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特開2023-101502表示装置、制御方法、プログラム、及び記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101502
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】表示装置、制御方法、プログラム、及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20230713BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20230713BHJP
   G09G 5/373 20060101ALI20230713BHJP
   G01C 21/36 20060101ALI20230713BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
B60K35/00 A
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/373 100
G09G5/00 530H
G01C21/36
G08G1/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023073958
(22)【出願日】2023-04-28
(62)【分割の表示】P 2021095644の分割
【原出願日】2014-02-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】藤栄 哲也
(57)【要約】
【課題】振動に対する視認性の悪化を好適に抑制することが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】ヘッドアップディスプレイ2は、光源ユニット4と、コンバイナ9とを備える。光源ユニット4の制御部55は、車両Veから視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を示す案内画像をコンバイナ9上に表示させる。制御部55は、振動センサ3から受信した検出信号Sd及び車両Veの走行速度に基づき、車両Veが走行中の道路面の平滑度に関する情報である平滑判定指数αを取得する。そして、制御部55は、平滑判定指数αに応じて、コンバイナ9に表示させる文字または図形の大きさを変化させる。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記路面状況取得手段により取得された前記平滑度に関する情報が示す前記道路面の平滑度が悪化するほど、前記文字または図形の大きさを大きくすることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の振動を勘案した表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ヘッドアップディスプレイにおいて、車両の振動による影響を低減させる技術が存在する。例えば、特許文献1には、車両の振動を検出するために運転者の視線に入る風景を取り込む前方カメラと、運転者と車両の相対位置の変化を取り込むドライバーカメラとを有し、前方カメラとドライバーカメラにより取得した情報に基づいて、コンバイナに投影する情報の位置を変化させることにより、視認性を高めるヘッドアップディスプレイが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-70066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、振動による視認性の悪化を低減することができる一方で、前方カメラとドライバーカメラとを必要とするため、システム構築のコストが高価となるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、振動に対する視認性の悪化を好適に抑制することが可能な表示装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項に記載の発明は、表示装置であって、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記路面状況取得手段により取得された前記平滑度に関する情報が示す前記道路面の平滑度が悪化するほど、前記文字または図形の大きさを大きくすることを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、表示装置であって、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記車両の振動を検出するセンサが検出した振動量を取得する振動量取得手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記振動量取得手段により取得された前記振動量が大きいほど、前記文字または図形の大きさを大きくすることを特徴とする。
【0007】
また、請求項に記載の発明は、表示装置が実行する制御方法であって、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御工程と、前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得工程と、を有し、前記表示制御工程は、前記路面状況取得工程により取得された前記平滑度に関する情報が示す前記道路面の平滑度が悪化するほど、前記文字または図形の大きさを大きくすることを特徴とする。
【0008】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得手段として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御手段は、前記路面状況取得手段により取得された前記平滑度に関する情報が示す前記道路面の平滑度が悪化するほど、前記文字または図形の大きさを大きくすることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】表示システムの概略構成を示す。
図2】ナビゲーション装置の概略構成を示す。
図3】ヘッドアップディスプレイの概略構成を示す。
図4】光源ユニットの概略構成を示す。
図5】車両の走行速度と、車両の振動量との関係を示すグラフを示す。
図6】判定レベルと案内画像のフォントサイズ及び図形サイズとの関係を視覚的に示した表である。
図7】車両が所定期間走行した場合の走行道路の平滑判定指数及び判定レベルの時間変化を示すグラフである。
図8】第1実施例に係る案内画像の表示処理を示すフローチャートである。
図9】コンバイナの表示例を示す。
図10】第2実施例に係る表示システムの概略構成を示す。
図11】所定の平滑判定指数に対応する道路を走行した場合の車両の走行速度と、推定振動量との関係を示すグラフである。
図12】第3実施例に係る案内画像の表示処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つの好適な実施形態では、表示装置は、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記路面状況取得手段により取得された前記平滑度に関する情報に応じて、前記文字または図形の大きさを変化させる。
【0011】
上記表示装置は、表示制御手段と、路面状況取得手段とを備える。表示制御手段は、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる。路面状況取得手段は、車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する。そして、表示制御手段は、路面状況取得手段により取得された平滑度に関する情報に応じて、表示手段に表示させる文字または図形の大きさを変化させる。このようにすることで、表示装置は、道路面の路面状況に応じて表示手段に表示させる文字や図形の表示サイズを変化させて、これらを好適に運転者に視認させることができる。
【0012】
上記表示装置の一態様では、前記表示制御手段は、前記平滑度に関する情報が示す前記道路面の平滑度が悪化するほど、前記文字または図形の大きさを大きくする。この態様により、平滑度が悪い路面を走行中の場合であっても、表示させる文字または図形の大きさを大きくし、これらを好適に運転者に視認させることができる。
【0013】
上記表示装置の他の一態様では、表示装置は、前記車両の走行速度を取得する速度取得手段と、前記車両の振動の大きさを取得する振動量取得手段と、を備え、前記路面状況取得手段は、前記走行速度と前記振動量に基づいて前記平滑度に関する情報を取得する。この態様により、表示装置は、道路面の平滑度を好適に推定することができる。
【0014】
上記表示装置の他の一態様では、前記路面状況取得手段は、前記平滑度に関する情報を、当該平滑度に関する情報が予め道路ごとに関連づけて記録されている地図データから取得する。この態様によっても、表示装置は、道路面の平滑度に関する情報を好適に取得し、表示させる文字や図形の表示サイズを適切に決定することができる。
【0015】
上記表示装置の他の一態様では、表示装置は、前記車両の走行速度を取得する速度取得手段を備え、前記表示制御手段は、前記平滑度に関する情報と前記走行速度とに基づいて推定される推定振動量に応じて、前記文字または図形の大きさを変化させる。この態様により、表示装置は、車両の振動量を好適に推定し、推定した振動量に応じて、表示させる文字または図形の大きさを適切に変化させることができる。
【0016】
上記表示装置の他の一態様では、前記路面状況取得手段は、前記平滑度に関する情報として、前記車両の振動を検出するセンサが検出した振動量を取得し、前記表示制御手段は、前記路面状況取得手段により取得された前記振動量に応じて、前記文字または図形の大きさを変化させる。この態様により、表示装置は、検出した振動量に応じて、表示させる文字または図形の大きさを適切に変化させることができる。
【0017】
本発明の他の好適な実施形態では、表示装置が実行する制御方法であって、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御工程と、前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得工程と、を備え、前記表示制御工程は、前記路面状況取得工程により取得された前記平滑度に関する情報に応じて、前記文字または図形の大きさを変化させる。表示装置は、この制御方法を実行することで、道路面の路面状況に応じて表示手段に表示させる文字や図形の表示サイズを変化させて、これらを好適に運転者に視認させることができる。
【0018】
本発明のさらに別の実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、車両から視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を表示手段に表示させる表示制御手段と、前記車両が走行中の道路面の平滑度に関する情報を取得する路面状況取得手段として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御手段は、前記路面状況取得手段により取得された前記平滑度に関する情報に応じて、前記文字または図形の大きさを変化させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、道路面の路面状況に応じて表示手段に表示させる文字や図形の表示サイズを変化させて、これらを好適に運転者に視認させることができる。好適には、上記プログラムは、記憶媒体に記憶される。
【実施例0019】
以下、図面を参照して本発明の好適な第1~第3実施例について説明する。
【0020】
<第1実施例>
まず、第1実施例について説明する。
【0021】
[概略構成]
(1)システム構成
図1は、実施例に係る表示システム100の構成例を示す。図1に示すように、表示システム100は、車両Veに搭載され、ナビゲーション装置1と、ヘッドアップディスプレイ2と、振動センサ3とを有する。
【0022】
ナビゲーション装置1は、出発地から目的地までの経路案内を行う機能などを有する。ナビゲーション装置1は、例えば、車両Veに設置される据え置き型のナビゲーション装置、PND(Portable Navigation Device)、又はスマートフォンなどの携帯電話とすることができる。
【0023】
ヘッドアップディスプレイ2は、現在位置を含む地図情報や経路案内情報、車両Veの走行速度、施設マーク、その他運転を補助する案内情報を表示する画像(「案内画像」とも呼ぶ。)を生成し、当該案内画像を運転者の目の位置(アイポイント)から虚像として視認させる装置である。後述するように、ヘッドアップディスプレイ2は、路面状況に応じて案内画像の大きさを調整することで、車両Veの振動時であっても案内画像を運転者に好適に視認させる。
【0024】
振動センサ3は、車両Veの振動量を検出する。そして、振動センサ3は、検出した振動量を示す検出信号Sdを、ヘッドアップディスプレイ2へ供給する。
【0025】
なお、ナビゲーション装置1がスマートフォンなどの携帯電話である場合、ナビゲーション装置1は、クレードルなどによって保持されても良い。この場合、ナビゲーション装置1は、クレードルなどを介して、ヘッドアップディスプレイ2と情報の授受を行うこととしても良い。また、振動センサ3は、ヘッドアップディスプレイ2に代えて、ナビゲーション装置1と接続してもよい。この場合、ナビゲーション装置1は、振動センサ3から検出信号Sdを受信した場合に、当該検出信号Sdをヘッドアップディスプレイ2に転送する。
【0026】
(2)ナビゲーション装置の構成
図2は、ナビゲーション装置1の構成を示す。図2に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、インタフェース39、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
【0027】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両Veの加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両Veの方向変換時における車両Veの角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両Veの車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0028】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両Veの絶対的な位置(「現在位置」とも呼ぶ。)を検出するために用いられる。
【0029】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0030】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0031】
システムコントローラ20、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0032】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0033】
データ記憶ユニット36は、例えば、HDDなどにより構成され、地図データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶するユニットである。地図データは、道路に相当するリンクと、道路の接続部分に相当するノードとにより表された道路データや、各施設に関する施設情報などを含む。
【0034】
通信装置38は、例えば、FMチューナやビーコンレシーバ、携帯端末や専用の通信モジュールなどにより構成され、通信用インタフェース37を介して、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから配信される渋滞や交通情報などの道路交通情報、その他の情報を受信する。また、通信装置38は、案内ルートの情報、GPS受信機18から取得した現在位置の情報、自立測位装置10から取得した車速パルス等の情報及び地図データなど、ナビゲーション処理に用いられる各種情報をヘッドアップディスプレイ2に送信する。
【0035】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図データなどを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0036】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD-ROMドライブ31又はDVD-ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0037】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0038】
(3)ヘッドアップディスプレイの構成
図3は、ヘッドアップディスプレイ2の概略構成図である。図3に示すように、本実施例に係るヘッドアップディスプレイ2は、光源ユニット4と、コンバイナ9とを備え、フロントウィンドウ25、天井部27、ボンネット28、及びダッシュボード29などを備える車両Veに取り付けられる。
【0039】
光源ユニット4は、支持部材5a、5bを介して車室内の天井部27に設置され、運転を補助する情報を示す案内画像を構成する光を、コンバイナ9に向けて出射することで、コンバイナ9を介して運転者に虚像「Iv」を視認させる。
【0040】
コンバイナ9は、光源ユニット4から出射される表示像が投影されると共に、表示像を運転者のアイポイント「Pe」へ反射することで当該表示像を虚像Ivとして表示させる。そして、コンバイナ9は、天井部27に設置された支持軸部8を有し、支持軸部8を支軸として回動する。支持軸部8は、例えば、フロントウィンドウ25の上端近傍の天井部27、言い換えると運転者用の図示しないサンバイザが設置される位置の近傍に設置される。なお、支持軸部8は、上述のサンバイザに代えて設置されてもよい。コンバイナ9は、本発明における「表示手段」の一例である。
【0041】
(4)光源ユニットの構成
図4は、光源ユニット4の構成を概略的に示した図である。図4に示すように、光源ユニット3は、光源54と、制御部55と、通信部56とを有する。
【0042】
光源54は、例えば赤色、青色及び緑色の各色のレーザ光源を有し、制御部55の制御に基づき、コンバイナ9に照射させる表示像を構成する光(「表示光」とも呼ぶ。)を出射する。
【0043】
通信部56は、制御部55の制御に基づき、ナビゲーション処理に用いられる各種情報をナビゲーション装置1から受信する。例えば、通信部56は、ナビゲーション装置1から案内ルートの情報、現在位置の情報、及び車速の情報などの案内画像の生成に必要な情報を受信する。また、通信部56は、振動センサ3から検出信号Sdを受信する。
【0044】
制御部55は、CPU、CPUが実行する制御プログラムやデータなどを記憶するROM、CPUが動作する際のワークメモリとして各種データが逐次読み書きされるRAMなどを有し、ヘッドアップディスプレイ2の全般的な制御を行う。
【0045】
制御部55は、ナビゲーション装置1から送信される情報に基づき、案内画像を生成し、案内画像を構成する表示光を光源54に出射させる。また、本実施例では、制御部55は、ナビゲーション装置1から取得する走行速度の情報と、振動センサ3から取得する検出信号Sdが示す振動量とに基づき、車両Veが走行中の道路(単に「走行道路」とも呼ぶ。)の路面状況を認識する。そして、制御部55は、認識した走行道路の路面状況に応じて案内画像の表示サイズを変更する。これについては、[表示サイズの調整]のセクションで詳しく説明する。
【0046】
そして、制御部55は、本発明における「路面状況取得手段」、「表示制御手段」、「速度取得手段」、「振動量取得手段」及びプログラムを実行するコンピュータとして機能する。
【0047】
[表示サイズの調整]
次に、文字や図形を示す案内画像の表示サイズの調整方法について説明する。概略的には、制御部55は、車両Veの走行速度と、検出信号Sdが示す振動量とに基づき、走行道路の平滑度合いを示す指数(「平滑判定指数α」とも呼ぶ。)を算出し、平滑判定指数αに応じて段階的に案内画像の表示サイズを変更する。これにより、制御部55は、凹凸の大きい道路では案内画像の視認性を向上させ、平滑な道路では前方の視認性を向上させる。平滑判定指数αは、本発明における「平滑度に関する情報」の一例であり、本実施例では、路面が平滑であるほど低い値になるものとする。
【0048】
(1)平滑判定指数の算出方法
まず、平滑判定指数αの算出方法について説明する。本実施例では、制御部55は、車両Veの振動量を、走行道路の平滑判定指数αと、車両Veの走行速度とに比例するものとみなす。即ち、制御部55は、車両Veの走行速度を「X」、車両Veの振動量を「Y」とすると、以下の式(1)が成立するとみなす。
Y=α・X 式(1)
【0049】
式(1)が示す関係について、図5を参照してさらに詳しく説明する。図5は、車両Veの走行速度をX軸とし、車両Veの振動量をY軸とした場合のグラフG1~G3を示す。ここで、グラフG1は、平滑判定指数αが相対的に低い「α1」である場合、即ち、走行道路の舗装状態が良い場合の走行速度と振動量との関係を示す。また、グラフG3は、平滑判定指数αが相対的に高い「α3」である場合、即ち、走行道路の舗装状態が悪い場合の走行速度と振動量との関係を示し、グラフG2は、平滑判定指数αが「α1」と「α3」との中間値「α2」である場合の走行速度と振動量との関係を示す。
【0050】
図5に示すように、振動量は、走行速度に比例して大きくなり、かつ、平滑判定指数αが大きいほど、変化の傾きが大きくなる。従って、制御部55は、走行速度と、振動量とに基づき、グラフの傾きに相当する平滑判定指数αを算出することができる。
【0051】
また、本実施例では、制御部55は、走行速度の時系列における移動平均(「速度平均Xa」とも呼ぶ。)と、検出した振動量の時系列における移動平均(「振動平均Ya」とも呼ぶ。)とを用いて、以下の式(2)により平滑判定指数αを算出する。
α=Ya/Xa 式(2)
【0052】
図5の例では、制御部55は、速度平均Xaと振動平均Yaとを用いて平滑判定指数α2を算出している。ここで、制御部55は、速度平均Xaを、ナビゲーション装置1から取得した直前の所定個数分の走行速度の情報に基づき算出し、振動平均Yaを、振動センサ3から取得した直前の所定個数分の検出信号Sdに基づき算出する。上述の所定個数は、例えば実験等に基づく適合値に設定される。このように、移動平均させた走行速度及び振動量を用いて平滑判定指数αを算出することで、制御部55は、突発的なノイズ成分を好適に除去する。
【0053】
(2)表示サイズの決定方法
次に、案内画像の表示サイズの決定方法について説明する。制御部55は、算出した平滑判定指数αが属するレベル(「判定レベルLv」とも呼ぶ。)を認識し、判定レベルLvに応じて、案内画像の表示サイズを決定する。以後では、判定レベルLvは、レベル1~レベル4の4段階存在するものとし、平滑判定指数αが大きいほど高いものとする。
【0054】
図6は、判定レベルLvと案内画像のフォントサイズ及び図形サイズとの関係を視覚的に示した表である。図6に示すように、制御部55は、判定レベルLvが高いほど、案内画像が示す文字のフォントサイズ及び案内画像が示す図形のサイズを大きくする。なお、実際には、制御部55は、図6に示すような判定レベルLvと案内画像のフォントサイズ及び図形サイズとの関係を示す数値化されたテーブルを予め記憶しておく。即ち、制御部55は、各判定レベルLvに対応する案内画像のフォントサイズ及び図形サイズを示す数値を予め記憶しておく。
【0055】
このように、制御部55は、判定レベルLvが高く、舗装状態が悪いと判断される走行道路では、車両Veの振動に起因して案内画像が見えにくい状況であると判断し、案内画像が示す文字及び図形を大きく表示する。これにより、制御部55は、案内画像の視認性を上げて運転者に案内画像を好適に視認させる。また、制御部55は、判定レベルLvが低く、平滑度が高いと判断される走行道路では、案内画像が見えやすい状況であると判断し、案内画像を標準サイズにより表示する。これにより、制御部55は、案内画像が不必要に大きいことに起因して視界が悪くなるのを防ぎ、運転者の前方風景に対する視認性を好適に確保することができる。
【0056】
また、制御部55は、判定レベルLvの判定では、案内画像のサイズ設定が頻繁に変わるのを防ぐため、判定レベルLvを判定するための平滑判定指数αの閾値にヒステリシスを持たせる。これについて、図7を参照して説明する。
【0057】
図7は、車両Veが所定期間走行した場合の走行道路の平滑判定指数α及び判定レベルLvの時間変化を示すグラフである。図7の例では、制御部55は、判定レベルLvの各レベルに上げるか否かを判定する平滑判定指数αの閾値(α2、α4、α6)よりも、当該レベルから一つ下のレベルに下げるか否かを判定する平滑判定指数αの閾値(α1、α3、α5)を低く設定する。以後では、前者の閾値を「繰上げ閾値」と呼び、後者の閾値を「繰下げ閾値」とも呼ぶ。
【0058】
具体的には、制御部55は、判定レベルLvがレベル1からレベル2に上がるための繰上げ閾値を「α2」、判定レベルLvがレベル2からレベル1に下がるための繰下げ閾値をα2より低い「α1」としている。同様に、制御部55は、判定レベルLvがレベル2からレベル3に上がるための繰上げ閾値を「α4」、判定レベルLvがレベル3からレベル2に下がるための繰下げ閾値をα4より低い「α3」、判定レベルLvがレベル3からレベル4に上がるための繰上げ閾値を「α6」、判定レベルLvがレベル4からレベル3に下がるための繰上げ閾値をα6より低い「α5」としている。制御部55は、これらの平滑判定指数αの閾値α1~α6を、実験等に基づく適合値に定め、予めメモリ等に記憶しておく。
【0059】
そして、図7の例では、制御部55は、時刻「t1」において、式(2)に基づき算出した平滑判定指数αが繰上げ閾値α2以上となったことから、判定レベルLvをレベル1からレベル2に引き上げる。その後、制御部55は、平滑判定指数αが繰下げ閾値α1以上となる範囲で繰上げ閾値α2を下回った場合であっても、判定レベルLvをレベル2のまま維持する。次に、制御部55は、時刻「t2」において、平滑判定指数αが繰上げ閾値α4以上になったことから、判定レベルLvをレベル2からレベル3に引き上げ、時刻「t3」において、平滑判定指数αが繰上げ閾値α6以上となったことから、判定レベルLvをレベル3からレベル4に引き上げる。
【0060】
その後、制御部55は、時刻「t4」において、平滑判定指数αが繰下げ閾値α5を下回ったことから、判定レベルLvをレベル4からレベル3に引き下げる。同様に、制御部55は、時刻「t5」において、平滑判定指数αが繰下げ閾値α3を下回ったことから、判定レベルLvをレベル3からレベル2へ引き下げる。
【0061】
このように、図7の例では、制御部55は、判定レベルLvの各レベルに上げるかを判定する繰上げ閾値よりも、当該レベルから一つ下のレベルに下げるかを判定する繰下げ閾値を低く設定することで、平滑判定指数αが上下変動する場合であっても、判定レベルLvが頻繁に切り替わるのを好適に抑制することができる。
【0062】
(3)処理フロー
図8は、第1実施例に係る案内画像の表示処理を示すフローチャートである。制御部55は、図8に示すフローチャートの処理を、所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0063】
まず、制御部55は、振動センサ3から検出した振動量を示す検出信号Sdを取得する(ステップS101)。次に、制御部55は、距離センサ13等が計測した車両Veの走行速度の情報をナビゲーション装置1から取得する(ステップS102)。そして、制御部55は、過去所定個数分の走行速度の移動平均である速度平均Xaと、過去所定個数分の検出信号Sdが示す振動量の移動平均である振動平均Yaとを算出する(ステップS103)。
【0064】
次に、制御部55は、算出した速度平均Xa及び振動平均Yaに基づき、式(2)を参照することで、平滑判定指数αを算出する(ステップS104)。次に、制御部55は、図7で説明した閾値α1~α6を参照し、平滑判定指数αから判定レベルLvを決定する(ステップS105)。そして、制御部55は、図6に示すような判定レベルLvと案内画像の表示サイズとの対応関係を示す情報に基づき、各案内画像の表示サイズを決定し、各案内画像をコンバイナ9上に表示させる(ステップS106)。
【0065】
(4)表示例
次に、第1実施例に係る表示例について図9を参照して説明する。
【0066】
図9(A)は、平滑度が高い道路の走行時における、コンバイナ9を介して運転者が視認する前方風景を示す。図9(A)の例では、制御部55は、案内画像として、次に右折すべき案内地点での進行方向を示す矢印画像81と、案内地点までの距離を示す距離表示画像82と、現在の車両Veの走行速度を示す速度表示画像83とをコンバイナ9上に表示させている。
【0067】
図9(A)では、制御部55は、速度平均Xa及び振動平均Yaに基づき式(2)を参照して算出した平滑判定指数αが、図7で説明した繰上げ閾値α2より低いと判断し、判定レベルLvをレベル1に設定する。従って、この場合、制御部55は、各案内画像81~83を標準サイズにより表示している。
【0068】
図9(B)は、舗装状態が悪い道路の走行時における、コンバイナ9を介して運転者が視認する前方風景を示す。図9(B)の例では、制御部55は、速度平均Xa及び振動平均Yaに基づき式(2)を参照して算出した平滑判定指数αが、図7で説明した繰上げ閾値α4以上であると判断し、判定レベルLvをレベル3に設定する。従って、この場合、制御部55は、矢印画像81を標準サイズよりも所定率だけ拡大すると共に、距離表示画像82を標準のフォントサイズよりも所定率だけ拡大する。このようにすることで、舗装状態が悪い場合であっても、矢印画像81及び距離表示画像82を運転者に好適に視認させることができる。
【0069】
また、図9(B)の例では、制御部55は、比較的重要度が低い情報を示す速度表示画像83のフォントサイズを拡大していない。このように、好適には、制御部55は、運転者に視認させるべき優先度が高い案内画像のみを適宜拡大表示し、視認させる優先度が低い案内画像については拡大表示しないとよい。これにより、制御部55は、運転者の前方風景に対する視界を好適に確保することができる。この場合、例えば、制御部55は、決定した判定レベルLvに応じて表示サイズを変化させる案内画像の種類と、判定レベルLvによらずに表示サイズを固定させる案内画像の種類とを示すテーブルを予め記憶しておき、当該テーブルを参照して各案内画像の表示サイズを決定する。
【0070】
以上説明したように、本実施例に係るヘッドアップディスプレイ2は、光源ユニット4と、コンバイナ9とを備える。光源ユニット4の制御部55は、車両Veから視認される風景に見かけ上で重なるように、文字または図形を示す案内画像をコンバイナ9上に表示させる。制御部55は、振動センサ3から受信した検出信号Sd及び車両Veの走行速度に基づき、車両Veが走行中の道路面の平滑度に関する情報である平滑判定指数αを取得する。そして、制御部55は、平滑判定指数αに応じて、コンバイナ9に表示させる文字または図形の大きさを変化させる。このようにすることで、ヘッドアップディスプレイ2は、道路面の路面状況に応じて文字や図形の表示サイズを変化させて、これらを好適に運転者に視認させることができる。
【0071】
<第2実施例>
図10は、第2実施例に係る表示システム100の概略構成を示す。第2実施例では、制御部55は、振動センサ3から受信した検出信号Sd等に基づき式(2)を参照して平滑判定指数αを算出する代わりに、データ記憶ユニット36の地図データに予め記憶された道路ごとの平滑判定指数αを参照することで平滑判定指数αを取得する点で、第1実施例と異なる。その他、第1実施例と同様な部分については、適宜同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0072】
第2実施例では、データ記憶ユニット36は、地図データとして、各道路に対応するリンクデータごとに平滑判定指数αを予め関連付けて記憶している。そして、制御部55は、GPS受信機18等が測定した現在位置をナビゲーション装置1から取得することで、走行道路を認識し、認識した走行道路に対応するリンクデータに関連付けられた平滑判定指数αを、データ記憶ユニット36が記憶する地図データから取得する。その後、制御部55は、第1実施例と同様に、判定レベルLvの判定を行い、判定レベルLvに応じて案内画像の表示サイズを変更する。
【0073】
第2実施例に係る表示システム100では、振動センサ3から検出信号Sdを取得する必要がなく、かつ、ナビゲーション装置1から車両Veの走行速度の情報を取得する必要がないため、制御部55は、より容易に案内画像の表示サイズを決定することができる。
【0074】
なお、地図データは、図示しない外部のサーバに記憶されており、ヘッドアップディスプレイ2は、ネットワークを介して、車両Veの現在位置周辺を表す地図の情報及び平滑判定指数αを取得してもよい。
【0075】
<第3実施例>
第3実施例では、第2実施例に加えて、制御部55は、地図データから取得した平滑判定指数αと車両Veの走行速度とに基づき、車両Veの振動量の推定値(「推定振動量Ye」とも呼ぶ。)を算出し、推定振動量Yeに応じて判定レベルLvを決定する。
【0076】
具体的には、制御部55は、地図データから取得した走行道路に対応する平滑判定指数αと、第1実施例と同様に算出した速度平均Xaとに基づき、以下の式(3)により、推定振動量Yeを算出する。
Ye=α・Xa 式(3)
【0077】
そして、制御部55は、算出した推定振動量Yeに基づき、判定レベルLvを決定する。図11は、平滑判定指数αを固定した場合の平均速度Xaと、推定振動量Yeとの関係を示すグラフである。図11の例では、図7の例と同様、判定レベルLvの各レベルに上げるか否かを判定する推定振動量Yeの繰上げ閾値(Ye2、Ye4、Ye6)よりも、当該レベルから一つ下のレベルに下げるか否かを判定する推定振動量Yeの繰下げ閾値(Ye1、Ye3、Ye5)を低く設定する。このようにすることで、制御部55は、式(3)に基づき算出した推定振動量Yeが頻繁に上下変動する場合であっても、判定レベルLvが頻繁に切り替わるのを好適に抑制する。
【0078】
図12は、第3実施例に係る案内画像の表示処理を示すフローチャートである。制御部55は、図12に示すフローチャートの処理を、所定の周期に従い繰り返し実行する。
【0079】
まず、制御部55は、GPS受信機18等が測定した現在位置をナビゲーション装置1から取得することで、地図データから走行道路に対応するリンクデータを取得する(ステップS201)。そして、制御部55は、取得したリンクデータに、平滑判定指数αが関連付けられて記憶されているか否か判定する(ステップS202)。
【0080】
そして、制御部55は、取得したリンクデータに、平滑判定指数αが関連付けられて記憶されている場合(ステップS202;Yes)、当該平滑判定指数αを取得する(ステップS203)。その後、制御部55は、第1実施例等と同様に速度平均Xaを算出し(ステップS204)、式(3)に基づき、推定振動量Yeを算出する(ステップS205)。
【0081】
その後、制御部55は、推定振動量Yeに応じて判定レベルLvを決定する(ステップS206)。具体的には、制御部55は、ステップS204で算出した推定振動量Yeと、判定レベルLvを判定するための閾値(図7の例ではYe1~Ye6)とに基づき、判定レベルLvを決定する。そして、制御部55は、決定した判定レベルLvに応じた大きさにより、案内画像を表示する(ステップS207)。この場合、第1実施例の図9に示す表示例で説明したように、制御部55は、一部の案内画像のみを対象に表示サイズを変更してもよい。
【0082】
一方、ステップS202において、制御部55は、対応するリンクデータに、平滑判定指数αが関連付けられて記憶されていないと判断した場合(ステップS202;No)、標準の大きさにより、即ち判定レベルLvがレベル1である場合と同様の表示サイズにより案内画像を表示する(ステップS208)。
【0083】
このように、第3実施例によれば、表示システム100は、振動センサを使用することなく、振動に応じた適切な表示サイズにより案内画像を表示することができる。
【0084】
[変形例]
以下、上述の実施例に好適な変形例について説明する。以下の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用してもよい。
【0085】
(変形例1)
第1実施例において、制御部55は、振動センサ3から取得した振動量に基づき、第3実施例と同様に判定レベルLvを決定してもよい。この場合、制御部55は、判定レベルLvの各レベルに上げるか否かを判定する振動量の繰上げ閾値と、当該レベルから一つ下のレベルに下げるか否かを判定する振動量の繰下げ閾値とを予め記憶しておく。そして、制御部55は、図8のフローチャートにおいて、ステップS101で振動量を振動センサ3から取得後、ステップS102~ステップS104を実行することなく、ステップS105において、検出した振動量に基づき、上述の閾値を用いて判定レベルLvを決定する。この態様によっても、制御部55は、車両Veの振動量によらずに案内画像を好適に運転者に視認させることができる。
【0086】
(変形例2)
第2実施例において、データ記憶ユニット36は、地図データとして平滑判定指数αを道路ごとに関連付けて記憶するのに代えて、又はこれに加えて、判定レベルLvを道路ごとに関連付けて記憶してもよい。この場合、制御部55は、走行道路に対応する判定レベルLvをデータ記憶ユニット36から取得することで、案内画像の表示サイズを決定する。この態様によっても、制御部55は、走行道路の舗装状態によらずに案内画像を好適に運転者に視認させることができる。
【0087】
(変形例3)
第3実施例において、制御部55は、推定振動量Yeの繰上げ閾値及び繰下げ閾値を、それぞれ道路ごとに異ならせてもよい。
【0088】
例えば、この場合、データ記憶ユニット36は、リンクデータごとに、平滑判定指数αに加えて判定レベルLvを判定するための上述の閾値の情報を記憶しておく。そして、制御部55は、図12のフローチャートを実行する場合、ステップS202において、リンクデータから平滑判定指数αと共に上述の閾値を取得し、ステップS205の判定レベルLvの決定処理を行う。
【0089】
他の例では、データ記憶ユニット36は、一般道路や有料道路などの道路種別ごとに、判定レベルLvを判定するための上述の閾値の情報を記憶する。そして、制御部55は、図12のフローチャートを実行する場合、ステップS205において、走行道路の種別をさらに認識し、認識した道路種別に対応する判定レベルLvの閾値を参照して判定レベルLvを決定する。
【0090】
なお、上述の例において、道路ごとに、判定レベルLvのレベル分けの数が異なってもよい。例えば、一般道路では判定レベルLvのレベルが2段階であり、高速道路では判定レベルLvのレベルが5段階であってもよい。
【0091】
同様に、第1及び第2実施例においても、制御部55は、平滑判定指数αの繰上げ閾値及び繰下げ閾値を、それぞれ道路ごとに異ならせてもよい。
【0092】
(変形例4)
第1実施例において、制御部55は、速度平均Xaが所定値(例えば5km/h)以下の場合には、平滑判定指数αを算出することなく、判定レベルLvをレベル1に設定してもよい。これにより、制御部55は、式(2)の分母が0になることより平滑判定指数αが算出できなくなるのを防ぐことができる。
【0093】
(変形例5)
第1実施例において、制御部55は、平滑判定指数αを式(2)に基づき算出したが、本発明が適用可能な平滑判定指数αの算出方法は、これに限定されない。この代わりに、例えば、制御部55は、より実際の路面状況に即した高精度な平滑判定指数αを算出するために、実験等に基づき規定したより高度な式やマップ等を用いて平滑判定指数αを算出してもよい。
【0094】
(変形例6)
第1及び第2実施例において、制御部55は、判定レベルLvに基づき、段階的に案内画像の表示サイズを変更した。これに代えて、制御部55は、平滑判定指数αに応じて連続的に案内画像の表示サイズを変更してもよい。即ち、制御部55は、平滑判定指数αが大きいほど、案内画像の表示サイズを連続的に大きくしてもよい。同様に、第3実施例において、制御部55は、判定レベルLvに基づき、段階的に案内画像の表示サイズを変更するのに代えて、推定振動量Yeに応じて連続的に表示サイズを変更してもよい。
【0095】
(変形例7)
図3では、ヘッドアップディスプレイ2は、コンバイナ9を有し、コンバイナ9で反射させた光源ユニット4の出射光に基づき運転者に虚像Ivを視認させていた。しかし、本発明が適用可能な構成はこれに限定されない。これに代えて、ヘッドアップディスプレイ2は、コンバイナ9を有さず、フロントガラス25で反射させた光源ユニット4の出射光に基づき運転者に虚像Ivを視認させてもよい。この場合、フロントガラス25は、本発明における「表示手段」の一例である。
【0096】
また、光源ユニット4の位置は、天井部27に設置される場合に限定されない。これに代えて、光源ユニット4は、ダッシュボード29上に設置されたり、ダッシュボード29の内部に設置されたりしてもよい。ダッシュボード29上に設置される場合、ダッシュボード29には、コンバイナ9を設けるか、又はフロントガラス25に光源ユニット4から直接光を反射させ運転者に虚像Ivを認識させる。ダッシュボード29内に設置される場合、ダッシュボード29には、コンバイナ9又はフロントガラス25に光を通過させるための開口部が設けられる。
【0097】
また、表示システム100は、ヘッドアップディスプレイ2により前方風景に重畳させて案内画像を表示させるのに代えて、装着型のヘッドマウントディスプレイにより前方風景に重畳させて案内画像を表示させてもよい。
【0098】
(変形例8)
制御部55の処理の一部を、システムコントローラ20が実行してもよい。例えば、ヘッドアップディスプレイ2が表示するための案内画像をシステムコントローラ20が生成し、ヘッドアップディスプレイ2の光源ユニット4が当該案内画像を受信する態様であってもよい。この場合、システムコントローラ20は、図8図12に示すフローチャートを実行することで判定レベルLvを決定し、案内画像の表示サイズを指定する信号又は光源54が表示光を出射するのに必要な情報をヘッドアップディスプレイ2に送信する。従って、この変形例では、システムコントローラ20は、本発明における「路面状況取得手段」、「表示制御手段」、「速度取得手段」、「振動量取得手段」及びプログラムを実行するコンピュータとして機能する。
【0099】
また、ヘッドアップディスプレイ2は、ナビゲーション装置1の一部又は全部の機能を有してもよい。この場合、光源ユニット4は、例えば、地図データを記憶するメモリやGPS受信機などの各センサなどを有してもよい。
【0100】
(変形例9)
図9の表示例では、制御部55は、速度表示画像83の表示サイズを不変としたが、これに代えて、速度表示画像83を含む全ての案内画像の表示サイズを判定レベルLvに応じて変化させてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 ナビゲーション装置
2 ヘッドアップディスプレイ
4 光源ユニット
9 コンバイナ
25 フロントガラス
28 ボンネット
29 ダッシュボード
100 表示システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12