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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101785
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】印刷システムおよび缶体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20230713BHJP
【FI】
G01N21/90 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091713
(22)【出願日】2023-06-02
(62)【分割の表示】P 2018212473の分割
【原出願日】2018-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 裕樹
(57)【要約】
【課題】缶体の外面に形成される画像に生じる欠陥の検知精度を高める。
【解決手段】缶体10の移動方向において、第2検査装置300の下流側に、縮径装置950が設けられており、縮径装置950による開口部の縮径が行われる前に、第2検査装置300による画像の検査が行われる。開口部の縮径が行われた後に、第2検査装置300による画像の検査を行うと、画像に欠陥が生じているにも関わらず、缶体10のひずみによってこの欠陥が検知されなくなったりし、画像の検査の精度が低下するおそれがある。これに対し、縮径装置950による開口部の縮径が行われる前に、第2検査装置300による画像の検査を行うようにすると、缶体10のひずみに起因する検査精度の低下を抑えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶体の外面への画像形成を行う画像形成手段と、
前記画像形成手段による前記外面への画像形成が行われた後、当該外面に対して透明な塗料を付着させる塗料付着手段と、
前記塗料付着手段による塗料の付着が行われる前に、前記画像形成手段により前記外面に形成された画像の検査を行う検査手段と、
を備え、
前記缶体は、開口部を有し、
前記缶体の前記開口部の縮径を行う縮径手段を更に備え、
前記縮径手段による前記開口部の縮径が行われる前に、前記検査手段による前記画像の検査が行われる、
印刷システム。
【請求項2】
開口部を有する缶体の外面への画像形成を行う画像形成手段と、
前記画像形成手段による、前記缶体の前記外面への画像形成が行われた後、当該缶体の前記開口部の縮径を行う縮径手段と、
前記縮径手段による前記開口部の縮径が行われる前に、前記画像形成手段により前記外面に形成された画像の検査を行う検査手段と、
を備える印刷システム。
【請求項3】
缶体の外面への画像形成を行う画像形成工程と、
前記外面への画像形成が行われた後、当該外面に対して透明な塗料を付着させる塗料付着工程と、
前記外面への前記塗料の付着が行われる前に、当該外面に形成された画像の検査を行う検査工程と、
を備え、
前記缶体は、開口部を有し、
前記缶体の前記開口部の縮径を行う縮径工程を更に備え、
前記縮径工程による前記開口部の縮径が行われる前に、前記検査工程による前記画像の検査が行われる、
画像が形成された缶体の製造方法。
【請求項4】
開口部を有する缶体の外面への画像形成を行う画像形成工程と、
前記画像形成工程による、前記缶体の前記外面への画像形成が行われた後、当該缶体の前記開口部の縮径を行う縮径工程と、
前記縮径工程による前記開口部の縮径が行われる前に、前記画像形成工程により前記外面に形成された画像の検査を行う検査工程と、
を備える缶体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムおよび缶体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷層が、版式印刷による画像及びインクジェット印刷による画像から成り且つ仕上げニス層によって被覆されている構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-86870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
缶体への画像の形成後、この画像が予め定められた条件を満たしているかを調べるため、この画像の検査が行われることがある。
本発明の目的は、缶体の外面に形成される画像に生じる欠陥の検知精度を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される印刷システムは、缶体の外面への画像形成を行う画像形成手段と、前記画像形成手段による前記外面への画像形成が行われた後、当該外面に対して透明な塗料を付着させる塗料付着手段と、前記塗料付着手段による塗料の付着が行われる前に、前記画像形成手段により前記外面に形成された画像の検査を行う検査手段と、を備え、前記缶体は、開口部を有し、前記缶体の前記開口部の縮径を行う縮径手段を更に備え、前記縮径手段による前記開口部の縮径が行われる前に、前記検査手段による前記画像の検査が行われる、印刷システムである。
他の観点から捉えると、本発明が適用される印刷システムは、開口部を有する缶体の外面への画像形成を行う画像形成手段と、前記画像形成手段による、前記缶体の前記外面への画像形成が行われた後、当該缶体の前記開口部の縮径を行う縮径手段と、前記縮径手段による前記開口部の縮径が行われる前に、前記画像形成手段により前記外面に形成された画像の検査を行う検査手段と、を備える印刷システムである。
また、本発明を、缶体の製造方法として捉えた場合、本発明が適用される缶体の製造方法は、缶体の外面への画像形成を行う画像形成工程と、前記外面への画像形成が行われた後、当該外面に対して透明な塗料を付着させる塗料付着工程と、前記外面への前記塗料の付着が行われる前に、当該外面に形成された画像の検査を行う検査工程と、を備え、前記缶体は、開口部を有し、前記缶体の前記開口部の縮径を行う縮径工程を更に備え、前記縮径工程による前記開口部の縮径が行われる前に、前記検査工程による前記画像の検査が行われる、画像が形成された缶体の製造方法である。
他の観点から捉えると、本発明が適用される缶体の製造方法は、開口部を有する缶体の外面への画像形成を行う画像形成工程と、前記画像形成工程による、前記缶体の前記外面への画像形成が行われた後、当該缶体の前記開口部の縮径を行う縮径工程と、前記縮径工程による前記開口部の縮径が行われる前に、前記画像形成工程により前記外面に形成された画像の検査を行う検査工程と、を備える缶体の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、缶体の外面に形成される画像に生じる欠陥の検知精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷システムの側面図である。
図2】第1検査装置を説明する図である。
図3】縮径装置における処理を説明する図である。
図4】印刷システムの他の構成例を示した図である。
図5】第2検査装置を説明する図である。
図6図1の矢印VI方向から第1インクジェットヘッド、第2インクジェットヘッド、および、移動ユニットを眺めた場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、印刷システム500の側面図である。
印刷システム500には、缶体10が供給される缶体供給部510が設けられている。この缶体供給部510では、缶体10を支持する支持部材20に対する缶体10の供給(取り付け)が行われる。
具体的には、支持部材20は円筒状に形成され、筒状の缶体10に対してこの支持部材20が挿入されることで、支持部材20に対する缶体10の供給が行われる。
【0009】
さらに、印刷システム500には、缶体10を支持しながら移動する移動体の一例としての移動ユニット550が複数設けられている。
本実施形態では、この移動ユニット550に、缶体10を支持する支持部材20が取り付けられ、缶体10は、この移動ユニット550とともに移動する。
【0010】
なお、図1では、移動ユニット550が、1つの缶体10が支持する場合を示しているが、後述するように、移動ユニット550に複数の缶体10を載せ、1つの移動ユニット550が、複数の缶体10を支持するようにしてもよい。
ここで、支持部材20は、円筒状に形成され、さらに、周方向に回転可能な状態で設けられている。本実施形態では、周方向に回転可能なこの支持部材20により缶体10が支持されるため、缶体10も、周方向に回転可能な状態で支持される。
【0011】
缶体10は、円筒状に形成され、一端に開口部が設けられている。また、缶体10の他端は塞がれ、この他端には、底部10Aが設けられている。支持部材20は、この開口部から缶体10に挿入される。
さらに、本実施形態では、移動ユニット550を移動させる移動手段として機能する移動機構560が設けられている。移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う環状の案内部材561が設けられている。
【0012】
移動ユニット550の各々は、案内部材561により案内され、予め定められた環状の移動経路732に沿って周回移動を行う。これに伴い、本実施形態では、移動ユニット550に設けられた支持部材20も、この環状の移動経路732に沿って移動する。
さらに、本実施形態では、支持部材20により支持された缶体10は、予め定められた環状の缶体移動経路800に沿って移動する。
【0013】
缶体移動経路800は、その軸中心800Cが水平方向に沿うように配置されている。言い換えると、缶体移動経路800は、水平方向に沿った軸中心800Cの周りに配置されている。ここで、この軸中心800Cは、図1の紙面に対して直交する方向に延びている。
そして、この場合、本実施形態では、支持部材20および缶体10は、図中、紙面に対して直交する方向に沿って延びるこの軸中心800Cを中心に、周回移動を行う。
【0014】
缶体移動経路800には、直線状の缶体移動経路である第1直線状部810、同じく直線状の缶体移動経路である第2直線状部820が設けられている。
第1直線状部810、第2直線状部820の各々は、水平方向に沿って延びるように配置されている。また、第1直線状部810および第2直線状部820は、略平行となる関係で配置されている。さらに、本実施形態では、第1直線状部810が、第2直線状部820の上方に配置されている。
【0015】
さらに、第1直線状部810は、環状の缶体移動経路800のうちの最上部の部分に設けられ、第2直線状部820は、環状の缶体移動経路800のうちの最下部の部分に設けられている。
さらに、缶体移動経路800には、曲率を有し円弧を描くように形成された第1曲線状部830および第2曲線状部840が設けられている。
第1曲線状部830は、第1直線状部810の図中右端部と第2直線状部820の図中右端部とを結ぶ。また、第1曲線状部830は、上方から下方に向かうように形成されている。
【0016】
付言すると、本実施形態の第1曲線状部830は、缶体10の移動方向において、第1直線状部810の下流側に位置する。
また、第1曲線状部830は、缶体10の移動方向下流側に向かって進むに従い下るように形成されている。ここで、第1曲線状部830は、缶体10の移動方向下流側に向かって進むに従い下る下り缶体移動経路として捉えることができる。
また、本実施形態では、第2曲線状部840が設けられている。この第2曲線状部840は、第1直線状部810の図中左端部と第2直線状部820の図中左端部とを結ぶ。また、第2曲線状部840は、下方から上方に向かうように形成されている。
【0017】
さらに、缶体供給部510には、第1検査装置92が設けられている。
第1検査装置92では、缶体10が変形していないか否かの検査を行う。
より具体的には、第1検査装置92には、図2(第1検査装置92を説明する図)に示すように、光源92Aが設けられている。
光源92Aは、缶体10の一方の端部側に設けられており、缶体10の外周面に沿って且つ缶体10の軸方向に沿って進行するレーザ光を出射する。さらに、缶体10の他方の端部側には、光源92Aからのレーザ光を受光する受光部92Bが設けられている。
【0018】
缶体10の一部が、符号3Aに示すように変形していると、レーザ光が遮られるようになり、受光部92Bでは、レーザ光が受光されないようになる。これにより、缶体10の変形が検知される。
そして、本実施形態では、第1検査装置92にて、缶体10が予め定められた条件を満たしていないと判断された場合(缶体10が変形していると判断された場合)、第1排出機構93(図1参照)が、この缶体10を印刷システム500の外部に排出する。
【0019】
第1排出機構93では、円筒状に形成された支持部材20の内部に圧縮空気が供給され、缶体10が軸方向(図1の紙面と直交する方向)へ移動する。
さらに、缶体10の底部10A(塞がれた側の端部)が、不図示の吸引部材により吸引される。そして、この吸引部材により、印刷システム500の外部へ缶体10が搬送され、印刷システム500の外部へ缶体10が排出される。
【0020】
第1排出機構93の下流側には、インクジェット印刷部700が設けられている。
画像形成手段の一例としてのインクジェット印刷部700は、インクジェット印刷方式を用い、上流側から移動してきた缶体10の外面10X(外周面)への画像形成を行う。
付言すると、本実施形態では、インクジェット印刷部700による画像形成にあたっては、インクジェット印刷部700よりも上流側から、このインクジェット印刷部700に向かって移動ユニット550が順次移動する(矢印1A参照)。
そして、本実施形態では、移動ユニット550上の缶体10に対し、インクジェット印刷部700による画像形成が行われる。
【0021】
ここで、インクジェット印刷方式による画像形成とは、インクジェットヘッド11からインクを吐出させて、缶体10にこのインクを付着させることにより行う画像形成を指す。
インクジェット印刷方式による画像形成では、公知の方式を用いることができる。具体的には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0022】
インクジェット印刷部700の下流側には、硬化手段の一例としての光照射部750が設けられている。
光照射部750は、光源(不図示)を備え、インクジェット印刷部700による画像形成が行われた缶体10の外面10Xに光を照射し、外面10Xに形成された画像を硬化させる。
【0023】
インクジェット印刷部700では、紫外線硬化型のインクを用いて画像を形成する。付言すると、インクジェット印刷部700では、活性放射線硬化型インクを用いて画像を形成する。
光照射部750では、形成されたこの画像に対して紫外線などの光を照射する。これにより、缶体10の外面10Xに形成されたこの画像が硬化する。
【0024】
光照射部750の下流側には、インクジェット印刷部700により缶体10の外面10Xに形成された画像の検査を行う検査手段の一例としての第2検査装置300が設けられている。
ここで、本実施形態では、缶体10の移動方向において、保護層形成部770(後述)よりも上流側に、第2検査装置300が設けられており、本実施形態では、保護層形成部770による缶体10への塗料の付着が行われる前に、缶体10に形成された画像の検査が行われる。
ここで、インクジェット印刷部700、光照射部750、および、第2検査装置300は、第1直線状部810の側方に配置されている。
【0025】
さらに、缶体10の移動方向において、第2検査装置300の下流側には、缶体移動経路800上に位置する缶体10を、この缶体移動経路800から排出する排出手段の一例しての第2排出機構400が設けられている。
この第2排出機構400は、第2検査装置300による検査結果が、予め定められた条件を満たす検査結果となった缶体10を、缶体移動経路800から排出する。言い換えると、第2排出機構400は、形成された画像に欠陥が生じているいわゆる不良缶を缶体移動経路800から排出する。
【0026】
ここで、第2排出機構400では、第1排出機構93と同様、円筒状に形成された支持部材20の内部に圧縮空気が供給され、缶体10が軸方向(図1の紙面と直交する方向)へ移動する。
さらに、缶体10の底部10A(塞がれた側の端部)が、不図示の吸引部材により吸引される。そして、この吸引部材により、印刷システム500の外部へ缶体10が搬送され、印刷システム500の外部へ缶体10が排出される。付言すると、缶体移動経路800の外部へ缶体10が搬送され、缶体移動経路800の外部へ缶体10が排出される。
【0027】
さらに、本実施形態では、缶体10の移動方向において、第2排出機構400の下流側に、保護層形成部770が設けられている。
塗料付着手段の一例としての保護層形成部770は、インクジェット印刷部700による缶体10への画像形成が行われた後、缶体10の外面10Xに対して、透明な塗料を付着させる。より具体的には、保護層形成部770は、塗料をその外周面に保持したロール状部材701を、缶体10の外面10Xに接触させ、この外面10Xに、透明な塗料を付着させる。
付言すると、保護層形成部770は、インクジェット印刷部700により形成された画像の上に、透明な塗料を付着させ、この画像を覆う透明な層を形成する。これにより、缶体10の最外層に、透明な保護層が形成される。
【0028】
保護層形成部770の下流側には、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われる取り外し部780が設けられている。
本実施形態では、この取り外し部780にて、支持部材20からの缶体10の取り外しが行われ、この缶体10が、印刷システム500の外部に排出される。
さらに、本実施形態では、缶体10の移動方向において、取り外し部780よりも下流側に、缶体10の開口部の縮径を行う縮径手段の一例としての縮径装置950が設けられている。
【0029】
ここで、本実施形態のように、缶体10に画像を形成した後に、この画像の上に透明な塗料を付着させる場合、画像の形成時に生じていた画像の欠陥が目立ちにくくなることがある。
付言すると、インクジェット印刷部700により形成された画像の一部に、例えば、ドットの欠けなどの欠陥があったとしても、塗料を付着させると、この欠陥が目立ちにくくなり、この欠陥が、第2検査装置300にて検知されにくくなる。
【0030】
これに対して、本実施形態のように、保護層形成部770よりも上流側に第2検査装置300を設け、保護層形成部770による缶体10への塗料の付着が行われる前に、画像の検査を行う場合は、画像の欠陥がより検知されやすくなる。
付言すると、保護層形成部770による缶体10への塗料の付着が行われる前に、画像の検査を行う場合は、塗料の付着が無い状態で検査が行われるため、画像の欠陥がより検知されやすくなる。
【0031】
なお、本実施形態では、缶体10への画像形成を、インクジェットヘッド11を用いて行ったが、缶体10への画像形成は、凸版などの版式を用いて行ってもよい。
そして、この場合も(版式で印刷を行う場合も)、上記と同様、塗料の付着が行われる前に画像の検査を行うようにすれば、画像の欠陥がより検知されやすくなる。
【0032】
縮径装置950では、図3(縮径装置950における処理を説明する図)に示すように、缶体10の開口部の縮径が行われる。
具体的には、縮径装置950では、不図示の金型が、缶体10の外面10X(外周面)且つ缶体10の開口部に対して押し当てられる。
これにより、缶体10の開口部では、缶体10の外径が、缶体10の中央部10C(缶体10の軸方向における中央部10C)における外径よりも小さくなる。
【0033】
図1を参照し、本実施形態の印刷システム500についてさらに説明する。
本実施形態では、図1に示すように、下り缶体移動経路の一例である第1曲線状部830に、第2排出機構400が設けられている。
これにより、本実施形態では、第2排出機構400は、不良缶(予め定められた条件を満たす検査結果となった缶体10)が、曲率を有する第1曲線状部830に位置する際に、この不良缶を、第1曲線状部830から排出する。
【0034】
ここで、例えば、第2排出機構400は、第1直線状部810に設けることもできるが、この場合は、第1直線状部810が長くなり、符号1Eで示す方向における印刷システム500の寸法が大きくなる。この場合、印刷システム500の占有面積が大きくなる。
これに対し、本実施形態のように、下り缶体移動経路である第1曲線状部830に、第2排出機構400を設けると、符号1Eで示す方向における印刷システム500の寸法を小さいものにでき、印刷システム500の占有面積の低減を図れる。
【0035】
なお、本実施形態では、下り缶体移動経路である第1曲線状部830に、第2排出機構400を設けた場合を説明したが、缶体10が上方へ移動する上り缶体移動経路に、第2排出機構400を設けることでも、同様に、印刷システム500の占有面積を小さくできる。
より具体的には、例えば、図1の第2曲線状部840に、第2排出機構400を設け、缶体10が第2曲線状部840に位置する際に缶体10を排出する構成でも、印刷システム500の占有面積を小さくできる。
なお、この場合は、第2曲線状部840に設けられたこの第2排出機構400よりも下流側に、保護層形成部770、取り外し部780が設けられることになる。
【0036】
次に、インクジェット印刷部700について説明する。
図1に示すインクジェット印刷部700は、第1直線状部810の上方に配置され、第1直線状部810に位置する缶体10への画像形成を行う。
インクジェット印刷部700には、図中左右方向に並んで配置された複数のインクジェットヘッド11が設けられている。この複数のインクジェットヘッド11が設けられている部分は、缶体10への画像形成を行う画像形成手段として捉えることができる。
【0037】
具体的には、インクジェット印刷部700には、シアンのインクを吐出する第1インクジェットヘッド11C、マゼンタのインクを吐出する第2インクジェットヘッド11M、イエローのインクを吐出する第3インクジェットヘッド11Y、黒のインクを吐出する第4インクジェットヘッド11Kが設けられている。
以下の説明において、第1インクジェットヘッド11C~第4インクジェットヘッド11Kを特に区別しない場合には、単に、「インクジェットヘッド11」と称する。
【0038】
なお、本実施形態では、4つのインクジェットヘッド11が設けられている場合を例示したが、コーポ―レートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッド11や、白色の層を形成するためのインクジェットヘッド11をさらに設けてもよい。
【0039】
ここで、第1インクジェットヘッド11C~第4インクジェットヘッド11Kの4つのインクジェットヘッド11は、紫外線硬化型のインクを用いて、缶体10への画像形成を行う。
また、本実施形態では、缶体10は寝た状態で移動し(缶体10の軸方向が水平状態となる状態で缶体10が移動し)、缶体10の外面10Xの一部が、鉛直方向における上方を向く。
本実施形態では、この外面10Xの上方から、下方に向けてインクを吐出し、缶体10の外面10Xへの画像形成を行う。
【0040】
また、本実施形態では、各インクジェットヘッド11の下方にて、移動ユニット550が停止し、移動ユニット550上の缶体10へのインクの吐出が行われ、缶体10への画像形成が行われる。
そして、本実施形態では、缶体10への画像形成が終わると、移動ユニット550が、1つ下流側に位置するインクジェットヘッド11へ向かって移動し、このインクジェットヘッド11にて、缶体10への画像形成がさらに行われる。
【0041】
さらに、本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド11は、缶体10の移動方向に並んだ状態で配置されている。また、4つのインクジェットヘッド11の各々は、缶体10の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。
本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド11の下方を缶体10が通過していく過程で、缶体10に対して上方からインクが吐出され、缶体10に画像が形成される。
【0042】
より具体的には、本実施形態では、移動ユニット550が、複数設けられたインクジェットヘッド11の各々の設置箇所にて停止する。
そして、各インクジェットヘッド11では、缶体10へのインクの吐出が行われ、缶体10に画像が形成される。なお、各インクジェットヘッド11にて画像形成が行われる際、缶体10は、周方向に回転する。
【0043】
移動体の一例としての移動ユニット550の各々は、予め定められた移動速度で移動を行う。
また、移動ユニット550の各々は、缶体供給部510、第1検査装置92、第1排出機構93、各インクジェットヘッド11、光照射部750、第2検査装置300、第2排出機構400、保護層形成部770、取り外し部780の各々にて停止する。
【0044】
また、第1検査装置92、各インクジェットヘッド11、光照射部750、第2検査装置300、保護層形成部770などの設置箇所では、移動ユニット550上の缶体10は、予め定められた回転速度で周方向への回転を行う。
また、本実施形態の印刷システム500では、印刷システム500内に位置する缶体10の個数よりも多い移動ユニット550が設置されている。さらに、移動ユニット550は、軸中心800Cの周りを移動する。
【0045】
移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う環状の案内部材561が設けられている。この案内部材561の内部には、電磁石(不図示)が設けられている。
さらに、移動ユニット550には、永久磁石(不図示)が設置されている。
本実施形態では、リニア機構が用いられて、移動ユニット550の移動が行われる。
【0046】
より具体的には、本実施形態の印刷システム500では、制御部900が設けられており、制御部900は、上記の電磁石への通電を制御して、磁界を生成し、移動ユニット550の各々を移動させる。なお、制御部900は、プログラム制御されたCPU(Central Processing Unit)により構成されている。
【0047】
図1に示すように、移動ユニット550には、案内部材561により案内される台座部551が設けられている。この台座部551には、永久磁石(不図示)が設置されている。
本実施形態では、案内部材561に設けられた電磁石によって発生する磁界と、移動ユニット550の台座部551に設けられた永久磁石とによって、移動ユニット550に推進力が生じ、移動ユニット550が、環状の移動経路732に沿って移動する。
【0048】
本実施形態の移動ユニット550には、缶体10を支持する円筒状の支持部材20、この支持部材20を台座部551に固定するための固定用部材(不図示)が設けられている。
支持部材20は、円筒状に形成され、缶体10に形成された開口部を通じて缶体10に挿入され、この缶体10を支持する。また、支持部材20は、寝た状態(水平方向に沿った状態)で配置されている。これにより、本実施形態では、缶体10も寝た状態で配置される。
本実施形態では、各インクジェットヘッド11に缶体10が達すると、インクジェットヘッド11の各々から、下方に位置する缶体10へのインクの吐出が行われる。これにより、缶体10の外面10Xに画像が形成される。
【0049】
光照射部750は、インクジェット印刷部700の下流側に配置され、缶体10に対して、光の一例である紫外線を照射する。これにより、缶体10の外周面に形成された画像(インクジェット印刷部700により形成された画像)が硬化する。
なお、缶体10への画像形成にあたっては、熱硬化型のインクを用いてもよく、この場合は、例えば、光照射部750が設けられている箇所に、光源ではなく熱源が設置される。
【0050】
本実施形態では、移動ユニット550は、各インクジェットヘッド11の下方に達する度に、停止する。言い換えると、移動ユニット550は、予め定められた停止箇所の各々にて停止する。
そして、本実施形態では、この予め定められた停止箇所にて停止した移動ユニット550が保持している缶体10の外面10Xに対し、画像形成手段の一例としてのインクジェットヘッド11によって、画像が形成される。
【0051】
より具体的には、インクジェットヘッド11の各々の設置箇所では、支持部材20(缶体10)が周方向に回転している状態にて、インクジェットヘッド11からのインクの吐出が行われ、缶体10の外面10Xに画像が形成される。
本実施形態では、インクの吐出が開始されてから支持部材20が360°回転すると、インクの吐出が停止する。これにより、缶体10の外面10Xの周方向における全域に、画像が形成される。
【0052】
本実施形態では、図1にて示す支持部材20は、図1の紙面と直交する方向に沿って配置されている。言い換えると、支持部材20は、水平方向に沿って延びるように配置されている。
また、支持部材20は、移動ユニット550の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。
【0053】
また、本実施形態では、インクジェットヘッド11は、缶体10の上方に位置し、缶体10に対しては、上方からインクが吐出される。
この場合、インクジェットヘッド11が、缶体10の側方や缶体10の下方に配置される場合に比べ、インクジェットヘッド11から吐出されたインクの液滴に作用する重力の影響を小さくでき、缶体10におけるインクの付着位置の精度を高められる。
【0054】
さらに、本実施形態では、第1直線状部810の側方(上方)に、インクジェット印刷部700(複数のインクジェットヘッド11)が設けられている。
これにより、曲線状部(第1曲線状部830や第2曲線状部840)の側方に、インクジェット印刷部700(複数のインクジェットヘッド11)が設けられる場合に比べ、缶体10に形成される画像の質を高めやすくなる。
【0055】
ここで、曲線状部の側方に、インクジェットヘッド11を設ける場合は、例えば、図4(印刷システム500の他の構成例を示した図)に示すように、インクジェットヘッド11の姿勢が、インクジェットヘッド11毎に異なるようになる。
この場合、インクジェットヘッド11の姿勢が揃っている場合に比べ、インクジェットヘッド11毎に形成される画像間に位置ずれが生じるなど、形成される画像の質が低下しやすくなる。
【0056】
これに対し、本実施形態のように、直線状部(第1直線状部810)の側方に、インクジェット印刷部700を設けると、複数のインクジェットヘッド11の姿勢を揃えやすくなり、形成される画像の質の低下を抑えられる。
【0057】
図5は、第2検査装置300を説明する図である。
本実施形態の第2検査装置300には、缶体10の外面10Xに形成された画像を撮影する撮影手段の一例としての撮影装置310が設けられている。この撮影装置310は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)などの撮影用素子を含んで構成される。さらに、第2検査装置300には、缶体10に照射される光を出射する光源320が設けられている。
【0058】
第2検査装置300は、撮影装置310により得られた画像を解析し、缶体10の外面10Xに形成された画像の検査を行う。
より具体的には、第2検査装置300は、例えば、撮影装置310により得られた画像と、予め登録された基準画像とを比較することで、缶体10の外面10Xに形成された画像に欠陥があるか否かの検査を行う。
【0059】
ここで、本実施形態では、第1直線状部810に缶体10が位置する際に、撮影装置310を用いて、缶体10の外面10Xに形成された画像を撮影する。
付言すると、本実施形態では、第1直線状部810に缶体10が位置する際に、第2検査装置300によって、缶体10の外面10Xに形成された画像の検査が行われる。
これにより、本実施形態では、曲率を有する第1曲線状部830等に缶体10が位置する際に、缶体10の検査(缶体10の撮影)を行う場合に比べ、缶体10の画像の検査の精度を高められる。
【0060】
ここで、缶体移動経路800のうちの、曲率を有する部分では、缶体10の停止位置の精度が低下しやすい。
この場合、撮影装置310を用いて缶体10を撮影する際における、缶体10の位置がばらつきやすく、このばらつきに起因して、画像の検査精度の低下を招きやすくなる。
これに対し、本実施形態のように、第1直線状部810に缶体10が位置する際に、缶体10の検査(撮影)を行う場合は、缶体10の位置のばらつきが生じにくくなり、缶体10の画像の検査の精度を高めやすくなる。
【0061】
さらに、本実施形態では、水平方向に沿って配置されている第1直線状部810に缶体10が位置する際に、この缶体10に形成された画像の検査を行う。
これにより、本実施形態では、下り缶体移動経路である第1曲線状部830に缶体10が位置する際に、缶体10の検査を行う場合や、上り缶体移動経路である第2曲線状部840に缶体10が位置する際に、缶体10の検査を行う場合に比べ、缶体10の画像の検査精度を高められる。
【0062】
ここで、缶体移動経路800のうちの、下り傾斜や上り傾斜を有する部分では、缶体10の停止位置の精度が低下しやすい。この場合、上記と同様、缶体10の位置がばらつきやすく、このばらつきに起因して、画像の検査の精度が低下しやすい。
これに対し、本実施形態のように、水平方向に沿って配置されている第1直線状部810に缶体10が位置する際に、缶体10の検査を行うと、缶体10の検査の精度を高めやすくなる。
【0063】
また、本実施形態では、図1に示すように、第1直線状部810に、インクジェット印刷部700、第2検査装置300の両者が設けられている。
本実施形態では、インクジェット印刷部700は、第1直線状部810に缶体10が位置する際に、この缶体10への画像形成を行い、また、第2検査装置300も、この第1直線状部810に缶体10が位置する際に、この缶体10に形成された画像の検査を行う。
これにより、インクジェット印刷部700、第2検査装置300の一方又は両方が、曲率を有する第1曲線状部830等に位置する場合に比べ、缶体10に形成される画像の質を高められる。
【0064】
なお、上記のとおり、本実施形態では、第2排出機構400については、第1直線状部810ではなく、第1曲線状部830に設けられており、第2排出機構400は、曲率を有するこの第1曲線状部830上に缶体10が位置する際に、缶体移動経路800からの缶体10の排出を行う。
ここで、缶体10の排出にあたっては、缶体10への画像形成時や、第2検査装置300による検査時に比べ、缶体10の位置の精度が必要とされない。
【0065】
そこで、本実施形態では、第2排出機構400については、第1直線状部810ではなく、第1曲線状部830に設けるようにしている。
ここで、第2排出機構400を第1曲線状部830に設けるようにすると、第2排出機構400を第1直線状部810に設ける場合に比べ、印刷システム500の占有面積の低減を図れる。
【0066】
なお、本実施形態では、第2排出機構400が、下り缶体移動経路である第1曲線状部830に設けられた場合を一例に説明したが、第2排出機構400は、上り缶体移動経路である第2曲線状部840に設け、缶体10がこの第2曲線状部840に位置する際に、缶体10を、缶体移動経路800から排出してもよい。
なお、この場合は、第2曲線状部840に設けられたこの第2排出機構400よりも下流側に、保護層形成部770、取り外し部780が設けられることになる。
【0067】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、塗料付着手段の一例としての保護層形成部770も、第1曲線状部830に設けられており、保護層形成部770は、この第1曲線状部830に缶体10が位置する際にこの缶体10への塗料の付着を行う。
これにより、第2排出機構400と同様、第1直線状部810に保護層形成部770を設ける場合に比べ、印刷システム500の占有面積の低減を図れる。
なお、保護層形成部770についても、上り缶体移動経路である第2曲線状部840に設けてもよい。この場合は、第2曲線状部840に設けられたこの保護層形成部770よりも下流側に、取り外し部780が設けられることになる。
【0068】
さらに、本実施形態では、図1に示すように、缶体10の移動方向において、第2排出機構400は、保護層形成部770よりも上流側に配置されている。
これにより、本実施形態では、不良缶については、塗料の付着が行われる前に、缶体移動経路800から排出される。この場合、不良缶であっても塗料の付着が行われる場合に比べ、使用する塗料の量を削減できる。
【0069】
さらに、本実施形態では、第2検査装置300は、光照射部750により硬化が行われた後の画像であって、塗料がこの画像の上に付着する前のこの画像の検査を行う。
付言すると、本実施形態では、缶体10の移動方向において、第2検査装置300は、光照射部750よりも下流側に且つ保護層形成部770よりも上流側に配置され、光照射部750による硬化が行われ且つ塗料がその表面に塗られる前の画像の検査を行う。
【0070】
ここで、画像の硬化がなされる前にこの画像の検査を行う場合、検査の後に画像が変化し、画像の状態が変わってしまうおそれがある。また、塗料が画像の表面に塗られた後に画像の検査を行うと、上記のとおり、画像の形成時に生じていた、画像の欠陥が目立ちにくくなり、この欠陥が検知されにくくなる。
これに対し、本実施形態のように、光照射部750による硬化が行われ且つ塗料がその表面に塗られる前の画像の検査を行うと、検査の後に画像が変化することが抑制され、さらに、画像に生じている欠陥をより精度よく検知できるようになる。
【0071】
さらに、本実施形態では、缶体10の移動方向において、第2検査装置300の下流側に、縮径装置950(図1参照)が設けられており、本実施形態では、縮径装置950による開口部の縮径が行われる前に、第2検査装置300による画像の検査が行われる。
ここで、縮径装置950による開口部の縮径を行うと、この縮径により、缶体10がひずみやすくなる。この場合、開口部の縮径が行われた後に、第2検査装置300による画像の検査を行うと、缶体10のひずみに起因して、画像の検査の精度が低下するおそれがある。
【0072】
付言すると、開口部の縮径が行われた後に、第2検査装置300による画像の検査を行うと、画像に欠陥が生じているにも関わらず、缶体10のひずみによってこの欠陥が検知されなくなったりし、画像の検査の精度が低下するおそれがある。
これに対し、本実施形態のように、縮径装置950による開口部の縮径が行われる前に、第2検査装置300による画像の検査を行うようにすると、缶体10のひずみに起因する検査精度の低下を抑えられる。
【0073】
図6は、図1の矢印VI方向から第1インクジェットヘッド11C、第2インクジェットヘッド11M、および、移動ユニット550を眺めた場合の図である。
なお、図6では、第2インクジェットヘッド11Mの直下に位置する移動ユニット550については、図示を省略している。
【0074】
図1では図示を省略したが、本実施形態では、図6に示すように、移動ユニット550が停止する停止箇所Pの各々に、缶体10を回転させる駆動源の一例としてのサーボモータMが設けられている。
付言すると、移動ユニット550の移動経路732の脇には、移動ユニット550により支持されている缶体10を回転させるサーボモータMが設けられている。
【0075】
本実施形態では、缶体10を回転させる駆動源(サーボモータM)は、移動ユニット550に設けられておらず、印刷システム500の本体側に設けられている。
付言すると、本実施形態では、缶体10を回転させるための駆動源は、移動ユニット550に設けられておらず、移動ユニット550とは別の箇所に設けられている。
これにより、移動ユニット550が軽量となり、移動ユニット550の移動に起因する印刷システム500の揺れが小さくなる。
【0076】
ここで、移動ユニット550に駆動源が設けられ、移動ユニット550の重量が大きいと、移動ユニット550が停止等した際の印刷システム500の揺れが大きくなりやすい。そして、この場合、インクジェットヘッド11などが揺れ、画質の低下を招きやすい。
これに対し、本実施形態のように、駆動源を、印刷システム500の本体側に設ける構成では、移動ユニット550の軽量化が図られ、移動ユニット550が停止等した際の印刷システム500の揺れが小さくなる。
【0077】
図6に示すように、移動ユニット550には、台座部551が設けられている。
さらに、この台座部551の上には、2個の缶体10が設けられている。この缶体10の各々の内部には、支持部材20が挿入され、缶体10は、この支持部材20により支持されている。
さらに、移動ユニット550には、缶体10へ回転駆動力を伝達するための伝達軸555が設けられ、本実施形態では、この伝達軸555を介し、サーボモータMからの回転駆動力が缶体10に伝達される。
【0078】
より具体的には、本実施形態では、支持部材20の各々に接触し、支持部材20を回転させる回転ギア556が設けられている。
この回転ギア556が、伝達軸555によって回転することで、缶体10が周方向に回転する。なお、本実施形態では、移動ユニット550の各々に設けられる2個の缶体10は、同方向に回転する。
【0079】
ここで、本実施形態では、駆動源であるサーボモータMから移動ユニット550への駆動力の伝達は、いわゆるマグネットカップリングにより行われる。
具体的には、本実施形態では、サーボモータM側に(印刷システム500の本体側)に、サーボモータMにより回転する駆動源側回転体581が設けられている。
【0080】
さらに、本実施形態では、移動ユニット550側に、伝達軸555と同軸上に配置された移動体側回転体582が設けられている。
本実施形態では、駆動源側回転体581から移動体側回転体582に対して駆動力が伝達されることで、缶体10が回転する。
【0081】
より具体的には、本実施形態では、磁力が用いられることで、駆動源側回転体581に同期して移動体側回転体582が回転し、駆動源側回転体581から移動体側回転体582へ駆動力が伝達される。
付言すると、本実施形態では、駆動源側回転体581および移動体側回転体582の一方又は両方に磁石が設けられ、他方に、この磁石により吸引される被吸引体が設けられている。
【0082】
これにより、本実施形態では、磁石にて発生する磁力が用いられて、駆動源側回転体581に同期した移動体側回転体582の回転が行われる。
そして、本実施形態では、移動体側回転体582が回転すると、これに応じ伝達軸555が回転し、これに伴い、缶体10が周方向に回転する。
【0083】
本実施形態では、駆動源側回転体581から移動体側回転体582へ駆動力が伝達される際(停止箇所Pにて移動ユニット550が停止している際)、図6に示すように、駆動源側回転体581と移動体側回転体582とが互いに対向配置される。
さらに、本実施形態では、このとき、駆動源側回転体581と移動体側回転体582とは非接触の状態で配置される。
ここで、このように非接触となる場合、駆動源側回転体581と移動体側回転体582とが接触することによる移動ユニット550の変位が抑制され、移動ユニット550の変位に起因する、画像の形成位置のずれが抑えられる。
【0084】
[その他]
上記では、いわゆるリニア機構を用いて移動ユニット550を移動させたが、移動ユニット550の移動は、リニア機構に限らず、例えば、無端状の部材(ベルトやチェーンなどの部材)に、移動ユニット550を取り付け、この無端状の部材を周回移動させることで行ってもよい。
また、例えば、移動ユニット550の各々に、移動ユニット550を移動させるための、モータなどの駆動源を設け、移動ユニット550を自律的に移動させるようにしてもよい。
【0085】
また、上記では、インクジェットヘッド11の設置箇所に、駆動源(サーボモータM)が設けられている場合を示したが、この駆動源は、第1検査装置92(図1参照)、光照射部750、第2検査装置300、保護層形成部770などの他の箇所にも設けられている。
本実施形態では、この他の箇所でも、移動ユニット550とは別に設けられた駆動源により、缶体10の回転が行われる。
【0086】
また、上記では、駆動源側回転体581と移動体側回転体582とが非接触の状態で配置される場合を一例に説明したが、駆動源側回転体581と移動体側回転体582とが接触するようにし、互いに接触した駆動源側回転体581、移動体側回転体582を通じて、缶体10への駆動力の供給を行ってもよい。
また、上記では、缶体10を回転させるための駆動源(サーボモータM)を、移動ユニット550以外の箇所に設けたが、缶体10を回転させるための駆動源は、移動ユニット550に設けてもよい。
【符号の説明】
【0087】
300…第2検査装置、500…印刷システム、700…インクジェット印刷部、770…保護層形成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6