(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101775
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】表示制御装置、表示制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20230713BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20230713BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20230713BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20230713BHJP
【FI】
G01C21/26 C
B60L15/20 J
B60L50/60
B60L58/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091332
(22)【出願日】2023-06-02
(62)【分割の表示】P 2021120250の分割
【原出願日】2012-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500403929
【氏名又は名称】パイオニアシステムテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇治
(57)【要約】
【課題】高速道路を利用しても航続可能範囲における外周部付近にまで到達できるといった誤解などの発生を適切に抑制する。
【解決手段】表示制御装置は、移動体の現在位置を取得する現在位置取得部と、複数種別の道路を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体が現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、地図情報とともに表示部に表示させる表示制御部と、を備える。表示制御部は、航続可能範囲内に存在する所定の道路種別の道路の少なくとも一部を、表示部に表示させない。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体の現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、地図情報とともに表示部に表示させる表示制御部と、
前記表示制御部が前記航続可能範囲を前記地図情報とともに前記表示部に表示させる場合に、前記移動体が所定の道路種別の道路を走行すると前記航続可能範囲内の場所でも到達できない可能性がある旨を、報知部によって利用者に報知させる報知制御部と、
を備えることを特徴とする表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航続可能範囲を表示する技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気自動車のバッテリの残容量などに基づいて、航続可能距離を推定して、航続可能範囲(到達可能範囲)を地図上に表示する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気自動車では高速道路を走行すると電燃が大きく低下する傾向にあるため、一般道路を利用した場合には到達できる場所に、高速道路を利用した場合には到達できない可能性がある。通常、航続可能範囲には、そのような、一般道路を利用した場合には到達できても、高速道路を利用した場合には到達できない場所が含まれている。例えば、続可能範囲における外周部付近の場所には、一般道路を利用した場合には到達できるが、高速道路を利用した場合には到達できない可能性が高い。しかしながら、従来の航続可能距離の表示では、高速道路を利用しても航続可能範囲における外周部付近の場所にまで到達できるといった誤解などを招いてしまう場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、高速道路を利用しても航続可能範囲における外周部付近にまで到達できるといった誤解などの発生を適切に抑制することが可能な表示制御装置などを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、表示制御装置であって、移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体の現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、地図情報とともに表示部に表示させる表示制御部と、前記表示制御部が前記航続可能範囲を前記地図情報とともに前記表示部に表示させる場合に、前記移動体が所定の道路種別の道路を走行すると前記航続可能範囲内の場所でも到達できない可能性がある旨を、報知部によって利用者に報知させる報知制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載の発明は、表示制御装置によって実行される表示制御方法であって、移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体の現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、地図情報とともに表示部に表示させる表示制御工程と、前記表示制御工程が前記航続可能範囲を前記地図情報とともに前記表示部に表示させる場合に、前記移動体が所定の道路種別の道路を走行すると前記航続可能範囲内の場所でも到達できない可能性がある旨を、報知部によって利用者に報知させる報知制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載の発明は、コンピュータを備える表示制御装置によって実行されるプログラムであって、移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体の現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、地図情報とともに表示部に表示させる表示制御部、前記表示制御部が前記航続可能範囲を前記地図情報とともに前記表示部に表示させる場合に、前記移動体が所定の道路種別の道路を走行すると前記航続可能範囲内の場所でも到達できない可能性がある旨を、報知部によって利用者に報知させる報知制御部、として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成を示す。
【
図3】本実施例に係る航続可能範囲表示画像の一例を示す。
【
図4】変形例1に係る航続可能範囲表示画像の一例を示す。
【
図5】変形例2に係る航続可能範囲表示画像の一例を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の1つの観点では、表示制御装置は、移動体の現在位置を取得する現在位置取得部と、複数種別の道路を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、前記移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体が前記現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、前記地図情報とともに表示部に表示させる表示制御部と、を備え、前記表示制御部は、前記航続可能範囲内に存在する所定の道路種別の道路の少なくとも一部を、前記表示部に表示させない。
【0011】
上記の表示制御装置では、現在位置取得部は、移動体(例えば電気自動車など)の現在位置を取得し、地図情報取得部は、複数種別の道路(所定の道路種別の道路や所定の道路種別以外の道路)を含む地図情報を取得する。そして、表示制御部は、移動体が保有するエネルギー残量に基づいて航続可能範囲を求め、航続可能範囲を地図情報とともに表示部に表示させる。この場合、表示制御部は、航続可能範囲内に存在する所定の道路種別の道路の少なくとも一部を非表示とする。例えば、所定の道路種別の道路は、高速自動車国道又は自動車専用道路である。上記の表示制御装置によれば、航続可能範囲内の場所であれば、どの種別の道路を利用しても到達できるといった誤解の発生を適切に抑制することができる。例えば、高速道路を利用しても航続可能範囲の外周部付近の場所にまで到達できるといった誤解の発生を適切に抑制することができる。
【0012】
上記の表示制御装置において好適には、前記地図情報は、前記所定の道路種別の道路の情報が記憶された第1のレイヤーと、前記所定の道路種別以外の道路の情報が記憶された第2のレイヤーとから構成され、前記表示制御部は、前記航続可能範囲を表示させる場合に、前記第1のレイヤーに記憶された情報の少なくとも一部を表示させない。
【0013】
また好適には、上記の表示制御装置は、前記移動体が前記所定の道路種別の道路を走行すると、前記航続可能範囲内の場所でも到達できない可能性がある旨を、報知部によって利用者に報知させる報知制御部を更に備える。これにより、高速道路を利用しても航続可能範囲の外周部付近にまで到達できるといった誤解などの発生を、より効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の他の観点では、サーバ装置は、移動体の現在位置を取得する現在位置取得部と、複数種別の道路を含む地図情報を取得する地図情報取得部と、前記移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体が前記現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を算出する算出部と、前記地図情報に前記航続可能範囲を表示させた画像から、前記航続可能範囲内に存在する所定の道路種別の道路情報の少なくとも一部を除いた画像情報を生成する画像生成部と、前記画像生成部により生成された画像情報を端末装置に送信する送信部と、を備える。
【0015】
本発明の他の観点では、表示制御装置によって実行される表示制御方法は、移動体の現在位置を取得する現在位置取得工程と、複数種別の道路を含む地図情報を取得する地図情報取得工程と、前記移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体が前記現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、前記地図情報とともに表示部に表示させる表示制御工程と、を備え、前記表示制御工程は、前記航続可能範囲内に存在する所定の道路種別の道路の少なくとも一部を、前記表示部に表示させない。
【0016】
本発明の他の観点では、コンピュータを備える表示制御装置によって実行されるプログラムは、移動体の現在位置を取得する現在位置取得手段、複数種別の道路を含む地図情報を取得する地図情報取得手段、前記移動体が保有するエネルギー残量に基づいて、当該移動体が前記現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を、前記地図情報とともに表示部に表示させる表示制御手段、として前記コンピュータを機能させ、前記表示制御手段は、前記航続可能範囲内に存在する所定の道路種別の道路の少なくとも一部を、前記表示部に表示させない。
【実施例0017】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例について説明する。
【0018】
<装置構成>
図1は、本実施例に係るナビゲーション装置1の構成を示す。ナビゲーション装置1は、例えば、車両に設置される据え置き型のナビゲーション装置、PND(Portable Navigation Device)、又はスマートフォンなどの携帯電話とすることができる。好適な例では、ナビゲーション装置1は、電気自動車(EV車)に搭載される。以下では、ナビゲーション装置1を電気自動車に適用した場合を例に挙げる。なお、電気自動車のことを単に「車両」と呼ぶこともある。
【0019】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、主に、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、ディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50、及び入力装置60を備える。
【0020】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0021】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置(現在位置)を検出するために用いられる。なお、各種の制御や処理で用いる現在位置としては、GPS受信機18から取得された値を用いることに限定はされず、GPS受信機18から取得された値及び/又は自立測位装置10から取得された値に基づいて求めた値を用いても良い。
【0022】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU(Central Processing Unit)22、ROM(Read Only Memory)23及びRAM(Random Access Memory)24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0023】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。例えば、CPU22は、データ記憶ユニット36に記憶された地図情報などに基づいて、目的地までの案内ルート(案内経路)を求め、その案内ルートに基づいてルート案内を行う。本実施例でCPU22が行う処理・制御については、詳細は後述する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0024】
システムコントローラ20、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブなどのディスクドライブ31、データ記憶ユニット36、通信用インタフェース37、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0025】
ディスクドライブ31は、システムコントローラ20の制御の下、CD又はDVDといったディスク33から、音楽データ、映像データなどのコンテンツデータを読み出し、出力する。なお、ディスクドライブ31は、CD-ROMドライブ又はDVD-ROMドライブのうち、いずれか一方としてもよいし、CD及びDVDコンパチブルのドライブとしてもよい。
【0026】
データ記憶ユニット36は、例えばHDDなどにより構成され、地図情報(地図データ)や、航続可能範囲を求めるのに必要な情報などを記憶するユニットである。例えば、地図情報は、リンク(道路)のデータや、ノード(交差点など)のデータや、各道路についての道路種別(一般道路や高速道路など)のデータなどを含む情報である。
【0027】
通信装置38は、例えば、FMチューナや、ビーコンレシーバや、携帯電話や、専用の通信カードなどにより構成され、各種情報を受信する。インタフェース37は、通信装置38のインタフェース動作を行い、通信装置38が受信した情報をシステムコントローラ20等に入力する。
【0028】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示部に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット36から地図情報を読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット36から読み出された地図情報に応じた地図画像などを表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、画像表示部として機能し、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0029】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、CD-ROMドライブ31又はDVD-ROM32、若しくはRAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A(Digital to Analog)変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0030】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式の場合、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。
【0031】
<表示制御方法>
次に、本実施例においてナビゲーション装置1内のCPU22が行う表示制御方法について説明する。本実施例では、CPU22は、電気自動車のバッテリのエネルギー残量などに基づいて、電気自動車が現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を求め、地図画像上に当該航続可能範囲を重ねて表示させる。そして、本実施例では、このように地図画像上に航続可能範囲を表示させる場合に、CPU22は、地図画像中の高速道路を非表示とし、一般道路のみを表示させる。
【0032】
なお、一般道路は、本発明における「所定の道路種別以外の道路」に相当し、高速自動車国道及び自動車専用道路以外の道路を意味するものとする。また、高速道路は、本発明における「所定の道路種別の道路」に相当し、高速自動車国道又は自動車専用道路を意味するものとする。
【0033】
図2を参照して、上記のような表示制御を行う理由について説明する。
図2は、地図画像上に航続可能範囲を表示させた画像(以下では「航続可能範囲表示画像」と呼ぶ。)70の一例を示している。ここでは、一般的な航続可能範囲表示画像70について示す。
図2に示すように、航続可能範囲表示画像70では、現在位置73を基準とした地図画像71上に、現在位置73からの航続可能範囲72が重ね合わせて表示されている。地図画像71には、一般道路と高速道路とが含まれている。なお、
図2では、一般道路を実線で示し、高速道路を破線で示しているが、このように一般道路及び高速道路を表示することに限定はされず、一般道路と高速道路とを異なる色で表示しても良い。
【0034】
ここで、電気自動車では高速道路を走行すると電燃が大幅に低下する傾向にあるため、言い換えると高速道路を走行すると航続可能距離がかなり短くなる傾向にあるため、一般道路を利用した場合には到達できる場所に、高速道路を利用した場合には到達できない可能性がある。通常、航続可能範囲72には、そのような、一般道路を利用した場合には到達できても、高速道路を利用した場合には到達できない場所が含まれている。言い換えると、高速道路を利用すると到達できなくても、一般道路を利用すると到達できるような場所は、航続可能範囲72に含められる。例えば、航続可能範囲72の外周部付近において一般道路及び高速道路に重なっている場所(破線領域Ar1参照)は、一般道路を利用した場合には到達できるが、高速道路を利用した場合には到達できない可能性が高い。しかしながら、
図2に示すような航続可能範囲表示画像70では、高速道路を利用しても破線領域Ar1で示すような場所にまで到達できるといった誤解を招いてしまう可能性がある。
【0035】
したがって、本実施例では、上記のような誤解の発生を抑制できるような航続可能範囲表示画像を表示させる。具体的には、本実施例では、地図画像上に航続可能範囲を表示するに当たって高速道路を表示することで誤解が発生するものと考え、航続可能範囲を表示させる場合に地図画像中の高速道路を非表示とする。
【0036】
ここで、上記のような表示を実現するに当たってCPU22が行う制御について具体的に説明する。まず、CPU22は、電気自動車のバッテリのエネルギー残量などに基づいて、電気自動車が現在位置から到達可能な範囲である航続可能範囲を求める。他方で、地図情報を、高速道路の情報が記憶された第1のレイヤーと、一般道路の情報が記憶された第2のレイヤーとから構成しておき、そのような地図情報をデータ記憶ユニット36に記憶させておく。つまり、高速道路に関する地図の情報と、一般道路に関する地図の情報とを別レイヤーとして記憶させておく。そして、CPU22は、上記のように求められた航続可能範囲を地図画像上に表示させる場合に、データ記憶ユニット36に記憶された地図情報を参照して、第1のレイヤーに記憶された高速道路の情報を非表示とし、第2のレイヤーに記憶された一般道路の情報のみを表示させる。
【0037】
このように、CPU22は、本発明における「現在位置取得部」、「地図情報取得部」及び「表示制御部」の一例に相当する。つまり、CPU22は、本発明における「表示制御装置」の一例に相当する。
【0038】
なお、CPU22は、例えば以下のような方法により航続可能範囲を求めることができる。まず、CPU22は、地図情報と、電気自動車のバッテリのエネルギー残量と、電気自動車が走行する際に消費するエネルギーとに基づいて、電気自動車が現在位置から到達可能な地点である複数の到達可能地点を探索する。この場合、CPU22は、電気自動車が走行する際に消費するエネルギーについては、例えば、電気自動車の駆動源が稼動した状態における電気自動車の停止時に消費されるエネルギーや、電気自動車の加減速時に消費および回収されるエネルギーや、電気自動車の走行時に生じる抵抗により消費されるエネルギーなどに基づいて求める。これらのエネルギーを求めるに当たっては、CPU22は、電気自動車の特性(車両重量やモータジェネレータの規格など)や、バッテリの劣化状態や、電気自動車内の電装品の使用状態や、エアコンの使用状態や、電気自動車の乗員数や、道路の勾配や、道路種別や、渋滞の有無や、運転者の運転の仕方などの種々のパラメータを用いる。そして、CPU22は、上記のように探索された複数の到達可能地点に基づいて、地図を分割した複数の領域(メッシュ領域)のそれぞれに電気自動車が到達可能であるか否かを識別し、その識別結果に応じて電気自動車の航続可能範囲が求められる。なお、このような方法で航続可能範囲を求めることに限定はされず、これ以外にも公知の種々の方法を適用することができる。
【0039】
なお、基本的には、上記した航続可能範囲は、一般道路と高速道路の両方の情報を用いて求められる。つまり、一般道路だけでなく高速道路も利用することを考慮して、航続可能範囲が求められる。しかしながら、一般道路と高速道路の両方の情報を用いて航続可能範囲を求めることに限定はされず、一般道路の情報のみを用いて航続可能範囲を求めても良い。つまり、高速道路を利用せずに一般道路のみを利用して走行する場合の航続可能範囲を求めても良い。但し、一般道路の情報のみを用いて求めた航続可能範囲は、結果的には、一般道路と高速道路の両方の情報を用いて求めた航続可能範囲と概ね同一の形状となる傾向にある。
【0040】
図3は、本実施例に係る航続可能範囲表示画像80の一例を示している。
図3に示すように、本実施例に係る航続可能範囲表示画像80も、前述した航続可能範囲表示画像70と同様に、現在位置83を基準とした地図画像81上に、現在位置83からの航続可能範囲82が重ね合わせて表示されている。しかしながら、本実施例に係る航続可能範囲表示画像80では、航続可能範囲表示画像70と異なり、地図画像81中に高速道路が含まれていない。つまり、本実施例では、地図画像81には、一般道路(実線で示す)のみが表示され、高速道路は非表示となっている。なお、
図3では高速道路は非表示となっているが、高速道路を表示する場合には破線で示される。但し、一般道路を実線で示し、高速道路を破線で示すことに限定はされず、一般道路と高速道路とを異なる色で表示しても良い。
【0041】
このような航続可能範囲表示画像80によれば、高速道路を利用しても航続可能範囲82の外周部付近の場所にまで到達できるといった誤解などの発生を適切に抑制することができる。
【0042】
<変形例>
以下では、上記した実施例に好適な変形例について説明する。なお、下記の変形例は、任意に組み合わせて上述の実施例に適用することができる。
【0043】
(変形例1)
変形例1は、上記の実施例で示した航続可能範囲表示画像80を表示させる場合に、高速道路を走行すると航続可能範囲82内の場所でも到達できない可能性がある旨(以下では単に「警告」とも呼ぶ。)を表示させるものである。つまり、変形例1では、高速道路を走行すると航続可能範囲82内の場所でも到達できない可能性があることをユーザに警告する。
【0044】
具体的には、変形例1では、CPU22は、求められた航続可能範囲82内に高速道路が含まれる場合に、警告を表示させる。例えば、前述したように航続可能範囲82を求めるに当たって複数の到達可能地点を探索するが、CPU22は、探索された到達可能地点の中に高速道路のノード(インターチェンジなど)が含まれている場合に、警告を表示させる。他方で、CPU22は、探索された到達可能地点の中に高速道路のノードが含まれていない場合には、警告を表示させない。このように、CPU22は、本発明における「報知制御部」の一例に相当する。
【0045】
図4は、変形例1に係る航続可能範囲表示画像80aの一例を示している。
図4に示すように、変形例1に係る航続可能範囲表示画像80aでは、上記の実施例で示した航続可能範囲表示画像80上に、「高速道路を利用した場合は航続可能範囲内でもバッテリが不足する可能性があります。」といった旨が示されたメッセージボックス85が表示される。このようなメッセージボックス85を表示させることで、高速道路を利用しても航続可能範囲82の外周部付近の場所にまで到達できるといった誤解などの発生を、より効果的に抑制することができる。
【0046】
なお、
図4では、地図画像81及び航続可能範囲82が示された画像上にメッセージボックス85を表示させる例を示したが、地図画像81及び航続可能範囲82を表示させずに、メッセージボックス85のみを表示させても良い。
【0047】
また、上記のように警告を表示させることに限定はされず、音声によって警告を出力させても良い。例えば、「高速道路を利用した場合は航続可能範囲内でもバッテリが不足する可能性があります。」といった警告を音声によって出力させることができる。
【0048】
(変形例2)
上記した実施例では、地図画像81上に航続可能範囲82を表示させる場合に、地図画像81中の高速道路を全て非表示としていたが(
図3参照)、地図画像81中の高速道路の一部のみを非表示としても良い。例えば、航続可能範囲82に含まれる高速道路のみを非表示とし、航続可能範囲82に含まれない高速道路については表示させることができる。
【0049】
図5は、変形例2に係る航続可能範囲表示画像80bの一例を示している。
図5に示すように、変形例2に係る航続可能範囲表示画像80bでは、一部の高速道路のみが非表示とされている。具体的には、地図画像81bにおいて航続可能範囲82に含まれる高速道路のみが非表示とされ、地図画像81bにおいて航続可能範囲82に含まれない高速道路については表示されている。
【0050】
なお、更に他の例では、航続可能範囲82内において利用可能な高速道路の部分(航続可能範囲82を求めるに当たって走行可能であると判断された高速道路の部分)のみを表示させ、それ以外の高速道路の部分を非表示とすることができる。
【0051】
(変形例3)
上記した実施例では、本発明を、ナビゲーション装置1に適用した例を示したが、これに限定はされない。本発明は、所定の端末装置と通信可能なサーバ装置にも適用することができる。
【0052】
図6は、変形例3に係るシステムの概略構成を示すブロック図である。
図6に示すように、当該システムは、サーバ装置200と端末装置300とを備える。サーバ装置200は、端末装置300と通信可能に構成され、CPU200aなどを備える。例えば、端末装置300は、スマートフォンなどの携帯型端末や、ナビゲーション装置や、ヘッドアップディスプレイなどに相当する。また、端末装置300は、例えば車両などの移動体に搭載される。
【0053】
変形例3では、サーバ装置200内のCPU200aは、端末装置300などから、車両の現在位置を取得すると共に、端末装置300やサーバ装置200内の記憶部(不図示)などから、複数種別の道路を含む地図情報を取得する。また、CPU200aは、車両が保有するエネルギー残量(電気自動車のバッテリのエネルギー残量など)を取得し、当該エネルギー残量に基づいて航続可能範囲を算出する。そして、CPU200aは、地図画像上に航続可能範囲を表示させた画像から、航続可能範囲内の高速道路の少なくとも一部を非表示とさせた画像情報を生成し、当該画像情報を端末装置300に送信する。このように、本発明をサーバ装置200に適用した場合には、サーバ装置200内のCPU200aが、本発明における「現在位置取得部」、「地図情報取得部」、「算出部」、「画像生成部」及び「送信部」として機能する。
【0054】
なお、このような本発明に係る構成要素を一のサーバ装置200によって実現することに限定はされず、複数のサーバ装置が協調して処理・制御を行うことで本発明に係る構成要素を実現することとしても良い。
【0055】
(変形例4)
本発明は、電気自動車への適用に限定はされない。本発明は、電気自動車以外にも種々の移動体に適用することができる。例えば、本発明は、化石燃料を使用する移動体にも適用することができる。その場合には、移動体が保有する化石燃料の残量に基づいて、航続可能範囲を求めれば良い。