(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101897
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】スキンケア製品用不織布
(51)【国際特許分類】
D04H 1/435 20120101AFI20230714BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20230714BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230714BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
D04H1/435
A61K8/85
A61K8/73
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002115
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】高野 朋子
(72)【発明者】
【氏名】大森 平
(72)【発明者】
【氏名】小山 久美
【テーマコード(参考)】
4C083
4L047
【Fターム(参考)】
4C083AD091
4C083AD261
4C083CC02
4C083DD12
4L047AA08
4L047AA21
4L047AA27
4L047AA29
4L047AB02
4L047AB07
4L047AB09
4L047BA04
4L047CA19
4L047CC03
(57)【要約】
【課題】本発明は防透け性に優れるため重厚感があり、かつ、柔軟性に優れ肌あたりの柔らかさ、密着性に優れ、従来相反すると考えられていた重厚感と柔軟性を両立できるため高級感あり、更には、拭取った化粧料や汚れの視認性にも優れたスキンケア製品用不織布を提供することを課題とする。
【解決手段】
平均単繊維径が1~20μmであるポリエステル繊維を50質量%以上含有する不織布であり、
前記不織布の目付は、20~100g/m2であり、
前記不織布の湿潤時の防透け指数は、65以上であり、
前記不織布の目付に対する湿潤時の防透け指数は、1.3以上であり
前記ポリエステル繊維は、芯成分と鞘成分とを備える芯鞘複合繊維であり、
前記芯成分と鞘成分の質量比率は、50~95:50~5であり、
前記芯成分は、無機粒子を5~30質量%含有しており、
前記鞘成分は、無機粒子を3質量%以下含有している、スキンケア製品用不織布。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均単繊維径が1~20μmであるポリエステル繊維を50質量%以上含有する不織布であり、
前記不織布の目付は、20~100g/m2であり、
前記不織布の湿潤時の防透け指数は、65以上であり、
前記不織布の目付に対する湿潤時の防透け指数は、1.3以上であり
前記ポリエステル繊維は、芯成分と鞘成分とを備える芯鞘複合繊維であり、
前記芯成分と鞘成分の質量比率は、50~95:50~5であり、
前記芯成分は、無機粒子を5~30質量%含有しており、
前記鞘成分は、無機粒子を3質量%以下含有している、スキンケア製品用不織布。
【請求項2】
さらに、セルロース繊維を5質量%以上50質量%以下の範囲で含有する、請求項1に記載のスキンケア製品用不織布。
【請求項3】
さらに、多葉扁平断面ポリエステル繊維を15質量%以上45質量%以下の範囲で含有する、請求項1または2に記載のスキンケア製品用不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア製品用不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不織布は、保液性や風合いを活かしたスキンケア製品の用途として、その需要を拡大し続けている。そして、フェイスマスクやクレンジングシートに代表されるシート状のスキンケア製品は、薬液の皮膚への浸透や、化粧料の除去など様々な目的で使用される。フェイスマスクは、一定時間、皮膚の表面において薬液を保持できるため、皮膚に直接塗布する従来のスキンケアと比べ、薬液を十分に皮膚へ浸透させることができる。また、クレンジングシートは、クレンジング剤による化粧料の除去の効果と、シートの皮膚への接触による化粧料の除去の効果の双方から、高いクレンジング効果が得られる。上記の様な優れた性能から、シート状のスキンケア製品として、様々な商品が提案されている。
【0003】
最近では、使用後の汚れの視認性に優れた、2種類のセルロース繊維を含む不織布が特許文献1には開示されている。
【0004】
また、柔らかさ、しなやかさ、および追従性などの風合いに優れ、保液性に優れたフェイスマスク用布帛として、ポリエステル繊維とレーヨン繊維からなる不織布が特許文献2には開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-69762号公報
【特許文献2】特開2017-209409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの知見によると、上記の特許文献1に開示された不織布は、重合度の異なる2種類のセルロースと白色顔料を含むが、不織布を構成する繊維の白色顔料の含有率が小さく防透け性に劣り、重厚感に劣るという課題がある。また、肌あたりの柔らかさ、密着性に劣るという課題がある。
【0007】
また、特許文献2に開示された不織布(以下、公知不織布2と称することがある)は、扁平断面ポリエステル繊維を含む。よって、公知不織布2を用いたフェイスマスクは、柔らかさ、しなやかさ、および追従性などの風合いに優れ、保液性に優れるが、防透け性が十分にないため、重厚感に劣る、拭取った化粧料や汚れの視認性に劣る、という課題がある。
【0008】
すなわち、本発明は防透け性に優れるため重厚感があり、かつ、柔軟性に優れ、肌あたりの柔らかさ、密着性に優れるため、従来相反すると考えられていた重厚感と柔軟性を両立できるため高級感があり、更には、拭取った化粧料や汚れの視認性にも優れたスキンケア製品用不織布を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。すなわち、
(1)平均単繊維径が1~20μmであるポリエステル繊維を50質量%以上含有する不織布であり、
前記不織布の目付は、20~100g/m2であり、
前記不織布の湿潤時の防透け指数は、65以上であり、
前記不織布の目付に対する湿潤時の防透け指数は、1.3以上であり
前記ポリエステル繊維は、芯成分と鞘成分とを備える芯鞘複合繊維であり、
前記芯成分と鞘成分の質量比率 は、50~95:50~5であり、
前記芯成分は、無機粒子を5~30質量%含有しており、
前記鞘成分は、無機粒子を3質量%以下含有している、スキンケア製品用不織布、
(2)さらに、セルロース繊維を5質量%以上50質量%以下の範囲で含有する、(1)に記載のスキンケア製品用不織布、
(3)さらに、多葉扁平断面ポリエステル繊維を15質量%以上45質量%以下の範囲で含有する、(1)または(2)のいずれかに記載のスキンケア製品用不織布である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、防透け性に優れるため重厚感があり、かつ、柔軟性に優れ肌あたりの柔らかさ、密着性に優れるため、従来相反すると考えられていた重厚感と柔軟性を両立できるため高級感があり、更には、拭取った化粧料や汚れの視認性にも優れたスキンケア製品用不織布を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本発明は以下の構成を有する。すなわち、芯成分と鞘成分の質量比率が50~95:50~5であり、芯成分には芯成分中5~30質量%の無機粒子が含まれており、鞘成分には鞘成分中3質量%以下の無機粒子が含まれている芯鞘複合構造を有する、平均単繊維径が1μm以上20μm以下のポリエステル繊維を50質量%以上含有する不織布であって、
目付が20~100g/m2、
湿潤時の防透け指数が65以上であり、
目付当たりの湿潤時の防透け指数が1.3以上、
である、スキンケア製品用不織布である。
【0013】
上記構成にすることにより、防透け性に優れるため重厚感があり、かつ、柔軟性に優れるため、肌あたりの柔らかさ、密着性に優れる。更には重厚感と柔軟性の両方に優れるため高級感が得られると推測する。また、肌に付着した化粧料や汚れを拭取時に拭取った化粧料や汚れの視認性に優れたスキンケア製品用不織布を得ることができる。
【0014】
一般的に、不織布は目付が大きいと防透け性が高くなり重厚感は得られるが、柔軟性が低下し、肌あたりの柔らかさ、密着性が低下する。一方、目付が小さいと柔軟性が高くなり、肌あたりの柔らかさ、密着性が高くなるが、防透け性が低下するため不織布の重厚感が低下する。このため、柔軟性と重厚感は相反するものである。しかし、本発明のスキンケア製品用不織布は、目付が小さく柔軟性が高いにも関わらず、湿潤時の防透け性に優れるため重厚感が得られる。そのため、重厚感と柔軟性とを両立することができる。このため、本スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品は、スキンケア製品に対して要求が高い高級感を得られるものと推測する。
【0015】
本発明のスキンケア製品用不織布は、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を含む。まず、この芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維について説明する。本発明のポリエステル繊維は、その横断面において芯成分が鞘成分により覆われ、芯成分が 表面に露出していないように配置された芯鞘複合構造を有する。ここで芯鞘複合構造とは 芯成分が鞘成分により完全に覆われていれば良く、必ずしも同心円状に配置されている必要はない。また、繊維の断面形状についても、丸、扁平、多角形、複数の凸部を有する形状など、どのような形状でも良いが、安定な製糸性および高次加工性を得やすいという点より、丸断面であることが好ましい。
【0016】
上記芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の芯成分には、芯成分の質量に対し無機粒子を5~30質量%、好ましくは10~20質量%含有させるのがよい。無機粒子の割合が5質量%よりも少ないと紡糸の際の糸切れは少なく生産性には優れるものの、十分な防透け性及び柔軟性が得られず、高級感のあるスキンケア製品用不織布を得ることが難しい。一方、無機粒子の割合が30質量%よりも多いと、防透け性や柔軟性には優れるものの、紡糸や不織布生産の際に糸切れが発生し易くなり安定した生産が難しくなる。
【0017】
上記芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の鞘成分には、鞘成分の質量に対し無機粒子は3質量%以下、好ましくは1質量%以下含有させるのがよい。無機粒子の含有比率は3質量%以下であればよく、下限については特に定めるものではなく、0質量%でもよいが、好ましくは0.1質量%以上含有させるのがよい。鞘成分の無機粒子の割合を芯成分よりも少なく3質量%以下にすることにより、糸の強度が高くなり、紡糸や不織布生産時の糸切れが抑制され優れた生産性を得られるとともに、優れた防透け性が得られる。
【0018】
上記芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維において、芯成分と鞘成分の比率(芯鞘複合比率)は質量比で50~95:50~5、好ましくは70~85:30~15とする必要がある。芯成分の比率が50質量%を下回ると、繊維断面における高濃度の無機微粒子が占める部分が小さくなり、防透け性が得られなくなり、芯成分の比率が95質量%を超えると芯成分の一部が繊維表面に現れやすくなり、製品にした際の毛羽の発生、あるいは製造工程でのガイドの磨耗や切断装置の刃の寿命が短くなるなどの原因となる。
【0019】
上記芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維に用いる無機粒子は、防透け性を付与するために作用する。無機粒子としては、シリカゾル、シリカ、アルキルコートシリカ、アルミナゾル酸化チタン、炭酸カルシウムなどが挙げられるが、ポリエステル中に添加した際に化学的に安定していればとくに限定されない 。好ましくは化学的安定性、対凝集性、コストの面から二酸化チタン(以下、TiO2と略記する)が好ましい。
【0020】
上記芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の平均単繊維径(以下、平均単繊維径と称することがある)は、1μm以上20μm以下である。平均単繊維径を1μm以上とすることで、不織布生産の際の工程通過性が安定し生産性が良好となる。また、スキンケア製品用不織布の強度を優れたものとすることができる。そして、結果的に、スキンケア製品用不織布の生産性および使用時の取扱性をより優れたものとすることができる。平均単繊維径の下限は好ましくは5μm以上である。一方、平均単繊維径を20μm以下とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布の柔軟性が優れたものとなるため、スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品を使用者の肌の細かな凹凸に沿うようにしなやかに曲げることが可能となり、このスキンケア製品の肌への追従性が優れたものとなる。そして、結果的に、このスキンケア製品の密着性や拭取性がより一層優れたものとなる。かつ、繊維の交差部分等にできる空隙が小さくなり、隙間が狭くなるため透けにくくなるため、優れた防透け性を発揮することが可能となる。上記の理由から、平均単繊維径の上限は、15μm以下であることがより好ましく、13μm以下であることがさらに好ましい。
【0021】
本発明における芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の含有量は、スキンケア製品用不織布の全体に対して50質量%以上である。上記芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維は防透け性や柔軟性に優れるため、含有量を50質量%以上とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品は、防透け性に優れるため重厚感があり、かつ、柔軟性に優れるので肌辺りの柔らかさ、密着性に優れ、高級感のあるものとなる。上記の理由から、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の含有量の下限は、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。一方、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の含有量について、上限は特に定められるものではなく100質量%であってもよい。
【0022】
本発明のスキンケア製品用不織布の目付は、20g/m2以上100g/m2以上である。上記目付の下限は25g/m2以上であることがより好ましく、30g/m2以上であることがさらに好ましい。目付を20g/m2以上とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布の防透け性が向上し重厚感が得られ、かつ、破れやヨレが発生しにくくなるため、結果として、上記スキンケア製品の高級感と取り扱い性に優れた製品を得ることができる。上記目付の上限は、70g/m2以下であることが好ましく、50g/m2以下であることがさらに好ましい。目付を100g/m2以下とすることで、本発明のスキンケア製品用不織布の柔軟性が向上し、結果として、上記スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性が向上する。
【0023】
スキンケア製品用不織布のクレンジング剤や化粧水等の化粧料を含有して使用するため、湿潤時の防透け性に優れることが重要であり、湿潤時の防透け指数(以下、単に防透け指数、という場合がある)は65以上であり、目付あたりの湿潤時の防透け指数(以下、目付当たりの防透け指数、という場合がある)が1.3以上である。
【0024】
一般的に、目付を大きくすると防透け指数は大きくなり防透け性が向上する。一方で、剛性が大きくなり肌あたりの柔らかさや密着性が悪くなる。優れた防透け性と肌あたりの柔らかさや密着性に優れるためには、湿潤時の防透け指数が65以上であって、かつ、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.3以上であることが重要である。
【0025】
湿潤時の防透け指数を65以上とすることにより防透け性が高くなり重厚感を得ることができる。上記防透け指数の上限は、70以上であることが好ましい。上限は100以下であれば特に定めるものではない。
【0026】
更には、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.3以上とすることにより、目付が小さくても防透け性に優れて重厚感があり、肌あたりが良好で密着性に優れたスキンケア製品用不織布を得ることができる。1.5以上であることが好ましく、1.8以上であることが更には好ましい。目付に対する湿潤時の防透け指数の上限は特に定めるものではない。目付に対する湿潤時の防透け指数は下記式(1)で示す。
・目付に対する湿潤時の防透け指数=湿潤時の防透け指数/目付・・・(1)
【0027】
本発明のスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数65以上であって、目付あたりの湿潤時の防透け指数が1.3以上であるため、目付が小さく柔軟性が高くても、湿潤時の防透け性に優れることにより、重厚感が得られるため、柔軟性と重厚感を両立することができる。
【0028】
更に、下記式(2)で示すスキンケア製品用不織布の目付に対する剛軟度が0.05以上0.25以下であることが好ましく、0.1以上0.23以下であることが更には好ましい。0.05以上とすることで、適度な剛性が得られ折れ曲がりやしわが発生しにくく取り扱い性に優れ、0.25以下とすることで、柔軟性が得られ、肌あたりの柔らかさ、密着性が良好となり、更には拭取性も良好なスキンケア製品用不織布を得ることができる。
・目付に対する剛軟度=ハンドルオメータ剛軟度/目付・・・(2)
【0029】
本発明のスキンケア製品用不織布は、さらにセルロース繊維を含有していてもよい。セルロース繊維を含有することによりスキンケア製品の保液性が優れたものになる。セルロース繊維としては、パルプや綿等の植物系天然繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、アセテートやトリアセテートなどの半合成繊維を使用することができる。これらの中でも、本スキンケア製品の密着性や拭取性をより優れたものとすることができるとの理由により、レーヨンであることが好ましい。
【0030】
本発明におけるセルロース繊維の含有量は、スキンケア製品用不織布中5質量%以上50質量%以下であることが好ましい。セルロース繊維の含有量を5質量%以上50質量%以下とすることで、スキンケア製品不織布を用いたスキンケア製品の保液性が優れたものとなる。上記の理由から、セルロース繊維の含有量の下限は、10質量%以上であることがより好ましく、上限は35質量%以下であることがより好ましい。
【0031】
更に、本発明のスキンケア製品用不織布は、さらに多葉扁平断面ポリエステル繊維を含有していてもよい。多葉扁平断面ポリエステル繊維を含有することによって、嵩高さ、吸保水性、拭取性を向上することができる。特に、多葉扁平断面ポリエステル繊維を含有することにより拭取性が向上し、更には本発明のスキンケア製品用不織布では防透け性に優れるので、拭取ってスキンケア製品用不織布に付着した化粧料や汚れの視認性に優れるため、使用者が拭取効果をより認識することとなり特に好適である。
【0032】
ここで、多葉扁平断面ポリエステル繊維とは、繊維軸方向に対して垂直な断面(横断面)の形状が扁平で、5葉以上の、好ましくは6~8葉の多葉の形状を有するポリエステル繊維である。なかでも下記式(3)の扁平度と下記式(4)の異形度を同時に満足するポリエステル繊維からなるものが好ましい。
・扁平度(A/B)=2.0~3.0 ・・・ (3)
・異形度(C/D)=1.0~5.0 ・・・ (4)
【0033】
ここで、上記Aは、上記の扁平多葉形の横断面の最長の線分の長さである。上記Bは、線分の長さAに垂直に交わる凸部の頂点間を結ぶ最大幅の線分の長さをいう。上記Cは、上記の扁平多葉形のなす最も大きな凹凸で、隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線分の長さをいう。そして、上記Dは、上記の凸部間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さをいう。
【0034】
すなわち、本発明の不織布の好ましい態様によれば、前記の含有される扁平多葉断面ポリエステル繊維は、横断面の最大長さをA、最大幅をB、最大凹凸部において隣り合う凸部の頂点間を結ぶ線の長さをC、そして、前記凸部の頂点間を結ぶ線から凹部の底点に下ろした垂線の長さをDとするとき、上記式(3)の扁平度と上記式(4)の異形度を同時に満足するポリエステル繊維からなることである。
【0035】
本発明において、上記の扁平度(A/B)が2.0以上であることで、繊維の毛倒れ性が悪くならず、ソフトな風合いが得られる。一方、扁平度(A/B)が3.0以下であることで、ハリコシ感に優れ、ヘタリにくくなる。また、製糸性も良好で、異形度も安定的に望ましい範囲に制御できる傾向がある。扁平度(A/B)は、好ましくは2.0~2.7であり、更に好ましくは2.0~2.5である。
【0036】
また、異形度(C/D)は、前記の扁平多葉形において、凸部と凸部の間にある凹部の大きさを表しており、その値が大きいと凹部が小さく、その値が小さいと凹部は大きいことを意味している。異形度(C/D)が大きくなりすぎると凹部は浅く、繊維間で形成する空隙も小さくなるため吸保水性が低下し、更に汚れの掻き取り性も低下する傾向がある。従って、異形度(C/D)は5.0以下であることが好ましい。一方、異形度(C/D)があまりにも小さいと繊維断面の凹部が折れ曲がりやすくなり、扁平形状を保つことができなくなる傾向がある。更には、擦過により繊維損傷を受けやすくなるため、肌と摩擦した場合に肌が傷つく恐れがある。これらのことから、異形度(C/D)は1.0以上であることが好ましい。異形度(C/D)は、前述の点から1.0~5.0の範囲であることが好ましい。更に、異形度(C/D)は、吸保水性と拭き取り性の点から2.0~4.0がより好ましい。
【0037】
本発明における多葉扁平断面ポリエステル繊維の含有量は、スキンケア製品用不織布中15質量%以上45質量%以下であることが好ましい。扁平多葉断面ポリエステル系繊維の含有量を15質量%以上45質量%以下とすることで、スキンケア製品不織布を用いたスキンケア製品の汚れの拭き取り性や吸保液性が優れたものとなる。上記の理由から、多葉扁平断面ポリエステル繊維の含有量の下限は、20質量%以上であることがより好ましく、上限は40質量%以下であることがより好ましい。
【0038】
本発明のスキンケア製品用不織布は、乾式不織布であることが好ましい。乾式不織布とすることで、同じ目付としたときに、湿式不織布に比べて不織布の厚みを大きくすることができ、不織布の柔らかさを向上し、結果として、上記スキンケア製品用不織布を用いたスキンケア製品の密着性や拭取性を向上することができる。さらに、本発明のスキンケア製品用不織布は、乾式不織布の中でもスパンレース不織布であることが好ましい。スパンレース不織布は、高圧水流により構成繊維を絡合させる方法により得られるが、この方法は、ニードルパンチにより構成繊維を絡合させる方法に比べ、絡合時の構成繊維の糸切れが少なく、不織布表面の平滑性も優れたものとすることができるため、肌あたりの柔らかさに優れたスキンケア製品用不織布が得られる。
【0039】
そして、本発明のスキンケア製品用不織布に、化粧水や美容液、あるいはクレンジング剤等の薬液を浸漬させることで、スキンケア製品を得ることができる。ここで、スキンケア製品としては、例えば、フェイスマスクやスキンケアシート、目元用マスク、クレンジングシート、ポイントメイク用クレンジングシートなどを例示することができる。
【実施例0040】
本実施例で用いた測定法を後述する。
【0041】
(1)芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の平均単繊維径
スキンケア製品用不織布に含まれる芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の平均単繊維径を以下の通り測定した。具体的には、上記スキンケア製品用不織布の面に垂直に切断し、このスキンケア製品用不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt-Pd(白金-パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この蒸着体に含まれる不織布の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製SU3800型)で観察し、この観察範囲から無作為に10箇所抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を無作為に10本ずつ抽出し、計100本の繊維の平均単繊維径を測定した。
【0042】
(2)酸化チタンの含有量
スキンケア製品用不織布に含まれる芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の酸化チタンの含有量を以下の通り測定した。具体的には、上記スキンケア製品用不織布の面に垂直に切断し、このスキンケア製品用不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt-Pd(白金-パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この蒸着体に含まれる不織布の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製SU3800型)で観察し、この観察範囲から無作為に10箇所抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影した。次いで、前記断面写真と同一視野内で、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を無作為に10本ずつ抽出し、計100本の繊維について、エネルギー分散型X線分析装置(SEM)(SEM-EMA)(SEM;日立ハイテク社製SU3800型、EMA;堀場製作所社製X-Max150)にて芯成分と鞘成分のチタンの含有量をそれぞれ分析し、得られた分析結果から酸化チタンの含有量を換算し、100本の繊維の平均値を酸化チタンの含有量とした。
【0043】
(3)芯成分と鞘成分の質量比率
上記スキンケア製品用不織布をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert-Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切り出し、不織布の断面部分を日立製作所製透過型電子顕微鏡(TEM)(日立ハイテク社製HT7800型)で観察した。この観察範囲から無作為に10箇所抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影した。次いで、同一写真内で、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を無作為に10本ずつ抽出し芯成分と鞘成分の面積比率を算出し、得られた結果から質量比率を求め、計100本の繊維の平均値を芯成分と鞘成分の質量比率を測定した。
【0044】
(4)スキンケア製品用不織布に含まれる合成繊維、セルロース繊維、その他の繊維の素材と含有量の特定
JIS L1030-1:2012「繊維製品の混用率試験方法-第1部:繊維鑑別」、およびJIS L1030-2:2012「繊維製品の混用率試験方法-第2部:繊維混用率」に基づいて、スキンケア製品用不織布に含まれる、ポリエステル繊維、およびセルロース繊維を鑑別し、素材を特定した。また、上記で素材を特定した、スキンケア製品用不織布に含まれるポリエステル繊維、セルロース繊維について、繊維の正量混用率(標準状態における各繊維の質量比)を測定した。続いて、上記スキンケア製品用不織布の面に垂直に切断し、このスキンケア製品用不織布から薄切片を切り出し、この薄切片の断面にPt-Pd(白金-パラジウム)合金を真空蒸着し蒸着体を得た。次いで、この蒸着体に含まれる不織布の断面部分を走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテク社製SU3800型)で観察し、この観察範囲から無作為に10箇所抽出し、倍率1,000倍の断面写真を撮影し、同一写真内で、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維と多葉扁平ポリエステル繊維ポリエステル繊維を無作為に10本抽出し、計100本の繊維を、芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維、多葉扁平ポリエステル繊維に分類した。更に多葉扁平ポリエステル繊維の平均単繊維径等を前記(1)項と同様の手段で観察、断面写真を撮影して測定し、平均単繊維径と構成本数の比からポリエステル繊維中の芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維と多葉扁平ポリエステル繊維の割合を算出し、それぞれの割合とポリエステル繊維の正量混用率の積から、芯鞘複合ポリエステル繊維と多葉扁平断面ポリエステル繊維の含有量(質量%)を算出した。なお、多葉扁平断面ポリエステル繊維の単繊維径は横断面の最大長さAと最大幅Bの平均値((A+B)/2)とした。
【0045】
(5)目付
JIS L1913:2010「一般不織布試験方法」6.2に基づいて測定した。具体的には、スキンケア製品用不織布の試料から50mm×50mmの試験片を、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。標準状態における試験片の質量を測定して、単位面積当たりの質量を次の式によって求め、平均値を算出した。
ms=m/S
ここに、ms:単位面積当たりの質量(g/m2)
m:試験片の平均重量(g)
S:試験片の面積(m2)。
【0046】
(6)湿潤時の防透け指数
JIS L1923:2017「繊維製品の防透け性評価方法」8.2B法(計器法)に準拠して、測定した。具体的には、スキンケア製品用不織布の試料から50mm×50mmの試験片と、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。各水準において、100mLの蒸留水(水温:20℃)中に試験片を10分間含浸し、試験片を蒸留水から取り出してから速やかに隣接した白と黒のバッキングの上に置き、分光測色計(コニカミノルタ社製、型式CM-2600d)を用いて白いバッキング上の試験片の明度(Lw)と黒いバッキング上の試験片の明度(Lb)を測定し、下記式にて防透け指数を求め、平均値を算出した。黒のバッキング材は明度7、白のバッキング材は明度93のものを用いた。なお、上記明度は、視野10°、測定波長域360~740nmであって、正反射光を除き測定した。
湿潤時の防透け指数=Lb/Lw×100
【0047】
(7)目付に対する湿潤時の防透け指数
下記式(1)に示すとおり前記(6)項で測定した湿潤状態の防透け指数を前記(5)項で測定した目付で除した値とする。小数点第二位を四捨五入する。
・目付に対する湿潤時の防透け指数=湿潤時の防透け指数/目付・・・(1)
【0048】
(8)目付に対する剛軟度
JIS L1096:2010「織物及び編み物の生地試験方法」8.21E法(ハンドルオメータ法)によって下記のとおり剛軟度を測定し、下記式(2)で示すとおり、前記(5)項で測定した目付で除した値とする。
・目付に対する剛軟度=ハンドルオメータ剛軟度/目付・・・(2)
【0049】
剛軟度の測定方法を下記する。具体的には、スキンケア製品用不織布の試料から200mm×200mmの試験片と、鋼製定規とかみそり刃とを用いて3枚採取した。スキンケア製品用不織布の製造工程におけるスキンケア製品用不織布の進行方向をMD方向、垂直な方向をCD方向とし、ハンドロメーター(Handle -O- Meter)剛軟度測定器(大栄科学精器製作所社製、型式HOM-200)にてMD方向とCD方向の剛軟度をそれぞれ測定し、その平均値を剛軟度として求め、その剛軟度の平均値を算出した。なお、小数点第三位を四捨五入した。
【0050】
(9)重厚感
各実施例および比較例で得られたスキンケア製品用不織布を幅200mm、長さ200mmに裁断する。比較用不織布として各水準と同目付、同サイズのレーヨン(単糸繊度1.7dtex、繊維長51mm)100%の不織布を準備する。各水準において、100mLの蒸留水(水温:20℃)中に試験片を10分間含浸し、試験片を蒸留水から取り出して上記裁断不織布と比較用不織布をそれぞれの外観を視認評価したときの比較用不織布に対する重厚感を女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて評価した。なお、5点が比較用不織布と同等目付の外観を有する、点数の高い方が重厚感あり、とした。
A:9~10点
B:7~8点
C:4~6点
D:0~3点
【0051】
(10)肌あたり
各実施例および比較例で得られたスキンケア製品用不織布を幅200mm、長さ200mmに裁断し、化粧水(無印良品「化粧水・敏感肌用しっとりタイプ」)に浸漬し、全質量に対し該化粧水を約700質量%含有し、密着性および肌あたりの柔らかさについて女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて評価した。
A:8~10点
B:4~7点
C:0~3点
【0052】
(11)クレンジングシートの拭取視認性
各実施例および比較例で得られたスキンケア製品用不織布を幅70mm、長さ55mmに裁断し、この裁断不織布をクレンジング剤(コーセーコスメポート(株)「ホワイトクレンジングウォーター」)に浸漬し、裁断不織布の全質量に対し該クレンジング剤を700質量%含有するクレンジングシートを得た。次いで、このクレンジングシートを、アイラインに付着した化粧料(資生堂(株)「ベネフィーク セオティ スマートリキッドアイライナー」)の拭取後にクレングジングシートに付着した化粧料の視認性(拭取った後のクレンジングシートを見たときに、化粧料の付着が視認しやすく、拭取ったことが十分実感でき、その程度が高い場合に高評価とする)について、女性パネル10名により各人の絶対評価にて10点満点で評価し、10名の平均点(小数点以下は四捨五入)から下記基準にて評価した。
A:8~10点
B:4~7点
C:0~3点
【0053】
[実施例1]
芯鞘複合構造を有するポリエステル(芯成分、鞘成分ともポリエチレンテレフタレート)繊維(芯成分質量:鞘成分質量=85:15、芯成分中のTiO2が25質量%、鞘成分のTiO2が0.3質量%、単繊維径:13μm、繊維長51mm)を、オープナー、カード、ラップ工程に処してウェブとした。次に、このウェブを、高圧水流により絡合させ、目付75g/m2のスキンケア製品用不織布を得た。
【0054】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が95、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.3、重厚感と肌あたりがA、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0055】
[実施例2]
スキンケア製品用不織布の目付を50g/m2とした以外には実施例1と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0056】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が87、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.7、重厚感と肌あたりがA、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0057】
[実施例3]
スキンケア製品用不織布の目付を25g/m2とした以外には実施例1と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0058】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が70、目付に対する湿潤時の防透け指数が2.8、重厚感と肌あたりがA、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0059】
[実施例4]
芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の芯成分と鞘成分の質量比率(芯成分:鞘成分)を65:35とした以外は実施例2と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0060】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が68、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.4、重厚感がB、肌あたりがA、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0061】
[実施例5]
芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の芯成分中のTiO2を10質量%とした以外は実施例2と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0062】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が66、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.3、重厚感がB、肌あたりがA、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0063】
[実施例6]
芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を80質量%と、レーヨン繊維(単糸繊度1.7dtex、繊維長51mm)を20質量%とを混綿して、実施例1と同様の製法で目付50g/m2のスキンケア製品用不織布を得た。
【0064】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が80、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.6、重厚感と肌あたりがA、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0065】
[実施例7]
実施例1の芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を50質量%、レーヨン繊維(1.7dtex)50質量%とした以外は実施例6と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0066】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が69、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.4、重厚感と拭取視認性がB、肌あたりがAであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。
【0067】
[実施例8]
芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維を50質量%、実施例6のレーヨン繊維を30%、8個の凸部を有する多葉扁平断面ポリエスエル繊維(扁平度2.1、異形度2.7、単糸繊度1.7dtex、繊維長51mm)を20%混綿した以外は実施例1と同様の製法で目付50g/m2のスキンケア製品用不織布を得た。
【0068】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が70、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.4、重厚感がB、肌あたりと拭取視認性がAであり、防透け性に優れ重厚感があり、柔軟で肌あたりがよく、更に拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れるものであった。特に、拭取った汚れ、化粧料の視認性に優れクレンジングシートに好適であった。
【0069】
[比較例1]
芯鞘複合構造を有しないポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)繊維(TiO2が0.3質量%、単繊維径:13μm、繊維長51mm)を用いて実施例1と同様の製法で目付50g/m2のスキンケア製品用不織布を得た。
【0070】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が49、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.0、重厚感がD、肌あたりと拭取視認性がCであり、防透け性が悪く重厚感に劣り、柔軟性も低くて肌あたりも劣り、拭取った汚れ、化粧料の視認性にも劣るものであった。
【0071】
[比較例2]
スキンケア製品用不織布の目付を15g/m2とした以外には実施例1と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0072】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が60、目付に対する湿潤時の防透け指数が4.0、重厚感と拭取視認性がC、肌あたりはAであり、防透け性が悪く重厚感に劣り、肌あたりは良好であるものの拭取った汚れ、化粧料の視認性にも劣るものであった。
【0073】
[比較例3]
スキンケア製品用不織布の目付を120g/m2とした以外には実施例1と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0074】
得られたスキンケア製品用不織布は、湿潤時の防透け指数が97、目付に対する湿潤時の防透け指数が0.8、重厚感と肌あたりがC、拭取視認性がBであり、防透け性に優れ重厚感はあり、化粧料の視認性に優れるが、柔軟性が低いため肌あたりが良好ではなかった。
【0075】
[比較例4]
実施例1の芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の単繊維径を0.7μmとした以外は実施例1と同様にして、スキンケア製品用不織布を得ようとしたが、良好なウェブを形成することができず、スキンケア製品用不織布を得ることができなかった。
【0076】
[比較例5]
芯鞘複合構造を有するポリエステル繊維の単繊維径を25μm、目付を50g/m2とした以外は実施例1と同様にして、スキンケア製品用不織布を得た。
【0077】
得られたスキンケア製品用不織布は湿潤時の防透け指数が60、目付に対する湿潤時の防透け指数が1.2、重厚感と肌あたり、拭取視認性がCであり、防透け性がやや悪く重厚感に劣り、拭取った汚れ、化粧料の視認性にもやや劣るとともに、肌あたりも劣るものであった。
【0078】
【0079】
実施例1~8において、防透け性に優れ重厚感があり、肌あたりも良好であり、拭取った汚れ、化粧料の視認性にも優れたスキンケア製品用不織布を得ることができた。
【0080】
一方、比較例1、2は、防透け性が悪く重厚感に劣り、拭取った汚れ、化粧料の視認性にも劣るものであった。比較例3は、柔軟性に劣り、肌あたりに劣るものであった。比較例4においては良好なウェブが形成することができず、良好なスキンケア製品用不織布を得ることができなかった、比較例5は、防透け性が悪く重厚感に劣り、拭取った汚れ、化粧料の視認性にもやや劣るとともに、肌あたりも劣り、スキンケア製品用不織布に不適であった。