IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アキレス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-折り畳み式エアーベッド 図1
  • 特開-折り畳み式エアーベッド 図2
  • 特開-折り畳み式エアーベッド 図3
  • 特開-折り畳み式エアーベッド 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102008
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】折り畳み式エアーベッド
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/12 20060101AFI20230714BHJP
   A47C 17/64 20060101ALI20230714BHJP
   A47C 27/08 20060101ALI20230714BHJP
   A47C 27/00 20060101ALI20230714BHJP
   A47C 27/10 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A47C19/12 A
A47C17/64 B
A47C27/08 F
A47C27/00 C
A47C27/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002301
(22)【出願日】2022-01-11
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和3年10月20日~令和3年10月22日(展示日:令和3年10月21日~令和3年10月22日) 危機管理産業展2021、東京ビックサイト青海展示棟(東京都江東区青海1丁目4) 令和3年10月20日~令和3年10月22日開催の危機管理産業展2021において令和3年10月21日~令和3年10月22日に公表
(71)【出願人】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】畠井 秀
【テーマコード(参考)】
3B096
【Fターム(参考)】
3B096AB01
3B096AC05
(57)【要約】
【課題】使用する際、および収納する際に発生する作業時間を短縮し、また作業の手間を改善するとともに、寝心地が良く、寝台面の下側空間や床面からの冷気が伝わり難い簡易ベッドを提供する。
【解決手段】折り畳み式エアーベッド100は、上面12、下面14、上面12と下面14との間に空気層20および空気層20と外部とにおいて通気可能な通気部16を有するエアーマット部10と、エアーマット部10を支持するための脚部30と、を備え、脚部30は複数の骨部材32より構成され、一体的に折り畳み可能であり、脚部30が折り畳まれるとともに対向する骨部材32間にエアーマット部10が配置される閉状態と、脚部30が広げられるとともにエアーマット部10が広げられた状態である開状態と、に変更可能であり、開状態におけるエアーマット部10の体積よりも閉状態におけるエアーマット部10の体積の方が小さい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、下面、前記上面と前記下面との間に空気層、および前記空気層と外部とにおいて通気可能な通気部を有するエアーマット部と、
前記エアーマット部を支持するための脚部と、を備え、
前記脚部は複数の骨部材より構成され、一体的に折り畳み可能であり、
前記脚部が折り畳まれるとともに対向する前記骨部材間に前記エアーマット部が配置される閉状態と、
前記脚部が広げられるとともに前記エアーマット部が広げられた状態である開状態と、
に変更可能であり、
前記開状態における前記エアーマット部の体積よりも前記閉状態における前記エアーマット部の体積の方が小さいことを特徴とする折り畳み式エアーベッド。
【請求項2】
前記エアーマット部の外縁に沿って外縁支持部材を有し、
前記外縁支持部材は前記脚部と連結され、折り畳まれる前記脚部と連動して前記外縁支持部材が折り畳まれるとともに、
折り畳まれた前記外縁支持部材の内側において前記エアーマット部が折り畳まれる請求項1に記載の折り畳み式エアーベッド。
【請求項3】
前記エアーマット部は、非通気性の素材からなる非通気性側材と、前記非通気性側材に内包されるクッション体を備え、
前記非通気性側材において前記通気部として通気孔を有する請求項1または2に記載の折り畳み式エアーベッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式エアーベッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レジャー用あるいは災害・避難用に用いられる簡易式のベッドとして、組み立て式または折り畳み式のタイプが提案されている。
例えば特許文献1には、キャンプ用携帯ベッドに関し、支持台に取り付けるためのエアーマットが開示されており、支持台を構成する支持杆および脚杆それぞれを当該エアーマットに取り付けて組み立てることで使用可能となる簡易ベッドが記載されている。
【0003】
また特許文献2には、折り畳み式寝台が開示されている。上記折り畳み寝台は、多数の支持杆を備える支持体と、当該支持体の一部を挿入するための挿入袋が形成されたシートとを備え、支持体とシートとが相互結合されて構成されている。同文献には、支持体とシートとが相互結合した状態で折り畳み可能な実施態様が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実登第963320号
【特許文献2】実登第3028453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら上述する従来技術には以下の問題があった。
即ち、特許文献1に開示されるキャンプ用携帯ベッドは、使用時における組み立て作業および収納時における分解作業が必要であり時間と手間がかかるという問題があった。また解体されたキャンプ用携帯ベッドをコンパクトに収納するためには、エアーマットの内部の空気を排気する必要があり、煩わしい作業を要するものであった。
【0006】
一方、特許文献2に開示される折り畳み式寝台は、支持体とシートとが相互結合して構成されており、支持体を押し広げるだけで使用状態とすることができる。そのため、上記折り畳み式寝台は、使用時や収納時に組み立てや分解の作業は発生しないものの、使用者が横たわる面が一枚のシートで構成されているため、後頭部や腰部などの局所的部位での体圧分散性に劣り、良好な寝心地が提供されないという問題があった。また一枚構成のシートに横たわった場合、当該シートの下側空間や床面からの冷気が伝わり易く、夜間や冬季の使用において寒さの問題があった。
【0007】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、使用する際、および収納する際に発生する作業時間を短縮し、また作業の手間を改善するとともに、寝心地が良く、寝台面の下側空間や床面からの冷気が伝わり難い簡易ベッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の折り畳み式エアーベッドは、上面、下面、上記上面と上記下面との間に空気層、および上記空気層と外部とにおいて通気可能な通気部を有するエアーマット部と、上記エアーマット部を支持するための脚部と、を備え、上記脚部は複数の骨部材より構成され、一体的に折り畳み可能であり、上記脚部が折り畳まれるとともに対向する上記骨部材間に上記エアーマット部が配置される閉状態と、上記脚部が広げられるとともに上記エアーマット部が広げられた状態である開状態と、に変更可能であり、上記開状態における上記エアーマット部の体積よりも上記閉状態における上記エアーマット部の体積の方が小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成を備える本発明の折り畳み式エアーベッドは、脚部を折り畳むとともにこれによって対向する骨部材間にエアーマット部を配置せしめた閉状態と、脚部を広げるとともにこれによってエアーマット部を広げた状態である開状態と、に容易に変更可能である。したがって本発明折り畳み式エアーベッドは、使用時および収納時における作業時間を短縮し、作業の手間を改善することができる。また本発明は、使用者が横たわる面をエアーマット部で構成するため、寝心地が良くまたは保温性にも優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】開状態である、本発明の第一実施形態である折り畳み式エアーベッドの斜視図である。
図2】閉状態である、本発明の第一実施形態である折り畳み式エアーベッドの斜視図である。
図3図1に示す折り畳み式エアーベッドにおけるエアーマット部のIII-III断面図である。
図4】開状態である、本発明の第四実施形態である折り畳み式エアーベッドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第一実施形態]
以下に本発明の折り畳み式エアーベッドの第一実施形態について図1図3を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。
図1は開状態である、本発明の第一実施形態である折り畳み式エアーベッド100の斜視図である。図2は、閉状態である、本発明の第一実施形態である折り畳み式エアーベッド100の斜視図である。図3は、図1に示す折り畳み式エアーベッド100におけるエアーマット部10のIII-III断面図である。
本発明に関し、開状態とは、脚部30が広げられるとともにこれによってエアーマット部10が広げられ、ベッドとして使用可能な状態を指す。一方、閉状態とは、脚部30が折り畳まれるとともに対向する骨部材32、32間にエアーマット部10が配置され、収納し、あるいは運搬等するために適した状態を指す。尚、本発明に関し、対向する骨部材32、32間または外縁支持部材40、40間にエアーマット部10が配置されるとは、閉状態において互いに向き合っている骨部材32、32間または外縁支持部材40、40間にエアーマット部の少なくとも一部がこれらの間に配置されればよく、これらの間から外方向にエアーマット部の一部がはみ出ている態様を包含する。
尚、本発明に関しエアーベッドとは、上面、下面、上記上面と上記下面との間に設けられた空気層および上記空気層と外部とにおいて通気可能な通気部を有するエアーマット部を備える構造体をいう。ここで通気部とは、たとえばエアーマット部を構成する側材に取り付けられた通気孔であってもよいし、上面および/または下面の少なくとも一部を構成する通気性の側材を通気部としてもよい。即ち、本発明は、上記エアーマット部を構成する上面および/または下面が、通気性部材から構成される態様、および通気孔を備える非通気性部材からなる態様のいずれも包含しうる。
【0012】
図1図3に示すとおり、折り畳み式エアーベッド100は、エアーマット部10と、脚部30とを備えて構成されており、図2に示すように折り畳まれてなる閉状態と、図1のように広げられてなる開状態とに変更可能な折り畳み式の簡易ベッドである。
【0013】
(エアーマット部)
エアーマット部10は、上面12と下面14とを有し、上面12と下面14との間に空気層20を有する。空気層20とエアーマット部10の外部とは、通気部16により通気可能に構成されている。より具体的にはエアーマット部10は、上面12と下面14とを有して構成される中空袋状の側材11を備え側材11の内部が空気層20を構成している。上面12は、開状態において使用者の寝台面を構成する。エアーマット部10には、エアーマット部10の内外において通気を可能とするための通気部16が設けられており、これによって開状態ではエアーマット部10の内部に有意な厚みの空気層20を設け、また閉状態ではエアーマット部10の内部の空気の少なくとも一部を排出せしめ、エアーマット部10を減容することが可能である。
【0014】
本実施形態では、通気部16として、エアーマット部10の適宜の箇所に設けられた当該エアーマット部10を構成する側材11の厚み方向を貫通する通気孔18が設けられている。上面視長方形である折り畳み式エアーベッド100において、通気孔18は、図1に示すようにエアーマット部10の対向する短辺それぞれに設けられており、長方形のエアーマット部10に対し空気の流入および排出が行われやすいよう配慮されている。ただし通気孔18が設けられる位置や通気孔18の数はこれに限定されるものではない。たとえば、さらに、下面14の中央付近に通気孔18を設けてもよい。
【0015】
また本発明の通気部16は上述する通気孔18の態様に限定されるものではない。たとえば、後述する第二実施形態のように、通気性の素材からなる通気性側材を用いてエアーマット部10が構成される場合には、当該通気性部材自体が通気部16となり得る。
【0016】
本実施形態におけるエアーマット部10を構成する側材11は、非通気性の素材からなる非通気性側材であり、エアーアット部10は、この非通気性側材(側材11)に内包されるクッション体50を備える。
非通気性側材(側材11)を構成する素材は、エアーマット部10の内外においてガス不透過性が示されるシート状の素材から適宜選択することができるが、たとえば、合成皮革、人工皮革、樹脂シート、生地へ樹脂シート(樹脂層)を貼り合わせるなどして積層した樹脂複合体などが例示される。側材11が非通気性の素材から構成される場合には上述のとおり、通気部16として通気孔18が設けられるとよい。
【0017】
クッション体50は、クッション性のある弾性変形可能な部材であってエアーマット部10の内部に空気層20を確保可能な部材から適宜選択されうる。たとえば、クッション体50を構成する部材としては、発泡樹脂成形体、発泡樹脂ビーズなどが挙げられる。発泡樹脂成形体は、内部に気泡を有するため、側材11に内包された際、発泡樹脂成形体自体が空気層20を構成することができる。一方、発泡樹脂ビーズは、当該ビーズの内部にも空気を包含するとともに、ビーズ間において空気が存在するため、発泡樹脂ビーズ群において空気層20を構成することができる。
上述する発泡樹脂成形体や発泡樹脂ビーズを構成する樹脂としては、たとえばウレタン樹脂やポリオレフィン系樹脂などが例示される。中でも、開状体において適度な反発弾性を示し良好なクッション性を発揮するとともに、閉状態にする際に折り畳みやすいという観点からウレタンフォームがクッション体50として好ましい。また本発明におけるクッション体50として用いられる発泡樹脂成形体は、内部における気泡の一部または全部が連続気泡構造であることが好ましく、連続気泡構造であるウレタンフォームであることがより好ましい。ここで連続気泡構造とは、発泡樹脂成形体内部において隣り合う気泡同士が通気可能に連通していることをいう。
上記ウレタンフォームの見掛け密度は限定されないが、良好なクッション性および折り畳み性のバランスを図るという観点からは、10kg/m以上であることが好ましく、12kg/m以上であることがより好ましく、また70kg/m以下であることが好ましい。
【0018】
発泡樹脂成形体からなるクッション体50の厚みは特に限定されないが、良好な寝心地と保温性を発揮可能であるという観点からは1cm以上であることが好ましく、2cm以上であることはより好ましい。また収納時の折り畳みやすさやコンパクト化の観点からは6cm以下であることが好ましく、5cm以下であることがより好ましい。尚、側材11の高さ寸法は、クッション体50の厚み寸法以上とすることが好ましく、この場合、発泡樹脂成形体からなるクッション体50の厚みは、開状態における空気層20の厚みと同等となる。
【0019】
上述のとおり内部にクッション体50が収容されたエアーマット部10は、クッション性が良好であり、後頭部や腰部などの体重がかかり易い局所的部位での体圧分散性に優れ、良好な寝心地が提供される上、空気層20を有することから、エアーマット部10の下側空間や床面からの冷気が使用者に伝わり難く、レジャーだけでなく、たとえば避難所などでの使用にも適している。
【0020】
またクッション体50が発泡樹脂成形体から構成された場合、さらに以下の優れた効果が発揮される。即ち、発泡樹脂成形体は、外圧がかかると内部の気泡が押しつぶされて見掛けの体積が減少し、当該外圧が解除されると元の形状に戻る自己復元性を発揮しうる。したがって通気孔18を開口させた状態で、図1に示す開状体から図2に示す閉状態に変更することによって、発泡樹脂成形体からなるクッション体50が骨部材32によって圧縮され、特段の排気作業を行うことなくエアーマット部10を減容させることが可能である。そして通気孔18を開口させた状態で、図2に示す閉状態から図1に示す開状態に変更することで、特段の給気作業を行うことなく、発泡樹脂成形体の自己膨張性により側材11が内側から押し広げられるとともに通気孔18から内部に空気が流入し、使用に適した状態のエアーマット部10が提供される。
【0021】
通気孔18は、常に開口状態であってもよいが、たとえば、閉状態とした後にその状態を良好に維持するため、また開状態において上面12に使用者が横たわった際に空気層20の厚みを十分に維持するために、適宜、図示省略する封止栓によって封止してもよい。当該封止栓により、クッション体50のみならず、エアーマット部10自体のクッション性も得ることができる。
【0022】
本実施形態におけるエアーマット部10は、側材11の内部空間が長さ方向において複数の区画領域52に区画されており、各区画領域52には、それぞれの内部空間の寸法にちょうど収まる程度のクッション体50が内包されている。隣り合う区画領域52、52は、エアーマット部10の幅方向に伸長する結着部64により区画されている。結着部64は、上面12および下面14を、融着、接着、縫合などの任意の手段で接合することによって形成される。尚、融着や接着などの手段によって結着部64を形成する場合、隣り合う区画領域52、52間における通気を可能とするため、結着部64で区画領域52、52間完全に区画せず、結着部64に並んで貫通部66を確保しておくとよい。
【0023】
本発明は、本実施形態の変形例として、エアーマット部10の内部空間を何ら仕切ることなく、側材11の内部に内包されるクッション体50を一連の発泡樹脂成形体とする態様を包含する。かかる態様は、後述する第四実施形態として説明する。
【0024】
エアーマット部10は、開状態において設置面と略平行になるよう構成されるが、たとえば、図1図3に示すとおり、エアーマット部10の長さ方向の一方の端部(図1図3では紙面左側の端部)をやや上方に傾斜させ、横たわった際に枕がなくても使用者の頭部の収まりがよいように構成されてもよい。
【0025】
(寝心地の評価)
エアーマット部10を備える折り畳み式エアーベッド100の寝心地の良さは、使用者による官能評価に加え、たとえば、下記頭部圧力測定により評価することができる。
まず、開状態における折り畳み式エアーベッド100において頭部が当接する領域に圧力センサーマットを設置する。そしてその上に体重60kg程度の成人が仰向けで横たわり、頭部の最大圧力を測定する。最大圧力の値が小さいほど圧力分散性が良く寝心地が良好であると評価することができる。上記圧力センサーマットとしては、たとえば、Xセンサーテクノロジー社製のXSENSOR(米国登録商標)などが挙げられる。
本発明において頭部の最大圧力の範囲は、被験者の体格や体重の影響を鑑みて、特に限定されるものではないが、より優れた寝心地のベッドを提供するという観点からは、頭部の最大圧力は100N以下であることが好ましく、80N以下であることがより好ましく、70N以下であることがさらに好ましく、60N以下であることが特に好ましい。
【0026】
(脚部)
次に脚部30について説明する。脚部30は、エアーマット部10を支持する構成である。特に開状態において、上面12に使用者が横たわった状態でエアーマット部10を支持することが求められる。折り畳み式エアーベッド100を開状態と閉状態とに変更する際、脚部30とエアーマット部10とを連動して変形させるため、脚部30に対しエアーマット部10が直接または間接に取り付けられている。
尚、本発明に関し、脚部30に対しエアーマット部10が間接に取り付けられるとは、本実施形態のごとく、脚部30に連結された他の支持部材(外縁支持部材40)によってエアーマット部10が取り付けられて支持されている態様をいい、脚部30に対しエアーマット部10が直接に取り付けられるとは、骨部材32からなる脚部30に対し直接にエアーマット部10が取り付け固定されて指示されている態様(図示省略)をいう。
【0027】
脚部30を構成する骨部材32は、エアーマット部10を支持する強度がある部材から構成される。骨部材32としては、たとえば金属製または樹脂製の長尺部材が挙げられ、中でも軽量化を図る観点からは中空管状の骨部材32が好ましい。
【0028】
脚部30は複数の骨部材32より構成され、それらを分解することなく、一体的に折り畳み可能に構成される。
本実施形態における脚部30は、床面から鉛直方向に伸長する第一骨部材321を複数本備えるとともに、エアーマット部10の長辺を正面視した際に、互いに交差する第二骨部材322、322、およびエアーマット部10の短辺を正面視した際に、互いに交差する第三骨部材323を備える。各骨部材32は、それぞれ他の骨部材32と結合部材により結合されている。ここでいう結合は、互いの位置関係を不動とするものではなく、力が加えられた場合に、結合された骨部材32、32の相対的な位置関係が変更可能に結合された状態をいう。
たとえば、図1に示すとおり、第一骨部材321と、これに交差する二本の第二骨部材322とは、結合部材34により結合されており、力が加えられることによって結合部材34においてスライドすることにより互いの相対的な位置関係が変化し、図2に示す閉状態に変更可能である。同様に、第二骨部材322および第三骨部材333の下端が結合部材35により結合されており、開状態と閉状態とにおいて互いの位置関係を相対的に変更可能である。
【0029】
上述する脚部30とエアーマット部10とは直接的に連結されていてもよく、また間接的に連結されていてもよい。本実施形態では、エアーマット部10の外縁に後述する外縁支持部材40が設けられており、外縁支持部材40を介して、エアーマット部10と脚部30とが間接的に連結されている。
【0030】
(外縁支持部材)
本実施形態の折り畳み式エアーベッド100は、エアーマット部10の外縁に沿って外縁支持部材40が設けられている。外縁支持部材40を備えることによって、開状態においてエアーマット部10に使用者が横たわった際の撓みが良好に抑制される。本実施形態では、上面視長方形のエアーマット部10の長辺に沿って長尺部材が設けられている。当該長尺部材は、上述する骨部材32と同様の部材から構成されうる。
本実施形態に外縁支持部材40は、一方の長辺に沿って4本の長尺部材が配列され、縦列する2本の長尺部材のそれぞれの端部と骨部材32の端部とが結合部材36により結合されており、脚部30を折り畳んで閉状態としたときに、図2に示すようにW字状となるよう構成されている。他方の長辺も同様である。
【0031】
本実施形態では、エアーマット部10の長辺外縁に沿って、トンネル状のループ部62を設け、このループ部62に外縁支持部材40を貫通させることによって、エアーマット部10に外縁支持部材40が取り付けられている。ループ部62は、エアーマット部10を構成する側材の長辺外縁の端部を折り返し所定の位置で当該端部を適宜の固定手段でエアーマット部10自体に固定することによってエアーマット部10と一体的に形成されてもよいし、エアーマット部10とは別体にてループ部62を作成し、これをエアーマット部10の長辺外縁に適宜の固定手段にて固定することによって、後付けで設けられてもよい。ここで固定手段とは、縫製、接着、溶着等による接合手段、面ファスナーやホックなどの接合部材など、外縁支持部材40によってエアーアット部10が支持可能な程度の接合強度を発揮可能な任意の手段から適宜選択することができる。
【0032】
脚部30が折り畳まれる際、連動して外縁支持部材40も折り畳まれるとともに、外縁支持部材40を外縁に備えるエアーマット部10も折り畳まれ、その結果、図2に示すとおり、対向する骨部材32、32間および外縁支持部材40、40間にエアーマット部10が配置される。尚、本発明に関し、外縁支持部材40を設けない場合において脚部30が折り畳まれる際、対向する骨部材32、32間のみにエアーマットが配置される態様(図示省略)でもよい。
ここで、骨部材32、32あるいは外縁支持部材40同士が対向するとは、互いが隣り合う位置関係において対向する場合に限らず、脚部が折り畳まれた状態において、直線で結べる位置関係において対向する場合を含む。より具体的には、本実施形態では、骨部材32から連続する複数の外縁支持部材40が設けられており、複数本で構成された外縁支持部材40が谷折りの部分を有しながら脚部30とともに折れ曲がることによって、上面12が内側となるようにエアーマット部10が折り畳まれて閉状態となる。この結果、エアーマット部10は、対向する外縁支持部材40、40間および/または対向する骨部材32、32(脚部材30、30)間に配置され、これらによって圧縮される。そのため、クッション体50が収縮するとともに、エアーマット部10に設けられた通気部16(開口した通気孔18)から空気層20における空気が自然と流出することとなり、エアーマット部10が減容される。
このように、折り畳み式エアーベッド100は、脚部30を折り畳むことによって、特段の排気作業なしにエアーマット部10の内部の空気を排気することができ、開状態におけるエアーマット部10の体積よりも閉状態におけるエアーマット部10の体積を小さくすることができる。
【0033】
また、上述するとおり、閉状態から開状態とすることによって、エアーマット部10に内包されたクッション体50が自己膨張し、特段の給気作業なしに、減容したエアーマット部10に空気を流入させることができる。
【0034】
[第二実施形態]
以下に本発明の第二実施形態について説明する。
本発明は、エアーマット部が、通気性の素材からなる通気性側材と、通気性側材に内包されるクッション体とを備える第二実施形態を包含する。かかる第二実施形態は、側材11を構成する部材の一部または全部が通気性側材であること以外は、上述する第一実施形態の折り畳み式エアーベッド100と同様に構成される。したがって、第二実施形態の図示は省略し、また通気性側材以外の構成については、適宜第一実施形態の説明を参照するものとする。
【0035】
通気性側材を構成する素材は、エアーマット部10の内外においてガス透過性が示される素材から適宜選択されうるが、たとえば、織物、編物などが例示される。より具体的には、たとえば麻や綿などで織られた平織りの生地である帆布や斜子織りのオックスフォード生地は、強度が高く肌触りも良いため好ましい。側材11が通気性側材から構成される場合には、通気性側材自体が通気部16となる。
【0036】
第二実施形態における折り畳み式エアーベッドは、第一実施形態と同様に、側材(通気性側材)の内部にクッション体が内包される。そのため、閉状態から開状態に変更させることで当該クッション体が自己膨張して通気性側材を押し広げ、これによってエアーマット部の内部に十分な空気層が確保される。
【0037】
[第三実施形態]
以下に本発明の第三実施形態について説明する。
本発明は、エアーマット部が、非通気性の素材からなる非通気性側材を備え、当該非通気性側材において通気部として通気孔および当該通気部に対し繰り返し着脱可能な封止栓を有する第三実施形態を包含する。かかる第三実施形態は、非通気性側材(側材11)の内部にクッション体が収容されていない点および通気部を封止する封止栓が必須である点以外は、第一実施形態の折り畳み式エアーベッド100と同様に構成される。したがって、第三実施形態の図示は省略し、また上述する2つの相違点2以外の構成については、適宜第一実施形態の説明を参照するものとする。
【0038】
第三実施形態における折り畳み式エアーベッドは、開状態では、エアーマット部に通気孔から十分な空気を人為的に給気し、その後封止栓で封止することによって、エアーマット部のクッション性を維持することができる。また開状態から閉状態に変更する際には、封止栓をはずして通気孔を開口させた状態で脚部を折り畳むことによって、エアーマット部は、対向する骨部間または外縁支持部材間に挟まれて圧縮され、自然と内部の空気が排出され減容される。
【0039】
[第四実施形態]
以下に図4を用いて本発明の第四実施形態について説明する。図4は、開状態である、本発明の第四実施形態である折り畳み式エアーベッド100の斜視図である。
第四実施形態の折り畳み式エアーベッド100は、エアーマット部10の内部が区画されておらず、1つの空間となっていること、およびかかるエアーマット部10に収容されたクッション体50が、一連の発泡樹脂成形体から構成されている点で、第一実施形態における折り畳み式エアーベッド100とは異なっている。それ以外の点では、第四実施形態の折り畳み式エアーベッド100は、第一実施形態における折り畳み式エアーベッド100と同様に構成されているため、同様の構成については、適宜第一実施形態の説明を参照するものとする。
【0040】
第四実施形態の折り畳み式エアーベッド100は、製造容易な構造であり、またクッション体50が一連であるためベッドに横たわったときの寝心地がより良好である点で優れる。また第四実施形態の折り畳み式エアーベッド100は、実質的に第一実施形態と同様の構成については、上述する第一実施形態と同様の優れた効果を発揮する。
【0041】
尚、第四実施形態の変形例として、第四実施形態の折り畳みベッド100の側材を、非通気性側材から通気性側材に変更し、適宜、通気孔18を省略することもできる。
【0042】
以上に本発明の第一実施形態から第四実施形態について説明したが、上述する実施形態は本発明を何ら限定するものではない。たとえば、脚部の構造や脚部の折り畳み方法は上述する態様に限定されない。
一例としては、エアーマット部を長さ方向略2分の1の領域で谷折りする方向に脚部を折り畳むことによって、脚部を構成する骨部材間、または外縁支持部材間にエアーマット部を配置せしめるとともに圧縮することで空気層の空気を容易に排出させることが可能である。
また、閉状態を良好に保つために、折り畳まれた状態の折り畳み式エアーベッドの外周を紐やゴムなどの拘束手段で拘束し、あるいは、折り畳んだ状態で一の骨部材と他の骨部材、一の外縁支持部材と他の外縁支持部材、あるいは一の骨部材と一の外縁支持部材とに亘って設けられ両者の距離を固定するストッパーなどを備えてもよい。
また、本発明では、開状態および閉状態において脚部の動きに連動させてエアーマット部を折り畳んだり、開いたりすることを可能とするため、これらは通常は連結された状態が維持される。ただし、エアーマット部の清掃や交換などのために、適宜、エアーマット部を脚部(または外縁支持部材)から取り外し可能に構成してもよい。
【実施例0043】
(実施例1)
長さ185cm×幅50cm×高さ5cmの内部空間を有しポリエステル製の生地の片面へウレタン樹脂シートを貼り合わせた樹脂複合体(TPU複合体)からなる袋状の非通気性側材からなるエアーマット部を準備した。また図1に示すものと同様の構成である、脚部と、上記脚部の上端に設けられた外縁支持部材とを準備し、上記エアーマット部の長辺外縁に設けられたループ部に外縁支持部材を貫通させ、エアーマット部と脚部とを間接的に連結させて構成した折り畳み式エアーベッドを作製しこれを実施例1とした。尚、実施例1は、上述する第三実施形態に対応する実施例であり、床面からエアーマット部の下面までの距離は38cmとした。
【0044】
(実施例2)
非通気性側材の内部空間の寸法を表1に示す値に変更したこと、および当該非通気性側材の内部にクッション体として、長さ180cm×幅50cm×厚み1cmのウレタンフォーム(見掛け密度;16kg/m、40%圧縮硬さ;50N、反発弾性率19%以下、連続気泡構造)を収容したこと以外は、実施例1と同様に折り畳み式エアーベッドを作製し、これを実施例2とした。尚、実施例2は、上述する第四実施形態に対応する実施例である。
【0045】
(実施例3~7)
非通気性側材の内部空間の寸法および当該非通気性側材の内部に収容されるウレタンフォームの寸法を表1の値に変更すること以外は実施例2と同様に折り畳み式エアーベッドを作製し、これらを実施例3~7とした。
【0046】
(比較例1)
エアーマット部の替りに、綿製の糸を用い斜子織りによって作成されたシート(オックスフォード生地、長さ185cm×幅50cm)を用いたこと以外は実施例1と同様に簡易ベッドを作製し、これを比較例1とした。尚、床面からシートの下面までの距離は38cmとした。
【0047】
上述のとおり得られた実施例および比較例を用い、寝心地評価1(体感評価)、寝心地評価2(頭部圧力測定)、保温性評価、折り畳み性評価を以下のとおり行い、結果を表1に示した。
【0048】
(寝心地評価1;体感評価)
モニター10人が、それぞれベッドに横たわり、仰向けの状態で寝心地を確認し、以下のとおり評価し、最も多かった評価結果を表に示した。
◎:体への負荷がほぼ感じられず、寝心地が非常に良好である。
○:適度なクッション性を感じ、寝心地が良好である。
△:やや硬さを感じるが、底つき感を感じるほどではない。
×:底つき感があり、硬さを感じる。
【0049】
(寝心地評価2;頭部圧力測定)
ベッドの上面に頭部が当接する領域に重なるよう圧力センサーマット(XSENSOR(米国登録商標)、Xセンサーテクノロジー社製)を設置した。そして体重60kgの成人が、その上に横たわり、頭部領域の最大圧力を測定した。
【0050】
上述する寝心地評価1において、実施例はいずれも比較例に対し寝心地が改善されており、特に、空気層を適度な厚みとすることによって優れた寝心地を示すことが確認された。
また、寝心地評価2において、実施例はいずれも、比較例1に対し、顕著に頭部の最大圧力が低減していることが確認された。また寝心地評価1、2の結果から、頭部の最大圧力の数値が小さいほど、寝心地が良いことが確認された。
【0051】
(保温性評価)
室温23度の環境下において、折り畳み式エアーベッドの上面中央付近に温度センサ(おんどとりTR-72Ui、ティーアンドディ社製)を設置した。温度50℃加熱した35cm×35cm×1cmのアルミ板を上記温度センサのセンサ部分に接触するよう配置し、速やかに毛布をベッドの上面全体を覆うよう被せ、アルミ板の温度を測定し温度曲線を得た。かかる温度曲線においてアルミ板の温度が40℃の時点T0から30℃時点T1までの範囲でサンプルの温度曲線の近似式の傾きを算出した。
また、ブランクとして、比較例1を用いたこと以外は、上述と同様の試験を行い、上述と同様にブランクの温度曲線の近似式の傾きを算出した。そして下記式(1)から保温率を算出した。
[数1]
保温率(%)=(ブランクの傾き-サンプルの傾き)÷ブランクの傾き×100 (1)
上述のとおり算出された保温率を以下の基準にて評価した。
◎:保温率が50%以上である。
○:保温率が40%以上50%未満である。
△:保温率が10%以上40%未満である。
×:保温率が10%未満である。
【0052】
上記保温性評価によって、寝台面を構成する部材がシートである比較例1に対し、実施例はいずれも保温性が改善されていることが確認された。特に、側材にウレタンフォームからなるクッション体が内包されてなるエアーマット部を備える実施例2~7は優れた保温性が示されることが確認された。
【0053】
(折り畳み性評価)
ベッドを折り畳んだ状態における体積V1と、ベッドからエアーマット部を取り外し脚部および外縁支持部材を折り畳んだ状態における体積V0とを求め、体積V1と体積V0との比率(V1/V0)を確認し、以下の基準で評価した。尚、体積V1および体積V0は、折り畳んで床に設置された状態(図2参照)において、床面から最高位までの高さT(cm)と、長辺サイドを正面視した際に観察される水平方向の最大部分の寸法W1(cm)および短辺再度を正面視した際に観察される水平方向の最大部分の寸法W2(cm)を測定し、下記式(2)により算出した。
[数2]
体積(cm)=高さT(cm)×寸法W1(cm)×寸法W2(cm) (2)
上述のとおり算出された体積V1、V0の比を以下の基準にて評価した。
◎:比率(V1/V0)が1.2以下である。
○:比率(V1/V0)が1.2を超えて3以下である。
△:比率(V1/V0)が3を超える。
【0054】
上記折り畳み性評価によって、開状体で有意に厚みのあるエアーマット部を備える実施例はいずれも、特段の排気作業なしに、コンパクトに折りたためることが確認された。
【0055】
【表1】
【0056】
上述する本発明は、下記の技術的思想を包含する。
(1)上面、下面、前記上面と前記下面との間に空気層、および前記空気層と外部とにおいて通気可能な通気部を有するエアーマット部と、
前記エアーマット部を支持するための脚部と、を備え、
前記脚部は複数の骨部材より構成され、一体的に折り畳み可能であり、
前記脚部が折り畳まれるとともに対向する前記骨部材間に前記エアーマット部が配置される閉状態と、
前記脚部が広げられるとともに前記エアーマット部が広げられた状態である開状態と、
に変更可能であり、
前記開状態における前記エアーマット部の体積よりも前記閉状態における前記エアーマット部の体積の方が小さいことを特徴とする折り畳み式エアーベッド。
(2)前記エアーマット部の外縁に沿って外縁支持部材を有し、
前記外縁支持部材は前記脚部と連結され、折り畳まれる前記脚部と連動して前記外縁支持部材が折り畳まれるとともに、
折り畳まれた前記外縁支持部材の内側において前記エアーマット部が折り畳まれる上記(1)に記載の折り畳み式エアーベッド。
(3)前記エアーマット部が、通気性の素材からなる通気性側材と、前記通気性側材に内包されるクッション体とを備える上記(1)または(2)に記載の折り畳み式エアーベッド。
(4)前記エアーマット部は、非通気性の素材からなる非通気性側材と、前記非通気性側材に内包されるクッション体を備え、
前記非通気性側材において前記通気部として通気孔を有する上記(1)または(2)に記載の折り畳み式エアーベッド。
(5)前記エアーマット部は、非通気性の素材からなる非通気性側材を備え、
前記非通気性側材において前記通気部として通気孔および当該通気部に対し繰り返し着脱可能な封止栓を有する上記(1)または(2)に記載の折り畳み式エアーベッド。
【符号の説明】
【0057】
10・・・エアーマット部
11・・・側材
12・・・上面
14・・・下面
16・・・通気部
18・・・通気孔
20・・・空気層
30・・・脚部
32・・・骨部材
321・・・第一骨部材
322・・・第二骨部材
323・・・第三骨部材
34、35、36・・・結合部材
40・・・外縁支持部材
50・・・クッション体
52・・・区画領域
62・・・ループ部
64・・・結着部
66・・・貫通部
100・・・折り畳み式エアーベッド
図1
図2
図3
図4