(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101518
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】ロールする鼻梁部を有するインタフェース
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075626
(22)【出願日】2023-05-01
(62)【分割の表示】P 2021178046の分割
【原出願日】2012-04-13
(31)【優先権主張番号】61/504,295
(32)【優先日】2011-07-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/476,188
(32)【優先日】2011-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/553,067
(32)【優先日】2011-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】オルセン グレゴリー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ベアルン ピーター ディヴィッド アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンズ レオン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンソン マシュー ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】プレンティス クレイグ ロバート
(72)【発明者】
【氏名】イプ バーナード ツー ルン
(72)【発明者】
【氏名】スピア トニー ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】マクラレン マーク アービンド
(72)【発明者】
【氏名】パテル ロヒート
(72)【発明者】
【氏名】ホワース ブラッド マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハーウッド ジョナサン ディヴィッド
(57)【要約】
【課題】陽圧呼吸療法の施行に用いられるインタフェースを提供する。
【解決手段】陽圧療法用インタフェースは、マスクアセンブリと、ヘッドギアアセンブリと、接続ポートアセンブリと、を含む。マスクアセンブリは、一体化された下部に移動可能に接続された上部を有するシール部材を含み、上部は、上部が下部に対して回動している間にロールする。ヘッドギアアセンブリによって、マスクアセンブリを、ストラップの引張方向に対して実質的に垂直な方向に接続することができる。接続ポートアセンブリは、使用者に対して開放するポートを通る流れを制御する弁部材を備えるスイベルエルボを含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクシールを含み、前記マスクシールが上部と下部を含み、前記上部が前記下部に対して回動可能であり、前記上部が、第一の境界と第二の境界との間に位置付けられた、より低剛性の領域を含み、前記第一の境界が前記より低剛性の領域より高い剛性によって画定され、前記第二の境界が、前記より低剛性の領域より高い剛性によって画定されるマスクアセンブリであって、
前記第一の境界が前記第二の境界に向かって移動されると、前記より低剛性の領域が1つの方向に曲がり、前記第一の境界が前記第二の境界に向かって移動し続けるに従い大きさが変化する材料ロール部を画定するマスクアセンブリ。
【請求項2】
前記より低剛性の領域が、前記マスクシールの前記下部に対する前記マスクシールの前記上部の移動を容易にする、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項3】
前記上部が前記マスクの鼻梁部を含み、前記第一の境界が前記第二の境界に向かって移動することにより、前記マスクの前記鼻梁部の、前記マスクの前記下部に対する移動が容易となる、請求項2に記載のマスクアセンブリ。
【請求項4】
前記第二の境界が前記上部と前記下部との間に位置付けられる、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項5】
前記マスクが、前記マスクシールに対して高い剛性を有するマスクシールクリップをさらに含み、前記第二の境界が前記マスクシールクリップの端に沿って位置付けられる、請求項4に記載のマスクアセンブリ。
【請求項6】
前記材料ロール部が前記マスクシールクリップの少なくとも一部と重なる、請求項5に記載のマスクアセンブリ。
【請求項7】
前記第一の境界が補強用構成要素に沿って画定される、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項8】
前記補強用構成要素がプラスチックバンドを含む、請求項7に記載のマスクアセンブリ。
【請求項9】
前記より低剛性の領域が、前記第一の境界に対して薄い厚さで画定される、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項10】
前記第二の境界が小半径の角によって画定される、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項11】
前記ロール部が前記マスクシールの少なくとも一部を覆って延びる、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項12】
前記第一の境界が前記第二の境界に向かって完全に移動されると、前記ロール部が前記マスクシールクリップの少なくとも一部と重なる、請求項1に記載のマスクアセンブリ。
【請求項13】
マスクシールを含むマスクアセンブリであって、前記マスクシールが鼻領域と口領域を有し、前記鼻領域と前記口領域が一体に形成され、前記鼻領域が前記口領域に対して移動可能であり、前記口領域により加えられる力が増大する一方で、複数の位置において前記鼻領域により加えられる力が実質的に一定のままであるマスクアセンブリ。
【請求項14】
ヘッドギアアセンブリに接続されたマスクシールを含むマスクアセンブリであって、前記マスクシールが使用者の鼻梁領域と口領域を取り囲むように構成され、前記マスクシールが、前記ヘッドアセンブリを締めた時に口領域により大きな力が加えられている間に、前記鼻梁領域に実質的に一定の力をかけるための、ひだ折り式でない手段を含むマスクアセンブリ。
【請求項15】
シールを含むマスクアセンブリであって、前記シールが使用者の顔と係合するフランジを含み、前記シールがマスクベースに着脱可能に接続され、前記マスクベースが第一の開口部と第二の開口部を含み、前記第一の開口部と前記第二の開口部は、関連するヘッドギアアセンブリの第一のクリップと第二のクリップを受け、前記マスクベースが、前記第一の開口部と前記第二の開口部との略間に位置付けられる通路をさらに含み、前記通路が呼吸チューブコネクタを受けるようになされているマスアセンブリ。
【請求項16】
マスクシールクリップをさらに含み、前記マスクシールクリップが前記マスクシールに接続され、前記マスクベースに着脱可能に接続される、請求項15に記載のマスクアセンブリ。
【請求項17】
前記マスクベースが前記マスクシールクリップの実質的部分と重なる、請求項16に記載のマスクアセンブリ。
【請求項18】
前記マスクベースが周辺縁を含み、前記マスクベースの前記周辺縁に沿って、前記マスクシールクリップと重なる位置に少なくとも1つの凹部が画定される、請求項17に記載のマスクアセンブリ。
【請求項19】
マスクシールであって、使用者の顔と接触するようになされた近位側フランジを含み、遠位側対向面を含むマスクシールと、周辺縁と前記周辺縁から延びるカバー面を含むマスクベースと、を含むマスクアセンブリであって、前記マスクベースのカバー面が前記マスクシールの前記遠位側対向面の少なくとも一部と重なり、それによって前記マスクベースのカバー面が前記マスクシールの遠位側対向面から遠位方向に離間され、その結果、前記マスクベースのカバー面と前記マスクシールの遠位側対向面が前記マスクアセンブリに断熱効果を提供し、水分のレインアウトを減少させるマスクアセンブリ。
【請求項20】
使用者の頭にマスクアセンブリを固定するように構成されたヘッドギアアセンブリであって、
後方アーム、上側アーム、および下側アームと、少なくとも1つの頭頂部アームと、を含み、前記上側および下側アームが使用者の耳を少なくとも部分的に取り囲む形状のアーチ状領域を画定するストラップアセンブリと、
前記ストラップアセンブリの周辺の少なくとも一部に取り付けられる柔らかい縁取りと、
を含むヘッドギアアセンブリ。
【請求項21】
前記ストラップアセンブリが半剛性ストラップを含み、前記柔らかい縁取りが前記半剛性ストラップと突合せ接合され、前記半剛性ストラップと重ならない、請求項20に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項22】
前記ストラップアセンブリが半剛性ストラップを含み、前記半剛性ストラップが第一の厚さを含み、前記柔らかい縁取りが第二の厚さを含み、前記第一の厚さと前記第二の厚さが実質的に同じである、請求項20に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項23】
前記ストラップアセンブリが半剛性ストラップを含み、前記半剛性ストラップがある厚さを含み、前記柔らかい縁取りが少なくとも1つの領域において前記厚さより薄い、請求項20に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項24】
前記ストラップアセンブリが半剛性ストラップを含み、前記半剛性ストラップがある厚さを含み、前記柔らかい縁取りが少なくとも1つの領域において前記厚さより厚い、請求項20に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項25】
前記ストラップアセンブリが半剛性ストラップを含み、前記柔らかい縁取りが前記半剛性ストラップの球根状の端を形成する、請求項20に記載のヘッドギアアセンブリ。
【請求項26】
マスクアセンブリを空気導管に接続するように構成されたエルボアセンブリであって、前記エルボアセンブリは
エルボとスリーブとを含み、前記エルボが内壁と外壁を含み、それらの間に流路を画定し、前記内壁が前記エルボの1つの側にポートを含み、前記スリーブが前記エルボに連結され、
前記スリーブがフラップを含み、前記フラップが第一の位置にあると、前記フラップが前記ポートを少なくとも部分的に閉塞させて、前記空気導管からのガスが前記エルボを介して使用者に通過できるようにし、前記フラップが第二の位置にあると、前記フラップが前記空気導管を少なくとも部分的に閉塞させ、それによってガスが前記使用者から前記ポートと前記空気流路を介して前記エルボアセンブリの外部へと流れるようにし、前記空気流路が空気を前記エルボの前記1つの側から遠ざけるように方向付けるエルボアセンブリ。
【請求項27】
前記空気流路が2つの空気流路を含む、請求項26に記載のエルボアセンブリ。
【請求項28】
前記スリーブが、前記スリーブの外面の周囲に延びる突起と、前記突起に隣接する凹部と、をさらに含む、請求項26に記載のエルボアセンブリ。
【請求項29】
前記突起と前記凹部が、前記突起と係合する隆条を組み込んだスイベル構成要素を受けるようになされている、請求項28に記載のエルボアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2011年4月15日出願の米国仮特許出願第61/476,188号明細書、2011年7月4日出願の米国仮特許出願第61/504,295号明細書、2011年10月28日出願の米国仮特許出願第61/553,067号明細書の優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願の各々の全文を引用によって本願に援用する。
【0002】
本発明は一般に、使用者の鼻と口のうちの少なくとも一方を覆い、陽圧下で呼吸ガスを供給するフェイスマスクに関する。より詳しくは、本発明の特定の態様は、マスクの他の密閉部分に対して移動する鼻梁密閉部を有するマスクに関する。
【背景技術】
【0003】
フェイスマスクは、陽圧下で使用者に呼吸ガスを供給するために使用できる。使用者の口と鼻の両方を覆う構成において、フルフェイスマスクは通常、鼻梁に被さる。一般に、1つのシール材が使用者の鼻と口を取り囲む。
【0004】
このようなフルフェイスマスクは一般に、ヘッドギアで使用者の頭に固定される。漏れを十分に減らすために、通常、ヘッドギアを締めるため、使用者の鼻梁に高い圧力がかかる。換言すれば、ヘッドギアを締めるにつれて、シリコーンのシール材によって鼻梁にかけられる負荷が一般には徐々に増大する。圧力は不快の原因となりえ、場合によっては、期間が経過すると圧迫潰瘍につながることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の点を少なくともある程度改良するか、または少なくとも一般の人々または医療従事者に有益な選択肢を提供する1つまたは複数の構成および/または方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、陽圧呼吸療法の施行に用いられるインタフェースが提供される。このインタフェースはマスクアセンブリを含む。マスクアセンブリは、マスクシールと、マスクシールに着脱可能に接続されるマスクベースと、を含む。マスクシールは、マスクシールの少なくとも一部より高い剛性のマスクシールクリップを含む。マスクシールクリップは概してカップ型の形状であり、開放した近位端と概して閉鎖した遠位端を有する。近位端の周囲には概して五角形のリップが延びる。マスクシールクリップは、外面を有するアーチ状の上部を含む。マスクシールクリップの弧長は、上部の上端に隣接する外面に沿って1対のヒンジポイント間に画定される。ヒンジ軸はマスクアセンブリのヒンジポイント間にわたって横方向に延び、マスクシールクリップの上部の少なくとも一部がヒンジ軸より縦方向に高い地点に位置付けられる。マスクシールクリップの上部は支持面を含む。概して中央の通路がマスククリップを通って延び、マスクシールにより画定される空間内へと至る。マスクシールは柔軟な上部を含み、これは使用者の鼻領域を覆う位置に位置付けられるように構成される。マスクシールの上部は、ヒンジ軸より縦方向に高い位置にある。マスクシールの上部は、より高剛性の2つの領域間に配置された、より低剛性の1つの領域を含む。より低剛性の領域がロールできるため、マスクシールの上部はマスクシールクリップに対して回動可能である。より高剛性の2つの領域のうちの一方は、小半径湾曲部に隣接して位置付けられ、より高剛性の2つの領域のもう一方は補強用構成要素に隣接して位置付けられる。小半径湾曲部と補強用構成要素が画定する境界線間で、マスクシールの上部は、その上部が回動軸の周囲で回動している間にロールする。マスクシールの上部は、小半径湾曲部に隣接する第一の曲線長さと、補強バンドに隣接する第二の曲線長さを有する。第一の曲線長さは第二の曲線長さより小さくすることができる。曲線長さは、測定位置がマスクシールクリップから遠ざかるにつれて増大する。マスクベースはマスクシールクリップの少なくとも一部と重なる。マスクベースは第一のポケットと第二のポケットを含む。第一と第二のポケットは、マスクベースを実質的に二等分する中心面に対して対称に位置付けられる。第一のポケットと第二のポケットの各々は、横方向寸法より大きな縦方向寸法を含む。マスクベースはまた、中央開口部を画定する壁も含む。壁は、マスクシールクリップの概して中央の通路の中へと延びる。接続ポートアセンブリは、終端にボール形部材を有するエルボを含む。ボール形部材は、中央開口部を画定する壁によって保持されるような大きさと構成である。接続ポートアセンブリはまた、着脱可能なスイベル部材を含む。着脱可能なスイベル部材は、レバーによって固定される。レバーはポートと重なる。ポートはフラップによって選択的に覆われることができる。フラップはまた、エルボ内の中央通路を閉じることもできる。ポート開口部は、エルボがマスクに接続された時に、概してマスクの方向にある。ヘッドギアアセンブリは、1対の上側ストラップと1対の下側ストラップを含む。1対の上側ストリップのうちの一方と1対の下側ストラップのうちの一方は、第一のクリップに接続される。1対の上側ストラップのもう一方と1対の下側ストラップのもう一方は、第二のクリップに接続される。第一のクリップと第二のクリップは、マスクベースのポケット内に固定可能であり、これらのクリップは、ストラップ張力方向に対して実質的に垂直な方向に移動させることによって、ポケット内に係合した状態となる。
【0007】
構成によっては、マスクシールはフルフェイスマスクである。
【0008】
構成によっては、マスクシールクリップはマスクシールに一体化され、その結果、マスクシールクリップはマスクシールから分離不能である。
【0009】
構成によっては、マスクベースはマスクシールに着脱可能に接続される。
【0010】
構成によっては、上部の外面はマスクシールクリップの支持面上にロールし、支持面はマスクシールクリップの上部の外面を画定する。
【0011】
構成によっては、より低剛性の領域は、より高剛性の領域と比較して、厚さがより薄い領域を含む。
【0012】
構成によっては、マスクシールの上部は第一と第二の壁により画定される頂点を含み、補強用構成要素が第一の壁の少なくとも一部に沿って、および第二の壁の少なくとも一部に沿って延びる。好ましくは、補強用構成要素は、マスクシールの上部の頂点を覆って延びる。
【0013】
構成によっては、補強用構成要素は両端において、ヒンジポイントより概して縦方向に高い位置で終わる。
【0014】
マスクアセンブリはマスクシールを含むことができる。マスクシールは、上部と下部を含む。上部は下部に対して回動可能である。上部は、第一の境界と第二の境界の間に位置付けられた、より低剛性の領域を含む。第一の境界は、より低剛性の領域のそれより高い剛性によって画定される。第二の境界は、より低剛性の領域のそれより高い剛性によって画定される。第一の境界が第二の境界に向かって移動されると、より低剛性の領域は1つの方向に曲がって、材料ロール部を画定し、これは第一の境界がさらに第二の境界に向かって移動を続けるにつれて大きさが変化する。
【0015】
構成によっては、より低剛性の領域により、シール部材の上部がシール部材の下部に対して動きやすくなる。好ましくは、上部はマスクの鼻梁部を含み、第一の境界が第二の境界に向かって移動すると、マスクの鼻梁部がマスクの下部に対して移動しやすくなる。
【0016】
構成によっては、第二の境界は上部と下部の間に位置付けられる。好ましくは、マスクはさらに、剛性がマスクシールに対して高いマスクシールクリップを含み、第二の境界はマスクシールクリップの一方の端に沿って位置付けられる。より好ましくは、材料ロール部はマスクシールクリップの少なくとも一部と重なる。
【0017】
構成によっては、第一の境界は補強用構成要素に沿って画定される。好ましくは、補強用構成要素はプラスチックバンドを含む。
【0018】
構成によっては、より低剛性の領域は、第一の境界に対してより薄い厚さで画定される。
【0019】
構成によっては、第二の境界は小半径の角部によって画定される。
【0020】
構成によっては、ロール部はマスクシールの少なくとも一部を覆って延びる。
【0021】
構成によっては、ロール部は、第一の境界が第二の境界に向かって完全に移動されると、マスクシールクリップの少なくとも一部と重なる。
【0022】
マスクアセンブリはマスクシールを含むことができる。マスクシールは、鼻領域と口領域を含む。鼻領域と口領域は一体に形成される。鼻領域は口領域に対して移動可能であり、口領域により加えられる力が増大しても、複数の位置において鼻領域により加えられる力は実質的に一定である。
【0023】
マスクアセンブリは、ヘッドギアアセンブリに接続されたマスクシールを含む。マスクシールは、使用者の鼻梁領域と口領域を取り囲むように構成される。マスクシールは、ヘッドギアアセンブリを締めると、口領域に加えられる力が増大しても、鼻梁領域には実質的に一定の力が加わるようにする、ひだ折れしない手段を含む。
【0024】
マスクアセンブリはシールを含む。シールは、使用者の顔と接触するフランジを含む。シールはマスクベースに着脱可能に接続される。マスクベースは、第一の開口部と第二の開口部を含む。第一の開口部と第二の開口部は、関連するヘッドギアアセンブリの第一のクリップと第二のクリップを受ける。マスクベースはさらに、概して第一の開口部と第二の開口部の間に位置付けられた通路を含む。通路は、呼吸チューブコネクタを受けるようになされている。
【0025】
構成によっては、マスクアセンブリはさらに、マスクシールクリップを含み、これはマスクシールに接続され、マスクベースには着脱可能に接続される。好ましくは、マスクベースは、マスクシールクリップの実質的部分と重なる。より好ましくは、マスクベースは周辺縁辺を含み、少なくとも1つの凹部が、マスクシールクリップと重なる位置において、マスクベースの周辺縁辺に沿って画定される。
【0026】
マスクアセンブリはマスクシールを含む。マスクシールは、使用者の顔と接触するようになされた近位側フランジを含む。マスクシールは遠位側対向面を含む。マスクベースは周辺縁辺を含み、カバー面が周辺縁辺から延びる。マスクベースのカバー面はマスクシールの遠位側対向面の少なくとも一部と重なり、マスクベースのカバー面がマスクシールの遠位側対向面から遠位方向に離間されるようになっており、その結果、マスクベースのカバー面とマスクシールの遠位側対向面によってマスクアセンブリは断熱効果を有することになり、これが水分のレインアウトを減少させる。
【0027】
ヘッドギアアセンブリはマスクアセンブリを使用者の頭に固定するように構成される。ヘッドギアアセンブリはストラップアセンブリを含む。ストラップアセンブリは後方アーム、上側アーム、および下側アームと、少なくとも1つの頭頂部アームを含む。上側および下側アームは、使用者の耳を少なくとも部分的に取り囲む形状のアーチ状領域を画定する。ストラップアセンブリの周辺の少なくとも一部に、柔らかい縁取りが取り付けられる。
【0028】
構成によっては、ストラップアセンブリは半剛性ストラップを含み、柔らかい縁取りは半剛性ストラップに突合せ接合され、半剛性ストラップと重ならない。構成によっては、半剛性ストラップは第一の厚さを含み、柔らかい縁取りは第二の厚さを含み、第一の厚さと第二の厚さは実質的に同じである。いくつかの構成において、半剛性ストラップはある厚さを含み、柔らかい縁取りは、少なくとも1つの領域において、その厚さより薄い。構成によっては、半剛性ストラップはある厚さを含み、柔らかい縁取りは、少なくとも1つの領域においてその厚さより厚い。構成によっては、柔らかい縁取りは半剛性ストラップの球根状の端を形成する。
【0029】
クリップアセンブリは、ヘッドギアをマスクアセンブリに固定するように構成される。クリップアセンブリは、外側カバーと内側留め具を含む。内側留め具は外側カバーに取り付けられ、それによってヘッドギアアセンブリの1つまたは複数のストラップに固定されるように構成される。内側留め具は、長いスロットと円形の開口部を含む。長いスロットは、長い軸に沿って延びることができ、長い軸に対して横方向の幅を有することができる。円形の開口部は、その直径を幅より大きくすることができる。長い軸は、外側カバーと内側留め具に取り付けられた時に、ストラップに対して横方向に沿って延びる。
【0030】
エルボアセンブリは、マスクアセンブリを空気導管に接続するように構成される。エルボアセンブリはエルボを含む。エルボは内壁と外壁を含み、それらの間に空気流路が画定される。内壁は、エルボの1つの側にポートを含む。スリーブがエルボに連結される。スリーブはスラップを含む。フラップが第一の位置にあると、フラップはポートを少なくとも部分的に塞ぎ、ガスが空気導管からエルボを介して使用者へと通過できるようにし、フラップが第二の位置にあると、フラップは空気導管を少なくとも部分的に塞ぎ、それによってガスは使用者からポートと空気流路を介してスリーブの外の位置へと流出できる。空気流路は空気をエルボのその1つの側から遠ざけるように誘導できる。
【0031】
構成によっては、空気流路は2つの空気流路を含む。構成によっては、スリーブはさらに、スリーブの外面の周囲に延びる突起と、突起に隣接する凹部を含む。いくつかの構成において、突起と凹部は、突起と係合する隆条の組み込まれたスイベル構成要素を受けるようになされる。
【0032】
本発明の実施形態の上記およびその他の特徴、態様、利点を、以下の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の特定の特徴、態様、利点に従って構築、構成されたインタフェースを装着している使用者の正面図である。
【
図2】
図1のインタフェースを装着している使用者の側面図である。
【
図3】
図1のインタフェースのマスクシールとマスクシールクリップの斜視図である。
【
図4】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの側面図である。
【
図5】
図3のマスクシールクリップの後方斜視図である。
【
図6】
図3のマスクシールクリップの背面図である。
【
図7】
図3のマスクシールクリップの側面図である。
【
図8】
図3のマスクシールクリップの上面図である。
【
図9】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの正面図である。
【
図10】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの背面図である。
【
図11】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの側面図である。
【
図12A】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの一部の拡大断面図である。
【
図12B】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの一部の拡大断面図である。
【
図12C】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの一部の拡大断面図である。
【
図12D】
図3のマスクシールとマスクシールクリップの一部の拡大断面図である。
【
図13】
図1のインタフェースのマスクシール、マスクシールクリップ、マスクベースの正面斜視図である。
【
図14】
図13のマスクシール、マスククリップ、マスクベースの断面図である。
【
図15】
図13マスクシール、マスクシールクリップ、マスクベースの側面図である。
【
図16】
図13のマスクシール、マスクシールクリップ、マスクベースの上面図である。
【
図17】
図1の接続ポートアセンブリの斜視図である。
【
図22】
図1のクリップアセンブリの斜視図である。
【
図24】マスクシールクリップ112の一部の下でロールするように構成されたマスクシールを示す、
図12の断面図と同様の断面図である。
【
図25】マスクシールクリップの寸法を小さくした場合の、
図14の断面図と同様の断面図である。
【
図26】マスクシールクリップをなくした場合の、
図14の断面図と同様の断面図である。
【
図27】マスクシールクリップをなくした場合の、
図14の断面図と同様の別の断面図である。
【
図28】使用者の体にかかる負荷(または力)に応じたマスク伸展度合の間の関係を示すグラフである。
【
図29】
図1と2のヘッドギアアセンブリと適合するバックボーンの斜視図である。
【
図32】マスクと、クリップと、ストラップと、を含むマスクアセンブリの斜視図である。
【
図33】
図32の2つのクリップのうちの一方の側面図である。
【
図36】2つの取付支柱を有し、左側の取付支柱にクリップの1つの内側留め具が取り付けられているマスクベースの正面図である。
【
図37】2つの取付支柱を有するマスクベースの他の構成と、マスクベースの左側の取付支柱に取り付けられたクリップの別の構成の正面図である。
【
図38】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図39】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図40】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図41】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図42】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図43】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図44】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図45】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図46】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図47】クリップおよび関連するマスクと取付支柱の追加的な構成である。
【
図48】スイベルアセンブリの別の構成の側面図である。
【
図52】使用者に装着された
図29のバックボーンの側面図である。
【
図53】使用者の頭に装着された
図29のバックボーンの後方斜視図である。
【
図54】呼吸治療の分野でマスクアセンブリとともに使用するためのパネルを有する柔軟ヘッドギアの斜視図である。
【
図55】フック生地が埋め込まれたタブが取り付けられている
図54のアームの拡大された端領域の図である。
【
図57A】試験モデルに装着された、パネルのないヘッドギアの、ヘッドギアの下側アームに力を加える前の背面図である。
【
図57B】ヘッドギアの下側アームに力を加えた時のヘッドギアの後方ストラップ部の変位を示す、
図57Aのヘッドギアの背面図である。
【
図59】ウイング型バックルコネクタを有するヘッドギアを含むアセンブリである。
【
図60】ウイング型バックルコネクタを有するヘッドギアの一部である。
【
図61】
図59のウイング型バックルコネクタで使用されるウイング型バックルの上面図である。
【
図62】
図59のウイング型バックルコネクタで使用されるウイング型バックルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
まず
図1と2を参照すると、使用者Uに装着されたインタフェース100が示されている。インタフェース100は、呼吸療法の分野で使用可能なインタフェースを含む。インタフェース100は特に、陽圧呼吸療法の形態に有益である。たとえば、インタフェース100は、持続気道陽圧(CPAP)治療の施行に使用できる。これに加えて、インタフェース100は、可変気道陽圧(VPAP)治療とバイレベル気道陽圧(BiPAP)治療にも使用できる。インタフェースは、適当な任意のCPAPシステムにも使用できる。
【0035】
インタフェース100は、適当な任意のマスク構成を含むことができる。たとえば、本発明の特定の特徴、態様、利点は、鼻マスク、フルフェイスマスク、口鼻マスクまたはその他の任意の陽圧マスクに有益でありうる。図のマスクはフルフェイスマスクである。図のインタフェース100は一般に、マスクアセンブリ102と、接続ポートアセンブリ104と、ヘッドギアアセンブリ106と、を含む。
【0036】
図13を参照すると、マスクアセンブリ102は一般に、マスクシールクリップ112を含むことができるマスクシール110と、マスクベース114と、を含む。後述のように、マスクシールクリップ112は好ましくは、マスクシール110をマスクベース114に接続する。図のマスクシール110とマスクシールクリップ112は別々に形成され、相互に固定されているが、構成によっては、マスクシール110とマスクシールクリップ112を1つの構成要素に一体化することができる。構成によっては、マスクシール110はマスクシールクリップ112の上に多層射出成形により形成される。
【0037】
図3を参照すると、マスクシールクリップ112はマスクシール110より、比較的剛性がより高く、剛性がより高く、または非柔軟性がより高い。構成によっては、マスクシールクリップ112はポリカーボネート材料で形成される。構成によっては、マスクシールクリップ112の少なくとも一部はポリカーボネートまたはその他の剛性または半剛性材料で形成される。構成によっては、マスクシールクリップ112は少なくとも部分的に、シリコーンまたはその他の適当な材料で形成される。構成によっては、マスクシールクリップ112の少なくともシリコーン部分は、マスクシール110の、より柔軟な部分と比較して、比較的厚く形成してもよい。マスクシールクリップ112は、図の構成ではマスクシール110を構造的に支持する。
【0038】
図14に示されるように、マスクシールクリップ112はマスクアセンブリ102の大きな部分を画定できる。図のように、図のマスクベース114はマスクシールクリップ112の大部分と重なる。
図25~27を参照すると、マスクアセンブリ102は、必要に応じて様々な構造に構成できる。たとえば、
図25を参照すると、マスクシールクリップ112は、マスクシール110との接合部から限られた量だけ延びている。
図25に示される構成では、マスクベース114はマスクシールクリップ112の少なくとも一部と重なり、その一方でマスクシールクリップ112はマスクシール110の一部の周囲で、非常に限られた縁状構成を画定する。
図26を参照すると、マスクシールクリップがすべて除かれ、マスクシール110は多層射出成形によってマスクベース114に直接形成される。しかしながら、構成によっては、マスクシール110とマスクベース114は、2つの構成要素を分離できるように構成することもできる。たとえば、
図27に示されるように、マスクシール110は周辺フランジ111を含むことができ、その一方でマスクベース114は周辺フランジ111を受ける周辺溝115を含むことができ、その結果、マスクシール110をマスクベース114に着脱可能に固定することが可能となる。構成によっては、他の適当な方法を使ってマスクシール110をマスクベース114に固定することができる。さらに、
図27に描かれている構成は、マスクシールクリップ112を持たない実施形態を示すが、マスクシールクリップ112とマスクベース114はマスクベース114に組み込まれている。
【0039】
図5を参照すると、図のマスクシールクリップ112は実質的にカップ型の構成を含む。近位端120は図のマスクシールクリップ112の開放端を画定し、その一方で、遠位端122は図のマスクシールクリップ112の概して閉鎖端を画定する。図の構成において、近位端120は一般に、リップ124によって取り囲まれる。リップ124は、背後から見ると概して五角形である(
図5参照)。
図7に示されるように、壁126はアーチ状に概して前方にせり出している。壁126がアーチ状であることにより、図のマスクシールクリップ112は立体的な構成となる。
【0040】
引き続き
図7を参照すると、図のマスクシールクリップ112の上部130は、概してアーチ状の構成である。これに加えて、図のマスクシールクリップ112の概してアーチ状の構成は、より大きな鼻を収容できるが、
図1と2に示されるように、鼻を覆う位置で、マスクシール110ほど上方までは到達しないようになっている。
【0041】
まず
図3を参照すると、図のマスクシールクリップ112の上部130は好ましくは、2つのアーチ寸法を含む。第一に、弧長132は図のマスクシールクリップ112の上部130の上端に沿って画定できる。弧長132は、図のマスクシールクリップ112の周囲に沿って見られる屈曲点134間に画定できる。
【0042】
図7に示されるように、図のマスクシールクリップ112の上部130はまた、側面半径136を含む。図のように、上部130の側面半径136はわずかに増大させることができ、上端からの距離が増加するのにつれて、半径がわずかに大きくなる。構成によっては、上部130は実質的に一定の側面半径136または減少する側面半径を含むことができる。有利には、わずかに増大する側面半径136によって、マスク100の、使用者の鼻の付近の容積が大きくなる。
【0043】
図3と
図6を参照すると、マスクシールクリップ112は好ましくは、少なくとも2つの凹部140を含む。図の構成では、マスクシールクリップ112は、概して垂直な中心面CPの横方向の両側に配置された2つの凹部140を含む(
図6参照)。概して垂直な中心面CPは好ましくは、使用者の正中矢状平面に対応し、図のマスクシールクリップ112を実質的に鏡像である半分ずつに分割する。2つの凹部140は、図のマスクシールクリップ112において、概して包囲された2つのポケットを画定する。図の凹部140は別の凹部142を含み、これは後述の理由のための十分なクリアランスを設け、その一方で、マスクアセンブリ102により画定される空間の鼻領域への侵入量を限定するために使用される。
【0044】
図のマスクシールはまた、壁146によって画定される概して中央の通路144も含む。図の構成において、壁146は通路144を概して包囲する。好ましくは、壁146は一般に円柱形の構成であり、壁126を通って延びる。その他の構成も可能である。
【0045】
図14を参照すると、マスクシール110は柔軟部分を含み、これはマスクシールクリップ112の近位端120から遠ざかるように延びる。図の構成では、マスクシール110はマスクシールクリップ112に多層射出成形によって形成され、その結果、マスクシール110とマスクシールクリップ112は合体して一体の、好ましくは分離不能なアセンブリとなる。構成によっては、マスクシール110とマスクシールクリップ112を分離しようとすると、構成要素間の接合部が破壊され、および/またはマスクシール110とマスクシールクリップ112の一方または両方が破壊される。前述のように、その他のアセンブリを使ってマスクシールクリップ112をマスクシール110に接続することもできる。しかしながら、図の構成により、有利には、クリーニングと保守が容易な構造となる。
【0046】
図4を参照すると、マスクシールクリップ112は好ましくは、それがマスクシール110の内縁150と概して平らになるように構築される。図の構成では、マスクシール110は、上部154につながる比較的小半径の部分152を含む。マスクシール110の上部154は、使用者の鼻領域を覆うように構成される。構成によっては、上部154は、使用者Uの鼻梁領域を覆うように構成される。
【0047】
上部154はシール部材110の下部156に接続される。下部156は、
図9に資されるように、マスクシールクリップ112から横方向に外側へと延びる。これに加えて、下部156はそれぞれ
図4と10に示されるように、後方と内側に曲がる。フルフェイスマスクアセンブリ102の近位側では、
図10に示されるように、上部154と下部156とが合同で顔面接触フランジ160を画定する。顔面接触フランジ160は、使用者の下唇の下に位置し、口の外側に沿って延び、頬骨に沿って上方に延び、使用者の鼻梁部を横切って延びるように構成される。それゆえ、図の顔面接触フランジ160は、概して涙形の形状の開口部162を画定する。マスクアセンブリ102が使用者の顔面に設置されると、フランジ160は使用者の鼻梁、頬骨、口の外側、下唇の下を覆うように位置付けられる。陽圧空気を供給すると、マスクシール110は膨張して使用者の顔面に密着し、フランジ160と使用者の顔面との間の漏れの可能性が低減または排除される。
【0048】
図11の破線で示されるように、マスクシール110の上部154は、マスクアセンブリ102の外面170上にロールオーバーするように設計される。図の構成では、マスクシール110の外面はスムーズにロールしてマスクシールクリップ112の外面と接触し、その結果、マスクシールクリップ112の外面は支持面を形成する。構成によっては、上部154がロールして被さる外面170はマスクシールクリップ112の外面の少なくとも一部を含む。構成によっては、上部154がロールして被さる外面170は、ほとんどマスクシールクリップ112の外面だけを含む。構成によっては、上部154はロールしてマスクシール110の別の部分に被さる。構成によっては、上部154はロールしてマスクシールベース114に被さる。
【0049】
図12を参照すると、上部154がロールするのを助けるために、上部154の厚さを変え、または剛性を変えることができる。
図12に示される構成では、上部154は厚/薄/厚の構成を含む。換言すれば、上部154が顔面接触フランジ160と、マスクシールクリップ112に近接する小半径部152の間の領域でロールするように誘導するために、より低剛性の領域172を組み込むことができる。図の構成では、より低剛性の領域172はマスクシール110に組み込まれている。より低剛性の領域172によって、マスクシール110がロールするように望まれる領域以外の領域で曲がったり、不利に変形したりする可能性が低減または排除される。
【0050】
図の構成はより薄い領域を利用しているが、より低剛性の領域172を提供するための他の手段を使って、シール部材110がロールするのを誘導することもできる。たとえば、シール部材110の材料は、材料の選択または材料の特性を通じて剛性を下げるように構成できる。これに加えて、材料の組成を利用して、より低い曲げ剛性(stiffness)の領域を提供することも、より低い捩り剛性(rigidity)の領域を提供することもできる。さらに、適当な任意の技術の組み合わせも使用できる。それでもなお、より薄く構成された図の領域172は、より低剛性の領域172を実現するための簡単な方法となる。これに加えて、より低剛性の領域172の剛性を調整することによって、領域172がロールするのを誘導するために必要な力を制御することができ、これは使用者の鼻にかかる力を制御する。たとえば、剛性を変化させることによって、移動の抵抗を、移動範囲を通じて増減させることができる。
【0051】
上部154がより低剛性の領域172を含む場合、マスクシール110の上部154は、陽圧療法中に受けるような内圧を受けて外側に膨張する傾向があり、この膨張は、影響の大きい構造がなく、より低剛性の領域172がシリコーンの広い面積を画定することによって発生すると考えられる。
図4と
図12を参照すると、上部154が膨張しすぎないようにするため、および上部154の構造を改善するために、バンド174等の補強用構成要素を上部154の少なくとも一部に沿って取り付けることができる。バンド174は、マスクシール110を形成するシリコーンまたはその他の材料より剛性が高いか、それに対して高剛性であることを特徴とする材料で形成される構成要素とすることができる。たとえば、より低剛性の領域172がマスクシール110を形成するものと同じ材料で形成されている場合、その領域に対して大幅に厚くした領域を用いて、補強用構成要素の硬さを増大させることができる。
【0052】
構成によっては、バンド174は別々に形成された構成要素とすることができ、これはマスクシール110の材料によって少なくとも部分的に包まれる。図の構成では、バンド174は共成形されたプラスチックの構成要素とすることができ、またはマスクシール110はバンド174の上に多層射出成形によって形成できる。構成によっては、バンド174は上部154の、周辺領域より高剛性の部分によって画定することができる。たとえば、ただしこれらに限定されないが、バンド174はより厚い部分、剛性を高めるような異なる材料または材料特性の部分、またはその他によって画定できる。
【0053】
図9を参照すると、バンド174は、マスクシール110の上部154の少なくとも一部に沿って延びる。マスクの上部154は、前から見た時に、頂点180を含む。頂点180は、マスクシール110の先端、最上部および角度の付いた頂上として定義することができ、この頂点180が使用時に使用者の鼻付近に位置付けられる。第一の壁182と第二の壁184は、図の構成において、頂点180で集束する。
【0054】
構成によっては、第一の壁182の少なくとも一部と第二の壁184の少なくとも一部は、たとえばバンド174等の1つまたは複数の構成要素または構造によって補強される。図の構成では、たとえばバンド174などの補強用構成要素が第一の壁182の少なくとも一部と第二の壁184の少なくとも一部を補強する。構成によっては、たとえばバンド174などの補強用構成要素は第一の壁182の少なくとも一部と第二の壁184の少なくとも一部と頂点180を補強する。
【0055】
図9を引き続き参照すると、図のバンド174は、第一の端186と、第一の端186と反対の第二の端188と、を有する。構成によっては、バンド174はマスクシールクリップ112と別に形成して、1つまたは複数の柔軟な構成要素によてマスクシールクリップ112に取り付けることができる。構成によっては、バンド174は機械的ヒンジ構造によってマスクシールクリップ112に接続することができる。図の構成では、第一の端186と第二の端188は、ヒンジ軸Hの、頂点180と同じ側に設置される。好ましくは、第一の端186と第二の端188は、ヒンジ軸Hから頂点180に向かって離間されている。
【0056】
図12に示されるように、より低剛性の領域172に隣接する湾曲部152とより高剛性の領域(たとえば、断面がより厚い領域)は、より低剛性の領域172がロールするのを開始させるのに役立つ。換言すれば、より低剛性の領域172は、隣接するより高剛性の部分の支援によって、制御された状態で曲がる。これに加えて、比較的、より高剛性のマスクシールクリップ112の端縁を湾曲部152の付近に位置付けることが、より低剛性の領域172のロールの誘導にさらに役立つ。構成によっては、より低剛性の領域172は第一の境界と第二の境界によって範囲が限定され、第一の境界と第二の境界は、より低剛性の領域に対してより高い剛性を有する。たとえば、図の構成では、第一の境界はバンド174によって、またはそれに沿って画定され、第二の境界は湾曲部152によって、またはそれに沿って画定される。構成によっては、第二の境界は、より高剛性のマスクシールクリップ112の端縁によって、またはそれに沿って画定することができる。構成によっては、第二の境界は、マスクシール110の、マスクシールクリップ112とより低剛性の領域172の間に位置付けられた部分に沿って画定することができる。
【0057】
マスクシール110の上部154がヒンジ軸Hの周囲で移動すると、ロールがより大きくなる。換言すれば、第一の境界が最初に第二の境界に向かって移動すると、マスクシール110にロールが生じる。第一の境界が第二の境界に向かって移動を続けるに従い、ロールは引き続き大きくなる。それゆえ、
図11に示される構成において、上部154に画定されるロールは0から始まり、上部154が移動する間、破線で示されるように徐々に大きくなる。好ましくは、第一の境界と第二の境界の間がロールすることによって、第一の境界と第二の境界の間に1つの曲げ部または屈曲ができる。曲げ部が1つであることにより、第一の境界が第二の境界に向かって移動するにつれて大きくなる曲げ位置に脚(leg)が近付くことになる。換言すれば、第一の境界が第二の境界に向かって移動することによってできるロールは、ひだ折れ式の構成などの扇子状の外観とならない。
【0058】
図3を再び参照すると、マスクシール110は、ロールが始まった後に、より低剛性の領域172が引き続きロールしやすくなるようにするに役立つような形状とすることができる。弧長は一般に、ヒンジ軸Hとマスクシール110との第一の交差点から上方に、マスクシール110の上部154を通過し、再び下方に向かってヒンジ軸Hとマスクシール110との第二の交差点までの範囲で画定することができる。
【0059】
図3に示されるように、図のマスクシール110は、少なくとも1つの第一の弧長A(破線で示される)と、第二の弧長B(一点鎖線で示される)、と、第三の弧長C(バンド174のベースに沿って示される)を含む。第一の弧長Aは好ましくは、第一のマスク弧長Aに直接隣接するマスクシールクリップ112の弧長より長い。第二の弧長Bは、第一の弧長Aと第三の弧長Cの間に位置付けられ、第二の弧長Bは好ましくは、第三の弧長Cより短く、第一の弧長Aより長い。構成によっては、弧長は湾曲部152または、外面170に近いその他の領域から、近位方向にバンド174に向かって着実に長くなる。換言すれば、第一の弧長Aからの角度α(
図4参照)が大きくなると、弧長は一般に増大する。構成によっては、弧長は前から後ろに向かって(すなわち、角度αが増大しても)実質的に一定とすることもできるが、ロールが始まる部分から離れるにつれて弧長が大きくなるようにすることにより、頂点180が遠位方向にさらに移動すると、
図11に示されるように、マスクシール110がそれ自体に、および外面170に被さるように引き続きロールオーバーする。
【0060】
図4を再び参照すると、図のマスクシール110の上部154はまた、側面から見ると変化する半径を含む。図のように、R1>R2>R3である。それゆえ、図のマスクシール110では、半径は角度の増大とともに、近位側から遠位側へと減少する。構成によっては、半径はこのように減少しなくてもよいが、半径の減少はマスクシール110のロールを支援すると考えられる。
【0061】
さらに、ヒンジポイントHからのマスクシールクリップ112の半径r1は、好ましくはマスクシール110の半径R3より小さい。しかしながら、マスクシール110の曲げやすい性質を考えると、半径r1と半径R3を実質的に同じにすることもでき、その場合でもマスクシール110はマスクシールクリップ112にロールオーバーすることが可能である。しかしながら、図の構成では、半径r1と半径R3の差によって段差ができる。この段差により、前述のように、側面半径136をわずかに大きくすることが可能となり、その際、マスクシール110がマスクシールクリップ112にロールオーバーする能力に大きな影響を与えない。段差が設けられなければ、側面半径136を大きくできる可能性は非常に限定されるであろう。
【0062】
前述のように、フランジ160は、概して涙形の開口部162を包囲する。周知のように、円周応力は内圧の結果として生じる円柱形の部品の中の円周方向の応力と定義することができる。それゆえ、円周応力は、リングが拡張しようとすると増大する。呼吸マスクを装着することから生じる円周応力は、使用者にとって、特に鼻梁領域においてある程度の不快の原因となりうると考えられる。図のマスクアセンブリ102の下部156は一般に、所定の位置に固定され、その一方で、鼻部、すなわち上部154は、使用者の鼻に対して移動する。上述のロール動作により、図のフルフェイスマスクアセンブリ102は鼻からロールして遠ざかるように動作し、これによって特に鼻梁の周辺における円周応力増大の発生を低減させる。それゆえ、ロールするマスク構成は、マスク装着中の円周応力を維持し、または減少させる手段となる。
【0063】
上述のように、
図11に示されるように、図のマスクシール110の上部154は、図の構成では外面170にロールオーバーする。マスク外面に被さるようなロールは、フルフェイスマスク内に存在する陽圧を利用しており、これは、空気圧の上昇によって、マスクシールがそれ自体にロールする能力が増大する(すなわち、空気圧がマスクシールの、ロール中に相互に対して摺動する2つの表面間の表面張力が減少する)からであり、わずかな膨張効果が、マスクシール110が曲がり、しわになり、または不必要に折り畳まれる可能性を低下させるのに役立つ。さらに、構成によっては、外側へのロールオーバーが、マスクシール110の上部154の、マスクシール110の下部156に対する移動の度合いまたは角度を知る視覚的な手掛かりとなりうる。
【0064】
使用者にとって、マスクの上部154がロールした程度をよりわかりやすくするために、視覚的指示手段を利用することもできる。たとえば、構成によっては、より低剛性の領域172に、またはその付近に、目盛りを印刷、エンボス加工またはその他の方法で配置することができる。構成によっては、マスク100のうち、より低剛性の領域172がロールオーバーする部分に沿って目盛りを位置付けることができる。忠実性を高めるために、好ましくは目盛りを中央の位置に設置して、より低剛性の領域172がロールする範囲が最大限になるようにする。目盛りはたとえば数字の目盛りでも、色のグラデーションによる目盛りでもよく、これらに限定されない。
【0065】
構成によっては、歯止めまたはロック機構をマスクに組み込むことができ、その結果、より低剛性の領域172を所定のロール位置に設定することができる。たとえば、閉鎖部材を係合させる一連の歯を有する歯止め機構(たとえば、ジップタイ式ロック歯止め)を使用できる。マスクの上部154をヒンジポイントの周囲で移動させると、ロック機構によって、マスク100が使用者Uの顔から取り外された時に上部154がその位置に保持されるようにすることができる。好ましくは、ロック機構によって、ロック位置を必要に応じて簡単に解除することができ、その結果、マスクを動かしすぎた時に、上部を緩めて、よりよいフィッティング位置に戻すことができる。それゆえ、使用者は上部154がロールする程度を一度設定することができ、その後は使用のたびに同じレベルのロールとなる。
【0066】
ロールすることによって、上部154(すなわち、シール部材のうち、鼻梁と接触する部分)は、マスクのフランジ160から使用者の顔に加わる圧力が増大すると移動する。この移動の結果、上部154によって鼻梁部に加えられる力は、下部156が使用者の顔の他の部分に加える圧力の広い範囲にわたり、実質的に一定となる。同様に、上部154が移動するのに必要な力も実質的に一定である。
図28に示されるように、図の構成により、上部の位置が25mmにわたって変化しても、移動範囲に関連する力の増加は約0.5N未満である。鼻にかかる力は一般に、角度および関連する上部の移動の範囲にわたって一定であるため、鼻梁にかかる力は、様々なヘッドギアの張力レベルにおいてそれほど変化しない。再び、このような結果が
図28に示されており、頂点180の5mm~25mmの移動範囲における力の総変化量から、力の変化は約0.2Nとなる。これに加えて、鼻にかかる力はある角度範囲にわたって概して一定であるため、マスクを調節して様々な顔の形状とのフィッティングを改善でき、その一方で、傷つきやすい鼻梁領域にかかる圧力を限定できる。
【0067】
ひだ折れ式の形状を特徴とする構成と比較した場合、ロール式構成の使用によって顕著な改善が得られる。第一に、ひだ折れ式ではなく外側にロールすることによって、マスクシールの材料が使用者の鼻を収容するように設計された空間の中に侵入する可能性が低減または排除された。それゆえ、外側にロールすることにより、上部154が下部156に対して移動中にその空間内にある使用者の鼻と接触する可能性が低下する。第二に、ひだ状に折れる代わりに外側にロールすることにより、清潔な外観となり、外側の窩洞の数が減るため、ひだ折れ式のアセンブリと比較して、フルフェイスマスクに対する使用者の認識が改善されると考えられる。
【0068】
図24を参照すると、図のマスクシール110は外面170にロールオーバーするが、マスクシールをマスクアセンブリの内側にロールするように構成できる。換言すれば、内側へのロールオーバーを構成によっては使用できる。内側へのロールオーバーは外側へのロールオーバーより好ましくなく、これは、陽圧がロールすることの障害となる傾向があり、またロール動作が鼻を受ける空間内に侵入する傾向があるからである。これに対して、内側にロールオーバーすることにより、外側にロールオーバーする場合より清潔な外観となり、これはシール部材の膨張がすべてマスクシールクリップ内に封じ込められるからである。
【0069】
図1と2を参照すると、マスクアセンブリ102はマスクベース114を含み、これはマスクシール110より高剛性である。マスクベース114は、適当な任意の材料で形成できる。構成によっては、マスクベース114はポリカーボネート材料で形成され、その結果、マスクシール110および/またはマスクシールクリップ112と接続する際に曲げることができる。
【0070】
ここで、
図14を参照すると、マスクアセンブリ102が示されており、マスクベース114がマスクシール110に固定されている。より詳しくは、図の構成において、マスクベース114はマスクシールクリップ112に固定され、これは適当な任意の方法でマスクシール110に取り付けられる。構成によっては、マスクベース114とマスクシール110またはマスクシールクリップ112は着脱可能に接続される。構成によっては、マスクベース114はマスクシール110とマスクシールクリップ112のうちの一方または両方と、スナップ式に一体に結合される。好ましくは、マスクシール110とマスクシールクリップ112をマスクベース114から取り外すことができ、スナップ式接続手段がマスクシールクリップ112をマスクベース114に固定する。
【0071】
図14と15を参照すると、図のマスクベース114はマスクシールクリップ112の少なくとも一部と重複している。構成によっては、マスクベース114はマスクシールクリップ112をほとんど完全に覆う。構成によっては、マスクベース114はマスクシールクリップ112の半分以上にわたって延びる。マスクベース114がマスクシールクリップ112またはマスクシール110の大部分と重なっている場合、二層効果が発生する(たとえば、マスクシールクリップ112とマスクベース114)。二層効果は、マスクベース114の大部分がマスクシールクリップ112またはマスクシール110の大部分と重複する場合、断熱性を改善させる。断熱性が改善されることにより、内側部分(たとえば、マスクシール110および/またはマスクシールクリップ112)がより暖かくなり、その結果、使用中の水分のレインアウトが減少する。好ましくは、マスクシールクリップ112の少なくとも一部がマスクベース114の下から露出し、その結果、マスクベース114をマスクシールクリップ112からより容易に分離することができる。
図15に示されるように、マスクベース114をその下のマスクシール110および/またはマスクシールクリップ112から分離しやすくするために、図のマスクベース114は近位端に周辺面200を含む。マスクベース114は内側が凹んでいて、その下にある構成要素がそこに収容される。換言すれば、マスクベース114は、近位周辺面200に対して遠位方向に腕型である。
【0072】
周辺面200は、1つまたは複数の凹部202を含む。好ましくは、凹部202は少なくとも2つの凹部202を含み、これらはマスクベース114の相互に反対側に位置付けられる。凹部202は親指と人差し指を受けるように構成され、その結果、マスクベース114をその下のマスクシールクリップ112の前面からより簡単に取り外すことができる。凹部202はマスクベースを取り外す際にマスクベース114の下にあるアセンブリを把持するための手段を画定できるが、他の構成も使用でき、たとえば、外側に延びるタブ、突出部またはその他があるが、これらに限定されない。これに加えて、図の凹部202はマスクベース114の横方向の両側に配置されているが、凹部202は、必要に応じて上と下、またはその他の領域に位置付けてもよい。
【0073】
図13に示されるように、マスクベース114は好ましくは、壁212によって画定される開口部210を含む。
図14を参照すると(これは、マスクシール110、マスクシールクリップ112、マスクベース114を通る断面)、マスクベース114を通る開口部210を画定する壁212は、好ましくはマスクシールクリップ112を通る通路144を画定する壁146の中に適合する。
図14に示されるように、壁212は壁146と軸方向に同じ範囲を持つことができる。これに加えて、壁146、212は、壁が相互作用し合い、壁146と212の間の相対的滑動が軽減され、不利な点としてマスクシールベース114がマスクシールクリップ112から分離する可能性が低減されるような寸法と形状にすることができる。構成によっては、壁146、212が相互に適合して、壁間の接合部からの漏れの可能性を低減させる。好ましくは、テーパロックで壁146、212を相互に固定する。
【0074】
図14をさらに参照すると、壁212は起伏のある内面214を含む。起伏面214の半径は、
図17に示されるものなどのスイベルエルボ222のボール端220を受けられる程度とすることができる。
図18によりよく示されているように、ボール端220は起伏面224を有し、これはマスクベース114に形成された起伏面214にスナップ式に嵌合させることができる。2つの起伏面214、224同士の接続によって、表面は相互に対して比較的自由に摺動でき、その結果、スイベルエルボ222の位置を容易に変えることができる。構成によっては、エルボ222を、玉継手の構成を持たせることなく、回転または旋回するように構成できる。
【0075】
図13を再び参照すると、マスクベース114はまた、少なくとも2つのポケット230を含む。図のマスクベース114は2つのポケット230を含む。ポケット230はマスクベース114の中に窪んでおり、マスクベース114から後方に突出する。ポケット230はマスクシールクリップ112の凹部140の中に受けられる。マスクシールクリップ112に形成される別の凹部142の上に、周囲壁234によって画定される開口部232が重なる。
【0076】
図のポケット230は、マスクベース114の横方向の両側にポケット230が1つずつ形成されるように形成される。ポケット230は中心面CPに対して対称に位置付けることができ、この平面はマスクベース114を実質的に二等分する。構成によっては、
図15に示されるように、ポケット230は横方向の寸法242に対して縦方向の寸法240が大きい。同様に、
図15に示されるように、開口部232は横の寸法246に対して縦方向の寸法244が大きい。
【0077】
図のマスクベース114において、各ポケット230の横方向に内側の部分は支持壁250を含む。支持壁250は、ポケット230の基底面248に対する法線に対して中心面CPに向かって位置付けられる。ポケット230の各々は、クリップ252(
図22参照)を受けるように構成される。クリップ252がポケット230中に取り付けられると、支持壁250はポケット230に対するクリップ252の回転を制限するのに役立つ。さらに、縦方向の寸法を大きくすることは、使用者が取り付け中にポケット230をクリップ252とともに位置付けるのに役立つ。
【0078】
図22を参照すると、クリップ252は2つの部分、すなわち外側カバー254と内側留め具256からなる構成とすることができる。ストラップ260は、適当な任意の方法で各クリップ252に固定できる。1つの適当な構成が
図2に示されている。構成によっては、ストラップ260を外側カバー254と内側留め具256の間に挟むことができる。構成によっては、ループまたは開口部または穴をクリップ252に設け、その中にストラップ260を通すようにすることができる。好ましくは、1つのクリップ252を、ヘッドギアアセンブリ106の上側ストラップと下側ストラップの両方に接続することができる。このような構成により、ヘッドギアアセンブリ106をフルフェイスマスクアセンブリ102に容易に接続でき、またヘッドギアアセンブリ106をフルフェイスマスクアセンブリ102から容易に外すことができる。
【0079】
図23に示されるように、クリップ252は傾斜面262を含む。傾斜面262は、外側カバー254に設けることができる。傾斜面262は、支持壁250と協働して、クリップ252をマスクベース114のポケット230に対して方向付けるのに役立つ。
【0080】
クリップ252はインターロック手段264を含む。インターロック手段264は、マスクベース114のポケット230の中に画定される開口部232に挿入するように構成される。インターロック手段264は、
図13に示されるように、マスクベース114の開口部232を画定する壁234に沿って画定されるタブ236と、スナップ式に係合できる。クリップ252をポケット230にインターロックするその他の方法も使用できる。
【0081】
図23を参照すると、図のクリップ252のインターロック手段264は、終端に解除レバー266を有するU字形の構成要素268を含む。U字形の端268は、タブ236と接続できるのに十分な距離だけ突出するが、マスクシールクリップ112の別の凹部142の底部によってそれ以上インターロック手段264を開口部232に適正に挿入できなくなる程度までは突出しない。U字形の端268は、クリップ252をマスクベース114に接続している間に、まず開口部232の壁と接触する。図の構成では、U字形の端268は挿入中に開口部232の壁234と接触し、壁234がクリップ252をポケット230の中の位置へと案内する。開口部232または開口部232を画定する1つまたは複数の面は一般に、クリップ252をマスクベース114に接続している間にクリップ252をマスクベース114に対して位置合わせする。
【0082】
解除レバー266の端は、壁272によって画定された開口部270を通って延びる。好ましくは、解除レバー266の端は開口部270から、解除レバー266が操作しやすくなるのに十分な距離だけ突出する。解除レバー266を、インターロック手段264のU字を閉じるような方法で動かすことによって、インターロック手段264はマスクベース114の開口部232を画定する壁234の中のタブ236との係合から外れる。
【0083】
図32~39は、マスクアセンブリ102を使用者の頭に固定するために構成されたクリップアセンブリ252の別の構成を示す。たとえば、
図32と33のクリップ252は隆起した端縁400(フィンガタブ400と呼ばれることがある)を有し、これによって使用者はマスクアセンブリ102からヘッドギア106を容易に外すことができる。隆起した端縁400は、使用者が単純にこれを後方に引っ張るだけで、クリップ252がマスクベース114から飛び出るように外れる向きとされる。1つまたは複数のクリップ252をマスクベース114から外すことによって、マスクアセンブリ102は使用者の頭から容易に外れる。隆起した端縁400は、ヘッドギア106をマスクアセンブリ102に対して着脱する間の把持点となる。たとえば、使用者は親指と人差し指で隆起した端縁400の両側を支えて、クリップ252をマスクアセンブリ102から外してもよい。これに加えて、使用者はクリップ252を把持し、把持したままマスクのフィッティング作業を行ってもよい。これによって、組立中にストラップ260をむやみに把持する必要がない。また、これによって使用者は、隆起した端縁400を把持したまま、クリップ252を取り付け、取り外し、再び取り付けることができる。
【0084】
図34は、
図32と33のクリップ252の分解図を示す。クリップ252は、外側カバー254と内側留め具256を含む。内側留め具256は、ヘッドギアストラップ260の遠位端を受ける1つまたは複数のスロット402を含む。内側留め具256はまた、
図38と39の構成に関連して示されているものなどの複数の圧力突起を含むことができる。圧力突起によって、外側カバー254と内側留め具256にさらに圧力が加えられ、その結果、これらは相互に固定される。1つの構成において、ヘッドギアストラップ260は組み立てられた状態のクリップ252から取り外すことができる。
【0085】
内側留め具256は、
図35に示されるような長いスロット404を含む。スロット404は、スロット404の幅より大きい直径を有する円形の開口部406を含む。スロット404と円形の開口部406は面取りされた凹部を含むことができ、これはクリップ252をマスクアセンブリ102と位置合わせするのに役立つ。円形の開口部406は、クリップ252をマスクアセンブリ102と着脱しやすくし、これについては後でより詳しく説明する。2つの溝408がスロット404の側面と平行に延び、これによってスロット404の両側にスロット壁410(クリップレバーと呼ばれることもある)が画定される。溝408は、クリップ252のマスクアセンブリ102との着脱中にスロット壁410が十分に曲がるような大きさである。これに加えて、スロット壁410は、内側留め具256の最長寸法に沿って上下に延び、これによってより長いスロット壁410を利用することができる。より長いスロット壁410は、クリップを取付支柱に取り付ける際に、スロット壁にかかる応力レベルを軽減させる。
【0086】
図32~35のクリップ252と使用するのに適したマスクベース114の1つの構成が
図36に示されている。マスクベース114は、マスクベース114の両側に対称に位置付けられた2つの凹部140を含む。取付支柱412は、マスクベース114の本体の、各凹部140の中から延びる。取付支柱412は、マスクベース114と一体に形成しても、または別に形成してマスクベース114に固定してもよい。取付支柱412は、キノコ型の形状を有することができ、これによって使用者がクリップ256を所定の位置にスナップ式に嵌めると、クリップ256がマスクベース114に固定される。球根状のキノコ型支柱412の丸い上部は、中央の穴406を位置決めし、方向付けるのに役立つ。クリップ252が支柱412の中に嵌め付けられると、スロット壁410は支柱412から遠ざかるように、外側に曲がる。支柱412の頭部がスロット壁410の縁辺から出ると、スロット壁410はその当初の位置にスナップ式に戻り、これによってクリップ252が正しくマスクアセンブリ102に取り付けられたことを示す触覚的および、時には聴覚的フィードバックが提供される。
【0087】
取付支柱412はまた、長い、楕円の隆起部分414(ラグまたはウイングと呼ばれることがある)を含むことができ、これは、内側留め具256の長いスロット404と嵌合する大きさである。長い隆起部分414は、面取りされた縁辺を含み、これはヘッドギア106をマスクアセンブリ102に対して適正に位置合わせするのに役立つ。部分414は、クリップ252がマスクアセンブリ102に対して回転するのを防止する。これは、使用者の睡眠中にヘッドギアのストラップ260に一定の張力がかかるようにするのに役立つ。
【0088】
図37は、クリップ252をマスクアセンブリのマスクベース114に固定するためのまた別の構成の部分的アセンブリを示す。クリップ252は、マスクベース114の凹部140の中に納まる。円柱形の、ボタン型の頭部を有する支柱412が、マスクベース114の表面の、凹部140の中から延びる。支柱412によって、その円柱形の形状から、そこに取り付けられたクリップ252はわずかに回転することができる。しかしながら、
図38と39に示されるように、スロット404、溝408、スロット壁410は、内側留め具256の短い方の平面方向に沿って、その前後の端に向かって延びる。
【0089】
内側留め具256はまた、複数の圧力突起414を含む。前述のように、圧力突起は外側カバー254と内側留め具256に圧力をさらに加え、その結果、これらは相互に固定される。
【0090】
クリップ252の別の構成が
図40~47に示されている。
図40のクリップ252は、3つの長い楕円形のスロット404とフィンガタブ400を含む。フィンガタブ400は、マスクアセンブリ102からクリップ252を外すためのレバーとするのに使用される。中央のスロット404は、マスク本体の外面から延びる取付支柱412を受ける大きさである。1つのこのような適当な取付支柱412が
図43に示されている。取付支柱412は、1つの頭部414と2つのスロット416を含む。クリップ252が取付支柱412に嵌め付けられると、支柱412の外側部分は、スロット416によって提供される空隙によって相互に向かって曲がる。頭部414がクリップ252の上面から出ると、取付支柱412はその当初の位置にスナップ式に戻り、頭部414がクリップ252を所定の位置にロックする。
【0091】
同様の構成が
図44~47に示される。
図45のクリップ252はフィンガタブを含まず、その中央の開口部404は、
図40~44の長いスロットより丸に近い、楕円に近い形状である。
【0092】
上記の構成はすべて、マスクアセンブリ102を使用者の頭に固定する手順を簡素化する。たとえば、クリップ252によってヘッドギア106が開き、閉ループではなくなる。開くことによって、ヘッドギア106を頭の周りに巻き付けてもよく、使用者が頭をそれに押し込まなくてよい。
【0093】
図2を参照すると、ストラップ260のほかに、ヘッドギアアセンブリ106はまた、バックストラップ280とトップストラップ282を含む。その他のヘッドギアアセンブリもまた使用できる。バックストラップ280は使用者Uの後頭部の周囲の、首筋より概して上であるが、後頭隆起より概して下の位置に巻かれる。使用者の耳の後方の位置で、バックストラップ280は上側アーム284と下側アーム286へと分岐する。上側アーム284は使用者の耳の上の位置へと上方に曲がり、その後、使用者の耳の概して前方の位置へと下側に曲がる。下側アーム286は、使用者の耳の概して下の位置へと下向きに曲がり、耳のわずかに前方へと延びる。
【0094】
ストラップ260は、適当な任意の方法でバックストラップ280に接続できる。図の構成では、ストラップ260はそれぞれ上側アーム284と下側アーム286に接続される。好ましくは、上側アーム284と下側アーム286はストラップ260より剛性が高く、その結果、アーム284、286は一般に、ヘッドギアアセンブリ106の装着中に概して形状を維持する。構成によっては、上側アーム284と下側アーム286は各々、自重を支持する。構成によっては、上側アーム284と下側アーム286は各々、装着中に絡まないような構造である。たとえば、アーム284、286は、装着中に捻じれる可能性を低減させるのに十分な捩じり剛性を有する。
【0095】
好ましくは、ストラップ260は上側アーム284と下側アーム286のうちの少なくとも一方に、耳の前方の位置で接続される。このような構成は、使用者がそれほど困難を伴わずにストラップ260を位置付けることができるようにするのに役立つ。これに加えて、図の構成のストラップ260はクリップ252に埋め込まれているため、上側アーム284と下側アーム286の端はスロット290、292を含むことができ、その結果、ストラップ260をスロット290、292に通すことができる。これに加えて、ストラップ260は、調節機構294、たとえばベルクロ(登録商標)(Velcro)またはバックル構成等を含むことができる。調節機構294によって、マスクシール110と使用者Uの顔面との間の力を調節することができる。適当な任意の調節機構294を使用できる。
【0096】
図2に示されるように、トップストラップ282は好ましくは柔軟であり、調節可能な長さを有する。上側ストラップ282は、スロット296を通じて上側アーム284に接続され、上側アーム284が使用者の頭からずり落ちて、使用者の耳と接触する可能性を低減させる。好ましくは、上側ストラップ282は上側アーム284に、使用者の耳の概して上の位置で接続される。
【0097】
有利には、
図1と2に示されるように、ストラップ260は、マスクベース114に接続されている時に、方向Cに移動させることによって矢印Fの方向の力をかけることになり、方向Cは力Fの方向に対して概して垂直である。換言すれは、ストラップ360は前方に引くことによって緊張し、クリップ252は前方への引張に対して垂直な方向に移動させることによってマスクベース114に接続される。このような構成によって、インタフェース100を使用者の顔に固定しやすくなる。
【0098】
他の構成において、ヘッドギアアセンブリ106は半剛性ヘッドギア380(
図29に示される)を含み、これがマスクアセンブリ102を使用者の頭に固定する。半剛性ヘッドギア380は、柔らかい縁取り384に結合される半剛性ストラップ382を含む複合的な構造として形成される。たとえば、柔らかい縁取り384は、プラスチックの多層射出成形または接着剤の使用によって、半剛性ストラップ382に結合できる。
図29に示されるように、柔らかい縁取り384は半剛性ストラップ382に突合せ接合することができ、柔らかい縁取り384は半剛性ストラップ382と重複せず、これによって半剛性ヘッドギア380の連続的な形状が保たれる。半剛性ストラップ382は半剛性ヘッドギアの形状を画定し、マスクアセンブリ102を使用者の頭に向かって引っ張るためにストラップ260から張力がかかった時にその形状を保つ。換言すれば、半剛性ストラップ382はその平面軸に沿って、その上側および下側アーム284、286が張力を受けて過剰に変形するのを防止するのに十分な剛性を有する。半剛性ストラップ382は、様々な剛性または半剛性材料で製造でき、たとえばプラスチックや金属がある。構成によっては、半剛性ストラップ382はPVCから作製される。
【0099】
特に、半剛性ヘッドギアアセンブリに対して、形状保持の性質または自立性によって、直感的にフィットさせることのできる全体的なアセンブリが得られることがわかった。特に、コネクタおよび/またはヘッドギア部材が自立性を有し、これらが立体形状を保つ場合、ヘッドギアは、あったとしてもきわめてわずかな説明だけで、正しい向きにフィットさせることができる。自立的な構造において、ストラップが絡まない傾向にあるため、アセンブリ全体をフィットさせるための時間が短縮される。
【0100】
本明細書にいて、「半剛性」という用語は、ヘッドギアアセンブリが、ヘッドギアアセンブリ380がそれをフィットさせるように設計された患者の頭に近い寸法の立体形状をとることができるのに十分な剛性を有し、その一方で、患者の身体的形状に概して適合するのに十分な柔軟性を有することを意味する。たとえばヘッドギアアセンブリ380の他の構成要素(たとえば、アームやストラップ)のいくつかも、部分的または全体的に「半剛性」であってもよく、その結果、これらの構成要素は実質的に自立的な立体形状を保持できる。「半剛性」のヘッドギアアセンブリとは、ヘッドギアアセンブリの個々の構成要素が半剛性でなければならないことを意味していない。たとえば、自立的なヘッドギアアセンブリ380がとることのできる実質的に立体の形状は、主としてヘッドギアアセンブリ380の後方および最上部に対していてもよい。これに加えて、半剛性ヘッドギアアセンブリ380は、患者の頭に設置された時に、耳の前方と耳の上に延びる半剛性領域を含んでいてもよい。
【0101】
左右の上側および下側アーム284、286もまた、半剛性材料で形成してもよい。本明細書において、半剛性材料とは、成形プラスチックまたはシート材料を含んでいてもよく、これには同種のプラスチック材料や結合不織繊維材料等があり、これらに限定されない。
【0102】
構成によっては、アームまたはストラップの1つまたは複数は実質的に非弾性の材料で形成される。アームまたはストラップは、半剛性の自立性材料で形成することができ、その結果、半剛性ヘッドギアアセンブリ380は、実質的に立体的な形状をとることができ、一般的に絡まない。構成によっては、材料はたとえば、形状適合部分と半剛性部分の両方を有する積層構造を含むことができるが、これに限定されない。半剛性ストラップ382は、自立性、弾力性、実質的に非弾性の材料、たとえばサントプレーン、ポリオレフィン、ポリプロピレン、ポリエチレン、発泡ポリオレフィン、ナイロンまたは不織ポリマ材料等で作製されていてもよいが、これらに限定されない。構成によっては、半剛性ストラップ382はポリエチレンまたはポリプロピレン系から形成される。材料は、ダウレックス(Dowlex)2517等の低密度ポリエチレンで作製でき、これは直鎖状低密度ポリエチレンであり、引張耐力は9.65MPa、破断引張強度は8.96MPa、-2%割線曲げ弾性率は234MPaである。半剛性ストラップ382は好ましくは、半剛性ヘッドギア380がその向きに関係なく自重に対して実質的に形状維持するような材料で形成される。構成によっては、半剛性ストラップ382は30Nの引張負荷で約6mmを超えて伸びない。構成によっては、半剛性ストラップ382は30Nの引張負荷で約3mmを超えて伸びない。
【0103】
構成によっては、半剛性ストラップ382は、不織ポリオレフィン(NWP)から形成され、これはポリオレフィンに(たとえば、多層射出成形または積層法によって)結合される。このような構成では、多重射出成形されるポリオレフィン材料によって当初の形状を維持する特性が得られる。これに加えて、より柔らかいNWP材料は、皮膚と接触し、所望の快適さを提供するようになされる。さらに、NWP材料は所望の荷重支持特性、たとえば所望の引張荷重支持特性を提供するのを支援することができる。
【0104】
半剛性ヘッドギア380は一般に、半剛性材料で形成される。本明細書において、半剛性材料は成形プラスチックまたはシート材料を含んでいてもよく、これには同種のプラスチック材料や結合不織繊維材料が含まれるが、これらに限定されない。上側および下側アーム284、286もこのような半剛性材料を含み、これはアーム284、286が半剛性ヘッドギア380と一体に形成され、その一部であるからである。好ましくは、左右の下側アーム286は、使用時に患者の後頭部の周囲と首の上の位置に巻かれる一体の構成要素として形成される。
【0105】
柔らかい縁取り384は、半剛性ストラップ382の周辺の少なくとも一部を覆い、またはそれに取り付けられる。1つの構成では、柔らかい縁取り384は半剛性ストラップ382の前面または後面を覆わない。たとえば、柔らかい縁取り384と半剛性ストラップ382の厚さは、これらが相互に結合される位置において同じとすることができる。
【0106】
柔らかい縁取り384は、半剛性ストラップ382の周辺と使用者の皮膚の間を柔らかく、快適に接触させる。柔らかい縁取り384は様々な柔らかい材料で作製でき、これにはプラスチック、エラストマ、シリコーンまたは熱可塑性ポリウレタン(TPU)プラスチックが含まれるが、これらに限定されない。柔らかい縁取り384のショア硬さは10~80(ショアA)の範囲内とすることができる。
【0107】
本明細書においてヘッドギアとストラップに対して使用される場合、「柔らかい」は材料の手触りを説明するために用いられ、これは触覚により得られる反応によって評価される材料の質を意味する。これに加えて、本明細書においてヘッドギアとストラップに対して使用される場合、「形状適合可能」は、材料が患者の身体的特徴(たとえば、顔の造作物の周囲)に適合する能力を説明するために用いられる。特に、「柔らかい」および/または「形状適合可能」材料の要素を少なくとも1つ含むストラップはまた、「半剛性」および/または軸方向に非弾性であってもよい。
【0108】
柔らかい縁取り384は均一な厚さとすることができ、または構成によっては不均一な厚さとすることもできる。たとえば、構成によっては、柔らかい縁取り384は半剛性ストラップ382と同じ厚さである。他の構成では、柔らかい縁取り384は半剛性ストラップ382より薄いか、半剛性ストラップ382の球根状の端を形成するか、または半剛性ストラップ382より単純に厚い。半剛性ヘッドギア380の各種の断面図が
図29に示されている。各断面図(A-A’からF-F’)の各々は、半剛性ストラップ382と柔らかい縁取り384の厚さの1つの実現可能な構成を示しており、これらを必要に応じて組み合わせてもよい。たとえば、1つの特定の柔らかい縁取り384の厚さと形状はいずれも、半剛性ストラップ382の一部または全部に適用でき、または
図29に示されるように他の特定の被覆厚さと形状と組み合わせてもよい。
【0109】
その他多くの厚さ構成も提供してよい。これに加えて、材料の厚さを半剛性ストラップ382に対称にも非対称にも適用できる。たとえば、断面
図C-C’とF-F’は非対称に示されているが、他の構成では、柔らかい縁取り384の両側の端の厚さが半剛性ストラップ382に対称に適用される。構成によっては、半剛性ストラップ382を選択的に厚くして、特に高い剛性と支持力が提供されようにする。たとえば、断面
図F-F’として示される2つの構成はこのような厚さ構成を有する。最後に、構成によっては、半剛性ヘッドギア380の全体にわたり、換気用貫通穴396を(たとえば、
図29に示されるように、半剛性ストラップ382の上または柔らかい縁取り384の上に)設けて、換気および発汗管理を可能にする。
【0110】
図29に示されるように、平らに置いた場合、半剛性ヘッドギア380は3つのC字型のアーチ状領域386、388、390を画定する。2つの耳周辺領域386、388は、上側および下側アーム284、286によって確定され、後方領域390は下側アーム286とバックストラップ部分280によって画定される。半剛性ヘッドギア380は、使用者の頭の形状に適合するように曲げるのに十分に柔軟であり、その結果、耳周辺領域386、388は、少なくとも部分的に使用者の耳を取り囲み、または包囲し、後方領域390は少なくとも部分的に使用者の後頭部の耳の上に位置を取り囲み、または包囲する。
【0111】
各アーム280、284、286の曲率は、快適なフィッティングを提供し、半剛性ヘッドギア380を使用者の頭に容易に装着し、取り外すことができるように選択できる。たとえば、図の構成では、上側の耳周辺アーチ状領域386、388の開口部に対して、上側アーム284は凹曲度を有し、下側アーム286は凸曲度を有する。バックストラップ部分280と下側アーム286はすべて、首周辺アーチ状領域390の開口部に対して凹曲度を有する。これらの曲率により、たとえば使用者の首と耳に容易にフィットするような大きさと方向の開口部をアーチ状領域に設けることによって、半剛性ヘッドギア380を使用者の頭に容易に着脱できる。
【0112】
図29の構成は、第一と第二の頭頂部アーム392、394を含む一体の頭頂部ストラップを利用して半剛性ヘッドギア380を使用者の頭に固定する。半剛性ヘッドギア380が使用者の頭に部分的に巻かれるように位置付けられると、第一と第二の頭頂部アーム392、394は相互に接触して、半剛性ヘッドギア380を所定の位置に固定する。第一と第二の頭頂アーム392、394には、これらを相互に取り付けられるようにする様々な機構のいずれを設けてもよい。たとえば、構成によっては、マジックテープ(登録商標)生地(たとえば、ベルクロ(登録商標))または1つまたは複数のスナップまたはクリップを使って第一と第二の頭頂部アーム392、394を相互に取り付けることができる。
【0113】
頭頂部ストラップは、頭がい骨の最上部の周囲に耳の高さで横方向に巻かれる。頭頂部ストラップがこのように延び、アーチ状領域386、388が使用者の耳を部分的に取り囲むように位置付けられると、半剛性ヘッドギア380のバックストラップ280は、イニオンの位置またはその下に位置するべきである。使用者のイニオンは、頭がい骨の後下部の後頭骨の最も顕著な突出部である。換言すれば、イニオンは外後頭隆起の最高点である。半剛性ヘッドギア380は、添付の付属書類に示す構成のいずれに従って使用者の頭に設置することもでき、この付属書類は本願の一部であり、その全体をここに組み込む。
【0114】
たとえば、バックストラップ部分280は、使用者の後頭部と係合するようになされている。好ましくは、バックストラップ部分280は、外後頭隆起の位置またはその下の位置で頭と係合するようになされている。バックストラップ部分280は、後頭部に巻かれる距離にわたり、頭の両側に延びる。構成によっては、バックストラップ部分280は、患者の外耳道を通って延びる水平面より約25度下に位置付けられるようになされた縦中心を含む。
【0115】
頭の両側で半剛性ヘッドギア380は上方および下方に左右の側方領域へと延び、アーチ状領域386、388を形成する。側方領域は、患者の耳の後方に延びるようになされている。好ましくは、側方領域はまた、患者の乳様突起の後方に延びるようになされる。半剛性ヘッドギア380の左右の側方領域の各々は、アーチ状部386、388の中に延びるか、またはそれを含む。アーチ状部386、388は前方に曲がる。アーチ状部386、388は、患者の各々の耳の周囲に延びるようになされている。好ましくは、アーチ状部386、388の各々は、それぞれの終端部で終わる。終端部は好ましくは、患者の耳の前方に位置するようになされている。構成によっては、半剛性ヘッドギア380の側方領域とアーチ状部386、388は、柔らかい内側パッド部を含まないが、患者の頭/髪と直接接触する自立性の弾性材料を含んでいてもよい。
【0116】
半剛性ヘッドギア380の最上部は、アーチ状部386、388を相互に接続する。最上部は、構成によっては、耳の前方に位置付けることができる。好ましくは、最上部は耳から概して垂直に位置付けられる。より好ましくは、最上部の縦中心は、外耳道と交差する垂直面の後方に、13mmより大きく、好ましくは13~100mmの範囲で離間されるようになされる。構成によっては、最上部は第一のセグメント392と第二のセグメント394を含み、第一のセグメント392と第二のセグメント394が合同で最上部を形成する。第一のセグメント392は左側のアーチ状部386の頂点から上方に延び、第二のセグメント394は右側のアーチ状部388の頂点から上方に延びる。好ましくは、最上部は自立性の半剛性材料で形成される。構成によっては、最上部は、柔らかいパッドが当てられた裏打ち層を含め、裏打ちを一切含まない。
【0117】
上側および下側アーム284、286は各々、各アーム端の付近にスロット292、290を含む。各スロットは、
図2に示されるように、マスクアセンブリ102のストラップ260を受けるように構成される。これに加えて、半剛性ヘッドギア380の、ストラップ260で覆われる部分398は、対応するアーム284、286より薄く、ストラップ260の厚さを収容する。たとえば、
図30と31に示されるように、半剛性ヘッドギア部分398はアーム286より薄い。部分398は、ストラップ260がスロット290に挿入され、引っ張られた時に、その厚さがアーム286より厚くならないような寸法である。ストラップ260と部分398の厚さをアーム286の厚さより薄く保つことによって、ストラップ260は装着時に使用者に刺激を与えない。
【0118】
これに加えて、上側アーム284は使用者の耳の上の位置から下方に延びるように構成され、その結果、調節可能な上部ストラップ260は装着時に使用者の目に約10mmより近付かない。下側アーム286は、頭を上下に傾けても使用者の頸から外れないように構成され、下側アーム286の終点は使用者の耳より概して下に位置し、その結果、下側ストラップは下側アーム286に取り付けられた時に、終点290からマスクアセンブリ120へと上方に傾斜する。このような構成では、
図52と53に示されるように、下側ストラップと上側ストラップが三角形を形成し、マスク上の下側ストラップと上側ストラップの間の空間は、ヘッドギア上の下側ストラップと上側ストラップの間の空間より小さくなり、これによってマスクアセンブリ120は上方および下方への移動に対して安定する。
【0119】
図17を再び参照すると、エルボ222が切断可能なスイベルアセンブリ302を通る導管300に接続される。
図20の断面図に示されるように、エルボ222は基底部に内壁306を含むステム304を含む。内壁306は凹部308を含む。
【0120】
スリーブ310はフランジ312を含み、これは凹部308に受けられる。スリーブ310は、適当な任意の方法でエルボ222の中の位置に固定できる。スリーブ310は、概して円柱形の外壁314を含む。フランジ312は、外側に延びてレバー316に接続する部分を含む。好ましくは、フランジ312とレバー316は一体に形成される。
図21を参照すると、レバー316は下側の、内側に延びる留め具320を含み、レバー316をフランジ312に接続する部分の周囲で回動できる。それゆえ、レバー316の上部322を内側に圧迫することによって、留め具320は、スリーブ310の概して円柱形の外壁314から遠ざかるように移動する。
【0121】
スイベル330は、概して円柱形の内壁332を含む。内壁332はスリーブ310の外壁314の周囲でスライドし、スイベル330とスリーブ310とが摺動可能に適合する。上部334は肩部336を含む。レバー316の留め具320は、肩部336と係合することによって、スイベル330をスリーブ310の軸位置に固定できる。レバー316の上部322を押し下げると、留め具320は肩部336から遠ざかるように移動し、これによってスイベル330はスリーブ310から外れる。
【0122】
フラップ350はステム304とスリーブ310の間に取り付けることができる。図の構成において、フラップ350は、ステム304とスリーブ310の間に挟まれる基底部354から流路352の中に延びる。フラップ350は、軸X(
図21参照)の周囲で、スリーブ310から遠ざかるように上方に回動でき(
図20に示されており、矢印P参照)、その結果、陽圧発生器からの流れがインタフェース100を通って、概して障害物を経ずに使用者へと続くことができる。フラップ350は、陽圧源が加圧空気流の供給を停止した場合に、下方に回動してスリーブ310と接触し、流路352を密閉する。構成によっては、フラップ350はスリーブ310と完全には接触しない。構成によっては、フラップ350は、下の位置にある時に、流路352を密閉しない。
【0123】
図21を参照すると、ポート360はフラップ350の上の位置において、エルボ222を通じて画定される。ポート360は好ましくは、軸Xの付近にあるエルボ222の一部に沿って位置付けられる。構成によっては、ポート360は、フラップ350によって吸気流から実質的に遮断されるように位置付けられる。換言すれば、空気がフラップ350をスリーブ310か遠ざかるように回動させると、フラップ350はポート360を少なくとも部分的に、または完全に覆う位置に移動する。
【0124】
構成によっては、ポート360はエルボ222の壁を通って延び、これは概して平坦な内壁362を含む。概して平坦な内壁362は、フラップが上方に、スリーブ310のフランジ312から遠ざかるように移動されると、フラップ350がポート360を概して密閉するのに役立つ。
【0125】
構成によっては、レバー316はポート360の大部分と重なり、その結果、ポート360は概して見えなくなる。しかしながら、
図20に示されるように、ギャップ364が好ましくは、レバー316の少なくとも一部を取り囲み、その結果、フラップ350がポート360と重ならない時には、比較的自由な空気流がポート360を通過できる。これに加えて、構成によっては、ポート360とレバー316がエルボ222の、ボール端220の内部に画定される開口部370と同じ側に位置付けられ、この開口部は、接続ポートアセンブリ104がマスクアセンブリ102に取り付けられた時にマスクアセンブリ102の内部に位置付けられる。有利には、このような位置付けにより、ポート360はエルボ222上で、使用者に面するように位置することになる。このような位置によってさらに、使用中にポート360が見えなくなり、その結果、より審美的に好ましい構成となる。さらに、ポート360からの流れがほとんどなくなり、ポート360を使用者に向かって設置しても、使用者にそれほど不快感を与えない。
【0126】
図示されていないが、エルボ222はまた、1つまたは複数のバイアス流換気穴を含むことができる。バイアス流換気穴は好ましくは、前方に向かう方向に位置付けられ、その結果、バイアス流はまったく使用者に直接当らなくなる。
【0127】
エルボアセンブリ302の別の構成が
図48~51に示されている。エルボアセンブリ302は、
図49に示されるように、エルボ222とスリーブ310および/またはスイベル330を含む。構成によっては、エルボアセンブリ302はエルボ222とスリーブのみを含み、スイベル330がない。スイベルは、スリーブ310とエルボ222に永久的に、または着脱可能に取り付けてもよく、構成によっては、スイベル330は送達導管の端と一体に形成される。フラップ350はスリーブ310の上に位置付けられ、その結果、これはスリーブの流路352を少なくとも部分的に遮断する。エルボアセンブリ302は、
図17~21のエルボアセンブリ302と同様に機能するが、
図48~51のエルボアセンブリ302は、フラップ350がその閉じた位置に下がった時(
図50と51に示される)に、患者からガスを逸らすという追加の利点を提供する。
【0128】
図49を参照すると、スリーブ310は好ましくは、2つまたはそれ以上の切欠き領域または凹部356を含む。凹部356は、適当な任意の形状であってもよく、図の構成では凹部356は半円形の構成を含み、スリーブ310の中に上方に延びる。スリーブ310はまた、少なくとも1つの突起357、好ましくは2つまたはそれ以上の突起357を含む。好ましくは、突起357の各々が約70度の弧に沿って延びる。より好ましくは、突起357の各々は、2つの凹部356間の概して中央にあり、突起357の各々は、スリーブ310の外面の周囲に約70度にわたって延びる。
【0129】
スイベル330は好ましくは、概して円柱形の形状である。
図49に示されるように、スイベル330は内側に延びる隆条358を有する。隆条358は好ましくは、内面全体を取り囲む。構成によっては、隆条358は中断できる。しかしながら、好ましくは、隆条358は、突起357全体を収容するのに十分な大きさの中断部を持たず、その結果、隆条358と突起357は協働でスイベル330をスリーブ310の上に取り付けられた状態に保つことができる。スイベル330をスリーブ310に組み付ける際、凹部356によって突起357は内側に曲がり、その結果、突起357は隆条358の上で摺動して、その後、スナップ式に外側に戻り、突起357を隆条358の下に固定する。
【0130】
エルボ222は、その換気路422と流体連通する側に開口部420を含む。換気路422は、
図50と51に示されるように、エルボの内壁と外壁362、424の間の空間により形成される。
【0131】
図50と51に示されるように、フラップ350がその閉鎖位置に下がると、使用者からの呼気がエルボ222の開口部370に入る。呼気はエルボの内壁362のポート360を通り、換気路422を通って流れ、最終的に開口部420を通じてエルボ222から出る。
【0132】
図48~51の構成では、エルボ222の前方に位置付けられる見えない穴をなくすことによって、全体の長さが短縮され、製品の審美面が改善される。これに加えて、
図48~51の構成では、空気が使用者に向けられないようにすることによって、患者の快適性が改善される。その代わりに開口部420が気流をエルボ222の側面から出て、患者から遠ざかるように誘導する。
【0133】
図54を参照すると、柔軟なヘッドギアアセンブリ500を使って、たとえば、ただしこれに限定されないが、呼吸療法のためにマスクアセンブリを使用者の頭に固定することができる。図の柔軟なヘッドギアアセンブリ500は、適当な任意のマスクアセンブリ、たとえば本明細書で開示されるマスク構成のいずれにも使用でき、これに限定されない。
【0134】
図の柔軟なヘッドギアアセンブリ500は、バックストラップ部分502を含む。バックストラップ部分502の少なくとも一部は、パネル504と結合される。図の構成において、バックストラップ部分502は、使用者の後頭部に巻かれる距離にわたるように構成され、使用者の両側頭部に向かって延びるように構成される。
【0135】
図54を引き続き参照すると、1対の上側アーム506と1対の中央アーム510は、バックストラップ部分502の上縁512から概して横方向に延びることができる。1対の下側アーム514は、バックストラップ部分502の下側縁516から概して横方向に延びることができる。構成によっては、1対の下側アーム514は下方に、バックストラップ部分502から遠ざかるように延び、その結果、下側アーム514の下側縁はバックストラップ部分502の下縁より低い地点に位置付けられる。構成によっては、1対の中央アームは上方に、バックストラップ部分502から遠ざかるように延び、その結果、中央アーム510の上側端はバックストラップ部分の上側縁より高い地点に位置付けられる。
【0136】
図の構成において、下側アーム514と中央アーム510の終端には端520がある。端520は固定部522を含むことができ、これはマジックテープ(登録商標)式固定手段のためのフック要素またはループ要素で形成できる。好ましくは、後でより詳しく説明するように、固定部522は少なくともフック部を含み、これはヘッドギアアセンブリ500の別の部分の材料と係合できる。上側アーム506の各々は終端に固定部524を含むことができる。
【0137】
使用者の頭に位置付けた時、バックストラップ部分502は、外後頭隆起に、またはそれより下に、および使用者の首筋より上に位置付けられる。上側ストラップ506は、適当な任意の方法で相互に接続できる。構成によっては、クリップで上側ストラップ506を、折り返されて上側ストラップ506の別の部分に固定された固定部522と共に固定する。それゆえ、上側ストラップ506は概して使用者の頭頂部の上まで延びることができ、それによってヘッドギアアセンブリ500の残りの部分の下方への移動が制限される。
【0138】
中央アーム510と下側アーム514は、クリップ(図示せず)またはマスクアセンブリの別の部分に接続することができ、その結果、中央アーム510と下側アーム514はヘッドギアアセンブリ500をマスクに直接的または(たとえば、ただしこれに限定されないが、
図40に示されるようなクリップで)間接的に固定する。中央アーム510と下側アーム514の端520は、マスクアセンブリのループまたはその他の構造の中に通され、1回折り返される。重なった部分は、適当な任意の方法で固定できる。たとえば、ただしこれに限定されないが、重なった部分はマジックテープ(登録商標)方式の固定装置(たとえば、ベルクロ(登録商標)ファスナ)で固定できる。
【0139】
次に
図55を参照すると、上側アーム506、中央アーム510、下側アーム514の端の少なくとも1つは拡張端520を含むことができる。好ましくは、拡張端520は、柔軟ヘッドギア500の少なくとも中央アーム510と下側アーム514に形成される。構成によっては、拡張端520は、マスクアセンブリに接続される1つまたは複数のアームに見られる。拡張端520は、アーム510、514の主要部分と一体に形成することができる。
【0140】
前述のように、アーム526は拡張端520と一体に形成できる。図の拡張端520は幅dを有し、その一方でアーム526は幅eを有する。アーム526の幅eは、約12mm~約20mmの間、約14mm~約18mmの間、または好ましくは約16mmとすることができる。拡張端520の幅dは、約18mm~約26mmの間、約20mm~約24mmの間、または好ましくは約22mmとすることができる。実施形態によっては、拡張端520の最大幅dとアームの幅eの差は約3mm~約10mmの間または約5mm~約8mmの間である。構成によっては、拡張端520の最大幅dとアームの幅eの差は約6mmである。拡張端520の幅dはアーム526の幅eより大きいため、拡張端520の端縁はより容易に位置決めでき、その結果、端520をアームに固定するために使用される部分は、アーム526を適合させ直す際(たとえば、柔軟ヘッドギア500を締める、緩める、取り外す、またはその他の方法で位置を変更するため)に、より容易に位置決めできる。
【0141】
さらに、拡張端520の幅dがアーム526の幅eより大きい場合、ネック部536は、拡張端520とアーム526の間の位置に形成できる。ネック部536は、使用者の頭に固定された時に拡張端520がマスクアセンブリの取付部からずれて外れる可能性を低減させることができる。たとえば、マスクアセンブリの取付部の開口部は約16mm~約18mmの幅であってもよく、その一方で拡張端520は約22mmであってもよく、アーム526は約16mmであってもよい。したがって、拡張端520が意図せず開口部から抜ける可能性が大幅に低減される。
【0142】
ネック部536の形状により、拡張端520が開口部から意図せず抜ける可能性がさらに低減されうる。適当な任意の移行部を使用できる。
図56に示されるように、ネック部536は、必要に応じて、マスクアセンブリからアームを取り外しやすくするように湾曲させることができる。ネック部は、アームに対して約0度~約90度の間の角度で延びることができる。好ましくは、ネック部536は約20度~約60度の間の角度で延びる。構成によっては、ネック部536はより急峻な移行部でも、よりなだらかな移行部でもよい。より急峻な移行部であるほど、アームがマスクアセンブリから意図せず分離する可能性が低くなる。
【0143】
ネック部536は拡張端520の形状の一部を形成する。構成によっては、拡張端520は実質的に楕円形とすることができる。構成によっては、拡張端520は各種の形状、たとえば平行四辺形、長円形、円形、三角形またはその他適当な任意の形状に近いものとして構成できる。
【0144】
引き続き
図55を参照すると、拡張端520の各々は、フックファスナまたはその他を有する埋め込みパネル522を含む。パネル522は、拡張端520に設置でき、その結果、拡張端520は、対応するアームの別の部分に、このアームを折り返した時に固定できる。埋め込みパネル522はフック布地(たとえば、ベルクロ(登録商標))で構成できる。それゆえ、拡張端520と、特にパネル522のフック材料は、対応するアームの別の部分に固定して、ヘッドギアアセンブリ500をマスクアセンブリに固定することができる。
【0145】
パネル522は、適当な任意の方法でアームの端に取り付けることができる。構成によっては、パネル522は超音波溶接によって拡張端520に取り付けられる。たとえば、パネル522は、アームに沿って所望の位置に位置付けることができ、その後、超音波溶接工程で有効に2つの材料を一緒に溶融させることができる。
図56を参照すると、超音波溶接を使って拡張フック生地パネル522を拡張端520に取り付けた場合、幅aの溶接縁530が拡張フック生地パネル522の周辺に沿って形成される。図の構成における超音波溶接手順によって、溶接縁530の幅aは約3mmである。フック生地パネル522のうち溶接縁530を含む面積は一般に、超音波溶接手順でフック生地のフックを溶融させ、またはその他の方法で変形させることによってフック受容材料と係合させる上で機能していない。それゆえ、フック生地パネル522の機能的表面積は、溶接縁のそれと同等の表面積分だけ減少する。
【0146】
溶接縁530は拡張端520のフック受容通気性複合材料からなる、幅bの柔らかい縁辺532によって縁取ることができる。好ましくは、溶接縁530は柔らかい縁辺532の表面より低く窪んでいる。アーム526の幅eの投影(projection)を、溶接縁530を通るように延ばすことができ、柔らかい縁辺532は、アーム526の幅eの投影より若干外側に位置付けられる。
【0147】
柔らかい縁辺の幅bは、約0.5mm~約4mm、約1mm~約3mm、または好ましくは約2mmとすることができる。有効フック部534は、溶接縁530と隣接し、幅cを有することができる。有効フック部の幅cはアーム526の幅eよりわずかに狭い。幅cを大きくすることによって、フック生地材の機能的表面積を大きくすることができ、それゆえ、せん断力強度と耐久性が改善される。幅cをアーム526の幅eより小さくすることによって、アーム526は、有効フック部534が使用者の皮膚と接触する可能性を低減させる。有効フック生地部534の幅cは、約8mm~16mm、約10mm~約14mm、または好ましくは約12mmとすることができる。拡張端の幅dによって、機能的表面積の幅cを増大させることができる。換言すれば、アームの端が、有効フック部534の幅を増大できるように拡張されており、これによって拡張端をアームの表面により確実に取り付けることができる。
【0148】
柔軟なヘッドギアアセンブリ500は適当な任意の材料で形成できる。構成によっては、柔軟なヘッドギアアセンブリ500は、フックファスナ受容通気性複合材料で被覆されるか、またはこれから形成される少なくとも一部を有することができる。構成によっては、柔軟なヘッドギアアセンブリ500は、少なくとも部分的にナイロン/Lycra Breath-O-Prene(登録商標)材料で作製できる。実施形態によっては、長さ150mm×幅20mmの材料サンプルに10Nの軸負荷をかけると、このサンプルが約207mmに伸び、これは10Nの軸負荷で約38%の伸長となる。それゆえ、材料は好ましくは、かなり弾力性を有する。実施形態によっては、ヘッドギアアセンブリ500は、丸みのある縁辺を1つまたは複数含むことができる。丸みのある縁辺は、適当な任意の方法で形成できる。構成によっては、丸みのある縁辺は、ヘッドギアアセンブリ500の縁辺に熱と圧力をかけることによって形成される。構成によっては、丸みのある縁辺は米国特許第3,295,529号明細書に記載されている技術と同様の方法で形成され、同特許の全体を引用によって本願に援用する。
【0149】
前述のように、図の柔軟なヘッドギアアセンブリ500のバックストラップ部分502は好ましくは、少なくとも1つの比較的非弾性のパネル504を含む。このパネルは、比較的低伸縮の材料で形成でき、たとえばポリエステルBreath-O-Prene(登録商標)材料があるが、これに限定されない。実施形態によっては、長さ150mm×幅20mmの材料サンプルに10Nの軸負荷をかけると、このサンプが約160mmに伸び、これは10Nの軸負荷で約7%の伸長となる。それゆえ、材料は好ましくは、柔軟部分のより高弾性の材料と比較した時、かなり非弾性または非伸縮性のものである。
【0150】
パネル504はヘッドギアアセンブリ500の周辺部分より低弾性の材料で形成されるため、パネル504はヘッドギアアセンブリ500の少なくとも一部における伸長に抵抗する。そうでなれば弾性を有するヘッドギアアセンブリの少なくとも一部の伸長に抵抗することによって、パネルはヘッドギア500を所望の形状に保つのに役立ち、ヘッドギア500を使用者の後頭部に対して所望の位置に維持するのに役立つ。
【0151】
試験の結果、パネル504を使用しないと、ヘッドギアアセンブリ500の後部の伸長によって、ヘッドギアアセンブリが、下側ストラップにかかる負荷が増大すると使用者の首に向かって下側に延び、移動する可能性があることがわかった。
図57Aと57Bは、バックストラップ部分544が完全に弾性材料で構成されている、柔軟なヘッドギア540の下側アーム514に加えられる力が増大した場合の影響を示している。
図57Aと57Bに示される構成は、パネル504を特徴としていない。
【0152】
前述のように、バックストラップ部分544は、使用者の外後頭隆起に、またはそれより下および首筋より上に位置決めされたときに、所望の位置に位置付けられる。
図57Aにおいて、バックストラップ部分544はより好ましい位置にあることが示されている。移動を見えやすくするために、試験モデル542に位置マーカ546が付いている。下側アーム514に加えられる力が増大すると、
図57Bに示されるように、バックストラップ部分544はその弾性によって伸長し、変形でき、これによってバックストラップ部分544が使用者の首に沿って下方に移動する。位置マーカ546を参照すると移動がわかる。下方に移動すると、バックストラップ部分544から、より大きな力が頭ではなく首にかかり、これはより望ましくない。柔軟なヘッドギア540は数分から数時間の期間、または呼吸療法に使用される場合は数時間から数日間の期間にわたって装着される可能性があるため、バックストラップ部分544がより低い位置になると、使用者にとって不快感が生じる可能性がある。
【0153】
下側アーム514にかかる力を増大させた時のバックストラップ部分502の伸長の程度を減らすために、低弾性パネル504をバックストラップ部分502に取り付けることができる。構成によっては、パネル504は実質的に非伸縮性インサート560で構成できる。インサート560は、たとえばオーバーロックステッチによって、超音波溶接によって、または糊その他の接着剤の使用によって、または当業者に知られているその他の方法によって、バックストラップ部分502に取り付けることができる。インサート560がバックストラップ部分502に取り付けられると、これはより大きな耐張力を提供でき、これによって、柔軟なヘッドギア500を取り付け、使用する際に、下側アーム514により大きな力を加えることができる。それゆえ、インサート560は有利には、バックストラップ部分502の変形を減少させ、それを使用者の頭と首に対して所望の位置に位置付けられたままにするのを助けることができる。
【0154】
図58A~58Dに示されるように、非伸縮性インサート560、562、564、566は様々な形状に構成でき、たとえば、ただしこれらに限定されないが、
図58A~58Dに示されるものが含まれる。好ましくは、非伸縮性インサート560、562、564、566は少なくともバックストラップ部分502と隣接するか、これを覆う。構成によっては、非伸縮性インサート562、564は下側アーム514の少なくとも一部と隣接するか、これを覆う。構成によっては、非伸縮性インサート562、564は、下側アーム514とバックストラップ部分502の間の接合部の少なくとも一部と隣接するか、これを覆う。構成によっては、非伸縮性インサート564は、中央アーム510の少なくとも一部と接触するか、これを覆う。構成によっては、非伸縮性インサート564は、中央アーム510とバックストラップ部分502の間の接合部の少なくとも一部と隣接するか、これを覆う。構成によっては、非伸縮性インサート560の高さはバックストラップ部分502の高さhの少なくとも約半分である。構成によっては、非伸縮性インサート560の高さは好ましくは、バックストラップ部分502の高さhの約半分より大きい。バックストラップ部分502の一部をより高弾性の材料で形成されたままとすることにより、バックストラップ部分502は、限定的な程度であるが、全体が低弾性材料から形成されたバックストラップ部分の場合に可能な程度より大きく伸長し、形状適合することができる。
【0155】
非伸縮性インサート560は、適当な任意の表面積を有するように構成できる。非伸縮性インサート560は、バックストラップ部分502の下側縁516の様々な長さに沿って延びるように構成できる。構成によっては、非伸縮性インサート560は、バックストラップ部分502の下側縁516の半分を超える部分に沿って延びる。好ましくは、非伸縮性インサート560は、バックストラップ部分502の下側縁516の実質的に全部に沿って延びる。その他の構成も可能である。
【0156】
ここで
図59を参照すると、ウイング型バックル602で接続可能な2つまたはそれ以上のストラップを有するヘッドギア600を含むアセンブリが示されている。本明細書に記載のその他のヘッドギアと同様に、ヘッドギア600は、適当な任意のマスクアセンブリ、たとえば、ただしこれに限定されないが、本明細書で開示されるマスク構成のいずれにも使用できる。さらに、図の構成は、ウイング型バックル602により接続されるストラップを含み、このような構成は、たとえば、ただしこれに限定されないが、本明細書で開示されるヘッドギアのいずれにも使用できる。
【0157】
図59に示される構成において、ヘッドギアアセンブリ600は少なくとも1対の上側アーム606を含む。上側アーム606の各々は終端に端608を有することができる。構成によっては、1対の上側アーム606の少なくとも一方は、固定部、たとえば他の箇所で開示された固定部のいずれかを含む。図の構成では、上側アーム606の各々が固定部を含む。好ましくは、固定部は少なくとも部分的に端608に位置付けられる。構成によっては、固定部はマジックテープ(登録商標)式固定装置のためのフックまたはループ要素で形成することができる。好ましくは、固定部は少なくともフック部を含み、これはヘッドギアアセンブリ600の他の部分の材料と係合できる。
【0158】
図59を参照すると、上側アーム606は、たとえば、ただしこれに限定されないが、ウイング型バックル602によって連結できる。
図61に示されるように、ウイング型バックル602は、少なくとも1つのスロット612、好ましくは少なくとも2つのスロット612を画定する本体610を含むことができる。少なくとも1つのスロット612はストラップ606の端608を受け入れ、その結果、ストラップ606の端608を少なくとも1つのスロット612に通してから折り返し、前述のように固定部で所定の位置に固定することができる。
【0159】
図のバックル602の本体610は、トリグライドスライドコネクタ部分614と1対のウイング616を含む。したがって、少なくとも1つのスロット612を、トリグライドスライドコネクタ部分614によって画定できる。しかしながら、構成によっては、少なくとも1つのスロット612を、ループ、角リング、Dリング、楕円リング、スリップロックバックル、ラダーロックまたはその他のうち1つまたは複数(これらの構成要素の1つまたは複数が複数ずつであってもよい)によって形成できる。
【0160】
ウイング616は有利には、ストラップ606を支持し、その結果、
図59に示されるように、ストラップ606を含むヘッドギアアセンブリ600は実質的に立体的な形を保つことができる。構成によっては、ウイングを持たないバックルでは、ヘッドギアアセンブリ、より詳しくはストラップ606がバックルの周囲で折れ曲り、パタンと倒れる可能性があるため、ヘッドギアアセンブリは実施的に立体的な形状を保つことができない。したがって、ウイング616によってヘッドギアアセンブリ600の有用性が改善されることがわかった。
【0161】
図62を参照すると、ウイング616の横方向に外側に向かう延長部618は下方に、コネクタ部614の下面620より下まで延びる。横方向の延長部618を下面620より下まで延ばすことにより、バックル602は平坦なバックルと比較して、使用者の頭頂部によりよく形状適合および/または追従する。しかしながら、構成によっては、横方向に外側に向かう延長部618は下方向に、下面620より下まで延びていなくてもよく、および/またはバックルの底部は、ウイングを含め、実質的に平らでも、丸みがついていてもよい。
【0162】
バックル602は、適当な任意の材料で形成できる。構成によっては、バックル602は2つまたはそれ以上の異なる材料を含むことができ、その結果、コネクタ部614をより高剛性の材料で形成でき、その一方で少なくともウイング616はより柔らかい材料で形成できる。より柔らかいウイング616は快適性を向上させることができ、その一方で、より高剛性のコネクタ614によって、バックル602はヘッドギアアセンブリ602が受けると予想される負荷を支持できる。
【0163】
構成によっては、2つまたはそれ以上の異なる材料の多層射出成形または共成形によってバックル602を形成できる。構成によっては、2つまたはそれ以上の異なる材料を機械的に接続でき(たとえば、スナップフィット、鍵型、またはその他)、または密着、接着、またはその他の方法で接合できる。構成によっては、少なくともウイング616は、たとえば、ただしこれらに限定されないが、熱可塑性エラストマまたは耐衝性ポリエチレンで形成できる。構成によっては、コネクタ部分614は、たとえば、ただしこれらに限定されないが、ナイロンまたはその他で形成できる。構成によっては、コネクタ部分とウイングは、同じ母材を有する材料(たとえば、材料の接合を可能にする適当な化学的関係を有する材料)から形成できる。
【0164】
引き続き
図62を参照すると、ウイング616は好ましくは、コネクタ部分614に近接する領域から横方向への延長部618に向かって概して厚さの点でテーパがつけられている。適当な任意のテーパ形状を使用できるが、厚さの減少が、ウイング616の湾曲が患者の身体的形状によりよく形状適合できるようにしやすくする。換言すれば、ウイング616の厚さがコネクタ部分614に隣接する部分から横方向に外側に向かう位置において減少することによって曲げ強度が弱くなり、これは使用者身体的形状に適合するのに役立つ。
【0165】
再び
図61を参照すると、ウイング616は内側に向かってテーパのついた側壁622を有する。内側に向かってテーパのついた側壁622は、図の構成において、丸みのある角626を有する端壁624に結合される。丸みのある角626は使用者の快適性を改善し、その一方でテーパのついた側壁622によってウイング616の幅が減少する。ウイング616の少なくとも端の幅が狭くなることで、ウイング616をストラップ606の折り曲げ領域内の、端608の下に捕捉しやすくなり、これは
図59と60において最もよくわかる。構成によっては、ストラップ606の折り畳まれた端608および/または隣接部分がポケットを画定し、これがウイング616のテーパのついたそれぞれの端を受ける。構成によっては、ストラップ606は前述のように領域を広くすることができる。図の構成では、バックル602のコネクタ部分614は、ストラップ606の少なくとも一部より広く、その結果、ストラップ606はコネクタ部分614に画定される開口部612通って延びることができ、その一方でウイング616にはテーパがつけられ、それによってストラップ606がウイング616の上に載り、および/またはこれを包囲できる。
【0166】
構成によっては、ウイング616はコネクタ部分604から長さL2にわたって延び、この長さはスロット612を画定するコネクタ部分604の壁の厚さL1の2倍より大きい。その他の構成もまた可能である。前述のように、ウイング616の長さL2を長くとると、ウイング型バックル602に接続した時にストラップ606の覆い被さる分(flop over)が減少する。ウイング616の長さL2は、端608のコネクタ部分の長さより短くすることができ、その結果、ウイング616の横方向への延長部618が端608のコネクタ部分によって包囲されることが可能となる。
【0167】
本発明について、特定の実施形態に対して説明したが、当業者にとって明白な他の実施形態も本発明の範囲に含まれる。それゆえ、各種の変更や改良を加えることができ、これらも本発明の主題と範囲から逸脱しない。たとえば、各種の構成要素を必要に応じて異なる配置としてもよい。さらに、本発明を実施するために、必ずしも特徴、態様、利点のすべてが必要であるとはかぎらない。したがって、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクシールを含み、前記マスクシールが上部と下部を含み、前記上部が前記下部に対して回動可能であり、前記上部が、第一の境界と第二の境界との間に位置付けられた、より低剛性の領域を含み、前記第一の境界が前記より低剛性の領域より高い剛性によって画定され、前記第二の境界が、前記より低剛性の領域より高い剛性によって画定されるマスクアセンブリであって、
前記第一の境界が前記第二の境界に向かって移動されると、前記より低剛性の領域が1つの方向に曲がり、前記第一の境界が前記第二の境界に向かって移動し続けるに従い大きさが変化する材料ロール部を画定するマスクアセンブリ。
【外国語明細書】