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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101796
(43)【公開日】2023-07-21
(54)【発明の名称】収容庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20230713BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20230713BHJP
【FI】
F25D23/00 302Z
F25D11/00 101B
F25D11/00 101D
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092055
(22)【出願日】2023-06-05
(62)【分割の表示】P 2019123655の分割
【原出願日】2019-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】509317531
【氏名又は名称】株式会社MARS Company
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】大野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大平 剛
(57)【要約】
【課題】対象物の結露を抑制することができる収容庫を提供すること。
【解決手段】コンテナ1は、対象物を収容可能な収容室20を有するコンテナ本体2と、収容室20内を冷却する冷却装置3と、収容室20内の温度を検出する内部温度センサー41と、コンテナ本体2外の温度を検出する外部温度センサー43と、冷却装置3の駆動を制御する制御装置9と、を有する。そして、制御装置9は、内部温度センサー41の検出結果に基づいて冷却装置3の駆動を制御する通常温度制御モードと、内部温度センサー41および外部温度センサー42の検出結果に基づいて、収容室20内の温度T1とコンテナ本体2外の温度である外気温T2との差ΔTが収容室20内からコンテナ本体2外に対象物を搬出した際に対象物に結露が生じない温度差となるように冷却装置3の駆動を制御するテンパリング温度制御モードと、を有する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を収容可能な収容室を有する収容庫本体と、
前記収容室内を冷却する冷却装置と、
前記収容室内の温度を検出する内部温度センサーと、
前記収容庫本体外の温度を検出する外部温度センサーと、
前記冷却装置の駆動を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記内部温度センサーの検出結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する第1駆動制御モードと、
前記内部温度センサーおよび前記外部温度センサーの検出結果に基づいて、前記収容室内の温度と前記収容庫本体外の温度との差が前記収容室内から前記収容庫本体外に前記対象物を搬出した際に前記対象物に結露が生じない温度差となるように前記冷却装置の駆動を制御する第2駆動制御モードと、を有することを特徴とする収容庫。
【請求項2】
前記第2駆動制御モードは、複数のモードを有し、
前記制御装置は、前記対象物に関する情報に基づいて、前記複数のモードから1つのモードを選択する請求項1に記載の収容庫。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第2駆動制御モードの実施を受け付ける受付部を有し、
前記受付部が前記第2駆動制御モードの実施を受け付けた場合に、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を行う請求項1または2に記載の収容庫。
【請求項4】
前記受付部は、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始するタイミングを受け付け、
前記制御装置は、前記受付部が受け付けた前記タイミングで前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する請求項3に記載の収容庫。
【請求項5】
前記受付部は、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する位置情報を受け付け、
前記制御装置は、前記受付部が受け付けた前記位置情報に対応する位置に前記収容庫本体が到達した後に前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する請求項3に記載の収容庫。
【請求項6】
前記収容室内の湿度を検出する内部湿度センサーと、
前記収容庫本体外の湿度を検出する外部湿度センサーと、を有する請求項1から5のいずれか1項に記載の収容庫。
【請求項7】
前記収容庫本体外の気圧を検出する外部気圧センサーを有する請求項1から6のいずれか1項に記載の収容庫。
【請求項8】
前記収容室内に電界を形成する電界形成装置を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の収容庫。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、コンテナ内を冷却してコンテナに収容された対象物(特に生鮮食品)の鮮度を維持するリーファーコンテナ(収容庫)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-136287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたリーファーコンテナでは、リーファーコンテナの外部環境温度が考慮されていない。したがって、例えば、リーファーコンテナの外部環境温度がリーファーコンテナ内の冷却温度に対して十分に高い場合には、リーファーコンテナに収容された対象物をリーファーコンテナ外に搬出した際に対象物に結露が生じてしまい、当該結露によって対象物がダメージを受けるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、収容室に収容された対象物(特に、生鮮食品)を収容室外へ搬出する際に、対象物の結露を抑制し、当該結露によるダメージを抑制することのできる収容庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
【0007】
(1) 対象物を収容可能な収容室を有する収容庫本体と、
前記収容室内を冷却する冷却装置と、
前記収容室内の温度を検出する内部温度センサーと、
前記収容庫本体外の温度を検出する外部温度センサーと、
前記冷却装置の駆動を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、
前記内部温度センサーの検出結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する第1駆動制御モードと、
前記内部温度センサーおよび前記外部温度センサーの検出結果に基づいて、前記収容室内の温度と前記収容庫本体外の温度との差が前記収容室内から前記収容庫本体外に前記対象物を搬出した際に前記対象物に結露が生じない温度差となるように前記冷却装置の駆動を制御する第2駆動制御モードと、を有することを特徴とする収容庫。
【0008】
(2) 前記第2駆動制御モードは、複数のモードを有し、
前記制御装置は、前記対象物に関する情報に基づいて、前記複数のモードから1つのモードを選択する上記(1)に記載の収容庫。
【0009】
(3) 前記制御装置は、前記第2駆動制御モードの実施を受け付ける受付部を有し、
前記受付部が前記第2駆動制御モードの実施を受け付けた場合に、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を行う上記(1)または(2)に記載の収容庫。
【0010】
(4) 前記受付部は、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始するタイミングを受け付け、
前記制御装置は、前記受付部が受け付けた前記タイミングで前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する上記(3)に記載の収容庫。
【0011】
(5) 前記受付部は、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する位置情報を受け付け、
前記制御装置は、前記受付部が受け付けた前記位置情報に対応する位置に前記収容庫本体が到達した後に前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する上記(3)に記載の収容庫。
【0012】
(6) 前記収容室内の湿度を検出する内部湿度センサーと、
前記収容庫本体外の湿度を検出する外部湿度センサーと、を有する上記(1)から(5)のいずれかに記載の収容庫。
【0013】
(7) 前記収容庫本体外の気圧を検出する外部気圧センサーを有する上記(1)から(6)のいずれかに記載の収容庫。
【0014】
(8) 前記収容室内に電界を形成する電界形成装置を有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の収容庫。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明によれば、収容室に収容された対象物(特に生鮮食品)を収容室外へ搬出するのに先立って、収容室内の温度を、対象物を収容室外へ搬出しても当該対象物に結露が生じない温度にしておくことができる。そのため、対象物の結露を抑制し、当該結露によるダメージを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るコンテナを示す斜視図である。
図2】コンテナの内部を示す断面図である。
図3】制御装置の構成を示すブロック図である。
図4】結露のしくみを説明するためのグラフである。
図5】収容室内の温度を目標温度まで上昇させる方法の一例を示すグラフである。
図6】テンパリング温度制御モードの例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1に示すコンテナ1(収容庫)は、トラック、船舶、飛行機等に搭載される移動型コンテナである。また、コンテナ1は、所謂「リーファーコンテナ」であり、対象物を収容する収容室20を有するコンテナ本体2(収容庫本体)と、収容室20内を冷却する冷却装置3と、収容室20内の温度を検出する内部温度センサー41と、収容室20内の湿度を検出する内部湿度センサー42と、外気温すなわちコンテナ1が置かれた環境の温度を検出する外部温度センサー43と、外湿度すなわちコンテナ1が置かれた環境の湿度を検出する外部湿度センサー44と、外気圧すなわちコンテナ1が置かれた環境の気圧を検出する外部気圧センサー45と、収容室20内に電界を形成する電界形成装置5と、これら各部を制御する制御装置9とを有する。なお、本明細書で言う「湿度」は、特に説明がない場合でも「相対湿度」を意味する。
【0018】
このようなコンテナ1は、例えば、国際規格(ISO規格)に準拠する構成となっており、例えば、全長が20フィートの「20フィートコンテナ」または全長が40フィートの「40フィートコンテナ」である。国際規格に準拠する構成とすることにより、利便性および汎用性に優れ、さらには十分な信頼性を有するコンテナ1となる。ただし、コンテナ1は、必ずしも国際規格(ISO規格)に準拠する必要はなく、コンテナ1の形状や構成は、特に限定されない。また、コンテナ1は、移動型コンテナではなく、店舗、倉庫等に固定して用いられる固定型コンテナであってもよい。また、収容庫としては、コンテナ1に限定されず、例えば、冷却倉庫、冷蔵庫等にも適用可能である。
【0019】
対象物としては、特に限定されず、例えば、魚、エビ、カニ、イカ、タコ、貝等の魚介類およびこれらの加工食品、イチゴ、リンゴ、バナナ、みかん、ぶどう、梨等の果物およびこれらの加工食品、キャベツ、レタス、キュウリ、トマト等の野菜およびこれらの加工食品、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉等の食肉等の生鮮食品、牛乳、チーズ、ヨーグルト等の各種乳製品、ワイン、ブランデー、ウィスキー、牛乳、野菜ジュース、果物ジュース等の各種飲料等が挙げられる。これらの中でも、対象物としては、特に、生鮮食品であることが好ましい。以下では、対象物を生鮮食品として説明する。
【0020】
コンテナ本体2は、奥行き方向に延びた略直方体形状であり、その内部には対象物を収容するための収容室20が設けられている。コンテナ本体2は、主に、内壁と、外壁と、内壁と外壁との間に設けられた断熱材とにより構成されており、収容室20が十分に断熱されて外気温の影響を受け難い構成となっている。このような構成とすることにより、冷却装置3によって収容室20内を効率的に冷却することができる。なお、特に限定されないが、内壁および外壁は、それぞれ、ステンレス鋼、アルミニウム等の各種金属で構成することができる。
【0021】
また、コンテナ本体2の図1中手前側の端部には観音開き型の一対の扉21、22が設けられている。そして、この扉21、22を開くことにより、収容室20への対象物の搬入または収容室20からの対象物の搬出が可能となる。ただし、扉21、22の配置や構成は、特に限定されない。一方、コンテナ本体2の図1中奥側の端部には冷却装置3が設けられている。なお、本実施形態のコンテナ1では、コンテナ本体2の図1中奥側の端部に位置する壁が冷却装置3のパネルで構成されているが、これに限定されず、コンテナ本体2の壁で構成されていてもよい。
【0022】
図2に示すように、冷却装置3は、収容室20の扉21、22側から見て奥側の端部に設けられており、収容室20内の空気を吸入する吸入部31と、吸入部31から吸入した空気を冷却する冷却装置32と、冷却装置32で冷却した空気すなわち冷気を収容室20内に吹き出す吹出部33と、を有する。
【0023】
吹出部33は、収容室20の床面202付近に設けられ、床面202に向けて冷気を吹き出す。吹出部33から吹き出した冷気は、収容室20の床面202にコンテナ本体2の長手方向に沿って形成された複数の溝24に沿って流れ、扉21、22にぶつかって、或いはその手前で上昇し、収容室20の天井面201に達する。一方、吸入部31は、収容室20の天井面201付近に設けられ、床面202から天井面201或いはその付近まで上昇してきた冷気を吸入する。
【0024】
このような構成によれば、収容室20の全域にわたって効率的に冷気を循環させることができるため、収容室20内の対象物をむらなく適切に冷却することができる。収容室20内の設定可能温度としては、特に限定されないが、例えば、-30℃~+30℃程度であることが好ましい。また、冷却装置3は、収容室20内の温度に加えて、収容室20内の湿度を調整する機能を有している。ただし、冷却装置3の構成や配置としては、収容室20内を冷却することができれば、特に限定されない。
【0025】
また、電界形成装置5は、収容室20内に電界を形成し、形成した電界を収容室20に収容された対象物に作用させる機能を有する。このように、対象物に対して電界を作用させることにより、対象物の鮮度をより長く保つことができる。このような電界形成装置5は、図2に示すように、収容室20内に設けられた複数の電極6と、複数の電極6に駆動電圧を印加する電圧印加装置7と、を有する。
【0026】
複数の電極6は、それぞれ、収容室20の天井面201に設けられている。各電極6を天井面201に設けることにより、床面202と電極6との間に形成される対象物の収容空間200を広く確保することができる。また、フォークリフト等を用いた収容室20内への対象物の搬入または収容室20外への対象物の搬出の際、電極6が邪魔になり難く、搬入・搬出を安全かつスムーズに行うことができる。ただし、電極6の配置としては、特に限定されず、例えば、収容室20の側面(片側または両側)に設けられていてもよいし、床面202に設けられていてもよい。
【0027】
電圧印加装置7は、例えば、高圧トランスを備え、各電極6に電界形成用の交番電圧を印加する。このように、電圧印加装置7が各電極6に交番電圧を印加することにより、電極6とグランドに接続したコンテナ本体2との間の電位差に基づいて収容室20内に電界が形成される。この電界を収容室20に収容された対象物に作用させることにより、対象物の鮮度を保ったまま、熟成を促進させることができる。そのため、電界を形成しない場合と比べて食対象物をより長期間保存することができると共に、対象物の旨味を増幅させることができる。
【0028】
なお、電界形成装置5の構成としては、収容室20内に電界を形成することができれば特に限定されない。例えば、電極6の数は、複数ではなく1つであってもよい。また、本実施形態のように複数の電極6に同じ交番電圧を印加してもよいし、ある電極には第1交番電圧を印加し、別のある電極には第1交番電圧とは周波数や振幅が異なる第2交番電圧を印加してもよい。また、電界形成装置5は、省略してもよい。
【0029】
また、図2に示すように、収容室20内には収容室20内の温度、好ましくは収容室20に収容された対象物の温度を検出する内部温度センサー41が設けられている。内部温度センサー41としては、収容室20内の温度、好ましくは収容室20に収容された対象物の温度を検出することができれば、特に限定されず、例えば、サーモパイル等の熱電対、サーミスタ、赤外線センサー等を用いることができる。なお、本実施形態では収容室20内に1つの内部温度センサー41が設けられているが、内部温度センサー41の数や配置は、特に限定されない。例えば、複数の内部温度センサー41が収容室20の全域に散らばって設けられていてもよい。
【0030】
また、収容室20内には収容室20内の湿度を検出する内部湿度センサー42が設けられている。内部湿度センサー42としては、収容室20内の湿度を検出することができれば、特に限定されず、例えば、高分子抵抗式、高分子静電容量式の湿度センサーを用いることができる。なお、本実施形態では収容室20内に1つの内部湿度センサー42が設けられているが、内部湿度センサー42の数や配置は、特に限定されない。例えば、複数の内部湿度センサー42が収容室20の全域に散らばって設けられていてもよい。また、内部湿度センサー42と内部温度センサー41とが一体となった温度/湿度センサーを用いてもよい。
【0031】
一方、収容室20の外にはコンテナ1の外気温を検出する外部温度センサー43が設けられている。外部温度センサー43としては、コンテナ1の外気温を検出することができれば、特に限定されず、例えば、内部温度センサー41と同様に、サーモパイル等の熱電対、サーミスタ、赤外線センサー等を用いることができる。なお、本実施形態ではコンテナ本体2の外壁に1つの外部温度センサー43が設けられているが、外部温度センサー43の数や配置は、特に限定されない。例えば、複数の外部温度センサー43がコンテナ本体2の外壁の全域に散らばって設けられていてもよい。
【0032】
また、収容室20外にはコンテナ1の外湿度を検出する外部湿度センサー44が設けられている。外部湿度センサー44としては、コンテナ1の外湿度を検出することができれば、特に限定されず、例えば、内部湿度センサー42と同様に、高分子抵抗式、高分子静電容量式の湿度センサーを用いることができる。なお、本実施形態ではコンテナ本体2の外壁に1つの外部湿度センサー44が設けられているが、外部湿度センサー44の数や配置は、特に限定されない。例えば、複数の外部湿度センサー44がコンテナ本体2の外壁の全域に散らばって設けられていてもよい。
【0033】
また、収容室20外にはコンテナ1の外気圧を検出する外部気圧センサー45が設けられている。外部気圧センサー45としては、コンテナ1の外気圧を検出することができれば、特に限定されず、例えば、ピエゾ抵抗型、静電容量型のSi半導体MEMSを用いた気圧センサーを用いることができる。なお、本実施形態ではコンテナ本体2の外壁に1つの外部気圧センサー45が設けられているが、外部気圧センサー45の数や配置は、特に限定されない。例えば、複数の外部気圧センサー45がコンテナ本体2の外壁の全域に散らばって設けられていてもよい。
【0034】
制御装置9は、各種センサーの検出結果に基づいて冷却装置3の駆動を制御する。このような制御装置9は、図3に示すように、収容室20内のテンパリング温度制御の開始(実施)を受け付ける受付部91と、冷却装置3の駆動を制御するコントローラー92とを有する。制御装置9は、例えば、プロセッサー(CPU)と、メインメモリーと、HDD、SSD等の補助記憶装置とを備えたコンピューターであって、補助記憶装置に格納されたプログラムがメインメモリーに読み出され、プロセッサーで演算処理を実施することによって所定の機能が実現される。
【0035】
コントローラー92は、受付部91がテンパリング温度制御の開始を受け付けていない場合は、通常温度制御モード(第1駆動制御モード)で冷却装置3の駆動を制御する。具体的には、コントローラー92は、内部温度センサー41および内部湿度センサー42の検出結果に基づいて、収容室20内の温度および湿度が設定値に維持されるように冷却装置3の駆動を制御する。これにより、対象物を適切な環境で保管することができ、対象物の鮮度を効果的にかる長時間維持することができる。
【0036】
冷却状態の対象物をそのままコンテナ1外に搬出すると、対象物によってコンテナ1外の空気が冷却されて対象物に結露が生じ、結露によって対象物が傷むおそれがある。そこで、コントローラー92は、受付部91がテンパリング温度制御の開始を受け付けた場合は、通常モードとは異なるテンパリング温度制御モード(第2駆動制御モード)で冷却装置3の駆動を制御する。具体的には、コントローラー92は、収容室20内の温度T1とコンテナ1の周囲環境温度すなわち外気温T2との差ΔTが対象物に結露が生じない程度の差となるように、冷却装置3の駆動を制御して収容室20内の温度T1を徐々に上昇させる。そして、差ΔTが対象物に結露が生じない差となった後すなわちテンパリング温度制御が終了した後に対象物をコンテナ1外に搬出することにより、対象物への結露の発生が抑制され、当該結露による対象物の傷みを抑制することができる。なお、「収容室20内の温度T1」とは、好ましくは、収容室20内に収容された対象物の温度を言う。
【0037】
以下、このような制御装置9について詳細に説明する。受付部91は、前述したように、管理者から、テンパリング温度制御の開始を受け付ける。受付方法は、特に限定されず、例えば、コンテナ1に装備されたボタン、マウス、キーボード、タッチパネル等の各種入力デバイスを介して受け付けてもよいし、隔地にある管理PCからインターネット等のネットワークを介して受け付けてもよい。また、受付部91は、管理者から、収容室20内に収容された対象物に関する情報、例えば、対象物の種類、積載量等に関する情報を受け付けることができる。なお、対象物に関する情報は、管理者からの入力により受け付けるのではなく、例えば、収容室20内にカメラを設け、このカメラを用いた画像認識技術を用いて、制御装置9自身が判断して取得する構成となっていてもよい。
【0038】
管理者から対象物の種類に関する情報を受ける方法としては、特に限定されず、例えば、各種生鮮食品をその食用部位から葉菜類(キャベツ、コマツナ、セロリ、タマネギ、ニラ、ネギ、ハクサイ、ホウレンソウ、レタス等)、果菜類(イチゴ、エダマメ、エンドウ、オクラ、カボチャ、キュウリ、スイカ、トウモロコシ、トマト、ナス、ピーマン、メロン等)、根菜類(カブ、ゴボウ、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、ショウガ、ダイコン、ニンジン等)に分け、これら3分類から1つまたは複数を受け付ける方法であってもよい。また、各種生鮮食品を、その大きさから体積大(キャベツ、レタス、ハクサイ、カボチャ、メロン、スイカ、ダイコン、トウモロコシ等)、体積中(キュウリ、トマト、ナス、ピーマン、ゴボウ、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ等)、体積小(エダマメ、エンドウ、オクラ、イチゴ、ショウガ等)に分け、これら3分類から1つまたは複数を受け付ける方法であってもよい。また、各種生鮮食品を、その水分含有量から水分大、水分中、水分小に分け、これら3分類から1つまたは複数を受け付ける方法であってもよい。もちろん、キャベツ、コマツナ、セロリ、タマネギ、ニラ、ネギ、ハクサイ、ホウレンソウ、レタス、イチゴ、エダマメ、エンドウ、オクラ、カボチャ、キュウリ、スイカ、トウモロコシ、トマト、ナス、ピーマン、メロン、カブ、ゴボウ、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、ショウガ、ダイコン、ニンジン等、対象物の種類を細かく受け付けてもよい。
【0039】
コントローラー92は、受付部91がテンパリング温度制御の開始を受け付けると、テンパリング温度制御モードによって冷却装置3の駆動を制御する。具体的には、コントローラー92は、内部温度センサー41、外部温度センサー43、外部湿度センサー44および外部気圧センサー45の検出結果に基づいて、収容室20内の温度T1と外気温T2との差ΔTが対象物に結露が生じない程度の差となるように、収容室20内の温度T1を徐々に上昇させる。
【0040】
ここで、結露のしくみについて図4に示すグラフ基づいて簡単に説明する。図4に示すグラフでは、横軸に空気の温度、縦軸に空気中に含まれる水蒸気量を取り、1気圧における各温度の飽和水蒸気量をプロットした飽和水蒸気量曲線L(相対湿度100%)を記している。同グラフは、飽和水蒸気量曲線Lの右側に位置する領域Q1の空気が、飽和水蒸気量曲線Lを超えて飽和水蒸気量曲線Lの左側に位置する領域Q2まで冷却されると、空気中に含まれる水蒸気量が飽和水蒸気量を超えてしまい、空気中の水蒸気が水滴なって結露が生じることを示している。なお、飽和水蒸気量は、温度の他にも気圧に依存する特性を有し、気圧の上昇に伴い減少し、気圧の減少に伴い上昇する。
【0041】
コントローラー92は、上述のような結露のしくみに基づいて、コンテナ1から対象物を搬出する際に、コンテナ1が置かれた環境中の空気(以下では「外気」とも言う)が対象物によって冷却され、外気中に含まれる水蒸気量が飽和水蒸気量を超えて対象物に結露が生じないように、対象物の搬出時における収容室20の温度T1を制御する。
【0042】
テンパリング温度制御モードの一例を挙げると、受付部91がテンパリング温度制御の開始を受け付けると、コントローラー92は、外部温度センサー43、外部湿度センサー44および外部気圧センサー45が検出する外気の温度、湿度および気圧に関する信号を取得する。その結果、外気の温度/湿度/気圧がそれぞれ20℃/60%/1気圧であった場合、図4に示すグラフから分かるように、外気が12℃以下まで冷却されてしまうと対象物に結露が生じる。
【0043】
そこで、コントローラー92は、現在の温度T1が外気を12℃以下まで冷却させ、領域Q2に侵入させるおそれのある温度である場合は、外気が12℃以下まで冷却されない温度T1を目標温度Tm(例えばTm=12℃)として設定し、冷却装置3の駆動を制御することにより、収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで上昇させる。これにより、コンテナ1から対象物を搬出した際に、対象物によって外気が冷却されて対象物に結露が生じるのを効果的に抑制することができる。なお、目標温度Tmは、対象物に結露が生じない限り、なるべく低いことが好ましい。つまり、上記例の場合では、Tm=12℃であることが好ましい。これにより、収容室20内での対象物の過度な温度上昇が抑制され、対象物の鮮度劣化を効果的に抑制することができる。
【0044】
コントローラー92は、必要かつ十分な時間をかけて収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで上昇させることが好ましい。これにより、収容室20内の空気の温度と収容室20内に収容された対象物自身の温度との乖離を抑制することができる。前記「必要かつ十分な時間」は、対象物の種類、対象物の積載量等によっても異なるが、例えば、10分~120分であることが好ましく、30分~60分であることがより好ましい。仮に、収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで急激に上昇させると、収容室20内の空気の温度上昇に対象物自身の温度上昇が追い付かず、これらの間に温度差が生じる。当該温度差が過度に大きくなると、前述したしくみと同様に、収容室20内において対象物に結露が生じるおそれがある。反対に、収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで必要以上に緩やかに上昇させると、昇温した空気中に対象物が長時間晒され、対象物が傷むおそれがある。
【0045】
収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで上昇させる方法としては、上述したように、収容室20内での対象物の結露を抑制することができれば特に限定されず、例えば、図5中のAで示すように、温度T1を目標温度Tmまで段階的に上昇させてもよいし、Bで示すように、温度T1を目標温度Tmまで連続的に上昇させてもよい。
【0046】
ここで、収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで上昇させる過程、具体的には、収容室20内の温度T1を目標温度Tmまで上昇させるのにかける時間、温度上昇のさせ方等は、対象物の種類によって異なる。そこで、制御装置9は、複数のテンパリング制御モードを有する。例えば、本実施形態では、図6に示すように、制御装置9は、対象物の種類と積載量とに基づいて区別された9種類のテンパリング制御モードを有しており、受付部91が受け付けた情報、或いはカメラ等を用いて制御装置9が取得した情報に基づいて、これら9種類のテンパリング制御モードの中から最適な1つのモードを選択し、選択したモードを用いてテンパリング温度制御を行う。このように複数のテンパリング制御モードから最適な1つのモードを選択することにより、テンパリング温度制御をより精度よく効果的に行うことができる。そのため、テンパリング温度制御時における対象物の傷みを効果的に抑制することができる。
【0047】
以上、コンテナ1について説明した。以上のように、コンテナ1(収容庫)は、対象物を収容可能な収容室20を有するコンテナ本体2(収容庫本体)と、収容室20内を冷却する冷却装置3と、収容室20内の温度を検出する内部温度センサー41と、コンテナ本体2外の温度を検出する外部温度センサー43と、冷却装置3の駆動を制御する制御装置9と、を有する。そして、制御装置9は、内部温度センサー41の検出結果に基づいて冷却装置3の駆動を制御する通常温度制御モード(第1駆動制御モード)と、内部温度センサー41および外部温度センサー43の検出結果に基づいて、収容室20内の温度T1とコンテナ本体2外の温度である外気温T2との差ΔTが収容室20内からコンテナ本体2外に対象物を搬出した際に対象物に結露が生じない温度差となるように冷却装置3の駆動を制御するテンパリング温度制御モード(第2駆動制御モード)と、を有する。なお、前記の「対象物に結露が生じない温度差」とは、対象物によってその周囲の外気が冷却されても、外気中に含まれる水蒸気量が飽和水蒸気量を超えない温度差を意味する。
【0048】
このような構成のコンテナ1によれば、通常温度制御モードを用いることにより、対象物を安定して冷却することができる。また、テンパリング温度制御モードを用いることにより、コンテナ本体2外へ対象物を搬出した際の対象物の結露が抑制され、結露によって対象物が傷むのを効果的に抑制することができる。そのため、このようなコンテナ1によれば、収容室20内に収容しているときはもちろんのこと、コンテナ本体2外に搬出する際においても対象物の鮮度を効果的に維持することができる。
【0049】
また、前述したように、テンパリング温度制御モードは、複数のモードを有し、制御装置9は、対象物に関する情報に基づいて、複数のモードから1つのモードを選択する。このように複数のモードから最適な1つのモードを選択することにより、テンパリング温度制御をより精度よく効果的に行うことができる。そのため、テンパリング温度制御時における対象物の傷みを効果的に抑制することができる。
【0050】
また、前述したように、制御装置9は、テンパリング温度制御モードの開始(実施)を受け付ける受付部91を有し、受付部91がテンパリング温度制御モードの開始を受け付けた場合に、テンパリング温度制御モードを用いた冷却装置3の駆動制御を行う。つまり、制御装置9は、受付部91がテンパリング温度制御モードの開始を受け付けない場合は、テンパリング温度制御モードを用いた冷却装置3の駆動制御を行わない。例えば、外気温T2が十分に低く、テンパリング温度制御を実施しなくても差ΔTが対象物に結露が生じない程度に小さい場合にはわざわざテンパリング温度制御を実施しなくてもよい。また、対象物の種類や使用目的によってはテンパリング温度制御を実施する必要がない場合も考えられる。そのため、受付部91を設けて、コンテナ1が置かれた環境、対象物の種類、使用目的等に合わせてテンパリング温度制御の実施/不実施を選択可能とすることにより、不要なテンパリング温度制御の実施を回避することができる。そのため、例えば、テンパリング温度制御を行うことによる搬出時刻の遅延を抑制することができる。
【0051】
また、前述したように、コンテナ1は、収容室20内の湿度を検出する内部湿度センサー42と、コンテナ本体2外の湿度を検出する外部湿度センサー44と、を有する。結露が生じうる差ΔTは、湿度にも依存するため、内部湿度センサー42および外部湿度センサー44を用いて収容室20内の湿度およびコンテナ本体2外の湿度を検出することにより、より効果的に対象物への結露を抑制することができる。
【0052】
また、前述したように、コンテナ1は、コンテナ本体2外の気圧を検出する外部気圧センサー45を有する。結露が生じうる差ΔTは、気圧にも依存するため、外部気圧センサー45を用いてコンテナ本体2外の気圧を検出することにより、より効果的に対象物への結露を抑制することができる。
【0053】
また、前述したように、コンテナ1は、収容室20内に電界を形成する電界形成装置5を有する。対象物(特に、生鮮食品)に電界を作用させることにより、対象物の鮮度をより長く保つことができる。
【0054】
<第2実施形態>
本実施形態のコンテナ1では、受付部91は、テンパリング温度制御を開始するタイミングを受け付けることができる。つまり、管理者は、テンパリング温度制御の実施/不実施だけではなく、実施する場合にはその開始タイミングを設定することができる。そのため、例えば、コンテナ1から対象物が搬出される時刻を見込んでテンパリング温度制御の開始タイミングを設定しておくことにより、対象物の搬出時刻にはテンパリング温度制御を完了させておくことも可能となる。そのため、テンパリング温度制御を行うことによる対象物の搬出開始時刻の遅延を抑制することができる。
【0055】
なお、開始タイミングは、例えば、「2019年7月28日15時15分」というような時刻で受け付けてもよいし、「今から時刻から12時間後」というような基準時刻からの経過時間で受け付けてもよい。また、受付部91は、コンテナ1からの対象物の搬出開始予定時刻を開始タイミングとして受け付け、その時刻およびテンパリング温度制御モードにかかる時間に基づいて、テンパリング温度制御を開始する時刻を逆算して求めてもよい。
【0056】
受付部91がテンパリング温度制御の開始タイミングを受け付けている場合、コントローラー92は、開始タイミングとなる前までは、通常温度制御モードで冷却装置3の駆動を制御する。これにより、対象物を適切な環境で保管することができる。一方で、コントローラー92は、開始タイミングとなったら速やかに、テンパリング温度制御モードで冷却装置3の駆動を制御する。これにより、対象物の搬出時刻に間に合うようにテンパリング温度制御を完了させておくことが可能となり、対象物の搬出開始時刻の遅延を抑制することができる。
【0057】
以上のように、本実施形態の受付部91は、テンパリング温度制御モードを用いた冷却装置3の駆動制御を開始するタイミングを受け付け、制御装置9は、受付部91が受け付けたタイミングでテンパリング温度制御モードを用いた冷却装置3の駆動制御を開始する。これにより、例えば、対象物の搬出時刻に間に合うようにテンパリング温度制御を完了させておくことが可能となり、対象物の搬出開始時刻の遅延を抑制することができる。
【0058】
ここで、コンテナ1は、移動型コンテナである。そのため、テンパリング温度制御の開始時刻では、コンテナ1が移動中であり、対象物の搬出が行われる地点(コンテナ1の搬送目的地点)に到着していない場合もある。このような場合は、コンテナ1が搬送目的地点に到着するまでに、刻々と外気温T2、外気湿度、気圧等の気象状況が変化するおそれがある。そこで、コントローラー92は、例えば、1回/1分~10分の間隔で、定期的または不定期に外部温度センサー43、外部湿度センサー44および外部気圧センサー45が検出する外気の温度、湿度および気圧に関する信号を取得し、取得した最新の状況に基づいて冷却装置3の駆動制御を行うことが好ましい。これにより、気象状況の変化に対応することができ、より精度よくテンパリング温度制御を行うことができる。
【0059】
また、例えば、外部温度センサー43、外部湿度センサー44および外部気圧センサー45を省略し、或いは用いずに、受付部91がコンテナ1の搬送目的地点の気象状況に関する情報(気温、湿度、気圧)を受け付ける構成としてもよい。このような構成によれば、コンテナ1の搬送目的地点の気象状況に合わせてテンパリング温度制御を開始することができるため、現在地の気象状況に影響を受けることなく、より精度よくテンパリング温度制御を行うことができる。
【0060】
なお、コンテナ1の搬送目的地点の気象状況の取得方法としては、例えば、管理者から受け付ける方法の他、管理者からはコンテナ1の搬送目的地点の情報だけを受け取り、当該情報を基に、通信可能な外部の気象状況提供サービス等から現地の気象状況を取得してもよい。また、気象状況は、刻々と変化するため、現地の気象状況の取得は、1度に限らず、定期的または不定期に複数回行ってもよく、複数回行う場合には最新の気象状況に基づいてテンパリング温度制御を行えばよい。
【0061】
<第3実施形態>
本実施形態のコンテナ1では、受付部91は、テンパリング温度制御を開始する位置情報を受け付けることができる。つまり、管理者は、テンパリング温度制御の実施/不実施だけではなく、実施する場合にはテンパリング温度制御を開始する位置を設定することができる。そのため、例えば、搬送中のコンテナ1が搬送目的地点に到着する時刻を見込んでテンパリング温度制御を開始する位置を設定しておくことにより、コンテナ1が搬送目的地に到着する頃にはテンパリング温度制御を完了させておくことも可能となる。そのため、テンパリング温度制御を行うことによる対象物の搬出開始時刻の遅延を抑制することができる。
【0062】
なお、位置情報は、例えば、緯度/経度で示される座標で受け付けてもよいし、住所で受け付けてもよい。また、受付部91は、コンテナ1の搬送目的地点を受け付け、その地点、コンテナ1の移動速度、テンパリング温度制御モードにかかる時間等に基づいて、テンパリング温度制御を開始する位置を逆算して求めてもよい。
【0063】
受付部91がテンパリング温度制御を開始する位置情報を受け付けている場合、コントローラー92は、コンテナ1が開始位置に到達するまでは、通常温度制御モードで冷却装置3の駆動を制御する。これにより、対象物を適切な環境で保管することができる。一方で、コントローラー92は、コンテナ1が開始位置に到達したら速やかに、テンパリング温度制御モードで冷却装置3の駆動を制御する。これにより、コンテナ1が搬送目的地点に到着するのに合わせてテンパリング温度制御を完了させておくことが可能となり、対象物の搬出開始時刻の遅延を抑制することができる。
【0064】
以上のように、本実施形態の受付部91は、テンパリング温度制御モードを用いた冷却装置3の駆動制御を開始する位置情報を受け付け、制御装置9は、受付部91が受け付けた位置情報に対応する位置にコンテナ1が到達した後にテンパリング温度制御モードを用いた冷却装置3の駆動制御を開始する。これにより、例えば、コンテナ1が搬送目的地点へ到着するのに合わせてテンパリング温度制御を完了させておくことが可能となり、対象物の搬出予定時刻の遅延を抑制することができる。
【0065】
前述した第2実施形態で説明したのと同様に、テンパリング温度制御モードで冷却装置3の駆動制御を開始する際、コンテナ1は移動中であり、搬送目的地点に到着していない。そのため、コンテナ1が搬送目的地点に到着するまでに、刻々と気象状況が変化するおそれがある。そこで、コントローラー92は、例えば、1回/1分~10分の間隔で、定期的または不定期に外部温度センサー43、外部湿度センサー44および外部気圧センサー45が検出する外気の温度、湿度および気圧に関する信号を取得し、取得した最新の状況に基づいて冷却装置3の駆動制御を行うことが好ましい。これにより、気象状況の変化に対応することができ、より精度よくテンパリング温度制御を行うことができる。
【0066】
また、例えば、外部温度センサー43、外部湿度センサー44および外部気圧センサー45を省略し、或いは用いずに、受付部91がコンテナ1の搬送目的地点の気象状況に関する情報を受け付ける構成としてもよい。このような構成によれば、コンテナ1の搬送目的地点の気象状況に合わせてテンパリング温度制御を開始することができるため、現在地の気象状況に影響を受けることなく、より精度よくテンパリング温度制御を行うことができる。
【0067】
なお、コンテナ1の搬送目的地点の気象状況の取得方法としては、例えば、管理者から受け付ける方法、管理者からはコンテナ1の搬送目的地点の情報だけを受け取り、当該情報を基に、通信可能な外部の気象状況提供サービス等から現地の気象状況を取得してもよい。また、気象状況は、刻々と変化するため、現地の気象状況の取得は、1度に限らず、定期的または不定期に複数回行ってもよく、複数回行う場合には最新の気象状況に基づいてテンパリング温度制御を行えばよい。
【0068】
以上、本発明の収容庫について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【符号の説明】
【0069】
1 コンテナ
2 コンテナ本体
20 収容室
200 収容空間
201 天井面
202 床面
21 扉
22 扉
24 溝
3 冷却装置
31 吸入部
32 冷却装置
33 吹出部
41 内部温度センサー
42 内部湿度センサー
43 外部温度センサー
44 外部湿度センサー
45 外部気圧センサー
5 電界形成装置
6 電極
7 電圧印加装置
9 制御装置
91 受付部
92 コントローラー
L 飽和水蒸気量曲線
Q1 領域
Q2 領域
T1 温度
T2 外気温
Tm 目標温度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を収容可能な収容室を有する収容庫本体と、
前記収容室内を冷却する冷却装置と、
前記収容室内の温度を検出する内部温度センサーと、
前記冷却装置の駆動を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記収容庫本体の搬送目的地点の気象状況に関する情報を受け付ける受付部を有し、
前記内部温度センサーおよび前記情報に基づいて、前記収容室内の温度と前記収容庫本体外の温度との差が前記収容室内から前記収容庫本体外に前記対象物を搬出した際に前記対象物に結露が生じない温度差となるように前記冷却装置の駆動を制御することを特徴とする収容庫。
【請求項2】
前記制御装置は、駆動モードとして、
前記内部温度センサーの検出結果に基づいて前記冷却装置の駆動を制御する第1駆動制御モードと、
前記内部温度センサーおよび前記情報に基づいて、前記収容室内の温度と前記収容庫本体外の温度との差が前記収容室内から前記収容庫本体外に前記対象物を搬出した際に前記対象物に結露が生じない温度差となるように前記冷却装置の駆動を制御する第2駆動制御モードと、を有する請求項1に記載の収容庫。
【請求項3】
前記第2駆動制御モードは、複数のモードを有し、
前記制御装置は、前記対象物に関する情報に基づいて、前記複数のモードから1つのモードを選択する請求項に記載の収容庫。
【請求項4】
前記受付部が前記第2駆動制御モードの実施を受け付けた場合に、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を行う請求項に記載の収容庫。
【請求項5】
前記受付部は、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始するタイミングを受け付け、
前記制御装置は、前記受付部が受け付けた前記タイミングで前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する請求項に記載の収容庫。
【請求項6】
前記受付部は、前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する位置情報を受け付け、
前記制御装置は、前記受付部が受け付けた前記位置情報に対応する位置に前記収容庫本体が到達した後に前記第2駆動制御モードを用いた前記冷却装置の駆動制御を開始する請求項に記載の収容庫。
【請求項7】
前記収容室内に電界を形成する電界形成装置を有する請求項に記載の収容庫。