(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023010195
(43)【公開日】2023-01-20
(54)【発明の名称】水栓
(51)【国際特許分類】
E03C 1/042 20060101AFI20230113BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
E03C1/042 B
B05B1/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021114162
(22)【出願日】2021-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000242378
【氏名又は名称】株式会社KVK
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】笠原 直之
【テーマコード(参考)】
2D060
4F033
【Fターム(参考)】
2D060BA01
2D060BA03
2D060BA05
2D060BC00
2D060BC12
2D060BE01
2D060BF03
4F033AA04
4F033AA11
4F033BA04
4F033CA13
4F033DA05
4F033EA01
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】操作部14を操作する際に手指を吐水に触れにくくする。
【解決手段】水の流路を有する水栓本体と前記流路からの前記水を吐出する吐出部とを有する水栓において、前記吐出部は、前記水の吐出形態を直流水と散水とに切替可能な切替部を有し、前記切替部は、筒状をなし回動により前記吐出形態を切り替える操作部14を有し、前記操作部14の内側に散水を吐出する散水部15が位置し、前記操作部14は前記散水部15を囲む壁部142を有し、同壁部142の先端は前記散水部15より先端側に位置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の流路を有する水栓本体と前記流路からの前記水を吐出する吐出部とを有する水栓において、
前記吐出部は、前記水の吐出形態を直流水と散水とに切替可能な切替部を有し、
前記切替部は、筒状をなし回動により前記吐出形態を切り替える操作部を有し、
前記操作部の内側に散水を吐出する散水部が位置し、
前記操作部は前記散水部を囲む壁部を有し、同壁部の先端は前記散水部より先端側に位置することを特徴とする水栓。
【請求項2】
前記吐出部は前記直流水を吐出する吐出口部を有し、
前記壁部の先端は前記吐出口部の先端よりも基端側に位置することを特徴とする請求項1に記載の水栓。
【請求項3】
前記壁部は前記操作部の全周に亘って形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の水栓。
【請求項4】
前記壁部の外周面は前記操作部の外周面と面一に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載の水栓。
【請求項5】
前記壁部は厚みが3mm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちいずれか一項に記載の水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水の吐出形態を切り替えることができる水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水の吐出形態を切り替えることができる水栓がある。この水栓は直流水を吐出するための直流水流路と散水を吐出するための散水流路とを備え、さらにこれら流路を切り替える切替部を備えている。この切替部は操作部材により操作可能となっており、使用者は操作部材を手指で把持して回動することにより流路を切り替え、水の吐出形態を切り替えることができる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の水栓では操作部材を手指で把持して回動させることにより切替部の切替操作を行うものであるが、その
図5、
図6に示すように操作部材の先端は水を吐水する吐水部材よりも軸線方向の基端側に位置している。このため、手指を操作部材に位置させた場合に手指が吐水部材に近接して或いは吐水部材に掛かって位置することがある。そして、そのまま水を吐出すると意図せずに水が手指に当たってしまい、手指に当たった散水が思わぬ方向に飛び散る可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、操作部に位置する手指が吐水に触れにくくなる水栓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための発明は、水の流路を有する水栓本体と前記流路からの前記水を吐出する吐出部とを有する水栓において、前記吐出部は、前記水の吐出形態を直流水と散水とに切替可能な切替部を有し、前記切替部は、筒状をなし回動により前記吐出形態を切り替える操作部を有し、前記操作部の内側に散水を吐出する散水部が位置し、前記操作部は前記散水部を囲む壁部を有し、同壁部の先端は前記散水部より先端側に位置することを特徴とする。
【0007】
前記吐出部は前記直流水を吐出する吐出口部を有し、前記壁部の先端は前記吐出口部の先端よりも基端側に位置する。前記壁部は前記操作部の全周に亘って形成されている。前記壁部の外周面は前記操作部の外周面と面一に形成されている。前記壁部は厚みが3mm以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作部を操作する際に手指が吐水に触れにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】吐出部及び切替部を構成する固定弁の斜視図。
【
図4】吐出部及び切替部を構成する可動弁の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した水栓1の一実施形態を
図1~
図6にしたがって説明する。本実施形態の説明において、各構成の先端、基端とは水の流れに基づき下流(側)を先端(側)、上流(側)を基端(側)という。また、操作環の回動軸線に沿う方向を軸線方向という。
【0011】
図1に水栓1の斜視図を示す。水栓1は流し台の天板Tの下方から延びる給水管及び給湯管(いずれも図示しない)に接続されており、水、湯又はその混合水(まとめて水ともいう)を吐出する。
図1に示すように、水栓1は流し台の天板Tに配置された水栓本体2と、水栓本体2に接続された吐出部3とから構成されている。水栓本体2は、給水管からの水及び給湯管からの湯を混合する混合機構、及び水の流量を調整する流量調整機構を有し(いずれも図示しない)、混合及び流量調整がなされた水の流路となる本体流路9(
図2参照)が形成されている。水栓本体2は、天板Tから鉛直上方に延びる略円筒形状の本体ケース4と、本体ケース4に接続された流路ケース5を有する。混合機構及び流量調整機構は本体ケース4内に配置されており、本体流路9は本体ケース4及び流路ケース5内に跨がって形成されている。また、流路ケース5の先端側内周面には雌ネジ5aが形成されている(
図2参照)。
【0012】
図1に示すように、水栓本体2は、本体ケース4の上部に1本のハンドル6を有し、このハンドル6の操作により水の温度調整及び吐出量の調整を行う。ハンドル6は水平方向及び上下方向に回動可能であり、水平方向に回動すると混合機構により湯と水の混合割合を調整することができ、上下方向に回動すると流量調整機構により水の流量を調整することができる。なお、
図1はハンドル6を下端まで下げた状態であり、この位置では水は止水となる。
【0013】
本体ケース4は側面に分岐部7を有する。分岐部7は本体ケース4に一体に形成されて側方に延びる円筒状をなし先端は開口している。また、分岐部7の先端には流路ケース5が接続されている。流路ケース5は先端が湾曲した円筒形状をなし、内側には流路配管8が配置されて水栓本体2の本体流路9(
図2参照)を構成する。
【0014】
流路ケース5の先端には吐出部3が配置されている。吐出部3は流路配管8の先端に接続されて、水栓本体2にて混合割合及び流量が調整されて本体流路9を通ってきた水を水栓1の外部へ吐出するものである。吐出部3は、固定弁11、可動弁12、支持筒13、操作部としての操作環14、散水部としての散水板15、及び吐出口部16を含んで構成される。また、吐出部3は吐出される水の吐出形態をストレート状の直流水とシャワー状の散水に切替可能な切替部10を有する。切替部10は水の吐出部3において流路を切り替えることにより吐出形態を切り替えるものであり、吐出部3のうち固定弁11、可動弁12、操作環14を含んで構成される。
【0015】
図2の断面図に基づいて吐出部3を構成する部材の位置関係を簡単に説明する。流路配管8の先端に固定弁11が接続されており、この固定弁11に可動弁12、吐出口部16が直列に位置している。また、支持筒13は固定弁11及び可動弁12を内側に収納している。操作環14は支持筒13及び吐出口部16を部分的に覆っており、操作環14の先端内側に散水板15が位置する。
【0016】
図2に示すように、固定弁11は全体として側面視凸状をなす部材であり、樹脂にて形成されている。固定弁11の基端側は挿入部111となっており、流路配管8に内嵌されている。挿入部111の先端側にはフランジ部112が形成されており、フランジ部112の外周縁において180度離間した位置には一対の係止溝113が形成されている(
図3参照)。また、フランジ部112よりも先端側はフランジ部112より小径で略円筒状をなす固定弁体114となっており、外周にはOリング114aが装着されている。
【0017】
図3に固定弁11を固定弁体114側(先端側)から見た斜視図を示す。固定弁体114の端面115にはその中心から点対称に形成された一対の扇状をなす固定弁孔116が形成されており、この一対の固定弁孔116には挿入部111から連通する流路が形成されている。固定弁孔116の開き角度、すなわち扇状部分の根元から見た開き角度は約90度である。また、端面115のうち一対の固定弁孔116の周方向間には一対の肉抜き穴117が形成されているが、この肉抜き穴117は有底であり流路を構成しない。このため、固定弁11には、流路配管8から挿入部111内に流入した水が固定弁体114の内側を通り端面115に形成された一対の固定弁孔116から流出する流路が形成されている(
図3の実線矢印)。
【0018】
固定弁11の端面115には外周縁に一対の規制壁部118が形成されている。規制壁部118は断面略矩形状をなし、平面視で端面115の外周縁に沿う円弧状に形成されている。一対の規制壁部118は端面115の外周縁のうち一対の固定弁孔116の径方向外側に位置しているが、規制壁部118の角度範囲は固定弁孔116の開き角度よりも少し狭い。
【0019】
図2に示すように、固定弁11の先端側に可動弁12が位置している。
図4に可動弁12を基端側から見た斜視図を示す。可動弁12は基端側の可動弁体121と先端側の円筒部122とを有する部材であり、樹脂にて形成されている。可動弁体121はフランジ状の台座123と台座123上に基端側に突出形成された弁座124とを有する。弁座124は平面視において台座123の中心から点対称に形成され、中央部分が一体となった一対の扇状をなしている。また、弁座124には一対の扇状の可動弁孔125が貫通形成されており、この一対の可動弁孔125は一対の固定弁孔116とほぼ同じ形状をなす。弁座124には一対の可動弁孔125を囲む形で8の字状の弾性リング126が装着され、その表面は可動弁孔125より基端側に突出している。
【0020】
図4に示すように、弁座124は外周縁が円弧状に形成されており、その直径は固定弁11に形成された一対の規制壁部118の内周面間の距離より短い。また、弁座124の外周縁の周方向の一端部には、180度離間した位置に一対の係止片124aが径方向外側に向けて形成されており、この一対の係止片124aの両外端間の距離は一対の規制壁部118の内周面間の距離より長い。台座123上において弁座124が形成されていない部分は一対の凹部127となっており、この凹部127は散水流路を構成する(
図4の破線矢印)。円筒部122は台座123よりも小径であり、その内側は空洞となって一対の可動弁孔125に連通する直流水流路を構成し(
図4の実線矢印)、外側は凹部127から続く散水流路を構成する(
図4の破線矢印)。円筒部122の先端側外周面には軸線方向に延びる凹溝122aが周方向に90度間隔で4箇所形成されており、円筒部122の先端側内周面には雌ネジ122bが形成されている。
【0021】
図2に示すように、固定弁11及び可動弁12を支持筒13が外嵌して位置している。
図5に支持筒13を基端側から見た斜視図を示す。支持筒13は円筒状をなす部材であり、樹脂にて形成されている。支持筒13の基端側外周面には雄ネジ131が形成されており、流路ケース5に形成された雌ネジ5aに螺合される。また、支持筒13の先端側外周面にはVリング132が装着されている。
【0022】
また、支持筒13の先端側内周面には、同一形状をなす多数の支持枠133が周方向に一定間隔で形成されている。支持枠133はいずれも軸線方向に長い形状であり、支持筒13の内周面から径方向内側に向けて立ち上がっている。支持枠133のうち、基端側は内接する円の直径が相対的に大きい(立ち上がりの高さが低い)大径枠133aとなっている。また、その先端側は段差133bを介して内接する円の直径が相対的に小さい(立ち上がりの高さが高い)小径枠133cとなっている。大径枠133aに内接する円の直径は可動弁12の台座123の直径よりも長く、小径枠133cに内接する円の直径は可動弁12の台座123の直径より短くかつ可動弁12の円筒部122の直径よりも長くなっている。支持筒13のうち支持枠133に囲まれた内周面は可動弁12の円筒部122の外側とともに散水流路を構成する。なお、支持筒13の内周面は大径枠133aの形成部分に比して小径枠133cの形成部分が肉厚となり小径である。
【0023】
図2、
図6に示すように、操作環14は先端側に散水板15が一体形成された構造をなす部材であり、樹脂にて形成されている。操作環14は流路ケース5の先端と略同径の円筒状をなし、その外表面には軸線方向に延びる凹凸模様141が周方向に一定間隔で形成されている。この凹凸模様141は操作環14を手指で把持した際の滑り止めとして機能する。
【0024】
図6に断面拡大図を示すように、操作環14と一体に形成されている散水板15は軸線方向に貫通する多数の散水孔151を有し、これら散水孔151を経て吐出される水は散水となる。この散水板15は散水流路を構成する。
図6に示すように散水孔151は先端に向かうほど順次小径のテーパ状となっており、これにより散水の吐出圧を高めることができる。散水板15の径方向中央には挿通孔152が形成されており、散水板15は平面視ではドーナツ状をなす。挿通孔152の外周縁の先端側には凹状の係止段部153が全周に亘って形成されており、また外周縁の基端側には軸線方向に延びる凸部154が90度間隔で4箇所に形成されている。これら凸部154は可動弁12の凹溝122aにそれぞれ係止可能となっている。
【0025】
図6に示すように、操作環14は散水板15を取り囲み散水板15の先端面155よりも先端側に突出した環状の壁部142を有し、散水板15の先端面155は壁部142よりも基端側に位置している。なお、壁部142も操作環14を構成する一部であるが、以下の説明において操作環14に対して壁部142という場合は操作環14のうち軸線方向において散水板15の先端面155よりも先端側に突出している部分をいう。壁部142は操作環14の全周に亘って形成されており、壁部142の外周面と操作環14の外周面との間に段差等はなく両外周面は面一に連続した形状として形成されている。また、壁部142の先端は外周側では円弧状をなし、内周側では先端に向かうほど幅狭となる直線状をなす。散水板15の先端面155を基準とした壁部142の高さtは1.5mmであり、散水板15の先端面155からの立ち上がり部分を含む壁部142の厚みwは2.5mmとなっている。
【0026】
図2に示す吐出口部16は略円筒状をなす金属製の口金部材であり、基端側外周面に雄ネジ161が形成され、先端側外周には大径部162が形成されている。吐出口部16の内側は直流水流路を構成する。雄ネジ161は可動弁12の雌ネジ122bに螺合される。また、大径部162は散水板15の係止段部153に当接される。
図2に示すように吐出口部16の内側には直流水を吐出する際の水の流れを整える整流板163と異物を濾過するフィルタ164が配置されているがこれらの説明は省略する。
【0027】
吐出部3の組付け構成について
図2に示すように、吐出部3は一部が流路ケース5内に位置する形で組み付けられている。具体的には、流路ケース5内の流路配管8に固定弁11の挿入部111が内嵌されている。流路配管8には図示しない係止部が2箇所に形成されており、固定弁11の挿入部111を流路配管8に挿入した際に係止部に固定弁11の係止溝113が係止され、固定弁11が流路配管8に対して相対回転不能に位置決めされる。また、固定弁11に形成された一対の規制壁部118の径方向内側には可動弁12の弁座124が位置しており、弁座124に形成された一対の係止片124aは周方向において一対の規制壁部118間に位置する。
【0028】
支持筒13は、固定弁11及び可動弁12を内側に配置した状態で雄ネジ131が流路ケース5の雌ネジ5aに螺合されて流路ケース5に対して相対回転不能となっている。支持筒13の内周面には固定弁11のOリング114aが圧接しており、固定弁11のフランジ部112が支持筒13の基端縁に着座して両者が軸線方向に位置決めされている。可動弁12はフランジ状の台座123が支持筒13に形成された支持枠133の段差133bに着座して支持筒13に対して遊嵌状態で軸方向に位置決めされている。固定弁11の端面115と可動弁12の弁座124とは弾性リング126を介して対向している。
【0029】
支持筒13の先端側には操作環14が外嵌されており、支持筒13に装着されたVリング132により両者間は水密状態となっている。さらに、吐出口部16が操作環14と一体形成された散水板15の挿通孔152を通って可動弁12に螺合されている。吐出口部16の大径部162は散水板15の係止段部153に係止し、さらに散水板15の凸部154が可動弁12の凹溝122aに係止している。このため、操作環14を回動させると、これに一体成形された散水板15も回動し、併せて可動弁12及び吐出口部16も回動することとなる。このとき、流路配管8に係止されている固定弁11及び流路ケース5に螺合されている支持筒13は回動しない。
【0030】
また、可動弁12は、これに形成された係止片124aが固定弁11に形成された一対の規制壁部118の間でのみ回動可能であるため、操作環14の回動も同じ範囲に規制され、操作環14は約90度の範囲で往復回動可能となる。
【0031】
吐出部3からの吐出形態の切替操作について
吐出部3は、固定弁11の端面115に対して可動弁12の弁座124が弾性リング126を介して対向している。操作環14を回動させると可動弁12は固定弁11に対して約90度の範囲内で回動する。可動弁12の弁座124は約90度の開き角度を有する扇状をしている。操作環14を回動させると、可動弁12の可動弁孔125が固定弁11の固定弁孔116と対向して連通する位置(連通位置)と、対向せず連通しない位置(非連通位置)との間で回動する。
【0032】
可動弁12が連通位置にある場合には、固定弁孔116は可動弁12の可動弁孔125に対向して連通し、可動弁孔125の周囲には弾性リング126が配置されている。このため、切替部10は、固定弁孔116(
図3の実線矢印)から可動弁孔125を通り円筒部122の内側を経て(
図4の実線矢印)、吐出口部16に連通する直流水流路を形成し、水は吐出口部16の先端から直流水として吐出される。
【0033】
一方、操作環14を手指で把持して約90度回動させると、操作環14の回転に伴って可動弁12も約90度回動し、可動弁孔125が固定弁11の固定弁孔116と連通しない位置(非連通位置)となる。この位置では、固定弁孔116は可動弁孔125ではなく弁座124が形成されていない凹部127と連通する。そして、凹部127は台座123と支持筒13の大径枠133aとの間、さらに円筒部122の外側と支持筒13との間(
図4の破線矢印)を経て、散水板15に連通している。このため、切替部10は、固定弁孔116(
図3の実線矢印)から可動弁12の凹部127を通り円筒部122の外側と支持筒13の内側との間(
図4の破線矢印)を経て散水板15に至る散水流路を形成し、水は散水孔151から散水として吐出される。これを直流水にするには、再び操作環14を手指で把持し今度は反対方向に約90度回動させれば、可動弁12の可動弁孔125が再び固定弁11の固定弁孔116と対向する連通位置に切り替えられて先に説明した直流流路が形成される。
【0034】
ここで、操作環14は散水板15を囲む壁部142を有しており、この壁部142の先端は散水板15より先端側に位置している。操作環14を手指で把持して操作する場合には操作環14の先端側を把持することがある。この場合、壁部142により操作環14(壁部142)の先端と散水板15の散水孔151との間の距離は、壁部142がない場合に比して長くなる。このため、手指が操作環14の壁部142に位置したとしても、手指と散水孔151との間の距離を長く確保することができ、手指が散水に触れにくくなる。
【0035】
上記実施形態の水栓1によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、操作環14は散水板15を囲む壁部142を有しており、この壁部142の先端は散水板15より先端側に位置している。そして、壁部142により操作環14(壁部142)の先端と散水板15の散水孔151の間の距離は壁部142がない場合に比して長くなる。このため、壁部142に手指が位置した場合でも手指と散水板15の散水孔151との間の距離を長く確保することができ、手指を散水に触れにくくすることができる。
【0036】
(2)吐出部3は直流水を吐出する吐出口部16を有しており、壁部142の先端は吐出口部16の先端よりも基端側に位置している。このため、直流水の吐出口部16は壁部142よりも先端に位置し、水がまとまって吐出される形態の直流水に手指が触れにくくなる。
【0037】
(3)壁部142は操作環14の全周に亘って形成されている。このため、操作環14をどの向きから把持する場合でも手指が散水に触れにくくすることができる。
(4)壁部142は操作環14の外周面と面一に形成されているため、手指が壁部142を含む操作環14に触れる場合でも違和感が生じにくい。
【0038】
(5)壁部142の厚みwを散水板15の先端面155からの立ち上がり部分を基準として2.5mmとしている。これによっても壁部142を含む操作環14を把持した場合に手指と散水板15との距離を確保することができ、手指を散水に触れにくくすることができる。
【0039】
(6)散水板15を操作環14と一体形成している。このため、操作環14と散水板15の成形が容易となる。
(7)壁部142を操作環14の一部として一体形成している。このため、壁部142の成形が容易となる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・壁部142の厚みwを2.5mmとしたがこの厚みwを変更してもよく、例えば3mm以下にすることができる。
【0041】
・壁部142と操作環14の外周面を面一としているが、壁部142の形成部分に壁部142以外の操作環14と区別するために段差等を設けてもよい。この場合、壁部142の段差等に触れた手指により同部分が壁部142の基端であり操作環14の先端を触っていると認識することができる。
【0042】
・操作環14と散水板15とを一体成形した構成としたが、それぞれを別体で成形して組み付ける構成としてもよい。
・壁部142を操作環14の全周に設けたが、散水板15を囲む壁部142は操作環14の全周に限らず部分的に設けてもよい。操作環14に部分的に壁部142を形成したとしても、その壁部142により散水板15を囲む状態となる。
【0043】
・水栓1は水の吐出及び停止をセンサーによる手指の検知で行うものでもよい。
・水栓1は洗面台に設置するものに限らず、流し台に設置するものや浴室に設置するシャワーも含む。
【0044】
・水栓1は水と湯を混合して吐出するいわゆる混合水栓としたが、混合機能を有さず水のみ又は湯のみを吐出するものでもよい。温度に関係なく液体としての水が本発明にいう水である。
【符号の説明】
【0045】
1…水栓、2…水栓本体、3…吐出部、4…本体ケース、5…流路ケース、9…本体流路(流路)、10…切替部、11…固定弁、12…可動弁、13支持筒、14…操作環(操作部)、15…散水板(散水部)、16…吐出口部、142…壁部、151…散水孔。