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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101880
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/04 20210101AFI20230714BHJP
   F24C 7/02 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
F24C7/04 301Z
F24C7/02 301Z
F24C7/02 531Z
F24C7/02 531H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002083
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 晃子
【テーマコード(参考)】
3L086
3L087
【Fターム(参考)】
3L086AA02
3L086AA03
3L086AA12
3L086BD03
3L086BD05
3L086BD10
3L086CA01
3L086DA03
3L086DA24
3L087AA01
3L087AA04
3L087AB03
3L087BC02
3L087BC19
3L087CA01
3L087CA03
3L087CA06
3L087CA11
3L087DA24
(57)【要約】
【課題】庫内の温度を上昇させるヒータ加熱調理の実行前に、他の加熱調理の実行を選択可能な注意情報を報知する加熱調理器を提供する。
【解決手段】本発明のオーブンレンジは、被調理物を輻射熱により加熱する熱風ヒータ33および熱風ファン34と、被調理物をレンジ加熱するマグネトロン19および回転アンテナ22と、ユーザに各種調理情報を報知する表示手段6および報知手段51と、を備え、熱風ヒータ33および熱風ファン34によるオーブン加熱により庫内が所定温度以上となり、マグネトロン19および回転アンテナ22によるレンジ加熱が当該オーブン加熱後すぐに実行できない場合に、当該オーブン加熱が実行される前に、表示手段6が表示による注意情報を報知し、かつ報知手段51がブザー音による注意情報を報知する構成にしている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を輻射熱により加熱する輻射加熱手段と、
前記被調理物をレンジ加熱するマイクロ波加熱手段と、
各種調理情報を報知する報知手段と、を備え、
前記輻射加熱手段による加熱調理により庫内が所定温度以上となり、前記マイクロ波加熱手段による加熱調理が前記輻射加熱手段による加熱調理後すぐに実行できない場合に、前記輻射加熱手段による加熱調理が実行される前に前記報知手段が注意情報を報知することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記注意情報の報知を行なうか否かを設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記加熱調理を割り込み設定する設定手段と、
調理工程を記憶する記憶手段と、をさらに備え、
前記マイクロ波加熱手段による第1の加熱調理の次に前記輻射加熱手段による加熱調理を行なう調理工程を開始後、前記輻射加熱手段による加熱調理を行う前に、前記輻射加熱手段または前記マイクロ波加熱手段による第2の加熱調理を割り込み設定可能であり、
前記割り込み設定時に前記調理工程の未実行部分を前記記憶手段が記憶することを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記加熱調理に関する情報を表示する表示手段と、
前記加熱調理を選択又は設定する操作手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記操作手段により前記調理工程を設定可能であることを特徴とする請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記操作手段により前記調理工程の設定を消去可能であることを特徴とする請求項4又は5に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波による加熱手段と、ヒータからの熱による加熱手段とを備える加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の加熱調理器として、例えば特許文献1には、マグネトロンやアンテナを有する加熱手段と、フラットヒータからなる上ヒータおよびシーズヒータからなる下ヒータを有する加熱手段と、割り込みキーを有する操作部と、メモリとを備え、加熱手段による第1調理物の調理中に、割り込みキーにより第2調理物の割り込みが設定されると、調理中の第1調理物の調理状況をメモリに一時的に格納して、加熱手段による第2調理物の調理を実行し、第2調理物の調理終了後に、メモリに格納された第1調理物の調理状況に応じて、再び第1調理物の調理を継続して行なうものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-114266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の加熱調理器において、マイクロ波による加熱手段でのレンジ加熱の場合は、マイクロ波が被調理物に照射されて被調理物自体の温度が上昇する一方で、上ヒータおよび下ヒータによるヒータ加熱の場合は、上ヒータおよび下ヒータからの輻射熱により被調理物を加熱するものであるので、この被調理物と共に、当該加熱調理器が備える部品などの温度も上昇してしまう。また特許文献1には記載されていないが、熱風コンベクション加熱による加熱調理機能を備えた加熱調理器も知られており、この熱風コンベクション加熱の場合も被調理物と共に、当該加熱調理器が備える部品などの温度も上昇してしまう。部品が高温の状態で加熱調理を行なうと当該部品が故障する虞があるため、ヒータ加熱時やその終了後に、例えば冷却ファンなどの冷却手段により、これらの部品を冷却する方法も知られているが、これらの部品を所定の温度未満まで冷却するには一定の時間を要してしまう。そのため通常は、これらの部品の冷却時にユーザがレンジ加熱を実行させようとしても、部品が所定の温度未満まで冷却されるまでは当該レンジ加熱が実行できないように構成されている。したがって、この場合に部品の冷却時に特許文献1の割り込み操作を行なっても、実際には部品が所定の温度未満まで冷却されるまでは当該レンジ加熱を実行することができない、という問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記事情に鑑み、庫内の温度を上昇させる加熱調理の実行前に、他の加熱調理の実行を選択可能な注意情報を報知する加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、被調理物を輻射熱により加熱する輻射加熱手段と、前記被調理物をレンジ加熱するマイクロ波加熱手段と、各種調理情報を報知する報知手段と、を備え、前記輻射加熱手段による加熱調理により庫内が所定温度以上となり、前記マイクロ波加熱手段による加熱調理が前記輻射加熱手段による加熱調理後すぐに実行できない場合に、前記輻射加熱手段による加熱調理が実行される前に前記報知手段が注意情報を報知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、庫内の温度を上昇させる加熱調理の実行前に、ユーザが注意情報を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態を示すオーブンレンジの外観斜視図である。
図2】同上、前面から見た縦断面概略図である。
図3】同上、主な電気的構成を示すブロック図である。
図4】同上、「マカロニグラタン」の自動調理メニューが選択されたときの流れを示す説明図である。
図5】同上、「ナン」の自動調理メニューが選択されたときの流れを示す説明図である。
図6】本発明の第2の実施形態を示すオーブンレンジの、ユーザ設定の自動調理メニューが選択されたときの流れを示す説明図である。
図7】従来のオーブンレンジの、異なる出力や異なる調理時間の加熱調理の設定を有する、複数の調理メニューを行なうときの流れを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における好ましい加熱調理器の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【0010】
図1図5は、本発明の第1の実施形態の加熱調理器をオーブンレンジに適用した構成を示している。先ず図1および図2に基づいて、オーブンレンジの全体構成を説明すると、1は略矩形箱状に構成される本体で、この本体1は、製品となるオーブンレンジの外郭を覆う部材として、金属製のキャビネット2を備えている。また3は、本体1の前面に設けられる開閉自在な扉である。
【0011】
扉3の上部には、縦開きの扉3を開閉するときに手をかける開閉操作用のハンドル4を備えており、扉3の側部には、表示や報知や操作のための操作パネル部5を備えている。操作パネル部5は、調理の設定内容や進行状況などを表示する表示手段6の他に、加熱調理に関する各種の操作入力を可能にする操作手段7が配設される。本実施形態の操作手段7は、例えば表示手段6の表面に設けられるタッチセンサで構成されるが、物理キー・ボタンなどを含んでもよく、構成は特に制限されない。扉3の内部で操作パネル部5の後側には、図示しないが、表示手段6や操作手段7などの制御を行なうために、操作パネルPC(印刷回路)板が配置される。また8は、家庭用のコンセントに挿抜が可能な電源プラグが設けられた電源コードである。
【0012】
本体1の左右側面と上面を形成するキャビネット2は金属製のオーブン庫11を覆うように設けられ、このオーブン庫11が加熱調理すべき被調理物を内部に収容する調理室12を形成する。オーブン庫11は金属製のため、後述する庫内底板としての置台15を除く調理室12の内面は全てマイクロ波が透過不能な材料で形成されている。
【0013】
また調理室12の内面を形成する周壁は、天井壁12aと、底壁12bと、左側壁12cと、右側壁12dと、奥壁12eとからなり、天井壁12aに調理室12の温度を検出する温度検出手段としての、例えばサーミスタや湿度センサなどで構成される庫内温度センサ14が設けられる。また調理室12の前面はオーブン庫11の前面を形成するオーブン前板(図示せず)に達していて、被調理物や被調理物を収容した容器を出し入れするために開口しており、この開口を扉3で開閉する構成となっている。
【0014】
調理室12の底壁12bには被調理物や容器を載置する置台15が設けられる。置台15は、マイクロ波を透過するガラスやセラミックなどから形成されている。そしてこの置台15の下方には、当該置台15の下方から調理室12の内部空間に向けてマイクロ波を放射するマイクロ波加熱手段17が配設される。マイクロ波加熱手段17は、本体1の側部空間18の下部に設けられ、調理室12内に電波であるマイクロ波を供給するためのマイクロ波発生手段としてのマグネトロン19と、マグネトロン19を駆動するマグネトロン駆動装置47(図3参照)と、調理室12の底壁12bと置台15との間に設けられる導波管21と、置台15の下方に設けられる回転アンテナ22と、この回転アンテナ22を回転駆動させるアンテナ回転モータ23と、により主に構成される。また24は、導波管21の一部および金属板材で構成され、回転アンテナ22を収納している凹状のアンテナ収納部であり、このアンテナ収納部24の上面開口を置台15で覆っている。
【0015】
回転アンテナ22は、マグネトロン19で発振されて導波管21により回転アンテナ22の直下に導かれたマイクロ波を撹拌して、このマイクロ波を置台15に載置された被調理物、または置台15に載置された容器に収容された被調理物に万遍なく照射するものであり、置台15に対向して、回転アンテナ22の全体が置台15と平行に配置される。
【0016】
31は、本体1の内部において、調理室12の室外側方に具備されるオーブン加熱用の熱風ヒータユニットである。この熱風ヒータユニット31は、被調理物や被調理物を収容した容器の加熱手段として本体1の側部空間18に設けられており、本実施形態では右側壁12dに取付けられる凸状のケーシング32と、空気を加熱する熱風ヒータ33と、調理室12内に加熱した空気を送り込んで循環させる熱風ファン34と、熱風ファン34を所定方向に回転させる電動の熱風モータ35と、により概ね構成される。右側壁12dとケーシング32との間の内部空間として、調理室12の室外側方に形成された加熱室36には、熱風ヒータ33と熱風ファン34がそれぞれ配設される。
【0017】
熱風ファン34は、軸方向に取り入れた空気を、回転時の遠心力によって、軸方向と直角な放射方向に吐き出すいわゆる遠心ファンとして設けられており、管状の熱風ヒータ33は熱風ファン34の放射方向を取り囲んで配置される。本実施形態では、発熱部でもある熱風ヒータ33に、例えばシーズヒータ、マイカヒータ、石英管ヒータやハロゲンヒータなどを採用しているが、本発明はこれに限定されず、特に制限されない。
【0018】
右側壁12dは、その中央に吸込み口37を備えており、吸込み口37の周囲には複数の熱風吹出し口38を備えている。これらの吸込み口37や熱風吹出し口38は、調理室12と加熱室36との間を連通する通風部として機能するものである。
【0019】
そして、熱風モータ35への通電に伴い熱風ファン34が回転駆動すると、調理室12の内部から吸込み口37を通して吸引された空気が、熱風ファン34の放射方向に吹出して、通電した熱風ヒータ33により加熱され、熱風が熱風吹出し口38を通過して、調理室12内に供給される。これにより、調理室12の内外で熱風を循環させる経路が形成され、調理室12内の被調理物や容器を熱風コンベクション加熱によりオーブン加熱する構成となっている。
【0020】
図3は、本実施形態のオーブンレンジの主な電気的構成を図示したものである。同図において、41はマイクロコンピュータにより構成される制御手段であり、この制御手段41は周知のように、演算処理手段としてのCPUや、記憶媒体としてのメモリなどの記憶手段42や、時刻や調理に関する時間など様々な時間を計時するタイマーなどの計時手段43や、入出力デバイスなどを備えている。
【0021】
制御手段41の入力ポートには、前述した操作手段7や、庫内温度センサ14の他に、扉3の開閉状態を検出する扉開閉検出手段44と、熱風ファン34の回転速度を検出する熱風モータ回転検出手段45と、マイクロ波発生装置を構成する回転アンテナ22の原点位置を検出するアンテナ位置検出手段46とが、それぞれ電気的に接続される。また制御手段41の出力ポートには、前述した表示手段6やマグネトロン駆動装置47の他に、アンテナ回転モータ23を動作させるための回転アンテナ駆動手段48と、オーブン加熱用の熱風ヒータ33を通断電させる電磁リレーやパワートランジスタなどで構成されるヒータ駆動手段49と、熱風モータ35を回転駆動させるための熱風モータ駆動手段50と、音で報知するブザーなどの報知手段51とが、それぞれ電気的に接続される。
【0022】
制御手段41は、操作手段7からの操作信号と、庫内温度センサ14や、扉開閉検出手段44や、熱風モータ回転検出手段45や、アンテナ位置検出手段46からの各検出信号を受けて、計時手段43からの計時に基づく所定のタイミングで、マグネトロン駆動装置47や、回転アンテナ駆動手段48や、ヒータ駆動手段49や、熱風モータ駆動手段50に駆動用の制御信号を出力し、表示手段6に表示用の制御信号を出力し、また報知手段51に報知用の制御信号を出力する機能を有する。こうした機能は、記憶手段42に記憶したプログラムを、制御手段41が読み取ることで実現するが、特に本実施形態では、制御手段41を加熱調理制御部55と、表示制御部56として機能させるプログラムを備えている。
【0023】
加熱調理制御部55は、主に被調理物の加熱調理に係る各部の動作を制御するもので、操作手段7の操作に伴う操作信号を受け取ると、扉開閉検出手段44からの検出信号を受信して扉3が閉じていると判定した場合に、その操作信号に応じて、マグネトロン駆動装置47や、回転アンテナ駆動手段48や、ヒータ駆動手段49や、熱風モータ駆動手段50に制御信号を送出して、被調理物に対する種々の加熱調理を制御する。また様々な加熱調理を実行するための被調理物の材料や加熱条件などを含む加熱調理の設定の調理情報として、予め複数の調理メニューが記憶手段42に記憶保持されており、加熱調理制御部55は、記憶手段42に記憶された調理メニューの中から選択された一つの調理メニューについて、操作手段7から調理開始を指示する操作が行われると、その選択された調理メニューの調理情報に従う所定の手順で、被調理物を加熱調理する構成となっている。
【0024】
なお調理メニューは、手動調理メニューと自動調理メニューとを有している。手動調理メニューは、オーブン加熱やレンジ加熱などの加熱調理の種類や出力、加熱調理時の調理室12の庫内温度や調理時間を手動で設定する調理メニューである。また自動調理メニューは、加熱調理の種類や出力、加熱調理時の調理室12の庫内温度や調理時間の設定が記憶手段42に予め記憶されており、選択されるとその設定に従って被調理物を加熱調理する調理メニューである。ここで自動調理メニューの設定で、実行する加熱調理の数が複数存在するときは、それらの加熱調理の間に、前の加熱調理が終了して次の加熱調理を開始するまで加熱調理を停止する一時停止を行なうように構成されている。
【0025】
例えばレンジ加熱の自動調理メニューが選択されて調理開始を指示する操作が行われると、加熱調理制御部55は、その選択された調理メニューに対応した手順で、マグネトロン19および回転アンテナ22を制御する機能を備えている。具体的には、加熱調理制御部55は、マグネトロン19からマイクロ波を発生させるようにマグネトロン駆動装置47を制御し、このマイクロ波を回転アンテナ22でかき回してマイクロ波が均一に被調理物に照射されるように回転アンテナ駆動手段48を制御している。したがって、マグネトロン19および回転アンテナ22は、被調理物をレンジ加熱するマイクロ波加熱手段を構成する。
【0026】
またオーブン加熱の自動調理メニューが選択されて調理開始を指示する操作が行われると、加熱調理制御部55は、その選択された調理メニューに対応した手順で、熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する機能を備えている。具体的には、加熱調理制御部55は、熱風ヒータ33で加熱された空気を熱風ファン34により調理室12の内部に供給するようにヒータ駆動手段49および熱風モータ駆動手段50を制御している。したがって、熱風ヒータ33および熱風ファン34は、被調理物をオーブン加熱するオーブン加熱手段を構成する。
【0027】
表示制御部56は、加熱調理制御部55と連携して、表示手段6の表示に係る動作や、報知手段51の報知に係る動作を制御するものである。なお表示制御部56の制御対象となる表示手段6は、液晶パネルや照明灯により構成されるが、それ以外の表示器を用いてもよい。
【0028】
操作手段7は、導電性ポリマーによる透明電極部と、表示手段6や操作手段7を制御する制御PC板(図示せず)に接続する接点部との間をパターン配線で繋いだ構成要素が、タッチキーとして複数配設されるものであり、前述のように表示手段6の上に配設される。表示手段6には、複数の表示要素が表示され、その表示要素に対応した操作手段7の部分をタッチ操作することで、この表示要素が選択される構成となっている。本実施形態では、このような操作が可能な表示要素として、「スタート」のボタン表示部7aと、「切」のボタン表示部7bと、「メモリボタン」のボタン表示部7cと、を有している。なお、これはあくまでも一例であり、「スタート」のボタン表示部7aと、「切」のボタン表示部7bと、「メモリボタン」のボタン表示部7cと、をどのような構成にするかは特に限定しない。
【0029】
「スタート」のボタン表示部7aは調理を開始する際や、一時停止された自動調理メニューの次の加熱調理を開始するときに操作されるもので、調理メニューを選択して「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55が、その選択された調理メニューの調理情報に従う所定の手順で、被調理物の加熱調理を実行する構成となっている。また例えば、いくつかの加熱調理を行なうように設定される自動調理メニュー(例えば後述するケース1の「レンジ加熱600W4分」→「レンジ加熱600W1分」→「オーブン加熱230℃20分」など)の、加熱調理同士の間の一時停止のときに「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55が、その自動調理メニューに従い、直前に行なわれた加熱調理の次の加熱調理の設定で加熱調理を開始する構成となっている。そして本実施形態では、加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認し、次の加熱調理でオーブン加熱が設定されているか、すなわち庫内温度が所定温度以上になることが予想されるかを判定するように構成される。ここで所定温度以上になると判定された場合は、加熱調理制御部55は、次の加熱調理をまだ開始しないように加熱手段を制御する。また表示制御部56は、注意情報を表示するように表示手段6を制御し、かつ注意情報があるときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御する。また所定温度以上にならないと判定された場合は、加熱調理制御部55は、次の加熱調理を開始するように加熱手段を制御する。
【0030】
「切」のボタン表示部7bは加熱調理をやめる際に操作されるもので、「切」のボタン表示部7bをタッチ操作すると、加熱調理制御部55が、調理室12内の被調理物に対する加熱調理を中止して、調理メニューが選択されておらず加熱調理が行なわれていない切状態にする制御を行なう。
【0031】
「メモリボタン」のボタン表示部7cは、本体1が調理室12内の被調理物の加熱調理を行なっているとき、または加熱調理同士の間の一時停止のときに別な加熱調理を割り込みで実行するように設定する際に操作されるもので、「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作すると、表示制御部56が、加熱調理の設定画面(図示せず)を表示させるように表示手段6を制御する。そして加熱調理の設定画面では、現在の加熱調理の設定および順番が表示される。また操作手段7により追加の加熱調理の設定が可能で、設定した時点でこの加熱調理の設定および順番が記憶手段42に記憶されるように構成され、所望の順番で他の加熱調理の設定を割り込ませることができるようになっている。そのため「メモリボタン」のボタン表示部7cは、所望の順番で他の加熱調理を実行するように設定する割り込み設定を可能にする割り込み設定機能を有している。
【0032】
次に図4および図5を参照しつつ、上記構成のオーブンレンジについて、その作用を詳しく説明する。図4はケース1で、例えば「マカロニグラタン」の自動調理メニューである「レンジ加熱600W4分」→「レンジ加熱600W1分」→「オーブン加熱230℃20分」の自動調理メニューが選択されたときの流れが示されており、図5はケース2で、例えば「ナン」の自動調理メニューである「オーブン加熱270℃5分」の自動調理メニューが選択されたときの流れが示されている。
【0033】
(ケース1)
ステップS10で、ユーザが操作手段7により、例えば「マカロニグラタン」の自動調理メニューを選択操作する。その後、ユーザが「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信し、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理の設定を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「レンジ加熱600W4分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定されていないため、庫内温度が所定温度以上とならないと判定し次のステップS11に移行する。
【0034】
ステップS11では、例えば耐熱容器に入れられた鶏肉などの被調理物を600Wの出力で4分間レンジ加熱する。加熱調理制御部55は、レンジ加熱を開始してから設定時間である4分が経過した旨の信号を計時手段43から受信すると、次のステップS12に移行し、レンジ加熱を停止させる。
【0035】
ステップS12の一時停止では、例えばユーザは、扉3を開けて、鶏肉などの被調理物を収容した耐熱容器を調理室12から取り出す。その後、例えば先程の被調理物を混ぜ合わせてマッシュルームを加えた被調理物を収容した耐熱容器を置台15に載置し、扉3を閉めて、「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0036】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理の設定を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「レンジ加熱600W1分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定されていないため、庫内温度が所定温度以上とならないと判定し次のステップS13に移行する。
【0037】
ステップS13では、例えば耐熱容器に入れられた被調理物を600Wの出力で1分間レンジ加熱する。加熱調理制御部55は、レンジ加熱を開始してから1分が経過した旨の信号を受信すると、次のステップS14に移行して、レンジ加熱を停止させる。
【0038】
ステップS14の一時停止では、例えばユーザは、扉3を開けて、例えばマッシュルームを加えた被調理物を収容した耐熱容器を調理室12から取り出す。その後、ユーザが例えば先程の被調理物にホワイトソースやマカロニ、チーズなどを加えた被調理物を収容したグラタン皿を置台15に載置し、扉3を閉めて「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0039】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「オーブン加熱230℃20分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定され、庫内温度が所定温度以上になることが予想されると判定して、次のステップS15に移行する。
【0040】
ステップS15では、加熱調理制御部55は、次の加熱調理をまだ開始しないようにオーブン加熱手段を構成する熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する。また表示制御部56は、例えば「次にオーブンを使用します。オーブン使用後30分間はレンジを使用できません」という表示など、オーブン加熱後はレンジ加熱を所定時間できなくなる旨の注意情報を表示するように表示手段6を制御し、また、例えば「オーブン使用後30分間はレンジを使用できません」という音声や、注意情報があるときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御する。そのため、表示手段6や報知手段51は、注意情報を報知する報知手段としての機能も有している。その後、ステップS16に移行する。なお、注意情報は文字のみの報知、音声のみの報知、文字と音声の両方による報知のいずれであってもよい。
【0041】
なお本実施形態では、注意情報を表示する画面で注意情報の報知の有無の設定を選択できるように構成している。この注意情報の設定で注意情報の報知を「無し」に設定した場合は次回からステップS15が省略され、ステップS14で「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、ステップS22に移行する。
【0042】
ステップS16では、別な加熱調理を割り込み設定するか否かを選択する。例えば、弁当を温める「レンジ加熱600W3分」の加熱調理など、別な加熱調理を割り込み設定する場合は、ユーザが「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作すると、ステップS17に移行する。また別な加熱調理を割り込み設定せず、例えば「マカロニグラタン」の自動調理メニューを進める場合は、ユーザが再度「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作するとステップS22に移行する。
【0043】
ステップS17では、表示制御部56は、「メモリボタン」のボタン表示部7cからの操作信号を受信すると、「マカロニグラタン」の自動調理メニューで実行されていない、以降の加熱調理の設定である「オーブン加熱230℃20分」の加熱調理の設定および順番を記憶手段42に記憶させ、また加熱調理の設定画面を表示させ、現在の自動調理メニューである「マカロニグラタン」の自動調理メニューで実行する、連続的な加熱調理の設定および順番である、例えば「レンジ加熱600W4分」→「レンジ加熱600W1分」→「オーブン加熱230℃20分」を表示するように表示手段6を制御する。そして所望の順番、例えば前回の加熱調理である「レンジ加熱600W1分」の加熱調理の次に、「レンジ加熱600W3分」の加熱調理の設定を入力する、というように加熱調理の割り込み設定を行なう。なお表示制御部56が、この記憶手段42に記憶された加熱調理の設定および順番を消去する設定消去手段を有してもよい。
【0044】
なお割り込み設定をした場合には、グラタン皿を調理室12から取出し、弁当を置台15に載置して扉3を閉める。その後、「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0045】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、次の加熱調理の設定を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「レンジ加熱600W3分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定されていないため、庫内温度が所定温度以上とならないと判定し次のステップS18に移行する。
【0046】
ステップS18では、弁当箱に収容された被調理物を600Wの出力で3分間レンジ加熱する。その後、加熱調理制御部55は、レンジ加熱を開始してから3分が経過した旨の信号を受信すると、次のステップS19に移行してレンジ加熱を停止させる。
【0047】
ステップS19の一時停止では、例えばユーザは、扉3を開けて、弁当箱を調理室12から取り出す。その後、ユーザは被調理物を収容したグラタン皿を置台15に載置し、扉3を閉めて「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0048】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「オーブン加熱230℃20分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定され、庫内温度が所定温度以上になることが予想されると判定して、次のステップS20に移行する。
【0049】
ステップS20では、ステップS15と同様に、加熱調理制御部55は、次の加熱調理をまだ開始しないようにオーブン加熱手段を構成する熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する。また表示制御部56は、注意情報を表示するように表示手段6を制御し、かつ注意情報があるときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御する。その後、ステップS21に移行する。
【0050】
ステップS21では、別な加熱調理を割り込み設定するか否かを選択する。別な加熱調理を割り込み設定する場合は、ユーザが「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作して、再度ステップS17に移行する。また別な加熱調理を割り込み設定せず、例えば「マカロニグラタン」の自動調理メニューを進める場合は、ユーザが再度「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作してステップS22に移行する。
【0051】
ステップS22では、加熱調理制御部55は、調理室12の庫内温度が設定温度である230℃で維持されるようにして、被調理物を収容したグラタン皿のオーブン加熱を行なう。その後、加熱調理制御部55は、オーブン加熱を開始してから設定時間である20分が経過した旨の信号を受信すると、次のステップS23に移行して、オーブン加熱を停止させる。
【0052】
ステップS23では、加熱調理制御部55は、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。そして次の加熱調理の設定がなく、加熱調理の設定をすべて終了したことを確認すると、表示制御部56は、例えば「調理が完了しました」という表示など、調理メニューが終了した旨の終了情報を表示するように表示手段6を制御し、また、例えば調理が終了したときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御して、加熱調理を終了する。
【0053】
(ケース2)
ステップS30で、ユーザが操作手段7により、例えば「ナン」の自動調理メニューを選択操作する。その後、ユーザが「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信し、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「オーブン加熱270℃5分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定され、庫内温度が所定温度以上になることが予想されると判定して、次のステップS31に移行する。
【0054】
ステップS31では、加熱調理制御部55は、次の加熱調理をまだ開始しないようにオーブン加熱手段を構成する熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する。また表示制御部56は、注意情報を表示するように表示手段6を制御し、かつ注意情報があるときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御する。その後、ステップS32に移行する。
【0055】
ステップS32では、別な加熱調理を割り込み設定するか否かを選択する。例えば、弁当を温める「レンジ加熱600W3分」の加熱調理など、別な加熱調理を割り込み設定する場合は、「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作して、ステップS33に移行し、別な加熱調理を割り込み設定せず、例えば「ナン」の自動調理メニューを進める場合は、ユーザが再度「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作してステップS38に移行する。
【0056】
ステップS33では、表示制御部56は、「メモリボタン」のボタン表示部7cからの操作信号を受信すると、「ナン」の自動調理メニューで実行されていない、以降の加熱調理の設定である「オーブン加熱270℃5分」の加熱調理の設定および順番を記憶手段42に記憶させ、また加熱調理の設定画面を表示させ、現在の自動調理メニューである「ナン」の自動調理メニューで実行する、連続的な加熱調理の設定および順番である「オーブン加熱270℃5分」を表示するように表示手段6を制御する。そして所望の順番、例えば次回の加熱調理である「オーブン加熱270℃5分」の加熱調理の前に、「レンジ加熱600W3分」の加熱調理の設定を入力する、というように加熱調理の割り込み設定を行なう。
【0057】
なお、割り込み設定下場合には、ナンの材料を収容した角皿を調理室12から取出し、弁当を置台15に載置して扉3を閉める。その後、「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0058】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、次の加熱調理の設定を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「レンジ加熱600W3分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定されていないため、庫内温度が所定温度以上とならないと判定し次のステップS34に移行する。
【0059】
ステップS34では、弁当箱に収容された被調理物を600Wの出力で3分間レンジ加熱する。その後、加熱調理制御部55は、レンジ加熱を開始してから3分が経過した旨の信号を受信すると、次のステップS35に移行してレンジ加熱を停止させる。
【0060】
ステップS35の一時停止では、ユーザは、扉3を開けて、弁当箱を調理室12から取り出す。その後、ユーザはナンの材料を収容した角皿を調理室12に配設し、扉3を閉めて「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0061】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「オーブン加熱270℃5分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定され、庫内温度が所定温度以上になることが予想されると判定して、次のステップS36に移行する。
【0062】
ステップS36では、加熱調理制御部55は、次の加熱調理をまだ開始しないようにオーブン加熱手段を構成する熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する。また表示制御部56は、注意情報を表示するように表示手段6を制御し、かつ注意情報があるときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御する。その後、ステップS37に移行する。
【0063】
ステップS37では、ユーザが別な加熱調理を割り込み設定するか否かを選択する。別な加熱調理を割り込み設定する場合は、ユーザが「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作して、再度ステップS17に移行する。また別な加熱調理を割り込み設定せず、例えば「ナン」の自動調理メニューを進める場合は、ユーザが再度「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作してステップS38に移行する。
【0064】
ステップS38では、加熱調理制御部55は、調理室12の庫内温度が設定温度である270℃で維持されるようにして、被調理物を収容した角皿のオーブン加熱を行なう。その後、加熱調理制御部55は、オーブン加熱を開始してから設定時間である5分が経過した旨の信号を受信すると、次のステップS39に移行して、オーブン加熱を停止させる。
【0065】
ステップS39では、加熱調理制御部55は、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。そして次の加熱調理の設定がなく、加熱調理の設定をすべて終了したことを確認すると、また表示制御部56は、自動調理メニューが終了した旨の終了情報を表示するように表示手段6を制御し、また、例えば調理が終了したときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御して、加熱調理を終了する。
【0066】
以上のように、本実施形態の加熱調理器としてのオーブンレンジは、被調理物を輻射熱により加熱する輻射加熱手段としてのオーブン加熱手段を構成する熱風ヒータ33および熱風ファン34と、被調理物をレンジ加熱するマイクロ波加熱手段としてのマグネトロン19および回転アンテナ22と、ユーザに各種調理情報を報知する報知手段としての表示手段6および報知手段51と、を備え、熱風ヒータ33および熱風ファン34によるオーブン加熱により庫内が所定温度以上となり、マグネトロン19および回転アンテナ22によるレンジ加熱が当該オーブン加熱後すぐに実行できない場合に、当該オーブン加熱が実行される前に、表示手段6が、例えば「次にオーブンを使用します。オーブン使用後30分間はレンジを使用できません」という表示による注意情報を報知し、かつ報知手段51が、例えば注意情報があるときに出されるブザー音による注意情報を報知する構成にしている。
【0067】
このように構成することにより、庫内の温度を上昇させる加熱調理であるオーブン加熱の実行前に、ユーザが注意情報を認識することができ、レンジ加熱の加熱調理が他にある場合は、オーブン加熱による加熱調理を後回しにし、レンジ加熱を先に行う等、ユーザに加熱調理の選択肢を与えることができ、利便性が向上する。
【0068】
また本実施形態のオーブンレンジは、注意情報の報知を行なうか否かを設定可能である構成としており、ユーザが注意情報の報知を必要としない場合の煩わしさを解消することができる。
【0069】
また本実施形態のオーブンレンジは、使用する加熱手段を割り込み設定する設定手段としての「メモリボタン」のボタン表示部7cと、調理工程としての調理メニューを記憶する記憶手段42と、をさらに備え、マグネトロン19および回転アンテナ22による第1の加熱調理の次に熱風ヒータ33および熱風ファン34による加熱調理を行なう調理メニューを開始後、熱風ヒータ33および熱風ファン34による加熱調理を行う前に、熱風ヒータ33および熱風ファン34による加熱調理、またはマグネトロン19および回転アンテナ22による加熱調理による第2の加熱調理を割り込み設定可能であり、この割り込み設定時に前記調理工程の未実行部分を前記記憶手段が記憶する構成としている。
【0070】
このように構成することにより、現在実行している調理メニューを中断し、他の加熱調理を行なわせることができ、当該他の加熱調理の終了後に、調理メニューの中断以降の加熱調理を再開できる。
【0071】
図6は、本発明の第2の実施形態の加熱調理器をオーブンレンジに適用した構成を示している。例えばユーザ設定の自動調理メニューで「オーブン加熱200℃15分」→「オーブン加熱170℃25分」が設定されたときの流れが示されている。本実施形態では、自動調理メニューにおける加熱調理の設定を、ユーザ設定としてユーザが行なうことができるように構成されている。
【0072】
図7は、従来のオーブンレンジの加熱調理時の流れを説明する図である。従来のオーブンレンジでは、それぞれ異なる出力や異なる調理時間の加熱調理の設定を有する、複数の調理メニューをまとめて行なうことができず、それぞれの加熱調理の設定を手動調理メニューで一つずつ行なう必要があった。
【0073】
例えばバターケーキの加熱調理を行なうために「オーブン加熱200℃15分」の加熱調理と、「オーブン加熱170℃25分」の加熱調理とを連続で行なう場合、図7に示されるように、先ずステップS201で手動調理メニューを選択して、「オーブン加熱」「200℃」「15分」と加熱調理の設定を入力し、次にステップS202で「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55は、「オーブン加熱200℃15分」のオーブン加熱調理を行なうように、庫内温度センサ14の検知温度に基づいて熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する。そしてステップS203で、この「オーブン加熱200℃15分」の加熱調理が終了したら、ステップS204で改めて手動調理メニューを選択して、「オーブン加熱」「170℃」「25分」と加熱調理の設定を入力する必要があった。またステップS205で再度「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作することで、加熱調理制御部55は、「オーブン加熱170℃25分」の加熱調理を行なうように、庫内温度センサ14の検知温度に基づいて熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御し、そしてステップS206で、この「オーブン加熱170℃25分」の加熱調理が終了するため、何度も手動調理メニューの選択および加熱調理の設定の入力をする必要があり、ユーザの負担になっていた。
【0074】
そこで本実施形態では、自動調理メニューにおける加熱調理の設定を、ユーザ設定としてユーザが行なうことができるように構成され、異なる出力や異なる調理時間の複数の加熱調理の設定の調理メニューをまとめて行なうことができるようにしている。
【0075】
本実施形態のオーブンレンジでは、本体1が切状態のときに「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作すると、表示制御部56が、加熱調理の設定画面を表示させるように表示手段6を制御する。ここで、加熱調理の設定画面で操作手段7によりそれぞれの加熱調理の設定を入力すると、設定した時点で加熱調理の設定や順番がユーザ設定の自動調理メニューとして記憶手段42に記憶される。そのため記憶手段42は、それぞれ異なる出力や異なる調理時間の加熱調理の設定や順番をユーザ設定の自動調理メニューとして記憶することができる構成となっている。そのため複数の加熱調理の設定を一度にでき、何度も手動調理メニューの選択および加熱調理の設定の入力をする必要がなく、調理開始してからのユーザの負担を軽減できる。また一度記憶させてしまえば、次回から記憶手段42からこのユーザ設定の自動調理メニューを呼び出せばよく、複数の加熱調理の設定を再度する必要がないため、ユーザの負担をさらに軽減できる。なお、このとき記憶手段42に自動的に記憶される構成ではなく、例えば「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作したときに、その設定が記憶手段42に記憶されるように構成してもよい。
【0076】
ステップS50で、本体1が切状態のときに「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作すると、表示制御部56が、加熱調理の設定画面を表示させるように表示手段6を制御する。そして、この加熱調理の設定画面で操作手段7により、例えば最初に行なう加熱調理の設定に「オーブン加熱」「200℃」「15分」を入力し、2番目に行なう加熱調理の設定に「オーブン加熱」「170℃」「25分」を入力すると、表示制御部56は、連続的に被調理物を加熱調理する加熱調理の設定および順番を記憶するように記憶手段42を制御し、また加熱調理の設定画面で連続的な加熱調理の設定および順番が、入力された通りの、例えば「オーブン加熱200℃15分」→「オーブン加熱170℃25分」と表示するように表示手段6を制御する。なお第1の実施形態と同様に、表示制御部56が、この記憶手段42に記憶された加熱調理の設定および順番を消去する設定消去手段を有してもよい。
【0077】
その後、「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55は、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理の設定を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「オーブン加熱200℃15分」であることを確認する。そして加熱調理制御部55は、次の加熱調理でオーブン加熱が設定され、庫内温度が所定温度以上になることが予想されると判定して、次のステップS51に移行する。
【0078】
ステップS51では、加熱調理制御部55は、次の加熱調理をまだ開始しないようにオーブン加熱手段を構成する熱風ヒータ33および熱風ファン34を制御する。また表示制御部56は、注意情報を表示するように表示手段6を制御し、かつ注意情報があるときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御する。その後、ステップS52に移行する。
【0079】
ステップS52では、別な加熱調理を割り込み設定するか否かを選択する。別な加熱調理を割り込み設定する場合は、ユーザが「メモリボタン」のボタン表示部7cをタッチ操作して、ステップS53に移行する。また別な加熱調理を割り込み設定せず、ユーザ設定の自動調理メニューを進める場合は、ユーザが再度「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作してステップS58に移行する。なおステップS53~S57は、第1の実施形態のステップS17~S21までと同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0080】
ステップS58では、加熱調理制御部55は、調理室12の庫内温度が設定温度である200℃で維持されるようにして、被調理物としての、例えばバターケーキの材料を収容したケーキ型のオーブン加熱を行なう。その後、加熱調理制御部55は、オーブン加熱を開始してから設定時間である15分が経過したことを計時すると、次のステップS59に移行して、オーブン加熱を停止させる。
【0081】
ステップS59の一時停止では、例えばユーザは、扉3を開けて、被調理物を収容したケーキ型を調理室12から取り出す。その後、例えばトッピング用の栗が押し込まれた被調理物を収容したケーキ型を、調理室12内に配設された角皿(図示せず)に載置し、扉3を閉めて「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作する。
【0082】
加熱調理制御部55は、「スタート」のボタン表示部7aからの操作信号を受信すると、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。その結果、加熱調理制御部55は次の加熱調理が「オーブン加熱170℃25分」であることを確認する。また加熱調理制御部55は、前回の加熱調理でオーブン加熱が実行されたことを確認し、次の加熱調理がレンジ加熱である場合は庫内温度が下がらないと実行できない一方で、次の加熱調理がオーブン加熱である場合は庫内温度によらずにすぐに実行できると判定して、次のステップS60に移行する。
【0083】
ステップS60では、加熱調理制御部55は、調理室12の庫内温度が設定温度である170℃で維持されるようにして、被調理物を収容したケーキ型のオーブン加熱を行なう。その後、加熱調理制御部55は、オーブン加熱を開始してから設定時間である25分が経過したことを計時すると、次のステップS61に移行して、オーブン加熱を停止させる。
【0084】
ステップS61では、加熱調理制御部55は、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する。そして次の加熱調理の設定がなく、加熱調理の設定をすべて終了したことを確認すると、表示制御部56は、調理メニューが終了した旨の終了情報を表示するように表示手段6を制御し、また、例えば調理が終了したときに出されるブザー音で報知するように報知手段51を制御して、加熱調理を終了する。
【0085】
以上のように、本実施形態の加熱調理器としてのオーブンレンジは、加熱調理に関する情報を表示する表示手段6と、加熱調理を選択又は設定する操作手段7と、をさらに備える構成としている。そのため、表示手段6でユーザが設定した加熱調理の設定および順番を確認でき、表示手段6で設定を確認しながら操作できるため、利便性が向上する。
【0086】
また本実施形態のオーブンレンジは、操作手段7の「メモリボタン」のボタン表示部7cによりユーザ設定の自動調理メニューを設定可能である構成としており、ユーザが設定した加熱調理の設定および順番を確認できるため、利便性が向上する。
【0087】
また本実施形態のオーブンレンジは、ユーザが設定した加熱調理の設定および順番を消去する操作手段7の設定消去手段をさらに備えてもよく、例えば加熱調理の設定のときの修正を行なうことがより簡単になるため、ユーザ設定の自動調理メニューにおけるそれぞれの加熱調理の設定を、よりスムーズに行なうことができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば、第1および第2の実施形態を組み合わせて構成してもよい。また第1および第2の実施形態では、「スタート」のボタン表示部7aをタッチ操作すると、加熱調理制御部55が、選択された調理メニューの調理情報において次の加熱調理を確認する構成としているが、例えば調理メニューの加熱調理の設定でオーブン加熱の加熱調理が含まれているときは、調理メニューの加熱調理を選択した時点で、オーブン加熱の加熱調理の前の加熱調理が終了したときに注意情報を報知するように表示制御部56を構成してもよい。例えばケース1の場合は、ステップS10で「マカロニグラタン」の自動調理メニューを選択した時点で、ステップS22の「オーブン加熱230℃20分」の前の加熱調理である「レンジ加熱600W1分」の加熱調理が終了したときに注意情報を報知するように表示制御部56を構成してもよい。このように構成することで、注意情報をより早くユーザに報知することができる。
【0089】
また表示制御部56は、例えばステップS10やステップS30の操作手段7により自動調理メニューを選択操作したときに、注意情報を表示するように表示手段6を制御してもよく、加熱調理を開始する前に、庫内温度が所定温度以上になる加熱調理の設定があることをユーザに報知することができ、庫内の温度を上昇させる加熱調理の実行前におけるレンジ加熱の実行をユーザが選択することができる。そして加熱調理器が、例えばシーズヒータなどからなる上ヒータや下ヒータをさらに備え、当該上ヒータや下ヒータで被調理物をグリル加熱するグリル加熱手段を有する場合に、調理室12の庫内温度が上昇するグリル加熱の実行前にも、表示手段6が表示による注意情報を報知し、かつ報知手段51がブザー音による注意情報を報知する構成にしてもよい。また本実施形態の各部の構成や形状は、図示したものに限定されず、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
6 表示手段(報知手段)
7c 「メモリボタン」のボタン表示部
19 マグネトロン(レンジ加熱手段)
22 回転アンテナ(レンジ加熱手段)
33 熱風ヒータ(オーブン加熱手段)
34 熱風ファン(オーブン加熱手段)
42 記憶手段
51 報知手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7