(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010166
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】二次電池モジュール、およびそれによって実行する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20230113BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20230113BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114106
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】川崎 洋志
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA03
5G503BB02
5G503EA08
5G503GD05
5H030AA03
5H030AA10
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】組電池を構成する複数の単電池と制御装置との間で光信号が重ならずにかつ任意のタイミングで送受信されるようする。
【解決手段】複数の単電池の各々に備えられた第1の光通信部と、複数の単電池に備えられ、第1の光通信部を制御する制御装置と、複数の単電池を各々に制御する外部制御装置に備えられた第2の光通信部と、第1の光通信部と第2の光通信部との間に設けられた光導波路とを備えた二次電池モジュールにおいて、第1の光通信部と第2の光通信部とが光導波路を介して双方向通信を行うよう構成され、外部制御装置が、制御装置をスレーブとして管理するマスターとして動作するように構成した。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単電池が積層された組電池と、
前記複数の単電池の各々に備えられた第1の光通信部と、
前記複数の単電池に備えられ、前記第1の光通信部を制御する制御装置と、
前記複数の単電池を各々に制御する外部制御装置と、
前記外部制御装置に備えられた第2の光通信部と、
前記第1の光通信部と前記第2の光通信部との間に設けられた光導波路と
を備え、
前記第1の光通信部と前記第2の光通信部とが前記光導波路を介して双方向通信を行うよう構成され、
前記外部制御装置が、前記制御装置をスレーブとして管理するマスターとして動作するように構成された、二次電池モジュール。
【請求項2】
前記双方向通信は、半二重通信である、請求項1に記載の二次電池モジュール。
【請求項3】
前記第1の光通信部の各々は、
固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを有し、
前記固有の受光タイミングで前記光導波路からの光を受光することにより光信号を受信し、
前記受信した光信号が所定のコードに一致することを条件に、前記固有の発光タイミングで前記光導波路へ光を放射して光信号を送信する
ように構成された、請求項1又は2に記載の二次電池モジュール。
【請求項4】
前記第2の光通信部は、
可変発光タイミングおよび可変受光タイミングを有し、
前記可変発光タイミングを前記第1の光通信部の前記固有の受光タイミングに一致させて前記光導波路へ光を放射することにより前記所定のコードを送信し、
前記可変受光タイミングを前記第1の光通信部の前記固有の発光タイミングに一致させて前記光導波路からの光を受光することにより光信号を受信する
ように構成された、請求項3に記載の二次電池モジュール。
【請求項5】
前記第2の光通信部は、前記複数の単電池の各々に対して、
前記可変発光タイミングを順次変更して、前記光導波路へ光を放射することにより前記所定のコードを送信し、
前記所定のコードを送信した前記可変発光タイミングに前記可変受光タイミングを一致させて前記光導波路からの光を受光することにより光信号を受信し、
前記所定のコードを送信した前記可変発光タイミングに一致させた前記可変受光タイミングで、前記光信号を受信することを条件に、前記所定のコードを送信した前記可変発光タイミングが前記第1の光通信部の前記固有の受光タイミングであると決定する
ようにさらに構成された、請求項4に記載の二次電池モジュール。
【請求項6】
前記第2の光通信部は記憶部を有し、
前記第2の光通信部は、決定した前記第1の光通信部の前記固有の受光タイミングを前記記憶部に記憶するようにさらに構成された、請求項5に記載の二次電池モジュール。
【請求項7】
前記所定のコードは前記第1の光通信部の前記固有の発光タイミングおよび前記固有の受光タイミングを設定する設定コードを含み、
前記第1の光通信部の各々は、
前記受信した光信号が前記所定のコードに一致することを条件に、前記所定のコードに含まれる前記設定コードに基づいて、当該第1の光通信部の前記固有の発光タイミングおよび前記固有の受光タイミングを設定する
ようにさらに構成された、請求項3に記載の二次電池モジュール。
【請求項8】
前記設定コードがリセットコードである、請求項7に記載の二次電池モジュール。
【請求項9】
前記設定コードが前記固有の発光タイミングおよび前記固有の受光タイミングのオフセットを示す、請求項7に記載の二次電池モジュール。
【請求項10】
前記第1の光通信部の各々は固有の識別コードを有し、
前記所定のコードは前記固有の識別コードを含む、請求項3から9のいずれか一項に記載の二次電池モジュール。
【請求項11】
前記所定のコードは誤り検出符号を含む、請求項10に記載の二次電池モジュール。
【請求項12】
前記組電池が全樹脂電池である、請求項1から11のいずれか一項に記載の二次電池モジュール。
【請求項13】
前記第1の光通信部が対応する単電池を電源とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の二次電池モジュール。
【請求項14】
複数の単電池が積層された組電池と、前記複数の単電池の各々に備えられた第1の光通信部と、前記複数の単電池に備えられ、前記第1の光通信部を制御する制御装置と、前記複数の単電池を各々に制御する外部制御装置と、前記外部制御装置に備えられた第2の光通信部と、前記第1の光通信部と前記第2の光通信部との間に設けられた光導波路とを備え、前記第1の光通信部と前記第2の光通信部とが前記光導波路を介して双方向通信を行うよう構成され、前記外部制御装置は、前記制御装置をスレーブとして管理するマスターとして動作するように構成された二次電池モジュールにおいて実行する方法であって、前記第1の光通信部の各々は固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを有し、前記第2の光通信部は可変発光タイミングおよび可変受光タイミングを有し、前記方法は、
前記第2の光通信部が、前記可変発光タイミングを前記第1の光通信部の前記固有の受光タイミングに一致させて前記光導波路へ光を放射することにより所定のコードを送信することと、
前記第1の光通信部の各々が、前記固有の受光タイミングで前記光導波路からの光を受光することにより光信号を受信することと、
前記第1の光通信部の各々が、前記受信した光信号が前記所定のコードに一致することを条件に、前記固有の発光タイミングで前記光導波路へ光を放射することにより光信号を送信することと、
前記第2の光通信部が、前記可変受光タイミングを前記第1の光通信部の前記固有の発光タイミングに一致させて前記光導波路からの光を受光することにより光信号を受信することと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車およびハイブリッド電気自動車等の電源や携帯型電子機器の電源としてリチウムイオン電池等で構成された複数の単電池を積層した組電池が用いられている。このような組電池を充電する場合、過充電状態になる単電池が存在することがないように充電管理を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、直列に接続された単電池を含む電池モジュールの両端に、発光ダイオードを含む過充電発熱回路を並列に接続し、過充電が生じたときに発光ダイオードの発光が共通の光ファイバーにより受光ダイオードに送られることが開示されている(例えば、特許文献1の第0012、0023-0024段落、第5図参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成は、単電池に過充電が生じて対応する発光ダイオードに通電が生じると発光する構成であるため、任意のタイミングで発光ダイオードを発光させて温度や電圧などの特性を通知させることができない。また、特許文献1の構成は、複数の発光ダイオードの発光が共通の光ファイバーにより受光ダイオードに送られる構成であるため、共通の光ファイバー上で重なった複数の発光ダイオードの発光を分離するための追加の処理を必要とする。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、組電池を構成する複数の単電池の各々から光信号が、光導波路上で重ならずに、かつ任意のタイミングで送受信されるようにした、二次電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明の一実施形態は、複数の単電池が積層された組電池と、複数の単電池の各々に備えられた第1の光通信部と、複数の単電池に備えられ、第1の光通信部を制御する制御装置と、複数の単電池を各々に制御する外部制御装置と、外部制御装置に備えられた第2の光通信部と、第1の光通信部と第2の光通信部との間に設けられた光導波路とを備え、第1の光通信部と第2の光通信部とが光導波路を介して双方向通信を行うよう構成され、外部制御装置が、制御装置をスレーブとして管理するマスターとして動作するように構成された、二次電池モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明の一実施形態の二次電池モジュールによれば、組電池を構成する複数の単電池の各々から光信号が、光導波路上で重ならずに、かつ任意のタイミングで送受信されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの一部を切り欠いた斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの一部の概略断面構造を示す図であり、(a)は単電池の概略断面構造を示す図であり、(b)は二次電池モジュールの一部の概略断面構造を説明する図であり、(c)は(b)の変形例を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの制御装置の構成の概略を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの制御装置の機能ブロックを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの単電池に備えられた光通信装置の構成の概略を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの動作を説明するフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールにおいて送受信される信号を示す図であり、(a)は制御装置から送信される信号を説明する図であり、(b)~(d)は単電池の光通信装置で受光される信号を説明する図である。
【
図8】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの動作を説明するフローチャートである。
【
図9】本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。同一または類似の符号は、同一または類似の要素を示すものとし、繰り返しの説明を省略する場合がある。以下に説明される数値および材料は例示であり、したがって、本発明の実施形態は、その要旨を逸脱しない範囲で他の数値および材料を用いて実施することができることは言うまでもない。
【0011】
本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールは、組電池を構成する積層された複数の単電池と、複数の単電池の各々に備えられた複数の光通信装置および当該複数の光通信装置を制御する制御装置と、複数の単電池を各々に制御する制御装置と、制御装置に備えられた光通信装置と、複数の単電池に備えられた複数の光通信装置と制御装置に備えられた光通信装置との間に設けられた光導波路とを含む。二次電池モジュールは、複数の単電池の各々に備えられた制御装置(複数の光通信装置を制御する)と、複数の単電池の各々に備えられた制御装置とを含む。複数の単電池の各々に備えられた制御装置に対して、複数の単電池を各々に制御する制御装置を外部制御装置ともいう。外部制御装置は、複数の単電池の各々に備えられた制御装置をスレーブとして管理するマスターとして動作するように構成されている。このような構成により、マスターとして動作する外部制御装置が、スレーブとして管理する制御装置を介して、各単電池に備えられた光通信装置からの光信号の送信を制御することにより、各単電池からの光信号が、光導波路上で重ならずに、かつ任意のタイミングで送受信されるようにできる。以下に説明する一例では、各単電池に備えられた通信装置は、固有の識別コード、ならびに固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを有している。各単電池に備えられた通信装置は、固有の受光タイミングで光導波路からの光を受光することにより光信号を受信し、固有の発光タイミングで光導波路へ光を放射することにより光信号を送信するように構成されている。さらに、各単電池に備えられた通信装置は、受信した光信号が固有の識別コードに一致することを条件に、固有の発光タイミングで光導波路へ光を放射して光信号を送信するように構成されている。制御装置に備えられた光通信装置は、可変発光タイミングおよび可変受光タイミングを有している。制御装置に備えられた光通信装置は、可変発光タイミングを、複数の単電池のうちから選択される単電池に備えられた光通信装置の固有の受光タイミングに一致させて光導波路へ光を放射することにより単電池に備えられた光通信装置の固有の識別コードを送信するように構成されている。また、制御装置に備えられた光通信装置は、可変受光タイミングを、複数の単電池のうちから選択される単電池に備えられた光通信装置の固有の発光タイミングに一致させて光導波路からの光を受光することにより光信号を受信するように構成されている。
【0012】
図1は本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの一部を切り欠いた斜視図である。本実施形態の二次電池モジュールは、例えば、リチウムイオン電池モジュールである。より好適には、安全性が高く、要求される監視密度が低い(温度や電圧の状態を測定した情報を収集する頻度が低い)、全樹脂電池である。以下、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールをリチウムイオン電池モジュールで構成する例を説明する。
【0013】
図1に示すように、リチウムイオン電池モジュール1は積層された複数の単電池30を有する。また、リチウムイオン電池モジュール1は、発光部20の発光面および受光部21の受光面に隣接または近接して配置された光導波路60を有する。さらに、リチウムイオン電池モジュール1は複数の単電池30および光導波路60を収容する外装体70を有する。
【0014】
積層された複数の単電池30は組電池50を構成している。
図1は、5つの単電池30を積層した形態を示しているが、単電池の積層数は5より多くても、または5より少なくてもよい。一実装例では、単電池30の積層数は20以上であり得る。
【0015】
組電池50の最上面の負極集電体の上には導電性シートが設けられている。導電性シートの一部が外装体70から引き出されて引出配線57となっている。また、組電池50の最下面の正極集電体の下には導電性シートが設けられている。導電性シートの一部が外装体70から引き出されて引出配線59となっている。
【0016】
各単電池30は、当該単電池の測定された温度や電圧などの特性を光信号で外部に送信するための発光部20と、外部からの光信号を受信するための受光部21とを有する。
【0017】
光導波路60は、入射し伝搬した光信号が出射する光入出力部を有する。一実装例では、1つの光導波路60に隣接または近接して配置された20個以上の単電池30の各々に備えられた発光部20からの発光が、光学的に結合され、光入出力部から出射する。本実施形態において、光導波路60の一部は、外装体70から引き出されて、光入出力部となっている。光入出力部から出射した光信号は、受光部80により受信される。また、光導波路60は、発光部81から光入出力部へ入射した光信号が伝搬する。このように1つの光導波路60を介して、外部の受光部80および発光部81と複数の単電池30の発光部20および受光部21とが半二重通信による双方向通信を行う。2つの光導波路60のペアを用いて、すなわち外部の発光部81から複数の単電池30の受光部21への通信のための1つの光導波路60および複数の単電池30の発光部20から外部の受光部80への通信のためのもう1つの光導波路60を用いて、外部の受光部80および発光部81と複数の単電池30の発光部20および受光部21とが全二重通信による双方向通信を行ってもよい。なお、光入出力部を含む光導波路60の全体は外装体70の内部に収容されていてもよい。光導波路60の全体を外装体70の内部に収容する場合、光入出力部から出射した光信号は、外装体70の内部に配置された受光部80により受信され、また外装体70の内部に配置された発光部81から入射した光信号が単電池30に向かって伝搬する。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの概略断面構造を示す図であり、(a)は単電池の概略断面構造を示す図であり、(b)は二次電池モジュールの概略断面構造を説明する図であり、(c)は(b)の変形例を説明する図である。
【0019】
図2(a)に示すように、各単電池30は、下から順に正極集電体17と、正極活物質層15と、セパレータ14と、負極活物質層16と、負極集電体19とを積層したものである。また、単電池30は、略矩形平板状の正極集電体17の表面に正極活物質層15が形成された正極12と、同様に略矩形平板状の負極集電体19の表面に負極活物質層16が形成された負極13とが、略平板状のセパレータ14を介して積層されて形成されている。単電池30は、正極集電体17と負極集電体19との間に環状の枠部材18を配置し、当該枠部材により、正極集電体17と負極集電体19の間にセパレータ14の周縁部を固定するとともに、正極活物質層15、セパレータ14および負極活物質層16を封止している。
【0020】
図2(a)には、配線基板22に配置された発光部20および受光部21が示されている。配線基板22、発光部20および受光部21は、単電池30が備える光通信装置を構成する。配線基板22に発光部20および受光部21を制御する制御回路23の他、電圧センサや温度センサを配置してもよい。例えば、受光部21および発光部20の一部は、枠部材18の外部と接する面から露出するように、枠部材18内に埋め込まれて、絶縁樹脂26で固定されている。枠部材18の外部と接する面は、単電池30の積層方向に略平行な側面であってもよく、または当該側面に開口部を有し当該側面から単電池30へ向かう凹部の面(単電池30の積層方向に略垂直な面または略平行な面)であってもよい。受光部21の受光面の少なくとも一部および発光部20の発光面の少なくとも一部、または受光面を含む受光部21の少なくとも一部および発光面を含む発光部20の少なくとも一部が枠部材18の外部と接する面から露出するように配置することで、光信号が枠部材18に遮られずに外部へ送出される。
【0021】
組電池50内において隣り合う2つの単電池30は、一方の単電池30の負極集電体19の上面と他方の単電池30の正極集電体17の下面が隣接するように積層されている。
【0022】
図2(b)は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの一部の概略断面構造を示す図である。
図2(b)は、光導波路60の一部が外装体70から引き出されて光入出力部となる構造を例示する。
図2(b)に示すように、単電池30の積層方向に延伸した光導波路60は、発光部20の発光面および受光部21の受光面に隣接または近接して配置される。光導波路60は、例えば、光ファイバーとしてもよく、発光部20からの光信号を受光するのに十分な幅(単電池の積層方向に直交する方向の長さ)を有する導光板としてもよい。光導波路60を導光板で構成する場合、光導波路60の幅方向寸法を発光部20の発光面および受光部21の最大寸法(発光面および受光面が円形の場合は直径、矩形の場合は対角線)よりも大きくするとよい。
図2(b)は、導光板を用いて光導波路60を構成した場合を示している。
【0023】
光導波路60として導光板を用いる場合、複数の発光部20の発光面および受光部21の受光面(各々が積層された複数の単電池30に対応する)のすべてを覆うように光導波路60を配置することができる。また、発光部20の発光方向および受光部21の受光方向(発光面および受光面の鉛直方向に一致する場合ならびに発光面および受光面の鉛直方向から傾斜している場合を含む)を覆うように光導波路60を配置することができる。
【0024】
このように光導波路60として導光板を用いる場合、光導波路60として光ファイバーを用いる場合に比べて、発光部20から出力された光信号が導光板に入射し易くなるとともに導光板から出力された光信号が受光部21に入射し易くなり、これにより、発光部20および受光部21と光導波路60との間に光信号を集光するためのレンズなどの追加部品が必要なくなる、光導波路の位置決めの手間が削減される、または位置ずれの許容量が増大される。勿論、光導波路60としての導光板と発光部20および受光部21との間の光信号の結合効率を高めるために、レンズなどの追加部品を用いてもよく、集光加工を施した導光板を用いてもよい。レンズなどの追加部品および集光加工を施した導光板の一方または双方を用いる場合であっても、光導波路60として光ファイバーを用いる場合に比べ、位置決めの手間の煩雑性が削減される、または位置ずれ許容量が増大される。単電池の積層方向に延伸した光導波路60を例示するが、単電池の積層方向に直交する方向に延伸した光導波路60を用いることも可能である。この場合、光導波路60としての導光板は、複数の発光部20の発光面および受光部21の受光面のすべてを覆うことが可能である。
【0025】
図2(b)に示すように、光導波路60は、発光部20から光信号を受光する表面の位置に対応する裏面の位置にまたは受光部21の受光面へ光信号を出射する表面の位置に対応する裏面の位置に、散乱加工60aが施されている。散乱加工60aは、隣接または近接する発光部20の発光面および受光部21の受光面に対応する位置に施されている。散乱加工60aは、例えば、凹凸加工であり得る。光導波路60に入射し散乱加工60aにより散乱した光信号の一部は、光出力部の方向に伝搬する。
【0026】
また、光導波路60は、曲げ部分に反射加工60bが施されており、これにより曲げ部分により散乱した光信号を光入出力部の方向へ反射することができる。また、光導波路60の光入出力部となる端部と反対の端部および曲げ部分に反射加工60bが施されており、これにより凹凸加工により光入出力部の方向と反対方向に散乱した光を、光入出力部の方向へ反射することができる。
【0027】
図2(c)は、
図2(b)の変形例である、光入出力部を含む光導波路60の全体が外装体70の内部に収容される構造を例示する。光導波路60の全体を外装体70の内部に収容する場合、
図2(b)に示すような光導波路60に示すようや引き出し部が不要となる。外装体70内の光入出力部から出射した光信号は、外装体70の内部に光導波路60に隣接して配置された受光部80により受信され、また外装体70の内部に光導波路60に隣接して配置された発光部81から入射した光信号が単電池30に向かって伝搬する。受光部80により受信された光信号は、電気信号に変換されて引出配線82を介して、外装体70の外部の制御部90へ送信される。また、外装体70の外部の制御部90からの電気信号は、引出配線83を介して外装体70の内部へ送信され、発光部81により光信号に変換される。
【0028】
図3は、本発明に一実施形態にかかる二次電池モジュールの制御装置の構成の概略を示す図である。制御装置100は、制御基板(不図示)に配置された制御部90と、受光部80と、発光部81とを備えている。制御装置100は、基板上に水晶発振器(不図示)などの発振器を備え、制御部90へ比較的高精度のクロックを供給する。制御装置100は、リチウムイオン電池モジュール1から電力を供給されてもよく、他の電源から電力を供給されてもよい。
【0029】
制御部90は、後述するように発光部81の可変発光タイミングおよび受光部80の可変受光タイミングを制御する。制御部90は、汎用プロセッサでもよく、専用プロセッサでもよい。プロセッサは、記憶装置を内蔵してもよく、外部の記憶装置(不図示)と協同してもよい。
【0030】
発光部81は、LED素子などを用いて構成することができる。受光部80は、フォトダイオード、フォトトランジスタなどを用いて構成することができる。発光素子であるLED素子を受光素子として用いて受光部80を構成してもよい。発光部81および受光部80は、光通信装置を構成する。
【0031】
発光部81の発光のONからOFFまでの時間間隔(発光部81から送信される1つの光パルスのパルス幅に相当する)は、制御部90によって制御され可変である。ここでは、可変発光タイミングという。また、受光部80による光のサンプリングのONからOFFまでの時間間隔(1つの光パルスのパルス幅に相当する)は、制御部90によって制御され可変である。ここでは、可変受光タイミングという。
【0032】
図4は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの制御装置の機能ブロックを示す図である。制御部90は、発光タイミング設定部91、受光タイミング設定部92、単電池選択部93、単電池情報記憶部94、単電池タイミング測定部95、および単電池タイミング設定部96として機能する。
【0033】
発光タイミング設定部91は、光信号を送信するために発光部81の可変発光タイミングを設定する。受光タイミング設定部92は、光信号を受信するために受光部80の可変受光タイミングを設定する。
【0034】
単電池情報記憶部94は、組電池50を構成する複数の単電池30の情報を記憶する。単電池30の情報は、例えば、各単電池の光通信装置が有する固有の識別コード、固有の発光タイミング、および固有の受光タイミングなどを含む。
【0035】
単電池選択部93は、複数の単電池30のうちから光信号を送受信する対象を選択する。単電池選択部93は、単電池情報記憶部94から選択した単電池30の光通信装置の固有の識別コード、固有の発光タイミング、または固有の受光タイミングを読み出し、発光タイミング設定部91または受光タイミング設定部92へ供給する。
【0036】
単電池タイミング測定部95は、
図8を参照して説明する方法により、単電池30の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを測定する(決定する)。単電池タイミング測定部95は、単電池30の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを単電池情報記憶部94に記憶する。
【0037】
単電池タイミング設定部96は、
図9を参照して説明する方法により、組電池50を構成する複数の単電池30の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを設定する。複数の単電池30の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングが重複しないように、調整される。単電池タイミング設定部96は、設定した単電池30の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを単電池情報記憶部94に記憶する。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの単電池に備えられた光通信装置の構成の概略を示す図である。通信装置は、配線基板22に配置された制御回路23、発光部20、および受光部21により構成される。通信装置は、対応する単電池30を電源として駆動する。配線基板22には、単電池の測定された温度や電圧を測定するセンサ(不図示)も配置され得る。
【0039】
制御回路23は、受光部21を介して受信する制御装置100から所定のコードに応答して、光信号を送信するように発光部20を制御する。制御回路23は、CR(コンデンサ、抵抗)発振器を備えたマイクロコントローラで構成することができる。CR発振器は、水晶発振器に比べ消費電力が小さいため、電源である単電池30の電力の消費量を小さくできる。CR発振器の精度は、水晶発振器の精度よりも低く、ばらつきが大きい。本実施形態では、CR発振器の精度の特徴を利用する。また、制御回路23は、受光部21を介して受信する制御装置100から所定のコード(リセットコード)に応答して、発信器をリセットしてもよい。または制御回路23は、受光部21を介して受信する制御装置100から所定のコード(設定コード)に応答して、受光部21の受光タイミングおよび発光部20の発光タイミングを設定してもよい。
【0040】
発光部20および受光部21は、発光部81および受光部80と同様に構成することができる。組電池50を構成する複数の単電池の通信装置のCR発振器の発信周波数に異なるため、各光通信装置の発光部20の発光タイミング(発光のONからOFFまでの時間間隔(発光部20から送信される1つの光パルスのパルス幅))および受光部21の受光タイミング(光のサンプリングのONからOFFまでの時間間隔(1つの光パルスのパルス幅))は、CR発振器の精度に応じた固有のタイミングとなる。また、リセットコードに応答して制御回路23が発振器をリセットすると発光部20の固有の発光タイミングおよび受光部21の固有の受光タイミングもリセットされる。CR発振器の精度に依存せずに、設定コードに応答して制御回路23が、各通信装置の発光部20の発光タイミングおよび受光部21の受光タイミングが互いに異なるように、固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを設定してもよい。制御装置100から単電池30の光通信装置への設定コードがオフセットを示してもよい。1つの発光部20の発光タイミングおよび受光部21の受光タイミングは等しくなるが、異なるように設定してもよい。
【0041】
なお、二次電池モジュールの単電池に備えられた光通信装置は、対応する単電池30を電源として駆動するように構成されることを説明したが、受光部21により光信号から変換された電気信号の電力を電源として駆動するように構成されてもよい。例えば、受光部21により光信号から変換された電気信号の電力を蓄電するためのコンデンサ(不図示)を配線基板22に設け、蓄電した電力を光信号から変換された電気信号の電力を使用して、制御回路23に含まれる素子を駆動してもよく、発光部20を駆動して光信号を送信するようにしてもよい。この場合は、制御装置100から、光信号の送信を介して、単電池に備えられた光通信装置を駆動するための電力を供給でき、当該光通信装置による単電池の電力の消費を減らすことが可能となる。
【0042】
図6は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの動作を説明するフローチャートである。
図6に示す動作により、制御装置100は、組電池を構成する複数の単電池30の各々から光信号が、光導波路上で重ならずに、かつ任意のタイミングで送受信されるようになる。
図6において、制御装置100が光信号を送受信する対象を単電池30
1として示し、残りを単電池30
k(k≠1)として示している。
【0043】
S501において、制御装置100(単電池選択部93)が、単電池301を選択する。
【0044】
S502において、制御装置100(単電池選択部93)が、単電池情報記憶部94から選択した単電池301の光通信装置の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを読み出す。
【0045】
S503において、制御装置100(発光タイミング設定部91)が、制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングを読み出した固有の受光タイミングに設定して、発光部81を介して所定のコード(光信号)を送信する。その後、S508へ進む。例えば、所定のコードは、複数の単電池30の光通信装置に既知の任意のコードを含んでよく、加えてまたは追加して、選択した単電池301の光通信装置の固有の識別コードを含んでもよい。所定のコードは、単電池30の光通信装置における検出精度を向上するために誤り検出符号を含んでもよい。
【0046】
図7(a)は、S503において、可変発光タイミングを選択した単電池30
1の固有の受光タイミングに一致させて送信された光信号を模式的に示している。光信号は、1010101の光パルス列から構成され、各光パルスのパルス幅は、単電池30
1の光通信装置の固有の受光タイミング(受光部21でサンプリングされて復号される光パルス列の各光パルスのパルス幅)に一致している。
【0047】
S508において、制御装置100(制御部90)は所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間が経過した場合には、S503へ戻る。
【0048】
S504において、単電池301および30kの受光部21はそれぞれ、光を受光して固有の受光タイミングで復号する。
【0049】
図7(b)は、単電池30
1の受光部21で受光して復号された光パルス列を模式的に示している。復号された各光パルスのパルス幅は、
図7(a)に示した光パルス列の各光パルスのパルス幅と一致している。
図7(c)および
図7(d)は、単電池30
kの受光部21で受光して復号された光パルス列を模式的に示している。単電池30
1の光通信装置の固有の受光タイミングと異なる単電池30
kの光通信装置の固有の受光タイミングで復号された各光パルスのパルス幅は、
図7(a)に示した光パルス列の各光パルスのパルス幅と一致しない。
【0050】
S505において、単電池301および30kの制御回路23は、復号された光信号が既知の所定のコードと一致するかどうかを判定する。
【0051】
復号された光信号が既知の所定のコードと一致する場合(S505のYES)、S506へ進み、単電池301の制御回路23は、固有の発光タイミングで発光部20を介して光信号を送信する。
【0052】
復号された光信号が既知の所定のコードと一致しない場合(S505のNO)、S507へ進み、単電池30kの制御回路23は、光信号を送信しない。
【0053】
S509において、制御装置100(受光タイミング設定部92)が、制御装置100の光通信装置の可変受光タイミングを読み出した固有の発光タイミングに設定して、受光部80を介して信号(光信号)を受信する。
【0054】
以上、
図6を参照して説明した動作により、制御装置100は、組電池を構成する複数の単電池30のうちから選択した単電池との間で、任意のタイミングでかつ光信号が光導波路上で重ならずに光信号を送受信できる。
【0055】
図8は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの動作を説明するフローチャートである。
図8を参照して、単電池30の光通信装置の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを測定して(決定して)、単電池情報記憶部94に記憶する動作を説明する。
図8の動作は、単電池30の光通信装置の未知の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを、試行錯誤的に測定する(決定する)動作である。
図8の動作は、
図6のS502において選択した単電池の固有のタイミングを読み出す動作よりも前、または、当該動作の追加動作もしくは代替動作として行うことができる。
図8の動作により、単電池30
1の光通信装置の未知の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングが測定される(決定される)場合を説明する。
【0056】
S701において、制御装置100(発光タイミング設定部91)が、制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングを選択または変更する。光通信装置の可変発光タイミングおよび可変受光タイミングは、例えば、制御装置100に備えられた水晶発振器などの比較的高精度のクロックに基づいて設定され得る最小値から最大値までとすることができる。可変発光タイミングおよび可変受光タイミングの最小値から最大値の間に、水晶発振器よりも精度の低いCR発振器に基づく単電池30の光通信装置の固有の発光タイミングおよび受光タイミングが含まれる。この場合、S701において、可変発光タイミングの最小値から最大値までを順に選択する(変更する)ことができる。
【0057】
S702において、制御装置100(発光タイミング設定部91)が、選択した(変更した)制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングを設定し、発光部81を介して所定のコード(光信号)を送信する。その後、S707へ進む。所定のコードは、
図6のS503と同様に、例えば、複数の単電池30の光通信装置に既知の任意のコードを含んでよく、加えてまたは追加して、測定対象の単電池30
1の光通信装置の固有の識別コードを含んでもよい。さらに所定のコードは、単電池の光通信装置における検出精度を向上するために誤り検出符号を含んでもよい。S702において送信された光信号は、
図7(a)と同様であるとする。
【0058】
S707において、制御装置100(制御部90)は所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間が経過した場合には、S701へ戻る。
【0059】
S703において、単電池301および30kの受光部21はそれぞれ、光を受光して固有の受光タイミングで復号する。
【0060】
S704において、単電池301および30kの制御回路23は、復号された光信号が既知の所定のコードと一致するかどうかを判定する。
【0061】
S704において、復号された光信号が
図7(b)に示した光パルス列となり、所定のコードと一致する場合(S704のYES)、S705へ進む。
【0062】
S704において、復号された光信号が
図7(c)または
図7(d)に示した光パルス列となり、既知の所定のコードと一致しない場合(S704のNO)、S706へ進み、単電池30
1(k≠1)の制御回路23は、光信号を送信しない。
【0063】
S705において、単電池301の制御回路23は、固有の発光タイミングで発光部20を介して光信号を送信する。単電池301の制御回路23は、固有の識別(ID)コードを光信号として送信して、光信号が単電池301から送信されていることを明示することができる。
【0064】
S708において、制御装置100(受光タイミング設定部92)は、S701で選択した(変更した)制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングを設定し、受光部80を介して信号(光信号)を受信する。
【0065】
S708で信号を受信することを条件に、S709において、制御装置100(単電池タイミング測定部)は、S701で選択した(変更した)制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングおよび可変受光タイミングが、単電池301の光通信装置の固有の受光タイミングおよび固有の発光タイミングであると決定し、単電池301の光通信装置の固有の識別(ID)コードと関連付けて単電池情報記憶部94に記憶する。
【0066】
S710において、制御装置100(単電池タイミング測定部)は、全ての単電池30の光通信装置の固有の識別(ID)コードを固有の発光タイミングおよび受光タイミングと関連付けて記憶したかどうかを判定する。全ての単電池30の光通信装置の固有の識別(ID)コードが記憶されていない場合(S710のNO)、S701へ戻る。全ての単電池30の光通信装置の固有の識別(ID)コードが記憶された場合、
図8に示す動作を終了する。
【0067】
以上、
図8を参照して説明した動作により、制御装置100は、組電池を構成する複数の単電池30の固有の発光タイミングおよび固有の受光を既知とすることができる。
【0068】
図9は、本発明の一実施形態にかかる二次電池モジュールの動作を説明するフローチャートである。
図9を参照して、制御装置100が特定の単電池の光通信装置へ設定コードを含む所定のコードを単電池30の光通信装置へ送信することにより、単電池30の光通信装置の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを設定する動作を説明する。
図9の動作は、設定コードをリセットコードとした場合には、単電池30の光通信装置のCR発振器などの発振器のリセットを通じて、単電池30の光通信装置の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングをリセットすることを可能にする。また、
図9の動作は、設定コードを固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングのオフセットを示すようにした場合には、
図9の動作は、CR発振器などの発振器の精度に依存せずに、複数の単電池30の光通信装置の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを互いに異なるように設定することを可能にする。
図9の動作により、単電池30
kの光通信装置の固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングを設定する場合を説明する。
【0069】
S801において、S701と同様に、制御装置100(発光タイミング設定部91)が、制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングを選択して変更する。
【0070】
S802において、制御装置100(発光タイミング設定部91)が、選択した(変更した)制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングを設定し、発光部81を介して所定のコード(光信号)を送信する。その後、S807へ進む。所定のコードは、単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードとすることができる。さらに所定のコードは、単電池の光通信装置における検出精度を向上するために誤り検出符号を含んでもよい。
【0071】
S807において、制御装置100(制御部90)は所定時間が経過したかどうかを判定し、所定時間が経過した場合には、S801へ戻る。
【0072】
S803において、単電池30kの受光部21は、光を受光して固有の受光タイミングで復号する。
【0073】
S804において、単電池30kの制御回路23は、復号された光信号が単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードと一致するかどうかを判定する。
【0074】
S804において、復号された光信号が単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードと一致しない場合(S804のNO)、S805へ進み、単電池30kの制御回路23は、光信号を送信しない。
【0075】
S804において、復号された光信号が単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードと一致する場合(S804のYES)、S806へ進む。
【0076】
S806において、単電池30kの制御回路23は、固有の発光タイミングで発光部20を介して光信号を送信する。単電池30kの制御回路23は、固有の識別(ID)コードを光信号として送信して、光信号が単電池30kから送信されていることを明示することができる。
【0077】
S808において、制御装置100(受光タイミング設定部92)は、S801で選択した(変更した)制御装置100の光通信装置の可変発光タイミングに対応する可変受光タイミングを設定し、受光部80を介して信号(光信号)を受信する。
【0078】
S809において、制御装置100(単電池タイミング設定部96)は、受信した光信号が単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードと一致するかどうかを判定する。
【0079】
受信した光信号が単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードと一致しない場合、単電池30k以外の単電池の光通信装置から送信された光信号であるとし、S801へ戻る。
【0080】
受信した光信号が単電池30kの光通信装置の固有の識別(ID)コードと一致する場合、S810において、S801で選択し設定した可変発光タイミングで、所定のコード(光信号)を送信する。所定のコード(光信号)は、固有のタイミングを設定するための設定情報(設定コード、光信号)とすることができる。加えてまたは代替として、所定のコード(光信号)は、測定対象の単電池30kの光通信装置の固有の識別コードを含んでもよい。さらに所定のコードは、単電池の光通信装置における検出精度を向上するために誤り検出符号を含んでもよい。設定コードは、CR発振器などの発信器をリセットするリセットコードとしてもよく、固有の発光タイミングおよび固有の受光タイミングのオフセットを示してもよい。
【0081】
S811において、単電池30kの受光部21は、光を受光して固有の受光タイミングで復号する。これにより、設定コード(リセットコード、オフセットを示す情報)が復号される。
【0082】
S812において、単電池30kの制御回路23は、復号した設定コード(リセットコード、オフセットを示す情報)にしたがって、単電池30kの光送信装置の固有の発光タイミングおよび受光タイミングを設定する。設定コードがリセットコードの場合、制御回路23は発振器をリセットする。発振器のリセットを通じて、固有の発光タイミングおよび受光タイミングがリセットされる。設定コードがオフセットを示す場合、制御回路23は、固有の発光タイミングおよび受光タイミングをオフセットする。これにより、単電池30kの光通信装置の発光部20から送信される1つの光パルスのパルス幅および受光部21で受信される1つの光パルスのパルス幅がオフセットされ、他の単電池30の光通信装置の発光部20から送信される1つの光パルスのパルス幅および受光部21で受信される1つの光パルスのパルス幅と異なるようになる。
【符号の説明】
【0083】
1 リチウムイオン電池モジュール
12 正極
15 正極活物質層
17 正極集電体
13 負極
16 負極活物質層
19 負極集電体
14 セパレータ
18 枠部材
20 発光部
21 受光部
22 配線基板
23 制御回路
26 絶縁樹脂
30 単電池
50 組電池
57、59、82、83 引出配線
60 光導波路
60a 散乱加工
60b 反射加工
70 外装体
80 受光部
81 発光部
100 制御装置
90 制御部
91 発光タイミング設定部
92 受光タイミング設定部
93 単電池選択部
94 単電池情報記憶部
95 単電池タイミング測定部
96 単電池タイミング設定部