(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023101971
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】口座情報利用型与信分析装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/03 20230101AFI20230714BHJP
【FI】
G06Q40/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002236
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】520368828
【氏名又は名称】株式会社ランドデータバンク
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 詢平
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】矢川 昇
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB15
(57)【要約】
【課題】精度の高い口座情報利用型与信分析装置を提供する。
【解決手段】本発明は、法人の銀行口座の預金残高の最新月の所定日の第2期間後に、法人が倒産する確率を予測するために、与信状況を監視するモニタリング与信機能を実現するプログラムを有する装置において、モニタリング与信機能は、最新月の所定日から第1期間前までの各月の所定日の預金残高、最新月の所定日から第1期間前までの入金回数及び出金回数、最新月の所定日から第1期間前までに出金した合計金額を第1期間の月数で割った平均金額、各月の預金残高を平均金額で割った各月の割合、各月の割合の標準偏差を、機械学習のモデルアルゴリズム10に入力する機能(a)と、機能(a)により入力された値から機械学習のモデルアルゴリズム10を用いて最新月の所定日の第2期間後の法人の倒産確率を出力する機能(b)と、を有する口座情報利用型与信分析装置である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
法人の銀行口座の預金残高の最新月の所定日の第2期間後に、前記法人が倒産する確率を予測するために、与信状況を監視するモニタリング与信機能を実現するプログラムを有する口座情報利用型与信分析装置において、
前記モニタリング与信機能は、
前記最新月の所定日から第1期間前までの各月の所定日の預金残高、前記最新月の所定日から前記第1期間前までの入金回数及び出金回数、前記最新月の所定日から前記第1期間前までに出金した合計金額を前記第1期間の月数で割った平均金額、前記各月の預金残高を前記平均金額で割った各月の割合、前記各月の割合の標準偏差を、機械学習のモデルアルゴリズムに入力する機能(a)と、
前記機能(a)により入力された値から前記機械学習のモデルアルゴリズムを用いて前記最新月の所定日の前記第2期間後の前記法人の倒産確率を出力する機能(b)と、
を有することを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記法人が複数の銀行口座を有する場合、
前記預金残高は、前記複数の銀行口座の各々の預金残高を合算した金額であり、
前記入金回数は、前記複数の銀行口座の各々の入金回数の合計回数であり、
前記出金回数は、前記複数の銀行口座の各々の出金回数の合計回数であり、
前記最新月の所定日から前記第1期間前までに出金した合計金額は、前記複数の銀行口座の各々から出金した合計金額であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1期間は、2年以内の範囲内の期間であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項において、
前記第2期間は、6か月以内の範囲内の期間であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、
前記機能(b)の前記法人の倒産確率は、前記最新月の所定日の前記第2期間後の預金残高を前記平均金額で割った割合が第1の値を下回る確率であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の値は、複数の法人のうち、倒産した法人の水準値以下であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項において、
前記機械学習のモデルアルゴリズム精度(AUC)は、0.7以上となるように学習されたものであることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項において、
前記機能(a)の前記最新月の所定日から前記第1期間前までの出金の使途は、前記法人が建設業界の法人である場合、施工費用を構成する機械、機械のレンタル、労務及び材料の費用と支払い利息割引料を含むことを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項において、
前記モニタリング与信機能の前記機能(a)及び前記機能(b)を日々又は一定期間毎に利用することで、継続的に与信の変化を察知する機能(c)を実現するプログラムを有することを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項において、
前記機械学習のモデルアルゴリズムは、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、Elastic Net、サポートベクターマシン(SVM)、線形回帰、k近傍法(k-NN)、ナイーブベイズ、パーセプトロン、CART、QUEST、CHAID、C5.0、デシジョンジャングル、ベイズ線形回帰、ブースト 決定木、ポアソン回帰、リッジ回帰、ラッソ回帰、サポートベクター回帰 (SVR)、XGBoost、及びLightGBMのいずれかであることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【請求項11】
請求項1から7、9及び10のいずれか一項において、
前記法人は、建設業界の法人であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口座情報利用型与信分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な業界において比較的規模が小さい法人も多く、そのような法人は運転資金が少なく物的担保が乏しい場合が多い。そのため、事業を拡大する機会が訪れた場合に銀行などの金融機関から運転資金の融資を受けることができれば、その法人が事業を拡大していくことが可能となることがある。
しかし、従来、金融機関は、法人の財務情報や土地などの所有不動産によって融資申込時点の法人の信用力を分析することで、融資の可否を決定することが一般的であった。そのため、上述したような比較的規模が小さい法人では、十分な融資が受けられないことが多いため、たとえ事業を拡大する機会があっても、それを実現することが困難であった。
一例として建設業界について説明する。建設業界では、例えば法人が土木工事や建物の建築を受注した場合、完成するまでに長い期間がかかることがある。また、機械、機械のレンタル、労務及び材料の費用など多くの運転資金が必要となる。
【0003】
ところで、我が国の建設業界の法人は比較的規模が小さい企業も多く、そのような企業は運転資金が少なく物的担保が乏しい場合が多い。上記のように、建物を建築する場合、着工から完成までの期間が長く、この建築を施工する法人に対する支払は、完成後に行われることが多い。つまり、比較的規模が小さい法人が建物を建築する場合、受注件数が多くても、着工から支払いまでの期間が長いので、その運転資金が不足することが多いという問題がある。別言すれば、運転資金に限度があるため、受注件数を増やすことができないという問題がある。また、受注する建物の規模が大きいほど、収益も大きくなるが、運転資金が高額になるため、運転資金不足により受注できないことがある。このような場合、銀行などの金融機関から運転資金の融資を受けることができれば上記の問題を解決することができる。
【0004】
しかし、従来、金融機関は、前述したように、法人の財務情報や土地などの所有不動産によって融資申込時点の法人の信用力を分析することで、融資の可否を決定するため、上述したような建設業界の比較的規模が小さい法人では、十分な融資が受けられないことが多い。そのため、上記の問題を解決できず、受注件数を増やすこと、規模の大きい建物を受注することで、収益を大きくすることが困難であった。
【0005】
また、国土交通省が推進する「i-Construction(アイ・コンストラクション)」施策にて建設業、特に土木分野の生産性向上を後押ししている。この施策のコンセプトは測量から調査、設計、施工、検査、維持管理に至る建設プロジェクトの全プロセスにICTを導入し、「ICT施工」を実現することで建設生産活動の飛躍的な効率化を図るものである。
【0006】
しかしながら、「ICT施工」の実現には、ICT対応機器や対応サービス、ソリューションの導入が必要不可欠であり、そのためには元手となる資金が必要となる。
【0007】
そこで、従来に比べて精度の高い与信分析を行うことで、法人の規模の大小にかかわらず、融資を受けることができる法人の数を増やすことが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の種々の態様は、精度の高い口座情報利用型与信分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
[1]法人の銀行口座の預金残高の最新月の所定日の第2期間後に、前記法人が倒産する確率を予測するために、与信状況を監視するモニタリング与信機能を実現するプログラムを有する口座情報利用型与信分析装置において、
前記モニタリング与信機能は、
前記最新月の所定日から第1期間前までの各月の所定日の預金残高、前記最新月の所定日から前記第1期間前までの入金回数及び出金回数、前記最新月の所定日から前記第1期間前までに出金した合計金額を前記第1期間の月数で割った平均金額、前記各月の預金残高を前記平均金額で割った各月の割合、前記各月の割合の標準偏差を、機械学習のモデルアルゴリズムに入力する機能(a)と、
前記機能(a)により入力された値から前記機械学習のモデルアルゴリズムを用いて前記最新月の所定日の前記第2期間後の前記法人の倒産確率を出力する機能(b)と、
を有することを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0010】
[2]上記[1]において、
前記法人が複数の銀行口座を有する場合、
前記預金残高は、前記複数の銀行口座の各々の預金残高を合算した金額であり、
前記入金回数は、前記複数の銀行口座の各々の入金回数の合計回数であり、
前記出金回数は、前記複数の銀行口座の各々の出金回数の合計回数であり、
前記最新月の所定日から前記第1期間前までに出金した合計金額は、前記複数の銀行口座の各々から出金した合計金額であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0011】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記第1期間は、2年以内の範囲内の期間であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0012】
[4]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記第2期間は、6か月以内の範囲内の期間であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0013】
[5]上記[1]から[4]のいずれか一項において、
前記機能(b)の前記法人の倒産確率は、前記最新月の所定日の前記第2期間後の預金残高を前記平均金額で割った割合が第1の値を下回る確率であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0014】
[6]上記[5]において、
前記第1の値は、複数の法人のうち、倒産した法人の水準値以下であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0015】
[7]上記[1]から[6]のいずれか一項において、
前記機械学習のモデルアルゴリズム精度(AUC)は、0.7以上となるように学習されたものであることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0016】
[8]上記[1]から[7]のいずれか一項において、
前記機能(a)の前記最新月の所定日から前記第1期間前までの出金の使途は、前記法人が建設業界の法人である場合、施工費用を構成する機械、機械のレンタル、労務及び材料の費用と支払い利息割引料を含むことを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【0017】
[9]上記[1]から[8]のいずれか一項において、
前記モニタリング与信機能の前記機能(a)及び前記機能(b)を日々又は一定期間毎に利用することで、継続的に与信の変化を察知する機能(c)を実現するプログラムを有することを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
[10]上記[1]から[9]のいずれか一項において、
前記機械学習のモデルアルゴリズムは、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、Elastic Net、サポートベクターマシン(SVM)、線形回帰、k近傍法(k-NN)、ナイーブベイズ、パーセプトロン、CART、QUEST、CHAID、C5.0、デシジョンジャングル、ベイズ線形回帰、ブースト 決定木、ポアソン回帰、リッジ回帰、ラッソ回帰、サポートベクター回帰 (SVR)、XGBoost、及びLightGBMのいずれかであることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
[11]上記[1]から[7]、[9]及び[10]のいずれか一項において、
前記法人は、建設業界の法人であることを特徴とする口座情報利用型与信分析装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明の種々の態様によれば、精度の高い口座情報利用型与信分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一態様に係る口座情報利用型与信分析装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一態様に係る口座情報利用型与信分析装置を説明するための模式図である。
【0022】
図1に示す口座情報利用型与信分析装置は、取引開始時点での法人の信用力を評価するために分析する初期与信と更に取引期間中に信用力の変化をモニタリングする与信分析装置である。与信のモニタリングを開始する時期は、以下の(x)から(z)が可能である。
【0023】
(x)法人から取引(例えば金銭を伴う取引)申込を受けて取引開始時点での与信を分析し、取引が可能と判断し、取引を実行する時からモニタリングを開始する。
(y)上記(x)の取引開始時点での与信を分析する時に
図1の口座情報利用型与信分析装置を活用する。その結果を初期与信に加えて与信判断材料とする。
(z)法人から取引(例えば金銭を伴う取引)申込を受けて初期与信を分析する前に
図1の口座情報利用型与信分析装置を活用してモニタリング与信を一定期間実行し、その一定期間後に初期与信を分析し、その初期与信とモニタリングした与信を合わせてその法人の与信判断を行う。なお、一定期間は、例えば3か月から2年である。
【0024】
図1の口座情報用与信分析装置は、法人(例えば建設業界の法人)の銀行口座の預金残高の最新月の所定日の第2期間後に、その法人が倒産する確率を予測し、与信状況を監視するモニタリング与信機能を実現するプログラムを有する与信分析装置である。つまり、この口座情報用与信分析装置を用いれば、与信状況を監視するモニタリング与信機能によって法人の銀行口座の預金残高の最新月の所定日の第2期間後に、その法人が倒産する確率を予測することが可能となる。なお、第2期間は、6か月以内の範囲内の期間であることが好ましいが、1か月から6か月の範囲内の期間であってもよい。
【0025】
上記のモニタリング与信機能について以下に詳細に説明する(
図1参照)。
モニタリング与信機能は、下記の機能(a)及び機能(b)を有する。
【0026】
機能(a)は、以下の(1)から(5)の項目を機械学習のモデルアルゴリズムであるニューラルネットワーク(NN)10に入力する機能である。
(1)各月の預金残高。詳細には、上記の最新月の所定日から第1期間前までの各月の所定日の預金残高である。ここでいう最新月の所定日は、月末でもよいし、月末以外の日付でもよい。また第1期間は、2年以内の範囲内の期間であることが好ましいが、6か月から2年の範囲内の期間であってもよく、2年より長い期間であってもよい。また、法人が複数の銀行口座を有する場合は、複数の銀行口座の各々の預金残高を合算した金額を各月の預金残高とする。
【0027】
(2)入金回数及び出金回数。詳細には、最新月の所定日から第1期間前までの入金回数及び出金回数である。ここでいう入金回数は、法人が複数の銀行口座を有する場合、複数の銀行口座の各々の入金回数の合計回数とする。また出金回数は、法人が複数の銀行口座を有する場合、複数の銀行口座の各々の出金回数の合計回数とする。
【0028】
(3)第1期間内の出金金額の月平均。詳細には、最新月の所定日から第1期間前までに出金した合計金額を第1期間の月数で割った平均金額である。ここでいう合計金額は、法人が複数の銀行口座を有する場合、複数の銀行口座の各々から出金した合計金額とする。また、上記の最新月の所定日から第1期間前までの出金の使途は、建設業界であれば、施工費用を構成する機械、機械のレンタル、労務及び材料(建築材料等)の費用を含み、販売費、一般管理費及び支払い利息割引料等を含むが、建設業界以外の他の業界であれば、その他の費用を含んでもよい。
【0029】
(4)各月の預金残高/月平均金額。詳細には、上記(1)の各月の預金残高を上記(3)の平均金額で割った各月の割合である。
(5)標準偏差。詳細には、上記(4)の各月の割合の標準偏差である。
【0030】
上記(1)から(3)の銀行口座の情報は、取引の申込をする法人から取得することができる。
【0031】
また、上記(1)から(5)の項目がインポートされている第1のデータテーブルを準備し、第1のデータテーブルから上記(1)から(5)の項目がニューラルネットワーク10に入力されるように構成されていてもよい。
【0032】
機能(b)は、上記の機能(a)により入力された値からニューラルネットワーク(機械学習のモデルアルゴリズム)10を用いて最新月の所定日の第2期間後の法人の倒産確率を出力する機能である。ここでいう法人の倒産確率は、最新月の所定日の第2期間後の預金残高を上記(3)の平均金額で割った割合が第1の値を下回る確率である。この第1の値は、複数(多数)の法人のうち、倒産した法人の水準値以下であるとよい。
詳細には、多量の過去の倒産企業及び生存企業(良好な生存企業から倒産しそうな生存企業)の各々の上記(1)から(3)の銀行口座の情報を収集する。ここでいう倒産企業及び生存企業は、例えば建設・土木関連の企業であってもよく、例えば売上高が10億円以下の企業規模、業種が例えば一般土木、土木、舗装、建築、とび・土木・コンクリート等であってもよいが、勿論建設業界に限るものではない。そして、上記の各々の上記(1)から(3)の銀行口座の情報を用いてニューラルネットワーク10に学習処理させることで、この学習処理によって倒産する法人は上記の第1の値を下回る倒産予測モデルを取得する。この倒産予測モデルは、ニューラルネットワークのモデル(機械学習のモデルアルゴリズム)精度(AUC)が、0.7以上となるように学習処理されたものであるとよい。
また、上記機能(b)で出力される法人の倒産確率は第2のデータテーブルにインポートされるように構成されていてもよい。
【0033】
また、ニューラルネットワーク10に入力する上記の(1)から(5)の項目は、最低限の項目であり、さらに入力項目を追加してもよい。これにより、信用リスクにおけるAUCの値をより高くすることができる場合がある。
【0034】
本実施形態によれば、精度の高い口座情報利用型与信分析装置を提供することができる。
【0035】
また、本実施形態では、法人の銀行口座の情報とニューラルネットワーク10を利用することで、法人の与信の分析が可能となるため、低コストで高い精度を実現することが可能となる。これにより、従来技術ではできなかった小規模の法人に対する少額の金銭を伴う取引に対しても与信判断が可能となる。
【0036】
上述したように小規模な法人に対しても与信判断が可能となるため、建設業界の小規模な法人であっても、ICT対応機器や対応サービス、ソリューションの導入のための金銭を伴う取引が可能となる。従って、国土交通省が推進する建設生産活動の飛躍的な効率化を図るための「ICT施工」を小規模な法人に対して実現する一助となることが期待できる。
【0037】
また、本実施形態では、前述した(y)の取引開始時点での与信を分析する時に
図1の口座情報利用型与信分析装置を活用し、その結果を取引開始時点での与信に加えて与信判断材料とする場合、法人の財務情報や土地などの所有不動産によって与信を分析する一般的な初期与信判断に、上記の与信判断材料を加えることができる。その結果、一般的な初期与信判断より与信の判定の精度を上げることができる。
【0038】
なお、本実施形態では、ニューラルネットワーク10を用いているが、ニューラルネットワーク以外の機械学習のモデルアルゴリズムを用いることも可能である。
本明細書における「機械学習のモデルアルゴリズム」は、ランダムフォレスト、ロジスティック回帰、Elastic Net、サポートベクターマシン(SVM)、線形回帰、k近傍法(k-NN)、ナイーブベイズ、パーセプトロン、CART、QUEST、CHAID、C5.0、デシジョンジャングル、ベイズ線形回帰、ブースト 決定木、ポアソン回帰、リッジ回帰、ラッソ回帰、サポートベクター回帰 (SVR)、XGBoost、及びLightGBMを含むものとする。
【0039】
(第2の実施形態)
本実施形態による口座情報利用型与信分析装置は、第1の実施形態と同様の機能(a)及び機構(b)に加え、以下の機能(c)を有するモニタリング与信機能を実現するプログラムを有する与信分析装置である。
【0040】
機能(c)は、上記の機能(a)及び機能(b)を日々又は一定期間毎に利用することで、継続的に与信の変化を察知する機能である。
【0041】
本実施形態によれば、第1の実施形態で説明した(x)の法人から取引申込を受けて取引開始時点での与信を分析し、取引が可能と判断し、取引を実行する時から口座情報利用型与信分析装置による与信のモニタリングを開始した場合、初期与信判断後に常時与信を確認することにより、取引先の法人が倒産するリスクを管理することができる。例えば、第1の実施形態で説明した機能(b)の倒産確率に閾値を設定し、その閾値を下回ったらアラートを通知する機能を設けることで、倒産リスクを管理することができる。
【0042】
また、本実施形態では、第1の実施形態で説明した(z)の法人から取引申込を受けて取引開始時点での与信を分析する前に
図1の口座情報利用型与信分析装置を活用してモニタリング与信を一定期間実行し、その一定期間後に取引開始時点での与信を分析し、その取引開始時点での与信とモニタリングした与信を合わせてその法人の与信判断を行う場合、上記の一般的な初期与信判断より与信の判定の精度を上げることができる。
【0043】
なお、上述した第1の実施形態と第2の実施形態を適宜組み合わせて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 ニューラルネットワーク