を貯留する容器と、前記容器の内部中央付近に配設するろ過フィルター機構と、前記ろ過フィルター機構よりも下流側に配設する供給用配管と、前記ろ過フィルター機構よりも上流側に配設する循環用配管と、前記容器の内部で微小な気泡を包含する水を生成する微小気泡包含水生成機構と、を備えるため、水棲動物が生息する水槽に良質な水を供給・循環することができる。
【0011】
本願発明の貯留循環型水供給設備は、さらに、水質改善剤保留部を前記容器の内部に付加配設したため、水棲動物が生息する水槽により良質な水を供給・循環することができる。
【0012】
本願発明の貯留循環型水供給設備は、前記微小気泡包含水生成機構に、前記容器の内部に貯留した水中に微小な気泡を放出する微小気泡放出ノズルと、前記微小気泡放出ノズルへ前記容器の内部に貯留した水を移送する液体移送ポンプと、前記微小気泡放出ノズルへ気体を移送する気体移送ポンプと、を包含するため、前記容器の内部の水をより効率的に利用できる。
【0013】
本願発明の貯留循環型水供給設備は、前記ろ過フィルター機構について、隣接するろ過フィルター層の設置高さを高低交互配置としたため、水棲動物が生息する水槽により良質な水を供給・循環することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は貯留循環型水供給設備の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は貯留循環型水供給設備をえび養殖用水槽と接続し水面上方から見た配管図である。
【
図3】
図3は貯留循環型水供給設備をえび養殖用水槽と接続し側面方向から見た配管図である。
【
図4】
図4は貯留循環型水供給設備をえび養殖用水槽と接続したイメージをあらわす斜視図である。
【
図5】
図5は貯留循環型水供給設備をえび養殖用水槽と接続し水面上方から見た配管図である(実施例2)。
【
図6】
図6は貯留循環型水供給設備をえび養殖用水槽と接続し側面方向から見た配管図である(実施例2)。
【
図7】
図7は貯留循環型水供給設備をえび養殖用水槽と接続したイメージをあらわす斜視図である(実施例2)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
えび養殖用設備を構成する貯留循環型水供給設備として使用する。
【実施例0016】
まずは、貯留循環型水供給設備の構成について、
図1に従い説明する。
【0017】
貯留循環型水供給設備(1)は、水棲動物が生息する水槽に供給する所定の水を貯留する容器(10)と、前記容器の内部中央付近に配設するろ過フィルター機構(20)と、前記容器の内部に貯留した水を移送する液体移送ポンプ(31)と、前記容器の外部の空気を移送する気体移送ポンプ(32)と、前記液体移送ポンプ及び前記気体移送ポンプから移送される流体を前記ろ過フィルター機構よりも上流側へ移送する移送配管(33)と、前記移送配管の先端に装着する微小気泡放出ノズル(34)とで構成し、前記容器の内部で微小な気泡を包含する水を生成する微小気泡包含水生成機構(30)と、前記容器の内部の壁面に配設する水質改善剤保留部(40)と、前記ろ過フィルター機構よりも下流側に配設する供給用配管(60)と、前記ろ過フィルター機構よりも上流側に配設する循環用配管(50)と、で構成する(
図1)。
【0018】
なお、前記容器(10)のサイズ及びその形状について、養殖又は飼育する水棲動物の種類あるいは水槽のサイズに応じて、いかなるサイズ及び形状にも対応可能である。
【0019】
前記ろ過フィルター機構(20)について、前記容器の内部中央付近に配設とは、前記液体移送ポンプ(31)と前記微小気泡放出ノズル(34)との間に配設することを指すものとする(
図1)。
【0020】
前記ろ過フィルター機構(20)を設ける層数について、本実施例では4層としているが、要求される条件(水質、水量、コストなど)により増減可能である。水質を重視する場合には、複数の層とする方が好ましい(
図1)。
【0021】
前記微小泡気泡包含水生成機構(30)の役割について、前記ろ過フィルター機構(20)よりも上流側に貯留する水中で、前記微小気泡放出ノズル(33)から微小な気泡を包含する水を放出することにより、前記貯留水から微小な気泡を包含する水を生成する(
図1)。
【0022】
前記微小な気泡とは、気泡のサイズが1マイクロメートル以下であるもの(いわゆるマイクロバブルと呼ばれる気泡。)を指し、好ましくは数十ナノメートルから1マイクロメートルのもの(いわゆるウルトラファインバブルと呼ばれる気泡。)である。
【0023】
なお、前記移送配管(33)の材質について、本実施例では防錆機能を有する金属製としているが、配管として利用される一般的な材質(例えば、樹脂。)に変更することも許容する。
【0024】
なお、前記微小気泡放出ノズル(34)について、前記容器(10)に貯留した水中に微小な気泡を放出することが可能であれば、住設機器などで市販されている気泡放出ノズルを流用することも許容する。
【0025】
前記水質改善剤保留部(40)について、より良好な水質とするために所定の水質改善剤を投入して使用する。
【0026】
なお、前記水質改善剤保留部(40)に投入する水質改質剤について、少なくともシリカと黒土を包含し、かつ、当該水中に存在する微生物の活動を活発化させるものが好ましい。
【0027】
前記循環用配管(50)を配設箇所について、前記ろ過フィルター機構(20)よりも上流側に配設することにより、水棲動物の養殖又は飼育水槽から排出された汚水(水棲動物の糞や残餌などが混在した水。)を、前記ろ過フィルター機構で浄化することができる。
【0028】
前記供給用配管(60)を配設箇所について、前記ろ過フィルター機構(20)よりも下流側に配設することにより、前記ろ過フィルター機構で浄化されかつ微小気泡を包含し水質改善剤も機能したより良質な水を水棲動物の養殖又は飼育水槽に供給することができる。
【0029】
なお、前記供給用配管(50)及び前記循環用配管(60)の配管について、液体を移送する配管として利用される一般的な配管で良い。
【0030】
次に、貯留循環型水供給設備とえび養殖用水槽とを接続した際の作動について、
図2から
図4に従い説明する。
【0031】
容器(10)の内部に水を貯留し、水質改善剤保留部(40)に所定の水質改質剤を投入するとともに、液体移送ポンプ(31)及び気体移送ポンプ(32)を作動させて微小気泡放出ノズル(34)から微小な気泡を放出する(
図2から
図4)。
【0032】
前記容器(10)の下流側の良質な水を、水面付近から供給用配管(60)を介してえび養殖用水槽(70)の内部に供給する(
図3等)。
【0033】
前記えび養殖用水槽(70)の内部で発生した汚水を、循環用配管(50)を介して前記容器(10)の上流側に移送する(
図3等)。
【0034】
前記容器(10)の上流側に移送されてきた汚水は、4層のろ過フィルター部(20)を経由することで浄化され、その後、前記容器の下流側でいったん滞留(貯留)し再び前記供給用配管(60)を介してえび養殖用水槽(70)に供給される(
図2から
図4)。
【0035】
なお、前記容器(10)の下流側で滞留(貯留)する水の一部は、前記液体移送ポンプ(31)によって前記微小気泡放出ノズル(34)へ移送される(
図4)。