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特開2023-101858地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法
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  • 特開-地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法 図1
  • 特開-地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101858
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/00 20060101AFI20230714BHJP
   E21D 9/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
G01N3/00 D
E21D9/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002046
(22)【出願日】2022-01-11
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、研究成果展開事業「函体推進工法による線路下アンダーパストンネル建設における摩擦低減材の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
(71)【出願人】
【識別番号】592069137
【氏名又は名称】植村技研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522012628
【氏名又は名称】東京試機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
(72)【発明者】
【氏名】富樫 陽太
(72)【発明者】
【氏名】平沢 梨帆
(72)【発明者】
【氏名】植村 誠
(72)【発明者】
【氏名】植村 賢治郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 智哉
(72)【発明者】
【氏名】井口 翔太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 精一郎
【テーマコード(参考)】
2G061
【Fターム(参考)】
2G061AA02
2G061AA11
2G061AB01
2G061BA20
2G061CA06
2G061DA01
2G061EA01
2G061EA10
2G061EB06
2G061EC02
(57)【要約】
【課題】鉄道、道路等の下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進建設する際に上部交通に支障を与えることなく施工することができる地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の鉛直方向から圧縮力を受け、函体が推進される時に単純せん断されるという材料の性質を特定することができる地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法を提供する。
【解決手段】供試体25を載置する台座盤26と、この台座盤26に対向して供試体25を挟む上盤27からなり、上盤27はロッド28を有し、このロッドで上下動および回転駆動され、ロッド28の上部に荷重計とトルク計を設置して、直荷重QとトルクTを測定する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供試体を載置する台座盤と、この台座盤に対向して供試体を挟む上盤からなり、
上盤はロッドを有し、このロッドで上下動および回転駆動され、ロッドの上部に荷重計とトルク計を設置して、直荷重QとトルクTを測定することを特徴とした地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置。
【請求項2】
台座盤と上盤は対向する面で、相互の同位置に滑り止め用の溝を形成した請求項1記載の地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置。
【請求項3】
供試体を載置する台座盤と、この台座盤に対向して供試体を挟む上盤からなり、上盤はロッドを有し、このロッドで上下動および回転駆動され、ロッドの上部に荷重計とトルク計を設置した材料試験装置を使用し、台座盤上に角柱供試体を対称に設置し、台座盤と上盤とで供試体を挟んで圧縮し、挟んだ状態で上盤に円周方向の変位を与えてせん断力を伝え、直荷重QとトルクTを測定することを特徴とした地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道、道路等の下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進建設する際に上部交通に支障を与えることなく施工することができる地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道、道路などの下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進させるには、上部交通を支承するための防護工が必要となり、鋼管等を水平に並列させるパイプルーフを設けることなどがあげられるが、パイプルーフに替わるものとして下記特許文献1にもあるような箱形ルーフ工法が存在する。
【特許文献1】特許第2789523号公報
【0003】
これは図7に示すように、鉄道等上部交通1の脇にもしくは鋼矢板2を打設して、発進立坑3と到達立坑4を築造し、該発進立坑3内に圧入機5を設置してこれで箱形ルーフ用筒体6を到達立坑4へ向けて圧入させ、防護工としてのルーフを形成するものである。
【0004】
箱形ルーフ用筒体6は鋼管による略正方形断面の箱形筒体であり、上面に平板からなるフリクションカッタープレート(以下FCプレートと称する)7を載置している。(図10参照)
【0005】
かかる箱形ルーフ用筒体6は単位筒体を1本ずつ圧入するものであり、図14に示すように端部に継手フランジ6cを形成し、この継手フランジ6c同士をボルト、ナット19で締結することにより1ピースずつ長さ方向に継ぎ足して発進立坑3から到達立坑4までの必要長を埋設し、さらにこうして埋設した1本目に対して2本目、3本目…と順次埋設して並列させる。図中17はボルト、ナット19での締結用の箱抜きである。
【0006】
前記圧入機5は、この箱型ルーフ用筒体6のジャッキなどによる押出機構を有するものである。
【0007】
箱型ルーフ用筒体6の並べ方は図13に示すような門型の他、図示は省略するが一文字型、函型など後で配設する地下構造物に合わせて適宜選択される。
【0008】
次いで、図8に示すように発進立坑3内に反力壁8、コンクリート函体による地下構造物9をセットし、反力壁8と地下構造物9との間には推進ジャッキ10を設け、地下構造物9の先端に刃口11を設けるとともに地下構造物9の先端と前記箱形ルーフ用筒体6との間に小ジャッキ12を介在させる。
【0009】
図中13は箱形ルーフ用筒体6の支持材、14はフリクションカッタープレート7の止め部材でこれらは発進立坑3側に設け、一方、到達立坑4側に架台(受台)15を設ける。
【0010】
小ジャッキ12を伸長して地下構造物9を反力としてフリクションカッタープレート7を残しながら箱形ルーフ用筒体6を1本ずつ順次押し進め、全ての箱形ルーフ用筒体6が一通り前進したならば、小ジャッキ12を縮め今度は推進ジャッキ10を伸長して地下構造物9を掘進させる。図中16は推進ジャッキ10と地下構造物9との間に介在させるストラットを示す。
【0011】
このようにして箱形ルーフ用筒体6の前進と地下構造物9の前進とを交互に繰り返しながら図12に示すように到達立坑4に箱形ルーフ用筒体6の単位1ピース分が完全に出たならば、継手フランジ6c同士のボルト、ナット19による締結を解除して長さ方向に分割し、順次撤去する。
【0012】
そして、地下構造物9の先端が到達立坑4に達したならば、刃口11などを撤去し適宜裏込めグラウトを行って施工を完了する。
【0013】
なお、地下構造物9はプレキャスト製のコンクリート函体を順次発進立坑3内に吊り降ろして接続していくようにしてもよいし、発進立坑3内でコンクリートを打設して必要長を増設するようにしてもよい。
【0014】
また、該地下構造物9の推進方法に関しても到達立坑4側に反力壁およびセンターホール式の牽引ジャッキを設け、一端は地下構造物9に定着したPC鋼線による牽引部材をこの牽引ジャッキで引くことにより到達立坑4側から地下構造物9を引き込むようにすることもできる。
【0015】
前記のような箱形ルーフ工法を用いた地下構造物の施工法では、現場の直上に営業線を走らせたままで行われ、そのため、線路下の地山内に箱形ルーフを設置して仮設防護したうえで、コンクリート函体(ボックスカルバート)を推進することで線路下横断構造物が築造される。
【0016】
しかし、近年では線路下横断工法における函体断面の大型化に伴って、函体推進・けん引力が増大していて、函体と地山の界面には大きい摩擦力が生じるため、多数のジャッキによる推力を確保する必要がある。
【0017】
特に横断部に設置した箱形ルーフと函体とを置き換える施工法では、長期間横断部に設置されていた箱形ルーフ再推進時(函体推進時)において、周辺地山の圧密による摩擦抵抗によって想定外の推進力が必要となり、縁切り時や函体推進・けん引時に周囲地山へ影響(振動や騒音)を及ぼす場合があった。
【0018】
発明者等は先に、線路下横断構造物の施工において、函体推進・けん引時に生じる箱形ルーフとフリクションカッター(FC)プレートとの摩擦、または、函体周面とFCプレートとの摩擦を効果的に低減することで、縁切り時の推進・けん引力および、函体推進・けん引時の周囲地山への影響を低減させることができる地下構造物の施工法およびそれに使用する摩擦低減材を提案し、特許出願した。
【0019】
これは、図2に示すように、箱形ルーフ用筒体6とフリクションカッタープレート7との間に、剛な鉄などの球体またはコロとそれをせん断破壊可能な被覆材で覆った摩擦低減材20を配置したものである。
【0020】
摩擦低減材20は、剛な鉄などの球体21をせん断破壊可能な被覆材としてモルタル22で覆ったもので、図3に示すようにモルタル22で球体21の径と一致した高さ、幅、奥行きをもつ六面体のブロック形状とした。
【0021】
図示では球体21を1個として示したが、複数の球体21をモルタル22で覆ったブロックとして摩擦低減材20を構成してもよい。摩擦低減材20は角柱形状となる。
【0022】
なお、摩擦低減材20の成形に際しては型枠内に球体21を収め、その後モルタル22を型枠に充填し、硬化後脱型すればよい。
【0023】
かかるブロック形状による摩擦低減材20はこれを間隔を存してフリクションカッタープレート7と箱形ルーフ用筒体6の間に配置する。
【0024】
図4に示すように球体21の代わりに、剛なものとして、鋼鉄製の棒体によるコロ23を使用することもできる。
【0025】
この場合もモルタル22でコロ23の径と一致した高さ、幅、奥行きをもつ六面体の形状と場合の他、コロ23の長さを長いものとしてこれをモルタル22で覆って全体を長い棒状にする。
【0026】
長い棒状とした摩擦低減材20は、横並びでならぶ箱形ルーフ用筒体6の上に横断するように間隔を存して置かれ、フリクションカッタープレート7で挟み込まれる。
【0027】
このようにして、線路下横断構造物の施工において、函体推進・けん引時に生じる箱形ルーフとフリクションカッター(FC)プレートとの摩擦、または、函体周面とFCプレートとの摩擦を効果的に低減することで、縁切り時の推進・けん引力および、函体推進・けん引時の周囲地山への影響を低減させることができる。
【0028】
FCプレートと箱形ルーフの界面に球体またはコロだけを設置すれば、地盤と函体の界面摩擦はほとんどゼロにできるが、列車荷重や地圧の影響により、施工時の函体の挙動は極めて不安定になるが、球体またはコロがせん断破壊可能な被覆材の破片の上を、抵抗を受けながらころがることによって施工の不安定化を抑止する。
【0029】
また、摩擦低減材は、せん断破壊可能な被覆材で覆ったことでブロックとして形成することができ、箱形ルーフとフリクションカッタープレートとの間に配置するのに、球体またはコロが転がり出さずに安定して設置できる。
【0030】
さらに、FCプレートと箱形ルーフは剛な鉄などの球体またはコロにより高さ方向の変位が生じないため、軌道・道路の変位における鉛直方向の変位も抑制できる。
【0031】
摩擦による強制変位を受けてせん断破壊する被覆材としてモルタルは成形性や価格等で最適なものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
前記摩擦低減材20の作用・効果は以上の通りであり、摩擦低減材20は設置時は母材であるモルタル22の強度で土圧を受け持つことができるが、函体を推進するときには母材がせん断破壊して、摩擦抵抗を低減する効果を持つ。この時、鉛直方向から圧縮力を受け、函体が推進される時に単純せん断される。この材料の性質を特定する方法は既往方法には見当たらない。
【0033】
施工時の応力状態における摩擦低減材20の材料特性を調べる方法がない。その理由は、岩石の単純せん断モードの試験は存在しないからである。
【0034】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、鉄道、道路等の下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進建設する際に上部交通に支障を与えることなく施工することができる地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の鉛直方向から圧縮力を受け、函体が推進される時に単純せん断されるという材料の性質を特定することができる地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0035】
前記目的を達成するため本発明は、地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置としては、供試体を載置する台座盤と、この台座盤に対向して供試体を挟む上盤からなり、上盤はロッドを有し、このロッドで上下動および回転駆動され、ロッドの上部に荷重計とトルク計を設置して、直荷重QとトルクTを測定すること、および、台座盤と上盤は対向する面で、相互の同位置に滑り止め用の溝を形成したことを要旨とするものである。
【0036】
摩擦低減材の材料試験方法としては、供試体を載置する台座盤と、この台座盤に対向して供試体を挟む上盤からなり、上盤はロッドを有し、このロッドで上下動および回転駆動され、ロッドの上部に荷重計とトルク計を設置した材料試験装置を使用し、台座盤上に角柱供試体を対称に設置し、台座盤と上盤とで供試体を挟んで圧縮し、挟んだ状態で上盤に円周方向の変位を与えてせん断力を伝え、直荷重QとトルクTを測定することを要旨とするものである。
【0037】
本発明によれば、供試体を施工の状況に応じた応力状態でせん断することができ、直荷重QとトルクTを測定することで、測定したせん断応力と直応力の比から摩擦低減材の摩擦係数・材料特性が取得できる。
【0038】
また、本発明は、単純せん断モードの変形・強度特性を取得でき、直応力の増減によって破壊のモードを調整することができる。
【0039】
なお、本発明は、摩擦低減材の材料特性だけでなく、岩などの硬質材料の単純せん断モードにおける力学特性を取得可能である。
【発明の効果】
【0040】
以上述べたように本発明の地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置と材料試験方法は、鉄道、道路等の下部地中に大幅員の地下構造物を横断方向に掘進建設する際に上部交通に支障を与えることなく施工することができる地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の鉛直方向から圧縮力を受け、函体が推進される時に単純せん断されるという材料の性質を特定することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明の地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置の1実施形態を示す説明図である。
図2】摩擦低減材を用いた地下構造物の施工法の側面図である。
図3】摩擦低減材の一例を示す斜視図である。
図4】本発明の摩擦低減材の他例を示す斜視図である。
図5】摩擦低減材設置時から施工法の函体推進時の変化を示す説明図である。
図6】ジャッキ推力と推進量の関係を示すグラフである。
図7】箱形ルーフ工法による地下構造物の施工法の第1工程を示す側面図である。
図8】箱形ルーフ工法による地下構造物の施工法の第2工程を示す側面図である。
図9】箱形ルーフ工法による地下構造物の施工法の第3工程を示す側面図である。
図10】箱形ルーフ用筒体の1例を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面について本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の地下構造物の施工法に使用する摩擦低減材の材料試験装置の1実施形態を示す説明図で、図中25は摩擦低減材20による供試体で、摩擦低減材20については前記説明した通りである。
【0043】
本発明の材料試験装置は、供試体25を載置する台座盤26と、この台座盤26に対向して供試体25を挟む蓋体としての上盤27からなる。台座盤26および上盤27は図示では円盤形状としたが特にこれに限定するものではない。
【0044】
上盤27は中心に上向きのロッド28を有し、このロッド28で上下動および回転駆動される。
【0045】
また、図示は省略するが、ロッド28の上部に荷重計とトルク計を設置して、直荷重QとトルクTを測定する。
【0046】
台座盤26と上盤27は相互に対向する内側の面で、相互の同位置に滑り止め用の溝29を形成した。溝29は2mm程度の幅で、中心に向かい、放射状に並ぶように形成する。
【0047】
摩擦低減材20の材料試験を行うには、台座盤26上に角柱の供試体25を対称に設置する。図示では放射状に4個の供試体25を軸に対称に設置した。
【0048】
設置する供試体25の数は4個に限定されるものではないが、対称に設置する理由は単に不安定にならないためである。例えば、一個だけの供試体だと反対側には上盤27を支持する供試体25が無いので軸応力を大きくすると上盤27やロッド28に曲げが作用してしまう。
【0049】
ロッド28に曲げが作用すると、ロッド28に摩擦が生じ、荷重の一部が供試体25ではなく装置に作用することになるので、正確な強度や変形特性が得られなくなる。
【0050】
供試体25は溝29の上に置くのが望ましい。円周方向にトルクを作用させるので、溝29が無いと供試体が滑ってしまって、せん断ができないおそれがある。
【0051】
台座盤26と上盤27は剛板を通して供試体25を圧縮力・せん断力を伝える役目がある。
【0052】
台座盤26と上盤27とで供試体25を挟んで圧縮し、挟んだ状態で上盤27に円周方向の変位を与えてせん断力を伝え、直荷重QとトルクTを測定する。可動するのは上盤27のみで、台座盤26は固定である。
【0053】
直荷重QとトルクTを測定することで、土かぶりに応じた直応力σ=Q/(nLW)(nは供試体の本数)、せん断応力τ=F/(nLW)=T/{(nLW)(d+1/2)}を算定できる。
【0054】
またロッド28の上部で回転角θと鉛直変位△Hを測定することで、せん断ひずみザθと直ひずみε=△H/Hを測定でき、せん断剛性率G=τ/γやヤング率E=ff/εを計算することも可能である。摩擦低減材の摩擦定数はピーク応力を用いてτ/σで計算できる。
【0055】
なお、本発明の材料試験装置は単純せん断モードの力学試験方法が確立されていない岩石材料にも適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1…上部交通 2…鋼矢板
3…発進立坑 4…到達立坑
5…圧入機 6…箱形ルーフ用筒体
6c…継手フランジ 7…フリクションカッタープレート
8…反力壁 9…地下構造物
10…推進ジャッキ 11…刃口
12…小ジャッキ 13…支持材
14…止め部材 15…受台
16…ストラット 17…箱抜き
19…ボルト、ナット 20…摩擦低減材
21…球体 22…モルタル
23…コロ 25…供試体
26…台座盤 27…上盤
28…ロッド 29…溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10