(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101842
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】部品装着装置および部品装着方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230714BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002009
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 英明
(72)【発明者】
【氏名】ワタリ エイリ
(72)【発明者】
【氏名】横山 大
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353BB01
5E353BB05
5E353EE25
5E353EE51
5E353HH09
5E353HH11
5E353HH51
5E353JJ08
5E353JJ13
5E353JJ28
5E353JJ48
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】多様な部品の異常装着状態を判別しながら部品装着を行うことができる部品装着装置および部品装着方法を提供することを目的とする。
【解決手段】装着ヘッド本体部を基板に向かって下降させてノズルに保持した部品を基板に装着したときに、センサによってノズルが所定距離だけ上方に変位したことを検出したら部品の異常装着状態が生じていることを検出する(ステップST6)。そして、ノズルを部品の上面に当接させた状態で装着ヘッド本体部を下降させ、ノズルが所定距離だけ上方に変位したことをセンサで検出したときの装着ヘッド本体部の高さ位置を取得し(ステップST13)、その取得した装着ヘッド本体部の高さに基づいて部品の異状装着を検出する(ステップST14)。
【選択図】
図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着ヘッドで部品を保持して基板に装着する部品装着装置であって、
装着ヘッド本体部と、
下端部に部品を保持する部品保持具を有し、装着ヘッド本体部に対して上下方向に変位可能であり、部品装着時に部品から受ける反力によって前記装着ヘッド本体部に対して相対的に上方に変位する部品保持体と、
前記装着ヘッド本体部を基板に向かって昇降させる装着ヘッド昇降部と、
前記装着ヘッド昇降部によって昇降される前記装着ヘッド本体部の高さ位置を検出する第1の高さ位置検出部と、
前記部品保持体が前記装着ヘッド本体部に対して相対的に所定距離だけ上方に変位したことを検出する部品保持具変位検出センサと、
前記装着ヘッド本体部を基板に向かって下降させて前記部品保持具に保持した部品を基板に装着したときに、前記部品保持具変位検出センサによって前記部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを検出したら部品の異常装着を検出する第1の異常装着検出部と、
前記部品保持具を部品の上面に当接させた状態で前記装着ヘッド本体部を下降させ、前記部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを前記部品保持具変位検出センサで検出したときの前記第1の高さ位置検出部の検出結果を取得するセンサ検出時高さ位置検出部と、
前記センサ検出時高さ位置検出部で取得した高さに基づいて部品の異状装着を検出する第2の異常装着検出部と、
を備えた部品装着装置。
【請求項2】
前記センサ検出時高さ位置検出部で取得した高さ位置に基づいて部品の高さ位置を求める部品高さ検出部を備えた、請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の部品装着装置による部品装着方法であって、
前記装着ヘッド本体部を基板に向かって下降させて前記部品保持具に保持した部品を基板に装着したときに、前記部品保持具変位検出センサによって前記部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを検出したら部品の異常装着を検出する第1の異常装着検出工程と、
前記部品保持具を部品の上面に当接させた状態で前記装着ヘッド本体部を下降させ、部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを前記部品保持具変位検出センサで検出したときの前記第1の高さ位置検出部の検出結果を取得するセンサ検出時高さ位置検出工程と、
前記センサ検出時高さ位置検出工程で取得した高さに基づいて部品の異状装着を検出する第2の異常装着検出工程と、
を含む部品装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着ヘッドで部品を保持して基板に装着する部品装着装置および部品装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、装着ヘッドで部品を保持して基板に装着する部品装着装置において、部品が基板に対して異常な状態で装着される異常装着状態を検出できるものが知られている。例えば、下記の特許文献1では、基板に装着した状態の部品の高さ位置を計測することによって、部品の異常装着状態を検出できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の検出方法では、部品装着装置において生じ得る多様な異常装着状態に十分な対応しきれない場合があった。
【0005】
そこで本発明は、多様な部品の異常装着状態を判別しながら部品装着を行うことができる部品装着装置およびこの部品装着装置による部品装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品装着装置は、装着ヘッドで部品を保持して基板に装着する部品装着装置であって、装着ヘッド本体部と、下端部に部品を保持する部品保持具を有し、装着ヘッド本体部に対して上下方向に変位可能であり、部品装着時に部品から受ける反力によって前記装着ヘッド本体部に対して相対的に上方に変位する部品保持体と、前記装着ヘッド本体部を基板に向かって昇降させる装着ヘッド昇降部と、前記装着ヘッド昇降部によって昇降される前記装着ヘッド本体部の高さ位置を検出する第1の高さ位置検出部と、前記部品保持体が前記装着ヘッド本体部に対して相対的に所定距離だけ上方に変位したことを検出する部品保持具変位検出センサと、前記装着ヘッド本体部を基板に向かって下降させて前記部品保持具に保持した部品を基板に装着したときに、前記部品保持具変位検出センサによって前記部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを検出したら部品の異常装着を検出する第1の異常装着検出部と、前記部品保持具を部品の上面に当接させた状態で前記装着ヘッド本体部を下降させ、前記部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを前記部品保持具変位検出センサで検出したときの前記第1の高さ位置検出部の検出結果を取得するセンサ検出時高さ位置検出部と、前記センサ検出時高さ位置検出部で取得した高さに基づいて部品の異状装着を検出する第2の異常装着検出部と、を備えた。
【0007】
本発明の部品装着方法は、上記本発明の部品装着装置による部品装着方法であって、前記装着ヘッド本体部を基板に向かって下降させて前記部品保持具に保持した部品を基板に装着したときに、前記部品保持具変位検出センサによって前記部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを検出したら部品の異常装着を検出する第1の異常装着検出工程と、前記部品保持具を部品の上面に当接させた状態で前記装着ヘッド本体部を下降させ、部品保持体が前記所定距離だけ上方に変位したことを前記部品保持具変位検出センサで検出したときの前記第1の高さ位置検出部の検出結果を取得するセンサ検出時高さ位置検出工程と、前記センサ検出時高さ位置検出工程で取得した高さに基づいて部品の異状装着を検出する第2の異常装着検出工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多様な部品の異常装着状態を判別しながら部品装着を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態における部品装着装置の構成図
【
図2】本発明の一実施の形態における部品装着装置が備える装着ヘッドと装着ヘッド昇降部の構成図
【
図3】本発明の一実施の形態における部品装着装置が備える装着ヘッドの構成図
【
図4】本発明の一実施の形態における部品装着装置の制御系統を示すブロック図
【
図5】本発明の一実施の形態における部品装着装置が備える制御部の記憶部が記憶する生産プログラムの一例を示す図
【
図6】(a)(b)(c)(d)(e)(f)本発明の一実施の形態における部品装着装置により部品を基板に装着する過程とドグの位置の変化を示す図
【
図7】本発明の一実施の形態における部品装着装置により部品を基板に装着しようとしている状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図8】本発明の一実施の形態における部品装着装置により部品を基板に接触させた状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図9】本発明の一実施の形態における部品装着装置により基板に装着した部品に押圧動作を行った状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図10】本発明の一実施の形態における部品装着装置により部品を装着しようとしている場合において部品と基板との間に異物が挟まっている状態(第1の異状装着状態)を示す装着ヘッドの側面図
【
図11】本発明の一実施の形態における部品装着装置により部品を装着しようとしている場合においてノズルの一部が障害物に当接した状態(第1の異常装着状態)を示す装着ヘッドの側面図
【
図12】本発明の一実施の形態における部品装着装置により部品に対してサーチ動作を行った場合にドグがセンサによって検出された状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図13】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりサーチ動作を行って部品の異常装着状態(第2の異常装着状態)を検出した状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図14】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりサーチ動作を行って部品の異常装着状態(第2の異常装着状態)を検出した状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図15】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりサーチ動作を行って部品無しによる異常装着状態を検出した状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図16】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品を基板に装着しようとしている状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図17】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品を基板に装着している途中の状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図18】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品を基板に装着し終えた状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図19】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品に挿入リトライを試みた状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図20】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品に挿入リトライを試みた後にサーチ動作を行った状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図21】本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品を基板に装着している状態を示す図
【
図22】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品装着装置によりリード付きの部品に対して追加押圧を行っている状態を示す装着ヘッドの側面図
【
図23】本発明の一実施の形態における部品装着装置が実行する部品装着動作の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、
図1において紙面の左右水平に延びる座標軸をY軸、Y軸に直交する紙面上下方向に延びる座標軸をZ軸、Y軸とZ軸両方に直交する座標軸をX軸とし、それぞれの軸に沿う方向をX方向、Z方向(上下方向)、X方向として表現する。またZ方向に延びる軸を中心とした水平回転の向きをΘ方向と呼ぶ。
図1は本発明の一実施の形態における部品装着装置1を示している。部品装着装置1は基板KBに部品BHを装着する部品装着動作を繰り返し実行する装置である。部品装着装置1は、
図1に示すように、基板KBを搬送して位置決めする基板搬送部11、部品BHを供給する部品供給部12、装着ヘッド13およびヘッド移動機構14を備えている。
【0011】
図1において、基板搬送部11は一対のコンベア機構11aから成り、基板KBをX方向に搬送する。部品供給部12はここではトレイ12Tによって部品BHを供給するトレイフィーダであるが、その他の構成のもの(例えばテープフィーダやスティックフィーダ等)であってもよい。
【0012】
図1および
図2において、装着ヘッド13は下端部に部品BHを保持する部品保持具としてのノズル13Nを備えている。ノズル13Nの下端には真空吸着力を発生させることができ、これによりノズル13Nに部品BHを吸着させることができる。ヘッド移動機構14は装着ヘッド13を水平方向(X方向、Y方向)とZ方向に移動させる。装着ヘッド13はヘッド移動機構14によって基板搬送部11によって位置決めされた基板KBと部品供給部12との間を往復しつつ、部品供給部12が供給する部品BHをノズル13Nにより吸着して基板KBに装着する部品装着動作を繰り返し実行する。
【0013】
図2および
図3において、装着ヘッド13は、装着ヘッド本体部13Aと部品保持体13Bを備えている。
図3に示すように、装着ヘッド本体部13Aは内部に中空領域13Sを有している。部品保持体13Bはシャフト21、ノズルホルダ22および上述のノズル13Nを備えている。
【0014】
図3において、シャフト21は上下方向(Z方向)に延びている。シャフト21の上半部は装着ヘッド本体部13Aの内部(中空領域13S)を貫通しており、その上端部は装着ヘッド本体部13Aの上方に延びている。
【0015】
図2および
図3において、ノズルホルダ22はシャフト21の下端に取り付けられている。ノズルホルダ22は一対のチャック22aとチャックスプリング22bと、ノズル13Nの上端を収納する凹部22cを備えており、一対のチャック22aはチャックスプリング22bによって下端側を閉じる方向に付勢されている。ノズルホルダ22は一対のチャック22aの下端側をノズル13Nの側面に周回状に設けられた係合溝に係合させることで、ノズル13Nを着脱自在に保持している(
図3)。
【0016】
シャフト21には、中心軸に沿って通気路21aが形成されており、その一端はノズルホルダ22の凹部22cに開口している。ノズルホルダ22の上方には、配管ジョイント23が装着されている。配管ジョイント23は、Z方向についてはシャフト21とともに移動するがΘ方向についてはシャフト21の回転を許容する状態で装着されている。従って、シャフト21がΘ回転したとしても配管ジョイント23はΘ回転しない。配管ジョイント23は、シャフト21の外周に沿った環状空間23cを形成するための環状溝23aと、環状空間23cと配管ジョイント23に装着されたエア配管24とを接続するための横孔23bを備えている。また、シャフト21には、通気路21aを環状空間23cに接続するための連絡孔21bが形成されている。これにより、エア配管24からの負圧またはエアブローを、横孔23b、環状空間23c、連絡孔21b、通気路21aを経由してノズルホルダ22に装着されたノズル13Nの吸引孔13Naに導入することができる。
【0017】
図3において、装着ヘッド本体部13Aの内部を上方に延びるシャフト21の上下の2箇所は、装着ヘッド本体部13A内に設けられた上下の軸受け31によって支持されている。この軸受け31はシャフト21をZ方向へのスライドとΘ回動を許容する状態で支持する。このためシャフト21は装着ヘッド本体部13Aに対して相対的にZ方向に沿って変位可能であるとともに、Θ方向に回動可能である。
【0018】
図3において、シャフト21の上下の軸受け31によって支持された部分の中間部には、鍔状のばね受け32が設けられている。ばね受け32は装着ヘッド本体部13Aの中空領域13S内に設けられたばね33によって下方に付勢されている。シャフト21の外周面のばね受け32よりも下方の部分には、シャフト21の外形よりも大きい外径を有するストッパ34が設けられている。
【0019】
図3において、ストッパ34はばね33の付勢力(圧縮状態からの復元力)を受けて、下側の軸受け31の上面から成るストッパ当接面35に上方から当接している。このようにストッパ34がストッパ当接面35に当接した状態では、部品保持体13Bは装着ヘッド本体部13Aに対して最も下降した位置で拘束されている。
【0020】
上記ように部品保持体13Bが装着ヘッド本体部13Aに対して最も下降した位置にあるときには、部品保持体13Bと装着ヘッド本体部13Aとの間の距離は最も大きくなる。このようにストッパ34がストッパ当接面35に当接し、装着ヘッド本体部13Aとの間の距離が最も大きい状態にあるときの部品保持体13Bの装着ヘッド本体部13Aに対する位置(
図3)を、以下、「最下降位置」と称する。
【0021】
装着ヘッド本体部13Aに部品保持体13Bを拘束した状態で装着ヘッド本体部13Aを下降させている最中に、部品保持体13Bまたは部品保持体13Bに保持された部品BHが何らかの物体(例えば基板KBや異物や他の部品等)に当接すると、部品保持体13Bはそれ以上下方へ移動できなくなるので装着ヘッド本体部13Aのみが下方へ移動する。その結果、部品保持体13Bは装着ヘッド本体部13Aに対して相対的に上方に移動する。そして、このときストッパ34は装着ヘッド本体部13Aに対して上方に移動するので、ストッパ34はストッパ当接面35から上方に離間し、そのストッパ34の上方への移動分だけばね33は圧縮される。
【0022】
図2および
図3において、装着ヘッド本体部13Aの側面にはΘ軸モータ41が設けられている。Θ軸モータ41は回転軸41Jを上方に向けており、その上端部を装着ヘッド本体部13Aよりも上方に位置させている。回転軸41Jの上端には駆動プーリ42が取り付けられている。
【0023】
図2および
図3において、シャフト21における装着ヘッド本体部13Aの上方に突出した部分には従動プーリ43が設けられている。従動プーリ43は駆動プーリ42と同じ高さレベルに位置しており、駆動プーリ42と従動プーリ43には歯付きベルト44が掛け渡されている。シャフト21と従動プーリ43はZ方向への相対移動は許容するがΘ方向には一体的に回転する状態で連結されている。このため、シャフト21は従動プーリ43に対してZ方向にスライドしながら昇降し、Θ軸モータ41が作動して回転軸41Jを回転させると、その回転動力が駆動プーリ42から歯付きベルト44および従動プーリ43を介して伝達され、Θ方向に回動する。
【0024】
図2において、装着ヘッド本体部13AのΘ軸モータ41が設けられた側とは反対側の側面には、ナット保持部45が外方に張り出して設けられている。ナット保持部45を挟む上下それぞれの位置にはスライダ46が設けられている。上下のスライダ46は、ヘッド移動機構14に連結されたフレーム51に設けられてZ方向に延びたガイドレール52に係合している。
【0025】
図2において、フレーム51の上方にはZ軸モータ53が設けられている。Z軸モータ53の駆動軸53Jは下方に延びており、その下端はフレーム51の内部に位置している。Z軸モータ53には駆動軸53Jの回転位置を検出するエンコーダ(図示省略)が内蔵されている。
【0026】
図2において、フレーム51の中空領域13S内にはZ方向に延びた送り螺子54が設けられている。送り螺子54の下端はフレーム51によって回転自在に支持されており、上端はZ軸モータ53の駆動軸53Jに連結されている。送り螺子54は、ナット保持部45に保持されたナット55と螺合している。
【0027】
Z軸モータ53が作動して駆動軸53Jを回転させると、駆動軸53Jに連結された送り螺子54が上下軸まわりに回転し、ナット55が送り螺子54上をZ方向に移動する。これにより装着ヘッド本体部13A(すなわち装着ヘッド13)はフレーム51に対して昇降し、このとき装着ヘッド本体部13Aに設けられた上下のスライダ46は、フレーム51に設けられたガイドレール52に対してZ方向にスライドする。
【0028】
このように本実施の形態において、Z軸モータ53、送り螺子54、ナット55およびナット保持部45を含む機構は、ヘッド移動機構14の一部として装着ヘッド13を昇降させる装着ヘッド昇降部14Lを構成している(
図2)。
【0029】
図2および
図3において、配管ジョイント23にはエア配管24とドグ25が取り付けられている。
図2に示すように、エア配管24は例えば制御バルブから成る流路切換部61に繋がっている。ドグ25は先端部を上方に延出させている。
【0030】
流路切換部61は、エア配管24よりノズル13Nに供給される圧を、真空源62から供給される真空圧と正圧源63から供給される正圧との間で切り替える。流路切換部61は、ノズル13Nに部品BHを吸着させる場合にはノズル13Nに真空圧が供給され、ノズル13Nが吸着した部品BHをノズル13Nから離脱させる場合にはノズル13Nに正圧が供給されるように圧の流路を切り替える。
【0031】
図2において、装着ヘッド本体部13Aの上部には、上下方向に延びた複数の支柱71によって支持された加圧部としてのエアシリンダ72が設けられている。エアシリンダ72は前述のシャフト21をピストンロッドとしている。
【0032】
図2において、エアシリンダ72には加圧制御バルブ73を介して圧力調整部74が接続されている。圧力調整部74は前述の正圧源63から供給される正圧の圧力を調整する。
【0033】
加圧制御バルブ73は、圧力調整部74で圧力が調整された正圧をエアシリンダ72に供給する。エアシリンダ72は加圧制御バルブ73を通じて供給される正圧によって、シャフト21を下方へ付勢している。正圧が供給されたエアシリンダ72は、部品BH装着時にストッパ34がストッパ当接面35から離れると前述のばね33とともに部品BHを基板KBへ押圧する。部品BHを基板KBへ押圧するときの押圧力(荷重)は、圧力調整部74から出力する正圧の圧力の大きさを調整することで変えることができる。
【0034】
図3において、装着ヘッド本体部13Aの下面には下方に延びた2つのセンサベース81が設けられている。これらセンサベース81には部品保持具変位検出センサ(以下、「センサ82」と称する)が設けられている。センサ82は発光部83と受光部84から成り、2つのセンサベース81の一方と他方それぞれに分かれて取り付けられている。
【0035】
図3において、発光部83と受光部84は水平方向に対向している。発光部83は受光部84に向かって光を発光(検査光82Lを投光)している。受光部84は検査光82Lを受光する状態ではオンであり、検査光82Lを受光しない状態となるとオンからオフに切り替わる。
【0036】
図3において、センサ82を構成する発光部83と受光部84は、シャフト21と一体にZ方向に移動する前述のドグ25の先端部(上端部)の移動通路を挟む位置に配置されている。部品保持体13Bが装着ヘッド本体部13Aに対して最下降位置に位置しており、ストッパ34がストッパ当接面35に当接している状態では(
図3)、ドグ25の上端部はセンサ82の検査光82Lよりも下方に位置する。
【0037】
ドグ25とセンサ82(詳細には検査光82L)との間のZ方向の相対位置関係は、装着ヘッド本体部13Aと部品保持体13Bとの間の相対的な位置関係(上下方向距離)によって変化する。部品保持体13Bを装着ヘッド本体部13Aに対して相対的に上昇させていくと、ドグ25は相対的にセンサ82の検査光82Lに近づいていくが、部品保持体13Bの最下降位置からの移動距離が所定距離(D1)に達すると、ドグ25の上端部はセンサ82の検査光82Lを遮断し、受光部84はオンからオフに切り替わる。このとき部品保持体13Bが最下降位置から移動を始めてドグ25が検査光82Lを遮断するまでの部品保持体13Bの装着ヘッド本体部13Aに対する移動距離は、部品保持体13Bが最下降位置にある状態のドグ25の上端部と検査光82Lとの間の上下方向距離に等しい。以下、この距離を「第1の余裕距離D1」と称する(
図3)。
【0038】
図4は部品装着装置1の制御系統を示している。部品装着装置1が備える制御部90は処理部90Aと記憶部90Bを備えている。処理部90Aは装着動作制御部91、第1の高さ位置検出部92、第1の異常装着検出部93、センサ検出時高さ位置検出部94、第2の異常装着検出部95および部品高さ検出部96を備えている。記憶部90Bには、部品装着動作に必要な生産プログラム97が記憶されている。
【0039】
生産プログラム97には、
図5に示すように、基板KBに装着される対象となっている各部品BHの基板KB上での装着座標(xyθ)、寸法・形状データ等の各種データが含まれている。また生産プログラム97には、後述する「挿入リトライ」の設定の有無や「第2の異常装着検出」を行うかどうかを設定した設定情報が、部品BH(部品名)または種類ごとに記憶されている。なお、「挿入リトライ」と「第2の異常装着検出」については後述する。本実施の形態では、基板KBに装着される対象の部品BHには、チップ状の部品(チップ部品)と、チップ部品に相当するボディ部とボディ部から下方に延びる複数のリードとを備えたリード付きの部品の双方が含まれている。
【0040】
図4において、装着動作制御部91は、部品装着装置1に部品装着動作を実行させるための制御を行う。具体的には、Θ軸モータ41、Z軸モータ53、流路切換部61、加圧制御バルブ73および圧力調整部74の各動作の制御を行い、センサ82によるドグ25の検出情報(受光部84のオンオフ情報)に基づいて、基板KBに部品BHを装着する部品装着動作の全般の制御を行う、
【0041】
第1の高さ位置検出部92は、前述のZ軸モータ53に内蔵されたエンコーダから出力された信号を受信し、Z軸モータ53の駆動軸53Jの回転位置または回転量に基づいて、装着ヘッド昇降部14Lによって昇降される装着ヘッド本体部13Aの高さ位置を「本体部高さ位置H」として検出する。「本体部高さ位置H」は、予め設定された基準高さKHから装着ヘッド本体部13Aの任意の箇所(例えば装着ヘッド本体部13Aの上面)までの下方距離に相当する(
図1)。
【0042】
装着動作制御部91は、部品BHを基板KBに装着する部品装着動作を行う場合の装着ヘッド本体部13Aの目標高さ位置H2を設定する機能を有している。装着動作制御部91は、装着しようとする部品BHのサイズを記憶部90Bに記憶された生産プログラム97から読み出す。制御部90は、生産プログラム97から部品BHのサイズを読み出したら、その読み出した部品BHのサイズに含まれる部品厚さTHに基づいて、その部品BHに装着する際の装着ヘッド本体部13Aの目標高さ位置H2を設定する。
【0043】
この目標高さ位置H2は、部品BHが基板KBに接触したタイミングにおける装着ヘッド本体部13Aの高さ位置(部品接触時高さ位置H1)よりも距離dだけ下方に位置する高さに設定する(
図8、
図9も参照)。本明細書では距離dを押し込み量dと呼ぶ。目標高さ位置H2を部品接触時高さ位置H1から押し込み量dだけ低く設定することにより、部品BHを基板KBに装着するときにストッパ34をストッパ当接面35から離れた状態を確実に作り出して、部品BHに適切な荷重を作用させる。押し込み量dは第1の余裕距離D1よりも小さい量に設定されている(例えばd=D1×0.1)。押し込み量dは、基板搬送部11に位置する基板KBの高さ位置のばらつきや部品厚さTHの公差等を考慮して第1の余裕距離D1よりも小さい量に設定される。
【0044】
第1の異常装着検出部93は、部品BHを基板に装着しているときにセンサ82がオフとなることで部品の異常装着状を検出する。
図10は、基板KB上に異物IBが存在していたために、装着しようとした部品BHと基板KBとの間に異物IBが挟まってしまい、その結果、部品BHが基板KBに対して傾いた姿勢となった状態を示している。この場合、基板KBと部品BHに挟まれた異物IBによって部品保持体13Bは、想定した部品接触時高さ位置H1に装着ヘッド本体部13Aが到達する前に最下降位置から相対的に上昇開始する。そして装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に到達する前に部品保持体13Bが第1の余裕距離D1だけ上方に変位してドグ25が検査光82Lを遮光し、センサ82がオフになる。
【0045】
このように第1の異常装着検出部93は、装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に到達する前にセンサ82がオフになることで部品の異常装着状態が生じたことを検出する。すなわち、第1の異常装着検出部は、装着ヘッド本体部13Aを基板KBに向かって下降させて部品保持具(ノズル13N)に保持した部品を基板KBに装着したときに、センサ82によって部品保持体13Bが所定距離(第1の余裕距離D1)だけ上方に変位したことを検出したら部品の異常装着状態が生じていることを検出する。
【0046】
センサ検出時高さ位置検出部94は、装着ヘッド本体部13Aを下降させている最中にセンサ82がオンからオフに変化したときの装着ヘッド本体部13Aの高さ位置を検出する。具体的にはセンサ82がオンからオフに変化したタイミングで第1の高さ位置検出部92が検出した装着ヘッド本体部13Aの高さ位置を取得する。
【0047】
センサ検出時高さ位置検出部94の機能を利用して目標高さ位置H2を設定する際の基準となる実装面基準高さH0を設定することができる。具体的には、装着ヘッド本体部13Aを下降させて部品BHを保持していないノズル13Nの下端部を基板KBに当接させ、センサ82がオンからオフに変化したときの第1の高さ位置検出部92で検出された装着ヘッド本体部13Aの高さ位置(後述するサーチ動作終了高さH9)を取得する。そして取得した装着ヘッド本体部13Aの高さ位置から第1の余裕距離D1だけ上方にオフセットさせた位置が実装面基準高さH0となる。実装面基準高さH0は記憶部90Bに記憶される。目標高さ位置H2は、部品厚さTHから押し込み量dを差し引いた分の距離だけ実装面基準高さH0から上方へオフセットさせた高さ位置となる。制御部90は、記憶部に記憶された実装面基準高さH0と部品厚さTHと押し込み量dに基づいて目標高さ位置H2を計算する。ちなみに実装面基準高さH0から部品厚さTHだけ上方へオフセットさせた高さ位置が、部品BHを基板KBに正常な装着状態で装着した場合の部品接触時高さ位置H1となる(
図8も参照)。
【0048】
第2の異常装着検出部95は、センサ検出時高さ位置検出部94で検出した装着ヘッド本体部13Aの高さ位置に基づいて部品の異常装着を検出する。第1の異常装着検出部93は比較的大きな異物IBによる部品の異常装着であれば検出できるが、第1の余裕距離D1よりも小さな異物IBによるものであれば検出することができない。また、ノズル13Nから部品BHが脱落するまたは装着作業中に基板KB上面から弾き飛ばされる等の部品の装着異常の場合は、センサ82がオンからオフに変化しないので第1の異常装着検出部93では検出不可能である。
【0049】
このように、部品の異常装着には第1の異常装着検出部93で見過ごされてしまう部品の異常装着も発生するが、第2の異常装着検出部95は第1の異常装着検出部93で検出困難な部品の異常装着や“部品無し”を検出する。本実施の形態では第1の異常装着検出部93で検出される部品の装着異常を第1の異常装着状態、第2の異常装着検出部95で検出される部品の装着異常を第2の異常装着状態とする。
【0050】
部品高さ検出部96は、センサ検出時高さ位置検出部94で取得した高さ位置に基づいて基板KBに装着されたまたは装着途中の部品BHの高さを求める。部品BHの高さは基板KBの上面からの高さである。部品高さの検出は、ノズル13Nの下端面を基板KB上の部品BHに押し当てた状態で装着ヘッド本体部13Aを下降させ、センサ82がオンからオフに変化したときの装着ヘッド本体部13Aの高さ位置H3を第1の高さ位置検出部92から取得する。そして取得した高さ位置H3とサーチ動作終了高さH9(実装面基準高さH0に第1の余裕距離D1を足した高さ)との差(
図12のΔH参照)が部品高さとなる。ちなみに、部品BHが基板KBに正常な状態で装着された場合、部品高さは部品厚さTHとほぼ等しくなる。
【0051】
次に、
図23のフローチャートを参照しながら部品装着装置1による部品BHの装着動作(部品装着方法)を説明する。制御部90は先ず、記憶部90Bから生産プログラムを読み取る(ステップST1)。そして、装着ヘッド本体部13Aの目標高さ位置H2を計算により求める(ステップST2)。
【0052】
制御部90は、ステップST2で装着ヘッド本体部13Aの目標高さ位置H2を求めたら、装着ヘッド13を部品供給部12の上方に位置させる。そして、装着ヘッド昇降部14Lによって装着ヘッド13を下降させ、ノズル13Nに部品BHを保持(吸着)させる(ステップST3)。
【0053】
制御部90は、ノズル13Nに部品BHを保持させたら、ヘッド移動機構14によって、基板KB上の装着座標の上方(装着準備位置)に装着ヘッド13を移動させる(ステップST4。
図6(a)および
図7)。ここで「基板KB上の装着座標」については、
図5において示した生産プログラムの項目「装着座標(xyθ)」を参照する。
【0054】
ステップST4において、制御部90は、装着ヘッド13を装着準備位置に位置させながらΘ軸モータ41を作動させ、その回転軸41Jの動力を駆動プーリ42から歯付きベルト44を経て従動プーリ43に伝達させる。これによりシャフト21を回転させ、ノズル13Nに保持された部品BHの回転方向の位置合わせを行う。更に、ステップST4が完了するまでに制御部90は圧力調整部74に正圧の大きさを調整させて部品BHを基板KBへ押圧するときの押圧力が適切な大きさになるように設定する。
【0055】
制御部90は装着準備位置に装着ヘッド13が到達し、かつ、部品BHのΘ回転方向の位置合わせが終わったら、装着ヘッド昇降部14Lを作動させて、装着ヘッド本体部13Aの下降を開始する(ステップST5)。制御部90は、装着ヘッド本体部13Aの下降を開始したら、装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に到達するまでに第1の異常装着検出部93が第1の異常装着状態を検出するかどうかを監視する(ステップST6)。そして第1の異常装着状態が検出されない場合はステップST8以降の処理へ進み、第1の異常装着が検出された場合には、装着状態の異常を作業者に報知をするとともに、部品装着動作を停止させる(ステップST7)。ここで、装着状態の異常の報知は、制御部90に接続された図示しないディスプレイ装置やタッチパネル、あるいはブザー等を通じて行う。
【0056】
正常に部品BHが基板KBに装着された場合、すなわち第1の異常装着が検出されない場合の装着ヘッド13の挙動について
図6~
図9を用いて説明する。装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に向かって下降すると、部品BHは目標高さ位置H2に到達するタイミングより先の部品接触時高さ位置H1で基板KBに着地する(
図6(b)、
図8)。この間、ドグ25の位置は検査光82Lから第1の余裕距離D1だけ下方に離れた高さに位置している(
図6(d)、(e)。装着ヘッド本体部13Aは部品BHが基板KBに着地した後も押し込み量dに相当する距離だけ下降し、目標高さ位置H2に到達したら停止する(
図6(c)、
図9)。また、装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に到達するとストッパ34はストッパ当接面35から離れた状態となるので、ばね33の付勢力とエアシリンダ72の押圧力が合わさった荷重が部品保持体13Bによって部品BHに作用する。
【0057】
装着ヘッド本体部13Aを部品接触時高さ位置H1から押し込み量dだけ下降させると、ノズル13Nは部品BHを介して基板KBから相対的に押し上げられ、その上向きの力(反力)によって、装着ヘッド本体部13Aに対して相対的に上方に移動する。また、これによりドグ25は装着ヘッド本体部13Aに対して押し込み量dと同じ距離だけ相対的に上方に移動した状態となる(
図6(f))。
【0058】
このように本実施の形態において、部品保持体13Bは、装着ヘッド本体部13Aに対してZ方向に変位可能であって下端部に部品BHを保持する部品保持具としてのノズル13Nを有しており、部品装着時には、部品BHから受ける反力によって装着ヘッド本体部13Aに対して相対的に上方に変位するようになっている。
【0059】
ここで、押し込み量dは第1の余裕距離D1よりも小さい量に設定されている。このため、正しい部品BHが正常な状態で基板KBに装着された場合は、ドグ25によってセンサ82の検査光82Lが遮断されることがなく、受光部84はオンからオフに切り替わらない。このため、ステップST6で第1の異常装着として検出されることはない。
【0060】
図10は、基板KB上に比較的サイズの大きな異物IBが存在していたために、装着しようとした部品BHと基板KBとの間に異物IBが挟まってしまい、その結果、部品BHが基板KBに対して傾いた姿勢となった状態を示している。このようなケースでは、部品保持体13Bは基板KBの表面から想定よりも高い位置で下方への移動が規制される一方、装着ヘッド本体部13Aは下降を継続するため、センサ82はドグ25に近づいていく。このため、比較的大きな異物IBの場合には装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に位置する前に、ドグ25がセンサ82によって検出される(
図10)。
【0061】
図11は、基板KB上に障害物SBが存在しており、下降していた装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に位置する前に、部品保持体13B一部が障害物SBに当接してしまった状態を示している。このような場合には、障害物SBに当接した部品保持体13Bはその位置で下方への移動が規制される一方、装着ヘッド本体部13Aは下降を継続するため、センサ82はドグ25に近づいていく。このため、
図11に示すように、装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に位置する前に部品保持体13Bが障害物SBに衝突すると、ドグ25がセンサ82によって検出される場合が起こり得る。
【0062】
このように装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に位置する前にドグ25がセンサ82によって検出されるのは、上記のように部品BHと基板KB上との間に異物IBが挟まってしまった場合や部品保持体13Bが基板KB上の障害物SBに当接してしまった場合のほか、装着しようとした部品BHが生産プログラム97から読み出した部品BHとは異なっており、その部品BHの高さTHが生産プログラム97から読み出した部品BHの高さTHよりも大きかった場合(部品違いの場合)等である。
【0063】
このように、装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に位置する前に、ドグ25がセンサ82によって検出される状態は異常装着状態であり、このような異常装着状態は第1の異常装着状態として、第1の異常装着検出部93によって検出される(ステップST6)。本実施の形態において、第1の異常装着検出部93は、装着ヘッド本体部13Aを基板KBに向かって下降させて部品保持具であるノズル13Nに保持した部品BHを基板KBに装着したときに、センサ82によってノズル13Nが第1の余裕距離D1だけ上方に変位したことを検出したら(検出したことをもって)部品BHの異常装着状態(第1の異常装着状態)が生じていることを検出するものとなっている。
【0064】
なお、本実施の形態では、ドグ25がセンサ82によって検出された場合には、装着動作制御部91は装着ヘッド昇降部14Lによる装着ヘッド本体部13Aの下降を速やかに停止させるようになっている。このため第1の異常装着検出部93によって第1の異常装着状態が検出された場合には装着ヘッド本体部13Aの下降は停止され、装置の安全が図られる。また、作業者に点検を促す指示を与えて、異常装着状態が生じた原因を除去させることもできる。
【0065】
装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に到達し、ステップST6で第1の異常装着状態ではないと判定された以降の処理は、装着動作設定情報の「第2の異常装着検出」の設定によって分岐する。装着動作設定情報の第2の異常装着検出が「無」の場合、制御部90は、ステップST8で第2の異常装着検出が「無」に設定されているのを確認し、装着ヘッド本体部13Aを上昇させて(ステップST9)、部品装着動作を終了する。すなわち、第2の異常装着検出が「無」に設定した部品については第1の異常装着検出部93での簡易的な異常装着状態の検査のみで装着動作を終了する。
【0066】
一方、第1の異常装着検出部93で検出困難な異常装着を検出する必要がある部品については装着動作設定情報の第2の異常装着検出が「有」に設定されている。この場合、制御部90は、ステップST8で第2の異常装着検出が「有」に設定されているのを確認したら第2の異常装着検出部95による異常装着の検出を行う(ステップST10~ステップST12)。装着ヘッド本体部13Aが目標高さ位置H2に位置した時点でドグ25がセンサ82によって検出されていない場合には、ドグ25がセンサ82によって検出されるまで(
図12)、装着ヘッド昇降部14Lによって装着ヘッド本体部13Aを微小距離ずつ下降させていき、ドグ25がセンサ82によって検出されたところで装着ヘッド本体部13Aの下降を停止させる動作(サーチ動作)を実行する。
【0067】
上記サーチ動作において、ステップST10は、装着ヘッド昇降部14Lにより装着ヘッド本体部13Aを微小距離下降させるステップであり、ステップST11は、装着ヘッド本体部13Aが実装面基準高さH0から更に第1の余裕距離D1だけ下方にオフセットしたサーチ動作終了高さH9に到達したか否かを判定するステップである。そして、ステップST12は、ドグ25がセンサ82によって検出されたか否かを判定するステップであり、ステップST12でドグ25がセンサ82によって検出されない場合には、ステップST10に戻る。
【0068】
図15は、ステップST11で装着ヘッド本体部13Aがサーチ動作終了高さH9に到達したと判定されたときの状態を示している。ノズル13Nに保持されていたはずの部品が何らかの原因で無くなり、ノズル13Nの下端が基板KBの上面に到達している。制御部90は、上記のループ(サーチ動作)において、ステップST11で装着ヘッド本体部13Aがサーチ動作終了高さH9に達したと判定した場合には「部品無し」と判定し、ステップST7で装着状態の異常を作業者に報知をするとともに、部品装着動作を停止させる。
【0069】
図12は、ステップST12でドグ25がセンサ82によって検出されたときの状態を示している。サーチ動作において装着ヘッド本体部13Aは徐々に下降するが、部品保持体13Bは基板KB上の部品BHによって下降を妨げられているので両者は次第に接近する。そして、ドグ25が検査光82Lを遮光する位置に到達すると、ステップST12においてドグ25がセンサ82によって検出された、サーチ動作を終了する。
【0070】
制御部90は、ステップST12でサーチ動作を終了したら第1の高さ位置検出部92の検出情報に基づいて装着ヘッド本体部13Aの高さ位置を検出する(ステップST13)。以降、ステップST13で検出された装着ヘッド本体部13Aの高さ位置をサーチ高さH3と呼ぶことにする。
【0071】
制御部90は、サーチ高さH3に基づいて装着異常が生じていないかを第2の異常装着検出部95によって検出する。第2の異常装着検出部95は、基板KBに部品BHが正常な装着状態で装着された場合のサーチ高さH3とサーチ動作終了高さH9の差は部品厚さTHと同じ値になることに着目して装着状態を判断する。具体的には、第2の異常装着検出部95はサーチ高さH3とサーチ動作終了高さH9の差が、生産プログラムから読みだした部品厚さTHから所定の許容範囲内であるかを判断する。そして許容範囲内であれば装着状態は正常、すなわち第2の異常装着は未検出と判断される。第2の異常装着検出部95によって第2の異常装着状態が検出されなかった場合には、部品装着が正常に終了したとしてステップST9に進み、装着ヘッド本体部13Aを上昇させて、部品装着動作を終了する。
【0072】
図12は、サーチ動作終了後、部品BHが正常な装着状態で装着された場合の状態を示している。図示の通り、サーチ高さH3とサーチ動作終了高さH9の差ΔHは部品厚さTHとほぼ一致する。
【0073】
図13は、サーチ動作終了後、生産プログラムで予定された部品BHと異なる部品BH1が装着され場合の状態を示している。部品BH1の部品厚さTH1は部品BHの部品厚さTHよりも薄い。従って、サーチ高さH3とサーチ動作終了高さH9の差ΔHは部品厚さTHに対して許容範囲を外れた小さな値となる。このため第2の異常装着検出部95はこれを第2の異常装着状態「低」として検出する(ステップST14)。この場合に制御部90は、処理をステップST7へ進め、部品BHが異常装着状態(第2の異常装着状態)にあることを作業者に報知をするとともに、部品装着動作を停止させる。
【0074】
図14は、サーチ動作終了後、生産プログラムで予定された部品BHと異なる部品BH2が装着された場合の状態を示している。部品BH2の部品厚さTH2は部品BHの部品厚さTHよりも厚い。従って、サーチ高さH3とサーチ動作終了高さH9の差ΔHは部品厚さTHに対して許容範囲を外れた大きな値となる。このため第2の異常装着検出部95はこれを第2の異常装着状態「高」として検出する(ステップST14)。
【0075】
ステップST14において第2の異常装着状態「高」として検出した以降の処理は、装着動作設定情報の「挿入リトライ」の設定によって分岐する。挿入リトライは、基板KBのリード挿通孔KBHに納入されるリードLDを有するリード付きの部品BH3(
図16参照)を装着する際に使用する機能であり、リードLDがリード挿通孔KBHに途中で引っかかるなどして装着が不十分な場合に部品保持体13Bでリード付きの部品BH3を基板KBへ再度押し込む処理のことを言う。リードLDを持たない表面実装タイプの部品BHや挿入リトライを必要としない部品については挿入リトライの設定が「無」に設定されているが、リード付きの部品BH3で挿入リトライを設定する場合は「有」に設定されている。
【0076】
制御部90は、ステップST14において第2の異常装着状態「高」であった場合には(
図14)、挿入リトライ設定が「有」に設定されているかどうかを確認する(ステップST15)。この判断は、
図5において示した「挿入リトライ」の項に「有」のフラグが立てられているか否かによって行う。
【0077】
制御部90は、ステップST15で挿入リトライ設定が「無」に設定されていたならば、ステップST7に進み、装着状態の異常を作業者に報知をするとともに、部品装着動作を停止させる。一方、制御部90は、ステップST15で挿入リトライ設定が「有」に設定されていた場合には、リトライ処理を実行する(ステップST16)。具体的には、エアシリンダ72によるシャフト21の加圧力を大きくしてこれまでよりも強い力で部品BHを基板KBに押圧して(
図19)、挿入リトライを試みる。
【0078】
次に、リード付きの部品BH3(部品厚さTH3)を基板に装着する際の動作を例に装着動作を説明する。リード付きの部品BH3(以下、部品BH3と省略する)を基板KBに装着する場合には、ノズル13Nにより部品BH3のボディ部BDを吸着保持した装着ヘッド昇降部14Lを装着準備位置(
図16)から下降させる(ステップST5)。そして、リードLDを基板KBのリード挿通孔KBHに挿通させて(
図17)、基板KBに装着させる(
図18)。部品BH3が正常な装着状態で基板KBに装着される場合は、ステップST10~ステップST14まで処理が行われ、ステップST14において第2の異常装着が検出されなければステップST9へ進んで部品装着動作を終了する。
【0079】
ここで、リードLDがリード挿通孔KBHにスムーズに挿通されず、部品BH3が
図17の状態から基板KB側向けて押し下げることができなくなったような場合には、部品BH3は前述のチップ状の部品BHと基板KBとの間に異物IBが挟まってしまった場合と同様の状態となる。従って、第2の異常装着検出部95によって第2の異常装着状態「高」として検出される(ステップST14)。
【0080】
部品BH3のリードLDが基板KBのリード挿通孔KBHにスムーズに挿通されない状態は部品BH3と基板KBとの間に異物IBが挟まってしまった場合とは異なり、部品BH3のボディ部BDをより強く押圧してやればリードLDがリード挿通孔KBHを挿通して、部品BH3の異常装着状態(第2の異常装着状態)が解消される可能性がある。このため本実施の形態では、ステップST15で挿入リトラの設定が「有」であれば挿入リトライを実行する(ステップST16)。
【0081】
挿入リトライを試みた後、第2の異常装着が解消されたかどうかを判定する(ステップST17)。第2の異常装着が解消されたかどうかの判定は、前述したサーチ動作と同じ動作を実行することによってサーチ高さH3を取得する(
図20)。そして、ステップST14と同様な方法で第2の異常装着状態が解消されているか否かを判断する。
【0082】
制御部90は、ステップST17の判断の結果、第2の異常装着状態が解消されていなかった場合にはそこで部品BHの装着作業を打ち切り、ステップST7に進む。そして、そのステップST7において装着状態の異常を作業者に報知をするとともに、部品装着動作を停止させる。一方、ステップST17において、第2の異常装着状態が解消されていた場合には、部品装着が正常に終了したとしてステップST9に進み、装着ヘッド本体部13Aを上昇させて、部品装着動作を終了する。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態における部品装着装置1および部品装着方法では、装着ヘッド本体部13Aを基板KBに向かって下降させることによって、部品保持具であるノズル13Nにより保持した部品BHを基板KBに装着したときに、部品保持体13Bが所定距離(第1の余裕距離D1)だけ上方に変位したことが部品保持具変位検出センサ(センサ82)によって検出された場合には、部品BHの異常装着状態が生じていると判断される(第1の異常装着検出工程)。このため、装着しようとする部品BHと基板KBとの間に異物IBが挟まっている場合にはこれを検出できる。
【0084】
また、ノズル13Nを部品BHの上面に当接させた状態で装着ヘッド本体部13Aを下降させ、部品保持体13Bが所定距離(第1の余裕距離D1)だけ上方に変位したことがセンサ82によって検出された場合にそのときの第1の高さ位置検出部92の検出結果であるサーチ高さH3を取得することで(センサ検出時高さ位置検出工程)、部品BHの異状装着を検出するようになっている(第2の異常装着検出工程)。
【0085】
これにより、ノズル13Nを下降させる過程(第1の異常装着検出工程)で検出できなかった微小な異物IBが部品BHと基板KBとの間に挟まった状態を検出することができる。また、ノズル13Nに部品BHが吸着されていなかった場合にはそのこと(部品無し状態)を検出できる。このように本実施の形態における部品装着装置1(部品装着方法)によれば、多様な部品の異常装着状態を判別しながら部品装着を行うことができる。
【0086】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、部品保持体(ノズル13N)が装着ヘッド本体部13Aに対して相対的に所定距離だけ上方に変位したことを検出する部品保持具変位検出センサは検査光を用いた光学センサであったが、リミットスイッチ等を用いた機械的センサ等、光学以外の原理でドグ25を検出できるものであればよい。
【0087】
また、本発明は部品の種類、形状、サイズによって変更を加えて実施してもよい。その一例について
図21、
図23を参照しながら説明する。
図21は、本実施の形態における部品装着装置1により、横方向寸法が比較的大きいリード付きの部品BH4(以下、部品BH4と呼ぶ)を基板KBに装着している状態を示している。
図21に示ように、横方向寸法が比較的大きい部品BH4の中央部をノズル13Nで保持して基板KBの装着しようとすると、リードLDがリード挿通孔KBH内で引っ掛かってボディ部BDが水平姿勢から傾いてしまう事態が起き易い。
【0088】
このような場合には、部品BH4のボディ部BD上面の両端部に対してサーチ動作を行ってノズル13Nを接触させ、両端部におけるサーチ高さを取得する(
図22(a))。そして、取得したサーチ高さと生産プログラム97から読み出した部品BH4の部品厚さを考慮して装着状態を判定する。判定の結果、ボディ部BDが傾いている場合は両端部のうち相対的に高さが高い方を前述の挿入リトライと同様のやり方で追加押圧を行う(
図22(b))。このような追加押圧を行うことにより、部品BHのボディ部BDの姿勢を水平にする。これにより部品BH4のボディ部BDが基板KBへの装着途中で水平姿勢から傾いてしまった場合であっても、正常に基板KBに装着することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
多様な部品の異常装着状態を判別しながら部品装着を行うことができる部品装着装置および部品装着方法を提供する。
【符号の説明】
【0090】
1 部品装着装置
13 装着ヘッド
13A 装着ヘッド本体部
13B 部品保持体
13N ノズル(部品保持具)
14L 装着ヘッド昇降部
21 シャフト
25 ドグ
72 エアシリンダ
82 センサ(部品保持具変位検出センサ)
92 第1の高さ位置検出部
93 第1の異常装着検出部
94 センサ検出時高さ位置検出部
95 第2の異常装着検出部
96 部品高さ検出部
D1 第1の余裕距離(所定距離)
H 本体部高さ位置
H0 実装面基準高さ
H1 部品接触時高さ位置
H2 目標高さ位置
H3 サーチ高さ
H9 サーチ動作終了高さ
BH,BH1,BH2,BH3,BH4 部品
TH,TH1,TH2,TH3 部品厚さ
KH 基準高さ
KB 基板