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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010150
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
   A46B 17/04 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A46B17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114069
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝己
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB24
3B202GB11
(57)【要約】
【課題】多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーを提供する。
【解決手段】一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔を頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ基部110から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部122と、傾斜部122の下方に設けられ、前記頭部のうち柄の先端部を挟持可能な保持部121と、をそれぞれ有しており、第1ストッパ部140の内面には、前記頭部の傾きを抑制する第2ストッパ部141が設けられていることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシにおける、柄の先端部とブラシ毛が植毛された植毛部を含む頭部を保護するカバーであって、
前記ブラシ毛の先端に対向するように配される基部と、
前記基部の両側面側から垂下し、前記頭部の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁と、
前記基部の前端に設けられ、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への移動を規制する第1ストッパ部と、
前記基部及び前記一対の側壁により囲まれた部分により形成され、前記第1ストッパ部とは反対の端部側の開口と、
を備え、
前記一対の側壁は、
これらの対向面同士の間隔を前記頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ前記基部から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の下方に設けられ、前記頭部のうち前記柄の先端部を挟持可能な保持部と、をそれぞれ有しており、
前記第1ストッパ部の内面には、前記頭部の傾きを抑制し、かつ前記開口に向かって伸びる第2ストッパ部が設けられていることを特徴とするカバー。
【請求項2】
一対の前記保持部の下方には、前記頭部の傾きを抑制するストッパ機能部が設けられており、
前記第2ストッパ部の上面は、前記ストッパ機能部の上面と同一面、または、前記ストッパ機能部の上面よりも下方にずれた位置に配されることを特徴とする請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記第2ストッパ部は、前記第1ストッパ部の下端から突出しており、その上面が前記頭部の下面と接触し得る突出部により構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のカバー。
【請求項4】
前記第1ストッパ部と前記一対の側壁との間の隙間内において、前記第2ストッパ部が前記開口方向に向かって前記保持部に近接する位置まで伸びていることを特徴とする請求項1,2又は3に記載のカバー。
【請求項5】
前記第1ストッパ部は、前記基部と同じ幅であり、かつ歯ブラシに取り付けられた状態において上下方向の高さが前記一対の側壁と同等となるように構成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載のカバー。
【請求項6】
前記第2ストッパ部は、前記第1ストッパ部における幅方向の中央に配されることを特徴とする1~5のいずれか一つに記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに用いられるカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシにおける頭部(植毛部が設けられている部分)を保護するためのカバーが知られている。このようなカバーにおいては、ブラシ毛の先端が、カバーに接しないようにするのが望ましい。そのため、頭部の形状及び寸法に合わせて、専用のカバーが用いられるのが一般的である。従って、多種多様の歯ブラシに対応させるためには、それぞれ寸法及び形状が異なるカバーが必要となり、製造用の金型を複数種類用意しなければならないなど、コストが増加してしまっていた。
【0003】
そこで、本願の出願人は、多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーに関する技術を既に提案している(特願2020-019524号)。しかしながら、歯ブラシの頭部の寸法によっては、頭部に対するカバーによる保持力が不十分となり、輸送時などに衝撃を受けたり、応力を受け続けたりすることで、頭部に対するカバーの位置がずれてしまうことが懸念される。例えば、カバーが、図1中矢印X方向の力を受けることで、頭部に対して、カバーが矢印Y方向に回転するように位置がずれてしまうことが懸念される。これにより、頭部の先端がカバーからはみ出してしまうおそれもある。特に、先端から後端までの長さが短い頭部の場合に、頭部に対するカバーによる保持力が低くなり、上記のような現象が生じ易いことが分かった。そのため、カバーを適用することが可能な歯ブラシの種類が十分多いとは必ずしも言えない。従って、未だ改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-53610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明のカバーは、
歯ブラシにおける、柄の先端部とブラシ毛が植毛された植毛部を含む頭部を保護するカバーであって、
前記ブラシ毛の先端に対向するように配される基部と、
前記基部の両側面側から垂下し、前記頭部の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁と、
前記基部の前端に設けられ、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への移動を規制する第1ストッパ部と、
前記基部及び前記一対の側壁により囲まれた部分により形成され、前記第1ストッパ部とは反対の端部側の開口と、
を備え、
前記一対の側壁は、
これらの対向面同士の間隔を前記頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ前記基部から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の下方に設けられ、前記頭部のうち前記柄の先端部を挟持可能な保持部と、をそれぞれ有しており、
前記第1ストッパ部の内面には、前記頭部の傾きを抑制し、かつ前記開口に向かって伸びる第2ストッパ部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対の側壁は、これらの対向面同士の間隔が頭部の幅に応じて変更可能な可撓性を有する傾斜部を備えている。そのため、サイズの異なる各種頭部に対して、本発明のカバーを適用することができ、また、一対の傾斜部の下方には、頭部のうち柄の先端部を挟持可能な保持部をそれぞれ有しているので、柄の先端部が動いてしまうことを抑制することができる。これにより、ブラシ毛の先端などがカバーに接してしまうことを抑制することができる。
【0009】
また、基部の前端には、一対の側壁とは間隔を空けた状態で、頭部の先端側への移動を規制する第1ストッパ部が設けられているので、側壁の可撓性を失うことなくカバーが歯ブラシの柄の方に移動してしまうことを抑制することができる。そして、第2ストッパ部が設けられているため、頭部が傾いてしまうことを抑制することができる。この第2ストッパ部は、第1ストッパ部に設けられているので、頭部の幅によって撓み状態が変わる一対の側壁の影響を受けることがなく、ストッパとしての機能が安定的に発揮される。また、第2ストッパ部は開口に向かって伸びるように構成されるため、いわゆるスタッキングを抑制できる効果もある。すなわち、第1ストッパ部と一対の側壁との間に隙間があると、搬送などのため複数のカバーをまとめて収容される状態にすると、あるカバーの隙間に、別のカバーの一部が入り込んでしまう(スタッキングと呼ばれる)。これにより、これらのカバー同士が連結されたような状態になってしまう。このような状態になると、カバーを別々に取り外す作業が必要となってしまう。しかしながら、上記のように構成される第2ストッパ部が設けられることで、隙間を少なくすることができ、上記のようなスタッキング現象の発生を抑制することができる。
【0010】
一対の前記保持部の下方には、前記頭部の傾きを抑制するストッパ機能部が設けられており、
前記第2ストッパ部の上面は、前記ストッパ機能部の上面と同一面、または、前記ストッパ機能部の上面よりも下方にずれた位置に配されるとよい。
【0011】
これにより、頭部の傾きを効果的に抑制することができる。また、頭部をカバーに挿入する際に、第2ストッパ部によって妨げられることなく、第1ストッパ部に突き当たる位置まで頭部を挿入することができる。
【0012】
前記第2ストッパ部は、前記第1ストッパ部の下端から突出しており、その上面が前記頭部の下面と接触し得る突出部により構成されるとよい。
【0013】
前記第1ストッパ部と前記一対の側壁との間の隙間内において、前記第2ストッパ部が前記開口方向に向かって前記保持部に近接する位置まで伸びているとよい。
【0014】
これにより、上記のスタッキング現象の発生を効果的に抑制することができる。
【0015】
前記第1ストッパ部は、前記基部と同じ幅であり、かつ歯ブラシに取り付けられた状態において上下方向の高さが前記一対の側壁と同等となるように構成されているとよい。
【0016】
前記第2ストッパ部は、前記第1ストッパ部における幅方向の中央に配されるとよい。
【0017】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、多種多様の歯ブラシに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るカバーの斜視図である。
図3図3は本発明の実施例1に係るカバーの平面図である。
図4図4は本発明の実施例1に係るカバーの正面図である。
図5図5は本発明の実施例1に係るカバーの側面図である。
図6図6は本発明の実施例1に係るカバーの底面図である。
図7図7は本発明の実施例1に係るカバーの模式的断面図である。
図8図8は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図である。
図9図9は本発明の実施例2に係るカバーの底面図である。
図10図10は本発明の実施例3に係るカバーの底面図である。
図11図11は本発明の実施例4に係るカバーの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
(実施例1)
図1図8を参照して、本発明の実施例1に係るカバーについて説明する。本実施例に係るカバーは、歯ブラシにおける頭部を保護するために用いられる。図1を参照して、本実施例に係るカバーの使用形態について説明する。
【0022】
<カバーの使用形態>
図1は歯ブラシに本実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す図である。図1中のカバーについては、模式的断面図にて示している。歯ブラシ1は、柄10と、頭部20とを備えている。頭部20は、柄10の先端側に一体に設けられる先端部22と、この先端部22の上面にブラシ毛が植毛された植毛部21とを備えている。本実施例に係るカバー100は、この頭部20に取り付けられることで、頭部20を保護する役割を担っている。
【0023】
<カバー>
特に、図2図7を参照して、本実施例に係るカバー100の構成について説明する。図2は本発明の実施例1に係るカバーの斜視図である。図3は本発明の実施例1に係るカバーの平面図である。図4は本発明の実施例1に係るカバーの正面図であり、図3中、V1方向に見た図である。図5は本発明の実施例1に係るカバーの側面図であり、図3中、V2方向に見た図である。図6は本発明の実施例1に係るカバーの底面図である。図7は本発明の実施例1に係るカバーの模式的断面図であり、図3中、AA断面図である。なお、上記の図1中のカバー100についても、図3中のAA断面図に相当する。
【0024】
本実施例に係るカバー100は、樹脂材料により構成され、射出成形など従来の成形方法によって得ることができる。また、カバー100を構成する樹脂材料は、外部から頭部20を見ることができるように、透明の材料を用いると好適である。具体的には、透過率
が90%以上の材料を用いると好適である。更に、カバー100は、頭部20を保護するという観点から、ある程度の硬さが得られるように硬質材料により構成されると好適である。その一方で、以下に示すように、ある程度弾性変形が可能となるような弾性を有する材料であるのが望ましい。これらの各種条件を満たす材料としては、PP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などを挙げることができる。
【0025】
そして、カバー100は、植毛部21におけるブラシ毛の先端に対向するように配される基部110と、基部110の両側面側から垂下し、頭部20の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁120とを備えている。一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔を頭部20の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ基部110から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部122をそれぞれ有している。また、一対の側壁120は、傾斜部122の下方に設けられ、頭部20のうち柄10の先端部22を挟持可能な保持部121をそれぞれ有している。更に、一対の側壁120は、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化を抑制する補強部として機能するリブ123a,123bをそれぞれ有している。
【0026】
リブ123a,123bは、傾斜部122及び保持部121の外壁面から更に外側に張り出すように設けられている。本実施例においては、一対の側壁120に、それぞれ2か所のリブ123a,123bが、傾斜部122及び保持部121のうち頭部20の挿入口側の端部と、その反対側の端部に設けられている。リブ123aは、頭部20を保持部121の内部に導くためのガイドとしての役割も担っている。
【0027】
また、基部110の前端には、一対の側壁120とは間隔を空けた状態で、頭部20の先端側への移動を規制する第1ストッパ部140が設けられている。この第1ストッパ部140は、基部110と同じ幅であり、かつ歯ブラシに取り付けられた状態において上下方向の高さが一対の側壁120と同等となるように構成されている。以下、一対の側壁120と第1ストッパ部140との間の隙間を、便宜上、第1隙間S1と称する。
【0028】
第1ストッパ部140は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっている(図3及び図6参照)。そして、この第1ストッパ部140の内面には、頭部20の傾きを抑制する第2ストッパ部141が設けられている。歯ブラシ1の頭部20にカバー100が取り付けられた状態においては、第2ストッパ部141は、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向するように構成されている。この第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140の内面から開口に向かって突出する突出部により構成されている。なお、「開口」とは、基部110及び一対の側壁120により囲まれた部分により形成され、第1ストッパ部140とは反対の端部側の開口を意味する。この開口から頭部20を差し込むことによって、頭部20にカバー10が取り付けられる。そして、第1ストッパ部140と一対の側壁120との間の隙間(第1隙間S1)内において、第2ストッパ部141は上記の開口方向に向かって保持部121に近接する位置まで伸びている。このように構成される第2ストッパ部141により、図5に示すように、第1隙間S1のうち、保持部121付近が遮られるよう、第2ストッパ部141の先端が保持部121に近接するように構成されている。なお、第2ストッパ部141は、頭部20に接するように設けてもよいし、頭部20との間に隙間が形成されるように設けてもよい。
【0029】
そして、一対の保持部121同士の対向面には、頭部20の基部110側への移動を規制する第3ストッパ部125がそれぞれ設けられている。これら一対の第3ストッパ部125は、保持部121の下部から基部110に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭くなる傾斜面125aをそれぞれ有している(図4参照)。
【0030】
また、一対の保持部121の下方には、頭部20の傾きを抑制するストッパ機能部130が設けられている。歯ブラシ1の頭部20にカバー100が取り付けられた状態においては、ストッパ機能部130は、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向するように構成されている。本実施例に係るストッパ機能部130は、二か所の連結部131a,131bにより構成されている(図6参照)。連結部131a,131bは、一対の保持部121同士を連結し、かつ、これら保持部121同士の離間を許容しつつ、これら保持部121同士の間隔が拡がるにつれて、これら保持部121が元の位置に戻ろうとするように弾性力を有する機能を備えている。本実施例に係る連結部131a,131bは、いずれも、保持部121に対し垂直に設けられる。そして、これらの連結部131a,131bは、いずれも、U字状の可撓部131ax,131bxと、可撓部131ax,131bxの両端から略直角に折れ曲がるように伸びて(可撓部131ax,131bxの両端から一対の保持部121のそれぞれに向かって真っ直ぐに伸びて)一対の保持部121の下部にそれぞれ接続する部分131ay,131byとから構成される。このような構成により、頭部20が挿入されると、U字状の可撓部131ax,131bxの両端が拡がるように、可撓部131ax,131bxが基部110と平行な方向(保持部121に対して垂直な方向)に撓むように変形する。
【0031】
また、連結部131aは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側とは反対側に片寄った位置に設けられている。また、連結部131bは、一対の保持部121のうち、頭部20の挿入口側に片寄った位置に設けられている。本実施例においては、一対の保持部121同士の下端付近の隙間(以下、便宜上、第2隙間S2と称する)は、連結部131bによって遮られる。
【0032】
ここで、第2ストッパ部141の上面は、ストッパ機能部130(連結部131a,131b)の上面と同一面、または、ストッパ機能部130の上面よりも下方にずれた位置に配される。また、第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140の下端から突出しており、その上面は頭部20の下面と接触し得る突出部により構成される。更に、本実施例においては、第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140における幅方向の中央に配される構成を採用している。
【0033】
<本実施例に係るカバーの優れた点>
上記のように構成されるカバー100においては、歯ブラシ1の頭部20がカバー100に挿入される際、頭部20のブラシ毛の先端が基部110に対向するように挿入される。すると、柄10の先端部22の側面は保持部121に保持される(図8参照)。なお、図8は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図であり、柄10の部分については断面図にて示している。そして、本実施例に係るカバー100によれば、一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔が頭部20の幅に応じて変更可能な可撓性を有する傾斜部122を備えている。そのため、サイズの異なる各種頭部に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。なお、一対の側壁120に傾斜部122を設けることによって、幅の広い頭部20を一対の保持部121により保持した状態においても、基部110に対して、その幅方向の外側に、側壁120が出っ張ってしまうことを抑制できる効果もある。
【0034】
また、上記の通り、柄10の先端部22は保持部121により挟持されるので、柄10の先端部22が動いてしまうことを抑制することができる。これにより、ブラシ毛の先端などがカバー100に接してしまうことを抑制することができる。
【0035】
また、基部110の前端には、一対の側壁120とは間隔を空けた状態で、頭部20の先端側への移動を規制する第1ストッパ部140が設けられている。従って、側壁120の可撓性を失うことなくカバー100が歯ブラシ1の柄10の方に移動してしまうことを
抑制することができる。そして、第2ストッパ部141が設けられているため、頭部20が傾いてしまうことを抑制することができる。例えば、カバー100が、図1中矢印X方向の力を受けて、頭部20に対して、カバー100が矢印Y方向に回転するような力が作用しても、頭部20は、第2ストッパ部141に突き当たり、傾いてしまうことが抑制される。また、第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140に設けられているので、頭部20の幅によって撓み状態が変わる一対の側壁120の影響を受けることがなく、ストッパとしての機能が安定的に発揮される。
【0036】
また、第2ストッパ部141の上面は、ストッパ機能部130の上面と同一面、または、ストッパ機能部130の上面よりも下方にずれた位置に配されている。これにより、頭部20の傾きを効果的に抑制することができる。また、頭部20をカバー100に挿入する際に、第2ストッパ部141によって妨げられることなく、第1ストッパ部140に突き当たる位置まで頭部20を挿入することができる。
【0037】
また、第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140の下端から突出しており、その上面は頭部20の下面と接触し得る突出部により構成されている。これにより、頭部20の傾きを効果的に抑制することができる。
【0038】
更に、第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140における幅方向の中央に配されている。これにより、頭部20の幅に関係なく、各種の頭部20に対して、第2ストッパ部141によるストッパとしての機能を安定的に発揮させることができる。
【0039】
そして、本実施例においては、頭部20の保持部121内への挿入により、保持部121同士が拡がると、連結部131a,131bによって、これら保持部121が元の位置に戻ろうとするため、保持部121による保持力が高められる。そのため、柄10の先端部22が動いてしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0040】
また、第2ストッパ部141だけでなく、ストッパ機能部130(二か所の連結部131a,131b)によっても、頭部20が傾いてしまうことを抑制することができる。従って、より一層、サイズの異なる各種頭部に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。
【0041】
また、第2ストッパ部141と連結部131a,131bが設けられることで、いわゆるスタッキングを抑制できる効果もある。特に、第2ストッパ部141は、第1隙間S1を遮るように設けられているため、第1隙間S1を起因とするスタッキングを抑制する機能を発揮する。なお、第1ストッパ部140と一対の側壁120との間の隙間(第1隙間S1)内において、第2ストッパ部141は上記の開口方向に向かって保持部121に近接する位置まで伸びている。これにより、第1隙間S1を起因とするスタッキングは効果的に抑制される。また、連結部131bは、第2隙間S2を遮るように設けられているため、第2隙間S2を起因とするスタッキングを抑制する機能を発揮する。特に、自動機を用いて、カバー100を歯ブラシ1に取り付けるようにする場合には、スタッキングは大きな障害となる。本実施例に係るカバー100によれば、このようなスタッキングの発生も抑制することができるため、自動機による歯ブラシ1へのカバー100の取付作業においても障害を抑制することができる。
【0042】
更に、本実施例においては、一対の保持部121同士の対向面には、頭部20の基部110側への移動を規制する第3ストッパ部125がそれぞれ設けられている。これにより、カバー100に対して、柄10の先端部22が動いてしまうことを、より確実に抑制することができる。なお、本実施例に係る一対の第3ストッパ部125は、保持部121の下部から基部110に向かうにつれて互いの間隔が徐々に狭くなる傾斜面125aをそれ
ぞれ有している。これにより、厚みの異なる頭部20に対しても、第3ストッパ部125による頭部20に対する移動規制機能を好適に発揮させることができる。
【0043】
以上のように、保持部121による保持力が高まることに加えて、第3ストッパ部125aによる頭部20に対するカバー100の移動規制がなされることで、頭部20に対するカバー100の位置ずれを抑制することができる。例えば、図1に示すように、頭部20に対して、カバー100が矢印Y方向に回転するような力が作用しても、保持部121による保持力と、第3ストッパ部125による移動規制とが相俟って、矢印Y方向への回転を効果的に抑制することができる。また、上記の通り、第2ストッパ部141とストッパ機能部130が設けられているので、もし、カバー100が矢印Y方向に回転してしまっても、柄10の先端部22がカバー100から飛び出だしてしまうことはない。
【0044】
(実施例2)
図9には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図9は本発明の実施例2に係るカバーの底面図である。
【0045】
本実施例に係るストッパ機能部130は、一か所の連結部131aと、一か所の第4ストッパ部132a,132bとから構成される。連結部131aについては、実施例1で説明した通りである。
【0046】
第4ストッパ部132a,132bは、保持部121の下端において、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向し、一対の保持部同士を連結しないように設けられている。この第4ストッパ部132a,132bは、連結部131aと同様に、頭部20の傾きを抑制する役割を担っている。そして、第4ストッパ部132aと第4ストッパ部132bとの間の第2隙間S2は、非直線的な隙間により構成されている。このような構成を採用することで、第2隙間S2について、その一端側から他端側を直視した場合に、他端側の隙間が見えないように構成されている。これにより、スタッキングの発生を抑制することができる。
【0047】
また、本実施例に係るカバー100Aにおいても、上記実施例1と同様に、第2ストッパ部141を有する第1ストッパ部140が設けられている。
【0048】
以上のように構成されるカバー100Aにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0049】
(実施例3)
図10には、本発明の実施例3が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図10は本発明の実施例3に係るカバーの底面図である。
【0050】
本実施例に係るストッパ機能部130は、一か所の連結部131bと一か所の第4ストッパ部132cとにより構成される。連結部131bの構成は、実施例1で示した連結部131bの構成と同様である。第4ストッパ部132cは、一対の保持部121の下端において、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向し、一対の保持部同士を連結しないように設けられている。この第4ストッパ部132cは、連結部131bと同様に、頭部20の傾きを抑制する役割を担っている。
【0051】
また、本実施例に係るカバー100Cにおいても、上記実施例1と同様に、第2ストッパ部141を有する第1ストッパ部140が設けられている。
【0052】
以上のように構成されるカバー100Cにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(実施例4)
図11には、本発明の実施例4が示されている。本実施例においては、保持部の下端に設けられるストッパ機能部の構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説明は省略する。図11は本発明の実施例4に係るカバーの底面図である。
【0054】
本実施例に係るストッパ機能部130は、一か所の第4ストッパ部132d,132eにより構成される。
【0055】
第4ストッパ部132d,132eは、保持部121の下端において、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向し、一対の保持部同士を連結しないように設けられている。この第4ストッパ部132d,132eは、頭部20の傾きを抑制する役割を担っている。そして、第4ストッパ部132dと第4ストッパ部132eとの間の第2隙間S2は、非直線的な隙間により構成されている。このような構成を採用することで、第2隙間S2について、その一端側から他端側を直視した場合に、他端側の隙間が見えないように構成されている。これにより、スタッキングの発生を抑制することができる。
【0056】
本実施例に係るカバー100Eにおいても、上記実施例1と同様に、第2ストッパ部141を有する第1ストッパ部140が設けられている。
【0057】
なお、上記各実施例とは異なり、本実施例においては、一対の保持部121同士を連結する連結部が設けられていない。連結部を設けなくても十分な保持力が得られる場合には、本実施例のように連結部を設けない構成を採用することができる。これにより、本実施例に係るカバー100Eにおいても、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
(その他)
上記各実施例においては、第2ストッパ部141は、第1ストッパ部140の内面から開口に向かって突出する一つの突出部により構成される場合を示した。しかしながら、本発明における第2ストッパ部は、複数の突出部により構成することもできる。また、その形状についても、各図に示した形状に限定されることはない。更に、第2ストッパ部141である突出部は、各図に示すように、側壁120には到達しない位置まで突出する構成を示したが、側壁120の内側に入り込む位置まで突出させても構わない。
【0059】
また、各実施例において示した各種連結部と各種第4ストッパ部については、上記各実施例で示した組み合わせ以外の組み合わせでも適用可能である。また、上記各実施例では、最大2か所に連結部を設ける構成を示したが、3か所以上に連結部を設けてもよい。第4ストッパ部については、設けなくても良いし、一か所又は二か所以上設けてもよい。また、連結部の形状は各実施例で示した形状に限定されることはない。同様に、第4ストッパ部の形状についても、特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1…歯ブラシ
10…柄
20…頭部
21…植毛部 22…先端部
100,100A,100C,100E…カバー
110…基部
120…側壁
121…保持部 122…傾斜部 123a,123b…リブ 125…第3ストッパ部
130…ストッパ機能部
131a,131b…連結部
132a,132b,132c,132d,132e…第4ストッパ部
140…第1ストッパ部
141…第2ストッパ部
S1…第1隙間
S2…第2隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11