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特開2023-101524遠隔操作医療システムにおけるオンスクリーンメニューのためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101524
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】遠隔操作医療システムにおけるオンスクリーンメニューのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/35 20160101AFI20230713BHJP
   B25J 3/00 20060101ALI20230713BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230713BHJP
   H04N 23/63 20230101ALN20230713BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J3/00 A
H04N7/18 M
H04N23/63
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075939
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2021120676の分割
【原出願日】2017-04-25
(31)【優先権主張番号】62/362,376
(32)【優先日】2016-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ムストゥファ,タビシュ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス,ダニエル エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モーア,ポール ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ファン,フアン エル.
(72)【発明者】
【氏名】フェザー,ヘルス
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】システムが、操作者制御システムと、操作者制御システムの操作者制御デバイスによる操作のために構成される第1の遠隔操作マニピュレータとを含む、遠隔操作アセンブリを含む。第1の遠隔操作マニピュレータは、手術環境において第1の医療器具の動作を制御するように構成される。システムは、1つ又はそれよりも多くのプロセッサを含む処理ユニットも含む。処理ユニットは、手術環境の視野の画像を表示して、視野の画像中の第1の医療器具の画像に近接して画像を表示するように構成される。メニューは、第1の医療器具の機能を表す少なくとも1つのアイコンを含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作アセンブリと、
1つ以上のプロセッサを含む処理ユニットと、を含む、
遠隔操作医療システムであって、
前記遠隔操作アセンブリは、
操作者制御システムと、
前記操作者制御システムの操作者制御デバイスによる操作のために構成される第1の遠隔操作マニピュレータと、
第1の医療器具と、を含み、
前記第1の遠隔操作マニピュレータは、手術環境において前記第1の医療器具の動作を制御するように構成され、
前記処理ユニットは、
前記手術環境の視野の画像を表示し、
前記視野の前記画像内の前記第1の医療器具の画像に近接してメニューを表示する、
ように構成され、
前記メニューは、前記第1の医療器具のコンポーネントの状態を表す少なくとも1つの状態インジケータを含む、
遠隔操作医療システム。
【請求項2】
前記第1の医療器具は、シャフトを含み、前記少なくとも1つの状態インジケータは、前記シャフトの状態を表すシャフトインジケータを含む、請求項1に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項3】
前記シャフトの前記状態は、前記シャフトの方向である、請求項2に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項4】
前記第1の医療器具は、エンドエフェクタを含み、前記少なくとも1つの状態インジケータは、前記エンドエフェクタの状態を表すエンドエフェクタインジケータを含む、請求項1に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、グリップを含み、前記エンドエフェクタインジケータは、前記グリップの開いた状態または閉じた状態を表す、請求項4に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項6】
前記エンドエフェクタは、ブレードを含み、前記エンドエフェクタインジケータは、前記ブレードの状態を表す、請求項5に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項7】
第2の医療器具をさらに含み、前記少なくとも1つの状態インジケータは、前記メニューが前記第1の医療器具と関連することをユーザが決定するのを支援するように構成される、請求項1に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項8】
前記処理ユニットは、前記操作者制御デバイスが前記第1の医療器具の動作を制御するのを無効にした後に、前記メニューを表示するように構成される、請求項1に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項9】
前記処理ユニットは、前記操作者制御システムのクラッチ機構のアクティブ化に応答して、前記操作者制御デバイスを無効にするように構成される、請求項8に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項10】
前記遠隔操作アセンブリは、
前記操作者制御デバイスによる操作のために構成される第2の遠隔操作マニピュレータをさらに含み、
前記メニューは、前記第1の医療器具が前記第1の遠隔操作マニピュレータに結合されることを示す識別子をさらに含む、
請求項1に記載の遠隔操作医療システム。
【請求項11】
遠隔操作医療システムにおいてメニューを表示する方法であって、
手術環境の視野の画像を表示することであって、前記視野内の第1の医療器具が遠隔操作アセンブリにおける第1のマニピュレータに結合される、表示することと、
前記視野の前記画像内の前記第1の医療器具の画像に近接してメニューを表示することであって、前記メニューは、前記第1の医療器具のコンポーネントの状態を表す少なくとも1つの状態インジケータを含む、表示することと、を含む、
方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの状態インジケータは、前記第1の医療器具のシャフトの状態を表すシャフトインジケータを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記シャフトの前記状態は、前記シャフトの方向である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの状態インジケータは、前記第1の医療器具のエンドエフェクタの状態を表すエンドエフェクタインジケータを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記エンドエフェクタは、グリップを含み、前記エンドエフェクタインジケータは、前記グリップの開いた状態または閉じた状態を表す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記エンドエフェクタインジケータは、前記エンドエフェクタのブレードの状態を表す、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの状態インジケータは、前記メニューが前記第1の医療器具と関連することをユーザが決定するのを支援するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記メニューを表示する前に、操作者制御デバイスが前記第1の医療器具の動作を制御するのを無効にするコマンドを受信することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記操作者制御デバイスを無効にする前記コマンドを受信することは、前記操作者制御システムのクラッチ機構のアクティブ化によって引き起こされる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の医療器具が前記第1の遠隔操作マニピュレータに結合されることを示す識別子を前記メニュー内に表示することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
医療器具を操作するための第1の遠隔操作マニピュレータと、
前記第1の遠隔操作マニピュレータを制御するために複数の自由度において移動可能な操作者制御システムと、
1つ以上のプロセッサを含む処理ユニットと、を含む、
遠隔操作医療システムであって、
前記1つ以上のプロセッサは、当該遠隔操作医療システムの機能を調整するためのメニューを表示し、前記操作者制御システムの2つ以上の自由度を使用して前記メニューのナビゲーションを可能にする、
遠隔操作医療システム。
【請求項22】
前記2つ以上の自由度は、前記操作者制御システムのロール自由度を含む、請求項21に記載の遠隔操作医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この特許出願は、2016年7月14日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR ONSCREEN MENUS IN A TELEOPERATIONAL MEDICAL SYSTEM」という名称の米国仮特許出願第62/362,376号の優先権及び出願日の利益を主張する。
【0002】
本開示は、遠隔操作医療処置を実行するシステム及び方法に向けられており、より具体的には、外科環境において使用される遠隔操作器具のための機能メニューを表示するシステム及び方法に向けられている。
【背景技術】
【0003】
最小侵襲医療技法は、侵襲医療処置中に損傷される組織の量を減少させることにより、患者の回復時間、不快感及び有害な副作用を減少させることを意図している。そのような最小侵襲技法は、患者の解剖学的構造における自然開口部を通じて或いは1以上(1つ又はそれよりも多く)の外科的切開部を通じて実行されることがある。臨床医は、これらの自然開口部又は切開部を通じて医療器具を挿入して、標的組織場所に到達することがある。最小侵襲医療ツールは、治療器具、診断器具、及び手術器具のような器具を含む。最小侵襲医療器具は、内視鏡器具のような撮像器具(画像化器具)を含むこともある。撮像器具は、患者の解剖学的構造内の視野を使用者に提供する。幾つかの最小侵襲医療ツール及び撮像機器は遠隔操作されることがあり、或いはさもなければ、コンピュータ支援されることがある。遠隔操作医療システムが、追加的な構成及び対話モダリティを伴ってより複雑になると、追加的な物理的制御デバイスを操作者制御ステーションに追加することは、実現可能性がより少なくなる。遠隔操作システムの能力を拡張するためには、操作者が見ることができ且つアクセスすることができるグラフィカルメニューが必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の実施形態は、以下に後続する請求項によって要約される。
【0005】
1つの実施形態では、システムが、操作者制御システムと、操作者制御システムの操作者制御デバイスによる動作のために構成される第1の遠隔操作マニピュレータとを含む、遠隔操作アセンブリを含む。第1の遠隔操作マニピュレータは、手術環境における第1の医療器具の動作を制御するように構成される。システムは、1つ又はそれよりも多くのプロセッサを含む処理ユニットも含む。処理ユニットは、手術環境の視野の画像を表示して、視野の画像中の第1の医療器具の画像に近接してメニューを表示するように構成される。メニューは、第1の医療器具についての機能を表す少なくとも1つのアイコンを含む。
【0006】
他の実施形態では、方法が、手術環境の視野の画像を表示することを含む。視野内の第1の医療器具が、遠隔操作アセンブリ内の第1のマニピュレータに連結される。方法は、視野の画像中の第1の医療器具の画像に近接してメニューを表示することを更に含む。メニューは、複数のアイコンを含み、各アイコンは、第1の医療器具についての機能と関連付けられる。方法は、遠隔操作される操作者制御システムの操作者制御デバイスの動きに基づいて複数のアイコンから選択されるアイコンを識別することを更に含む。
【0007】
本開示の態様は、添付の図面と共に読まれるときに、後続の詳細な記述から最良に理解される。業界の標準的な慣例に従って様々な構成は縮尺通りに描かれていないことが強調される。実際には、様々な構成の寸法は議論の明瞭性のために任意に増大され或いは減少されることがある。加えて、本開示は様々な例において参照番号及び/又は文字を繰り返すことがある。この繰返しは簡潔性及び明瞭性の目的のためであり、それ自体は議論する様々な実施形態及び/又は構成間の関係を規定するものでない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本開示のある実施形態に従った遠隔操作医療システムの概略図である。
【0009】
図1B】本明細書に記載する原理の一例に従った患者側カートの斜視図である。
【0010】
図1C】多くの実施形態に従った遠隔操作医療システムのための外科医制御コンソールの斜視図である。
【0011】
図2】外科医制御コンソールの入力制御デバイスを例示している。
【0012】
図3】視野内の医療器具に近接するグラフィカルメニューを備える手術環境の視野図を例示している。
【0013】
図4】最小化されたグラフィカルメニューを例示している。
【0014】
図5】医療器具のための構成にアクセスする方法を例示している。
【0015】
図6】開放されたグラフィカルメニューを例示している。
【0016】
図7】他のグラフィカルメニューを例示している。
【0017】
図8A】この開示の実施形態に従ったグリップアイコンを例示している。
図8B】この開示の実施形態に従ったグリップアイコンを例示している。
図8C】この開示の実施形態に従ったグリップアイコンを例示している。
【0018】
図9A】ある機能のアクティブ状態と関連付けられたアイコンを例示している。
【0019】
図9B】ある機能の選択的な状態と関連付けられたアイコンを例示している。
【0020】
図9C】ある機能の有効化された状態と関連付けられたアイコンを例示している。
【0021】
図9D】ある利用不能な機能と関連付けられたアイコンを例示している。
【0022】
図10】この開示の他の実施形態に従ったグラフィカルユーザインターフェースを例示している。
【0023】
図11】この開示の他の実施形態に従ったグラフィカルメニューを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、次に、図面に例示する実施形態を参照し、特定の言語を用いて実施形態を記載する。それにも拘わらず、本開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されるであろう。本発明の態様の以下の詳細な記述では、開示する実施形態の完全な理解をもたらすために、数多くの具体的な詳細を示す。しかしながら、この開示の実施形態がこれらの具体的な詳細を伴わずに実施される場合があることが当業者に明らかであろう。他の場合には、本発明の実施形態の態様を不必要に不明瞭にしないよう、周知の方法、手順、コンポーネント(構成要素)、及び回路は詳細に記載されていない。
【0025】
記載するデバイス、器具、方法に対する更なる修正、及び本開示の原理の任意の更なる適用は、本開示が関連する当業者に通常起こるように完全に想定される。具体的には、1つの実施形態に関して記載する構成、コンポーネント、及び/又はステップは、本開示の他の実施形態に関して記載する構成、コンポーネント及び/又はステップと組み合わせられてよいことが完全に想定される。加えて、本明細書で提供される寸法は、具体的な例のためであり、本開示の着想を実施するために、異なるサイズ、寸法、及び/又は比率が利用されてよいことが想定される。不必要な記述の繰返しを避けるために、1つの例示的な実施形態に従って記載する1以上のコンポーネント又は行為(動作)は、他の例示的な実施形態から適用可能であるものとして使用されることができ、或いは省略されることができる。簡潔性のために、これらの組み合わせの数多くの反復は、別々に記載されていない。簡略化のために、幾つかの場合には、同じ又は類似の部分を指すために、図面を通じて同じ参照番号が使用される。
【0026】
以下の実施形態は、三次元空間内のそれらの状態に関して、様々な器具及び器具の部分を記載する。本明細書において使用するとき、「位置(position)」という用語は、三次元空間(例えば、デカルトX,Y,Z座標に沿う3つの並進自由度)における物体又は物体の部分の場所を指す。本明細書において使用するとき、「向き(orientation)」という用語は、物体又は物体の部分の回転配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。本明細書において使用するとき、「姿勢(pose)」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の部分の位置及び少なくとも1つの回転自由度における物体又は物体の部分の向き(最大6つの自由度)を指す。本明細書において使用するとき、「形状(shape)」という用語は、物体に沿って測定された姿勢、位置、又は向きのセットを指す。
【0027】
図面の図1Aを参照すると、例えば、診断、治療、又は外科処置を含む医療処置における使用のための遠隔操作医療システムが、参照番号10によって概ね示されている。以下に記載するように、この開示の遠隔操作医療システムは、外科医の遠隔操作制御の下にある。代替の実施形態において、遠隔操作医療システムは、処置又はサブ処置を実行するようプログラムされたコンピュータの部分的な制御の下にあってよい。更に他の代替実施形態では、処置又はサブ処置を実行するようにプログラムされたコンピュータの完全制御の下で、完全自動化された医療システムを使用して、処置又はサブ処置を実行してよい。図1Aに示すように、遠隔操作医療システム10は、一般的に、患者Pを位置付ける手術台Oに又はその付近に取り付けられる遠隔操作アセンブリ12を含む。遠隔操作アセンブリ12を患者側カートと呼ぶことがある。(「医療器具14」と呼ぶこともある)医療器具システム14及び(「内視鏡15」と呼ぶこともある)内視鏡撮像システム15が、遠隔操作アセンブリ12に動作可能に連結される。操作者入力システム16は、外科医又は他のタイプの臨床医Sが、手術部位の画像又は手術部位を表す画像を見て、医療器具システム14及び/又は内視鏡撮像システム15の動作を制御することを可能にする。
【0028】
操作者入力システム16は、通常は手術台Oと同じ部屋内に配置される、外科医コンソール又は他の制御コンソールに配置されてよい。しかしながら、外科医Sを患者Pと異なる部屋又は完全に異なる建物に配置し得ることが理解されるべきである。操作者入力システム16は、一般的に、医療器具システム14を制御するための1以上(1つ又はそれよりも多く)の制御デバイスを含む。(複数の)制御デバイスは、ハンドグリップ、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、フットペダル、手動操作コントローラ、音声認識デバイス、タッチスクリーン、身体動作又は存在センサ、及び同等物のような、任意の数の様々な入力装置を含んでよい。幾つかの実施形態において、(複数の)制御デバイスは、テレプレゼンス、即ち、外科医が恰も手術部位に存在するかのように器具を直接制御している強い感覚を有するような、(複数の)制御デバイスが器具と一体であるという知覚を、外科医に提供するよう、遠隔操作アセンブリの医療器具と同じ自由度を備える。他の実施形態において、(複数の)制御デバイスは、関連する医療器具よりも多い又は少ない自由度を有して、依然として外科医にテレプレゼンスを提供してよい。幾つかの実施形態において、(複数の)制御デバイスは、6自由度で動く手動入力デバイスであり、手動入力デバイスは、器具を作動させる(例えば、把持ジョーのエンドエフェクタを閉塞するための、電極に電位を印加するための、医療処置を送達するための、及び同等のことのための)作動可能なハンドルを含んでもよい
【0029】
遠隔操作アセンブリ12は、外科医Sが操作者入力システム16を通じて手術部位を見る間に、医療器具システム14を支持し且つ操作する。立体視内視鏡のような内視鏡撮像システム15によって手術部位の画像を得ることができ、内視鏡撮像システム15を操作して内視鏡撮像システム15を方向付けることができる。(カートとして構成されるか或いはカートの部分として使用可能に構成されるときには「電子機器カート18」とも呼ぶ)電子機器システム18を使用して、操作者入力システム16を含む外科医コンソールを通じた外科医Sへの後続の表示のために、手術部位の画像を処理することができる。一度に使用される医療器具システム14の数は、一般的に、診断又は外科処置及び数ある要因の中でも手術室内の空間制約に依存する。遠隔操作アセンブリ12は、1以上の非サーボ制御リンク(例えば、一般的にセットアップ構造と呼ぶ、手動で位置決めされて所定の場所にロックされることがある1以上のリンク)の運動学的構造と、遠隔操作マニピュレータとを含んでよい。遠隔操作アセンブリ12は、医療器具システム14上の入力部を駆動させる複数のモータを含む。これらのモータは、制御システム(例えば、制御システム20)からの命令に応答して動く。モータは、医療器具システム14に連結されるときに、医療器具を自然に又は外科的に創られた解剖学的開口部内に前進させることがある、駆動システムを含む。他の電動駆動システムは、3つの程度の線形運動(例えば、X,Y,Zデカルト軸に沿った線形運動)及び3つの程度の回転運動(例えば、X,Y,Zデカルト軸についての回転)を含んでよい、多数の自由度において、医療器具の遠位端を移動させてよい。加えて、生検デバイス又は類似物のジョー内で組織を把持するために、器具の関節作動可能なエンドエフェクタを作動させるよう、モータを使用することができる。器具14は、メス、鈍らなブレード、光ファイバ、又は電極のような、単一の作動部材を有する、エンドエフェクタを含んでよい。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、グラスパ、ハサミ、又はクリップアプライアを含んでよい。
【0030】
遠隔操作医療システム10は、制御システム20も含む。制御システム20は、医療器具システム14と、操作者入力システム16と、電子機器システム18との間の制御をもたらすために、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)、典型的には、複数のプロセッサとを含む。制御システム20は、本明細書に開示する態様に従って記載する方法の一部又は全部を実装するプログラム指令(例えば、指令を格納するコンピュータ可読媒体)も含む。制御システム20は、図1Aの簡略化された概略図において単一のブロックとして示されているが、システムは、2以上(2つ又はそれよりも多く)のデータ処理回路を含んでよく、処理の一部は、任意的に、遠隔操作アセンブリ12で又は遠隔操作アセンブリ12に隣接して実行され、処理の他の部分は、操作者入力システム16で実行されるなどである。多種多様な集中型又は分散型のデータ処理アーキテクチャのうちのいずれかが利用されてよい。同様に、プログラムされる指令は多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実装されてよく、或いはそれらは本明細書に記載する遠隔操作システムの多数の他の態様に統合されてよい。1つの実施形態において、制御システム20は、ブルートゥース(登録商標)、IrDA、ホームRF、IEEE802.11、DECT、及びワイヤレステレメトリ(Wireless Telemetry)のような無線通信プロトコルをサポートする。
【0031】
幾つかの実施形態において、制御システム20は、医療器具システム14から力及び/又はトルクフィードバックを受信する1以上のサーボコントローラを含んでよい。フィードバックに応答して、サーボコントローラは、操作者入力システム16に信号を送信する。(複数の)サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ12を指示する信号を送信して、体にある開口を介して患者の体内の内部手術部位に延びる(複数の)医療器具システム14及び/又は内視鏡撮像システム15を移動させてもよい。任意の適切な従来的な又は特殊なサーボコントローラが使用されてよい。サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ12と別個であってよく、或いは遠隔操作アセンブリ12と一体であってよい。幾つかの実施形態において、サーボコントローラ及び遠隔操作アセンブリは、患者の体に隣接して位置付けられる遠隔操作アームカートの部分として提供される。
【0032】
電子機器システム18は、内視鏡撮像システム15と連結されることができ、外科医コンソールにある外科医への或いはローカルに及び/又は遠隔に配置される他の適切なディスプレイ上のような後続の表示のために、取り込まれる画像を処理するプロセッサを含むことができる。例えば、立体視内視鏡が使用される場合、電子機器システム18は、取込んだ画像を処理して、外科医に手術部位の調整された立体画像を提示することができる。そのような調整は、対向する画像間の整列(位置合わせ)を含むことができ、立体視内視鏡の立体作動距離を調節することを含むことができる。他の例として、画像処理は、予め決定されたカメラ較正パラメータを使用して、光学収差のような画像キャプチャデバイスの撮像誤差を補償することを含むことができる。電子機器システム18は、ディスプレイモニタや、制御システム20のコンポーネントも含んでよい。
【0033】
遠隔操作医療システム10は、照明システム、操縦制御システム、洗浄システム、及び/又は吸引システムのような、任意的な操作及び支持システム(図示せず)を更に含んでよい。代替的な実施形態において、遠隔操作システムは、1つよりも多くの遠隔操作アセンブリ及び/又は1つよりも多くの操作者入力システムを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、他の要因の中でも、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。操作者入力システムは並置されてよく、或いはそれらは別個の場所に配置されてよい。多数の操作者入力システムは、1人よりも多くの操作者が1つよりも多くのマニピュレータアセンブリを様々な組み合わせにおいて制御することを可能にする。
【0034】
図1Bは、医療処置中に患者付近に配置されるように設計されるときに患者側カート12と呼ぶことがある、遠隔操作アセンブリ12の1つの実施形態の斜視図である。図示の遠隔操作アセンブリ12は、3つの手術器具26a,26b,26c(例えば、器具システム14)及び手術部位の画像の取込みのために使用される立体視内視鏡のような撮像器具28(例えば、内視鏡撮像15)の操作をもたらす。撮像デバイス28を「撮像デバイス28」と呼ぶこともあり、ケーブル56を通じて制御システム20に信号を送信することがある。操作は、多数のジョイント(関節)を有する遠隔操作機構によって提供される。切開部の大きさを最小に抑えるために、運動学的な遠隔中心が切開部に維持されるよう、撮像デバイス28及び手術器具26a~26cを、患者の切開部を通じて位置付けて、操作することができる。手術部位の画像は、手術ツール26a~26cが撮像デバイス28の視界内に位置付けられるときの手術ツール26a~26cの遠位端の画像を含むことができる。
【0035】
患者側カート22は、駆動可能なベース58(基部)を含む。駆動可能なベース58は、伸縮式のコラム57に接続されており、伸縮式のコラム57は、アーム54の高さの調節を可能にする。アーム54は、回転し且つ上下に動く回転ジョイント55を含んでよい。アーム54の各々は、配向プラットフォーム53に接続されてよい。配向プラットフォーム53は、360度の回転が可能であってよい。患者側カート22は、配向プラットフォーム53を水平方向に動かすための伸縮式の水平カンチレバー52を含んでもよい。
【0036】
本例において、アーム54の各々は、マニピュレータアーム51に繋がっている。マニピュレータアーム51は、医療器具26に直接的に繋がってよい。マニピュレータアーム51は、遠隔操作可能であってよい。幾つかの例において、配向プラットフォームに繋がるアーム54は、遠隔操作可能でない。むしろ、そのようなアーム54は、外科医Sが遠隔操作コンポーネントで手術を開始する前に所望に位置付けられる。
【0037】
内視鏡撮像システム(例えば、撮像デバイス15又は28を含むシステム)は、剛性の又はフレキシブルな内視鏡を含む様々な構成で提供されてよい。剛性の内視鏡は、内視鏡の遠位端から近位端に画像を送るリレーレンズシステムを収容する剛性のチューブを含む。フレキシブルな内視鏡は、1以上のフレキシブルな光ファイバを使用して画像を送る。デジタル画像ベースの内視鏡は、1以上の電荷結合素子(CCD)又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)デバイスのような遠位デジタルセンサが画像データを格納する「先端上のチップ(chip on tip)」設計を有する。内視鏡撮像システムは、二次元又は三次元画像を観察者(見る者)に提供することがある。二次元画像は、限定的な奥行き知覚を提供することがある。三次元立体内視鏡画像は、より正確な奥行き知覚を観察者に提供することがある。立体内視鏡器具は、立体カメラを使用して、患者の解剖学的構造の立体画像を取り込む。内視鏡器具は、内視鏡ケーブル、ハンドル及びシャフトが全て堅固に連結されて密封された、完全に滅菌可能なアセンブリであってよい。
【0038】
図1Cは、操作者入力システム16を含む外科医コンソールの斜視図である。操作者入力システム16を含む外科医コンソールは、奥行き知覚を可能にする手術環境の協調させられた立体像(coordinated stereo view)を外科医Sに提示する左眼用ディスプレイ32及び右眼用ディスプレイ34を含む。操作者入力システム16を含む外科医コンソールは、1以上の入力制御デバイス36を更に含み、次に、1以上の入力制御デバイス36は、遠隔操作アセンブリ12に1以上の器具又は内視鏡撮像システムを操作させる。入力制御デバイス36は、それらの関連する器具14と同じ自由度を提供して、テレプレゼンス、又は外科医が器具14を直接制御している強い感覚を有するような、入力制御デバイス36が器具14と一体であるという知覚を、外科医に提供する。この目的を達成するために、位置、力、及び触覚フィードバックセンサ(図示せず)を利用して、入力制御デバイス36を通じて器具14からの位置、力及び触感を外科医の手に戻してよい。入力制御デバイス37は、使用者の足から入力を受けるフットペダルである。
【0039】
図2を参照すると、各入力制御デバイス36は、3つの軸、即ち、軸A1、軸A2、及び軸A3についての作動可能なハンドル70の回転を可能にする、4つの自由度のジンバル又はリスト(手首部)を含む。ハンドル70は、ハンドルの連続的な回転を可能にする第1の回転可能なジョイント74によって第1の肘形状のリンク72に連結される。第1のリンク72は、プラットフォーム76に連結される。各制御デバイス36は、一般的に、複数の自由度、典型的には、6つの自由度、即ち、3つの回転自由度及び3つの並進自由度で、作業空間制御作業空間内のハンドル70の動きを可能にする。これは作動可能なハンドル70がその動作範囲内で任意の位置及び任意の向きに動かされることを可能にする。作動可能なハンドル70は、操作者がハンドルの動きによって位置決めされる器具26又は28を作動させることを可能にするようグリップアクチュエータ78及び/又はスイッチ80を含む。指ループ82がハンドル70に取り付けられて、操作者の指がハンドル上で滑ることを防止する。
【0040】
操作者入力システム16を含む外科医コンソールは、両眼がディスプレイを見ていて、両手が制御デバイス36と係合したままの状態で、外科医の頭が操作者入力システム16を含むコンソール内に留まる間に、外科医が医療器具で様々な機能を実行することを可能にする、「ヘッドイン(head-in)」グラフィカルユーザインターフェースを提供する。以下に記載するように、使用者の頭が操作者入力システム16を含むコンソール内に留まる間に実行されることがある処置の例は、器具交換手順である。遠隔操作システム及び医療器具の構成及び対話モダリティが増加すると、各々の追加的な構成のために追加的な物理的入力制御デバイス(例えば、フットペダル、スイッチ、ボタン)を追加し続けることは実行不可能になる。ユーザインターフェースにグラフィカルメニュー(graphical menus)を含めることは、追加的な物理的ユーザ入力を追加せずに、器具及びシステム能力にアクセスする豊富で拡張可能なプラットフォームを提供する。
【0041】
図3は、患者P内の手術環境100を例示している。手術環境100内の撮像器具の視野の画像102を表示するために、撮像器具(例えば、撮像器具28)が使用される。画像102は、立体視内視鏡によって取得され、右眼用及び左眼用のディスプレイを通じて使用者に見える画像の合成画像として生成される、三次元画像である。視野は、器具26aの遠位端部分、器具26bの遠位端部分、及び器具26cの遠位端部分の画像を含む。画像102は、臨床医への指示、警告、器具識別情報、状態情報、又は外科処置に関する他の情報を含むことがある、画像の周辺に配置される情報フィールド104も含む。
【0042】
図3に示すような1つの実施形態において、視野内の器具26bの構成及び能力にアクセスすることは、画像102の上に重ね合わされるグラフィカルメニュー110によって可能にされる。グラフィカルメニュー110は、医療器具26bの遠位端の画像に近接して表示されるので、外科医は、同じ場所に配置されるグラフィカルメニュー110が医療器具26bに関係することを容易に告げることができる。この実施形態において、グラフィカルメニュー110は、器具が連結される遠隔操作アーム(例えば、アーム「3」)の数値識別子のような、医療器具26bに関連付けられる関連情報を含む。「Systems and Methods for Onscreen Identification of Instruments in a Teleoperational Medical System」が、2015年3月17日に出願された米国仮出願第62/134,297号に提供されており、その全体を本明細書中に参照として援用する。
【0043】
幾つかの実施形態では、グラフィカルメニュー110の配置のための初期設定場所が、器具26bの遠位端の一部の上に重ね合わせられる。他の実施形態において、グラフィカルメニュー110は、遠位端部分に隣接して表示される。メニューについての初期設定場所は、視野内の医療器具26bの遠位端部分のサイズに依存することがある。例えば、画像が接近してズームインされ、エンドエフェクタが画像の大部分を占めるならば、メニューは、ジョーの遠位端で視野を妨げることなく、エンドエフェクタジョーのうちの1つのエンドエフェクタジョーの近位部分に配置されることがある。しかしながら、画像がズームアウトされ、エンドエフェクタジョーが画像中で比較的小さいならば、メニューは、ジョーを不明瞭にするのを避けるために、ジョイント領域又はシャフト上に配置されてよい。メニュー110の配置は、臨床医が手術環境に集中したまま器具の構成にアクセスすることを可能にする。
【0044】
グラフィカルメニュー110は、器具26bと関連付けられる機能がセレクタアイコン114(selector icon)の周囲について径方向に(放射状に)配置された小さな最小化された機能アイコン112a,112bとして提示される、最小化された構成を有する。セレクタアイコン114は、ポインタ116と、本体118とを含む。この実施形態において、遠隔操作アームの数値識別子は、本体118の中央領域内に配置される。器具26bと関連付けられる制御デバイス36の動きに応答して、セレクタアイコン114は、本体118の中心について枢動してポインタ116をダイアル状に動かすよう、アニメ化される(animated)。
【0045】
図4に示すように、グラフィカルメニュー110は、任意的に、器具26bのエンドエフェクタの状態を示すグリップインジケータ120と、器具26bのシャフトの方向を示すシャフトインジケータ122とを含んでよい。器具26bが2グリップエンドエフェクタを有するならば、グリップは、開いたグリップインジケータ170(図8A)又は閉じたグリップインジケータ172(図8B)として示されてよい。器具26bが単一ブレードエンドエフェクタを有するならば、ブレードは、単一の指部174として示されてよい(図8C)。インジケータ120,122は、グラフィカルメニューがどの器具に関連付けられているかを理解するのを助けることによって観察する外科医を支援する。例えば、メニューと器具との間の関連性に曖昧さがある場合、外科医はインジケータ120,122を見て、付近の器具遠位端の構成を観察してよい。次に、外科医は、付近の器具を、インジケータ120,122と一致するエンドエフェクタ及びシャフト構成と関連付けることができる。
【0046】
図5は、グラフィカルメニュー110を介して医療器具26b又は連結された遠隔操作アーム3の機能にアクセスする方法150を例示している。プロセス152で、遠隔操作システムが、器具26bを含む器具の動きが関連付けられる制御デバイス36における使用者の手の動きに追従する、手術器具制御又は「追従(following)」動作モードにある間に、視野画像102が表示される。プロセス154で、外科医は、遠隔操作システムを、関連付けられる制御デバイス36における使用者の手の動きが器具26b及びアーム3の動きから切り離されるメニューモードに入らせる。1つの実施形態において、メニューモードは、外科医が操作者入力システム16を含むコンソールのクラッチペダル(例えば、入力制御デバイス37を含むペダル)を踏むときに入力されてよい。クラッチペダルを押し下げた後、制御デバイス36による医療器具26bの制御は中断される。制御デバイス36は、医療器具26bの対応する動きを伴わずに自由に動いてよい。メニューモードにおいて、制御デバイス36のグリップアクチュエータ78の動きは、器具26bのエンドエフェクタの動きから切り離される。メニューモードに入ると、最小化されたグラフィカルメニュー110が現れる。
【0047】
インジケータ120,122と関連付けられる機能の各々についてのより大きな情報を提供するために、図6に示すように、拡張グラフィカルメニュー130(expanded graphical menu)が表示されてよい。拡張グラフィカルメニュー130は、セレクタアイコン114を含み、最小化された機能アイコン112a,112を拡張機能アイコン132a,132bと置換する。この実施形態において、拡張機能アイコンの各々は、機能アイコンと関連付けられる機能を記述する、絵文字134(pictogram)及び機能ラベル136(function label)を含む。例えば、拡張機能アイコン132aは、拡張メニュー130を最小化されたグラフィカルメニュー110のフォーマットに戻す「終了(EXIT)」機能と関連付けられる。拡張機能アイコン132bは、医療器具26bについての器具排出シーケンスを開始する「排出(EJECT)」機能と関連付けられる。拡張グラフィカルメニュー130は、制御デバイス36のハンドル70が軸A1について回転させられるときに表示される。任意的に、ハンドル70が回転させられると、「クリック(click)」感覚をもたらす触覚力が制御デバイス36を通じて外科医に提供されて、グラフィカルメニュー130の起動の確認を提供する。
【0048】
拡張グラフィカルメニュー130を開くために或いはセレクタアイコン114を動かすために使用される(軸A1についての)ハンドル70の回転運動は、システムが手術器具制御モードのような他の手術モードにあるときに器具を操作するために使用されない自由度(即ち、ロール自由度)である。よって、外科医は、制御デバイスの軸についてのロール自由度が切り離されて、器具操作ではなくメニュー選択に使用されることを認識することがある。ロール軸の向きは、メニューモードにおいて(或いは一般的にはクラッチペダルが作動される(engaged)ときに)変化せず、器具エンドエフェクタの最後の向きと整列して維持される。他の実施形態において、セレクタアイコンを制御するために使用される同じ自由度が、手術器具制御モードにおいてツール動作を制御するために使用されてよい。
【0049】
図5に戻ると、プロセス156で、機能アイコン132a,132bのうちの1つがメニュー130から識別されてよい。より具体的には、拡張グラフィカルメニュー130が最初に開かれるときに、ポインタ116は、アイコン132aに向かって、上向きのような中立位置に位置付けられる。ポインタのこの中立位置は、制御デバイスの中立位置に対応する。制御デバイスの中立位置は、器具制御モードにおける制御デバイスの最新の位置であってよい。他の実施形態において、ポインタは、中立位置において他の径方向に向けられる。図6の実施形態において、ハンドル70が軸A1について時計回りに回転させられると、ポインタ116は、中立位置から次の機能アイコン132bに向かって時計回りに回転する。ポインタ116を次の機能アイコンに移動させるために、ハンドル70は、例えば、180°より少なく回転させられてよく、或いは90°より少なく回転させられてさえよい。この例において、ハンドル70は、約40°回転させらせる。制御デバイス36を通じて触覚力、例えば、「クリック」感覚を外科医に提供して、ポインタ116が径方向の一連のアイコン内の次の機能アイコン132bに向けられているという確認を提供してよい。
【0050】
ハンドル70の時計回りの回転及び対応する触覚力が適用後、ハンドル70は、中立位置に戻る或いは「スナップバックする(snaps back)」が、ポインタ116は、機能アイコン132bに向けられたままである。中立位置への復帰は、外科医の手の姿勢の最小限のずれ(deviation)を可能にして、より良い人間工学をもたらす(例えば、外科医の手首は過度に回転することは必要とされない)。ハンドル70のこの再中心化(recentering)は、器具制御モードへの再入(reentry)をより迅速に進めることを可能にする。2つの機能アイコンのみが示されているが、他の実施形態において、機能アイコンは、セレクタアイコンの円全体の周りに配置されてよい。ハンドル70の各回転後、ポインタは径方向の連続における次のアイコンに進むが、制御デバイス36は、中立位置に戻ってよい。ハンドル70を軸A1について反時計回りに動かして、ポインタ116が反時計回りに動くようにさせてもよい。
【0051】
選択のために利用可能な機能は、アイコンのグラフィック特徴によって識別されてよい。例えば、無効にされた機能は、色(例えば、白い絵文字及び文字)によって、ボックス188(図9D)のようなグラフィック構成によって、或いは絵文字及び/又は文字の上に置かれる「X」によって示されてよい。有効にされた機能は、色によって及び/又は所定の大きさの隅ブラケット186(図9C)によって示されてよい。
【0052】
ポインタ116が機能アイコン132bに向けられると、その機能アイコンは「選択された」とみなされる。選択された機能は、機能アイコン132bの外観の変化によって示されてよい。例えば、隅ブラケット184は、有効にされた状態の隅ブラケット186と比較して狭い幅を有してよい(図9B)。
【0053】
アイコン132bと関連付けられる機能をアクティブ化させるために、外科医は、操作者入力システム16を含む制御コンソールにあるグリップアクチュエータ78又は他のボタン若しくはスイッチを押し下げる。この実施形態において、アイコン132bは、排出機能と関連付けられ、グリップアクチュエータを押し下げることは、器具排出シーケンスを開始させる。選択された機能がアクティブ化されると、機能アイコン132の外観を変更して、機能が選択されたことを示してよい。例えば、二重隅ブラケット182は、排出機能がアクティブ化されたことを観察者に示すように見えてよい(図9A)。
【0054】
器具排出シーケンスは、短いホールドオフ期間(hold-off period)で開始してよい。この期間は、セレクタアイコンの色の漸進的な変化又はセレクタアイコンの縁の周りのリングの増分的な成長のようなグラフィカルメニューの変化によって特徴付けられてよい。次に、器具が2本指グリップエンドエフェクタを有するならば、グリップを開いて組織を解放し、器具のリストを真っ直ぐになって器具シャフトと整列する。シャフトは僅かに後退してよい。排出機能のこれらの段階の間に、セレクタアイコン114上の進行インジケータ138が、排出機能の現在の段階を示す。例えば、進行インジケータ138は、時計回り方向に進みながら色が増分的に変化するグラフィックリングであってよい。グラフィックリングが完全な円を創り出す前に、例えば、制御デバイスのグリップを開くか或いはクラッチペダルを離すことによって、排出機能は取り消されてよい。進行インジケータ138が、器具が真っ直ぐになったことを示した後に、器具はカニューレの挿入軸に沿ってアクセスカニューレ内に引っ込められてよい。エンドエフェクタをカニューレ内に至らせる収縮プロセス中に、排出機能は中断されなくてよい。
【0055】
図6のメニューは、対応する制御デバイス内の外科医の右手によって制御されることがある。左手で制御される楽器について、アイコンは反対の構成に配置されてよい(即ち、排出アイコンは終了アイコンの左にあってよい)。様々な実施形態において、セレクタアイコン114の動きは、右手制御デバイスに連結されてよく、或いは、代替的に、左手制御デバイスに連結されてよい。右手が第1のメニューから選択し、左手が第2のメニューから選択するよう、異なるグラフィカルユーザインタフェースメニューが各手に関連付けられてよい。代替的に、メニューは、メニュー項目が反時計回りの回転によって選択されるよう構成されてよい。他の実施形態において、制御デバイスは、メニュー項目を選択するために、時計回り及び反時計回りの両方向に動いてよい。様々な代替実施形態では、2つよりも多くのグラフィカルメニューが、視野の画像内の器具の先端と同じ場所に配置されてよい。
【0056】
図7は、代替的な実施形態に従ったグラフィカルメニュー160を例示している。この実施形態では、セレクタアイコン162が、制御デバイスハンドル70の時計回りの回転に応答して線形経路163に沿って下向きに動き、制御デバイスハンドルの反時計回りの回転に応答して上向きに動く。機能アイコン164は、線形経路163に沿って線形に整列させられる。アイコンが線形に整列させられるこの実施形態の選択及びアクティブ化プロセスは、アイコンが径方向に配置されるときには、上述したものと概ね同じである。
【0057】
図10は、この開示の他の実施形態に従ったグラフィカルユーザインターフェース200を例示している。この実施形態では、グラフィカルメニュー202が、特定の器具又は器具駆動装置と関連付けられるというよりもむしろ、グローバル制御モード選択と関連付けられてよい。この実施形態において、グラフィカルメニュー202は、遠隔操作システムのコンポーネントを表す器具ナビゲータのグラフィカル画像204の上に中心化された、手術像(surgical view)内の固定位置にある。例えば、器具ナビゲータは、システムのエンドエフェクタの構成を表すことがある。メニュー202は、外科医が制御コンソール上の制御デバイス(例えば、クラッチフットペダル)を操作することによって調節制御モード(ADJUST-CONTROL mode)に入ると現れる。メニュー202は、セレクタアイコン206を含み、セレクタアイコン206は、この実施形態において、ポインタを備える部分円の形状を含み、径方向に配置された機能アイコン208,210を含む。初期位置において、セレクタアイコン206は、現在のアクティブ制御モードを示すよう、直立して向けられている。セレクタアイコン206は、上述のように、ロール軸A1について制御ハンドル70を回転することによって、枢動させられてよい。ハンドルが時計回りに約40°回転させられると、セレクタアイコン206のポインタは、カメラ制御機能を選択するよう、機能アイコン208に向かって方向付けられる。前述のように、触覚力を提供して、セレクタアイコンがアイコン208に達するときに外科医に「クリック」感覚を与えてよい。その機能は、グリップアクチュエータ78を締め付けること(squeezing)によって選択されてよい。ひとたびカメラ制御モードに入ると、セレクタアイコン206は見えなくなってよい。外科医がフットペダルを離すときに、カメラ制御モードが終了してよい。前述のように、制御デバイスのハンドル70は、セレクタアイコン206の各クリックの後に中立位置に戻ってよい。図11は、再配置制御の機能のためのアイコン214を更に含む修正グラフィカルメニュー212を例示している。この実施形態において、アイコン214はアイコン208の左側にあるので、外科医はセレクタアイコン206を反時計回りに回転させてよい。
【0058】
本発明の実施形態における1以上の要素は、制御処理システムのようなコンピュータシステムのプロセッサ上で実行するソフトウェア中に実装されてよい。ソフトウェア中に実装されるとき、本発明の実施形態の要素は、本質的に、所要のタスクを実行するコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、伝送媒体又は通信リンクを通じて搬送波中に具現されるコンピュータデータ信号によってダウンロードされてよいプロセッサ可読記憶媒体又はデバイスに格納されることができる。プロセッサ可読記憶デバイスは、光学媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を格納することができる任意の媒体を含んでよい。プロセッサ可読記憶デバイスの例は、電子回路、半導体デバイス、半導体メモリデバイス、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、フロッピー(登録商標)ディスケット、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の記憶デバイスを含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネットなどのような、コンピュータネットワークを介してダウンロードされてよい。
【0059】
提示するプロセス及びディスプレイは本質的に如何なる特定のコンピュータ又は他の装置にも関連しない場合があることに留意のこと。様々な汎用システムが本明細書中の教示に従ったプログラムと共に使用されてよく、或いは記載する動作を実行するためにより特殊化された装置を構築することが便利であることが判明することがある。様々なこれらのシステムのために必要とされる構造は、請求項中に要素として現れる。加えて、本発明の実施形態は、如何なる特定のプログラミング言語をも参照して説明されない。本明細書に記載する本発明の教示を実施するために様々なプログラミング言語が使用されてよいことが理解されるであろう。
【0060】
本発明の特定の例示的な実施形態を記載し且つ添付の図面に示しているが、そのような実施形態は広い発明の例示に過ぎず、広い発明を制限するものでないこと、並びに、本発明の実施形態は、図示し且つ記載する特定の構造及び配置に限定されないことが理解されるべきである。何故ならば、様々な他の修正が当業者に思い浮かぶことがあるからである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11
【外国語明細書】