(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101676
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】金融機関サーバ及び金融機関サーバで実現される方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20230101AFI20230713BHJP
G06Q 20/18 20120101ALI20230713BHJP
【FI】
G06Q40/02
G06Q20/18
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088902
(22)【出願日】2023-05-30
(62)【分割の表示】P 2022009212の分割
【原出願日】2009-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 文雄
(72)【発明者】
【氏名】寺松 義彦
(57)【要約】
【課題】より多くの金融機関が口座処理指示装置を利用したサービスを提供できるようにする。
【解決手段】金融機関Aが有する認証代行サーバが、金融機関Aの口座と、金融機関Bの口座と、当該金融機関Bの口座に設定されている暗証番号とを対応付けて管理する認証代行管理データ5と、金融機関Aにおける利用者の口座である第一の口座を特定する第一の口座データを受信し、その第一の口座に金融機関Bの口座が対応付けられている場合に、その対応付けられている金融機関Bの口座である第二の口座に関する暗証番号を利用者に入力させ、利用者により入力された認証データが、第一の口座に対応付けて管理されている、第二の口座に設定されている暗証番号と一致するか否かを判定し、一致した場合に、利用者から受け付けた第二の口座に対する口座処理の指示に応じた指示データを生成し、その生成した指示データを金融機関Bの処理サーバへ送信する認証代行処理部33と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口座処理指示装置と通信ネットワークを介して接続され、メモリに格納されている所定のプログラムを実行する金融機関サーバであって、
前記口座処理指示装置から送信される、第一の金融機関の第一の口座を特定する第一の口座データを受信する口座データ受信部と、
前記口座処理指示装置の利用者の指示に基づき、前記第一の口座に対応付けられている複数の口座の各々に対する指示データを生成する指示データ送信手段と、を含み、
前記第一の口座データは、前記第一の金融機関が発行する記憶媒体に含まれ、
前記第一の口座データは、前記口座処理指示装置によって前記記憶媒体から読み出され、
前記複数の口座の各々の金融機関は、前記第一の金融機関と異なる、金融機関サーバ。
【請求項2】
口座処理指示装置と通信ネットワークを介して接続され、メモリに格納されている所定のプログラムを実行する金融機関サーバで実現される方法であって、
前記口座処理指示装置から送信された、第一の金融機関の第一の口座を特定する第一の口座データを受信し、
前記口座処理指示装置の利用者の指示に基づき、前記第一の口座に対応付けられている複数の口座の各々に対する指示データを生成すること、を含み、
前記第一の口座データは、前記第一の金融機関が発行する記憶媒体に含まれ、
前記第一の口座データは、前記口座処理指示装置によって前記記憶媒体から読み出され、
前記複数の口座の各々の金融機関は、前記第一の金融機関と異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばATM(現金自動預払機)等の口座処理指示装置を利用して金融機関に開設された口座に対する口座処理を行う技術に関し、特に、口座処理のための認証の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関の口座から出金して、その出金金額に相当する電子マネーをICカードや携帯電話等の電子マネー媒体にチャージする技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、金融機関が、口座処理指示装置(利用者の要求に応じて金融機関の口座に対して入金処理や出金処理等の口座処理を指示する装置であり、例えば、ATM(現金自動預払機))を利用したサービスを利用者に提供するためには、通常、その金融機関が、口座処理指示装置の設置やキャッシュカードの発行を行っている必要がある。しかし、口座処理指示装置の設置やキャシュカードの発行には、コストがかかる。そのため、そのことを理由に、口座処理指示装置を利用したサービスを提供したいと考えているにもかかわらず当該サービスを提供することができない金融機関が存在している。
【0005】
そこで、本発明の目的は、より多くの金融機関が口座処理指示装置を利用したサービスを提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施態様に従う認証代行サーバは、第一の金融機関が有するサーバであり、前記第一の金融機関とは異なる第二の金融機関の口座に対する口座処理のための認証を代行して行う認証代行サーバであって、前記第二の金融機関は、口座処理を指示する指示データに従って前記第二の金融機関の口座に対する口座処理を行う処理サーバを有しており、前記第一の金融機関の口座と、前記第二の金融機関の口座と、当該第二の金融機関の口座に設定されている認証データとを対応付けて管理する管理手段と、前記第一の金融機関における利用者の口座である第一の口座を特定する第一の口座データを受信する口座データ受信手段と、前記受信した第一の口座データによって特定される前記第一の口座に前記第二の金融機関の口座が対応付けられている場合に、前記第一の口座に対応付けられている前記第二の金融機関の口座である第二の口座に関する認証データを前記利用者に入力させる認証データ入力指示手段と、前記利用者により入力された、前記第二の口座に関する認証データを受信する認証データ受信手段と、前記受信した認証データが、前記第一の口座に対応付けて管理されている、前記第二の口座に設定されている認証データと一致するか否かを判定する認証手段と、前記判定において一致するとの判定結果が得られた場合に、前記第二の口座に対する口座処理の指示を前記利用者から受け付ける口座処理指示受け付け手段と、前記受け付けた口座処理の指示に応じた指示データを生成し、前記生成した指示データを前記第二の金融機関の処理サーバへ送信する指示データ送信手段と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、認証代行サーバは、第二の金融機関の口座に対する口座処理のための認証を代行して行うことができ、また、利用者から受け付けた、第二の口座に対する口座処理の指示に応じた指示データを、第二の金融機関の処理サーバへ送信することができる。これにより、第二の金融機関が、例えば、口座処理指示装置(例えば、ATM)の設置や記録媒体(例えば、キャッシュカード)の発行を行っていない金融機関であったとしても、口座処理指示装置を利用したサービスを利用者に提供できるようになる。
【0008】
本発明に係る好適な実施形態では、前記認証代行サーバには、入出力手段を有する口座処理指示装置が接続されており、前記第一の金融機関は、前記第一の金融機関の口座開設者に対して、前記口座開設者の口座を特定する口座データが記録された記録媒体を発行しており、前記口座データ受信手段は、前記口座処理指示装置が前記利用者に発行された記録媒体から読み出した口座データを、前記第一の口座データとして前記口座処理指示装置から受信し、前記認証データ入力指示手段は、前記第二の口座に関する認証データを入力させるための画面を前記口座処理指示装置の入出力手段に表示させ、前記認証データ受信手段は、前記利用者が前記入出力手段を介して入力した認証データを、前記口座処理指示装置から受信し、前記口座処理指示受け付け手段は、前記第二の口座に対する口座処理を指示させるための画面を前記口座処理指示装置の入出力手段に表示させた後、前記利用者が前記入出力手段を介して指示した口座処理を通知するための通知データを、前記口座処理指示装置から受信してもよい。
【0009】
本発明の一つの実施態様に従う認証代行システムは、第一の金融機関が有するサーバであり、前記第一の金融機関とは異なる第二の金融機関の口座に対する口座処理のための認証を代行して行う認証代行サーバと、前記認証代行サーバに接続された口座処理指示装置と、を備えた認証代行システムであって、前記第一の金融機関は、前記第一の金融機関の口座開設者に対して、前記口座開設者の口座を特定する口座データが記録された記録媒体を発行しており、前記第二の金融機関は、口座処理を指示する指示データに従って前記第二の金融機関の口座に対する口座処理を行う処理サーバを有しており、前記口座処理指示装置が、入出力手段を備え、前記認証代行サーバが、前記第一の金融機関の口座と、前記第二の金融機関の口座と、当該第二の金融機関の口座に設定されている認証データとを対応付けて管理する管理手段と、前記口座処理指示装置が利用者に発行された記録媒体から読み出した、前記第一の金融機関における前記利用者の口座である第一の口座を特定する第一の口座データを、前記口座処理指示装置から受信する口座データ受信手段と、前記受信した第一の口座データによって特定される前記第一の口座に前記第二の金融機関の口座が対応付けられている場合に、前記第一の口座に対応付けられている前記第二の金融機関の口座である第二の口座に関する認証データを前記利用者に入力させるための画面を、前記口座処理指示装置の入出力手段に表示させる認証データ入力指示手段と、前記利用者が前記入出力手段を介して入力した、前記第二の口座に関する認証データを、前記口座処理指示装置から受信する認証データ受信手段と、前記受信した認証データが、前記第一の口座に対応付けて管理されている、前記第二の口座に設定されている認証データと一致するか否かを判定する認証手段と、前記判定において一致するとの判定結果が得られた場合に、前記第二の口座に対する口座処理を指示させるための画面を前記口座処理指示装置の入出力手段に表示させた後、前記利用者が前記入出力手段を介して指示した口座処理を通知するための通知データを、前記口座処理指示装置から受信する口座処理指示受け付け手段と、前記通知された口座処理に応じた指示データを生成し、前記生成した指示データを前記第二の金融機関の処理サーバへ送信する指示データ送信手段と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る認証代行サーバを備えた計算機システムの構成例を示す図である。
【
図3】認証代行処理を説明するフローチャートである。
【
図4】金融機関Aのサービスメニュー画面の一例を示す図である。
【
図6】金融機関Bのサービスメニュー画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る認証代行サーバを備えた計算機システムの構成例を示す図である。
【0013】
複数の金融機関(本実施形態では、金融機関A及び金融機関Bの二つ)がある。金融機関Aは、その敷地内或いはコンビニエンスストア等に一台以上のATM(現金自動預払機)1を設置している。そして、金融機関Aは、金融機関Aの口座開設者(金融機関Aに口座を開設した者)に対してATMカードを発行している。ここで、ATMカードとは、そのATMカードの所有者が、ATM1を利用してそのATMカードの所有者の口座に対する種々の処理(例えば、入金処理、出金処理、残高照会処理等であり、以下、「口座処理」という)を指示できるようにするためのカード(例えば、キャッシュカード)のことをいう。一方、金融機関Bは、ATM1を設置していない。また、金融機関Bは、金融機関Bの口座開設者(金融機関Bに口座を開設した者)に対してATMカードの発行を行っていない。
【0014】
金融機関Aは、金融機関Aサーバ3を有している。また、金融機関Bは、金融機関Bサーバ4を有している。金融機関Aサーバ3は、金融機関Aが、その口座(金融機関Aに開設された口座)を管理するために使用するサーバマシンである。一方、金融機関Bサーバ4は、金融機関Bが、その口座(金融機関Bに開設された口座)を管理するために使用するサーバマシンである。金融機関Aサーバ3及び金融機関Bサーバ4は、それぞれ、ATM1と通信するための通信ネットワーク(以下、「ATM網」)2に接続されている。ATM網2には、一以上のATM1が接続される。
図1に示されたATM1は、例えば、金融機関Aが設置したATMである。以下の説明では、金融機関Aサーバ3及び金融機関Bサーバ4を包括して「金融機関サーバ」と呼ぶ。
【0015】
金融機関サーバ3,4は、例えば、ATM用電文処理部31,41と、メモリ32,42とを備える。ATM用電文処理部31,41の機能は、例えば、金融機関サーバ3,4が備えるCPU(図示しない)が、メモリ32,42に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0016】
ATM用電文処理部31,41は、受信したATM用電文に従って、指定された口座に対する口座処理を行う処理部である。ここで、ATM用電文とは、ATM1が特定の口座処理を行うことを指示するために金融機関サーバ3,4に対して送信する指示データのことをいう。例えば、金融機関Aサーバ3が、出金処理を指示するATM用電文(以下、「出金指示電文」)をATM1から受信した場合は、金融機関Aサーバ3のATM用電文処理部31は、受信した出金指示電文に従って、指定された金融機関Aの口座(ATM1の操作者の口座)に対する出金処理を行う(即ち、ATM1の操作者の口座から指定された金額の出金を行う)。
【0017】
なお、ATM用電文に従った口座処理が行われる際には、その口座処理を指示したATM1の操作者が正当な者(指定された口座の口座開設者)であるか否かの認証が行われる。例えば、金融機関Aサーバ3が、受信したATM用指示電文に従って口座処理を行う場合は、その口座処理を指示したATM1の操作者が、金融機関Aの正当な口座開設者であるか否かの認証(以下、「金融機関Aの口座開設者認証」)が行われる。金融機関Aの口座開設者認証は、例えば、金融機関Aサーバ3のATM用電文処理部31により行われる。金融機関Aサーバ3のATM用電文処理部31は、例えば、ATM1に挿入されたATMカード(金融機関Aにより発行されたもの)に記録されているデータ(以下、「記録データ」)と、ATM1の操作者がATM1に対して入力した暗証番号(指定された口座(金融機関Aの口座)に設定されている暗証番号)とに基づいて、金融機関Aの口座開設者認証を行う。
【0018】
金融機関Aサーバ3は、本実施形態に係る認証代行サーバに相当するものである。金融機関Aサーバ3は、上記ATM用電文処理部31が行う処理(即ち、受信したATM用電文に従った、金融機関Aの口座に対する口座処理)に加えて、金融機関A以外の他の金融機関(例えば、金融機関Bであり、以下、「他金融機関」という)の口座開設者が、ATM1を利用して当該他金融機関における自己の口座に対する口座処理を指示できるようにするための処理を行う。具体的には、金融機関Aサーバ3は、ATM1を操作して他金融機関の口座に対する口座処理を指示しようとしている者(或いは、指示した者)が、当該他金融機関の正当な口座開設者であるか否かの認証(以下、「他金融機関の口座開設者認証」)を行う。そして、金融機関Aサーバ3は、上記他金融機関の口座開設者認証に成功した場合に、ATM1の操作者により指定された口座処理を指示するATM用電文を、当該他金融機関の金融機関サーバ4へ送信するという処理を行う。以下、この金融機関Aサーバ3により行われる処理(他金融機関の口座開設者がATM1を利用して口座処理を指示できるようにするための処理)を「認証代行処理」と呼ぶ。
【0019】
通常、金融機関BのようにATM1の設置やATMカードの発行を行っていない金融機関については、その口座開設者は、ATM1を利用してその口座に対する口座処理を指示することができないが、認証代行処理が行われることにより、そのような金融機関についても、ATM1を利用して口座処理を指示できるようになる。
【0020】
認証代行処理における、他金融機関の口座開設者認証は、ATM1に挿入されたATMカード(金融機関Aにより発行されたもの)の記録データと、ATM1の操作者がATM1に対して入力した暗証番号(指定された口座(他金融機関の口座)に設定されている暗証番号)とに基づいて行われる。即ち、他金融機関の口座開設者認証には、金融機関Aにより発行されたATMカードが利用される。従って、本実施形態では、金融機関Aサーバ3の提供する機能(認証代行処理により実現される機能であり、以下、「認証代行機能」という)を利用して他金融機関の口座に対する口座処理を指示できる者は、当該他金融機関及び金融機関Aのそれぞれに口座を開設している者である。認証代行処理の詳細については、後に
図3を参照して説明する。
【0021】
金融機関Aサーバ3には、上記ATM用電文処理部31及びメモリ32に加えて、上記認証代行処理を行う認証代行処理部33が備えられる。また、金融機関Aサーバ3のメモリ32には、認証代行管理データ5が記憶される。認証代行処理部33の機能は、ATM用電文処理部31と同様に、金融機関Aサーバ3が備えるCPUが、メモリ32に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0022】
図2は、認証代行管理データ5の一例を示す図である。
【0023】
認証代行管理データ5は、認証代行処理部33が認証代行処理を行う際に参照するデータである。
図2に示されるように、認証代行管理データ5には、金融機関Aの口座に関す
るデータ(以下、「金融機関Aの口座データ」)51と、他金融機関の口座に関するデータ(以下、「他金融機関の口座データ」)52とが含まれ、両データ51,52は、対応付けて管理される。金融機関Aの口座データ51には、例えば、金融機関Aに開設された口座を特定するためのデータ(例えば、支店名511と口座番号512)が含まれる。また、他金融機関の口座データ52には、例えば、他金融機関に開設された口座を特定するためのデータ(例えば、他金融機関の金融機関名521と支店名522と口座番号523)が含まれる。また、他金融機関の口座データ52には、その口座データ52により特定される口座に設定された暗証番号524も含まれる。
【0024】
他金融機関の口座データ52は、そのデータ52に対応付けられている金融機関Aの口座データ51によって示される口座の口座開設者が、認証代行機能を利用して口座処理を指示することができる他金融機関の口座(以下、「認証代行口座」)を示すものである。即ち、
図2の例であれば、一列目のデータ53は、口座番号“○○○○”の口座の口座開設者が、認証代行機能を利用して金融機関Bの口座番号“○○××”の口座に対する口座処理を指示できることを示している。
【0025】
例えば、金融機関Aの口座開設者は、金融機関Aに認証代行口座の登録の申し込みを行うことにより、指定した口座を認証代行口座として金融機関Aサーバ3に予め登録しておくことができる。そして、その登録の際(或いはその後)に、その登録された認証代行口座に暗証番号が設定される(暗証番号524が、認証代行口座に設定された暗証番号を示している)。
【0026】
なお、
図2の例では、一つの金融機関Aの口座に対して、一つの認証代行口座が対応付けられているが、一つの金融機関Aの口座に対して、複数の認証代行口座が対応付けられていてもよい。即ち、金融機関Aの一人の口座開設者が、複数の認証代行口座を登録しておくこともできる。
【0027】
図3は、認証代行処理を説明するフローチャートである。
図3は、ATM1の操作者が、金融機関Aにより発行されたATMカードを利用し、ATM1を操作して他金融機関(本例では、金融機関B)の自己の口座に対する口座処理を行う場合の例を示している。
【0028】
まず、ATM操作者は、金融機関Aにより発行されたATMカードをATM1に挿入する(S1)。
【0029】
ATMカードの挿入を受け付けたATM1は、挿入されたATMカードの記録データを読み出す。記録データには、例えば、そのATMカードが金融機関Aにより発行されたものであることを示すデータと、そのATMカードの所有者の口座(金融機関Aの口座)を示すデータ(例えば、支店名と口座番号)とが含まれている。ATM1は、読み出した記録データを金融機関Aサーバ3へ通知する(S2)。
【0030】
金融機関Aサーバ3がATM1から記録データを受信すると、金融機関AのATM用電文処理部31は、金融機関Aのサービスメニュー画面110の基となるデータをATM1へ送信し、ATM1の入出力部11に金融機関Aのサービスメニュー画面110を表示させる(S3)。金融機関Aのサービスメニュー画面110は、金融機関Aの口座に対する口座処理等を、ATM1の操作者に指示させるための画面であり、例えば、
図4に示されるものである。
図4に示されるように、金融機関Aのサービスメニュー画面110には、例えば、口座処理(入金処理や出金処理や残高照会処理等)を指示させるためのメニュー項目が表示される。また、金融機関Aのサービスメニュー画面110には、上記のメニュー項目に加えて、他金融機関の口座(認証代行口座)に対する口座処理をATM1の操作者に指示させるための画面(以下、「他金融機関のサービスメニュー画面」)に画面遷移させるためのメニュー項目(
図4の例では“他金融機関”)111も表示される。
【0031】
ここで、ATM1の操作者は、金融機関Aのサービスメニュー画面110において“他金融機関”のメニュー項目111を選択する(S4)。
【0032】
“他金融機関”のメニュー項目111の選択を受け付けたATM1は、他金融機関のサービスメニュー画面への画面遷移が指示された旨を、金融機関Aサーバ3へ通知する(S
5)。
【0033】
金融機関Aサーバ3がATM1からステップS5の通知を受信すると、金融機関Aサーバ3の認証代行処理部33は、認証代行管理データ5を参照して、ステップS2で通知された記録データによって示される口座(ATM1の操作者の金融機関Aの口座)に対応付けられている他金融機関の口座データ52を取得する。ここで取得された他金融機関の口座データ52は、ATM1の操作者が予め登録しておいた認証代行口座(ATM1の操作者の認証代行口座)を示すものである。本例では、ATM1の操作者の認証代行口座は、金融機関Bの口座であるとする。
【0034】
なお、ステップS2で通知された記録データによって示される口座(ATM1の操作者の金融機関Aの口座)に他金融機関の口座データ52が対応付けられていない場合は、認証代行口座が存在しないため、認証代行処理部33は、認証代行処理を行うことができない(即ち、ATM1の操作者は認証代行機能を利用することができない)。従って、このことを前もってATM1の操作者に知らせるために、例えば、認証代行口座が存在しない場合には、認証代行処理部33は、ステップS3で表示させた金融機関Aのサービスメニュー画面110において、“他金融機関”のメニュー項目111を表示させないようにすることができる。
【0035】
認証代行処理部33は、取得した他金融機関の口座データ52に基づいて認証画面120の基となるデータを生成し、その生成したデータをATM1へ送信し、ATM1の入出力部11に認証画面120を表示させる(S6)。
図5に示されるように、認証画面120には、ATM1の操作者の認証代行口座を示す情報(例えば、金融機関名(本例では金融機関B)、支店名、口座番号等)の表示領域121と、暗証番号を入力するための領域122と、暗証番号の入力を確定するための確定ボタン123とが表示される。
【0036】
その後、ATM1の操作者は、認証画面120に対して、表示領域121に表示された、ATM1の操作者の認証代行口座(本例では金融機関Bの口座)に設定した暗証番号を入力し、確定ボタン123を押下する(S7)。
【0037】
暗証番号の入力を受け付けたATM1は、その受け付けた暗証番号を金融機関Aサーバ3へ通知する(S8)。
【0038】
金融機関Aサーバ3がATM1から暗証番号の通知を受信すると、金融機関Aの認証代行処理部33は、他金融機関(金融機関B)の口座開設者認証を行う(S9)。具体的には、認証代行処理部33は、ATM1から通知された暗証番号と、ステップS6で取得された、他金融機関の口座データ52に含まれる暗証番号524とが一致しているか否かを判定する。そして、認証代行処理部33は、両暗証番号が一致している場合に、ATM1の操作者が、金融機関Bの正当な口座開設者であると判定する(即ち、他金融機関(金融機関B)の口座開設者認証に成功したことになる)。
【0039】
他金融機関(金融機関B)の口座開設者認証に成功した場合は、認証代行処理部33は、金融機関Bのサービスメニュー画面130の基となるデータをATM1へ送信し、ATM1の入出力部11に金融機関Bのサービスメニュー画面130を表示させる(S10)。金融機関Bのサービスメニュー画面130は、金融機関Bの口座(認証代行口座)に対する口座処理を、ATM1の操作者に指示させるための画面であり、例えば、
図6に示されるものである。
図6に示されるように、金融機関Bのサービスメニュー画面130には、例えば、ATM1の操作者の認証代行口座を示す情報(例えば、支店名、口座番号等)の表示領域131と、口座処理(入金処理や出金処理や残高照会処理等)を指示させるためのメニュー項目132とが表示される。
【0040】
ここで、ATM1の操作者は、金融機関Bのサービスメニュー画面130において、いずれかの口座処理を指示するメニュー項目131を選択する(S11)。以下、このステップS11で指示された口座処理を「指定口座処理」と呼ぶ。
【0041】
指定口座処理を指示するメニュー項目131の選択を受け付けたATM1は、指定口座処理が指示された旨を、金融機関Aサーバ3へ通知する(S12)。
【0042】
金融機関Aサーバ3がATM1からステップS12の通知を受信すると、金融機関Aサーバ3の認証代行処理部33は、ATM1の操作者の認証代行口座に対して指定口座処理を行うことを指示するATM用電文を生成し、その生成したATM用電文を、金融機関Bサーバ4へ送信する(S13、S14)。
【0043】
金融機関Bサーバ4が金融機関Aサーバ3からATM用電文を受信すると、金融機関Bサーバ4のATM用電文処理部41は、受信したATM用電文に従って、ATM1の操作者の認証代行口座に対して指定口座処理を行う(例えば、指定口座処理が出金処理である場合は、ATM1の操作者の認証代行口座から指定された金額の出金を行う)(S15)。そして、金融機関Bサーバ4のATM用電文処理部41は、指定口座処理の結果を示す結果データを金融機関Aサーバ3へ送信する。この結果データには、例えば、指定口座処理が成功したか否かを示す情報や指定口座処理後の残高等が含まれる。
【0044】
金融機関Aサーバ3が金融機関Bサーバ4から結果データを受信すると、金融機関Aサーバ3の認証代行処理部33は、結果画面140の基となるデータをATM1へ送信し、ATM1の入出力部11に結果画面140を表示させる(S16)。
図7に示されるように、結果画面140には、例えば、指定口座処理が成功した場合には、その旨を示すメッセージの表示領域141と、指定口座処理後の残高の表示領域142とが表示される。
【0045】
以上が、認証代行処理の説明である。以上の処理が行われることで、金融機関BのようにATM1の設置やATMカードの発行を行っていない他金融機関についても、その口座開設者が、ATM1を利用して当該他金融機関における自己の口座に対する口座処理を指示できるようになる。つまり、ATM1の設置やATMカードの発行を行っていない他金融機関であっても、ATM1の設置やATMカードの発行を行うことなく、ATM1を利用したサービスをその口座開設者に提供できるようになる。
【0046】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱することなく、その他の様々な態様でも実施することができる。
【0047】
例えば、本実施形態では、認証代行機能を利用して他金融機関の口座に対する口座処理を指示できる者は、当該他金融機関及び金融機関Aのそれぞれに口座を開設している者であるとしたが、例えば次のようにすることで、金融機関Aサーバ3は、金融機関Aに口座を開設していない他金融機関の口座開設者に対しても、認証代行機能を提供することができる。
【0048】
即ち、金融機関Aが、金融機関Aには口座を開設していないが認証代行機能の利用を希望する者(機能利用者)に対してATMカードを発行する。このATMカードには、例えば、機能利用者を特定するためのIDが記録される。そして、金融機関Aは、認証代行管理データ5において、金融機関Aの口座データ51の代わりに機能利用者を特定するためIDを利用して、機能利用者と認証代行口座との対応付けを管理しておく。これにより、金融機関Aサーバ3は、
図3と同様の処理フローを実行することで、金融機関Aに口座を開設していない他金融機関の口座開設者に対しても、認証代行機能を提供できるようになる。
【符号の説明】
【0049】
1…ATM、2…ATM網、3…金融機関Aサーバ、4…金融機関Bサーバ
【手続補正書】
【提出日】2023-06-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
口座処理指示装置と通信ネットワークを介して接続される金融機関サーバであって、
前記口座処理指示装置によって読み出される、第一の金融機関が発行する記録媒体に含まれるIDから利用者を特定する処理部と、
特定された前記利用者に対応付けられ、前記第一の金融機関と異なる第二の金融機関の口座に関連する情報を前記口座処理指示装置に表示し、前記第二の金融機関の前記口座に対する口座処理の指示を前記口座処理指示装置の利用者から受け付ける口座処理指示受け付け手段と、
前記口座処理指示装置の利用者の認証を行う手段と、
前記口座処理指示装置の利用者の指示に基づき、前記第二の金融機関の前記口座処理に対する指示データを生成し、生成された前記指示データを前記第二の金融機関の処理サーバへ送信する指示データ送信手段と、を含む、金融機関サーバ。
【請求項2】
口座処理指示装置と通信ネットワークを介して接続される金融機関サーバで実現される方法であって、
前記口座処理指示装置によって読み出される、第一の金融機関が発行する記録媒体に含まれるIDから利用者を特定し、
特定された前記利用者に対応付けられ、前記第一の金融機関と異なる第二の金融機関の口座に関連する情報を前記口座処理指示装置に表示し、前記第二の金融機関の前記口座に対する口座処理の指示を前記口座処理指示装置の利用者から受け付け、
前記口座処理指示装置の利用者の認証を行い、
前記口座処理指示装置の前記利用者の指示に基づき、前記第二の金融機関の前記口座処理に対する指示データを生成し、生成された前記指示データを前記第二の金融機関の処理サーバへ送信すること、を含む、方法。