(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101585
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 25/76 20230101AFI20230713BHJP
H04N 25/75 20230101ALI20230713BHJP
H04N 25/78 20230101ALI20230713BHJP
H04N 25/79 20230101ALI20230713BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
H04N25/76
H04N25/75
H04N25/78
H04N25/79
H01L27/146 F
H01L27/146 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023082336
(22)【出願日】2023-05-18
(62)【分割の表示】P 2020502888の分割
【原出願日】2019-02-04
(31)【優先権主張番号】P 2018034785
(32)【優先日】2018-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 三四郎
(57)【要約】
【課題】撮像装置において、素子のレイアウトの自由度を高めることが求められている。
【解決手段】撮像装置100は、第1基板101と、第1基板101と積層されていると共に、第1基板191と電気的に接続されている第2基板102と、を備え、第1基板101は、入射光を光電変換して電荷を生成する光電変換部1と、前記電荷を検出する検出回路312と、を含む画素311を有し、検出回路312は、光電変換部1と接続されている第1端子315と、第2基板102と電気的に接続されている第2端子316及び第3端子317とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板上に積層された第2基板と、
それぞれが前記第1基板と前記第2基板との間に位置する、第1接続部および第2接続部と、
を備え、
前記第1基板は、第1画素の少なくとも一部および第2画素の少なくとも一部を含み、
前記第1画素の前記少なくとも一部および前記第2画素の前記少なくとも一部のそれぞれは、入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部を含み、
前記第2基板は、
第1配線と、
前記第1配線および前記第1接続部を介して前記第1画素の前記少なくとも一部に接続され、かつ、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第2画素の前記少なくとも一部に接続される定電流源回路と、
を含む、
撮像装置。
【請求項2】
前記第1画素の前記少なくとも一部および前記第2画素の前記少なくとも一部のそれぞれは、前記信号電荷に対応する信号を前記第1配線に出力するトランジスタを含み、
前記定電流源回路は、前記第1配線および前記第1接続部を介して前記第1画素の前記トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続され、かつ、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第2画素の前記トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続される、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1基板は、前記トランジスタを含む、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
それぞれが前記第1基板と前記第2基板との間に位置する、第3接続部および第4接続部をさらに備え、
前記第2基板は、
第2配線と、
前記第2配線および前記第3接続部を介して前記第1画素の前記少なくとも一部に接続され、かつ、前記第2配線および前記第4接続部を介して前記第2画素の前記少なくとも一部に接続されるバイアス回路と、
を含む、
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
それぞれが前記第1基板と前記第2基板との間に位置する、第3接続部および第4接続部をさらに備え、
前記第2基板は、
第2配線を含み、
前記定電流源回路は、前記第2配線および前記第3接続部を介して前記第1画素の前記トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、かつ、前記第2配線および前記第4接続部を介して前記第2画素の前記トランジスタのソースおよびドレインの他方に接
続される、
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
第1基板と、
前記第1基板上に積層された第2基板と、
それぞれが前記第1基板と前記第2基板との間に位置する、第1接続部および第2接続部と、
を備え、
前記第1基板は、第1画素の少なくとも一部および第2画素の少なくとも一部を含み、
前記第1画素の前記少なくとも一部および前記第2画素の前記少なくとも一部のそれぞれは、入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部を含み、
前記第2基板は、
第1配線と、
前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第1画素の前記少なくとも一部に接続され、かつ、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第2画素の前記少なくとも一部に接続されるバイアス回路と、
を含む、
撮像装置。
【請求項7】
前記第1画素の前記少なくとも一部および前記第2画素の前記少なくとも一部のそれぞれは、前記信号電荷に対応する信号を出力するトランジスタを含み、
前記バイアス回路は、前記第1配線および前記第1接続部を介して前記第1画素の前記トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続され、かつ、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第2画素の前記トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続される、
請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1基板は、前記トランジスタを含む、
請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記第1画素および前記第2画素のそれぞれは、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記第1画素および前記第2画素は、第1方向に沿って配列され、
前記第1配線は、前記第1方向に沿って延びている、
請求項1から9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記第2配線は、メッシュ状である、
請求項4または5に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記第1配線は、メッシュ状である、
請求項6または7に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、監視カメラおよび車載カメラなど、様々な製品分野で、撮像装置が広く使用されている。撮像装置として、CCD(Charge
Coupled Device)型固体撮像装置またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型固体撮像装置が用いられる。
【0003】
例えば特許文献1には、CMOS型固体撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
撮像装置において、素子のレイアウトの自由度を高めることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の限定的ではないある例示的な実施形態によれば、以下が提供される。
第1基板と、前記第1基板上に積層された第2基板と、それぞれが前記第1基板と前記第2基板との間に位置する、第1接続部および第2接続部と、を備え、前記第1基板は、第1画素の少なくとも一部および第2画素の少なくとも一部を含み、前記第1画素の前記少なくとも一部および前記第2画素の前記少なくとも一部のそれぞれは、入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部を含み、前記第2基板は、第1配線と、前記第1配線および前記第1接続部を介して前記第1画素の前記少なくとも一部に接続され、かつ、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第2画素の前記少なくとも一部に接続される定電流源回路と、を含む、撮像装置。
【0007】
第1基板と、前記第1基板上に積層された第2基板と、それぞれが前記第1基板と前記第2基板との間に位置する、第1接続部および第2接続部と、を備え、前記第1基板は、第1画素の少なくとも一部および第2画素の少なくとも一部を含み、前記第1画素の前記少なくとも一部および前記第2画素の前記少なくとも一部のそれぞれは、入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部を含み、前記第2基板は、第1配線と、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第1画素の前記少なくとも一部に接続され、かつ、前記第1配線および前記第2接続部を介して前記第2画素の前記少なくとも一部に接続されるバイアス回路と、を含む、撮像装置。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、素子のレイアウトの自由度が高められた撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の例示的な全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る画素の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係る画素のシンプルな構成要件を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1の実施の形態に係る撮像装置の具体的な構成を示す模式図である。
【
図5A】
図5Aは、第1の実施の形態に係る撮像装置の動作の一例を示す模式図である。
【
図5B】
図5Bは、第1の実施の形態に係る撮像装置の動作の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態に係る撮像装置の動作の一例タイミングチャートである。
【
図7】
図7は、参考例における撮像装置のリセット時の回路構成を示す模式図である。
【
図8A】
図8Aは、ソース側に配線抵抗が付かない場合におけるソース接地回路の動作を示す模式図である。
【
図8B】
図8Bは、ソース側に配線抵抗が付く場合におけるソース設置回路の動作を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第1の実施の形態に係るソースデジェネレーション対策の一例を示す模式図である。
【
図10A】
図10Aは、定電流源および電圧源が第1基板に形成される場合における、画素と定電流源および電圧源との関係を示す模式図である。
【
図10B】
図10Bは、定電流源および電圧源が第2基板に形成される場合における、画素と定電流源および電圧源との関係を示す模式図である。
【
図11】
図11は、第1の実施の形態に係るソースデジェネレーション対策の他の一例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、第1の実施の形態に係るソースデジェネレーション対策の他の一例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第1の実施の形態に係る基板接続部CONを簡易的に示す模式図である。
【
図14】
図14は、第1の実施の形態に係る基板接続部CONを簡易的に示す模式図である。
【
図15】
図15は、第1の実施の形態に係る検出回路の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図16】
図16は、第1の実施の形態に係る検出回路の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図17】
図17は、第1の実施の形態に係る検出回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図18】
図18は、第1の実施の形態に係る検出回路の動作の、他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図19】
図19は、第2の実施の形態に係る画素の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図20】
図20は、第2の実施の形態に係る検出回路の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図21】
図21は、第2の実施の形態に係る検出回路の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図22】
図22は、第2の実施の形態に係る検出回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図23】
図23は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図24】
図24は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図25】
図25は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図26】
図26は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図27】
図27は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図28】
図28は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図29】
図29は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図30】
図30は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図31】
図31は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図32】
図32は、第2の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図33】
図33は、第2の実施の形態に係る検出回路の動作の、他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図34】
図34は、第3の実施の形態に係る画素の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図35A】
図35Aは、第3の実施の形態に係る検出回路の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図35B】
図35Bは、第3の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図36】
図36は、第3の実施の形態に係る検出回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図37A】
図37Aは、第3の実施の形態に係る検出回路の、さらに他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図37B】
図37Bは、第3の実施の形態に係る検出回路の、さらに他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図38A】
図38Aは、第3の実施の形態に係る検出回路の、さらに他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図38B】
図38Bは、第3の実施の形態に係る検出回路の、さらに他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図39】
図39は、第4の実施の形態に係る画素の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図40】
図40は、第4の実施の形態に係る検出回路の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図41】
図41は、第4の実施の形態に係る検出回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図42】
図42は、第4の実施の形態に係る検出回路の動作の、他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図43】
図43は、第4の実施の形態に係る検出回路の、他の例示的な回露光尾性を示す模式図である。
【
図44】
図44は、第5の実施の形態に係る画素の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図45】
図45は、第5の実施の形態に係る画素の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図46】
図46は、第5の実施の形態に係る検出回路の、例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図47】
図47は、第5の実施の形態に係る検出回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図48】
図48は、第5の実施の形態に係る検出回路の動作の、他の一例を示すタイミングチャートである。
【
図49】
図49は、第5の実施の形態に係る検出回路の、更に他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図50】
図50は、第5の実施の形態に係る検出回路の、更に他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図51】
図51は、第6の実施の形態に係る画素の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図52】
図52は、第6の実施の形態に係る画素の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図53】
図53は、第6の実施の形態に係る画素の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図54】
図54は、第6の実施の形態に係る画素の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【
図55】
図55は、第6の実施の形態に係る撮像装置の例示的な断面を示す模式図である。
【
図56】
図56は、第6の実施の形態に係る撮像装置の例示的な断面を示す模式図である。
【
図57】
図57は、第7の実施の形態に係る積層体を例示的に示す模式図である。
【
図58】
図58は、第7の実施の形態に係る積層体を例示的に示す模式図である。
【
図59】
図59は、第8の実施の形態に係るカメラシステムの例示的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様の概要は以下のとおりである。
【0011】
[項目1]
第1基板と、
前記第1基板上に積層された第2基板と
を備え、
前記第1基板は、
入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、
ゲートが前記光電変換部に接続され、前記信号電荷に対応する信号を出力する第1トランジスタと、
ソースおよびドレインの一方が前記光電変換部に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記第1トランジスタのソースまたはドレインに接続される第2トランジスタと
を含み、
前記第2基板は、
前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続される定電流源回路と、
前記第1トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、第1電圧および前記第1電圧とは異なる第2電圧を生成するバイアス回路と
を含む、撮像装置。
【0012】
[項目2]
前記第1基板は、前記光電変換部と前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前
記一方との間に接続される第1容量素子を含み、
前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方は、前記第1容量素子を介して前記光電変換部に接続される、項目1に記載の撮像装置。
【0013】
[項目3]
前記第1基板は、一端が前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、他端に第3電圧が印加される第2容量素子を含む、項目1または2に記載の撮像
装置。
【0014】
[項目4]
前記第2基板は、一端が前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、他端に第3電圧が印加される第2容量素子を含む、項目1または2に記載の撮像装置。
【0015】
[項目5]
前記第1基板は、一端が前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、他端に第3電圧が印加される第2容量素子をさらに備え、
前記第2基板は、一端が前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、他端に前記第3電圧が印加される第3容量素子を含む、項目1または2に記載の撮像装置。
【0016】
[項目6]
前記第1基板は、ソースおよびドレインの一方が前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記定電流源回路に接続される第3トランジスタを含む、項目1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0017】
[項目7]
前記第2基板は、ソースおよびドレインの一方が前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記定電流源回路に接続される第3トランジスタを含む、項目1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0018】
[項目8]
前記定電流源回路は、第1定電流源と、前記第1定電流源と異なる第2定電流源とを含み、
前記第1定電流源または前記第2定電流源のいずれか一方が選択的に前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続するように構成されている、項目1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0019】
[項目9]
前記第1基板は、ソースおよびドレインの一方が前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記第1定電流源に接続される第3トランジスタを含む、項目8に記載の撮像装置。
【0020】
[項目10]
前記第2基板は、ソースおよびドレインの一方が前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記第1定電流源に接続される第3トランジスタを含む、項目8に記載の撮像装置。
【0021】
[項目11]
前記定電流源回路は、第1定電流源と、第3電圧を生成する電圧源とを含み、
前記第1定電流源または前記電圧源のいずれか一方が選択的に前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続するように構成されている、項目1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0022】
[項目12]
前記第1基板は、ソースおよびドレインの一方が前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に接続され、ソースおよびドレインの他方が前記定電流源回路に接続される第3トランジスタを含む、項目11に記載の撮像装置。
【0023】
[項目13]
前記第1基板は、前記光電変換部と前記第1トランジスタとの間に接続される第4トランジスタを含む、項目1から12のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0024】
[項目14]
前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記他方は、前記第1トランジスタの前記一方に接続される、項目1から13のいずれか一項に記載の撮像装置。
【0025】
[項目15]
第1基板と、
前記第1基板上に積層された第2基板と
を備え、
前記第1基板は、
入射光を光電変換して信号電荷を生成する光電変換部と、
ゲートが前記電荷蓄積領域に接続され、前記信号電荷に対応する信号を出力する第1トランジスタと、
ソースおよびドレインの一方とゲートとが前記光電変換部に接続される第2トランジスタと
を含み、
前記第2基板は、
前記第1トランジスタのソースおよびドレインの一方に接続される定電流源回路と、
前記第2トランジスタのソースおよびドレインの他方に接続され、信号を生成する信号生成回路と
を含む、撮像装置。
【0026】
[項目16]
前記第1基板は、前記光電変換部と前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方との間に接続される第1容量素子を含み、
前記第2トランジスタのソースおよびドレインの前記一方とゲートとは、前記第1容量素子を介して前記光電変換部に接続される、項目15に記載の撮像装置。
【0027】
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
本開示の一態様の概要は以下に記載のとおりである。
【0029】
本開示の一態様に係る撮像装置は、第1基板と、前記第1基板と積層されていると共に、前記第1基板と電気的に接続されている第2基板と、を備え、前記第1基板は、入射光を光電変換して電荷を生成する光電変換部と、前記電荷を検出する検出回路と、を含む画素を有し、前記検出回路は、前記光電変換部と接続されている第1端子と、前記第2基板と電気的に接続されている第2端子及び第3端子とを有する。
【0030】
この構成によると、素子のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0031】
また、前記検出回路は、前記電荷に対応した信号を出力する第1トランジスタを有し、前記第1トランジスタのソース及びドレインの一方は前記第2端子を介して前記第2基板と電気的に接続されており、他方は前記第3端子を介して前記第2基板と電気的に接続されているとしてもよい。
【0032】
これにより、光電変換部で生成された信号電荷の量に対応する信号電圧を増幅することができる。
【0033】
また、前記検出回路は、前記光電変換部で生成された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、前記電荷蓄積領域にソースおよびドレインの一方が電気的に接続され、前記電荷蓄積領域をリセットする第2トランジスタと、を備え、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの一方は、前記第2トランジスタのソースおよびドレインの他方に電気的に接続されるとしてもよい。
【0034】
これにより、さらに、リセットノイズを効果的に抑制することができる。
【0035】
また、前記検出回路は、前記光電変換部で生成された前記電荷を蓄積する電荷蓄積領域と、前記電荷に対応した信号を出力する第1トランジスタと、前記電荷蓄積領域をリセットする第2トランジスタと、を備え、前記第2トランジスタのゲートは前記電荷蓄積領域に電気的に接続され、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの一方は前記第2端子を介して前記第2基板に電気的に接続され、前記第2トランジスタのソースおよびドレインの一方は前記第3端子を介して前記第2基板に電気的に接続されるとしてもよい。
【0036】
これにより、光電変換部で変換された電荷の蓄積とリセットとを行うことができる。
【0037】
また、前記画素は、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方にソースおよびドレインの一方が接続された第3トランジスタを有し、前記第3トランジスタのソースおよびドレインの他方は、前記第2端子を介して前記第2の基板に電気的に接続されるとしてもよい。
【0038】
これにより、第1トランジスタの出力を、選択的に第2基板へと出力させることができる。
【0039】
また、前記第2基板は、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記一方に電気的に接続された電流源と、前記第1トランジスタのソースおよびドレインの前記他方に電気的に接続されたバイアス回路と、を有するとしてもよい。
【0040】
これにより、画素と、電流源およびバイアス回路とを互いに異なる基板に配置することができる。
【0041】
また、前記バイアス回路は、前記信号を読み出す第1期間に、第1電圧を出力し、前記電荷蓄積領域をリセットする第2期間に、前記第1電圧とは異なる第2電圧を出力し、前記電流源は、前記第1期間に、第1電流を出力し、前記第2期間に、前記第1電流とは異なる第2電流を出力するとしてもよい。
【0042】
これにより、第1トランジスタを、第1期間と第2期間とで、互いに異なる動作モードで動作させることができるようになる。
【0043】
以下、図面を参照しながら、本開示による実施形態を説明する。なお、本開示は、以下の実施形態に限定されない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。さらに、一の実施形態と他の実施形態とを組み合わせることも可能である。以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同一の参照符号を付している。また、重複する説明は省略する場合がある。
【0044】
以下で説明する第1から第8の実施形態においては、一部のトランジスタを除き、原則、読み出し回路の各トランジスタは、NMOSトランジスタであるとする。当然ながら、NMOSトランジスタに代えて、PMOSトランジスタを用いてもよい。その場合には、各制御信号の極性は反転する。NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとを組み合わせて用いても構わない。
【0045】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施形態における撮像装置の全体構成を模式的に表した図である。撮像装置100は、複数の画素311からなる画素アレイ310と、周辺回路とを備える。図示する例では、複数の画素311は、行方向および列方向に配列されている。本願明細書において、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ延びる方向をいう。つまり、図面において、垂直方向(上下方向)が列方向であり、水平方向(左右方向)が行方向である。
【0046】
図1において、本実施形態における撮像装置の画素アレイ310は、画素311、各画素311内に配置された検出回路312、バイアス信号線313、および出力信号線314を含む。
【0047】
画素アレイ310中の画素311の数は、例えば、数百万~数千万個程度であり得る。
図1では、図が過度に複雑になることを避けるために、行方向に沿って2個、列方向に沿って2個並んだ合計4個の画素311の群を代表的に示している。
【0048】
なお、
図1は、画素311の配列をあくまで模式的に示しており、列方向に沿って並ぶ複数の画素311が厳密に直線状に並んでいる必要はない。例えば、列方向に沿って互いに隣接する2つの画素311の間で、一方の中心が他方の中心に対して行方向に沿って画素ピッチの半分程度ずれていてもよい。行方向に沿って並ぶ複数の画素311についても同様に、行方向に沿って厳密に直線状に並んでいる必要はない。
【0049】
図1中の各画素311は検出回路312をそれぞれ備える。検出回路312は、画素311外部に接続する2つの端子を有する。検出回路312の一方の端子は出力信号線314に接続される。例えば、後述の
図2における第2端子316がこれに対応する。検出回路312の他方の端子はバイアス信号線313に接続されている。例えば、後述の
図2における第3端子317がこれに対応する。
【0050】
図1において、同一列に属する画素311は同一の出力信号線314およびバイアス信号線313に接続されて図示されているが、この通りでなくてもよい。例えば、画素アレイブロック単位で、異なる出力信号線あるいはバイアス信号線に接続されても良い。
【0051】
周辺回路は、バイアス制御回路320と、定電流源回路330と、カラム信号処理回路340と、垂直走査回路350と、水平信号読み出し回路360とを含む。カラム信号処理回路340は行信号蓄積回路とも呼ばれる。垂直走査回路350は行走査回路とも呼ばれる。水平信号読み出し回路360は列走査回路とも呼ばれる。バイアス制御回路320および定電流源回路330、カラム信号処理回路340は、2次元に配列された画素311の列毎に配置されてもよい。
【0052】
以下、周辺回路の構成の一例を説明する。
【0053】
垂直走査回路350は、選択制御信号線Vselおよび帯域制御信号線Vfbに接続されている。垂直走査回路350は、選択制御信号線Vselに所定の電圧を印加することにより、各行に配置された複数の画素311を行単位で選択する。これにより、選択された画素311の信号電圧の読み出しと、後述する画素のリセットが実行される。
【0054】
各列に配置された画素311は、出力信号線314を介して、カラム信号処理回路340に電気的に接続されている。カラム信号処理回路340は、相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling;CDS)に代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(AD変換)などを行う。複数のカラム信号処理回路340は、水平信号読み出し回路360に接続されている。水平信号読み出し回路360は、複数のカラム信号処理回路340から信号を読み出し、水平共通信号線361に信号を出力する。なお、
図1において、出力信号線314が一つのカラム信号処理回路340に接続されているが、本開示はこの構成に限定するものではない。例えば各列に出力信号線が2本以上接続され、それぞれの出力信号線が異なるカラム信号処理回路340に接続される構成としても構わない。
【0055】
また、
図1ではバイアス制御回路320は画素アレイ310の上側、定電流源回路330ならびにカラム信号処理回路340、水平信号読み出し回路360は画素アレイ310の下側に配置されているが、これは本開示にて図示する上の一例であり、実構成における物理的な配置を規定するものではない。これらの回路のすべてを画素アレイ310の上側または下側の一方に配置してもよいし、画素アレイ310の上下両側に配置してもかまわない。垂直走査回路350の配置も、
図1に示すような画素アレイ310の左側の配置に限定されるものではない。垂直走査回路350を画素アレイ310の右側に配置してもよいし、垂直走査回路350を複数設けて左右両側に配置してもよい。
【0056】
本実施形態では、画素アレイ310は第1基板101上に設けられている。第1基板101は、例えば、後述の
図2に図示される。周辺回路であるバイアス制御回路320と、定電流源回路330と、カラム信号処理回路340と、垂直走査回路350と、水平信号読み出し回路360とは、第2基板102上に設けられている。第2基板102は、例えば、後述の
図2に図示される。それぞれの基板は半導体基板であってもよい。例えば、SOI(silicon on insulator)基板であっても良い。
【0057】
図1に示す構成では、バイアス制御回路320、定電流源回路330と、カラム信号処理回路340は各列に配置されているが、第2基板102上に画素毎や複数画素毎に配置されても良い。そのように構成することで、画素からバイアス制御回路320、定電流源回路330、カラム信号処理回路340といったブロックまでの距離が近くなる。このことにより、それらを接続していた配線の寄生容量や配線抵抗の削減、あるいは各回路で流す電流量の削減が可能となる。
【0058】
また、垂直走査回路350を第2基板102に設けても良い。
【0059】
図2は、本実施形態に係る撮像装置100の、例示的な回路構成を模式的に示す。画素311Aは、光電変換部1および検出回路312を有する。
【0060】
光電変換部1は、入射光を光電変換して、電荷を生成する。
【0061】
検出回路312は、光電変換部1によって生成された電荷を検出する。すなわち、光電
変換部1で生成された電荷は電荷蓄積領域FDで蓄積され、検出回路312により読み出される。検出回路312は、第1基板101に設けられた基板接続部CONを介して、第2基板102と電気的に接続される。この時の基板接続部CONは、出力信号線314およびバイアス信号線313との接続部に設けられている。すなわち、検出回路312は、光電変換部1と接続されている第1端子315と、第2基板102と電気的に接続されている第2端子316及び第3端子317とを有する。
【0062】
検出回路312への電圧印加経路となるバイアス信号線313や、電圧読み出し経路である出力信号線314において配線抵抗が大きくなると、読み出される信号の有効電圧レンジが低減したりや、RC成分によって信号伝搬が遅延したりする可能性がある。
【0063】
本実施の形態の
図2のような構成により、従来は画素内に配置されていたバイアス信号線313、および出力信号線314を、画素外に配置することが可能になる。このことにより、バイアス信号線313および出力信号線314をより幅広の配線とすることが可能になる。それにより、バイアス信号線313および出力信号線314を低抵抗化することが可能となる。
【0064】
また、従来は画素内に配置されていたバイアス信号線313および出力信号線314を、画素が配置されている第1基板とは異なる第2基板に配置することで、撮像装置のレイアウトの制約を緩和することができる。また、画素からの信号を読み出す際に用いるトランジスタを光電変換部1に近い位置に配置する、つまり第1基板101に配置することで、ノイズが混入することを抑制できる。画素からの信号を読み出す際に用いるトランジスタは、例えば増幅トランジスタや、転送トランジスタである。一方、画素信号への影響の比較的少ない、選択トランジスタやリセットトランジスタは、第2基板102に配置しても良い。選択トランジスタおよびリセットトランジスタは後述する。
【0065】
第2基板102内において、例えば複数のバイアス信号線313をメッシュ状に配線してもよい。バイアス信号線313をメッシュ状に配線することにより、電流の流れる経路が増えるので、配線抵抗値が低減される。
【0066】
図3に示すように、検出回路312を増幅トランジスタ4121Aで構成してもよい。
【0067】
図4に、
図1の構成を備える画素アレイ310ならびにバイアス制御回路320、定電流源回路330のより具体的な例を示す。
図2に示される画素311は、例えば
図4中の画素411Aおよび411Bのような回路構成にすることができる。
【0068】
図2における検出回路312は、
図4に示すように、ソースフォロワトランジスタSF(例えば、増幅トランジスタ4121A)として実現しても良い。増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインのそれぞれは、基板接続部CONを介して第2基板102に電気的に接続される。増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの一方に出力信号線314が接続され、ソースおよびドレインの他方にバイアス信号線313が接続される。バイアス制御回路320および定電流源回路330は、第2基板102に配置される。
【0069】
バイアス制御回路320は、バイアス信号線313を介して、増幅トランジスタ4121Aにバイアスを印加する。
【0070】
定電流源回路330は、出力信号線314を介して、増幅トランジスタ4121Aに電流を供給する。
【0071】
図4は、
図1に示した画素アレイ310のうち、2行1列分の画素311を取り出して記載している。n行目に位置する画素411Aは、帯域制御トランジスタ4111Aと、光電変換部4112A、検出回路412Aおよび電荷蓄積領域FDを備える。
【0072】
光電変換部4112Aは光を検出し、電荷を生成する。光電変換部4112Aは、特許文献1に開示されているような、上部と下部の電極と、電極によって挟まれる受光層とで構成されるものであってもよいし、フォトダイオードであってもよい。電荷蓄積領域FDは、光電変換部4112Aによって生成された信号電荷を蓄積する。
【0073】
検出回路412Aは、増幅トランジスタ4121Aと、選択トランジスタ4122Aとを含む。増幅トランジスタ4121Aのゲートは電荷蓄積領域FDに接続されている。増幅トランジスタ4121Aは、光電変換部4112Aによって生成された電荷に対応する信号を出力する。選択トランジスタ4122Aは、増幅トランジスタ4121Aの出力を、画素411Aの外部に選択的に出力する。増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの一方は、帯域制御トランジスタ4111Aのソースおよびドレインの一方と、選択トランジスタ4122Aのソースおよびドレインの一方とに接続されている。さらに、増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方は、バイアス信号線313に接続されている。選択トランジスタ4122Aのソースおよびドレインの他方は、出力信号線314Aに接続されている。また、帯域制御トランジスタ4111Aのソースおよびドレインの他方は電荷蓄積領域FDに接続されている。
【0074】
帯域制御トランジスタ4111Aのゲートには、帯域制御信号線Vfbが接続されている。帯域制御信号線Vfbの電圧により帯域制御トランジスタ4111Aの状態が決定される。例えば、帯域制御信号線Vfbの電圧がハイレベルのとき、帯域制御トランジスタ4111Aはオンする。その結果、電荷蓄積領域FDと、増幅トランジスタ4121Aと、帯域制御トランジスタ4111Aとによって帰還経路が形成される。
【0075】
帯域制御信号線Vfbの電圧が低くなると、帯域制御トランジスタ4111Aの抵抗成分が大きくなる。そのため、帯域制御トランジスタ4111Aの帯域は狭くなり、帰還する信号の周波数範囲は狭くなる。帯域制御信号線Vfbの電圧が、さらに低いローレベルになると、帯域制御トランジスタ4111Aはオフする。その結果、帰還経路は形成されない。
【0076】
選択トランジスタ4122Aのソースおよびドレインの他方は、出力信号線314Aに接続されている。選択トランジスタ4122Aのゲートには、選択制御信号線Vselが接続される。選択制御信号線Vselの電圧により、選択トランジスタ4122Aの状態が決定される。例えば、選択制御信号線Vselの電圧がハイレベルのとき、選択トランジスタ4122Aはオンする。その結果、増幅トランジスタ4121Aと、出力信号線314とは電気的に接続される。選択制御信号線Vselの電圧がローレベルのとき、選択トランジスタ4122Aはオフする。その結果、増幅トランジスタ4121Aと、出力信号線314とは電気的に分離される。
【0077】
帯域制御信号線Vfbの電圧と、選択制御信号線Vselの電圧は、例えば
図1における垂直走査回路350により供給される。
【0078】
増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方には、バイアス信号線313が接続され、バイアス信号線313を介してバイアス制御回路320が接続される。以下、バイアス制御回路320の内部構成を詳細に説明する。
【0079】
増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方は、バイアス信号線313
およびスイッチ素子421を介して、電圧源Va1に接続される。また、増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方は、バイアス信号線313およびスイッチ素子422を介して、電圧源Va2にも接続される。スイッチ素子421は制御信号R1によって制御され、スイッチ素子422は制御信号R1bによって制御される。つまり、制御信号R1およびR1bによってバイアス制御回路320を制御することにより、増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方に印加する電圧を、電圧Va1または電圧Va2に切り替えることができる。電圧源Va1の電圧は、例えば接地電圧GNDである。電圧源Va2の電圧は、例えば電源電圧VDDである。
【0080】
n+1行目に位置する画素411Bも、画素411Aと同様の構成を有する。すなわち、画素411Bは、帯域制御トランジスタ4111B、光電変換部4112B、ならびに検出回路412Bを備え、検出回路412Bは増幅トランジスタ4121Bと選択トランジスタ4122Bを備える。
【0081】
出力信号線314には、定電流源回路330が接続されている。定電流源回路330は、検出回路412A内の選択トランジスタ4122Aに向かって電流を流し込む方向(紙面上方向)の定電流源433および電流を引き抜く方向(紙面下方向)の定電流源434を備える。定電流源433は、スイッチ素子431を介して出力信号線314に接続される。定電流源434は、スイッチ素子432を介して、出力信号線314に接続される。選択トランジスタ4122A、バイアス制御回路320内のスイッチ素子422、および定電流源回路330内のスイッチ素子432がオン状態のとき、選択トランジスタ4122A、増幅トランジスタ4121Aおよび定電流源434によってソースフォロワ回路が形成される。このとき、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号に応じた信号が出力信号線314に出力され、外部に読み出される。一方、選択トランジスタ4122A、バイアス制御回路320内のスイッチ素子421、および定電流源回路330内のスイッチ素子431がオン状態のとき、選択トランジスタ4122A、増幅トランジスタ4121Aおよび定電流源433によってソース接地増幅回路が形成される。
【0082】
なお、
図4の構成のように出力信号線314毎に定電流源回路330が設けられていてもよいし、一つの定電流源要素回路330が複数の出力信号線314に接続されていてもよい。そのように構成することにより、撮像装置内の素子数を削減することができる。なお、
図4ではバイアス制御回路320および定電流源回路330の両方が第2基板102に配置される構成を示しているが、どちらか一方が第2基板102に配置され、もう一方が第1基板101に設けられていても良い。その際、画素を構成するトランジスタと同じ極性のトランジスタで構成される電流源を第1基板101に配置し、逆の極性を示すトランジスタを第2基板102に配置しても良い。例えば、画素回路および定電流源434をNMOSトランジスタで構成して第1基板101に配置し、定電流源433をPMOSトランジスタで構成して第2基板102に配置しても良い。
【0083】
次に、
図5A、
図5Bおよび
図6を参照しながら、本実施形態における撮像装置100の動作フローを説明する。
【0084】
信号電荷読み出し時には、
図5Aに示すように、増幅トランジスタ4121Aと定電流源434とがソースフォロワ回路として動作し、ゲイン1倍以下で電荷蓄積領域FDの信号電圧が画素外へ読み出される。
【0085】
一方、電荷蓄積領域FDをリセットする場合や、電子シャッタを行う際には、撮像装置100は、
図5Bのような接続状態になる。具体的には、増幅トランジスタ4221Aがソース接地アンプの入力トランジスタとして動作し、定電流源433がソース接地アンプの負荷電流源として動作することで、増幅トランジスタ4121Aと定電流源433とは
、数十倍のゲインを持つソース接地アンプとして動作する。このとき、選択トランジスタ4122Aと増幅トランジスタ4121Aとの接続点455が、ソース接地アンプの出力となる。接続点455が帯域制御トランジスタ4111Aを介して電荷蓄積領域FDに接続されることで、負帰還回路が構成される。この時の負帰還回路のフィードバックゲインは、ソース接地アンプのゲインになる。
【0086】
本動作の詳細を以下に示す。
【0087】
図6は、撮像装置100の動作の一例を示すタイミングチャートである。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸において、上から順に、Vsel(A)は、n行目の画素411Aに供給されている選択制御信号線Vsel(A)の電圧を示す。Vfb(A)は、n行目の画素411Aに供給されている帯域制御信号線Vfb(A)の電圧を示す。Vsel(B)は、n+1行目の画素411Bに供給されている選択制御信号線Vsel(B)の電圧を示す。Vfb(B)は、n+1行目の画素411Bに供給されている帯域制御信号線Vfb(B)の電圧を示す。R1は、バイアス制御回路320内のスイッチ素子421の制御信号を示す。R1bは、スイッチ素子422の制御信号を示す。S1は、定電流源回路330内のスイッチ素子432Aの制御信号を示す。S1bは、スイッチ素子431Aの制御信号を示す。V313は、バイアス制御回路320によって制御されたバイアス信号線313の電圧を示す。VS(A)は、画素411Aの増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方の電圧を示す。VS(B)は、画素411Bの増幅トランジスタ4121Bのソースおよびドレインの他方の電圧を示す。
【0088】
以下では画素411Aの構成要素の符号を用いて詳細な説明を行う。
【0089】
(信号電荷読み出し期間)
時刻t1において、選択制御信号線Vsel(A)の電圧をハイレベルにして選択トランジスタ4122をオンにする。また、制御信号R1bをハイレベルにし、スイッチ素子422をオンにする。このことにより、増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方には、電圧Va2が印加される。さらに、制御信号S1をハイレベルにし、定電流源要素回路330のスイッチ素子432をオン状態にする。このときの各スイッチ素子およびトランジスタのオン/オフ状態を図示したものが
図5Aである。この状態においては、増幅トランジスタ4121Aと定電流源434とがソースフォロア回路を形成する。そして、出力信号線314の電位は、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた電圧VSIG(A)となる。ソースフォロワ回路の増幅率は1倍程度である。
【0090】
なお、電荷蓄積領域FDの電圧は、後述するリセット電圧VRSTを基準として、直前の画素411Aのリセット動作から時刻t1までの期間に光電変換部4112Aにおいて生成された信号電荷に応じた電圧分だけ変化している。
【0091】
(リセット期間)
図6の時刻t2において、選択制御信号線Vsel(A)の電圧は引き続きハイレベルである。従って、選択トランジスタ4122Aはオン状態である。また、時刻t2において、帯域制御信号線Vfb(A)の電圧をハイレベルにして、帯域制御トランジスタ4111Aをオン状態にする。また、時刻t2において、制御信号R1をハイレベルとする。このことにより、バイアス制御回路320のスイッチ素子421がオン状態となり、増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインの他方には電圧Va1が印加される。さらに、時刻t2において、制御信号S1bをハイレベルとする。このことにより、定電流源回路330のスイッチ素子431Aがオン状態となり、選択トランジスタ4122Aのソースおよびドレインの一方に定電流源433が接続される。時刻t2において、選択トランジスタ4122A、増幅トランジスタ4121Aおよび定電流源433によってソー
ス接地増幅回路が形成される。加えて、帯域制御トランジスタ4111Aがオンの状態であるため、ソース接地増幅回路の入出力端が短絡された状態になる。このときの各スイッチ素子ならびにトランジスタのオン/オフ状態を図示したものが
図5Bである。時刻t2において撮像装置100のスイッチ素子およびトランジスタを
図5Bのような状態とすることにより、電荷蓄積領域FDは、リセット電圧VRSTにリセットされる。
【0092】
時刻t2において、帯域制御信号線Vfb(A)の電圧をハイレベルとすることにより、帯域制御トランジスタ4111Aの動作帯域が、広帯域である第1の帯域に設定される。これにより、電荷蓄積領域FDの電圧を高速にリセット電圧VRSTにすることができる。
【0093】
本実施形態では、電荷蓄積領域FDを高速にリセット電圧VRSTに設定するために、このリセット期間を設けている。但し、駆動時間に余裕があれば、リセット期間を設けずに、後述するノイズ抑制期間内で、電荷蓄積領域FDをリセット電圧VRSTに設定する動作をしても構わない。
【0094】
(ノイズ抑制期間)
次に、
図6における時刻t3において、帯域制御信号線Vfb(A)の電圧を、ハイレベルとローレベルとの間の電圧に設定する。例えば、ハイレベルとローレベルとの中間の電圧に設定する。この場合、帯域制御トランジスタ4111Aの動作帯域は、第1の帯域よりも狭い第2の帯域となる。
【0095】
第2の帯域を、増幅トランジスタ4121Aの動作帯域よりも十分に狭くすることにより、ノイズ抑制効果は大きくなる。一方で、時刻t3から時刻t5までの時間、つまりノイズ抑制にかかる時間は長くなる。第2の帯域が増幅トランジスタ4121Aの動作帯域よりも広くても、ノイズ抑制効果は得られる。よって、許容できるノイズ抑制時間に応じて、設計者は第2の帯域を任意に設計することができる。以下、第2の帯域を、増幅トランジスタ4121Aの動作帯域よりも十分に狭い帯域として説明する。
【0096】
第2の帯域が、増幅トランジスタ4121Aの動作帯域よりも狭い状態においては、帯域制御トランジスタ4111Aにおいて発生する熱ノイズは、帰還回路により抑制される。選択トランジスタ4122A、増幅トランジスタ4121Aおよび定電流源433によって形成されるソース接地増幅回路の増幅率を-A倍とすると、熱ノイズは、1/(1+A)1/2倍に抑制される。典型的には、Aは1よりも大きく、数10から数100程度の数値に設定され得る。
【0097】
次に、時刻t5において帯域制御線Vfb(A)の電圧をローレベルにし、帯域制御トランジスタ4111Aをオフにする。帯域制御トランジスタ4111Aをオフした時に電荷蓄積領域FDに残存するkTCノイズも、帰還がない場合と比較して、1/(1+A)1/2倍に抑制される。
【0098】
(リセット電圧読み出し期間)
画素411Aのリセット動作並びにノイズ抑制動作が完了したのちに、
図6の時刻t5において、再度制御信号R1bと制御信号S1とをハイレベルにする。すなわち、バイアス制御回路320のスイッチ素子422と、定電流源要素回路330のスイッチ素子432とを再度オン状態にし、
図5Aに示すソースフォロワ回路を形成する。これにより、電荷蓄積領域FDからリセット電圧VRSTを読み出す。
【0099】
図7から
図9を用いて、第1の実施形態の効果を説明する。
【0100】
図7は、画素および周辺回路が同一基板に設けられている参考例における撮像装置での、リセット動作時の回路構成を模式的に表している。
【0101】
図7では、
図3に示す画素を、行方向に4画素分、同じ列に並べて示している。画素411Aから画素411Dは、同一のバイアス信号線313および出力信号線314に接続されている。バイアス信号線313には不図示の電圧源からバイアス電圧Vbiasが印加され、出力信号線314には定電流源433から電流が流されている。
【0102】
図7において、画素411Aをリセットする際には、撮像装置100は、選択トランジスタ4122AをONとすることで、定電流源433を負荷とし、増幅トランジスタ4121Aをアンプトランジスタとするソース接地回路を構成する。
【0103】
しかしこの際、増幅トランジスタ4121Aのソース側に、バイアス信号線313の配線抵抗Rsが接続されているのと同様の状態になる。配線抵抗Rsは、画素411Dより電圧源から離れている画素411Aにおいて、大きくなる。
【0104】
図8A、
図8Bを用いて、上記配線抵抗Rsの有無によるソース接地回路動作比較を行う。
【0105】
図8Aおよび
図8Bにおいて、Vinはソース接地回路への入力を表す。Vinには、電荷蓄積領域FDが接続される。Voutはソース接地回路の出力を表す。
【0106】
図8Aに示されるソース接地回路では、定電流源433の負荷抵抗Rdと、増幅トランジスタ4121Aの相互コンダクタンスgmを用いて、ゲインAvはAV=-gm×Rdと示される。
【0107】
一方、
図8Bのように配線抵抗Rsが増幅トランジスタ4121Aのソースに接続される場合、ソース接地回路が流す電流Idが配線抵抗Rsに流れ込む。これにより、ソース接地回路に入力されるゲートソース間電圧VGSは、Vinから、Id×Rs分だけ目減りした電圧となってしまう。この現象はソースデジェネレーションと呼ばれる。この現象により、ソース接地回路のゲインAvは、Av=(-gm×Rd)/(1+gm×Rs)に低下してしまう。そのため、ソース接地回路において、増幅トランジスタ4121Aのソースに接続する配線抵抗Rsを低減することが望ましい。
【0108】
図9に、実施の形態1における撮像装置の構成を示す。
図9において、画素毎にバイアス信号線、出力信号線、定電流源433および電圧Vbiasを印加する電圧源を設けている。また、定電流源433および電圧源を画素とは別の基板に配置し、かつ各画素に近づけている。例えば、画素を設けた第1基板と、定電流源433および電圧源とを設けた第2基板とを重ねて配置し、第2基板の、各画素の真下の位置に、対応する定電流源433および電圧源を配置することができる。このことにより、画素と、定電流源433および電圧源との距離を短くすることができる。このように構成することにより、配線抵抗RSを低減することが可能である。さらに、画素から画素アレイ外に伸びていたバイアス信号線313や出力信号線314を短くすることができるので、これらの配線に付随する寄生容量を低減できる。このことにより、バイアス信号線313や出力信号線314に流す電流量を低減することができる。
【0109】
図10Aおよび
図10Bを用いて、画素と定電流源433および電圧源との距離を示す。
図10Bは、視認を助けるために第1基板101を透視図として記載している。
図10Aは、参考例における、画素と定電流源433との位置関係の一例を示す図である。
図10Bは、本実施の形態における画素と定電流源433との位置関係の一例を示す図である
。
【0110】
図10Aに示す構成では、同じ列に属するすべての画素が同一の出力信号線314およびバイアス信号線313に接続されている。この場合、最も定電流源433から遠い画素と、定電流源433との距離は、画素アレイ310の規模が大きくなるほど長くなる。例えば定電流源433が画素アレイ310の下側にのみ設けられている場合には、画素アレイ310の行方向の大きさが、そのまま出力信号線314およびバイアス信号線313の長さになる。そのため、出力信号線314およびバイアス信号線313の配線抵抗が大きくなる。また、出力信号線314およびバイアス信号線313は、同じ列に配置されたすべての画素内を通る。その場合、出力信号線313およびバイアス信号線313の太さを一定以上にすることは難しい。また、配線間での寄生容量が生じる可能性もある。このように、参考例の構成では、配線抵抗が大きくなる可能性がある。
【0111】
一方、
図10Bでは該当画素から、第2基板の画素直下に設けられた定電流源433へ接続することが可能である。そのため、出力信号線314およびバイアス信号線313の距離は画素アレイ310のサイズによらない。また、出力信号線314およびバイアス信号線313を、画素内を通るように設計する必要がないため、各信号線を一定以上の太さにすることができる。
【0112】
本構成とすることにより、よりデータレートを上げる画素並列読み出しや、画素ブロック並列読み出しが可能となる。
【0113】
本実施の形態の構成により、画素アレイ310のサイズが大きい場合であっても、画素内の検出回路312から定電流源433等の列回路への接続距離を短くすることができる。また、例えば基板接続部CONを太くすることにより、配線抵抗をさらに低減することが可能となる。
【0114】
また本実施の形態の構成において、画素に接続される回路の数を参考例よりも増加させることも可能である。参考例の構成において、例えばAD変換回路のような列回路は、同じ列に属する画素に対して共通に接続されていた。例えば画素サイズが数μm程度である場合、各列に接続される列回路の数は、1あるいは2であった。これは、各列に接続される列回路の幅を画素の幅よりも狭くする必要があること、および、列回路を配置できる領域が画素アレイの周辺に限られることによるものであった。一方、本実施の形態においては、列回路を第2の基板102に配置することが可能である。また、参考例では列毎に配置していた列回路を、画素毎に配置することも可能である。そのため、本実施の形態においては、画素に接続される回路の数を、画素数と同等もしくはそれ近傍の範囲にまで増加させることができる。
【0115】
図9に示す構成では、画素毎に定電流源433や電圧源を設けているが、複数の画素単位で定電流源433や電圧源を設けても良い。
【0116】
【0117】
図11では、2画素毎に定電流源433および電圧源を設けた形態を示す。
【0118】
図12では、第1基板101上で2画素毎に増幅トランジスタのソースおよびドレイン同士を接続した上で、第2基板に接続している。このことにより基板接続部の数を減らしている。これにより、基板同士の接続不良が生じる可能性を低減することができる。また、これにより、基板接続部CON同士の間隔を広げることができる。言い換えると、接続ピッチを緩和することができる。このことにより、例えば基板接続部CONを大きくする
ことができるので、基板同士の接続不良が起きる可能性を低減できる。したがって、基板接続部CONの数を減らすことにより、基板同士の接続不良による歩留まり低下を低減することができる。
【0119】
図13、
図14は、第1の実施形態において、画素内にフィードバック構成を持つ構成を示す模式図である。
図13に示すように、第1基板101に設けられた画素311は、画素回路内にフィードバック回路30を持つ。第2基板102からバイアス信号線313を介して画素にバイアス電圧を印加することで、画素回路内のフィードバック回路30が動作する。バイアス信号線313に印加される電圧は、信号電荷読み出し期間、リセット期間、ノイズ抑制期間でそれぞれ異なる電位であってもよい。また、
図14に示すように、画素毎に選択トランジスタSEL(選択トランジスタ4122A)を配置してもよい。第1基板101側に選択トランジスタSELを配置することにより、第1基板101側で第2基板102との電気的な接続を切り替えられる。
図14では増幅トランジスタ4121Aのソースおよびドレインのどちらか一方に選択トランジスタSEL(選択トランジスタ4122A)を挿入しているが、その両方に選択トランジスタSELを挿入しても良い。
【0120】
図15は、検出回路312の回路構成を模式的に示している。フィードバック回路30は、光電変換部4112Aによって生成された信号電荷に対応する信号電圧を、増幅トランジスタ200を介して負帰還させる帰還経路を形成する。
【0121】
増幅器2は、増幅トランジスタ200と、スイッチ素子11およびスイッチ素子12を含む切替回路20と、を有している。検出回路312内のトランジスタはNMOSトランジスタであるとする。以下、検出回路312の電気的な接続関係を説明する。
【0122】
増幅トランジスタ200のゲートには、電荷蓄積領域FDが接続されている。帯域制御部3は帯域制御トランジスタ300を含む。出力選択部5は選択トランジスタ500を含む。増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方は、帯域制御トランジスタ300のソースおよびドレインの一方と、選択トランジスタ500のソースおよびドレインの一方とに接続されている。また、帯域制御トランジスタ300のソースおよびドレインの他方は電荷蓄積領域FDに接続されている。帯域制御トランジスタ300と、電荷蓄積領域FDに寄生する容量成分とによってRCフィルタ回路が形成される。
【0123】
帯域制御トランジスタ300のゲートには、帯域制御信号線CON1が接続されている。帯域制御信号線CON1の電圧により帯域制御トランジスタ300の状態が決定される。例えば、帯域制御信号線CON1の電圧がハイレベルのとき、帯域制御トランジスタ300はオンする。その結果、電荷蓄積領域FDと、増幅トランジスタ200と、帯域制御トランジスタ300とによって帰還経路が形成される。
【0124】
帯域制御信号線CON1の電圧が低くなると、帯域制御トランジスタ300の抵抗成分が大きくなる。そのため、帯域制御トランジスタ300の帯域は狭くなり、帰還する信号の周波数範囲は狭くなる。帯域制御信号線CON1の電圧が、さらに低いローレベルになると、帯域制御トランジスタ300はオフする。その結果、帰還経路は形成されない。
【0125】
選択トランジスタ500のソースおよびドレインの他方は、信号読み出しライン7に接続されている。信号読み出しライン7は、前出の出力信号線314に対応する。選択トランジスタ500のゲートは選択制御信号線CON7によって制御される。選択制御信号線CON7の電圧により、選択トランジスタ500の状態が決定される。例えば、選択制御信号線CON7の電圧がハイレベルのとき、選択トランジスタ500はオンする。その結果、増幅トランジスタ200と、信号読み出しライン7とは電気的に接続される。選択制
御信号線CON7の電圧がローレベルのとき、選択トランジスタ500はオフする。その結果、増幅トランジスタ200と、信号読み出しライン7とは電気的に分離される。
【0126】
増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方には、切替回路20が接続される。具体的には、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、スイッチ素子11を介して、電圧源VA1に接続される。また、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、スイッチ素子12を介して、電圧源VA2にも接続される。制御信号V1およびV2によって切替回路20を制御することにより、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方に印加する電圧を、電圧Va1または電圧Va2に切り替える。電圧源VA1の電圧Va1は、例えば接地電圧GNDである。電圧源VA2の電圧Va2は、例えばVDDである。切替回路20は、画素毎に設けられていてもよいし、1画素あたりの素子数を削減するために、複数の画素により共有されていてもよい。
【0127】
信号読み出しライン7には、定電流源6が接続されている。選択トランジスタ500がオンのとき、選択トランジスタ500、増幅トランジスタ200、および定電流源6によって、ソースフォロア回路が形成される。電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた信号は、信号読み出しライン7に出力され、外部に読み出される。なお、定電流源6は、画素毎に設けられていてもよいし、1画素あたりの素子数を削減するために、複数の画素により共有されていてもよい。
【0128】
図16は、検出回路312の他の回路構成を模式的に示している。
図16に示されるように、基板接続部CONの一方の位置は、増幅器2と出力選択部5との間に存在していても構わない。
【0129】
(撮像装置100の動作)
次に、
図17を参照しながら、検出回路312の動作フローを説明する。
【0130】
図17は、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸において、上から順に、CON1は、帯域制御信号線CON1の電圧を示す。CON7は、選択制御信号線CON7の電圧を示す、VSは、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方の電圧を示す。
【0131】
(リセット期間)
時刻t1において、選択制御信号線CON7の電圧はローレベルである。従って、選択トランジスタ500はオフ状態であり、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に分離されている。また、時刻t1において、帯域制御信号線CON1の電圧をハイレベルにして、帯域制御トランジスタ300をオン状態にする。また、時刻t1においては、切替回路20のスイッチ素子11はオン状態となっており、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方には電圧Va1(例えばGND)が印加されている。これにより、電荷蓄積領域FDの電圧は、リセット電圧VRSTと等しくなる。
【0132】
ここで、帯域制御信号線CON1の電圧は、帯域制御トランジスタ300の動作帯域が、広帯域である第1の帯域となるように設定される。これにより、高速に、電荷蓄積領域FDの電圧をリセット電圧VRSTにすることができる。第1の帯域は、ハイレベルのゲート電圧に対応した、帯域制御トランジスタ300の動作帯域を意味する。
【0133】
本実施形態では、電荷蓄積領域FDを高速にリセット電圧に設定するために、このリセット期間を設けている。但し、駆動時間に余裕があれば、この期間を設けずに、後述するノイズ抑制期間内で、電荷蓄積領域FDをリセット電圧に設定する動作をしても構わない。
【0134】
(ノイズ抑制期間)
次に、時刻t2から時刻t4の期間では、帯域制御信号線CON1の電圧を、ハイレベルとローレベルとの間、例えば中間の電圧に設定する。その場合、帯域制御トランジスタ300の動作帯域は、第1の帯域よりも狭い第2の帯域となる。第2の帯域は、ゲート電圧が中間の電圧であるときの、帯域制御トランジスタ300の動作帯域を意味する。
【0135】
第2の帯域を、増幅トランジスタ200の動作帯域よりも十分に狭くすることにより、ノイズ抑制効果は大きくなる。しかしその一方で、時刻t2から時刻t4までの時間は長くなる。なお、第2の帯域が増幅トランジスタ200の動作帯域よりも広くても、ノイズ抑制効果は得られる。よって、時刻t2から時刻t4までの許容できる時間に応じて、設計者は第2の帯域を任意に設計することができる。以下、第2の帯域を、増幅トランジスタ200の動作帯域よりも十分に狭い帯域として説明する。
【0136】
第2の帯域が、増幅トランジスタ200の動作帯域よりも狭い状態においては、帯域制御トランジスタ300において発生する熱ノイズは、帰還回路により抑制される。増幅器2の増幅率を-A倍とすると、熱ノイズは、1/(1+A)1/2倍に抑制される。
【0137】
切替回路20は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方がGNDになるように設定されている。設計者は回路システムに最適な値となるように、増幅器2の増幅率を設計することができる。典型的には、Aは1よりも大きく、数10から数100程度の数値に設定され得る。
【0138】
次に、時刻t4において帯域制御信号線CON1の電圧をローレベルにし、帯域制御トランジスタ300をオフにすると、このオフした時に電荷蓄積領域FDに残存するkTCノイズも、帰還がない場合と比較して、1/(1+A)1/2倍に抑制される。
【0139】
(露光/読み出し期間)
時刻t5において、選択制御信号線CON7の電圧をハイレベルにして選択トランジスタ500をオンにする。また、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方の電圧がVa2(例えばVDD)になるように、切替回路20を制御する。すなわち、スイッチ素子12がオンになり、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方には、電圧Va2が印加される。この状態においては、増幅トランジスタ200と定電流源6とがソースフォロア回路を形成する。そして、信号読み出しライン7は、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた電圧となる。そのとき、ソースフロア回路の増幅率は1倍程度である。
【0140】
時刻t5において、電荷蓄積領域FDの電圧は、リセット電圧VRSTを基準として、時刻t4から時刻t5の期間に光電変換部4112Aにおいて生成された信号電荷に応じた電圧分だけ変化している。電荷蓄積領域FDの電圧は、1倍程度の増幅率で増幅器2により増幅されて、信号読み出しライン7に出力される。
【0141】
ランダムノイズは、光電変換部4112Aにおいて生成された信号電荷が0である時の出力の揺らぎ、すなわちkTCノイズを意味する。kTCノイズは、ノイズ抑制期間に1/(1+A)1/2倍に抑制され、さらに、露光/読み出し期間において、1倍程度の増幅率で信号読み出しライン7に出力される。従って、本実施形態によれば、ランダムノイズが抑制された良好な画像データを取得することができる。
【0142】
また、本実施形態によれば、周辺回路のばらつきをキャンセルするために、CDSを実施することも可能である。具体的には、ソースフォロア回路により電荷蓄積領域FDの信
号電圧を読み出した後、上述したリセット動作を再度行う。リセット動作が完了した後、光電変換部4112Aが光検出を行う前に、ソースフォロア回路により読み出し動作を再度行う。これにより、リセット電圧VRSTを読み出すことができる。電荷蓄積領域FDの信号電圧とリセット電圧との差分を取ることにより、CDSを実施できる。
【0143】
また、本実施形態では、露光期間において、電荷蓄積領域FDの信号はソースフォロア回路により読み出されるので、増幅率は1倍程度である。しかし、これに限定されるものではなく、設計者は、システムに必要な信号対雑音比S/Nまたは回路レンジに応じて増幅率を変えてもよい。
【0144】
本実施形態によれば、ノイズキャンセルのための帰還を、複数の画素311のそれぞれの画素内で行う。これにより、読み出しライン7の時定数に影響を受けることなく、ノイズキャンセルを高速に行える。
【0145】
最後に、
図18を参照しながら、帯域制御信号線CON1の他の制御方法を説明する。
【0146】
図18は、検出回路312の動作の他の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、帯域制御トランジスタ300が帯域制御トランジスタ300のしきい値電圧を跨いでオン状態からオフ状態に徐々に変化するように、帯域制御信号CON1を制御してもよい。本願明細書では、このようなリセット制御を「テーパリセット」と称する。
【0147】
これにより、撮像装置100を構成する複数の画素311の間で、帯域制御トランジスタ300のしきい値電圧にばらつきがあっても、全ての画素内で発生するノイズを効果的に抑制することができる。また、テーパリセットにおける帯域制御信号線CON1に印加する電圧の変化幅は、各画素の帯域制御トランジスタ300のしきい値電圧のばらつきの範囲に制限してもよい。これにより、テーパリセットに要する時間を短縮でき、ノイズ抑制を高速に行うことができる。
【0148】
本実施形態において、光電変換部4112Aは第1基板101に配置され、定電流源回路330などは第2基板102上に設けられる。第1基板101と第2基板102との接続部は、基板接続部CONの箇所で、
図15や
図16のように接続されても良い。
図15では選択トランジスタ500を第1基板101に配置しており、
図16では選択トランジスタ500を第2基板102に配置している。なお、選択トランジスタ500を両方の基板に準備しても良い。また、選択トランジスタ500により、画素毎に定電流源回路330や基板接続部CONを共有することが可能であり、両方の基板に選択トランジスタ500を設けることで、それぞれの基板中での共有数を変えることも可能である。
【0149】
本願のポイントは、第1基板101と第2基板102とを積層する時の接続点に関する。本願のポイントは、第1基板101と第2基板102とを、基板接続部CONによりバイアス信号線313および出力信号線314で接続する点にある。検出回路312へ電流を供給するための定電流源433および電圧源が配置される基板と、検出回路312が配置される基板とを分けることにより、効果を奏する。
【0150】
バイアス信号線313の電位は電源電圧でも構わない。但し、第1の実施形態のように、バイアス信号線313に印加する電圧が時間により異なるような場合において効果が大きい。第1の実施形態において検出回路312は、
図5Bのフィードバックリセット時にはソース接地回路として動作し、
図5Aの信号読み出し時にはソースフォロワ回路として動作するリコンフィギュアラブルな構成をとる。第2基板102に設けられた定電流源により、画素内に設けられた検出回路312のゲインが制御されることを特徴とする。
【0151】
また、
図5A、
図5Bに示される定電流源433および定電流源434はそれぞれ、一般的に、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタにより実現されることが多い。このような極性の異なるトランジスタを第2基板102に配置し、かつ第1基板101に設けられた画素の直下に位置させることで、電流供給経路を短縮することができる。このように、定電流源を画素にできるだけ近くに配置し、かつ定電流源を画素アレイ310における画素の密度と同程度まで高密度に配置する上では、この積層構成が有効である。もちろん前述の定電圧源についても同様のことが言える。
【0152】
また、
図5A、
図5Bに示される第1の実施形態では画素内の増幅トランジスタ4121Aに流れる電流の方向が、
図5Aの信号読み出し時と
図5Bのフィードバックリセット時でそれぞれ異なる。
【0153】
なお、検出回路312がソース接地回路として動作するのは、リセット動作期間だけでなく、読み出し時も検出回路312をソース接地回路として動作させてもよい。すなわち、撮像装置100は、2つの撮像モードを有してもよい。例えば、第1の撮像モードでは、検出回路312が、リセット動作時にソース接地回路として動作し、読み出し時にソースフォロワ回路として動作する通常モードとしてもよい。第2の撮像モードでは、検出回路312が、リセット動作と読み出し動作の両方ともソース接地回路として動作を行う高感度モードとしてもよい。読み出し動作時にソース接地回路として動作させると、読み出しゲインを高くすることができる。例えば、暗時の信号読み出しやシングルフォトンを検出する用途には、読み出しゲインを高くすることできる第2の撮像モードが望ましい。
【0154】
(第2の実施形態)
図19から
図33を参照して、本実施形態に係る撮像装置100の構造、機能および駆動方法を説明する。本実施形態による撮像装置100は、4つのトランジスタを含む検出回路312を備えている点で、第1の実施形態と異なる。
【0155】
(撮像装置100の構造)
本実施形態による撮像装置100は、第1の実施形態と同様に、2次元に配列された複数の画素311と、周辺回路とを備えている。画素311は、各種の制御線を介して周辺回路に接続されている。
【0156】
図19は、本実施形態に係る撮像装置100の画素311の、例示的な回路構成を模式的に示す。画素311は、光電変換部4112Aおよび検出回路312を含む。検出回路312は、増幅器2、帯域制御部3’、電荷蓄積領域FD、および出力選択部5を含んでいる。検出回路312は、光電変換部4112Aにより生成された信号電荷を読み出す。
【0157】
電荷蓄積領域FDは、配線層によって光電変換部4112Aと接続されている。電荷蓄積領域FDは、増幅器2の入力にさらに接続されている。増幅器2は、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた信号を増幅し、帯域制御部3’および出力選択部5に出力する。
【0158】
帯域制御部3’は、電荷蓄積領域FDをリセットするリセット回路4Aと、帯域制御回路3Bとを含んでいる。帯域制御回路3Bには、電圧制御回路99から、互いに異なる少なくとも3つの電圧が供給される。このような電圧が供給されることにより、帯域制御回路3Bは帯域制御機能を有する。帯域制御回路3Bは、増幅器2の出力信号に帯域制限をかけて、電荷蓄積領域FDに出力する。電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷は、リセット回路4Aによってリセットされる。電荷蓄積領域FDから読み出された信号は、増幅器2によって増幅される。増幅された信号は、帯域制御回路3Bによって帯域制限をかけられた後に、電荷蓄積領域FDに帰還される。
【0159】
出力選択部5は、信号読み出しライン7に接続されている。信号読み出しライン7は、少なくとも2つの画素で共有される。増幅器2によって増幅された信号は、出力選択部5を介して信号読み出しライン7に出力される。
【0160】
図20、
図21は、検出回路312Bの、回路構成の一例を模式的に示している。フィードバック回路30’は、光電変換部4112Aからの信号を、増幅トランジスタ200を介して電荷蓄積領域FDに負帰還する。
【0161】
帯域制御部3’のリセット回路4Aは、リセットトランジスタ400を含んでいる。帯域制御回路3Bは、帯域制御トランジスタ301、容量素子9および容量素子10を含んでいる。本明細書において、「容量素子」は、電極の間に絶縁膜などの誘電体が挟まれた構造を意味する。また、「電極」は、金属から形成された電極に限定されず、ポリシリコン層などを広く含むように解釈される。電極は、半導体基板の一部分であってもよい。容量素子9および容量素子10は、例えばMIM(Metal Insulator Metal)容量またはMIS(Metal Insulator Semiconductorl)容量であってもよい。
【0162】
増幅器2は、増幅トランジスタ200と切替回路20とを含む。切替回路20は、スイッチ素子11およびスイッチ素子12を含む。出力選択部5は、選択トランジスタ500を含んでいる。以下、検出回路312の電気的な接続関係を説明する。
【0163】
増幅トランジスタ200のゲートは、電荷蓄積領域FDに接続されている。増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方は、帯域制御トランジスタ301のソースおよびドレインの一方と接続されている。増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方は、選択トランジスタ500のソースおよびドレインの一方にも接続されている。また、帯域制御トランジスタ301のソースおよびドレインの他方は、容量素子9の一端に接続されている。また、容量素子9の他端には、基準電圧VR1が印加される。これにより、帯域制御トランジスタ301と容量素子9とによってRCフィルタ回路が形成される。
【0164】
帯域制御トランジスタ301のソースおよびドレインの他方は、容量素子10の一端にも接続されている。また、容量素子10の他端は、電荷蓄積領域FDに接続されている。本願明細書において、帯域制御トランジスタ301、容量素子9および容量素子10の間に形成されたノードを「RD」と称する。
【0165】
帯域制御トランジスタ301のゲートは、帯域制御信号線CON3に接続されている。帯域制御信号線CON3の電圧により、帯域制御トランジスタ301の状態が決定される。例えば、帯域制御信号線CON3の電圧がハイレベルのとき、帯域制御トランジスタ301はオンする。このとき、電荷蓄積領域FDと、増幅トランジスタ200と、帯域制御トランジスタ301と、容量素子10とによって帰還経路(すなわち、フィードバック回路30‘)が形成される。
【0166】
帯域制御信号線CON3の電圧が低くなると、帯域制御トランジスタ301の抵抗成分が大きくなる。そのため、帯域制御トランジスタ301の帯域は狭くなり、帰還する信号の周波数領域は狭くなる。
【0167】
帰還経路が形成されているとき、帯域制御トランジスタ301が出力する信号は、容量素子10および電荷蓄積領域FDの寄生容量によって形成される減衰回路で減衰されて、電荷蓄積領域FDに帰還される。容量素子10の容量をCc、電荷蓄積領域FDの寄生容
量をCfdとすると、減衰率Bは、Cc/(Cc+Cfd)で表される。
【0168】
帯域制御信号線CON3の電圧がさらに低くなり、ローレベルになると、帯域制御トランジスタ301はオフし、帰還経路は形成されない。
【0169】
電荷蓄積領域FDは、リセットトランジスタ400のソースおよびドレインの一方にさらに接続される。リセットトランジスタ400のソースおよびドレインの他方には、基準電圧VR2が印加されている。リセットトランジスタ400のゲートは、リセット制御信号線CON2に接続され、リセット制御信号線CON2の電圧により、リセットトランジスタ400の状態が決定される。例えば、リセット制御信号線CON2の電圧がハイレベルのとき、リセットトランジスタ400はオンし、電荷蓄積領域FDは基準電圧VR2にリセットされる。
【0170】
選択トランジスタ500のソースおよびドレインの他方は、信号読み出しライン7に接続される。選択トランジスタ500のゲートは、選択制御信号線CON7に接続され、選択制御信号線CON7の電圧により選択トランジスタ500の状態が決定される。例えば、選択制御信号線CON7の電圧がハイレベルのとき、選択トランジスタ500はオンし、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に接続される。選択制御信号線CON7の電圧がローレベルのとき、選択トランジスタ500はオフする。その結果、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に分離される。
【0171】
増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方には、切替回路20が接続される。具体的には、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、スイッチ素子11を介して、電圧源VA1に接続されている。また、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、スイッチ素子12を介して、電圧源VA2にも接続されている。制御信号V1およびV2によって切替回路20を制御することにより、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方に印加する電圧を、電圧Va1または電圧Va2に切り替える。電圧源VA1の電圧Va1は、例えばGNDである。電圧源VA2の電圧Va2は、例えばVDDである。切替回路20は、画素毎に設けられていてもよいし、1画素あたりの素子数を削減するために、複数の画素により共有されていてもよい。
【0172】
信号読み出しライン7には、定電流源6が接続されている。選択トランジスタ500がオンのとき、選択トランジスタ500、増幅トランジスタ200、および定電流源6によって、ソースフォロア回路が形成される。電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた信号は、信号読み出しライン7に出力され、外部に読み出される。なお、定電流源6は、画素毎に設けられていてもよいし、1画素あたりの素子数を削減するために、複数の画素により共有されていてもよい。
【0173】
次に、
図22を参照しながら、検出回路312の動作フローを説明する。
【0174】
図22は、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸において、上から順に、CON2は、リセット制御信号CON2の電圧を示す。CON3は、帯域制御信号線CON3の電圧を示す。CON7は、選択制御信号線CON7の電圧を示す。VSは、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方の電圧を示す。
【0175】
(リセット期間)
時刻t11において、選択制御信号線CON7の電圧はローレベルである。従って、選択トランジスタ500はオフ状態であり、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に分離されている。また、時刻t11において、帯域制御信号線CON3の
電圧をハイレベルにして帯域制御トランジスタ301をオン状態にする。また、時刻t11において、切替回路20のスイッチ素子11はオン状態となっており、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方には電圧Va1(例えばGND)が印加されている。さらに、時刻t11において、リセット制御信号線CON2の電圧をハイレベルにし、リセットトランジスタ400をオンにすることにより、電荷蓄積領域FDはリセットされ、電荷蓄積領域FDの電圧は、基準電圧VR2となる。
【0176】
時刻t12において,リセット制御信号線CON2の電圧をローレベルにし、リセットトランジスタ400をオフにする。このとき、検出回路312は、増幅率が-A×B倍の帰還回路を形成している。そのため、リセットトランジスタ400をオフしたときに発生する電荷蓄積領域FDにおけるkTCノイズは、1/(1+A×B)倍に抑制される。帯域制御トランジスタ301の動作帯域が、広帯域である帯域となるように帯域制御信号線CON3の電圧をハイレベルに設定することにより、kTCノイズを高速に抑制できる。
【0177】
(ノイズ抑制期間)
時刻t13から時刻t15の期間に、帯域制御信号線CON3の電圧をハイレベルとローレベルとの間、例えば中間の電圧に設定する。その場合、帯域制御トランジスタ301の動作帯域は第1の帯域よりも狭い第2の帯域となる。
【0178】
第2の帯域を増幅トランジスタ200の動作帯域よりも充分に狭くすることでノイズ抑制効果は大きくなるが、t13からt15までの時間も長くなる。なお、第2の帯域が増幅トランジスタ200の動作帯域より広くても、ノイズ抑制効果は得られる。時刻t13から時刻t15までの許容できる時間に応じて、設計者は第2の帯域を任意に設計することができる。以下の説明では、第2の帯域が増幅トランジスタ200の動作帯域よりも十分に狭いとする。
【0179】
第2の帯域が、増幅トランジスタ200の動作帯域よりも狭い状態においては、帯域制御トランジスタ301で発生する熱ノイズは、フィードバック回路30‘により、1/(1+A×B)1/2倍に抑制される。この状態で、時刻t15において帯域制御信号線CON3の電圧をローレベルにし、帯域制御トランジスタ301をオフすると、このオフした時に電荷蓄積領域FDに残存するkTCノイズは、リセットトランジスタ400に起因したkTCノイズと、帯域制御トランジスタ301に起因したkTCノイズとを二乗和した値となる。
【0180】
容量素子9の容量をCsとすると、帰還による抑制がない状態において発生する帯域制御トランジスタ301のkTCノイズは、帰還による抑制がない状態で発生するリセットトランジスタ400のkTCノイズに比べて(Cfd/Cs)1/2倍になる。この点を考慮し、帰還がない場合と比較すると、帰還がある場合のkTCノイズは、{1+(1+A×B)×Cfd/Cs}1/2/(1+A×B)倍に抑制される。
【0181】
(露光/読み出し期間)
時刻t16において選択制御信号線CON7の電圧をハイレベルにして、選択トランジスタ500をオンにし、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方の電圧がVa2(例えばVDD)になるように切替回路20を制御する。この状態においては、増幅トランジスタ200と定電流源6とがソースフォロア回路を形成する。信号読み出しライン7は、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた電圧となる。そのとき、ソースフロア回路の増幅率は1倍程度である。
【0182】
時刻t16において、電荷蓄積領域FDの電圧は、時刻t15からt16の期間に光電変換部4112Aにおいて生成された信号電荷に対応する分だけリセット電圧(VR2)
から変化している。電荷蓄積領域FDの電圧は、1倍程度の増幅率で増幅器2により増幅されて信号読み出しライン7に出力される。
【0183】
ランダムノイズは光電変換部4112Aにおいて生成された信号電荷が0である時の出力の揺らぎ、すなわち、kTCノイズを意味する。kTCノイズは、ノイズ抑制期間に{1+(1+A×B)×Cfd/Cs}1/2/(1+A×B)倍に抑制され、さらに、露光/読み出し期間において、1倍程度の増幅率で信号読み出しライン7に出力される。その結果、ランダムノイズが抑制された良好な画像データを取得することができる。
【0184】
容量素子9の容量Csは、容量素子10の容量Ccよりも大きいことが望ましい。本実施形態においては、面積が許す限りCsを大きくすることにより、ランダムノイズを抑制することができる。典型的には、容量素子9の容量を大きくすると、ランダムノイズは低減される。しかし、電荷蓄積領域FDにおいて電荷信号を電圧信号に変換する際、信号レベルが小さくなってしまうので、結果としてS/Nは改善されない。しかし、本実施形態によれば、電荷蓄積領域FDとRDとが容量素子10によって分離されているので、容量素子9の容量を大きくしても信号レベルの低下は生じにくい。その結果、ランダムノイズだけが抑制されるので、S/Nが改善されるという効果が得られる。
【0185】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、周辺回路のばらつきをキャンセルするために、CDSを実施することも可能である。具体的には、ソースフォロア回路により電荷蓄積領域FDの信号電圧を読み出した後、上述したリセット動作を再度行う。リセット動作が完了した後、光電変換部4112Aが光検出を行う前に、ソースフォロア回路により読み出し動作を再度行う。これにより、リセット電圧VRSTを読み出すことができる。電荷蓄積領域FDの信号電圧とリセット電圧との差分を取ることにより、CDSを実施できる。
【0186】
また、本実施形態では、露光期間において、電荷蓄積領域FDの信号はソースフォロア回路により読み出されるので、増幅率は1倍程度である。しかし、これに限定されるものではなく、設計者は、システムに必要なS/Nまたは回路レンジに応じて増幅率を変えてもよい。
【0187】
本実施形態によれば、ノイズキャンセルのための帰還を、複数の画素311の各画素内で行う。これにより、読み出しライン7の時定数に影響を受けることなく、ノイズキャンセルを高速に行える。さらに、画素311内に配置する容量素子の容量を大きくすることにより、より大きなノイズ抑制効果が得られる。
【0188】
以下、本実施形態による検出回路312の構成および動作の変形例を説明する。
【0189】
図23から
図32は、検出回路312の回路構成の他の一例を模式的に示している。
図23から
図26に示される検出回路312は、基準電圧VR2の代わりに増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方の電圧(すなわち、増幅器2の出力電圧)をリセットトランジスタ400に印加している点で、
図19、
図20に示される検出回路312と異なっている。リセットトランジスタ400は、光電変換部4112Aの信号を、増幅トランジスタ200を介して電荷蓄積領域FDに負帰還している。本明細書においては、そのようなトランジスタを「負帰還トランジスタ」と呼ぶ場合がある。このような構成によると、リセットトランジスタ400をオフする前後における電荷蓄積領域FDの電圧の変化を小さくすることができ、より高速なノイズ抑制が可能となる。
【0190】
さらに、
図27から
図32に示されるように、定電流源8を設けてもよい。このような構成によると、増幅トランジスタ200の動作帯域を広くすることができ、その結果、帯
域制御トランジスタ301の帯域も広くすることができる。従って、帯域制御トランジスタ301の帯域がより広い状態で、ランダムノイズをより高速に抑制できる。
【0191】
最後に、
図33を参照しながら、帯域制御信号線CON3の他の制御方法を説明する。
【0192】
図33は、検出回路312の動作の他の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、第1の実施形態と同様に、テーパリセットをかけてもよい。つまり、帯域制御トランジスタ301がそのしきい値電圧を跨いで、オン状態からオフ状態に徐々に変化するように帯域制御信号線CON3を制御してもよい。
【0193】
これにより、撮像装置100を構成する複数の画素311の間で帯域制御トランジスタ301のしきい値電圧にばらつきがあっても、全ての画素内で発生するノイズを効果的に抑制することができる。また、テーパリセットにおける帯域制御信号線CON3に印加する電圧の変化幅は、各画素の帯域制御トランジスタ301のしきい値電圧のばらつきの範囲に制限してもよい。これにより、テーパリセットに要する時間を短縮でき、ノイズ抑制を高速に行うことができる。
【0194】
(第3の実施形態)
図34から
図38を参照して、本実施形態による撮像装置100の構造、機能および駆動方法を説明する。本実施形態による撮像装置100は、検出回路312の出力選択部5Cが選択トランジスタとしてPMOSトランジスタを含んでいる点、および、出力選択部5Cが切替回路40に接続されている点で、第2の実施形態による撮像装置100とは異なる。以下、第2の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0195】
図34は、本実施形態による撮像装置100の画素311の、例示的な回路構成を模式的に示す。画素311は、光電変換部4112Aと、検出回路312とを含む。検出回路312は、増幅器2、帯域制御部3、電荷蓄積領域FD、および出力選択部5Cを含んでいる。出力選択部5Cは、信号読み出しライン7に接続されている。
【0196】
出力選択部5Cは、少なくとも2つの画素で共有される信号読み出しライン7に接続されている。出力選択部5Cは、増幅器2によって増幅された信号を信号読み出しライン7に出力する機能と、増幅器2に電流を供給する機能とを有している。これらの機能は互いに切り替えることができる。
【0197】
図35Aは、検出回路312の回路構成を模式的に示している。フィードバック回路30は、光電変換部4112Aの信号を、増幅トランジスタ200を介して電荷蓄積領域FDに負帰還する。選択トランジスタ502のソースおよびドレインの一方は、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方と接続される。選択トランジスタ502のソースおよびドレインの他方は、信号読み出しライン7に接続される。本実施形態では、選択トランジスタ502は、増幅トランジスタ200の極性とは反転した極性を有している。増幅トランジスタ200はNMOSトランジスタであり、選択トランジスタ502はPMOSトランジスタである。
【0198】
選択トランジスタ502のゲートは、選択制御信号線CON8に接続されている。選択制御信号線CON8の電圧により、選択トランジスタ502の状態が決定される。例えば、選択制御信号線CON8の電圧がローレベルのとき、選択トランジスタ502はオンし、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に接続される。選択制御信号線CON8の電圧がハイレベルのとき、選択トランジスタ502はオフし、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に分離される。
【0199】
選択制御信号線CON8の電圧がローレベルとハイレベルとの間、例えば中間の電圧にあるとき、選択トランジスタ502は電流源として動作し、増幅トランジスタ200に電流を供給する。その電流量は選択制御信号線CON8の電圧によって決定される。設計者は、所望の電流量になるように検出回路312を設計することができる。
【0200】
切替回路40は、信号読み出しライン7に接続されている。切替回路40は、スイッチ素子13と、スイッチ素子14と、電圧源VB1およびVB2と、定電流源6とを含んでいる。信号読み出しライン7には、スイッチ素子13を介して定電流源6の一方の端子が接続される。また、信号読み出しライン7には、スイッチ素子14を介して電圧源VB2が接続される。定電流源6の他方の端子には電圧源VB1が接続されている。
【0201】
制御信号V3およびV4により、信号読み出しライン7に、電圧源VB2を接続するか、または定電流源6(電圧源VB1)を接続するかを切替えることができる。例えば、電圧源VB1の電圧Vb1はGNDであり、電圧源VB2の電圧Vb2はVDDである。
【0202】
電圧源VB2が信号読み出しライン7に接続されているとき、選択制御信号線CON8の電圧がローレベルとハイレベルとの間、例えば中間の電圧である場合、選択トランジスタ502は電流源として動作する。その場合、選択トランジスタ502と、増幅トランジスタ200とは反転増幅回路を形成する。
【0203】
定電流源6が信号読み出しライン7に接続されているとき、選択制御信号線CON8の電圧がローレベルである場合、増幅トランジスタ200と、定電流源6とは、ソースフォロア回路を形成する。その場合、電荷蓄積領域FDの信号は、信号読み出しライン7に出力される。
【0204】
本実施形態では、検出回路312を構成するトランジスタを、選択トランジスタ502を除いてNMOSトランジスタとしたが、この極性は反転しても構わない。すなわち、選択トランジスタ502はNMOSトランジスタであり、その他のトランジスタがPMOSトランジスタであってもよい。また、検出回路312内のトランジスタの全てが、NMOSトランジスタまたはPMOSトランジスタであってもよい。
【0205】
図35Bを参照する。
図35Bは、上述した
図35Aに示す構成の変形例を示している。この変形例では、切替回路40は定電流源6Aおよび6Bを有している。また、出力選択部5Cは、選択トランジスタ503を有している。選択トランジスタ503の極性は、増幅トランジスタ200などの極性と同じである。すなわち、選択トランジスタ503はNMOSトランジスタである。
【0206】
選択トランジスタ503のゲートは、選択制御信号線CON9に接続されている。選択制御信号線CON9の電圧により、選択トランジスタ503の状態が決定される。例えば、選択制御信号線CON9の電圧がハイレベルのとき、選択トランジスタ503はオンし、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に接続される。選択制御信号線CON9の電圧がローレベルのとき、選択トランジスタ503はオフし、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とは電気的に分離される。
【0207】
図35Aに示される構成においては、選択制御信号線CON8の電圧をローレベルとハイレベルとの間、例えば中間の電圧にすることで、選択トランジスタ502を電流源として動作させる。これに対し、本変形例では、スイッチ素子14および選択トランジスタ503をオンすることで、定電流源6Bから増幅トランジスタ200に電流が供給される。
【0208】
次に、
図36を参照して、
図35Aの検出回路312の動作フローを説明する。
【0209】
図36は、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸において、上から順に、CON2は、リセット制御信号CON2の電圧を示す。CON3は、帯域制御信号線CON3の電圧を示す。CON8は、選択制御信号線CON8の電圧を示す。VSは、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方の電圧、すなわち、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインのうち切替回路20に接続された方の電圧を示す。
【0210】
(リセット期間)
時刻t21において、選択制御線CON8の電圧をローレベルおよびハイレベルの間、例えば中間の電圧にする。また、信号読み出しライン7に電圧源VB2を接続するように、切替回路40を制御する。また、帯域制御信号線CON3の電圧をハイレベルにして、帯域制御トランジスタ301をオンにする。また、時刻t21において、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方は、電圧源VA1に接続されている。電圧源VA1の電圧Va1は、例えばGNDである。さらに、時刻t21において、リセット制御信号線CON2の電圧をハイレベルにし、リセットトランジスタ400をオンにすることにより、電荷蓄積領域FDをリセットする。その結果、電荷蓄積領域FDの電圧は、基準電圧VR2となる。
【0211】
時刻t22において、リセット制御信号線CON2の電圧をローレベルにし、リセットトランジスタ400をオフする。この時、検出回路312は、増幅率:-A×Bで帰還ループを形成している。そのため、リセットトランジスタ400をオフしたときの電荷蓄積領域FDのkTCノイズは、1/(1+A×B)倍に抑制される。帯域制御トランジスタ301の動作帯域が、広帯域である第1の帯域となるように、帯域制御信号線CON3の電圧を設定する。これにより、ノイズを高速に抑制できる。
【0212】
(ノイズ抑制期間)
時刻t23から時刻t25の期間に、帯域制御信号線CON3の電圧を、ハイレベルとローレベルとの間、例えば中間の電圧に設定する。その場合、帯域制御トランジスタ301の動作帯域は、第1の帯域よりも狭い第2の帯域となる。
【0213】
第2の帯域を、増幅トランジスタ200の動作帯域よりも充分に狭くすることでノイズ抑制効果は大きくなるが、t23からt25までの時間も長くなる。なお、増幅トランジスタ200の動作帯域より高くてもノイズ抑制効果は得られる。よって、時刻t23から時刻t25までの許容できる時間に応じて、設計者は第2の帯域を任意に設計することができる。以下、第2の帯域を、増幅トランジスタ200の動作帯域よりも十分に狭い帯域として扱う。
【0214】
第2の帯域が増幅トランジスタ200の動作帯域よりも狭い状態においては、帯域制御トランジスタ301で発生する熱ノイズは、フィードバック回路30により、1/(1+A×B)1/2倍に抑制される。この状態で、時刻t25において帯域制信号御線CON3の電圧をローレベルにし、帯域制御トランジスタ301をオフすると、オフした時に電荷蓄積領域FDに残存するkTCノイズは、リセットトランジスタ400に起因したkTCノイズと、帯域制御トランジスタ301に起因したkTCノイズとを二乗和した値となる。
【0215】
容量素子9の容量をCsとすると、帰還による抑制がない状態において発生する帯域制御トランジスタ301のkTCノイズは、帰還による抑制がない状態で発生するリセットトランジスタ400のkTCノイズに比べて(Cfd/Cs)1/2倍になる。この点を考慮して、帰還がない場合と比較すると、帰還がある場合のkTCノイズは、{1+(1
+A×B)×Cfd/Cs}1/2/(1+A×B)倍に抑制される。また、時刻t25において、選択制御信号線CON8の電圧をハイレベルにし、選択トランジスタ502をオフする。これにより、増幅トランジスタ200と信号読み出しライン7とを電気的に分離する。
【0216】
なお、第2の実施形態の
図33に示す動作フローと同様に、テーパリセットをかけてもよい。つまり、時刻t23からt24において、帯域制御トランジスタ301がそのしきい値電圧を跨いでオン状態からオフ状態に徐々に変化するように、帯域制御信号線CON3を制御してもよい。
【0217】
これにより、撮像装置100を構成する複数の画素311の間で、帯域制御トランジスタ301のしきい値電圧にばらつきがあっても、全ての画素内で発生するノイズを効果的に抑制することができる。また、テーパリセットにおける帯域制御信号線CON3に印加する電圧の変化幅は、各画素の帯域制御トランジスタ301のしきい値で夏のばらつきの範囲に制限してもよい。これにより、テーパリセットに要する時間を短縮でき、ノイズ抑制を高速に行うことができる。
【0218】
(露光/読み出し期間)
時刻t26において、選択制御信号線CON8の電圧をローレベルにして、選択トランジスタ502をオンにし、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの他方の電圧がVa2(例えばVDD)になるように切替回路20を制御する。また、信号読み出しライン7に定電流源6が接続されるように切替回路40を制御する。この状態においては、増幅トランジスタ200と定電流源6とがソースフォロア回路を形成する。信号読み出しライン7は、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた電圧となる。そのとき、ソースフロア回路の増幅率は1倍程度である。
【0219】
時刻t26において、電荷蓄積領域FDの電圧は、リセット電圧(VR2)を基準として、時刻t25からt26の期間に光電変換部4112Aにおいて生成された信号電荷に応じた電圧分だけ変化している。電荷蓄積領域FDの電圧は、1倍程度の増幅率で増幅器2により増幅されて、信号読み出しライン7に出力される。
【0220】
kTCノイズは、ノイズ抑制期間に{1+(1+A×B)×Cfd/Cs}1/2/(1+A×B)倍に抑制され、さらに、露光/読み出し期間において、1倍程度の増幅率で信号読み出しライン7に出力される。これにより、ランダムノイズが抑制された良好な画像データを取得することができる。
【0221】
本実施形態においては、第2の実施形態と同様に、面積が許す限りCsを大きくすることにより、ランダムノイズは抑制され得る。典型的には、容量素子9の容量を大きくすると、ランダムノイズは低減される。しかし、電荷蓄積領域FDにおいて電荷信号を電圧信号に変換する際に信号レベルが小さくなってしまうので、結果としてS/Nは改善されない。しかし本実施形態によれば、電荷蓄積領域FDとRDとが容量素子10によって分離されているので、容量素子9の容量を大きくしても信号の低下は生じにくい。その結果、ランダムノイズだけが抑制されるので、S/Nが改善されるという効果が得られる。
【0222】
また、本実施形態によれば、第2の実施形態と同様に、周辺回路のばらつきをキャンセルするために、CDSを実施することも可能である。具体的には、ソースフォロア回路により電荷蓄積領域FDの信号電圧を読み出した後、上述したリセット動作を再度行う。リセット動作が完了した後、光電変換部4112Aが光検出を行う前に、ソースフォロア回路により読み出し動作を再度行う。これにより、リセット電圧VRSTを読み出すことができる。電荷蓄積領域FDの信号電圧とリセット電圧との差分を取ることにより、CDS
を実施できる。
【0223】
また、ノイズキャンセルのための帰還を、複数の画素311の各画素内で行う。これにより、読み出しライン7の時定数に影響を受けることなく、ノイズキャンセルを高速に行える。さらに、画素311内に配置する容量素子の容量を大きくすることにより、より大きなノイズ抑制効果が得られる。
【0224】
なお、本実施形態においても、露光期間において、電荷蓄積領域FDの信号はソースフォロア回路により読み出されるので、増幅率は1倍程度である。しかし、これに限定されるものではなく、設計者は、システムに必要なS/Nまたは回路レンジに応じて増幅率を変えてもよい。
【0225】
以下、本実施形態による検出回路312の構成および動作の変形例を説明する。
【0226】
図37Aおよび
図38Aは、検出回路312の他の回路構成を模式的に示している。
図37Aおよび
図38Aに示される検出回路312は、基準電圧VR2の代わりに、増幅トランジスタ200のソースおよびドレインの一方の電圧(すなわち、増幅器2の出力電圧)をリセットトランジスタ400に印加している。この点において、
図37Aおよび
図38Aに示される検出回路312は、
図35Aに示される検出回路312と異なっている。
図37Aおよび
図38Aに示す構成によると、リセットトランジスタ400をオフする前後における電荷蓄積領域FDの電圧の変化を小さくすることができるので、より高速なノイズ抑制が可能となる。
【0227】
図35Bを用いて説明した、切替回路40が定電流源6Bを含む構成は、
図37Aおよび
図38Aに示される構成にも適用できる。
図37Bは、
図37Aに示される構成の変形例を示し、
図38Bは、
図38Aに示される構成の変形例を示している。それぞれの変形例において、切替回路40は、定電流源6Aに加え、定電流源6Bを有している。また、出力選択部5Cは、NMOSトランジスタである選択トランジスタ503を有している。
図37Aおよび
図38Aに示される構成は、
図35Bに示される構成と同様に、スイッチ素子14および選択トランジスタ503をオンすることで、定電流源6Bから増幅トランジスタ200に電流を供給することができる。
【0228】
(第4の実施形態)
図39から
図43を参照して、本実施形態による撮像装置100の構造、機能および駆動方法を説明する。本実施形態による撮像装置100は、以下の点で、第1から第3の実施形態による撮像装置100とは異なる。第1に、検出回路312内の増幅器2Aが、増幅機能および帯域制御機能を有する。第2に、増幅器2Aは、自身の出力を入力に戻すことにより、自ら帯域制御を行いながら、自らの増幅機能(増幅率:-A)で負帰還をかけ、リセットノイズを1/(1+A)1/2に抑制する。
【0229】
図39は、本実施形態による撮像装置100内の画素311の、例示的な回路構成を模式的に示す。画素311は、光電変換部4112A、および検出回路312を含む。検出回路312は、増幅器2A、電荷蓄積領域FD、および出力選択部5Bを含んでいる。出力選択部5Bは、信号読み出しライン7を介して定電流源6に接続され、定電流源6によって電流駆動される。増幅器2Aは、電荷蓄積領域FDに蓄積された電荷に応じた信号を増幅し、かつ、電荷蓄積領域FD内に発生したkTCノイズを抑制するために帯域制御を行う。
【0230】
図40を参照しながら、検出回路312の構造および機能を詳細に説明する。
【0231】
図40は、検出回路312の回路構成の一例を模式的に示している。増幅器2Aは、増幅トランジスタ201を含み、出力選択部5Bは、増幅トランジスタ203および選択トランジスタ501を含んでいる。以下、検出回路312内の電気的な接続関係を説明する。
【0232】
増幅トランジスタ201において、ゲートと、ソースおよびドレインの一方とが電荷蓄積領域FDに接続されている。ソースおよびドレインの他方は、制御信号線CON4に接続されている。増幅トランジスタ201は、電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷に応じた信号電圧を増幅する。
【0233】
増幅トランジスタ203のゲートには、電荷蓄積領域FDが接続されている。増幅トランジスタ203のソースおよびドレインの一方は、電源電圧VDDまたは基準電圧に接続されている。増幅トランジスタ203のソースおよびドレインの他方は、選択トランジスタ501のソースおよびドレインの一方に接続されている。選択トランジスタ501のゲートは、読み出し行を選択する選択制御信号線CON7に接続されている。選択トランジスタ501のソースおよびドレインの他方は、信号読み出しライン7を介して定電流源6に接続されている。このように、増幅トランジスタ203と、選択トランジスタ501と、定電流源6とがソースフォロア回路を形成する。また、選択トランジスタ501は、増幅トランジスタ201の出力を選択的に読み出しライン7を介して外部に出力する。
【0234】
増幅トランジスタ201のゲートと、増幅トランジスタ201のソースおよびドレインの一方とは、増幅器2Aの入力と出力とにそれぞれ相当する。このように、増幅器2Aの出力を入力に接続することによって、帰還ループが形成される。このように、フィードバック回路30は、光電変換部4112Aの信号を、増幅トランジスタ203を介さずに電荷蓄積領域FDに負帰還する。
【0235】
次に、
図41を参照しながら、検出回路312の動作フローを説明する。
【0236】
図41は、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸において、上から順に、CON4は、制御信号線CON4の電圧を示す。CON7は、選択制御信号線CON7の電圧を示す。
【0237】
(リセット期間)
時刻t28において、選択制御信号線CON7の電圧はローレベルであり、選択トランジスタ501はオフしている。すなわち、信号読み出しライン7と増幅トランジスタ203とは電気的に切り離されている。この状態で、電荷蓄積領域FDが所望のリセット電圧VRST近傍の電圧になるように、制御信号線CON4の電圧を第1の基準電圧に設定する。このとき、増幅トランジスタ201の帯域は、広帯域である第3の帯域に設定される。これにより、電荷蓄積領域FD、増幅トランジスタ201のゲート、および増幅トランジスタ201のソースおよびドレインの一方は、高速に所望の電圧に設定される。第3の帯域は、第1の基準電圧に対応した帯域を意味する。
【0238】
電荷蓄積領域FDの電圧がリセット電圧VRSTに近いほど、最終的にノイズ抑制に要する時間が短くなるので、駆動時間を短縮できる。そのため、電荷蓄積領域FDの電圧がリセット電圧VRST近傍の電圧になるように、制御信号線CON4の電圧を設定することが望ましい。但し、駆動時間に余裕があれば、制御信号線CON4の電圧の設定値はこれに限らない。
【0239】
(ノイズ抑制期間)
時刻t29からt31において、選択制御信号線CON7はローレベルのままであり、
選択トランジスタ501はオフ状態である。すなわち、信号読み出しライン7と、増幅トランジスタ203とは、電気的に切り離された状態のままである。この状態で、制御信号線CON4の電圧を、第2の基準電圧に設定する。これにより、増幅トランジスタ201はオンからオフに徐々に変更される。そのとき、増幅トランジスタ201において、kTCノイズが発生する。このkTCノイズは、増幅トランジスタ201のソースおよびドレインの一方が接続された電荷蓄積領域FDに寄生する容量Cfdに依存している。そこで、増幅トランジスタ201による帰還ループを用いて、このノイズを抑制する。
【0240】
第2の基準電圧を、増幅トランジスタ201が急激にオンからオフするような電圧に設定した場合、発生するリセットノイズの帯域は~数THzと広くなる。従って、増幅器2Aによる帰還ループでは、増幅器2Aの帯域を超える高周波ノイズを抑制することが困難となる。そこで、時刻t29からt31において、増幅トランジスタ201の帯域が第3の帯域よりも狭い第4の帯域になるように、第2の基準電圧を設定する。第4の帯域は、第2の基準電圧に対応した帯域を意味する。これにより、増幅トランジスタ201の帯域を、自らの帰還ループで形成される増幅器2Aの帯域内に制限することが可能となる。さらに、増幅トランジスタ201において発生するリセットノイズを、全帯域において効率よく抑制することができる。
【0241】
ノイズが十分抑制された後、時刻t31において、制御信号線CON4の電圧を増幅トランジスタ201が完全にオフとなる第4の基準電圧に変更する。これにより、増幅トランジスタ201による帰還ループが切断され、ノイズが抑制された状態で電荷蓄積領域FDの電圧が安定する。
【0242】
なお、本実施形態のノイズ抑制期間においても、
図18、
図33を用いて説明したテーパリセットを適用してもよい。
図42は、テーパリセットを適用した場合の、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、時刻t29からt30の期間に、制御信号線CON4の電圧を、第2の基準電圧から第3の基準電圧までの範囲内で、増幅トランジスタ201がしきい値電圧を跨ぐように徐々に変化させてもよい。これにより、増幅トランジスタ201は、オン状態からオフ状態に除々に変化する。換言すると、時刻t29からt30の期間に、第4の帯域から第5の帯域に徐々に変化するように、制御信号線CON4の電圧を変化させる。第5の帯域は、第3の基準電圧に対応した帯域を意味する。増幅トランジスタ201の帯域を、自らの帰還ループで形成される増幅器2Aの帯域内に制限しながら、増幅トランジスタ201を除々にオンからオフに変化させる。これにより、電荷蓄積領域FD内で発生するノイズを全帯域において抑制することができる。ここで、第4の帯域および第5の帯域は、第3の帯域よりも狭い。なお、第2の基準電圧および第3の基準電圧は、複数の単位画素の間の製造ばらつきを考慮して所定のマージンを含んでもよい。
【0243】
(露光/読み出し期間)
電荷蓄積領域FDのノイズが十分抑制され、電圧が安定した状態で、所望の期間において、電荷蓄積領域FDに電荷を蓄積する。その後、時刻t32において、選択トランジスタ501をオンし、増幅トランジスタ203を信号読み出しライン7と電気的に接続する。これにより、増幅トランジスタ203と定電流源6とはソースフォロア回路を形成する。電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷は、ソースフォロア回路で増幅され、信号読み出しライン7を介して、周辺回路(CDS回路、A/D回路等)に出力される。
【0244】
ノイズ抑制率と、読み出し時の安定性とを考慮した場合、増幅器2Aの利得はできるだけ大きくすることが望ましい。例えば、出力選択部5B内の増幅器(すなわち、ソースフォロア)の利得よりも大きく設定することが望ましい。
【0245】
本実施形態によれば、他の実施形態と同様に、周辺回路のばらつきをキャンセルするために、CDSを実施することも可能である。具体的には、時刻t32において、ソースフォロア回路により電荷蓄積領域FDの信号電圧を読み出した後、上述したリセット動作を再度行う。リセット動作が完了した後、光電変換部4112Aが光検出を行う前に、ソースフォロア回路によりリセット電圧の読み出し動作を再度行う。これにより、リセット電圧VRSTを読み出すことができる。電荷蓄積領域FDの信号電圧とリセット電圧との差分を取ることにより、CDSを実施できる。
【0246】
また、本実施形態では、露光期間において、電荷蓄積領域FDの信号はソースフォロア回路により読み出されるので、増幅率は1倍程度である。しかし、これに限定されるものではなく、設計者は、システムに必要なS/Nまたは回路レンジに応じて増幅率を変えてもよい。
【0247】
本実施形態によれば、第1から第3の実施形態と同様に、画素311内でノイズキャンセルのための帰還が完結される。そのため、読み出しライン7の時定数の影響を受けることなく、ノイズキャンセルを高速に行える。さらに、増幅器2Aは増幅機能および帯域制御機能の両方を備えている。これにより、画素311の小面積化、つまり、狭画素セルへの対応が可能となる。これは、本実施形態の特筆すべき特徴である。画素面積が狭い撮像装置においても、構成要素を増加させることなく、電荷蓄積領域FDのノイズを効果的に抑制できる。
【0248】
なお、本実施形態では、リセット期間およびノイズ抑制期間において、選択トランジスタ501をオフにして、増幅トランジスタ203を信号読み出しライン7から切り離した状態とした。しかしながら、本開示はこれに限定されず、例えば上述したタイミングとは別のタイミングで信号を読み出してもよい。その場合、選択トランジスタ501をオン状態のまま実施しても構わない。また、駆動時間に余裕があれば、リセット期間を省略し、リセットノイズを抑制する収束時間を短縮するための駆動を行わずに、ノイズ抑制期間および露光/読み出し期間における動作のみを実施しても構わない。また、信号読み出しライン7および/または定電流源6を画素311毎に設けてもよいし、複数の画素311の間で共有しても構わない。
【0249】
以下、本実施形態による検出回路312の構成および動作の変形例を説明する。
図43は、検出回路312の回路構成の他の一例を模式的に示している。
【0250】
本変形例の構成において特筆すべきは、増幅器2Aが、増幅トランジスタ202に加えて、容量素子19および容量素子21を含んでいる点である。
【0251】
増幅トランジスタ202のゲートは、電荷蓄積領域FDに接続されている。増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの一方は、制御信号線CON6に接続されている。増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの他方は、容量素子19の一端と、容量素子21の一端とに接続される。容量素子19の他端は第3の基準電圧VR3に接続される。容量素子21の他端は電荷蓄積領域FDに接続される。また、増幅トランジスタ202、容量素子19、および容量素子21の間には、ノードRDが形成される。
【0252】
本変形例の構成によれば、増幅トランジスタ202のゲートと、容量素子21の他端とが、増幅器2Aの入力と、出力とにそれぞれ相当する。出力を入力に接続することにより負帰還ループが形成される。増幅器2Aの増幅率を-A倍とすると、増幅トランジスタ202で発生するリセットノイズを1/(1+A)1/2に抑制できる。
【0253】
本変形例の第1の利点は、容量素子19の容量C3を、電荷蓄積領域FDの容量Cfd
よりも大きく設定することにより、増幅トランジスタ202で発生するkTCノイズを、(kT/C3)1/2<(kT/Cfd)1/2と小さくすることが可能な点である。第2の利点は、容量素子21の容量C4を、電荷蓄積領域FDの容量よりも小さく設定することにより、電荷蓄積領域FDの容量Cfdと容量素子21の容量C4との分圧によって、電荷蓄積領域FDにおけるノイズ量をC4/(Cfd+C4)倍に減衰させることができる点である。
【0254】
この変形例により得られる効果を、
図40に示す構成の効果と具体的に比較する。
図30に示す構成では、増幅器2AのゲインをA倍、増幅トランジスタ201のゲインをA’倍とすると、増幅トランジスタ201のリセットノイズは、1/(1+A)1/2=1/(1+A’)1/2に抑制される。一方、本変形例では、増幅器2AのゲインをA、増幅トランジスタ202のゲインをA’とすると、増幅トランジスタ202のリセットノイズは、1/(1+A)1/2=1/〔1+A’×{C4/(Cfd+C4)}×(C3/Cfd)〕1/2に抑制される。このように、
図40に示す構成と比べてリセットノイズを大幅に抑制できる。
【0255】
ノイズの抑制に関して、典型的には、容量素子19の容量C3を大きくすると、ランダムノイズは低減される。しかし、電荷蓄積領域FDで信号電荷を電圧信号に変換するときに、信号レベルが小さくなってしまうので、結果としてS/Nは改善されない。しかしながら、本変形例によれば、電荷蓄積領域FDとRDとは容量素子21によって分離されているので、容量を大きくしても信号レベルは低下しない。よって、ランダムノイズだけが抑制されるので、S/Nが改善される。
【0256】
次に、本変形例による撮像装置100の読み出し動作を、
図41または
図42に示す駆動方法とは異なる点に着目して説明する。
【0257】
増幅器2Aには、制御信号線CON6が接続されている。原則として、制御信号線CON6には、
図41に示す制御信号線CON4と同じ信号が入力される。なお、制御信号線CON6の代わりに、第3の基準電圧VR3として第5の基準電圧を設定し、増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの他方の電圧を変化させても構わない。あるいは、RDノードを直接制御しても良い。ここで、第5の基準電圧は第2の基準電圧に対応する。
【0258】
また、制御信号線CON6には、
図42のCON4のように、増幅トランジスタ202のしきい値を跨ぎ、オン状態からオフ状態に除々に変化する電圧を入力してもよい。すなわち、時刻t29からt30において、第2の基準電圧から第3の基準電圧までの範囲内でしきい値電圧を跨ぐように、制御信号線CON6の電圧を徐々に変化させてもよい。または、時刻t29からt30において、制御信号線CON6の代わりに、第3の基準電圧VR3として第5の基準電圧から第6の基準電圧まで変化する電圧を設定し、増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの他方の電圧を変化させても構わない。あるいは、RDノードを直接制御しても良い。ここで、第6の基準電圧は基準電圧に対応する。
【0259】
本変形例によれば、容量素子19および容量素子21の効果により、
図40に示す構成と比べて、ノイズ抑圧率を大幅に向上させることができる。
【0260】
なお、2つの容量を配置することにより、ノイズ抑制効果は大きくなる。但し、配置面積も大きくなる。容量素子の有無、容量の絶対値に依存して抑制効果は変化するので、設計者は任意の構成、値を選択し、設計することが可能である。
【0261】
(第5の実施形態)
図44から
図50を参照して、本実施形態による撮像装置100の構造、機能および駆動方法を説明する。本実施形態による撮像装置100は、第4の実施形態による検出回路312にスイッチ部4Bを付加した点で、第4の実施形態による撮像装置100とは異なる。以下、第4の実施形態とは異なる点を中心に説明する。
【0262】
図44および
図45は、本実施形態による撮像装置100内の画素311の、例示的な回路構成を模式的に示す。画素311は、光電変換部4112Aおよび検出回路312を含む。検出回路312は、増幅器2B、電荷蓄積領域FD、スイッチ部4Bおよび出力選択部5Bを含んでいる。
【0263】
図46を参照しながら、検出回路312の構造および機能を詳細に説明する。
【0264】
図46は、検出回路312の回路構成の一例を模式的に示している。スイッチ部4Bは、スイッチトランジスタ401を含む。スイッチトランジスタ401のゲートには、制御信号線CON5が接続されている。スイッチトランジスタ401のソースおよびドレインの一方には、電荷蓄積領域FDが接続されている。スイッチトランジスタ401のソースおよびドレインの他方には、基準電圧VR4が接続される。増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの一方には、制御信号CON6が接続されている。
【0265】
次に、
図47を参照しながら、検出回路312の動作フローを説明する。
【0266】
図47は、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸において、上から順に、CON5は、制御信号線CON5の電圧を示す。CON6は、制御信号線CON6の電圧を示す。CON7は、選択制御信号線CON7の電圧を示す。
【0267】
(リセット期間)
時刻t28において、制御信号線CON5の電圧をハイレベルにして、スイッチトランジスタ401をオンにする。このとき、基準電圧VR4と電荷蓄積領域FDとが接続される。また、時刻t28において、選択制御信号線CON7の電圧はローレベルであり、選択トランジスタ501はオフ状態である。すなわち、信号読み出しライン7から、増幅トランジスタ203は電気的に切り離されている。この状態で、電荷蓄積領域FDが所望のリセット電圧VRST(=VR4)近傍の電圧になるように、制御信号CON6を第1の基準電圧に設定する。このとき、増幅トランジスタ202の帯域を、広帯域である第3の帯域に設定することにより、電荷蓄積領域FD、増幅トランジスタ202のゲートと、3の増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの他方は、高速に所望の電圧に設定される。
【0268】
電荷蓄積領域FDの電圧がリセット電圧VRSTに近いほど、最終的にノイズ抑制に要する時間が短くなるので、駆動時間を短縮できる。そのため、電荷蓄積領域FDの電圧がリセット電圧VRST近傍の電圧になるように、制御信号線CON6に電圧を与えることが望ましい。但し、駆動時間に余裕があれば、電圧の設定値はその限りではない。
【0269】
時刻t29において、制御信号線CON5の電圧をローレベルにして、スイッチトランジスタ401をオフし、基準電圧VR4と電荷蓄積領域FDとが切断されるようにする。
【0270】
(ノイズ抑制期間)
スイッチトランジスタ401がオフされ、基準電圧VR4と電荷蓄積領域FDとが切断された状態で、ノイズ抑制動作と、信号レベルまたはリセットレベルの読み出し動作とが実施される。
【0271】
時刻t29からt31の期間は、選択制御信号線CON7はローレベルのままであり、選択トランジスタ501をオフされている。すなわち、信号読み出しライン7と増幅トランジスタ203とは、電気的に切り離された状態のままである。この状態で、制御信号線CON6の電圧を第2の基準電圧に設定する。これにより、増幅トランジスタ202は、オンからオフに徐々に変更される。
【0272】
時刻t29からt31の期間において、増幅トランジスタ202の帯域が第3の帯域よりも狭い第4の帯域になるように、第2の基準電圧を設定する。これにより、増幅トランジスタ202の帯域を、自らの帰還ループで形成される増幅器2Bの帯域内に制限することが可能となる。さらに、増幅トランジスタ202において発生するリセットノイズを、全帯域において効率よく抑制することができる。
【0273】
ノイズが十分抑制された後、時刻t31において、制御信号線CON6の電圧を、増幅トランジスタ202が完全にオフとなる第4の基準電圧に変更する。これにより、増幅トランジスタ202による帰還ループは切断され、ノイズが抑制された状態で電荷蓄積領域FDの電圧は安定する。
【0274】
なお、本実施形態のノイズ抑制期間においても、
図18、
図33を用いて説明したテーパリセットを適用してもよい。
図48は、テーパリセットを適用した場合の、検出回路312の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図48に示すように、時刻t29からt30の期間に、制御信号線CON6の電圧を、第2の基準電圧から基準電圧までの範囲内で、増幅トランジスタ202がしきい値電圧を跨ぐように徐々に変化させてもよい。増幅トランジスタ202は、オン状態からオフ状態に除々に変化する。これにより、電荷蓄積領域FD内で発生するノイズを全帯域において抑制することができる。
【0275】
(露光/読み出し期間)
電荷蓄積領域FDのノイズが十分抑制され、電圧が安定した状態で、所望の期間において、電荷蓄積領域FDに信号電荷を蓄積させる。その後、時刻t32において、選択トランジスタ501をオンし、増幅トランジスタ203を信号読み出しライン7と電気的に接続する。これにより、増幅トランジスタ203と定電流源6とは、ソースフォロア回路を形成する。電荷蓄積領域FDに蓄積された信号電荷は、ソースフォロア回路で増幅され、信号読み出しライン7を介して、周辺回路(CDS回路、A/D回路等)に出力される。
【0276】
本実施形態によると、スイッチトランジスタ401を制御することにより、電荷蓄積領域FDを所望のリセット電圧VRSTに高速に設定することが容易になる。
【0277】
第4の実施形態においては、増幅器2Aのゲインを-A倍として、増幅トランジスタ201または増幅トランジスタ202で発生するリセットノイズを、帯域制限をかけながら帰還する。これにより、リセットノイズは1/(1+A)1/2倍に抑制される。
【0278】
これに対して、本実施形態によると、スイッチトランジスタ401がオフされた後に帰還をかけるので、スイッチトランジスタ401で発生するリセットノイズを1/(1+A)1/2に大幅に抑制できる。また、増幅トランジスタ202において発生するリセットノイズは、帯域制限をかけながら帰還することにより、1/(1+A)1/2まで抑制される。さらに、第4の実施形態の変形例と同様に、容量素子19の容量C3を電荷蓄積領域FDの容量Cfdよりも大きく設定することにより、増幅トランジスタ202で発生するkTCノイズを、(kT/C3)1/2<(kT/Cfd)1/2と小さくすることができる。また、容量素子21を電荷蓄積領域FDの容量Cfdよりも小さく設定することにより、電荷蓄積領域FDの容量Cfdと、容量素子21の容量C4との分圧によって、
電荷蓄積領域FDにおけるノイズ量をC4/(Cfd+C4)倍に減衰させることができる。
【0279】
本実施形態により得られる効果を、実施形態の
図40および
図43に示す構成により得られる効果と具体的に比較する。
図40に示す構成によれば、増幅器2AのゲインをA倍、増幅トランジスタ201のゲインをA’倍とすると、増幅トランジスタ201のリセットノイズは、1/(1+A)1/2=1/(1+A’)1/2に抑制される。これに対し
図43に示す構成によれば、増幅器2AのゲインをA、増幅トランジスタ202のゲインをA’とすると、増幅トランジスタ202のリセットノイズは、1/(1+A)1/2=1/〔1+A’×{C4/(Cfd+C4)}×(C3/Cfd)〕1/2に抑制される。このように、
図40に示す構成と比べてリセットノイズを抑制できる。
【0280】
一方、本実施形態によれば、増幅器2BのゲインをA倍、増幅トランジスタ202のゲインをA’倍とすると、スイッチトランジスタ401のリセットノイズは1/(1+A)=1/〔1+A’×{C4/(Cfd+C4)}〕に抑制される。また、増幅トランジスタ202のリセットノイズは、1/(1+A)1/2=1/〔1+A’×{C4/(Cfd+C4)}×(C3/Cfd)〕1/2に抑制される。トータルノイズは、これらの二乗和平方根から得られるので、第4の実施形態と比べてリセットノイズを大幅に抑制できる。
【0281】
本実施形態によれば、容量素子19および容量素子21の効果により、第4の実施形態と比べて、リセットノイズを大幅に抑制できる。また、スイッチ部4Bを設けることにより、リセットおよびノイズ抑制を高速に行うことが容易になる。
【0282】
このように、容量素子19、容量素子21およびスイッチ部4Bを設けることにより、大きなノイズ抑制効果が得られる。但し、配置面積も大きくなる。ノイズ抑制効果は、容量素子の有無、容量の絶対値に依存するので、設計者は任意の構成、容量の絶対値を選択し、設計することが可能である。
【0283】
以下、本実施形態による検出回路312の変形例を説明する。
【0284】
図49および
図50は、検出回路312の、他の例示的な回路構成を模式的に示している。
図49に示されるように、スイッチトランジスタ401のソースおよびドレインの一方が電荷蓄積領域FDに接続され、スイッチトランジスタ401のソースおよびドレインの他方が制御信号線CON6に接続されていてもよい。この構成により、基準電圧VR4を印加することなくリセットを実行でき、
図46に示す構成と同様の効果が得られる。
【0285】
また、スイッチ部4Bの他の変形例として、
図50に示されるように、スイッチトランジスタ401のソースおよびドレインの一方が電荷蓄積領域FDに接続され、ソースおよびドレインの他方が、容量素子19と容量素子21との接続点(すなわち、RD)に接続されていてもよい。この構成により、基準電圧VR4を印加することなくリセットを実行でき、
図46に示す構成と同様の効果が得られる。本構成によれば、特に、増幅トランジスタ202のゲートと、増幅トランジスタ202のソースおよびドレインの他方とを同一の電圧に設定することができるので、ノイズキャンセルの時間を短縮することが可能となる。
【0286】
なお、第1から第5の実施形態では、負帰還によるフィードバック回路30または30’の動作を説明したが、フィードバックはこれに限定されない。フィードバックに正帰還を追加することもできる。例えば、正帰還をかけた後で負帰還をかけてノイズを抑止してもよいし、その逆の順番でノイズを抑止してもよい。また、正帰還および負帰還を同時に
かけながらノイズを抑止してもよい。このように正帰還を併用することで、ノイズ抑制のさらなる高速化・効率化が期待される。
【0287】
図46、
図49、
図50において、光電変換部4112Aおよび増幅トランジスタ203を第1基板101に配置し、端子CON6および定電流源6を第2基板102に配置し、基板接続部CONを介してこれらを接続してもよい。これにより、信号の減衰を低減しつつ画素への信号伝達を行うことが可能となる。なお、第1基板101上のスイッチトランジスタ401のCON5への制御信号を、第2基板102上に配置した制御信号の生成回路から基板接続部CONを介して伝達するように構成してもよい。また、
図46において、基準電圧VR4を生成する回路を第2基板102上に配置し、基板接続部CONを介して第1基板101上のスイッチトランジスタ401に基準電圧VR4を伝達するように構成してもよい。
【0288】
(第6の実施形態)
図51は、実施の形態6に係る画素311の例示的な回路構成を示す。実施の形態6に係る画素311は、
図38A、
図38B示した実施形態と同様の動作を行う。増幅トランジスタSFは光電変換部4112Aと同様に第1基板101に配置されており、基板接続部CONにより、増幅トランジスタSFの両端が電気的に第2基板102と接続される。
【0289】
光電変換部4112Aは、シリコンイメージセンサのように第1基板101に設けられても良いが、有機イメージセンサのように、第1基板101に積層する形でも構わない。
【0290】
図52から
図54は、実施の形態6に係る画素311の、他の例示的な回路構成を示す模式図である。
【0291】
図52に示す構成では、光電変換部4112Aに転送トランジスタTXが接続される。これにより、光電変換部4112Aで発生した信号電荷をより低ノイズに電荷蓄積領域FDまで転送することが可能となる。
【0292】
図51に示すように、増幅トランジスタSFのゲートに接続される容量は、増幅トランジスタを配置している基板と同じ第1基板101に配置されてもよい。増幅トランジスタSFのゲートに接続される容量が、基板を跨いで配置されると、基板を跨ぐ際に寄生容量が付随する可能性があるためである。増幅トランジスタSFのゲートに接続される容量は、変換ゲインに寄与する。そのため、容量Ccや電荷蓄積領域FDへの寄生容量を小さくすることにより、変換ゲインを大きくすることができる。
【0293】
また、本実施形態で定電流源PCおよびNCは第2基板102に配置されるが、例えば定電流源PCを第1基板101に設け、定電流源NCを第2基板102に設けてもよい。あるいは、定電流源PCと定電流源NCを、それぞれ第1基板101と第2基板102との両方に設けてもよい。この場合、第1基板101に設けた定電流源PCと定電流源NCを、シャッタ用の電流源として、第2基板102に設けた定電流源PCと定電流源NCを読み出し用の電流源として、動作モードに応じて時間的に切り替えて使用しても良い。
【0294】
一方、第3から第5の実施形態に記載のように、容量Csの容量値を大きくすることで、より低ノイズ化が可能となる。そのため、
図53に示すように、容量Csを第2基板102に設けて、容量Csの面積を大きくすることにより、より大きな容量値を実現することが可能となる。その際、基板接続部CONにおいて容量Cpを接続させる構成としても良い。容量Csおよび容量Cpは、DMOS容量、MIM容量、MOS容量や、周辺構造とのフリンジング容量のいずれの構成をとってもかまわない。
【0295】
また、
図54に示すように、第1基板101上にも容量Cs1を設けつつ、容量Cs1に並列に接続されるように、第2基板102上に容量Cs2を設けてもよい。さらに、基板接続部CON同士の間を利用して、あるいは第1基板101と第2基板102との間を利用して容量Cpを設けても良い。その際、Cp作成のために、第1基板101と第2基板102との距離を少し空け、並行平板コンデンサとなるような構成をとることができる。
【0296】
図55、
図56は、第6の実施の形態に係る撮像装置100の例示的な断面を示す。
【0297】
図55は、第6の実施の形態に係る撮像装置100が、シリコンイメージセンサである場合の例示的な断面を示す模式図である。
図55において、第1基板101は、配線層14および配線層14上のシリコン基板11を含む。シリコン基板11上には、カラーフィルタ12およびマイクロレンズ13がこの順に積層されている。シリコン基板11には、フォトダイオード15、増幅トランジスタ200、転送トランジスタTX、および画素同士を分離する画素分離領域24が形成されている。配線層14は容量Ccを含む。第2基板102は、シリコン基板16およびシリコン基板16上の配線層17を含む。配線層17は容量Csを含む。
【0298】
図55において、第1基板101と第2基板102とは基板接続部CONで接続されている。基板接続部CONによる接続は、例えば、Cu-Cuのハイブリッドボンディング、金属バンプによる接続、TSVを用いた接続であってもよい。
図55では、裏面照射型のシリコンイメージセンサを第1基板101に設け、定電流源や容量Csを第2基板102に配置している。また、第1基板101と第2基板102との間隔を用いて容量Cpを実現している。本実施の形態では、1つの画素もしくは1つの画素ブロック毎に対して、2カ所以上の基板接続部CONを設けている。そのうち1か所の基板接続部CONを画素読み出しのために低容量化し、もう1方の基板接続部CONを、画素内に接続する容量のために大容量化して第2基板102と接続する。本実施の形態では、1つの画素もしくは1つの画素ブロック毎に対して、3カ所の基板接続部CONを設けてもよい。3か所のうち、容量Csに電気的に接続する基板接続部CONについては、容量Cpを接続させてもよい。また、3か所のうち、出力信号線314に電気的に接続する基板接続部CONについては、変換ゲインを高めるために容量が接続されないようにすることが望ましい。
【0299】
図56は、第6の実施の形態に係る撮像装置が、有機イメージセンサに代表されるような光電変換部積層型イメージセンサである場合の例示的な断面を示す模式図である。
図56において、第1基板101は、シリコン基板18、配線層19、光電変換部20がこの順に積層された積層体を含む。光電変換部20上には、カラーフィルタ12およびマイクロレンズ13がこの順に積層されている。光電変換部20は、画素電極21および対向電極23と、これらの電極に挟まれた光電変換層22とを含む。シリコン基板18には、増幅トランジスタ200および帯域制御トランジスタ300が形成されている。配線層19は容量Ccを含む。第2基板102は、シリコン基板16およびシリコン基板16上の配線層17を含む。配線層17は容量Csを含む。第1基板101と第2基板102とは、基板接続部CONで接続されている。基板接続部CONによる接続は、例えばTSVを用いた接続である。
図56に示される構成例も、
図55に示される構成例と同様に、1つの画素もしくは1つの画素ブロック毎に対して、2カ所以上の基板接続部CONを設けてもよい。
【0300】
(第7の実施形態)
図57、
図58は、第7の実施形態に係る積層体1000を例示的に示す模式図である。
【0301】
図57、
図58に示されるように、積層体1000は、第1基板101と第2基板102とを備える。第1基板101は第2基板102上に積層される。
【0302】
図57、
図58は、第1基板101と第2基板102との接続関係を示している。
【0303】
図57では、第1基板101においては、複数の画素311の代表として、2行×2列の合計4画素を図示している。4画素は、それぞれ、画素311A、画素311B、画素311C、画素311Dである。
【0304】
基板接続部CONにより第1基板101と第2基板102とが接続されている。第2基板102には、バイアス制御回路320と定電流源回路330が備えられている。なお、垂直走査回路350やアナログデジタル変換回路(列ADC回路とも呼ぶ)を、第2基板102に配置してもよい。それにより、垂直走査回路350および列ADC回路と画素間の、信号経路を短くすることができる。
【0305】
図57に示す構成では、画素毎に定電流源回路330A~330Dおよびバイアス制御回路320A~320Dが設けられている。定電流源回路330A~330Dは
図4に示す定電流源回路330と同じ回路構成であってもよく、その他の実施形態の回路構成であってもよい。同様に、バイアス制御回路320A~320Dは
図4に示すバイアス制御回路320と同じ回路構成であってもよく、その他の実施形態の回路構成であってもよい。これにより、
図57の構成では、画素毎に読み出しやリセット動作を設定できる。従来、CMOSイメージセンサの列並列動作では、読み出しだけでなく、電子シャッタ動作も行単位で行われていた。一方、本実施の形態では、画素毎に読み出しおよび電子シャッタ動作が可能となる。そのため、グローバルシャッタ動作が可能である。したがって、行単位での電子シャッタ動作や読み出し動作を行った場合に生じる、ローリングシャッタ歪みを回避することが可能である。
【0306】
図57に示す構成では、全画素同時に読み出し動作やリセット動作を行うことも可能であるし、特定の画素群のみを選択して読み出し動作やリセット動作を行うことも可能である。例えば2×2画素ブロック毎のシャッタや、2×2画素ブロックの行列番号(1,1)だけのリセットをとることも可能である。同時にリセットされる画素を一部の画素のみとすることで、消費電流の集中や、露光時間デッドタイムを減らしつつ、ローリングシャッタ歪みを軽減することも可能である。もちろん、ブロック毎の露光時間制御によるワイドダイナミックレンジ動作や、符号化露光、コンピュテーショナルフォトグラフィーへの応用も可能となる。
【0307】
また、列並列ADC動作を行うのではなく、ブロック毎や画素毎に読み出し動作とADC動作とを行うことで、行方向に相関を持ったランダム横線ノイズの課題を免れることができる。人間の目は、縦や横方向に相関があるパターンに敏感であるため、従来では、ランダム横線ノイズは、画素のランダムノイズより十分に小さくし視認できないようにする必要があった。これに対して、本実施形態のように、画素ブロック毎や画素毎に読み出しとADC動作とを行うことで、人間の目には、ADC起因のノイズが散らされて見えるため、ノイズ値自体の要望スペックが緩和されるというメリットがある。
【0308】
図58では、第2基板102に設けたバイアス制御回路320と定電流源回路330とを複数の画素で共有している様子を図示している。定電流源回路330は
図4に示す定電流源回路330と同じ回路構成であってもよく、その他の実施形態の回路構成であってもよい。同様に、バイアス制御回路320は
図4に示すバイアス制御回路320と同じ回路構成であってもよく、その他の実施形態の回路構成であってもよい。
【0309】
もちろん、共有化する画素は図示するように隣接画素同士でなくても良く、1画素置きや、カラーフィルタ配置に合わせて共通化してもよい。色毎にバイアス制御回路320をまとめることで、回路のミスマッチ起因による色ずれが緩和されるという効果が期待できる。
【0310】
また、共通化を切り替えるスイッチを第2基板102に設けて制御しても良い。
【0311】
(実施の形態8)
図59を参照して、本実施形態によるカメラシステム600を説明する。
【0312】
図59は、本実施形態によるカメラシステム600の構成例を模式的に示す。カメラシステム600は、レンズ光学系601と、撮像装置602と、システムコントローラ603と、カメラ信号処理部604とを備えている。
【0313】
レンズ光学系601は、例えばオートフォーカス用レンズ、ズーム用レンズおよび絞りを含んでいる。レンズ光学系601は、撮像装置100の撮像面に光を集光する。撮像装置602として、上述した第1の実施の形態から第7の実施形態による撮像装置100を広く用いることができる。
【0314】
システムコントローラ603は、カメラシステム600全体を制御する。システムコントローラ603は、例えばマイクロコンピュータによって実現され得る。
【0315】
カメラ信号処理部604は、撮像装置100からの出力信号を処理する信号処理回路として機能する。カメラ信号処理部604は、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理、およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。カメラ信号処理部604は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などによって実現され得る。
【0316】
本実施形態によるカメラシステム600によれば、第1の実施の形態から第7の実施形態による撮像装置100を利用することによって、読出時のリセットノイズ(kTCノイズ)を適切に抑制することができる。その結果、電荷を正確に読み出すことができ、良好な画像を取得できる。
【0317】
なお、本明細書において、ある素子が他の素子に「接続されている」と表現されている場合は、これらの素子の間には第3の素子が介在していてもよいことを意味する。ある素子が他の素子に「直接的に接続されている」と表現されている場合は、これらの素子の間には第3の素子が介在しないことを意味する。さらに、ある素子が他の素子に「電気的に接続されている」と表現されている場合は、これらの素子が常に電気的に接続されている必要はなく、少なくともある時点において電気的に接続されることを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0318】
本開示による撮像装置は、デジタルスチルカメラ、医療用カメラ、監視用カメラ、車載用カメラ、デジタル一眼レフカメラ、デジタルミラーレス一眼カメラなど、様々なカメラシステムおよびセンサシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0319】
1、4112A、4112B 光電変換部
6、6A、6B、8、433、433A、434、434A 定電流源
312、312B、412A、412B 検出回路
311、311A、311B、311C、311D、411A、411B、411D
画素
200、4121、4121A、4121B 増幅トランジスタ(第1トランジスタ)
300、4111A、4111B 帯域制御トランジスタ(第2トランジスタ)
500、4122、4122A、4122B 選択トランジスタ(第3トランジスタ)
30 フィードバック回路
320 バイアス制御回路
101 第1基板
102 第2基板
1000 積層体