(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023102016
(43)【公開日】2023-07-24
(54)【発明の名称】神社仏閣の宿坊システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20230714BHJP
【FI】
G06Q50/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022002315
(22)【出願日】2022-01-11
(71)【出願人】
【識別番号】522013142
【氏名又は名称】株式会社聖徳INN
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 憲正
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC25
(57)【要約】
【課題】ネットを活用した神社仏閣の宿坊への宿泊を可能とする。
【解決手段】利用者端末3、神社仏閣端末4と、サーバ2とがネット5を介して通信可能となっている。利用者端末3のサーバ2へのアクセスにより利用者端末3に神社仏閣閲覧データ6が送信され、送信された神社仏閣閲覧データ6から宿泊利用希望の神社仏閣が選択されてサーバ2に返信されたとき、サーバ2は選択された神社仏閣端末4に選択信号を送信し、選択された神社仏閣端末4が利用者端末3にその神社仏閣の宿坊データを送信し、利用者端末3と神社仏閣端末4との間で宿泊利用が決定される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者端末と、神社仏閣端末と、サーバとがネットを介して通信可能となっており、神社仏閣の宿坊に対して利用者の宿泊を可能とするシステムであって、
前記神社仏閣端末は、神社仏閣に関するデータ及び宿泊費用のデータを記録する神社仏閣データ部と、宿坊への宿泊に関するデータを記録する宿泊データ部と、前記サーバから選択信号が入力されたとき前記利用者端末に前記神社仏閣データ部のデータを送信する手段とを備え、
前記サーバは、神社仏閣閲覧データと、前記神社仏閣閲覧データを前記利用者端末に送信する手段と、選択された神社仏閣の神社仏閣端末に選択信号を送信する手段とを備え、
前記利用者端末の前記サーバへのアクセスにより前記利用者端末に神社仏閣閲覧データが送信され、送信された神社仏閣閲覧データから宿泊利用希望の神社仏閣が選択されて前記サーバに返信されたとき、前記サーバは選択された神社仏閣端末に選択信号を送信し、選択された神社仏閣端末が前記利用者端末にその神社仏閣の宿坊データを送信し、利用者端末と神社仏閣端末との間で宿泊利用が決定されることを特徴とする神社仏閣の宿坊システム。
【請求項2】
前記利用者端末と神社仏閣端末との間で宿泊利用が取り消されたとき、前記利用者端末が前記サーバに取り消し信号を送信し、前記サーバは前記神社仏閣閲覧データを利用者端末に再送信することを特徴とする請求項1に記載の神社仏閣の宿坊システム。
【請求項3】
前記神社仏閣閲覧データは、修行データと神社仏閣データとが宗派・神様データに区分けされており、前記宗派・神様データが地域データに区分けされた一覧表となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の神社仏閣の宿坊システム。
【請求項4】
前記神社仏閣端末は、前記神社仏閣データ部及び前記宿泊データ部のデータを更新する更新部をさらに有し、前記サーバは、前記神社仏閣データのデータを更新するデータ更新部をさらに有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の神社仏閣の宿坊システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神社仏閣が運営する宿坊への宿泊利用を公衆通信回線によって可能とする神社仏閣の宿坊システムに関する。
【背景技術】
【0002】
神社仏閣が運営する宿坊への宿泊は、座禅、写経、法話、その他の修行を体験できることから一般人が希望するものである。宿坊への宿泊は、旅行会社を介しての申し込みやその神社仏閣への申し込みによってなされているため、手数や時間がかかって不便なものとなっている。
【0003】
一方、近年ではインターネットを利用した神社仏閣のサービスがなされている。特許文献1には、インターネット上のホームページで神社仏閣を紹介し、参拝の順序に従ってそれぞれの参拝場面を順番に表示することにより神社仏閣への参拝の疑似体験を行うシステムが開示されている。特許文献2には、インターネットを通じて神社仏閣への依頼事項を出力し、神社仏閣が依頼事項に対応する宗教行為を実行するシステムが開示されている。
しかしながら、これらのシステムは、神社仏閣への参拝に関するものであり、神社仏閣の宿坊へ宿泊するものとは異なっている。宿坊への宿泊は、依然として旅行会社や神社仏閣への申し込みが必要であり、手数や時間がかかる不便なものに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-175375号公報
【特許文献2】特開2003-150728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のことを考慮してなされたものであり、インターネット等のネットを活用して神社仏閣の宿坊への宿泊を可能として不便さを解消した神社仏閣の宿坊システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の神社仏閣の宿坊システムは、利用者端末と、神社仏閣端末と、サーバとがネットを介して通信可能となっており、神社仏閣の宿坊に対して利用者の宿泊を可能とするシステムであって、前記神社仏閣端末は、神社仏閣に関するデータ及び宿泊費用のデータを記録する神社仏閣データ部と、宿坊への宿泊に関するデータを記録する宿泊データ部と、前記サーバから選択信号が入力されたとき前記利用者端末に前記神社仏閣データ部のデータを送信する手段とを備え、前記サーバは、神社仏閣閲覧データと、前記神社仏閣閲覧データを前記利用者端末に送信する手段と、選択された神社仏閣の神社仏閣端末に選択信号を送信する手段とを備え、前記利用者端末の前記サーバへのアクセスにより前記利用者端末に神社仏閣閲覧データが送信され、送信された神社仏閣閲覧データから宿泊利用希望の神社仏閣が選択されて前記サーバに返信されたとき、前記サーバは選択された神社仏閣端末に選択信号を送信し、選択された神社仏閣端末が前記利用者端末にその神社仏閣の宿坊データを送信し、利用者端末と神社仏閣端末との間で宿泊利用が決定されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明では、前記利用者端末と神社仏閣端末との間で宿泊利用が取り消されたとき、前記利用者端末が前記サーバに取り消し信号を送信し、前記サーバは前記神社仏閣閲覧データを利用者端末に再送信することを特徴とする。
また、前記神社仏閣閲覧データは、修行データと神社仏閣データとが宗派・神様データに区分けされており、前記宗派・神様データが地域データに区分けされた一覧表となっていることを特徴とする。
また、前記神社仏閣端末は、前記神社仏閣データ部及び前記宿泊データ部のデータを更新する更新部をさらに有し、前記サーバは、前記神社仏閣データのデータを更新するデータ更新部をさらに有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、利用者端末と、神社仏閣端末と、神社仏閣閲覧データ部を備えたサーバとがネットを介して通信可能となっていることにより、神社仏閣の宿坊への宿泊ができるため、宿坊の宿泊の不便さを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】宿坊システムの作動を示すフローチャートである。
【
図7】神社仏閣閲覧データの別例の一覧を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明の宿坊システムの構成図、
図2はサーバのブロック図、
図3は利用者端末のブロック図、
図4は神社仏閣端末のブロック図、
図5は神社仏閣閲覧データを示す図、
図6は作動のフローチャートである。
【0011】
本発明の宿坊システム1は、
図1に示すように、サーバ2と、複数の利用者端末3と、複数の神社仏閣端末4とがインターネット5(以下、ネット5)を介することにより通信可能となっている。サーバ2、利用者端末3、神社仏閣端末4はパソコン、スマートフォン、タブレット等が使用される。
【0012】
図2に示すように、サーバ2は、受信部2a、送信部2b、出力部2c、データ更新部2d、神社仏閣閲覧データ6、制御部2eを有し、これらがバス2fによって接続されて構成されている。出力部2cはモニター等の表示部2g、プリンター等の印刷部2hを備えている。データ更新部2dは神社仏閣閲覧データ6に対してデータの追加、削除、書き換えを行う。制御部2eは受信部2a、送信部2c、出力部2c、データ更新部2dを制御する。神社仏閣閲覧データ6は神社仏閣のデータと、その神社仏閣における宿坊での修行とが宗派・神様データ及び地域データに区分けされている。神社仏閣閲覧データ6については後述する。
【0013】
図3に示すように、利用者端末3は、宿坊の宿泊を希望する利用者が使用する端末であり、受信部3a、送信部3b、出力部3c、選択部3d、制御部3eを有し、これらがバス3fによって接続されて構成されている。出力部3cはモニター等の表示部3gと、必要に応じてプリンター等の印刷部3hとを備えている。選択部3dは、サーバ2が送信した神社仏閣閲覧データ6から利用者の目的に合った神社仏閣を選択する。制御部3eは受信部3a、送信部3b、出力部3c、選択部3dを制御する。
【0014】
図4に示すように、神社仏閣端末4は個々の神社仏閣が備える端末であり、受信部4a、送信部4b、出力部4c、更新部4d、神社仏閣データ部4e、宿泊データ部4f、制御部4gを有し、これらがバス4hによって接続されて構成されている。出力部4cはモニター等の表示部4i、プリンター等の印刷部4jを備えている。
【0015】
神社仏閣データ部4eはその神社仏閣に関するデータを記録する記録部であり、例えば、神社仏閣の名称、住所、メールアドレス、宿坊への宿泊の費用が記録される。宿泊データ部4fは、宿坊に宿泊する利用者に関するデータを記録する記録部であり、宿泊者名、その住所、宿泊人数や宿泊日、宿泊日時が記録される。神社仏閣データ部4e及び宿泊データ部4fのデータは更新部4dによって追加、削除、変更されて更新される。制御部4gは受信部4a、送信部4b、出力部4c、更新部4dの動作を制御する。
【0016】
図5はサーバ2が備える神社仏閣閲覧データ6を示す。
神社仏閣の宿坊で行われる修行データ(例えば座禅、写経、法話、供祭)と、その修行を行う神社仏閣のデータ(神社仏閣名及び住所・メールアドレス等のデータ)とが横並びになって対応している。これにより例えば、「座禅」の修行をしたい利用者は「A寺」を選択し、「写経・山伏」の修行をしたい利用者は「B寺」を選択し、「座禅・法話」の修行をしたい利用者は「C寺」、「供祭」を選択したい利用者は「F神社」、「茶道」を選択したい利用者は「G神社」、「座禅・写経」を修行したい利用者は「H寺」、「お祓・滝行」を修行したい利用者は「I神社」、「お祓・火渡り」を修行したい利用者は「J神社」を選択することができる。複数の修行の内の一つを修行したい利用者は、その修行を行っている神社仏閣を選択することができる。
本発明においては以上に限らず、「三道(茶道、華道、香道)」の伝統文化の他、煎茶道、衣紋道等の芸道に加えて、能や狂言、棒の手、盆栽、剣術、弓術等のひとつの様式化された技能や技術等の技を家元、宗家などを頂点として継承する流派も幅広く体験できるように修行を設定することができる。
【0017】
神社仏閣閲覧データ6においては、これらの修行データ及び神社仏閣データが宗派・神様データ(例えば天台宗、真言宗、天照、八幡)に区分けされている。これにより利用者が望む宗派・神様に合わせた宿坊を選択することができる。
さらに、宗派・神様データが地域データ(例えば東京・神奈川)に区分けされている。このような神社仏閣閲覧データ6では、利用者が望む地域を選択し、その地域から利用者が望む宗派・神様を選択し、さらに宗派・神様から利用者が望む修行を選択することにより利用者が望む地域及び宗派・神様、さらに修行を行う宿坊を選択することができる。
以上により、利用者は修行及び神社仏閣を地域、宗派・神様に照らして選択することが可能となっている。このような神社仏閣閲覧データ6は一覧表となっているため、利用者が見やすいメリットがある。宿房の選択は横並びとなっている1行をクリックすることにより利用者端末3の選択部3dが選択する。
【0018】
かかる神社仏閣閲覧データ部6はサーバ2のデータ更新部2dによって追加、削除、変更などの更新が可能となっており、これにより新規の神社仏閣の登録や神社仏閣の実情に合わせたデータへの更新が可能となっている。この神社仏閣閲覧データ部6の更新は、その神社仏閣端末4がサーバ2にアクセスすることによりサーバ2のデータ更新部2dが行う。
【0019】
図6は利用者が宿坊の選択及びその宿房への宿泊を決定するためのフローチャートを示す。
利用者端末3がネット5を介してサーバ2にアクセスすると(S1)、サーバ2が利用者端末3に神社仏閣閲覧データ6を送信し(S2)、利用者が一覧表となっている神社仏閣閲覧データ部6を表示部3gで見て利用か否かを判断する(S3)。
【0020】
利用者が神社仏閣閲覧データ部6を利用する場合(S3(Y))、利用者は自分の要望に合った神社仏閣を選択する。この選択は、神社仏閣閲覧データ部6の横並びとなっている1行をクリックしてサーバ2に選択信号を送信することにより行う(S4)。S4では、選択信号と共に宿泊者名、住所、宿泊人数、宿泊日、宿泊日数等の情報も並行して送信する。
一方、利用者が神社仏閣の宿坊利用をしない場合には、利用者端末3がその旨をサーバ2に送信する(S11)。これにより今回の宿房の宿泊は取りやめとなる。
【0021】
S4に続いて、サーバ2は選択された神社仏閣の神社仏閣端末4に対してサーバ2が選択された旨の選択信号を送信する(S5)。このとき利用者端末3から送信された宿泊者名、住所、宿泊人数、宿泊日や宿泊日数も並行して送信する。
S5に続いて、通知された神社仏閣の神社仏閣端末4が神社仏閣データ部4eのデータを利用者端末3に送信する(S6)。利用者は利用者端末3の表示部3gでその神社仏閣の名称・住所、メールアドレス、費用を具体的に知ることができる。費用は修行の種類、宿泊人数、宿泊日数等によって算出されたものである。
これにより利用者はその神社仏閣の宿坊を利用することが否かを決定することができる(S7)。
【0022】
利用者がその神社仏閣の宿坊利用を選択したとき(S7(Y))、利用者端末3からその神社仏閣端末4に決定の旨を送信する(S8)。これによりその神社仏閣端末4は受託する旨のお知らせ(受諾信号)を利用者端末3に送信し、これにより宿坊の宿泊予約が終了する(S9)。神社仏閣端末4では、宿泊者名、住所、宿泊人数、宿泊日、宿泊日時を宿泊データ部4fに記録する。
【0023】
一方、利用者がその神社仏閣の宿泊利用をしない場合(S7(N))、利用者端末3からサーバ2に利用しない旨の否決を送信する(S10)。この受信によりサーバ2は利用者端末3に対して神社仏閣閲覧データ6を再送信する(S2)。これにより利用者は他の神社仏閣の選択を行うことができ、S3のステップの後、S4及びS11のステップに移行する。
【0024】
図7はサーバ2が備える神社仏閣閲覧データの別例を示す。
この神社仏閣閲覧データ7では、まず、宗派・神様データ(例えば、天台宗、真言宗、曹洞宗、天照、八幡、スサノオ)に区分けされ、この宗派・神様データに続いて地域データ(例えば、東京、神奈川)に区分けされている。このようなデータでは、利用者が望む宗派・神様を選択した後、利用者が望む地域を選択し、さらに利用者が望む修行を選択することにより宿坊の選択を行うことができる。このような神社仏閣閲覧データ7では、宗派・神様を優先して選択することができるため、選択が便利になるメリットがある。
以上の
図6及び
図7に示す神社仏閣データ6、7はサーバ2が備えており、利用者が必要とするいずれかのデータに切り替えることができるようになっている。
【0025】
以上の宿坊システムにおいて、神社仏閣は年末などの繁忙期を外した時期は閑期となっており、閑期には神社仏閣の職員(お坊さん、神主など)が宿坊の利用者に対して、その神社仏閣の料理作成(おかゆ、精進料理など)やその他の宿坊の運営に参加することができる。
また、神社仏閣での修行だけでなく、宿坊の利用者が畑や田んぼを耕す、薪拾い、農作物の収穫等の作業、漁業や林業の援助作業に参加するイベントを行うことにより宿坊の利用者の数が多くなり、その神社仏閣が存在する地域の活性化に寄与することができる。
また、神社仏閣が荘園として所有する土地に宿坊を造成することができ、この場合には、宿坊だけでなく。その荘園を活用して修行や上述したイベントを行うことができる。これにより利用者の広範囲の活動が可能となる。
本発明では、神社仏閣が運営または提携するホテルなどの宿泊施設を宿坊として使用することができる。この場合、神社仏閣端末4は神社仏閣に備えることなく、ホテルなどの宿泊施設に備えることにより機能させることができる。
【0026】
以上の実施形態では、ネットを活用することにより神社仏閣の宿坊への宿泊が可能となるため、宿坊宿泊のための不便さを解消することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 神社仏閣の宿坊システム
2 サーバ
3 利用者端末
4 神社仏閣端末
5 神社仏閣閲覧データ
6 フローチャート
7 別の神社仏閣閲覧データ